JP2004008791A - 遊技機 - Google Patents
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Abstract
【課題】転動部において遊技球の演出を確実に楽しませるとともに、転動部上で遊技球を安定して振分けることを可能にする。
【解決手段】パチンコ遊技機は、遊技盤の盤面よりも奥側の領域に形成され第二入口部50から入球した遊技球を転動させる上段転動部33と、盤面上を流下する遊技球が、第二入口部50以外の部位から上段転動部33に飛込むことを防止する飛込抑制部材34とを具備する。また、飛込抑制部材34の上面には、第二入口部50から入球した遊技球を上段転動部33に誘導する上段誘導部34aが形成されている。これによれば、盤面上を流下する遊技球が、釘等の障害部材に衝突し上段転動部33側に跳ね返っても、飛込抑制部材34によって遊技球の移動方向を規制し、第二入口部50以外の部位から上段転動部33に飛込むことを阻止する。
【選択図】 図3
【解決手段】パチンコ遊技機は、遊技盤の盤面よりも奥側の領域に形成され第二入口部50から入球した遊技球を転動させる上段転動部33と、盤面上を流下する遊技球が、第二入口部50以外の部位から上段転動部33に飛込むことを防止する飛込抑制部材34とを具備する。また、飛込抑制部材34の上面には、第二入口部50から入球した遊技球を上段転動部33に誘導する上段誘導部34aが形成されている。これによれば、盤面上を流下する遊技球が、釘等の障害部材に衝突し上段転動部33側に跳ね返っても、飛込抑制部材34によって遊技球の移動方向を規制し、第二入口部50以外の部位から上段転動部33に飛込むことを阻止する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、パチンコ機等の遊技盤において、遊技球と障害部材(釘等)とによる物理的な興趣の他に、新たな興趣を提供する目的で表示装置等や大型の可動入賞装置を遊技盤に設けたものが知られている。ところで、表示装置等によって新たな興趣を提供することが可能になった反面、表示装置等を設けたスペースには障害部材を設けることが困難となり、障害部材によって遊技球の挙動を楽しませたり遊技球を誘導したりすることが困難となっていた。そこで、表示装置の周囲に枠部材を設けると共に、表示装置の下方に転動部を形成したものが提案されている。これによれば、特定の入口から入球した遊技球を転動部で転動させ、その転動による演出を楽しませると共に必要に応じて遊技球を誘導することが可能になる。また、転動部の下方に始動口等の特定入球手段を配設した場合には、転動部から排出される遊技球を所定の割合で振分けることにより、特定入球手段に向けて排出させる遊技球の割合、即ち特定入球手段に入球する確率を予め設定することが可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の遊技機では、転動部が遊技盤の盤面よりも奥側の領域に形成されていることから、枠部材の入口から入球せずに盤面上を流下した遊技球が、例えば枠部材の下方に設けられた障害部材に衝突し跳ね返ると、盤面上から転動部に飛込む可能性があった。そして、入口以外の部位から転動部に入球すると、転動部上で転動する遊技球の演出が阻害されるとともに、所定の入球率を生み出すために設計された転動部での振分率が不安定になる恐れがあった。
【0004】
そこで、本発明の課題は、遊技球の演出を確実に楽しませるとともに、転動部上で遊技球を安定して振分けることができる遊技機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための有効な手段を以下に示す。なお、必要に応じて、その作用等についても説明する。
【0006】
手段1:遊技盤の盤面よりも奥側の領域に形成され、入口部から入球した遊技球を転動させる転動部と、前記盤面上を流下する遊技球が、前記入口部以外の部位から前記転動部に飛込むことを防止する飛込抑制部材とを具備することを特徴とする遊技機。
【0007】
ここで、「飛込抑制部材」の形状及び配設位置は特に限定されるものではなく、例えば、遊技盤を仕切るように盤面に対して垂直方向に突出させてもよく、あるいは、奥側の領域に形成された転動部の前方を覆うように、盤面に対して同一面となるように形成してもよい。
【0008】
手段1によると、盤面上を流下する遊技球が、釘等の障害部材に衝突し転動部側に跳ね返っても、飛込抑制部材によって移動方向が規制され、入口部以外の部位から転動部に飛込むことが阻止される。このため、転動部に到達する遊技球は、入口部から入球した遊技球のみとなり、転動する遊技球の挙動が阻害され難くなる。
【0009】
手段2:手段1の構成に加え、前記転動部の下方の前記盤面に取付られた特定入球手段と、該特定入球手段への遊技球の入球率を調整することが可能な調整部材とをさらに備えることを特徴とする遊技機。
【0010】
ここで、「特定入球手段」には、例えば第一種始動口、入球口、及びチューリップ型役物等が含まれる。また、「調整手段」には、釘等の障害部材が含まれる。
【0011】
転動部の下方の盤面に始動口等の特定入球手段を設けたものでは、転動部での転動の結果に応じて遊技球を振分けるとともに、振分けられた特定の遊技球を、特定入球手段に向けて放出させることが望ましい。これによれば、転動部での演出効果に加え、遊技者に期待感を与えることができ、興趣が格段に向上する。また、特定入球手段への入球の可能性を、転動部から排出される遊技球だけではなく、盤面上を不規則に流下する遊技球にも持たせることにより、興趣を一層高めることが可能となる。なお、この場合、盤面上を流下する遊技球を特定入球手段まで誘導し、しかも特定入球手段への入球率を所定の確率にさせるためには、特定入球手段の上方一帯の盤面上に、釘等の調整手段を設けることが望ましい。しかしながら、この調節手段に衝突し軌道が変化した遊技球は、上から下へという通常の流下方向とは異なり、変則的な挙動となる。特に、衝突による跳ね返りによって下から上へと流れ、その上方に設けられた転動部に飛込むことがある。
【0012】
ところが、手段2によると、盤面上の遊技球が、調節手段に衝突することによって上方に向って流れても、飛込抑制手段によって遮られ、転動部に飛込むことが阻止される。つまり、転動部・盤面双方の遊技球による興趣を保ちつつ、転動部での挙動が下方からの飛込みによって阻害されることを防止できる。したがって、転動部での遊技球の演出を遊技者に楽しませることができるとともに、設定された振分率になるように安定して振分けることが可能になる。
【0013】
手段3:手段2の構成に加え、前記飛込抑制部材は、前記転動部の前側に配設され、前記盤面に対して略垂直方向に突出して形成されていることを特徴とする遊技機。
【0014】
手段3によると、飛込抑制部材が盤面に対して略垂直方向に突設されているため、転動部の前方と盤面とが飛込抑制部材によって仕切られる。このため、転動部の下方の遊技球が転動部に移動しようとしても確実に阻止される。
【0015】
手段4:手段3の構成に加え、飛込抑制部材は、前記転動部に対して略同一面となる傾斜面を有することを特徴とする遊技機。ここで、「略同一面」には、遊技球の転動を阻止しない程度の高低差を有するものが含まれる。
【0016】
手段4によると、飛込抑制部材における傾斜面と、転動部の少なくとも一部とが略同一面であるため、遊技球の転動可能な領域が前方に延出された形態となる。つまり、遊技球を傾斜面で転動させることにより、転動領域が拡大し、演出効果を高めることができる。また、傾斜面と転動部との間には高低差がないことから、両者の間で遊技球を滑らかに移動させることができる。しかも、飛込抑制部材が転動部よりも上方に突出しないため、転動する遊技球の視認性を損なうことがない。
【0017】
手段5:手段3または手段4の構成に加え、飛込抑制部材に、遊技球の通過可能な大きさの開口が設けられていることを特徴とする遊技機。
【0018】
手段5によると、転動部において転動した遊技球は、開口を通って流下する。つまり、転動部の前側全体に亘って飛込抑制部材を設けた場合でも、開口を通して下方の特定入球手段に誘導することができる。
【0019】
手段6:手段5の構成に加え、前記飛込抑制部材は、前記開口の左右側方から下方に突出し前記盤面上の遊技球が前記開口側へ移動することを抑制する移動抑制部を有することを特徴とする遊技機。
【0020】
開口を設けることにより、転動後の遊技球を特定入球手段に向けて排出することが可能になる反面、その開口を通って、下方から転動部に遊技球が飛込む恐れが生じる。
【0021】
ところが、手段6によると、開口の左右側方には移動抑制部が下方に向けて突設されていることから、左右方向から開口に向って移動する盤面上の遊技球は、移動抑制部に衝突し易くなる。そして衝突すると、遊技球は開口側には移動せず、自重により下方に向かって流下(落下)する。つまり、開口を通って下方から飛込むことが抑制される。また、転動後に開口を通って排出される遊技球と、盤面上を不規則に流下する遊技球との接触を低減でき、転動部から排出された遊技球を高い確率で特定入球手段に導くことが可能になる。さらに、移動抑制部により、飛込抑制部材の強度が補われ、耐久性が向上する。
【0022】
手段7:手段3から手段6までのいずれかの構成に加え、前記飛込抑制部材の上面には、前記入口部から入球した遊技球を前記転動部に誘導させる誘導部が形成されていることを特徴とする遊技機。
【0023】
手段7によると、入口部から入球した遊技球は、飛込抑制部材の上面に形成された誘導部を通って転動部に誘導される。これにより、転動部に対して一定の位置から投入でき、遊技球を滑らかに一定のパターンで転動させることが可能になる。つまり、遊技球同士の衝突を回避し不利な方向に弾かれる可能性が低減される。また、飛込抑制部材が誘導部として機能することから、全体の構成が簡略化されるとともに、配置に必要なスペースを少なくすることができる。
【0024】
手段8:手段7の構成に加え、前記入口部は、前記転動部の転動方向両端よりも左右外方向に突出するように、前記誘導部の左右両端に形成されていることを特徴とする遊技機。
【0025】
手段8によると、入口部が転動部の転動方向両端よりも突出しているため、流下する遊技球を、比較的容易に入球させることが可能になる。また、転動部に比べ飛込抑制部材の横幅が長くなるため、転動部に対して左右斜め下方から遊技球が飛込んでも、その遊技球を確実に阻止することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をパチンコ遊技機に具体化した一実施形態について、図1乃至図11に基づき説明する。図1はパチンコ遊技機の構成を示す概略正面図であり、図2乃至図5はパチンコ遊技機における本体枠の構成を示す正面図、斜視図、A−A断面図、及び分解斜視図である。図1に示すように、パチンコ遊技機2の遊技盤3の盤面3aには、誘導レール4によって遊技領域5が区画形成されている。誘導レール4は、発射ハンドル6の操作に対応して、発射装置(図示しない)から発射された遊技球7を、遊技領域5の上部に導くためのものである。遊技領域5には、普通入賞口8、始動口9、及び大入賞口10が夫々設けられている。また、遊技領域5の略中央部分には、特別図柄表示装置12(以下単に「表示装置12」という)が組込まれた本体枠13が配設されている。そして、この本体枠13により特別遊技領域が区画形成されている。ここで、始動口9が前記手段2における特定入球手段に相当する。
【0027】
普通入賞口8、始動口9、及び大入賞口10は、遊技盤3の払出し装置(図示しない)に接続されている。払出し装置は、遊技球7の各入賞口8,9,10への入賞に伴い所定数の賞球を払い出す払出しモータ14(図11参照)を備えている。なお、始動口9は、図6に示すように、盤面3aに取付けるための板状の取付基部9a、取付基部9aの上に遊技球7の通路を形成するポケット部9b、その通路の入口を狭めたり拡げたりするための羽根9c、及び通路内に遊技球7が入球したことを検出する始動口用スイッチ9d(図11参照)等から構成されている。また、図1に示すように、大入賞口10は、始動口9の下方に位置しており、横長空間である入賞領域(図示しない)、開閉部材としてのシャッタ18、これを開閉させるためのソレノイド19(図11参照)、及び入賞領域に入賞した遊技球7を計数するためのカウントスイッチ20等から構成されている。つまり、ソレノイド19はシャッタ18に駆動連結されており、通電に伴う励磁によりシャッタ18を前方へ倒して入賞領域を開放し、通電停止に伴う消磁によりシャッタ18を起立させて入賞領域を閉鎖する。なお、大入賞口10は、大当たり遊技状態の発生に伴い、閉鎖状態から開放状態に切替えられる。また、始動口9の上方一帯の盤面3aには、複数の釘15が植設されている。この釘15は、前記手段2における調整部材に相当するものであり、盤面3a上を流下する遊技球7を始動口9まで誘導するとともに、始動口9への入球率を所定の確率に設定するものである。
【0028】
この他、パチンコ遊技機2には、遊技効果を高めることを目的として、スピーカ21(図11参照)と、装飾用発光素子としての複数のランプ22(図11参照)とが組込まれている。スピーカ21は、遊技の進行状態に合わせて効果音を発したり、その効果音の種類を変えたりする。ランプ22としては、例えば風車ランプ、飾りランプ、袖ランプ、サイドランプ等既知のものが挙げられ、これらは遊技の進行状態に合わせて光放射の態様を変える。
【0029】
表示装置12は、液晶ディスプレイ(LCD)を備えている。なお、LCDに代えて、CRT、ドットマトリックス、発光ダイオード(LED)、エレクトロルミネセンス(EL)、蛍光表示管等が用いられてもよい。表示装置12の画面には、例えば、互いに左右方向に配置された三つの図柄列(左図柄列、中図柄列、右図柄列)が表示される。各図柄列は、複数種類の図柄からなり、数字、キャラクタ、及びそれらを組合せたもの等がある。
【0030】
表示装置12では、各図柄列での図柄の変動が、遊技球7の始動口9への入賞に基づき一斉に開始される。図柄の変動は所定の停止順、例えば左図柄列、右図柄列、中図柄列の順に停止される。そして、全図柄列の変動が停止したとき、表示されている図柄(停止図柄)の組合せが、予め定められた大当たりの組合せ、すなわち同一種類の停止図柄が大当たりラインに沿って並んでいる組合せ(例えば「7」,「7」,「7」)となる場合がある。大当たりの組合せが成立すると、大入賞口10の入賞領域が開放し、遊技者は多くの賞球を獲得することが可能になる。
【0031】
本体枠13(一般にセンターフレームとも言う)は、図3及び図5に示すように、枠部材11及びこの枠部材11に組付けられた複数の部材から構成され、中央に窓部13aが形成されている。また、枠部材11の後部には、窓部13aに表示装置12を取付けるための取付部材(図示しない)が設けられている。枠部材11の上部には天飾り26が設けられ、その上面に遊技球7を特別遊技領域に入球させるための第一入口部27が形成されている。また、天飾り26の左右両側には龍の頭部の形状を呈した肩飾り28が設けられている。そして、第一入口部27から入球された遊技球7は、天飾り26及び肩飾り28の内部に形成された通路26a,28aに従って左右斜め下方へ案内されるようになっている。また、枠部材11の上部外周縁には、天飾り26及び肩飾り28を覆うように前方に延出された庇部32が形成されている。
【0032】
枠部材11の下部には、下段転動部30を区画形成する板状の仕切壁29が立設されている。また、枠部材11の左右両側部には、肩飾り28の内部に形成された通路28aと下段転動部30とを連通するための下段誘導部材31が設けられている。一方、仕切壁29の上方には、上段転動部33を有する転動部材35が配設されている。また、転動部材35の前方には、盤面3a上を流下する遊技球7が、下方から上段転動部33に飛込むことを防止する飛込抑制部材34が取付けられている。ここで、上段転動部33が本発明の転動部に相当する。以下、これらの転動部30,33、下段誘導部材31、及び飛込抑制部材34について詳しく説明する。
【0033】
下段転動部30は、図4及び図5に示すように、上下方向に略円弧状に湾曲した部材であり、その転動方向の中央付近には、前方に下り傾斜した傾斜面37が形成され、さらにその中央には、遊技球7を前方へ排出する樋状の下段ガイド溝38が形成されている。この下段ガイド溝38は、始動口9の上方に位置しており、遊技球7を始動口9に向けて排出させることができる。
【0034】
下段誘導部31は、側面の下端部分に形成された出口部39が、下段転動部30に臨むように、枠部材11の側部に配設されている。この下段誘導部31は、龍の胴部のように左右方向に曲りくねった外観を呈している。このため、遊技球7は下段誘導部31の内部を通過する際、衝突を繰返しながら(つまり減速されながら)落下することになり、出口部39へ減速された状態で導かれる。なお、下段誘導部31は、枠部材11に螺着される肩飾り28及び飛込抑制部材34によって支持されている。
【0035】
図5に示すように、転動部材35は、枠部材11の下部に組付けられており、上段転動部33と、この前縁から垂下された前面カバー部40とから構成されている。上段転動部33は、上下方向に略円弧状に湾曲した形状をなしており、左右両側の側方傾斜部43と、その間の中央傾斜部44とを有している。側方傾斜部43は、中央傾斜部44に向って下り傾斜した平面からなり、中央傾斜部44は前方に下り傾斜した湾曲面から構成されている。なお、側方傾斜部43は上段転動部33の幅(奥行き)全体に亘って形成されているが、中央傾斜部44は後端側の一部分を残した形で形成されている。また、夫々の側方傾斜部43の端面中央部分には、左右外方向に延出された突起43aが設けられている。そして、転動部材35は、枠部材11の下部両側に形成されたスリット状の切欠13bに、突起43aを前方から差込むことにより組付けられ、さらに枠部材11の前面に螺着された飛込抑制部材34によって支持されている。
【0036】
左右の側方傾斜部43には、後方寄りの略1/3の位置に、左右端面から横方向に延出された直線状の直線ガイド部45が上方に突出して形成されている。なお、本実施形態では、直線ガイド部45の長さを側方傾斜部43の長さ(転動方向の長さ)の略3/5とし、高さを略2mmとしている。一方、上段転動部33の中央傾斜部44の後端付近には、上方に突出した一対の制動部46が左右方向に並設され、さらにその間には、中央傾斜部44を横断する上段ガイド溝47が形成されている。制動部46は、上段転動部33を転動する遊技球7を制動するものであり、断面が直角三角形状になっている。さらに詳しくは、底辺の長さが高さよりも長くなるように、比較的緩やかな斜面を有する直角三角形であり、その斜面が左右外方に向くように形成されている。なお、幅方向における制動部46の長さL(図7参照)は、上段転動部33の後縁から直線ガイド部45までの長さに略一致している。このように、一対の制動部46を設けることにより、上段転動部33で転動する遊技球7を、上段ガイド溝47を介して排出される場合と、上段ガイド溝47以外の中央傾斜部44から排出される場合とに振分けることができる。
【0037】
転動部材35の前面カバー部40は、図5及び図6に示すように、枠部材11の下部の前面開口を覆うように下段転動部30の前縁上に配置され、しかも盤面3a(図1参照)と同一平面になっている。そして、前面カバー部40の底辺の形状が下段転動部30の上面形状と略一致しており、下段転動部30を転動する遊技球7が下段転動部30の前縁から逸脱することを防止するとともに、下方の盤面3aから下段転動部30へ遊技球7が飛込むことを防止している。つまり、本実施形態では、前面カバー部40も本発明の飛込抑制部材として機能している。なお、前面カバー部40には、傾斜面37及び下段ガイド溝38に対応して切欠かれた排出口41が形成されており、下段ガイド溝38等からの排出を可能にしている。なお、前面カバー部40は、不透明な材料で形成されていてもよいが、透明な樹脂で形成すれば、排出口41に相当する部分すなわち下段ガイド溝38の周辺部分のみならず、下段転動部30全体に亘って遊技球7の挙動を視認させることが可能になる。また、図示していないが、仕切壁29の表面には龍の図柄が描かれているとともに、所定の間隔で複数の保留ランプ36が配設されていることから、前面カバー部40を透明な材料で形成することにより、図柄や保留ランプ36の点灯状態を把握させることが可能になる。なお、保留ランプ36は、始動口9への入賞状況を示すものであるが、ここでは図柄の一部(例えば龍の口から吹出される炎の図柄)の装飾性を高める機能をも有している。つまり、保留ランプ35の点灯により、炎の図柄が赤く光って表示され、装飾効果を向上させている。
【0038】
また、前面カバー部40の前面、特に上段ガイド溝47の先端部分の下方には、上下方向に延出された三本の突条48が左右方向に並設されている。
【0039】
図4乃至図6に示すように、飛込抑制部材34は転動部材35の前側に組付けられ、盤面3aに対して略垂直方向に突出して形成されている。また、飛込抑制部材34とパチンコ遊技機2の前面ガラス板Gとの間隔が遊技球7の直径より狭くなっている。このため、枠部材11の下方を通過する遊技球7が釘15に衝突して跳ね返っても、飛込抑制部材34を乗り越えることがない。
【0040】
ところで、飛込抑制部材34は、下方から上段転動部33に遊技球7が飛込むことを防止するものであるが、その上面には、枠部材11の左右側方から上段転動部33へ遊技球7を導くための上段誘導部34aと、盤面3aを流下する遊技球7を入球させる第二入口部50とが形成されている。上段誘導部34aは、第二入口部50から入球した遊技球7を反対側の直線ガイド部45の先端に向けて転動させるものであり、上方に突出する曲線ガイド部54を有している。なお、上段誘導部34aと上段転動部33の側方傾斜部43との間には僅かな段差が形成されており、上段転動部33に誘導された遊技球7が上段誘導部34a側に戻らないようになっている。ただし、この段差は極僅かであるため、全体的に見ると上段転動部33が前方に延出された形態となっている。ここで、上段誘導部34aが前記手段7における誘導部、及び前記手段4における傾斜面に相当する。また、第二入口部50が本発明の入口部に相当する。
【0041】
第二入口部50は、上段転動部33の転動方向両端よりも左右外方に延出されており、左右の庇部32の下方において遊技球7の入球を可能にしている。また、第二入口部50は、内側に向って傾斜が徐々に大きくなる湾曲形状をなし、庇部32の下端32aと第二入口部50との間隔(即ち、側方から遊技球7が入り込む空間)を広くするとともに、湾曲形状に沿って遊技球7の加速度を次第に高めることを可能にしている。
【0042】
飛込抑制部材34の前面には、前面飾り25が形成されており、左右両端付近から上方に突出した上方突出片56と、中央付近から下方に突出した下方突出片57とを有している。なお、上方突出片56及び下方突出片57の表面には、不透明なシール部材が貼着され内部の構造を遮蔽している。
【0043】
飛込抑制部材34の中央には、後縁から切欠かれた開口52が形成されており、中央傾斜部44または上段ガイド溝47から排出される遊技球7の通過を可能にしている。特に、開口52の左右縁部には、盤面3a上の遊技球7が開口52側へ向けて移動することを抑制する移動抑制部52aが垂設されている。また、上段ガイド溝47から排出される遊技球7と、上段ガイド溝47以外の中央傾斜部44から排出される遊技球7との流下経路を区画するため、下方突出片57の裏面には後方に向って延出された一対の架橋部53が左右方向に並設されている。これにより、上段ガイド溝47から排出された遊技球7は、一対の架橋部53の間に形成された流路53aを流下し、一方、それ以外の中央傾斜部44から排出された遊技球7は、流路53aの外側を流下するようになる。なお、架橋部53によって流路53aが区画されることから、盤面3a上を流下する不規則な軌道の遊技球7との接触が回避される。つまり、誘導される遊技球7に対して、左右方向から他の遊技球7が飛び込んできても、架橋部53によって遮られ、接触による軌道の変化が防止される。
【0044】
さらに架橋部53の根元部分には平面形状が三角形の補強兼規制部59が形成されている。これによれば、架橋部53の根元が補強されるとともに、遊技球7の左右方向及び前後方向への移動がさらに制限され、始動口9への入賞が一層確実になる。また、図4に示すように、開口52が形成された前面飾り25の背面(即ち、上段ガイド溝47または中央傾斜部44から排出された遊技球7が衝突する部位)には、上下に並設された二つの反球部58が後方に突出しており、全体的に断面略コ字形に形成されている。これによれば、前面飾り25の強度が高められるとともに、遊技球7を反射させることによって遊技球7の勢いを弱め、通路53aに入球される遊技球7の動きを安定化させることができる。
【0045】
ところで、図11に示すように、パチンコ遊技機2には主制御基板63が組込まれ、この主制御基板63に、各種スイッチ、保留ランプ36、及びソレノイド19等が接続されている。また、主制御基板63には、表示制御基板64を介して表示装置12が接続され、音声制御基板65を介してスピーカ21が接続されている。さらに主制御基板63には、ランプ制御基板66を介してランプ22が接続され、払出し制御基板67を介して払出しモータ14が接続されている。
【0046】
各制御基板63〜67は、所定の制御プログラムや初期データを予め記憶した読出し専用メモリ(ROM)、このROMに記憶された制御プログラムに従って各種演算処理を実行する中央処理装置(CPU)、及びCPUによる演算結果を一時的に記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)等を備えている。
【0047】
次に、特別遊技領域における遊技球7の動きについて説明する。図10に示すように、第一入口部27から入球した遊技球7は、天飾り26及び肩飾り28の内部に形成された通路26a,28aを通って下段誘導部31に案内される。その後、下段誘導部31内の通路を通って、下段転動部30の端部に案内される。ここで、下段誘導部31の出口部39は、下段転動部30の延長上に配置されているため、出口部39から放出される遊技球7は下段転動部30の形状に従って孤を描きながら左右方向に繰り返し転動する。つまり、遊技球7はエネルギー保存の法則に基づいた揺動運動を行う。そして下段転動部30の中央部分には、下段ガイド溝38が形成されているため、転動する遊技球7の速度が遅くなると、下段ガイド溝38に入り込む。すると、下段ガイド溝38に案内されて前方に排出される。なお、下段転動部30の前面は前面カバー部40で覆われているため、転動中の遊技球7が下段転動部30の前縁から逸脱することはない。つまり、第一入口部27から入球した遊技球7は、常に下段ガイド溝38から排出され、始動口9に入賞する。
【0048】
なお、下段ガイド溝38の内径(幅)は、遊技球7の直径と略同等であるため、同じ運動エネルギーで互いに反対方向に転動する遊技球7同士が下段ガイド溝38の近傍で衝突すると、どちらの遊技球7も下段ガイド溝38に入らなくなる恐れがある。ところが本実施形態では、下段ガイド溝38の両側には、前方に下り傾斜した傾斜面37が形成されているため、下段ガイド溝38に入らない場合でも、傾斜面37に従って確実に排出することができる。
【0049】
一方、第一入口部27から入球しない場合、本体枠13の側方を流下することになるが、この遊技球7の一部が、釘等に衝突すると経路が変更され庇部32の下方に回り込むことがある。この場合、図9に示すように、飛込抑制手段34の上面に形成された第二入口部50に載るとともに、第二入口部50の斜面に従って入球し上段誘導部34aに移動する。上段誘導部34aには、曲線ガイド部54が形成されていることから、遊技球7は曲線ガイド部54に沿って案内され、上段転動部33の奥側に向って転動する。つまり、左側の第二入口部50から入球した遊技球7は、左側の曲線ガイド部54によって案内され、上段転動部33の右奥に向って転動する。逆に、右側の第二入口部50から入球した遊技球7は、右側の曲線ガイド部54によって案内され、上段転動部33の左奥に向って転動する。つまり、上段転動部33上を略対角線に沿って転動することから、転動距離が長くなり、遊技球7の転動を十分に楽しませることができる。また、左右の曲線ガイド部54によって案内された遊技球7の経路は互いに交差することから、夫々の遊技球7が互いに衝突するのは、中央傾斜部44の中央位置のみ、すなわち交差する位置のみとなる。つまり、夫々の曲線ガイド部54によって案内される遊技球7を、殆ど衝突させることなく、転動させることができる。なお、傾斜面4と上段転動部33との間には大きな高低差がないことから、両者の間で遊技球7を滑らかに移動させることができる。しかも、飛込抑制部材34が上段転動部33よりも上方に大きく突出しないため、上段転動部33で転動する遊技球7の視認性が損われることがない。
【0050】
上段転動部33の側方傾斜部43には、直線ガイド部45が形成されているため、上段転動部33の奥側まで転動した遊技球7は、直線ガイド部45に沿って転動し、側方傾斜部43の奥側隅部付近に至る。その後、遊技球7は、側方傾斜部43の斜面に従い、側方傾斜部43から中央傾斜部44に向って転動する。この際、遊技球7は直線ガイド部45に沿って転動することから、前方へ転動することなく、左右方向に真直ぐ転動する。そして、上段転動部33の中央付近には、比較的緩やかな斜面を有する直角三角形状の制動部46が並設されているため、直線ガイド部45に沿って転動した遊技球7は、一対の制動部46によって左右方向への転動が抑えられる。つまり、遊技球7は、最初の制動部46に対しては斜面に従って容易に乗り越えるが、次の制動部46に対しては鉛直面と衝突することから制動され、この結果一対の制動部46の間に挟まれた状態となる。一対の制動部46の間には、上段ガイド溝47が中央傾斜部44の前縁まで延出して形成されているため、遊技球7は上段ガイド溝47に案内されて中央傾斜部44の前縁から排出される。
【0051】
上段ガイド溝47の先端下方には、一対の架橋部53で区画された流路53aが形成されているため、上段ガイド溝47から排出された遊技球7は、この流路53aを通って流下し始動口9に導かれる。また、譬え外部から遊技球7が飛び込んできても架橋部53によって遮蔽されるため、通路53aを流下する遊技球7と衝突することはない。また、流路53a内には、突条48が設けられているため、遊技球7は遊技盤3の盤面3aから離れるように誘導され、釘15や取付基部9aへの接触が回避される。このため、始動口9への入球が一層確実になる。なお、流路53aの上方すなわち上段ガイド溝47の延長線上には、断面形状が略コ字形の制動部材58が形成されているため、上段ガイド溝47から排出された遊技球7の勢いを効果的に抑え、流路53aを通過する遊技球7の軌道を安定化させることができる。
【0052】
ところで、遊技球7の勢いが弱く最初の制動部46を乗り越えることができなかった場合、または、逆に勢いが強すぎて両方の制動部46を乗り越えた場合には、上段ガイド溝47に入ることなく、中央傾斜部44の斜面に従って中央傾斜部44の前縁から排出される。この場合、遊技球7は開口52から排出されるものの、流路53aを通過することなく排出されるため、始動口9に入球され難くなる。つまり、一対の架橋部53によって、上段ガイド溝47から排出される遊技球7と、上段ガイド溝47を通らずに排出される遊技球7とに振り分けられ、上段ガイド溝47から排出された遊技球7のみが始動口9に案内される。
【0053】
また、上段転動部33または下段転動部30から排出された遊技球7は始動口9に向って流下するが、下段転動部30から排出される位置と流路53aの位置とは、鉛直方向において合致しているため、排出するタイミングによっては下段転動部30から排出された遊技球7に、流路53aを通過した遊技球7が衝突する場合がある。すると、二つの遊技球7は互いに外力を受け弾かれることになる。すなわち、上段ガイド溝47及び下段転動部30から排出される遊技球7は基本的には始動口9に向って流下するが、上記のように衝突した場合には始動口9に入球しなくなる場合が生じる。このため、遊技者は、夫々の転動部30,33から排出される遊技球7のタイミングが気になり、両転動部30,33における遊技球7の挙動を絡めて把握するようになる。したがって、夫々の転動部30,33における遊技球7の挙動が遊技者をドキドキさせ、興趣を与える。
【0054】
ところで、下段転動部30及び上段転動部33は、遊技盤3の盤面3aよりも奥側の領域に形成されているため、第一入口部27または第二入口部50から入球せずに盤面3a上を流下した遊技球7が、枠部材11の下方に設けられた釘15に衝突すると、盤面3a上から下段転動部30及び上段転動部33側に向けて跳ね返る恐れがある。しかし、本実施形態では、下段転動部30に対しては前面カバー部40によって遮られ、また上段転動部33に対しては飛込抑制部材34によって遮られることから、釘15によって跳ね返された遊技球7の移動方向が規制され、下段転動部30及び上段転動部33に飛込むことが阻止される。特に、図8に示すように、飛込抑制部材34には、上段転動部33において転動した遊技球7(7aとする)を排出させるための開口52が設けられているものの、その開口52の左右縁部には移動抑制部52aが垂設されているため、左右方向から開口52に向って移動する盤面3a上の遊技球7(7bとする)は、移動抑制部52aに衝突し易くなる。そして衝突すると、その遊技球7bは開口52側には移動せず、自重により下方に向って流下する。また、この際、転動後に開口52を通って排出される遊技球7aと、盤面3a上を不規則に流下する遊技球7bとの接触が抑えられ、上段転動部33から排出された遊技球7aは高い確率で始動口9に導かれる。
【0055】
このように上記のパチンコ遊技機2では、下段転動部30及び上段転動部33に到達する遊技球7は、夫々第一入口部27及び第二入口部50から入球した遊技球7のみとなり、各転動部30,33において転動する遊技球7の挙動が、飛込みによる遊技球7によって阻害されることがない。このため、転動部30,33での遊技球7の挙動を保ちつつ、その演出を遊技者に楽しませることができる。また、上段転動部33では、飛込みがなくなることにより、設定された振分率になるように安定して振分けることができる。
【0056】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0057】
すなわち、上記実施形態のパチンコ遊技機2では、枠部材11に二つの転動部30,33を備えるものを示したが、いずれか一方の転動部のみを備えるものにおいても本発明を適用できる。なお、この場合、遊技球7の飛込みを防止する手段としては、飛込抑制部材34のように盤面3aに対して垂直方向に突出させたものでもよく、あるいは前面カバー40のように(即ち下段転動部30を覆うように)盤面3aに対して同一面上に形成したものでもよい。
【0058】
また、上記実施形態のパチンコ遊技機2では、飛込抑制部材34に上段誘導部34a及び第二入口部50を形成したものを示したが、夫々を別部材で構成するようにしてもよい。但し、上記実施形態のように、部材を兼用することにより、全体の構成が簡略化されるとともに、配置に必要なスペースが少なくなり、遊技領域を有効に使用することが可能になる。また、第二入口部50が上段転動部33の転動方向両端よりも突出しているため、流下する遊技球7を、比較的容易に入球させることが可能になり、しかも上段転動部33に比べ飛込抑制部材34の横幅が長くなることから、左右斜め下方から上段転動部33への飛込みも確実に阻止することができる。
【0059】
さらに、上記実施形態では、遊技機として、表示装置12を備えたパチンコ遊技機2を示したが、表示装置12を備えないパチンコ遊技機は勿論、パチンコ遊技機以外の遊技機、例えばアレパチ、アレンジボール等であっても適用することができる。
【0060】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、転動部が盤面よりも奥側に配置されているにも拘わらず、入口部以外の部位から遊技球が飛込むことを防止できる。このため、入口部から入球し転動部で転動する遊技球の挙動が阻害され難くなり、遊技者に、転動による演出を十分に楽しませることができる。また、遊技球の転動状態に応じて排出方向を振分けるものにおいては、外部から不規則な遊技球が飛込まないため、安定して振分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機を示す概略正面図である。
【図2】パチンコ遊技機における本体枠の構成を示す正面図である。
【図3】本体枠の構成を示す斜視図である。
【図4】図2に示す本体枠のA−A断面図である。
【図5】本体枠の構成を示す分解斜視図である。
【図6】本体枠における要部及びその周辺の構成を示す正面図である。
【図7】上段転動部及び上段誘導部の構成を示す平面図である。
【図8】飛込抑制部材の作用を示す説明図である。
【図9】上段転動部及び上段誘導部における遊技球の動きを示す説明図である。
【図10】下段転動部及び下段誘導部における遊技球の動きを示す説明図である。
【図11】パチンコ遊技機の電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
2 パチンコ遊技機(遊技機)
3 遊技盤
3a 盤面
7 遊技球
9 始動口(特定入球手段)
15 釘(調整部材)
33 上段転動部(転動部)
34a 上段誘導部(誘導部,傾斜面)
50 第二入口部
52 開口
52a 移動抑制部
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、パチンコ機等の遊技盤において、遊技球と障害部材(釘等)とによる物理的な興趣の他に、新たな興趣を提供する目的で表示装置等や大型の可動入賞装置を遊技盤に設けたものが知られている。ところで、表示装置等によって新たな興趣を提供することが可能になった反面、表示装置等を設けたスペースには障害部材を設けることが困難となり、障害部材によって遊技球の挙動を楽しませたり遊技球を誘導したりすることが困難となっていた。そこで、表示装置の周囲に枠部材を設けると共に、表示装置の下方に転動部を形成したものが提案されている。これによれば、特定の入口から入球した遊技球を転動部で転動させ、その転動による演出を楽しませると共に必要に応じて遊技球を誘導することが可能になる。また、転動部の下方に始動口等の特定入球手段を配設した場合には、転動部から排出される遊技球を所定の割合で振分けることにより、特定入球手段に向けて排出させる遊技球の割合、即ち特定入球手段に入球する確率を予め設定することが可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の遊技機では、転動部が遊技盤の盤面よりも奥側の領域に形成されていることから、枠部材の入口から入球せずに盤面上を流下した遊技球が、例えば枠部材の下方に設けられた障害部材に衝突し跳ね返ると、盤面上から転動部に飛込む可能性があった。そして、入口以外の部位から転動部に入球すると、転動部上で転動する遊技球の演出が阻害されるとともに、所定の入球率を生み出すために設計された転動部での振分率が不安定になる恐れがあった。
【0004】
そこで、本発明の課題は、遊技球の演出を確実に楽しませるとともに、転動部上で遊技球を安定して振分けることができる遊技機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための有効な手段を以下に示す。なお、必要に応じて、その作用等についても説明する。
【0006】
手段1:遊技盤の盤面よりも奥側の領域に形成され、入口部から入球した遊技球を転動させる転動部と、前記盤面上を流下する遊技球が、前記入口部以外の部位から前記転動部に飛込むことを防止する飛込抑制部材とを具備することを特徴とする遊技機。
【0007】
ここで、「飛込抑制部材」の形状及び配設位置は特に限定されるものではなく、例えば、遊技盤を仕切るように盤面に対して垂直方向に突出させてもよく、あるいは、奥側の領域に形成された転動部の前方を覆うように、盤面に対して同一面となるように形成してもよい。
【0008】
手段1によると、盤面上を流下する遊技球が、釘等の障害部材に衝突し転動部側に跳ね返っても、飛込抑制部材によって移動方向が規制され、入口部以外の部位から転動部に飛込むことが阻止される。このため、転動部に到達する遊技球は、入口部から入球した遊技球のみとなり、転動する遊技球の挙動が阻害され難くなる。
【0009】
手段2:手段1の構成に加え、前記転動部の下方の前記盤面に取付られた特定入球手段と、該特定入球手段への遊技球の入球率を調整することが可能な調整部材とをさらに備えることを特徴とする遊技機。
【0010】
ここで、「特定入球手段」には、例えば第一種始動口、入球口、及びチューリップ型役物等が含まれる。また、「調整手段」には、釘等の障害部材が含まれる。
【0011】
転動部の下方の盤面に始動口等の特定入球手段を設けたものでは、転動部での転動の結果に応じて遊技球を振分けるとともに、振分けられた特定の遊技球を、特定入球手段に向けて放出させることが望ましい。これによれば、転動部での演出効果に加え、遊技者に期待感を与えることができ、興趣が格段に向上する。また、特定入球手段への入球の可能性を、転動部から排出される遊技球だけではなく、盤面上を不規則に流下する遊技球にも持たせることにより、興趣を一層高めることが可能となる。なお、この場合、盤面上を流下する遊技球を特定入球手段まで誘導し、しかも特定入球手段への入球率を所定の確率にさせるためには、特定入球手段の上方一帯の盤面上に、釘等の調整手段を設けることが望ましい。しかしながら、この調節手段に衝突し軌道が変化した遊技球は、上から下へという通常の流下方向とは異なり、変則的な挙動となる。特に、衝突による跳ね返りによって下から上へと流れ、その上方に設けられた転動部に飛込むことがある。
【0012】
ところが、手段2によると、盤面上の遊技球が、調節手段に衝突することによって上方に向って流れても、飛込抑制手段によって遮られ、転動部に飛込むことが阻止される。つまり、転動部・盤面双方の遊技球による興趣を保ちつつ、転動部での挙動が下方からの飛込みによって阻害されることを防止できる。したがって、転動部での遊技球の演出を遊技者に楽しませることができるとともに、設定された振分率になるように安定して振分けることが可能になる。
【0013】
手段3:手段2の構成に加え、前記飛込抑制部材は、前記転動部の前側に配設され、前記盤面に対して略垂直方向に突出して形成されていることを特徴とする遊技機。
【0014】
手段3によると、飛込抑制部材が盤面に対して略垂直方向に突設されているため、転動部の前方と盤面とが飛込抑制部材によって仕切られる。このため、転動部の下方の遊技球が転動部に移動しようとしても確実に阻止される。
【0015】
手段4:手段3の構成に加え、飛込抑制部材は、前記転動部に対して略同一面となる傾斜面を有することを特徴とする遊技機。ここで、「略同一面」には、遊技球の転動を阻止しない程度の高低差を有するものが含まれる。
【0016】
手段4によると、飛込抑制部材における傾斜面と、転動部の少なくとも一部とが略同一面であるため、遊技球の転動可能な領域が前方に延出された形態となる。つまり、遊技球を傾斜面で転動させることにより、転動領域が拡大し、演出効果を高めることができる。また、傾斜面と転動部との間には高低差がないことから、両者の間で遊技球を滑らかに移動させることができる。しかも、飛込抑制部材が転動部よりも上方に突出しないため、転動する遊技球の視認性を損なうことがない。
【0017】
手段5:手段3または手段4の構成に加え、飛込抑制部材に、遊技球の通過可能な大きさの開口が設けられていることを特徴とする遊技機。
【0018】
手段5によると、転動部において転動した遊技球は、開口を通って流下する。つまり、転動部の前側全体に亘って飛込抑制部材を設けた場合でも、開口を通して下方の特定入球手段に誘導することができる。
【0019】
手段6:手段5の構成に加え、前記飛込抑制部材は、前記開口の左右側方から下方に突出し前記盤面上の遊技球が前記開口側へ移動することを抑制する移動抑制部を有することを特徴とする遊技機。
【0020】
開口を設けることにより、転動後の遊技球を特定入球手段に向けて排出することが可能になる反面、その開口を通って、下方から転動部に遊技球が飛込む恐れが生じる。
【0021】
ところが、手段6によると、開口の左右側方には移動抑制部が下方に向けて突設されていることから、左右方向から開口に向って移動する盤面上の遊技球は、移動抑制部に衝突し易くなる。そして衝突すると、遊技球は開口側には移動せず、自重により下方に向かって流下(落下)する。つまり、開口を通って下方から飛込むことが抑制される。また、転動後に開口を通って排出される遊技球と、盤面上を不規則に流下する遊技球との接触を低減でき、転動部から排出された遊技球を高い確率で特定入球手段に導くことが可能になる。さらに、移動抑制部により、飛込抑制部材の強度が補われ、耐久性が向上する。
【0022】
手段7:手段3から手段6までのいずれかの構成に加え、前記飛込抑制部材の上面には、前記入口部から入球した遊技球を前記転動部に誘導させる誘導部が形成されていることを特徴とする遊技機。
【0023】
手段7によると、入口部から入球した遊技球は、飛込抑制部材の上面に形成された誘導部を通って転動部に誘導される。これにより、転動部に対して一定の位置から投入でき、遊技球を滑らかに一定のパターンで転動させることが可能になる。つまり、遊技球同士の衝突を回避し不利な方向に弾かれる可能性が低減される。また、飛込抑制部材が誘導部として機能することから、全体の構成が簡略化されるとともに、配置に必要なスペースを少なくすることができる。
【0024】
手段8:手段7の構成に加え、前記入口部は、前記転動部の転動方向両端よりも左右外方向に突出するように、前記誘導部の左右両端に形成されていることを特徴とする遊技機。
【0025】
手段8によると、入口部が転動部の転動方向両端よりも突出しているため、流下する遊技球を、比較的容易に入球させることが可能になる。また、転動部に比べ飛込抑制部材の横幅が長くなるため、転動部に対して左右斜め下方から遊技球が飛込んでも、その遊技球を確実に阻止することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をパチンコ遊技機に具体化した一実施形態について、図1乃至図11に基づき説明する。図1はパチンコ遊技機の構成を示す概略正面図であり、図2乃至図5はパチンコ遊技機における本体枠の構成を示す正面図、斜視図、A−A断面図、及び分解斜視図である。図1に示すように、パチンコ遊技機2の遊技盤3の盤面3aには、誘導レール4によって遊技領域5が区画形成されている。誘導レール4は、発射ハンドル6の操作に対応して、発射装置(図示しない)から発射された遊技球7を、遊技領域5の上部に導くためのものである。遊技領域5には、普通入賞口8、始動口9、及び大入賞口10が夫々設けられている。また、遊技領域5の略中央部分には、特別図柄表示装置12(以下単に「表示装置12」という)が組込まれた本体枠13が配設されている。そして、この本体枠13により特別遊技領域が区画形成されている。ここで、始動口9が前記手段2における特定入球手段に相当する。
【0027】
普通入賞口8、始動口9、及び大入賞口10は、遊技盤3の払出し装置(図示しない)に接続されている。払出し装置は、遊技球7の各入賞口8,9,10への入賞に伴い所定数の賞球を払い出す払出しモータ14(図11参照)を備えている。なお、始動口9は、図6に示すように、盤面3aに取付けるための板状の取付基部9a、取付基部9aの上に遊技球7の通路を形成するポケット部9b、その通路の入口を狭めたり拡げたりするための羽根9c、及び通路内に遊技球7が入球したことを検出する始動口用スイッチ9d(図11参照)等から構成されている。また、図1に示すように、大入賞口10は、始動口9の下方に位置しており、横長空間である入賞領域(図示しない)、開閉部材としてのシャッタ18、これを開閉させるためのソレノイド19(図11参照)、及び入賞領域に入賞した遊技球7を計数するためのカウントスイッチ20等から構成されている。つまり、ソレノイド19はシャッタ18に駆動連結されており、通電に伴う励磁によりシャッタ18を前方へ倒して入賞領域を開放し、通電停止に伴う消磁によりシャッタ18を起立させて入賞領域を閉鎖する。なお、大入賞口10は、大当たり遊技状態の発生に伴い、閉鎖状態から開放状態に切替えられる。また、始動口9の上方一帯の盤面3aには、複数の釘15が植設されている。この釘15は、前記手段2における調整部材に相当するものであり、盤面3a上を流下する遊技球7を始動口9まで誘導するとともに、始動口9への入球率を所定の確率に設定するものである。
【0028】
この他、パチンコ遊技機2には、遊技効果を高めることを目的として、スピーカ21(図11参照)と、装飾用発光素子としての複数のランプ22(図11参照)とが組込まれている。スピーカ21は、遊技の進行状態に合わせて効果音を発したり、その効果音の種類を変えたりする。ランプ22としては、例えば風車ランプ、飾りランプ、袖ランプ、サイドランプ等既知のものが挙げられ、これらは遊技の進行状態に合わせて光放射の態様を変える。
【0029】
表示装置12は、液晶ディスプレイ(LCD)を備えている。なお、LCDに代えて、CRT、ドットマトリックス、発光ダイオード(LED)、エレクトロルミネセンス(EL)、蛍光表示管等が用いられてもよい。表示装置12の画面には、例えば、互いに左右方向に配置された三つの図柄列(左図柄列、中図柄列、右図柄列)が表示される。各図柄列は、複数種類の図柄からなり、数字、キャラクタ、及びそれらを組合せたもの等がある。
【0030】
表示装置12では、各図柄列での図柄の変動が、遊技球7の始動口9への入賞に基づき一斉に開始される。図柄の変動は所定の停止順、例えば左図柄列、右図柄列、中図柄列の順に停止される。そして、全図柄列の変動が停止したとき、表示されている図柄(停止図柄)の組合せが、予め定められた大当たりの組合せ、すなわち同一種類の停止図柄が大当たりラインに沿って並んでいる組合せ(例えば「7」,「7」,「7」)となる場合がある。大当たりの組合せが成立すると、大入賞口10の入賞領域が開放し、遊技者は多くの賞球を獲得することが可能になる。
【0031】
本体枠13(一般にセンターフレームとも言う)は、図3及び図5に示すように、枠部材11及びこの枠部材11に組付けられた複数の部材から構成され、中央に窓部13aが形成されている。また、枠部材11の後部には、窓部13aに表示装置12を取付けるための取付部材(図示しない)が設けられている。枠部材11の上部には天飾り26が設けられ、その上面に遊技球7を特別遊技領域に入球させるための第一入口部27が形成されている。また、天飾り26の左右両側には龍の頭部の形状を呈した肩飾り28が設けられている。そして、第一入口部27から入球された遊技球7は、天飾り26及び肩飾り28の内部に形成された通路26a,28aに従って左右斜め下方へ案内されるようになっている。また、枠部材11の上部外周縁には、天飾り26及び肩飾り28を覆うように前方に延出された庇部32が形成されている。
【0032】
枠部材11の下部には、下段転動部30を区画形成する板状の仕切壁29が立設されている。また、枠部材11の左右両側部には、肩飾り28の内部に形成された通路28aと下段転動部30とを連通するための下段誘導部材31が設けられている。一方、仕切壁29の上方には、上段転動部33を有する転動部材35が配設されている。また、転動部材35の前方には、盤面3a上を流下する遊技球7が、下方から上段転動部33に飛込むことを防止する飛込抑制部材34が取付けられている。ここで、上段転動部33が本発明の転動部に相当する。以下、これらの転動部30,33、下段誘導部材31、及び飛込抑制部材34について詳しく説明する。
【0033】
下段転動部30は、図4及び図5に示すように、上下方向に略円弧状に湾曲した部材であり、その転動方向の中央付近には、前方に下り傾斜した傾斜面37が形成され、さらにその中央には、遊技球7を前方へ排出する樋状の下段ガイド溝38が形成されている。この下段ガイド溝38は、始動口9の上方に位置しており、遊技球7を始動口9に向けて排出させることができる。
【0034】
下段誘導部31は、側面の下端部分に形成された出口部39が、下段転動部30に臨むように、枠部材11の側部に配設されている。この下段誘導部31は、龍の胴部のように左右方向に曲りくねった外観を呈している。このため、遊技球7は下段誘導部31の内部を通過する際、衝突を繰返しながら(つまり減速されながら)落下することになり、出口部39へ減速された状態で導かれる。なお、下段誘導部31は、枠部材11に螺着される肩飾り28及び飛込抑制部材34によって支持されている。
【0035】
図5に示すように、転動部材35は、枠部材11の下部に組付けられており、上段転動部33と、この前縁から垂下された前面カバー部40とから構成されている。上段転動部33は、上下方向に略円弧状に湾曲した形状をなしており、左右両側の側方傾斜部43と、その間の中央傾斜部44とを有している。側方傾斜部43は、中央傾斜部44に向って下り傾斜した平面からなり、中央傾斜部44は前方に下り傾斜した湾曲面から構成されている。なお、側方傾斜部43は上段転動部33の幅(奥行き)全体に亘って形成されているが、中央傾斜部44は後端側の一部分を残した形で形成されている。また、夫々の側方傾斜部43の端面中央部分には、左右外方向に延出された突起43aが設けられている。そして、転動部材35は、枠部材11の下部両側に形成されたスリット状の切欠13bに、突起43aを前方から差込むことにより組付けられ、さらに枠部材11の前面に螺着された飛込抑制部材34によって支持されている。
【0036】
左右の側方傾斜部43には、後方寄りの略1/3の位置に、左右端面から横方向に延出された直線状の直線ガイド部45が上方に突出して形成されている。なお、本実施形態では、直線ガイド部45の長さを側方傾斜部43の長さ(転動方向の長さ)の略3/5とし、高さを略2mmとしている。一方、上段転動部33の中央傾斜部44の後端付近には、上方に突出した一対の制動部46が左右方向に並設され、さらにその間には、中央傾斜部44を横断する上段ガイド溝47が形成されている。制動部46は、上段転動部33を転動する遊技球7を制動するものであり、断面が直角三角形状になっている。さらに詳しくは、底辺の長さが高さよりも長くなるように、比較的緩やかな斜面を有する直角三角形であり、その斜面が左右外方に向くように形成されている。なお、幅方向における制動部46の長さL(図7参照)は、上段転動部33の後縁から直線ガイド部45までの長さに略一致している。このように、一対の制動部46を設けることにより、上段転動部33で転動する遊技球7を、上段ガイド溝47を介して排出される場合と、上段ガイド溝47以外の中央傾斜部44から排出される場合とに振分けることができる。
【0037】
転動部材35の前面カバー部40は、図5及び図6に示すように、枠部材11の下部の前面開口を覆うように下段転動部30の前縁上に配置され、しかも盤面3a(図1参照)と同一平面になっている。そして、前面カバー部40の底辺の形状が下段転動部30の上面形状と略一致しており、下段転動部30を転動する遊技球7が下段転動部30の前縁から逸脱することを防止するとともに、下方の盤面3aから下段転動部30へ遊技球7が飛込むことを防止している。つまり、本実施形態では、前面カバー部40も本発明の飛込抑制部材として機能している。なお、前面カバー部40には、傾斜面37及び下段ガイド溝38に対応して切欠かれた排出口41が形成されており、下段ガイド溝38等からの排出を可能にしている。なお、前面カバー部40は、不透明な材料で形成されていてもよいが、透明な樹脂で形成すれば、排出口41に相当する部分すなわち下段ガイド溝38の周辺部分のみならず、下段転動部30全体に亘って遊技球7の挙動を視認させることが可能になる。また、図示していないが、仕切壁29の表面には龍の図柄が描かれているとともに、所定の間隔で複数の保留ランプ36が配設されていることから、前面カバー部40を透明な材料で形成することにより、図柄や保留ランプ36の点灯状態を把握させることが可能になる。なお、保留ランプ36は、始動口9への入賞状況を示すものであるが、ここでは図柄の一部(例えば龍の口から吹出される炎の図柄)の装飾性を高める機能をも有している。つまり、保留ランプ35の点灯により、炎の図柄が赤く光って表示され、装飾効果を向上させている。
【0038】
また、前面カバー部40の前面、特に上段ガイド溝47の先端部分の下方には、上下方向に延出された三本の突条48が左右方向に並設されている。
【0039】
図4乃至図6に示すように、飛込抑制部材34は転動部材35の前側に組付けられ、盤面3aに対して略垂直方向に突出して形成されている。また、飛込抑制部材34とパチンコ遊技機2の前面ガラス板Gとの間隔が遊技球7の直径より狭くなっている。このため、枠部材11の下方を通過する遊技球7が釘15に衝突して跳ね返っても、飛込抑制部材34を乗り越えることがない。
【0040】
ところで、飛込抑制部材34は、下方から上段転動部33に遊技球7が飛込むことを防止するものであるが、その上面には、枠部材11の左右側方から上段転動部33へ遊技球7を導くための上段誘導部34aと、盤面3aを流下する遊技球7を入球させる第二入口部50とが形成されている。上段誘導部34aは、第二入口部50から入球した遊技球7を反対側の直線ガイド部45の先端に向けて転動させるものであり、上方に突出する曲線ガイド部54を有している。なお、上段誘導部34aと上段転動部33の側方傾斜部43との間には僅かな段差が形成されており、上段転動部33に誘導された遊技球7が上段誘導部34a側に戻らないようになっている。ただし、この段差は極僅かであるため、全体的に見ると上段転動部33が前方に延出された形態となっている。ここで、上段誘導部34aが前記手段7における誘導部、及び前記手段4における傾斜面に相当する。また、第二入口部50が本発明の入口部に相当する。
【0041】
第二入口部50は、上段転動部33の転動方向両端よりも左右外方に延出されており、左右の庇部32の下方において遊技球7の入球を可能にしている。また、第二入口部50は、内側に向って傾斜が徐々に大きくなる湾曲形状をなし、庇部32の下端32aと第二入口部50との間隔(即ち、側方から遊技球7が入り込む空間)を広くするとともに、湾曲形状に沿って遊技球7の加速度を次第に高めることを可能にしている。
【0042】
飛込抑制部材34の前面には、前面飾り25が形成されており、左右両端付近から上方に突出した上方突出片56と、中央付近から下方に突出した下方突出片57とを有している。なお、上方突出片56及び下方突出片57の表面には、不透明なシール部材が貼着され内部の構造を遮蔽している。
【0043】
飛込抑制部材34の中央には、後縁から切欠かれた開口52が形成されており、中央傾斜部44または上段ガイド溝47から排出される遊技球7の通過を可能にしている。特に、開口52の左右縁部には、盤面3a上の遊技球7が開口52側へ向けて移動することを抑制する移動抑制部52aが垂設されている。また、上段ガイド溝47から排出される遊技球7と、上段ガイド溝47以外の中央傾斜部44から排出される遊技球7との流下経路を区画するため、下方突出片57の裏面には後方に向って延出された一対の架橋部53が左右方向に並設されている。これにより、上段ガイド溝47から排出された遊技球7は、一対の架橋部53の間に形成された流路53aを流下し、一方、それ以外の中央傾斜部44から排出された遊技球7は、流路53aの外側を流下するようになる。なお、架橋部53によって流路53aが区画されることから、盤面3a上を流下する不規則な軌道の遊技球7との接触が回避される。つまり、誘導される遊技球7に対して、左右方向から他の遊技球7が飛び込んできても、架橋部53によって遮られ、接触による軌道の変化が防止される。
【0044】
さらに架橋部53の根元部分には平面形状が三角形の補強兼規制部59が形成されている。これによれば、架橋部53の根元が補強されるとともに、遊技球7の左右方向及び前後方向への移動がさらに制限され、始動口9への入賞が一層確実になる。また、図4に示すように、開口52が形成された前面飾り25の背面(即ち、上段ガイド溝47または中央傾斜部44から排出された遊技球7が衝突する部位)には、上下に並設された二つの反球部58が後方に突出しており、全体的に断面略コ字形に形成されている。これによれば、前面飾り25の強度が高められるとともに、遊技球7を反射させることによって遊技球7の勢いを弱め、通路53aに入球される遊技球7の動きを安定化させることができる。
【0045】
ところで、図11に示すように、パチンコ遊技機2には主制御基板63が組込まれ、この主制御基板63に、各種スイッチ、保留ランプ36、及びソレノイド19等が接続されている。また、主制御基板63には、表示制御基板64を介して表示装置12が接続され、音声制御基板65を介してスピーカ21が接続されている。さらに主制御基板63には、ランプ制御基板66を介してランプ22が接続され、払出し制御基板67を介して払出しモータ14が接続されている。
【0046】
各制御基板63〜67は、所定の制御プログラムや初期データを予め記憶した読出し専用メモリ(ROM)、このROMに記憶された制御プログラムに従って各種演算処理を実行する中央処理装置(CPU)、及びCPUによる演算結果を一時的に記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)等を備えている。
【0047】
次に、特別遊技領域における遊技球7の動きについて説明する。図10に示すように、第一入口部27から入球した遊技球7は、天飾り26及び肩飾り28の内部に形成された通路26a,28aを通って下段誘導部31に案内される。その後、下段誘導部31内の通路を通って、下段転動部30の端部に案内される。ここで、下段誘導部31の出口部39は、下段転動部30の延長上に配置されているため、出口部39から放出される遊技球7は下段転動部30の形状に従って孤を描きながら左右方向に繰り返し転動する。つまり、遊技球7はエネルギー保存の法則に基づいた揺動運動を行う。そして下段転動部30の中央部分には、下段ガイド溝38が形成されているため、転動する遊技球7の速度が遅くなると、下段ガイド溝38に入り込む。すると、下段ガイド溝38に案内されて前方に排出される。なお、下段転動部30の前面は前面カバー部40で覆われているため、転動中の遊技球7が下段転動部30の前縁から逸脱することはない。つまり、第一入口部27から入球した遊技球7は、常に下段ガイド溝38から排出され、始動口9に入賞する。
【0048】
なお、下段ガイド溝38の内径(幅)は、遊技球7の直径と略同等であるため、同じ運動エネルギーで互いに反対方向に転動する遊技球7同士が下段ガイド溝38の近傍で衝突すると、どちらの遊技球7も下段ガイド溝38に入らなくなる恐れがある。ところが本実施形態では、下段ガイド溝38の両側には、前方に下り傾斜した傾斜面37が形成されているため、下段ガイド溝38に入らない場合でも、傾斜面37に従って確実に排出することができる。
【0049】
一方、第一入口部27から入球しない場合、本体枠13の側方を流下することになるが、この遊技球7の一部が、釘等に衝突すると経路が変更され庇部32の下方に回り込むことがある。この場合、図9に示すように、飛込抑制手段34の上面に形成された第二入口部50に載るとともに、第二入口部50の斜面に従って入球し上段誘導部34aに移動する。上段誘導部34aには、曲線ガイド部54が形成されていることから、遊技球7は曲線ガイド部54に沿って案内され、上段転動部33の奥側に向って転動する。つまり、左側の第二入口部50から入球した遊技球7は、左側の曲線ガイド部54によって案内され、上段転動部33の右奥に向って転動する。逆に、右側の第二入口部50から入球した遊技球7は、右側の曲線ガイド部54によって案内され、上段転動部33の左奥に向って転動する。つまり、上段転動部33上を略対角線に沿って転動することから、転動距離が長くなり、遊技球7の転動を十分に楽しませることができる。また、左右の曲線ガイド部54によって案内された遊技球7の経路は互いに交差することから、夫々の遊技球7が互いに衝突するのは、中央傾斜部44の中央位置のみ、すなわち交差する位置のみとなる。つまり、夫々の曲線ガイド部54によって案内される遊技球7を、殆ど衝突させることなく、転動させることができる。なお、傾斜面4と上段転動部33との間には大きな高低差がないことから、両者の間で遊技球7を滑らかに移動させることができる。しかも、飛込抑制部材34が上段転動部33よりも上方に大きく突出しないため、上段転動部33で転動する遊技球7の視認性が損われることがない。
【0050】
上段転動部33の側方傾斜部43には、直線ガイド部45が形成されているため、上段転動部33の奥側まで転動した遊技球7は、直線ガイド部45に沿って転動し、側方傾斜部43の奥側隅部付近に至る。その後、遊技球7は、側方傾斜部43の斜面に従い、側方傾斜部43から中央傾斜部44に向って転動する。この際、遊技球7は直線ガイド部45に沿って転動することから、前方へ転動することなく、左右方向に真直ぐ転動する。そして、上段転動部33の中央付近には、比較的緩やかな斜面を有する直角三角形状の制動部46が並設されているため、直線ガイド部45に沿って転動した遊技球7は、一対の制動部46によって左右方向への転動が抑えられる。つまり、遊技球7は、最初の制動部46に対しては斜面に従って容易に乗り越えるが、次の制動部46に対しては鉛直面と衝突することから制動され、この結果一対の制動部46の間に挟まれた状態となる。一対の制動部46の間には、上段ガイド溝47が中央傾斜部44の前縁まで延出して形成されているため、遊技球7は上段ガイド溝47に案内されて中央傾斜部44の前縁から排出される。
【0051】
上段ガイド溝47の先端下方には、一対の架橋部53で区画された流路53aが形成されているため、上段ガイド溝47から排出された遊技球7は、この流路53aを通って流下し始動口9に導かれる。また、譬え外部から遊技球7が飛び込んできても架橋部53によって遮蔽されるため、通路53aを流下する遊技球7と衝突することはない。また、流路53a内には、突条48が設けられているため、遊技球7は遊技盤3の盤面3aから離れるように誘導され、釘15や取付基部9aへの接触が回避される。このため、始動口9への入球が一層確実になる。なお、流路53aの上方すなわち上段ガイド溝47の延長線上には、断面形状が略コ字形の制動部材58が形成されているため、上段ガイド溝47から排出された遊技球7の勢いを効果的に抑え、流路53aを通過する遊技球7の軌道を安定化させることができる。
【0052】
ところで、遊技球7の勢いが弱く最初の制動部46を乗り越えることができなかった場合、または、逆に勢いが強すぎて両方の制動部46を乗り越えた場合には、上段ガイド溝47に入ることなく、中央傾斜部44の斜面に従って中央傾斜部44の前縁から排出される。この場合、遊技球7は開口52から排出されるものの、流路53aを通過することなく排出されるため、始動口9に入球され難くなる。つまり、一対の架橋部53によって、上段ガイド溝47から排出される遊技球7と、上段ガイド溝47を通らずに排出される遊技球7とに振り分けられ、上段ガイド溝47から排出された遊技球7のみが始動口9に案内される。
【0053】
また、上段転動部33または下段転動部30から排出された遊技球7は始動口9に向って流下するが、下段転動部30から排出される位置と流路53aの位置とは、鉛直方向において合致しているため、排出するタイミングによっては下段転動部30から排出された遊技球7に、流路53aを通過した遊技球7が衝突する場合がある。すると、二つの遊技球7は互いに外力を受け弾かれることになる。すなわち、上段ガイド溝47及び下段転動部30から排出される遊技球7は基本的には始動口9に向って流下するが、上記のように衝突した場合には始動口9に入球しなくなる場合が生じる。このため、遊技者は、夫々の転動部30,33から排出される遊技球7のタイミングが気になり、両転動部30,33における遊技球7の挙動を絡めて把握するようになる。したがって、夫々の転動部30,33における遊技球7の挙動が遊技者をドキドキさせ、興趣を与える。
【0054】
ところで、下段転動部30及び上段転動部33は、遊技盤3の盤面3aよりも奥側の領域に形成されているため、第一入口部27または第二入口部50から入球せずに盤面3a上を流下した遊技球7が、枠部材11の下方に設けられた釘15に衝突すると、盤面3a上から下段転動部30及び上段転動部33側に向けて跳ね返る恐れがある。しかし、本実施形態では、下段転動部30に対しては前面カバー部40によって遮られ、また上段転動部33に対しては飛込抑制部材34によって遮られることから、釘15によって跳ね返された遊技球7の移動方向が規制され、下段転動部30及び上段転動部33に飛込むことが阻止される。特に、図8に示すように、飛込抑制部材34には、上段転動部33において転動した遊技球7(7aとする)を排出させるための開口52が設けられているものの、その開口52の左右縁部には移動抑制部52aが垂設されているため、左右方向から開口52に向って移動する盤面3a上の遊技球7(7bとする)は、移動抑制部52aに衝突し易くなる。そして衝突すると、その遊技球7bは開口52側には移動せず、自重により下方に向って流下する。また、この際、転動後に開口52を通って排出される遊技球7aと、盤面3a上を不規則に流下する遊技球7bとの接触が抑えられ、上段転動部33から排出された遊技球7aは高い確率で始動口9に導かれる。
【0055】
このように上記のパチンコ遊技機2では、下段転動部30及び上段転動部33に到達する遊技球7は、夫々第一入口部27及び第二入口部50から入球した遊技球7のみとなり、各転動部30,33において転動する遊技球7の挙動が、飛込みによる遊技球7によって阻害されることがない。このため、転動部30,33での遊技球7の挙動を保ちつつ、その演出を遊技者に楽しませることができる。また、上段転動部33では、飛込みがなくなることにより、設定された振分率になるように安定して振分けることができる。
【0056】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0057】
すなわち、上記実施形態のパチンコ遊技機2では、枠部材11に二つの転動部30,33を備えるものを示したが、いずれか一方の転動部のみを備えるものにおいても本発明を適用できる。なお、この場合、遊技球7の飛込みを防止する手段としては、飛込抑制部材34のように盤面3aに対して垂直方向に突出させたものでもよく、あるいは前面カバー40のように(即ち下段転動部30を覆うように)盤面3aに対して同一面上に形成したものでもよい。
【0058】
また、上記実施形態のパチンコ遊技機2では、飛込抑制部材34に上段誘導部34a及び第二入口部50を形成したものを示したが、夫々を別部材で構成するようにしてもよい。但し、上記実施形態のように、部材を兼用することにより、全体の構成が簡略化されるとともに、配置に必要なスペースが少なくなり、遊技領域を有効に使用することが可能になる。また、第二入口部50が上段転動部33の転動方向両端よりも突出しているため、流下する遊技球7を、比較的容易に入球させることが可能になり、しかも上段転動部33に比べ飛込抑制部材34の横幅が長くなることから、左右斜め下方から上段転動部33への飛込みも確実に阻止することができる。
【0059】
さらに、上記実施形態では、遊技機として、表示装置12を備えたパチンコ遊技機2を示したが、表示装置12を備えないパチンコ遊技機は勿論、パチンコ遊技機以外の遊技機、例えばアレパチ、アレンジボール等であっても適用することができる。
【0060】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、転動部が盤面よりも奥側に配置されているにも拘わらず、入口部以外の部位から遊技球が飛込むことを防止できる。このため、入口部から入球し転動部で転動する遊技球の挙動が阻害され難くなり、遊技者に、転動による演出を十分に楽しませることができる。また、遊技球の転動状態に応じて排出方向を振分けるものにおいては、外部から不規則な遊技球が飛込まないため、安定して振分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機を示す概略正面図である。
【図2】パチンコ遊技機における本体枠の構成を示す正面図である。
【図3】本体枠の構成を示す斜視図である。
【図4】図2に示す本体枠のA−A断面図である。
【図5】本体枠の構成を示す分解斜視図である。
【図6】本体枠における要部及びその周辺の構成を示す正面図である。
【図7】上段転動部及び上段誘導部の構成を示す平面図である。
【図8】飛込抑制部材の作用を示す説明図である。
【図9】上段転動部及び上段誘導部における遊技球の動きを示す説明図である。
【図10】下段転動部及び下段誘導部における遊技球の動きを示す説明図である。
【図11】パチンコ遊技機の電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
2 パチンコ遊技機(遊技機)
3 遊技盤
3a 盤面
7 遊技球
9 始動口(特定入球手段)
15 釘(調整部材)
33 上段転動部(転動部)
34a 上段誘導部(誘導部,傾斜面)
50 第二入口部
52 開口
52a 移動抑制部
Claims (7)
- 遊技盤の盤面よりも奥側の領域に形成され、入口部から入球した遊技球を転動させる転動部と、
前記盤面上を流下する遊技球が、前記入口部以外の部位から前記転動部に飛込むことを防止する飛込抑制部材と
を具備することを特徴とする遊技機。 - 前記転動部の下方の前記盤面に取付られた特定入球手段と、該特定入球手段への遊技球の入球率を調整することが可能な調整部材とをさらに備えることを特徴とする遊技機。
- 請求項2に記載の遊技機において、前記飛込抑制部材は、前記転動部の前側に配設され、前記盤面に対して略垂直方向に突出して形成されていることを特徴とする遊技機。
- 請求項3に記載の遊技機において、飛込抑制部材は、前記転動部に対して略同一面となる傾斜面を有することを特徴とする遊技機。
- 請求項3または請求項4に記載の遊技機において、飛込抑制部材に、遊技球の通過可能な大きさの開口が設けられていることを特徴とする遊技機。
- 請求項5に記載の遊技機において、前記飛込抑制部材は、前記開口の左右側方から下方に突出し前記盤面上の遊技球が前記開口側へ移動することを抑制する移動抑制部を有することを特徴とする遊技機。
- 請求項3から請求項6のいずれか一つに記載の遊技機において、前記飛込抑制部材の上面には、前記入口部から入球した遊技球を前記転動部に誘導させる誘導部が形成されていることを特徴とする遊技機。
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