JP4114365B2 - 透過型スクリーン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、投射型プロジェクションディスプレイ等に用いられる透過型スクリーンに関する
【0002】
【従来の技術】
従来の透過型スクリーンの一つとして、CRT投射プロジェクタを具備する投射型プロジェクションテレビ向けに汎用的に使用されている透過型スクリーンが公知である(図2参照)。
前記透過型スクリーン200は、通常、観察者側から順に、少なくとも両面レンチキュラーレンズシート50とフレネルレンズシート40の2枚のレンズシート部材から構成され、観察者側の最外位置に平坦な保護板60が配置される場合もある。
【0003】
両面レンチキュラーレンズシート50は、垂直方向を長手方向とする縦長のシリンドリカルレンズを水平方向に連続して複数配列した入射レンチキュラーレンズ52及び出射レンチキュラーレンズ53がレンズ基材51の両面に形成されており、入射レンチキュラーレンズ52はプロジェクタから投射される映像光を水平方向に屈折拡散させる作用を、出射レンチキュラーレンズ53は入射レンチキュラーレンズ52との相乗作用により、カラーシフト(軸外しで配置される3管式のプロジェクタに起因する出射光の色ずれの問題)を修正する作用および映像光を水平方向に屈折拡散させる作用を持つ。
【0004】
一方、映像光は、水平のみならず垂直方向にも視域を拡げて観察者に視覚させる必要があり、垂直方向については、レンズによる屈折拡散作用でなく光拡散材による拡散作用により視域を拡げることが行なわれており、両面レンチキュラーレンズシートに光拡散材を適用するする手法が採用されている。
【0005】
光拡散材の適用にあたっては、レンズ基材51自体に光拡散材を混入して、レンズ基材51内部に光拡散材を分散させたり、または、レンズ基材51とは別部材として、光拡散材を含むインキをレンズ基材51表面に塗布形成したり、光拡散材を練り込んで押し出し成形された樹脂シートを両面レンチキュラーレンズシートに積層する等の手法が適宜に採用されている。
【0006】
また、両面レンチキュラーレンズシート50の観察者側の出射レンチキュラーレンズ53の境界部に凸部を設け、その頂点の平坦部に印刷や転写法などにより、遮光層54を形成する構成が一般的である。
遮光層54を形成する目的は、視覚される映像のコントラストを向上させることと、外光を吸収し、スクリーン表面での照り返しを観察者に視覚させないことが主である。
【0007】
両面レンチキュラーレンズシート50では、露出する観察者側に凹凸があるため、ホコリ、ゴミ等が付着し易く、ホコリ、ゴミ等の付着防止、または遮光層54を保護するために、保護板60が配置される場合もある。
通常、保護板60は保護基材61の表面に耐擦傷性のハードコートや帯電防止処理などの表面処理層62が施されているのが一般的である。
【0008】
上記方法で作製された両面レンチキュラーレンズシートはレンチキュラーレンズ間のピッチが0.3mm以下のファイン化は難しく、デジタル高精細(HDTV)画像に対応した高精細パネルを使用した液晶投射プロジェクタを用いたプロジェクションテレビなどではモワレが出たり、解像度などの点で限界がある。
【0009】
近年、CRT投射プロジェクタを具備する背面投影式の投射型プロジェクションテレビ(以下、CRTリアプロジェクションテレビと称する)に対して、消費電力が少ない,軽量かつ薄型であるなどの特徴を持つ液晶投射プロジェクタを具備する背面投影式の投射型プロジェクションテレビ(以下、液晶リアプロジェクションテレビと称する)が普及してきた。
【0010】
特に、デジタル高精細対応などで映像ソースの高度化に伴って、高精細な液晶パネルを用いた方式のテレビの開発が盛んであり、液晶リアプロジェクションテレビにおいても、明るく高解像度で、水平・垂直の双方で広い視野角を持ち、コントラストに優れ、鮮明な画像が観察できる透過型スクリーンが求められている。
【0011】
CRTリアプロジェクションテレビの場合は、上記のように、R、G、Bの3管投射管より投射され、その3管投射管のそれぞれの位置差によって発生するカラーシフトを修正するために、透過型スクリーンには両面レンチキュラーレンズシートが使われるのに対して、液晶リアプロジェクションテレビの場合は、液晶パネルによって規定される映像光が単眼のレンズを通して投射され、投射位置差によるカラーシフトが発生しないため、透過型スクリーンには片面のみにレンズ部を有する片面レンチキュラーレンズシートが使用される。
【0012】
既存のCRTリアプロジェクションテレビでは、透過型スクリーンを構成するレンチキュラーレンズシートのレンズピッチや遮光層のピッチが0.5mm以上でも、画質(鮮明さ)の点で問題になってはおらず、狭レンズピッチ化の限度が0.7mm程度までの、熱可塑性樹脂を用いたプレス成形や溶融押し出し成形により、レンズシートが製造されている。
【0013】
これに対して、高精細な液晶パネルを用いた高解像度の液晶リアプロジェクションテレビの場合には、0.3mm以下のファインピッチ化が求められており、その要求は一層大きくなることが予想される。
ファインピッチ化に対応するレンズ成形法として、紫外線(UV)硬化型樹脂や電子線(EB)硬化型樹脂などの放射線硬化型樹脂や、電離線も含めた電離放射線硬化型樹脂を用いたレンズ成形が好適であり、2P法(Photo Polymer 法)が採用されている。
【0014】
液晶リアプロジェクションテレビに使用される透過型スクリーンの一例を図3に示す。透過型スクリーン300は、少なくともレンチキュラーシート80、フレネルレンズシート70の2枚の部材で構成される。
【0015】
レンチキュラーシート80は、一般に、スクリーン面の垂直方向を長手方向とする縦長のシリンドリカルレンズからなるレンチキュラーレンズ82をスクリーン面の水平方向に連続して複数配列してなるレンズ部を片面のみに形成した構成であり、映像光を水平方向に屈折拡散する作用を持つ。
【0016】
レンチキュラーシート80の出射面(観察者側)のレンズ基材81の平坦面には、フォトポリマー層83をパターン露光して粘着、非粘着パターンを形成し、転写法にて、ブラックストライプ84を形成し、外光による反射防止と画像のコントラスト向上を図っている。
【0017】
また、光拡散材による拡散作用により視域を拡げることが必要であり、レンチキュラーシートに光拡散層を付加する手法が採用される。
本出願人は、片面レンチキュラーシートの遮光層上に光拡散層を形成した構成のレンチキュラーシートを特開平9−120101号公報に提案している。
光拡散層としては、光拡散材を含むインキをレンチキュラーシート80のブラックストライプ84上に塗布形成したり、光拡散材を練り込んで押し出し成形された拡散基材をレンチキュラーシートに積層する等手法が適宜に採用される。後者の場合、別途に製造された拡散基材を粘着層を介してレンチキュラーシート80に貼り合わせると、レンチキュラーシートの剛性を付与する作用も併せ持つことになる。
図3は、拡散基材91の出射側表面に、ハードコート、帯電防止、反射防止等を行なう表面処理層92を形成した光拡散板90を設けた例で、粘着層を介して貼り合わせて光拡散層の役目を持たせることができる。尚、レンチキュラーシート80と光拡散板90とは必ずしも貼り合わせる必要はなく、同図では粘着層の図示は省略する。
【0018】
しかし、この液晶投射用スクリーンに用いられているレンチキュラーシートは、入射側のみの片面レンズのため従来より使用されてきているCRT投射用スクリーンに使用する場合、RGBの3管を使用するためのカラーシフトが見られ、そのままでは使用できない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点に鑑み考案されたもので、液晶投射方式とCRT投射方式の両方式に使用可能なデジタル高精細(HDTV)放送にも使用できる透過型スクリーンを比較的低コストで提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いて上記課題を達成するため、まず請求項1においては、
プロジェクターからの投射光をほぼ平行光として出射する作用をもつフレネルレンズ(10)と、該フレネルレンズからの出射光を水平方向に拡げて出射する作用を持つレンチキュラースクリーン(20)と、該レンチキュラースクリーン(20)からの出射光を全方向に拡散する作用を持つ前面板(30)とからなる液晶投射方式とCRT投射方式の両方式に使用可能な透過型スクリーン(100)であって、
前記レンチキュラースクリーン(20)は、
レンズ基材(21)のプロジェクタ投射側に入射レンチキュラーレンズ(22)を、観察者側にブラックストライプ(24)を設けた表レンズシート(27)と、
レンズ基材(25)の片面に出射レンチキュラーレンズ(26)を設けた裏レンズシート(28)とを、両者のレンズ光軸を位置合わせして、貼り合わせてなり、
入射面に入射レンチキュラーレンズ(22)と、出射面に出射レンチキュラーレンズ(26)とを備えていることを特徴とする透過型スクリーンとしている。
【0021】
また、請求項2においては、前記レンチキュラースクリーン20の入射レンチキュラーレンズ22と出射レンチキュラーレンズ26との間に光学的に形成されたブラックストライプ24が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の透過型スクリーンとしたものである。
【0022】
また、請求項3においては、前記前面板30は入射面に拡散する作用を持つマイクロレンズ32を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の透過型スクリーンとしたものである。
【0023】
さらにまた、請求項4においては、前記レンチキュラースクリーン20の入射レンチキュラーレンズ22及び出射レンチキュラーレンズ26のレンズピッチをP1、前記前面板30のマイクロレンズ32のレンズピッチをP2としたとき、P1>P2なる関係が満たされていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の透過型スクリーンとしたものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の透過型スクリーンの構成について説明する。
図1及び図2に本発明の透過型スクリーンの模式構成部分断面図を示す。
本発明の透過型スクリーンは、図1及び図2に示すように、プロジェクター投射側よりフレネルレンズシート10と、レンチキュラーシート20と、前面板30とを備えた構成になっている。
フレネルレンズシート10は、プロジェクターより投射された投影光をスクリーン全体に均一な明かるさにするためで、投射光をほぼ平行光にしてレンチキュラーシート20へ出射する。
【0025】
中央部に位置するレンチキュラーシート20は、レンズ基材21のプロジェクタ投射側に入射レンチキュラーレンズ22を、観察者側にコントラストの向上や外光反射を防ぐためのブラックストライプ24を設けた表レンズシート27と、レンズ基材25の片面に出射レンチキュラーレンズ26を設けた裏レンズシート28とを両者のレンズ光軸を位置合わせして、貼り合わせたものである。
請求項1に係わる発明は、レンチキュラーシート20の出射側に出射レンチキュラーレンズ26を備えているため、本発明の透過型スクリーンをCRT投射用スクリーンとして使用する場合、RGB投射3管の位置の違いによる色ズレを補正され、色ズレのない彩度に優れた画像が得られると同時に、液晶投射方式とCRT投射方式の両方式の透過型スクリーンとしての併用使用を可能にしたものである。
さらに、入射レンチキュラーレンズ22及び出射レンチキュラーレンズ26のレンズピッチはデジタル高精細(HDTV)画像に対応した高精細パネルを使用した液晶投射用テレビ向けに画素とのモワレ減少や解像度向上のためレンチキュラーレンズのレンズピッチを0.3mm以下にしている。
【0026】
請求項2に係わる発明は、入射レンチキュラーレンズ22と出射レンチキュラーレンズ26との間に入射レンチキュラーレンズ22を用いた光学的プロセスにより形成したブラックストライプ24を設けることにより、ブラックストライプ比率(遮光幅/透過率)の高い、コントラストに優れた画像が得られるようにしたものである。
【0027】
請求項3に係わる発明は、前面板30の入射面にマイクロレンズ32を設けることにより、レンチキュラーシート20からの光が上下左右に拡がる拡散効果を有し、観察者側から見て視野角の広いスクリーンを得ることができる。また、透明な前面基材31に拡散材などを混入していないため、解像度に優れた明るい画像が得られるようにしたものである。
さらに、前面板30の出射面に反射防止、帯電防止及び耐擦傷機能を備えた表面処理層33を設けることにより、外光の反射防止を行ったり、明るい部屋でもコントラストの良い画像が得られるようにしたり、スクリーン面へのほこり等の付着防止を行ったり、ひっかき傷等の傷発生を防止している。
尚、必要に応じて、前面基材31に若干の拡散材を混入しても良い。
上記表面処理層33は、反射防止効果を有する反射防止層と、帯電防止効果を有する帯電防止層と耐擦傷性を有するハードコート層とを個々に設ける場合と、反射防止と帯電防止機能とを兼ね備えた層、もしくは反射防止と耐擦傷性機能を兼ね備えた層、もしくは帯電防止と耐擦傷性機能を兼ね備えた層、もしくは反射防止と帯電防止と耐擦傷性機能を兼ね備えた層等と、適宜組み合わせて使用される。
【0028】
請求項4に係わる発明は、前面板30の入射面に設けたマイクロレンズのレンズピッチP2を、レンチキュラーシート20の入射レンチキュラーレンズ22及び出射レンチキュラーレンズ26のレンズピッチP1よりも小さくすることにより、特に液晶投射プロジェクタを使用した場合モアレの発生を防止し、解像度に優れた画像を得ることができるようにしたものである。
【0029】
以下、透過型スクリーン100の作製法について説明する。
まず、公知の方法(機械切削等)にて作製したフレネル金型を用いて、プレス成形あるいはUV転写成型等により、アクリル樹脂等からなるフレネル基材11上にフレネルレンズ12を形成し、フレネルレンズシート10を作製する。
次に、ポリエステルシートからなるレンズ基材21の一方の面にUV樹脂によるレンズ成型を行って入射レンチキュラーレンズ22を形成する。
ここで、入射レンチキュラーレンズ22のレンズピッチは0.3mm以下にする。
さらに、レンズ基材21の他方の面に感光性樹脂を塗布し、粘着性を有するフォトポリマー層23を形成し、入射レンチキュラーレンズ22を露光マスクにしてフォトポリマー層23に平行光露光を行い、露光された部分が非粘着、未露光部分が粘着性を有する交互パターンを形成する。この粘着、非粘着の交互パターンを有するフォトポリマー層23上に転写プロセスにて黒色の転写層を転写し、レンズ基材21の観察者側にブラックストライプ24を形成した表(入射)レンズシート27を作製する。
この方式では、入射レンチキュラーレンズ22と同期したブラックストライプ24が得られるだけでなく、ブラックストライプ比率(遮光幅/透過幅)の高い性能が得られるためコントラストの良いスクリーンが得られる。
【0030】
次に、ポリエステルシートからなるレンズ基材25の一方の面にUV樹脂によるレンズ成型を行って出射レンチキュラーレンズ26を形成し、裏(出射)レンズシート28を作製する。
次に、表(入射)レンズシート27のブラックストライプ24上に粘着層を形成し、裏(出射)レンズシート28の出射レンチキュラーレンズ26の光軸と表(入射)レンズシート27の入射レンチキュラーレンズ22の光軸とを位置合わせして、貼り合わせ、レンチキュラーシート20を作製する。
【0031】
次に、アクリル樹脂を型成形等のレンズ成型を行って、前面基材31及びマイクロレンズ32を形成し、前面基材31の出射面に反射防止、帯電防止及び表面強度機能を備えた表面処理層33を形成し、前面板30を作製する。
【0032】
最後に、フレネルレンズ10、レンチキュラースクリーン20及び前面板30を組み上げて、透過型スクリーン100を得る。
【0033】
【実施例】
まず、シリンダーロール表面にレンズピッチ150μmの非球面状のレンチキュラーレンズ金型を形成し、この金型上に紫外線により硬化するUV樹脂を塗布してUV樹脂層を形成し、ポリエステルフィルからなるレンズ基材21をUV樹脂層に重ね合わせ、レンズ基材21側から紫外線を照射し、金型内のUV樹脂を硬化させ、レンズ基材21上に入射レンチキュラーレンズ22を作製した。
【0034】
次に、入射レンチキュラーレンズ22が形成されたレンズ基材21の出射面に、露光することにより粘着性が消失する粘着性を有するフォトポリマー層を形成し、入射レンチキュラーレンズ22を通してUV露光を行うことにより、粘着、非粘着性の交互パターンを有するフォトポリマー層23を形成し、転写プロセスにて黒色の転写層を転写してブラックストライプ24を形成し、表(入射)レンズシート27を作製した。
【0035】
次に、シリンダーロール表面にレンズピッチ150μmの非球面状のレンチキュラーレンズ金型を形成し、この金型上に紫外線により硬化するUV樹脂を塗布してUV樹脂層を形成し、ポリエステルフィルからなるレンズ基材25をUV樹脂層に重ね合わせ、レンズ基材25側から紫外線を照射し、金型内のUV樹脂を硬化させ、レンズ基材25上に出射レンチキュラーレンズ26を形成し、裏(出射)レンズシート28を作製した。
【0036】
次に、表(入射)レンズシート27のブラックストライプ24上に転写プロセスにより粘着層を形成し、表(入射)レンズシート27の入射レンチキュラーレンズ22の光軸と裏(出射)レンズシート28の出射レンチキュラーレンズ25の光軸を位置合わせして、表(入射)レンズシート27と裏(出射)レンズシート28とを貼り合わせレンチキュラーシート20を作製した。
【0037】
次に、75μm厚のポリエステルフィルム上に上記レンチキュラーレンズ作製法と同じ型成形にて前面基材31及びマイクロレンズ32を形成し、メチルメタアクリル/スチレン共重合樹脂(MS樹脂)からなる2mm厚の前面基材31の入射面にマイクロレンズ32が形成されたポリエステルフィルムを粘着層を介して貼り合わせ、前面基材31の出射面にアクリル樹脂に帯電防止剤及びフィラーを分散混合した樹脂インキを塗布、乾燥して表面処理層33を形成して、前面板30を作製した。
【0038】
次に、機械切削等により作製したフレネルレンズ金型を用いてプレス成型を行い、メチルメタアクリル/スチレン共重合樹脂(MS樹脂)からなる1mm厚のレンズ基材11の片面に同心円状のレンズ部12を有するフレネルレンズシート10を作製した。
【0039】
次に、上記フレネルレンズシート10、レンチキュラーシート20及び前面板30を組み立て、本発明の透過型スクリーン100を得た。
【0040】
<比較例1>
まず、拡散材を混入したアクリル樹脂を押し出し成型法によりレンズピッチ0.5mmのレンチキュラーレンズ52及び53を有するレンチキュラーシートを作製し、出射側のレンチキュラーレンズ53間の土手に転写法により遮光層54を形成した両面レンチキュラーレンズシート50を作製した。
【0041】
次に、機械切削等により作製したフレネルレンズ金型を用いてプレス成型を行い、メチルメタアクリル/スチレン共重合樹脂(MS樹脂)からなる1mm厚のレンズ基材41の片面に同心円状のレンズ部42を有するフレネルレンズシート40を作製した。
【0042】
メチルメタアクリル/スチレン共重合樹脂(MS樹脂)からなる2mm厚の前面基材61の出射面にアクリル樹脂に帯電防止剤及びフィラーを分散混合した樹脂インキを塗布、乾燥してハードコート層62を形成して、前面板60を作製した。
フレネルレンズシート40、両面レンチキュラーレンズシート50及び前面板60を組み立て、比較例1の透過型スクリーン200を得た。
【0043】
<比較例2>
まず、ポリエステルフィルからなるレンズ基材81の入射面に実施例と同じ方法でレンズピッチ150μmの入射レンチキュラーレンズ82を形成し、レンズ基材81の出射面に実施例と同じ方法でフォトポリマー層83上にブラックストライプ84を形成したレンチキュラーシート80を作製した。
【0044】
次に、機械切削等により作製したフレネルレンズ金型を用いてプレス成型を行い、ビーズ状の拡散材が混入されたメチルメタアクリル/スチレン共重合樹脂(MS樹脂)からなる1mm厚のレンズ基材71の片面に同心円状のレンズ部72を有するフレネルレンズシート70を作製した。
【0045】
メチルメタアクリル/スチレン共重合樹脂(MS樹脂)からなる2mm厚の前面基材91の出射面に帯電防止剤及びフィラーを分散混合した樹脂インキを塗布、乾燥してハードコート層92を形成して、前面板90を作製した。
フレネルレンズシート70、両面レンチキュラーレンズシート80及び前面板90を組み立て、比較例2の透過型スクリーン300を得た。
【0046】
上記本発明の透過型スクリーン100、比較例1の透過型スクリーン200及び比較例2の透過型スクリーン300にCRT投射プロジェクター、もしくは液晶投射プロジェクターをを取り付け、投写型プロジェクションディスプレイを作製し、スクリーン特性を評価した結果を図4に示す。
本発明の透過型スクリーン100では、CRT投射プロジェクターを用いた場合カラーシフトの発生が無く、しかもファインピッチのレンズを用いているため、液晶投射プロジェクター使用の場合でもモアレが発生せず、解像度に優れた画像を得ることができた。
また、ブラックストライプがファインピッチで高濃度で形成されているため、外光反射率が低く、コントラストに優れた、明るい画像を得ることができた。
しかも、前面板の入射側にマイクロレンズが形成されているため、全方向への拡散効果が大きく水平視野角に優れた画像を得ることができた。
【0047】
比較例1の透過型スクリーン200では、レンズピッチが0.5mmと粗いため、液晶投射プロジェクターを用いた場合画像画素とのピッチが接近しているためモアレが発生し易く、解像度の低い画像となった。
CRT投射プロジェクターを用いた場合カラーシフトの少ない画像が得られるが、視野角特性は不十分である。それは出射レンチキュラーレンズ53間の凸部に遮光層54を形成しているため、水平斜め方向から見た場合ある角度から急に画像が暗くなり、水平視野角特性を狭くしている。また、遮光層54の面積を大きくできず、結果としてコントラストの不十分な画像となる。
また、垂直視野角特性ではレンズ基材51に含まれる拡散剤の拡散成分のみで広げているため、上下の垂直視野角は狭くなる。
【0048】
比較例2の透過型スクリーン300では、ファインピッチの入射レンチキュラーレンズ82が形成できるため、画素密度の高い液晶投射プロジェクタを用いても、モアレの発生が少なく、解像度に優れた明るい画像が得られるが、CRTプロジェクタを用いた場合R、G、B投射管の位置の違いによるカラーシフトを抑えることができず、CRT投射プロジェクタを用いた投写型プロジェクションディスプレイの透過スクリーンとしては使えない。
【0049】
さらに、上記本発明の透過型スクリーン100、比較例1の透過型スクリーン200及び比較例2の透過型スクリーン300にCRT投射プロジェクターを取り付け、投写型プロジェクションディスプレイを作製し、スクリーン上のカラーシフト特性を測定した結果を図5、図6及び図7に示す。
本発明の透過型スクリーン100では、R、G、Bの輝度差が小さく、斜め方向のカラーシフトが目立ち難くなっている(図5参照)。
比較例1の透過型スクリーン200では、CRT投射プロジェクタによく使用されており、上記透過型スクリーン100同様R、G、Bの輝度差が小さく、斜め方向のカラーシフトも目立ちにくい(図6参照)。
比較例2の透過型スクリーン300では、R、G、Bの輝度差が大きく、斜め方向のカラーシフトが大きく、目立つ(図7参照)。
【0050】
上記の比較評価結果から、本発明の透過型スクリーン100を用いて作製したた投写型プロジェクションディスプレイはCRT投射方式と液晶投射方式のいずれのスクリーン特性も満足する値が得られ、CRT投射方式と液晶投射方式の透過型スクリーンとして対応できることが確認できた。
【0051】
【発明の効果】
本発明の透過型スクリーンは、レンチキュラースクリーンの出射側に色ズレ補正用の出射レンチキュラーレンズを設けているため、液晶投射方式とCRT投射方式の両方の透過型スクリーンとして使用できる。
さらに、前面板の入射面に光が上下左右方向に拡がる拡散効果を持つマイクロレンズを設けているため、観察面での全域で視野角が広く、解像度のよいデジタルHDTVにも対応できるスクリーンを得ることができる。
さらに、前面板に拡散作用をもたせる拡散材などを用いてないため、解像度の良い、明るい画像が得られる。
さらにまた、入射レンチキュラーレンズを用いてブラックストライプを作製しているため、入射レンチキュラーレンズとの位置合わせ精度に優れた高精度のブラックストライプを作製でき、コントラストの良い透過型スクリーンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透過型スクリーンの一実施例を示す模式構成部分断面図である。
【図2】従来のCRT投写型スクリーンの一例を示す模式構成部分断面図である。
【図3】従来の液晶投写型スクリーンの一例を示す模式構成部分断面図である。
【図4】各種透過型スクリーンを用いて作成した投写型プロジェクションディスプレイのスクリーン特性の比較を示す説明図である。
【図5】本発明の透過型スクリーン100にCRT投射プロジェクタを取り付けて作製した投写型プロジェクションディスプレイのカラーシフト特性を示す説明図である。
【図6】比較例1の透過型スクリーン200にCRT投射プロジェクタを取り付けて作製した投写型プロジェクションディスプレイのカラーシフト特性を示す説明図である。
【図7】比較例2の透過型スクリーン300にCRT投射プロジェクタを取り付けて作製した投写型プロジェクションディスプレイのカラーシフト特性を示す説明図である。
【符号の説明】
10、40、70……フレネルレンズシート
11……フレネル基材
12、42、72……フレネルレンズ
20、80……レンチキュラーシート
21、51、81……レンズ基材
22、52、82……入射レンチキュラーレンズ
23、83……フォトポリマー層
24、83……ブラックストライプ
25……レンズ基材
26、53……出射レンチキュラーレンズ
27……表(入射)レンズシート
28……裏(出射)レンズシート
30……前面板
31……前面基材
32……マイクロレンズ
33……表面処理層
50……両面レンチキュラーレンズシート
54……遮光層
60……保護板
61……保護基材
62、92……表面処理層
90……光拡散板
91……拡散基材
100、200、300……透過型スクリーン
Claims (4)
- プロジェクターからの投射光をほぼ平行光として出射する作用をもつフレネルレンズ(10)と、該フレネルレンズからの出射光を水平方向に拡げて出射する作用を持つレンチキュラースクリーン(20)と、該レンチキュラースクリーン(20)からの出射光を全方向に拡散する作用を持つ前面板(30)とからなる液晶投射方式とCRT投射方式の両方式に使用可能な透過型スクリーン(100)であって、
前記レンチキュラースクリーン(20)は、
レンズ基材(21)のプロジェクタ投射側に入射レンチキュラーレンズ(22)を、観察者側にブラックストライプ(24)を設けた表レンズシート(27)と、
レンズ基材(25)の片面に出射レンチキュラーレンズ(26)を設けた裏レンズシート(28)とを、両者のレンズ光軸を位置合わせして、貼り合わせてなり、
入射面に入射レンチキュラーレンズ(22)と、出射面に出射レンチキュラーレンズ(26)とを備えていることを特徴とする透過型スクリーン。 - 前記レンチキュラースクリーン(20)の入射レンチキュラーレンズ(22)と出射レンチキュラーレンズ(26)との間に光学的に形成されたブラックストライプ(24)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の透過型スクリーン。
- 前記前面板(30)は入射面に拡散する作用を持つマイクロレンズ(32)を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の透過型スクリーン。
- 前記レンチキュラースクリーン(20)の入射レンチキュラーレンズ(22)及び出射レンチキュラーレンズ(26)のレンズピッチをP1、前記前面板(30)のマイクロレンズ(32)のレンズピッチをP2としたとき、P1>P2なる関係が満たされていることを特徴とする請求項3記載の透過型スクリーン。
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