JP4113825B2 - 体臭判定用指標物質、体臭の簡易判定キット、体臭判定方法、及びデオドラント剤の有効性判定方法 - Google Patents

体臭判定用指標物質、体臭の簡易判定キット、体臭判定方法、及びデオドラント剤の有効性判定方法 Download PDF

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Description

本発明は、体臭の判定に用い得る指標物質、及び、それを用いて体臭の程度又はデオドラント剤の有効性を判定する方法に関する。
本発明は、人の汗由来β−ヒドロキシカルボン酸等を呈色試薬と反応させ、発現された色によって体臭のタイプ(酸臭、アポクリン臭、混合臭)及び体臭の強さを簡単に判定することが可能な判定キット及び判定方法にも関する。
近年、清潔志向の高まりに伴い、体臭を気にする人が増えている。体臭は全身の各部から発生する匂いの総称であり、主要な発生部位としては頭部、口腔、腋窩部、陰部、足の裏等がある。なかでも腋臭は本人又はそばに居る人に感知され易いため、その程度、例えば腋臭の有無、強さ、質的な相違等の諸要素が、全身的な体臭の程度を支配することが多い。更に、本人又はそばに居る人にとって、体臭と言うよりは腋臭そのものが気にかかる場合も多い。
人間の腋窩部には、ほぼ全身に分布するエクリン汗腺だけでなく、アポクリン汗腺と呼ばれる特殊な汗腺が存在している。腋窩部は汗が蒸発しにくい部位であり、また、細菌が増殖しやすい部位でもあるために、これら2つの汗腺から分泌された汗(エクリン汗およびアポクリン汗)や皮脂、垢等が皮膚上の細菌によって代謝されて、匂いが発生しやすい。
エクリン汗に由来する匂いは一般的に酸臭または汗臭と呼ばれ、腋の下だけでなく、全身の皮膚表面から発生している。一方、アポクリン汗腺に由来する匂いは、いわゆる、わきが体質と言われる人の腋窩部から発生し、アポクリン臭とか、単に“腋臭(わきが)”と呼ばれて区別されている。
腋臭には個体差があり、酸臭、アポクリン臭及びこの両者の混合臭に大別される。酸臭は、一般に、炭素数2〜5の低級カルボン酸に起因する匂いであり、アポクリン臭は、腋窩部特有の匂い(いわゆる「わきが」)である。アポクリン腺の分泌物(アポクリン汗)は本来、ほとんど無臭であるが、分泌後に皮膚上の細菌によって代謝されてアポクリン臭を発生させることが知られている。
わきが体質の人は、腋窩部のアポクリン汗腺の数が多い傾向があり、エクリン汗が原因で発生する汗臭とアポクリン臭が混じり合って、強くて独特な匂いを形成している。そこで、自己の腋臭が気になる場合には、制汗作用や殺菌作用のあるデオドラント剤を使用するか、アポクリン臭が極端に強い場合には、腋窩部のアポクリン汗腺を外科的に取り去ることで、匂いを減ずる試みが行われる。
体臭又は腋臭を気にする人にとっては、また、たとえ自分では気がつかないレベルであっても、美容師や歯科医師のようにわきの部分が他人の顔面の近くにくるような職業に就いている人や、家庭や学校、会社などで他人に体臭を指摘されたことがある人にとっては、自己の腋窩部にアポクリン臭が元々どの程度あるのか、さらにはデオドラント剤の使用やアポクリン汗腺の除去手術等の体臭を軽減する努力が現状において功を奏しているのかということが重要な関心事である。
従来、腋臭の判定方法としては、(1)第三者が腋窩部の汗の匂いを鼻で嗅いで判断する官能評価試験、(2)家族内にわきが体質の人が居る、耳垢が湿っている、肌着の腋窩部に当る部分が汗で色づく等の関連性が指摘されている事実の調査による経験的な判定方法、(3)アポクリン汗腺の数や大きさから推定する方法がある。
(1)の方法は、まず熟練した皮膚科医などの専門パネリストを必要とし、手軽に実施できない。また本方法は、被験者の腋の匂いを脱脂綿などで拭き取って嗅ぎ、アポクリン臭の程度を官能的に判定するものであるが、評価者の主観的判断が入る余地が大きく、定量的な判断が難しい。さらに連続的に評価する場合には、嗅覚の疲労により、客観性が低下する恐れがある。
(2)の関連事実の調査では、遺伝的素質による判断、耳垢の湿り具合との相関による間接的な判断である。また、肌着の色づき具合による判断は、アポクリン腺の汗に含まれる色素に着目しているが、腋窩部のアポクリン臭を直接評価しているわけではない。
従って、評価項目の範囲内では、誤った判定をする恐れがあり、顕在化してこない腋臭を見逃す可能性がある。また、このような調査は、腋臭体質の有無を判断する目安にはなるが、非定量的であり正確性に欠けるため、アポクリン腺の除去手術による腋臭改善状況や、手術後のアポクリン腺の再生によるアポクリン臭の再発の有無及びその程度、デオドラント剤によるマスキング効果の度合い等を判断するには実用的でない。
(3)の方法は、医師が腋窩部を外科的に切開してアポクリン汗腺の数や大きさを観察し、その様子から体臭の程度を推定する方法であるが、被験者にとって、精神的および肉体的苦痛が大きく、簡単に実施できる方法ではない。また一般に手術費用は高額である。
従って、体臭のなかでも特に気にする人が多いアポクリン臭の有無及び強弱を客観的且つ定量的に判定することを可能とする指標物質、及び、それを用いて体臭の程度又はデオドラント剤の有効性を判定する方法、さらに、体臭、特にアポクリン臭の診断を、確実で迅速かつ簡便に行える判定キット、判定方法が望まれる。
非特許文献1には、わきの下の汗には、足の裏や胸部の皮膚表面から分泌される通常の汗に含まれる低級カルボン酸に加えて、特徴ある腋の下のアポクリン臭の原因成分として、trans−3−メチル−2−ヘキセン酸、7−オクテン酸等が含まれている旨の記載がある。
しかしながら、人の腋窩部には、アポクリン臭の原因成分だけでなく、酸臭の原因となる炭素数5以下の低級カルボン酸や皮脂由来の高級カルボン酸も混在しており、これら多種多様の酸性成分の中からアポクリン臭の特徴成分である前述の不飽和カルボン酸のみを選択的に分離することは困難であった。
なお、特許文献1には、特定のβ−ヒドロキシカルボン酸又はその塩をアニマル系香料の素材として用いることが記載されているが、この化合物と腋臭の関係については知られていない。
特開平10−25265号公報 「味とにおいの分子認識」, 化学総説 No.40, 1999年, p.205-211
本発明の目的は、体臭のなかでも特に気にする人が多いアポクリン臭の有無及び強弱を客観的且つ定量的に判定することを可能とする指標物質、及び、それを用いて体臭の程度又はデオドラント剤の有効性を判定する方法、体臭のタイプ及び匂いの程度を確実で迅速かつ簡単に判定することが可能な体臭判定キット、及びそれを用いて体臭を判定する方法を提供することにある。
本発明者らは、腋の下の汗に含まれるアポクリン臭の原因成分について鋭意研究を行ったところ、アポクリン臭に極めて良く似ており、アポクリン臭のある人の汗に特異的に存在し、かつ定量し得る濃度を持っており、さらに、簡単な化学操作により単離可能な成分が汗の中に存在することを発見し、その成分は腋窩部のアポクリン臭の程度を定量的に判定する客観的な指標として利用することができた。
すなわち、本発明者らが腋の下の汗から検出・同定した3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸は、腋窩部のアポクリン臭の主要な原因物質なので、アポクリン臭を判定するための客観的な指標として利用することができる。
また、3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸に類似のβ−ヒドロキシ酸化合物も、3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸と同様に、アポクリン臭を判定するための客観的な指標として利用することができる。
さらに本発明者らは、アポクリン臭の主要な原因物質として新たに見出された3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸を含むβ−ヒドロキシカルボン酸を腋窩部の汗から分離した後、呈色試薬と反応させて、発現された色によって、アポクリン臭の程度を簡単に判定できる点に着目し、アポクリン臭そのものの程度、又は、アポクリン臭を中心とした総合的な体臭の程度を確実で簡単に判定できるキット及び該キットを用いた体臭判定方法を開発した。
本発明は、下記式(1)で表されるβ−ヒドロキシ酸化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一つを含有する体臭判定用指標物質である。
Figure 0004113825
(式中、R1は炭素数1乃至4のアルキルであり、R2は水素原子又は炭素数1乃至4のアルキルであり、式(1)の総炭素数が10以下である。)
また、本発明は、上記式(1)で表されるβ−ヒドロキシ酸化合物のβ−ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基に原子又は原子団等を導入してなるβ−ヒドロキシ酸誘導体を含有する体臭判定用指標物質でもある。機器分析において分析感度を向上させるために、β−ヒドロキシ酸を誘導化したり、β−ヒドロキシ酸に標識物質を導入することもできる。上記の指標物質は、体臭の判定及びデオドラント剤の有効性判定に好適に用いられる。
本発明は、人の汗由来β−ヒドロキシカルボン酸及び/又は前記β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸と反応する呈色試薬を含む人の体臭判定キットでもある。人間の汗由来の体臭の程度を、アポクリン臭の原因物質であるβ−ヒドロキシカルボン酸、及び、酸臭の原因物質である該β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸を呈色試薬と反応させることにより、発現された色によって、匂いのタイプ及び匂いの強さを確実で迅速かつ簡単に判定することを可能にした。
前記本発明のキットを用いる第一の体臭判定方法は、人の汗に含まれるβ−ヒドロキシカルボン酸及び前記β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸の混合物を抽出する第1ステップと、
前記混合物に前記キットの試薬を加えて発色させる第2ステップと、
前記第2ステップにおいて発色した色によって体臭のタイプ及び/又はその強さを判定する第3ステップとを含む、人の体臭を判定する方法である。
また、前記本発明のキットを用いる第二の体臭判定方法は、人の汗に含まれるβ−ヒドロキシカルボン酸及び前記β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸の混合物を抽出する第1ステップと、
前記混合物からβ−ヒドロキシカルボン酸を分離する第2ステップと、
前記第2ステップにおいて分離されたβ−ヒドロキシカルボン酸に前記試薬を反応させて発色させる第3ステップと、
前記第3ステップにおいて発現された色によって体臭のタイプ及び/又はその強さを判定する第4ステップとを含む、人の体臭を判定する方法である。
さらに、前記本発明のキットを用いる第三の体臭判定方法は、人の汗に含まれるβ−ヒドロキシカルボン酸及び前記β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸の混合物を抽出する第1ステップと、
前記混合物をβ−ヒドロキシカルボン酸と前記β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸とに、それぞれ分離する第2ステップと、
前記第2ステップにおいて分離されたβ−ヒドロキシカルボン酸に前記キットの試薬を反応させて発色させる第3ステップと、
前記第2ステップにおいて分離されたβ−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸に前記キットの試薬を反応させて発色させる第4ステップと、
前記第3ステップ及び第4ステップにおいて発現された色によって体臭のタイプ及び/又はその強さを判定する第5ステップとを含む、人の体臭を判定する方法である。
本発明に係る式(1)で表されるβ−ヒドロキシ酸化合物(1)及びその標識化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一つを含有する指標物質により、人の体臭又は体臭の一部である腋臭の程度を、腋窩部のアポクリン臭の有無及び強弱の点から客観的且つ定量的に判定することができる。
また、本発明の体臭判定用指標物質は、特に、化学分析や機器分析等により、測定値を3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸の存在量で表現することで、判定結果から主観性を排除することが可能である。
また、腋窩部において3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸の生成量が多いにもかかわらず、それが塩等の匂いが無い又は弱い誘導体に変化している場合のように腋臭の潜在状態についても、本発明では3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸を直接測定することによって検出し、正確に評価することができる。
更に本発明においては、アポクリン臭をターゲットとするデオドラント剤の有効性を、β−ヒドロキシ酸化合物(1)又はその誘導体を含有する指標物質を用い、客観的且つ定量的に判定することができる。
本発明の体臭判定キットは、アポクリン臭のある人の汗に特異的に存在するβ-ヒドロキシカルボン酸及び/又は酸臭の原因物質である該β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸又はその誘導体又はその分解物の呈色反応を利用し、人の体臭又は体臭の一部である腋臭の程度を、腋窩部のアポクリン臭の有無及び強弱を中心とし、さらに酸臭の有無及び強弱を考慮して、確実で迅速かつ簡単に判定することができる。
また、本発明の体臭判定キット及び判定方法は、呈色反応により発現された色相を、色差計等の分析機器を用い数値で表現することで、判定結果から主観性を排除することが可能である。
さらに、本発明の体臭判定キット及び判定方法は、病院、保健所、研究所等において、自己の腋臭に関心のある人に対してアポクリン臭の程度を診断する場合、アポクリン汗腺の除去手術等の効果を判定する場合、アポクリン臭をターゲットとするデオドラント剤サンプルの有効性を評価する場合等に、正確で迅速且つ簡単な体臭判定キット及び判定方法として利用することができる。
本発明に係る体臭判定用指標物質は、下記式(1)で表されるβ−ヒドロキシ酸化合物(以下、β−ヒドロキシ酸化合物(1)と称する)よりなる群から選ばれる少なくとも一つを含有し、β−ヒドロキシ酸化合物(1)の単体であっても良い。
Figure 0004113825
(式中、R1は炭素数1乃至4のアルキルであり、R2は水素原子又は炭素数1乃至4のアルキルであり、式(1)の総炭素数が10以下である。)
上記化学式(1)において、R1は炭素数1乃至4のアルキルであり、炭素数1乃至4のアルキルは直鎖又は分岐アルキルのいずれであっても良く、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチルを挙げることができる。β−ヒドロキシ酸化合物(1)は、検出対象である3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸の性質に近いほど指標物質として使い易いと考えられることから、その化学構造を3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸に近づけるために、R1の炭素数は3又は4、特に3であることが好ましく、また、直鎖アルキルであることが好ましい。
上記化学式(1)において、R2は水素原子又は炭素数1乃至4のアルキルであり、アルキルは直鎖又は分岐アルキルのいずれであってもよい。R2としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチルを挙げることができる。β−ヒドロキシ酸化合物(1)の化学構造を3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸に近づけるために、R2の炭素数は1又は2、特に1であることが好ましい。
上記β−ヒドロキシ酸化合物(1)は、アポクリン臭に極めて良く似た匂いを持つ3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸及びこれに化学構造上極めて類似の化合物群である。3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸は下記式(2)で表される。
Figure 0004113825
3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸は公知の化合物であり、特許文献1には動物系の合成香料素材として用い得ることが記載されているが、アポクリン臭の主要な原因成分であることは今まで報告されたことがなく、かかる事実は本発明者らによって発見されたものである。
本発明者らによって発見された上記3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸は以下のような特徴があることから、腋窩部における3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸の存在量と存在状態が、腋窩部のアポクリン臭の程度及び個体差を形成するものとなっていると考えられる。
(3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸の特徴)
(1)腋窩部の汗から3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸が検出されない人はアポクリン臭を持っておらず、腋窩部の汗から3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸が検出される人はアポクリン臭を持っている。すなわち、3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸は、アポクリン臭のある人に特異的に存在するものである(図1,2)。
(2)腋窩部の汗に含まれる3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸の量が多い人ほど、アポクリン臭が強い(図3)。
(3)β−ヒドロキシ酸化合物(1)は、カルボキシル基だけでなく更にβ位水酸基を有しているので、機器分析において感度良く検出するための、化学的修飾を行いやすい。また、通常のカルボン酸とは化学的諸性質に差が生じる場合が多く、溶解度の差等を利用して、ヒドロキシ酸及び/又はその誘導体と、アポクリン臭への寄与度が低い他の低級カルボン酸との分離が容易になる。
(4)また、3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸は、ヒドロキシル基を有するために、分子の極性が高く、吸着カラムクロマトグラフィーなどの方法により単離できるため、確実で迅速かつ簡単な呈色反応を利用して定量評価することができる。
従って、腋窩部における3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸及び/又はその誘導体の存在量とその存在状態(例えば、3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸塩やエステル)を化学的又は物理的等の適切な方法で測定することは、腋窩部のアポクリン臭を、3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸を指標として客観的且つ定量的に測定することを意味する。
また、3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸以外のβ−ヒドロキシ酸化合物(1)は、3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸と化学構造、及び、化学的性質や官能的性質(特に、匂い)等の諸性質が類似していることから、3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸と同様に、アポクリン臭を判定するための客観的な指標として利用することができる。
β−ヒドロキシ酸化合物(1)の中でも、3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸は、腋窩部の汗に存在するアポクリン臭の主要な原因成分そのものなので、指標物質として特に適している。
β−ヒドロキシ酸化合物(1)は、指標化合物としての検出機能を失わない限り、化学的修飾を施して用いても良い。例えば、カルボキシル基又はβ位水酸基の一方又は両方を塩、エステル、アミド、エーテル等にした誘導体を用いることができる。
誘導体化試薬としては、O-(p-ニトロベンジル)-N,N’-(ジイソプロピルイソウレア)(PNBDI)や、p-ブロモフェナシルブロミド(PBPB)などのUV試薬、4-ブロモメチル-7-メトキシクマリン(Br-MmC)などの蛍光試薬、N-トリメチルシリルイミダゾール(TMSI)やN,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA)などのシリル化剤、無水トリフルオロ酢酸やトリフルオロアセチルイミダゾールなどのアシル化剤などを用いることができる。
また、β−ヒドロキシ酸化合物(1)の標識化合物として可視領域の発色団を用いる場合には、標識化合物の濃度−発色標準サンプルを調製し、人から採取した汗を同じ試薬で発色させたものと比較して、目視でアポクリン臭の程度を判断することも可能である。
β−ヒドロキシ酸化合物(1)は合成可能であり、一定品質の合成品を安定供給することで時と場所を選ばずにアポクリン臭を客観的に評価、判定できる点でも、指標物質として適している。β−ヒドロキシ酸化合物(1)は、例えば下記反応式(3)に従って、レフォルマツキー反応〔Reformatsky Reaction; Ber. 20, 1210(1887), J. Russ. Phys. Chem. Soc., 22, 44(1890)〕によりβ位に水酸基を持つエステルを合成し、そのエステルを加水分解することにより合成することができる。
Figure 0004113825
(式中、R1及びR2は前記と同じであり、Xはハロゲン原子である。)
合成されたβ−ヒドロキシ酸化合物(1)は、公知の方法により適宜、塩、エステル或いはその他の誘導体に変換することができ、標識化合物としてもよい。
本発明においては、人の体臭又は体臭の一部である腋臭の程度を、腋窩部のアポクリン臭の有無及び強弱の点から客観的且つ定量的に判定するために、合成されたβ−ヒドロキシ酸化合物(1)又はその誘導体を用いて、該腋窩部の汗に含まれる3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸の存在量を定量し、その存在状態を観察する。
β−ヒドロキシ酸化合物(1)又はその誘導体を体臭判定用指標物質として使用する方法は特に制限されず、公知の様々な評価方式に適合させて用いればよい。例えば、腋窩部の汗に含まれる3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸の含有量をGC−MSで測定する場合には、本発明の指標物質、好ましくは有効成分として3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸又はその誘導体を標準物質(スタンダード)として用い、検量線を作製する。この検量線を使用して、採取した汗に含まれる3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸のピークを同定し、その量を測定すればよい。
また、官能評価を行う場合には、本発明の指標物質、好ましくは有効成分として3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸又はその誘導体を用い、数段階に希釈し、各濃度の匂い標準サンプルを調製する。そして、腋窩部から採取した汗から調製した被験サンプルの匂いを標準サンプルと照合し、汗に含まれる3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸の量を官能評価により判定すればよい。
体臭を判定する測定方法としては、本発明に係る指標物質そのものを単体として用いることはもちろんのこと、前記指標物質を誘導化したものを用いることもできる。また、試験紙に前記指標物質を含浸させた後、直接判定に用いてもよい。
なお、視覚による官能評価は、例えば、水溶液の色を目で判断する評価、また、標識化合物を含浸させた試験紙を用いた評価等が挙げられる。
このようにして腋窩部のアポクリン臭を、匂い又は匂い以外のパラメータを利用して定量的に判定することで、体臭又は体臭の一部である腋臭の程度を判定する。
また、腋窩部において3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸の生成量が多いにもかかわらず、それが塩等の匂いが無い又は弱い誘導体に変化している場合には腋臭の潜在状態が存在していることになるが、このような状態は官能評価や腋臭との関連性がある事実の調査を行っても正確に評価できない場合もある。これに対して、本発明では、必要な化学処理によって分析可能な3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸あるいはその誘導体を測定することによって、被験者が腋臭を発生させる可能性のある体質か否か、すなわち、ポテンシャル評価を行うことができる。
本発明の指標物質は、上記したように化学分析、機器分析又は官能評価等のいずれにも利用され客観性の高い定量的判定が可能となるが、特に、化学分析や機器分析等により、測定値を3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸の存在量で表現することで、判定結果から主観性を排除することが可能である。
更に本発明においては、アポクリン臭をターゲットとするデオドラント剤の有効性を、β−ヒドロキシ酸化合物(1)又はその誘導体を含有する指標物質を用い、客観的且つ定量的に判定することができる。
デオドラント剤の有効性を判定する方法としては、前記指標物質を単体として使用してもよく、他の成分、例えば溶解又は希釈のための溶剤や、安定剤、制汗剤、殺菌剤、抗菌剤、界面活性剤、酸化防止剤、香料、植物抽出物等の添加剤が配合されて保存や判定試験での使用等の実用に即した組成物に調製されて用いても良い。
アポクリン臭をターゲットとするデオドラント剤は、皮膚上の細菌を殺菌して、汗の分解を予防するタイプ、匂い成分を匂わない誘導体に分解又は変化させるタイプ、或いは、匂いをマスキングするタイプ等の如何なるタイプの作用機序であっても良い。β−ヒドロキシ酸化合物(1)又はその誘導体をデオドラント剤の有効性判定用指標物質として使用する方法は特に制限されず、デオドラント剤の作用機序及び評価方式に適合させて用いればよい。
例えば、有効成分としてβ−ヒドロキシ酸化合物(1)又はその誘導体、好ましくは3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸又はその誘導体を所定濃度で含有する指標物質に、所定量のデオドラント剤サンプルを添加し、指標物質の変化状態を適切な方法で定量することで、デオドラント剤サンプルの有効性を客観的且つ定量的に判定できる。
指標物質の変化状態を定量する方法としては、デオドラント剤サンプルが3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸を分解又は別の化合物に誘導して、匂いを減じるタイプである場合には、指標物質の検量線を予め作製しておき、この検量線を用いて機器分析を行っても良いし、指標物質の変化体又は未変化体を滴定又は抽出等の化学分析により定量してもよい。デオドラント剤サンプルがアポクリン臭をマスキングするタイプである場合には、指標物質を数段階に希釈して各濃度の匂い標準サンプルを調製し、デオドラント剤サンプルを添加した指標物質の匂いを標準サンプルと照合し、マスキング効果を官能評価により判定すればよい。
また、β−ヒドロキシ酸化合物(1)の標識化合物として、例えば蛍光標識化合物を用い、かかる標識化合物を所定濃度で含有する指標物質に所定量のデオドラント剤サンプルを添加し、指標物質の変化状態を同じ指標物質の検量線を用いて機器分析を行うことで定量してもよい。また、標識化合物を所定濃度で含有する指標物質に所定量のデオドラント剤サンプルを添加した後、指標物質の変化体又は未変化体を滴定又は抽出等の化学分析により定量する場合に、標識部分を利用して検出してもよい。
更に、デオドラント剤サンプルを人の腋窩部に実際に適用し、適用の前後に各々採取した腋窩部の汗を本発明に係る指標物質を用いて評価し、比較することも可能である。
このようにして、デオドラント剤を作用させた本発明の指標物質のアポクリン臭を、匂い又は匂い以外のパラメータを利用して定量的に判定することで、デオドラント剤の有効性を客観的且つ定量的に評価することができる。
本発明に係る体臭判定用キットは、少なくとも、人の汗由来のβ−ヒドロキシカルボン酸及び/又は汗由来のその他の体臭原因成分と反応する呈色試薬と共に、該β−ヒドロキシカルボン酸及び/又は汗由来のその他の体臭原因成分と該呈色試薬との反応及び呈色に基づく判定を補助する付属物が組み合わされた製品であり、補助のための付属物には、呈色反応又は判定に先立って必ず行われる前処理に用いる抽出手段など、必須のものと、呈色反応又は判定を容易化、簡易化するなど、利便性を高めるものとがある。
体臭判定用キットは、例えば、腋窩部の汗からβ−ヒドロキシカルボン酸及び/又は該β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸を抽出・分離するための器材および試薬を含み、かつ人の汗由来のβ−ヒドロキシカルボン酸及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸と反応して発色する試薬を一つ以上含んでいる。さらに、前記キットには3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸を指標成分として含むこともできる。
β−ヒドロキシカルボン酸及び該β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸の呈色反応を利用して、人の汗由来の体臭、特にアポクリン臭を判定する手順の概略を図4に示す。また体臭判定用キットに含まれる代表的な器材とその利用例を図5、図6に示す。
腋窩部の汗を採取する方法としては、温熱発汗により流れ出た汗を直接試験管等に採取する方法、わきの下に当たる部分に綿製のパッドを縫い付けたTシャツを一定時間着用する、または、ガーゼ等でわきの下の汗を直接拭き取るなどの方法がある。
汗に含まれる酸性物質を抽出する方法は、前記酸性物質を抽出できる方法であれば特に限定されないが、アルカリ性の水溶液による酸−塩基抽出法を用いるのが一般的である。アルカリ性の水溶液としては、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等が挙げられる。また、イオン交換樹脂を用いて前記酸性物質を抽出することも可能である。
アポクリン臭の度合いを判定する方法としては、前記操作で抽出された酸性物質をβ−ヒドロキシカルボン酸と前記β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸とに、それぞれ分離した後、分離されたβ−ヒドロキシカルボン酸に対して呈色試薬を加えて、発現された色を観察する方法が挙げられる。
酸性物質中のβ−ヒドロキシカルボン酸と該β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸を分離する方法は、分子の極性によって分離できる方法であれば、特に限定されるものではなく、ガラス管やプラスチック管内にシリカゲル粉末等の適当な吸着剤が充填された吸着クロマトグラフィー、ガラス又はプラスチックのプレート等にシリカゲル等の適当な吸着剤がコーティングされた薄層クロマトグラフィー等が利用できる。
吸着カラムクロマトグラフィー法は、ガラス管の上から前記酸性物質の溶液を流下させると、吸着力の強いものは上部に止まり、弱いものほど先に流れるので、吸着力の弱いものから順次流し出して分取できる。人の汗由来の酸性物質をサンプルとする場合、例えば図5に示すが如く、はじめにジエチルエーテルのような中極性溶媒を用いて、β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸を含むカルボン酸類を溶出した後、メタノールのような高極性溶剤を使ってβ−ヒドロキシカルボン酸を分取することができる。従って、メタノール画分に発色試薬を加えて呈色すれば、人の汗由来のβ−ヒドロキシカルボン酸の存在が確認できる。また試験液の色相は、目視による官能評価だけでなく、分光光度計や色差計の機器測定により数値化することができる。
薄層クロマトグラフィー法は、極性に差がある分子をプレート上で分離する方法であり、例えば図6に示すが如く、人の汗由来の酸性物質をプレートの所定の位置に滴下した後、ジエチルエーテルのような中極性溶媒で展開すれば、β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸は溶媒とともに周りに広がっていくが、β−ヒドロキシカルボン酸は滴下位置に残る。従って、滴下スポットの中心部に発色試薬を滴下して呈色すれば、汗由来のβ−ヒドロキシカルボン酸の存在が確認できる。このように、薄層クロマトグラフィー法は、発色試薬を直接プレートに吹き付けることができるので、定性又は定量のための呈色試験が迅速に行える。
呈色反応を利用してβ−ヒドロキシカルボン酸の有無や存在量を判定する方法としては、(1)β−ヒドロキシカルボン酸のヒドロキシル基、またはカルボキシル基に直接発色団を導入する方法、(2)β−ヒドロキシカルボン酸を誘導体に変換した後、誘導体に発色団を導入する方法、(3)β−ヒドロキシカルボン酸を分解した後、分解物に発色団を導入する方法等が挙げられる。
(1)β−ヒドロキシカルボン酸のヒドロキシル基、またはカルボキシル基に直接発色団を導入する方法に用いられる、β−ヒドロキシカルボン酸のカルボキシル基と反応して発色する呈色試薬としては、β−ヒドロキシカルボン酸を縮合剤の存在下、発色性の酸ヒドラジドに導いて呈色させる試薬、β−ヒドロキシカルボン酸を発色性のエステルに導いて呈色させる試薬、β−ヒドロキシカルボン酸を発色性のアミドに導いて呈色させる試薬等がある。
発色性の酸ヒドラジドに導く呈色試薬としては、2−ニトロフェニルヒドラジン、6,7−ジメトキシ−1−メチル−2(1H)−キノキサリノン−3−プロピオニルカルボン酸ヒドラジド(DMEQ−H)、p−(4,5−ジフェニル−1H−イミダゾール−2−イル)−ベンゾヒドラジド、p−(1−メチル−1H−フェナントロ−[9,10−d]イミダゾール−2−イル)−ベンゾヒドラジド、p−(5,6−ジメトキシ−2−ベンゾチアゾイル)−ベンゾヒドラジド等が挙げられる。
発色性のエステルに導いて呈色させる試薬としては、9−アンスリルジアゾメタン、1−ナフチルジアゾメタン、1−(2−ナフチル)ジアゾエタン、1−ピレニルジアゾメタン、4−ジアゾメチル−7−メトキシクマリン、4−ブロモメチル−7−メトキシクマリン、3−ブロモメチル−6,7―ジメトキシ−1−メチル−2(1H)−キノキザリノン、9−ブロモメチルアクリジン、4−ブロモメチル−6,7−メチレンジオキシクマリン、N−(9−アクリジニル)−ブロモアセトアミド、2−(2,3−ナフチルイミノ)エチルトリフルオロメタンスルホネート、2−(フタルイミノ)エチルトリフルオロメタンスルホネート、N−クロロメチルフタルイミド、N−クロロメチル−4−ニトロフタルイミド、N−クロロメチルイサチン、o−(p−ニトロベンジル)−N,N’−ジイソプロピルイソウレア等が挙げられる。
発色性のアミドに導いて呈色させる試薬としては、モノダンシルカダベリン、2−(p−アミノメチルフェニル)−N,N’−ジメチル−2H−ベンゾトリアゾール−5−アミン等が挙げられる。
β−ヒドロキシカルボン酸のヒドロキシル基と反応して発色する呈色試薬としては、発色性の配位化合物に導いて呈色させる試薬、発色性のエステルに導いて呈色させる試薬、発色性のエーテルに導いて呈色させる試薬等がある。発色性の配位化合物に導いて呈色させる試薬としては、硝酸セリウムアンモニウム等が挙げられる。発色性のエステルに導いて呈色させる試薬としては、4−(2−フタルイミジル)ベンゾイルクロライド、その異性体およびこの誘導体等が挙げられる。発色性のエーテルに導いて呈色させる試薬としては、4−ジアゾメチル−7−メトキシクマリン等が挙げられる。
(2)β−ヒドロキシカルボン酸を誘導体に変換した後、誘導体に発色団を導入する方法において、呈色反応に利用できるβ−ヒドロキシカルボン酸の誘導体としては、無機塩、ヒドロキサム酸、酸クロライド、銅錯体やコバルト錯体等が挙げられる。
β−ヒドロキシカルボン酸の無機塩は芳香族ハロゲンと反応させて発色性のエステルに、ヒドロキサム酸は発色性の金属塩に、酸クロライドは発色性のアミドに、ヒドロキシカルボン酸の銅錯体やコバルト錯体は、銅やコバルトに反応して呈色するキレート化合物に、それぞれ誘導する。
β−ヒドロキシカルボン酸を無機塩に変換する方法としては、炭酸水素ナトリウム溶液、炭酸ナトリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液等のアルカリ性物質と混合して中和する方法が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸の無機塩と反応し、発色性のエステルに誘導できる芳香族ハロゲンとしては、p−ニトロベンジルブロミド、フェナシルブロミド、p−クロロフェナシルブロミド、p−ブロモフェナシルブロミド、p−ヨードフェナシルブロミド、p−ニトロフェナシルブロミド、p−フェニルフェナシルブロミド、p−フェニルアゾフェナシルブロミド、N,N’−ジメチル−p−アミノベンゼンアゾフェナシルクロライド等が挙げられる。
β−ヒドロキシカルボン酸をヒドロキサム酸へ変換する方法としては、縮合剤の存在下、ヒドロキシルアミンと反応させる方法、ニッケルを触媒として、塩酸ヒドロキシルアミンと反応させる方法等が挙げられる。ヒドロキサム酸と発色性の錯塩を形成する金属試薬としては、塩化第二鉄、バナジウム等が挙げられる。
β−ヒドロキシカルボン酸を酸クロライドに変換する方法としては、オキザリルクロライドと反応させる方法等が挙げられる。酸クロライドを発色性のアミドに導く方法としては、トリエチルアミンの存在下、9−アミノフェナントレンと反応させる方法等が挙げられる。
銅またはコバルトと発色性のキレート化合物(錯体)を形成する試薬としては、ジエチルジチオカルバミン酸、ビシクロヘキサノンオキサリルジヒドラゾン、バソクプロイン等が挙げられる。
(3)β−ヒドロキシカルボン酸を分解し、その分解物に対して発色させる方法としては、β−ヒドロキシカルボン酸にアデノシン三リン酸(ATP)と補酵素CoAの存在のもとで、アシル−CoAシンテターゼを作用させて、アシル−CoAを生成せしめ、次にアシル−CoAオキシダーゼで処理して、エノイル−CoAと過酸化水素を生成せしめ、さらに過酸化水素をカタラーゼで処理してホルムアルデヒドにし、これに呈色試薬である4−アミノ−3−ヒドラジノ−5−メルカプト−1,2,3−トリアゾール(AHMT)を反応させて、生じる紫色を比色する方法が挙げられる。
このように、本発明において、β−ヒドロキシカルボン酸の呈色反応に用いられる試薬はβ−ヒドロキシカルボン酸、β−ヒドロキシカルボン酸誘導体、β−ヒドロキシカルボン酸分解物のいずれかと反応して発色するものであれば特に限定されないが、人の汗由来のβ−ヒドロキシカルボン酸に対する検出感度が高く、かつ肉眼で容易に比色できる2−ニトロフェニルヒドラジン(2−NPH)等のヒドラジノ基を有する化合物、また、検出感度が高く、温和な条件で反応が進行する9−アンスリルジアゾメタン(ADAM)等のジアゾメチル基を有する化合物が好適である。
2−ニトロフェニルヒドラジンを用いた呈色反応とは、水またはアルコール溶液中、縮合剤の存在下、β−ヒドロキシカルボン酸に2−ニトロフェニルヒドラジンを反応させ、アルカリ条件下で赤紫色を呈する酸ヒドラジドを生成せしめる反応である(反応式(4))。
Figure 0004113825
縮合剤としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)または1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)などが利用できる。またアルカリ化剤としては、水酸化カリウム水溶液等が利用できる。
3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸0.01〜0.05μMを含む水またはアルコール溶液0.5mLに2−ニトロフェニルヒドラジン塩酸塩0.02Mを含む水またはアルコール溶液0.5mLを加えた場合、試験液はやや茶色がかった黄色を呈する。また、3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸0.05〜1μMを含む水溶液またはアルコール溶液0.5mLに対して、2−ニトロフェニルヒドラジン0.02Mを含む水またはアルコール溶液0.5mLを加えた場合、試験液は赤茶色から濃い赤紫色に発色する。これに対して、ヒドロキシカルボン酸を全く含まない水またはアルコール溶液に対して、2−ニトロフェニルヒドラジンを含む水またはアルコール溶液を添加しても、酸ヒドラジドは生成しないため、試験液の色は未反応の2−ニトロフェニルヒドラジン由来の黄色のまま変化しない。
前述の如く、アポクリン臭の強さは、汗中のβ−ヒドロキシカルボン酸の含有量に比例するので、試験液の発色の度合いを肉眼で観察することで、アポクリン臭の程度を確実で迅速かつ簡単に判定することができる。
9−アンスリルジアゾメタンを用いた呈色反応とは、β−ヒドロキシカルボン酸を強蛍光性の9−アンスリルメチルエステルに導く方法である(反応式(5))。
Figure 0004113825
本反応は、触媒や加熱を必要とせず、室温、約10〜60分で完了する。9−アンスリルメチルエステルは、メタノール中では、励起波長365nm、蛍光波長412nmの特性を持っている。
3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸0.01〜0.05μMを含むメタノール溶液に9−アンスリルジアゾメタンの1.0%メタノール又はアセトン溶液を添加した後、365nmの光で照らすと、やや青色がかった白色を呈し、さらに3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸0.05〜0.1μMを含むメタノール溶液に9−アンスリルジアゾメタンの1.0%メタノール又はアセトン溶液を添加した後、365nmの光で照らすと、試験液は強い青色の蛍光を放つ。一方、β−ヒドロキシカルボン酸を全く含まない溶液に対して、9−アンスリルジアゾメタンの1.0%メタノールアルコール溶液を添加しても、強蛍光性のエステル体は生成しない。
前述の如く、アポクリン臭の強さは、汗中のβ−ヒドロキシカルボン酸の含有量に比例するので、試験液の発色の度合いを肉眼で観察することで、アポクリン臭の程度を確実で迅速かつ簡単に判定することができる。
本発明においては、汗に含まれるβ−ヒドロキシカルボン酸を腋窩部の汗から単離した後、呈色試薬により定量評価する際、化学合成された3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸を標準物質(スタンダード)として用いることができる。
すなわち、計量済みの合成3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸と呈色試薬との発色の度合いを基準にすることで、汗に含まれるβ−ヒドロキシカルボン酸をより正確に定量できる。同時にβ−ヒドロキシカルボン酸の存在量はアポクリン臭の強度に比例するので、アポクリン臭の程度を正確に判定することができる。
その際使用する3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸の標準物質は、実験室内で相当濃度まで希釈して用いても良いが、比較に適した量を簡単に分取するため、メタノールやアセトン等の溶媒に希釈して利用した方が便利である。特に1〜100μg範囲の3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸を100μL程度の希釈液として、計り取れる程度に希釈された標準液を用いることが好ましい。
また本発明においては、比較したいサンプル間の着色の差が微妙な場合、あるいは、デオドラント剤の使用後やアポクリン汗腺の除去手術の後にアポクリン臭がどの程度軽減されたのかを判定する際、分析機器を用いて試験液の色相を数値化することで、判定結果から主観性を排除することができる。
その際使用する分析機器としては、試験液の発色の程度を測定できるものであれば特に限定されないが、2−ニトロフェニルヒドラジンを用いた呈色反応により生成せしめる酸ヒドラジドには、比色計や紫外可視分光光度計等が利用できる。また、9−アンスリルジアゾメタンを用いた呈色反応により生成せしめる9−アンスリルメチルエステルには蛍光分光光度計等が利用できる。
さらに、本発明においては、わきが体質と言われる人の腋窩部から特異的に発生するアポクリン臭の程度だけでなく、わきが体質の有無に関わらず人の腋窩部から発生する酸臭(汗臭とも呼ばれる)の程度も迅速且つ簡単に判定することができる。
アポクリン臭と酸臭の寄与の度合いを判定する方法としては、汗から抽出した酸性物質を、アポクリン臭の原因となるβ−ヒドロキシカルボン酸と、酸臭の原因となる汗中の炭素数12以下の脂肪酸とに分離後、それぞれに対して呈色試薬を加えて、発現された色を観察する方法、又は、汗から抽出した酸性物質と、前記酸性物質から分離したβ−ヒドロキシカルボン酸のそれぞれに対して呈色試薬を加えて、発現された色を観察する方法が挙げられる。
酸臭の程度を判定する方法としては、酸臭の原因となる汗中のβ−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸に対して呈色試薬を加えればよい。例えば、図5の如く、吸着カラムクロマトグラフィーにおいて、展開溶媒として、ジエチルエーテルを用いて、β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸を中心とする汗由来の酸性成分を溶出した後、メタノールを使ってβ−ヒドロキシカルボン酸を溶出させ、得られたエーテル画分とメタノール画分に対し、それぞれ呈色試薬を加えて、発現された色を観察することによって、アポクリン臭と酸臭の寄与の度合いを迅速かつ簡単に判定することができる。
また、薄層クロマトグラフィーにおいては、薄層クロマトグラフィーのプレートに人の汗から抽出した酸性物質を滴下し、そこに呈色試薬を滴下して、酸性物質全体を発色させる。酸性物質全体により発現する色は、アポクリン臭の主要な原因成分であるβ−ヒドロキシカルボン酸と、酸臭の主要な原因成分であるβ−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸の総量に対し、正の相関関係がある。
一方、別途用意した同様の薄層クロマトプレートに、抽出した同じ酸性物質を滴下し、展開溶媒にてβ−ヒドロキシカルボン酸と、それ以外の脂肪酸を分離した後、滴下スポットの中心に残ったβ−ヒドロキシカルボン酸に呈色試薬を滴下して発色させる。こちらのプレートで発現する色は、アポクリン臭の主要な原因成分であるβ−ヒドロキシカルボン酸の量に対し、正の相関関係がある。従って、双方で発現した色を観察することで、アポクリン臭と酸臭の寄与の度合いを判定することができる。
従って、本発明に係る体臭判定キットを用いれば、個々の被験者における、アポクリン臭と酸臭の寄与の度合いについて迅速かつ簡単に判定することが可能である。
汗に含まれるカルボン酸と反応し、発色する呈色試薬としては、酸臭への寄与の大きい炭素数12以下の脂肪酸のカルボキシル基と反応するものであれば特に限定されないが、β−ヒドロキシカルボン酸のカルボキシル基と反応して発色する前述の呈色試薬を利用することができる。
体臭のタイプ及び強さ、すなわち、汗由来の酸性物質に対するアポクリン臭と酸臭それぞれの寄与の程度を正確に判定するために、呈色試薬の反応性は、β−ヒドロキシカルボン酸及び該β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸に対する特異性が高く、それ以外の酸性物質に対する呈色反応が弱いことが望ましい。
以上のように、本発明に係る体臭判定キットは、ガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィー等の高価な分析機器を用いることなく、人の体臭又は体臭の一部である総合的な腋臭の程度を、腋窩部のアポクリン臭の有無及び強弱を中心とし、さらに酸臭の有無及び強弱を考慮して、確実で迅速かつ簡単に判定することが可能であるので、病院(皮膚科など)や保健所をはじめとする検査機関において、自己の腋臭に関心のある人に対してアポクリン臭の程度を診断する場合や、デオドラント剤やアポクリン汗腺の除去手術等の効果を判定する場合に利用することができる。
デオドラント剤の使用やアポクリン汗腺の除去手術等の体臭を軽減する努力が現状において功を奏しているかということを判定する場合には、例えば、デオドラント剤の使用前後における汗中のβ−ヒドロキシカルボン酸及び/又は該β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸を、本体臭判定キットを用いて、定量評価し比較すれば良い。例えば、サンプルを採取した時期が異なっている場合には、最初に採取した汗サンプルが化学変化を起こさないように冷凍庫等の適当な場所に保管し同時に判定試験を実施しても良いし、汗中のβ−ヒドロキシカルボン酸及び該β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸を定量評価をする際、試験液の色を分析機器により数値化しておけば、判定試験の実施時期が異なっていても、正確に比較し評価することができる。
また、本発明に係る体臭判定キットは、アポクリン臭をターゲットとするデオドラント剤の開発研究において、デオドラント剤サンプルの有効性を評価する場合やわきが体質のある人をスクリーニングする場合に利用することができる。
アポクリン臭をターゲットとするデオドラント剤の有効性を判定する方法としては、例えば、β−ヒドロキシカルボン酸を所定濃度で含有するサンプルに、所定量のデオドラント剤サンプルを添加し、β−ヒドロキシカルボン酸の量、好ましくは3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸の量を本発明に係る体臭判定キットを用いて評価することで、デオドラント剤サンプルの有効性を正確で迅速かつ簡単に判定することができる。
また、デオドラント剤サンプルを人の腋窩部に実際に適用し、適用の前後に各々採取した腋窩部の汗に含まれるβ−ヒドロキシカルボン酸、好ましくは3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸を本発明に係る体臭判定キットを用いて評価し比較することも可能である。
以上に述べたキットの具体的な構成例としては、例えば、以下の様なものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
(1)人の汗を採取するための脱脂綿やプラスチックカップ等を、好ましくは、そのまま使用可能な状態に加工し、必要に応じて外装で梱包したパッケージ。
(2)上記パッケージの構成要素に、人の汗から酸性物質を抽出するためのアルカリ水溶液や有機溶剤、分液ロート等の試薬、溶媒、器具を組み合わせたパッケージ。
(3)上記いずれかのパッケージの構成要素に、人の汗由来β−ヒドロキシカルボン酸と、それ以外の炭素数12以下の脂肪酸を分離するために用いる、吸着クロマトグラフィーのカラムや薄層クロマトグラフィーのプレート等の器具を組み合わせたパッケージ。
(4)上記いずれかのパッケージの構成要素に、吸着又は薄層クロマトグラフィーにおいて、酸性物質からβ−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸を溶出するために用いられる中極性溶媒を組み合わせたパッケージ。
(5)上記いずれかのパッケージの構成要素に、吸着クロマトグラフィーにおいて、カラムからβ−ヒドロキシカルボン酸を溶出するために用いられる高極性溶媒を組み合わせたパッケージ。
(6)上記いずれかのパッケージの構成要素に、人の汗由来β−ヒドロキシカルボン酸と反応する呈色試薬を、好ましくは、そのまま使用可能な組成又は濃度に調製した状態で容器に充填したものを組み合わせ、必要に応じて外装で梱包したパッケージ。
(7)上記いずれかのパッケージの構成要素に、前記β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸と反応する呈色試薬を、好ましくは、そのまま使用可能な組成又は濃度に調製した状態で容器に充填したものを組み合わせ、必要に応じて外装で梱包したパッケージ。
(8)上記いずれかのパッケージの構成要素に、人の汗由来β−ヒドロキシカルボン酸及び前記β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸と反応する呈色試薬を、好ましくは、そのまま使用可能な組成又は濃度に調製した状態で容器に充填したものを組み合わせ、必要に応じて外装で梱包したパッケージ。
(9)上記いずれかのパッケージの構成要素に、汗に含まれるβ−ヒドロキシカルボン酸を腋窩部の汗から単離した後、呈色試薬により定量評価する際、呈色反応前の予備調製(例えば、β−ヒドロキシカルボン酸を誘導体化する等のため)に用いる補助試薬を組み合わせたパッケージ。
(10)上記いずれかのパッケージの構成要素に、汗に含まれるβ−ヒドロキシカルボン酸を腋窩部の汗から単離した後、呈色試薬により定量評価する際、試験液の呈色の度合いを確認するために使用する紫外線ランプ等の器具を組み合わせたパッケージ。
(11)上記いずれかのパッケージの構成要素に、汗に含まれるβ−ヒドロキシカルボン酸を腋窩部の汗から単離した後、呈色試薬により定量評価する際、標準物質(スタンダード)として用いる、好ましくは化学合成された3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸または3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸の希釈液を組み合わせたパッケージ。
(12)上記いずれかのパッケージの構成要素に、汗に含まれるβ−ヒドロキシカルボン酸を腋窩部の汗から単離した後、呈色試薬により定量評価する際、試験液の発色の程度を判断するための発色見本シートを組み合わせたパッケージ。
(13)上記いずれかのパッケージの構成要素に、呈色試薬の一回使用量の採取及び滴下が容易な、ピペット等の滴下手段を添付したパッケージ。
(14)上記いずれかのパッケージの構成要素に、試験液の呈色の度合いを数値化するために使用する色差計や分光光度計等の分析機器を組み合わせたパッケージ。
(実施例1)
健康な日本人男性65名を無作為に被験者として選んだ。新品の綿製白色Tシャツを24時間連続して着用してもらった。Tシャツの腋窩部に当る部分について7人の専門パネラーによって官能評価を行なった。その結果、被験者のうち、酸臭が強い人が52名、アポクリン臭が強い人が10名、酸臭とアポクリン臭が両方感じられる人が3名であった。
(実施例2)
実施例1と同じ被験者群の中から官能評価においてアポクリン臭が強かった3人を実施例2の被験者とした。
Tシャツの腋窩部に当る部分に綿パッドを縫い付け、このTシャツを被験者に24時間着用させた後に回収し、腋窩部の綿パッドから常法に従って酸性成分のみ選択的に抽出、濃縮し、ガスクロマトグラフィー−質量分析計(GC−MS)を用いて分析した。腋窩部の汗の典型的な匂いを発生させる重要な成分は、匂い嗅ぎガスクロマトグラフィー(sniffing GC)により特定した。
汗に含まれる腋臭成分を分析したところ、GC−MS分析(図1)では、従来確認されている飽和脂肪酸、3−メチル−2−ヘキセン酸、7−オクテン酸、γ−ラクトン類と共に、新たに3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸の存在が示された。この溶出成分は匂い嗅ぎガスクロマトグラフィーにおいてアポクリン臭に極めて良く似た強い匂いを持っていた。またピーク面積から、高い濃度で存在していることがわかった。
3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸は、人の腋臭の構成成分としては今まで報告されたことがないが、3人のパネルから検出された。
(実施例3)
実施例1と同じ被験者群の中から官能評価においてアポクリン臭が無く、認められなかった3人を実施例3の被験者とした。この被験者に対し、実施例2と同じ手順で腋窩部の汗を収集し、GC−MSを用いて分析した。結果は図2に示す如く、実施例2の被験者群では見られた3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸はどの被験者からも検出されなかった。
(実施例4)
実施例1と同じ被験者群の中から、アポクリン臭が強い実施例2の被験者群(3人)、アポクリン臭が無い実施例3の被験者群(3人)及び、アポクリン臭が軽度にある被験者群(2人)に対して、実施例2と同じ手順で腋窩部の汗を収集し、常法に従って酸性成分のみ選択的に抽出した後、1mlのメスフラスコ(DURAN製)を用いて、等容量のエーテル希釈液を調製した。これをガスクロマトグラフィー−質量分析計(GC−MS)を用いて分析し、3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸を定量した。
結果は図3に示す如く、アポクリン臭が強くなるほど腋窩部における3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸の量が多かった。
(実施例5)
健康な日本人男性65名にボランティアとして協力してもらった。新品の綿製白色Tシャツを24時間連続して着用してもらった。7人の専門パネラーにより、Tシャツの腋窩部に当たる部分について、アポクリン臭の強さおよび酸臭の強さを下記基準で評価した。
<官能評価基準>
強度0 匂わない。
〃 1 わずかに匂う。
〃 2 弱く匂う。
〃 3 匂う。
〃 4 やや強く匂う。
〃 5 非常に強く匂う。
その結果、被験者のうち、アポクリン臭については、強度3以上の人が10名、強度1又は2の人が3名、強度0の人が52名であった。
(実施例6)
強度3以上のアポクリン臭が認められた人4名(被験者No.1〜4)、強度1又は2のアポクリン臭が認められた人3名(被験者No.5〜7)、アポクリン臭が認められなかった人(強度0)3名(被験者No.8〜10)を実施例6の被験者とした。
Tシャツの利き腕側の腋窩部に当たる部分に綿パッドを縫い付け、このTシャツを被験者に24時間着用させた後に回収し、酸−塩基抽出法を用いて腋窩部の綿パッドから汗由来の酸性成分を抽出した。次にシリカゲルミニカラム(Varian Bond Elute Jr)、ジエチルエーテル10mL、メタノール10mLを使用して、酸性抽出物をジエチルエーテル画分とメタノール画分に分離した。メタノール画分を一度濃縮した後、1mLのメスフラスコ(DURAN製)を用いて、1mLの希釈液を調製した。
希釈液のうちの1μLを、ガスクロマトグラフィー―質量分析計(GC―MS)を用いて分析した。合成された3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸を標準物質(スタンダード)として用い、検量線を作成し、汗に含まれる3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸の量を測定した。
腋臭の官能評価結果および3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸の定量結果を表1に示す。3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸は、アポクリン臭が認められるすべての被験者(被験者No.1〜7)のメタノール画分から検出された。一方、ジエチルエーテル画分からは、検出されなかった。
Figure 0004113825
強度3以上のアポクリン臭が認められる群(被験者No.1〜4)では、3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸の検出量は、15.71〜64.29μgの範囲内であった。強度1又は2のアポクリン臭が認められる群(被験者No.5〜7)では、3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸の検出量は、0.87〜1.71μgの範囲内であった。一方、アポクリン臭が認められない(強度0)群(被験者No.8〜10)では、3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸は、いずれの被験者からも検出されなかった。
(実施例7)
実施例6で得られたメタノール画分(GC-MS分析のために1μL使用)を0.5mLまで濃縮した後、スクリュー栓付きの試験管(マルエム製、NR−10)に移し取った。色相を比較するためのブランクサンプル(メタノール0.5mLを添加)とともに、40mM塩酸-塩酸エタノール(3:1, v/v)で調製した20mM 2-ニトロフェニルヒドラジン溶液100μL、3v/v%ピリジンのエタノール溶液100μLおよび250mM EDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)のエタノール溶液100μLを順次加えた。この混液を60℃で20分間加熱した後、水-メタノール混液(1:4, v/v)で調製した15%(w/v)水酸化カリウム液50μLを加えた。60℃でブランクの褐色が消えるまで(15分間)加熱した。室温まで放冷後、肉眼で反応液の色を観察した。
結果を表2に示す。ブランクサンプルは、未反応試薬由来の明るい黄色を呈すが、3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸が検出された被験者のメタノール画分は、酸ヒドラジド生成に伴う赤紫色を呈した。色相は検出量に比例して、やや茶色がかった黄色から濃い赤紫色へ変化した。
Figure 0004113825
強度3以上のアポクリン臭が認められる群では、反応液の色は赤から赤紫色の範囲であった。強度1又は2のアポクリン臭が認められる群では、反応液の色はやや茶色がかった黄色であった。一方、アポクリン臭が全く認められない群(強度0)では、いずれの被験者の試験液も着色せず、ブランクサンプルと同等の色相であった。
次に、色彩色差計を用いて試験液の色相を数値化した。横軸に色差(ΔE*ab)、縦軸に実施例5でのアポクリン臭の官能評価結果をとり、グラフ化した。結果は図7に示す如く、色差(ΔE*ab)は、アポクリン臭の強度に比例して増加した。
<色差計による測定条件>
使用機器:ミノルタ色彩色差計CT−310
セル光路長:2mm
温度:23℃
ブランク試料の測定データから、色差基準色(L 、a 、b )、測定データを(L、a、b)として、下式により色差を求めた。
Figure 0004113825
(実施例8)
実施例6で得られたジエチルエーテル画分のうち、1mLをスクリュー栓付きの試験管(マルエム製、NR−10)に移し取った。45℃の水浴上で溶媒を留去し、メタノール0.5mlを加えた後、色相を比較するためのブランクサンプル(メタノール0.5mLを添加)とともに、実施例7と同様の手順で、発色試薬を使って呈色させた。実施例7で得られたメタノール画分とともに、可視-紫外分析計を用いて色相を数値化した。縦軸にメタノール画分の吸光度、横軸にエーテル画分の吸光度を取り、個々の被験者における、アポクリン臭と酸臭の寄与の度合いについて評価した。
結果は図8に示すが如く、酸性抽出物のメタノール画分の呈色が強い人、すなわち、アポクリン臭が認められる人は、ジエチルエーテル画分の呈色(吸収)も強い傾向があった。一方、アポクリン臭が認められない人、すなわち、メタノール画分が呈色しない人は、ジエチルエーテル画分の呈色(吸収)も弱い傾向があった。
<紫外-可視分光計による測定条件>
使用機器:BECHMAN DU-600
セル光路長:10mm
温度:23℃
データ測定方法:530nmにおける、サンプルの吸収スペクトルからブランク試料の吸収スペクトルを差し引いたスペクトルのピーク面積を測定した。
(実施例9)
実施例6の被験者10名を実施例9の被験者とした。実施例6と同様の方法で分離した汗の酸性抽出物のメタノール画分を0.5mlまで濃縮した後、試験管に移した。色相を比較するためのブランクサンプル(メタノール0.5mLを添加)とともに、9−アンスリルジアゾメタンの1.0%アセトン溶液25μLを加え、密栓をして、約1時間室温で放置した。その後、紫外線ランプ(ウルトラバイオレット社製/長波長365nm型)を用いて、発生する蛍光を肉眼で観察した。結果は表3に示す。
Figure 0004113825
表3において、実施例5でアポクリン臭が認められた被験者のサンプルは、アポクリン臭の強度に比例してより強い蛍光を発する結果を示した。これに対してブランクサンプルからは強い蛍光が観察されなかった。
アポクリン臭を持つ人の汗をGC−MS分析した結果を示す溶出ピークである。 アポクリン臭を持たない人の汗をGC−MS分析した結果を示す溶出ピークである。 腋窩部の汗に含まれる3−ヒドロキシ−3−メチルへキサン酸の量と、アポクリン臭の強さの関係を示すグラフである。 体臭の程度を判定する手順を示した図である。 吸着カラムクロマトグラフィー法を利用して体臭の程度を判定する際の判定キットの使用方法を示した図である。 薄層クロマトグラフィー法を利用して体臭の程度を判定する際の判定キットの使用方法を示した図である。 アポクリン臭強度(官能評価)と呈色反応後の試験液の色差との関係を示した図である。 呈色反応後のメタノール画分とエーテル画分の吸光度を示した図である。

Claims (11)

  1. 下記式(1)で表されるβ−ヒドロキシ酸化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一つを含有する体臭判定用指標物質。
    Figure 0004113825
    (式中、R1は炭素数1乃至4のアルキルであり、R2は水素原子又は炭素数1乃至4のアルキルであり、式(1)の総炭素数が10以下である。)
  2. 下記式(1)で表されるβ−ヒドロキシ酸化合物のβ−ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基に原子又は原子団を導入してなるβ−ヒドロキシ酸誘導体を含有する体臭判定用指標物質。
    Figure 0004113825
    (式中、R1は炭素数1乃至4のアルキルであり、R2は水素原子又は炭素数1乃至4のアルキルであり、式(1)の総炭素数が10以下である。)
  3. 請求項1又は2に記載の指標物質を用いる体臭判定方法。
  4. 請求項1又は2に記載の指標物質を用いるデオドラント剤の有効性判定方法。
  5. 人の汗由来β−ヒドロキシカルボン酸と反応する呈色試薬を含む人の体臭判定キット。
  6. 前記β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸と反応する呈色試薬をさらに含む請求項5に記載の人の体臭判定キット。
  7. 前記試薬が、ヒドラジノ基又はジアゾメチル基を有する化合物を必須成分とする請求項5又は6に記載の判定キット。
  8. 前記試薬が、2−ニトロフェニルヒドラジン又は9−アンスリルジアゾメタンである請求項7に記載の判定キット。
  9. 人の汗に含まれるβ−ヒドロキシカルボン酸及び前記β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸の混合物を抽出する第1ステップと、
    前記混合物にβ−ヒドロキシカルボン酸及び/又は前記β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸と反応する呈色試薬を加えて発色させる第2ステップと、
    前記第2ステップにおいて発色した色によって体臭のタイプ及び/又はその強さを判定する第3ステップとを含む、人の体臭を判定する方法。
  10. 人の汗に含まれるβ−ヒドロキシカルボン酸及び前記β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸の混合物を抽出する第1ステップと、
    前記混合物からβ−ヒドロキシカルボン酸を分離する第2ステップと、
    前記第2ステップにおいて分離されたβ−ヒドロキシカルボン酸にβ−ヒドロキシカルボン酸と反応する呈色試薬を加えて発色させる第3ステップと、
    前記第3ステップにおいて発現された色によって体臭のタイプ及び/又はその強さを判定する第4ステップとを含む、人の体臭を判定する方法。
  11. 人の汗に含まれるβ−ヒドロキシカルボン酸及び前記β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸の混合物を抽出する第1ステップと、
    前記混合物をβ−ヒドロキシカルボン酸と前記β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸とにそれぞれ分離する第2ステップと、
    前記第2ステップにおいて分離されたβ−ヒドロキシカルボン酸にβ−ヒドロキシカルボン酸と反応する呈色試薬を加えて発色させる第3ステップと、
    前記第2ステップにおいて分離されたβ−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸に前記β−ヒドロキシカルボン酸以外の炭素数12以下の脂肪酸と反応する呈色試薬を加えて発色させる第4ステップと、
    前記第3ステップ及び第4ステップにおいて発現された色によって体臭のタイプ及び/又はその強さを判定する第5ステップとを含む、人の体臭を判定する方法。
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