JP4112643B2 - ドラム式走間剪断機の刃物ギャップ制御方法および装置 - Google Patents
ドラム式走間剪断機の刃物ギャップ制御方法および装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4112643B2 JP4112643B2 JP35332795A JP35332795A JP4112643B2 JP 4112643 B2 JP4112643 B2 JP 4112643B2 JP 35332795 A JP35332795 A JP 35332795A JP 35332795 A JP35332795 A JP 35332795A JP 4112643 B2 JP4112643 B2 JP 4112643B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- drum
- amount
- blade
- clearance
- pair
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Shearing Machines (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、高速で送られる板材を剪断するドラム式走間剪断機の刃物ギャップ制御方法および装置に関し、被剪断材の厚さに応じて剪断刃のクリアランス量とラップ量を制御できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、熱間薄板圧延においても冷間圧延の場合と同様に、先後端部の形状不良部の減少による歩留向上や圧延能率向上を図るため連続圧延が行なわれるようになってきている。
【0003】
このような熱間薄板連続圧延では、粗圧延機で圧延された圧延材を仕上圧延機に送る前に先行圧延材と後行圧延材を接合して連続的に供給し、仕上圧延機で所定の厚さの薄板に仕上げて2台のダウンコイラで巻き取るようにしており、巻取りに際しては、2台のダウンコイラのうち一方に所定量巻き取ると、切断してもう1台のダウンコイラに巻き取ることを繰り返すようにしている。
【0004】
このような熱間連続圧延される薄板は、圧延ラインのライン速度が高く、切断する場合にも高速で切断しなければならず、ドラムシャー等を用いて剪断することが行われている。
【0005】
たとえば、高速で送られる板材の切断を行なう装置としては、特公昭61−53172号公報に開示されているドラムシャーがあり、上下1対のドラムの外周に胴長方向に沿って刃を固着し、上下のドラムを歯車などの動力伝達機構を介して機械的に連結して同期回転して剪断するように構成されている。
【0006】
ところが、上記ドラムシャーでは、上下1対のドラムが1回転しないうちに上下の刃で板材を切断するので、停止している状態のドラムを十分加速することが出来ず、ライン速度に対応することが出来なかったり、ライン速度に対応できるようにするには、大きな駆動用のモータを必要とする。
【0007】
そこで、これらの問題を解消することができるドラム式走間剪断機として、上下1対のドラムの両端軸受部分に偏心環を介して回転可能に支持し、ドラムの回転中心を動かすことで剪断刃による剪断を行なわずにドラムを回転できるようにし、ライン速度まで十分加速した状態で、偏心環を動かして剪断を行うよう構成したものを提案している。
【0008】
このようなドラム式走間剪断機では、被剪断材の板厚に応じて上下剪断刃のギャップ(クリアランス量Cとラップ量L)を調整する必要があり、上下剪断刃が剪断位置にある状態での回転方向の隙間であるクリアランス量Cと上下剪断刃が剪断位置にある状態でのドラム半径方向の重なりに相当するラップ量Lとを所定の値に設定しており、通常、クリアランス量Cは板厚の10〜5%とされ、ラップ量Lは板厚と同程度とされる。
【0009】
従来、このような上下剪断刃のギャップ(クリアランス量Cとラップ量L)の調整は、例えば図11に示すように、ドラム1,2への剪断刃3,4の取付けの際、シム5の厚さを調整したり、楔6を出し入れしてボルト7で締め付けることで行われている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の剪断刃3,4のギャップの制御方法では、シム5や楔6を介してボルト7で締め付ける手作業のため、時間が掛かるとともに、ボルト7の締め具合でギャップが微妙に変化するなどの問題がある。
【0011】
また、走間で使用する場合には、ラインを停止しないと剪断刃のギャップが調整できないという問題がある。
【0012】
さらに、剪断刃がドラムの胴長方向に湾曲した曲線刃の場合には、剪断を板幅の中央部から両側へ拡げるようにして荷重を抑制することで、比較的厚い板の剪断に適しているが、この曲線刃の場合には、上ドラムが下死点で下ドラムが上死点にある状態でクリアランス量Cおよびラップ量Lを適正値に設定しておくと、剪断刃が幅方向に円弧状になっているため、上ドラムが下死点で下ドラムが上死点になる若干手前、ドラムの回転角度θで約10度より上の剪断刃と下の剪断刃とがぶつかる干渉が生じてしまう(図8参照)。
【0013】
このため曲線刃の場合には、上下の剪断刃が干渉しないようにクリアランス量Cを大きく設定せざるを得ず(図9参照)、この結果、剪断面に返りが発生したり、引きちぎるようにして切断するため剪断機に衝撃荷重が発生するなどの問題もある。
【0014】
この発明はかかる従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、上下の剪断刃のギャップを運転状態であっても簡単かつ正確に制御することができ、板厚が変わった場合に簡単に対応できるドラム式走間剪断機の刃物ギャップ制御方法および装置を提供しようとするものである。
【0015】
また、この発明は、曲線刃を用いる場合でも剪断刃同志の干渉を防止して適正ギャップに調整して剪断することができるドラム式走間剪断機の刃物ギャップ制御方法を提供しようとするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術が有する課題を解決するため、この発明の請求項1記載のドラム式走間剪断機の刃物ギャップ制御方法は、パスラインを挾んで上下1対のドラムを配置し、該ドラム外周の胴長方向に1対の剪断刃を取付け、該ドラムを支持する軸受の外周にドラム軸の軸心に対して適宜量偏心した1対の偏心環を設け、該偏心環の回転でドラム軸を接近離反させるドラム式走間剪断機の剪断刃のクリアランス量とラップ量とで定まるギャップを制御するに際し、
前記上下一対のドラムのドラム軸に互いを接近させた状態でバックラッシュ殺し機構を備えた歯車を噛み合わせて同期回転させるとともに、これら上下一対のドラム軸を離反させた状態でもギヤボックスおよびスピンドルにより同期回転させる駆動系を設け、上下一対のドラムを引き離した状態で前記歯車の噛み合い位置がピッチ円手前へ移動することに伴うバックラッシュ殺し機構による前記剪断刃のクリアランス量を増大可能とし、
前記剪断刃を前記ドラム胴長方向に湾曲した曲線刃で構成し、前記偏心環の位相角を前記ドラムの回転角に対して遅らせて上下曲線刃間のラップ量を変えてクリアランス量を正の値にし、上下曲線刃の干渉を防止するとともに、被剪断材の板厚に応じて前記クリアランスを増減するようにことを特徴とするものである。
【0017】
また、この発明の請求項2記載のドラム式走間剪断機の刃物ギャップ制御装置は、パスラインを挾んで上下1対のドラムを配置し、該ドラム外周の胴長方向に1対の剪断刃を取付け、該ドラムを支持する軸受の外周にドラム軸の軸心に対して適宜量偏心した1対の偏心環を設け、該偏心環の回転でドラム軸を接近離反させるドラム式走間剪断機の剪断刃のクリアランス量とラップ量とで定まるギャップの制御装置において、
前記上下一対のドラムのドラム軸に互いを接近させた状態でバックラッシュ殺し機構を備えた歯車を噛み合わせて同期回転させるとともに、これら上下一対のドラム軸を離反させた状態でもギヤボックスおよびスピンドルにより同期回転させこれら上下一対のドラムを引き離した状態で前記歯車の噛み合い位置がピッチ円手前へ移動することに伴うバックラッシュ殺し機構による前記剪断刃のクリアランス量を増大可能とする駆動系を設け、
前記剪断刃を前記ドラム胴長方向に湾曲した曲線刃で構成し、前記ドラムおよび偏心環の回転量を検出する回転量検出手段と、被剪断材の板厚を設定する板厚設定手段と、予め板厚に応じたクリアランス量、ラップ量との関係およびドラムの回転角に対する偏心環の位相遅れ角と上下曲線刃間のクリアランス量との関係を記憶させる記憶手段と、偏心環の回転量およびドラムの回転量を検出し、偏心環の位相遅れ角が予め板厚に応じて定めた設定値になるよう偏心環の回転速度を制御して上下曲線刃のギャップを変えて干渉を防止するとともに、被剪断材の板厚に応じて前記クリアランスを増減する演算制御手段とでなることを特徴とするものである。
【0018】
これまでのドラム式走間剪断機では、クリアランス量Cを調整する場合に、上下1対のドラムを支持する軸受の外周の偏心環の位相(上下の偏心環の共死点)が上下ドラムの共死点(上ドラムの下死点,下ドラムの上死点)で一致するように制御しており、上下ドラムを共死点の剪断位置にすると偏心環も共死点となる。
【0019】
一方、上下ドラムの位相に対して偏心環の位相を遅らせると、上下剪断刃が共死点になっても偏心環の位相が遅れた分だけラップ量L(半径方向の突き出し量)が減少し、これにより見掛上の上下剪断刃の刃先円の半径が小さくなり、クリアランス量Cが増加する。
【0020】
また、上下剪断刃を同期駆動するとともに、バックラッシュを無くすための機構上、偏心環によって上下のドラムを引き離すようにすると、互いに噛み合う歯車の噛み合いがピッチ円(PCD)上まで至らないため、バックラッシュが大きくなり、バックラッシュ殺し歯車によって押される分だけクリアランス量Cが広がることになる
そこで、上下ドラムの回転角度に対して偏心環の回転角(位相角)を変えることで、上下剪断刃のラップ量Lを変えてクリアランス量Cを増減できることから、予め、偏心環の遅れ角αとクリアランス量Cの変化の関係を求めておき(図10参照)、板厚が変わった場合に上下の剪断刃のギャップ,Lを運転状態であっても簡単かつ正確に制御できるようにしたり、特に、曲線刃を用いる場合でも剪断刃同志の干渉を防止して適正ギャップに制御して剪断できるようにする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
まず、この発明のドラム式走間剪断機の刃物ギャップ制御方法が適用されるドラム式走間剪断機の構造について図2〜5により説明しておく。
【0022】
図2〜図5はドラム式走間剪断機にかかり、図2は縦断面図、図3は横断面図、図4は駆動装置部分の縦断面図、図5は駆動装置部分の平面図である。
このドラム式走間剪断機10は、たとえば熱間連続圧延ラインのダウンコイラ前に設置されて高速で送られる被剪断材を切断するのに使用される。
【0023】
このドラム式走間剪断機10では、パスラインの上下に被剪断材Wを挾んで被剪断材Wの幅方向に上下ドラム11,12が配置され、それぞれの両端部のドラム軸11a,12aに軸受13,14が取付けられるとともに、これら軸受13,14の外周に適宜量偏心し、しかも上下の偏心量が同一となる偏心環15,16が取付けられて上下一体の1つの軸箱17に回転可能に支持されている。
【0024】
これにより、上下のドラム軸11a,12aは偏心環15,16を回転することでパスラインを挾んで偏心量に応じた同一移動量だけ接近したり、離反させることができ、例えば上ドラム11が下死点のときに下ドラム12が上死点に位置する剪断可能状態としたり、逆に上ドラム11が上死点のときに下ドラム12が下死点の開の非剪断状態にすることができる。
【0025】
この上下一体の軸箱17は、ハウジング18の底部両側に取付けた昇降シリンダ19で昇降可能とされる一方、ハウジング18の上部両側のスライド用シリンダ20でスライドさせることができる押えブロック21で押えることができるようになっており、押えブロック21に介装するストッパ22の厚さを変えることで軸箱17のハウジング18に対する昇降位置を変え、上下ドラム11,12を同時に昇降することができるようにしてある。そして、これら上下ドラム11,12の外周には、ドラムの胴長方向(ドラム軸方向)に沿って剪断刃23,24が取付けてある
また、ドラム軸11a,12aを支持する上下一体の軸箱17はドラム軸11a,12aの左右両端部を支持する軸箱同士がタイバー25で連結されており、左右の軸箱17を一体のカセット式としてハウジング18から取出したり、装着できるようにしてある。
【0026】
このような剪断刃23,24が取付けられた上下ドラム11,12を同期回転して被剪断材Wを剪断するための駆動系30は、上下ドラム11,12のドラム軸11a,12aの両端部に同一歯数の歯車31,32が取付けられており、上下ドラム軸11a,12aを接近させた状態で互いを噛み合わせて同期回転できるようにしてある。これら上下ドラム11,12のドラム軸11a,12aには、1台の駆動用モータ33の出力を2分割するギヤボックス34の2本のスピンドル35,36がユニバーサルジョイントを介して連結してあり、ギヤボックス34内の各スピンドル35,36にも同一歯数の歯車37,38が取付けられて互いに噛み合っており、上下ドラム11,12を離反させた状態でも2本のスピンドル35,36を同期回転できるようにしてある。
【0027】
したがって、上下ドラム11,12は偏心環15,16によって互いに接近した剪断刃23,24による剪断可能な状態であっても、偏心環15,16によって互いを離反させたミスカット状態(上下ドラム11,12を回転しても剪断刃23,24が噛み合わない非剪断状態)であってもドラム軸11a,12aがその両端部の歯車31,32とギヤボックス34内の歯車37,38との両方、あるいはギヤボックス34内の歯車37,38だけの噛み合いによって同期回転され、一旦セットされた上下の剪断刃23,24の位相がずれることがない。
【0028】
このような上下ドラム11,12の開閉を行って剪断状態とミスカット状態を得るための偏心環15,16の駆動系40は、両偏心環15,16の外側の端部に一体に同一歯数の歯車41,42が形成されて上下の偏心環15,16間で噛み合っており、下ドラム12の偏心環16の歯車42には、軸箱17に軸受43を介して回転可能に支持された偏心環駆動用ピニオン歯車軸44のピニオン歯車45が噛み合っている。この偏心環駆動用ピニオン歯車軸44には、ドラム軸開閉用駆動源としてのサーボモータ46がギヤボックス47及びユニバーサルジョイントを介して連結してあり、回転量を制御して上下ドラム11,12を剪断位置としたり、ミスカット位置とするよう制御装置48が設けられている。
【0029】
この制御装置48には、上下ドラム11,12の剪断刃23,24の位置信号と偏心環15,16の位置信号などが入力され、これに基づき偏心環15,16の回転量を制御する。
【0030】
なお、図中の記号50〜60は下ドラム12内に設けた通板用の駆動式のテーブルローラである。
【0031】
このようなドラム式走間剪断機10による通常の剪断は次のようにして行われる。
【0032】
剪断準備として、図6(a)に示すように、上下ドラム11,12のドラム軸11a,12aが支持された軸箱17を昇降シリンダ19及び押えブロック21のストッパ22の厚さを厚くして下降位置にセットし、上下ドラム11,12がパスラインの上下等距離の位置となるようにする。
【0033】
この後、偏心環15,16の回転位置を駆動系40のサーボモータ46を駆動してギヤボックス47、ユニバーサルジョイントを介して偏心環駆動用ピニオン歯車軸44を回転して上下剪断刃23,24の先端のラップ量Lを無くして隙間が形成されるミスカット状態にする。このミスカット状態としては、たとえば、上下剪断刃23,24が噛み合う剪断位置から偏心環15,16を180度戻した状態で、剪断刃23,24の先端間に30mm程度の隙間が形成されるようにするが、このような状態は予め製作してある偏心環15,16の形状によって得ることができる。
【0034】
こうしてミスカット状態にした後、上下ドラム11,12を駆動用モータ33で所定の高速状態まで加速し、保持する。この上下ドラム11,12の加速にあたっては、剪断刃23,24の位置が上下ドラム11,12の回転位置にかかわらず噛み合って剪断することがないので、十分な加速時間を取って加速することができるとともに、小容量の駆動用モータ33で加速することができる。
【0035】
こうして上下ドラム11,12が所定の高速状態に加速された後、図6(b)に示すように、被剪断材Wを切断するため、駆動系40のサーボモータ46を駆動してギヤボックス47、ユニバーサルジョイントを介して偏心環駆動用ピニオン歯車軸44を回転して偏心環15,16を回転し、上下剪断刃23,24が噛み合う剪断状態にする。
【0036】
この剪断状態は、たとえば上記ミスカット状態からバックスイングで反対方向に120度戻した切断スイング開始点から300度偏心環15,16を回転することで得られるが、被剪断材Wを所定長さで切断するには、この偏心環15,16をサーボモータ46で300度回転する時間と上下ドラム11,12の回転速度および剪断刃23,24の噛み合う位置が被剪断材Wの所定の位置となるように制御装置48で制御することで行われる。
【0037】
次いで、図6(c)に示すように、偏心環15,16は被剪断材Wの剪断後も回転され、たとえば剪断位置からさらに300度回転して停止するようにし、切断後の次の1回転目で被剪断材Wを切断しないミスカット状態にする。これと同時に、上下ドラム11,12は減速が開始されて停止される。
【0038】
この後、図6(d)に示すように、次の切断に備えて上下ドラム11,12を駆動用モータ33で剪断刃23,24が所定の位置に停止すようにするとともに、偏心環15,16を剪断位置から300度手前の剪断準備位置まで戻しておく。
【0039】
一方、このようなドラム式走間剪断機の上下の剪断刃23,24のギャップの制御、すなわち、クリアランス量Cとラップ量Lの制御は次のようにして行う。
【0040】
まず、剪断刃の幾何学的なクリアランス量Cを偏心環15,16とドラム11,12の回転位相(刃物中心角θ)とを同一とした場合で検討する。
【0041】
このドラム式走間剪断機10では、クリアランス量Cは偏心環15,16によって与えられるドラム軸11a,12aの接近・離反位置で変化するとともに、特に曲線刃の場合には、刃物中心角(ドラムの回転角度)θが同一でも刃幅方向のクリアランス量Cは大きく異なる。
【0042】
そこで、上下ドラム11,12の刃物中心角θが共死点(上下ドラムがそれぞれ下死点、上死点になる、共に死点、)より手前7度から共死点までの刃の中央部から端部における幅方向のクリアランスの変化を示すと、図7のようになる。なお、図中のLはラップ量、Cはクリアランス量、αは偏心環の位相角、θは刃物中心角である。
【0043】
例えば、厚さ0.8mmで圧延速度1150mpm のストリップを切断する場合、剪断刃とストリップは刃物中心角θが下死点より7.1度手前から刃物中央部が接触し始め、回転の進みにしたがって接触幅が順次広がり、両端側へ進行して下死点に至る間に切断される。
【0044】
また、クリアランス量Cは共死点近傍で最小となるが、刃幅方向で異なり、その時の刃物回転角は共死点手前4度で中央部が、共死点通過後4度で両端部が、それぞれ最小クリアランスになり、刃幅方向が同一クリアランスになるのは、共死点だけであり、通常この共死点でクリアランス量Cの計測や調整組立が行われる。
【0045】
たとえば、共死点でのクリアランス量Cを0.10mmとするとともに、ラップ量Lを1.5mmに設定した場合の刃幅方向の最小クリアランスを示したものが図8であり、共死点でのクリアランス量Cを0.13mmに変えた場合の刃幅方向の最小クリアランスを示したものが図9である。
【0046】
この図8から明らかなように、曲線刃であることから、共死点で設定したクリアランス量Cが0.1mmであっても、中央部や両端部がそれぞれ最小クリアランスとなるそれぞれの刃物回転角θの時のクリアランス量Cが理論上負の値となって、上下剪断刃が干渉してしまって実際には運転することができず、上下剪断刃の干渉を防止するためには、刃幅方向の最小クリアランス量Cが常に正の値である必要があり、例えば図9に示すように、共死点で設定するリアランス量を0.13mmにしなければならないことが分かる。
【0047】
一方、上下ドラム11,12の位相(刃物回転角θ)に対して偏心環15,16の位相を遅らせると、上下剪断刃23,24が共死点になっても偏心環15,16の位相が遅れた分だけラップ量Lが減少し、これにより見掛上の上下剪断刃23,24の刃先円の半径が小さくなり、クリアランス量Cが増加する。
【0048】
また、上下剪断刃23,24を同期駆動するとともに、図示しないバックラッシュを無くすための機構上、偏心環15,16によって上下のドラム11,12を引き離すようにすると、互いに噛み合う歯車31,32の噛み合いがピッチ円(PCD)の手前で生じるため、バックラッシュが大きくなり、図示しないバックラッシュ殺し歯車によって押される分だけクリアランス量Cが広がることになる。
【0049】
なお、これら歯車31,32および図示しないバックラッシュ殺し歯車のバックラッシュによるクリアランスの増大量は、その隙間のtan(圧力角)分となる。
【0050】
そこで、上下ドラム11,12の回転角度に対して偏心環15,16の回転角(位相角)を変えることで、上下剪断刃23,24のラップ量Lを変えてクリアランス量Cを増減することができる。
【0051】
たとえば、偏心環による位相遅れ角αと剪断刃の中央部の最小クリアランスとの関係を示したものが、図10であり、共死点におけるラップ量Lを1.5mmとし、クリアランス量Cを0.1mmと0.13mmにした場合をそれぞれ示してある。
【0052】
同図から明らかなように、ドラムの回転角(刃物回転角θ)に対して偏心環の位相遅れ角αを大きくするにしたがい、クリアランス量Cを大きくすることができ、例えば既に説明したクリアランス量Cを0.1mmに設定する場合でも偏心環の位相遅れ角αを2.2度以上とすることでクリアランス量Cを正の値にして干渉を防止することができることが分かる。
【0053】
すなわち、剪断開始より剪断完了までのクリアランス量Cの変動量を偏心環に位相遅れ角αを与えることで少なくすることができるのである。
【0054】
そこで、図1にこの発明のドラム式走間剪断機の刃物ギャップ制御方法の一実施の形態の概略構成を示すように、偏心環15,16の制御装置48に、予め被剪断材Wの厚みに応じたクリアランス量C、ラップ量Lを信号変換して記憶手段としての記憶部48aに入力しておき、これから切断する被剪断材Wの厚さを設板厚設定手段としての設定部48bに設定した後、演算制御手段としての演算部48cで剪断時の予め定めた偏心環15,16の位相遅れ角α、偏心環15,16の回転速度を算出設定し、この設定値に基づいて偏心環15,16の回転量およびドラム11,12の回転量をパルスジェネレータ(PLG)48d,48eにより検出しながらフィードバック制御をおこなって剪断時の偏心環15,16の位相遅れ角αが設定値になるように偏心環15,16の回転速度を制御する。
【0055】
なお、図1中の各構成要素の記号は、図2〜図6のドラム式走間剪断機の各構成要素で用いたものと同一である。
【0056】
したがって、偏心環15,16のドラム11,12に対する位相を外部から駆動系40のモータ46を制御装置48を介して制御することで、上下剪断刃23,24のラップ量Lを変えてクリアランス量Cを増減することができ、被剪断材の板厚が変わった場合に上下の剪断刃23,24のギャップ(ラップ量Lとクリアランス量C)を運転状態であっても簡単かつ正確に制御することができるとともに、特に、曲線刃を用いる場合でも剪断刃同志の干渉を防止して適正ギャップで剪断することができる。
【0057】
【発明の効果】
以上、一実施の形態とともに具体的に説明したようにこの発明のドラム式走間剪断機の刃物ギャップ制御方法および装置によれば、上下ドラムの回転角度に対して偏心環の回転角(位相角)を変えることで、上下剪断刃のラップ量Lを変えてクリアランス量Cを増減できることができ、予め、偏心環の位相遅れ角αとクリアランス量Cの変化の関係を求めておき、被剪断材の板厚が変わった場合に上下の剪断刃のギャップを運転状態であっても簡単かつ正確に制御することができる。
【0058】
また、曲線刃を用いる場合でも剪断刃同志の干渉を防止して適正ギャップに制御して剪断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のドラム式走間剪断機の刃物ギャップ制御方法の一実施の形態の概略構成図である。
【図2】この発明のドラム式走間剪断機の刃物ギャップ制御方法が適用されるドラム式走間剪断機の縦断面図である。
【図3】この発明のドラム式走間剪断機の刃物ギャップ制御方法が適用されるドラム式走間剪断機の横断面図である。
【図4】この発明のドラム式走間剪断機の刃物ギャップ制御方法が適用されるドラム式走間剪断機の駆動装置部分の縦断面図である。
【図5】この発明のドラム式走間剪断機の刃物ギャップ制御方法が適用されるドラム式走間剪断機の駆動装置部分の平面図である。
【図6】この発明のドラム式走間剪断機の刃物ギャップ制御方法が適用されるドラム式走間剪断機の剪断工程の説明図である。
【図7】ドラム式走間剪断機の刃物中心角θの変化に伴う刃幅方向クリアランスCの変化の関係の説明図である。
【図8】ドラム式走間剪断機の設定クリアランスと刃幅方向の最小クリアランスの関係の説明図である。
【図9】ドラム式走間剪断機の設定クリアランスと刃幅方向の最小クリアランスの関係の説明図である。
【図10】この発明のドラム式走間剪断機の刃物ギャップ制御方法の一実施の形態にかかる位相遅れ角αとクリアランスCの関係の説明図である。
【図11】従来のドラム式走間剪断機のクリアランス制御方法の説明図である。
【符号の説明】
10 ドラム式剪断機
11,12 上下ドラム
11a,12a ドラム軸
15,16 偏心環
17 軸箱
18 ハウジング
19 昇降シリンダ
23,24 剪断刃
25 タイバー
30 駆動系(上下ドラム)
31,32 歯車
33 駆動用モータ
35,36 スピンドル
37,38 歯車
40 駆動系(偏心環)
41,42 歯車
44 偏心環駆動用ピニオン歯車軸
45 ピニオン歯車
46 サーボモータ
48 制御装置
48a 記憶部
48b 設定部
48c 演算部
48d,48e センサ
C クリアランス量(ギャップ)
L ラップ量(ギャップ)
W 被剪断材
Claims (2)
- パスラインを挾んで上下1対のドラムを配置し、該ドラム外周の胴長方向に1対の剪断刃を取付け、該ドラムを支持する軸受の外周にドラム軸の軸心に対して適宜量偏心した1対の偏心環を設け、該偏心環の回転でドラム軸を接近離反させるドラム式走間剪断機の剪断刃のクリアランス量とラップ量とで定まるギャップを制御するに際し、
前記上下一対のドラムのドラム軸に互いを接近させた状態でバックラッシュ殺し機構を備えた歯車を噛み合わせて同期回転させるとともに、これら上下一対のドラム軸を離反させた状態でもギヤボックスおよびスピンドルにより同期回転させる駆動系を設け、上下一対のドラムを引き離した状態で前記歯車の噛み合い位置がピッチ円手前へ移動することに伴うバックラッシュ殺し機構による前記剪断刃のクリアランス量を増大可能とし、
前記剪断刃を前記ドラム胴長方向に湾曲した曲線刃で構成し、前記偏心環の位相角を前記ドラムの回転角に対して遅らせて上下曲線刃間のラップ量を変えてクリアランス量を正の値にし、上下曲線刃の干渉を防止するとともに、被剪断材の板厚に応じて前記クリアランスを増減するようにしたことを特徴とするドラム式走間剪断機の刃物ギャップ制御方法。 - パスラインを挾んで上下1対のドラムを配置し、該ドラム外周の胴長方向に1対の剪断刃を取付け、該ドラムを支持する軸受の外周にドラム軸の軸心に対して適宜量偏心した1対の偏心環を設け、該偏心環の回転でドラム軸を接近離反させるドラム式走間剪断機の剪断刃のクリアランス量とラップ量とで定まるギャップの制御装置において、
前記上下一対のドラムのドラム軸に互いを接近させた状態でバックラッシュ殺し機構を備えた歯車を噛み合わせて同期回転させるとともに、これら上下一対のドラム軸を離反させた状態でもギヤボックスおよびスピンドルにより同期回転させこれら上下一対のドラムを引き離した状態で前記歯車の噛み合い位置がピッチ円手前へ移動することに伴うバックラッシュ殺し機構による前記剪断刃のクリアランス量を増大可能とする駆動系を設け、
前記剪断刃を前記ドラム胴長方向に湾曲した曲線刃で構成し、前記ドラムおよび偏心環の回転量を検出する回転量検出手段と、被剪断材の板厚を設定する板厚設定手段と、予め板厚に応じたクリアランス量、ラップ量との関係およびドラムの回転角に対する偏心環の位相遅れ角と上下曲線刃間のクリアランス量との関係を記憶させる記憶手段と、偏心環の回転量およびドラムの回転量を検出し、偏心環の位相遅れ角が予め板厚に応じて定めた設定値になるよう偏心環の回転速度を制御して上下曲線刃のギャップを変えて干渉を防止するとともに、被剪断材の板厚に応じて前記クリアランスを増減する演算制御手段とでなることを特徴とするドラム式走間剪断機の刃物ギャップ制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35332795A JP4112643B2 (ja) | 1995-12-29 | 1995-12-29 | ドラム式走間剪断機の刃物ギャップ制御方法および装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35332795A JP4112643B2 (ja) | 1995-12-29 | 1995-12-29 | ドラム式走間剪断機の刃物ギャップ制御方法および装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09183011A JPH09183011A (ja) | 1997-07-15 |
JP4112643B2 true JP4112643B2 (ja) | 2008-07-02 |
Family
ID=18430105
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35332795A Expired - Lifetime JP4112643B2 (ja) | 1995-12-29 | 1995-12-29 | ドラム式走間剪断機の刃物ギャップ制御方法および装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4112643B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100851953B1 (ko) * | 2002-06-28 | 2008-08-12 | 주식회사 포스코 | 쵸퍼나이프 갭 자동조절 장치 |
CN102722104B (zh) * | 2012-06-29 | 2013-11-20 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种用于控制高强钢酸洗剪边质量的方法 |
CN113547162A (zh) * | 2021-07-30 | 2021-10-26 | 武汉科技大学 | 一种圆盘剪参数集成控制系统与方法 |
-
1995
- 1995-12-29 JP JP35332795A patent/JP4112643B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09183011A (ja) | 1997-07-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2792895B2 (ja) | 折り機の集合兼折り胴 | |
US7827891B1 (en) | Device for cutting a work piece in a transport line | |
US6085626A (en) | Rapid adjustment rotary dies | |
JP4112643B2 (ja) | ドラム式走間剪断機の刃物ギャップ制御方法および装置 | |
KR100468220B1 (ko) | 압연밴드의수평절단을위한고속절단기 | |
JPH08155887A (ja) | ウエブ材加工機 | |
JPS6146278B2 (ja) | ||
JP3052505B2 (ja) | ドラム式走間剪断機 | |
JP2001191216A (ja) | 圧延鋼板を幅方向分割する高速シャー | |
JPH0852701A (ja) | ベニヤ切削旋盤の切削ナイフの逃げ角度を制御する方法とその方法を実施するためのベニヤ切削装置 | |
JP4681726B2 (ja) | 圧延鋼板を幅方向分割する高速シャー | |
US3791244A (en) | Shearing machine for cutting of band material | |
JPS609613A (ja) | サイドトリミング装置 | |
JPS5854927B2 (ja) | 停止剪断機能を有する揺動型走間剪断機 | |
JPH05131320A (ja) | ドラム式走間剪断機 | |
JP4101686B2 (ja) | カットオフ装置 | |
JP2001239423A (ja) | 圧延ストリップの横切断のための高速度シヤー | |
CA1058132A (en) | Scrap chopper | |
JPS6257447B2 (ja) | ||
JP3749755B2 (ja) | シート切断装置 | |
JP4302951B2 (ja) | 切断装置 | |
JPS6380920A (ja) | 連続帯板圧延機での巻取方法 | |
KR200177040Y1 (ko) | 스윙형 스트립 사이드 크리핑 쉬어장치 | |
JPS649888B2 (ja) | ||
JP2000280377A (ja) | カットオフ装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060228 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060406 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060531 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060706 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060823 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20060905 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20060823 |
|
A912 | Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912 Effective date: 20061020 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080311 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080410 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110418 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120418 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120418 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130418 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140418 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |