JP4110852B2 - 包装用ポリエステルフィルムおよびそれを用いた包装材料 - Google Patents

包装用ポリエステルフィルムおよびそれを用いた包装材料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は包装用ポリエステルフィルムに関するものである。さらに詳しくは、機械特性、耐ピンホール性、耐衝撃性に優れ、さらには金属もしくは金属酸化物を蒸着することで優れたガスバリア性を有する包装用ポリエステルフィルムおよび該包装用ポリエステルフィルムを用いた包装材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルフィルムの代表例であるポリエチレンテレフタレート二軸延伸フィルムは、良好な機械強度、熱的特性、湿度特性、その他多くの優れた特性から、工業材料、磁気記録材料、光学材料、情報材料、包装材料など広い分野において使用されている。
【0003】
しかしながら、耐衝撃性、耐ピンホール性が特に重要となる包装材料用途ではポリエチレンテレフタレートフィルムはその強靱さの裏返しである硬さ故に特性が不充分であり、柔軟性に優れ、耐衝撃性やゲルボテストに代表される耐屈曲ピンホール性、さらにはそれらの低温での優れた特性を有するポリアミド二軸延伸フィルムが多く使用されている。
【0004】
しかしながら、脂肪族ポリアミドはその化学構造から水との親和性が高いために吸湿性が高く、湿度寸法安定性の劣化や平面性の劣化などのポリマー固有の本質的な問題があり、ガスバリア性を高めるための金属化合物の蒸着が困難であったり、吸湿により印刷やラミネート層との接着力が低下するという問題がある。
【0005】
それに対して、ポリエステルは吸湿性に乏しく、ポリアミドのような問題は生じないが、先に述べたように包装材料に要求される耐衝撃性、耐ピンホール性に劣るという課題があった。
【0006】
これらの問題点に対し、従来、ポリエステルの耐衝撃性、耐ピンホール性を向上させる試みとして、たとえば、特開平6−79776号公報には、特定のヤング率を有する柔軟性ポリエステルフィルムが開示されており、また特開平7−330926号公報には、特定分子量のポリテトラメチレングリコールを特定の割合でポリエステルに混合し、特定の粒子を特定量添加するポリエステルフィルムが開示されている。さらには、特開2001−11213号公報には特定量のポリテトラメチレングリーコールを含有する変性ポリブチレンテレフタレートにポリエチレンテレフタレートを添加する柔軟性ポリエステルフィルムが開示されている。しかしながら、これらの手法ではフィルムの機械特性や透明性が悪化したり、酸化アルミニウムや酸化ケイ素などを用いた透明蒸着性が悪いなどの問題あり、さらには、最も重要な耐衝撃性、耐屈曲ピンホール性が不充分であるという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記した問題点を解消することにあり、ポリエステルフィルムの特長である、低吸湿性、寸法安定性、平面性、透明性を維持したまま、ポリアミド二軸延伸フィルムの有する耐衝撃性、耐屈曲ピンホール性さらには優れたガスバリア性を有する包装用ポリエステルフィルムおよび該包装用ポリエステルフィルムを使用した包装材料を提供することにある。
【0008】
【発明の属する技術分野】
本発明の上記課題は、
ポリエステル樹脂中にガラス転移点が−72〜20℃の低Tgポリマーをフィルム全体に対して1重量%以上5重量%以下島状に分散含有してなるポリエステルフィルムにおいて、フィルム中に島状に分散した低Tgポリマーの長径が0.3〜0.85μm、短径が1〜15nmであり、該ポリエステル樹脂がポリエステル第1成分とポリエステル第2成分を用いてなり、ポリエステル第1成分がポリエチレンテレフタレートまたはイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートであり、ポリエステル第2成分がポリブチレンテレフタレートまたはイソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレートであり、該ポリエステル第1成分がフィルム全体に対して80重量%以上85重量%以下含有されており、該ポリエステル第2成分がフィルム全体に対して10重量%以上19重量%以下含有されおり、かつ低Tgポリマーがポリブチレンテレフタレートとポリオキシアルキレングリコールのブロック共集合体であることを特徴とする包装用ポリエステルフィルムム、によって達成することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂とは、主鎖中の主要な結合をエステル結合とする高分子の総称であって、通常ジカルボン酸成分とグリコール成分を重縮合反応させることによって得ることができる。本発明では、該ポリエステル樹脂がポリエステル第1成分とポリエステル第2成分を用いてなり、ポリエステル第1成分がポリエチレンテレフタレートまたはイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートであり、ポリエステル第2成分がポリブチレンテレフタレートまたはイソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレートであることが必要である。また、該ポリエステル第1成分がフィルム全体に対して80重量%以上85重量%以下含有されており、該ポリエステル第2成分がフィルム全体に対して10重量%以上19重量%以下含有されていることが必要である。
【0010】
本発明に用いるポリエステル樹脂は、機械特性、寸法安定性、耐熱性の観点から、融点が240〜270℃であると好ましい。特に金属化合物や金属酸化物を蒸着する際の耐熱性の観点からは、融点が246〜270℃であるとより一層好ましい。
【0011】
本発明の包装用ポリエステルフィルムにおいては、耐衝撃性、耐屈曲ピンホール性の観点から上記したポリエステル樹脂中にガラス転移点が−72〜20℃である低Tgポリマーを1重量%以上5重量%以下島状に分散含有することが必要である。低Tgポリマーの含有量が重量%未満であると耐衝撃性、耐屈曲ピンホール性が向上しない。また、5重量%を越える量を添加するとフィルムの透明性が悪化する。透明性の観点からは低Tgポリマーの添加量は〜3重量%であるとより好ましい。
【0012】
また、本発明の包装用ポリエステルフィルム中における低Tgポリマーの存在状態は、耐衝撃性、耐屈曲ピンホール性の観点からポリエステル樹脂を海成分とし、その中に低Tgポリマー成分が島状に分散した、いわゆる海島構造を形成していることが必要である。そして、島状に分散した低Tgポリマー成分の長径が0.3〜0.85μm、短径が1〜15nmであることが必要である。より好ましくは長径が300〜700nmある。長径が0.3μmに満たないと耐衝撃性が悪化し、長径が1.0μmを超えるとフィルムの透明性、ヘイズが悪化し、またフィルムの力学特性、寸法安定性が悪化する問題がある。また、短径が1nmに満たないと耐衝撃性の向上が発現せず、短径が50nmを超えるとフィルムの力学特性、寸法安定性が悪化する問題がある。
【0013】
また、耐衝撃性の観点からは長径(Dl)と短径(Ds)の比(Dl/Ds)が20〜100であると好ましく、25〜80であるとより一層好ましい。
【0014】
本発明における低Tgポリマーは、ガラス転移点が−72〜20℃するものである。ガラス転移点が−100℃より低いと生産性が悪化する問題があり、20℃より高いと耐衝撃性が悪化する問題がある。
【0015】
この低Tgポリマーとしては、ポリブチレンテレフタレートとポリオキシアルキレングリコールのブロック共集合体であることが必要である。ポリエステル樹脂との親和性、特に製膜中の延伸工程においてボイドを形成しないポリマーが好ましいためである。ポリオキシアルキレングリコールとしてはポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを挙げることができるが、これらの中でもでもポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールのブロック共重合体が好ましく用いることができる。また、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールのブロック共重合体をポリエステル樹脂に添加する際に親和性をさらに向上させ、透明性を維持するためにポリブチレンテレフタレートを添加することは好ましいことである。低Tgポリマーに用いるポリオキシアルキレングリコールの分子量としては、500〜4000であることが好ましい。また、ポリブチレンテレフタレートとの共重合率としてはガラス転移点が上記した好ましい範囲内であれば特に限定されるものではないが、ポリオキシアルキレングリコールが30〜70重量%であることが好ましい。
【0016】
上記した低Tgポリマーのポリエステル樹脂中への添加方法については特に限定されるものではないが、一般にポリエステル樹脂を使用してフィルムを製造する場合、ポリエステル樹脂は高温真空中(ポリエチレンテレフタレートの場合150〜180℃)で十分に乾燥された後、溶融押出機に供給される。しかしながら、低Tgポリマーをポリエステル樹脂と同様に真空乾燥した場合には軟化してしまい、おこし状のブロックを形成する原因となり、押出不良などが発生する場合がある。したがって、低Tgポリマーの添加に際しては事前にポリエステル樹脂とベント式二軸押出機を用いるなどして乾燥の際に融着しないように前処理を施すことは好ましい方法である。
【0017】
本発明で用いるのポリエステル樹脂を重合するに際しては、従来公知の反応触媒、着色防止剤を使用することができ、反応触媒としてはたとえばアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物などを、着色防止剤としてはリン化合物などを使用することができるが、特にこれらに限定されるものではない。内容物取出性の観点からはアルカリ金属化合物および/もしくはアルカリ土類金属化合物を反応触媒に用いることが好ましい。
【0018】
重合触媒の添加に関しては、ポリエステルの製造が完結する以前の任意の段階において、重合触媒としてアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物および/またはチタン化合物を添加することが好ましい。このような方法としては、たとえば、ゲルマニウム化合物を例にすると、ゲルマニウム化合物粉体をそのまま添加する方法や、あるいは特公昭54−22234号公報に記載されているように、ポリエステルの出発原料であるグリコール成分中にゲルマニウム化合物を溶解させて添加する方法などを使用することができる。
【0019】
ここで、ゲルマニウム化合物としては、たとえば、二酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム水和物あるいはゲルマニウムテトラメトキシド、ゲルマニウムエチレングリコキシドなどのゲルマニウムアルコキシド化合物、ゲルマニウムフェノキシド化合物、リン酸ゲルマニウム、亜リン酸ゲルマニウムなどのリン酸含有ゲルマニウム化合物、酢酸ゲルマニウムなどを使用することができる。中でも二酸化ゲルマニウムが好ましく用いられ、非晶質の二酸化ゲルマニウムが特に好ましく用いられる。
【0020】
また、アンチモン化合物としては特に限定されないが、たとえば、三酸化アンチモンなどの酸化物、酢酸アンチモンなどが使用される。
【0021】
また、チタン化合物としては特に限定されないが、モノブチルチタネートやジブチルチタネートなどやチタンテトラエトキシド、チタンテトラブトキシドなどのチタンテトラアルコキシドが好ましく用いられる。
【0022】
たとえば、ポリエチレンテレフタレートを製造するに際して、触媒として二酸化ゲルマニウムを添加する場合には、テレフタル酸成分とエチレングリコール成分をエステル交換またはエステル化反応させ、次に二酸化ゲルマニウム、リン化合物を添加し、引き続き高温、減圧下で一定のジエチレングリコール含有量になるまで重縮合させ、ゲルマニウム元素含有重合体を得る方法が好ましく用いられる。
【0023】
本発明のフィルムは取り扱い性、加工性を向上させるために、平均粒子径0.01〜2μmの公知の内部粒子、無機粒子および/または有機粒子を0.01〜0.1重量%含有することも好ましい。内部粒子の析出方法としては公知の技術を用いることができるが、たとえば特開昭48−61556号公報、特開昭51−12860号公報、特開昭53−41355号公報、特開昭54−90397号公報などに記載の技術を採用することができる。さらに、特公昭55−20496号公報、特開昭59−204617号公報などの他の粒子を併用することもできる。なお、2μmを越える平均粒子径を有する粒子を使用すると、得られたフィルムに蒸着を行った際に蒸着層に欠陥が生じることがあるので注意を要する。
【0024】
また、無機粒子としては、たとえば湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、マイカ、カオリン、クレーなど、有機粒子としてはスチレン、シリコーン、アクリル酸類、メタクリル酸類、ポリエステル類、ジビニル化合物などを構成成分とする粒子を使用することができる。中でも、湿式および乾式シリカ、アルミナなどの無機粒子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼンなどを構成成分とする粒子を使用することが好ましい。さらに、これらの内部粒子、無機粒子および有機粒子は二種以上を併用してもよい。これらの中でもでも特に無機粒子を好ましく用いることができ、中でも乾式または湿式シリカが好ましく用いられる。また、粒子の添加量はガスバリア性の点で0.01〜0.08重量%であるとより好ましい。さらに好ましくは、0.01〜0.05重量%である。粒子の添加量がかかる好ましい範囲であると、蒸着を行った場合に蒸着層にピンホールが発生しにくく、ガスバリア性を優れたものとできる。
【0025】
次に、本発明のポリエステルフィルムの製造方法としては、特に限定されるものではないが、たとえば低Tgポリマーを所定量添加したポリエステル樹脂を必要に応じて乾燥した後、公知の溶融押出機に供給、溶融しスリット状のダイからシート状に押出し、特に限定されないが、たとえばワイヤー状電極もしくはテープ状電極を使用して静電印加する方法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けたキャスト法、キャスティングドラム温度をポリエステルのガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくはこれらの方法を複数組み合わせた方法によりシート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ冷却固化し未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、生産性を損なわず、平面性を維持する観点から静電印加する方法が好ましく使用され、特にテープ状電極を使用する方法が好ましく用いられる。かかる未延伸フィルムを用いて長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行う。
【0026】
かかる延伸方法において、採用される延伸倍率としては、それぞれの方向に好ましくは3.0〜5.0倍である。また、延伸速度は2000〜500000%/分であることが望ましく、延伸温度はポリエステルのガラス転移点〜(ガラス転移点+100℃)の温度範囲であれば任意の温度とすることができるが、好ましくは、80〜150℃、特に好ましくは長手方向の延伸温度を80〜120℃、幅方向の延伸温度を70〜130℃とするのがよい。また、延伸は各方向に対して複数回行ってもよい。
【0027】
さらに二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行うが、この熱処理はオーブン中、加熱されたロール上など従来公知の任意の方法により行うことができる。熱処理温度は160〜230℃の範囲の任意の温度とすることができるが、耐屈曲ピンホール性、寸法安定性の点から170〜220℃の熱処理温度であることが好ましい。かかる好ましい温度で熱処理する場合には、寸法安定性に優れ、高温でも耐屈曲ピンホール性が悪化することがない。耐屈曲ピンホール性を優れたものとする観点からは180〜210℃であればさらに好ましく、180〜200℃の範囲であればより一層好ましい。また、熱処理時間は他の特性を悪化させない範囲において任意とすることができるが、通常1〜30秒間行うのが好ましい。さらに、熱処理はフィルムを長手方向および/または幅方向に弛緩させて行ってもよい。
【0028】
本発明の包装用ポリエステルフィルムはガスバリア性の観点から、フィルムの片側表面に金属もしくは金属酸化物を蒸着して用いることは好ましいことである。特に好ましい金属および金属酸化物としてはアルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素を挙げることができる。酸化アルミニウムおよび/もしくは酸化ケイ素を蒸着するとフィルムのヘイズの低さも相まって、透明ガスバリア性フィルムとして好ましく用いることができる。
【0029】
本発明の包装用ポリエステルフィルムの表面にはコロナ放電処理などの表面処理を施すことにより,接着性をさらに向上させることは特性を向上させる上で好ましい。特に、金属や金属酸化物を蒸着する際は、蒸着するフィルム表面に予めコロナ放電処理を行うことが、フィルムと蒸着層の密着性を高めることから好ましい。さらに、フィルムの表面に易接着性コーティング剤や樹脂などの各種コーティングを施してもよく,その塗布化合物,方法,厚みは本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。
【0030】
本発明の包装用ポリエステルフィルムは接着剤を介してもしくは介さずに直接に、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体などからなる、延伸もしくは無延伸のポリオレフィンフィルムをラミネート、もしくはポリオレフィン樹脂を押出ラミネートして包装材料として好ましく用いることができる。ポリオレフィンとラミネートする前に、本発明の包装用ポリエステルフィルムのラミネート面側に印刷や上記した蒸着を施すことで、包装材料としてより好ましく用いることができる。さらに、本発明の包装用ポリエステルフィルムとポリオレフィンの間にアルミ箔をラミネートしておけば、ハイガスバリア包装材料として特に好ましく用いることができる。
【0031】
本発明の包装用ポリエステルフィルムはポリエステルフィルムの特長である、低吸湿性、寸法安定性、平面性、透明性を維持したまま、ポリアミド二軸延伸フィルムの有する耐衝撃性、耐屈曲ピンホール性に匹敵する特性を有し、さらには優れたガスバリア性を有することから食品包装用途などに好ましく使用することができる。
【0032】
【実施例】
以下実施例によって本発明を詳細に説明する。なお特性は以下の方法により測定、評価した。
(1)融点およびガラス転移点
融点はサンプルを約5mg採取し、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)製RDC220型)により、20℃/分の昇温速度で測定した。
(2)ヘイズ(曇度)
JIS K 6714−58に従い、SEP−H−2系濁度計(日本精密光学(株)製)を用いてヘイズを測定した。
(3)耐屈曲ピンホール性
ASTM F−392に準じて、297×210mmの大きさに切り出したフィルムをゲルボテスターを使用し0℃の温度で、1500回の繰り返し屈曲試験を実施した。試験を5回行い、ピンホール個数の平均値を算出した。
(4)耐衝撃性
厚さ50μmの無延伸ポリプロピレンシートをドライラミネートしたフィルムを用い、インパルスシーラーを用いて四方をシールして、食塩水230mlの入った210mm×140mmの袋を作製し、これを0℃に冷却し高さ1.3mから10個落下させ、破袋あるいは水漏れを起こした袋の個数を調べた。
(5)ガスバリア性
得られたフィルムに連続式真空蒸着機によりアルミニウムを蒸着層厚さ25nmに蒸着したフィルムを使用して、酸素透過率はASTMD−3985に準じて、モダンコントロール社製酸素透過率測定装置OX−TRAN100を用いて、20℃、0%RHの条件にて測定した。一方、水蒸気透過率は同様に蒸着したフィルムを使用して、モダンコントロール社製水蒸気透過率計PERMATRAN−W1Aを用いて、40℃、90%RHの条件で測定した。
(6)分散径
フィルムの長手方向の断面より超薄切片をミクロトームで採取し、RuO4にて染色を行い、透過型電子顕微鏡((株)日立製H−7100FA型)で加速電圧100kVにて観察(倍率4万倍)し、画像処理によりフィルム中に分散している低Tgポリマーの分散径(長径、短径)を測定し平均値を算出した。
(実施例1)
ポリエステル樹脂として、以下のようにして重合を行って得たポリエチレンテレフタレートを用いた。テレフタル酸ジメチル100重量%、エチレングリコール60重量%の混合物に、テレフタル酸ジメチル量に対して酢酸マグネシウム0.09重量%、三酸化アンチモン0.03重量%を添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行った。次いで、該エステル交換反応生成物に、テレフタル酸ジメチル量に対して、リン酸85%水溶液0.020重量%を添加した後、重縮合反応層に移行する。次いで、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1mmHgの減圧下、290℃で常法により重縮合反応を行い、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。なお、エステル交換反応後、平均粒子径1.0μmの凝集シリカ粒子のエチレングリコールスラリーを添加して重縮合反応を行い、粒子濃度2重量%の粒子マスターを作製し、後に述べる乾燥時に該粒子マスターを全体に対して3重量%添加し、フィルム中に粒子を0.06重量%添加した。
【0033】
また、低Tgポリマーとの親和性を高める目的で、ポリエチレンテレフタレートにポリブチレンテレフタレートを15重量%混合した。ポリブチレンテレフタレートの重合は以下のように行った。テレフタル酸100重量%、1,4−ブタンジオール110重量%の混合物を窒素雰囲気下で140℃まで昇温して均一溶液とした後、テレフタル酸に対してオルトチタン酸テトラ−n−ブチル0.054重量%、モノヒドロキシブチルスズオキサイド0.054重量%を添加し、常法によりエステル化反応を行った。次いで、オルトチタン酸テトラ−n−ブチル0.066重量%を添加して、減圧下で重縮合反応を行い、固有粘度0.88のポリブチレンテレフタレート樹脂を得た。その後、常法により固相重合を行い、固有粘度1.20のポリブチレンテレフタレート樹脂を得た。
【0034】
低TgポリマーとしてはTgが−72℃であるポリオキシアルキレングリコールとポリブチレンテレフタレートのブロック共重合体(デュポン社製“ハイトレル”3078、登録商標)を2重量%添加した。
【0035】
製膜は次のとおりに行った。上記で得たポリエステル樹脂および低Tgポリマーを真空乾燥した後混合し、65ミリ単軸溶融押出機に供給しTダイより25℃に冷却したハードクロムメッキしたドラム上に静電印加しながら押出し未延伸シートを得た。該シートをロール上で95℃に予熱後、3.5倍に長手方向に延伸した。その後、冷却ロールでいったん冷却し、次いでフィルム両端を把持してステンター式横延伸熱処理機に通し、予熱75℃、延伸温度100℃でフィルム幅方向に3.5倍延伸した。さらに、幅方向に3%のリラックスを掛けながら、205℃で3秒間の熱処理を施し、冷却し、フィルムを巻き取り厚さ12μmのフィルムを得た。フィルムの原料組成を表1に、得られたフィルムの特性を表2に示した。表2より実施例1のフィルムは透明性に優れるだけでなく、優れた耐屈曲ピンホール性、耐衝撃性、ガスバリア性を併せて有しており、包装用フィルムとして好適に使用することができることがわかる。
【0036】
【表1】
Figure 0004110852
【0037】
【表2】
Figure 0004110852
(実施例2、3、比較例1〜4)
使用するポリエステル樹脂および低Tgポリマーを表1に示したように変更して、実施例1と同様に製膜を行い、厚さ12μmのフィルムを得た。
【0038】
フィルムの原料組成を表1に併せて示し、得られたフィルムの特性を表2に併せて示した。表2より実施例2、3のフィルムは透明性に優れるだけでなく、優れた耐屈曲ピンホール性、耐衝撃性、ガスバリア性を併せて有しており、包装用フィルムとして好適に使用することができることがわかる。一方、比較例1〜4は、透明性、ガスバリア性、耐屈曲ピンホール性のいずれかが優れている場合でも、少なくとも一つ以上の特性に劣っていた。
【0039】
【発明の効果】
本発明の包装用ポリエステルフィルムはポリエステルフィルムの特長である、低吸湿性、寸法安定性、平面性、透明性を維持したまま、ポ包装材料として要求される耐衝撃性、耐屈曲ピンホール性に優れた特性を有するだけでなく、優れたガスバリア性をも併せ持つことから食品包装用途などに好ましく使用することができる。

Claims (5)

  1. ポリエステル樹脂中にガラス転移点が−72〜20℃の低Tgポリマーをフィルム全体に対して1重量%以上5重量%以下島状に分散含有してなるポリエステルフィルムにおいて、フィルム中に島状に分散した低Tgポリマーの長径が0.3〜0.85μm、短径が1〜15nmであり、該ポリエステル樹脂がポリエステル第1成分とポリエステル第2成分を用いてなり、ポリエステル第1成分がポリエチレンテレフタレートまたはイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートであり、ポリエステル第2成分がポリブチレンテレフタレートまたはイソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレートであり、該ポリエステル第1成分がフィルム全体に対して80重量%以上85重量%以下含有されており、該ポリエステル第2成分がフィルム全体に対して10重量%以上19重量%以下含有されおり、かつ低Tgポリマーがポリブチレンテレフタレートとポリオキシアルキレングリコールのブロック共集合体であることを特徴とする包装用ポリエステルフィルム。
  2. ヘイズが3.5%以下であることを特徴とする請求項1に記載の包装用ポリエステルフィルム。
  3. フィルムの融点が240〜270℃であることを特徴とする請求項1または2に記載の包装用ポリエステルフィルム。
  4. フィルムの少なくとも片面に金属もしくは金属酸化物が蒸着されてなる請求項1〜のいずれかに記載の包装用ポリエステルフィルム。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の包装用ポリエステルフィルムの片面にアルミ箔および/またはポリオレフィンがラミネートされてなることを特徴とする包装材料。
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