JP4109947B2 - 歯車型撓み軸継ぎ手 - Google Patents
歯車型撓み軸継ぎ手 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4109947B2 JP4109947B2 JP2002281461A JP2002281461A JP4109947B2 JP 4109947 B2 JP4109947 B2 JP 4109947B2 JP 2002281461 A JP2002281461 A JP 2002281461A JP 2002281461 A JP2002281461 A JP 2002281461A JP 4109947 B2 JP4109947 B2 JP 4109947B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gear
- shaft joint
- bridging member
- conductive
- type flexible
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Classifications
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16D—COUPLINGS FOR TRANSMITTING ROTATION; CLUTCHES; BRAKES
- F16D3/00—Yielding couplings, i.e. with means permitting movement between the connected parts during the drive
- F16D3/16—Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts
- F16D3/18—Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts the coupling parts (1) having slidably-interengaging teeth
- F16D3/185—Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts the coupling parts (1) having slidably-interengaging teeth radial teeth connecting concentric inner and outer coupling parts
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Power Steering Mechanism (AREA)
- Gears, Cams (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は歯車型撓み軸継ぎ手に関し、特に電気車の電動機の回転軸と、台車の車軸に組み込まれた歯車装置の被動軸とを揺動自在に接続する歯車型撓み軸継ぎ手に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の歯車型撓み軸継ぎ手ではグリースの粘性と絶縁性能を向上して電食の防止を図っている。
【0003】
歯車型撓み軸継ぎ手に関する電食現象とは、回転中の歯間の接触面間に電位差が生じた場合、薄い潤滑油膜を通してスパークし、その表面が凹凸となる現象であり、顕著なものは梨地状の凹凸が見られることである。
【0004】
歯車型撓み軸継ぎ手に対して、電動機に機械的に連結している回転軸と、レールや車輪や変速機に連結している回転軸との間に、電気車の帰線電流や、電動機の軸電圧や、電動機のインバータ駆動にともなう高調波電圧や、帯電作用などの要因から、電位差が生じている。
【0005】
歯車型撓み軸継ぎ手は、第1の回転軸と、第1の回転軸に固着され、一体に形成された外歯を持った第1のピニオンと、第1の回転軸と第1のピニオンを収納し、外歯と噛み合う内歯を持つ第1のスリーブと、第1の回転軸に対向して設けられた第2の回転軸と、第2の回転軸に固着され、一体に形成された外歯を持った第2のピニオンと、第2の回転軸と第2のピニオンを収納し、第1のスリーブと締結され、外歯と噛み合う内歯を持つ第2のスリーブと、外歯と内歯の側面を覆うようにスリーブに固着された端カバーとからなる。
なお、回転軸と、ピニオンと、スリーブはともに鋼材から加工されており、端カバーは鋼材を加工した後、亜鉛メッキを施している。
さらに、内歯と外歯との接触面を潤滑する潤滑グリースがスリーブと端カバーで保持されている。外歯と内歯の接触面は、潤滑グリースで薄く覆われているので、スリーブはピニオンや回転軸と電気的に絶縁されている。
【0006】
電食を防止するために、内歯と外歯間に真空が生じないように耐遠心分離性に優れ、絶縁性能に優れたグリースを用いている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
また、絶縁して軸受内を電流が流れないように、スリーブが鋼製の内歯が一体に埋め込まれた繊維強化プラスチックス製円筒容器からできている。回転軸間に数ボルトの電位差が生じても絶縁破壊されることがないので、内歯と外歯間での電食は発生しない(例えば、特許文献2参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−152490号公報(段落0008、図1)
【特許文献2】
特開平5−240259号公報(段落0009、図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のような歯車型可撓形軸継ぎ手では以下のような問題があった。特許文献1に記載のように、潤滑グリースの性能を向上させて、電食の発生の割合を減少することができるが、回転軸の回転数がさらに大きくなると、内歯と外歯間に真空部分が発生し、電食の発生の割合が増加するという問題があった。
【0010】
また、特許文献2に記載ように繊維強化プラスチックス製の円筒容器をスリーブとして用いるためには、繊維強化プラスチックスの強度を十分に大きくしなければならず、そのために高価なエンジニアリングプラスチックを用いなければならない。
また、繊維強化プラスチックスで形成されたスリーブの内周部を、歯車部と機械加工と同様な精度で組み合わせることは困難である。
【0011】
この発明の目的は、軸角度方向の傾斜や遠心力が加わったピニオンとスリーブ間が経時変化が少なく、低抵抗で導通している歯車型撓み軸継ぎ手を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明に係わる歯車型撓み軸継ぎ手においては、内周面で回転軸に固着され、外歯を有した筒状のピニオンと、ピニオンに対向し、外歯に噛合する内歯を有する円筒状のスリーブと、スリーブに固着されて、ピニオンとスリーブの側面を覆う導電性の端カバーとを備えた歯車型撓み軸継ぎ手において、回転軸と端カバーとの間に導電性橋絡部材が設けられ、端カバーの平坦部へ導電性橋絡部材がばね性を有し且つ外側に広がろうとする係留部材で係留されている。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1の歯車型撓み軸継ぎ手の部分断面図である。この発明の歯車型撓み軸継ぎ手の全体の構造は従来のものとよく似ており、その端カバーの部分と導電性橋絡部材が追加されたことだけが異なっていて、その他は同じである。
【0015】
歯車型撓み軸継ぎ手は、内周面1aで回転軸2に固着され、先端部1bに外歯3を有した筒状のピニオン1と、ピニオン1に対向し、外歯3に噛合する内歯4を有する円筒状のスリーブ5と、ピニオン1と外歯3とスリーブ5と内歯4の側面を覆い、スリーブ5に金属製のナット6で固着された端カバー7とを備えている。外歯3と内歯4の間に潤滑グリース8を注入し、潤滑している。グリース8は端カバー7で外部への飛散が防がれている。
端カバー7の先端部7aは、内方に彎入したピニオン1の側部に設けられたV字状断面の環状溝1cに彎入されている。端カバー7は鋼材から加工し、表面を亜鉛メッキを施してある。
【0016】
導電性橋絡部材9はゴムにカーボンブラックを混練りし、回転軸2の外径と等しい径を有する内周部9aと、回転軸2の軸方向の断面形状にC字状の彎曲部9bとからなるリング形状の部材である。C字状の彎曲部9bを引き延ばすと、回転軸2とスリーブ5の中心軸との角度が大きくなっても、導電性橋絡部材9が端カバー7に接触できる長さの部材を彎曲している。
この導電性橋絡部材9の内周部9aが回転軸2の外周に固定されるように、締め付けバンド10で固定され、一方、導電性橋絡部材9の外周部9cと端カバー7の外側面7bが導電性橋絡部材9の弾性により接触し、摺動できる。特に歯車型撓み軸継ぎ手が回転するので、導電性橋絡部材9の外周部9cは端カバー7の動きに追随して接触し、摺動するので、回転軸2と端カバー7の間が導通される。
【0017】
このような構成の歯車型撓み軸継ぎ手の回転軸2とスリーブ5間の絶縁抵抗は、従来の十分の一位の抵抗である。また、回転軸2とスリーブ5の中心軸を相対的に傾斜させた際も、回転軸2とスリーブ5間の抵抗の変化はほとんど見られなかった。
このような歯車型撓み軸継ぎ手を電動機と減速装置との間に設置した台車を通常の走行パターンで軌道上を走行させた後、外歯と内歯の歯面を観察したが、電食に起因すると思われる表面の凹凸などが見られなかった。
さらに、回転軸2とスリーブ5間の導通の経時変化を追跡したが、ほとんど変化が見られなかった。
【0018】
このような歯車型撓み軸継ぎ手は回転軸2とスリーブ5間の導通が取れているので、電食が歯車に起こらずに、電食によると思われる振動や異音などの不具合を防止できる。
【0019】
また、回転軸2の軸方向と、スリーブ5の中心軸方向との角度が大きくなっても、導電性橋絡部材9の断面がC字状のリングなので、回転軸2とスリーブ5間の抵抗の変化が少なく、どのような走行パターンでも電食が起こりづらい。
【0020】
また、導電性の確保と塵除け水除けの効果があり、導電性を確保するための特別なコストが掛からない。
【0021】
尚、この実施の形態1では導電性橋絡部材9として、クロロプレンゴムにカーボンブラックを混練りして加硫成形したが、ゴムとしてはネオプレンーブタジエンゴムやウレタンゴムなどを用いても同様な効果が得られる。
さらに、可撓性を有する樹脂としてオレフィン系樹脂などにカーボンブラックなどを添加して射出成形しても同様な効果が得られる。
さらに、カーボン繊維や金属繊維を添加した導電性橋絡部材9でも、カーボンブラックの添加と同様な効果が得られる。
さらに、端カバー7は鋼材から加工し、表面を亜鉛メッキしているが、アルミニウムの鋳物でも、導電性橋絡部材9との電気的接続は良好であった。
【0022】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2の歯車型撓み軸継ぎ手の部分断面図である。図1と異なるのは端カバーの部分と導電性橋絡部材だけである。
端カバー11の外側面11bに回転軸2と同心状の筒状の平坦部11cが設けられている。この平坦部11cと、それに連なった外側面11bの一部からなる係留面11dに、酸化して錆難いニッケルやステンレススチールの金属箔からなる当接導体12が蝋付けで導電性を有しながら接着されている。
【0023】
さらに、締め付けバンド10で回転軸2の外周に内周部13aが取り付けられ、端カバー11の平坦部11cに内接するように、ばね性を有し、外側に広がろうとする留め金からなる係留部材14で係留された外周部13cとを有する導電性橋絡部材13とを備えている。外周部13cは平坦部11cへ係留部材14で押しつけ、圧接されている。
導電性橋絡部材13はクロロプレンゴムにカーボンブラックを混練りし、回転軸2の外径と等しい径を有する内周部13aと、回転軸2の軸に対して垂直方向の断面がS字状である彎曲部13bと、平坦部11cの内径と等しい径を有する外周部13cとを含んだ形状に成形できる金型でリング状にプレスして作られている。S字状の彎曲部13bを引き延ばした長さは回転軸2とスリーブ5の中心軸との角度が最大に傾斜したときも、彎曲部13bが延びきらないようにしている。
【0024】
このような構成の歯車型撓み軸継ぎ手の回転軸2とスリーブ5間の絶縁抵抗は、実施の形態1よりさらに小さな値を示している。また、回転軸2とスリーブ5の軸を傾斜した際に、回転軸2とスリーブ5間の抵抗の変化はほとんど見られなかった。
このような歯車型撓み軸継ぎ手を電動機と減速装置との間に設置した台車を通常の走行パターンで軌道上を走行させた後、外歯と内歯の歯面を観察したが、電食に起因すると思われる表面の凹凸などが見られなかった。
さらに、回転軸2とスリーブ5間の導通の経時変化を追跡したが、ほとんど変化が見られなかった。
【0025】
このような歯車型撓み軸継ぎ手は実施の形態1と同様に、導電性ゴムで回転軸2とスリーブ5間の導通が撓みながら取れているので、電食が歯車に起こらずに、電食によると思われる振動や異音などの不具合を防止できる。
【0026】
また、端カバー11が高い周波数の振動をしても、外周部13cが係留されているので、端カバー11と回転軸2間の導通が切れることがない。
また、回転軸2の軸方向と、スリーブ5の軸方向との角度が大きくなっても、導電性橋絡部材13が断面がS字状のリングなので、回転軸2とスリーブ5間の抵抗の変化が少なく、どのような走行パターンでも電食が起こりづらい。
【0027】
また、端カバー11に当接導体12が設けられているので、腐食環境にさらされても、腐食による端カバー11の導電性の劣化が防がれ、抵抗の経時変化が少なかった。
【0028】
また、端カバー11と回転軸2で囲まれた空間を導電性橋絡部材13が塞いで、埃や水の進入を防いでいる。当接導体12と外周部13c間および回転軸2と内周部13a間の接続面への塵などの進入や水によって運ばれる絶縁物質の付着がないので、抵抗の経時変化が少なかった。同時に、導電性の確保と塵除け水除けの効果があり、導電性を確保するための特別なコストが掛からない。
【0029】
尚、この実施の形態1では導電性橋絡部材13として、クロロプレンゴムにカーボンブラックを混練りして加硫成形したが、ゴムとしてはネオプレンーブタジエンゴムやウレタンゴムなどを用いても同様な効果が得られる。
さらに、可撓性を有する樹脂としてオレフィン系樹脂などにカーボンブラックなどを添加して射出成形しても同様な効果が得られる。
【0030】
さらに、当接導体12はニッケルやステンレススチールの金属箔を端カバー11に蝋付けすることにより設けられているが、銀などの貴金属の粉末を端カバー11に溶射して付けて当接導体12とすることもできる。
【0031】
さらに、導電性橋絡部材13の回転軸方向の断面がS字状であるが、S字状の目的は回転軸2とスリーブ5の軸方向の傾斜角度が大きいときも十分に余裕を持ってつなげるための彎曲部13bを形成するためであり、彎曲部13bに撓み代が取れればS字に限ることではない。
【0032】
さらに、導電性橋絡部材13は塵除け水除けも兼ねるために、回転軸2と平坦部11cに囲まれる空間の全面を覆うように、彎曲部13bには開口が設けられてはいない。しかし、塵除けや水除けを別の手段で行い、彎曲部13bに開口を設けても同様な効果が得られる。開口は円周方向に均等に設けることが望ましい。
【0033】
実施の形態3.
図3はこの発明の実施の形態3の歯車型撓み軸継ぎ手の部分断面図である。図2の実施の形態2と異なるのは導電性橋絡部材だけである。
導電性橋絡部材15の形状は実施の形態2の導電性橋絡部材13とほぼ同じであり、内周部15aと、彎曲部15bと、外周部15cとを有している。さらに、導電性橋絡部材15は絶縁性のゴムからなる可撓性絶縁体16と導電膜17の2層構造からなり、可撓性絶縁体16は実施の形態2と同様に金型を用いて所望の形状に成形後加硫して作成してある。その後、銅の金属箔からなる導電膜17を可撓性絶縁体16の片面を覆うように接着剤で接着し、さらに導電膜17の端部である接続端部17aで内周部15aの一部を覆うよう接着してある。一方、外周部15cに沿って外延するように導電端部17bが残されている。
【0034】
この導電性橋絡部材15の内周部15aが回転軸2の外周に固定されるように、締め付けバンド10で固定する。この際、内周部15aの一部を覆った接続端部17aは可撓性絶縁体16を介して締め付けバンド10で回転軸2に固定されるので、回転軸2と接続端部17aとは導通している。一方、導電性橋絡部材15の外周部15cから外延して残された接続端部17bは留め金からなる係留部材14で端カバー11の平坦部11cに連なった係留面11dに設けられた当接導体12に押さえつけられて導通し、回転軸2と端カバー11間が導通される。
【0035】
このような構成の歯車型撓み軸継ぎ手の回転軸2とスリーブ5間の絶縁抵抗は、実施の形態2よりもさらに小さな抵抗を示す。また、回転軸2とスリーブ5の軸を傾斜した際に、回転軸2とスリーブ5間の抵抗の変化は少なかった。
このような歯車型撓み軸継ぎ手を電動機と減速装置の間に設置した台車を通常の走行パターンで軌道上を走行させた後、外歯と内歯の歯面を観察したが、電食に起因すると思われる表面の凹凸などが見られなかった。
さらに、回転軸2とスリーブ5間の導通の経時変化を追跡したが、ほとんど変化が見られなかった。
【0036】
このような歯車型撓み軸継ぎ手では、実施の形態2と同様な効果が得られるが、さらに金属箔を導電膜17として用いているので、抵抗値が実施の形態2より低く、経時変化もさらに小さいという効果があった。
さらに、絶縁性のゴムからなる可撓性絶縁体16だけが外部に露出しているので、ゴムの組成を検討する際に、抵抗値を考慮せずに耐候性を向上させうる添加剤を添加できるので、ゴムの耐久性が向上する効果もあった。
【0037】
尚、金属箔としては銅を用いているが、鉄、ニッケル、ステンレススチールや貴金属からなる箔を用いても同様な効果が得られる。
【0038】
また、抵抗値が高くても必要な導通が確保できる場合は、導電性ゴムを絶縁性ゴムの側面に貼り付けても同様な効果が得られる。
【0039】
また、導電膜17は可撓性絶縁体16の全部を覆う必要がなく、一部だけ覆ってもよく、そのときの導電膜17が可撓性絶縁体16を覆う割合は、必要な抵抗値が確保できる範囲から決められる。
【0040】
実施の形態4.
図4はこの発明の実施の形態4の歯車型撓み軸継ぎ手の部分断面図である。図2の実施の形態2と異なるのは導電性橋絡部材だけである。
導電性橋絡部材18の形状は実施の形態2の導電性橋絡部材13とほぼ同じであり、内周部18aと、彎曲部18bと、外周部18cを有している。さらに、導電性橋絡部材18は絶縁性のゴムからなる可撓性絶縁体19と、可撓性絶縁体19で両側面を覆われ、金網からなる導電膜20の3層構造からなり、金網の接続端部20aと20bが導電性橋絡部材18の内周部18aと外周部18cを覆っている。導電性橋絡部材18は、実施の形態2と同様に金型を用いて所望の形状に成形後加硫して作成してある。この際に、金網を所望の形状に切断し、切断した金網をインサートとして金型内に固定して未加硫ゴムを金型に挿入後プレス加硫して製作している。
【0041】
この導電性橋絡部材18の内周部18aが回転軸2の外周に固定されるように、締め付けバンド10で固定する。この際、内周部18aの一部を覆った接続端部20aは可撓性絶縁体19を介して締め付けバンド10で回転軸2に固定されるので、回転軸2と接続端部20aは導通している。一方、導電性橋絡部材18の外周部18cの一部を覆った接続端部20bは留め金からなる係留部材14で端カバー11の平坦部11cと、平坦部11cに連なった係留面11dに設けられた当接導体12に押さえつけられて導通し、回転軸2と端カバー11間が導通される。尚、当接導体12は実施の形態2と同じにニッケル箔を蝋付けで平坦部11cと係留面11dを覆うように接着してある。
【0042】
このような構成の歯車型撓み軸継ぎ手の回転軸2とスリーブ5間の絶縁抵抗は、実施の形態2よりもさらに小さな値を示している。また、回転軸2とスリーブ5の軸を傾斜した際に、回転軸2とスリーブ5間の抵抗の変化は少なかった。
このような歯車型撓み軸継ぎ手を電動機と減速装置の間に設置した台車を通常の走行パターンで軌道上を走行させた後、外歯と内歯の歯面を観察したが、電食に起因すると思われる表面の凹凸などが見られなかった。
さらに、回転軸2とスリーブ5間の導通の経時変化を追跡したが、ほとんど変化が見られなかった。
さらに、通常より回転速度が大きな状態で図4の歯車型撓み軸継ぎ手を設置した台車を軌道上で駆動しても、導電性橋絡部材18の変形が少なく、ゴムへのストレスが小さい。その結果、ゴムのクリープが小さくなり、クラックなどの機械的破壊が見られなかった。
【0043】
このような歯車型撓み軸継ぎ手では、実施の形態1と同様な効果が得られるが、さらに金網を導電膜20として用いているので、抵抗値が実施の形態2よりさらに低く、経時変化もさらに小さいという効果があった。
さらに、金網は剛性が大きいので、導電性橋絡部材に加速度が加わっても、変形が少なく、ゴムの耐久性を向上する効果がある。
【0044】
さらに、可撓性絶縁体19のゴムだけが外部に露出しているので、ゴムの組成を検討する際に、抵抗値を考慮せず耐候性を向上させうる添加剤を添加できるので、ゴムの耐久性が向上する効果もあった。
【0045】
尚、金網としては鉄を用いているが、銅、ニッケル、ステンレススチールなどからなる金属ワイヤーを用いて網にしたものを用いても同様な効果が得られる。
【0046】
また、導電膜20は可撓性絶縁体19の内部にインサートとして占める割合は、必要な抵抗値が確保できる範囲から決められる。
【0047】
実施の形態5.
図5はこの発明の実施の形態5の歯車型撓み軸継ぎ手の断面図である。実施の形態1を、導電性橋絡部材を設けずに、潤滑グリースが導電性潤滑グリースに変更しただけであり、その他は同じである。
導電性潤滑グリース21の基油としては、パラフィン系鉱物油、ナフテン系鉱物油、芳香族系鉱物油、高度精製鉱物油などの鉱物油系基油や、合成炭化水素系合成油、脂肪酸エステル系合成油、燐酸エステル系合成油、ポリアルキレングルコール系合成油などの合成基油を単独または2種類以上を混油させたものからなる基油を用いた。導電性付与剤としては、カーボンブラック、金属硫化物、金属酸化物、金属微粉末などを用いた。その他の添加物は通常のグリースと同様なものを用いている。
【0048】
このように配合された導電性潤滑グリース21は、外歯3と内歯4の接触面を潤滑し、スリーブ5と端カバー7とで保持されている。外歯3と内歯4との噛み合い面は、導電性潤滑グリース21に薄く覆われているので、回転軸2とスリーブ5の間の電位差が小さいときは、スリーブ5はピニオン1や回転軸2と電気的に絶縁されている。しかし、導電性潤滑グリース21の薄い膜厚に対して一定の電界強度が掛かると導電率が大きくなる特性があるので、外歯3と内歯4間との電位差がある値を超えると電流が大きくなり、電位差が小さくなる。
【0049】
このような歯車型撓み軸継ぎ手を電動機と減速装置の間に設置した台車を通常の走行パターンで軌道上を走行させた後、外歯と内歯の歯面を観察したが、電食に起因すると思われる表面の凹凸などが見られなかった。
このような歯車型撓み軸継ぎ手では、実施の形態1と同様な効果が得られるが、さらに潤滑グリースを導電性潤滑グリースに変更するだけでよかった。
【0050】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、歯車型撓み軸継ぎ手は、内周面で回転軸に固着され、外歯を有した筒状のピニオンと、ピニオンに対向し、外歯に噛合する内歯を有する円筒状のスリーブと、スリーブに固着されて、ピニオンとスリーブの側面を覆う端カバーとを備えた歯車型撓み軸継ぎ手において、回転軸と端カバーの間に導電性橋絡部材が設けられ、端カバーの平坦部へ導電性橋絡部材がばね性を有し且つ外側に広がろうとする係留部材で係留されているので、ピニオンとスリーブ間が導通され、外歯と内歯間の電位差が減少し、電食が起こらなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1の歯車型撓み軸継ぎ手の部分断面図である。
【図2】 この発明の実施の形態2の歯車型撓み軸継ぎ手の部分断面図である。
【図3】 この発明の実施の形態3の歯車型撓み軸継ぎ手の部分断面図である。
【図4】 この発明の実施の形態4の歯車型撓み軸継ぎ手の部分断面図である。
【図5】 この発明の実施の形態5の歯車型撓み軸継ぎ手の部分断面図である。
【符号の説明】
1 ピニオン、1a (ピニオンの)内周面、1b (ピニオンの)外周部、1c (ピニオンの)環状溝、2 回転軸、3 外歯、4 内歯、5 スリーブ、6 ボルト、7、11 端カバー、7a (端カバーの)先端部、7b、11b (端カバーの)外側面、8 グリース、9、13、15、18 導電性橋絡部材、9a、13a、15a、18a 内周部、9b、13b、15b、18b彎曲部、9c、13c、15c、18c 外周部、10 締め付けリング、11c (端カバーの)平坦部、11d (端カバーの)係留面、12 当接導体、14 係留部材、16、19 可撓性絶縁体、17、20 導電膜、17a、17b、20a、20b (導電膜の)接続端部、21 導電性潤滑グリース。
Claims (8)
- 内周面で回転軸に固着され、外歯を有した筒状のピニオンと、上記ピニオンに対向し、上記外歯に噛合する内歯を有する円筒状のスリーブと、上記スリーブに固着されて、上記ピニオンと上記スリーブの側面を覆う導電性の端カバーとを備えた歯車型撓み軸継ぎ手において、上記回転軸と上記端カバーとの間に導電性橋絡部材が設けられ、上記端カバーの平坦部へ上記導電性橋絡部材がばね性を有し且つ外側に広がろうとする係留部材で係留されたことを特徴とする歯車型撓み軸継ぎ手。
- 上記端カバーの平坦部に設けられた錆びにくい金属箔からなる当接導体へ上記導電性橋絡部材が係留されたことを特徴とする請求項1に記載の歯車型撓み軸継ぎ手。
- 上記回転軸の軸方向への上記導電性橋絡部材の断面が彎曲部を持つことを特徴とする請求項1または2に記載の歯車型撓み軸継ぎ手。
- 上記導電性橋絡部材が導電性ゴムからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の歯車型撓み軸継ぎ手。
- 上記導電性橋絡部材は導電膜が表面に形成された可撓性絶縁体からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の歯車型撓み軸継ぎ手。
- 上記導電性橋絡部材は導電膜が内部に埋設された可撓性絶縁体からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の歯車型撓み軸継ぎ手。
- 上記導電膜が金網であることを特徴とする請求項5または6に記載の歯車型撓み軸継ぎ手。
- 上記導電性橋絡部材が塵除け水除けであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の歯車型撓み軸継ぎ手。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002281461A JP4109947B2 (ja) | 2002-09-26 | 2002-09-26 | 歯車型撓み軸継ぎ手 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002281461A JP4109947B2 (ja) | 2002-09-26 | 2002-09-26 | 歯車型撓み軸継ぎ手 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004116662A JP2004116662A (ja) | 2004-04-15 |
JP4109947B2 true JP4109947B2 (ja) | 2008-07-02 |
Family
ID=32275897
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002281461A Expired - Lifetime JP4109947B2 (ja) | 2002-09-26 | 2002-09-26 | 歯車型撓み軸継ぎ手 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4109947B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102678774B (zh) * | 2012-05-03 | 2015-06-10 | 江苏新瑞齿轮系统有限公司 | 一种弧形齿联轴器 |
JP6316142B2 (ja) * | 2014-08-21 | 2018-04-25 | 三菱電機株式会社 | 歯車形軸継手 |
CN105715688A (zh) * | 2016-04-19 | 2016-06-29 | 镇江索达联轴器有限公司 | 联轴器 |
CN114215855A (zh) * | 2021-12-13 | 2022-03-22 | 南京高精轨道交通设备有限公司 | 鼓形齿联轴器 |
-
2002
- 2002-09-26 JP JP2002281461A patent/JP4109947B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004116662A (ja) | 2004-04-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CA2273141C (en) | Rolling-contact bearing with current bridge | |
US9790995B2 (en) | Bearing seal with integrated grounding brush | |
JP3860283B2 (ja) | 密封装置 | |
EP0347061B1 (en) | Flexible boot | |
US20100066030A1 (en) | Hermetic sealing device | |
JP4109947B2 (ja) | 歯車型撓み軸継ぎ手 | |
JPWO2007049429A1 (ja) | 自在継手用ブーツ | |
CN114651136A (zh) | 导电轴承 | |
US6004039A (en) | Lubricating structure for oil seals assembled with bearings | |
KR100596938B1 (ko) | 오버몰딩된 전기 케이블 및 그 제조 방법 | |
JP3738556B2 (ja) | 電食防止転がり軸受 | |
US4319153A (en) | Electric motor with controllable mechanical wear and spark generation | |
CN113474568B (zh) | 密封装置 | |
US4705978A (en) | Brushgear for miniature motors | |
CN111894991A (zh) | 导电密封环和轴承组件 | |
JP2001280347A (ja) | 玉軸受 | |
JP2003522911A (ja) | ボールジョイント | |
CN209805062U (zh) | 导电环及电动交通工具 | |
JP3692677B2 (ja) | ボールねじのシール | |
CN111712659A (zh) | 密封装置 | |
JP2001280352A (ja) | 玉軸受 | |
JPH065090B2 (ja) | ころがり軸受およびその製造方法 | |
JP2002372062A (ja) | 転がり軸受 | |
JPH0134783Y2 (ja) | ||
JPH0648057B2 (ja) | 導電性オイルシ−ル |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20041221 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070814 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070821 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20071012 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080401 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080407 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110411 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4109947 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120411 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120411 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130411 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130411 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140411 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |