JP4109596B2 - 水質測定方法 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば、河川、湖沼、海域などの自然水や下水などの排水の水質を測定する水質測定方法に関する。
種々の物質が混在している自然水や排水においては、ある波長における吸光度を測定しても、その中には種々の物質の影響が及んでいるので、一つの波長での定量を行おうとするのは難しい。しかしながら、各溶存物質の吸光特性に注目すれば、適切な複数の波長を用いることにより、妨害物質の影響を排除した濃度推定式を構築することができるものと考えられる。ここで、測定対象の物質の吸収特性が既知であれば、以下の原理で濃度推定を行うことができる。
試料水の吸収スペクトルは、当該試料水中に含まれる吸収スペクトルが既知の測定対象物質とそれ以外の共存物質による吸収スペクトルの重ね合わせと考えられるので、下記式(1)が成り立つ。
h =At,h +As,h ……(1)
h :波長hnmにおける試料の吸光度
t,h :波長hnmにおける測定対象物質による吸光度
s,h :波長hnmにおける測定対象物質以外の物質による吸光度
測定対象物質は、吸収スペクトルが既知であるので、Lambert−Beerの法則が成り立つ濃度範囲であれば、At,h は、濃度と吸光係数を用いて下記式(2)で表される。
t,h =εh ・C ……(2)
εh :波長hnmにおける測定対象物質の光路長1cmあたりの吸光係数
(L/mg/cm)
C:試料中の測定対象物質濃度(mg/L)
共存物質の組成が変化しないならば、下記式(3)のように、共存物質による比吸光度rh をとると、rh は常に一定となる。
h =As,h /As,h' ……(3)
前記式(2),(3)を式(1)に代入し、二つの波長h,h’の吸光度Ah ,Ah'について表すと、
h =εh ・C+rh ・As,h' ……(4)
h'=εh'・C+As,h' ……(5)
となる。
前記式(4),(5)からAs,h'を消して、Cについて解くと、
C=(Ah −rh h')/(εh −rh εh') ……(6)
が得られ、Cは2波長の吸光度Ah ,Ah'の線形和として表され、このとき吸光度A h ,A h' に乗じる係数はεh ,εh'およびrh により決定される。
ところで、試料水中には、一般に懸濁成分(以下、SSと表す)が含まれているが、このSSは遮光物であり、見かけ上、全波長領域にわたって吸光を示すので、溶解性物質の吸光度を求める場合には妨害物質となる。そのため、SSの補正を行う必要がある。
そこで、従来においては、前記SSの影響による誤差を最小にするため、各波長における吸光度Ah から波長633nmにおける吸光度A633 を差し引いた値をSS補正吸光度Ah ’として用いていた。すなわち、
h ’=Ah −A633 ……(7)
しかしながら、上記式(7)によっても、SSの影響を必ずしも確実に除去することはできなかった。以下、これについて、ある礫間浄化施設の流入口と流出口においてそれぞれ採取した試料について、図1に示すような水質測定装置を用いて分析し、その測定結果について検討した内容について説明する。
まず、図1に示す水質測定装置は、紫外線を試料水に照射したときにおける吸光度を測定するもので、この図において、1は測定セルで、液導入部2、液導出部3が形成され、液導入部2には液供給路4が接続され、液導出部3には液排出路5がそれぞれ接続されている。そして、液供給路4には、例えば三方電磁弁などの流路切換え装置6が設けられ、試料水Sとゼロ水Zとが択一的に供給できるように構成されている。また、液排出路5には、吸引ポンプ7が設けられている。
前記測定セル1の液導入部2と液導出部3と結ぶラインと直交する両側部8,9は、例えば、紫外線透過材料よりなる光学窓に形成されている。そして、一方の光学窓8の外側には、適宜波長の紫外光Lを測定セル1に向けて発する紫外光源10が設けられ、測定セル1を通過する試料水Sまたはゼロ水Zに任意の波長の紫外光を照射するように構成されている。また、他方の光学窓9の外側には、導波管11がその一端を光学窓9に向けて設けられ、この導波管11の他端側には分光器12が設けられている。そして、13は信号ケーブル14を介して分光器12の出力信号が入力され、これに基づいて種々の演算を行う演算処理部としてのコンピュータ(例えば、パソコン)で、15はこれに付設されるカラーディスプレイなどの表示装置である。
前記水質測定装置に礫間浄化施設の流入口と流出口においてそれぞれ採取した試料水Sおよびゼロ水Zを供給することにより、前記試料水Sに関する測定値が得られる。そして、これらの測定値を用いて、各試料水SにおけるNO3 - −N(硝酸態窒素)の濃度推定値について考察する。
NO3 - −Nの化学分析値CNO3 、吸光度測定値Aおよび吸光度係数εNO3 を用いることにより、各試料水SごとのNO3 - −N以外の物質による吸光度AsNO3は、下記式(8)によって求められる。
sNO3,h=Ah −εNO3 ・CNO3 ……(8)
そして、このとき、230nmに対する比吸光度rNO3,h は、下記式(9)によって与えられる。
NO3,h =AsNO3,h/AsNO3,230 ……(9)
このように、各試料水Sごとに求められたε,rから測定地点ごとに平均値を算出し、この値を用いて各測定地点ごとの濃度推定式を構築した。このとき、測定波長としては、225nmおよび230nmを用いた。下記表1に濃度推定式および推定結果を示す。
Figure 0004109596
上記表1によると、NO3 - −Nの誤差平均値は、1.28〜1.41mgN/Lと高く、前記濃度推定式をそのまま利用して水質モニタリングに適用するのは困難であると考えられる。
特許第3335776号公報
前記表1に示したNO3 - −Nの濃度推定式による測定誤差の要因として、以下の3つが考えられる。
(1)NO3 - −Nのスペクトルの変化
(2)共存物質のスペクトルの変化
(3)測定装置など機械的な要因による測定誤差
前記(1)および(2)におけるNO3 - −Nおよび共存物質のスペクトルの変化は、それぞれ、吸光係数ε、比吸光度rの変動として求めることができる。そこで、前記採取した試料の吸光係数ε、比吸光度rの個別の値およびその平均値を用いて濃度推定を行い、NO3 - −Nおよび共存物質のスペクトル変化が推定精度に及ぼす影響について検討した。
まず、NO3 - −Nの吸収スペクトル変化の影響について
NO3 - −Nの吸収スペクトルは、pHによって変化することが知られており、また、セル1の汚染や光源10の劣化等の原因によって、見かけ上、NO3 - −Nの吸収スペクトルが変化する。そして、このNO3 - −Nの吸収スペクトルの変化は、吸光係数εの変化に表れる。下記表2は、前記吸光係数εの測定地点ごとの平均値と変動係数を表したものである。
Figure 0004109596
上記表2から、礫間浄化施設の流入口と流出口との間では、吸光係数εの値に殆ど差異はなく、また、それぞれの採水地点での変動係数も0.055以下と極めて小さいことが分かる。
そして、吸光係数εの変動の推定精度への影響を把握するために、吸光係数εとしては各測定地点での平均値を用い、比吸光度rは各サンプルの算出値を用いて、NO3 - −Nの濃度推定を行った。下記表3は、前記推定結果を示すものであり、図4は、吸光係数εの変動値を用いたときのNO3 - −Nの推定値と実測値との相関を示すものである。
Figure 0004109596
上記表3から、推定値と実測値との誤差平均値は、0.25〜0.37mgN/Lである。しかしながら、NO3 - −Nの吸収スペクトルの変化自体が大きくないため、全体として誤差への影響は大きくなく、実用上、NO3 - −Nの吸収スペクトルの変化の影響は無視できると考えられる。
次に、比吸光度rの影響について
図5は、前記採水調査によって得られたデータから、前記式(8)によって求めたNO3 - −N以外の共存物質の比吸光度rNO3 の採水地点ごとの平均値およびNO3 - −Nの標準物質の比吸光度rを示し、図6は同じく、採水地点ごとの比吸光度rの変動係数を示している。これらの図から、いずれの測定地点の比吸光度rも波長が大きくなるにつれて減少傾向にあり、礫間浄化施設の流入水と流出水がほぼ同様の傾向を示していることが分かる。また、標準物質の比吸光度rは、230nm付近で最も傾きが大きくなっており、下記式(10の1),(10の2)が成り立っている。
ε225 /ε230 >r225 ……(10の1)
ε235 /ε230 <r235 ……(10の2)
そして、変動係数は、いずれの採水地点においても、230nmから離れるにつれて大きくなっており、礫間浄化施設流入水の最大の変動係数が0.47と大きく、採集沈殿池の225nmの比吸光度rは変動係数が0.05と最も小さい。NO3 - −Nの濃度推定の精度の面から言えば比吸光度rの変動は可及的に小さい方がよい。そこで、以下においては、NO3 - −Nの濃度推定を行う場合、230nm付近の吸光度を用いて行うこととする。
比吸光度rの影響を把握するために、吸光係数εは各サンプルの値、比吸光度rは各測定地点での平均値を用いて、NO3 - −Nの濃度推定を行った。このときの推定結果を下記表4に示し、推定値と実測値との相関を図7に示す。
Figure 0004109596
上記表4から、比吸光度rの変動が大きいため、吸光係数εに平均値を用いた場合と比べて誤差が大きくなっていることが分かる。特に、比吸光度rの変動が大きい礫間浄化施設流入口では、誤差平均値が1.41mgN/Lと大きくなっているのが分かる。このことから、上記手法は、比吸光度rの変動の影響が大きく、共存物質の組成の変動が少ない水域においては十分適用が可能であるが、共存物質の組成の変動が大きい水域でより精度よく推定するためには、一定時間間隔で化学分析を行い、濃度推定式を校正する、あるいは、比吸光度rの変動を補正するアルゴリズムを適用するなどの手法が必要であると考えられる。
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、共存物質の組成が変化したりその濃度が変化しても、所望の測定対象成分の濃度を、前記共存物質の影響を可及的に受けることがなく、精度よく測定することのできる水質測定方法を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明は、試料水に対して所定波長帯域の光を照射し、そのとき得られる吸光度と比吸光度に基づいて濃度推定式を求め、この濃度推定式を用いて前記試料水中に含まれる測定対象成分の濃度を得るようにした水質測定方法において、所定の時間間隔で吸光度を連続的に採取し、ある時点におけるある特定の波長における吸光度と、この特定の波長の前後において僅かに異なる二つの波長における吸光度と、前記ある時点より一つ前の時点のある特定の波長における吸光度と、この特定の波長の前後において僅かに異なる二つの波長における吸光度とを用いて逐次演算を行うことにより、前記比吸光度の微小時間経過による変化量を逐次計算し、この変化量を用いて前記比吸光度を逐次補正することを特徴としている(請求項1)。
より具体的には、この発明の水質測定方法は、試料水に対して所定波長帯域の光を照射し、そのとき得られる特定波長hにおける吸光度A h と、前記特定波長の前後において僅かに異なる二つの波長h1,h2における吸光度A h1 ,A h2 と、吸光度A h に対する吸光度A h1 ,A h2 の比吸光度r h1 ,r h2 と、波長h,h1,h2における吸光係数ε h ,ε h1 ,ε h2 とに基づいてC=(A h1 −r h1 h )/(ε h1 −r h1 ε h )なる濃度推定式R1またはC=(A h2 −r h2 h )/(ε h2 −r h2 ε h )なる濃度推定式R2を求め、この濃度推定式R1またはR2を用いて前記試料水中に含まれる測定対象成分の濃度Cを得るようにした水質測定方法において、前記吸光度A h ,A h1 ,A h2 を連続的に測定し、微小時間経過による吸光度A h ,A h1 ,A h2 の変化量ΔA h ,ΔA h1 ,ΔA h2 に基づいて微小時間経過による比吸光度r h1 ,r h2 の変化量e h1 ,e h2 を逐次計算し、該比吸光度の変化量e h1 ,e h2 を用いて前記比吸光度r h1 ,r h2 を逐次補正するようにしている(請求項2)。
さらに、請求項2の水質測定方法において、前記変化量e h1 ,e h2 を計算するに際して、ΔA h1 −(ε h1 /ε h )ΔA h の正負によってe h1 の正負を判定するとともに、ΔA h2 −(ε h2 /ε h )ΔA h の正負によってe h2 の正負を判定し、その後、e h1 ×e h2 >0のときは、e h1 は−ab/(a 2 +1)でe h2 はb/(a 2 +1)とし、e h1 ×e h2 ≦0のときは、e h1 ×b>0ならばe h1 は−ab/(a 2 +1)でe h2 は0とし、e h1 ×b≦0ならばe h1 は0でe h2 はbとすることが望ましい(請求項3)。
但し、
a=(ε h h2 −ε h2 h )/(ε h h1 −ε h1 h
b={A h1 (ε h2 −r h2 ε h )+A h (r h2 ε h1 −r h1 ε h2
+A h2 (r h1 ε h −ε h1 )}/(ε h h1 −ε h1 h
上記特徴的構成よりなる水質測定方法においては、試料水中に含まれる共存物質の組成が変化したりその濃度が変化しても、前記試料水中の所望の測定対象成分の濃度を、共存物質の影響を可及的に受けることがなく、精度よく測定することができる。
この発明の水質測定方法が従来の水質測定方法と大きく異なる点は、試料水に対して所定波長帯域の光を照射し、そのとき得られる吸光測定値に基づいて濃度推定式を求め、この濃度推定式を用いて前記試料水中に含まれる測定対象成分の濃度を得るようにした水質測定方法において、前記濃度推定式を求める際に用いる比吸光度の変動を補正するようにしたことであり、より詳しくは、一定の時間間隔で測定値を連続的に採取し、ある時点におけるある特定の波長における吸光度と、この特定の波長の前後において僅かに異なる二つの波長における吸光度と、前記ある時点より一つ前の時点のある特定の波長における吸光度と、この特定の波長の前後において僅かに異なる二つの波長における吸光度とを用いて逐次演算を行うことにより試料水中の測定対象成分の濃度を得るようにしたことである。つまり、濃度推定式を的確に補正することにより、試料水中の測定対象成分の濃度を、当該測定対象成分のスペクトルに変化が生じたり、前記試料水中に共存する物質の組成や濃度に起因して当該共存物質のスペクトルに変化が生じたりしていても、さらには、測定装置などにおける機械的な要因によって測定誤差が生じていてもこれらの要因にかかわりなく前記測定対象成分の濃度を精度よく測定できるようにしたことである。
そのため、この発明の水質測定方法においては、試料水に対して、当該試料水中に含まれる特定の測定対象成分に最適な波長帯域の光を照射し、そのとき、特定の波長における吸光度と、前記特定波長を中心として前後において僅かに異なる波長における吸光度とを求めるようにしている。そのため、この発明の水質測定方法において用いる装置は、実質的に、前記図1に示したものと同じ構成であるが、光源10として、ある波長帯域の光L(例えば、紫外光)を発するものが用いられる。
以下、この発明で用いる濃度推定式の補正アルゴリズムについて、測定対象成分としてNO3 - −Nを例にとって説明する。
前記式(6)より、NO3 - −Nの濃度Cの推定式は、225nmと230nmの吸光度A225 ,A230 と、比吸光度r225 と、NO3 - −Nの吸光係数ε225 ,ε230 とを用いて、以下の式(11)で表される。
C=(A225 −r225 230 )/(ε225 −r225 ε230 ) ……(11)
また、230nmと235nmの吸光度についても同様の濃度推定式が成り立つ。
C=(A235 −r235 230 )/(ε235 −r235 ε230 ) ……(12)
ここで、A225 ,A230 ,A235 は、それぞれ、225nm、230nm、235nmの吸光度であり、ε225 ,ε230 ,ε235 は、それぞれ、225nm、230nm、235nmにおけるNO3 - −Nの吸光係数(L/mg/cm)であり、r225 ,r235 は、それぞれ、225nm、235nmの共存物質の比吸光度である。
連続測定における微小時間経過後において、r225 ,r235 が、それぞれ、r225 +e225 ,r235 +e235 に変化したとする。すなわち、e225 ,e235 は、比吸光度rの微小時間経過による変化量である。
ここで、上記式(11),(12)におけるr225 ,r235 に、r225 +e225 ,r235 +e235 を代入し、両式から計算されるNO3 - −N濃度Cは互いに等しくなければならないから、下記式(13)が得られる。
{A225 −(r225 +e225 )A230 }/{ε 225 −(r 225 +e225 )ε230
={A235 −(r235 +e235 )A230 }/{ε 235 −(r 235 +e235 )ε230
……(13)
前記式(13)から、e225 とe235 との関係式が得られる。
235 =ae225 +b ……(14)
ここで、
a=(ε230 235 −ε235 230 )/(ε230 225 −ε225 230
={A235 −(ε235 /ε230 )A230 }/{A225 −(ε225 /ε230 )A230
b={A225 (ε235 −r235 ε230 )+A230 (r235 ε225 −r225 ε235 )+
235 (r225 ε230 −ε225 )}/(ε230 225 −ε225 230
ここで、微小な時間変化で吸光度が変化したとき、e225 およびe235 の変化量が最も小さくなる。すなわち、z=e225 2 +e235 2 が最小となるように変化すると仮定する。前記zに前記式(14)を代入し、e235 を消去すると、
z=e225 2 +(ae225 +b)2
=(a2 +1)e225 2 +2abe225 +b2
=(a2 +1){e225 +ab/(a2 +1)}2 −a2 2 /(a2 +1)
……(15)
となる。
そして、(a2 +1)>0であるから、e225 =−ab/(a2 +1)のとき、zは極小値を持ち、このとき、式(14)の関係から、e235 =b/(a2 +1)となる。
しかしながら、e225 とe235 には取り得る範囲があり、上記値がその範囲にあるか否かを判断する必要がある。そのため、ある瞬間におけるr225 およびr235 の微小変化量e225 およびe235 の取り得る値を、その瞬間での吸光度と当該瞬間の直前の吸光度との差ΔAから判断し、e225 およびe235 の取り得る値の範囲を決める。
ΔA225 −(ε225 /ε230 )ΔA230
=(ε225 ΔC+ΔAs,225 )−ε225 /ε230 (ε230 ΔC+ΔAs,230
={ε225 ΔC+(As,225 −As,225 ’)}−
{ε225 ΔC+(ε225 /ε230 )ΔAs,230
=(r225 +e225 )As,230 −r225 s,230 ’−(ε225 /ε230 )ΔAs,230 ……(16)
=e225 s,230 +r225 ΔAs,230 −(ε225 /ε230 )ΔAs,230
=As,230 {e225 −(ε225 /ε230 −r225 )ΔAs,230 /As,230
ここで、
ΔC:時間変化によるNO3 - −Nの濃度変化
s,h :hnmにおける共存物質による吸光度
s,h ’:hnmにおける直前の共存物質による吸光度
ΔAs,h :hnmにおける時間変化による共存物質による吸光度の変化
そして、上記において、α=(ε225 /ε230 −r225 )ΔAs,230 /As,230 とすると、吸光度の連続測定値から算出したαは、図8に示す通り、e225 に比べて極めて小さく、無視することができる。
また、As,230 >0であるから、
ΔA225 −(ε225 /ε230 ΔA 230 ≧0ならば、e225 ≧0
ΔA225 −(ε225 /ε230 ΔA 230 ≦0ならば、e225 ≦0
となる。
235 についても同様に考えると、
ΔA235 −(ε235 /ε230 ΔA 230 ≧0ならば、e235 ≧0
ΔA235 −(ε235 /ε230 ΔA 230 ≦0ならば、e235 ≦0
となり、ΔA225 −(ε225 /ε230 ΔA 230 ,ΔA235 −(ε235 /ε230 ΔA 230 の正負により、e225 およびe235 の正負を決定できる。
また、前記図5に示されているように、ε225 /ε230 >r225 およびε235 /ε230 <r235 が成り立っていることから、
225 −(ε225 /ε230 )A230 <0
235 −(ε235 /ε230 )A230 >0
となり、
(ε225 /ε230 )A230 >r225 230 =A225
(ε235 /ε230 )A230 <r235 230 =A235
より、常にa<0となる。
よって、zが極小値をもつとき、e225 ,e235 およびbは常に同符号となる。e225 とe235 が同符号でない場合、zが最小になるのは、e225 ,e235 のいずれか一方が0であるときであり、e225 =0のとき、e235 =bであり、逆に、e235 =0のとき、e225 =−b/aとなる。ここでは、e225 とbが同符号であるか否か、すなわち、e225 ×bの正負によって、e225 ,e235 のいずれが0になるかを決定した。
以上の結果を整理すると、
ステップ1:e225 とe235 の正負判定
ΔA225 −(ε225 /ε230 ΔA 230 ≧0のとき、e225 ≧0
ΔA225 −(ε225 /ε230 ΔA 230 ≦0のとき、e225 ≦0
ΔA235 −(ε235 /ε230 ΔA 230 ≧0のとき、e235 ≧0
ΔA235 −(ε235 /ε230 ΔA 230 ≦0のとき、e235 ≦0
ステップ2:e225 とe235 の値の決定
225 ×e235 >0のとき、e225 =−ab/(a2 +1),
235 =b/(a2 +1)
225 ×e235 ≦0のとき、
225 ×b>0ならば、e225 =−ab/(a2 +1),e235 =0
225 ×b≦0ならば、e225 =0,e235 =b
上記方法によれば、初期値として、r225 ,r235 および吸光度のデータが与えられば、そこから逐次e225 とe235 を計算し、rを補正することが可能である。
図9(A),(B)および表5は、礫間浄化施設の流入口において、異なる日において24時間調査したときの2つの検証データに基づいて、上記補正のアルゴリズムを採用して補正した場合の推定値と補正を行わなかった場合の推定値を示すものである。図9(A),(B)から補正を行った場合の方が実測値に近い値になっているのが分かる。実際に、各検証データでの推定値の誤差平均値は、補正のある場合、0.30,0.16mgN/Lであるのに対して、補正のない場合、1.69,0.27mgN/Lというように、補正のある場合の方が小さくなっている。
Figure 0004109596
また、図10(A),(B)は、上記補正を用いた場合の225nmにおけるrの値の変化と化学分析値から算出したrを示している。rの誤差平均値は0.022,0.018となり、r全体からすると誤差の割合は2%以下である。これは、従来のrの変動係数より小さく、実際のrの変化に追従して補正が行われているものと考えることができる。
図11は、この発明における補正アルゴリズムを適用した定点連続測定により推定された水質項目の経時変化、経日変化を示すものである。補正アルゴリズムを適用しない場合の測定誤差平均値が2.17mgN/Lであるのに対して、補正アルゴリズムを適用した場合の測定誤差平均値は、0.46mgN/Lであり、測定精度が約5倍向上したことになる。
上述の実施例は、河川におけるNO3 - −Nの濃度について補正アルゴリズムを適用しているが、この発明はこれに限られるものではなく、他の自然水や排水など液体中に含まれる他の一または複数の成分濃度を測定するような水質測定方法全般に広く適用することができることはいうまでもない。
この発明の水質測定方法を実施するための装置の構成を概略的に示す図である。 吸光度A633 とSS濃度との関係を示す図である。 濃度推定式によって得られたCODの濃度推定値と実測値との関係を示す図である。 吸光係数εの変動値を用いたときのNO3 - −Nの推定値と実測値との相関を示す図である。 NO3 - −N以外の共存物質の比吸光度rNO3 の採水地点ごとの平均値およびNO3 - −Nの標準物質の比吸光度rを示す図である。 前記比吸光度rの採水地点ごとの変動係数を示す図である。 比吸光度rの平均値を用いたときのNO3 - −Nの濃度推定値と実測値との相関を示す図である。 225 とαとの関係を示す図である。 この発明で用いる補正アルゴリズムの効果を説明するための図である。 前記補正アルゴリズムを用いた場合の225nmにおけるrの値の変化と化学分析値から算出したrを示す図である。 前記補正アルゴリズムを適用した定点連続測定により推定された水質項目の経時変化、経日変化を示す図である。
符号の説明
S 試料水
L 照射光

Claims (3)

  1. 試料水に対して所定波長帯域の光を照射し、そのとき得られる吸光度と比吸光度に基づいて濃度推定式を求め、この濃度推定式を用いて前記試料水中に含まれる測定対象成分の濃度を得るようにした水質測定方法において、所定の時間間隔で吸光度を連続的に採取し、ある時点におけるある特定の波長における吸光度と、この特定の波長の前後において僅かに異なる二つの波長における吸光度と、前記ある時点より一つ前の時点のある特定の波長における吸光度と、この特定の波長の前後において僅かに異なる二つの波長における吸光度とを用いて逐次演算を行うことにより、前記比吸光度の微小時間経過による変化量を逐次計算し、この変化量を用いて前記比吸光度を逐次補正することを特徴とする水質測定方法。
  2. 試料水に対して所定波長帯域の光を照射し、そのとき得られる特定波長hにおける吸光度A h と、前記特定波長の前後において僅かに異なる二つの波長h1,h2における吸光度A h1 ,A h2 と、吸光度A h に対する吸光度A h1 ,A h2 の比吸光度r h1 ,r h2 と、波長h,h1,h2における吸光係数ε h ,ε h1 ,ε h2 とに基づいてC=(A h1 −r h1 h )/(ε h1 −r h1 ε h )なる濃度推定式R1またはC=(A h2 −r h2 h )/(ε h2 −r h2 ε h )なる濃度推定式R2を求め、この濃度推定式R1またはR2を用いて前記試料水中に含まれる測定対象成分の濃度Cを得るようにした水質測定方法において、前記吸光度A h ,A h1 ,A h2 を連続的に測定し、微小時間経過による吸光度A h ,A h1 ,A h2 の変化量ΔA h ,ΔA h1 ,ΔA h2 に基づいて微小時間経過による比吸光度r h1 ,r h2 の変化量e h1 ,e h2 を逐次計算し、該比吸光度の変化量e h1 ,e h2 を用いて前記比吸光度r h1 ,r h2 を逐次補正することを特徴とする水質測定方法。
  3. 前記変化量e h1 ,e h2 を計算するに際して、ΔA h1 −(ε h1 /ε h )ΔA h の正負によってe h1 の正負を判定するとともに、ΔA h2 −(ε h2 /ε h )ΔA h の正負によってe h2 の正負を判定し、その後、e h1 ×e h2 >0のときは、e h1 は−ab/(a 2 +1)でe h2 はb/(a 2 +1)とし、e h1 ×e h2 ≦0のときは、e h1 ×b>0ならばe h1 は−ab/(a 2 +1)でe h2 は0とし、e h1 ×b≦0ならばe h1 は0でe h2 はbとする請求項2に記載の水質測定方法。
    但し、
    a=(ε h h2 −ε h2 h )/(ε h h1 −ε h1 h
    b={A h1 (ε h2 −r h2 ε h )+A h (r h2 ε h1 −r h1 ε h2
    +A h2 (r h1 ε h −ε h1 )}/(ε h h1 −ε h1 h
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