JP4108974B2 - 水酸化アルミニウムの製造方法 - Google Patents

水酸化アルミニウムの製造方法 Download PDF

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  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はバイヤー法による水酸化アルミニウムの製造方法に関し、更に詳しくは、水酸化アルミニウム中のCaO含有量を低下させる製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
バイヤー法により製造した水酸化アルミニウムからアルミナ粉体を製造し、これを焼結してセラミックスとした場合、その焼結特性(焼結体組織・強度・表面粗さ・電気特性など)を制御するため、セラミックス中の不純物であるナトリウム・珪素・カルシウム等の含有量を制御する必要がある。
【0003】
例えばナトリウムは電気特性(絶縁性)に大きな影響を与えることが知られており、Na2Oとして0.1質量%以下になるように各種の制御方法が提案されている。
【0004】
一方、珪素・カルシウムといった不純物は焼結特性、特に焼結組織に大きな影響を与えることが知られており、その結果として焼結体の強度・表面平滑性に影響を及ぼすことになる。すなわち、珪素・カルシウムについてはその含有量が安定していること、また低減させることが要求されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら特にカルシウムについては、その原料たる水酸化アルミニウムの製造工程において、使用する原料ボーキサイトの鉱区や生産地が変化することで組成変動が生じ、その結果として工程液(アルミン酸アルカリ溶液)中に不純物として混入する。また、赤泥分離工程での沈降促進剤や清澄濾過工程での濾過助剤に使用される消石灰等からアルミン酸アルカリ溶液へカルシウム分が溶解し、このカルシウム分が水酸化アルミニウム析出工程にて水酸化アルミニウムの固体側に混入することで、カルシウム含有量が上昇し、しばしば要求品質を満足し得ないことが発生する。
【0006】
このカルシウムのアルミン酸アルカリ溶液への溶解及びアルミン酸アルカリ溶液からの除去・制御方法は確立されているとは言いがたく、また近年ではこのような工程不純物濃度の変動が発生しにくい良質ボーキサイト資源の確保も難しくなることが予想されており、カルシウム含有量の制御手段の確立が望まれている。
【問題を解決するための手段】
かかる事情下に鑑み、本発明者らは、このアルミナ中のカルシウムを一定濃度以下に収めるべく、水酸化アルミニウム製造工程を鋭意検討した結果、特定の条件にて製造された凝集剤または濾過助剤をアルミン酸アルカリ溶液に添加することにより、上記問題点が解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち本発明は以下に関する。
【0007】
(1)アルミナ含有鉱石とアルカリ溶液とを混合し、該混合物を加熱処理して鉱石中のアルミナ分をアルカリ溶液中に溶解させアルミン酸アルカリ溶液とし、さらに該混合物に凝集剤を添加して未溶解分を沈降させる分離工程と、分離工程後で水酸化アルミニウムを析出させる工程の前に、アルミン酸アルカリ溶液に濾過助剤を加えてアルミン酸アルカリ溶液を濾過する工程を含み、この濾液から水酸化アルミニウムを析出させる水酸化アルミニウムの製造方法であって、前記濾過工程の濾過助剤にアルミン酸カルシウムを添加することにより水酸化アルミニウム中のCaO濃度を低下させることを特徴とする水酸化アルミニウムの製造方法。
【0008】
(2)アルミナ含有鉱石とアルカリ溶液とを混合し、該混合物を加熱処理して鉱石中のアルミナ分をアルカリ溶液中に溶解させアルミン酸アルカリ溶液とし、さらに該混合物に凝集剤を添加して未溶解分を沈降させる分離工程と、この上澄み液であるアルミン酸アルカリ溶液から水酸化アルミニウムを析出させる工程を含む水酸化アルミニウムの製造方法であって、前記分離工程の凝集剤にアルミン酸カルシウムを添加することにより水酸化アルミニウム中のCaO濃度を低下させることを特徴とする水酸化アルミニウムの製造方法。
【0009】
(3)アルミナ含有鉱石とアルカリ溶液とを混合し、該混合物を加熱処理して鉱石中のアルミナ分をアルカリ溶液中に溶解させアルミン酸アルカリ溶液とし、さらに該混合物に凝集剤を添加して未溶解分を沈降させる分離工程と、分離工程後で水酸化アルミニウムを析出させる工程の前に、アルミン酸アルカリ溶液に濾過助剤を加えてアルミン酸アルカリ溶液を濾過する工程を含み、この濾液であるアルミン酸アルカリ溶液から水酸化アルミニウムを析出させる水酸化アルミニウムの製造方法であって、前記分離工程の凝集剤にアルミン酸カルシウムを添加するとともに、前記濾過工程の濾過助剤にアルミン酸カルシウムを添加することにより水酸化アルミニウム中のCaO濃度を低下させることを特徴とする水酸化アルミニウムの製造方法。
【0010】
(4)アルミン酸カルシウムを、アルミン酸アルカリ溶液とカルシウム含有物から合成することを特徴とする(1)〜(3)に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
【0011】
(5)アルミン酸カルシウムを、アルミン酸アルカリ溶液とカルシウム含有物および水酸化ナトリウムから合成することを特徴とする(1)〜(3)に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
【0012】
(6)アルミン酸カルシウム中のフリーな水酸化ナトリウム濃度が、110g/リットル〜200g/リットルの範囲内であることを特徴とする(5)に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
【0013】
(7)カルシウム含有物が、スラリー化した消石灰であることを特徴とする(4)〜(6)の何れか1項に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
【0014】
(8)アルミン酸アルカリ溶液がアルミン酸ナトリウム溶液であることを特徴とする(4)〜(7)の何れか1項に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
【0015】
(9)カルシウム含有物のCaO換算モル量をA、アルミン酸アルカリ溶液のAl23換算モル量をBとした場合、AのBに対する比率(A/B)を、1/5〜3の範囲内としてアルミン酸カルシウムを合成することを特徴とする(4)〜(8)の何れか1項に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
【0016】
(10)アルミン酸カルシウムの合成を、80℃〜100℃の範囲内で行うことを特徴とする(4)〜(9)の何れか1項に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
【0017】
(11)アルミン酸カルシウム中のCO2濃度が5質量%以下であることを特徴とする(1)〜(10)の何れか1項に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
【0018】
(12)濾過工程におけるアルミン酸カルシウム添加量を、アルミナ含有鉱石の溶解に用いたアルカリ溶液に対する添加量で、200mg/リットル〜1000mg/リットルの範囲内で添加することを特徴とする(1)および(3)〜(10)の何れか1項に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
【0019】
(13)分離工程におけるアルミン酸カルシウム添加量を、アルミナ含有鉱石の溶解に用いたアルカリ溶液に対する添加量で、100mg/リットル〜400mg/リットルの範囲内で添加とすることを特徴とする(2)および(3)〜(10)の何れか1項に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
【0020】
(14)水酸化アルミニウムを析出させる工程でのアルカリ溶液中のカルシウム濃度を、CaO換算で15mg/リットル以下にすることを特徴とする(1)〜(13)の何れか1項に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
【0021】
(15)水酸化アルミニウム中のCaO含有量を200ppm以下にすることを特徴とする(1)〜(14)の何れか1項に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
【0022】
(16)アルミナ含有鉱石として、CaO含有量が0.5質量%〜10重量%の範囲内の鉱石を用いることを特徴とする(1)〜(15)の何れか1項に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
【0023】
(17)(1)〜(16)の何れか1項に記載の水酸化アルミニウムの製造方法で製造した水酸化アルミニウム。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明は、アルミナ含有鉱石とアルカリ溶液(水酸化ナトリウム溶液あるいはこれとアルミン酸ナトリウム溶液の混合液、もしくは水酸化カリウム溶液あるいはこれとアルミン酸カリウム溶液の混合液のいずれかを指す。以下、アルカリ溶液とする。)とを混合し、該混合物を加熱処理して鉱石中のアルミナ分をアルカリ溶液中に溶解させアルミン酸アルカリ溶液(水酸化ナトリウム溶液とアルミン酸ナトリウム溶液の混合液、もしくは水酸化カリウム溶液とアルミン酸カリウム溶液の混合液を指す。以下、アルミン酸アルカリ溶液とする。)とし、該混合物に凝集剤を添加して未溶解分を沈降させる分離工程と、分離工程後で水酸化アルミニウムを析出させる工程の前に、アルミン酸アルカリ溶液に濾過助剤を加えてアルミン酸アルカリ溶液を濾過する工程を含み、この濾過助剤にアルミン酸カルシウムを添加することにより水酸化アルミニウム中のCaO濃度を低下させる水酸化アルミニウムの製造方法、また分離工程の凝集剤にアルミン酸カルシウム添加することにより水酸化アルミニウム中のCaO濃度を低下させる水酸化アルミニウムの製造方法、さらに分離工程の凝集剤及び濾過工程の濾過助剤の双方にアルミン酸カルシウムを添加することにより水酸化アルミニウム中のCaO濃度を低下させる水酸化アルミニウムの製造方法である。
【0025】
本発明のアルミン酸カルシウムは、アルミン酸アルカリ溶液とカルシウム含有物から合成することが好ましく、アルミン酸アルカリ溶液としてはアルミン酸ナトリウム溶液を用いるのが好ましい。このアルミン酸ナトリウム溶液は通常バイヤー法に用いられるアルミン酸ナトリウム溶液、あるいは水酸化ナトリウム溶液に水酸化アルミニウムを溶解させて得られる合成アルミン酸ナトリウム溶液、さらに金属アルミニウムを水酸化ナトリウム溶液に溶解させて得られる合成アルミン酸ナトリウム溶液などを用いることできる。
【0026】
一方、カルシウム含有物はアルミン酸ナトリウム溶液との反応性が良好で、かつアルミン酸ナトリウム溶液への溶解性が低い反応生成物が得られるものであれば特に限定されるものではなく、一般的には、Ca(OH)2(消石灰)、CaO(生石灰)等を用いるのが好ましい。
【0027】
アルミン酸アルカリ溶液とカルシウム含有物の混合比率は、カルシウム含有物起因のCaO換算モル量の、アルミン酸アルカリ溶液起因のAl23換算モル量に対する比率(CaOモル量/Al23モル量)が、1/5以上で3以下の範囲内、より好ましくは1/4以上で1以下の範囲内とする。比率が1より大きくなると未反応のカルシウム含有物の残存量が多くなり、比率が1/5より小さくなると反応装置が大きくなる点で不利となる。なお、カルシウム含有物のCaO換算モル量とは、カルシウム含有物中のCa原子をCaOに置き換えた場合のモル濃度に添加量を乗じたものを、またアルミン酸アルカリ溶液のAl23換算モル量は、アルミン酸アルカリ溶液中のAl原子をAl23に置き換えた場合のモル濃度に添加量を乗じたものを意味する。
【0028】
また本発明では、アルミン酸カルシウムの合成時において、アルミン酸アルカリ溶液とカルシウム含有物に水酸化ナトリウムを加え、アルミン酸カルシウム合成後の液中におけるフリーな水酸化ナトリウム濃度を、110g/リットル〜200g/リットルの範囲内、より好ましくは130g/リットル〜160g/リットルの範囲内とすることが好ましい。
【0029】
例えば、反応後の液中のフリーな水酸化ナトリウム濃度を上記範囲内に調整するためには、アルミン酸アルカリ溶液に事前もしくは反応時に水酸化ナトリウムを添加することでも可能である。フリーな水酸化ナトリウム濃度が200g/リットルより高くなると、経済性の観点から好ましくなく、水酸化ナトリウム濃度が110g/リットルより低くなると合成されたアルミン酸カルシウムの、水酸化アルミニウム中のCaO低減効果が低くなる。
【0030】
ここでカルシウム含有物中のカルシウムの分析は、ICP(誘導プラズマ発光分光光度計)など一般に行われている分析法にて求めたCa濃度をCaO換算することで求めることができる。
【0031】
またアルミン酸アルカリ溶液中の総水酸化ナトリウム濃度とアルミナ濃度の分析については以下手順にて行う。
【0032】
まず採取したアルミン酸アルカリ溶液をろ紙で濾過して清澄なアルミン酸アルカリ液を得る。次にこれを適量採取してイオン交換水などで希釈(例えば10倍希釈)した後に分取(例えば10cc)して、グルコン酸ナトリウム溶液(例えば20重量%)を適量加えて、希釈塩酸(例えば0.3mol/リットル等)で中和を行い、この中和量を液中の総水酸化ナトリウムによるものとして算出する。さらにこの中和液に弗化ナトリウム溶液(例えば50g/リットル)を適量(例えば50cc)加えてから再度希釈塩酸で中和を行い、この中和量からアルミナ濃度をもとめるものである。
【0033】
またアルミン酸アルカリ溶液中の炭酸ナトリウム濃度の測定は以下手順によっておこなう。まず採取したアルミン酸アルカリ溶液をろ紙で濾過して清澄なアルミン酸アルカリ液を得る。次にこれを適量採取してイオン交換水などで希釈(例えば10倍希釈)した後に分取して(例えば10cc)、塩酸(例えば18質量%)を適量(例えば20cc)加える。この際に発生する炭酸ガスを既知濃度(例えば0.1mol/リットル)の適量(例えば200cc)の水酸化ナトリウム溶液に吸収させてから、この溶液に適量の塩化バリウム溶液(例えば20質量%)を適量(例えば10cc)を加える。これを既知の希釈塩酸(例えば0.1mol/リットル)にて中和して求めた水酸化ナトリウム溶液濃度と吸収前の水酸化ナトリウム濃度の差から炭酸量を求めこれを炭酸ナトリウムに換算する。
【0034】
フリーな水酸化ナトリウム濃度は上記の総水酸化ナトリウム濃度から炭酸ナトリウム分を差し引いた値として求める。
【0035】
本発明の、アルミン酸カルシウムの合成は、80℃〜100℃の範囲内、その合成の保持時間は10分以上であればよい。合成温度が100℃より高い場合は、反応液が沸騰するため容器を耐圧容器化する必要が発生し経済性が低下する。また、合成温度が80℃より低いと、反応が進行しにくくなり、保持時間が長くなり経済的に好ましくない。
【0036】
本発明で得られたアルミン酸カルシウムは、CO2濃度が5重量%以下、より好ましくは4質量%以下とすることが好ましい。CO2濃度が5重量%より高くなると製造したアルミン酸カルシウム固体からカルシウムが液中に溶解することで製造される水酸化アルミニウムやアルミナのカルシウム濃度が上昇する等の問題が生ずる。なおアルミン酸カルシウム固体中のCO2の測定は、当該アルミン酸カルシウムを希塩酸にて溶解させた際に発生する炭酸ガスを既知濃度の水酸化ナトリウム溶液に吸収させることで、前述の液中炭酸ナトリウムの求め方に順じた分析法にて求めることができる。
【0037】
本発明のアルミン酸カルシウムは、赤泥を分離する工程における凝集剤または濾過工程における濾過助剤として加えられるが、赤泥分離工程における凝集剤に添加する場合には、ボーキサイト溶解に用いたアルミン酸アルカリ溶液に対して、CaO換算で100mg/リットル以上で400mg/リットル以内の範囲内、より好ましくは、150mg/リットル以上で300mg/以下の範囲内で添加し、その他凝集剤(高分子凝集剤、苛性化デンプンなど)との併用も可能である。また濾過工程における濾過助剤として添加する場合には、ボーキサイト溶解に用いたアルミン酸アルカリ溶液に対して、CaO換算で200mg/リットル以上で1000mg/リットル以内の範囲内、より好ましくは400mg/リットル以上で800mg/リットル以内の範囲内で加えれば良く、その添加方法は特に限定されない。
【0038】
例えば赤泥分離工程に添加する場合は、ボーキサイト溶解後のスラリーに対して赤泥分離装置へ送るポンプの吸入側、吐出側もしくは赤泥分離工程入口でも可能である。また濾過工程においては赤泥分離装置溢流部、清澄濾過工程へ液を送るポンプの吸入側、吐出側、もしくは濾過工程入口でも可能である。
【0039】
なお、この添加比率を超えた添加量でも本発明の目的の効果を得るには支障はないが、経済性の面から上記範囲内で充分である。また、この添加比率未満の添加量では、アルカリ液中のカルシウム濃度の低減効果が低くなる。
【0040】
本発明の水酸化アルミニウムの製造方法では、凝集剤または濾過助剤としてアルミン酸カルシウムを添加することにより、アルカリ溶液中のカルシウム濃度を、CaO換算で15mg/リットル以下とすることが好ましい。また、水酸化アルミニウム中のCaO含有量を200ppm以下に低下させることにより、本発明で得られた水酸化アルミニウムを用いて製造したアルミナ焼結体の、強度・表面平滑性を高める上で好ましい。なおアルカリ溶液中のカルシウム濃度は、当該液をろ紙等で濾過した後に試薬塩酸(例えば砒素分析用特級濃塩酸)を適量(例えば20cc)加えて若干酸性側にした後に稀釈して、ICP(誘導プラズマ発光分光光度計)により求める。また水酸化アルミニウム中のCaO含有量は、当該水酸化アルミニウムを適量取り硫酸(例えば分析用特級濃硫酸)を薄めた希硫酸を用いて溶解を行った後に、希釈してICP(誘導プラズマ発光分光光度計)により求める。
【0041】
また本発明の水酸化アルミニウムの製造方法におけるCaO含有量の低減効果は、アルミナ含有鉱石として、CaO含有量が0.5質量%以上の鉱石を用いた場合に顕著となる。
【0042】
【実施例】
以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
(比較例1、実施例1〜3)
バイヤー工程にて得られたボーキサイト溶解スラリー(スラリー温度100℃)、消石灰スラリー(スラリー温度90℃)、アルミン酸カルシウムスラリーを用いた。これらの原料の、CaO/Al23モル比率、反応時の水酸化ナトリウム濃度を変化させ、反応温度は90℃で一定に保持しながら添加し、攪拌後10分間保持し、スラリー固形分を濾過した液中におけるCaO濃度を測定した。その結果を表1に示す。
【0044】
(比較例2、実施例4〜6)
バイヤー工程の赤泥分離工程より排出されたアルミン酸ナトリウム溶液(溶液温度95℃)、消石灰スラリー(90℃)、アルミン酸カルシウムスラリーを用いた。これらの原料を添加し、CaO/Al23モル比率、反応時の水酸化ナトリウム濃度を変化させ、反応温度を90℃で一定に保持しながら攪拌後、10分間保持して、スラリー固形分を濾過した液中におけるCaO濃度を測定した。その結果を表2に示す。
【0045】
【表1】
Figure 0004108974
【表2】
Figure 0004108974
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、水酸化アルミニウム製造工程における赤泥分離助剤、清澄濾過助剤として従来用いられている消石灰に代替するものとして、アルミン酸カルシウムを用いることにより、工程液中のカルシウム濃度制御およびカルシウム濃度の低減を行なえるようになり、ひいてはアルミナ原料である水酸化アルミニウム中のカルシウム濃度、アルミナ中のカルシウム濃度を適正範囲に制御およびカルシウム濃度を低減することが可能となり、その産業上の価値は大きい。

Claims (16)

  1. アルミナ含有鉱石とアルカリ溶液とを混合し、該混合物を加熱処理して鉱石中のアルミナ分をアルカリ溶液中に溶解させアルミン酸アルカリ溶液とし、さらに該混合物に凝集剤を添加して未溶解分を沈降させる分離工程と、分離工程後で水酸化アルミニウムを析出させる工程の前に、アルミン酸アルカリ溶液に濾過助剤を加えてアルミン酸アルカリ溶液を濾過する工程を含み、この濾液から水酸化アルミニウムを析出させる水酸化アルミニウムの製造方法であって、前記濾過工程の濾過助剤にアルミン酸カルシウムを添加することにより水酸化アルミニウム中のCaO濃度を低下させることを特徴とする水酸化アルミニウムの製造方法。
  2. アルミナ含有鉱石とアルカリ溶液とを混合し、該混合物を加熱処理して鉱石中のアルミナ分をアルカリ溶液中に溶解させアルミン酸アルカリ溶液とし、さらに該混合物に凝集剤を添加して未溶解分を沈降させる分離工程と、この上澄み液であるアルミン酸アルカリ溶液から水酸化アルミニウムを析出させる工程を含む水酸化アルミニウムの製造方法であって、前記分離工程の凝集剤にアルミン酸カルシウムを添加することにより水酸化アルミニウム中のCaO濃度を低下させることを特徴とする水酸化アルミニウムの製造方法。
  3. アルミナ含有鉱石とアルカリ溶液とを混合し、該混合物を加熱処理して鉱石中のアルミナ分をアルカリ溶液中に溶解させアルミン酸アルカリ溶液とし、さらに該混合物に凝集剤を添加して未溶解分を沈降させる分離工程と、分離工程後で水酸化アルミニウムを析出させる工程の前に、アルミン酸アルカリ溶液に濾過助剤を加えてアルミン酸アルカリ溶液を濾過する工程を含み、この濾液であるアルミン酸アルカリ溶液から水酸化アルミニウムを析出させる水酸化アルミニウムの製造方法であって、前記分離工程の凝集剤にアルミン酸カルシウムを添加するとともに、前記濾過工程の濾過助剤にアルミン酸カルシウムを添加することにより水酸化アルミニウム中のCaO濃度を低下させることを特徴とする水酸化アルミニウムの製造方法。
  4. アルミン酸カルシウムを、アルミン酸アルカリ溶液とカルシウム含有物から合成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
  5. アルミン酸カルシウムを、アルミン酸アルカリ溶液とカルシウム含有物および水酸化ナトリウムから合成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
  6. アルミン酸カルシウム中のフリーな水酸化ナトリウム濃度が、110g/リットル〜200g/リットルの範囲内であることを特徴とする請求項5に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
  7. カルシウム含有物が、スラリー化した消石灰であることを特徴とする請求項4〜6の何れか1項に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
  8. アルミン酸アルカリ溶液がアルミン酸ナトリウム溶液であることを特徴とする請求項4〜7の何れか1項に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
  9. カルシウム含有物のCaO換算モル量をA、アルミン酸アルカリ溶液のAl23換算モル量をBとした場合、AのBに対する比率(A/B)を、1/5〜3の範囲内としてアルミン酸カルシウムを合成することを特徴とする請求項4〜8の何れか1項に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
  10. アルミン酸カルシウムの合成を、80℃〜100℃の範囲内で行うことを特徴とする請求項4〜9の何れか1項に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
  11. アルミン酸カルシウム中のCO2濃度が5質量%以下であることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
  12. 濾過工程におけるアルミン酸カルシウム添加量を、アルミナ含有鉱石の溶解に用いたアルカリ溶液に対する添加量で、200mg/リットル〜1000mg/リットルの範囲内で添加することを特徴とする請求項1および請求項3〜10の何れか1項に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
  13. 分離工程におけるアルミン酸カルシウム添加量を、アルミナ含有鉱石の溶解に用いたアルカリ溶液に対する添加量で、100mg/リットル〜400mg/リットルの範囲内で添加とすることを特徴とする請求項2および請求項3〜10の何れか1項に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
  14. 水酸化アルミニウムを析出させる工程でのアルカリ溶液中のカルシウム濃度を、CaO換算で15mg/リットル以下にすることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
  15. 水酸化アルミニウム中のCaO含有量を200ppm以下にすることを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
  16. アルミナ含有鉱石として、CaO含有量が0.5質量%〜10重量%の範囲内の鉱石を用いることを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載の水酸化アルミニウムの製造方法。
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