JP4108936B2 - 鉱山機械の回転可能なたがね装置 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、多くの場合、スクラッチローラローダ(Schraemmwalzenlader)のコンベヤヘッド若しくはカッタヘッドに使用される、特に鉱山機械のための回転可能なたがね(Meissel)に関する。回転たがねは、シャフトと、たがねホルダの端面で支えるためのフランジを備えた作業部とを有している。回転たがねのシャフト部の端部にはばね弾性的な摩擦リングが配置されている。摩擦リングは、このために構成された、端部フランジを備えたたがねシャフトの区分に被せ嵌められる。この場合、端部フランジと、摩擦リングを受容するために構成されたシャフト部とが、摩擦リングと共に部分的に、たがねが固定されているたがねホルダの縁部を越えて突き出る。
【0002】
従来技術によれば、使用された安全装置に関連した、たがねシャフトの構造のための多くの解決策が公知である。ポーランド特許出願第316848号明細書によれば、広く普及したたがねホルダが公知である。この公知のたがねホルダは、その端部付近に、幅広い扁平な溝を有している。たがねホルダ内にたがねが挿入されると、この溝内に、表面が凹状に構成された面部材を備えた拡開スリーブが係合し、それによって挿入されたたがねが抜け落ちるのを阻止する。この解決策においては、たがねのシャフトは完全にたがねホルダ内に位置する。この解決策の欠点は、拡開スリーブつまりいわゆる「クリップリング“Clip−Ring”」がたがねホルダ内に挿入された後で緊締され、それによってその内側と溝の表面との間にギャップが形成され、このギャップ内に破壊された岩石の微小粒子が入り込むということである。これによって、一定の時間後に、均一な摩耗を得るために重要である、たがねホルダ内でのたがねの自由回転可能性が困難になる。また微小粒子が貯まることによって拡開スリーブが圧縮され、ひいては摩耗したたがねを交換することが困難になり、一部は不可能となる。これと類似のたがねシャフトの構成は、英国特許第2146058号明細書及びアメリカ合衆国特許第4484783号明細書に記載されている。
【0003】
アメリカ合衆国特許第468417号明細書によれば、安全装置のための構造部及びシャフトの構造形式のための別の解決策が公知である。1実施例(この公知の明細書の図1)では、シャフトが短く、完全にたがねホルダの孔内に挿入されている。端部フランジから支持フランジまでの全面に、薄い金属薄板より製造された摩擦拡開スリーブが挿入されている。このような形式のスリーブは、ポーランド特許第173146号明細書又は例えばドイツ連邦共和国特許第3233123号明細書からも公知である。この解決策は、たがねをたがねホルダ内に挿入することが困難になるという欠点がある。何故ならば、スリーブは緊張解除された状態で、たがねホルダの内孔よりも大きい直径を有しているからである。従って、たがねで打撃する際に、スリーブは、シャフトの上部の円筒形の部分に、フランジの手前までスライドし、たがねが孔内にさらに押し込まれることが阻止されるか、又は逆の場合に、たがねは孔からたたき出されることになる。
【0004】
同様の問題点は、ヨーロッパ特許公開第0295232号明細書に開示されたたがねにおいても生じる。この公知のたがねスリーブは同様に、シャフトのほぼ全長に当接し、下側で折れ曲がって溝内に係合し、これに対してスリーブは上側で外方に向かった折り曲げ部を有している。これによって、たがねをたがねホルダの受容部内に挿入する際に、スリーブは上方にスライドする間、再び拡開され、これによって緊締が生じる。
【0005】
前記アメリカ合衆国特許第468417号明細書(図3)の別の実施例では、たがねシャフトがたがねホルダ孔よりも長くて、このたがねホルダ孔から突き出している構造について記載されている。この場合、シャフトの端部区分には一般的に狭い溝が対応配置されており、この狭い溝内に安全リング、クランプ又は割ピンの形状のロック部材が挿入される。このような解決策は、シャフトとたがねホルダ孔との間に汚れがたまり、この汚れが内孔における摩擦摩耗によって遊びが次第に大きくなるので困難が生じる。たがねホルダ孔が非常に大きく拡開されると、安全装置は働かなくなるので、たがねはたがねホルダから抜け落ちることになる。
【0006】
別のアメリカ合衆国特許第4944559号明細書によれば、たがねのシャフトに溝が設けられており、このシャフトは、たがねホルダの孔から突き出している。このような配置においては、もっぱら2つのゼーゲルリング(Segerring)又は1つのゼーゲルリングと1つの錠ロックの形状の2重の安全装置が設けられている。
【0007】
従って本発明は、以上の従来技術から出発して、冒頭に述べた形式のたがね及び、運転中にたがねが抜け落ちるのを防止する安全装置で、前記公知の解決策の欠点を取り除き、取り扱いが容易で簡単に組み立てることができ、たがねの交換が軽減されたものを提供することである。この解決策は、シャフトが全長に亘って一体的な直径を有しているたがねのためにも、シャフトが段付けされた直径を有するたがねのためにも適用することができものでなければならない。本発明は、たがねをたがねホルダ内に直接固定するためにも、また中間スリーブ内に固定するために適しているものでなければならない。
【0008】
本発明によればこの課題は、たがねシャフトの端部が、ピンとして構成され、両側が斜めに切り落とされたつまり面取り斜面(Fase)を備えた突起部を備えていることによって解決された。ピンには摩擦リングが被せ嵌めされており、この摩擦リングの直径は緊張解除された状態でたがねホルダ孔の直径よりも大きい。摩擦リングはその上端部及び下端部で内方に傾斜した、ピンの面取り斜面に合致せしめられた傾斜面を有している。ピンの面取り斜面及び、摩擦リングの、両側が内方に傾斜した傾斜面によって、摩擦リングは、たがねを取り付ける時にもまたたがねを取り出す時にも、ピンの領域内に残り、シャフトの別の部分に被せはめられることはない。このような強制ガイドに基づいて、摩擦リングが不都合に拡開することはない。しかも、シャフトのピン状の受容領域は、スリーブ若しくは摩擦リングのための、幅の広い滑らかな受容溝を備えた従来のシャフト形状と対比して、ピンがその他のシャフトに対して材料が著しく弱い箇所を形成することはなく、たがねの回転にその他のシャフト領域と並んで同様にたがねの形状安定性のために寄与するという利点を有している。
【0009】
本発明による解決策においては有利には、固定時に効果的な固定、容易で迅速で確実な取り扱いが得られる。また有利には、別個のロック部材を設ける必要はない。何故ならば摩擦リングは製造者がたがねシャフトに取り付けて、使用されたたがねと共に固定されるからである。たがね安全装置のこのような構成は、高価ではなく、むしろ公知のたがね安全装置よりも安価である。さらに本発明の構成によれば、たがねはたがねホルダ内で妨害されることなく回転し、ひいては確実に一様な摩耗が得られるようになっている。ピンが簡単な延長部としてシャフトに構成されているので、たがねホルダ内に導入されたシャフトの形状安定性はより高められる。短いシャフトを備えたたがねを使用すると、たがねホルダ孔の一般的な拡開及び、場合によっては生じるたがねの破損は避けられる。
【0010】
本発明のその他の利点は従属請求項、及び以下の有利な実施例の説明に記載されている。
【0011】
図1は、一様なシャフト及び取り付けられたリングを有する回転たがねを、断面して図示されたたがねホルダ内に挿入した部分断面図、
図2は、たがねホルダを挿入する際の、取り付けられた摩擦リングを有する回転たがねシャフトの部分的な断面図、
図3は、図1及び図2に示した回転たがねシャフトの部分的な断面図、
図4は、摩擦リングに設けられたスリットの方向から見た、図1及び図2に示した摩擦リングの部分的に断面した側面図、
図5は、摩擦リングの平面図、
図6は、図4に示した摩擦リングの端縁部の枠部の拡大図である。
【0012】
本発明によれば、回転たがねは、作業部4とピン状のシャフト6とを有しており、このシャフト6は、支持フランジ5によって作業部4と結合されている。支持フランジ5は、回転たがねをたがねホルダ1内に挿入した後でたがねホルダ1の端部3に当接する。シャフト6は、端部区分で、ピン7として構成された領域を有しており、この領域は、両側が面取りされていて、上側のシャフト部分6の側で面取り斜面9を有し、端部フランジ8の側で面取り斜面10を有している。有利にはこれら2つの面取り斜面9,10は同一に構成されていて、これらの面取り斜面9,10とピン7の周面22との間で、10゜〜35゜の角度α有利には25゜を形成している。ピン7の直径D2は、シャフト6の直径D1よりも小さく、端部フランジ8の直径D3よりも小さい。端部フランジ8の直径D3が、シャフト6の直径D1よりもやや小さければ有利である。面取り斜面9とシャフト6の内側傾斜面13との間に、真っ直ぐな又は湾曲した輪郭を有する底部15を備えた凹部11が形成されており、面取り斜面10と端部フランジ8の内側19との間に、真っ直ぐな輪郭を有する底部16を備えた溝12が形成されている。ピン7に摩擦リング23が取り付けられており、この摩擦リング23は両側に向かって傾斜面25を有していて、2つの縁部28間でスリット26を形成している。傾斜面25と摩擦リング23の外側面24との間に、角度β(10゜〜35゜の間、有利には25゜)が形成されており、傾斜面25は可能な限りピン7の面取り斜面9,10に対応して整列されている。リング23の直径d1は、緊張解除された状態でたがねホルダ1の孔2の直径よりも大きい。しかしながら摩擦リング23の傾斜面25の端縁部30の直径d2は、シャフト6の直径D1よりも小さく、端部フランジ8の側面20の直径D3よりも小さい。
【0013】
これによって、摩擦リング23の傾斜面25の端縁部30は一方では凹部11内に配置され、他方では溝12内に配置されている。従って、摩擦リング23がピン7に対してその最も外側の終端位置に位置していても、端縁部30は緊張解除された状態で凹部11内に及び溝12内にスライドさせることはできない。ピン7及び摩擦リング23の直径、及びたがねホルダ1の孔2の直径は互いに次のように合わせられている。つまり、厚さgの壁厚を有する摩擦リング23の外側面24によって、たがね4が軸方向で摺動してたがねホルダ1から抜け落ちることが確実に避けられる程度に強い圧力が孔2の面に加えられるように、互いに合わせられている。従ってスリット26は、その縁部28が摩擦リング23の緊締された状態においても接触しないように構成されている。それと同時に、たがねホルダ1内におけるたがね4の自由な回転可能性を保証するために、摩擦リング23の内側27とピン7の周面22との間にギャップ21が形成されている。重要なことは、摩擦リング23はその外側面24だけが孔2に当接するということである。従って、摩擦リング23の傾斜面25がその、外側面24に向かっての移行部29から端縁部30まで、ピン7の面取り斜面9,10よりも短く構成されていて、これによって端縁部30が一方ではシャフト6の内側傾斜面13と接触せず、他方では端部フランジ8の内側19と接触しないようになっていれば有利である。内側傾斜面13は、上側のシャフト部分6の周面14に対して、有利には90゜よりも小さい角度で延びている(図3)ので、たがね4をたがねホルダ1内に挿入する際に、上側の端縁部30は凹部11の底部15に向けられる。付加的に製造誤差が大きい場合でも端縁部30が凹部11及び溝12から抜け出るのを避けるために、端縁部30は、外側に対して約15゜の角度χを成している。たがね4をたがねホルダ1内に挿入する作業を軽減するために、周面24と傾斜面25との間の移行部29は有利には曲率半径r(図4)を有しており、これによってたがね4をハンマーなしでわずかな力で挿入することができる。これは熱処理によって非常に強く硬化された摩擦リング23においてあてはまる。ピン7に摩擦リングを取り付け取り外す作業を軽減するために、縁部28は中央部で切欠31を有していて、この切欠31は、操作時にペンチ(Zange)の脚が滑り落ちるのを阻止する。特に困難な坑内作業において、たがね4の取り外し作業を軽減するために、端部フランジ8の端面側17に小さい切欠18が設けられており、この切欠18は、たがね4をたがねホルダ1から取り外すために工具が取り付けられた時に、工具が端面側17から滑り出るのを阻止する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一様なシャフト及び取り付けられたリングを有する回転たがねを、断面して図示されたたがねホルダ内に挿入した部分断面図である。
【図2】 たがねホルダを挿入する際の、取り付けられた摩擦リングを有する回転たがねシャフトの部分的な断面図である。
【図3】 図1及び図2に示した回転たがねシャフトの部分的な断面図である。
【図4】 摩擦リングに設けられたスリットの方向から見た、図1及び図2に示した摩擦リングの部分的に断面した側面図である。
【図5】 摩擦リングの平面図である。
【図6】 図4に示した摩擦リングの端縁部の枠部の拡大図である。
【符号の説明】
1 たがねホルダ

3 端部
4 作業部(たがね)
5 支持フランジ
6 シャフト
7 ピン
8 端部フランジ
9,10 面取り斜面
11 凹部
12 溝
13 内側傾斜面
14 周面
15,16 底部
17 端面側
18 切欠
19 内側
20 側面
21 ギャップ
22 周面
23 摩擦面
24 外側面
25 傾斜面
26 スリット
27 内側
28 縁部
29 移行部
30 端縁部
31 切欠
d1,d2、D1,D2,D3 直径
g 厚さ
r 曲率半径
α、β、χ 角度

Claims (15)

  1. 特に鉱山機械のための回転たがねであって、シャフト(6)と、フランジ(5)を備えた作業部(4)とを有しており、該フランジ(5)は、回転たがねのシャフト(6)がたがねホルダ(1)の受容孔内に挿入された時にたがねホルダ(1)の端面で支えるために用いられるようになっており、前記回転たがねのシャフト(6)に、たがねホルダ(1)の受容孔内に挿入される摩擦リング(23)が被せ嵌められるようになっている形式のものにおいて、
    シャフト(6)が、端部フランジ(8)を備えたピン(7)として構成された領域を有しており、該ピン(7)として構成された領域が、上側のシャフト部分(6)の側で上側の面取り斜面(9)を有していて前記端部フランジ(8)の側で下側の面取り斜面(10)を有しており、摩擦リング(23)がその上端部及び下端部で、ピン(7)の面取り斜面(9,10)に合致した、内方に傾けられた傾斜面(25)を有していることを特徴とする、回転たがね。
  2. ピン(7)の上側の面取り斜面(9)から上側のシャフト部分(6)への移行部に凹部(11)が形成されていて、ピン(7)の下側の面取り斜面(10)から端部フランジ(8)への移行部に溝(12)が形成されている、請求項1記載の回転たがね。
  3. ピン(7)の上側の面取り斜面(9)から上側のシャフト部分(6)への移行部がアンダカットを形成している、請求項1又は2記載の回転たがね。
  4. アンダカットが円形の内側傾斜面(13)によって制限されていて、該内側傾斜面(13)と上側のシャフト部分(6)の周面(14)との間が鋭角を形成している、請求項3記載の回転たがね。
  5. 摩擦リング(23)が上側及び下側において端縁部(30)で終わっており、摩擦リング(23)の傾斜面(25)の端縁部(30)が面取りされている、請求項1から4までのいずれか1項記載の回転たがね。
  6. 摩擦リング(23)の上側の傾斜面(25)の上側の端縁部(30)の面取り部が、ピン(7)と上側のシャフト部分(6)との間の移行部におけるアンダカットの内側傾斜面(13)に合わせられている、請求項5記載の回転たがね。
  7. ピン(7)の直径(D2)が上側のシャフト部分(6)の直径(D1)よりも小さい、請求項1から6までのいずれか1項記載の回転たがね。
  8. ピン(7)の直径(D2)が、上側のシャフト部分(6)の直径(D1)よりも、摩擦リング(23)の厚さ(g)の2倍だけ小さい、請求項5記載の回転たがね。
  9. 面取り斜面(9,10)が、これらの面取り斜面間に延びる、ピン(7)の実質的に円筒形の周面(22)に対して、10゜〜35゜の角度(α)だけ内方に傾いている、請求項1から8までのいずれか1項記載の回転たがね。
  10. ピンの直径(D2)が端部フランジ(8)の直径(D3)よりも小さい、請求項1から9までのいずれか1項記載の回転たがね。
  11. 端部フランジ(8)の端面側(17)が切欠(18)を有している、請求項1から10までのいずれか1項記載の回転たがね。
  12. 回転たがねのシャフト(6)における端部フランジ(8)が、たがねホルダ(1)内に回転たがねが挿入された時に、たがねホルダ(1)の受容孔から突き出るようになっている、請求項1から11までのいずれか1項記載の回転たがね。
  13. たがねホルダ(1)の受容孔内で回転たがねを固定するための摩擦リングであって、摩擦リング(23)が、長手方向でスリットを付けられていて互いに向き合う2つの縁部(28)を備えている形式のものにおいて、
    摩擦リング(23)が、請求項1から12までのいずれか1項記載に従って、その上端部及び下端部で内方に傾けられた傾斜面(25)を備えていることを特徴とする、摩擦リング。
  14. スリット(26)を形成する縁部(28)が切欠(31)を有している、請求項13記載の摩擦リング。
  15. 上側の傾斜面と下側の傾斜面(25)との間に外側面(24)が設けられており、この外側面と上側及び下側の傾斜面(25)との間の移行部(29)が曲率半径(r)で丸みを付けて構成されている、請求項13又は14記載の摩擦リング。
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