JP4108545B2 - 破砕バケット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クラッシャ機能を有する破砕バケットに関する。更に詳しくは、バケット本体内に反発板を有し投入された原料を細破砕化する破砕バケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
土木機械のバケットは、廃材等の原料を単に収集して他の場所に運搬し置換するのみでなく、バケットで投入された原料を破砕したり、篩ったりして二次処理を行うものが種々知られている。又、土壌を破砕したり、廃材等の原料を細かく破砕する専用の破砕機も知られていて、用途により種々のタイプのものが使用されている。
【0003】
パワーショベル等のバケットは、特に土壌の掘り起こしや土壌、廃材等の運搬に使用されていることは周知である。このバケットは、一般に土壌等を掬いとって移動し他の場所へ排出するのみの機能のものが大半である。最近は、このバケットに二次機能を付加してバケット作業の効率化を図ったバケットも提案されている。
【0004】
例えば、バケット内で廃材を破砕する簡易な方法の例として、バケット内に種々の破砕装置が設けられたものが提案されている。これらの例として、バケットに掬い取ったコンクリート塊等廃材を挟圧粉砕する一対の破砕盤を接離可能に対設し、廃材を掬い取ってそのまま破砕し排出するものが知られている(例えば、特許文献1)。また、バケットに破砕歯を供えた作動体を往復運動可能に設け、バケットに設けられた固定破砕歯との間でコンクリート廃材を破砕するものも知られている(例えば、特許文献2)。さらに、バケット内の掬い器内に一対の回転軸を設け、各回転軸に大中小の破砕歯板を取り付け、回転軸を回転させることにより歯板群でコンクリート塊を小さく砕くものも知られている(例えば、特許文献3)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−121748号公報
【特許文献2】
特開平9−316912号公報
【特許文献3】
特開平10−30247号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した特許文献に記載された技術では、投入された原料を細破砕化し排出する上では、不充分である。原料を破砕する駆動モータ等の駆動に、大きな駆動トルク等も必要である。しかし、バケットの大きさに合わせた駆動モータ等の駆動体を使用した破砕装置では、被破砕物である原料を破砕する能力が低いものとなってしまうという問題点があった。
【0007】
バケットに留まる土壌等の原料は大小の塊で存在し、小さいものは排出口から落下して排出されるが、大きい塊のものはバケット内にいつまでも留まり続けることがあるので、バケットを傾け投入口から排出しており効率がよくない。しかし、大きい塊であっても力を少し加えれば崩れ細破砕物になり得る。バケット内に取りこまれた原料はできるだけ多く細破砕物にするのが理想である。バケット内は限られた空間であり、このスペースを有効に活用する必要がある。このために大きなトルクを有する駆動モータや大きく複雑な装置を付加することは困難であり、新たな問題点も生じる。
【0008】
そのため、バケット内で被破砕物である原料を効率よく細破砕化するのに適したコンパクトな破砕バケットの開発が望まれていた。本発明は、前記した課題を解決するためになされたもので、下記の目的を達成する。
本発明の目的は、バケット内に投入された原料を効率よく細破砕し、しかも確実に破砕のできる破砕バケットを提供することにある。
本発明の他の目的は、簡素でコンパクトな構成にし、低コストにした破砕バケットを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明1の破砕バケットは、土木機械の先端アームの先端に揺動可能に設けられ、一方に原料が投入される投入口、他方に排出口が構成されたバケット本体と、前記バケット本体に回転可能に設けられ、原料を破砕する破砕歯を外周に複数個有する破砕ロータと、前記バケット本体に設けられ前記破砕ロータを駆動する駆動装置と、前記バケット本体内に設けられた支持部に形成された長穴に挿入支持された軸体に支持されて揺動可能であるとともに、前記破砕ロータに対して進退移動可能に設けられ、前記バケット本体内の原料を受けて前記破砕ロータの回転により衝接しながら押しつぶし破砕するための反発板と、前記バケット本体に設けられ、前記反発板に対し前記軸体による支持位置とは異なる箇所において当接し、前記軸体を介して揺動動作する前記反発板の傾き姿勢位置及び前記破砕ロータとの間隔を変更するための調整装置と、前記バケット本体の前記排出口に設けられ、前記反発板を介して破砕された細破砕物を排出する排出板とからなるものである。
【0010】
本発明2の破砕バケットは、本発明1において、前記反発板の反発面は、前記破砕ロータの破砕歯が潜り込むことが可能な凹部形状になっているものである
本発明3の破砕バケットは、本発明1において、
先端が前記反発板に当接するねじ機構により前記反発板の傾き姿勢位置及び前記破砕ロータとの間隔を変更するものである
【0011】
本発明4の破砕バケットは、本発明1において、前記調整装置は、前記反発板に当接し押圧する油圧駆動装置により前記反発板の姿勢位置及び前記破砕ロータとの間隔を変更するものである
本発明5の破砕バケットは、本発明1から4のいずれかにおいて、前記排出板は、前記バケット本体に着脱自在に取り付けられ複数の開口部を有する板であるようにしたものである
【0012】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明を適用するパワーショベルの全体図、図2から図4は、本発明の破砕バケットの断面図である。パワーショベルは土木機械の一種で、公知の土木掘削機である。一般に機械より低い位置の地盤の掘削に適用され、穴掘り、溝堀り等の作業に適する。機械の容量は、バケット容量で表される。図に示すパワーショベル1は自走式で、クローラ2を介してどの位置へも移動可能である。基体3に第1旋回アーム4が支軸(図示せず)を介して設けられ、第1シリンダ5により支軸を中心に旋回する。
【0013】
第1旋回アーム4には、支軸6を介して第2旋回アーム7が設けられ、第1旋回アーム4に設けられた第2シリンダ8により支軸6を中心に旋回動作する。第2旋回アーム7の先端には、支軸9を介してバケット10が揺動可能に設けられている。このバケット10は、破砕バケットである。第2旋回アーム7には、バケットシリンダ11が設けられ、バケットシリンダ11のピストンロッド11aの先端部が軸12を介して相対回転可能に、バケット10のバケット本体13に取り付けられている。
【0014】
即ち、バケットシリンダ11の駆動力によりバケット本体13は、支軸12を中心に揺動する。バケット本体13の内部は、投入される原料の破砕室を構成し、その破砕室の内壁は硬質材で被覆されている。また、基体3は、水平方向に旋回できる構造になっている。従って、バケット10は、旋回範囲のどの位置にも移動可能であり、向きも変えることができる。このように構成されるパワーショベル1のバケット10が本発明の破砕バケットである。以下本発明の破砕バケットの構成を図に基づき詳細に説明する。
【0015】
図2は、バケット10の第1の実施形態を示すものである。このバケット本体13内には、破砕のための破砕ロータ14と反発板15が設けられている。破砕ロータ14は、ロータ軸14aに一体化している。又、上部は原料投入のための開口された投入口16を構成し、投入された原料は、細破砕物に破砕された後、下部に設けられた排出口17から排出されるようになっている。
【0016】
本発明のバケット10は、破砕ロータ14に反発板15を付加して設けた構成が特徴になっている。破砕ロータ14には、複数の破砕歯18が円周方向に千鳥状に配設されている。バケット本体13の外壁側面には、破砕ロータ14の駆動用のための駆動装置14bが設けられている。この駆動装置14bの駆動により破砕ロータ14はロータ軸14aを介して強制的に回転され、これに伴い破砕歯18が円周に沿って回転され原料を破砕する。
【0017】
バケット本体13内には、破砕ロータ14に対向して反発板15が揺動自在にバケット本体13全幅に亘って設けられている。反発板15の反発面15aは、破砕ローラ14の断面が凹凸形状になっていて、破砕歯18が回転するときは、凹部に破砕歯18が潜り込むようになっている。投入された原料は、この反発面15aに衝接し破砕歯18により細かくする破砕動作を行う。
【0018】
バケット本体13の側壁には、長穴19aを有する支持部19が設けられ、この支持部19の長穴19aに反発板15を支持する軸体20が挿入支持され固定される。軸体20には、反発板15が支持され揺動可能となっている。反発板15は長穴19aにより、破砕ロータ14に対して進退する方向に位置を変えることができる。図の状態は、反発板15が破砕ロータ14に近寄った位置に設置された状態を示している。
【0019】
軸体20が長穴19aの左側即ちAの位置に移動固定された場合は、反発板15は破砕ロータ14から離れた位置になり、投入される原料を多く受け入れることができる。一方バケット本体13の前壁部13aには、反発板15の傾斜姿勢を変更することができる調整装置21が設けられている。この調整装置21は、ねじ体21aをベースにするもので、人手で雌雄ねじを相対移動させ、ねじ体21aの出入りを調整し固定する。
【0020】
ねじ体21aの先端は反発板15の裏面に当接している。この反発板15は、軸体20を介して揺動され、回転する破砕歯18との間隔の調整を行い、反発板15の傾斜位置が定まったところで、ナット21bを締め上げねじ体21aを固定する。このような構成のバケット10において、破砕ロータ14と反発板15との空間に投入口16から投入される原料は、反発板15と破砕歯18との間に強制的に押しこまれ破砕される。
【0021】
破砕歯18は連続して回転し原料に食い込んでいくので、大きい塊の土壌であっても破砕歯18で擦って空回りすることなく破砕される。破砕された土壌は、破砕歯18と反発板15との空隙から細かい粒度土壌となってバケット本体13の下部にもたらされる。バケット本体13の下部は排出口17となっていて、排出板22が着脱自在にボルトで固定されている(図示せず)。この排出板22は、通過する粒度の土壌径に合わせた穴22aが多数設けられた鋼板である。
【0022】
原料の大半は細破砕され、この穴22aを通過しバケット本体13外に排出されるが、粗破砕物として残った原料はバケット本体13内に滞留する。滞留した原料は、破砕ロータ14の回転とともにバケット本体13の上方へ持ちきたされ、新たに投入口16から投入される原料とともに再び反発板15を介して押し潰され、細破砕物となって排出口17から排出される。
【0023】
排出口の形態は、他の装置等でフィルター式、スクリーン式、打ち抜き鋼板式、溶接網など種々のものが公知である。その排出方法も直進又は回転の篩い動作等種々の方法が知られている。本発明の場合は、排出口に穴明き鋼板を適用し、破砕ロータ14の回転動作を利用し定粒度の細破砕物を排出させるもので、複雑な装置としていない。
【0024】
このような動作を繰り返し、投入されたほとんどの土壌は細破砕されバケット本体13外に排出される。排出口17に設置される排出板22は、異なる土壌の粒度に合わせ異なる穴の大きさのものに変更することができる。この排出板22は網目状のものであってもよい。
【0025】
[第2の実施形態]
図3は第2の実施形態を示したものである。この例は、調整装置21に油圧駆動装置を適用したものである。油圧駆動装置即ち油圧シリンダー23をバケット本体13の前壁部13aに取り付け、油圧シリンダー23のロッド23aを反発板15に対して出し入れ押圧し、揺動角を変え反発板15の傾き姿勢を変更する。反発板15に対する油圧シリンダー23の取り付け位置と角度は、設計段階で決定される。なるべくバケット10の掬い出し作業に支障のない位置に配置する。
【0026】
反発板15に過負荷が生じたときには、油圧シリンダー23の供給圧の範囲でロッド23aを押し戻すことにより、反発板15の衝撃を和らげることができる。この油圧駆動装置は油圧シリンダー23でなく油圧モータであってもよい。調整装置21を油圧駆動装置とすることは、操作を自動で行うことができ、例えばパワーショベル1の運転台で遠隔操作することができることを意味する。
【0027】
[第3の実施形態]
図4は、第3の実施形態を示したものである。この例は、図2に示す構成例にバネ鋼板24を介在させた例である。図4は、図2の構成に緩衝材としてバネ鋼板24をバケット本体13内に取り付けたものである。ねじ体21aでバネ鋼板24の中間部を押すことにより位置を調整するが、反発板15に対してはバネ鋼板24の先端部で当接させている。従って、反発板15に過負荷が生じたときには、バネ鋼板24の先端部がねじ体21aの押圧部を支点に撓み反発板15の受ける衝撃力を吸収する。この緩衝材は、バネ鋼板24を使用することで説明しているが、コイルバネ、ゴム等の弾性体であってもよい。本発明は、以上のように構成されるが、説明した実施の形態に限定されないことはいうまでもない。
【0028】
【発明の効果】
本発明の破砕バケットは、バケット内に反発板を設ける構成にしたことで、バケット内に投入された原料を効率よく細破砕し、しかも効率よく破砕ができるようになった。さらに、バケット内に設けられた支持部に形成された長穴に挿入支持された軸体に支持されて揺動可能であるとともに破砕ロータに対して進退移動可能に反発板を設け、反発板に対し軸体による支持位置とは異なる箇所において当接する調整装置を備えることにより、軸体を介して揺動動作する反発板の傾き姿勢位置及び破砕ロータとの間隔を変更して、適切な破砕作業ができる。更に調整装置を含む構成が簡易でコンパクトになり、低コストの破砕バケットとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明を適用するパワーショベルの全体図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態を示す破砕バケットの断面図で、調整装置をねじ機構とした場合の例を示す。
【図3】図3は、本発明の第2の実施の形態で、調整装置を油圧駆動装置とした破砕バケットの断面図である。
【図4】図4は、本発明の第3の実施の形態で調整装置の緩衝材にバネ鋼板を使用した破砕バケットの断面図である。
【符号の説明】
1…パワーショベル
2…クローラ
3…基体
10…バケット
13…バケット本体
14…破砕ロータ
15…反発板
15a…反発面
18…破砕歯
21…調整装置
22…排出板

Claims (5)

  1. 土木機械の先端アームの先端に揺動可能に設けられ、一方に原料が投入される投入口、他方に排出口が構成されたバケット本体と、
    前記バケット本体に回転可能に設けられ、原料を破砕する破砕歯を外周に複数個有する破砕ロータと、
    前記バケット本体に設けられ前記破砕ロータを駆動する駆動装置と、
    前記バケット本体内に設けられた支持部に形成された長穴に挿入支持された軸体に支持されて揺動可能であるとともに、前記破砕ロータに対して進退移動可能に設けられ、前記バケット本体内の原料を受けて前記破砕ロータの回転により衝接しながら押しつぶし破砕するための反発板と、
    前記バケット本体に設けられ、前記反発板に対し前記軸体による支持位置とは異なる箇所において当接し、前記軸体を介して揺動動作する前記反発板の傾き姿勢位置及び前記破砕ロータとの間隔を変更するための調整装置と、
    前記バケット本体の前記排出口に設けられ、前記反発板を介して破砕された細破砕物を排出する排出板と
    からなることを特徴とする破砕バケット。
  2. 請求項1に記載された破砕バケットにおいて、
    前記反発板の反発面は、前記破砕ロータの破砕歯が潜り込むことが可能な凹部形状になっている
    ことを特徴とする破砕バケット。
  3. 請求項1に記載された破砕バケットにおいて、
    前記調整装置は、先端が前記反発板に当接するねじ機構により前記反発板の傾き姿勢位置及び前記破砕ロータとの間隔を変更するものである
    ことを特徴とする破砕バケット。
  4. 請求項1に記載された破砕バケットにおいて、
    前記調整装置は、前記反発板に当接し押圧する油圧駆動装置により前記反発板の姿勢位置及び前記破砕ロータとの間隔を変更するものである
    ことを特徴とする破砕バケット。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載された破砕バケットにおいて、
    前記排出板は、前記バケット本体に着脱自在に取り付けられ複数の開口部を有する板である
    ことを特徴とする破砕バケット。
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