JP4108234B2 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置、特に液晶のねじれ角が90度より大きいSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、両電極間の液晶分子のツイスト角を大きくして、鋭い電圧−透過率変化を起こし、高密度のドットマトリックス表示をする方法として、STN型の液晶表示装置が知られていた(T.J.Scheffer and J.Nehring, Appl.Phys.Lett.45(10)1021-1023(1984))。
【0003】
この方法では用いる液晶表示素子の液晶の複屈折率ΔnLCと液晶層の厚みdLCとの積ΔnLC・dLCの値が実質的に0.8〜1.2μmの間に設けられていた(特開昭60−107020号公報)。そして、表示色としては黄緑色と暗青色、青紫色と淡黄色など、特定の色相の組み合わせでのみしか良好なコントラストが得られず、白黒表示ができないという欠点があった。
【0004】
そこで、白黒表示が可能でかつコントラストの高い液晶表示装置を実現するための方法が従来より提案されており、例えば特公平3−18164号公報には、互いに逆螺旋の液晶セルを2層積層し、一方のセルにのみ電圧を印加し、他方の液晶セルを単なる光学的な補償板として使用する方法が提案されている。
【0005】
また、特公平3−50249号公報では、高分子フィルムを用いてSTN液晶セルの光学補償をすることが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
最近、携帯情報端末などにおいては、一層の小型薄型化、消費電力の低減を図るため、反射型液晶表示装置の採用が提案されている。更に、反射型としても透過型としても使用可能な半透過機能を備えた反射型液晶表示装置も提案され始めている。このような反射型液晶装置では、反射時での見栄えの確保が要求される。上述のような従来提案されていたSTN液晶セルは透過型であり、これを反射型として用いるために従来は液晶セルの非観察側外方に反射板を設ければよい。
【0007】
しかし、セルの外側に反射板が配置される構成では、反射板と液晶層との間にセルの透明基板が存在するため、視差の発生を防ぐことができず、液晶セルに斜めから入射される光と、反射されてセル外に射出される光とが異なる画素を通過することとなる。従って、この液晶表示装置を斜めから観察すると表示した画素の陰が反射板に映ったような2重像となり、表示装置としての表示品質の低下を招いてしまう。
【0008】
更に、透過型STN液晶セルと同じように偏光板を2枚用いると、光は入射時と反射時合わせて、計4回偏光板を通過する事になり、偏光板で発生する光の損失のため、光の利用効率が悪く表示が暗くなるという問題があった。
【0009】
一方で、偏光板1枚とすると従来知られている2枚偏光板型のSTN液晶セルとは光学特性が異なってくるため、着色のない良好な白黒表示を行うためには従来の透過型STN液晶セルにおいて最適化されつつある光学的設定が利用できない。
【0010】
本発明はこのような課題を解決するためになされ、STN液晶セル内に反射層を備え、1枚の偏光板を用い、また、セルの光学的補償を位相差板で行う反射型のSTN液晶表示装置において、明るく視差が少なく、更に、良好な白黒表示を可能とするために最適な条件を備えた液晶表示装置を実現することを目的とする。
【0011】
本発明の他の目的は、更に半透過型としても最適な特性を備えた反射型STN液晶表示装置を実現することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の液晶表示装置は、以下のような特徴を備える。
【0013】
まず、本発明の液晶表示装置は、対向面側にそれぞれ電極が形成された第1基板と第2基板との間隙に液晶層が挿入された液晶セルを有し、該セルの前記第1基板の外側には、第1位相差板及び第2位相差板及び偏光板がこの順に配置され、前記液晶セル内の第2基板側に、前記1基板側から入射する光を反射し、かつ第2基板側から入射する光を透過させる機能を備えた半透過反射層が形成された液晶表示装置である。また、前記液晶層において前記第1基板から前記第2基板に向かって液晶分子の配向方向のねじれ角θLCは、±160゜〜±300゜であり、前記液晶層の屈折率異方性ΔnLCと前記液晶層の厚さdLCとの積によって示される液晶層のリタデーション値ΔnLC・dLCは、0.30μm≦ΔnLC・dLC≦2.0μmである。更に、前記液晶層の前記第1基板側での配向方向に対する前記第1位相差板の遅相軸方向の角度をθ1とし、前記第1位相差板の遅相軸方向に対する前記第2位相差板の遅相軸方向の角度をθ2とし、前記第2位相差板の遅相軸方向に対する前記偏光板の吸収軸方向の角度をθ3とした場合に、θ1、θ2及びθ3は、それぞれ、上記ねじれ角θLCがマイナス範囲、つまり−160゜〜−300゜の範囲に設定される場合に、65°≦θ1≦90°、−25°≧θ2≧−55°、50°≦θ3≦80°を満たし、反対にねじれ角θLCがプラス範囲、つまり160゜〜300゜の範囲に設定される場合には、上記θ1、θ2及びθ3の各範囲のプラスマイナス符号と等号符号の向きが逆転した関係、つまり−65゜≧θ1≧−90゜、25゜≦θ2≦55゜、−50゜≧θ3≧−80゜を満たすことを特徴とする。なお、プラスマイナスの符号は、一例として、時計回りをプラスとし反時計回りをマイナスとして表現している。
【0014】
セル内に半透過反射層を有するSTN液晶表示装置においてこのような条件を満たすように各光学要素を設計することで、反射モードにおいて視差がなく明るいSTNLCDを実現し、かつ、第1及び第2位相差板によってSTN液晶セルでの色つきが補償され白黒を正確に表示することが可能となる。
【0015】
本発明の他の特徴は、対向面側にそれぞれ電極が形成された第1及び第2基板の間隙に液晶層が挿入された液晶セルを有し、該セルの前記第1基板の外側には、第1位相差板及び第2位相差板及び偏光板がこの順に配置され、前記液晶セル内の前記第2基板側に、前記1基板側から入射する光を反射し、かつ第2基板側から入射する光を透過させる機能を備えた半透過反射層が形成された液晶表示装置であり、かつ、前記液晶層において前記第1基板から前記第2基板に向かって液晶分子の配向方向のねじれ角θLCは、±160゜〜±300゜であり、前記液晶層の屈折率異方性ΔnLCと前記液晶層の厚さdLCとの積によって示される液晶層のリタデーション値ΔnLC・dLCは、0.30μm≦ΔnLC・dLC≦2.0μmであり、更に、上記ねじれ角θLCがマイナス範囲、つまり−160゜〜−300゜の範囲に設定される場合に、上記と同じ定義のθ1、θ2及びθ3が、次の(i)〜(ix)のいずれかの条件を満たすことである。または、ねじれ角θLCがプラス範囲、つまり160゜〜300゜の範囲に設定される場合には、(i)〜(ix)のいずれかであってその関係式のプラスマイナス及び不等号記号の向きが全て逆転した条件を満たすことである。
【0016】
(i)−90゜≦θ1≦−60゜、−40゜≦θ2≦−30゜、70°≦θ3≦80°、
(ii)0°≦θ1≦20°、−80°≦θ2≦−60°、15°≦θ3≦40°、
(iii)45°≦θ1≦55°、70°≦θ2≦80°、−60°≦θ3≦−50°、
(iv)80°≦θ1≦90°、65°≦θ2≦75°、−45°≦θ3≦−35°、
(v)60°≦θ1≦80°、55 °≦θ2≦75°、−60°≦θ3≦−55°、
(vi)15°≦θ1≦30°、−75°≦θ2≦−65°、−65°≦θ3≦−55°、
(vii)60°≦θ1≦70°、−70°≦θ2≦−55°、35°≦θ3≦55°、
(viii)30°≦θ1≦55°、−70°≦θ2≦−50°、−65°≦θ3≦−40°、
(ix)−80°≦θ1≦−70°、75°≦θ2≦85°、50°≦θ3≦60°。
【0017】
このような(i)〜(ix)又は、(i)〜(ix)の+−符号、≦≧符号の逆転したいずれかの条件を満たすように設計することによっても、視差がなく明るい表示が可能で、更に白黒を正確に表示することの可能な反射型STN液晶表示装置を実現できる。なお、+−符号、≦≧符号の逆転した関係は、例えば上記(i)を例に挙げると90゜≧θ1≧60゜、40゜≧θ2≧30゜、−70゜≧θ3≧−80゜となる。
【0018】
また本発明では、上記液晶表示装置において、前記第1基板側から入射された光は、前記液晶層への印加電圧に応じて複屈折を受けて前記半透過反射層には右円偏光又は左円偏光のいずれかのほぼ円偏光状態で到達し、前記第2基板側から入射された光は前記半透過反射層において前記第1基板側からの光と同一方向の右円偏光又は左円偏光のいずれか円偏光状態である。
【0019】
本発明の更に別の特徴は、対向面側にそれぞれ電極が形成された第1基板と第2基板との間隙に液晶層が挿入された液晶セルを有する液晶表示装置であって、前記液晶セルの前記第1基板の外側には第1位相差板及び第2位相差板及び第1偏光板がこの順に配置され、前記液晶セルの第2基板側には、第1基板側から入射する光を反射し、かつ第2基板側から入射する光を透過させる機能を備えた半透過反射層が形成され、前記第1基板側から入射された光は、前記液晶層への印加電圧に応じて複屈折を受けて前記半透過反射層には右円偏光又は左円偏光のいずれかのほぼ円偏光状態で到達し、前記第2基板側から入射された光は前記半透過反射層において前記第1基板側からの光と同一方向の右円偏光又は左円偏光のいずれか円偏光状態である。
【0020】
反射層としてこのような半透過型の層を用いれば、例えば室外で外光が非常に強い場合には反射型として使用し、室内で暗い場合には内部光源を点灯させて透過型として使用することが可能となる。このため外光が強くても弱くても常に明るい画像を表示することが可能となる。つまり、このような半透過反射層を用いることで半透過反射型のSTN液晶表示装置を実現できる。
【0021】
また、半透過反射層において光を反射する際にその光が円偏光になっていれば、反射特性が良く、例えばノーマリブラックモードのSTN液晶表示装置において、反射モード時における黒の表示がより正確となる。この場合において、該液晶セルの前記第2基板の外側に、更に前記液晶セルに円偏光を照射するための円偏光照射手段等を配置する構成を採用することで、透過モードは、光源となる光照射手段が液晶セルに円偏光を照射することとなり、液晶セルが反射モードの場合にも透過モードの場合にも液晶セルの第2基板側(ディスプレイの非観察側)で光が円偏光状態となるように設定されることとなり、モードが切り替わっても差異の少ない品質の高い表示を可能とする。
【0022】
また、上記液晶表示装置において、前記円偏光照射手段は、円偏光光源、又は広帯域円偏光器及び光源によって構成することが好適である。
【0023】
また、上記液晶表示装置において、前記広帯域円偏光器がコレステリックフィルムであることを特徴とする。或いは、このコレステリックフィルムに代え、前記広帯域円偏光器が、λ/4位相差フィルム、λ/2位相差フィルム及び偏光板を備える構成も採用可能である。
【0024】
更に、前記広帯域円偏光器の前記偏光板は、特定方向に振動している直線偏光を透過し前記特定方向に垂直に振動している光を反射する反射偏光板であってもよい。
【0025】
光源として理想的な広帯域円偏光光源(可視全波長光に対して円偏光光を出射する光源)が存在すれば、そのような光源を用いることが好ましいが、実際は、理想からのズレが存在する為、使用する偏光板、第2及び第1位相差板、液晶層、そして円偏光照射手段によって、最適な軸関係が存在する。よって、使用する円偏光照射手段の特性を評価し、最適配置することが適切である。特に、本発明では、上記液晶セルには前記広帯域円偏光器から右円偏光又は左円偏光が入射されることが好適である。そこで、円偏光として右又は左のどちらを採用するかに応じて、他の光学素子(位相差板、偏光板、液晶セル)の光学特性、特に各素子の光学特性軸関係が最適になるように配置することが好適である。
【0026】
また本発明の他の特徴は、上記いずれかの液晶表示装置において、前記第1位相差板の屈折率異方性Δn1と前記第1位相差板の厚さd1との積によって示される第1位相差板のリタデーション値Δn1・d1と、前記第2位相差板の屈折率異方性Δn2と前記第2位相差板の厚さd2との積によって示される第2位相差板のリタデーション値Δn2・d2と、の合計値Rsが、前記液晶層のリタデーション値ΔnLC・dLCに対し、ΔnLC・dLC−m×147.5−25≦Rs≦ΔnLC・dLC−m×147.5+75(但し、m=−2、0、1、2)の関係を満たすことである。
【0027】
液晶層のリターデーション値ΔnLC・dLCに対し、第1及び第2位相差板のリタデーション合計値Rsが上記関係を満たすように設定すると、適切な白黒表示を達成することのできる最適構成の存在数が多くなるため、液晶表示装置の最適化が容易となる。
【0028】
本発明の更に別の特徴は、上記いずれかの液晶表示装置において、波長590nmにおける第1及び第2位相差板のリタデーション値をPr590、波長590nmにおける液晶層のリタデーション値をΔnLC・dLC590、波長400nmにおける第1及び第2位相差板のリタデーション値をPr400、波長400nmにおける液晶層のリタデーション値をΔnLC・dLC400で表した場合に、前記液晶層の波長分散値[ΔnLC・dLC400/ΔnLC・dLC590]に対する前記第1及び第2位相差板の波長分散値[Pr400/Pr590]の比が、0.98〜1.12の間であることである。
【0029】
このような条件を満たす波長分散特性の第1及び第2位相差板を用いることで、各部材の光学的特性の最適化を図ることが容易となり、表示品質に優れた反射型、半透過反射型のSTN液晶表示装置を実現することが可能となる。
【0030】
また本発明の他の特徴は、前記第1位相差板のリタデーションΔn1・d1と前記第2位相差板のリタデーションΔn2・d2との関係は、Δn2・d2>Δn1・d1を満たす事である。
【0031】
このような関係を満たす位相差板を用いることで、上述のように各部材の光学特性の最適化を図ることが一層容易かつ確実となる。
【0032】
本発明の更に別の特徴は、上記いずれかに記載の液晶表示装置において、前記1位相差板のリタデーションΔn1・d1、前記第2位相差板のリタデーションΔn2・d2及び液晶層のリタデーション値ΔnLC・dLCが、下記(i)〜(iii)のいずれか一つの条件を満たすことである。(i)Δn2・d2≧ΔnLC・dLC/2、Δn1・d1≦150nm、(ii)Δn2・d2≧ΔnLC・dLC/2、Δn1・d1≧400nm、(iii)Δn2・d2≧ΔnLC・dLC×2/5、160nm≦Δn1・d1≦220nm。
【0033】
このような条件を満たすように液晶層及び第1及第2び位相差板を選択することで、各部材の光学特性の最適化を図ることが一層容易かつ確実となり、優れた表示品質の反射型或いは半透過反射型STN液晶表示装置を実現することが可能となる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下実施形態という)について図面を用いて説明する。
【0035】
[実施形態1]
図1は、本実施形態1に係る反射型STN液晶表示装置の概略構成、図2は図1の液晶セル10の構成を示している。液晶セル10は、例えばガラス基板などの透明基板が用いられた第1基板14と第2基板16との間隙に液晶層12が挿入されている。第1基板14及び第2基板16の液晶層12との対向面側にはそれぞれITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電性材料が用いられた第1電極20及び第2電極22が形成されており、各電極表面は絶縁層24に覆われ、更に液晶分子の初期配向を制御するための配向層26が絶縁層24上に形成されている。液晶層中には液晶層の厚さを一定に保つためのスペーサ28が混入されている。液晶セル10の第2基板と液晶層12との間、この実施形態1では、第2電極22と第2基板16との間に例えばAlからなる反射層18が形成されており、第1基板14側からセル内に入射される光をその表面で反射する。なお、絶縁層24は必要に応じて省略することができる。
【0036】
表示装置としての観察側に相当する液晶セル10の第1基板外側には、図1に示すように複屈折性フィルムからなる第1位相差板40と、拡散板46及び第1位相差板40と同じく複屈折性フィルムからなる第2位相差板42がこの順に配置され、第2位相差板42の外側には更に第1偏光板44が配置されている。
【0037】
この液晶表示装置において、時計回りをプラス、反時計回りをマイナスで表現する場合に、液晶層12において、第1基板14から第2基板16に向かって液晶分子の配向方向のねじれ角θLCは、−160゜≧θLC≧−300゜である。より好適には−180゜≧θLC≧−300゜が好ましく、本実施形態では、このねじれ角θLCは−240゜であり、90゜より大きいねじれ角を有するSTN液晶セルが構成されている。もちろん、このねじれ角θLCは、160゜≦θLC≦300゜の範囲、つまり時計回りのねじれ角としてもよい。また、液晶材料としては正の誘電異方性を示す液晶が用いられ、このセル10において液晶層12の屈折率異方性ΔnLCと前記液晶層の厚さdLCとの積によって示される液晶層のリタデーション値ΔnLC・dLCは、0.30μm≦ΔnLC・dLC≦2.0μmに設定されている。なお、液晶層にはねじれ配向の維持を容易とする等の目的により旋光性物質を混ぜておくことが好適である。
【0038】
図3に示すように、液晶層12の第1基板14側での配向方向に対する第1位相差板40の遅相軸方向の角度をθ1とし、第1位相差板40の遅相軸方向に対する第2位相差板42の遅相軸方向の角度をθ2とし、第2位相差板42の遅相軸方向に対する第1偏光板44の吸収軸方向の角度をθ3と定義した場合、本実施形態1に係る液晶表示装置は、ねじれ角θLCがマイナス範囲(−160゜〜−300゜)である場合に、θ1〜θ3が、以下のNo.1〜No.10のいずれかの条件を満たすような仕様とする。
【0039】
No.1:65°≦θ1≦90°、−25°≧θ2≧−55°、50°≦θ3≦80°、
No.2:−65°≧θ1≧−90°、−30°≧θ2≧−40°、70°≦θ3≦80°、
No.3:0°≦θ1≦20°、−80°≦θ2≦−60°、15°≦θ3≦40°、
No.4:45°≦θ1≦55°、70°≦θ2≦80°、−60°≦θ3≦−50°、
No.5:80°≦θ1≦90°、65°≦θ2≦75°、−45°≦θ3≦−35°、
No.6:60°≦θ1≦80°、55 °≦θ2≦75°、−60°≦θ3≦−55°、
No.7:15°≦θ1≦30°、−75°≦θ2≦−65°、−65°≦θ3≦−55°、
No.8:60°≦θ1≦70°、−70°≦θ2≦−55°、35°≦θ3≦55°、
No.9:30°≦θ1≦55°、−70°≦θ2≦−50°、−65°≦θ3≦−40°、
No.10:−80°≦θ1≦−70°、75°≦θ2≦85°、50°≦θ3≦60°。
【0040】
また、ねじれ角θLCがプラスの範囲、つまり160゜〜300゜である場合に、は、上記No.1〜No.10いずれかであって、θ1〜θ3の関係式における+−符号と不等号記号が全て逆転した条件を満たすような仕様とする。
【0041】
具体的には、
No.11(−No.1):−65°≧θ1≧−90°、25°≦θ2≦55°、−50°≧θ3≧−80°、
No.12(−No.2):65°≦θ1≦90°、30°≦θ2≦40°、−70°≧θ3≧−80°、
No.13(−No.3):0°≧θ1≧−20°、80°≧θ2≧60°、−15°≧θ3≧−40°、
No.14(−No.4):−45°≧θ1≧−55°、−70°≧θ2≧−80°、60°≧θ3≧50°、
No.15(−No.5):−80°≧θ1≧−90°、−65°≧θ2≧−75°、45°≧θ3≧35°、
No.16(−No.6):−60°≧θ1≧−80°、−55 °≧θ2≧−75°、60°≧θ3≧55°、
No.17(−No.7):−15°≧θ1≧−30°、75°≧θ2≧65°、65°≧θ3≧55°、
No.18(−No.8):−60°≧θ1≧−70°、70°≧θ2≧55°、−35°≧θ3≧−55°、
No.19(−No.9):−30°≧θ1≧−55°、70°≧θ2≧50°、65°≧θ3≧40°、
No.20(−No.10):80°≧θ1≧70°、−75°≧θ2≧−85°、−50°≧θ3≧−60°。
【0042】
また、以下の(条件a)〜(条件d)はこれを満たすことは必須ではないが、これらを満足することにより、反射型STNLCDとして望まれる表示品質を達成可能な装置の仕様の数が増えるため、最適化を容易にかつ確実に図ることが可能となる。
【0043】
(条件a)第1位相差板40の屈折率異方性Δn1と第1位相差板40の厚さd1との積によって示される第1位相差板のリタデーション値Δn1・d1と、前記第2位相差板42の屈折率異方性Δn2と第2位相差板42の厚さd2との積によって示される第2位相差板のリタデーション値Δn2・d2と、の合計値Rs(Δn1・d1+Δn2・d2)は、液晶層のリタデーション値ΔnLC・dL Cに対し、ΔnLC・dLC−m×147.5−25≦Rs≦ΔnLC・dLC−m×147.5+75(但し、m=−2、0、1、2)の関係を満たす。
【0044】
(条件b)波長590nmにおける第1及び第2位相差板のリタデーション値をPr590、波長590nmにおける液晶層のリタデーション値をΔnLC・dLC590、波長400nmにおける第1及び第2位相差板のリタデーション値をPr400、波長400nmにおける液晶層のリタデーション値をΔnLC・dLC400で表した場合に、液晶層の波長分散値[ΔnLC・dLC400/ΔnLC・dLC590]に対する第1及び第2位相差板の波長分散値[Pr400/Pr590]の比が、0.98〜1.12の間に設定されている。
【0045】
(条件c)第1位相差板のリタデーションΔn1・d1と第2位相差板のリタデーションΔn2・d2とは、Δn2・d2>Δn1・d1を満たしている。
【0046】
(条件d)第1位相差板のリタデーションΔn1・d1と第2位相差板のリタデーションΔn2・d2及び液晶層のリタデーション値ΔnLC・dLCの関係は、下記(i)〜(iii)のいずれか一つの条件を満たす。
【0047】
(i)Δn2・d2≧ΔnLC・dLC/2、Δn1・d1≦150nm、
(ii)Δn2・d2≧ΔnLC・dLC/2、Δn1・d1≧400nm、
(iii)Δn2・d2≧ΔnLC・dLC×2/5、160nm≦Δn1・d1≦220nm。
【0048】
このような条件に設定された本実施形態1の反射型STN液晶表示装置は、以下のように動作する。
【0049】
まず、装置観察側から第1偏光板44に入射した外光は、第1偏光板においてその吸収軸と直交する方向の直線偏光が抽出され、これが第2位相差板42、第1位相差板40を通過して液晶層12に到達する。本実施形態1においては、電圧印加に伴って表示輝度が上昇するネガモード(ノーマリブラック)の液晶セルを採用しており、白表示モードの場合には、液晶層12に電圧が印加され、各液晶分子の長軸方向が基板14及び16の法線方向に向かって立ち上がり出す。このため、第2及び第1位相差板42及び40を経て液晶セル10内に入射した光は、液晶層12を通る間に微少の複屈折を受けて楕円偏光となり反射層18に到達して反射され、入射時と反対の経路で第1偏光板44に到達し、第1偏光板44から装置観察側へと射出される。これにより白が表示される。
【0050】
黒表示モードである場合、第1偏光板44から入射した直線偏光は240゜のねじれ角θLCで配向した液晶層12において複屈折を受け、円偏光となって反射層18で反射される。反射された円偏光は液晶層12を通過する間に再び複屈折を受け直線偏光となる。つまり、第2及び第1位相差板42及び40と、液晶層12を通ることにより、第1偏光板44から入射した直線偏光は、その位相が(2n+1)π/4(但し、n=0,1,2・・・)だけ進むため、反射層18に到達した光は円偏光となり、反射されて液晶層12と第1及び第2位相差板40及び42を通過したときには、第1偏光板44から入射した直線偏光に対し(2n+1)π/2だけその位相が進んでいることとなる。従って、第1偏光板44から入射した光と反射して戻ってきた光とは位相が完全に反転した直線偏光状態となり、第1偏光板44で遮光されることとなる。ここで、本実施形態1では、θ1〜θ3が上述のような条件を満たし、更に第1及び第2位相差板のリタデーション値、液晶層のリタデーション値が上述のような関係となるように設定されていることで、反射層18における偏光状態(円偏光状態)が、液晶層を通過して第1及び第2位相差板40、42を経て第1偏光板44に到達した際に、光の全波長域に対してほぼ同一の直線偏光となる。第1偏光板44は、その吸収軸がこの直線偏光と略平行となるように配置されているため、第1偏光板44によって全波長域に対して光が遮断され、黒が正確に表示される。
【0051】
なお、θ1〜θ3、ΔnLC・dLC、Δn1・d1、Δn2・d2については、具体的には後述する表2に示すような仕様とすることができ、特に表2のno1の仕様を採用することで最適な特性が得られる。
【0052】
なお、第1偏光板44の吸収軸の第2位相差板42に対する角度θ3は、これを90゜回転させても反射特性としては同じ特性が得られる。このように、第1偏光板44の吸収軸を90゜回転させた場合、更に、反射層18に対し右円偏光を入射する仕様であれば、左円偏光に変え、反対に左円偏光を入射する仕様であれば右円偏光に変えることで、同じ透過特性が得られる。
【0053】
以上本実施形態1においては、液晶セル10の外部に拡散板46を設けた構成について説明したが、この拡散板46に代え図1に点線で示すようにセル10内において、反射層18と第2基板16との間に拡散機能を備えた凸凹層36を形成した構成を採用することもできる(後述する図15の符号36参照)。このようにセル内に凸凹層36を設ければ、外光の利用効率が一段と高まり、液晶表示装置の実質的な使用範囲(観察方向範囲)での反射強度を向上させることが可能となる。
【0054】
また、もちろん、本実施形態1の液晶表示装置は、例えば、液晶セル内にカラーフィルタ(後述する図16の符号32参照)を形成すればカラー表示をすることもできる。
【0055】
[実施例1]
次に、上記条件を満たす液晶表示装置を実施例1として作成しその特性を評価した結果について説明する。
【0056】
120×160ドット及び240×640ドットサイズの液晶表示パネルを用い、θLC:−240゜、θ1:82゜、θ2:−31゜、θ3:74、ΔnLC・dLC:0.65nm、Δn1・d1:0.138nm、Δn2・d2:0.385nmの条件を満たすように液晶セル、第1位相差板と、拡散板、第2位相差板、第1偏光板を配置した。得られた液晶表示装置に対し、デューティー比が1/120の条件でマルチプレックス駆動した。また比較例として偏光板を上下2枚用いた従来の反射型STN液晶表示装置を用意し、同じデューティー比1/120の条件で駆動した。白及び黒の色度座標及び反射率を測定した結果は以下の表1の通りである。
【0057】
【表1】
なお、反射率の測定は、設置した液晶表示装置に対し、そのパネル法線方向から20゜の位置にある光源から光を照射し、パネル法線方向に設置した測定機を用いて行った(後述する図14参照)。また、反射率は標準白色板の明るさを100%とした場合の数値である。
【0058】
表1に示されるように、実施例1では白及び黒の色度座標ともに目標である(0.31,0.316)に近づいており、特に比較例では黒の色度座標が(0.225,0.188)であるのに対し、実施例1では黒の色度座標が(0.299,0.317)と黒が正確に表示されていることが理解できる。また、実施例1では偏光板が1枚で実現されているため、比較例に比べて白の反射率が格段に向上している。
【0059】
また、実施例1の液晶表示装置を1/240デューティー比の条件でマルチプレックス駆動した場合にも、実施例1では、白の色度座標は(0.253,0.273)、黒の色度座標(0.293,0.316)が得られており、白黒を正確に表示することができた。また、白の反射率は34%、黒の反射率は4%であり、この条件においても、十分に明るい表示を行うことができた。
【0060】
[実施形態2]
図4は、実施形態2に係る液晶表示装置の構成を示し、図5は図4の液晶セルの断面構成を示している。上記実施形態1は、液晶セル内に反射層を備えた反射型STN液晶表示装置であるが、本実施形態2では、反射型としても透過型としても使用できる半透過型STN液晶表示装置である。液晶セル10の第1基板14の外側には、実施形態1と同様に第1位相差板40、第2位相差板42、第1偏光板44がこの順に配置されている。実施形態1と異なる点は、液晶セル10内の半透過反射層30と、液晶セル10の第2基板側に透過モード時に光源となる円偏光照射手段70を備えることであり、他の構成は実施形態1と共通している。
【0061】
半透過反射層30は、装置の観察側、つまり第1偏光板44から入射する光を反射し、装置の非観察側に配置された光源から第2基板16を経て入射する光を透過させる機能を備え、本実施形態2では図4のように第2基板16と第2電極22との間に形成している。なお、半透過反射層30と第2電極22との間には両者を絶縁する機能も備えた平坦化層34を設けている。
【0062】
半透過反射層30としては、偏光解消が少なく、特に反射又は透過時に偏光軸の回転が少ない材料を用いることが好ましく、例えばAlのハーフミラー等を用いることができる。また、このAlハーフミラーの第1基板側表面にSiO2膜を積層したり、SiO2とTiO2の積層構造を形成することにより反射色の調整や、反射強度を制御することができる。半透過反射層30での反射:透過強度は例えばAlから形成されている場合、このAl層に孔を開けたり、層の厚さを制御することで例えば9:1〜6:4程度に調整できる。また、一例として半透過反射層30で反射される光の色が、JIS規格のC光源(xy色度座標上の0.31,0.316)に近づくように調整した場合に、反射率は71%、反射光の色度座標は(0.310,0.322)、透過率は10.3%、透過光の色度座標(0.278,0.274)という特性を実現することができる。
【0063】
液晶セル10の非観察側に設けられた円偏光照射手段70は、直接円偏光を射出することが可能な円偏光光源によって構成することができる。または、広帯域円偏光板と光源とによって構成することもできる。この広帯域円偏光板としてはコレステリック液晶フィルムを用いることが可能である。コレステリック液晶フィルムは、入射光に対し、右方向又は左に旋回する円偏光のみを透過させ、他を反射する機能を備えており、このフィルムを光源と液晶セル10との間に配置することで、光源光のうち所定の円偏光のみを液晶セル10の第2基板16側に射出することができる。図4に示す例では、円偏光照射手段70は、光源60と、広帯域円偏光板とからなり、広帯域円偏光板は、光源60に近いほうから順に、第2偏光板62、λ/2板64及びλ/4板66によって構成されている。図4の構成からなる広帯域円偏光板は、第2偏光板62、λ/2及びλ/4板64、66の特性を最適化することで、光源光を全波長において円偏光に変換している。なお、第2偏光板62は、光源光のうち偏光板の吸収軸に直交する方向の直線偏光を透過させ残りは吸収すれば要求された機能は果たすが、更に吸収軸方向の直線偏光についてはこれを反射する機能を備えた反射偏光板を用いることで光源光の利用効率向上を図ることが可能となる。
【0064】
以上のような構成において、本実施形態2では、上述の実施形態1と同様に下記(条件A)〜(条件F)に適合するような仕様とする。少なくとも(A)及び(B)についてはこれを満たすように設定する必要がある。
【0065】
(A)時計回りをプラス、反時計回りをマイナスで表現する場合に、液晶層12のねじれ角θLCは、±160゜〜±300゜である。より好適には±180゜±300゜であり、例えばθLCは−240゜に設定する。また、液晶材料としては正の誘電異方性を示す液晶を用い、この液晶セル10において液晶層12のリタデーション値ΔnLC・dLCは、0.30μm≦ΔnLC・dLC≦2.0μmとする。
【0066】
(B)液晶層12の第1基板14側での配向方向に対する第1位相差板40の遅相軸方向の角度θ1、第1位相差板40の遅相軸方向に対する第2位相差板42の遅相軸方向の角度θ2、第2位相差板42の遅相軸方向に対する第1偏光板44の吸収軸方向の角度θ3が、実施形態1と同様、ねじれ角θLCがマイナスつまり−160゜〜−300゜の場合No.1〜No.10のいずれかの条件を満たすように設定する。或いは、ねじれ角θLCがプラスつまり160゜〜300゜の場合、No.1〜No.10のいずれかの条件であって規定されている関係式においてθ1〜θ3の全ての+−符号と不等号記号の向きを逆転させた条件を満たすように設定する。即ち、No.11〜No.20のいずれかの条件を満たすように設定する。
【0067】
(C)第1位相差板40のリタデーション値Δn1・d1と、第2位相差板42のリタデーション値Δn2・d2との合計値Rs(Δn1・d1+Δn2・d2)についても、実施形態1と同様に、
ΔnLC・dLC−m×147.5−25 ≦ Rs ≦ ΔnLC・dLC−m×147.5+75(但し、m=−2、0、1、2)の関係を満たす。
【0068】
(D)液晶層の波長分散値[ΔnLC・dLC400/ΔnLC・dLC590]に対する第1及び第2位相差板の波長分散値[Pr400/Pr590]の比についても実施形態1と同様に0.98〜1.12の間に設定する。
【0069】
(E)第1位相差板のリタデーションΔn1・d1と第2位相差板のリタデーションΔn2・d2とは、Δn2・d2>Δn1・d1を満たす。
【0070】
(F)第1位相差板のリタデーションΔn1・d1と第2位相差板のリタデーションΔn2・d2及び液晶層のリタデーション値ΔnLC・dLCの関係は、下記(i)〜(iii)のいずれか一つの条件を満たす。(i)Δn2・d2≧ΔnLC・dLC/2、Δn1・d1≦150nm、(ii)Δn2・d2≧ΔnLC・dLC/2、Δn1・d1≧400nm、(iii)Δn2・d2≧ΔnLC・dLC×2/5、160nm≦Δn1・d1≦220nm。
【0071】
下記表2及び表3は、
【表2】
【表3】
実際の設定値の例である。この表2及び表3に示すno1〜no53のいずれかの仕様を採用すれば、正確な白黒表示を行うことが可能となる。具体的には、表2及び表3の仕様であれば、1/240デューティー比で最適バイアス(1/16)下で駆動した場合に、黒の反射率が0.8%未満で色度座標のxがx≦0.31を満たし、かつ白の反射率が25%以上を満たすことができる。
【0072】
特に、表2の仕様no1(θLC:−240゜、θ1:82゜、θ2:−31゜、θ3:74゜、ΔnLC・dLC:0.65μm、Δn1・d1:0.138μm、Δn2・d2:0.385μm、第2基板からの入射光:左円偏光)が最適である。
【0073】
図6〜図9は、第1及び第2位相差板の合計位相差値(リタデーション合計値Rs)と、液晶のΔnLC・dLCとの関係について示している。図6〜図9は、液晶層の厚さdLCを5μmに固定し、液晶のΔnLCを変化させてΔnLC・dLCの値を変化させている。各図において、縦軸は、各液晶表示装置を1/240デューティー比で最適バイアスで駆動した場合に、反射黒輝度0.8%未満で、反射白輝度25%以上の条件を満たす表2、3のような仕様の存在度数であり、横軸は第1及び第2位相差板の合計位相差値である。ここで、直線偏光が円偏光に変化するには、上述のように入射光の位相が(2n+1)π/4(但し、n=0,1,2・・・)だけ変化する必要があり、リタデーション合計値Rsは、上記条件を満たすポイントのみに存在する。実際には、合計位相差値Rsは、各光学部材の軸角度を調整することである程度の幅を持った領域に存在することとなり、各図に示すように、合計位相差値は周期的かつ離散的な分布特性を示す。更にこの周期的な離散状態は、ΔnLC・dLCが、0.6μm(図6)、0.65μm(図7)、0.70μm(図8)、0.75μm(図9)と変化するにつれて変化しており、また各合計位相差値における仕様の存在度数も変化し、ここでは図7の0.65μmの場合、最も存在度数が多い。従って、例えば上記条件Cを満たすようにRsとΔnLC・dLCを決定することで、要求される表示特性を実現可能な装置仕様の存在度数が多くなり、装置の各要素の取りうる光学特性値の自由度が高まり、更に製造上のマージンが広くなるので装置の最適化を図ることが容易となる。
【0074】
次に、液晶層と第1及び第2位相差板との波長分散比について説明する。この波長分散比は、上記(条件D)に示すように、液晶層の波長分散値[ΔnLC・dLC400/ΔnLC・dLC590]に対する第1及び第2位相差板の波長分散値[Rs400/Rs590]の比で表され、本実施形態2では0.98〜1.12の間に設定する。
【0075】
下記表4は、
【表4】
それぞれ異なる液晶LC0〜LC11及び位相差板材料(ポリカーボネイト、ポリアリレート、ポリスルホン)の波長分散値の求め方を表している。波長400nm及び590nmにおける波長分散値Δn・d400、Δn・d590は、分散式[a+b/(λ)2+c/(λ)4]によって求めることができ、表4の右の列が、液晶層の波長分散値ΔnLC・dLC400/ΔnLC・dLC590と、第1及び第2位相差板の波長分散値Pr400/Pr590である。
【0076】
図10は、入射光の波長に対する液晶層及び位相差板の波長分散値の特性を示している。実線で示した線はそれぞれ切片の小さい方から順に表4の液晶層LC0〜LC11の波長分散特性を示しており、白抜きの四角、三角、丸は位相差板として一般的に用いられる材料の波長分散特性である。
【0077】
図11〜図13は、液晶層の波長分散値[ΔnLC・dLC400/ΔnLC・dLC590]に対する第1及び第2位相差板の波長分散値[Rs400/Rs590]の比である波長分散比を変化させた場合に、各位相差板合計位相差値での最適仕様の存在度数の分布を示している。図11〜図13の各図においては、液晶層の厚さdLCを6μm(図11)、5μm(図12)、4μm(図13)と変化させ、また、ΔnLC・dLCの値が0.65μmで一定となるように液晶材料を変えΔnLCを変化させている。そして、図11での波長分散比は1.003、図12では1.041、図13では1.091である。最適仕様の存在度数とは、各液晶表示装置を1/240デューティー比で最適バイアスで駆動した場合に、反射黒輝度0.8%未満で、反射白輝度25%以上の条件を満たす表2、3のような仕様の存在数である。図11〜図13の比較からわかるように、最適仕様の存在度数は波長分散比に対し依存性を示す。図11〜図13の例では、どの波長分散比においても十分な数の最適仕様が得られているが、図11は最も存在度数が高い。このように最適仕様の存在数が多ければ、要求された特性に応じた液晶表示装置の各部材の設定自由度が高まり、実際に液晶表示装置を構成する場合に、各部材の光学特性(例えば、θやΔn・d)等を最適化することが容易となる。
【0078】
このように高い存在度数を得るためには、波長分散比は、本実施形態2において0.98〜1.12程度、つまり、図11〜図13の比較から把握できるように、液晶の波長分散値と第1及び第2位相差板の波長分散値がほぼ同じ程度であることが好ましい。図10を参照して説明すると、LC0のような特性の液晶を用いる場合には、ポリスルホンやポリアリレートよりも、特性差の大きい短波長域でLC0に特性の近いポリカーボネイトを位相差板として用いることで、全波長域にわたって適切な位相補償ができることとなる。また、反対に、LC11の特性の液晶を用いる場合には、ポリカーボネイトよりも特性差の大きい短波長側で特性の近似したポリスルホンを位相板として用いることが適切である。
【0079】
以上のような条件を満たす本実施形態2の半透過反射型STN液晶表示装置において、反射モードの場合には、上記実施形態1と同じ原理で動作する。即ち、白表示時には第1偏光板44から入射した直線偏光は液晶層12を通過して半透過反射層30で反射され、ほぼ同じ直線偏光状態を維持して再び第1偏光板44に戻り、第1偏光板44から射出される。黒表示時には、第1偏光板44から入射した直線偏光が液晶層12で複屈折を受け、半透過反射層30の表面で円偏光となりこれが反射される。反射円偏光は液晶層12を再び複屈折を受けながら進み、第1及び第2位相差板40、42にて位相補償され、ほぼ全波長帯域において第1偏光板44の吸収軸方向に振動する直線偏光となる。よって第1偏光板44で光は遮断され、黒が表示される。
【0080】
透過モードの場合には、まず、円偏光照射手段70から射出された円偏光が第2基板側から半透過反射層30に到達し、この半透過反射層30を透過して液晶層12に入射する。液晶層12に電圧が印加され白表示モードである場合、円偏光は微少の複屈折を受けながら液晶層12を通過し、第1位相差板40、第2位相差板42で位相補償を受け、第1偏光板44に到達する。第1偏光板44の位置でほぼ円偏光であれば、第1偏光板44の吸収軸に直交する方向の成分がこの第1偏光板44を通り抜け、装置の観察面側に光が射出され、白が表示される。
【0081】
透過モードで黒表示時の場合、半透過反射層30に第2基板16側から入射される光は反射モードの黒表示時と同様の円偏光状態である。つまり、例えば、反射モードにおいて半透過反射層での反射時に右円偏光であれば、透過モードの際半透過反射層30でも右円偏光である。従って、半透過反射層30を通過した円偏光は240゜のねじれ角θLCで配向した液晶層12において複屈折を受け直線偏光となる。本実施形態2では、θ1〜θ3が上述のような条件を満たし、更に第1及び第2位相差板のリタデーション値、液晶層のリタデーション値等が上述のような関係となるように設定されていることで、反射層18における偏光状態が、液晶層12を通過し、第1及び第2位相差板40、42を経て第1偏光板44に到達した際に、光の全波長域に対してほぼ同一の直線偏光となる。第1偏光板44は、その吸収軸がこの直線偏光と略平行となるように配置されているため、第1偏光板44によって全波長域に対して光が遮断され、透過モードの黒表示時も反射モードの黒表示時とほぼ同じように黒を正確に表示できる。
【0082】
このように本実施形態2では、反射モードの黒表示の場合と、透過モードの場合において、半透過反射層30の表面(液晶対向側)で光が円偏光状態となるように設定しているため、黒表示について反射・透過モードを切り換えて半透過反射層30での光の偏光状態が変化しない。従って、ほぼ同一の条件で黒を正確に表示することを可能としている。白については、反射・透過モードのいずれの場合も液晶層12において偏光状態の変化が微少であるので色度座標が適切な値を示す光源60を用いることで、反射・透過モードのいずれにおいても正確に表示することができる。また、反射モードと透過モードとで液晶の動作閾値電圧は同じであるのでモード切替時に色調や階調などが変化することがなく、違和感のない表示が可能である。
【0083】
なお、図示しないが、第1偏光板44の表面は、低反射コートとアンチグレアコートを施しておくことが好適である。また、位相差板は第1及び第2と2枚用いているが、3枚以上の位相差板を用いることも可能である。更に、以上の説明では第1位相差板40と第2位相差板42との間に拡散層46を配置しているが、拡散層46は、第1偏光板44と液晶セル10との間にあれば良く、例えば第1位相差板40と液晶セル10(第1基板14)との間に設けても同様の特性を得ることができる。
【0084】
また、透過モードの際に円偏光照射手段70から右円偏光を入射する装置仕様については、これを左円偏光仕様に変え、また円偏光照射手段70から左円偏光を入射する装置仕様については、これを右円偏光仕様に変えても同じ透過特性を得ることができる。
【0085】
[実施例2]
次に、上記実施形態2に示した条件を満たす液晶表示装置を実施例2として作成しその特性を評価した結果について説明する。
【0086】
120×160ドット及び240×640ドットサイズの液晶表示パネルを用い、θLC:−240゜、θ1:82゜、θ2:−31゜、θ3:74、ΔnLC・dLC:0.65μm、Δn1・d1:0.138μm、Δn2・d2:0.385μmの条件を満たすように液晶セル10、第1位相差板40、拡散層46及び第2位相差板42、第1偏光板44を配置した。更に、液晶セルの非観察側に図4の構成の円偏光照射手段70を設けた。また、広帯域偏偏光板を構成する第2偏光板62、λ/2板64及びλ/4板66に代えて、コレステリック液晶フィルムを用いたが同様の効果が得られている。
【0087】
半透過反射層30としては、偏光解消(偏光回転)が少ないAlのハーフミラーを用いた。また、このAlハーフミラーの上部には、SiO2/TiO2/SiO2の積層構造を形成し、反射色がJIS規格のC光源(xy色度座標上の0.31,0.316)に近づく様に調整し、反射:透過強度の比は9:1程度に制御した。反射:透過強度の比を制御するに際して、実施例2では、Alの膜厚を制御する場合と、穴を空ける方法の両方を実施したが共に同等の性能が得られた。またAlの膜厚制御においては、Al膜厚を180Åとする事により9:1程度の強度比が実現できた。更に、Al膜厚を薄くする事により強度比6:4程度まで様々な比率の制御を実現できた。また、Al層に穴を形成する方法に関しては、面積比10%程度の穴を空ける事により9:1程度の強度比が実現でき、面積比の制御により9:1〜6:4程度まで様々な比率の半透過反射層を形成することができた。なお、第1偏光板44の表面は、低反射コートとアンチグレアコートを施した。
【0088】
得られた液晶表示装置に対し、デューティー比が1/120の条件でマルチプレックス駆動した。また比較例として偏光板を上下2枚用いた従来の反射型STN液晶表示装置を用意し、同じデューティー比1/120の条件で駆動した。実施例2の液晶表示装置において、反射モードで駆動し、白及び黒の色度座標及び反射率を測定した結果は、上述の実施例1と同じで、表1に示すようになった。
【0089】
なお、反射率の測定は、実施例1と同様に、図14に示すように被測定物として設置した液晶表示装置に対し、そのパネル法線方向から20゜の位置にある光源から光を照射し、パネル法線方向に設置した測定機を用いて行った。また、反射率は完全拡散の紙である基準白色板の明るさを100%とした場合の数値である。
【0090】
表1に示されるように、実施例2においても反射型液晶表示装置と変わることなく、白及び黒の色度座標ともに目標である(0.31,0.316)に近づいており、特に実施例2では黒の色度座標が(0.299,0.317)であり、黒が正確に表示されている。また、実施例2では、反射モードの場合、偏光板が1枚で機能するため、比較例に比べて白の反射率が格段に向上している。
【0091】
また、実施例2の液晶表示装置を1/240デューティー比の条件でマルチプレックス駆動した場合にも、実施例1と同じように、白の色度座標は(0.253,0.273)、黒の色度座標(0.293,0.316)が得られており、白黒を正確に表示することができた。また、白の反射率は34%、黒の反射率は4%であり、この条件においても、十分に明るい表示を行うことができた。
【0092】
[実施形態3]
図15は、実施形態3に係る液晶表示装置の液晶セルの構成を示している。この液晶表示装置は、上記実施形態2と同じ半透過反射型STN液晶表示装置である。実施形態2と相違する点は、実施形態2において装置の観察側に配置した拡散層46に代え、拡散機能を付与した半透過反射層を液晶パネル10内に形成した事である。他の構成については実施形態2と同一であり説明は省略する。
【0093】
半透過反射層30に拡散機能を付与するために本実施形態3では、半透過反射層30の下層、つまり半透過反射層30と第2基板16との間に、表面に凸凹が形成された凸凹層36を形成している。この凸凹層36は、光を拡散すると同時に反射指向特性を制御する機能を有しており、この凸凹層36を半透過反射層30と組み合わせて使用することで、液晶表示装置の実質的な使用範囲(観察方向範囲)での反射強度の向上を図っている。
【0094】
このような液晶表示装置を上述の実施例2と同様に、反射モードにおいて1/120デューティー比で駆動し、反射率及び色度座標を測定した。その結果、白の反射率は103%程度、白の色度座標(0.286,0.323)、黒の反射率は8%程度、黒の色度座標(0.309,0.326)であった。
【0095】
更に、1/240デューティー比で同様に駆動した場合の反射率及び色度座標の測定結果は、白の反射率85%程度、白の色度座標(0.264,0.282)、黒の反射率7%程度、黒の色度座標(0.304,325)であった。
【0096】
このように、実施形態3の構成、特に凸凹層36をセル内に設けることで、白及び黒の色度を低下させることなく、白の反射率を各段に向上できる。従って、反射モードで用いた場合にも非常に明るい画面を実現することができる。
【0097】
なお、実施形態2と同様に円偏光照射手段から右円偏光が入射される仕様は左円偏光仕様に、左円偏光が入射される仕様は右円偏光仕様に変更しても同じ透過特性が得られる。
【0098】
[実施形態4]
図16は、実施形態4に係る液晶表示装置の液晶セルの構成を示している。実施形態4の装置は、上記実施形態2と同じ半透過反射型STN液晶表示装置である。実施形態2と相違する点は、本実施形態4では液晶セル内にカラーフィルタ32を形成し、カラー表示を可能としたことである。RGBのカラーフィルタ32は、液晶セル内の観察側、具体的には第1基板14と第1電極20との間に形成されている。他のセル構成及び装置構成は実施形態2と同じである。
【0099】
カラーフィルタ32としては、通常の透過型LCD用カラーフィルタより色純度の低いものを用いている。また、RGB各3色のバランスをC光源下で無彩色となるように調整した、視感度透過率Yは53%であった。本実施形態4において、色純度の低いフィルタを用いたのは、反射モードとして使用した場合には、光は入射時と反射時とで2回カラーフィルタを通過するため1回では十分な色純度にならなくても2回目通過すると必要な色純度となり高い色再現性が得られるからである。さらに、透過型のカラーフィルタを用いるとこのフィルタを2回通る際の光損失が大きくなってしまうためである。
【0100】
カラーフィルタのレイアウトは、図17(a)、(b)、(c)のいずれを採用することもできる。図17(a)のレイアウトは、それぞれが各画素に対応づけられているR,G,Bのフィルタ32が、そのフィルタ間が遮光されることなく並べて配置されている。図17(b)のレイアウトでは、隣接画素間で異なるカラーフィルタが互いに一部重なるように(例えば5〜10μmの重なり)配置され、互いが重なった領域で混色部が形成されている。そして、この混色部によって隣接画素間の遮光が行われている。図17(c)では、遮光性のブラックマスク(ブラックマトリクス)が各画素の境界に形成され、ブラックマスクの開口している各画素領域内に各色のカラーフィルタ32が形成されている。
【0101】
このような実施形態4の液晶表示装置の構成を有し、120×160×RGBドットサイズのパネルと240×640×RGBドットサイズのパネルを用いたカラー液晶表示装置を作成し、上述の実施例2と同様に、反射モードにおいて1/120デューティー比で駆動し、反射率及び色度座標を測定した。その結果、白反射率24.5%程度、黒反射率3.5%程度の良好な結果を得た。また、白の色度座標は(0.268,0.318)、黒の色度座標は(0.297,0.310)であり、目的とする座標(0.31,0.316)に近い数値が得られ、白黒を正確に表示できていた。更に、1/240デューティーで駆動した際の測定結果は、白反射率20%程度、黒輝度3%程度であった。また、白の色度座標は(0.245,0.277)、黒の色度座標は(0.292,0.309)であった。このように1/240デューティでも十分な特性が得られた。なお、上述の実施例と同様に、反射率は、100%を基準白色板の明るさとした。
【0102】
[実施形態5]
図18は、実施形態5に係る液晶表示装置の液晶セルの構造を示している。上記実施形態4と同様の半透過反射型のカラー液晶表示装置である。実施形態4では、図4の構成のように液晶セル外に拡散板46を設けているが、本実施形態5では、実施形態3と同様に拡散板46に代え、拡散機能を付与した半透過反射層を液晶パネル10内に形成している。他の構成については実施形態2及び実施形態4と同一であり説明は省略する。
【0103】
実施形態3と同様に、拡散機能を有する半透過反射層30は、その下層、つまり半透過反射層30と第2基板16との間に、表面に凸凹が形成された凸凹層36を有する。この凸凹層36は、光を拡散すると同時に反射指向特性を制御する機能を備え、この凸凹層36を半透過反射層30と組み合わせて使用することで、液晶表示装置の実質的な使用範囲(観察方向範囲)での反射強度を向上を図っている。
【0104】
液晶表示パネルとして120×160×RGBドットサイズ及び240×640×RGBドットサイズのものを用い、液晶セル内面にカラーフィルタ32を形成して作成したカラー液晶表示装置について、特性を測定した結果は以下の通りである。まず、本実施形態5の液晶表示装置を反射モード下で1/120デューティーで駆動した場合、得られた反射率は白反射率61%程度、黒反射率5.3%程度で、白の色度座標は(0.278,0.327)、黒の色度座標は(0.308,0.318)であり、良好な結果を得た。特に凸凹層36の存在により白反射率が非常に高く、明るくまた正確な白黒表示が可能である。従って、本実施形態5の構成によれば明るく鮮明なカラー像を表示できることがわかる。
【0105】
更に、1/240デューティーで駆動した際の測定結果は、白反射率50%程度、黒反射率4.5%程度と十分明るく、白の色度座標は(0.256,0.286)、黒の色度座標は(0.302,0.317)であり、正確な白黒表示が可能である。なお、反射率100%は他の実施形態同様に、基準白色板の明るさである。
【0106】
[実施形態6]
図19は、実施形態6に係る液晶表示装置の液晶セルの構造を示している。この液晶表示装置は実施形態4と同様のカラー液晶表示装置であるが、液晶セルの第2基板16側にもカラーフィルタ32が形成されている点が実施形態4と異なる。他の構成については実施形態4と同一であり、説明は省略する。第2基板16側に形成されているカラーフィルタ32は、第1基板14側のカラーフィルタ32と同一スペックのものを使用した。即ち、いずれのカラーフィルタ32も通常の透過型LCD用カラーフィルタより色純度の低いものを用いている。また、透過モード及び反射モードのいずれの場合にも、RGB各3色のバランスをC光源下で無彩色となるように調整し、視感度透過率Yは53%とした。
【0107】
図20は実施形態6の他の構成を示している。この液晶表示装置では、図19の構成において液晶セル外側に配置される拡散板(図4の拡散板46)に代え、凸凹層36を半透過反射層30と第2基板側のカラーフィルタ32との間に形成し、上述の実施形態3及び5と同様に輝度の向上を図っている。
【0108】
以上図19及び図20に示すように本実施形態6では、同じ特性のカラーフィルタ32を第1基板側と第2基板側にそれぞれ形成している。このような構成を採用することで、反射モードでは、第1基板側のカラーフィルタ32を光が2回通過し、透過モードでは、光が第2基板側のカラーフィルタ32と第1基板側のカラーフィルタ32の両方を通過することとなる。
【0109】
図21は、光がカラーフィルタを1回通過(シングルパス)する場合と2回通過(ダブルパス)する場合との色再現性の相違を示している。図21から明らかなように、2回通過する場合の方が色度座標上で広い面積になり、色再現性が高い。これはカラーフィルタを2回通過することで色純度が向上していることによる。ここで、上述の図16及び図18に示すようにカラーフィルタ32が一層の場合には、反射モードよりも透過モード時において光がカラーフィルタ32を通過する回数が1回少ないため、反射モード時よりも色再現性が低くなってしまう。しかし、本実施形態6の構成であれば反射モード、透過モードで同様の色再現性を実現する事が可能となる。
【0110】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、光学特性、光学条件を最適化することにより、半透過反射型STN液晶表示装置において、反射モードと透過モードのいずれの場合でも白黒を正確に表示でき、また明るい像を表示することができる。また、白黒が正確に表示できるため色再現性の良いカラー像を表示することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1に係る反射型液晶表示装置の構成を示す図である。
【図2】 図1の液晶セル10の断面構成を示す図である。
【図3】 第1基板側での液晶の配向方向に対する設定角度を示す図である。
【図4】 本発明の実施形態2に係る半透過反射型液晶表示装置の構成を示す図である。
【図5】 図4の液晶セル10の断面構成を示す図である。
【図6】 本発明に係る液晶表示装置において液晶のリタデーションと最適仕様の存在度数との関係を示す図である。
【図7】 本発明に係る液晶表示装置において液晶のリタデーションと最適仕様の存在度数との関係を示す図である。
【図8】 本発明に係る液晶表示装置において液晶のリタデーションと最適仕様の存在度数との関係を示す図である。
【図9】 本発明に係る液晶表示装置において液晶のリタデーションと最適仕様の存在度数との関係を示す図である。
【図10】 本発明に係る液晶表示装置において入射光の波長に対する液晶層及び位相差板の波長分散値特性を示す図である。
【図11】 本発明に係る液晶表示装置において波長分散比を変化させた場合の最適仕様の存在度数の分布を示す図である。
【図12】 本発明に係る液晶表示装置において波長分散比を変化させた場合の最適仕様の存在度数の分布を示す図である。
【図13】 本発明に係る液晶表示装置において波長分散比を変化させた場合の最適仕様の存在度数の分布を示す図である。
【図14】 実施例において液晶表示装置の反射率の測定方法を示す概念図である。
【図15】 本発明の実施形態3に係る液晶表示装置の液晶セルの断面構成を示す図である。
【図16】 本発明の実施形態4に係る液晶表示装置の液晶セルの断面構成を示す図である。
【図17】 本発明において用いるカラーフィルタの配置例を示す図である。
【図18】 本発明の実施形態5に係る液晶表示装置の液晶セルの断面構成を示す図である。
【図19】 本発明の実施形態6に係る液晶表示装置の液晶セルの断面構成を示す図である。
【図20】 本発明の実施形態6に係る液晶表示装置の液晶セルの他の断面構成を示す図である。
【図21】 本発明の液晶表示装置においてカラーフィルタを1回通る場合と2回通る場合との色再現性の違いを説明する図である。
【符号の説明】
10 液晶セル、12 液晶層、14 第1基板、16 第2基板、18 反射層、20 第1電極、22 第2電極、24 絶縁層、26 配向層、28 スペーサ、30 半透過反射層、32 (第1及び第2)カラーフィルタ、34平坦化層、36 凸凹層、40 第1位相差板、42 第2位相差板、44 第1偏光板、46 拡散板、60 光源、62 第2偏光板、64 λ/2板、66 λ/4板、70 円偏光照射手段。
Claims (13)
- 対向面側にそれぞれ電極が形成された第1基板と第2基板との間隙に液晶層が挿入された液晶セルを有し、該セルの前記第1基板の外側には、第1位相差板及び第2位相差板及び偏光板がこの順に配置され、前記液晶セル内の第2基板側には、前記1基板側から入射する光を反射し、かつ第2基板側から入射する光を透過させる機能を備えた半透過反射層が形成された液晶表示装置であって、
前記液晶層において前記第1基板から前記第2基板に向かって液晶分子の配向方向のねじれ角θLCは、±160゜〜±300゜であり、
前記液晶層の屈折率異方性ΔnLCと前記液晶層の厚さdLCとの積によって示される液晶層のリタデーション値ΔnLC・dLCは、0.30μm≦ΔnLC・dLC≦2.0μmであり、
前記液晶層の前記第1基板側での配向方向に対する前記第1位相差板の遅相軸方向の角度をθ1とし、前記第1位相差板の遅相軸方向に対する前記第2位相差板の遅相軸方向の角度をθ2とし、前記第2位相差板の遅相軸方向に対する前記偏光板の吸収軸方向の角度をθ3とした場合に、
θ1、θ2及びθ3は、
それぞれ、前記ねじれ角θLCが−160゜〜−300゜の範囲に設定される場合に、65゜≦θ1≦90゜、−25゜≧θ2≧−55゜、50゜≦θ3≦80゜を満たすか、または、
前記ねじれ角θLCが+160゜〜+300゜の範囲に設定される場合には、−65゜≧θ1≧−90゜、25゜≦θ2≦55゜、−50゜≧θ3≧−80゜を満たし、
前記第1基板側から入射された光は、前記液晶層への印加電圧に応じて複屈折を受けて前記半透過反射層には右円偏光又は左円偏光のいずれかのほぼ円偏光状態で到達し、
前記第2基板側から入射された光は前記半透過反射層において前記第1基板側からの光と同一方向の右円偏光又は左円偏光のいずれか円偏光状態であることを特徴とする液晶表示装置。 - 対向面側にそれぞれ電極が形成された第1基板と第2基板との間隙に液晶層が挿入された液晶セルを有し、該セルの前記第1基板の外側には、第1位相差板及び第2位相差板及び偏光板がこの順に配置され、前記液晶セル内の前記第2基板側には、前記1基板側から入射する光を反射し、かつ第2基板側から入射する光を透過させる機能を備えた半透過反射層が形成された液晶表示装置であって、
前記液晶層において前記第1基板から前記第2基板に向かって液晶分子の配向方向のねじれ角θLCは、±160゜〜±300゜であり、
前記液晶層の屈折率異方性ΔnLCと前記液晶層の厚さdLCとの積によって示される液晶層のリタデーション値ΔnLC・dLCは、0.30μm≦ΔnLC・dLC≦2.0μmであり、
前記液晶層の前記第1基板側での配向方向に対する前記第1位相差板の遅相軸方向の角度をθ1とし、
前記第1位相差板の遅相軸方向に対する前記第2位相差板の遅相軸方向の角度をθ2とし、
前記第2位相差板の遅相軸方向に対する前記偏光板の吸収軸方向の角度をθ3とした場合に、
θ1、θ2及びθ3は、
前記ねじれ角θLCが−160゜〜−300゜の範囲である場合に、次の(i)〜(ix)の条件
(i)−90゜≦θ1≦−65°、−40゜≦θ2≦−30°、70°≦θ3≦80°、
(ii)0°≦θ1≦20°、−80°≦θ2≦−60°、15°≦θ3≦40°、
(iii)45°≦θ1≦55°、70°≦θ2≦80°、−60°≦θ3≦−50°、
(iv)80°≦θ1≦90°、65°≦θ2≦75°、−45°≦θ3≦−35°、
(v)60°≦θ1≦80°、55 °≦θ2≦75°、−60°≦θ3≦−55°、
(vi)15°≦θ1≦30°、−75°≦θ2≦−65°、−65°≦θ3≦−55°、
(vii)60°≦θ1≦70°、−70°≦θ2≦−55°、35°≦θ3≦55°、
(viii)30°≦θ1≦55°、−70°≦θ2≦−50°、−65°≦θ3≦−40°、
(ix)−80°≦θ1≦−70°、75°≦θ2≦85°、50°≦θ3≦60°、
のいずれか一つの条件を満たすか、又は、
前記ねじれ角θLCが160゜〜300゜の範囲である場合には、上記(i)〜(ix)のいずれかであってθ1及びθ2及びθ3の範囲のプラスマイナス符号及び不等号符号の向きを逆転して表される条件を満たし、
前記第1基板側から入射された光は、前記液晶層への印加電圧に応じて複屈折を受けて前記半透過反射層には右円偏光又は左円偏光のいずれかのほぼ円偏光状態で到達し、
前記第2基板側から入射された光は前記半透過反射層において前記第1基板側からの光と同一方向の右円偏光又は左円偏光のいずれか円偏光状態であることを特徴とする液晶表示装置。 - 対向面側にそれぞれ電極が形成された第1基板と第2基板との間隙に液晶層が挿入された液晶セルを有する液晶表示装置であり、
前記液晶セルの前記第1基板の外側には第1位相差板及び第2位相差板及び第1偏光板がこの順に配置され、
前記液晶セルの第2基板側には、第1基板側から入射する光を反射し、かつ第2基板側から入射する光を透過させる機能を備えた半透過反射層が形成され、
前記第1基板側から入射された光は、前記液晶層への印加電圧に応じて複屈折を受けて前記半透過反射層には右円偏光又は左円偏光のいずれかのほぼ円偏光状態で到達し、
前記第2基板側から入射された光は前記半透過反射層において前記第1基板側からの光と同一方向の右円偏光又は左円偏光のいずれか円偏光状態であることを特徴とする液晶表示装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の液晶表示装置において、
該液晶セルの前記第2基板の外側には、更に、前記液晶セルに円偏光を照射するための円偏光照射手段が配置されていることを特徴とする液晶表示装置。 - 請求項4に記載の液晶表示装置において、
前記円偏光照射手段は、円偏光光源、又は広帯域円偏光器及び光源によって構成されることを特徴とする液晶表示装置。 - 請求項5に記載の液晶表示装置において、
前記広帯域円偏光器は、コレステリックフィルムであることを特徴とする液晶表示装置。 - 請求項5に記載の液晶表示装置において、
前記広帯域円偏光器は、λ/4位相差フィルム、λ/2位相差フィルム及び偏光板を備えることを特徴とする液晶表示装置。 - 請求項7に記載の液晶表示装置において、
前記広帯域円偏光器の前記偏光板は、特定方向に振動している直線偏光を透過し前記特定方向に垂直に振動している光を反射する反射偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。 - 請求項6又は請求項7に記載の液晶表示装置において、
前記液晶セルには前記広帯域円偏光器から前記右円偏光又は左円偏光が入射されることを特徴とする液晶表示装置。 - 請求項1〜請求項9のいずれかに記載の液晶表示装置において、
前記第1位相差板の屈折率異方性Δn1と前記第1位相差板の厚さd1との積によって示される第1位相差板のリタデーション値Δn1・d1と、前記第2位相差板の屈折率異方性Δn2と前記第2位相差板の厚さd2との積によって示される第2位相差板のリタデーション値Δn2・d2と、の合計値Rsは、
前記液晶層のリタデーション値ΔnLC・dLCに対し、
ΔnLC・dLC−m×147.5−25 ≦ Rs ≦ ΔnLC・dLC−m×147.5+75(但し、m=−2、0、1、2)の関係を満たすことを特徴とする液晶表示装置。 - 請求項1〜請求項10のいずれかに記載の液晶表示装置において、
波長590nmにおける第1及び第2位相差板のリタデーション値をPr590、波長590nmにおける液晶層のリタデーション値をΔnLC・dLC590、
波長400nmにおける第1及び第2位相差板のリタデーション値をPr400、波長400nmにおける液晶層のリタデーション値をΔnLC・dLC400で表した場合に、
前記液晶層の波長分散値ΔnLC・dLC400/ΔnLC・dLC590に対する前記第1及び第2位相差板の波長分散値Pr400/Pr590の比が、0.98〜1.12の間であることを特徴とする液晶表示装置。 - 請求項1〜請求項11のいずれかに記載の液晶表示装置において、
前記第1位相差板のリタデーションΔn1・d1と前記第2位相差板のリタデーションΔn2・d2との関係は、Δn2・d2>Δn1・d1を満たす事を特徴とする液晶表示装置。 - 請求項1〜請求項11のいずれかに記載の液晶表示装置において、
前記1位相差板のリタデーションΔn1・d1、前記第2位相差板のリタデーションΔn2・d2及び液晶層のリタデーション値ΔnLC・dLCは、以下の(i)〜(iii)のいずれか一つの条件
(i)Δn2・d2≧ΔnLC・dLC/2、Δn1・d1≦150nm、
(ii)Δn2・d2≧ΔnLC・dLC/2、Δn1・d1≧400nm、
(iii)Δn2・d2≧ΔnLC・dLC×2/5、160nm≦Δn1・d1≦220nm、
を満たすことを特徴とする液晶表示装置。
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