JP4108126B2 - T細胞ペプチド・エピトープの選択と産生方法および選択したエピトープを組込むワクチン - Google Patents

T細胞ペプチド・エピトープの選択と産生方法および選択したエピトープを組込むワクチン Download PDF

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Description

§1.発明の分野
本発明は分子生物学および免疫学の分野に関する。本発明は特にワクチンおよびワクチンを調製する方法に関し、該ワクチンは哺乳動物、特にヒトに投与したときに免疫応答を誘引する。好ましい誘引免疫応答はT細胞応答であるが、これはペプチドT細胞エピトープにより誘引される。これらのワクチンはガンの治療またはエイズなどの感染症の予防または治療など多くの分野でその適用を見出している。本発明は未処理抗原からペプチド配列を選択する新規な方法を提供するものであり、該抗原は適当な媒介物を用いて投与すると適当な(T細胞)免疫応答を誘導するものである。該エピトープおよびワクチンは勿論本発明の一部でもある。
§2.発明の背景
事実、現在入手可能なワクチンは全て最少の必須エピトープおよび抗原のプロセシングないし提示の規則に関する詳細な知識に基づいて合理的に設計したものではない。むしろ、入手可能なワクチンは防御の経験的知識に基づいている。本発明の主要目的は、効果が高く、安全で、製造・標準化が容易で、安定であり、廉価で長期間の予防につながる新しい世代のより合理的に設計されたワクチンを開発することにある。本目的はペプチド・エピトープの選択において、一般の抗原プロセシングおよび提示、特に樹枝状細胞における生化学上の我々の知識を用いることにより達成される。次いで、選択したペプチド・エピトープを種々タイプのワクチンに組込み、たとえば、HLA−形質転換マウス・モデルで効果を試験する。
本発明により抗原とHLAクラスI分子との所与の組み合せに対してペプチド・エピトープの選択は、以下の引き続く工程に分割することができる。
1.抗原の一次配列内でペプチドをコンピューター予測する。該抗原はMHCクラスIが結合する関連モチーフと比較して、関与するHLAクラスI分子に結合する可能性の最も高いものである(1;なお、数字は文献の番号を示す。以下、同様とする)。
2.選択したペプチドが関与するMHC分子に実際に結合するのを、HLA−ペプチド結合およびHLA−ペプチド複合体の安定性を決定するアッセイ法を用いて測定する(2,3)(本明細書の実施例1および2)。
3.天然タンパク配列のプロテアゾーム開裂規則に対応した(工程1および2によって選択した)ペプチドおよび(未処理抗原の前後関係における)そのフランキング配列をスクリーニングする(4)。
4.有効タンパクの搬送およびHLAクラスI分子への負荷規則に対応した(工程1および2によって選択した)ペプチドおよび(未処理抗原の前後関係における)そのフランキング配列をスクリーニングする(5)。
選択したペプチド・エピトープ(工程1〜4参照)を以下のプロトタイプ・ワクチンに組込み、その効果を適当なHLA形質転換マウス・モデルで比較する。
i.アジュバント中の合成ペプチド混合物。
ii.樹枝状細胞に負荷した合成ペプチド混合物。
iii.大腸菌で合成し、精製した組換えタンパクであり、タンパク分解開裂部位により互いに分離している一連のビーズ状に配列したペプチド・エピトープからなる。アジュバントにて投与される。
iv.樹枝状細胞に負荷した組換えタンパク(iii.参照;マンノシル化)。
v.タンパク分解開裂部位により分離されている一連のビーズ状ペプチド・エピトープをエンコードする組換えDNA構成物(裸のDNA)。
vi.タンパク分解開裂部位により分離されている一連のビーズ状ペプチド・エピトープをエンコードする組換えカナリア痘ウイルス。
vii.タンパク分解開裂部位により分離されている一連のビーズ状ペプチド・エピトープをエンコードする組換えヒト・アデノウイルス。
種々の予防接種プロトコールの効果をアッセイするが、その際、先ず免疫した動物の脾臓細胞混合リンパ球培養物において、関連ペプチドで負荷した自家LPS−B細胞の芽球で再刺激し、次いで、合成ペプチドまたは天然加工処理エピトープを提示する標的細胞に対して、得られるT細胞の反応性を測定する。
このペプチド・エピトープはまた、HLA−形質転換混合リンパ球培養物中でイン・ビトロで抗原特異T細胞活性を誘導するためにも使用する。その終末までに、選択したペプチドを同系のLPS−B細胞芽球または樹枝状細胞のいずれかに負荷する。これらの細胞を照射し、HLA−形質転換マウスのナイロンウール通過脾臓細胞を有する刺激細胞として用いる。1週間ないし2週間のイン・ビトロ刺激の後、得られるT細胞集団の活性を、合成ペプチドまたは天然加工処理エピトープを提示する標的細胞に対して測定することができる。
ワクチンの合理的な設計は明らかな利点をもつ。安全性がその一つである。たとえば、HPV16 E6およびE7に対するDNAまたはウイルス・ベクター・ワクチンは、そのワクチンが機能的ガン遺伝子を含む場合には本質的に安全ではないが、もし該DNAまたはウイルスベクターが本発明の好ましい態様である一連のビーズ状エピトープをエンコードしているならば安全である。さらなる利点は効果とその容易性である。効果的に免疫する組成のみが関与する。無関係の配列は削除され、製造と標準化を容易にし、安定性を高め、コストを低減する。
効果的なT細胞エピトープ・ワクチンの設計は免疫性ペプチドの正確な選択により定まる。本発明(抗原提示細胞表面でのペプチド−MHC複合体の安定性を分析する方法)により、我々は選択手法を著しく改善した。さらに、我々はまた、ポリ−T細胞エピトープ含有ワクチンが強力な抗腫瘍および抗ウイルス免疫応答を誘導するための手法を有意に改善した。
このように本発明は、ポリペプチド抗原に存在する免疫原性T細胞ペプチド・エピトープを選択する方法であって、結合モチーフとHLAクラスI分子に結合するサイズを有する抗原の一次配列ペプチドを同定し、該同定ペプチドのMHCクラスI分子への結合を測定することから成り、その際、該ペプチドとMHCクラスI分子との複合体の安定性を、その表面に該MHCクラスI分子を担持する未処理細胞上で測定することを特徴とする方法を提供する。さらに、本発明は同定したT細胞エピトープの新規適用法であって、多数のT細胞エピトープを一連のビーズ状構成物に組込むことから成り、そこで該T細胞エピトープは、好ましくは、効率的な処理工程と関与するT細胞エピトープの提示を確実にするスペーサー配列を介して互いに結合していることを特徴とする方法を提供する。
§3.発明の要約
生理的条件下でのMHCに対するペプチド結合は、MHC−ペプチド複合体の会合・解離の動的バランスにより支配される。ペプチドがMHC分子に結合する能力および得られるMHC−ペプチド複合体の経時的安定性の両方が、標的/刺激細胞の表面で一定のペプチド−MHC複合体の量を決めることになり、それによってこの立体配位がTリンパ球に応答して検出され得る見込みを決めることになる。数種のアッセイ法がヒトおよびマウスの免疫系に関係するこれらのパラメーターを測定することで設定されている。これらのアッセイ法はとりわけ種々のHLAクラスI分子に関係するペプチド結合およびペプチド−MHC複合体の安定性を測定するのに適している。
i.プロセシング欠損細胞系174CEM.T2(T2)の表面でエンプティーMHCクラスI MHC分子にペプチドが結合するのを測定するT2−アッセイ法(2)。
ii.適当な細胞系から単離した可溶性クラスI MHC分子にペプチドが結合するのを測定するアッセイ法(6)。
iii.これらのタンパクを過度に発現する大腸菌培養物から組換えタンパクとして単離した可溶性クラスI MHC分子にペプチドが結合するのを測定するアッセイ法(7,8)。
iv.未処理ヒトB細胞上クラスI分子に結合する競合法に基づくHLAクラスIペプチド−結合アッセイ法(3)(本明細書実施例1)。
v.未処理ヒトB細胞上クラスI MHC−ペプチド複合体の安定性を測定するHLAクラスIペプチド−結合アッセイ法(本発明主要目的。本明細書実施例2および3参照)。
本発明の重要な一態様において、後者のアッセイ法、すなわち、未処理ヒトB細胞上MHC−ペプチド複合体の安定性を測定する新規アッセイ法を提供する。生理的条件下でMHC分子に結合するペプチドの親和性は、ペプチド、MHCクラスI重鎖およびβ2−マイクログロブリンから成る3分子複合体の会合・解離の動的平衡である。現在では、一定のクラスI分子に対するペプチドの親和性は、細胞結合MHCクラスI分子または精製“無細胞”MHCクラスI分子のいずれかを用いるアッセイ法に基づいている。親和性はプロセシング欠損細胞の表面上でペプチドがMHCクラスI分子を上方規制する相対能力により(2)、あるいは高親和性参照ペプチドとの競合能力により(3,9,10)測定する。しかし、これらのアッセイ法では、短いインキュベーション時間、外来ペプチドの高濃度連続存在、または低温の故に生理的条件下でのペプチド−MHC複合体の安定性を殆ど考慮していない。最近、我々はより生理的条件下で存在するMHC−ペプチド複合体の経時的運命を測定した。以前のアッセイ系で測定したときの相当する結合親和性を示すペプチドは、ペプチド−MHC複合体の安定性に関して著しい差異を示した。さらに、ペプチド−MHC複合体の安定性は、結合親和性よりもペプチドの免疫原性とよりよく相関した(本特許出願の実施例2および3参照)。
免疫原性T細胞エピトープを提示する結合親和性の低い自己ペプチドの例は、以下のものから誘導されるペプチドである。MART−1(AAGIGILTV/ILTVILGVL)(11)、Pme117/gp100(YLEPGPVTA)(12)、およびp53(LLGRNSFEV)(13)。これらのペプチドは古典的結合アッセイ法で得られた結果に基づき、この範疇に取り込んだ。しかし、関連のペプチド−MHC複合体の安定性を測定すると、これらの複合体の安定性がウイルス起源の既知エピトープの安定性に匹敵することが明らかとなった(本特許出願の実施例2および3参照)。それ故に、これらのペプチドはMHC分子に乗り掛かるのが幾分鈍いが、提示しているMHC分子に対する親和性が低いとみなすべきではない。この概念はペプチド結合親和性に加えて、ペプチド−MHC複合体の安定性が免疫原性ペプチド・エピトープの同定のための重要なパラメーターであることを確証する。MHC−ペプチド複合体の安定性は結合親和性よりもペプチドの免疫原性とよく相関するので、複合体の安定性を測定するアッセイ法は、一次アミノ酸配列から免疫原性ペプチドのエピトープを同定するの使用する手法の連鎖において重要な欠くことのできない新しい工程となる。
本発明の他の重要な態様は、組換えアデノウイルス(rAd)ベクターでの免疫処理により多様な予め選択されたT細胞エピトープに対するT細胞の反応性を誘導する革新的方法により提供される。該rAdベクターは一連のビーズ状様式で多様性T細胞エピトープを含み、該T細胞エピトープはタンパク分解性開裂部位により互いに結合しているものである。T細胞エピトープがスペーサー配列により結合していることは、該T細胞エピトープが効果的にプロセシングを受け、T細胞に提示されていることを保証している。それ故、リンカー配列により多様性T細胞エピトープを、好ましくは組換えアデノベクターに組込むことは、多様性T細胞標的に向けた強い抗ウイルスおよび抗腫瘍T細胞免疫性を誘導するための重要で強力な新規アプローチである。
§4.発明の詳細な説明
ここに我々はヒトB細胞系の表面におけるペプチド−MHC複合体の安定性を測定するアッセイ法について記載する。このアッセイ法は免疫原性ペプチド・エピトープを同定するのに用いるが、その方法は合理的なワクチン設計への道に進む主要工程を構成する。ここに記載するこの新しい方法論は未処理ヒトB細胞に結合するペプチドを測定する結合アッセイに基づいている。それ故、このアッセイ法は次項に別に記載する(§4.1)。この結合アッセイは以前に刊行されている。安定性のアッセイは革新的な工程の組み合せを利用するものであって、次々項(§4.2)に記載する。数種の予め選択されたT細胞エピトープをエンコードするrAd含有一連ビーズ状構成物を用いる予防接種戦略について記載した特許出願の部分を§4.5に提示する。
§4.1 未処理ヒトB細胞上クラスI分子への競合的結合に基づくHLAクラスIペプチド結合アッセイ
ペプチド結合アッセイには細胞結合MHCクラスI分子(2,3)または精製“無細胞”MHCクラスI分子(6)のいずれかを使用する。細胞結合MHCクラスI分子によるアッセイは、MHCクラスI立体配座特異抗体により検出されるMHCクラスI分子(3)の上方規制(2)または再構成に基づいている。無細胞系は定量系であり、標識参照ペプチドが設定した競合系(6)で結合する精製MHC分子を使用する。しかし、MHCクラスI分子の精製は煩雑であり、精製または貯蔵の間に立体配座の変化が起こる可能性がある。種々のHLAクラスI分子に結合するペプチドを同定するために我々が使用するペプチド結合アッセイでは、HLAホモ接合B細胞系上HLAクラスI分子に結合する蛍光標識参照ペプチドを利用する。その際、結合したペプチドは緩和な酸処理により除去してある。ペプチド結合アッセイにおいて手段として未処理ヒトB細胞を使用することは、幾つかの明らかな利点を有する。
* EBV形質転換B細胞が高級な(=高価な)組織培養培地または成長因子を使用せずに容易に高個数にまで生育可能である。
* EBV形質転換B細胞は高レベルのクラスIMHCを発現する。このような高発現レベルに到達させるのにIFNγなどのリンホカインでの処理は必要ない。
* 緩和な酸処理B細胞が容易に調製される。すなわち、培養物からB細胞を採取し、平均的アッセイに必要な量のストリップトB細胞が使用30分内に準備できる。
* クラスIMHC分子の種々組合わせを発現するEBV形質転換ヒトB細胞系の殆ど無限のレパートリーが世界中の多くの研究所で入手可能である。
* 必要な場合、新しいEBV形質転換B細胞系が一月以内に容易に作製し得る。ヒトB細胞のEBV形質転換は世界中の多くの研究所で日常的に実施される非常に簡単な手技である。
蛍光標識ペプチドがこれらのペプチド−ストリップトHLAクラスI分子に結合するのは特異的であり、ペプチドの結合能を準定量的に定量し得る。これらのペプチド−ストリップトHLAクラスI分子に結合するペプチドの動力学は、可溶性HLAクラスI分子のものに相応し、新しいHLAクラスI分子の生合成からは独立している。このアッセイは最適化されており、HLA−A*0101、HLA−A*0201、HLA−A*0301、HLA−A*1101またはHLA−A*2401のいずれかに結合することが知られているペプチドで確認している(3,6)(我々の未公開追加データ)。さらに、このアッセイは、とりわけHIV−1ポリメラーゼから誘導した潜在的HLA−A0301−制限・保存CTLエピトープの同定に適用された(3)。
実施例1
未処理ヒトB細胞上HLA−A0201およびA0301を用いるペプチド結合アッセイの確認((3)からの改変)
材料と方法
細胞系
競合アッセイに用いるEBV形質転換B細胞系(B−LCL)はJY(HLAタイプ、A*0201、B7,Cw7、DR4、DRw6、DPw2)およびEKR(HLAタイプ、A3、B7、DR7、DQw2)である。参照ペプチドの特異結合を確認するのに用いるB−LCLはB109,BRM,D100,D110,K97,ML,NL,P98,S59およびS99である。これら細胞系のHLAタイプは図1に示してある。
ペプチド
蛍光(FL)標識参照ペプチドはCys−誘導体として合成した。標識は4−(ヨードアセトアミド)フルオレセイン(フルカ・ヘミー・アーゲー、ブッシュ、スイス)を用い、pH7.5(リン酸ナトリウム水溶液/アセトニトリル、1:1)で実施した。標識したペプチドをセファデックスG−10で脱塩し、さらにC18RP−HPLCで精製した。標識ペプチドをMALDI−MS(ラサーマット、フィンニガン、英国)で特性化した。HLA−A*0301の結合に用いた参照ペプチドはKVFPC(FL)ALINK(MH+計算値=1521.8、MH+測定値=1521.4)であり、HLA−A*0201に対する参照ペプチドはFLPSDC(FL)FPSV(MH+計算値=1500.6、MH+測定値=1500.1)であった。
HLA−A*0301またはHLA−A*0201に対する結合に用いる参照ペプチドはセッテ(Sette)らが報文化している(14)。両ペプチドにおいてこれらの研究者は、チロシンを導入して、放射活性ラベルをペプチドに付加するのに使用した。我々はこのチロシンをシステインに置き換えた。システインは4−(ヨードアセトアミド)フルオレセインの結合を可能にした。
14種の異なる完全配列HIV−1ウイルス株のポリメラーゼアミノ酸配列、すなわち、LAI,MN,NL43,OYI,SF2,RF,MAL,D31,CAM1,HAN,ELI,NDK,JRCSFおよびJRFL(15)につき、スコアシステムを用いて実施可能なHLA−A*0301制限CTLエピトープに対してスクリーニングした(1)。用いたHLA−A*0301モチーフはクボら(16)およびインゲルハード(17)の研究に基づいた。2位のアンカーはL、I,VまたはMが、またC−末端アンカーはK,RまたはYが好ましいものであった。ペプチドは両方のアンカー位置に所定の残基をもつように合成し、14種のHIV−1株全てに完全に保持するようにした。
ペプチドはFmoc化学による自動多種ペプチド合成機(アビメッドAMS422、ランゲンフェルド、ドイツ)を用い、固相法により合成した。ペプチドを逆相HPLCで分析し、ジメチルスルホキシド(DMSO)20μlに溶解し、0.9%NaCl中ペプチド濃度が5mg/mlとなるように希釈し、使用時まで−20℃に保存した。
B−LCLの緩和な酸処理
B−LCL上のHLA−A2またはHLA−A3の緩和な酸処理はストーカスら(19)の手法のブレマーズ改良法(18)に従い実施した。簡単に言えば、細胞をPBSで2度洗浄し、氷上に5分間放置した。次いで、細胞を氷冷クエン酸−Na2HPO4バッファー(0.23Mクエン酸と0.123M Na2HPO4の等容量混合物)で90秒間処理した(20)。HLA−A3に対してバッファーをpH=2.9に、またHLA−A2に対してはpH=3.2に調整した。これらのpHの差は結合したペプチドの最適溶出にとって、また外部より添加したペプチドとMHCクラスI分子の再構成にとって必須である(18)。その直後に、溶出した細胞を冷却ISCOVEの改変ダルベッコ培地(IMDM)で緩衝化し、IMDMで洗浄し、IMDM+1.5Ug/ml β2m(シグマ、セントルイス、米国)中に700,000細胞/mlで再懸濁した。
ペプチド競合アッセイ
競合アッセイのために、FL−標識参照ペプチド25μl(終末濃度、PBS中150nM)を96穴U型底プレート(コースター、ケンブリッジ、マサチュウセッツ、米国)中、競合ペプチド25μl(PBS中異なる終末濃度)と培養した。緩和な酸処理B−LCL(A2:JY,A3:EKR)100μlをこれらのウエルに加えた。
混合物を3時間または24時間、4℃または26℃で培養し、1%BSA含有PBS(PBA1%)で2度洗浄し、0.5%パラホルムアルデヒド含有PBA1%中に再懸濁し、FACスキャン(ベクトン−ディッキンソン、エッテン−ルール、オランダ)で分析した。
競合ペプチド不存在での実験で得られた平均蛍光(MF)値を最大結合とみなし、0%阻害に等しいとした。参照ペプチド不存在での実験で得られたMF値は100%阻害に等しいとした。
結合の阻害率%は以下の式を用いて計算した。
(1−(MF 150nM参照および競合ペプチド−MF参照ペプチド不在)−(MF 150nM参照−MF参照ペプチド不存在))x 100%
競合ペプチドを加えなかった実験では、蛍光指標(FI)を計算して、バックグランド(参照ペプチドなし)を超える蛍光がどの程度かを測定した。FI=(MF試料−MFバックグランド)/MFバックグランド。
B−LCLでのタンパク合成を阻止するために、以前に示したように(20)100μMエメチン(シグマ、セントルイス、米国)最終濃度を用いた。
結 果
FL標識参照ペプチドがHLAクラスIに結合する感度および特異性
HLA−A*0201およびHLA−A*0301に結合する参照ペプチドが、セッテら(14)の分子結合アッセイに記載され、使用されている。両方のペプチドにおいて、チロシンを用い、放射活性標識をペプチドに付加した。我々はこのチロシンをシステインに置き換え、4−(ヨードアセトアミド)フルオレセインを結合させた。
競合アッセイに必要な蛍光ペプチド量を設定した。この目的のためにペプチドの滴定を実施した。26℃で3時間培養した後、平均蛍光(MF)を測定した。2nMから100nMの濃度でHLA−A*0201参照ペプチドに対しMFの急激な上昇を認め、HLA−A*0301参照ペプチドに対しては2nMから150nMでそれを認めた(データ図示せず)。FL標識参照ペプチドで培養する前にB細胞を緩和に酸処理すると、低ペプチド濃度でより高い蛍光極限値となり、またMFのより急激な上昇に至った(図7)。
用いた細胞系の表面で、他のHLAクラスI対立遺伝子を含む細胞組成に特異的ペプチド結合が起こるか否かを検討するために、10種類の異なるB−LCL細胞系を0または150nMのFL標識参照ペプチド(HLA−A*0201またはHLA−A*0301のいずれか)と培養した。各細胞系に対するFIを計算し、参照細胞系JY(ペプチドがHLA−A*0201に結合)およびEKR(ペプチドがHLA−A*0301に結合)について得られたFIを100%結合に等しいとした。FL標識参照ペプチドが10種の異なる細胞系に結合するのをFL標識参照ペプチドのJYまたはEKRへの結合と関係づけるために、相対的ペプチド結合率(パーセント)を決定した。FL標識参照ペプチドが各細胞系に結合する相対的ペプチド結合率を以下のように計算した。(FI細胞系/FI参照細胞系)x100%。両方のFL標識参照ペプチドに対して、他の細胞組成への非特異的結合は、競合アッセイに用いた細胞系について、20%を超えることがなかった(図6)。また、HLA−A*0301のペプチド結合モチーフがHLA−A11の結合モチーフによく似ているために(16)、HLA−A*0301のFL標識参照ペプチドが、この対立遺伝子を発現するB−LCL細胞系に結合するのを観察した(図6)。細胞系NLはHLA−A*0301のFL標識参照ペプチドに結合する。それはHLA−A28対立遺伝子を発現し、その二つのサブタイプ、HLA−Aw6801およびHLA−Aw6803はそのペプチド結合モチーフをHLA−A*0301と共有している[エイ・セッテ、個人的情報交換]。
緩和酸処理HLAクラスI分子へのペプチド結合動力学
異なる温度でのペプチド結合の影響を研究するために、EKR細胞を溶出し、異なる時間、それぞれ4℃、26℃または37℃でFL標識ペプチドと培養した。4℃ではペプチドが当初急速に結合し、次いでやがて着実に増大していく(図7)。26℃でのペプチド結合はもっと速い(図7)。26℃で26時間後に結合したペプチド量は、4℃で結合したペプチド量と違わなかった。ペプチドは37℃で急速に結合するが、より長時間培養しても結合ペプチドの増加は見られなかった(図7)。37℃で結合ペプチドの増加が欠如しているのは恐らく二つの現象による。ペプチドの結合しない細胞表面に存在するHLAクラスI分子はこの温度で脱統合する。第二に、4℃で培養したときのペプチドの解離に比較して、37℃でのペプチドの解離が劇的に速いことである(22)。
緩和酸処理HLAクラスI分子への結合はドウノボ(de novo)タンパク合成に依存しない
細胞関連緩和酸処理HLA分子とペプチドの相互作用を特徴づけるために、ペプチド−ストリップトEKR細胞をFL標識ペプチドと、異なる時間、4℃または26℃で培養した。図7に示すように、細胞の4℃での蛍光標識化が早晩着実に増大する。溶出に先立ちタンパク合成阻害剤エメチン100μMを1時間使用すると26℃では結合したペプチドの量が減少するが、4℃では減少しない(図7)。
このように、タンパク合成阻害剤の使用はペプチドが4℃で緩和な酸処理HLAクラスI分子に結合するのに影響しなかった。代謝経路は4℃で低下するので、ペプチドが溶出したHLAクラスI分子に結合するのは、細胞の外面にすでに存在するHLAクラスI分子の利用可能性に依存しているだけである。
競合アッセイ
FL標識参照ペプチドの濃度に対してMFをプロットすると、対数型(log-shaped)曲線となる。我々は全ての競合実験において、標準濃度としてFL標識参照ペプチド150nMを選んだ。150nMのFL標識参照ペプチドを使用するとMFがバックグランドの約4〜5倍となった(図示せず)。非標識参照ペプチドを150nMのFL標識参照ペプチドに滴定し、阻害率(パーセント)を計算して非標識ペプチドの濃度に対してプロットした(図5)。4℃での24時間の競合アッセイにおいて、非標識HLA−A*0201またはHLA−A*0301参照ペプチドは、FL標識ペプチドの結合を50%阻害するのに(IC50)、FL標識参照ペプチドの使用濃度の約3〜5倍(それぞれ0.4μMおよび0.7μM)を必要とした(表1)。
最適実験条件を決め、そのアッセイを確認するために、我々はHLA−A*0201またはHLA−A*0301に対し既知の結合性を有するHPV16 E6およびE7タンパク(6、10)から誘導したペプチドを異なる濃度で3時間または24時間、4℃または26℃で試験した(表1)。細胞を24時間培養したとき、ペプチドの必要量は少なかった(表1)。細胞を4℃で24時間培養したとき、競合ペプチドの必要量は最低であった(表1)。4℃では24時間または48時間の培養時間の間に差を認めなかった(図示せず)。これは試験が平衡に達したときに、より感度が高いことを意味している。FL標識参照ペプチドの会合が速いために、短いインキュベーションではIC50に到達するまでにより多くの競合ペプチドを必要とする。IC50に至るペプチドのランキングを示すと、細胞を4℃で24時間培養すると、その順序は分子結合アッセイを用いカストら(6)により見出された順序に相応する(表1)。記載されたような結合モチーフをもつペプチド全てが低い結合親和性を示した。これらの結果とエメチン処理細胞上のHLAクラスI分子へのペプチド結合の結果を一緒にして、我々は競合アッセイを最良に実施するには、4℃で少なくとも24時間の培養時間であればよいと結論する。
既知CTLエピトープでの競合
プール配列決定を経て同定した5種のHLA−A*0201制限CTLエピトープ、1種のHLA−A*0301制限CTLエピトープおよび2種のHLA−A*0301ペプチドを高親和性結合ペプチドのIC50値を決めるのに用いた。HLA−A*0201に対する結合を試験した5種のペプチドは全てIC50≦1.7μMで非常によく競合した(表2)。HIVから誘導した既知HLA−A*0301制限CTLエピトープを試験した。HIV−nefから誘導したこのペプチドは0.5μMのIC50で結合した。プール配列決定により同定した2種のペプチドはIC50≦15μMで結合した(表2)。それ故、我々はIC50≦5μMで競合するペプチドを潜在的CTLエピトープと考えねばならない。
HLA−A*0301に対する保存HIV−1pol配例の結合
長さ8〜11アミノ酸から成る20種のペプチドをHLA−A*0301結合モチーフ、および異なるHIV−1株のポリメラーゼ遺伝子産物におけるそれらの保存に基づき選択した。このペプチドを4℃で24時間競合アッセイにより試験した。9種のペプチドがHLA−A*0301に結合することが判った。4種のペプチドが中程度の親和性で結合し、IC50≦5μMで競合した(表3)。他の5種のペプチド(星印*でマーク)は高い親和性で結合し、IC50≦3.0μMで競合した。既知CTLエピトープで得られたIC50を考慮して、特にこれら5種のペプチドをCTLエピトープの候補としてもよい。
コメント
これらの結果の広範な検討については(3)を参照されたい。この実施例が示すのは、このアッセイがHLA−A*0201またはHLA−A*0301のいずれかに対する既知結合能力をもつペプチドに関してうまく働くことである。このアッセイにおいて結合するペプチドの動力学は、可溶性HLAクラスI分子を用いるアッセイの動力学に匹敵するものであることを示した。さらに、HIV−1ポリメラーゼから誘導される潜在HLA−A*0301制限CTLエピトープの探査にこのアッセイを適用した結果、5種の高親和性結合ペプチドが同定された。このアッセイではHLAクラスI分子を精製する必要がなく、あるいは細胞をHLAクラスI分子を移入する必要がなく、また放射活性標識を用いないので、実施が容易である。さらに、膨大な一連のHLA分子に対するペプチド結合の手段として、HLAタイプ・ヒトB細胞系の大きなパネルが利用可能である。現在、この系はHLA−A*0101およびHLA−B7に結合するペプチドの同定にも成功裏に使用されている。
実施例1の図に関する説明
図1.FL標識参照ペプチドの特異性
参照細胞系EKR(HLA−A*0301)をpH=2.9で緩和酸処理した。参照細胞系JY(HLA−A*0201)をpH=3.2で緩和酸処理した。10種の異なる他のB−LCL細胞系は、HLA−A*0301 FL標識参照ペプチドとのインキュベーションに付す場合にはpH=2.9で緩和酸処理し、またHLA−A*0201 FL標識参照ペプチドと培養する場合にはpH=3.2で緩和酸処理した。EKR細胞を150nMのHLA−A*0301 FL標識参照ペプチドと培養し(白抜き棒)、JY細胞は150nMのHLA−A*0201 FL標識参照ペプチドと培養し(斜線棒)、また他の10種の異なる他のB−LCL細胞系は150nMのHLA−A*0301(白抜き棒)またはHLA−A*0201FL標識参照ペプチド(斜線棒)と、それぞれ26℃で4時間培養した。蛍光指標(FI)を各細胞系につき計算し、EKRに結合したFL標識参照ペプチド(HLA−A*0301に対する結合)のFIおよびJYに結合したFL標識参照ペプチド(HLA−A*0201に対する結合)のFIを100%結合に等しいとした。式(FI細胞系/FI参照細胞系)x100%により、10種の異なるB−LCL細胞系の相対ペプチド結合率(パーセント)を計算した。上部左側は参照細胞系の完全HLAタイプを他の細胞系の重複HLAタイプと共に示す。下部左側は10種全てのB−LCL細胞系をその完全HLAタイプと共に示す。
図2.溶出対非溶出HLAクラスI分子上に結合するペプチド
JY細胞(黒シンボル)およびそのHLAクラスI分子を緩和酸処理したJY細胞(白シンボル)を増量(nM)したHLA−A*0201 FL標識ペプチドと培養した。細胞を26℃で3時間培養し、洗浄、平均蛍光(mF)をFACScanで測定した。各曲線はFL標識参照ペプチドの濃度に対するmFの対数回帰分析の結果を示す。
図3.緩和酸処理HLAクラスI分子に結合するペプチドの動力学
EKR細胞を緩和酸処理し、150nMのHLA−A*0301 FL標識参照ペプチドと、異なる時間、4℃(三角)、26℃(白四角)または37℃(黒四角)で培養した。10、20、40、90、180および360分にFL標識ペプチドの結合を測定した。結合は蛍光指標(FI)として示してある。4℃および26℃に対して示した曲線は直線回帰または対数回帰分析の結果である。
図4.タンパク合成阻害剤処理細胞へのFL標識ペプチドの結合
EKR細胞を緩和酸処理に先立って1時間10-4Mのエメチン処理(白抜き棒)または未処理(斜線棒)した。150nMのHLA−A*0301FL標識参照ペプチドを加え、インキュベーションの1、3または4.5時間目に結合をモニターした。細胞を26℃または4℃で培養した。
図5.非標識参照ペプチドとFL標識参照ペプチドとの競合
EKR細胞(左)またはJY細胞(右)を150nMのFL標識参照ペプチド、すなわち、kvfpC(FL)alinkまたはflpsdC(FL)fpsv、および増量(μM)の非標識参照ペプチドとをそれぞれ培養した。結合阻害を計算し、使用した非標識参照ペプチドの量の関係を示した。
§4.2未処理ヒトB細胞表面でのペプチド−MHC複合体の安定性を測定するHLAクラスIペプチド結合アッセイ
平衡にあるMHC分子に対するペプチドの結合親和性は、ペプチド、MHCクラスI分子およびβ2mから成る3分子複合体の連続した会合・解離の結果である。MHCクラスIに結合したペプチドの解離速度は競合するペプチドの存在によっても(23)あるいは競合するペプチドの濃度によって(24)も影響されない。他方、遊離MHCペプチド結合部位の量はそれまでに結合したペプチドの解離速度により影響を受け、制限される(24)。このように、解離速度の低いペプチドはERにおいて安定なMHC−ペプチド複合体を形成し、細胞表面に移行し、T細胞の認識を可能にするに十分な時間そこに存在する。
ペプチド−MHC複合体の安定性と免疫原性との間の相関関係を検討するために、我々は一群のMHCクラスI結合ペプチドの解離速度を決めた。このアッセイ法は未処理HLA−ホモ接合B細胞表面でのペプチド−MHC複合体の安定性を測定する。一方で免疫原性とペプチド結合親和性との間の相関を比較し、他方では免疫原性とMHCクラスI分子からのペプチドの解離速度との間の相関を比較すると、免疫原性はペプチド結合親和性とよりも解離速度とよりよく相関することを示した。
この複合体−安定性アッセイは未処理ヒトB細胞を使用するので、ペプチド結合親和性アッセイについて記載した利点を共有する(§4.1参照)。
実施例2
MHCクラスIMHC分子に結合したペプチドの免疫原性はMHC−ペプチド複合体の安定性とよく相関する。
材料と方法
細胞系
EBV形質転換B細胞系、JY(HLAタイプ:A*0201、B7,Cw7,DR4,DRw6,DPw2)を、10%FCS添加RPMI1640ダッチ改変(ギブコBRL,ペスレイ、スコットランド)、抗生物質(100IU/mlペニシリン(ブロカーデス・ファーマ、ライデルドープ、オランダ)および100ug/mlカナマイシン(シグマ、セントルイス、ミズーリ、米国))、および20μM 2−ME(メルク、ダルムシュタット、ドイツ)から成る完全培地中、5%CO2含有湿潤空気中、37℃で培養した。
ジャーカット(Jurkat)A*0201Kb細胞はヒトT細胞白血病細胞系、ジャーカットの安定なトランスフェクタントであり、HLA−A*0201Kbキメラ遺伝子の産物を発現する(25)。それらは200ug/ml G418硫酸塩の存在下完全培地中で培養する。
ペプチド
ペプチドはFmoc化学による自動多種ペプチド合成機(アビメッドAMS422、ランゲンフェルド、ドイツ)を用い、固相法により合成した。ペプチドを逆相HPLCで分析し、DMSO 20μlに溶解し、0.9%NaCl中ペプチド濃度が5mg/mlとなるように希釈し、使用時まで−20℃に保存した。
競合に基づくHLAクラスI結合アッセイに使用する蛍光(FL)標識ペプチドを合成し、標識化し、前記同様に特徴づけた(3)。HLA−A*0201に用いる参照ペプチドの配列はFLPSDYFPSV(14)であったが、ここで我々は蛍光基を付加してFLPSDC(FL)FPSVで示されるペプチドとするためにチロシンをシステインに置換えた(3)。
形質転換マウス
HLA−A*0201Kb形質転換マウスはエル・シャーマン博士が親切に世話して下さった(スクリップ・ラボラトリーズ、サンディエゴ、米国)(動物供給業者ハーラン・スプラグ・ドーリー、インク、インディアナポリス、米国、経由)。マウスは清潔な常用条件下に飼育した。形質転換マウスはHLA−A*0201Kbキメラ遺伝子の産物を発現し、該遺伝子では重鎖のa3ドメインを対応するマウスH−2Kbドメインと置換え、HLA−A*0201alおよび2aドメインはそのままに残す(25)。これはマウスCD8+T細胞上のマウスCD8分子が、ハイブリッドMHCクラスI分子の同系a3ドメインと相互に作用するのを可能とする。
イン・ビボ免疫処理およびマウスT細胞培養
数群の3−6HLA−A*0201Kb形質転換マウスの尾部付け根に140ugのH−2 I−Ab−制限HBVコア抗原誘導Tヘルパー・エピトープ(128〜140、配列TPPAYRPPNAPIL)の存在下、IFAに懸濁した100ugのペプチドを皮下注射した(26)。11日後、マウスを犠牲とし、T25フラスコ(ファルコン、ニュージャーシー、米国)中で、脾臓細胞(10ml中30x106細胞)を同系の照射LPS刺激B細胞リンパ芽球(3:1比)および完全培地中1ug/mlのペプチドでイン・ビトロ再刺激した。培養6日目にこれらバルクの細胞毒性を標準5時間51クロム(51Cr)遊離アッセイにより試験した。
51Cr細胞毒性アッセイ
CTL活性を以前に記載されているように(27)、標準クロム遊離アッセイにより測定した。標的細胞を37℃30分間10ug/mlのペプチドで感作した。標的細胞を96穴U型底マイクロタイタープレート中で、最終容量100μlの完全培地中多数のエフェクター細胞に加えた。37℃、5時間のインキュベーションの後、上清を採取した。各3個のウエルの平均特異溶解率(パーセント)を以下のように計算した。特異溶解%=((実験遊離−自然遊離)/(最大遊離−自然遊離))x100。
特異溶解率はLU30%/106細胞で発現され、1 LU30%は5時間のアッセイにおいて、2000ジャーカットA*0201/Kb標的細胞から51Crの遊離を30%誘発するのに必要なエフェクター細胞の数に相当する。
緩和酸処理によるペプチド‘ストリッピング’および競合に基づくHLAクラスIペプチド結合アッセイ
実施例1参照
37℃におけるMHC−ペプチド複合体の測定
1,000,000〜2,000,000細胞/ml濃度のJY細胞を10-4Mエメチン(シグマ、セントルイス、米国)と37℃1時間培養し、タンパク合成を止め、その結果、細胞表面のドウノボ合成クラスI分子の出現を止めた(20)。細胞をPBSおよびペプチド−ストリップトで2度洗浄した(上記参照)。1,000,000個の細胞を200ug/mlのペプチドに加え、室温で1時間培養した。細胞を氷冷IMDMで2度洗浄し、1mlのIMDMに再懸濁した。次いで、細胞を37℃で0、2、4および6時間培養し、その後、BB7.2,HLA−A2立体配座特異モノクローナル抗体(28)およびGaM/FITCで染色した。その後、該細胞を0.5%パラホルムアルデヒド含有PBA1%に再懸濁し、固定化した。細胞をFACscanで分析した。蛍光指標(FI)をFI=(平均蛍光試料−平均蛍光バックグランド)/平均蛍光バックグランド(ペプチド不存在)として計算した。試料を二重に試験したが、両試料間の変動は常に10%を下回った。
残余のHLA−A2分子のパーセンテージを各ペプチドに対し、t=0ないし100%のFIに等値化することにより算出した。その際、式:残余%=(FIt=n/FIt=0)x100%を使用した。MHCからペプチドが解離するのは直線過程なので、ペプチド−MHC複合体の安定性は、分子の50%が崩壊するのに必要な時間(DT50%)として測定した。我々は出発点として37℃でt=2時間を用いている。その理由はこの時点からのみDT50%が安定なペプチド−MHC複合体を形成できるペプチドから決められるからである。
統 計
2×2分割表によるフイッシャー検定(フィッシャーの精密2−末尾検定)を用い、37℃でのペプチドの解離速度(DT50%)を該ペプチドの免疫原性と相関した。結合親和性は比較的少数のペプチドであったためカイ2乗検定を用いて免疫原性を相関させることはできなかった。それ故、我々は2x2分割表によるフィッシャー検定を用い、親和性と免疫原性との間に強い相関を確立するために高親和性結合ペプチドと低親和性結合ペプチドとを比較した。
結 果
HLA−A*0201/Kb形質転換マウスにおいて既知結合親和性と免疫原性を有するHBVまたはHPV16誘導ペプチドと複合体を形成したMHCクラス−I分子の安定性
MHCクラス−I分子に結合したペプチドの解離とそれらのCTL応答を誘発する能力との間の相関を研究するために、我々はHBVポリメラーゼ(pol)から誘導した9種のペプチドおよびHPV16の8種のペプチドを用いた。なお、HLA−A*0201/Kb形質転換マウスにおけるHPV16の相対結合親和性および免疫原性はすでに報告されている(6,10,29)。17種のペプチド全てが実際にHLA−A*0201に結合することを示すために、我々はHLA−クラスI結合アッセイ(3)に基づく以前記載の競合法によりその親和性を試験した。HBVpol−635,HPV16E7−11およびHPV16E7−86が比較的高い親和性(<5μM)をもって結合した。14種のペプチドが中程度親和性(5μMと15μMとの間)または低親和性(>15μM、表I)で結合した。ペプチドの結合親和性を測定し、そのペプチドの結合親和性を高い、中程度および低いに分類すると、セッテら(10)およびカストら(6)の親和性と分類に相応する。
立体配座特異的抗HLA−A2抗体の使用に続いて、残余のHLA−A*0201ペプチド複合体の量を経時的にモニターした。細胞表面のペプチド安定化HLA−A*0201分子の欠損は、ペプチドが結合しているクラス−I分子からのペプチドの解離を意味する。安定性は分子の50%が崩壊(DT50%)するのに要求される時間で表される。3種の高親和性結合ペプチドおよび中程度親和性結合ペプチド、HBVpol−996,HBVpol−1076およびHPV16E7−82の3種全てが3時間を超えるDT50%を示した(表1)。中程度親和性の他の4種のペプチド、HBVpol−1344、HPV16E6−18、HPV16E6−52およびHPV16E7−7、は1時間および2時間の間にDT50%を示した(表1)。低親和性結合ペプチドは1時間以下のDT50%を示した。表2に我々は解離速度、結合親和性およびこれらペプチドの免疫原性間の比較を示す。高親和性結合ペプチドは安定なMHC−ペプチド複合体を形成し、免疫原性であるが、一方中程度親和性のペプチド群は免疫原性であって、安定なMHC−ペプチド複合体を形成するか、あるいはその高い解離速度によって示されるように非免疫原性であって、安定なMHC−ペプチド複合体を形成しないペプチドのいずれかを含む(表2)。
既知ヒトCTLエピトープと複合体を形成するMHCクラス−I分子の安定性
免疫原性であると初めに報告した17種のHLA−A*0201結合ペプチド(たとえば、CTLエピトープとして見出されるか、あるいは一次応答を誘導するこのができるもの)(6,12,27,30〜40)について、HLA−A*0201への結合親和性を試験した。8種のペプチドは高親和性で結合し、7種のペプチドは中程度親和性で結合し、2種のペプチドは低親和性で結合した(表3)。解離速度を決めると、HPV11E7−4およびHIV−1pol−267のペプチドを除く実質的に殆どのペプチドが>4時間のDT50%を示した。HPV11E7−4およびHIV−1pol−267のCTLエピトープは両者とも合成ペプチドまたは極端に高い量の抗原を発現する細胞を用いる一次CTL誘導によって見出されたものであるが、より速く解離した(DT50%>2時間、表3)。興味深いのは、HCV1コア−131ペプチドの配列[ADLMGYIPLV]はHLA−A*0201モチーフに正確に対応するものではない。N−末端アラニンを欠くHCVコア−132ペプチド[DLMGYIPLV]はHLA−A*0201モチーフによく適合する。このことはこのより短いペプチドのより高い親和性(IC50=5.0μM)にも反映しているが、このペプチドはHCVコア−131ペプチドよりも劇的に急速に解離する(図1)。
免疫原性は解離速度と相関する
有意な相関関係がペプチドの免疫原性と解離速度との間に存在する。検討した既知HLA−A*0201制限免疫原性ペプチドの内、23種の内の21種がDT50%>3時間を示したが、11種の非免疫原性ペプチドのいずれもがDT50%>3時間を示さなかった(p=0.0000003、表4)。この相関関係はペプチド結合親和性と免疫原性との間の相関(p=0.0005、表4)よりもより密接しており、表2に見られる傾向を確認させる。免疫原性と解離速度との間の相関関係を中程度または低親和性で結合するペプチドについて研究すると、これは親和性(p=0.04)よりも免疫原性に対してなおよく相関した(p=0.00007、表5)。このことは、加工処理されて、小胞体に移行し、安定なMHC−ペプチド複合体を形成することのできるペプチドがCTLエピトープであるらしいことを示唆している。
既知親和性および解離速度を有するHIV−1誘導ペプチドのHLA−A*0201/Kb形質転換マウスにおける免疫原性
結合親和性と解離速度を測定したペプチドのイン・ビボ免疫原性を評価するために、HLA−A*0201/Kb形質転換マウスに2種の対照ペプチド(HPV16E7−86およびHBVコア−18、FLPSDDFPSV)および4種のHIV−1誘導ペプチド(表6)を接種した。これら形質転換マウスの誘導化およびそのイン・ビボ免疫原性分析における使用についてはすでに記載がある(10,29)。HIV−1pol−468(ILKEPVHGV)はCTLエピトープであり、中程度の親和性で結合する。HIV−1pol−267(VLDVGDAYFSV)ペプチドは比較的高用量のペプチドで繰り返し刺激するとヒトの一次誘導において免疫原性であることが分かっていた(27)。イン・ビトロで測定したMHC−ペプチド複合体の安定性予測値を試験するために、我々は他の2種のHIV−1polペプチド(HIV−1pol−343、YMDDLYVGSDL、およびHIV−1pol−576、LLWKGEGAV)(表6)の結合親和性と解離速度を決めた。双方のペプチドは、以前に記載されているように、HIV−1polの高次保存領域がHLA−A*0201に結合する2つのアンカーを含むアミノ酸配列に対してスクリーニングしたときに検出した(27)。我々は数群のマウスに全ペプチドを接種した。対照ペプチドを接種したマウスから誘導のバルクCTLが特異的にペプチド感受性ジャーカットA*0201/Kb細胞を溶解した(図2、表6)。予測どおりに、低解離速度のペプチド全てがCTL応答を備えていたが(図2、表6)、高い相対解離速度をもつ2種のペプチドはCTL応答を誘発しなかった(図2、表6)。このように、これらペプチドの免疫原性はその解離速度から完全に予測された。
コメント
HIV特異的T細胞免疫性に関するこれらの結果の広範な検討については別途報告する(バン・デル・ブルグら、準備中)。この実施例が示すのはMHC−ペプチド複合体の安定性測定が、潜在的T細胞エピトープを同定するに際して非常に価値が高いということである。新たに明確となった免疫原性ペプチドはその低解離速度で示されるように比較的安定なMHC−ペプチド複合体を形成したが、一方、非免疫原性ペプチドは高い解離速度を示した。さらに、実際に、全ての以前に記載したHLA−A*0201制限T細胞エピトープが低い解離速度を示した。さらに我々は、HIV−1誘導ペプチドの免疫原性がMHCクラスI結合親和性によるよりもその解離速度によりより正確に予測できることを示す。我々はペプチドの解離速度と免疫原性の相関(p=0.0000003)が結合親和性と免疫原性との相関(p=0.0005)よりもより密接であることを見出す。よりよい相関は中程度または低い親和性で結合するペプチドの群において得られる。結局、親和性とその解離速度に基づくペプチドの選択が、親和性のみに基づく選択よりもより正確にCTLエピトープ候補の同定を可能とする。
このアッセイ法は未負荷分子とペプチド負荷分子との間の識別をすることのできるHLAタイプ特異MAbsを必要とすることを留意されたい。そのようなAbs(抗体)はHLA−A*0201および−A*0301については現在入手可能であるが、他のHLAクラスI分子に関係するペプチド−MHC複合体の安定性を明確にするためにはさらなるAbsの同定または単離が必要である。そのようなAbsを単離する方法は以下のとおりである。
* 所望の特性を入手可能なAbs(ATCC,その他の研究所)からスクリーニングする。
* 半合成ファージ抗体展示ライブラリーから関連HLA分子を発現するヒトB細胞系に対する適当なAbsを選択する(ティー・ロッホテンベルク博士(ユトレヒト大学病院、オランダ)との共同で実施(41))。
* 精製ペプチド負荷MHC分子に対するモノクローナルAbsの産生、またはファージ抗体の選択(6)。
実施例2の図に関する説明
図6.HCV1コア−131ペプチドおよびN−末端アラニン欠失短鎖変異体の結合親和性と解離速度
結合親和性(左)および解離速度(右)を試験した。対象物はHLA−A*0201制限CTLエピトープHCV1コア−131(黒マル、ADLMGYIPLV)および短鎖変異体(白マル、DLMGYIPLV)であり、後者はより正確にHLA−A*0201モチーフに相応する(材料と方法参照)。独立した2つの実験で得られた競合体ペプチド各濃度での参照ペプチドの平均阻害率を左図に示す。右図は各時間での両ペプチドの残余ペプチド−MHC分子の百分比を示す。t=2時間で存在する百分比を100%に設定した。曲線は直線回帰分析の結果である。
図7.HLA−A*0201Kb形質転換マウスの予防接種により誘導されるペプチド特異細胞毒性
代表的実験ではHLA−A*0201Kb形質転換マウスに低解離速度(A,B,E)または高解離速度(C,D)を示す表示ペプチドをIFA中のHBVコア−エンコードTヘルパー・エピトープと組み合せて接種した(材料と方法参照)。これらマウスの脾臓細胞から誘導されるバルクCTL培養物はペプチド特異性について、特異ペプチドでパルス処理した(白マル)または処理しない(黒マル)ジャーカットA*0201Kb標的細胞上、細胞毒性アッセイにより試験した。図は表示した標準偏差を有する3〜6匹の動物からのバルクCTLの平均特異溶解を示す。特異溶解は1.5から100まで変動するE/T比で示してある。
実施例3
MHC−ペプチド複合体の安定性測定アッセイによるメラノーマ関連免疫原性ペプチドの同定
材料と方法
殆どの手法は実施例1および2に記載されている。ヒトTリンパ球をペプチド負荷樹枝状細胞(DC)で刺激することによる誘導を以下のように実施した。単球富化ヒト末梢血単球(PBMC)分画をHLA−A*0201−サブタイプの健常提供者から総PBMCのプラスティック粘着法により単離した。粘着細胞をRPMI/L−グルタミン/抗生物質/10%FCSまたは10%ヒト血清(HS)、および500U/ml rHuIL−4,および800U/ml rHuGM−CSFで5〜7日間培養した。サイトカイン含有の培地を一日おきに補給した。培養物を50U/ml rHuIL−1aおよび200U/ml g−IFNで24時間処理し、50ug/mlのペプチドとRPMI/L−グルタミン/抗生物質/1%FCS中で4時間パルス処理した。ペプチド−パルス処理刺激物を照射(2500ラド)し、2度洗浄した。24穴プレートの各ウエルに1mlの1〜2x104/ml刺激細胞含有RPMI/L−グルタミン/抗生物質/5%HSを分配した。
オートロガス応答動物細胞をプラスティック皿への粘着により(CD8+)T−細胞に富化し、次いで、ダイナビーズ(ダイナル、オスロ、ノルウェイ)を用い、CD4+細胞枯渇させた。総PBMC応答物をCD8−富化非粘着性細胞と混合し、最終応答物存在量を約10%CD4+T細胞とした。応答物を刺激物と1:10ないし1:20の比で混合し、1ウエル当たり総量2x106応答物とした。rHuIL−7を5ng/mlまで添加した。培地+rHuIL−7を7日後に補給した。12日目に、応答物をオートロガス・ペプチド・パルス処理粘着性PBMCで再刺激した(以前に記載(42))。rHuIL−2を最終濃度120IU/mlとなるように添加した。同様に、CTL培養物を毎週再刺激した。CTL培養物を、RPMI/L−グルタミン/抗生物質/5%HS+120IU/ml rHuIL−2中、FM3メラノーマ細胞系を発現するHLA−A*0201+、MelanA/MART−1(5000/ウエル(43))および6人の提供者からの同種PBMC(100,000/ウエル)と3種のHLA−A*0201+B−LCL(5000/ウエル)の混合物を用い、U型底96穴プレート中で限界希釈によりサブクローン化した。クローンは毎週再刺激した。
結 果
潜在的HLA−A*0201−結合CTLエピトープの存在を求めて、3種のペプチド結合アッセイ法、すなわち、T2−結合アッセイ(2)、未処理ヒトB細胞上HLA−A*0201分子を使用する結合アッセイ(実施例1参照)およびMHC−ペプチド複合体の安定性を測定するアッセイ(実施例2参照)を用い、メラノーマ抗原Melan−A/MART−1をスクリーニングした。結合データを比較すると(表9参照)、HLA−A*0201−陽性メラノーマ細胞(44)が提示する既述の免疫優性ペプチド・エピトープを表すノナマー・ペプチドAAGIGILTVはT2細胞にはわずかに結合するだけであり、また未処理ヒトB細胞上のHLA−A*0201に対する結合もあまり強くないことを示している。しかし、このペプチドの10マー変異体(EAAGIGILTV)は両結合アッセイにおいて、HLA−A*0201に対しかなりの結合力を示す。逆説的には、これら2つのペプチドをペプチド−MHC複合体に関して比較すると、9マーペプチードがHLA−A*0201に結合すると安定なペプチド−MHC複合体を形成するが、10マーとの複合体は不安定である。
HLA−A*0201−陽性健常提供者の末梢血リンパ球を2種のペプチドのいずれかで負荷したオートロガス樹枝状細胞で刺激することにより、ペプチド特異CTLの免疫性がイン・ビトロで上昇した。得られるCTLの反応性を関連ペプチドで負荷したT2細胞に対して、ならびにHLA−A*0201−およびMART−1−陽性ヒトメラノーマ細胞に対して試験した。これらの実験が明確に証明しているのは、ペプチド−負荷T2細胞とメラノーマ細胞に対して反応した腫瘍特異CTL活性が、提供者のリンパ球を9マーペプチドAAGIGILTVで刺激した後にのみ得られたということである(これらの実験については別途記載する。バン・デン・エルザスら、報文作成中)。これらのデータが明確に証明しているのは、ペプチド・エピトープの免疫原性が対応するペプチド−MHC複合体の安定性と強く相関するが、ペプチドのMHC結合をT2細胞または未処理B細胞上で測定したとき、このペプチドが(i)安定なMHC−ペプチド複合体を形成することおよび(ii)免疫原性であって、3種のアッセイ全てにおいてHLA−A*0201に対して強く安定に結合することを保証するものではないということである(表9参照)。また、ペプチド負荷T2細胞およびHLA−A*0201−/MART−1陽性メラノーマ細胞の双方に対して反応するCTLがこれら2種のペプチドに対しても上昇させることができた(バン・デン・エルザスら、報文作成中)。
これらの結果を合わせて示し得ることは、MHC−ペプチド複合体の安定性に基づき免疫原性ペプチドを選択することが腫瘍関連T細胞エピトープの同定における有用な手段となるということである。
§4.3 免疫原性ペプチドの同定
本発明は免疫療法のT細胞応答標的として作用するMHC−結合ペプチドを同定するための新技術を提供する。この方法は他の選択工程(§1.参照)と共に、たとえば、腫瘍細胞により加工処理され提示されると思われ、且つ、T細胞免疫系の免疫原標的を構成するペプチドとして腫瘍により発現されるタンパクの一次配列のスクリーニングに適用される。
以下の抗原から誘導されるペプチド・エピトープが我々の研究に関係する。
* ヒトパピローマウイルス・タイプ16および18(HPV16,HPV18)のE6−タンパク
* ヒトパピローマウイルス・タイプ16および18(HPV16,HPV18)のE7−タンパク
* ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のGag,Polおよび
Env−タンパク
* MAGE−2ヒトメラノーマ抗原
* チロシナーゼ・ヒトメラノーマ抗原
* Melan−A/MART−1メラノーマ抗原
* p21Rasヒト・オンコ−タンパク
* p53ヒト・オンコ−タンパク
* ヒト・ガン胎児性抗原(CEA)
* ヒト・上皮細胞粘着性分子(EpCAM)
* CD19ヒトB細胞特異タンパク
* CD20ヒトB細胞特異タンパク
* CD44細胞表面グリコプロテイン
* 免疫グロブリン(Ig)におけるB細胞リンパ腫により発現されるIg重鎖および軽鎖の可変ドメイン
上述のタンパクの配列を以下のHLAクラスI分子と関係する免疫原性T細胞エピトープを提示すると思われるペプチドとしてスクリーニングする。
* HLA−A*0101
* HLA−A*0201
* HLA−A*0301
* HLA−A*1101
* HLA−A*2401
* HLA−B7
§4.4 予め選択する手法を経た理由で安定性アッセイによりスクリーニングしたペプチドのリスト
§4.3の実施例2および3で説明したように、免疫原性ペプチドの選択は、ペプチドについて関与するMHC分子に対する結合のみならず、生成するペプチド−MHC複合体の安定性をスクリーニングする場合、その精度が著しく改善される。以前の報告で我々は種々の抗原(たとえば、腫瘍抗原)から誘導される多様な潜在免疫原性ペプチドにつき記載した。これらのペプチドは、(i)コンピューター予測および(ii)ペプチド−MHC複合体の安定性を考慮していない結合アッセイから成る2段階手法に基づき選択した。当業者は今やこれらのペプチドに関してペプチド−MHC複合体を測定する我々の新アッセイ法を適用できるし、それによってさらに確認することもできる。これらのペプチドのリストを表10〜20に提供する。
§4.5 数種の限定T細胞エピトープを一連のビーズ状構成物として含有する組換えアデノウイルスの予防接種
ウイルスまたは腫瘍に対するT細胞関連免疫性は2通りの方法で誘導することができる。ウイルス−または腫瘍−特異T細胞の伝達による受動式、または抗原暴露による能動式である。後者の場合には抗原を弱毒化ウイルスもしくは腫瘍細胞の全体から単離したタンパクに至る多くの異なる形で宿主に投与することができる。事実上これら全ての場合において、ワクチンは最小必須のT細胞エピトープが知られているという意味で合理的に設計されていない。それ故、これらの場合の免疫処理が常に所望の効果に導くとは限らない。たとえば、ワクチニアのような弱毒化ウイルスでの免疫化は望ましくない副作用を誘発するか、あるいは野生型ウイルスにより抗原変異を受けるエピトープでT細胞免疫に至る可能性がある。同様に、単一のタンパクでの免疫処理は無効であるが、その理由はT細胞の応答性を他の準優性T細胞エピトープに対してT細胞の応答を誘導せずに免疫優性T細胞エピトープのみに誘導する可能性があるから、あるいは標的の全存在率を補うだけの十分量のCTLエピトープを含んでいない可能性があるからである。これらの欠点は他の予防接種法を開拓することで一部は克服することができる。
選択した抗原を発現する組換えウイルスを用いる予防接種法を現在開発中である。抗腫瘍ワクチンを開発する場合には、MART1およびgp100などの数種の腫瘍関連抗原は、組換えウイルス・ベクターに組込むためのよい候補である。しかし、抗腫瘍免疫性を誘発する方法として組換えウイルスベクターにより腫瘍関連抗原をエンコードする全遺伝子を送達するのは、これら腫瘍関連抗原が発ガンに関係している場合、安全ではない。たとえば、HPV16−陽性子宮頚ガン治療または予防用ウイルス・ベクター・ワクチンは、もしそれが機能的ヒトパピローマウイルス・タイプ16(HPV16)E6およびE7ガン遺伝子を含んでいるならば、本質的に危険である。また、ウイルス・ベクターが発ガンタンパクHER2/neu,サイクリン依存性キナーゼ4、変形融合タンパクBCR−ABL,または変異Rasおよびp53タンパクをエンコードしている場合、これらの遺伝子がガンの成長に密接に関わっている故に、同じことが当てはまる。同様に、腫瘍関連抗原MAGE,GAGEまたはBAGEのファミリーに属する遺伝子をウイルス・ベクターに組込むことは、それらの機能が今まで確定されていない故に、避けるべきである。しかし、そのような腫瘍関連抗原から誘導されるT細胞エピトープを組換えウイルス・ベクターにエンコードする配列のみを導入することにより、体細胞性ベクター感染細胞の形質転換などの潜在的危険を導入せずに、免疫応答をこれらの標的に向けることができるようにすべきである。
最近、マウスにおいて数種の一連のビーズ状CTLエピトープを発現する組換えワクチニア・ワクチンが成功裏に使用されたとの研究が報告されている(48)(49)。これらの研究は一連のビーズ状ワクチンが抗ウイルスおよび抗腫瘍免疫の誘発に使用し得る可能性を示している。しかし、ワクチニア・ワクチンに関連する潜在的危険の故に、またポックスウイルスに関係する予防接種プログラムが廃止されたために免疫性が低下したあるいは(若年個体で)欠如したために、組換えワクチニア・ワクチンをヒトに使用することができない。さらにこれらの研究において、CTLエピトープは互いに直接繋がっており、CTLエピトープの効果的で正確なプロセシングおよび提示に向けたスペーサー配列を含んでいなかった。そのような理由で、含有されたCTLエピトープの最適プロセシングおよび提示に導くCTLエピトープ間のタンパク分解開裂部位を有し、rAdを含有する数種の一連のビーズ状CTLエピトープは、危険な副作用を誘発せずに強いCTL応答を誘導する。
腫瘍関連抗原全体を含有する組換えアデノウイルスは、予防的抗腫瘍免疫を誘発するのに用いられており(50〜52)(53,54)、腫瘍特異防御免疫性の誘発のためにrAdを使用する可能性を説明している。
多重T細胞エピトープとタンパク分解開裂部位をこれらT細胞エピトープ間に含むミニ遺伝子をrAdに組込むことによって、我々は今ウイルスおよび腫瘍に対して防御的T細胞応答を誘発するための新規な革新的方法を開発した。
実施例4
一連のビーズ状形態の種々限定CTLエピトープを発現するrAdは防御的抗腫瘍免疫性を誘導する。
材料と方法
細胞系
マウス胎児性細胞(MEC),Ad5E1形質転換MEC,Ad5E1+ras形質転換MEC,HPV16−形質転換MEC,およびCOS−7細胞を、4%FCS(ハイクロン・ラボラトリーズ、ローガン、ユタ)、ペニシリン(110IU/ml,ブロカーデス・ファーマ、アイデンドルプ、オランダ)および2−メルカプトエタノール(20μM)を補給したイスコブ(Iscove)改変ダルベッコ(Dulbecco)培地(バイオクロム・KG,セロメド、ベルリン、ドイツ)中に37℃、5%CO2空気下に保持した。CTLクローンを別途記載(55,56)(1057)どおりに培養した。インフルエンザ・マトリックス特異HLA−A*0201制限CTLクローンをRPMI中30Gyで照射したHLA−A*0201−陽性EBV形質転換B細胞系上で生育した。911の細胞が(58)記載のように成長した。
rAdの産生
ミニ遺伝子1またはミニ遺伝子2(図8参照)をシャトルベクターpMad5に挿入した。pMad5(アール・フーベン、未公開)を以下のクローニング工程をへてpMLP10(73)から誘導した。(i)SalI/BamHI断片の除去、(ii)ポリリンカー配列(ClaI,MluI,SnaBI,SpeI,AsuII,MunI)をAd5主要後期プロモーター(MLP)およびAd2三部分リーダー配列の直下流ユニークHindIII部位に挿入、(iii)pJM17の配列をもつpMad5配列の同族組換えを可能とするAd5ゲノムのBglII/XhoI断片をMunI部位に挿入(下記参照)。ミニ遺伝子1および2の挿入は2工程で実施する。最初のpMad5を酵素SpeIおよびMluIで開裂し、その5’−末端を脱リン酸化した。アニールしたリン酸化二本鎖オリゴヌクレオチド1a/bおよび2a/b(表A参照)をこのベクターに連結した。その結果、メチオニン、NASYATSの配列をもつスペーサーおよびヒトc−myc配列SEQKLISEEDLNNから成る小型のオープンリーディングフレームを得た。後者の配列は適当なモノクローナル抗体により認識されるエピトープに相応する。クローニング法の結果として、pMad5の当初SpeIおよびMluI部位が分解されるが、一方新しくSpeIおよびMluI部位がスタートコドンとc−mycエピトープをエンコードする配列との間に形成された。第二クローニング段階ではCTLエピトープをエンコードする配列がカセットに挿入された。カセット・ベクターを酵素SpeIおよびMluIで開裂し、アニールした非リン酸化二本鎖オリゴヌクレオチド3a/bおよび4a/bをオープン・ベクター(ミニ遺伝子1)に連結した。別法として、アニールした非リン酸化二本鎖オリゴヌクレオチド5a/bおよび4a/bをオープン・ベクター(ミニ遺伝子2)に連結した。次いで、非連結オリゴヌクレオチドを連結混合物からセファクリル400精製カラムにより除去した。溶出したDNAをアニール化したリン酸化二本鎖オリゴヌクレオチド6a/bおよび7a/b(ミニ遺伝子1)またはリン酸化二本鎖オリゴヌクレオチド8a/bおよび9a/b(ミニ遺伝子2)を含む連結反応物に加えた。結果として、図8に示す組換えタンパクをコードする2種のpMad5誘導プラスミド(pMad5−1,pMad5−2)を得た。RAdはAd5E1−陽性細胞系911(58)を、Ad5変異体d1309(59)の配列を含むプラスミドpJM17と一緒にプラスミドpMad5−1またはpMad5−2のいずれかでトランスフェクションすることにより構築した。911の細胞を10μgの線状化プラスミドpMad5−1またはpMad5−2および10μgのプラスミドpJM17でそれぞれ共トランスフェクションした。pMAd5とpJM17との間の相同組換えにより生成したrAdを3度プラーク精製し、次いで911の細胞につき増殖し、二重塩化セシウム密度遠心分離により精製し、大規模に透析した。復帰変異体の存在を常法どおりにHEP−G2細胞の感染によりチェックした。ウイルス株を10%グリセロールで分割して−80℃で保存し、911細胞を用いてプラークアッセイにより力価検定した。
COS−7細胞のトランスフェクション
COS−7細胞における一過性のトランスフェクションを別途記載(60)のごとくに実施した。端的に言えば、Ad5E1,HPV16E7,マウスp53、またはインフルエンザ−マトリックスタンパクをエンコードするプラスミド100ngをH−2Db、H−2KbまたはHLA−A*0201をエンコードするプラスミド100ngと共にDEAE−デクトラン−クロロキン法により1x104COS−7細胞にトランスフェクションした。トランスフェクションしたCOS細胞を8%FCS含有イスコブ改変ダルベッコ培地100μg中で37℃、48時間培養した。その後、50シータス単位の組換えインターロイキン−2(rIL−2,シータス・コープ、エメリービル、カリフォルニア、米国)含有イスコブ改変ダルベッコ培地25μl中の1500〜500CTLを添加した。24時間後、上清を採取し、以前に記載(60)したWEHI−164クローン13上その細胞毒性効果を測定することにより定量した。
rAdによるMECの感染
B6MECを0.5%ウシ血清アルブミン含有イスコブ改変ダルベッコ培地に希釈したrAdで感染させた。室温30分後、10%FCS含有イスコブ改変ダルベッコ培地を加えた。感染多重度(MOI)(B6MECに対し、50のMOIを用いた)を選択し、少なくとも80%の感染細胞を得た。これを、大腸菌LacZ遺伝子を担持し、ラウス肉腫ウイルスの長鎖末端繰返しからのプロモーターの制御下β−ガラクトシダーゼをエンコードするAd.RSVβ−Galで感染させ、48時間後にX−gal染色することにより定量した。
CTLバルク培養物の生成
24穴プレートを用い、1x108プラーク形成単位(PFU)のrAdまたは複製欠損Ad5−変異体ts149で腹腔内免疫処理し、2週間以上後に取り出したB6マウスから誘導の脾臓細胞を1ウエル当たり5x106細胞あて、10%照射(25GY)IFN−γ(10単位/ml)処理刺激物細胞と共に6日間共培養した。次いで、エフェクター細胞を採取し、死亡細胞をリンホライトM上密度遠心分離により除去した。これらの細胞は細胞介在リンパ球細胞毒性アッセイに用いた。
細胞介在リンパ球細胞毒性
細胞介在細胞毒性を測定するための実験手法を別途記載(56)のようにユーロピウム(Eu3+)遊離アッセイ法により実施した。簡潔に説明すると、96穴U型底プレートを使用し、0.15mlの培地中103Eur3+標識標的細胞にエフェクター細胞の個数を変化させて添加した。37℃で4時間インキュベーションの後、上清を集め、エンハンサー溶液(登録商標、ワラック、ツルク、フィンランド)と混合した。試料を1234デルフィア(登録商標)蛍光光度計(ワラック)で測定した。特異溶解度を3ヶのウエルの平均百分比として以下のように計算した。
特異溶解%=[(cpm実験遊離−cpm自然遊離)
/(cpm最大遊離−cpm自然遊離)]x100
ペプチド
以前に記載(61)のように、多種ペプチド合成機(アビメッドAMS422)を用い、固相法により合成した。
腫瘍細胞のチャレンジ
C57BL/6マウスをPBS/BSA0.25ml中1x108プラーク形成単位(PFU)のrAdまたは複製欠損Ad5−変異体Ad5ts149で腹腔内免疫処理した。2週間後、マウスに0.25mlPBS中の0.4x106Ad5E1A+ras細胞を皮下投与した。腫瘍容量をカリパスで測定した。不要の苦痛を避けるために腫瘍が10003を超えたときに動物を犠牲に付した。
結 果
数種のCTLエピトープ暗号配列のpMad5への挿入
未処理発ガンタンパクをエンコードする組換えウイルスでの予防接種は、組換えウイルス感染細胞の形質転換が起こり得るので本質的に危険である。それ故、我々はベクターpMad5の主要後期プロモーターの後にクローン化した数種の異なるCTLエピトープをエンコードする2種のミニ遺伝子を一体とすることにした。我々は一連のビーズ状形態の数種CTLエピトープを発現するrAdが予防接種の目的に使用できるか否かを検討することから始めたので、ミニ遺伝子の構築に使用したCTLエピトープは、CTLエピトープおよび/またはCTLエピトープを発現する腫瘍細胞を認識するCTLクローンの利用可能性に基づいて選択した。抗原プロセシングおよび提示についての現在の知識に基づいて、3個のアラニンから成るスペーサーによりCTLエピトープを互いに離した。3個のアラニンから成るタンパク分解開裂部位を組み入れることは、エンコードされたCTLエピトープが適正にプロセシングされることを保証する(62)。ミニ遺伝子エンコードCTLエピトープを認識するCTLクローンが利用可能であることは、ミニ遺伝子が翻訳されるか否か、また、適当なMHCクラスI分子との関係でエンコードされたCTLエピトープが提示されているか否かを決めるために重要である。同様に、利用可能なマウス腫瘍モデルは、構築したrAdが、予防接種したときに、予防的であって、それぞれ治療的CTL介在抗ガン免疫性を誘発し得るか否かを決めるための読み出しとして使用することができる。
これらの考えに基づいて、我々は2種の合成ミニ遺伝子をエンコードする2種の組換えアデノウイルスを調製した(図8)。図8に示したCTLエピトープをエンコードする合成ミニ遺伝子を‘材料および方法’の項に記載したようにプラスミドpMad5にクローン化した。pMad5−1によりエンコードされたCTLエピトープの全て、およびpMad−2によりエンコードされた4つのCTLエピトープの内の2つが、一過性トランスフェクション実験において示されたようにプロセシングされ、腫瘍特異CTLに提示されることを示した(図9および図10)。pMad5−2に組込まれたHPV16誘導HLA−A2制限CTLエピトープのプロセシングおよび提示は、これらペプチドに特異的なCTLが現在入手できないという事情により、試験できなかった。それにもかかわらず、我々のデータは、構成物中の最終(AdrE1B−誘導)CTLエピトープが翻訳され、加工処理され、Ad5E1B特異CTLに提示されている以上、これらのペプチドは発現され、そして恐らく加工処理されていることを示している。それ故、我々はpMad5−1およびpMad5−2によりエンコードされたCTLエピトープの全てが翻訳され、加工処理され、CTLクローンに提示されていると結論する。
ミニ遺伝子を細胞に導入すると適当なMHC制限分子との関連で所望のCTLエピトープを提示するので、ミニ遺伝子1または2を含有するプラスミドpMad5−1およびpMad5−2は複製欠損rAdを産生するのに使用されている。
構築rAdによりエンコードされたCTLエピトープが加工処理され、腫瘍特異CTLに提示される
生成したrAdが感染に際し腫瘍特異CTLクローンを活性化し得るか否かを分析するために、B6MECをrAdで感染させた。これらのrAd感染MECは、読み出しとしてTNF産生を用いるT細胞活性化アッセイにおける刺激細胞として用いた。簡便という理由で、これらの実験において我々は焦点をH−2bエンコード・ウイルス誘導CTLエピトープに絞った。これらのCTLはこのウイルスで感染したB6MECと培養したときには活性化されるが、対照のrAdで感染したB6MECと培養したときには活性化されないので、rAdエンコードミニ遺伝子(rAd−1)での感染により、Ad5E1A−,HPV16E7−およびAd5E1B−誘導CTLエピトープは適当なCTLに提示される(図11)。p53ノックアウト・マウスから誘導したMECを感染させることにより、我々はp53誘導CTLエピトープもまた効果的に加工処理され、p53特異CTLに提示されることを示すことができた(データ図示せず)。同様に、B5MECをこのウイルスで感染するとAd5E1B特異CTLを活性化することになるので、rAdエンコード・ミニ遺伝子2(rAd−2)はAd5E1誘導CTLエピトープを送達することができる(図11)。このように、構築したrAdは全ての予め選択されたCTLエピトープを腫瘍特異CTLに送達することができる。
5.B6マウスにrAdを予防接種すると腫瘍反応性CTL活性を誘導する
rAdは3種全てのH−2−制限ウイルスCTLエピトープを送達できるので、これらウイルスでの予防接種がこれらのCTLエピトープに対してCTL活性を誘導するか否かを分析した。実際、rAd−1で免疫したB6マウスから誘導したバルクCTL培養物は、Ad5E1A−,HPVI6E7−,およびAd5E1B−エンコードCTLエピトープに対して高いCTL活性を発揮する(図12および図13)。さらに、これらのCTLバルク培養物はまた、関連CTLエピトープを含有する腫瘍細胞を溶解し、誘導したCTLが強い抗腫瘍活性を発揮することを示す。同様に、B6マウスをrAd−2で予防接種すると、Ad5E1B発現腫瘍細胞上交差反応するAd5E1B−特異CTL活性を誘導した(図12)。これらのデータが共に示すことは、数種のCTLエピトープを一連のビーズ状形態でエンコードする合成ミニ遺伝子を含有するrAdは、予防接種により、選択したCTLエピトープに対し強い腫瘍特異CTL応答を誘発することができることである。
rAd−1での免疫処理はAd5E1A+ras形質転換腫瘍細胞の攻撃に対して防御的免疫性を誘導する
上記のデータは、rAd−1またはrAd−2での免疫処理が試験した全てのCTLエピトープに対して強い腫瘍反応性CTL活性を誘導することを示す。rAdを接種したマウスが腫瘍細胞での致死的攻撃に対しても防御するか否か試験するために、我々はこれらのマウスにAd5E1A領域で形質転換した腫瘍細胞を投与した。これらの腫瘍細胞はAd5E1A−エンコードCTLエピトープを発現するのみであり、それ故にrAd−1のみが予防接種によりこの腫瘍に対して防御的免疫を誘発するが、rAd−2はそうではない。実際に、rAd−1で免疫処理したマウスはAd5E1A+ras発現腫瘍細胞の発芽後成長に対し防御したが、rAd−2またはPBS/BSAのみで免疫処理したマウスではそうではなかった(図14)。さらに、rAd−1での予防接種により誘導した防御は照射腫瘍細胞での予防接種により得られた防御よりもよりよいが、このことはrAdでの予防接種が他の予防接種法に比較しても優れていることを示している。このように、数種のCTLエピトープを含有するrAdでの予防接種は、タンパク分解開裂部位と連結して、予め選択した選択T細胞エピトープに向けられた防御的免疫性を誘導する強力な方法である。
コメント
この実施例は、一連のビーズ状形態にある限定CTLエピトープをエンコードするrAdは、そのCTLエピトープがCTLエピトープの効果的なプロセシングおよび提示を確実にする配列により互いに連結しており、腫瘍に対して防御的CTL応答を誘導するのに非常に効果が高いことを示している。rAdによりエンコードされたCTLエピトープは全て加工処理されて、腫瘍−およびウイルス−特異CTLに提示されるが、このことは多様なCTLエピトープが一回の予防接種により宿主に送達され、強力で防御的なCTL応答を導き出すことを意味している。rAdは製造が容易であり、予防接種に用いてときにワクチニアのような他の担体に比較して副作用を惹起することがない。それ故に、この予防接種法は非常に効果的で安全であり、現在は本発明に記載した他のCTLエピトープを送達するのに使用している。
実施例5
実施例4に記載したのと同様の方法に従い、ワクチンを調製するが、そのCTLエピトープは表10〜20に記載したものが組込まれている。ワクチンは以下の特徴をもつように調製した。
a.ワクチンはスペーサーを介して互いに連なった数種のT細胞エピトープを含有する。
b.該スペーサーはタンパク分解性開裂部位を有する。
c.T細胞エピトープ含有構成物は組換えアデノウイルスにより送達するか、あるいは第2および3頁の項目iii〜viiに記載したワクチン型に組込む。
メラノーマ用ワクチンは表11に言及したペプチドを含有するように調製し、大腸ガン用ワクチンは表12および20に言及したペプチドを含有するように調製し、子宮頚ガン用ワクチンは表13〜16に言及したペプチドを含有するように調製し、HIV用ワクチンは表19に言及したペプチドを含有するように調製する。適当な場合には、表10〜20に掲載した以外のペプチドT細胞エピトープをこれらの多重エピトープ・ワクチンに組込む。
これらのワクチンに存在するT細胞エピトープを以下のタンパク分解性開裂部位(またはこれらのタンパク分解性開裂部位の一部)を介して互いに連結する。
(62)に記載のAAA
(63)に記載のQGW*FEG,WFE*GLF,FEG*LFN,FTT*LIS,TTL*IST,TLI*STI,FNK*SPW,EGL*FNK,TTL*IST,TLI*STI,FNR*SPW
VSG*LEQ,SII*NFE,INF*EKL,LTE*WTS,IIN*FEK,GLE*QLE,EQL*ESI,NFE*KLT,QLE*SII,EKL*TEW,VVR*FDK,STR*TQI,TQI*NKV,KVV*RFD,VVR*FDK,VRF*DKL,RFD*KLP,DKL*PGE,FGD*SIE,
(64,65)に記載のVSG*LEQ,QLE*KVV,FDK*LTE,KLT*EWT,
(66)に記載のLMY*DMY,SEK*RVV,KRV*WMS,DMY*PHF,TNL*GPS,LMY*DMY,
(67)に記載のLYE*NKP,
(68)に記載のVNQ*HLC,SHL*VEA,LVE*ALY,EAL*YLV,LYL*VCG,VNQ*HLC,QHL*CGS,LVE*ALY,EAL*YLV,ALY*LVC,LYL*VCG,YLV*CGE,LVC*GER,RGF*FYT,GFF*YTR,FFY*TPK,FYT*PKA,
(69)に記載のYTP*KA,TPK*A,
ただし、*はその後部でプロテアソーム複合体が開裂する部位を表す。
上述の多重エピトープ構成物を有するrAdワクチンは以下の適切な臨床条件で適用される。
投与量:
105pfuと1011pfuの間
希釈剤:等張液、100〜1000μl
投与:
2ないし4週間間隔で1ないし3回
可能部位:
皮下、皮内、腹腔内、筋肉内
臨床評価:
腫瘍成長の抑制、現存腫瘍/転移の退縮
免疫学的評価:
予防接種前後の関連および対照ペプチドT細胞エピトープに対するT細胞応答の測定
実施例4の図に関する説明
図8.数種のCTLエピトープをエンコードし、3個のアラニンから成るスペーサーを介して連結しているミニ遺伝子。
第一のミニ遺伝子(rAd−1)はAd5E1A234-243−エンコードH−2Db−制限CTLエピトープ(55)、HPV16E749-59−エンコードH−2Db−制限CTLエピトープ(70)、P53 158-166−エンコードH−2Kb制限CTLエピトープ(未発表の結果)、Ad5E1B192-200−エンコードH−2Db−制限CTLエピトープ(56)、およびMyc−Tagをエンコードする。
第二のミニ遺伝子(rAd−2)はHPVI6E86-93−エンコードHLA−A*0201−制限CTLエピトープ(71)、フルマトリックス58-66HLAA*0201−制限CTLエピトープ(72)、HPVI6E711−20−エンコードHLAA*0201−制限CTLエピトープ(71)、Ad5E1B192-200−エンコードH−2Db制限CTLエピトープ(56)、およびMyc−Tagをエンコードする。
図9.ミニ遺伝子IエンコードCTLエピトープは腫瘍特異CTLクローンに提示される。pMad5−1を適切な制限要素をエンコードするプラスミドと共にCOS−7細胞中にトランスフェクション処理する。48時間後、トランスフェクションしたCOS−7細胞について、関連CTLのTNF遊離惹起能によるCTLエピトープの発現を試験した。培養上清に存在するTNFをWEHI−164クローン13細胞での細胞毒性効果により測定した。
全ての関連CTLをミニ遺伝子1エンコードプラスミド(無関連の対照プラスミドでは不実施)で適切な制限分子をエンコードするプラスミドと共にトランスフェクションしたCOS−7細胞で活性化した。このように、ミニ遺伝子1はタンパクに翻訳され、エンコードしたCTLエピトープは加工処理され、適切なMHC分子との関連で腫瘍特異CTLに提示される。
図10.Flu−誘導およびAd5E1B−誘導CTLエピトープをミニ遺伝子によりそれぞれFlu−およびAd5E1B−特異CTLに提示する。pMad5−2を適切な制限要素をエンコードするプラスミドと共にCOS−7細胞にトランスフェクションした。48時間後、トランスフェクションしたCOS−7細胞について、関連CTLのTNF遊離惹起能によるCTLエピトープの発現を試験した。培養上清に存在するTNFをWEHI−164クローン13細胞での細胞毒性効果により測定した。関連CTLをこのプラスミド(無関連の対照プラスミドでは不実施)と適切な制限分子をエンコードするプラスミドとでトランスフェクションしたCOS−7細胞で活性化した。このように、ミニ遺伝子2はタンパクに翻訳され、エンコードしたCTLエピトープは加工処理され、適切なMHC分子との関連で特異CTLに提示される。
図11.rAdVによりエンコードしたCTLエピトープは加工処理され、腫瘍特異CTLに提示される。B6MECを未感染状態に置くか、あるいはミニ遺伝子1含有rAd−1、ミニ遺伝子2含有rAd−2またはガラクトシダーゼ遺伝子(RAdV−LAC−Z)により感染多重度50で感染させた。2日後、これらの細胞を上記同様にTNF−産生アッセイに用いた。Ad5E1A−,HPV16E7−およびAd5E1B−誘導H−2Db−制限CTLエピトープを含有するrAd−1で感染したB6MECは、これらCTLエピトープに特異的なCTLクローンを活性化することができる。一方、Ad5E1B−誘導CTL含有rAd−2で感染したB6MECは、Ad5E1B−特異CTLを活性化するだけである。CTLは未感染MECまたは対照rAdで感染したMECとのインキュベーションでは活性化されない。
図12.rAdVで予防接種するとAd5E1−エンコードCTLエピトープに対して腫瘍反応性CTL活性を誘導することになる。B6マウスは未免疫のままであるか、ミニ遺伝子1含有rAd−1で免疫するか、あるいはミニ遺伝子2含有rAd−2で免疫した。2週間後、これら動物の脾臓を取り出し、Ad5E1−およびAd5E2−特異CTLを増殖させるためにAd5E1−形質転換腫瘍細胞で再刺激した。バルクCTL培養物の溶解活性を、6日後に、センダイウイルス−エンコード対照CTLエピトープFAPGNYPAL、またはAd5E1A−エンコードCTLエピトープSGPSNTPPE1、またはAd5E1B−エンコードCTLエピトープVNIRNCCYI、またはHPV16E7−エンコードCTLエピトープRAHYNIVTFを負荷したAd5E1MEC,B6MEC上で試験した。rAd−1で免疫したマウスはAd5E1A−およびAd5E1B−エンコードCTLエピトープ並びにAd5E1A−およびAd5E1B−エピトープを内在的に提示する腫瘍細胞を認識する。rAd−2で免疫したマウスはAd5E1B−エピトープ並びにAd5E1B−エンコードCTLエピトープを内在的に提示する腫瘍細胞を認識する。一方、未免疫マウスは標的細胞に対して反応性を示さない。特異溶解率%を異なるエフェクターと標的細胞の比で示す。
図13.rAdVで予防接種するとHPV16E7,H−2Db−制限CTLエピトープに対し向けられた腫瘍反応性CTL活性を誘発する。B6マウスは未免疫のままであるか、ミニ遺伝子1含有rAd−1で免疫するか、あるいはミニ遺伝子2含有rAd−2で免疫した。2週間後、これら動物の脾臓を取り出し、H−2Db,HPV16E7−特異CTLを増殖させるために、HPV16−形質転換腫瘍細胞で再刺激した。バルクCTL培養物の溶解活性を、6日後に、センダイウイルス−エンコード対照CTLエピトープFAPGNYPAL、またはAd5E1A−エンコードCTLエピトープSGPSNTPPE1、またはAd5E1B−エンコードCTLエピトープVNIRNCCYI、またはHPV16E7−エンコードCTLエピトープRAHYNIVTFを負荷したHPV16MEC,B6MEC上で試験した。rAd−1で免疫したマウスはHPV16E7−エンコードCTLエピトープ並びにHPV16E7−エピトープを内在的に提示する腫瘍細胞を認識する。未免疫マウスおよびrAd−2で免疫したマウスはHPV16E7−ペプチド陽性標的細胞に対して反応性を示さない。特異溶解率%を異なるエフェクターと標的細胞の比で示す。
図14.rAd−1で予防接種するとAd5E1A−発現腫瘍細胞での致死的攻撃に対して防御的免疫を誘発する。B6マウスをrAd−1,rAd−2,Ad5−変異体(Ad5E1A−陽性)Ad5ts149で腹腔内投与免疫、または10x01照射Ad5E1A+ras形質転換腫瘍細胞で皮下投与免疫するか、またはPBS/BSAのみを注射した。2週間後、マウスに0.4x106Ad5E1A+ras細胞を皮下投与した。rAd−1およびAd5ts149で免疫したマウスは、Ad5E1A+ras細胞の発芽後成長に対し防御されており、rAdでの免疫処理が腫瘍に対して防御的免疫を誘導することを示している。
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以下の表は、T2細胞上でHLA−A*0201分子を上方調整することが可能なヒトメラノーマ関連タンパクチロシナーゼから誘導された予め選択されたペプチドを提示している。
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HPV16/18タンパクから誘導されたアミノ酸配列を有する予め選択されたペプチド。前記アミノ酸配列は、ヒトMHCクラスI対立遺伝子HLA−A2.1に結合する能力を有し、以下のものから成る群から選択される:
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Claims (19)

  1. ポリペプチド抗原に存在する免疫原性T細胞ペプチド・エピトープを選択する方法において、結合モチーフとMHCクラスI分子に結合するサイズを有する抗原の一次配列ペプチドを同定し、該同定ペプチドのMHCクラスI分子への結合を測定することから成り、その際、該ペプチドとMHCクラスI分子との複合体の安定性を、その表面に該MHCクラスI分子を担持する無傷な細胞上で測定することを特徴とする方法。
  2. 無傷な細胞がB細胞であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 該B細胞がヒトのB細胞であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. さらにペプチドを選択する工程を含み、それによって無傷な抗原中のペプチドとそれらの配列を、天然ポリペプチド配列のプロテアゾーム開裂規則に対応してスクリーニングすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. さらにペプチドを選択する工程を含み、それによって無傷な抗原中のペプチドとそれらの配列を、ペプチドの搬送および/またはMHCクラスI分子へのペプチド結合規則に対応してスクリーニングすることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. MHCクラスI分子に、同定されたペプチドを結合するためのさらなる結合アッセイをさらに含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 該さらなる結合アッセイは、抗原プロセシング欠損細胞系の表面においてエンプティMHCクラスI分子に対する同定されたペプチドの結合を測定することを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 該プロセシング欠損細胞系がT2細胞系であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. ポリペプチド抗原の存在と関連した疾患の治療および/または予防のためのワクチンを製造するための方法において、請求項1〜8のいずれかに記載の方法によって前記ポリペプチド抗原のT細胞ペプチドエピトープを選択することと、選択されたペプチドエピトープを調製することと、前記ペプチドエピトープを投与に適したビークルと混合することとを含む方法。
  10. アジュバントがワクチンに添加されることを特徴とする請求項9に記載のワクチンを製造するための方法。
  11. ペプチドエピトープが合成ペプチドを含むことを特徴とする請求項9または10に記載のワクチンを製造するための方法。
  12. ワクチンが異なる合成ペプチドの混合物を含むことを特徴とする請求項11に記載のワクチンを製造するための方法。
  13. 該合成ペプチドが樹枝状細胞上に結合されることを特徴とする請求項11または12に記載のワクチンを製造するための方法。
  14. ペプチドエピトープが、一連のビーズ状立体配座で存在することを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載のワクチンを製造するための方法。
  15. 該ビーズ状エピトープがタンパク分解開裂部位を有することを特徴とする請求項14に記載のワクチンを製造するための方法。
  16. ペプチドエピトープが組換えタンパクの一部として与えられることを特徴とする請求項9または10に記載のワクチンを製造するための方法。
  17. 組換えタンパクが一連のビーズ状配座を有し、該ビーズがペプチドエピトープであることを特徴とする請求項9に記載のワクチンを製造するための方法。
  18. 該一連のものがタンパク分解開裂部位を有することを特徴とする請求項17に記載のワクチンを製造するための方法。
  19. 組換えタンパクが樹枝状細胞上に結合されることを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載のワクチンを製造するための方法。
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