JPWO2019054409A1 - Hlaタンパク質に相互作用する物質のスクリーニング方法及びスクリーニング用キット - Google Patents

Hlaタンパク質に相互作用する物質のスクリーニング方法及びスクリーニング用キット Download PDF

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Abstract

HLAタンパク質に相互作用する薬物のスクリーニング方法は、(a)結合物質が結合したHLAタンパク質を調製する工程と、(b)pHを弱酸性に調節する前又は後に被検物質を添加する工程と、(c)弱酸性下において静置する工程と、(d)pHを中性に調節した後、1〜48時間静置する工程と、(e)HLAタンパク質と被検物質との結合の度合いを測定し、HLAタンパク質に被検物質が結合していると判断される場合、被検物質がHLAタンパク質に相互作用していると判定する工程と、を含む。

Description

本発明は、HLAタンパク質に相互作用する物質のスクリーニング方法及びスクリーニング用キットに関する。
ヒト白血球型抗原−I(HLA−I)は細胞膜貫通型の糖タンパク質分子であり、病原体由来の抗原をCD8陽性T細胞上へ提示することで生体防御へと貢献している。
特定の型のHLA−Iを持つ場合にのみ低分子薬による副作用リスクが増大するという報告がある(非特許文献1)。代表例として、抗HIV薬のアバカビルが挙げられる。アバカビルがHLA−B57:01のペプチド収容溝へ特異的に結合することで、本来提示されるものとは異なる長さや配列のペプチド抗原が提示され、そのために異常な免疫応答が誘導され、過敏症を引き起こすことが知られている(非特許文献2、3)。その他、コホート研究によって、HLAに相互作用することで異常な免疫応答を引き起こす薬物がいくつか特定されている。
HLA−Gは非古典的HLAクラスI分子の一種で、3つのドメイン(α1−α2−α3)からなる重鎖、human β2 microglobulin(hβ2m)及びペプチドで構成される複合体分子である(図1)。発明者らは、可溶性HLA−G(HLA−G)を関節炎モデルマウスに投与すると、受容体を介して免疫抑制効果を示すことや、その際に体重減少等の副作用が現れないことを見出している(非特許文献4)。
Bharadwaj,M.et al.Drug hypersensitivity and human leukocyte antigens of the major histocompatibility complex.Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.52,401−431(2012). Ostrov,D.A.et al.Drug hypersensitivity caused by alteration of the MHC−presented self−peptide repertoire.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.109,9959−9964(2012). Illing,P.T.et al.Immune self−reactivity triggered by drug−modified HLA−peptide repertoire.Nature 486,554−558(2012). Kuroki,K.et al.The long−term immunosuppressive effects of disulfide−linked HLA−G dimer in mice with collagen−induced arthritis.Hum.Immunol.74,433−438(2013).
HLAに相互作用する薬物のスクリーニング系は、今まで報告がなされていなかった。HLAに相互作用し得る薬物が、HLA分子の物理化学的特性に起因して、HLAのペプチド収容溝に安定的に収容され得ないと考えられているためである。また、コホート研究によって、HLAに相互作用することで異常な免疫応答を引き起こす薬物がいくつか特定されているものの、手間も時間も要するコホート研究では、HLAに相互作用する薬物を迅速かつ簡便にスクリーニングすることは到底なし得ないものであった。このため、HLAに相互作用する薬物のスクリーニング系の開発が待たれている状況にあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、HLAと相互作用する物質を迅速かつ簡便にスクリーニングすることができるスクリーニング方法及びスクリーニング用キットを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るHLAタンパク質に相互作用する物質のスクリーニング方法は、
(a)結合物質が結合したHLAタンパク質を調製する工程と、
(b)pHを弱酸性に調節する前又は後に被検物質を添加する工程と、
(c)弱酸性下において静置する工程と、
(d)pHを中性に調節した後、1〜48時間静置する工程と、
(e)前記HLAタンパク質と前記被検物質との結合の度合いを測定し、前記HLAタンパク質に前記被検物質が結合していると判断される場合、前記被検物質が前記HLAタンパク質に相互作用すると判定する工程と、
を含む。
例えば、前記工程(c)において、静置時間は、3秒間〜5時間である。
例えば、前記工程(b)において、前記HLAタンパク質に対する前記被検物質の添加量比は、1:1〜1:10である。
例えば、前記工程(e)において、沈殿法、DSF及びDSCからなる群より少なくとも1つ選択される方法によって前記HLAタンパク質と前記被検物質との結合の度合いを測定する。
例えば、前記工程(e)において、前記被検物質の濃度依存的に前記HLAタンパク質と前記被検物質との結合の度合いが高くなる場合、前記被検物質が前記HLAタンパク質に相互作用すると判定する。
例えば、前記結合物質は、ペプチドである。
例えば、前記HLAタンパク質に前記被検物質が結合していると判断される場合、前記被検物質による副作用のリスクが高いと判定される。
例えば、前記工程(a)において、前記HLAタンパク質を宿主細胞に発現させる。
本発明の第2の観点に係るHLAタンパク質に相互作用する物質のスクリーニング用キットは、結合物質が結合したHLAタンパク質を含む。
例えば、前記結合物質は、ペプチドである。
本発明によれば、HLAと相互作用する物質を迅速かつ簡便にスクリーニングすることができるスクリーニング方法及びスクリーニング用キットを提供することができる。
HLA−Gの細胞外ドメインの構造を模式的に表す図である。 本実施形態のスクリーニング方法の概略を模式的に説明する図である。 HLA−Gが提示するペプチドの報告例を表す図である。 (a)はHLA−Gタンパク質の調製(発現、巻き戻し)を模式的に表す図であり、(b)は一本鎖HLAの大腸菌発現用のコンストラクトを用いてHLA−Gタンパク質を調製する方法を模式的に表す図である。 (a)は大腸菌発現用プラスミドの構造を表す図であり、(b)は陰イオン交換クロマトグラフィーによる分析結果を示す図であり、(c)はSDS−PAGEによる分析結果を示す図である。 (a)は各pH条件下でのCDスペクトル測定の結果を表す図であり、(b)は各pH条件下での構造サンプルの割合を表す図であり、(c)はHLA−Gのαヘリックス構造を模式的に表す図である。 (a)はpH5.0条件下で抗原解離状態となったHLA−Gに、本来提示していたものとは異なる抗原を新たに添加することで、抗原がHLA−Gに結合するか否かについて模式的に表した図であり、(b)はpepWTとpepR5Kとの配列を表す図であり、(c)はpepR5Kを持つHLA−Gのゲル濾過クロマトグラフィーを行うと、HLA−Gタンパク質由来の280nmの吸収と同位置にFITC由来の494nmの吸収が確認できることを表すグラフ図である。 ゲル濾過クロマトグラフィーによるHLA−G抗原間の相互作用解析の実験系を表す図である。 (a)はゲル濾過クロマトグラフィーによるHLA−G抗原間の相互作用解析の結果を表す図であり、(b)は各系におけるHLA−G抗原間の相互作用の有無を表す図であり、(c)は494nmの吸収由来のシグナルと280nmの吸収由来のシグナル面積比を表す図である。 (a)は抗原が再度結合したHLA−Gと抗原解離状態のHLA−Gの間で安定性に差が生じているか否かについて模式的に表した図であり、(b)は示差走査蛍光測定(DSF)におけるタンパク質の状態と変性温度Tとの関係を表すグラフ図である。 (a)はHLA−Gを酸性条件に曝す際にWTのペプチドを加える系とコントロールとしてDMSOを加える系とを表す模式図であり、(b)はDSF測定の結果を表す図であり、(c)は変性温度(T)及び極大蛍光強度(FImax)を表す図である。 (a)は「ペプチドあり;+」と「ペプチドなし;−」での溶液中のタンパク質の安定化について説明した図であり、(b)はHLA−Gタンパク質溶液の3段階の希釈系列でのDSFの結果を表す図である。 本実施形態のスクリーニング方法におけるHLA−Gタンパク質の安定化にについて模式的に表す図である。 本実施例のスクリーニング方法の工程を表す図である。 北大の既存薬ライブラリーを表す図である。 (a)は本実施例のスクリーニング方法の評価モデルを説明する図であり、(b)は本実施例のスクリーニング方法の評価方法を説明する図である。 (a)は化合物の濃度依存性確認試験の概要を表す図であり、(b)はpepWT及びモックペプチドのHLA−Gへの結合性及び配列を表す図である。 (a)は化合物の濃度依存性確認試験の概要を表す図であり、(b)はpepWT及びモックペプチドのDSFの結果を表す図であり、(c)は変性温度(T)及び極大蛍光強度(FImax)を表す図である。 (a)は化合物の濃度依存性確認試験の概要を表す図であり、(b)はpepWT及びモックペプチドのDSFの結果を表す図であり、(c)は変性温度(T)及び極大蛍光強度(FImax)を表す図である。 26のヒット化合物の構造を示す図である。 HLA−B57:01タンパク質の精製について示した図であり、(a)はゲル濾過クロマトグラフィーの結果、(b)はSDS−PAGEにて分析した結果を示す図である。 (a)はアバカビルのHLA−B57:01への結合確認試験の結果を表す図であり、(b)は(a)のグラフの曲線を微分してピークを求めた結果を表す図であり、(c)はTを表す図である。
まず、本実施形態のヒト白血球型抗原(HLA)タンパク質に相互作用する物質のスクリーニング方法について詳細に説明する。
本実施形態のHLAタンパク質に相互作用する物質のスクリーニング方法は、
(a)結合物質が結合したHLAタンパク質を調製する工程と、
(b)pHを弱酸性に調節する前又は後に被検物質を添加する工程と、
(c)弱酸性下において静置する工程と、
(d)pHを中性に調節した後、1〜48時間静置する工程と、
(e)前記HLAタンパク質と前記被検物質との結合の度合いを測定し、前記HLAタンパク質に前記被検物質が結合していると判断される場合、前記被検物質が前記HLAタンパク質に相互作用すると判定する工程と、
を含む。
本実施形態のスクリーニング方法は、HLAタンパク質に相互作用する物質をスクリーニングするための方法である。ここでいう「物質」とは、HLAタンパク質に相互作用するあらゆる物質が含まれ、より具体的には、化合物(低分子化合物を含む)、核酸、ペプチド、抗体等及びこれらを含む医薬組成物;サプリメント;化粧品等が例示される。HLAのペプチド収容溝に特定の物質(例えば、化合物(低分子薬など))が特異的に結合することで、本来提示されるものとは異なる長さや配列のペプチド抗原が提示され、そのために異常な免疫応答が誘導され、過敏症などの副作用を引き起こすことが知られている。このような物質とHLAとの相互作用を評価できる方法は、今まで報告がなされていなかった。本実施形態のスクリーニング方法によって、HLAと相互作用する物質を迅速かつ簡便にスクリーニングすることができ、該物質による副作用リスクの予測及び回避等に貢献することができる。
HLA−Gを例にとって、本実施形態のスクリーニング方法を説明する。図2に示すように、HLA−Gの細胞外ドメインを弱酸性下環境にさらすことによりHLA−Gの構造を不安定化させて、結合物質(ペプチド)を解離させる(図2において「ペプチドフリーHLA−G」)。そこへ、新たな抗原の代わりに被検物質(後述、図2において「drug」)を過剰量加え、かつ中性環境に戻すことで巻き戻りを起こす。HLA−Gのペプチド収容溝に薬物が保持した安定的な構造体を形成した場合(図2において「Hit」)、該被検物質は「HLA−Gと相互作用する物質」又は「HLA−Gと相互作用し得る物質」と判定することができる。
本明細書において、「ヒト白血球型抗原(HLA)タンパク質」には、HLA−G、HLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−DP、HLA−DQ、HLA−DR、HLA−E等、あらゆるタイプが含まれ、HLAクラスIIの全般もまた含まれ得る。また、本明細書において「HLA」には、フルサイズのHLAに加えて、相互作用する物質が結合する部位(例えば、ペプチド収容溝)が残存し、その結合能を維持している状態(例えば、ペプチド収容溝を残存させてサイズダウンした状態)のHLAも包含される。
本明細書において、「結合物質」には、HLAタンパク質に結合し得るあらゆる物質が含まれ、より具体的には、HLAのペプチド収容溝に保持されて提示され得るペプチド、化合物等をいう。HLA−Gの場合、図3に示されるペプチドが例示される。「結合物質」として、各種HLAのペプチド収容溝に保持されて提示され得るペプチド、化合物等であれば、特に制限なく用いることができる。なお、後述するカイコを用いた方法によって“結合物質が結合したHLAタンパク質”を調製する場合、「結合物質」はカイコの体内物質由来のものであってもよい。
本明細書において、「被検物質」には、HLAタンパク質に相互作用し得るあらゆる物質が含まれ、より具体的には、化合物(低分子化合物を含む)、核酸、ペプチド、抗体等及びこれらを含む医薬組成物;サプリメント;化粧品等が例示される。
工程(a)において、結合物質が結合したHLAタンパク質を調製する方法は、例えば、HLAタンパク質を宿主細胞に発現させる方法であってもよく、図4(a)に示すように、例えば、HLA重鎖を封入体として大量発現させ、その後、希釈法による巻き戻しを行う方法が挙げられる。
HLAタンパク質の重鎖を大量発現させる方法としては、例えば、下記が挙げられる。
大腸菌を宿主細胞とする場合には、ベクターとしては、複製起点(ori)を有し、さらに形質転換された宿主を選択するための遺伝子(例えば、アンピシリン、テトラサイクリン、カナマイシン又はクロラムフェニコールなどの薬剤に対する薬剤耐性遺伝子など)を有していることが好ましい。また、発現ベクターの場合には、宿主においてHLAタンパク質を効率よく発現させることができるようなプロモーター、例えば、lacZプロモーターまたはT7プロモーターなどを持っていることが好ましい。このようなベクターの例としては、M13系ベクター、pUC系ベクター、pBR322、pBluescript、pCR−Script、pGEX−5X−1(ファルマシア)、QIAexpress system(キアゲン)、pEGFP、またはpET(この場合、宿主はT7 RNAポリメラーゼを発現しているBL21を使用することが好ましい)などが挙げられる。また、ベクターには、HLAタンパク質の収量をあげるためのシグナル配列などを付加することもできる。
宿主細胞へのベクターの導入は、例えば塩化カルシウム法、エレクトロポレーション法を用いて行うことができる。また、可溶性を向上させるためのタグ、例えばグルタチオン−S−トランスフェラーゼやチオレドキシン、マルトース結合タンパク質をコードする配列が付加されていてもよい。また、精製を容易にすることを目的にした設計されたタグ、例えばポリヒスチジンタグ、Mycエピトープ、ヘマグルチニン(HA)エピトープ、T7エピトープ、XpressタグやFLAGペプチドタグ、その他の既知のタグ配列をコードする配列が付加されていてもよい。
大腸菌以外にも、哺乳動物由来の発現ベクター(例えば、pcDNA3(インビトロゲン社製)や、pEGF−BOS(Nucleic Acids.Res.1990,18(17),p5322)、pEF、pCDM8)、昆虫細胞由来の発現ベクター(例えばBac−to−BAC baculovairus expression system(ギブコBRL社製)、pBacPAK8)、植物由来の発現ベクター(例えばpMH1、pMH2)、動物ウィルス由来の発現ベクター(例えば、pHSV、pMV、pAdexLcw)、レトロウィルス由来の発現ベクター(例えば、pZIPneo)、酵母由来の発現ベクター(例えば、Pichia Expression Kit(インビトロゲン社製)、pNV11、SP−Q01)、枯草菌由来の発現ベクター(例えば、pPL608、pKTH50)が挙げられる。
CHO細胞、COS細胞、NIH3T3細胞等の動物細胞での発現を目的とした場合には、細胞内で発現させるために必要なプロモーター、例えばSV40プロモーター(Mulligan et al.Nature(1979)277,108)、MMLV−LTRプロモーター、EF1αプロモーター(Mizushima et al.Nucleic Acids Res.(1990)18,5322)、CMVプロモーターなどを持っていることが不可欠であり、細胞への形質転換を選抜するための遺伝子(例えば、薬剤(ネオマイシン、G418など)により判別できるような薬剤耐性遺伝子)を有すればさらに好ましい。このような特性を有するベクターとしては、例えば、pMAM、pDR2、pBK−RSV、pBK−CMV、pOPRSV、pOP13などが挙げられる。
ベクターが導入される宿主細胞としては特に制限はなく、原核生物および真核生物のいずれでもよい。例えば、大腸菌や種々の動物細胞などを用いることが可能である。
真核細胞を使用する場合、例えば、動物細胞、植物細胞、真菌細胞を宿主に用いることができる。動物細胞としては、哺乳類細胞、例えば、CHO細胞、COS細胞、3T3細胞、HeLa細胞、Vero細胞、あるいは昆虫細胞、例えば、カイコ、Sf9、Sf21、Tn5などを用いることができる。動物細胞において、大量発現を目的とする場合には特にCHO細胞が好ましい。宿主細胞へのベクターの導入は、例えば、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、カチオニックリボソームDOTAP(ベーリンガーマンハイム社製)を用いた方法、エレクトロポレーション法、リポフェクションなどの方法で行うことが可能である。植物細胞としては、例えば、ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)由来の細胞がタンパク質生産系として知られており、これをカルス培養すればよい。真菌細胞としては、酵母、例えば、サッカロミセス(Saccharomyces)属、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、糸状菌、例えば、アスペルギルス(Aspergillus)属、例えば、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)が知られている。原核細胞を使用する場合は、大腸菌(E.coli)、例えば、JM109、DH5α、HB101等が挙げられ、その他、枯草菌が知られている。
なお、HLAタンパク質として、市販されているものを用いてもよく、オーダーメイドによって作製された「結合物質が結合したHLAタンパク質」を用いてもよい。
希釈法による巻き戻しを行う方法としては、例えば、HLA−Gの場合、一例として以下が挙げられる。HLA−Gは、重鎖、hβ2m及びペプチドからなるヘテロ3量体であるため、これらタンパク質を巻き戻すために、巻き戻りが起こりやすいhβ2m、ペプチド、重鎖の順で順次巻き戻しを行う。まず単独で安定に巻き戻るhβ2mを巻き戻しバッファー(例えば、0.1 M Tris−HCl pH8.0、1M L−arginine、2mM EDTA、3.73mM cystamine、6.73mM cysteamine)を用いて、所定の希釈系列で希釈を行った後、4℃で巻き戻しを行う。24時間後、同巻き戻しバッファーに100%DMSOで溶解した結合物質(HLA−Gのペプチド収容溝に安定的に収容されるペプチド、化合物等)を加え、続いて、可溶化したHLA−Gの封入体にDTTを加え、室温で1時間インキュベートしたタンパク質溶液に対し、同巻き戻しバッファーを1滴ずつ、guanidine濃度が1.5Mになるまで加える。希釈後の溶液を巻き戻しバッファーに1滴ずつ加え、タンパク質の終濃度が1−2μMとなるように希釈した後、4℃で72時間攪拌する。巻き戻し後のタンパク質溶液はVIVAFlow system(MWCO:10,000、Sartorius社)、Amicon Ultra(MWCO:10,000Da、Millipore社)で限外ろ過濃縮を行う。
なお、カイコを用いた方法によって、上記の巻き戻しの工程を経ずに、安定的に“結合物質が結合したHLAタンパク質”を調製できることが期待される(Sasaki K.et al.Biochem Biophys Res Commun.387,575−580(2009)を参照)。
工程(a)における結合物質が結合したHLAタンパク質を調製する方法としては、例えば、一本鎖HLAの大腸菌発現用のコンストラクトを用いる方法も採用し得る。例えば、HLA−Gの場合、図4(b)に示すように、hβ2mのC末端と重鎖N末端をペプチドリンカー(例えば、(GGGGS)、(リンカーについては、Favier,B.et al.PLoS One 6,6−13,(2011).;Vest Hansen,N.et al.Eur J Immunol.31,32−38,(2001).;Tafuro S.et al.Eur J Immunol.31,440−449,(2001).;Crew,MD.et al.Mol.Immunol.42,1205−1214,(2005).等を参照して配列及び長さを適宜設計し得る))で繋いだ一本鎖HLA−G(single chain HLA−G;scHLA−G)の大腸菌発現用のコンストラクトを用いて、ペプチドが結合したHLA−Gを調製することができる。このような一本鎖HLAの大腸菌発現用のコンストラクトを用いて結合物質が結合したHLAタンパク質を調製することで、従来と比較して調製が容易で、かつ調製コストの削減に繋がることが期待される。
工程(b)において、工程(a)で得られた“結合物質が結合したHLAタンパク質”に、被検物質が添加される。HLAタンパク質に対して過剰量の被検物質が加えられ、その量比は、例えば、HLAタンパク質:被検物質=1:1〜1:10、好ましくはHLAタンパク質:被検物質=1:1〜1:6である。工程(b)の具体的な方法としては、各被検物質が分注された各ウェルに、工程(a)で調製したタンパク質を分注する方法が例示される。
工程(b)における被検物質の添加は、pHを弱酸性に調節する前又は後に行われる。つまり、工程(a)で得られた“結合物質が結合したHLAタンパク質”に被検物質を添加した後にpHを弱酸性に調節してもよく、pHを弱酸性に調節した後に工程(a)で得られた“結合物質が結合したHLAタンパク質”に被検物質を添加してもよい。弱酸性のpHは、例えば、4.0以上7.0未満であり、例えば、HLA−Gタンパク質の場合、好ましくはpH5.0である。pHを弱酸性に調節することで、HLAタンパク質の構造を不安定化させて、HLAタンパク質から結合物質を解離させることができる。例えば、HLA−Gの場合、pHを弱酸性に調節することで、ペプチド収容溝の領域にのみ存在するαヘリックス構造が消失し、結合物質が解離される。pHは、例えば、1M Sodium Acetateを添加することで弱酸性に調節される。弱酸性に調節することのできる物質であれば、特に制限されずに採用され得る。調節後のpH値は、HLAの種類、HLAタンパク質の調製方法に依存して変動し、例えば、4.0以上7.0未満であり、例えば、HLA−Gタンパク質の場合、好ましくはpH5.0である。
工程(c)は、弱酸性下で静置する工程である。
工程(c)において、pHを弱酸性下で、一定時間静置することで、HLAタンパク質に結合した結合物質と、被検物質と、が交換される。つまり、HLAタンパク質に相互作用する被検物質については、結合物質と交換されて、HLAタンパク質に結合する。静置時間については、HLAの種類、HLAタンパク質の調製方法に依存するが、数秒〜数時間、例えば3秒間〜5時間であり、例えば、HLA−Gタンパク質の場合、好ましくは1〜3時間である。静置する際の温度は特に制限はなく、例えば室温である。弱酸性のpHは、前述同様である。
工程(d)は、pHを中性に調節した後、1〜48時間静置する工程である。
工程(d)において、pHを中性に調節した後、1〜48時間静置することで、HLAタンパク質と相互作用する被検物質の場合、HLAタンパク質のペプチド収容溝に被検物質が保持された状態で安定化される。pHは、例えば、1M HEPES−NaOH pH7.4、5M NaCl及び超純水を加えて混合することで中性に調節される。中性に調節することのできる物質であれば、特に制限されずに採用され得る。調節後のpH値は、HLAの種類、HLAタンパク質の調製方法に依存するが、例えば、7.0以上8.5未満であり、例えば、HLA−Gタンパク質の場合、好ましくはpH7.4である。静置時間についても、1〜48時間の範囲内で、HLAの種類、HLAタンパク質の調製方法に依存し、例えば、HLA−Gタンパク質の場合、10〜24時間である。静置する際の温度は特に制限はなく、例えば室温である。
工程(e)は、HLAタンパク質と被検物質との結合の度合いを測定し、HLAタンパク質に被検物質が結合していると判断される場合、被検物質がHLAタンパク質に相互作用すると判定する工程である。
工程(e)において、「HLAタンパク質と被検物質との結合の度合いを測定」する方法として、例えば、以下の通り、沈殿法、示差走査蛍光測定(DSF)、示差走査熱量測定(DSC)等が例示される。例えば、沈殿法、DSF及びDSCからなる群より少なくとも1つ選択される方法によってHLAタンパク質と被検物質との結合の度合いを測定してもよい。なお、HLAタンパク質と被検物質との結合の度合いを測定できる方法であれば、特に制限されることなく採用され得る。例えば、上記の沈殿法と組み合わせて、沈殿画分と分離した後の上清画分とに残存しているタンパク質量を定量することによりHLAタンパク質と被検物質との結合の度合いを評価することができ、タンパク質量の定量には、例えばタンパク質濃度測定法(例えば、UVスペクトル法、比色定量法など)を用いることができる。
沈殿法では、工程(d)後の溶液を遠心分離し、沈殿が生じていない場合はHLAタンパク質に被検物質が結合している、と判断できる。逆に、沈殿が生じている場合はHLAタンパク質におおむね被検物質は結合していないが、中には結合しているものもある、と判断できる。沈殿法は、精度こそ高くはないが、一次スクリーニングとして簡便に用いることができる。
示差走査蛍光測定(DSF)では、タンパク質と蛍光色素とを含む試料の温度を経時的に変化させると、熱変性によってタンパク質内部の疎水性部位が露出し、ここに蛍光色素が相互作用することによる蛍光強度の増大が観察できる。DSFの利点として、少量の試料で測定が可能であること、短時間で多検体の測定が可能であることが挙げられ、これら利点からハイスループットな化合物スクリーニング手法として近年注目されている。DSFの方法としては、例えば、工程(d)後の溶液を遠心分離して凝集体を除去し、上清にSYPRO Orangeを添加し、CFX96 Touch qPCR System(Bio−Rad)、蛍光フィルター HEX(Em:515−535nm、Ex:560−580nm)を用いて、0.5℃/15sec(2℃/min)で15℃から85℃に温度変化させることで、変性温度T(温度を経時的に変化させると観察される蛍光強度の増大の変化の中点)及び相対蛍光強度の最大値FImaxを検証する方法が挙げられる。この場合、ネガティブコントロールに比して、変性温度T及び相対蛍光強度の最大値FImaxの少なくとも一方に変化がみられる場合、「HLAタンパク質に被検物質が結合する」又は「HLAタンパク質に被検物質が結合する可能性がある」と判断することができ、一方、測定開始時から高い蛍光強度を示す場合及びTにもFImaxにも変化がみられない場合、「HLAタンパク質に被検物質が結合していない」と判断することができる。図16を例に挙げて説明すると、HLAタンパク質及び被検物質を添加せずにDSFを行ったネガティブコントロール(図16において「NC」)と比較して、T又はFImaxに変化がみられる場合(図16において「化合物A」及び「化合物B」)に、「HLAタンパク質に被検物質が結合する」又は「HLAタンパク質に被検物質が結合する可能性がある」と判断することができる。一方で、測定開始時から高い蛍光強度を示す場合(図16において「化合物C」)及びネガティブコントロールと比較してTにもFImaxにも変化がみられない場合(図16において「化合物D」)、「HLAタンパク質に被検物質が結合していない」と判断することができる。また、さらに精度高くHLAタンパク質への被検物質の結合を評価するために、被検物質の濃度を数段階変化させてDSFを行い、T及びFImaxの少なくとも一方に被検物質濃度依存的な変化がみられる場合に、「HLAタンパク質に被検物質が結合する」又は「HLAタンパク質に被検物質が結合する可能性がある」と判断してもよい。
示差走査熱量測定(DSC)では、DSFと同様にHLAタンパク質への被検物質の結合の有無を判断することができ、DSFよりも精度高く結合性を判定することができる。DSCでは、T及び熱容量曲線の形状によって被検物質の結合の有無を判断することができる。
上記の通り工程(e)において、HLAタンパク質と被検物質との結合の度合いを測定し、HLAタンパク質に被検物質が結合すると判断される場合、被検物質がHLAタンパク質に相互作用していると判定することができる。本明細書において「被検物質がHLAタンパク質に相互作用している」とは、被検物質がHLAタンパク質に特異的に結合することを指し、例えば、被検物質がHLAタンパク質のペプチド収容溝に特異的に結合することで、本来提示される抗原とは異なるものが提示されることをいう。
工程(e)において、被検物質の濃度依存的にHLAタンパク質と被検物質との結合の度合いが高くなる場合、被検物質がHLAタンパク質に相互作用すると判定してもよい。より具体的には、工程(b)においてHLAタンパク質に対して、例えば3段階の希釈系例(例えば1、3、6等量)となるよう被検物質を添加し、例えばDSF測定によってHLAタンパク質と被検物質との結合の度合いを測定し、被検物質の濃度依存的にHLAタンパク質と被検物質との結合の度合いが高くなる場合、被検物質がHLAタンパク質に相互作用すると判定することができる。被検物質の濃度依存性を検証することで、より高い精度で、HLAタンパク質への被検物質の結合の有無を判定することができる。
なお、工程(e)において、HLAタンパク質と被検物質との結合の度合いを測定し、HLAタンパク質に被検物質が結合すると判断される場合、被検物質による副作用のリスクが高いと判定されてもよい。被検物質がHLAタンパク質に特異的に結合することで、本来提示される抗原とは異なるものが提示され、そのために異常な免疫反応が誘導され、過敏症などを引き起こし得る。本明細書において「被検物質による副作用のリスクが高い」とは、被検物質がHLAタンパク質に特異的に結合することで、異常な免疫反応が誘導され、過敏症などの副作用を引き起こす可能性があることをいう。
次に、本実施形態のスクリーニング用キットについて説明する。
本実施形態のスクリーニング用キットは、HLAタンパク質に相互作用する物質のスクリーニングのために用いることができ、“結合物質が結合したHLAタンパク質”を含む。“結合物質が結合したHLAタンパク質”については、前述同様である。なお、スクリーニング用キットには、溶液の状態で“結合物質が結合したHLAタンパク質”が含まれていてもよく、凍結乾燥された状態の“結合物質が結合したHLAタンパク質”が含まれていてもよい。
以上説明したように、本実施形態のスクリーニング方法及びスクリーニング用キットによって、HLAと相互作用する物質を迅速かつ簡便にスクリーニングすることができ、例えば薬物による副作用リスクの予測及び回避に貢献することができる。それによって、特定の型のHLAを持つ人に対する低分子医薬品の処方への判断材料を提供することが可能になる。また、組織移植手術時に併用される薬剤や金属器具類等由来のアレルギー反応が起こらないかをチェックし、手術環境を改善することができる。また、化粧品や塗布薬などの開発において、HLAに結合、すなわちアレルギー反応を誘発する可能性がある化合物を除外すること等への応用が可能となる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
HLA−G分子と相互作用する薬物を見出すことを目的とし、HLA−Gと薬物との相互作用を評価するためのスクリーニング系を構築した。
各種評価を行うために必要なHLA−Gタンパクの調製を行った。以下の通り、大腸菌発現系を用いてHLA−G重鎖を封入体として発現させ、β2m及びペプチドとともに希釈法による巻き戻しを行った(図4(a))。
HLA−G組換えタンパク質は、以下の手法を用いて大腸菌内に封入体として発現させ、可溶化バッファー(50mM Tris−HCl pH8.0、6M guanidine−HCl)に完全に可溶化させた。
(大腸菌発現用プラスミド)
HLA−G1はN末端からシグナルペプチド、細胞外ドメイン、膜貫通領域、細胞内ドメインで構成されている。大腸菌体内に封入体として発現させるため、シグナルペプチド及び膜貫通領域以下を除去し、N末端にメチオニン残基を付加した各HLA−G1の細胞外ドメイン部分(Gly25−Gln300)(HLA−G)(遺伝子配列:配列番号1(始めの3塩基の開始コドン及び終わりの3塩基の終止コドンを含む)、アミノ酸配列:配列番号2)がpGMT7ベクターのNdeI/BamHIサイト間に組み込まれたプラスミド(図5(a))を使用した。
(プラスミドの調製)
プラスミド0.5μLを大腸菌DH5αコンピテントセル100μLに加え、氷上に約20分静置した後、42℃で45秒間インキュベートして形質転換した。形質転換後の大腸菌を、100μg/mLのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布し37℃で一晩培養した。得られたシングルコロニーを、終濃度100μg/mLになるようにアンピシリンを加えた2×YT培地5mLに植菌し、37℃、150rpmの条件で一晩振盪培養した。培養液1.4mLを13,200rpm、1分間の条件で遠心分離し、上清を除去した。得られた大腸菌のペレットからアルカリ−SDS法とPCI抽出、アルコール沈殿を用いてプラスミドDNAを精製した。
(大腸菌発現系を用いた封入体の調製)
HLA−G組み換えタンパク質は、大腸菌体内に封入体として発現させた。タンパク質の大腸菌発現用のプラスミドで、大腸菌BL21(DE3)pLysS株(Novagen)を形質転換し、100μg/mLアンピシリン含有Luria−Bertani(LB)寒天培地に播種後、37℃で一晩培養した。得られたコロニーを50μg/mLアンピシリン、20μg/mLクロラムフェニコール含有2×YT培地(10mL)に植菌し、37℃で2〜4時間振盪培養した(前培養)。次に、前培養した10mLの菌液を50μg/mLアンピシリン、20μg/mLクロラムフェニコール含有2×YT培地(1L)へと植菌し、37℃で振盪培養した。対数増殖前期であるOD600=0.4〜0.6に達したら、IPTGを終濃度1mMとなるように加えて組換えタンパク質の発現を誘導し、その後37℃で4時間振盪培養した。培養後の菌液を遠心分離(5,000rpm、4℃、10分間)して大腸菌を回収した。菌体を懸濁バッファー(50mM Tris−HCl pH8.0、150mM NaCl)で懸濁して、氷上で超音波破砕を行った。破砕液を遠心分離し(8,000rpm、4℃、5分間)、得られた沈殿を洗浄バッファー(50mM Tris−HCl pH8.0、150mM NaCl、0.5% Triton X−100)で懸濁することによって洗浄し、懸濁液を遠心分離(8,000rpm、4℃、5分間)する洗浄作業を3回繰り返した。洗浄後、得られた沈殿から界面活性剤であるTriton X−100を除去するために、懸濁バッファーを用いて沈殿を懸濁後、懸濁液を遠心分離(8,000rpm、4℃、5分間)する洗浄操作を3回繰り返し、封入体を得た。得られた封入体に可溶化バッファー(50mM Tris−HCl pH8.0、6M guanidine−HCl、10mM EDTA)を加えて一晩4℃で振盪し、完全に可溶化した。封入体を可溶化させた後、各封入体溶液の吸光度を1μL分光光度計(ND−1000 Spectrophotometer、NanoDrop Technologies社)を用いて測定した。
(巻き戻し法による各タンパク質の調製)
HLA−G組換えタンパク質の調製は、以下の手法にて行った。陰イオン交換クロマトグラフィーによる2段階目の精製時、バッファーとしてA bufferに20mM Tris−HCl pH8.0、B bufferに20mM Tris−HCl pH8.0、1M NaCl又はA bufferに10mM HEPES−NaOH pH7.4、B bufferに10mM HEPES−NaOH pH7.4、1M NaClを用いて行った。
HLA−G組換えタンパク質は、封入体から希釈法による巻き戻しを行うことで調製した。HLA−Gは重鎖、hβ2m及びペプチドからなるヘテロ3量体である。これらタンパク質を巻き戻すために、巻き戻りが起こりやすいhβ2m、ペプチド、重鎖の順で順次巻き戻しを行った。まず単独で安定に巻き戻るhβ2mを巻き戻しバッファー(0.1 M Tris−HCl pH8.0、1M L−arginine、2mM EDTA、3.73mM cystamine、6.73mM cysteamine)を用いて、タンパク質の終濃度が1〜2μMとなるように希釈を行った後、4℃で巻き戻しを行った。24時間後、同巻き戻しバッファーに100%DMSOで溶解したペプチド(pepWT(Eurofins Genomics社より購入)、配列番号3)を終濃度0.01mg/mLになるように加えた。続いて、可溶化したHLA−Gの封入体にDTTを終濃度10mMとなるように加え、室温で1時間インキュベートしたタンパク質溶液に対し、同巻き戻しバッファーを1滴ずつ、guanidine濃度が1.5Mになるまで加えた。希釈後の溶液を巻き戻しバッファーに1滴ずつ加え、タンパク質の終濃度が1〜2μMとなるように希釈した後、4℃で72時間攪拌した。巻き戻し後のタンパク質溶液はVIVAFlow system(MWCO:10,000、Sartorius社)、Amicon Ultra(MWCO:10,000Da、Millipore社)で限外ろ過濃縮を行った。
濃縮したタンパク質溶液はAKTA purifierシステム(GE社)を用いた2段階の液体クロマトグラフィーにて精製した。初めに、SuperdexTM 75 10/300 GLカラム(GE社)を用いてサイズ排除クロマトグラフィーを行った。この時、バッファーは20mM Tris−HCl pH8.0、100mM NaClを用いた。溶出画分の一部を使用し粗精製したHLA−GをAmicon Ultra(MWCO:10,000Da、Millipore社)で、限外ろ過法により脱塩処理及び濃縮操作を行い、20mM Tris−HCl pH8.0にバッファー置換した濃縮タンパク質溶液を得た。この溶液をRESOURCE Q 1mLカラム(GE社)を用いて陰イオン交換クロマトグラフィーを行った。この時、A bufferには20mM Tris−HCl pH8.0、B bufferには20mM Tris−HCl pH8.0、1M NaClを用いて、B bufferが0%〜50%/40mLの濃度となるようにグラジエントをかけて溶出を行った。精製後のタンパク質溶液の吸光度を1μL分光光度計(ND−1,000 Spectrophotometer、NanoDrop Technologies社)を用いて測定した。また、吸光度(Abs)の測定値から紫外吸収法を用いて各タンパク質溶液の濃度を算出した。濃度算出時に用いたタンパク質の分子量は43807Da、モル吸光係数は89150L/mol・cmの値を用いた。
上記の通り、ゲル濾過クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィーによる2段階の精製を行った。クロマトグラム(図5(b))中に矢印で示したピークの画分をSDS−PAGEにて分析した結果、純度高くHLA−Gタンパク質が精製できていることを確認した(図5(c))。
(遠紫外円偏光二色性(CD)スペクトル測定による構造解析)
続いて、HLA−Gが酸性条件下で構造変化を起こすか、それに伴いペプチドが解離するかを検討すべく、pH8.0、6.0、5.5及び5.0条件下でのHLA−GのCDスペクトル測定による構造解析を行った。
精製したHLA−Gタンパク質溶液をAmicon Ultra(MWCO:10,000 Da、Millipore社)を用いて、濃度が約0.1mg/mLになるまで限外ろ過濃縮を行うと同時に、以下の表(CDスペクトル測定に用いた各バッファーの組成)に示す各バッファーに交換した。
バッファー交換後の溶液を室温で一晩インキュベートした後、溶液200μLを光路長1mmの石英製角形キュベット(日本分光株式会社)に移し、円二色分散計(J−820、日本分光株式会社)を用いて測定を行った。測定は以下の表(CDスペクトル測定条件)の条件で行い、測定で得られた楕円率θは、[θ]=θ・100/(l・c・A)(l:セル長(m)、c:残基モル濃度(M)、A:吸光度(nm))の式により、平均モル残基楕円率[θ](deg・cm/dmol)に換算して解析に用いた。
その結果、pH5.0条件下のHLA−Gでは、αヘリックス構造の消失を示唆するスペクトルが得られた(図6(a)、(b))。HLA−Gの立体構造より、らせん状のαヘリックス構造は、ペプチド収容溝の領域にのみ存在することがわかる(図6(c))。このαへリックスは、抗原ペプチドと相互作用している。pH5.0条件下でαへリックスの消失が示唆されたことから(図6(a)、(b))、pH5.0条件下で、HLA−Gは抗原ペプチドを解離していることが示された。
次に、pH5.0条件下で抗原解離状態となったHLA−Gに、本来提示していたものとは異なる抗原(図7(a)において「抗原B」)を新たに添加することで、抗原がHLA−Gに結合するか否かについて検討すべく(図7(a))、抗原解離HLA−Gと抗原の相互作用解析をゲル濾過クロマトグラフィー(サイズ排除クロマトグラフィー)にて行った。抗原には、蛍光標識ペプチドR5K−FITC(配列番号4)を用いた(図7(b))。このペプチドはWTのペプチドの5番目のアルギニン残基を、側鎖アミノ基に蛍光化合物FITCが付加されたリシン残基に置き換えたペプチドである。以前より、このペプチドがHLA−Gに結合すること、このペプチドを持つHLA−Gのゲル濾過クロマトグラフィーを行うと、HLA−Gタンパク質由来の280nmの吸収と同位置にFITC由来の494nmの吸収が確認できることが明らかとなっている(図7(c))。このペプチドが抗原解離HLA−Gに結合するか否かについて、ゲル濾過クロマトグラフィーにて検討した。
本実験には計5つの測定系を用意した(図8)。実験のコントロールとして、HLA−Gを酸性条件下に曝した後、蛍光標識ペプチド(図8において「pepR5K−FITC」、以下同)を加えずに中性条件に戻した系(I)、蛍光標識ペプチドのみを測定した系(II)、中性条件のHLA−Gに蛍光標識ペプチドを加えた系(III)を用意した。これらに対し、抗原解離HLA−Gと蛍光標識ペプチドの結合を評価する系として、HLA−Gを酸性条件下に曝し、中性条件へ戻すとともに蛍光標識ペプチドを加えた系(IV)及びHLA−Gを酸性条件下に曝すと同時に蛍光標識ペプチドを加え、中性条件へ戻した系(V)を用意した。以上の計5つの測定系について評価を行った。なお、酸性条件下に曝したHLA−Gからは凝集体と思われる沈殿が確認できたため、これを遠心分離にて除いた後、測定を行った。
実験方法について説明する。上記の通り調製したHLA−Gタンパク質溶液(ペプチド:pepWT、バッファー:Trisバッファー、タンパク質濃度:5.6mg/mL)1.56μL(0.2nmol)に対し酢酸塩バッファーを46.8μL加えた(a)。この溶液を室温で2時間インキュベートした後、Trisバッファーを62.4μL加え(b)、室温で一晩インキュベートした(図8において(I))。これと同時に(a)のタイミング(図8において(IV))又は(b)のタイミング(図8において(III))で蛍光ペプチドpepR5K−FITC/100%DMSO溶液(10mg/mL)を0.9μL(6nmol)加える系、及びこれら系のコントロールとして、HLA−Gタンパク質溶液1.56μLにペプチドpepR5K−FITC/100%DMSO溶液(10mg/mL)を0.9μL、Trisバッファーを110.8μL加える系(図8において(II))、Trisバッファー110.8μLにペプチドpepR5K−FITC/100%DMSO溶液(10mg/mL)を0.9μL加える系(図8において(V))も併せて調製した。一晩後、各溶液を遠心分離(13,200rpm、4℃、25分間)し、遠心上清全量を用いてサイズ排除クロマトグラフィーを行った。サイズ排除クロマトグラフィーにはAKTAexplorerシステム(GE社)及びSuperdexTM 200 10/300 GLカラム(GE社)、バッファーには20mM Tris−HCl pH8.0、150mM NaClを用いた。
結果を図9に示す。(III)、(IV)、(V)の系において、HLA−G単量体由来のUV吸収(λ=280nm)と同じ溶出位置にFITC由来の吸収(λ=494nm)を確認できた(図9(a))。各シグナルの面積(Area(mAU×mL))を求め、494nmの吸収由来のシグナルと280nmの吸収由来のシグナル面積比を算出したところ、(III)、(IV)、(V)の値はそれぞれ、0.16、0.26、0.62と算出された(図9(c))。(V)の系の値は、図7(c)で示した、蛍光標識ペプチドを持つHLA−Gのシグナル面積比0.65と非常に近い値をとることが確認できた。一方で、(I)の系ではHLA−G単量体由来のUV吸収が確認できたが、同位置にFITC由来の吸収は確認できなかった。また、(V)の系では、HLA−G単量体由来のUV吸収とFITC由来の吸収が確認できなかった。以上の結果より、(V)の系では、抗原解離状態のHLA−Gに抗原を加え、かつ中性条件に戻すことで、抗原がHLA−Gに結合することが確認できた。
続いて、抗原が再度結合したHLA−Gと抗原解離状態のHLA−Gとの間で安定性に差が生じているか否かについて検討を行った(図10(a))。この検討には示差走査蛍光測定(DSF)を用いた。この測定では、タンパク質と蛍光色素とを含む試料の温度を経時的に変化させると、熱変性によってタンパク質内部の疎水性部位が露出し、ここに蛍光色素が相互作用することによる蛍光強度の増大が観察できる。この変化の中点を変性温度Tとし、簡易的にタンパク質の熱安定性を評価できる(図10(b))。DSFの利点として、少量の試料で測定が可能であること、短時間で多検体の測定が可能であることが挙げられ、これら利点からハイスループットな化合物スクリーニング手法として近年注目されている。この手法を用いて抗原結合の有無によるHLA−Gの安定性の差について検討した。
実験手法として、HLA−Gを酸性条件に曝す際にWTのペプチドを加える系(図11(a)において、「ペプチドあり;+」)及びコントロールとしてDMSOを加える系(図11(a)において、「ペプチドなし;−」)を用意し、これらのDSFを行った。
HLA−Gタンパク質溶液(ペプチド:pepWT、バッファー:10mM HEPES−NaOH pH7.4、150mM NaCl、タンパク質濃度:7.2μM)18μLに1M Sodium Acetate pH5.0バッファーを3.6μL加えた直後に、ペプチドpepWT/100%DMSO溶液(8.7mM)を0.2μL(12 nmol)加える系(+)及び100%DMSO溶液を0.2μL加える系(−)を作製した。これら溶液をよく混合した後、室温で2時間静置した。2時間後、混合溶液に1M HEPES−NaOH pH7.4バッファー19.8μL、5M NaCl 1.2μL、超純水2.2μLを加え、室温で一晩静置した。翌日、混合溶液を遠心分離(3,000g、室温、30分間)した。遠心上清35μLに、超純水で25倍希釈した5000×SYPRO Orange(Thermo Fisher Scientific社)を3.9μL加え(終濃度20×SYPRO Orange)、この溶液を用いてDSF測定を行った。DSF測定にはCFX96 Touch qPCR System(Bio−Rad社)を用い、蛍光強度をフィルター HEX(励起515−535nm、検出560−580nm)にて検出した。測定は15℃〜85℃の範囲で、0.5℃/15sec(2℃/min)で行った。
その結果、「ペプチドなし;−」と比較し、「ペプチドあり;+」ではTに変化が生じていることが確認できた(図11(b)、(c))。また、相対蛍光強度の最大値(以下、FImax)の値が増加という予想外の差も見出すことができた(図11(b)、(c))。
FImaxに差が生じた原因として、「ペプチドあり;+」と「ペプチドなし;−」では溶液中のタンパク質濃度に差が生じていたことが考えられた。ペプチド解離状態のHLA−Gは部分的に不安定化し、一部凝集が進行する。「ペプチドあり;+」の系ではペプチドが加わることでHLA−Gが安定化するが、「ペプチドなし;−」の系では安定化は起こらず(図12(a))、その結果、DSF測定時の溶液濃度に差が生じたと考えられる。この仮説を検証すべく、HLA−Gタンパク質溶液の3段階の希釈系列(0.91μM、1.4μM、2.7μM)を作製し、前述同様にこれらのDSFを行ったところ、タンパク質濃度の増加に伴いFImaxの増加が確認できた(図12(b))。以上より、本評価系では、FImaxにも差が見られることが確認できた。
以上より、中性条件下で安定して存在するHLA−GをpH5.0条件下に曝すことで、HLA−G分子から抗原が解離し、分子は不安定化することが示唆された。この状態のHLA−Gに異なる抗原が結合することでHLA−G分子は再安定化され、抗原結合の有無で生じる安定性の差をDSFにて検出できることを見出した(図13)。以上の現象を利用したHLA−Gと相互作用する薬物のスクリーニング系の構築に成功した。
(実施例2)
前述の通り構築したスクリーニング系を用いて、図14に示す工程に従って、HLA−Gに結合する薬物のスクリーニングを行った。薬物は、北大の既存薬ライブラリーに属する約1600種類を用いた(図15)。なお、図14において、「化合物」とは既存薬ライブラリーの薬物を表し、「HLA−G」とは、実施例1と同様に調製されたペプチド(pepWT(配列番号3)が結合したHLA−Gを表す。
評価モデルとしては、図16(a)に示すように、HLA−Gに結合する既存薬Aについては相互作用する候補として「Hit」とし、HLA−Gに結合しない既存薬Dについては候補から除外した。
評価方法を以下に示す。図16(b)に示すように、ネガティブコントロールと比較した際にT又はFImaxに変化が見られる化合物A及び化合物BをHitとした。この際、点線で示したような測定開始時から高い蛍光強度を示した化合物Cや、T又は FImaxに変化が見られない化合物Dについては候補から除外した。
(既存薬ライブラリーを用いたHLA−G結合薬物の探索)
北大オリジナル化合物ライブラリーのうちの約1600化合物から成る既存薬ライブラリーに属する化合物を0.4μL(0.8nmol)ずつ、96ウェルプレート(Corning 3363 Polypropylene V−Bottom 96 Well Clear Microplate(以下、反応用プレート)、Corning社)に分注を行った。この時、ポジティブコントロールにはペプチドpepWT/100%DMSO溶液(4.4mM)を0.4μL(1.8nmol)、ネガティブコントロールには100%DMSO溶液0.4μLを用いた。次に、HLA−Gタンパク質溶液(ペプチド:pepWT(配列番号3)、バッファー:10mM HEPES−NaOH pH7.4、150mM NaCl、タンパク質濃度:7.2μM)を調製した。反応用プレート1ウェルにつき、上記HLA−Gタンパク質溶液18μLに1M Sodium Acetate pH5.0バッファーを3.6μL加えた溶液を加え、よく混合した後、室温で2時間反応静置した。2時間後、各ウェルに1M HEPES−NaOH pH7.4バッファー19.8μL、5M NaCl 1.2μL、超純水2.2μLを加え、室温で一晩静置した。翌日、反応溶液を遠心分離(3,000g、室温、30分間)した。遠心上清35μLに、超純水で25倍希釈した5000×SYPRO Orangeを3.9μL加え(終濃度20×SYPRO Orange)、この溶液を用いて測定を行った。DSF測定は前述と同様に行った。
約1600から成る北大の既存薬ライブラリー全てに対する評価を行った結果、84のHit化合物を見出すことができた。
Hit化合物群より擬陽性化合物を除外すべく、化合物の濃度依存性確認試験を計画した。これに先立ち、スクリーニングに用いた指標であるT又はFImaxが化合物濃度依存的に変化するか不明であったため、これを明らかにすべく、ペプチドを用いて濃度依存性確認試験を行った(図17(a))。この試験では、抗原解離状態のHLA−Gに対し、ペプチドを6,3,1等量の計3段階の希釈系列で分注し、中性条件へと戻した後、前述同様にDSF測定を行った。ペプチドとして、HLA−Gに結合することが既知であるpepWT及び結合しないことが既知であるモックペプチド(配列番号5)の2種を用いた(図17(b))。
(濃度依存性確認試験)
酸性条件下での反応時に、HLA−Gタンパク質に対し化合物を1,3,6等量となるように、化合物を0.4μLずつ、3段階の希釈系列(0.8nmol、0.4nmol、0.14nmol)で96ウェルプレート(Corning 3363 Polypropylene V−Bottom 96 Well Clear Microplate(以下、反応用プレート)、Corning社)に分注を行った。この時、ポジティブコントロールには、上記と同じ3段階の希釈系列のペプチドpepWT/100%DMSO溶液を0.4μLずつ、ネガティブコントロールには100%DMSO溶液を0.4μL用いた。次に、HLA−Gタンパク質溶液(ペプチド:pepWT、バッファー:10mM HEPES−NaOH pH7.4、150mM NaCl、タンパク質濃度:7.2μM)を調製した。反応用プレート1ウェルにつき、上記HLA−Gタンパク質溶液18μLに1M Sodium Acetate pH5.0バッファーを3.6μL加えた溶液を加え、よく混合した後、室温で2時間反応静置した。2時間後、各ウェルに1M HEPES−NaOH pH7.4バッファー19.8μL、5M NaCl 1.2μL、超純水2.2μLを加え、室温で一晩静置した。翌日、反応溶液を遠心分離(3,000g、室温、30分間)した。遠心上清35μLに、超純水で25倍希釈した5000×SYPRO Orangeを3.9μL加え(終濃度20×SYPRO Orange)、この溶液を用いて測定を行った。DSF測定は前述と同様に行った。
その結果、ペプチドWTを用いた系では、ネガティブコントロールの測定値と比較して、T及びFImaxの値に濃度依存的な変化を確認できた(図18(b)、(c))。一方、モックペプチドを用いた系からは、T及びFImaxの値に濃度依存的な変化を確認できなかった(図18(b)、(c))。以上の結果より、HLA−Gに結合する化合物については、化合物の濃度依存的なT及びFImaxの変化が生じることが示唆された。
この知見を用い、84のHit化合物に対する濃度依存性確認試験を前述同様に行った。その結果、84化合物中、26化合物にて、図19(b)、(c)で示したような、化合物濃度依存的なT又はFImaxの変化が確認できた。
以上より、本実施例のスクリーニング方法を用いることで、約1600種の既存薬からHLA−Gとの薬物相互作用を有する26の候補化合物を見出すことに成功した。
BITHIONATE SODIUM
CHLORAMPHENICOL
AMODIAQUINE DIHYDROCHLORIDE
BUSULFAN
CARBENICILLIN DISODIUM
COLISTIMETHATE SODIUM
OXYPHENBUTAZONE
AZELAIC ACID
SURAMIN HEXASODIUM
CYCLOSPORINE
OLSALAZINE SODIUM
NITAZOXANIDE
LEFLUNOMIDE
DOCUSATE SODIUM
TANNIC ACID
CANDESARTAN CILEXTIL
MELOXICAM SODIUM
AMINOPENTAMIDE SULFATE
METFORMIN HYDROCHLORIDE
DIATRIZOIC ACID
PIRENPERONE
BENZBROMARONE
ACECAINIDE HYDROCHLORIDE
THIOPENTAL SODIUM
OCTODRINE
NIFLUMIC ACID
26のヒット化合物の構造を図20に示す。これらの化合物間において特に類似性はみられなかった。この中で、メロキシカム(図20において(17))は、副作用としてスティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死症が報告されており、これらの重篤な副作用の発症には、クラスI分子であるHLA−AやHLA−Bとの強い関連性が示唆されている。本実施例のスクリーニングにより、メロキシカムの重篤な副作用にはHLA−Gも関与していることが示唆された。このように、複数種のHLAと関与し副作用発症の前例のある化合物を見出すことができたことから、本実施例のスクリーニング法によって、HLAタンパク質に相互作用する薬物をスクリーニングできることが示された。
(実施例3)
エイズ治療薬であるアバカビルは、海外での臨床試験においてHLA−B57:01を保有する患者に投与すると、薬剤特異的な過敏症が有意に発症することが示されている。前述の通り構築したスクリーニング系を用いて、HLA−B57:01にアバカビルが結合するか検証した。
各種評価を行うために必要なHLA−B57:01タンパク(遺伝子配列:配列番号6(始めの3塩基の開始コドン及び終わりの3塩基の終止コドンを含む)、アミノ酸配列:配列番号7)の調製を行った。以下の通り、大腸菌発現系を用いてHLA−B57:01重鎖を封入体として発現させ、β2m及びペプチドとともに希釈法による巻き戻しを行った(図4(a):HLA−Gと概念は同じ)。
HLA−B57:01組換えタンパク質は、以下の手法を用いて大腸菌内に封入体として発現させ、可溶化バッファー(50mM Tris−HCl pH8.0、6M guanidine−HCl)に完全に可溶化させた。
(大腸菌発現用プラスミド)
HLA−B57:01はN末端からシグナルペプチド、細胞外ドメイン、膜貫通領域、細胞内ドメインで構成されている。大腸菌体内に封入体として発現させるため、シグナルペプチド及び膜貫通領域以下を除去し、N末端にメチオニン残基を付加した各HLA−B57:01の細胞外ドメイン部分(Gly25−Pro300)(HLA−B57:01)がpGMT7ベクターのNdeI/EcoRIサイト間に組み込まれたプラスミド(図5(a):pGMT7ベクターとして同じ)を使用した。
(プラスミドの調製)
プラスミド0.5μLを大腸菌DH5αコンピテントセル100μLに加え、氷上に約20分静置した後、42℃で45秒間インキュベートして形質転換した。形質転換後の大腸菌を、100μg/mLのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布し37℃で一晩培養した。得られたシングルコロニーを、終濃度100μg/mLになるようにアンピシリンを加えた2×YT培地5mLに植菌し、37℃、150rpmの条件で一晩振盪培養した。培養液1.4mLを13,200rpm、1分間の条件で遠心分離し、上清を除去した。得られた大腸菌のペレットからアルカリ−SDS法とPCI抽出、アルコール沈殿を用いてプラスミドDNAを精製した。
(大腸菌発現系を用いた封入体の調製)
HLA−B57:01組み換えタンパク質は、大腸菌体内に封入体として発現させた。タンパク質の大腸菌発現用のプラスミドで、大腸菌BL21(DE3)pLysS株(Novagen)を形質転換し、100μg/mLアンピシリン含有Luria−Bertani(LB)寒天培地に播種後、37℃で一晩培養した。得られたコロニーを50μg/mLアンピシリン、20μg/mLクロラムフェニコール含有2×YT培地(10mL)に植菌し、37℃で2〜4時間振盪培養した(前培養)。次に、前培養した10mLの菌液を50μg/mLアンピシリン、20μg/mLクロラムフェニコール含有2×YT培地(1L)へと植菌し、37℃で振盪培養した。対数増殖前期であるOD600=0.4〜0.6に達したら、IPTGを終濃度1mMとなるように加えて組換えタンパク質の発現を誘導し、その後37℃で4時間振盪培養した。培養後の菌液を遠心分離(5,000rpm、4℃、10分間)して大腸菌を回収した。菌体を懸濁バッファー(50mM Tris−HCl pH8.0、150mM NaCl)で懸濁して、氷上で超音波破砕を行った。破砕液を遠心分離し(8,000rpm、4℃、5分間)、得られた沈殿を洗浄バッファー(50mM Tris−HCl pH8.0、150mM NaCl、0.5% Triton X−100)で懸濁することによって洗浄し、懸濁液を遠心分離(8,000rpm、4℃、5分間)する洗浄作業を3回繰り返した。洗浄後、得られた沈殿から界面活性剤であるTriton X−100を除去するために、懸濁バッファーを用いて沈殿を懸濁後、懸濁液を遠心分離(8,000rpm、4℃、5分間)する洗浄操作を3回繰り返し、封入体を得た。得られた封入体に可溶化バッファー(50mM Tris−HCl pH8.0、6M guanidine−HCl、10mM EDTA)を加えて一晩4℃で振盪し、完全に可溶化した。封入体を可溶化させた後、各封入体溶液の吸光度を1μL分光光度計(ND−1000 Spectrophotometer、NanoDrop Technologies社)を用いて測定した。なお、HLA−B57:01の発現プラスミドについては、Gillespie GM.et al.J Immunol.2006 177(6):3893−902.を参照した。
(巻き戻し法による各タンパク質の調製)
HLA−B57:01組換えタンパク質の調製は、以下の手法にて行った。
HLA−B57:01組換えタンパク質は、封入体から希釈法による巻き戻しを行うことで調製した。HLA−B57:01は重鎖、hβ2m及びペプチドからなるヘテロ3量体である。これらタンパク質を巻き戻すために、巻き戻りが起こりやすいhβ2m、ペプチド、重鎖の順で順次巻き戻しを行った。まず単独で安定に巻き戻るhβ2mを巻き戻しバッファー(0.1M Tris−HCl pH8.0、1M L−arginine、2mM EDTA、3.73mM cystamine、6.73mM cysteamine)を用いて、タンパク質の終濃度が1〜2μMとなるように希釈を行った後、4℃で巻き戻しを行った。24時間後、同巻き戻しバッファーに100%DMSOで溶解したペプチド(LF9−peptide:配列番号8)(Eurofins Genomics社より購入)(Chessman D.et al.Immunity 2008 28(6):822−32.)を終濃度0.01mg/mLになるように加えた。続いて、可溶化したHLA−B57:01の封入体にDTTを終濃度10mMとなるように加え、室温で1時間インキュベートしたタンパク質溶液に対し、同巻き戻しバッファーを1滴ずつ、guanidine濃度が1.5Mになるまで加えた。希釈後の溶液を巻き戻しバッファーに1滴ずつ加え、タンパク質の終濃度が1〜2μMとなるように希釈した後、4℃で72時間攪拌した。巻き戻し後のタンパク質溶液はVIVAFlow system(MWCO:10,000,Sartorius社)、Amicon Ultra(MWCO:10,000Da、Millipore社)で限外ろ過濃縮を行った。
濃縮したタンパク質溶液はAKTA purifierシステム(GE社)を用いた1段階の液体クロマトグラフィーにて精製した。SuperdexTM 75 10/300 GLカラム(GE社)を用いてサイズ排除クロマトグラフィーを行った。この時、バッファーは20mM Tris−HCl pH8.0、150mM NaClを用いた。精製後のタンパク質溶液の吸光度を分光光度計(U−5100 Spectrophotometer、Hitachi High−Technologies社)又は1μL分光光度計(ND−1,000 Spectrophotometer、NanoDrop Technologies社)を用いて測定した。また、吸光度(Abs)の測定値から紫外吸収法を用いて各タンパク質溶液の濃度を算出した。濃度算出時に用いたタンパク質の分子量は446178Da、モル吸光係数は90675L/mol・cmの値を用いた。
上記の通り、ゲル濾過クロマトグラフィーによる1段階の精製を行った。クロマトグラム(図21(a))中に矢印で示したピークの画分をSDS−PAGEにて分析した結果、純度高くHLA−B57:01タンパク質が精製できていることを確認した(図21(b))。
(結合実験)
図14に示す工程に従ってHLA−B57:01とアバカビルとの結合実験を行った。図14において、「化合物」とは「アバカビル」を表し、「HLA−G」の代わりに「HLA−B57:01」を用いた。
0.4μL(0.8nmol)のアバカビル(MedChemExpress社、ロット番号:11778)を96ウェルプレート(Corning 3363 Polypropylene V−Bottom 96 Well Clear Microplate(以下、反応用プレート)、Corning社)に分注した。この時、ポジティブコントロールにはペプチドpepWT/100%DMSO溶液(4.4mM)を0.4μL(1.8nmol)、ネガティブコントロールには100%DMSO溶液0.4μLを用いた。次に、上述の通り得られたHLA−B57:01タンパク質溶液(バッファー:10mM HEPES−NaOH pH7.4、150mM NaCl、タンパク質濃度:7.2μM)を調製した。反応用プレート1ウェルにつき、上記HLA−B57:01タンパク質溶液18μLに1M Sodium Acetate pH5.0バッファーを3.6μL加えた溶液を加え、よく混合した後、室温で2時間反応静置した。2時間後、各ウェルに1M HEPES−NaOH pH7.4バッファー19.8μL、5M NaCl 1.2μL、超純水2.2μLを加え、室温で一晩静置した。翌日、反応溶液を遠心分離(3,000g、室温、30分間)した。遠心上清35μLに、超純水で25倍希釈した5000×SYPRO Orangeを3.9μL加え(終濃度20×SYPRO Orange)、この溶液を用いて測定を行った。DSF測定は前述と同様に行った。
解析結果を図22(a)、(b)に示す。アバカビルでは、ポジディブコントロールよりも高い蛍光強度を示したことから、HLA−B57:01にアバカビルが結合していることが示された。また、Tについても、アバカビルでは、ポジディブコントロールと同程度に変化することが明らかとなった。このように、HLA−B57:01に相互作用することが知られているアバカビルについて、本実施例のスクリーニング方法を用いることで、たしかにHLA−B57:01に結合することが確認された。
以上より、本実施例のスクリーニング方法を用いることで、HLA−B57:01に相互作用することが知られているアバカビルが、たしかにHLA−B57:01に結合することが実証された。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
本出願は、2017年9月12日に出願された、日本国特許出願2017−174529号に基づく。本明細書中に日本国特許出願2017−174529号の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。

Claims (10)

  1. (a)結合物質が結合したHLAタンパク質を調製する工程と、
    (b)pHを弱酸性に調節する前又は後に被検物質を添加する工程と、
    (c)弱酸性下において静置する工程と、
    (d)pHを中性に調節した後、1〜48時間静置する工程と、
    (e)前記HLAタンパク質と前記被検物質との結合の度合いを測定し、前記HLAタンパク質に前記被検物質が結合していると判断される場合、前記被検物質が前記HLAタンパク質に相互作用すると判定する工程と、
    を含むHLAタンパク質に相互作用する物質のスクリーニング方法。
  2. 前記工程(c)において、静置時間は、3秒間〜5時間である、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスクリーニング方法。
  3. 前記工程(b)において、前記HLAタンパク質に対する前記被検物質の添加量比は、1:1〜1:10である、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスクリーニング方法。
  4. 前記工程(e)において、沈殿法、DSF及びDSCからなる群より少なくとも1つ選択される方法によって前記HLAタンパク質と前記被検物質との結合の度合いを測定する、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスクリーニング方法。
  5. 前記工程(e)において、前記被検物質の濃度依存的に前記HLAタンパク質と前記被検物質との結合の度合いが高くなる場合、前記被検物質が前記HLAタンパク質に相互作用すると判定する、
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスクリーニング方法。
  6. 前記結合物質は、ペプチドである、
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスクリーニング方法。
  7. 前記HLAタンパク質に前記被検物質が結合していると判断される場合、前記被検物質による副作用のリスクが高いと判定される、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のスクリーニング方法。
  8. 前記工程(a)において、前記HLAタンパク質を宿主細胞に発現させる、
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のスクリーニング方法。
  9. 結合物質が結合したHLAタンパク質を含む、
    ことを特徴とするHLAタンパク質に相互作用する物質のスクリーニング用キット。
  10. 前記結合物質は、ペプチドである、
    ことを特徴とする請求項9に記載のスクリーニング用キット。
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