JP4107426B2 - ゲインクランプ光増幅器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信等で用いられる光増幅器に関し、特に、線形増幅や光信号処理に用いられるゲインクランプ光増幅器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光増幅器の線形動作を得るためのひとつの手法として、光増幅器を意図的にレーザー発振させて利得をクランプする、いわゆる「ゲインクランプ」技術が提案されている。とりわけ、半導体光増幅器(SOA)は、非線形性が大きくかつ応答速度も速いことから、変調信号が透過する際に信号波形劣化が生じることや、波長多重光を増幅する際に利得変動やクロストーク等の問題が生じることが知られている。
【0003】
そこで、これらの問題を解決するために上記ゲインクランプ技術を適用した、「ゲインクランプSOA」と呼ばれるデバイス構成が報告されている。また線形化とは逆に、この「ゲインクランプSOA」では、発振閾値の近傍で極めて大きな非線形性が得られることから、波長変換や光論理ゲート等として光信号処理への応用も期待されている。
【0004】
図10は、文献1(M. Bachmann, et al.,“Polarisation-insensitive clamped-gain SOA with integrated spot-size convcrtor and DBR gratings for WDM applications at 1.55 μm wavelength, ”Electronics Letters, vol. 32, no. 22, pp. 2076-2078, 1996.)に記載されている、従来のゲインクランプSOAの一構成例の概略を示す上面図である。同図に示すように、この構造では、光波を増幅する活性領域01と、その両側に設けた、反射中心波長λc、反射率Rcのブラッググレーティング02a、02bを形成した光導波路とが、半導体で一括して形成されている。
【0005】
このような構造によれば、両側のブラッググレーティング02a、02b間で共振器が構成されるため、両側ブラッググレーティング反射率と増幅利得との釣り合い、および共振器を1周したときの位相条件(縦モード条件)等を条件として、概ねλcの近傍の波長において発振動作を得ることができる。一般にレーザー発振時には、活性領域01のキャリア密度が一定に保たれることから、このようなゲインクランプSOAでは、所定の動作条件において利得が一定に保たれた、いわゆる線形増幅動作を得ることができる。
【0006】
なお、発振しきい値は概ねグレーティング反射率Rcと利得との釣り合いで決まるので、ブラッググレーティング02a、02bの反射波長λcと反射率Rcとを適宜設定することにより、クランプ後に所望の利得スペクトルを得ることができる。
【0007】
【非特許文献】
M. Bachmann, et al.,“Polarisation-insensitive clamped-gain SOA with integrated spot-size convcrtor and DBR gratings for WDM applications at 1.55 μm wavelength, ”Electronics Letters, vol. 32, no. 22, pp. 2076-2078, 1996.
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記ゲインクランプSOAでは、図11に示すように、増幅したい信号光とともに、発振光が大きな出力強度で出力されてしまう。このような高いレベルの発振光は、伝送路末端の受信時には大きな雑音となるため、受光器前段では必ず除去しなければならないのはもちろんのこと、ゲインクランプSOA後段の光増幅器を飽和させたり、光ファイバ内で不要な非線形効果を誘起するなど、光伝送路中においても諸々の問題をひきおこす。
【0009】
そこで、一般にはゲインクランプSOAのすぐ後段に高性能な光フィルタを設けて、これを除去している。このため従来のゲインクランプSOAを実際に用いる場合には、装置全体が大型化したり、高価になるなどの問題があった。
【0010】
本発明は、上記従来技術に鑑み、小型、高性能で、かつ安価なゲインクランプ光増幅器を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決する本発明に係るゲインクランプ光増幅器の構成は、
光入力端および光出力端を有する光増幅部と、該光入力端および光出力端に接続された光導波路と、該光導波路の一部に設けられ、所定の波長の光を反射する波長選択性反射器とを含み、
少なくとも前記光増幅部の光出力端側に設けられた前記波長選択性反射器が、反射する光波の一部のみを前記光増幅器に戻し、残りの一部を放射するブレーズドグレーティングであり、
前記光出力端に接続された光導波路は、少なくとも前記所定の波長において、2つ以上の異なる伝播モードを有するマルチモード導波路部分と、当該マルチモード導波路部分の両端に接続されたシングルモード導波路部分とを備え、
前記ブレーズドグレーティングは、前記マルチモード導波路部分に形成され、
前記マルチモード導波路部分は、前記ブレーズドグレーティングのブラッグ波長より短波長側の反射波が、前記マルチモード導波路部分の高次モードに結合することによって、前記シングルモード導波路部分と前記マルチモード導波路部分との接続部で放射されるように設計されていることを特徴とする。
【0013】
また、少なくとも前記光増幅部の光出力端側に設けられた前記波長選択性反射器の透過率が10%以下であることを特徴とする。
【0014】
さらに、前記光増幅部の光出力端から出力された前記所定の波長の光が、再び前記光出力端を介して前記光増幅部に戻る出力側実効反射率が、
前記光増幅部の光入力端から出力された前記所定の波長の光が、再び前記光入力端を介して前記光増幅部に戻る入力側実効反射率よりも小さいことを特徴とする。
【0015】
また、前記波長選択性反射器は、石英系平面光導波路上に設けた紫外光誘起グレーティングであることが望ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ具体的な実施の形態について詳細な説明を行う。
【0017】
<第1の実施の形態>
図1は本発明の第1の実施の形態に係るゲインクランプ光増幅器を示す上面図で、(a)が全体を示す図、(b)がその一部を拡大して示す図である。
【0018】
本形態では、シリコン基板上に形成した石英系平面光導波路1を用い、光導波路2の一部領域に形成した光素子搭載部3にSOA素子4を搭載・固定するとともに、SOA素子4の両側の光導波路2には紫外光誘起グレーティング(以下、UVグレーティングという。)5、6を描画することにより、ハイブリッド集積型のゲインクランプ光増幅器モジュールを構成している。
【0019】
従来技術に係る半導体で一括形成したモノリシック集積構成のみならず、本形態のようなハイブリッド集積構成によってもゲインクランプSOAを実現できる。
【0020】
かかるハイブリッド集積構成では、SOA素子4と光導波路2との結合部が両端のグレーティング5、6によって構成される共振器内に含まれることになるため、結合損失のばらつきによって生じるモジュール利得の変動を抑圧できる効果がある。このため、モジュール利得を精度よく設定するのに有利である。
【0021】
なお、SOA素子4や光素子搭載部3の構造、あるいはSOA素子4の固定法などについては、本発明の要点ではないので詳述はしない。ただし、文献2(I. Ogawa, et al., “ Hybrid integrated four-channel SS-SOA array module using planar lightwave circuit platform,”Electronics Letters, vol. 34, no. 4, pp.361-363, 1998.)に記載されている構造や方法をはじめとして多くの選択肢が可能であることは言うまでもない。したがって本明細書本文や図面で記載する構造は一例に過ぎず、特にこれらの構造を限定するものではないことを明記しておく。
【0022】
ここで、本形態の特徴的な構成を説明しておく。まず、第一に、本形態に係るゲインクランプ光増幅器では、出力側のUVグレーティング6を、光導波路の光伝播軸に対して、反射面が垂直となるようにではなく、斜めに傾けて形成した。所謂「ブレーズドグレーティング」を用いた。なお、入力側のUVグレーティング5に関しては特に制約はない。本形態では、光導波路2に対して反射面を垂直に形成した通常のUVグレーティング5を用いた。なお、図1(b)中、2aはシングルモード導波路、2bはテーパ部、2cはマルチモード導波路である。
【0023】
通常、光導波路2において、波長選択フィルタや波長選択ミラーとして用いられるグレーティングは光導波路2の光伝播軸に対して垂直になるように形成する。この場合、グレーティングの反射率に応じて、光導波路2を伝播してグレーティングに入射した光波の一部は反射し、残りの一部は透過することとなり、導波路の外部へ放射される成分は極めてわずかである。
【0024】
一方、グレーティングの反射面を意図的に光導波路軸と斜めに傾けて形成することも可能であり、これは「ブレーズドグレーティング」や「ティルティドグレーティング」、または「スランティドグレーティング」等の名称で知られている。
【0025】
このような「ブレーズドグレーティング」に関しては、従来、光導波路を伝播する光波の一部を光導波路外部に取り出す光出力器として利用した例などが報告されている(例えば文献3(Mats Hagberg, et al., “Investigation of high-effeiciency surface-emitting lasers with blazed grating outcouplers,” IEEE J. of Quantum Electronics, vol. 32, no. 9, pp. 1596-1605, 1996.)を参照)。なお、「ブレーズドグレーティング」という用語は、狭義では、光導波路の上方に光を反射して取り出す光出力カプラーのみを指す場合や、平面基板上に個々の反射面を鋸の歯のように斜めに形成した空間光ビーム分光用のグレーティングのみを指す場合もあり、必ずしも定義が明確ではない。
【0026】
しかしながら、他に適切な表現が見当たらないため、本明細書では以下の定義で「ブレーズドグレーティング」という用語を用いる。すなわち、本明細書で言う「ブレーズドグレーティング」とは、「周期的に配置された複数の反射面を有する所謂グレーティングであって、実効的な反射面が、光入射方向に対して垂直ではなく斜めに傾けてあるもの」を広く指すものである。
【0027】
このようなブレーズドグレーティングの構造および作製方法は種々提案されているが、本形態では、石英系平面光導波路1に描画したUVグレーティング6を用いており、この場合には、位相マスクを光導波路2に対して斜めに設置して紫外光を照射することに等により容易にブレーズドグレーティングを形成できる。
【0028】
なお、本明細書添付した各図においては、グレーティングを複数並んだ線で表現しているが、これはUV光によって屈折率変調された反射面の様子を模式的に表したものであり、詳細に関してはこれに限定されるものではない。
【0029】
例えば、図1では光導波路2のコアの外側にも反射面の線が延びているが、これらは光導波路2のコアおよびクラッドの材料やUV照射強度、照射範囲などの条件によって変化するものであり、実質的に屈折率変調が生じるのはコアの内部だけと考えて差し支えない場合も多い。また、図1では反射面の間隔や、色の濃淡をグレーティングの全領域に渡り一定に表現しているが、グレーティング反射面のピッチを伝播軸に沿って変化させた、所謂「チャープトグレーティング」でもよいし、屈折率変調の深さをグレーティングの部位ごとに変化させた、所謂 「アポタイズドグレーティング」でもよい。こうした具体的な設計については、本明細書では特に触れないが、グレーティングの反射スペクトル等を考慮して適宜設計すべきものであるのは当然である。
【0030】
次に、本形態に係るゲインクランプ光増幅器における第二の構成上の特徴は、上記ブレーズドグレーティングを設けた光導波路2の一領域を、少なくとも2つ以上の伝播モードを有する所謂マルチモード導波路2cとした点である。
【0031】
具体的な例として、本形態では、SOA素子4に接続される入出力の光導波路2の幅を、UVグレーティング6を形成する領域のみ広くすることによって、4つの伝播モードの励振を可能とした。また、UVグレーティング6を形成する領域以外は、実効的に1つの伝播モードのみを有する所謂シングルモード導波路2aとし、上記マルチモード導波路2cとは緩やかなテーパー部2bによって接続している。
【0032】
さらに、本形態に係るゲインクランプ光増幅器における第三、第四の構成上の特徴は、上記グレーティング反射率の設計にある。すなわち、入力側、出力側のUVグレーティング5、6の何れも透過率をほぼ0%とした。また、SOA素子4に対する実効反射率を出力側が入力側よりも十分小さい値になるように設計した。
【0033】
ここで、本形態における反射率設計の概略を図2に基づき説明する。図2は、本形態における入力側、出力側グレーティングの反射率設計例を示す模式図、 (a)が入力側、(b)が出力側である。同図に示すように、まず、入力側グレーティングは、通常のUVグレーティング5であり、シングルモード導波路2a上に導波路軸に対して反射面を垂直に形成した。反射中心波長は、入力側1520nm、3dB反射帯域幅0.3nm、中心波長近傍における反射率99%以上(透過率1%以下)とした。
【0034】
一方、出力側のUVグレーティング6は上述したブレーズドグレーティングである。このUVグレーティング6の反射スペクトルについては後述するが、1520nm近傍で発振させるように、導波路軸に沿って見たグレーティングピッチから決まるブラッグ波長をおよそ1524nmとした。また、発振波長1520nm付近において、透過率は1%以下とした。また、SOA素子4の近傍のシングルモード光導波路2aから見た本ブレーズドグレーティングの実効的な反射率は20%とした。
【0035】
なお、SOA素子4から見た実効反射率(SOA素子4から出力され再びSOA素子4に戻る成分の割合)は、SOA素子4と石英系平面光導波路1との接続損失を2dB程度に設計したので、入力側が約63%、出力側が約13%である。
【0036】
これは上記の構成によって、本形態では、発振光の出力強度が十分小さく、かつ雑音性能も良好なゲインクランプ光増幅器を実現できる。これは構成によって、以下に述べる顕著な効果が得られるためである。
【0037】
まず、上記第一、第二の特徴であるUVグレーティング(ブレーズドグレーティング)6の構成を用いれば、反射率と透過率とを、独立かつ高い自由度で設計を行うことが可能となる。この理由を以下に述べる。
【0038】
UVグレーティング(ブレーズドグレーティング)6では、個々の反射面が入射光に対して垂直ではなく、垂直からθだけ斜めに傾いているため、「基本的には」反射波は2×θの角度をもって入射波と逆向きに反射されることになる。反射光は波長軸や空間軸である程度の広がりを有するので、斜め角θに応じて、入射波と同じ方向に反射される光波のパワーが変化することになる。つまり、入射波が導波路から出射される場合を考えると、反射波の一部のみが入射波と同じ伝播モードに結合する。上述したように、光導波路2上に、導波路軸に対して反射面を垂直に形成した通常のUVグレーティング5では、反射するか、又は透過するかの2者択一であり、反射率を低下させれば、その分透過率は増加するという関係にある。しかしながら、ブレーズグレーティングの場合にはこの限りではないのである。つまり、反射面の斜め角θを適切に設定すれば、入射光の方向に向かう反射光の割合を適宜調節可能である。一方、透過率はグレーティングの強度(屈折率変調度やグレーティングの長さなど)によって調節できる。したがって、実効的な反射率と、透過率とを実効上独立に設定できるのである。
【0039】
かかる設計が可能となるのは、反射波のうちの一部を所望の反射方向、透過方向とも異なる方向へ「放射」または「散乱」させる現象を利用しているためである。換言すると、ブレーズドグレーティングを用いて、通常の導波路UVグレーティングでは利用していない「放射モード」を利用することにより、実効的な透過率と実効的な反射率とを独立に設定できる。
【0040】
ただし、上記で「基本的には」と言った意味は、石英系平面導波路1上に形成したUVグレーティング6などの場合、単純にグレーティング反射面を斜めに傾けてもこのような設計は困難であるためである。
【0041】
例えば、後述する誘電体多層膜を用いた第3の実施の形態のような場合には、実質的に自由空間におけるグレーティングを考えればよいので、概略、上述の説明に沿った動作が得られるのであるが、これとは異なり、導波路コアの実効屈折率をわずかに変調して形成する導波路グレーティングでは、導波路自体の閉じ込め効果が存在するため、反射波は放射モードに容易には結合しない。しかしながら、例えば、導波路の閉じ込め構造の一領域に不連続部を導入したり、グレーティング形成領域の導波路のごく近傍に高屈折率領域を設けるなど、設計の工夫によりこのような問題を回避することは可能である。
【0042】
本形態の第二の特徴は、こうした設計の一例として、グレーティング形成領域の導波路幅を広げてマルチモード導波路2cとすることによって、反射波の一部を放射モードに容易に結合させるようにしたものである。なお、この構造は、導波路形成用フォトマスクの若干の変更のみで容易に実現可能であり、かつ後述する第3の実施の形態と比べても明らかなように、透過信号光に対してはほぼ無損失であることから、実用上極めて有用である。
【0043】
図3は本形態に係るゲインクランプ光増幅器における出力側のUVグレーティング(ブレーズドグレーティング)6の動作を説明するための模式図で、(a)が反射光の場合、(b)が透過光の場合である。以下、同図を参照しながら、マルチモード導波路2c上に形成した当該UVグレーティング(ブレーズドグレーティング)6の動作について説明する。
【0044】
SOA素子4から石英系平面光導波路1に結合した光波は、シングルモードで伝播した後、マルチモード導波路2cに入力される。ここで、シングルモード導波路2aとマルチモード導波路2cとは、緩やかなテーパー部2bによって接続されているため、マルチモード導波路2cに入力される際も高次モードを励振することはない。
【0045】
次に、UVグレーティング(ブレーズドグレーティング)6に入射し、所定の波長を有する光波の一部は反射される。このとき、波長に応じて反射波の方向は異なり、光導波路2に沿ったUVグレーティング6のピッチで決まるブラッグ波長より長波長の成分は概ねまっすぐに反射され、その多くは光導波路2を入射波と同じ基本モードで逆向きに戻ることになる。一方、上記波長より若干短い波長域では、反射波は光導波路2の光伝播軸と若干の角度をもって反射されることとなり、高次モードに結合する成分が発生する。これらの反射波は、マルチモード導波路2cを戻り、再びテーパー部2bを介してシングルモード導波路2aに入力されるが、高次モードで反射された光の大部分はシングルモード導波路2aの領域における基本モードには結合せずにクラッド中に放射されることとなる。
【0046】
したがって、UVグレーティング6は、特定の波長において、実効的に反射波の一部のみを戻し、残りはシングルモード導波路2aとマルチモード導波路2cとの接続部において放射させることができる。一方、グレーティング反射帯域から大きく長波長側にはずれた信号光は、基本モードのまま伝播し、UVグレーティング6を透過した後に、テーパー部2bを介して出力側のシングルモード導波路2aに接続されるため、ほぼ無損失で透過することとなる。
【0047】
このような設計は、伝播解析等を用いて容易に可能であり、適宜光導波路2とUVグレーティング6のパラメータをふって計算を行えば、所望の透過率と実効反射率を得ることができる。
【0048】
図4は、本形態に係るゲインクランプ光増幅器のUVグレーティング(ブレーズドグレーティング)6の透過、反射スペクトルの計算例を説明するための説明図であり、(a)はこの部分の構造図、(b)乃至(d)は各斜め角θにおける特性図である。ここで、(b)、(c)、(d)は、順に斜め角θをを0°,1°,2°とした場合の特性図で、何れも入力側のシングルモード導波路2aから見た反射スペクトルと、出力側のシングルモード導波路2aから見た透過スペクトルの計算結果を表している。
【0049】
なお、UVグレーティング6の強度は、反射率がほぼ100%になるように設計している。グレーティング反射帯域の中心1524nm程度より長波長側では、斜め角θを変化させても大きな変化はなく、また反射率が低下すると透過率が上昇する。これに対して、上記波長よりも若干短い波長1521nm付近では斜め角θを大きくするにつれて反射率は大きく変化するが、このとき、透過率はほぼ0%に保たれている。
【0050】
本計算例では、反射率はθ=1°のとき40%程度、θ=2°のとき10%程度が得られ、いずれも透過率はほぼ0%を保ったままにできた。なお、ここでは一例しか挙げないが、UVグレーティング6の強度や帯域、および光導波路2の幅や比屈折率差Δを調節して、所望の反射および透過スペクトルを得るように設計すればよい。なお、反射帯域よりも短波長側に離れた波長領域では、斜め角度θとともに透過率が減少している。これは散乱によって損失が生じているためであるが、このような波長域では、光導波路2の伝播モードには結合しないため、反射率は0%のまま透過損失が増加している。
【0051】
一方、比較として、シングルモード導波路2aに同様にUVグレーティング (ブレーズドグレーティング)6を形成した場合の透過、反射スペクトルの計算例を図5に基づき説明する。同図より明らかなように、シングルモード導波路2aに描画したUVグレーティング6では、ブレーズドグレーティングの斜め角θを0°、4°、8°と振っても変化は小さく、また反射率と透過率を独立には設定できないことがわかる。
【0052】
なお、以上のような光導波路2の設計が可能となったのは、本形態において石英系平面光導波路1を用いた効果でもある。すなわち、入出力の光導波路2として、光ファイバを用い、グレーティングも光ファイバに形成したUVグレーティングを用いる構成も可能であるが、その場合には、本形態のような動作を得るために特殊な光ファイバの加工が必要となる。これに対して、石英系平面光回路1の場合には、フォトマスクの変更のみで容易に実現できる。また、半導体光導波路と比較した場合には、このような導波路設計を精度よく安定に作製できる点と、ブレーズドグレーティングを容易に形成できるUVグレーティング6を利用できる点で有利である。
【0053】
本形態は上述の如き第一及び第二の構成上の特徴を有するので、第三、第四のの特徴として、かかる構成を利用して反射率、透過率を適切に設定することが可能となり、これにより、高性能なゲインクランプ光増幅器を実現できるようになる。
【0054】
さらに詳言すると、先ず、第二の特徴に関しては、出力側のUVグレーティング(ブレーズドグレーティング)6の透過率をほぼ0%に設定することにより、従来問題となっていた発振光の出力強度を小さく抑えることができる。これにより、多くの場合、ゲインクランプSOAモジュールのすぐ後段に高性能なフィルタを設けることは不要となる。
【0055】
本形態では、入力側、出力側ともに透過率1%以下としたので、いずれの側からも出力される発振光はわずかに1%以下である。したがって、図6にその出力スペクトラムを示すように、SOA素子4の飽和出力を10dBmとすると、発振光の出力パワーは−10dBm程度であり、典型的な使用例として信号光の出力パワーを飽和出力よりも5〜10dB程度小さく設定する場合には、信号光と共に導波路から出力される発振光は信号光よりも10dB以上小さなパワーに抑えられることになる。
【0056】
ちなみに、従来のゲインクランプSOAでは、グレーティング反射率は入力側、出力側ともに数%〜20%程度に設定されており、信号光よりも10dB程度大きなレベルで発振光が出力されてしまっていた。このような大きなレベルの不要波は、次段の光増幅器を飽和させたり、伝送路での非線形性を誘起する等の問題を引き起こすため、ゲインクランプSOAのすぐ後段に光フィルタを設けて発振光を除去することが必要不可欠であった。さらに、ここで用いるフィルタは、大きなレベルの発振光を信号光よりも十分小さなレベルに落とすために、十分なクロストーク性能を有する高性能なものが必要であった。
【0057】
これに対して、本形態のゲインクランプSOAでは、上述したように、発振光が信号光に比べて10dB程度小さな値であるので、必ずしもゲインクランプSOAのすぐ後段にフィルタを設ける必要はない。また、仮に必要な場合にも、発振光はもともと小さいレベルであるので、クロストーク性能の良い高価なフィルタは不要である。
【0058】
なお、発振光のグレーティング透過率は0%に近いほど好ましいが、以上述べた観点から言えば必ずしもこの限りではない。すなわち、次段の光増幅器や伝送路で問題を起こさない程度まで、発振光の出力レベルを抑えれば、実質的にフィルタは不要であり、用いる用途によっては信号光と同レベルが若干小さい値であれば問題はない場合も多い。例えば上記典型的な信号光の出力強度は飽和出力の10%程度であるので、出力側グレーティングの透過率も概略10%程度以下であれば一定の効果をあげることができる。
【0059】
さらに、本形態では、入力側のUVグレーティング5の透過率も1%以下に設定したことにより、入力側からも発振光が出力されない構成としたが、本発明はこれを限定するものではない。光増幅器を用いる際には、通常入力側の前段および出力側の後段にアイソレータを設けるため、入力側から伝送路を逆向きに出力される発振光は、アイソレータによって遮断されるため問題にならない場合が多い。したがって、入力側の透過率、反射率は、システムや回路の条件を加味して、ゲインクランプSOAの特性を最大に引き出すように決定すればよい。
【0060】
第四の特徴は入力側、出力側の反射率の設定法に関するものであり、これにより雑音の小さなゲインクランプ光増幅器を得ることができる。この理由は以下の通りである。
【0061】
そもそも本発明を用いずとも、発振光の出力強度を抑えるだけであれば、単純に出力側グレーティングの反射率をほぼ100%にすれば良い。すなわち、出力側グレーティングの反射率を100%にすれば、発振光はこれを透過して出力側へ出力されることはない。また、入力側グレーティングの反射率を適切に設定することにより、利得の調節も可能である。この場合、入力側のグレーティングからは、高いレベルの発振光が伝送路を逆向きに出力されてしまうが、上述の通り、光増幅器を用いる際には、光増幅器前後段にアイソレータを設けるのが通常であるので、ゲインクランプSOA入力側から伝送路を逆向きに出力された発振光は、アイソレータを超えて伝送路に悪影響を及ぼすことはない。
【0062】
しかしながら、このような構成は、光増幅器の雑音指数NFを大幅に劣化させてしまうため、実用上適切ではない、文献4(Guido Giuliani, et al., “Noise analysis of conventional and gain-clamped semiconductor optical amplifiers, ”J. of Lightwave Technology, vol. 18, no. 9, pp. 1256-1263, 2000. )にも記載されているように、光増幅器のNFは、当該光増幅器内部のキャリア密度およびその分布に依存し、特に入力端側で飽和が生じるとNFが劣化する問題がある。一般に、ゲインクランプ光増幅器は、発振状態で使用するため、通常のSOAと比べてNFが劣化することが知られており、その上に、上記のように入力側と比べて出力側グレーティングの反射率を大きくすると、入力端側でキャリア密度が低下してしまうためNFをさらに大きく劣化させてしまうのである。
【0063】
これに対して、本形態のように、出力側の反射率を入力側の反射率に対して十分小さく設定すれば、通常の入力側、出力側で同じ反射率の場合と比較して、雑音特性を大きく改善することができる。本形態では、SOA素子に対する実効反射率は入力側〜63%、出力側〜13%であり、出力側を入力側の1/4程度に小さく設定したことにより、モジュール全体で約8dBと良好なNF特性を達成した。
【0064】
なお、本実施例では入力側と出力側の実効反射率の比は4:1としたが、1:1よりも出力側を小さくするほど効果があり、概略4:1程度以上の比率であれば、両端同比率のゲインクランプ光増幅器と比較しても顕著な雑音改善効果を期待できる。
【0065】
以上をまとめると、本形態に係るゲインクランプ光増幅器は、(1)信号光と共に出力される発振光の出力レベルが極めて小さく、かつ(2)低雑音であるという特徴を有する。これらは、本形態のUVグレーティング(ブレーズドグレーティング)6を用いた構成と、これによって可能となった反射率設計により得られた顕著な効果である。
【0066】
すなわち、従来のゲインクランプ光増幅器では、発振光の出力パワーが大きく、外部に高価なフィルタを設けて除去することが必須であった。これを避けるために出力側のグレーティング反射率を大きくして発振光の出力パワーを低減しようとすると、NFが劣化してしまう等の問題があるため、現実的な解決手段はなかった。
【0067】
これに対して、本形態では、UVグレーティング(ブレーズドグレーティン グ)6を用いることによって、発振光の透過率を小さく抑えたまま、SOA素子4に対する実効反射率を適宜設定できるようにしたことと、この構造を用いて入力側、出力側の実効反射率および透過率を適切に設定したことにより、以上のような問題を解決できた。
【0068】
なお、本形態では、ハイブリッド集積構成とし、石英系平面光波路1に形成したUVグレーティング6を用いたが、半導体モノリシック集積構成でもよいし、グレーティングは導波路の外形をレリーフ状に加工したものなど複数の構成が可能である。また、光増幅器としてSOAを用いた構成を示したが、ファイバ型光増幅器など、他の材料や構造のものでも良い。
【0069】
ただし、ハイブリッド集積構成は、上述したようにSOAと異種導波路との結合損失のばらつきに起因するモジュール利得変動を抑圧する効果があることに加え、この結合損失が発振光にのみ往復で作用し、信号光には単一パスでしか作用しないことから、発振光を抑圧するのには有利である。さらに、すでに述べたように、石英系平面光導波路1は、本形態のグレーティング領域のみをマルチモード導波路2cとするような複雑な構造を、フォトマスクのレイアウトのみで容易に実現できること、およびこのような導波路を高精度かつ安定に作製できる点で有効である。また、UVグレーティング6を用いれば、位相マスクを斜めに傾けるだけで、ブレーズドグレーティングを容易に形成でき、かつ、UV照射強度の調節によって、反射率と帯域幅などのグレーティング特性を大きな自由度で設定できる利点がある。
【0070】
その他、本形態を用いることにより以下のような効果もある。すなわち、本形態では、グレーティング自体の反射率を略100%に設定できるため、UVグレーティング6を用いる場合にも、経時変化の小さい安定な特性を得ることができる。UVグレーティング6では、UV光によって誘起された屈折率変化が、環境条件等によっては、若干経時変化することが知られている。グレーティング反射率が経時変化すると、ゲインクランプ光増幅器としては発振しきい値が変化するため、結果としてモジュール利得が変動してしまう問題となる。これに対して、本形態のようにほぼ100%の反射率に設定する場合には、あらかじめ十分余裕を持って長い領域にUVグレーティング6を形成しておけば、若干の屈折率変動があっても、常に反射率は100%となるため、反射率の変動を抑えることができる。このように本形態にUVグレーティング6を併せて用いる場合に、好ましい相乗効果が得られることとなる。
【0071】
<第2の実施の形態>
図7は、本発明の第2の実施の形態に係るゲインクランプ光増幅器を示す上面図である。同図に示すように、本形態に係るゲインクランプ光増幅器が第1の実施の形態と異なる点は、光増幅部11、入出力の光導波路12,13、グレーティング14、15を、ともに半導体で一括して形成したモノリシック構成とした点である。すなわち、光増幅部11の両側に形成した光導波路12、13をパッシブな光導波路としてを形成し、この光導波路12、13のコアの上面を電子ビーム露光によってレリーフ状に加工してグレーティング14、15を形成した。また、出力側の光導波路13のグレーティング形成領域はコア幅を拡大することによってマルチモード導波路領域15aとし、周囲のシングルモード導波路と緩やかな横方向テーパーによって接続した。入力側のグレーティング14は光導波路12に対して垂直の反射面を有する構造とした。
【0072】
一方、出力側は、グレーティング15の反射面を光導波路13の垂直方向に対して斜めに傾けたブレーズドグレーティングとした。グレーティング13の波長および反射率の設計や、動作は、第1の実施の形態とほぼ同様である。
【0073】
ただし、第1の実施の形態に係るハイブリッド構成では、図1に示すSOA素子4と石英系平面光導波路1との接続部で光結合損失が生じるため、UVグレーティング5、6の反射率は、この接続損失を加味して設計したのに対し、本形態のモノリシック構造では、図2に示す光増幅部11と入出力の光導波路12、13との接続損失は無視できる程度であるため、反射率の設定値は若干異なる。具体的には、第1の実施の形態と同様に、入力側、出力側のグレーティング14、15の光増幅部11に対する実効反射率を各々63%、13%としたため、入力側の透過率は37%となり、入力側のグレーティング12からは発振光が出力されることになる。一方、出力側のグレーティング13はブレーズドグレーティングとしたので、透過率は第1の実施の形態と同様にほぼ0%に設定できた。
【0074】
本形態のようなモノリシック構造も小型化の観点から有効である。
【0075】
なお、本形態では、入出力の光導波路12、13はパッシブな光導波路としたが、アクティブでも構わない。つまり、光増幅部11と入出力の光導波路12、13を一括してアクティブな導波路として形成してもよい。また、マルチモード導波路領域15aは横方向にコア幅を拡大した構造としたが、厚さ方向の拡大など他の構造でもよい。また、グレーティング14、15の構造も、コア上面のレリーフ加工である必要はない。例えば、コア側壁のレリーフ加工でもよい。また斜め角の設け方も面内方向に設ける必要はない。例えば文献3にあるように、垂直方向に斜めにグレーティングを形成してもよい。
【0076】
<第3の実施の形態>
図8は、本発明の第3の実施の形態に係るゲインクランプ光増幅器を示す上面図で、(a)が全体を示す図、(b)がその一部を拡大して示す図である。
【0077】
本形態は第1の実施の形態と同様に、SOA素子24を石英系平面光導波路21上の一領域に搭載・固定したハイブリッド集積型のゲインクランプ光増幅器であるが、第1の実施の形態と異なるのは、出力側のグレーティング(ブレーズドグレーティング)26として、所定の波長の光を反射し、それ以外を透過する、誘電体多層膜フィルタ26aを用いた点である。ここで、光導波路22は全領域にわたってシングルモード導波路である。なお、このような構成は、出力側の光導波路22の一部に、光導波路22を斜めに横断するようにダイシングソーによって幅50μm程度のダイシング溝26bを形成し、ここに誘電体多層膜フィルタ26aを挿入、樹脂固定することによって実現できる。
【0078】
図9は本形態に係るゲインクランプ光増幅器における出力側のグレーティング(ブレーズドグレーティング)の動作を説明するための模式図で、(a)が反射光の場合、(b)が透過光の場合である。同図に示すように、光導波路22から出射した光波は、樹脂で充填されたギャップを介して誘電体多層膜フィルタ26aに入射する。誘電体多層膜フィルタ26aの反射帯域にある波長の光波は反射され、それ以外の光波は透過して誘電体多層膜フィルタ26aの出力側の光導波路22へ結合する。反射光は再びSOA素子24側の光導波路22へ戻るが、このとき概ね斜め角2×θの角度ずれを生じているために、一部は再び光導波路22の基本モードに結合するが、残りの一部は放射モードとしてクラッドや上部空間へ放出されることとなる。そのため、SOA素子24側の光導波路22からみた反射率は、概略光導波路22の基本モードと反射光との重なり積分として計算できるので、適宜所望の反射率を得るように誘電体多層膜フィルタ26aの挿入角である斜め角θを設計すればよい。
【0079】
本形態も、出力側の波長選択性反射器は、導波路軸に対して反射面を斜めに形成したグレーティング(ブレーズドグレーティング)26であるため、本発明のブレーズドグレーティングの一形態と考えることができ、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。すなわち、斜め角θを適宜設定すれば、出力側での発振光の出力強度はほぼ0%に抑え、かつNFの良好なゲインクランプ光増幅器を実現できる。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のゲインクランプ光増幅器は、少なくとも出力側の波長選択性反射器としてブレーズドグレーティングを用いることを第一の特徴とする。これによって、グレーティングの透過率と光増幅器に対する実効反射率とを独立に制御できるようになった。また、第二の特徴は、上記ブレーズドグレーティングを設ける導波路領域のみをマルチモード導波路とすることである。これによって、石英系光導波路上のUVグレーティング等、導波路構造を有するグレーティングにおいても、反射波を放射モードへ容易に結合させることができ、実効反射率の調節が可能となった。
【0081】
これに加えて、透過率と実効反射率を独立に制御できるという上記発明の効果を利用して、次に挙げる適切な透過率、反射率の設計を行うことにより、望ましい性質を有するゲインクランプ光増幅器を実現できる。すなわち、少なくとも出力側のグレーティングの透過率を十分小さく設定することにより、発振光の出力強度を小さく抑えることが可能となり、このため、外部に高性能なフィルタを設けることが不要となった。透過率の典型的な値としては10%以下であれば一定の効果が期待できる。
【0082】
さらに、光増幅器に対する実効反射率を、出力側が入力側よりも十分小さくなるように設計することにより、通常ゲインクランプ光増幅器で問題となるNFの劣化を最小限に抑え、良好な雑音特性が得られることとなった。
なお、光増幅部から見た実効反射率は、出力側が入力側に対して、略1/4程度以下になるように設計することが好ましい。
【0083】
さらに、ブレーズドグレーティングは、石英系平面光導波路に形成したUVグレーティングであることが有効である。なぜなら、石英系光導波路は上記のような一部のみマルチモードの導波路構造を容易かつ精度よく作製するのに適しており、またUVグレーティングも、上記ブレーズドグレーティングを容易に形成することができるからである。さらに本発明の反射率の設計は、100%に近いものであるので、UVグレーティングの経時変化を抑制できるという相乗効果もある。
【0084】
したがって、本発明により、発振光の出力強度が小さく、小型・高性能かつ安価なゲインクランプ光増幅器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るゲインクランプ光増幅器を示す上面図で、 (a)が全体を示す図、(b)がその一部を拡大して示す図である。
【図2】上記第1の実施の形態における入力側、出力側グレーティングの反射率設計例を示す模式図、(a)が入力側、(b)が出力側である。
【図3】上記第1の実施の形態に係るゲインクランプ光増幅器における出力側のUVグレーティング(ブレーズドグレーティング)の動作を説明するための模式図で、(a)が反射光の場合、(b)が透過光の場合である。
【図4】上記第1の実施の形態に係るゲインクランプ光増幅器のUVグレーティング (ブレーズドグレーティング)の透過、反射スペクトルの計算例を説明するための説明図であり、(a)はこの部分の構造図、(b)乃至(d)は各斜め角θにおける特性図である。
【図5】図4との比較のために、シングルモード導波路にブレーズドグレーティングを形成した場合の透過、反射スペクトルの計算例を示す説明図である。
【図6】上記第1の実施の形態に係るゲインクランプ光増幅器の出力光スペクトラムの一例を示す特性図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るゲインクランプ光増幅器を示す上面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係るゲインクランプ光増幅器を示す上面図で、 (a)が全体を示す図、(b)がその一部を拡大して示す図である。
【図9】上記第3の実施の形態に係るゲインクランプ光増幅器における出力側のグレーティング(ブレーズドグレーティング)の動作を説明するための模式図で、(a)が反射光の場合、(b)が透過光の場合である。
【図10】従来のゲインクランプSOAの一構成例の概略を示す上面図である。
【図11】従来のゲインクランプSOAの出力光スペクトラムの一例を示す特性図である。
【符号の説明】
1 石英系平面光導波路
2 光導波路
2a シングルモード導波路
2c マルチモード導波路
4 SOA素子
5、6 UVグレーティング
11 光増幅部
12、13 光導波路
14、15 グレーティング
15a マルチモード導波路領域
21 石英系平面光導波路
22 光導波路
24 SOA素子
25 UVグレーティング
26 グレーティング
26a 誘電体多層膜フィルタ
26b ダイジング溝
Claims (4)
- 光入力端および光出力端を有する光増幅部と、該光入力端および光出力端に接続された光導波路と、該光導波路の一部に設けられ、所定の波長の光を反射する波長選択性反射器とを含み、
少なくとも前記光増幅部の光出力端側に設けられた前記波長選択性反射器が、反射する光波の一部のみを前記光増幅器に戻し、残りの一部を放射するブレーズドグレーティングであり、
前記光出力端に接続された光導波路は、少なくとも前記所定の波長において、2つ以上の異なる伝播モードを有するマルチモード導波路部分と、当該マルチモード導波路部分の両端に接続されたシングルモード導波路部分とを備え、
前記ブレーズドグレーティングは、前記マルチモード導波路部分に形成され、
前記マルチモード導波路部分は、前記ブレーズドグレーティングのブラッグ波長より短波長側の反射波が、前記マルチモード導波路部分の高次モードに結合することによって、前記シングルモード導波路部分と前記マルチモード導波路部分との接続部で放射されるように設計されている
ことを特徴とするゲインクランプ光増幅器。 - 少なくとも前記光増幅部の光出力端側に設けられた前記波長選択性反射器の透過率が10%以下である
ことを特徴とする請求項1に記載のゲインクランプ光増幅器。 - 前記光増幅部の光出力端から出力された前記所定の波長の光が、再び前記光出力端を介して前記光増幅部に戻る出力側実効反射率が、
前記光増幅部の光入力端から出力された前記所定の波長の光が、再び前記光入力端を介して前記光増幅部に戻る入力側実効反射率よりも小さい
ことを特徴とする請求項1に記載のゲインクランプ光増幅器。 - 前記波長選択性反射器は、石英系平面光導波路上に設けた紫外光誘起グレーティングである
ことを特徴とする請求項1〜3に記載のゲインクランプ光増幅器。
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