JP4106957B2 - クランプ機構及び処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ等の被処理体に所定の処理を施す処理装置及びクランプ機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体集積回路を製造するには、半導体ウエハ等の被処理体に、成膜処理、エッチング処理、熱処理、改質処理、結晶化処理等の各種の処理を繰り返し行なって、所望する集積回路を形成するようになっている。上記したような各種の処理を行なう場合には、その処理の種類に対応して必要な処理ガス、例えば成膜処理の場合には成膜ガスを、改質処理の場合にはオゾンガス等を、結晶化処理の場合にはN ガス等の不活性ガスやO ガス等をそれぞれ処理容器内へ導入する。
例えば半導体ウエハに対して1枚毎に熱処理を施す枚葉式の処理装置を例にとれば、真空引き可能になされた処理容器内に、薄い載置台を設置し、この上面に半導体ウエハを載置した状態で下方より加熱ランプで加熱しつつ所定の処理ガスを流し、ウエハに各種の熱処理を施すようになっている。
【0003】
ところで、この載置台には、周知のように処理容器内へ搬入されてきたウエハを載置台上に移載するために上下方向へ出没可能になされた押し上げピンが設けられており、これを昇降させることにより、ウエハを載置台上に載置したり、或いは逆に、載置台上のウエハを上方へ突き上げたりできるようになっている。そして、載置台上のウエハは、その周縁部をリング状のクランプリング部材で載置台側に押し付けて固定され、処理中にこのウエハが位置ずれしないようにしている。
【0004】
この点について、図12を参照して詳しく説明する。
図12は一般的な枚葉式の処理装置を示す構成図、図13はクランプリング部材を示す平面図である。図12に示すように、例えば真空引き可能になされた処理容器2内には、半導体ウエハWを載置する載置台4が設けられると共に、この対向側にはシャワーヘッド部6が設けられて所定の処理ガスを供給する。また、載置台4の下方であって、処理容器2の底部側には透過窓10を介して加熱手段として加熱ランプ8が設けられて、上記ウエハWを加熱するようになっている。
また、上記載置台4の直下には、アクチュエータ14により一体的に昇降可能になされた複数、例えば3本のリフタピン12(図示例では2本のみ記す)が設けられ、このリフタピン12の先端が載置台4に設けたピン孔16に挿通されてウエハWをその下面より持ち上げたり、持ち下げたりできるようになっている。
【0005】
そして、このリフタピン12と一体的に、載置台4の外側に位置させてシャフト部材18が設けられる。このシャフト部材18は、バネの如き弾発部材により上下方向へ出没可能になされている。そして、このシャフト部材18の上端部に例えば金属汚染の少ない、しかも熱伸縮も少ない窒化アルミ(AlN)等のセラミックよりなる円形リング状のクランプリング部材20が取り付けられており、このクランプリング部材20の内側周縁部が上記ウエハWの周縁部の上面と当接してこのウエハWを載置台4側に押圧固定するようになっている。この場合、図13にも示すように、リング状のクランプリング部材20にはその周方向に沿って略等間隔で例えば3つの円形の取付孔22が形成されており、この各取付孔22に上記シャフト部材18の上端部を挿通させて取り付けるようになっている。
【0006】
この場合、このクランプリング部材20はプロセス条件にもよるが、例えば成膜処理を行う場合には400〜700℃程度の高温に晒されることから、上述のようにこのクランプリング部材20の材料として熱伸縮の少ないセラミックを用いているといえども、ある程度の熱伸縮が発生することは避けられない。このため、上記シャフト部材18の直径D1が、例えば2mm程度であるのに対して取付孔22の直径D2を例えば2.5mm程度に設定してかなり大きくし、上述のようにクランプリング部材20が面内方向に熱伸縮しても、その熱伸縮量を、上記したように取付孔22の直径D2を、熱伸縮量に対してかなり大きく設定することにより許容して吸収し、クランプリング部材20やシャフト部材18の破損等を防止するようになっている。尚、クランプリング部材20のサイズ、温度にもよるが、その熱伸縮量は0.3〜0.5mm程度である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、半導体製造工程の更なる高集積化、高微細化、高スループット化及び高歩留り化等の要請により、図14に示すようにリング状のクランプリング部材20の内側周縁部がウエハWの周縁部上面を押さえ込む重なり部分の幅L1はより狭くなり、例えば現状ではこの幅L1は略1mm程度になっている。そして、上述のように、取付孔22の直径D2は、シャフト部材18の直径D1に対してかなり大きく設定されているので、クランプリング部材20の遊び量が多くなって載置台4上のウエハWに対して上記クランプリング部材20の位置が一定せずに定まらずにばらついてしまい、上記幅L1が、ウエハWの一端部側では大きくなったり他端部側では小さくなったりしてしまう。このため、ウエハ外周端において本来は薄膜が付着すべきではない所にも不要な膜が付着したりし、この不要な膜が後工程等において剥がれ落ちてパーティクルになったりし、ウエハWの歩留りを低下させる等の問題を引き起こしていた。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、クランプリング部材の位置のバラツキを抑制することが可能なクランプ機構及び処理装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、処理容器内の載置台上に載置された被処理体をクランプするためのクランプ機構において、昇降可能になされた昇降ロッドと、前記昇降ロッドの先端に片持ち支持されて前記載置台の円周方向に沿って円弧状、或いはリング状に延びる保持板と、前記保持板に、その長さ方向に沿って配置されて弾発部材により上下方向へ弾性的に出没可能に設けられた少なくとも3本のシャフト部材と、リング状に成形されると共に前記少なくとも3本のシャフト部材に対応させて少なくとも3つの取付孔が形成され、前記取付孔に前記シャフト部材の先端部をそれぞれ挿通させて係合されると共に、前記被処理体の周縁部と接触して前記被処理体をクランプするクランプリング部材とを備え、前記少なくとも3つの取付孔の内の1つは、小穴として形成され、前記他の少なくとも2つの取付孔の内のいずれかの取付孔は前記小穴に向けて所定の長さを有する長穴として形成され、前記残りの取付孔は、その内径が前記小穴よりも大きくなされた大穴として形成され、前記小穴は、前記少なくとも3つのシャフト部材の内、前記昇降ロッドと前記保持板との接合部に最も近いシャフト部材に対応する前記取付孔であることを特徴とするクランプ機構である。
【0009】
このように、シャフト部材を挿通させる3つの取付孔を、小穴と、長穴と、大穴の3種類に設定することにより、リング状のクランプリング部材の熱伸縮方向が一定方向となるように規制することが可能となる。従って、クランプリング部材の熱伸縮方向が一定方向となるように規制されるので、クランプリング部材の位置のバラツキの発生を抑制することが可能となり、特に成膜処理時に不必要な部分に膜が付着することが抑制されてパーティクルの発生も防止することが可能となる。
また、この場合、例えば請求項2に規定するように、前記シャフト部材の外径は数mm程度であり、前記小穴の内径と前記シャフト部材の外径の差は略0.1mm程度であり、前記大穴の内径と前記シャフト部材の外径の差は略1.0mm程度であり、前記長穴の幅方向の長さと前記シャフト部材の外径の差は略0.1mm程度であると共に前記長穴の長さ方向の長さと前記シャフト部材の外径の差は数mm程度である。
【0010】
本発明の関連技術は、処理容器内の載置台上に載置された被処理体をクランプするためのクランプ機構において、前記載置台の中心部に対応させて設けられて昇降可能になされた昇降ロッドと、前記昇降ロッドの先端部に設けられて前記載置台の半径方向へ延びる保持板と、前記保持板の先端に配置されて、弾発部材により上下方向へ弾性的に出没可能に設けられた少なくとも3本のシャフト部材と、リング状に成形されると共に前記少なくとも3本のシャフト部材に対応させて少なくとも3つの取付孔が形成され、前記取付孔に前記シャフト部材の先端部をそれぞれ挿通させて係合されると共に、前記被処理体の周縁部と接触して前記被処理体をクランプするクランプリング部材とを備え、前記各取付孔は、前記載置台の中心に向けて所定の長さを有する長穴として形成されることを特徴とするクランプ機構である。
【0011】
このように、シャフト部材を挿通させる3つの取付孔を、載置台の中心に向けて所定の長さを有する長穴に設定することにより、リング状のクランプリング部材の熱伸縮方向が一定方向となるように規制することが可能となる。従って、クランプリング部材の熱伸縮方向が一定方向となるように規制されるので、クランプリング部材の位置のバラツキの発生を抑制することが可能となり、特に成膜処理時に不必要な部分に膜が付着することが抑制されてパーティクルの発生も防止することが可能となる。
【0012】
この場合、例えば前記各長穴の幅方向の長さと前記シャフト部材の外径の差は略0.1mm程度であると共に前記長穴の長さ方向の長さと前記シャフト部材の外径の差は数mm程度である。
また、例えば請求項3に規定するように、前記クランプリング部材はセラミックよりなる。
また、例えば請求項4に規定するように、前記シャフト部材は、前記保持板に接合固定されたシャフト容器内に、その一部が収容されると共に、前記弾発部材は前記シャフト容器内に収容されている。
また、例えば請求項5に規定するように、前記シャフト容器には、先端が前記被処理体の下面と接触して前記被処理体を持ち上げる、或いは持ち下げるリフタピンが設けられる。
【0013】
請求項6に係る発明は、上記クランプ機構を有する処理装置であり、すなわち、被処理体に所定の処理を施すために排気が可能になされた処理容器と、前記被処理体を載置する載置台と、処理ガスを導入するガス供給手段と、前記被処理体を加熱する加熱手段と、上記請求項1乃至5のいずれか一項に記載のクランプ機構と、を備えたことを特徴とする処理装置である。
この場合、例えば請求項7に規定するように、前記加熱手段は、加熱ランプ或いは抵抗加熱ヒータよりなる。
また、例えば請求項8に規定するように、前記所定の処理は成膜処理である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るクランプ機構及び処理装置の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る処理装置の一実施例を示す断面図、図2は載置台を示す斜視図、図3はクランプリング部材を除いたクランプ機構の全体を示す斜視図、図4はクランプリング部材を示す平面図、図5はクランプリング部材に設けた取付孔を示す拡大図、図6はクランプ機構の動作を説明するための動作説明図である。
まず、本発明の処理装置について説明する。本実施例では、処理装置30として加熱ランプを用いた高速昇温が可能な枚葉式の成膜装置を例にとって説明する。
【0015】
この処理装置30は、例えばアルミニウム等により円筒状或いは箱状に成形された処理容器32を有している。この処理容器32内には、図2にも示すように処理容器底部より起立させた円筒状の支柱34上に、例えば断面L字状の保持部材36を介して被処理体としての半導体ウエハWを載置するための載置台38が設けられている。この支柱34は、アルミニウム等により構成され、保持部材36は、熱線透過性の材料、例えば石英により構成されており、また、載置台38は、厚さ1mm程度の例えばカーボン素材、アルミ化合物等により構成されている。そして、支柱34の内面は、例えば研磨されて、熱線を反射する反射面になされると共に、その上部には、後述するクランプ機構のシャフト部材の上下動を許容する昇降用溝部40が略等間隔で3ヵ所設けられている(図2参照)。また、この支柱34には、この内側にN2 ガス等の不活性ガスを導入するパージガス導入通路42が形成されている。
【0016】
この載置台38の下方には、複数本、例えば3本のL字状になされたリフタピン43が上方へ起立させて設けられており、後述するように、このリフタピン43を上下動させることにより、上記リフタピン43を載置台38に貫通させて設けた3つのリフタピン穴45に挿通させてウエハWを持ち上げ、或いは持ち下げ得るようになっている。
また、載置台38の直下の処理容器底部には、石英等の熱線透過材料よりなる透過窓44が気密に設けられており、この下方には、透過窓44を囲むように箱状のランプ室46が設けられている。このランプ室46内には加熱手段として複数の加熱ランプ48が反射鏡も兼ねる回転台50に取り付けられており、この回転台50は、回転軸を介してランプ室46の底部に設けた回転モータ52により回転される。従って、この加熱ランプ48より放出された熱線は、透過窓44を透過して載置台38の下面を照射してこれを加熱し得るようになっている。
【0017】
また、載置台38の外周側には、整流孔54を有するリング状の整流板56が、上下方向に環状に成形された支持コラム58により支持させて設けられている。この整流板56の内周側には、後述するクランプリング部材60の外周部と接触してこの下方にガスが流れないようにするリング状の石英製アタッチメント62が設けられる。上記整流板56の下方の底部には排気口64が設けられ、この排気口64には図示しない真空ポンプに接続された排気路66が接続されており、処理容器32内を所定の真空度に維持し得るようになっている。
【0018】
一方、上記載置台38と対向する処理室天井部には、成膜用ガスやクリーニングガス等の必要ガスを処理容器32内へ導入するためのガス供給手段としてシャワーヘッド部68が設けられている。具体的には、このシャワーヘッド部68は、例えばアルミニウム等により円形箱状に成形されたヘッド本体70を有し、この天井部にはガス導入口72が設けられている。
ヘッド本体70の下面であるガス噴出面74には、ヘッド本体70内へ供給されたガスを放出するための多数のガス噴出孔76が面内に均等に配置されており、ウエハ表面に亘って均等にガスを放出するようになっている。また、ヘッド本体70内には、上下2段に拡散板78、80が所定の間隔を隔てて配置されており、複数の拡散室を形成している。この拡散板78、80には、それぞれ複数の拡散孔78A、80Aが形成されており、各拡散室へ導入したガスを水平方向へ拡散し得るようになっている。
【0019】
また、この処理容器32の側壁には、この中へウエハWを搬入、或いは搬出する際に開閉されるゲートバルブGが設けられており、例えば真空引き可能になされたロードロック室や搬送室82に連結されている。
そして、上記載置台38上に載置されるウエハWを位置ずれしないようにこれを保持するために本発明の特徴とするクランプ機構84が設けられる。具体的には、このクランプ機構84は、上記ウエハWの直径よりも1廻り大きな直径を有し、且つその厚さが薄くなされたリング状のクランプリング部材60(図4参照)を有している。このクランプリング部材60は、ウエハWに対する金属汚染の恐れが非常に少なく、且つ耐熱性に優れてその熱伸縮量も小さな材料、例えば窒化アルミ等のセラミックにより形成されている。このクランプリング部材60の内径は上記ウエハWの直径よりも僅かに小さく設定されると共に、その内側端面には、図6にも示すようにウエハWの周縁部の上面と接触してこれを下方向へ押圧するための押圧テーパ面88が周方向に沿って形成されている。
【0020】
このリング状のクランプリング部材60には、図4にも示すようにその周方向に沿って略等間隔で3つの取付孔90A、90B、90Cが形成されており、これらの各取付孔90A〜90Cにはそれぞれシャフト部材92A、92B、92Cが挿通されて各シャフト部材92A〜92Cの先端部に取り付け固定されている。これらのシャフト部材92A〜92Cは、図3にも示すようにシャフト昇降機構94の一部を構成している。このシャフト昇降機構94は、円形リング状に成形された例えば酸化アルミニウム等のセラミックよりなる保持板96を有しており、この保持板96の一側の下面は、上下方向に延びる一本の昇降ロッド98の上端に接合固定されて片持ち支持されている。この昇降ロッド98の下端は、処理容器32内の気密状態を保持するために伸縮可能なベローズ100を介してアクチュエータ102(図1参照)に接続されている。
【0021】
上記リング状の保持板96の内周側には、その周方向に沿って略等間隔で3つの例えば石英製のアーム部材104A、104B、104Cが設けられており、各アーム部材104A〜104Cには、同じく石英製の円筒体状のシャフト容器106A、106B、106C(図3参照)がそれぞれ取り付けられている。尚、図3中においてアーム部材104Bは、シャフト容器106Bの影に隠れて見えない状態となっている。
そして、この各シャフト容器106A〜106Cの内側面に前述したリフタピン12が取付け固定されている。ここで各シャフト容器106A〜106Cの内部構造は図6に示すように構成されている。各シャフト容器106A〜106Cの内部構造は、全く同一に形成されているので、ここでは代表として1つのシャフト容器106Aを例にとって説明する。
【0022】
このシャフト容器106Aは、前述のように円筒体状に成形されており、その外側の一部には、上方へ突出したストッパ突部108が形成されている。そして、このシャフト容器106A内に上記シャフト部材92Aの基部が収容される。このシャフト部材92Aは、例えばNi合金等の金属材料よりなり、下方へは直径が小さくなされた芯棒110が延びている。この芯棒110は、このシャフト容器106A内の、その内径を小さくしたストッパ部112の開口を介して下方に延びている。そして、この芯棒110に、コイルバネのような弾発部材114をやや圧縮した状態で装着してその下端にストップ部材116とCリング118を取り付けている。これにより、上記シャフト部材92Aは常時下方向へ付勢された状態となっている。
【0023】
また、前述のようにこのシャフト部材92Aの上端部は、クランプリング部材60に設けた取付孔90Aを貫通しており、このシャフト部材92Aの上端部に設けた凹部120に例えばCリング122を嵌め込むことによって、このクランプリング部材60が上方へ抜けないように取り付けている。
ここで、上記クランプリング部材60に設けた各取付孔90A〜90Cの寸法について詳しく説明する。すなわち、図3及び図4にも示すように、上記3つのシャフト部材92A〜92Cの内の1つのシャフト部材に対応する取付孔、ここでは、上記昇降ロッド98と上記保持板96との接合部124に最も近いシャフト部材に対応する上記取付孔90Aは、その内径が小さい小穴126Aとして形成され、前記他の2つの取付孔の内のいずれか一方の取付孔92Bは上記小穴126Aに向けて所定の長さを有する長穴126Bとして形成され、上記残りの取付孔92Cは、その内径が大きい大穴126Cとして形成されている。尚、ここでは、上記接合部124に最も近い取付孔は、3つの取付孔90A〜90Cの内の取付孔90Aであると仮定する。また、この場合、2つの取付孔90B、90Cの内、取付孔90Bを大穴126Cとし、取付孔90Cを長穴126Bとしてもよい。
【0024】
具体的には、図4に示すように上記各シャフト部材92A〜92Cの直径D5は例えば3mm程度にそれぞれ設定されている。そして、上記小穴126Aは円形に成形されてその内径D6は3.1mm程度に設定されており、両者間の全体の隙間は僅か0.1mm程度である(図5(A)参照)。これに対して、上記大穴126Cは円形に成形されてその内径D8は4.0mm程度に設定されており、シャフト部材92Cとの間の全体の隙間は1.0mm程度である(図5(C)参照)。
また、上記長穴126Bは、上述のようにその長さ方向を示す矢印128が上記小穴126Aに向かうように成形されており、幅方向の内径DS7は上記内径D6と同じ3.1mm程度に設定され、これに対して、長さ方向の内径DL7は7.0mm程度に設定されて、上記シャフト部材92Bとの間の全体の隙間は4.0mm程度になるように設定される(図5(B)参照)。これにより、後述するように、クランプリング部材60が熱伸縮する場合に、シャフト部材92Aを基準として熱伸縮し、且つシャフト部材92Bの部分ではこの長穴126Bの長さ方向128に沿って熱伸縮が発生するように熱伸縮方向が規制されるようになっている。
【0025】
すなわち、ここで上記小穴126Aは、これに挿通させるシャフト部材92Aの径より僅かに1廻り大きい内径の穴でシャフト部材92Aを略接した状態で挿通できる穴であり、大穴126Cはこれに挿通されるシャフト部材92Cの径よりもかなり大きな直径の穴でシャフト部材92Cを遊嵌状態で挿通できる穴である。また、長穴126Bは、幅方向に関しては、これに挿通されるシャフト部材92Bの直径より僅かに大きい内径でシャフト部材92Bを略接した状態で挿通でき、且つ長さ方向に関してはシャフト部材92Bの直径よりもかなり大きくてクランプリング部材60の熱伸縮量を十分に吸収できるような長さを有する穴である。
【0026】
次に、以上のように構成された本実施例の動作について説明する。
まず、ロードロックロック室、或いは搬送室82内に収容されている未処理の半導体ウエハWを処理容器32に開放されたゲートバルブGを介して搬入し、リフタピン43を押し上げた状態で上記ウエハWをリフタピン43側に受け渡す(この時の状態を図6(A)に示す)。そして、このリフタピン43を、昇降ロッド98を下げることによって降下させてウエハWを持ち下げ、このウエハWを載置台38上に載置すると共に更に昇降ロッド98を下げることによってウエハWの周縁部をクランプリング部材60の押圧テーパ面88で押圧してこれを固定する(この時の状態を図6(B)に示す)。
【0027】
このようにして、ウエハWを載置台38上に載置固定したならば、処理容器32内を密閉し、そして、処理容器32内を真空排気しつつランプ室46内の加熱ランプ48を点灯しながら回転させ、熱エネルギを放射する。
放射された熱線は、透過窓44を透過した後、載置台38の裏面を照射してこれを加熱する。この載置台38は、前述のように1mm程度と非常に薄いことから迅速に加熱され、従って、この上に載置してあるウエハWを迅速に所定の温度まで加熱することができる。
ウエハWがプロセス温度、例えば略460℃に達したならば、処理ガスとして例えば成膜ガスであるWF6 ガスやH2 ガス等をシャワーヘッド部68より処理容器32内へ供給し、タングステン膜などの成膜処理を所定の時間行うことになる。そして、成膜処理が完了したならば、上記した操作と逆の処理を行って、処理済みのウエハWを処理容器32の外へ搬出することになる。
【0028】
ここで、上記クランプ機構84の動作を詳述する。
図3及び図6に示すように、昇降ロッド98を降下させると、保持板96が降下するので、これに取り付けられている各シャフト容器106A〜106C及びこれに設けられるリフタピン43、シャフト部材92A〜92C及びクランプリング部材60等も一体的に降下する。この時、リフタピン43で支持されているウエハWも持ち下げられ、このウエハWが最初に載置台38上に載置される。
そして、更に降下が進んでクランプリング部材60の押圧テーパ面88が図6(B)に示すようにウエハWの周縁部に当接し、更に降下するとシャフト容器106A内の弾発部材114が圧縮されることでシャフト部材92A〜92Cが停止した状態で各シャフト容器106A〜106Cが所定の位置まで降下する。これにより、ウエハWの周縁部は、圧縮された弾発部材144の復元力によって載置台38上に固定されることになる。
【0029】
さて、このような状態で所定の処理、例えば成膜処理を行うと、特にウエハWと直接接触しているクランプリング部材60もウエハWの温度と略同じ温度、例えばプロセス条件にもよるが460℃程度まで上昇し、このクランプリング部材60が熱伸縮することは避けられない。
この場合、シャフト部材92Aは小穴126Aとして形成されてシャフト部材92Aとの間の間隙は非常に僅かな隙間、例えば0.1mm程度しか余裕がないので、このリング状のクランプリング部材60は、シャフト部材92Aを基準点として平面的に熱伸縮することになる。
【0030】
ここで、取付孔90Bは長穴126Bとして形成されているので、この長穴126Bとこれに挿通されているシャフト部材92Bとの相対移動は、長穴126Bの長さ方向128(図4参照)へは許容されるが、幅方向へは規制されることになる。従って、上述のようにクランプリング部材60が熱伸縮した場合に、上記2つのシャフト部材92A、92B間では、常に互いの方向に向かう熱伸縮が発生するようにその方向が規制されることになる。図7はクランプリング部材60が熱膨張した時の状態を示しており、長穴126B内のシャフト部材92Bは、相対的にシャフト部材92A側に近づいた様に見える。また、大穴126C内のシャフト部材92Cも相対的にシャフト92A側に近づいた様に見える。
【0031】
このように、2点間での熱伸縮方向が定まれば、クランプリング部材60が熱膨張した時のこの内周側の円形の輪郭は常に一定の位置にくるように定まることになり、ウエハWに対する位置ずれが発生することを防止することが可能となる。ここで、残りの取付孔90Cは大穴126Cとしており、これに挿通されるシャフト部材92Cのクランプリング部材60に対する位置規制は何ら行っていないが、これは上述したように、2つのシャフト部材92A、92Bの作用によりクランプリング部材60の熱膨張時の位置が一義的に定まるからである。
また、上記長穴126Bの長さD7は、両シャフト部材92A、92B間のクランプリング部材60の熱伸縮量よりも大きく設定されているのは勿論である。
【0032】
このように、載置台38上のウエハWに対する熱膨張時のクランプリング部材60の内周端の位置を、位置ずれやバラツキを生ぜしめることなく常に一定にでき、従って、ウエハWの周縁部のエリアに正確に位置決めしてこれを保持することができる。このため、例えば成膜処理時に不必要な部分に膜が付着することが抑制されて、パーティクルの発生も防止することが可能となる。
また、実際には、クランプリング部材60よりもかなり離れたリング状の保持板96も熱伸縮するが、この保持板96の温度はクランプリング部材60の温度よりもかなり低いので、その熱伸縮量はクランプリング部材60の熱伸縮量よりも遥かに少ない。しかも、この保持板96は、これと昇降ロッド98との接合部124(図3参照)を基準とて熱伸縮し、しかも、この接合部124に最も近い所に位置するシャフト部材、すなわちここではシャフト部材92Aを挿通する取付孔90Aを小穴126Aとしてここをクランプリング部材60の熱伸縮の基準としているので、上記接合部124とシャフト部材92Aとの間の熱伸縮量は、上記接合部124と他のシャフト部材92B、92Cとの間の熱伸縮量よりも遥かに少なくなっており、そして、この相対位置ずれ量が最も少ないシャフト部材92Aを基準としてクランプリング部材60は熱伸縮するので、この熱伸縮に伴って発生するズレを最小限にすることができる。
【0033】
実際に、直径200mmウエハ対応のクランプリング部材60(外径は250mm、内径は198mm)を上述したような寸法で作製してその評価を行ったところ、従来構造のクランプ機構のクランプリング部材のガタ或いはズレは±0.25mm程度であったのに対して、本発明のクランプ機構のクランプリング部材60のガタ或いはズレは±0.1mm程度になっており、大幅に改善できたことが判明した。
尚、今までの説明においては、3本のシャフト部材92A〜92Cと、これに対応した3つの取付孔90A〜90Cを有するクランプリング部材60を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば図8に示すように、シャフト部材が4本、或いは5本設けた場合でも、小穴、長穴、大穴を適宜組み合わせて設けることができる。例えば図8(A)に示す場合は、4つのシャフト部材92A〜92Dを設け、これに対応させて4つの取付孔90A〜90Dを等間隔(90度間隔)で設けた場合を示している。ここでは、小穴126Aに対してリング部材中心に対して対称に設けた取付孔90Cを長穴126Bとし、他の残りの2つの取付孔90B、90Dをそれぞれ大穴126Cとしている。
【0034】
また、図8(B)に示す場合は、5つのシャフト部材92A〜92Eを設け、これに対応させて5つの取付孔90A〜90Eを等間隔(72度間隔)で設けた場合を示している。ここでは、小穴126Aに対してリング部材中心に対して142度開いた角度方向に設けた取付孔90Cを長穴126Bとし、他の残りの3つの取付孔90B、90D、90Eをそれぞれ大穴126Cとしている。尚、ここで、図8(B)中において上記取付孔90Cに代えて、取付孔90Dを長孔126Bとしてもよい。
また、上記実施例では、加熱手段として加熱ランプ48を用いた場合を例にとって説明したが、これに限定されず、加熱手段として載置台に設けた抵抗加熱ヒータを用いた場合にも本発明を適用することができる。
【0035】
図9は上述のように構成された本発明の変形例の処理装置を示す構成図、図10は図9に示す処理装置に用いるクランプ機構の一部を示す斜視図、図11はクランプリング部材を示す平面図である。尚、図1〜図7において説明した部分と同一構成部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
図9に示すように、この処理装置130においては、載置台132は例えばアルミ合金等により厚く成形されてその内部に加熱手段として抵抗加熱ヒータ134がパターン化されて内蔵されている。そして、この載置台132が筒体状の支柱136により容器底部より支持されている。
【0036】
そして、ベローズ100により処理容器32内を気密に昇降する昇降ロッド98は処理容器32の底部の中心部に設けられており、この昇降ロッド98の上端部には、図10に示すように略等間隔で三方向に半径方向外方にアーム状に延びる保持板140が取り付け固定されている。そして、上述のように三方向に延びるアーム状の保持板140の各先端部に、リフタピン43、シャフト部材92A〜92C等を有する各シャフト容器106A〜106Cが取り付け固定されている。
そして、このシャフト容器106A〜106Cに弾性的に出没可能に設けられるシャフト部材92A〜92Cの上部にクランプリング部材60が取り付けられる(図11参照)。この場合、各シャフト部材92A〜92Cを挿通して固定する各取付孔124A〜124Cは、先の実施例の場合には、小穴、長穴、大穴のように種々の形状になされたが、ここでは図11に示すように各取付孔124A〜124Cは、先の実施例の長穴126B(図4参照)と同様な長さ及び幅の長穴144として形成する。ただし、この場合、各長穴144の長さ方向は、クランプリング部材60或いは載置台132の中心P1に向けるように設定する。
【0037】
このように構成することにより、リング状のクランプリング部材60は、その周方向への移動乃至位置ズレが規制されて、各シャフト部材92A〜92Cが挿通される各長穴144は、その長さ方向のみに相対移動の方向が規制されることになる。従って、クランプリング部材60の熱伸縮はクランプリング部材60の中心方向乃至半径方向へ拡縮することで許容されることになる。
従って、この変形例の場合にも、先の実施例と同様な作用を示すことができ、すなわちクランプリング部材60の位置のバラツキの発生を抑制することが可能となり、特に成膜処理時に不必要な部分に膜が付着することが抑制されてパーティクルの発生も防止することが可能となる。
【0038】
尚、以上の各実施例で説明した各寸法は単に一例を示したに過ぎず、上述したものに限定されないのは勿論である。また、ここでは熱CVDにより薄膜を成膜する処理装置を例にとって説明したが、これに限定されず、プラズマCVDにより成膜する処理装置、酸化拡散を行う処理装置、スパッタを行う処理装置、改質処理を行う処理装置等、クランプリング部材を用いる処理装置には全て本発明を適用できるのは勿論である。
更には、上記実施例においては、被処理体として半導体ウエハを例にとって説明したが、これに限定されず、ガラス基板、LCD基板等にも適用し得るのは勿論である。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のクランプ機構及び処理装置によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
クランプリング部材の熱伸縮方向が一定方向となるように規制されるので、クランプリング部材の位置のバラツキの発生を抑制することができ、特に成膜処理時に不必要な部分に膜が付着することが抑制されてパーティクルの発生も防止することができる。
特に昇降ロッドと保持板との接合部に最も近いシャフト部材に対応する取付孔を熱伸縮の基準となる小穴となるように設定したので、この接合部と上記最も近いシャフト部材との間の熱伸縮量は、上記接合部と他のシャフト部材との間の熱伸縮量よりも遥かに少なくなっており、そして、この相対位置ずれ量が最も少ないシャフト部材を基準としてクランプリング部材は熱伸縮するので、この熱伸縮に伴って発生するズレを最小限にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る処理装置の一実施例を示す断面図である。
【図2】載置台を示す斜視図である。
【図3】クランプリング部材を除いたクランプ機構の全体を示す斜視図である。
【図4】クランプリング部材を示す平面図である。
【図5】クランプリング部材に設けた取付孔を示す拡大図である。
【図6】クランプ機構の動作を説明するための動作説明図である。
【図7】クランプリング部材が熱膨張した時の状態を示す図である。
【図8】クランプリング部材の他の変形例を示す平面図である。
【図9】本発明の変形例の処理装置を示す構成図である。
【図10】図9に示す処理装置に用いるクランプ機構の一部を示す斜視図である。
【図11】クランプリング部材を示す平面図である。
【図12】一般的な枚葉式の処理装置を示す構成図である。
【図13】クランプリング部材を示す平面図である。
【図14】リング状のクランプリング部材がウエハの周縁部を押さえ込む状態を示す図である。
【符号の説明】
30 処理装置
32 処理容器
38 載置台
43 リフタピン
45 リフタピン穴
48 加熱ランプ(加熱手段)
60 クランプリング部材
68 シャワーヘッド部(ガス供給手段)
84 クランプ機構
90A〜90C 取付孔
92A〜92C シャフト部材
94 シャフト昇降機構
96 保持板
98 昇降ロッド
106A〜106C シャフト容器
114 弾発部材
124 接合部
126A 小穴
126B 長穴
126C 大穴
W 半導体ウエハ(被処理体)

Claims (8)

  1. 処理容器内の載置台上に載置された被処理体をクランプするためのクランプ機構において、
    昇降可能になされた昇降ロッドと、
    前記昇降ロッドの先端に片持ち支持されて前記載置台の円周方向に沿って円弧状、或いはリング状に延びる保持板と、
    前記保持板に、その長さ方向に沿って配置されて弾発部材により上下方向へ弾性的に出没可能に設けられた少なくとも3本のシャフト部材と、
    リング状に成形されると共に前記少なくとも3本のシャフト部材に対応させて少なくとも3つの取付孔が形成され、前記取付孔に前記シャフト部材の先端部をそれぞれ挿通させて係合されると共に、前記被処理体の周縁部と接触して前記被処理体をクランプするクランプリング部材とを備え、
    前記少なくとも3つの取付孔の内の1つは、小穴として形成され、前記他の少なくとも2つの取付孔の内のいずれかの取付孔は前記小穴に向けて所定の長さを有する長穴として形成され、前記残りの取付孔は、その内径が前記小穴よりも大きくなされた大穴として形成され、前記小穴は、前記少なくとも3つのシャフト部材の内、前記昇降ロッドと前記保持板との接合部に最も近いシャフト部材に対応する前記取付孔であることを特徴とするクランプ機構。
  2. 前記シャフト部材の外径は数mm程度であり、前記小穴の内径と前記シャフト部材の外径の差は略0.1mm程度であり、
    前記大穴の内径と前記シャフト部材の外径の差は略1.0mm程度であり、
    前記長穴の幅方向の長さと前記シャフト部材の外径の差は略0.1mm程度であると共に前記長穴の長さ方向の長さと前記シャフト部材の外径の差は数mm程度であることを特徴とする請求項1記載のクランプ機構。
  3. 前記クランプリング部材はセラミックよりなることを特徴とする請求項1又は2記載のクランプ機構。
  4. 前記シャフト部材は、前記保持板に接合固定されたシャフト容器内に、その一部が収容されると共に、前記弾発部材は前記シャフト容器内に収容されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のクランプ機構。
  5. 前記シャフト容器には、先端が前記被処理体の下面と接触して前記被処理体を持ち上げる、或いは持ち下げるリフタピンが設けられることを特徴とする請求項4記載のクランプ機構。
  6. 被処理体に所定の処理を施すために排気が可能になされた処理容器と、
    前記被処理体を載置する載置台と、
    処理ガスを導入するガス供給手段と、
    前記被処理体を加熱する加熱手段と、
    請求項1乃至5のいずれか一項に記載のクランプ機構と、
    を備えたことを特徴とする処理装置。
  7. 前記加熱手段は、加熱ランプ或いは抵抗加熱ヒータよりなることを特徴とする請求項6記載の処理装置。
  8. 前記所定の処理は成膜処理であることを特徴とする請求項6又は7記載の処理装置。
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