JP4105567B2 - Mimo受信機及びその受信方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は同一周波数帯を使用し同一時刻に送信を行う、2以上の整数N個の送信機からの信号を、2以上の整数M個のアンテナで受信した受信信号に対し、適応等化処理を行った復号処理を行う多入力多出力(MIMO)受信機及び受信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体通信事業の課題は限られた周波数上でいかに高品質で多数のユーザを収容できるかということにある。このような課題を解決する手段として、多入力多出力(Multi-Input Multi-Output:MIMO)システムがある。このシステムでは第1乃至第N送信機が同一周波数帯を使用し、同一の時間にそれぞれ第1〜第Nシンボル系列信号の送信を行い、これらの送信信号を複数のアンテナ#1〜#Mを備えるMIMO受信機で受信し、MIMO受信機は受信信号を処理し、第1〜第N送信機よりの第1〜第N送信シンボルを推定して出力端子Out1〜OutNに送信機別に出力する。
MIMOシステムにおける1個の送信機の構成を図1に示す。情報ビットに対してチャネル符号器51で誤り訂正符号化を行い、誤り訂正符号化により得られた符号化ビット系列を、インターリーブ手段52でインターリーブした後、マッピング手段53でシンボルにマッピングして送信する。その変調手段53よりのシンボル系列の前に受信側が既知であり、かつ各送信機に固有のトレーニングシンボル系列生成手段54よりのトレーニングシンボル系列を多重化手段55で付加して送信する。この送信信号系列は高周波信号とされてアンテナから電波として放射される。
【0003】
MIMO受信機は、例えば非特許文献1に示されている。従来のMIMO受信機の構成を図2に示す。アンテナ#1〜#Mより受信信号はベースバンド信号に変換され、受信信号r1〜rMとしてMIMO適応等化部35において等化処理され、MIMO適応等化部35よりの各送信系列ごとの出力が復号部621〜62Nでそれぞれ復号される。MIMO適応等化部35の構成を図3に示す。この適応等化部35にはベースバンドのサンプリングされた受信信号r1〜rM、SISO復号器63からフィードバック(帰還)される事前情報系列2λ21〜λ2N、チャネル状態(伝搬路特性)推定値が入力され、レプリカ生成部65で事前情報系列2及びチャネル推定値により受信信号のレプリカを再生し、減算部66でこれを受信信号から差し引くことでISI(符号間干渉)、MAI(チャネル間干渉)を低減する。さらに、この低減処理を行って後に残されるISI及びMAIをMMSEフィルタ67により処理し、その処理結果に対し各シンボルの対数尤度比をLLR生成部68で計算して事前情報系列1λll〜λ1Nとして出力する。図2中の各ユーザ(送信機)と対応する復号部621〜62Nでは、MIMO適応等化部35で計算された各シンボルの事前情報系列1を、図に示していないデマッピング部によりビット系列に変換し、そのビット系列をデインターリーバ69でデインターリーブし、このデインターリーブされた系列をSISO復号器63で復号する。SISO復号器63よりの軟判定出力値系列を、インターリーバ71でインターリーブして、更にそのインターリーバ71の出力を図に示していないマッピング部でマッピングして軟判定シンボル系列としてMIMO適応等化部35への事前情報系列2λ21〜λ2Nとして供給する。このMIMO適応等化部35及びSISO復号部621〜62Nにおける処理を複数回繰り返し、最終的な復号結果を判定ビット系列Bseq1〜BseqNとして出力する。なお送信側でシンボル系列に対しインターリーブを行っている場合は、信号系列復号部でもシンボル系列の事前情報系列1、2に対し、デインターリーブ、インターリーブを行う。
【0004】
MIMO適応等化部35において良好な等化、つまり符号間干渉やチャネル間干渉の除去を十分行う場合は、受信信号のサンプリングタイミングの検出、シンボル同期タイミングの検出、等化範囲の決定、つまりフレーム同期を含む同期タイミングの検出が重要である。しかしこの点については前記ヨーロッパ特許出願公開公報には示されていない。1ユーザ(送信機)が1チャネル(伝送路)を独占して送信を行う場合の従来の適応等化器を図4に示す。等化開始タイミング信号、等化範囲信号、チャネル状態推定値の生成のために適応等化部61の前段に同期チャネル生成部81が設けられる。図に示していないが送信側では各フレームごとに、受信側で送信シンボルパターンが既知であるような長いトレーニングシンボル系列(同期ワード信号)をまず送信し、これにつづけて送信しようとする情報内容を示すデータを送信する。受信側では図に示していないが送信側からの受信電波はアンテナより受信された信号は増幅、復調され、ベースバンドの受信信号とされて、入力端子11に入力される。この受信信号と、トレーニング系列生成部13からのトレーニングシンボル系列TSSとの相関がサンプリング信号生成部19でとられ、その相関値が最大となるタイミング、つまり受信信号パワーが強いパスの受信信号のタイミングをサンプリングタイミングとし、サンプリング信号生成部19よりのこのサンプリングタイミングに生成したサンプリング信号で受信信号をサンプリング部20においてサンプリングしてデジタル系列の受信信号とされる。このデジタル系列の受信信号と、トレーニング系列生成部13からのトレーニングシンボル系列TSSとの相関が同期タイミング生成部12で求められる。この同期タイミング生成部12における前記相関信号は例えば図5Aに示すように変化し、相関信号Sigcが最大となるタイミングtsを検出し、これをシンボル同期タイミングtsとする。このタイミングtsに生成したシンボル同期タイミング信号、デジタル化された受信信号、トレーニングシンボル系列TSSが開始タイミング・範囲候補生成部21へ入力され、これより等化開始タイミング信号と、等化範囲信号が生成され、これら信号とサンプリング受信信号とがチャネル推定部28に入力され、チャネル推定部28で伝送路特性(チャネル状態)が推定され、この推定チャネル状態、サンプリング受信信号、等化開始タイミング信号、等化範囲信号が適応等化部61に入力され、この適応等化部61でサンプリング受信信号が適応等化処理され、判定シンボル系列が出力される。
【0005】
等化開始タイミングts、等化範囲TEとしては、図5Bに示すように、検出されたシンボル同期タイミングtsを中心として、前後Nsシンボル間のパス(受信信号サンプル)のうち、トレーニングシンボル系列との相関出力Sigcが一定のしきい値TH1を超えるとパス(サンプル)を有効パスとし、先頭の有効パス(サンプル)位置を等化開始タイミングt0とし、先頭の有効パス(サンプル)位置から最後の有効パス(サンプル)位置teまでを等化範囲信号TEとして出力する。ここで、各パスが有効パスであるかを判定する方法として、例えばパス(サンプル)の内、最大相関電力値MAXに対して1/Cp倍(Cpはあらかじめ設定された定数)をしきい値TH1とし、このTH1以上のサンプルを有効パスとする規範を用いることができる。
【0006】
【非特許文献1】
ヨーロッパ特許出願公開EP12335655A2号公報(2002年8月21日発行)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
MIMO受信機におけるシンボル同期タイミング及び等化開始タイミング、等化範囲の決定法については、現在までのところ十分な検討が行われていない。
この発明の目的は信号系列(ユーザ)が多い場合でも効率的に少なくとも等化開始タイミングを適切に検出して良好な適応等化処理を可能とするMIMO受信機及びMIMO受信方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明の一面によればシンボル同期タイミングの検出及びチャネル推定を行い、その検出されたシンボル同期タイミングと推定されたチャネル状態から、各送信機よりの送信信号の受信信号におけるトレーニングシンボルのレプリカを生成し、目的とする送信機以外の少なくとも1つの送信機よりの受信トレーニングシンボルのレプリカを受信信号から差し引いた干渉抑圧信号を生成し、その干渉抑圧信号を処理して前記目的とする送信機よりの受信信号の等化処理に用いる等化開始タイミング、必要に応じて等化範囲の検出を行う。
この構成により、複数の送信信号系列が同時刻同一周波数帯に混在していても、等化開始タイミングの検出及びチャネル状態推定を精度よく行うことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
この発明の理解を容易にするために特願2002−32639で提案した、同期タイミングの検出及びチャネル状態推定、つまり同期・チャネル生成部81を含むMIMO受信機を先ず説明する。
図6にこの提案したMIMO受信機の構成例を示す。
複数のアンテナで受信された入力端子111〜11Mよりの受信信号(ベースバンド信号がサンプリングされたディジタル値系列)に対して、アンテナごとにこの受信信号と、受信機で生成したトレーニングシンボル系列とを用いて、同期タイミング生成部121〜12Mにおいてフレームの先頭を示すタイミング信号と、各シンボルと同期したシンボル同期タイミング信号の検出を行う。以下、フレームの先頭タイミング及びシンボルのタイミングの両者を含めて単に同期タイミングという。
【0010】
図7に、アンテナAm(m=1,・・・,M)の受信信号rmに対する同期タイミング生成部12mの構成例を示す。同期タイミング信号の生成についてユーザ1の送信機TX1の送信信号(以下単にユーザ1の信号と書く)を例に説明すると、アンテナAmからの入力端子11mを経由した受信信号rmと、トレーニング系列生成部131からの、送信機TX1が送信するトレーニングシンボル系列と同一のトレーニングシンボル系列TSS1との相関を相関部141で求め、この相関出力をエネルギー指標生成部371のシフトレジスタ151に入力し、そのシフトレジスタ151の各シフト段の出力に重みW1,…,Weを乗算部161で乗算して、加算部171で加算し、つまり相関出力に対し一定時間にわたり重みつけ加算を行い、受信エネルギー指標を求める。この受信エネルギー指標に対して最大値検出処理を最大値検出部181で行い、受信エネルギー指標が最大になるタイミングに、アンテナAmからの受信信号中のユーザ1の信号に対する同期タイミング信号ts1−mを出力する。
【0011】
次に、この同期タイミングと受信信号を用いて、図6中の開始タイミング・範囲候補生成部211〜21Mにおいて全ての入力信号系列(受信された送信機送信信号系列)の等化開始タイミングt01〜t0Nと等化範囲候補te1〜teNの判定を行う。図8に開始タイミング・範囲候補生成部21mの構成例を示す。ここでもユーザ1の信号を例に説明すると、アンテナAm(入力端子11m)からの受信信号rmとユーザ1のトレーニング系列生成部131からのトレーニングシンボル系列TSS1との相関を相関部141で求め、この相関出力としきい値Thaを比較部221において比較する。比較部221は、相関出力がしきい値Thaよりも大きい場合は“1”を、相関出力がしきい値Thaよりも小さい場合は“0”を出力し、この比較部221の出力はシフトレジスタ231に入力される。シフトレジスタ231は、シンボル同期タイミング信号を入力とするシフト制御部241により、シンボル同期タイミング信号ts1−mのタイミングに対し前後Nsシンボルの時刻の比較部221の出力がシフトレジスタ231内に入力されるように制御される。開始タイミング等化範囲候補検出部251で、シフトレジスタ231内のそのts1−m±Nsシンボル内で最も早いタイミングにある“1”のタイミングに、アンテナAmの受信信号中のユーザ1の信号に対する等化開始タイミング信号t01−mを出力し、t01−mから最も遅いタイミングにある“1”のタイミングまでの長さを表わす信号を等化範囲候補信号te1−mとして出力する。全送信機の送信信号に対する各アンテナ受信信号ごとに得られる全ての等化範囲候補信号は、等化範囲信号生成手段27(図6)に入力され、これらN×M個の等化範囲候補信号の中で最も大きいものが等化範囲信号TEとして出力される。
【0012】
図6中のチャネル推定部28では、等化範囲信号、等化開始タイミング信号と受信信号が入力され、各送信機と各アンテナ間のチャネル状態(伝搬路特性、インパルス応答)が推定される。図9にチャネル推定部28の構成例を示す。
チャネル推定部28では、トレーニング系列生成部13からの全ての送信機のトレーニングシンボル系列TSS1,…,TSSNに対して、等化開始タイミング信号t01〜t0Nを用いて送信機送信信号間の受信タイミングのずれがオフセット補償部29で補償される。受信タイミングのずれが補償されたトレーニングシンボル系列に対する、適応アルゴリズム部33からのチャネル状態の畳み込み積分を畳み込み積分器31により行って受信信号のレプリカReを作成し、その受信信号のレプリカを受信信号から減算部32で差し引き、誤差信号を求める。適応アルゴリズム部33において、適応アルゴリズムにより、誤差信号、等化範囲信号、繰り返し処理における前回のチャネル推定値を用いて、チャネル状態推定値を逐次更新する。この適応アルゴリズムとしては、例えばRLSアルゴリズムを用いることができる。図6の説明に戻って、開始タイミング・範囲候補生成部211〜21Mよりの等化開始タイミング信号と等化範囲生成部27よりの等化範囲信号とチャネル推定部28よりの推定されたチャネル状態、受信信号がMIMO適応等化部35に入力されて受信信号がMIMO適応等化処理され、推定された各送信機の送信シンボルが出力される。
【0013】
このMIMO適応等化部35の機能構成は例えば図3に示したものである。図3についての先の説明では行わなかったが、図3中に破線で示すようにシンボルオフセット補償部64で事前情報系列2に対し、等化開始タイミング信号により、ユーザ受信信号間のずれを補償してレプリカ生成部65へ供給し、また等化範囲信号TEをレプリカ生成部65、MMSEフィルタ67へ供給する。適応等化部35で等化分離された各ユーザ受信信号は、例えば図2中に示した機能構成の信号系列復号部62によりそれぞれ復号される。
更に前記日本特許出願で提案されているシンボル同期検出方法、等化範囲決定方法について説明する。図10にそのMIMO受信機の別の構成例を示す。この構成例では、アンテナA1〜AMの受信信号間で同期タイミング、等化開始タイミング、等化範囲候補が同様であるとみなせる場合において、これらをアンテナの受信信号間で共通とし、全てのアンテナで受信された信号を用いて求める。図11にユーザ1の信号に対する同期タイミング生成部12の構成を示す。まず、入力端子111〜11Mよりの各アンテナで受信された信号r1〜rMとユーザ1のトレーニング系列生成部131からのトレーニングシンボル系列TSS1との相関出力を相関部141〜14Mでそれぞれ求め、これら相関出力に対して、エネルギー指標生成部371〜37Mでそれぞれ一定時間に渡り重み付け加算を行いエネルギー指標を生成する。次に、各受信信号のサンプル時点においてアンテナ受信信号ごとに得られたエネルギー指標の総和を加算部38で求め、このエネルギー指標の総和が最大となるタイミングを最大値検出部18で検出し、そのタイミングにユーザ1の信号に対する同期タイミング信号ts1を出力する。
【0014】
次に、このようにして得られた各ユーザの信号ごとの同期タイミングと受信信号を用いて、開始タイミング・範囲候補生成部21(図10)において全ての入力信号系列の等化開始タイミングと等化範囲候補の判定を行う。図12にユーザ1の信号に対する開始タイミング・範囲候補生成部21の構成を示す。入力端子111〜11Mからの各アンテナの受信信号r1〜rMとトレーニング系列生成部131からのユーザ1のトレーニングシンボル系列との相関を相関部141〜14Mでそれぞれ求め、各サンプル時点において全てのアンテナ受信信号についての相関出力の総和を加算部39で求める。この相関出力の総和としきい値Thaを比較部22において比較し、比較部22は相関出力がしきい値Thaよりも大きい場合は“1”を、相関出力がしきい値Thaよりも小さい場合は“0”を出力し、この比較部22の出力はシフトレジスタ23に入力される。シフトレジスタ23は、同期タイミング信号を入力とするシフト制御部24により、同期タイミングts1に対する前後Nsシンボルの時刻の比較部22の出力がシフトレジスタ23内に入力されるように制御される。開始タイミング信号・等化範囲候補検出部25によりts1±Nsシンボル期間内で最も早いタイミングにある“1”のタイミングにユーザ1の信号に対する等化開始タイミング信号t01として出力し、t01から最も遅いタイミングにある“1”のタイミングまでの範囲を表わす信号を等化範囲候補信号te1として出力する。
【0015】
各送信機についての全アンテナの受信信号に対する等化範囲候補信号は、範囲生成部27(図10)に入力され、入力された全ての等化範囲候補信号の中で最も大きいものが等化範囲信号として出力される。以降はアンテナの受信信号毎に等化開始タイミング信号と等化範囲信号を求めた場合と同様に、チャネル推定部28で、範囲生成部27からの等化範囲信号、開始タイミング・範囲候補生成部21からの等化開始タイミング信号と受信信号を用いて、各送信機と各アンテナ間のチャネル状態を推定し、更にこれら等化開始タイミング信号と等化範囲信号と推定されたチャネル状態を用いてMIMO適応等化部35で受信信号をMIMO適応等化処理を行い、各送信機の送信シンボルを推定してそれぞれ別個に出力し、更にこれら出力を信号系列復号部62でそれぞれ復号する。
上記の提案されている同期タイミング検出方法及び等化範囲決定法でも同期タイミング及び等化範囲を可成り誤るおそれがある。等化範囲が不必要に長くなると無駄な計算量の増加の原因になり、また等化範囲が短くなりすぎると等化能力低下の原因となる。特に送信信号系列の数Nが増加した場合は同期確立精度、等化範囲決定精度、チャネルの推定精度の入力信号系列間の干渉による劣化は大きくなると考えられる。このため、受信する送信信号系列が1つである場合に比べ、MIMOシステムでは、一定の信号特性を得るのに必要なトレーニングシンボル数を増加させなければならない。以下にこの発明の実施例を説明する。
【0016】
第1実施例
送信側において各N個の送信機TX1〜TXNが同一周波数同一時刻に信号の送信を行う。また、各送信機は受信側で送信シンボルパターンが既知であるような、各送信機に固有なトレーニングシンボル系列を送信する。図13にこの発明の第1実施例を示す。ここでは、受信信号として復調してベースバンド信号とされ、かつデジタル系列とされた信号が入力端子111〜11Mに入力されるものとする。複数のアンテナで受信された受信信号に対して、同期・チャネル生成部81においてアンテナAm(m=1,・・・,M)毎に設けられた繰り返し処理部41mにより、等化開始タイミング信号の生成、等化範囲信号の生成及びチャネル推定がそれぞれ行われる。各繰り返し処理部41mは縦続的に接続された複数の処理段42s(s=1,・・・,S)から構成される。各処理段42sではその直前の処理段42s-1で生成された受信信号レプリカと、これらの受信信号レプリカを受信信号から差し引いた誤差信号Esを入力とし、全送信機よりの受信信号の等化開始タイミング信号、等化範囲信号、チャネル状態、受信レプリカを生成し、等化範囲信号を出力し、さらに、次の処理段42s+1に対して、生成した受信信号レプリカと、これらの受信信号レプリカを受信信号から差し引いた誤差信号Esを出力する。また、等化範囲は全アンテナの受信信号について同じにすることが望ましいため、各処理段42sごとに繰り返し処理部411〜41Mに対して共通の等化範囲信号生成部43sを設け、各繰り返し処理部411〜41Mの各処理段42sから等化範囲候補信号を等化範囲信号生成部43sに入力して等化範囲信号生成部43sからこれら候補中の最長のものを等化範囲信号と決定して繰り返し処理部411〜41Mの各処理段42sへ返す。
【0017】
図14にアンテナAmの受信信号に対する繰り返し処理部41mにおける第s処理段42sの機能構成例を示す。ここでは、ユーザ1の信号(送信機TX1よりの受信信号)に対する処理を例に説明する。始めに第s−1処理段(前処理段)42s-1で生成された全ユーザ受信信号の受信信号レプリカを受信信号から差し引いた誤差信号に前処理段42s-1で生成されたユーザ1の信号に対する受信信号レプリカ(以下ユーザ1の受信信号レプリカと云う、他も同様の云い方をする)Re1を加算部441で加算する。この加算出力信号は、受信信号からユーザ1以外の受信信号レプリカRe2〜ReNを差し引いた干渉抑圧(ユーザ1)受信信号rIC1となり、この干渉抑圧受信信号rIC1を用いて、同期タイミング生成部121で同期タイミング信号を生成する。さらに、この生成された同期タイミング信号と、加算部441よりの干渉抑圧受信信号を入力とし、開始タイミング・範囲候補生成部211において等化開始タイミング信号t01と等化範囲候補信号te1を生成する。同期タイミング生成部121と、開始タイミング・範囲候補生成部211は、それぞれ例えば先に説明した図7中の同期タイミング信号ts1−mを検出する部分と、図8中の等化開始タイミング信号t01−m及び等化範囲候補信号te1−mを検出する部分に示したものと同じ構成とすることができる。
以上により生成された等化範囲候補信号は、他ユーザ(2〜N)の干渉抑圧受信信号rIC2〜rICNに対して開始タイミング・範囲候補生成部212〜21Nから得られた等化範囲候補信号と、他アンテナ受信信号に対する第s処理段42sで同様にして得られた等化範囲候補信号と共に等化範囲生成部43sに入力され、等化範囲生成部43sは入力された全ての等化範囲候補信号の中で最も等化範囲候補が長いものを等化範囲信号として出力する。この等化範囲信号は、等化開始タイミング、受信信号と共にチャネル推定部28に入力され、チャネル状態が推定される。チャネル推定部28の構成についても、図9に示したものと同じ構成にすることができる。
【0018】
等化開始タイミング信号t01と等化範囲信号te1と推定チャネル状態Hとユーザ1のトレーニングシンボル系列TSS1とがレプリカ生成器451に入力され、レプリカ生成器451においてユーザ1(送信機TX1より)の受信信号レプリカRe1が作成される。図15にレプリカ生成器45の構成例を示す。チャネル推定部28よりのチャネル状態推定値とトレーニング系列生成部13よりのトレーニングシンボル系列TSSn(n=1,・・・,N)とを畳み込み積分器31により畳み込み積分し、この出力に対し、等化開始タイミング信号t0n−mを用いてユーザ受信信号間の同期タイミングのずれを、オフセット補償部29で補償することでユーザnの受信信号に対するレプリカを生成する。このようにしてレプリカ生成器451〜45Nで生成された全ユーザ1〜N(送信機TX1〜TXNより)の受信信号に対するレプリカが誤差信号生成部46でアンテナAmの受信信号から差し引かれて誤差信号が生成される。
以上のように生成された各ユーザ信号中のトレーニングシンボルに対するレプリカRe1〜ReN、及び受信信号からレプリカRe1〜ReNを差し引いた誤差信号Esが次の処理段42s+1へ供給される。処理段42s+1においても上記の処理を繰り返すことにより、受信信号中のトレーニングシンボルのレプリカを更新することで、等化開始タイミング信号と等化範囲の検出精度とチャネル状態推定値の推定精度を向上させる。
最終処理段42Sで生成された各ユーザ受信信号の等化開始タイミング信号、チャネル状態推定値と等化範囲信号と、受信信号とがMIMO適応等化部35(図13)に入力され、各ユーザ(送信機)の送信シンボルが推定されて出力される。
第1処理段(初段)421は図14中の加算部441〜44Nが省略され、入力端子11mよりの受信信号が破線で示すように繰り返し処理部41mの同期タイミング生成部121〜12N、開始タイミング・範囲候補生成部211〜21Nへそれぞれ供給され、第S処理段42(最終処理段)は等化開始タイミング信号、チャネル状態推定値H、等化範囲信号のみを出力する。処理段42としては少なくとも2段は設ける。
【0019】
第2実施例
第1実施例ではチャネル状態推定に入力端子11mよりの受信信号を用い、全ユーザ受信信号について一括して行った。この発明の第2実施例では、第2処理段422以降のチャネル推定部においては、受信信号から、所望のユーザ受信信号以外の受信信号レプリカを差し引いた干渉抑圧受信信号rICを用いて、ユーザ受信信号毎にチャネル状態を推定する。このようにユーザ受信信号毎にチャネル状態を推定することで、推定するパラメータ数をユーザ信号数分の1にすることが可能なため、チャネル状態推定値の収束速度を早くすることができ、より少ないトレーニングシンボル数でチャネル状態推定が可能になる。
図16に第2実施例における第2処理段422以降の処理段の機能構成を、図14と対応する部分に同一参照番号を付けて示す。第1実施例と異なる点はチャネル推定部がユーザ信号毎にチャネル推定部281〜28Nとして設けられている点のみで、他の構成は図14に示したものと同様である。
図17にユーザ信号毎のチャネル推定部28nの構成を示す。図9に示した全ユーザ信号のチャネル状態推定を行うチャネル推定部と異なる点は、入力される等化開始タイミング信号及び生成するトレーニングシンボル系列、チャネル状態推定値、受信信号レプリカが所望のユーザnの信号に対するもののみであるという点である。他の構成・動作については全ユーザ受信信号のチャネル状態推定を行う場合と同様である。
【0020】
第3実施例
この発明の第3実施例は第2実施例のチャネル状態推定において、各ユーザ信号毎に求められた等化範囲候補信号を用いてチャネル状態推定を行う。図18にこの場合の構成を示す。第2実施例の構成と異なる点は各処理段42sごとの等化範囲生成部43sが省略され、第s処理段42sの構成は図16中に破線で示すように、各ユーザごとの開始タイミング・範囲候補生成部211〜21Nからの等化範囲候補信号がそれぞれチャネル推定部281〜28Nに入力される。その他の構成は第2実施例と同様である。各等化範囲候補信号は第S処理段(最終処理段)42Sのみが図18中の等化範囲生成部43へ供給される。
【0021】
第4実施例
第1実施例において同一ユーザ受信信号についてみると、アンテナ間でシンボル同期タイミング信号、等化開始タイミング信号、等化範囲候補信号がそれぞれほぼ同一であるとみなせる場合には、これらの信号をアンテナ間で同一ユーザ受信信号に対し共通とし、全てのアンテナで受信された信号を1つの繰り返し処理部41で処理することができる。このようにしたのがこの発明の第4実施例であり、図19にその構成例を示す。第1実施例の構成と異なる点は、繰り返し処理部41がアンテナの受信信号ごとに設けられているのではなく、全アンテナより受信信号を1つの繰り返し処理部41が一括して処理する点である。図20にこの場合の第s処理段42sの構成例を示す。全体の構成は第1実施例における第s処理段42sと同様であるが、第1実施例では1つのアンテナAmの受信信号のみが入力されたが、この第4実施例ではアンテナA1〜AMよりの受信信号、つまり、入力端子111〜11Mよりの受信信号の全てが入力される。ここで用いられる同期タイミング生成部121〜12N、開始タイミング・範囲候補生成部211〜21Nは、そのユーザ1の受信信号に対するものについてみるとそれぞれ例えば図11、図12に示した構成と同様のものとすることができる。また、レプリカ生成器は、第1実施例における図15に示した処理を各アンテナごとに全アンテナ分行えばよい。このように全アンテナよりの受信信号を一括処理することは、図16に示した第2実施例と同様にチャネル推定部28をユーザごとに設ける場合にも適用できる。
【0022】
第5実施例
以上の実施例において繰り返し処理部41の第1処理段421では受信信号中から受信信号レプリカが差し引かれることなく同期検出が行われる。この場合は受信電力が強いユーザ信号に影響されて受信電力が弱いユーザ信号の同期検出部82nでのフレーム同期を含めた同期検出処理が誤動作して同期タイミングが大きくずれ、その結果として他のユーザ信号の等化開始タイミング、等化範囲検出精度の劣化につながるおそれがある。
特にユーザ(送信機)信号間の受信電力の差が大きい場合、受信電力の大きいユーザ(送信機)信号の方が求めた等化開始タイミング、等化範囲検出及びチャネル推定の各精度が高いため、受信電力の大きいユーザ信号から順に等化開始タイミング、等化範囲検出及びチャネル推定を行うほうがより精度よく等化開始タイミング及び等化範囲を得ることができると期待される。この発明の第5実施例はこの考えに基づくものである。
第5実施例の全体的な構成は図18に示したものとほぼ同様であるが、各処理段42では各ユーザごとの処理が並列にではなく直列に行われる。その直列処理の順番を付けるために、図18中に破線で示すように少くとも第1処理段421に処理順検出部48が設けられ、同期検出、つまりシンボル同期タイミング信号、等化開始タイミング信号、等化範囲信号生成及びチャネル推定を行う前に、例えば、図7に示した機能構成を用いて、各ユーザ信号の受信エネルギー指標の最大値を検出し、受信エネルギー指標の最大値が大きい順にユーザ信号を順位付けする。例えば図21Aに示すように、図7または図11中の相関部14及びエネルギー指標生成部37とその生成したエネルギー指標の最大値を検出する部分とよりなる相関・指標検出部48a1,…,48aNにより、各ユーザ1トレーニングシンボル系列TSS1,…,ユーザNトレーニングシンボル系列TSSNと受信信号とに対してそれぞれ処理され、各ユーザ受信信号のエネルギー指標の最大値がそれぞれ検出され、これら最大値の大きさの順にユーザ信号に対する処理の順番が順序決定部48bで決定される。
【0023】
ここでは、受信エネルギー指標の最大値が大きい順をユーザ1、ユーザ2、・・・ユーザNとする。図22に処理段42sの構成を示す。処理段42sでは、受信エネルギー指標の最大値が大きい順、この場合はユーザ1の信号から同期タイミング信号と等化開始タイミング信号t01と等化範囲信号te1との生成、つまり同期検出及びチャネル状態H1の推定が行われる。始めに、第s−1処理段42s-1で生成された全ユーザの受信信号レプリカを差し引いた受信信号、つまり誤差信号Esに前処理段42s-1で生成されたユーザ1の受信信号レプリカRe1を加算部441で加算する。この加算された信号は、受信信号からユーザ1以外の受信信号レプリカRe2〜ReNを差し引いた干渉抑圧ユーザ1受信信号となり、この干渉抑圧ユーザ1受信信号rIC1を用いて、同期タイミング生成部121で同期タイミング信号を生成する。さらに、このシンボル同期タイミング信号と、干渉抑圧ユーザ1受信信号rIC1を入力とし開始タイミング・範囲候補生成部211において等化開始タイミング信号と等化範囲候補信号を生成する。同期タイミング生成部121と開始タイミング・範囲候補生成部211は、そのユーザ1の信号に対する構成が例えば図7、図8にそれぞれ示したものと同じ構成となるようにすることができる。これら等化開始タイミング信号、等化範囲候補信号、加算部441からの干渉抑圧ユーザ1受信信号をチャネル推定部281に入力してチャネル状態推定値H1を求め、これらチャネル状態推定値H1、等化開始タイミング信号t01とユーザ1のトレーニングシンボル系列TSS1とを用いてレプリカ生成器451でユーザ1の受信信号レプリカRe1を生成する。この第s処理段42sで生成されたユーザ1の受信信号レプリカを、加算部441からの干渉抑圧ユーザ1受信信号から減算部491で差し引く。この信号は、受信信号から第s処理段42sで生成されたユーザ1の受信信号レプリカと第s−1処理段42s-1で生成されたユーザ1以外の受信信号レプリカを差し引いた誤差信号となる。この誤差信号に対し、受信エネルギー指標の最大値が次に大きい受信信号に対する第s−1処理段42s-1からの受信信号レプリカ、この例ではユーザ2受信信号レプリカが加算部442で加算され、干渉抑圧ユーザ2受信信号が生成され、これが同期タイミング生成部122、開始タイミング・範囲候補生成部212、チャネル推定部282へ供給され、同様な処理が行われ、レプリカ生成器452でユーザ2受信信号のレプリカが生成され、これが干渉抑圧ユーザ2受信信号から減算部492で差し引かれて誤差信号が生成され、この誤差信号が加算部443へ供給される。ユーザ3以降に対する信号処理についても同様に行われる。
【0024】
尚第1処理段421においては、受信エネルギー指標最大値が一番大きいユーザ1の受信信号に対する処理、つまり同期タイミング生成部121、開始タイミング・範囲候補生成部211、チャネル推定部281、減算部491に破線で示すように受信信号が直接供給され、ユーザ1信号のチャネル状態推定、ユーザ1レプリカ生成が行われ、受信エネルギー指標最大値が次に大きいユーザ2の受信信号に対しては、レプリカ生成器451で生成されたユーザ1の受信信号レプリカが減算部491で受信信号から差し引かれて同期タイミング生成部122、開始タイミング・範囲候補生成部212、チャネル推定部282、減算部492へ供給される。以下同様に処理される。
また第1処理段421中の処理順検出部48(図18)においては図21Aに示すように切替部48cに、端子11mからの受信信号が入力され、同期タイミング生成部121,…,12N中の、順序決定部48bで決定された処理順の1番目のユーザの信号処理に対するもの、この例ではユーザ1の信号処理に対する同期タイミング生成部121へ出力される。また減算部491,…,49Nの各出力が直列接続部48dへ入力され、順序決定部48bで決定された処理順で各ユーザ信号に対する処理が順次行われるように、同期タイミング生成部121,…,12Nへ供給される、この例では減算部491,…,49N-1の各出力が、同期タイミング生成部122,…,12Nにそれぞれ供給されることになる。
【0025】
第2処理段422以後も、第1処理段421で決めた処理順で処理してもよいが、第2処理段422以降においても処理順序検出部48を設けて、処理順を決めなおしてもよい。この場合は、図21A中の各相関・指標検出部48an(n=1,…,N)には、受信信号ではなく、加算部44nの出力信号が入力される。またこの第2処理段422以後における処理順序検出部48では図21Bに示すように、前処理段42s-1で生成した各ユーザnチャネル状態推定値Hnを受信エネルギー計算部48enへそれぞれ供給し、その各チャネル状態推定値(インパルスレスポンス)の各係数の2乗和を求めて受信エネルギーを求め、順序決定部48bでこれら受信エネルギーの大きい順にユーザ信号に対する処理順を決定してもよい。あるいは図21Aにおいて相関・指標検出部48a1,…,48aNによりエネルギー指標の最大値ではなく、相関出力、つまり図7中の相関部141,…,14Nの各出力の各最大値を検出して順序決定部48bへ供給してもよい。
このように各ユーザ信号に対する処理を直列に行うことは図19及び図20に示した全アンテナ受信信号を一括処理する場合にも適用できる。その場合は図20においてチャネル推定部28は各ユーザごとに設け、また図19中の少くとも第1処理段421に処理順序検出部48を破線で示すように設ける。
【0026】
第6実施例
第5実施例では、繰り返し処理手段41mの構成として特にユーザ間の受信電力の差が大きい場合に同期タイミング、等化開始タイミング及び等化範囲の検出精度とチャネル状態推定精度の向上が期待される方法として直列型の構成で、順次生成したトレーニングシンボル系列の受信信号レプリカを受信信号から順次差し引く方法を挙げた。この方法を用いた場合第1処理段421において早い段階で検出が行われる干渉抑圧受信信号(レプリカが差し引かれた受信信号)は、それより後の段階で生成される他ユーザの受信信号レプリカが差し引かれていない状態で処理されるため、同期タイミング、等化開始タイミング及び等化範囲に誤差が生じやすくなるという問題が生じる。特に1番目と2番目に大きい受信電力の差がわずかな場合は、1番目のユーザ信号に対し検出した等化開始タイミング及び等化範囲に比較的大きな誤差が生じると、そのユーザの受信信号レプリカが、そのユーザ受信信号と大きく異なったものとなり、これが他のユーザ受信信号に対する処理に大きく影響する。
この発明の第6実施例はこの問題を解決するために、図23に示すように第1処理段421のみ並列型の同期検出部及びチャネル推定部を用い、第2処理段422以降では直列型の同期検出部及びチャネル推定部を用いることでその影響を軽減する。この並列型の処理手段の構成としては、図19に示した構成を、直列型の処理段の構成としては図21に示した構成をそれぞれ用いることができる。この第6実施例においても、図19、図20に示した第4実施例のように全アンテナ受信信号を一括処理するようにすることもできる。
【0027】
第7実施例
第5及び第6実施例では、繰り返し処理手段41mの構成として特にユーザ間の受信電力の差が大きい場合に等化開始タイミング及び等化範囲の検出精度とチャネル状態推定精度の向上が期待される点で直列型の構成でトレーニングシンボル系列の受信信号レプリカを受信信号から差し引く方法を採用した。しかし、この方法を用いた場合ユーザ毎の処理を並列的に行う事ができないため、処理遅延が大きくなるという問題が生じる。
この発明の第7実施例はこの問題を解決する方法として、並列型の利点と直列型の利点を併せ持つ複合型の構成とする。この第7実施例の全体構成は図18に示したものと同じとすることができる。また、等化開始タイミング信号、等化範囲信号生成及びチャネル推定を行う前に、処理順検出部48により例えば、図7に示したエネルギー指標生成部37を用いて、各ユーザの受信エネルギー指標の最大値を検出し、受信エネルギー指標の最大値が大きい順にNG1,NG2,NG3,・・・,NGX個(NG1,NG2,NG3,・・・,NGXは自然数)ずつのグループに分ける。ここで各グループはG1,G2,G3,・・・,GXとする。このグループの分け方は、例えば図24に示すように図21A中の相関・指標検出部48a1〜48aNからユーザnの受信エネルギー指標の最大値IEmax1〜IEmaxN中の最大値IEMaxを最大値検出部48fで検出し、グループ選択部48gで、グループの数をXとすると、IEMax ×(X−1)/X以上の最大値IEmaxnのユーザをグループG1に属させ、これらユーザを除いて、IEMax ×(X−2)/X以上のIEmaxnのユーザをグループG2に属させ、以下同様にしてグループ分けを行う。処理段421〜42Sはそれぞれグループごとに並列処理されるが、その並列処理はグループG1からG2,G3,・・・,GXという順に行われる。図25にこの複合型、つまり並列型と直列型を含む繰り返し処理手段41mの構成を示す。第s処理段42sでは第s−1処理段42s-1からの誤差信号とグループG1に属するユーザ受信信号レプリカとが並列処理部51G1に入力され、グループG1の並列処理部51G1では誤差信号にグループG1の各ユーザ受信信号レプリカがそれぞれ加算されてNG1個の干渉抑圧信号を生成し、これらに対し、つまりグループG1に属するユーザ受信信号に対する、各同期タイミング信号等化開始タイミング信号、等化範囲候補信号、チャネル状態推定値をそれぞれ検出し、更に各受信信号レプリカを生成する。このグループG1に属するNG1個のユーザ信号に対する処理はこのように並列に行う。これらNG1個の受信信号レプリカを、前記生成したNG1個の干渉抑圧受信信号と加算した信号から差し引いた信号(誤差信号)を次のグループG2の並列処理部51G2へ供給する。この並列処理部51G2には第s−1処理段42s-1からのグループG2に属するユーザ受信信号レプリカが入力され、並列処理部51G2はこれらユーザ受信信号レプリカと並列処理部51G1からの誤差信号とを並列処理部51G1と同様に処理してグループG2に属するユーザの同期タイミング信号、等化開始タイミング信号、等化範囲候補信号、チャネル状態推定値、受信信号レプリカの検出、生成を並列に行い、この並列処理部51G2で生成したNG2個の干渉抑圧受信信号を加算した信号からこの並列処理部51G2で、生成したG2に属する受信信号レプリカを差し引き、誤差信号を生成して、次のグループG3の並列処理部51G3へ出力する。以下同様の処理を行う。
【0028】
各並列処理部51G1〜51GXの構成は図14、図16及び図18に示した第1〜第3実施例と同様なものとすればよい。この場合は第1処理段421においても図14に示した構成とし、最初のグループG1の並列処理部51G1では誤差信号及び前段のグループG1に属する受信信号レプリカが入力されることなく、受信信号が入力され、これに対して処理がなされ、生成したG1に属するユーザ受信信号レプリカを受信信号から差し引いて並列処理部51G2へ処理対象受信信号として供給する。以下各並列処理部51G2〜51Gxにおいて順次同様な処理を行う。
切替部48cに入力された受信信号を、同期タイミング生成部121,…,12N中の、図24に示した処理順検出部48により、決定されたグループG1の各ユーザに対するものに供給し、直並列接続部48hに入力された減算部491,…,49Nの各出力中のグループG1の各ユーザに対するものを、同期タイミング生成部121,…,12N中の、処理順検出部48により決定された次のグループG2の各ユーザに対するものにそれぞれ供給し、そのグループG2の各ユーザに対する減算部49の出力を次のグループG3の各ユーザに対する同期タイミング生成部12へそれぞれ供給し、以下同様にして各グループごとの処理が順次行われるようにする。第2処理段422以後においても、複合型処理とする場合は相関・指標検出部48a1,…,48aNに受信信号の代りに加算部441,…,44Nの各出力を供給すればいい。あるいは相関・指標検出部にかえて図21Bに示した受信エネルギー計算部48e1,…,48eNを用いてもよい。あるいは図24において相関・指標検出部48a1,…,48aNにおいて、エネルギー指標の最高値にかえ、相関出力、つまり図7中の相関部141,…,14Nの出力の最高値を最大値検出部48f及びグループ選択部48gへ供給してもよい。
【0029】
第5〜第7実施例は各アンテナA1〜AMの各受信信号をそれぞれ繰り返し処理手段411〜41Mにより処理したが、第4実施例と同様に、全アンテナよりの受信信号を一括して1つの繰り返し処理部41により処理する場合にも、直列型構成や直列型と並列型の複合構成としてもよい。
更に第1〜第S処理段421〜42Sはこれらをそれぞれハードウェア構成として設けなくてもよく、例えば図14、図16、図20、図22、図25に示す各処理段42の1つを、図26に示すように同期・チャネル生成部81に設け、これを繰り返し用いてもよい。ただし図20に示すもの以外は正しくは各繰り返し処理部41mごとに1つの処理段42を設ける。繰り返し制御部91により入力切替部92を制御してまず、アンテナ受信信号を処理段42の同期検出部821〜82N(図24では同期検出部821のみ、図25では並列処理部51G1のみ)へ供給して受信信号を処理し、第1処理段421として作用させ、その処理結果、つまり各受信信号レプリカRe1〜ReNを加算部441〜44Nにそれぞれ供給し、また入力切替部92を切替えて誤差信号Esを加算部441〜44Nへ供給して(図22では加算部441のみ、図25では並列処理部51G1のみ)、第2処理段422として作用させ、以下同様に1つの処理段42を繰り返し使用し、第S回目においては処理段42を第S処理段42Sとして作用させ、その処理結果中の等化開始タイミング信号、等化範囲信号、チャネル状態推定値をMIMO適応等化部35へ出力すればよい。上述した各実施例において前段の処理段42s-1で得られたチャネル推定値を処理段42sの対応するチャネル推定部に入力利用してもよい。このようにするとチャネル状態が速く収束する。
【0030】
上述の各実施例において、検出されたタイミングの信頼性が低い場合はそのタイミングを用いて生成するレプリカを出力しないことが望ましい。この場合は例えば図14中に破線で示すように、同期タイミング生成部12n(n=1,…,N)からのユーザnの受信トレーニングシンボル系列信号のエネルギー指標(図7中のエネルギー指標生成部37nの出力)又はユーザnのトレーニングシンボル系列との相関信号(図7中の相関部14nの出力)を信頼性判定部75nでしきい値格納部76nからのしきい値Trと比較し、しきい値Tr以下あれば信頼性がないと判定して、信頼性判定部75nの出力でスイッチ部77nをオフとしてレプリカ生成部45nからのレプリカが出力されないようにする。同期タイミング生成部12nで検出したタイミングの信頼性が低いと判定されると、そのユーザnの信号についての等化開始タイミング、等化範囲の検出、チャネル推定を行いレプリカ生成は行なわず、レプリカが出力されないようにすればよい。
検出したタイミングの信頼性が低いか否かの判定は、図16中に破線で示すように、前段処理部42s-1におけるチャネル推定部28nで推定したチャネル状態(インパルスレスポンス)Hnの各係数の2乗和を受信エネルギー算出部78nで算出し、この受信エネルギーがしきい値Tr以下であれば信頼性判定部75nの出力によりスイッチ部77nを断にしてもよい。いずれの場合も、しきい値Trとしては固定値を用いてもよく、あるいは前回のチャネル状態推定値のインパルスレスポンス係数の2乗和に定数X(0<X<1、比較的信頼性が高いから0.5以上)を乗算した値、あるいは全受信信号系列の各エネルギー指標又は相関出力中の最大値は定数X(0<X<1、この場合は0.5以下がよい)を乗算した値とすることができる。以上のタイミングの信頼性が低い場合に対応するレプリカを出力しないことは、他の実施例にも適用することができ、対応する図中に破線でその機能構成を示し、説明は省略する。
【0031】
第8実施例
この発明の第8実施例では復号判定ビット列に誤りが検出されると、この検出を同期・チャネル生成部の同期検出部に帰還して、予め求めておいた同期タイミングの次の第1候補を利用する。第8実施例の機能構成を図27に示す。同期・チャネル生成部81、例えば図13、図18、図19の何れかに示したものにおける同期検出部82n(n=1,…,N)中の最終処理段42sに於ける同期タイミング生成部12nにおいて、そのエネルギー指標(図7中のエネルギー指標生成部37nの出力と対応したもの)あるいは相関出力(図7中の相関部14nの出力と対応したもの)が極大値となるタイミングをその大きい順にtsn−m1,tsn−m2,tsn−m3,…と検出し、その2番目以降を第2候補,第3候補,…としてタイミング候補記憶部83nに格納しておき、最初は最大値tsn−m1を用いて等化開始タイミング信号、等化範囲信号、及びチャネル状態推定値を生成し、MIMO適応等化部35で受信信号に対する適応等化処理を行い、その信号系列復号部62で繰り返し復号における第1回目のユーザ1〜Nの判定ビット系列を生成し、これらユーザ1〜Nの判定ビット系列に対し誤り検出部841,…,84Nで誤り検出処理を行う。この誤り検出処理で例えばユーザnの復号判定ビット系列に誤りが検出されると、その検出出力を同期・チャネル生成部81のユーザn信号に対する同期検出部82nにフィードバックし、タイミング候補記憶部83nからの次のタイミング候補、この場合はtsn−m2を取り出し、このタイミングの信号を用いて等化開始タイミング信号、等化範囲信号、更にチャネル状態推定値を生成してこれらを用いて、受信信号に対する適応等化処理をユーザn信号について、信号系列n用等化部69n(図3参照)で行い、その等化出力を信号系列復号部62の信号系列n用復号部62n(図2参照)で復号処理してユーザnの判定ビット系列を求める。この判定ビット系列についても誤り検出処理を行い、再び誤りが検出されると、次のタイミング候補tsn−m3を用いて同様の処理を行う。以下同様にする。なお誤り検出処理は例えばCRC法(Cyclic Redundancy Check)を用いることができる。図27は同期・チャネル生成部81における繰り返し処理部41の処理段42としては図13に示したものを想定したが、図16、図20、図22、図25に示したものでもよい。
【0032】
第9実施例
次にこの発明の方法を説明する。図28は第1乃至第4実施例に対応した方法の第9実施例の処理手順を示す。ステップS1で受信信号から各送信機信号について、対応するトレーニングシンボル系列を用いて、等化開始タイミングt0の検出、等化範囲候補teの検出、チャネル状態の推定、更に受信信号レプリカRen(n=1,・・・,N)の生成を並列的に行い、更にこれら受信信号レプリカを受信信号から差し引いて、誤差信号Esを生成する。
ステップS2で処理回数パラメータsを2に初期化し、ステップS3でs−1回目の処理で生成した受信信号レプリカRe1〜ReNと誤差信号Esを取り込み、ステップS4でその取り込んだ誤差信号EsにレプリカRe1〜ReNをそれぞれ加算して干渉抑圧受信信号rIC1〜rICNを生成し、これら干渉抑圧受信信号について対応する、トレーニングシンボル系列を用いて等化開始タイミングt0の検出、等化範囲候補teの検出、チャネル状態の推定を行う。
ステップS5でsがSと等しいかを調べ等しくなければステップS6でステップS4において生成したt0、te、H及び各トレーニングシンボル系列を用いて、受信信号レプリカRe1〜ReNを生成し、又これらを用いて誤差信号Esを生成する。その後ステップS7でsを+1してステップS3に戻る。ステップS5でsがSと等しければステップS8でその時のt0、te、HをMIMO適応等化部35に出力する。ステップS9でt0,te,Hを用いて受信信号に対し、適応等化処理を行い、ステップS10で、等化処理された各信号系列(送信機信号)に対し、復号処理を行う。
【0033】
第8実施例における誤り検出を行う場合は、ステップS4で検出した複数のタイミング候補tsn−m2,tsn−m3などを記憶しておき、破線で示すようにステップS11で復号された各信号系列について誤り検出処理を行い、誤りが検出されると、ステップS4に戻り、記憶しておいたタイミング候補tsn−m2を用いて等化開始タイミングt0、等化範囲teの検出を行う。また信頼性の低い検出タイミングと対応するレプリカを使用しない場合は図28中に破線で示すようにステップS1−1で各送信機信号についてt0,teの検出を行い、Hを推定し、また検出タイミングの信頼性判定を行う。前記実施例ではその送信機信号と対応する受信信号(又は干渉抑圧信号)のエネルギー指標あるいはトレーニングシンボル系列との相関出力、または前回の処理で推定したチャネル状態の係数の2乗和が所定値以下であれば信頼性が低いと判定する。ステップS1−2で、レプリカRe1〜ReN中の検出タイミングの信頼性が低いと判定された以外の対応するものを生成し、これらを受信信号から差し引いて誤差信号EsとしてステップS2に移る。ステップS6の代りに、ステップS6−1で検出タイミングの信頼性を判定し、ステップS6−2で信頼性が低くないレプリカのみ生成し、これを受信信号から差し引きEsを生成してステップS7に移るようにしてもよい。
ステップS1及びS4において第1及び第4実施例と対応する場合は、チャネル状態の推定は一括して行い、第2および第3実施例と対応する場合は各送信機トレーニングシンボル系列ごとに行う。適応等化処理におけるタイミングオフセットの補償は等化開始タイミング中のもっとも早いものを基準とし、適応等化処理に用いる等化範囲TEは各等化範囲候補te中のもっとも長いものを用いることは先に述べた場合と同様である。
【0034】
第10実施例
図29を参照して第5実施例と対応する方法の第10実施例を説明する。ステップS1で処理信号パラメータとしての誤差信号Esを受信信号Rmに初期化し、ステップS2で処理回数のパラメータsを1に初期化し、ステップS3でN個の送信機の送信信号に対してそれぞれ1シンボル当たりの受信エネルギーを測定し、その大きい順に送信機トレーニングシンボル系列を順番づける。ここではその順番はn=1,2,・・・,Nの順であったとする。ステップS4でsが1であるかを調べ、1であれば、ステップS5で受信エネルギーの大きい順のパラメータnを1に初期化し、次にステップS6でsが1であるかを調べ、1であれば、ステップS7で誤差信号Esについてトレーニングシンボル系列TSSnを用いてt0、teの検出、Hnを推定し、これらとトレーニングシンボル系列TSSnを用いてレプリカRenの生成を行い、そのRenをEsから差し引き、その結果でEsを更新し、Renを記憶する。ステップS8でnがNと等しいかを調べ、等しくなければステップS9でnをプラス1してステップS6に戻る。ステップS8でnがNと等しければ、ステップS10でsがSと等しいか調べ、等しくなければステップS11でsをプラス1してステップS12に移る。ステップS8でn=Nの場合、誤差信号Esは受信信号から全レプリカRe1〜ReNを差し引いた誤差信号となっている。ステップS4でsが1でなければステップS12へ移る。ステップS12でs−1回目処理で生成した受信信号レプリカRe1〜ReNと誤差信号Esを取り込んでステップS5に移る。ステップS6でsが1でなければ、ステップS13において、ステップS12で取り込んだEsにRenを加算して干渉抑圧受信信号rICnを生成し、この干渉抑圧受信信号についてt0、te、トレーニングシンボル系列TSSnを用いて検出し、Hを推定し、これらとトレーニングシンボル系列TSSnを用いて、受信信号レプリカRenを生成、記憶し、又このRenを干渉抑圧受信信号から差し引いて、誤差信号Esを生成し、Esをこれに更新してステップS8に移る。
【0035】
ステップS10でsがSと等しければステップS14でその時のt0、te、HをMIMO適応等化部35に出力する。尚s=S回目の処理ではステップS13において、受信信号レプリカRenの生成は行わず、且つn=NではEsの生成は行わない。ステップS15でMIMO適応等化部35で受信信号を適応等化処理し、ステップS16で分離されたシンボル系列を信号系列復号部62より復号する。
第8実施例と対応した処理を行う場合はステップS13でタイミング候補tsn−m2,tsn−m3などを記憶しておき、ステップS17で誤り検出処理を行い、誤りが検出されると、ステップS18でその送信機信号の処理順番にnを設定してステップS13に移る。各処理回数ごとに処理する送信機信号の順を設定し直す場合は図29中に破線で示すように、ステップS11の後にステップS3に戻る。s=2以後におけるステップS3での受信エネルギー測定は、誤差信号Esにそれぞれ前回の処理で得られたレプリカRe1〜ReNに対して行う。
【0036】
第11実施例
図30を参照して第6実施例と対応する方法の第11実施例を説明する。ステップS1で受信信号からt0、teを検出し、Hを推定し、Re1〜ReN、Esを生成する。
ステップS2でN個の送信機信号に対してそれぞれ1シンボル当たりの受信エネルギーを測定し、その大きい順に送信機トレーニングシンボル系列を順番づける。ここではその順番はn=1,2,・・・,Nの順とする。ステップS3でsを2に初期化し、ステップS4でs−1回目の受信信号レプリカRe1〜ReNと誤差信号Esを取り込み、ステップS5でnを1に初期化し、ステップS6で取り込んだEsにRenを加算して干渉抑圧受信信号rICnを生成し、この干渉抑圧受信信号についてt0、teを検出し、Hnを推定し、これらを用いて、受信信号レプリカRenを生成、記憶し、又このRenを干渉抑圧受信信号rICnから差し引いて、誤差信号Esを生成し、Esをこれに更新する。
ステップS7でnがNと等しいかを調べ、等しくなければステップS8でnをプラス1してステップS6に戻る。ステップS7でnがNと等しければ、ステップS9でsがSと等しいか調べ、等しくなければステップS10でsをプラス1してステップS4に戻る。ステップS9でsはSと等しければステップS11でその時のt0、te、HをMIMO適応等化部35に出力する。尚s=S回目の処理ではステップS6において、受信信号レプリカRenの生成は行わず、且つn=NではEsの生成は行わない。ステップS12で受信信号に対しMIMO適応等化処理を行い、ステップS13で、その等化処理されたシンボル系列を信号系列に復号する。この場合も特に示さないが誤り検出処理を行って、誤りがあればタイミング候補を用いてte、Hを求めるようにすることもできる。
【0037】
第12実施例
次に図31を参照して第7実施例と対応した方法の第12実施例を説明する。ステップS1において誤差信号パラメータEsを受信信号Rmで初期化し、ステップS2で処理回数パラメータsを1に初期化し、ステップS3でN個の送信機のトレーニングシンボル系列についてそれぞれのシンボル当たりの受信エネルギーを測定し、その大きい順に送信トレーニング信号系列を複数個ずつのグループG1〜GXに分ける。ステップS4でsが1であるかを調べ、1であれば、ステップS5でグループパラメータxを1に初期化し、ステップS6でsが1であるかを調べ、1であればステップS7でグループGXに属するトレーニングシンボル系列を用いて誤差信号(受信信号)Esについて並列処理してそれぞれt0、teを検出し、Hを推定し、更にこれらを用いて各受信信号レプリカRenを生成し、記憶し、また誤差信号Esから生成した各レプリカRenを差し引き、その結果でEsを更新する。
【0038】
ステップS8でxがXと等しいかを調べ、等しくなければステップS9でxを+1してステップS6に戻り、ステップS8でxとXが等しければステップS10でsがSと等しいかを調べ、等しくなければステップS11でsを+1してステップS12に移る。またステップS4でsが1でなければステップS12に移る。ステップS12でs−1回目に生成したRe1〜ReNとEsを取り込んでステップS5に移る。ステップS6でsが1でなければ、ステップS13において、グループGXに属するトレーニングシンボル系列と対応する各Renをそれぞれ誤差信号Esに加算して複数の干渉抑圧受信信号を生成し、これら複数の干渉抑圧受信信号をそのグループGXに属するトレーニングシンボル系列を用いて並列処理してそれぞれt0、teを検出し、Hを推定し、更にこれらを用いて各受信信号レプリカRenを生成し、更新記憶し、又複数の干渉抑圧受信信号から対応する生成したレプリカRenをそれぞれ差し引いてESを生成して、そのEsにEsを更新してステップS8に移る。ステップS10でsがSに等しければ、ステップS14でその時のt0、te、HをMIMO適応等化部35に供給する。尚ステップS13においてS回目では、Renの生成は行わず、且つx=Xの場合はEsの生成は行わない。ステップ15で受信信号を適応等化処理し、ステップ16で、その等化処理されたシンボル系列に対し復号処理する。図に示していないが、必要に応じて誤り検出処理を行い誤りがあれば、タイミング候補を用いて、t0,te,Hを求めなおすようにすることもできる。
更に図29〜図31において特に示さなかったが、これらの方法においても、検出タイミングの信頼性を判定し、信頼性の低いタイミングと対応しないレプリカのみを出力するようにしてもよい。上述においては等化範囲の検出を行ったが、等化範囲は固定長として、この検出を行わなくてもよい。
【0039】
上述では同期タイミング生成部12n及び開始タイミング・範囲候補生成部21nで、トレーニングシンボル系列TSSnと受信信号との相関をそれぞれ求めたが、同期タイミング生成部12nで生成した相関を記憶しておき、これを開始タイミング・範囲候補生成部21nで利用してもよい。
図22及び図25に示したように直列型及び、複合型処理段42で同期検出、チャネル推定を行う場合において、例えば直列型では第1処理段421においてユーザごとに、チャネルの推定を行うチャネル推定精度の劣化が生じると考えられる。これは、例えば、ユーザ1の受信信号(受信電力の最も大きい)の検出を行う際に、ユーザごとのチャネル推定手段において、図17に示した構成により行うと、使用する受信信号中にユーザ2〜ユーザNの受信信号が含まれているためである。ちなみに、第2処理段422以降においては、チャネル推定に使用する受信信号中には、他ユーザの受信信号がキャンセルされているため、大きなチャネル推定精度の劣化にはつながらないと考えられる。よって、この問題を解決する手段として、第1処理段421では図22中に破線で示すように同期検出部821〜82Nで検出された全てのユーザの同期開始タイミングと、トレーニングシンボル系列TSS1〜TSSNと、受信信号(レプリカによるキャンセルが行われていない信号)とをチャネル推定部28(図9に示したものと同様の構成)に入力して、全てのチャネル状態を推定し、これをレプリカ生成部451〜4
nへ供給するようにすればよい。
【0040】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明により、MIMO受信機におけるチャネル状態の推定精度、等化開始タイミングの検出精度、及び等化範囲の決定精度を高めることができる。特にパケット通信においては、フレーム毎にチャネル状態の推定、等化開始タイミングの検出、及び等化範囲の決定を行う必要があると考えられ、そのような場合には、この発明によりチャネル推定用、同期用のトレーニングシンボル系列を短かくすることが可能となり、それだけ伝送する情報量を増加させる事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ターボ受信機に対応する送信機の構成例を示す図である。
【図2】 MIMOターボ受信機の機能構成例を示す図である。
【図3】 MIMO適応等化部の機能構成例を示す図である。
【図4】シングルユーザ用適応等化器の機能構成を示す図である。
【図5】Aは従来のシンボル同期タイミングの決定方法を説明するための図、Bは従来の等化範囲の決定方法を説明するための図である。
【図6】提案されているMIMO受信機の構成を示す図である。
【図7】同期タイミング生成部の機能構成例を示す図である。
【図8】開始タイミング・範囲候補生成部の機能構成例を示す図である。
【図9】チャネル推定部の機能構成例を示す図である。
【図10】提案されているアンテナ間共通の等化開始タイミング信号、等化範囲候補信号の生成を行うMIMO受信機の機能構成を示す図である。
【図11】図10中の同期タイミング生成部の構成例を示す図である。
【図12】図10中の開始タイミング・範囲候補生成部の構成例を示す図である。
【図13】この発明の第1実施例の受信機の機能構成を示す図である。
【図14】図13中の処理段42sの機能構成例を示す図である。
【図15】図14中のレプリカ生成器45の機能構成例を示す図である。
【図16】この発明の第2実施例の処理段42sの機能構成例を示す図である。
【図17】図16中のチャネル推定部28の機能構成例を示す図である。
【図18】この発明の第3実施例の受信機の機能構成例を示す図である。
【図19】この発明の第4実施例の受信機の機能構成例を示す図である。
【図20】図19中の処理段42sの機能構成例を示す図である。
【図21】Aはこの発明の第5実施例における処理順序検出部48の機能構成例を示す図、Bはその他の例を示す図である。
【図22】第5実施例における処理段42sの機能構成例を示す図である。
【図23】この発明の第6実施例の受信機の機能構成例を示す図である。
【図24】第6実施例における処理順序検出部48の機能構成例を示す図である。
【図25】この発明の第7実施例の処理段42sの機能構成例を示す図である。
【図26】処理部を繰返し使用して各処理段とする構成例を示す図である。
【図27】この発明の第8実施例の機能構成の要部を示す図である。
【図28】第1乃至第4実施例と対応するこの発明の方法の処理手順の例を示す流れ図である。
【図29】第5実施例と対応するこの発明の方法の処理手順の例を示す流れ図である。
【図30】第6実施例と対応するこの発明の方法の処理手順の例を示す流れ図である。
【図31】第7実施例と対応するこの発明の方法の処理手順の例を示す流れ図である。

Claims (12)

  1. 2以上の整数N個の同一周波数帯の送信信号系列を2以上の整数M個のアンテナで受信して得たM個の受信信号を、等化開始タイミング信号、等化範囲信号、チャネル状態推定値を用いて適応等化処理してN個の送信機対応のシンボル系列に分離するMIMO適応等化部と、
    そのMIMO適応等化部よりのN個の出力シンボル系列をそれぞれ復号処理する信号系列復号部と、
    上記N個の送信信号系列中のそれぞれのトレーニングシンボル系列と同じN個のトレーニングシンボル系列をそれぞれ生成するトレーニング系列生成部と、
    各段がN個の同期検出部とチャネル推定手段を含む縦続接続されたS段の処理段により構成され、上記M個の受信信号をそれぞれ処理するM個の繰り返し処理部、Sは2以上の整数、
    とを含み、
    各上記繰り返し処理部の第1段目を除く各処理段はN個の加算部をさらに含み、第S段目を除く各処理段はN個のレプリカ生成部と、誤差信号生成部とをさらに含み、
    各上記繰り返し処理部の第1の処理段において、上記N個の同期検出部は、上記N個のトレーニングシンボル系列を使って上記M個の受信信号の対応する1つからN個の等化開始タイミング信号と、N個の等化範囲候補信号を生成し、上記チャネル推定手段は、上記N個のトレーニングシンボル系列と上記N個の等化開始タイミング信号と上記N個の等化範囲候補信号とを使って上記M個の受信信号の対応する1つに対してチャネル状態の推定を行いN個のチャネル状態推定値を生成し、上記N個のレプリカ生成部は、上記N個のトレーニングシンボル系列と上記N個の等化開始タイミング信号と上記N個のチャネル状態推定値とに基づいて上記N個のトレーニングシンボル系列の上記M個の受信信号の対応する1つに対するN個のレプリカを生成し、上記誤差信号生成部は上記N個のレプリカを、上記M個の受信信号の対応する1つから差し引いて誤差信号を生成し、
    第2段目以降の各上記処理段において、上記N個の加算部は前段で生成された上記誤差信号と、上記N個のレプリカをそれぞれ加算してN個の干渉抑圧受信信号を生成し、上記N個の同期検出部は上記N個のトレーニングシンボル系列を使って上記N個の干渉抑圧受信信号から、N個の等化開始タイミング信号とN個の等化範囲候補信号を生成し、上記チャネル推定手段は上記N個の等化開始タイミング信号と上記N個の等化範囲候補信号と上記N個の干渉抑圧受信信号に基づいてN個のチャネル状態推定値を生成し、
    第S段目を除く各処理段において、上記N個のレプリカ生成部は上記N個のトレーニングシンボル系列と上記N個の等化開始タイミング信号と上記N個のチャネル状態推定値に基づいて上記N個のトレーニングシンボル系列の上記M個の受信信号の対応する1つに対するN個のレプリカを生成し、上記誤差信号生成部は上記M個の受信信号の対応する1つから上記N個のレプリカを減算して誤差信号を生成し、
    上記第S段目の処理段において上記N個の同期検出部により生成された上記N個の等化開始タイミング信号と、上記N個のチャネル状態推定値とが上記MIMO適応等化部に与えられ、
    さらに上記M個の繰り返し処理部の最終処理段で生成された上記等化範囲候補信号から1つの等化範囲信号を生成し上記MIMO適応等化部に与える等化範囲生成手段が設けられていることを特徴とするMIMO受信機。
  2. 2以上の整数N個の同一周波数帯の送信信号系列を2以上の整数M個のアンテナで受信して得たM個の受信信号を、等化開始タイミング信号、等化範囲信号、チャネル状態推定値を用いて適応等化処理してN個の送信機対応のシンボル系列に分離するMIMO適応等化部と、
    そのMIMO適応等化部よりのN個の出力シンボル系列をそれぞれ復号処理する信号系列復号部と、
    上記N個の送信信号系列中のそれぞれのトレーニングシンボル系列と同じN個のトレーニングシンボル系列をそれぞれ生成するトレーニング系列生成部と、
    各段がN個の同期検出部とチャネル推定手段を含む縦続接続されたS段の処理段により構成された繰り返し処理部、Sは2以上の整数、
    とを含み、
    上記繰り返し処理部の第1段目を除く各処理段はN個の加算部をさらに含み、第S段目を除く各処理段はN個のレプリカ生成部と、誤差信号生成部とをさらに含み、
    上記繰り返し処理部の第1の処理段において、上記N個の同期検出部は、上記N個のトレーニングシンボル系列を使って上記M個の受信信号からN個の等化開始タイミング信号と、N個の等化範囲候補信号を生成し、上記チャネル推定手段は、上記N個のトレーニングシンボル系列と上記N個の等化開始タイミング信号と上記N個の等化範囲候補信号とを使って上記M個の受信信号に対してチャネル状態の推定を行いN個のチャネル状態推定値を生成し、上記N個のレプリカ生成部は、上記N個のトレーニングシンボル系列と上記N個の等化開始タイミング信号と上記N個のチャネル状態推定値とに基づいて上記N個のトレーニングシンボル系列の上記M個の受信信号に対するN個のレプリカを生成し、上記誤差信号生成部は上記N個のレプリカを、上記M個の受信信号のそれぞれから差し引いてM個の誤差信号を生成し、
    第2段目以降の各上記処理段において、上記N個の加算部は直前の処理段で生成された上記M個の誤差信号のそれぞれと、上記N個のレプリカをそれぞれ加算してそれぞれM個からなるN組の干渉抑圧受信信号を生成し、上記N個の同期検出部は上記N組の干渉抑圧受信信号から上記N個のトレーニングシンボル系列を使ってN個の等化開始タイミング信号とN個の等化範囲候補信号を生成し、上記チャネル推定手段は上記N個の等化開始タイミング信号と上記N個の等化範囲候補信号と上記M個の受信信号に基づいてN個のチャネル状態推定値を生成し、
    第S段目を除く各処理段において、上記N個のレプリカ生成部は上記N個のトレーニングシンボル系列と上記N個の等化開始タイミング信号と上記N個のチャネル状態推定値に基づいて上記N個のトレーニングシンボル系列の上記M個の受信信号に対するN個のレプリカを生成し、上記誤差信号生成部は上記M個の受信信号のそれぞれから上記N個のレプリカを減算してM個の誤差信号を生成し、
    上記第S段目の処理段において上記N個の同期検出部により生成された上記N個の等化開始タイミング信号と上記N個のチャネル状態推定値が上記MIMO適応等化部に与えられ、
    さらに上記M個の繰り返し処理部の最終処理段で生成された上記N個の等化範囲候補信号から1つの等化範囲信号を生成し上記MIMO適応等化部に与える等化範囲生成手段が設けられていることを特徴とするMIMO受信機。
  3. 2以上の整数N個の同一周波数帯の送信信号系列を2以上の整数M個のアンテナで受信して得たM個の受信信号を、等化開始タイミング信号、等化範囲信号、チャネル状態推定値を用いて適応等化処理してN個の送信機対応のシンボル系列に分離するMIMO適応等化部と、
    そのMIMO適応等化部よりのN個の出力シンボル系列をそれぞれ復号処理する信号系列復号部と、
    上記N個の送信信号系列中のそれぞれのトレーニングシンボル系列と同じN個のトレーニングシンボル系列をそれぞれ生成するトレーニング系列生成部と、
    各段がN個の同期検出部とN個のチャネル状態推定部を含む縦続接続されたS段の処理段により構成され、上記M個の受信信号をそれぞれ処理するM個の繰り返し処理部、Sは2以上の整数、
    とを含み、
    各上記繰り返し処理部の第1段目を除く各処理段はN個の加算部をさらに含み、第S段目を除く各処理段はN個のレプリカを生成するN個のレプリカ生成部と、N個の誤差信号を生成するN個の誤差信号生成部とをさらに含み、
    各上記繰り返し処理部の第1の処理段においてn=1、…、Nについて、第nの同期検出部は、第(n-1)の誤差信号から第nのトレーニングシンボル系列を使って第n等化開始タイミング信号と第n等化範囲候補信号を生成し、第nのチャネル状態推定部は、上記第nのトレーニングシンボル系列と上記第nの等化開始タイミング信号と上記第nの等化範囲候補信号とを使って上記第(n-1)の誤差信号に対してチャネル状態の推定を行い第nのチャネル状態推定値を生成し、第nのレプリカ生成部は、上記第nのトレーニングシンボル系列と上記第nの等化開始タイミング信号と上記第nのチャネル状態推定値とに基づいて上記第nのトレーニングシンボル系列の上記M個の受信信号の対応する1つに対する第nのレプリカを生成し、第nの誤差信号生成部は上記第nのレプリカを、上記第(n-1)の誤差信号から差し引いて第nの誤差信号を生成し、ただし、n=1の時の第(n-1)の誤差信号として、上記M個の受信信号の対応する1つを使用し、
    第2処理段以降で第S−1処理段までの各処理段においてn=1、…、Nについて、第nの加算部は第(n-1)の誤差信号と、直前の処理段で生成された第nのレプリカを加算して第nの干渉抑圧受信信号を生成し、ただし、n=1の場合は直前の処理段の第Nの誤差信号を上記第(n-1)の誤差信号として使用し、第nの同期検出部は上記第nのトレーニングシンボル系列を使って上記第nの干渉抑圧受信信号から第nの等化開始タイミング信号と第nの等化範囲候補信号を生成し、第nのチャネル状態推定部は上記第nの等化開始タイミング信号と上記第nの等化範囲候補信号と上記第nの干渉抑圧受信信号に基づいて第nのチャネル状態推定値を生成し、第nのレプリカ生成部は、上記第nのトレーニングシンボル系列と上記第nの等化開始タイミング信号と上記第nのチャネル状態推定値とに基づいて上記第nのトレーニングシンボル系列の上記M個の受信信号の対応する1つに対する第nのレプリカを生成し、第nの誤差信号生成部は上記第nのレプリカを、上記第nの干渉抑圧受信信号から差し引いて第nの誤差信号を生成し、
    第Sの処理段においてn=1、…、Nについて、第nの加算部は第(n-1)の誤差信号と、第(S-1)処理段で生成された第nのレプリカを加算して第nの干渉抑圧受信信号を生成し、ただし、n=1の時の第(n-1)の誤差信号として上記第(S-1)処理段で生成された第N誤差信号を使用し、第nの同期検出部は上記N個のトレーニングシンボル系列を使って上記第nの干渉抑圧受信信号から第nの等化開始タイミング信号と第nの等化範囲候補信号を生成し、第nのチャネル状態推定部は上記第nの等化開始タイミング信号と上記第nの等化範囲候補信号と上記第nの干渉抑圧受信信号に基づいて第nのチャネル状態推定値を生成し、
    上記第S段目の処理段において上記N個の同期検出部により生成された上記N個の等化開始タイミング信号と上記N個のチャネル状態推定値とが上記MIMO適応等化部に与えられ、
    さらに上記M個の繰り返し処理部の最終処理段で生成された上記等化範囲候補信号から1つの等化範囲信号を生成し上記MIMO適応等化部に与える等化範囲生成手段が設けられていることを特徴とするMIMO受信機。
  4. 請求項1、2または3の受信機において、
    各処理段において、各上記同期検出部で検出された検出タイミングの信頼性を判定する信頼性判定部と、信頼性判定部で信頼性が低いと判定された検出タイミングと対応するレプリカを出力させない手段とを備える。
  5. 請求項3の受信機において、
    少なくとも上記第1の処理段において、各N個の送信信号系列について、各1シンボル当たりの受信エネルギーを測定し、その大きい順を決定する処理順序検出部を備え、
    上記第nの同期検出部と、上記第nのチャネル状態推定部と、上記第nのレプリカ生成部と、上記第nの誤差信号生成部とによる処理は、n=1,…,Nについて上記決定された順に行う。
  6. 請求項1または2の受信機において、
    少なくとも上記第1の処理段において、N個の送信信号系列に対して各1シンボル当たりの受信エネルギーを測定し、その大きい順にN個の送信信号系列を複数個ずつのグループに分ける処理順序検出部を備え、
    各上記グループに属する複数の送信信号系列について上記第1乃至第N中の対応する同期検出部と、チャネル推定部と、レプリカ生成部とによる処理を並列的に行う並列処理部が構成され、
    これら各並列処理部のレプリカ生成部よりのレプリカをその第1同期検出部の入力信号から差し引いて次の並列処理部の加算部に誤差信号として入力する誤差信号生成部により上記大きい順のグループの順に上記並列処理部が順次接続されている。
  7. 2以上の整数N個の同一周波数帯の送信信号系列を2以上の整数M個のアンテナで受信して得たM個の受信信号からN個のトレーニングシンボル系列を使って同期・チャネル処理により生成した等化開始タイミング信号、等化範囲信号、チャネル状態推定値を用いてMIMO適応等化部により適応等化処理してN個の送信機対応のシンボル系列に分離し、
    そのMIMO適応等化部よりのN個の出力シンボル系列をそれぞれ復号処理するMIMO受信方法であり、
    上記同期・チャネル処理は、上記M個の受信信号のそれぞれに対し、S段の処理段から成る繰り返し処理、Sは2以上の整数、
    を含み、
    各受信信号に対する上記繰り返し処理の第1段目の処理段は、上記N個のトレーニングシンボル系列を使って上記M個の受信信号の対応する1つからN個の等化開始タイミング信号と、N個の等化範囲候補信号を生成する過程と、上記N個のトレーニングシンボル系列と上記N個の等化開始タイミング信号と上記N個の等化範囲候補信号とを使って上記M個の受信信号の対応する1つに対してチャネル状態の推定を行いN個のチャネル状態推定値を生成する過程と、上記N個のトレーニングシンボル系列と上記N個の等化開始タイミング信号と上記N個のチャネル状態推定値とに基づいて上記N個のトレーニングシンボル系列の上記M個の受信信号の対応する1つに対するN個のレプリカを生成する過程と、上記N個のレプリカを、上記M個の受信信号の対応する1つから差し引いて誤差信号を生成する過程を含み、
    第2段目以降の各上記処理段は、前処理段で生成された上記誤差信号と、上記N個のレプリカをそれぞれ加算してN個の干渉抑圧受信信号を生成する過程と、上記N個のトレーニングシンボル系列を使って上記N個の干渉抑圧受信信号からN個の等化開始タイミング信号とN個の等化範囲候補信号を生成する過程と、上記N個の等化開始タイミング信号と上記N個の等化範囲候補信号と上記N個の干渉抑圧受信信号に基づいてN個のチャネル状態推定値を生成する過程とを含み、
    第S段目を除く各処理段は、上記N個のトレーニングシンボル系列と上記N個の等化開始タイミング信号と上記N個のチャネル状態推定値に基づいて上記N個のトレーニングシンボル系列の上記M個の受信信号の対応する1つに対するN個のレプリカを生成する過程と、上記M個の受信信号対応する1つから上記N個のレプリカを減算して誤差信号を生成する過程とを含み、
    上記第S段目の処理段は、上記N個の等化開始タイミング信号と上記N個のチャネル状態推定値を上記MIMO適応等化部に与え、上記M個の受信信号に対するそれぞれの繰り返し処理の最終段で生成された上記等化範囲候補信号から1つの等化範囲信号を生成し上記MIMO適応等化部に与える過程を含むことを特徴とするMIMO受信方法。
  8. 2以上の整数N個の同一周波数帯の送信信号系列を2以上の整数M個のアンテナで受信して得たM個の受信信号からN個のトレーニングシンボル系列を使って同期・チャネル処理により生成した等化開始タイミング信号、等化範囲信号、チャネル状態推定値を用いてMIMO適応等化部により適応等化処理してN個の送信機対応のシンボル系列に分離し、
    そのMIMO適応等化部よりのN個の出力シンボル系列をそれぞれ復号処理するMIMO受信方法であり、
    上記同期・チャネル処理は、S段の処理段から成る繰り返し処理、Sは2以上の整数、
    を含み、
    上記繰り返し処理の第1段目の処理段は、上記N個のトレーニングシンボル系列を使って上記M個の受信信号からN個の等化開始タイミング信号と、N個の等化範囲候補信号を生成する過程と、上記N個のトレーニングシンボル系列と上記N個の等化開始タイミング信号と上記N個の等化範囲候補信号とを使って上記M個の受信信号に対しチャネル状態の推定を行いN個のチャネル状態推定値を生成する過程と、上記N個のトレーニングシンボル系列と上記N個の等化開始タイミング信号と上記N個のチャネル状態推定値とに基づいて上記N個のトレーニングシンボル系列の上記M個の受信信号に対するN個のレプリカを生成する過程と、上記N個のレプリカを、上記M個の受信信号のそれぞれから差し引いてM個の誤差信号を生成する過程を含み、
    第2段目以降の各上記処理段は、直前の処理段で生成された上記M個の誤差信号のそれぞれと、上記N個のレプリカをそれぞれ加算してそれぞれがM個からなるN組の干渉抑圧受信信号を生成する過程と、上記N組の干渉抑圧受信信号から上記N個のトレーニングシンボル系列を使ってN個の等化開始タイミング信号とN個の等化範囲候補信号を生成する過程と、上記N個の等化開始タイミング信号と上記N個の等化範囲候補信号と上記M個の受信信号に基づいてN個のチャネル状態推定値を生成する過程とを含み、
    第S段目を除く各処理段は、上記N個のトレーニングシンボル系列と上記N個の等化開始タイミング信号と上記N個のチャネル状態推定値に基づいて上記N個のトレーニングシンボル系列の上記M個の受信信号に対するN個のレプリカを生成する過程と、上記M個の受信信号のそれぞれから上記N個のレプリカを減算してM個の誤差信号を生成する過程とを含み、
    上記第S段目の処理段は、上記N個の等化開始タイミング信号と上記N個のチャネル状態推定値を上記MIMO適応等化部に与え、上記第S段目の処理段で生成された上記N個の等化範囲候補信号から1つの等化範囲信号を生成し上記MIMO適応等化部に与える過程を含むことを特徴とするMIMO受信方法。
  9. 2以上の整数N個の同一周波数帯の送信信号系列を2以上の整数M個のアンテナで受信して得たM個の受信信号からN個のトレーニングシンボル系列を使って同期・チャネル処理により生成した等化開始タイミング信号、等化範囲信号、チャネル状態推定値を用いてMIMO適応等化部により適応等化処理してN個の送信機対応のシンボル系列に分離し、
    そのMIMO適応等化部よりのN個の出力シンボル系列をそれぞれ復号処理するMIMO受信方法であり、
    上記同期・チャネル処理は、上記M個の受信信号のそれぞれに対しS段の処理段から成る繰り返し処理、Sは2以上の整数、
    を含み、
    各受信信号に対する上記繰り返し処理の第1の処理段は、n=1、…、Nについて、第(n-1)の誤差信号と第nのトレーニングシンボル系列から第n等化開始タイミング信号と第n等化範囲候補信号を生成する過程と、上記第nのトレーニングシンボル系列と上記第nの等化開始タイミング信号と上記第nの等化範囲候補信号とを使って上記第(n-1)の誤差信号に対してチャネル状態の推定を行い第nのチャネル状態推定値を生成する過程と、上記第nのトレーニングシンボル系列と上記第nの等化開始タイミング信号と上記第nのチャネル状態推定値とに基づいて上記第nのトレーニングシンボル系列の上記M個の受信信号の対応する1つに対する第nのレプリカを生成する過程と、上記第nのレプリカを、上記第(n-1)の誤差信号から差し引いて第nの誤差信号を生成する過程とを含み、ただし、n=1の時の第(n-1)の誤差信号として、上記M個の受信信号の対応する1つを使用し、
    第2処理段以降で第S−1処理段までの各処理段はn=1、…、Nについて、第(n-1)の誤差信号と、直前の処理段で生成された第nのレプリカとを加算して第nの干渉抑圧受信信号を生成する過程と、ただし、n=1の場合は直前の処理段の第Nの誤差信号を上記第(n-1)の誤差信号として使用し、上記第nのトレーニングシンボル系列を使って上記第nの干渉抑圧受信信号から第nの等化開始タイミング信号と第nの等化範囲候補信号を生成する過程と、上記第nの等化開始タイミング信号と上記第nの等化範囲候補信号と上記第nの干渉抑圧受信信号に基づいて第nのチャネル状態推定値を生成する過程と、上記第nのトレーニングシンボル系列と上記第nの等化開始タイミング信号と上記第nのチャネル状態推定値とに基づいて上記第nのトレーニングシンボル系列の上記M個の受信信号の対応する1つに対する第nのレプリカを生成する過程と、上記第nのレプリカを、上記第nの干渉抑圧受信信号から差し引いて第nの誤差信号を生成する過程とを含み、
    第Sの処理段はn=1、…、Nについて、第(n-1)の誤差信号と、第(S-1)処理段で生成された第nのレプリカを加算して第nの干渉抑圧受信信号を生成する過程と、ただし、n=1の時の第(n-1)の誤差信号として上記第(S-1)処理段で生成された第N誤差信号を使用し、上記N個のトレーニングシンボル系列を使って上記第nの干渉抑圧受信信号から第nの等化開始タイミング信号と第nの等化範囲候補信号を生成する過程と、上記第nの等化開始タイミング信号と上記第nの等化範囲候補信号と上記第nの干渉抑圧受信信号に基づいて第nのチャネル状態推定値を生成する過程とを含み、
    上記第S段目の処理段は上記N個の等化開始タイミング信号と上記N個のチャネル状態推定値を上記MIMO適応等化部に与える過程と、上記N個の等化範囲候補信号から1つの等化範囲信号を生成し上記MIMO適応等化部に与える過程とを含むことを特徴とするMIMO受信方法。
  10. 請求項7、8または9の受信方法において、
    各処理段において、各上記検出された等化開始タイミングの信頼性を判定する過程を含み、
    信頼性が低いと判定された等化開始タイミングと対応する送信信号系列に対するレプリカの利用を停止する。
  11. 請求項9の受信方法において、
    少なくとも上記第1の処理段において、各N個の送信信号系列に対してそれぞれ1シンボル当たりの受信エネルギーを測定して、受信エネルギーの大きい順を決定する過程を含み、
    送信信号系列ごとに、第1乃至第N中の対応する上記同期検出過程、チャネル推定過程、レプリカ生成過程、誤差信号生成過程を上記決定された順に実行する。
  12. 請求項7または8の受信方法において、
    少なくとも上記第1の処理段において、N個の送信信号系列に対してそれぞれ1シンボル当たりの受信エネルギーを測定し、その受信エネルギーの大きい順にN個の送信信号系列を複数個ずつグループに分け、
    その各グループごとに、そのグループに属する各送信信号系列について上記第1乃至第N中の対応する同期検出過程、チャネル推定過程、レプリカ生成過程を並列に実行することを、上記受信エネルギーの大きいグループの順に実行し、その際に、このグループごとの処理で生成されたそのレプリカをそのグループ処理に対する受信信号から差し引いて誤差信号を生成し、この誤差信号を次のグループごとの処理に対する受信信号として使用する。
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