JP4104775B2 - 廃棄物最終処分場における漏水検知方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は廃棄物最終処分場における漏水検知方法に関し、更に詳しくは、遮水シートと粘土(遮水層)との二重化遮水構造を採用する廃棄物最終処分場において、シート破損時に粘土を透過する極微量の漏水の有無及び漏水位置を早期に検知するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
平成10年6月に施行された最終処分場の技術基準改正では、処分場の遮水構造として、(1)遮水シートのニ重化、(2)遮水シート+粘土(粘土層の厚さ:50cm以上,透水係数:10-6cm/秒以下)による二重化、(3)遮水シート+アスファルト・コンクリートによる二重化のいずれかの採用が義務付けられた。この内、上記(2)の遮水構造は粘土の恒久的安定性から処分場に対し特に有効であり、粘土を遮水層として採用した場合、シート破損時の漏水量が例えば上記(1)の二重シートが同時に破損した場合に比べ極めて微量になる。しかしこのような粘土層を透過する極微量の漏水であっても、処分場周辺の住民は該漏水の確実な検知を要望すると考えられる。
【0003】
上記(2)の遮水構造において、粘土層を透過した漏水を検知する方法としては、公知の電気式あるいは漏水集水式の方法を適用することが考えられる。しかし電気式では長期間の維持・管理の保証等に問題がある。また集水式では上述したように粘土層を透過する量が極めて微量であるため、漏水の有無を確認・検知する地点である排水管末端部まで漏水が連続流下するには相当量の漏水が生じて初めて可能となる。従ってこれでは漏水が拡大してから検知していることになり、その補修対策も大幅に遅れてしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は遮水シートと粘土との二重化遮水構造を採用する処分場において、シート破損時に粘土を透過する極微量の漏水の有無及び漏水位置を早期に検知可能な廃棄物最終処分場における漏水検知方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、遮水シートと該遮水シート下に敷設した粘土層とを有する二重化遮水構造を採用する廃棄物最終処分場において、前記粘土層下又は前記粘土層中に自然流下式にて集排水可能な集排水管を配設し、該集排水管内に該管内を遠隔的に監視可能なカメラ機能と該管内の水をサンプリング可能な採水機能とを有する自走式の装置を導入し、該装置によってサンプリングした水から漏水の有無を検知する前記廃棄物最終処分場における漏水検知方法であって、前記集排水管を、観測用大径管10から前記装置を導入可能な中径管11と、該中径管から多数分岐する小径管12とから構成し、前記装置を前記観測用大径管10から前記中径管と前記小径管との各接続部に導入して流下する水の有無を監視すると共に、いずれかの接続部で水の流出を確認した場合、該水を前記装置でサンプリングして分析することで前記小径管の集水領域内にシート損傷部が存在すると推定できる廃棄物最終処分場における漏水検知方法が提供される。
【0006】
即ち、本方法は、粘土層下又は粘土層中に配設した集排水管の内部にカメラ及びサンプリング機能付きの自走装置を挿入し、管内の水の有無を遠隔的に監視し続け、水を発見した場合は該水をサンプリングし、該水の塩分濃度等を分析して該水が処分場内部を起源とする浸出水(漏水)か否かを評価・判断するものである。尚、カメラ機能としてはCCDカメラ等を好ましく用いることができ、採水機能としてノズル付きの採水器等を用いることができ、該採水器を集排水管下流末端部の真空ポンプとチューブで連通させ、該ポンプの作動によりノズルからの採水と採水器からチューブを通じて分析地点である管末端部への送水を行うことができる。
【0007】
また集排水管を粘土層下に配設する場合は、粘土層下に集配水層を設ける形態となり、集排水管を粘土層の中間に挟在させる場合は、集排水管より上方の粘土層部分の厚さを50cm以上確保することが望ましい。
【0008】
本方法では、前記集排水管を、前記装置を導入可能な中径管と、該中径管から多数分岐する小径管とから構成し、前記装置によって前記中径管と前記小径管との接続部における水の有無を監視すると共に該接続部に存在する水をサンプリングするようにすることができる。即ち、中径管を自走装置を走行させる監視・サンプリング用の管とし、粘土層全域にてできるだけ密に集水可能とすべく該中径管から小径管を多数分岐させる。そして自走装置によって中径管と小径管との接続部において小径管端孔から中径管側に流下する水の有無を監視し、水を発見した場合、そのサンプリング及び分析を行い、漏水を検知した場合は、該漏水を流出した小径管が集水する領域内にシート破損部が存在すると推定することができる。
【0009】
尚、中径管の下流側端部は観測用大径管又はトンネルに接続され、自走装置は該大径管又はトンネルから中径管内へと導入されるが、小型の最終処分場では、中径管の末端を処分場堰堤を貫通させ、処分場外側から自走装置を中径管内に導入することができる。
【0010】
また、この発明の他の要旨は、遮水シートと該遮水シート下に敷設した粘土層とを有する二重化遮水構造を採用する廃棄物最終処分場において、前記粘土層下又は前記粘土層中 に自然流下式にて集排水可能な集排水管を配設し、該集排水管内に該管内を遠隔的に監視可能なカメラ機能と該管内の水をサンプリング可能な採水機能とを有する自走式の装置を導入し、該装置によってサンプリングした水から漏水の有無を検知する前記廃棄物最終処分場における漏水検知方法であって、前記集排水管を、観測用大径管10から前記装置を導入可能な中径管11’と、該中径管11’から多数分岐する小径管12’とから構成し、前記装置を前記観測用大径管10から前記中径管のうちの、一の中径管11 ' A内の一の接続部13Aで漏水を検知した場合、その接続部13Aから分岐する小径管12 ' Aと交差する他の小径管12 ' B,12 ' C,12 ' Dが接続する他の中径管11 ' B内における各接続部13B,13C,13Dにおいても漏水の有無を確認することにより、前記自然流下式の上流の前記小径管の集水領域内にシート損傷部が存在すると推定できる廃棄物最終処分場における漏水検知方法にある。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0012】
図1は廃棄物最終処分場の遮水工部分の断面説明図であり、中央の観測用トンネル10の左半部(断面構造タイプ1)と右半部(断面構造タイプ2)とで便宜的に別個の断面態様を表してる。即ち、左半タイプ1では遮水シート1の下方に粘土層2(厚さ50cm,透水係数10-7cm/秒)が敷設され、該粘土層2の下方に集排水層3が設置される。該集排水層3は粘土層2下に敷設した砂層3'内に集排水管(11,12)を配した形となる。更に集配水層3下には補助シート4が敷設されるが、該シート4を粘土に置き換えてもよい。
【0013】
一方、右半のタイプ2では遮水シート1の下方に粘土層2'(厚さ80cm,透水係数10-7cm/秒)が敷設され、該粘土層2'の中間に集配水管(11',12')が介設される。尚、該集排水管より上方の粘土層部分の厚さが50cm程度とされる。
【0014】
図2は上記集配水管(自然流下式)の配管態様を示す平面説明図であり、該図においても中央の観測用トンネル10の左半部(配管タイプ1)と右半部(配管タイプ2)とで便宜的に別個の配管態様を表している。従って図1の断面構造タイプ1又は2の集排水管を図2の左右いずれの配管タイプにも配することができるが、便宜的に図1及び図2の左半及び右半の中径管にそれぞれ同じ参照番号を付している。
【0015】
配管タイプ1(緻密型)は、観測用トンネル10から約20mピッチで監視・サンプリング用の有孔中径管11(φ20〜30cm)がトンネル10とほぼ直交する処分場周辺方向へ分岐・延伸され、更に各中径管11から約2mピッチで左右両側に多数本の有孔小径管12(φ2〜3cm)が分岐される。
【0016】
配管タイプ2(交差型)では中径管11'の配置はタイプ1と同様であるが、各中径管11'から約4mピッチで左右に小径管12'が分岐され、各小径管12'の長さはタイプ1の小径管12の長さの約2倍となり、また、一の中径管から分岐する小径管が別の中径管から分岐する小径管と交差するように配される。
【0017】
図3は監視・サンプリング用中径管11,11'内に導入するカメラ・サンプリング機能付きの自走装置20の一例を略示する。該装置20はCCDカメラ21と採水器22とを備え、CCDカメラ21は別室のモニター装置にて管内をモニタリングするためのものである。採水器22は採水ノズル23を有する容器状のものであり、トンネル10内に設定される採水分析地点の真空ポンプ(図示せず)と採水パイプ24を介して連通される。そして真空ポンプの作動により、ノズル23から採水可能となると共に該採水をパイプ24を通じて分析地点へ送ることができる。参照番号25は走行、カメラのズームや首振り、ノズルの向き変え等の制御及び電源のためのケーブルである。
【0018】
本発明では、自走装置20を観測用トンネル10から各中径管11,11'内に導入し、該中径管11,11'と各小径管12,12'との各接続部において小径管端孔から中径管側に流下する水の有無を監視する。かかる監視作業は定期的に続けられる。そしていずれかの接続部で水の流出を確認した場合、該水を装置20でサンプリングして所定の分析を行う。分析の結果、漏水であると確認できた場合、該水を流出した小径管の集水領域内にシート損傷部が存在すると推定できる。
【0019】
更に配管タイプ2では、一の中径管11'A内の一の接続部13Aで漏水を検知した場合、その接続部13Aから分岐する小径管12'Aと交差する他の小径管12'B,12'C,12'Dが接続する他の中径管11'B内における各接続部13B,13C,13Dにおいても漏水の有無を確認する。そして例えば接続部13Cのみで漏水が検知された場合、小径管12'Aの集水領域と小径管12'Cの集水領域との重複部分(ハッチング参照)内にシート損傷部が存在すると推定することができる。
【0020】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る廃棄物最終処分場における漏水検知方法では、遮水シート+粘土(遮水層)から成る二重化遮水構造を採用する処分場において、シート破損時に遮水層を透過する極微量の漏水を集排水管内部に所要の装置を導入して監視し続けることで早期に検知可能であるため、止水対策を迅速に講じることができ、漏水増加等の異常時にも迅速に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】処分場における遮水構造を略示する断面説明図であり、便宜的に左右で異なる態様を表している。
【図2】集排水管の平面説明図であり、便宜的に左右で異なる態様を表している。
【図3】自走装置の一例を略示する説明図である。
【符号の説明】
1 遮水シート
2 粘土層
3 集排水層
3' 砂層
4 補助シート
10 観測用トンネル
11,11' 中径管
12,12',12'A,12'B,12'C,12'D 小径管
13A,13B,13C,13D 接続部
20 自走装置
21 CCDカメラ
22 採水器
23 採水ノズル
24 採水パイプ
25 ケーブル
Claims (2)
- 遮水シートと該遮水シート下に敷設した粘土層とを有する二重化遮水構造を採用する廃棄物最終処分場において、前記粘土層下又は前記粘土層中に自然流下式にて集排水可能な集排水管を配設し、該集排水管内に該管内を遠隔的に監視可能なカメラ機能と該管内の水をサンプリング可能な採水機能とを有する自走式の装置を導入し、該装置によってサンプリングした水から漏水の有無を検知する前記廃棄物最終処分場における漏水検知方法であって、
前記集排水管を、観測用大径管10から前記装置を導入可能な中径管11と、該中径管から多数分岐する小径管12とから構成し、前記装置を前記観測用大径管10から前記中径管と前記小径管との各接続部に導入して流下する水の有無を監視すると共に、いずれかの接続部で水の流出を確認した場合、該水を前記装置でサンプリングして分析することで前記小径管の集水領域内にシート損傷部が存在すると推定できる廃棄物最終処分場における漏水検知方法。 - 遮水シートと該遮水シート下に敷設した粘土層とを有する二重化遮水構造を採用する廃棄物最終処分場において、前記粘土層下又は前記粘土層中に自然流下式にて集排水可能な集排水管を配設し、該集排水管内に該管内を遠隔的に監視可能なカメラ機能と該管内の水をサンプリング可能な採水機能とを有する自走式の装置を導入し、該装置によってサンプリングした水から漏水の有無を検知する前記廃棄物最終処分場における漏水検知方法であって、
前記集排水管を、観測用大径管10から前記装置を導入可能な中径管11’と、該中径管11’から多数分岐する小径管12’とから構成し、前記装置を前記観測用大径管10から前記中径管のうちの一の中径管11 ' A内の一の接続部13Aで漏水を検知した場合、その接続部13Aから分岐する小径管12 ' Aと交差する他の小径管12 ' B,12 ' C,12 ' Dが接続する他の中径管11 ' B内における各接続部13B,13C,13Dにおいても漏水の有無を確認することにより、前記自然流下式の上流の前記小径管の集水領域内にシート損傷部が存在すると推定できる廃棄物最終処分場における漏水検知方法。
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