JP4103515B2 - 排気ガス浄化システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化触媒又はディーゼルパティキュレートフィルタを備え、内燃機関の排気ガスを浄化する排気ガス浄化システムに関し、より詳細には、長時間のアイドル運転等によって酸化触媒又はディーゼルパティキュレートフィルタに蓄積された未燃炭化水素の大気中への排出を防止できる排気ガス浄化システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンを搭載している自動車においては、排気ガス中の粒子状物質(PM:パティキュレート・マター:以下PMとする)を浄化するために、エンジンの排気通路に酸化触媒やディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter :以下DPFとする)等の粒子状物質低減装置を配置しているが、このディーゼル自動車においては、アイドリング中に排出される未燃HC(炭化水素)やPMのうちの有機可溶成分(SOF:Soluble Organic Fraction:以下SOFとする)や水蒸気等が、酸化触媒の表面やフィルタの表面に付着して溜め込まれ蓄積する。
【0003】
このアイドリング状態が継続し、未燃HCやSOFの蓄積が数時間継続した後に、走行を開始する等によりアクセル開度が大きくなった場合に、排気ガス温度が酸化触媒が活性化される温度域まで昇温されないまま、排気ガスの流速が増加するので、酸化触媒やフィルタに付着した未燃HCやSOFが一挙に脱離し、排気管後端より大気中に白煙として排出されるため、後続車の視界不良や悪臭といった問題が発生する。
【0004】
これに対し、再生用の電気ヒータを有するDPFでは、アイドリング状態中に電気ヒータを使用してDPFを加熱して付着した未燃HC等を焼却除去できるが、この場合には、電力消費量が多くなるという問題が生じる。
【0005】
また、電気ヒータ等の加熱源を備えていない連続再生式DPFや酸化触媒においては、エンジンの燃料噴射において後噴出する等の燃料噴射制御により排気ガスを昇温させて、酸化触媒やDPFの温度を上昇させて未燃HC等を酸化除去する方法もあるが、制御用のプログラムが改めて必要になるという問題がある。
【0006】
そして、従来のディーゼルエンジンの排気中に含まれる未燃成分を酸化処理する触媒を備える車両の排気浄化装置においては、エンジン排気通路の触媒上流側に絞り弁を設け、この絞り弁を開閉するアクチュエータをパーキングブレーキスイッチを介してバッテリ側に接続し、駐車時に排気絞りを効かせてエンジンの排気温度を上昇させることにより、触媒を活性化させて、発進時の白煙や臭気の発生量を大幅に低減している(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−222012号公報 (第3頁)
【特許文献2】
特開平9−264162号公報 (第2頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この排気浄化装置では、駐車中も排気ガス温度が高温に保たれ、未燃HC等は活性化されている酸化触媒で酸化されているため、酸化触媒への付着及び蓄積は無くなるが、パーキングブレーキを作動させた時に、常に、絞り弁が閉弁し排気絞りが利くため、駐車中は常に排気絞りが継続し、また、信号待ちや短時間の停車においても排気絞りをすることになり、そのため、燃費が著しく悪化するという問題が生じる。
【0009】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、燃費の悪化を極力抑えながら、アイドル運転が長時間継続することによる未燃HC等の酸化触媒やDPFへの付着及び溜め込みを防ぐことができ、アイドル運転が長時間継続した後の白煙の発生を防止することができる排気ガス浄化システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的を達成するための排気ガス浄化システムは、内燃機関の排気通路に酸化触媒とディーゼルパティキュレートフィルタのいずれか一方又は両方を有する排気ガス処理装置を備えた車両の排気ガス浄化システムにおいて、該排気ガス処理装置の上流に絞り弁を配置すると共に、内燃機関の運転状態がアイドリング状態であることを検出するアイドリング状態検出手段と、該アイドリング状態検出手段によって検出されたアイドリング状態の継続時間を計測する継続時間計測手段と、前記アイドリング状態の継続時間が所定の判定値を超えた時に、前記絞り弁を閉じる絞り弁制御手段とを有する制御装置を具備し、更に、前記絞り弁を閉じた状態を、エンジンの運転状態がアイドリング状態から逸脱した場合、又は、パワーテイクオフの作動時に、解除することを特徴として構成される。
【0011】
この排気ガス浄化システムによれば、パーキングブレーキの作動によって検知されるアイドリング状態への移行と同時に排気絞りを作動せず、アイドリング状態が発生してから、所定の判定値(継続時間)を経過した時に、排気絞りを利かせることにより、一時的な駐停車の度に排気絞りが作動することを回避でき、燃費の悪化を抑制できる。
【0012】
そして、この絞り弁の作動により、エンジンの燃焼状態を変化させて、排気ガス中の未燃HCやSOFをより凝縮したススの形に変質させると共に、排気ガス量も減少させるので、酸化触媒又はDPFに流入する未燃HC、SOF等が低減し、アイドル運転が長時間継続した後の白煙の発生が防止される。
また、絞り弁を閉じた状態を、エンジンの運転状態がアイドリング状態から逸脱した場合に解除したり、パワーテイクオフ(PTO)作動時には解除するように構成すると、この構成により、酸化触媒やDPFに未燃HCやSOFの付着が生じない運転状態では、未燃HCやSOF対策のための絞り弁の閉弁状態を解除する。なお、絞り弁として排気ブレーキを使用している場合には、未燃HCやSOF対策のための排気ブレーキの使用を止めて、通常の排気ブレーキ運転に使用するようにする。
【0013】
そして、上記の排気ガス浄化システムにおいて、前記絞り弁制御手段は、前記アイドリング状態の継続時間が所定の判定値を超えた時に、前記アイドリング状態が解除されたことが検出されるまで、所定の閉弁時間の間の閉弁状態と所定の開弁時間の間の開弁状態とを繰り返すように構成される。
【0014】
つまり、アイドリング状態の継続時間が所定の判定値(継続時間)を経過した時に、排気絞りを利かせるが、この排気絞りは、排気絞りを所定の閉弁時間(除去時間)行って、この排気ガス処理装置に蓄積された未燃HC,SOFを除去した後に、排気絞りを所定の開弁時間(休止時間)の間解除するサイクルを繰り返すことで行われ、この繰り返しは、アイドリング状態が解除されるまで継続される。
【0015】
この短時間の開弁時間を挟むことにより、即ち、間欠解除を行うことにより、黒煙及び白煙の発生を防止する効果が増すことが実験的に確かめられている。
【0016】
なお、上記の所定の判定値は、1時間〜5時間、好ましくは2時間〜3時間であり、閉弁時間(除去時間)は、1時間〜5時間、好ましくは2時間〜3時間であり、また、開弁時間(休止時間)は、1秒〜10秒、好ましくは、4秒から7秒である。
【0017】
また、上記の排気ガス浄化システムにおいて、前記絞り弁として排気ブレーキを利用することにより、新たに絞り弁及び絞り弁用のアクチュエータ等を設ける必要がなくなる。
【0018】
また、上記の排気ガス浄化システムにおいて、前記アイドリング状態検出手段を、パーキングブレーキスイッチがオンの時にアイドリング状態とする手段とし、前記継続時間計測手段を、パーキングブレーキスイッチがオンになった時に計測を開始するタイマーで継続時間を計測する手段とすることにより、アイドリング状態の検出及び継続時間の計測を簡単に行うことができる。
【0019】
そして、前記アイドリング状態検出手段は、パーキングブレーキの作動の有無、アクセルペダルスイッチのオンオフ、アクセル開度センサの出力、エンジン回転速度センサの出力、車速センサの出力、発電機の電気出力のうちの1つ又は2つ以上の組合せにより、アイドリング状態を検出するように構成することもできる。この構成により、既存の装置等で、アイドリング状態の検出を簡単に行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態の排気ガス浄化システムについて、酸化触媒と触媒付きフィルタの組合せの連続再生型DPF装置を備えた排気ガス浄化システムを例にして、図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1及び図2に、この実施の形態の内燃機関の排気ガス浄化システム10の構成を示す。この内燃機関の排気ガス浄化システム10では、エンジン(内燃機関)1の排気マニホールド13に接続する排気通路2に設けられ、上流側に酸化触媒3aを下流側に触媒付きフィルタ3bが設けられた連続再生型DPF装置(排気ガス処理装置)3を有し、更に、この連続再生型DPF装置3の上流に排気絞り弁(排気ブレーキ)11を設けて構成される。
【0023】
この酸化触媒3aは、多孔質のセラミックのハニカム構造等の担持体に、白金(Pt)等の酸化触媒を担持させて形成され、触媒付きフィルタ3bは、多孔質のセラミックのハニカムのチャンネルの入口と出口を交互に目封じしたモノリスハニカム型ウオールフロータイプのフィルタや、アルミナ等の無機繊維をランダムに積層したフェルト状のフィルタ等で形成される。このフィルタの部分に白金や酸化セリウム等の触媒を担持する。
【0024】
そして、触媒付きフィルタ3bに、モノリスハニカム型ウオールフロータイプのフィルタを採用した場合には、排気ガスG中の粒子状物質(以下PMとする)は多孔質のセラミックの壁で捕集(トラップ)され、繊維型フィルタタイプを採用した場合には、フィルタの無機繊維でPMを捕集する。
【0025】
そして、触媒付きフィルタ3bのPMの堆積量を推定するために、連続再生型DPF装置3の前後に接続された導通管に差圧センサ6が設けられる。また、触媒付きフィルタ3bの再生制御用に、酸化触媒3aと触媒付きフィルタ3bの間に温度センサ7が設けられる。
【0026】
これらのセンサの出力値は、エンジン1の運転の全般的な制御を行うと共に、触媒付きフィルタ3bの再生制御も行う制御装置(ECU:エンジンコントロールユニット)5に入力され、この制御装置5から出力される制御信号により、エンジン1の燃料噴射装置4や、吸気マニホールド12への吸気量を調整する吸気弁8や、EGR量を調整するEGRバルブ9等が制御される。
【0027】
この燃料噴射装置4は燃料ポンプ42で昇圧された高圧の燃料を一時的に貯えるコモンレール41に接続されており、また、制御装置5には、エンジンの運転のために、パーキングブレーキスイッチのON/OFF,パワーテイクオフ(PTO)のスイッチのON/OFF,ニュートラルスイッチのON/OFF,車両速度、冷却水温度Tw,エンジン回転数Ne,アクセル開度Q等の情報も入力される。
【0028】
この制御装置5には、PM捕集量推定手段51Aと再生制御手段51Bを有するDPF再生制御手段51も設けられており、PM捕集量推定手段51Aにより、触媒付きフィルタ3bの前後の差圧ΔPを使用し、この差圧ΔPとPMの捕集量を対応させて、連続再生型DPF装置3の触媒付きフィルタ3bに捕集されるPMの捕集量を推定し、再生制御手段51Bにより、差圧ΔPが所定の再生用の判定値ΔPa以上の時に再生制御を行う。
【0029】
この再生制御は、連続再生型DPF装置3の種類に応じて多少制御が異なるが、エンジン1の燃料噴射の主噴射(メイン)のタイミングを遅延操作(リタード)したり、後噴射(ポストインジェクション)を行ったり、吸気絞りを行ったりして、排気ガス温度を上昇させ、PMの酸化除去に適した温度や環境になるようにし、連続再生型DPF装置3に捕集されたPMを酸化除去する。
【0030】
そして、本発明においては、図3に示すように、制御装置5は、白煙対策制御手段52を備え、この白煙対策制御手段52は、アイドリング状態検出手段52A、継続時間計測手段52B、絞り弁制御手段52Cを有して構成される。
【0031】
そして、このアイドリング状態検出手段52Aは、パーキングブレーキスイッチがオンの時にアイドリング状態とするように構成され、継続時間計測手段52Bは、パーキングブレーキスイッチがオンになった時に計測を開始するタイマーで継続時間を計測するように構成される。
【0032】
また、絞り弁制御手段52Cは、アイドリング状態の継続時間が所定の判定値(継続時間:例えば、1時間〜5時間)を超えた時に、排気絞り弁11を閉じるように構成され、更に、排気絞り弁11を閉じた状態を、エンジン1の運転状態がアイドリング状態から逸脱した場合に解除したり、パワーテークオフ(PTO)作動時には解除するように構成する。
【0033】
上記の構成の排気ガス浄化システム10によれば、酸化触媒3aや触媒付きフィルタにおける未燃HCやSOFの蓄積及び酸化除去に関して、図4〜図8に例示するようなフローに従って白煙対策制御が行われる。
【0034】
この図4〜図8の白煙対策制御は、PM捕集量推定手段51Aや再生制御手段51BによるPM捕集推定量が所定の値を超えたと判断した時にフィルタ再生を行う通常のフィルタ再生用の制御と並行して行われる制御であり、最初にアイドリング状態検出手段52Aでアイドリング状態か否かを判定し、継続時間計測手段52Bでアイドリング状態の継続時間tmを計測し、絞り弁制御手段52Cでアイドリング状態の継続時間tmが所定の判定値tm1を超えた時に、排気絞り弁11を閉じる。この所定の判定値(継続時間)tm1は、1時間〜5時間、好ましくは2時間〜3時間に設定される。
【0035】
図4及び図5に示すように、この白煙対策制御がスタートすると、継続時間計測に入り、ステップS11でタイマーがリセットされ、ステップS12で、アイドリング状態か否かを判断する。図5では、パーキングブレーキがONの場合にはアイドリング状態であると判断する。
【0036】
ステップS12で、パーキングブレーキがOFFでアイドリング状態で無いと判断されると、ステップS11に戻り、パーキングブレーキがONでアイドリング状態と判断されると、ステップS13でタイマーの作動を開始し、継続時間tmを計測し始めてステップS14に行く。
【0037】
ステップS14では、アイドリング状態の継続時間tmが所定の判定値(継続時間)tm1を超えたか否かが判断され、超えていない場合には、ステップS12に戻り、超えている場合には、継続時間tmの計測を終了し、絞り弁制御(閉弁制御)のステップS21に行く。
【0038】
図6に示すように、ステップS21では、タイマーのリセットを行い、ステップS22で、排気絞り弁(エキゾーストブレーキ)11をONにし、排気絞りを行い、ステップS23で、排気絞りの時間tmを測定し、ステップS24に行く。
【0039】
ステップS24では、アイドリング状態が継続しているか否かを、パーキングブレーキのON/OFFでチェックし、パーキングブレーキがONでアイドリング状態が継続していると判断された場合には、ステップS25で所定の閉弁時間(除去時間)tm2を経過したか否かをチェックし、経過していれば、絞り弁制御(開弁制御)のステップS31に行き、経過していなければ、ステップS22に戻る。この所定の閉弁時間(除去時間)tm2は、1時間〜5時間、好ましくは2時間〜3時間に設定される。
【0040】
また、ステップS24でパーキングブレーキがOFFでアイドリング状態が終了したと判断された場合には、ステップS26に行き、排気絞り弁(エキゾーストブレーキ)11をOFFにし、この白煙対策制御フローを終了して、リターンする。
【0041】
図7に示すように、ステップS31では、タイマーのリセットを行い、ステップS32で、排気絞り弁(エキゾーストブレーキ)11をOFFにし、排気絞りの解除を行い、ステップS33で、排気絞りの休止時間tmを測定し、ステップS34に行く。
【0042】
ステップS34では、アイドリング状態が継続しているか否かを、パーキングブレーキのON/OFFでチェックし、パーキングブレーキがONでアイドリング状態が継続していると判断された場合には、ステップS35で所定の開弁時間(休止時間)tm3を経過したか否かをチェックし、経過していれば、ステップS21に戻り、経過していなければ、ステップS32に戻る。この所定の開弁時間(休止時間)tm3は、1秒〜10秒好ましくは4秒〜7秒に設定される。
【0043】
また、ステップS34でパーキングブレーキがOFFでアイドリング状態が終了したと判断された場合には、この白煙対策制御フローを終了して、排気絞り弁(エキゾーストブレーキ)11をOFFのままリターンする。
【0044】
なお、ここでいうエキゾーストブレーキ11のOFFとは、白煙対策のためのエキゾーストブレーキ11の使用を止めて、エキゾーストブレーキ11を通常の排気ブレーキ運転に使用するようにすることである。
【0045】
この排気絞りにより、エンジン1の燃焼状態を変化させ、未燃HC,SOFをより凝縮したススの形に変質させると共に、排気ガス量を減少させることにより、酸化触媒3a又は触媒付きフィルタ3bに流入する未燃HC,SOF等を低減し、排気温度の上昇により、酸化触媒3a又は触媒付きフィルタ3bに付着して蓄積された未燃HC,SOF等を酸化除去できる。
【0046】
このリターンをした後は、再度、この白煙対策制御が呼び出されて、スタートし、ステップS10〜ステップS30、より詳細には、ステップS11〜ステップS35を繰り返す。この繰り返しをエンジン1の運転中行い、酸化触媒3aや触媒付きフィルタ3bに対する未燃HCやSOFの蓄積の監視と除去を行う。
【0047】
上記の排気ガス浄化システム及び白煙対策制御によれば、パーキングブレーキのON/OFFでアイドリング状態か否かを判断し、アイドリング状態が所定の時間(継続時間)tm1を経過した場合に、アイドリング状態を脱するまで、図8に示すように、所定の閉弁時間(除去時間)tm2の間のエキゾーストブレーキ11をONした排気絞りと、所定の開弁時間(休止時間)tm3の間のエキゾーストブレーキ11をOFFした排気絞り解除と、繰り返し行うことができる。従って、アイドリング運転が長時間継続した後の白煙の発生を防止することができる。
【0048】
また、酸化触媒やDPFに未燃HCやSOFの付着が生じない運転状態やこの運転状態になった場合では、未燃HCやSOF対策のための排気絞り弁11の閉弁状態を解除できる。
【0049】
なお、上記のパーキングスイッチでアイドリングを判断する以外に、エキゾーストブレーキ用のアクセルスイッチでアイドリングを判断する方法、磁気センサ等でエンジン回転速度を検出してアイドリングを判断する方法、アクセルセンサでアイドリング状態を判断する方法等を用いても同様な効果が得られる。
〔実験結果〕
次に、上記の排気ガス浄化システムの効果を確認するために行った実験結果について説明する。
【0050】
この実験では、図9に示すように、排気量19リットルのディーゼルエンジン1を搭載し、酸化触媒付きマフラー30を装着した車両に対し、パーキングブレーキを作動させると、エキゾーストブレーキ11が作動する制御ユニットを作製し、同車両に設置した。
【0051】
また、制御機構として、図6に示すような、パーキングブレーキ作動状態をアイドリング状態と同等とみなす回路を構成した。
【0052】
図10の回路では、バッテリ61が、キーON回路62,エキゾーストブレーキリレー71,エキゾーストブレーキスイッチ65,アクセルスイッチ66,クラッチスイッチ67を介してアースに接続され、これらのキーON回路62とスイッチ66,67,68がONになると、エキゾーストブレーキリレー71がONになり、エキゾーストブレーキマグネチックバルブ68が作動し、エキゾーストブレーキを絞るように構成されている。
【0053】
また、制御装置5が、バッテリ61にキーON回路62を介して接続され、キーON回路62がONになるとバッテリ61から制御装置5に電力が供給されるように構成され、また、パーキングブレーキランプ64、パーキングブレーキスイッチ63を介してバッテリ61と制御装置5を接続し、パーキングブレーキスイッチ63がONされると、パーキングブレーキランプ64が点灯すると共に、その信号S1が制御装置5に入力されるように構成されている。
【0054】
そして、更に、制御回路5からアイドリング状態が所定の判定値(継続時間)を超えた時に出力されるエキゾーストスイッチON信号S2によって作動するエキゾーストブレーキ作動用リレー72を追加して設けている。
【0055】
このエキゾーストブレーキ作動用リレー72は、エキゾーストブレーキリレー71とエキゾーストブレーキスイッチ65の間aと、アースbとの間に配置し、エキゾーストスイッチON信号S2の出力により、エキゾーストブレーキ作動用リレー72がONになると、エキゾーストブレーキリレー71もONになり、エキゾーストブレーキマグネチックバルブ68が作動し、エキゾーストブレーキを絞るように構成している。
【0056】
また、制御装置5において、タイマーを設けて停車後(アイドリング開始後)所定時間経過した後にエキゾーストスイッチON信号S2を出力するように構成した。これにより、燃費の悪化を防止すると共に、信号待ち等や短時間の停車等で不用意にエキゾーストブレーキが作動することを回避している。
【0057】
そして、この装置を搭載した車両で、8時間アイドリング状態を保持した後、80km/hまで急加速した際の排気管から排出される白煙を観察した。なお、実施例1では、所定の判定値(継続時間)を1時間とした。また、比較例として、本発明の装置を搭載しない状態で同様な評価を行った。
【0058】
その結果、比較例では、加速中に後続車から評価車両が確認できないレベルの白煙が排出され、その状態が約30秒継続したのに対して、実施例1では、若干の黒煙の排出は認められたが、白煙の排出は認められず、本発明が非常に有効であることが確認された。
【0059】
また、実施例2として、8時間アイドリング状態に対して、2時間継続した後、2時間毎に5秒間解除する吸気絞りを繰り返した後の走行状態についても、同様な評価を行った所、実施例1よりも黒煙・白煙とも排出が認められず、間欠解除を含む運転の方がより有効であることが確認された。
【0060】
【発明の効果】
以上の説明したように、本発明の排気ガス浄化システムによれば、パーキングブレーキの作動等で検出されるアイドリング状態に入る同時に排気絞りを作動せず、アイドリング状態に入ってから、所定の判定値(継続時間)を経過した時に、排気絞りを利かせることにより、アイドリング状態の継続によって排気ガス処理装置の酸化触媒やDPFに蓄積された未燃HCやSOFの量がある程度増加した時に、排気絞りを利かせるので、燃費の悪化を抑制できる。
【0061】
そして、この絞り弁の作動により、エンジンの燃焼状態が変化し、排気ガス中の未燃HCやSOFがより凝縮したススの形に変質すると共に、排気ガス量も減少するので、酸化触媒又はDPFに流入する未燃HC,SOF等が低減し、アイドル運転が長時間継続した後の白煙の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施の形態の排気ガス浄化システムのシステム構成図である。
【図2】本発明に係る実施の形態の排気ガス浄化システムの設置状況を示す図である。
【図3】本発明に係る実施の形態の内燃機関の排気ガス浄化システムの制御装置の構成を示す図である。
【図4】白煙対策制御のフローを示す図である。
【図5】絞り弁制御開始判定のフローを示す図である。
【図6】絞り弁制御(閉弁制御)のフローを示す図である。
【図7】絞り弁制御(開弁制御)のフローを示す図である。
【図8】白煙対策制御の時系列の例を示す図である。
【図9】実施例に用いた車両の概要を示す図である。
【図10】実施例に用いた制御用回路を示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン(内燃機関)
2 排気通路
3 連続再生型DPF装置(排気ガス処理装置)
3a 酸化触媒
3b 触媒付きフィルタ
4 燃料噴射装置
5 制御装置(ECU)
10 排気ガス浄化システム
11 排気絞り弁
52 白煙対策制御手段
52A アイドリング状態検出手段
52B 継続時間計測手段
52C 絞り弁制御手段
Claims (5)
- 内燃機関の排気通路に酸化触媒とディーゼルパティキュレートフィルタのいずれか一方又は両方を有する排気ガス処理装置を備えた車両の排気ガス浄化システムにおいて、該排気ガス処理装置の上流に絞り弁を配置すると共に、内燃機関の運転状態がアイドリング状態であることを検出するアイドリング状態検出手段と、該アイドリング状態検出手段によって検出されたアイドリング状態の継続時間を計測する継続時間計測手段と、前記アイドリング状態の継続時間が所定の判定値を超えた時に、前記絞り弁を閉じる絞り弁制御手段とを有する制御装置を具備し、
更に、前記絞り弁を閉じた状態を、エンジンの運転状態がアイドリング状態から逸脱した場合、又は、パワーテイクオフの作動時に、解除することを特徴とする排気ガス浄化システム。 - 前記絞り弁制御手段は、前記アイドリング状態の継続時間が所定の判定値を超えた時に、前記アイドリング状態が解除されたことが検出されるまで、所定の閉弁時間の間の閉弁状態と所定の開弁時間の間の開弁状態とを繰り返すことを特徴とする請求項1記載の排気ガス浄化システム。
- 前記絞り弁として排気ブレーキを利用することを特徴とする請求項1又は2に記載の排気ガス浄化システム。
- 前記アイドリング状態検出手段が、パーキングブレーキスイッチがオンの時にアイドリング状態であるとする手段であり、前記継続時間計測手段が、パーキングブレーキスイッチがオンになった時に計測を開始するタイマーで継続時間を計測する手段であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の排気ガス浄化システム。
- 前記アイドリング状態検出手段が、パーキングブレーキの作動の有無、アクセルペダルスイッチのオンオフ、アクセル開度センサの出力、エンジン回転速度センサの出力、車速センサの出力、発電機の電気出力のうちの1つ又は2つ以上の組合せにより、アイドリング状態を検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の排気ガス浄化システム。
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