JP4103154B2 - 液化ガスの送給方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、液化ガスの送給方法に関し、詳しくは、ガス発生装置からのガス供給経路に、液化ガスの気化送給経路を補助的に追加接続し、使用先にガスを供給するに際し、供給ガスの圧力を常に使用先での必要最低圧力以上に維持させると共に、液化ガスの送給開始あるいは停止を効率良く行い、該液化ガスの気化送給(以下、単に送給という)に要する電力や大気放散等を低減する技術である。
【0002】
【従来の技術】
一般に、製鉄工場や化学工場等では、酸素、窒素、アルゴン等のガスが多量に使用されるが、これらのガスは、同一工場の敷地内に設けたガス製造設備(例えば、空気分離装置)で自家製造され、各使用先に供給される。例えば、製鉄所では、図5に示すように、ガス製造装置(空気分離装置)1で製造したガスを、ガス圧縮機5を介して使用先10に供給するガス供給経路に、ガスの製造量と使用量の需給バランスで製造量が不足する時にその不足分を補うため、液化ガス貯槽2、昇圧ポンプ4、気化器6等からなる液化ガスの送給経路を接続して、ガスの供給が行われている。
【0003】
ところで、使用先へのガス供給量が不足状態になると、そこでのガス使用装置の運転や操業ができなくなったり、製品の生産効率や品質に悪影響を及ぼしたり、場合によっては、災害発生の引き金にもなりかねない。従って、ガス供給に際しては、使用先での必要最小限のガス量を確保するため、ガス使用先の上流側に設置した圧力計9で供給ガスの圧力を実測し、その測定値が予め設定した必要最低圧力値を下回らないように、制御装置7を用いて前記補充用液化ガスの送給開始あるいは停止を行うようにしている。
【0004】
従来は、この液化ガスの送給を下記のような方式で行うのが一般的であった。すなわち、前記圧力計9で実測したガス圧力の経時変化(ガス圧力変動曲線)において、図4に示すように、前記必要最低圧力値(PL )を下回らないよう実操業におけるガス圧力の経験的な変動を考慮した1つの圧力管理基準値(Pm)を定める。そして、供給するガス圧力の実測値(Pi)が、このPm以下に低下した時点(Ta)で,直ちに液化ガスの送給を開始し、実測値(Pi )が前記圧力管理基準値(Pm)以上に上昇(回復)した時点(Tb)で、該液化ガスの送給を停止する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この液化ガスの送給方法によれば、現在のガス圧力の実測値(Pi )が、圧力管理基準値(Pm)以下になると、液化ガスの送給を開始してメインのガス供給経路のガス不足を補うので、ガス使用先のガス圧を必要最低圧力値(PL )を下廻らせないという目的は達成できる。
【0006】
しかしながら、この従来法では、現在の実測値(Pi )が圧力管理基準値(Pm)を若干でも下廻ると、液化ガスの送給するので、該液化ガス送給経路の運転頻度が非常に高くなり、その運転に伴なう電力消費量や加熱用蒸気の使用量が多くなるという問題があった。また、液化ガス送給経路の運転開始中に、ガス受給バランスにおいて使用先でガス使用量が減少すると、ガス送給量が過剰となり、その過剰分は使用先の上流に設置したガス・ホルダ8に貯蔵するようにしている。ところが、貯蔵能力量を超える機会も多く、その過剰分は大気中へ放散されるので、大きな浪費要因となっていた。
【0007】
本発明の目的は、かかる事情に鑑み、液化ガスの送給開始あるいは停止を従来より効率良く行い、液化ガス送給時の電力量、加熱用蒸気量やガス製造装置の電力あるいは大気放散量を低減可能にする液化ガスの送給方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者は、前記目的を達成するため、液化ガスの送給開始あるいは停止の頻度を従来より格段と低減する方法の開発に鋭意努力した。つまり、ガスの圧力降下時には、液化ガスの送給開始をできるだけ遅らせ、ガスの圧力上昇時には送給停止をできるだけ早くするという従来にはない着想をし、それを本発明に具現化した。
【0009】
すなわち、本発明は、液化ガス製造装置からのガス圧力が使用先の必要最低圧力値以下にならないように、別途設けたガス貯槽に蓄えられた液化ガスを同時に使用先へ気化送給するに際して、実測したガス圧力が降下あるいは上昇する場合のそれぞれに対し、前記必要最低圧力値以上の圧力領域にそれぞれ高低2水準の圧力管理基準値を設定すると共に、降下中の実測ガス圧力が2水準の降下圧力管理基準値間にある場合には、ガス圧力の変動率を予め設定した降下基準変動率と比較し、該降下基準変動率より大きい時に液化ガスの送給を開始し、小さい時には、該実測値が低位の降下圧力管理基準値より低下してから液化ガスの送給を始め、送給中に上昇した実測ガス圧力が高低2水準の上昇圧力管理基準値間にある場合には、ガス圧力の変動率を予め設定した上昇基準変動率と比較し、該上昇基準変動率より大きい時に液化ガスの送給を停止し、小さい時には、該実測値が高位の上昇圧力管理基準値より上昇してから液化ガスの送給を停止することを特徴とする液化ガスの送給方法である。
【0010】
また、本発明は、前記高低2水準の上昇あるいは降下圧力管理基準値を共用することを特徴とする液化ガスの送給方法である。
さらに、本発明は、前記降下及び上昇圧力管理基準値、並びに降下及び上昇基準変動率を、実操業でのガス圧力変動実績から定めることを特徴とする液化ガスの送給方法である。
【0011】
本発明では、ガス圧力の降下あるいは上昇に際し、それぞれ高低2水準の圧力管理基準値、つまり降下圧力管理基準値及び上昇圧力管理基準値を設けると共に、実測値がこれらの圧力管理基準値間にある時は、予め設定したガス圧力の変動率(上昇基準変動率あるいは降下基準変動率)をも考慮して、それ以降の液化ガスの送給開始、停止を実施するようにしたので、液化ガスの送給頻度や時間が減少するようになる。その結果、液化ガスの使用量、送給時電力量、加熱用蒸気量、あるいは大気放散量が従来より格段と低減し、無駄のない効率的な液化ガスの送給ができるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を詳細に説明する。
まず、本発明に係る液化ガスの送給方法の1例を、流れ図で図1に示す。図1より明らかなように、ガス圧力の降下を監視するため、使用先の設備特性や操業条件より定めた必要最低圧力値(PL )以上の圧力領域に、高低2水準の降下圧力管理基準値(P1 とP1 より低圧力のP2 )と、ガス圧力の上昇を監視する高低2水準の上昇圧力管理基準値(P3 とP3 より高圧力のP4 )とを、それぞれ設定する。また、実測圧力が、それぞれ2水準の降下圧力管理基準値、あるいは上昇圧力管理基準値間にある時に、液化ガスの送給開始あるいは停止を行うため、2つの基準変動率(降下基準変動率、Rdと、上昇基準変動率、Ru)とを設定する。なお、これらの圧力管理基準値及び基準変動率には、実操業の使用先でのガス圧力変動実績から、適切な値が選定されるのが好ましい。
【0013】
次に、かかる図1に示した流れ図に基づき、具体的なガス圧力の変動管理を説明する。
まず、使用先のガス圧力測定装置で実測した圧力の現在値(Pi )と、算出した変動率(降下率、Rdi )とは、経時的にコンピュータに記憶させる。
そして、実測した圧力がガス使用先の需要量の増加で降下している場合であるが、一次判定としてPiとP1 を比較し、Pi >P1 の場合には、液化ガスの送給を行わない。Pi ≦P1 の場合には、二次判定に進む。二次判定では,実測圧力(Pi )は、P1 とP2 との間にあるが、前記の算出Rdi と基準変動率Rdとを比較し、Rdi ≧Rdの場合には、液化ガスの送給を開始する。Rdi <Rdの場合には、三次判定に進む。三次判定では、Pi とP2 とを比較し、Pi >P2 の場合には、液化ガスの送給は行わない。Pi ≦P2 の場合には、送給を開始する。
【0014】
一方、送給中に実測圧力が上昇している場合であるが、四次判定として、Pi とP3 とを比較し、Pi ≦P3 の場合には、液化ガスの送給を継続する。Pi >P3 の場合には、5次判定に進む。五次判定では、Pi がP3 とP4 の間にあるが、算出したRui と前記Ruとを比較し、Rui >Ruの場合には、液化ガスの送給を停止する。Rui ≦Ruの場合には、六次判定に進む。六次判定では、Pi とP4 とを比較し、Pi ≦P4 の場合には、液化ガスの送給を継続したままにし、Pi >P4 の場合には、送給を停止する。
【0015】
かかる本発明を実施すると、前記したように、液化ガスの送給開始が従来より遅く、送給停止が早くなる。その結果、液化ガスの送給頻度の減少及び送給時間の短縮が達成され、効率的な液化ガスの送給が行われるようになる。
また、以上説明した本発明では、前記降下圧力管理基準値を高低2水準、上昇圧力管理基準値も高低2水準設定したが、共用させて合計2つの値を設定するようにしても良い。つまり、P1 =P4 ,P2 =P3 である。このようにしても、ほぼ、同様な効果が得られるからである。
【0016】
【実施例】
本発明に係る液化ガスの送給方法を、実際の設備で実施した。ガスは、製鉄所のガス発生装置(空気分離装置)で製造した酸素で、その設備仕様は、酸素の最大発生能力が83、000Nm3 /Hr、最大供給圧力が25kg/cm2 である。また、液化ガスの送給設備は、最大気化能力が20、000Nm3 /Hr、最大送給圧力が25kg/cm2 である。
【0017】
また、使用した各圧力管理基準値等は、下記の通りである。
高位の降下圧力管理基準値、 P1 …22.0kg/cm2
低位の降下圧力管理基準値、 P2 …21.0kg/cm2
低位の上昇圧力管理基準値、 P3 …18.5kg/cm2
高位の上昇圧力管理基準値、 P4 …20.0kg/cm2
使用先の必要最低圧力値、 PL …17.5kg/cm2
降下基準変動率、 Rd …0.1kg/cm2 /min
上昇基準変動率、 Ru …0.05kg/cm2 /min
上記のような値を設定し、本発明を実施した結果の経時的なガス圧力の変動を、図2に示す。図2の最下部に示すように、本発明の実施で、液化ガスの送給量及び送給頻度が減少している。その結果、図3に示すように、液化ガス送給設備の消費電力量が、従来は2.66MW/Hrであったのが、1.86MW/Hrまでに、消費蒸気量が、従来の、0.67t/Hrから0.48t/Hrに、それぞれ約30%も削減した。また、使用先の上流側に設けたガス・ホルダーから過剰ガスの放散量が少なくなったことで、空気分離装置(ガス製造装置1)自体の運転負荷が下がり、空気分離装置での消費電力量が従来の7.70MW/Hrから、7.39MW/Hrに約4%も削減した。
【0018】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により、液化ガス気化送給経路を備えたガス供給設備から使用先にガスを供給するに際し、ガス圧力管理のために、二水準の圧力管理基準と圧力基準変動率とを設け、各時点での実測圧力値と変動率(計算値)を、各設定値と順次比較判定して、液化ガスの送給開始あるいは停止を行うようにしたので、液化ガスの送給頻度や送給量が低減し、消費電力量や消費蒸気量が削減された。また、過剰ガスの放散量が減少するので、それに伴い、空気分離装置自体の運転負荷が低下し、その消費電力量を削減する効果もあった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液化ガスの送給方法を実施する具体的な流れ図の1例である。
【図2】本発明の実施で得たガス圧力の経時変化を示す図である。
【図3】本発明の実施効果を示す図である。
【図4】従来のガス圧力管理方法を説明する図である。
【図5】ガス製造装置から使用先までのガス供給経路を示す図である。
【符号の説明】
1 空気分離装置(ガス製造装置)
2 液化ガス貯槽
3 気化送給弁
4 昇圧ポンプ
5 圧縮機
6 気化器
7 制御装置
8 ガス・ホルダ
9 圧力発信器(圧力計)
10 ガス使用設備
Claims (3)
- ガス製造装置からのガス圧力が使用先の必要最低圧力値以下にならないように、別途設けた液化ガス貯槽に蓄えられた液化ガスを同時に使用先へ気化送給するに際して、
実測したガス圧力が降下あるいは上昇する場合のそれぞれに対し、前記必要最低圧力値以上の圧力領域にそれぞれ高低2水準の圧力管理基準値を設定すると共に、降下中の実測ガス圧力が2水準の降下圧力管理基準値間にある場合には、ガス圧力の変動率を予め設定した降下基準変動率と比較し、該降下基準変動率より大きい時に液化ガスの送給を開始し、小さい時には、該実測値が低位の降下圧力管理基準値より低下してから液化ガスの送給を始め、送給中に上昇した実測ガス圧力が高低2水準の上昇圧力管理基準値間にある場合には、ガス圧力の変動率を予め設定した上昇基準変動率と比較し、該上昇基準変動率より大きい時に液化ガスの送給を停止し、小さい時には、該実測値が高位の上昇圧力管理基準値より上昇してから液化ガスの送給を停止することを特徴とする液化ガスの送給方法。 - 前記高低2水準の上昇あるいは降下圧力管理基準値を共用することを特徴とする請求項1記載の液化ガスの送給方法。
- 前記降下及び上昇圧力管理基準値、並びに降下及び上昇基準変動率を、実操業でのガス圧力変動実績から定めることを特徴とする請求項1又は2記載の液化ガスの送給方法。
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1997
- 1997-09-02 JP JP23684797A patent/JP4103154B2/ja not_active Expired - Fee Related
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CN102441347B (zh) * | 2010-10-08 | 2014-06-04 | 上海祥金工业机械集团有限公司 | 一种低露点气体发生装置 |
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