JP4102655B2 - 超磁歪素子の伸縮制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学機器、精密加工機械、レーザー機器、計測器、その他微小かつ精密な送りが必要な機器に用いて好適な超磁歪素子の伸縮制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
超磁歪素子は、磁力を作用させることにより微小に伸縮させることができるもので、伸縮させた際の超磁歪素子の自由端の変位を出力させるようにした超磁歪素子の伸縮制御装置が従来から知られている。従来の装置は、基本的に、電磁石を用いてその電流を制御することにより磁力を制御し、それによって超磁歪素子の伸縮量を制御するようになっている。
【0003】
たとえば特許文献1に開示の超磁歪アクチュエータでは、ケーシング内に、円筒形の永久磁石と、その中心軸に沿って配された超磁歪ロッドと、これらの上端同士及び下端同士を連結して閉磁路を形成する上下一対のヨークを備えている。超磁歪ロッドに磁気バイアスをかけるため、永久磁石とヨークで囲まれた空間内には、超磁歪ロッドを中心にコイルを巻回して形成された電磁石が配されている。また、超磁歪ロッドにプリストレスをかけるためのスプリングがケーシングとヨークの間に配されている。
【0004】
この超磁歪アクチュエータによれば、超磁歪ロッドに対して、永久磁石によりヨークを介して磁気バイアスを作用させると共に、スプリングによりプリストレスを作用させた状態で電磁石に電流を供給することにより、その磁力の大きさに応じて超磁歪ロッドが伸縮され、超磁歪ロッドの先端に設けたプッシュロッドが移動されてその変位が機械的動力として取り出される。すなわち、この超磁歪ロッドの伸縮に伴う変位は、基本的に、電磁石の電流により制御される。
【0005】
このような超磁歪アクチュエータとは別に、特許文献2には、超磁歪素子と永久磁石を用いたバルブ開閉機構が開示されており、超磁歪素子に磁力がかかった時はバルブ閉、磁力がかからない時はバルブ開というようにON−OFFスイッチとして用いられる態様が示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平2002−58269号公報
【特許文献2】
実用新案登録第2531546号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示されているような超磁歪アクチュエータでは、永久磁石による磁気バイアスにより電磁石への供給電流を減少させることができるものの、超磁歪ロッドの十分な伸縮を得るためにはまだ多くの電流の供給を必要としている。そのため、以下のような問題が生じる。
▲1▼ジュール熱が発生することにより電磁石の抵抗値が増加し、初期供給電流が次第に降下し、当初の電磁石の磁力とは値が異なってしまうこととなる。結果として、超磁歪ロッドの変位量に変化をきたし、その分、位置決め分解能は低くなる。
▲2▼電磁石によるジュール熱の影響で超磁歪ロッドが伸びてしまい、やはり制御精度が低下してしまう。
▲3▼永久磁石による磁気バイアスと電磁石による磁力とで打ち消し合うことを積極的に利用しているが、逆磁力により永久磁石に磁気ストレスがかかり、短期間で永久磁石の磁力に変化をきたし正確な制御が不能となるおそれがある。
▲4▼超磁歪ロッドを伸びた状態で保持しようとした場合、電流が流れたままとなり短時間でジュール熱が発生してしまう。
とくにこれら▲1▼〜▲4▼の問題点により精密な制御が難しかった。
【0008】
そこで本発明の課題は、電磁石を使用することの上記のような問題点に着目し、基本的に電磁石を使用せずに、極めて高精度に伸縮量、それに伴う変位を制御可能な超磁歪素子の伸縮制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る超磁歪素子の伸縮制御装置は、一端が固定され、他端が自由端の超磁歪素子に磁力を作用させることにより前記超磁歪素子を伸縮させて、その自由端の変位を出力させるようにした超磁歪素子の伸縮制御装置において、非磁性体からなるブロック内に、棒状の超磁歪素子を配するとともに、超磁歪素子の固定端側にのみ、該固定端に対し超磁歪素子の軸方向に間隔をあけて、1個の永久磁石のみによる磁力の発生手段を配し、該磁力発生手段の移動手段により該磁力発生手段と前記超磁歪素子との相対位置関係を連続的に制御することにより、前記超磁歪素子を連続的に伸縮させて所定の伸縮量に制御し、その変位を超磁歪素子の自由端側に出力させるようにしたことを特徴とするものからなる。すなわち、基本的に永久磁石のみによる磁力の発生手段により超磁歪素子に作用させる磁力を制御し、超磁歪素子を連続的に伸縮させその変位を超磁歪素子の自由端側に連続的な変位として出力させるようにしたものである。
【0010】
ここで使用する永久磁石の形状は、円柱形、円筒形、異磁極を向かい合わせた対向平板形、同磁極を向かい合わせた対向平板形、中空の円筒形、立方形等、形状は特に問わない。超磁歪素子は磁力の極性には関係なく伸縮するので、これらの永久磁石のN極またはS極を超磁歪素子に向けるか、または、両方を超磁歪素子に向けてもよい。
【0011】
さらに、磁力発生手段による磁力の方向についても、超磁歪素子の伸縮方向と平行な方向、垂直な方向のいずれも可能であり、さらに斜め方向も可能である。要は、磁力発生手段と超磁歪素子との相対位置関係を連続的に制御でき、それによって超磁歪素子を連続的に伸縮させることができればよい。
【0012】
超磁歪素子と永久磁石(磁力発生手段)の相対位置関係は、たとえばマイクロメータ、ステッピングモータ等を使用して精度よく制御することが可能であり、相対位置関係を正確に制御することにより、超磁歪素子にかかる磁力を変化させ、正確に所望量伸縮させることが可能になる。
【0013】
永久磁石の減磁は年間約0.1%といわれているので、長期間安定した磁力を超磁歪素子にかけることができる。また、永久磁石による磁力のみにより超磁歪素子を伸縮させるので、ジュール熱の発生等は全くなく、所定の制御を正確に行うことができる。
【0014】
また、本装置においては、基本的に永久磁石1個により超磁歪素子にかかる磁力を変化させればよいので、逆磁力による磁気ストレスは発生せず、永久磁石の減磁を抑制することもできる。
【0015】
また、本装置において、超磁歪素子を伸びた状態で保持しようとする場合には、永久磁石の磁力のみで伸びているので、ジュール熱の発生等の問題を伴うことなく、安定して、確実にかつ正確に所定状態に保持することが可能である。
【0016】
また、本装置においては、ブロック中に超磁歪素子が内包されているので、外部温度変化等による影響を抑制することが可能であり、とくにブロックに低熱伝導率の非磁性体を用いることにより、外部温度変化等による影響を一層確実に回避できるようになる。
【0017】
また、超磁歪素子にかかる磁力は、超磁歪素子と永久磁石の相対位置関係により決定するが、このとき相対位置関係の変化に対し超磁歪素子にかかる磁力の変化は非常に少ない(距離の2乗に反比例)ので、移動手段による相対位置関係の変更により、磁力の設定を極めて細やかに制御することができ、結果として装置の位置決め分解能(超磁歪素子の自由端側の変位出力分解能)を非常に高くすることができる。
【0018】
さらに、減磁の極めて少ない永久磁石により磁力が与えられ、その超磁歪素子に作用する磁力を、移動手段による相対位置関係の変更のみによって制御するので、非常に高い再現性が得られる。したがって、たとえば、永久磁石の基準点よりの送り量を制御すれば、オープンループによる位置決めも可能となる。
【0019】
このような本発明に係る超磁歪素子の伸縮制御装置においては、磁力発生手段、とくにその永久磁石を、超磁歪素子の軸線上に配置することが好ましいが、軸線上から外れた位置でも、超磁歪素子に作用させる磁力の変更制御は可能である。超磁歪素子に作用させる磁力を連続的に変化させることができればよい。
【0020】
また、移動手段としては、磁力発生手段を超磁歪素子の伸縮方向と平行な方向に移動させる手段から構成することもできるし、超磁歪素子の伸縮方向と垂直な方向に移動させる手段から構成することもできる。また、移動手段は、磁力発生手段を単に直線状に移動させる手段に構成することもできるし、磁力発生手段を回転移動させる手段から構成することもできる。後者の場合、たとえば、回転板に永久磁石を設け、その回転板をステッピングモータ等の回転角を制御可能な手段により回転制御することにより、磁力発生手段と超磁歪素子との相対位置関係を精度よく制御することが可能となる。つまり、回転角のみで超磁歪素子の伸縮を制御することができるようになる。また、回転板を高速回転することにより、超磁歪素子の伸縮速度を速くすることもできる。
【0021】
超磁歪素子の自由端側には、超磁歪素子の伸縮とともに変位する、磁性体からなるプッシュロッドが設けられていることが好ましい。超磁歪素子の透磁率は低いので、固定端側の永久磁石近傍は磁化率が高いが、自由端側に行くに従い磁化率は低下する。そこで、自由端側の超磁歪素子に接触するように磁性体からなるプッシュロッドを設けることにより、磁化率の改善をはかることができる。
【0022】
このプッシュロッド側と磁力発生手段側とが磁性体からなるヨークで接続され、この間に磁気閉回路が構成されている形態を採ることもできる。これにより、さらなる磁気特性の改善および漏洩磁気の低減をはかることができる。
【0023】
また、前記ブロック内には、プッシュロッドと連結され、プッシュロッドを超磁歪素子の伸縮方向に案内する、少なくとも1つのスライドガイドが設けられていることが好ましい。スライドガイドは、たとえば、超磁歪素子周りに、円周方向に3つ配することができる。このような構造とすれば、可動部の送り方向以外のがたつきを無くし、出力効率を改善することができる。
【0024】
また、超磁歪素子の自由端側から超磁歪素子にプリストレスを与える手段が設けられていることが好ましい。たとえば、上記プッシュロッドまたはその取り付け部材を介してスプリング等の付勢手段によりプリストレスを与えることが可能である。このような付勢手段を設ければ、自由端側となるプッシュロッド端部を超磁歪素子に押しつけておくことが可能になり、このことにより、超磁歪素子にはプリストレスが与えられてその伸縮の特性が改善され、かつ、送り方向のがたつきも排除されて、より精密な制御が可能になる。
【0025】
また、前記ブロックには、超磁歪素子の固定端に連結され、該固定端と前記磁力発生手段との間に介在する、非磁性体からなる蓋体が設けられていることが好ましい。たとえば、1mm厚程度の蓋体を介在させておくことにより、磁力発生手段からの磁力を所定の相対位置関係の望ましい状態で超磁歪素子の固定端側に作用させることができ、かつ、非磁性体からなる蓋体とすることにより、磁力発生手段からの磁力のロスを抑えることができる。
【0026】
また、このブロックは、前述したように、低熱伝導性の非磁性体から構成することが好ましい。超磁歪素子はブロックに内包されており、外部温度変化による熱膨張の影響は少ないが、より外部温度環境が厳しいとき低熱伝導性のブロックを用いることにより、耐温度変化特性を高めることができる。
【0027】
また、このブロックには、加熱手段や冷却手段、あるいはその両方を設けることもできる。このような温度制御手段を設けておくことにより、たとえば、外部温度環境が常温に比べ極端に低い場合、ヒーター等によりブロックを暖め、超磁歪素子を常温状態にすることが可能となる。また、外部温度環境が常温に比べ極端に高い場合、冷却水等によりブロックを冷却し、超磁歪素子を常温状態にすることが可能となる。これにより、望ましい条件下で安定した制御が可能となる。
【0028】
このような本発明に係る超磁歪素子の伸縮制御装置は、各種微小かつ精密な送りや出力が必要な機器に適用でき、たとえば、この超磁歪素子の伸縮制御装置を用いて、ブロックゲージの比較測定装置を構成することができる。たとえば、このブロックゲージの比較測定装置における測定では、定盤とそれに垂直に固定されたステーおよび粗調的に移動可能な手段がそのステーに装着されている。この装置の出力部分に接触子を取り付け、装置を移動可能な粗調部分に取り付ける。装置の伸縮ストロークの中間点付近に超磁歪素子を伸縮させる。次に、固定可能な粗調移動部にてブロックゲージに接触子が接触するまで移動させ固定する。次に、本装置により正確に接触子とブロックゲージの接触点をマイクロメータ等で読みとる。次に、粗調部分の固定はそのままに、本装置の伸縮ストロークがもっとも縮むように超磁歪素子を動作させる。次に、比較測定を行いたいブロックゲージを設置し、本装置の伸縮ストロークを接触子がブロックゲージに接触するまで伸縮させる。そのときのマイクロメータ等の読み値を上述の値と比較する。これによって、ブロックゲージの比較測定を精度よく行うことが可能になる。
【0029】
このようなブロックゲージの比較測定装置では、金属によるブロックゲージと金属による接触子の接触検出を通電式とした構成も可能である。ブロックゲージと接触子の接触部分を電気回路的に接点とし、接触時に通電するようにし、接触の確認、判定を正確に行うことができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係る超磁歪素子の伸縮制御装置を示しており、図2は別の実施態様に係る超磁歪素子の伸縮制御装置を示している。これら図に示した本発明に係る超磁歪素子の伸縮制御装置は、一端が固定され他端が自由端となっている超磁歪素子と永久磁石の連続相対位置関係の変化による磁力変化により超磁歪素子を伸縮させて、その変位を自由端に出力させるようにしたものである。図において、非磁性体よりなるブロック1内に、棒状の超磁歪素子2と、それと同軸または直交に配された、マイクロメータ3aまたはステッピングモータユニット3bからなる移動手段により、その先端部に設けられた円柱形の永久磁石4が移動され、超磁歪素子2との相対位置関係が制御される。マイクロメータ3aまたはステッピングモータユニット3bは磁性体のシャフトホルダー14に保持されており、該シャフトホルダー14を介して、移動手段側と、超磁歪素子2が内包されたブロック1側とが、ベース5によって連結されている。マイクロメータ3aまたはステッピングモータユニット3bのシャフト部は、磁性体から構成されており、後述の磁気閉回路を構成可能となっている。
【0031】
超磁歪素子2としては、円柱形のエトリーマ社製"ETREMATERFENOL-D"が用いられており、永久磁石4としては、希土類磁石の中でも磁力が強力なネオジム磁石が用いられている。
【0032】
ステンレス、アルミ合金等の非磁性体からなるブロック1は、同一円周上に穴が3つ開いていて、さらにその3つの穴の中心部に超磁歪素子2を挿入するための貫通穴が開いている。この中心穴の一方にステンレス、アルミ合金等の非磁性体により製作されたフランジ状の蓋体6がねじ止めされている。このフランジ状の蓋体6で超磁歪素子2を受け止めることにより超磁歪素子2の固定端が構成され、かつ、蓋体6が非磁性体から製作されていることにより、磁力のロスを極力抑え、永久磁石4の磁力を超磁歪素子2に与えることが可能となっている。
【0033】
自由端側の可動部は、3本の非磁性体からなるシャフト7と、超磁歪素子2の自由端側に連結されたプッシュロッド8を連結する磁性体のプレート9により構成され、磁性体からなるプッシュロッド8の端部にはR加工が施されて、超磁歪素子2への当たりを均一なものにしている。また、3本のシャフト7の端部にはねじ加工が施されており、ビス等によりプレート9に固定されている。
【0034】
図1に示した装置では、シャフトホルダー14にマイクロメータ3aを設置し先端に永久磁石4を磁力により固定する。これにより、永久磁石4の位置をミクロンオーダーで移動させることが可能となる。図2に示した装置では、シャフトホルダー14にステッピングモータユニット3bを設置し先端の回転板12の表面に永久磁石4を磁力により固定する。これにより、ステッピングモータユニット3bによる回転角制御により、永久磁石4の回転位置を精度よく制御することが可能となる。
【0035】
ブロック1と自由端側の可動部を組み合わせ、超磁歪素子2の自由端側の伸縮に追従させた出力を得ることを可能としている。このとき、ブロック1の同一円周上の穴3ヶ所にそれぞれシャフト7をスライドガイド15とともに挿入し、可動部の送り方向以外のがたつきを無くしており、さらにシャフト端に付勢手段としてのスプリング10を配することにより超磁歪素子2にプリストレスをかけるようにしている。このとき自由端側となるプッシュロッド8の端部は、超磁歪素子2に押しつけられており、超磁歪素子2の伸縮特性が改善され、かつ、送り方向のがたつきも排除されて、より精密な制御が可能となっている。
【0036】
非磁性体のプレートをベース5とし、これにブロック1とシャフトホルダー14をねじ止めにより設置し、たとえば図1の装置では、超磁歪素子2と同軸線上に超磁歪素子2と永久磁石4との相対位置関係を構成する。これにより、超磁歪素子2とマイクロメータ3aの先端に固定された永久磁石4の相対位置関係をミクロンオーダーで連続的に制御することが可能となる。
【0037】
また、永久磁石4の磁力は、ブロック1とベース5が非磁性体のため、磁性体の超磁歪素子2に直接かけることが可能となり、超磁歪素子2の連続伸縮制御における出力を大きなものにしている。また、超磁歪素子2の透磁率は低いので、固定端側の永久磁石4の近傍は磁化率が高いが、自由端側に行くに従い磁化率は低下する。そこで、自由端側の超磁歪素子2に接触しているプッシュロッド8に磁性体を用いることにより、磁化率の改善をはかっている。
【0038】
実際、φ12mm×長さ10mmのネオジム永久磁石4により、非磁性体のプッシュロッドと磁性体のプッシュロッド8の変位量の比較を行ったところ、図3に示すように、最大伸縮量として非磁性体の場合が12μmのところ、磁性体の場合には17μmとなり大幅に増大できた。また、磁性体のプッシュロッド8に磁性体よりなるヨーク11(図1、図2)を接続し、磁気閉回路を構成してもよい。この場合、図3に示すように、さらに伸縮量を増大させることができる。
【0039】
次いで、上記磁性体プッシュロッドの条件でかつ、上記磁気回路を開いた条件(磁気回路開)にて、φ14mm×長さ10mmのネオジム永久磁石4をマイクロメータ3の先端に固定しマイクロメータ3の読み値25.000mm〜0mmまで超磁歪素子2との相対位置関係を変化させてみると、図4に示すように、約19μmの変位が生じ、かつ、使用したマイクロメータ3の動作により0.05nmを制御することが可能であった。また、マイクロメータ3の読み値25.000mm〜0mmの間で任意の位置に固定すると、装置の出力も固定され変化を認めることは無かった。
【0040】
また、図4には、寸法の異なる各種のネオジム永久磁石を用いた結果、および、φ12mm×長さ4mmのフェライト永久磁石を用いた結果を併せて示した。この結果、フェライト永久磁石に比べ、ネオジム永久磁石を用いる方が、はるかに優れた伸縮、変位特性が得られることが分かる。
【0041】
さらに、図5には、ネオジム永久磁石を超磁歪素子2の伸縮方向に対し垂直方向に移動させた場合の、超磁歪素子2の伸縮量の一例を示した。この場合、永久磁石が近接するにしたがい超磁歪素子2は縮む。このような垂直方向への移動は、直線状の移動でも可能であるが、図2に示したような回転方式の移動でも、疑似的に達成可能である。図5に示すように、より小さな変位を制御できることが分かる。したがって、より微小な出力変位を得たい場合に好適である。
【0042】
なお、本発明において、永久磁石の移動に伴う超磁歪素子2の伸縮量は、多かれ少なかれ、伸び方向と縮み方向との間にヒステリシスを持つ。たとえば、図6に示すようなヒステリシスを持つ。しかしながら、このようにヒステリシスがある場合にあっても、そのヒステリシス特性を事前に把握しておきさえすれば、測定や出力の際の精度に問題が生じることはない。
【0043】
なお、上記伸縮量の測定(図3〜図6)は、(株)ミツトヨ製、輪郭形状測定機”SV−C624”を用いて行った。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る超磁歪素子の伸縮制御装置によれば、超磁歪素子の伸縮量を永久磁石1個のみで最大限引き出すことができ、かつ、その相対位置関係を制御することにより伸縮量をナノオーダーまで制御することが可能になる。また、所定の伸縮量を確実に何度でも再現することが可能となり、保持力にも優れる。さらに、簡単な装置構成で部品点数も少ないので、安価に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係る超磁歪素子の伸縮制御装置の概略構成図である。
【図2】本発明の別の実施態様に係る超磁歪素子の伸縮制御装置の概略構成図である。
【図3】各種条件下での超磁歪素子の伸縮特性図である。
【図4】各種磁石による超磁歪素子の伸縮特性図である。
【図5】磁力発生手段を超磁歪素子の伸縮方向に対し垂直方向に移動させた場合の超磁歪素子の伸縮特性図である。
【図6】超磁歪素子の伸縮量のヒステリシスの一例を示す特性図である。
【符号の説明】
1 ブロック
2 超磁歪素子
3a マイクロメータ
3b ステッピングモータユニット
4 永久磁石
5 ベース
6 蓋体
7 シャフト
8 プッシュロッド
9 プレート
10 スプリング
11 ヨーク
12 回転板
14 シャフトホルダー
15 スライドガイド
Claims (14)
- 一端が固定され、他端が自由端の超磁歪素子に磁力を作用させることにより前記超磁歪素子を伸縮させて、その自由端の変位を出力させるようにした超磁歪素子の伸縮制御装置において、非磁性体からなるブロック内に、棒状の超磁歪素子を配するとともに、超磁歪素子の固定端側にのみ、該固定端に対し超磁歪素子の軸方向に間隔をあけて、1個の永久磁石のみによる磁力の発生手段を配し、該磁力発生手段の移動手段により該磁力発生手段と前記超磁歪素子との相対位置関係を連続的に制御することにより、前記超磁歪素子を連続的に伸縮させて所定の伸縮量に制御し、その変位を超磁歪素子の自由端側に出力させるようにしたことを特徴とする超磁歪素子の伸縮制御装置。
- 前記磁力発生手段が前記超磁歪素子の軸線上に配置されている、請求項1の超磁歪素子の伸縮制御装置。
- 前記移動手段が、前記磁力発生手段を前記超磁歪素子の伸縮方向と平行な方向に移動させる手段からなる、請求項1または2の超磁歪素子の伸縮制御装置。
- 前記移動手段が、前記磁力発生手段を前記超磁歪素子の伸縮方向と垂直な方向に移動させる手段からなる、請求項1または2の超磁歪素子の伸縮制御装置。
- 前記移動手段が、前記磁力発生手段を回転移動させる手段からなる、請求項1〜4のいずれかに記載の超磁歪素子の伸縮制御装置。
- 前記超磁歪素子の自由端側に、超磁歪素子の伸縮とともに変位する、磁性体からなるプッシュロッドが設けられている、請求項1〜5のいずれかに記載の超磁歪素子の伸縮制御装置。
- 前記プッシュロッド側と前記磁力発生手段側とが磁性体からなるヨークで接続され、この間に磁気閉回路が構成されている、請求項6の超磁歪素子の伸縮制御装置。
- 前記ブロック内に、前記プッシュロッドと連結され、プッシュロッドを超磁歪素子の伸縮方向に案内する、少なくとも1つのスライドガイドが設けられている、請求項6または7の超磁歪素子の伸縮制御装置。
- 前記超磁歪素子の自由端側から前記超磁歪素子にプリストレスを与える手段が設けられている、請求項1〜8のいずれかに記載の超磁歪素子の伸縮制御装置。
- 前記ブロックに、前記超磁歪素子の固定端に連結され、該固定端と前記磁力発生手段との間に介在する、非磁性体からなる蓋体が設けられている、請求項1〜9のいずれかに記載の超磁歪素子の伸縮制御装置。
- 前記ブロックが低熱伝導性の非磁性体からなる、請求項1〜10のいずれかに記載の超磁歪素子の伸縮制御装置。
- 前記ブロックに加熱手段が設けられている、請求項1〜11のいずれかに記載の超磁歪素子の伸縮制御装置。
- 前記ブロックに冷却手段が設けられている、請求項1〜12のいずれかに記載の超磁歪素子の伸縮制御装置。
- 請求項1〜13のいずれかに記載の超磁歪素子の伸縮制御装置を用いてなるブロックゲージの比較測定装置。
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