JP4376697B2 - 微小変位制御装置およびそれを用いた装置と方法 - Google Patents

微小変位制御装置およびそれを用いた装置と方法 Download PDF

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Description

本発明は、光学機器、精密加工機械、レーザー機器、計測器、その他微小かつ精密な変位や送りが必要な機器に用いて好適な超磁歪素子を用いた微小変位制御装置に関し、とくに、ベルコビッチ圧子等を用いて、例えば薄膜の一回の押し込み試験によって、絶対的な硬さ値はもとより、固有の物性(例えば、弾性率、クリープ特性、ヤング率)についての補足データを得るのに適した硬さ等の測定などに好適な、微小変位制御装置およびそれを用いた装置と方法に関する。
従来の微小変位制御による硬さ試験機は、例えば、荷重発生をコイルで行い、その力を伝達レバーにより測定圧子に伝え、試料へ圧子押し込みをはかり、この時の変位を静電容量型変位計で精密に計測するようにしている(たとえば、特許文献1)。
また、超磁歪素子を用いた測定装置やアクチュエータとしては、次のようなものが知られている。たとえば特許文献2に開示の超磁歪アクチュエータでは、ケーシング内に、円筒形の永久磁石と、その中心軸に沿って配された超磁歪ロッドと、これらの上端同士及び下端同士を連結して閉磁路を形成する上下一対のヨークを備えている。超磁歪ロッドに磁気バイアスをかけるため、永久磁石とヨークで囲まれた空間内には、超磁歪ロッドを中心にコイルを巻回して形成された電磁石が配されている。また、超磁歪ロッドにプリストレスをかけるためのスプリングがケーシングとヨークの間に配されている。
この超磁歪アクチュエータによれば、超磁歪ロッドに対して、永久磁石によりヨークを介して磁気バイアスを作用させると共に、スプリングによりプリストレスを作用させた状態で電磁石に電流を供給することにより、その磁力の大きさに応じて超磁歪ロッドが伸縮され、超磁歪ロッドの先端に設けたプッシュロッドが移動されてその変位が機械的動力として取り出される。
また、超磁歪素子を用いた測定装置やアクチュエータとしては、たとえば図1に示すようなものが知られている(たとえば、非特許文献1)。図1に示す超磁歪素子の伸縮制御装置では、コの字型のヨーク102の中心部分に電磁石103が設置され、ヨーク102の両端部の内側に超磁歪素子101が設置されている。この形態は、各種の磁場解析に好適であり、電磁石に電流を流しても超磁歪素子が熱の影響を受けにくくなっている。
また、超磁歪素子内部の磁束密度を検出するコイルが設置されたアクチュエータとして、次のようなものが知られている。たとえば特許文献3に開示のワイヤクランプ機構では、超磁歪素子に磁束を与える駆動コイルと、超磁歪素子の磁束密度を検出する検出コイルが設置されている。検出コイルによって、超磁歪素子の磁束密度の変化を電気信号として取り出すことができる。
特開2001−124681号公報 特開2002−58269号公報 特開平10−178032号公報 A.E.クラーク、江田弘、「超磁歪材料」、日刊工業新聞社、p.103〜105、1995年
しかしながら、上記特許文献1に開示されているような硬さ試験機では、圧子の変位測定に静電容量型変位計を用いている。静電容量型変位計は、測定分解能が非常に高くナノオーダーの計測が可能になるものとして一般的であるが、非接触式なので振動に非常に弱い。また、力伝達レバーは微小荷重において、支点を中心として、非常に不安定な状態で釣り合っている。これらのことから、除振台に相当コストをかけないと、所定の精度を確保することが難しくなる。よって、装置全体として非常に高価なものとなっていた。
また、上記特許文献2に開示されているような超磁歪アクチュエータにおいては、永久磁石による磁気バイアスにより電磁石への供給電流を減少させることができるものの、超磁歪ロッドの十分な伸縮を得るためには多くの電流の供給を必要とする。このことにより、コイルにはジュール熱が発生し、特に、コイル中心部で最も発熱量が大きくなる。一方、超磁歪素子は比透磁率が10程度と低いため、外部による磁力発生装置により強力な磁力を発生させないと、超磁歪素子を十分に磁化させることができず、伸縮量を大きくすることができない。このために、特許文献2のように、最も磁力の強いコイル中心部に超磁歪素子を配している。これにより、超磁歪素子はコイルのジュール熱をまともに受けてしまい、簡単に熱膨張をおこしてしまう。この問題点により精密な制御が難しかった。
また、上記非特許文献1のような超磁歪素子の伸縮制御装置においては、超磁歪素子への電磁石よりのジュール熱の影響を低減できるものの、超磁歪素子の透磁率は空気中に対する値より10倍以下程度であり、実際にはヨークの端でかなりの磁力が漏れ、超磁歪素子をほとんど磁化することができなかった。
また、上記特許文献3に開示されているような超磁歪アクチュエータにおいては、駆動用コイルのすぐ隣に検出コイルが設置されている。超磁歪素子は透磁率が低いので、駆動用コイルにはかなりの電流を流さないと、超磁歪素子を十分に磁化することができない。そのために、検出コイルが駆動用コイルから発生する漏れ磁束を簡単に検出してしまっていた。また、駆動用コイルと検出コイルの長さ(巾)はそのままに、超磁歪素子を長くして、超磁歪素子の両端に駆動用コイルと検出コイルを設置しそれぞれの間隔を広くした場合でも、超磁歪素子の透磁率が低いので、検出コイルに磁束がたどり着く前に多くの磁束が途中で漏れ、駆動用コイルにリターンしてしまう。これらにより、超磁歪素子内部の磁束密度を正確に検出することは難しかった。
上記のような従来技術における問題点に着目し、本発明の課題は、基本的にコイルの中に超磁歪素子を設置せず、極めて高精度に伸縮量、それに伴う変位を制御可能な超磁歪素子の伸縮制御装置を構成し、それを用いて目標とする微小変位を高精度で得ることができるようにした微小変位制御装置を提供することにある。
また、本発明の課題は、そのような微小変位制御装置を用いることにより、各種の測定や高精度位置決めを可能とすることにあり、例えば、静電容量型変位計等の非接触変位計および、力伝達レバーを使用することの上記のような問題点に着目し、基本的に非接触変位計および力伝達レバー等を使用せずに、超磁歪素子の伸縮制御装置を用いて極めて高精度に圧子押し込みを行い、それに伴う荷重を計測可能とした、硬さ測定装置および方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る微小変位制御装置は、一端が固定され、他端が自由端の超磁歪素子に磁力を作用させることにより前記超磁歪素子を伸縮させて、その自由端の変位を出力させるようにした超磁歪素子の伸縮制御装置であって、非磁性体からなる両端板の間に棒状の超磁歪素子を配するとともに、超磁歪素子の固定端側および自由端側でかつ前記両端板の外側に電磁石による磁力発生手段を同軸線上に配し、少なくとも前記超磁歪素子の自由端側において、電磁石の鉄心と端板の間に、前記超磁歪素子の自由端側に出力される変位よりも大きいギャップを設け、前記超磁歪素子の軸方向の中央部に、超磁歪素子の内部の磁束密度を計測可能な検出用コイルを設け、前記磁力発生手段の電流値を制御することにより、前記超磁歪素子を連続的に伸縮させその変位を超磁歪素子の自由端側に出力させるようにした超磁歪素子の伸縮制御装置を用い、前記超磁歪素子の自由端側に出力される変位により、目標とする微小変位を得るようにしたことを特徴とするものからなる。すなわち、基本的に超磁歪素子の両端からの電磁石による磁力の発生手段により超磁歪素子に作用させる磁力を制御し、超磁歪素子を連続的に伸縮させその変位を超磁歪素子の自由端側に連続的な変位として出力させるようにしたものである。
ここで使用する両端板は非磁性体かつ熱伝導率の低い断熱板等が好ましい。このとき、超磁歪素子にかかる磁力を多くするために、超磁歪素子を電磁石になるべく近づける必要がある。このため、両端板に超磁歪素子と実質的に同径の止まり穴を、たとえば、自由端板および固定端板の厚さ1mm残すように超磁歪素子側から開け、超磁歪素子の端部を挿入する。これにより、磁力発生手段からの磁力を所定の位置関係の望ましい状態で超磁歪素子の両端に作用させることができ、かつ、非磁性体かつ熱伝導率の低い断熱板からなる端板とすることにより、磁力発生手段からの磁力のロスを抑え、電磁石からの発熱を遮断することができる。また、本発明においては、少なくとも超磁歪素子の自由端側において、電磁石の鉄心と端板の間に、超磁歪素子の自由端側に出力される変位よりも大きいギャップが設けられるが、とくに、電磁石の鉄心と両端板の間に超磁歪素子の自由端側に出力される変位よりも大きいギャップ、たとえば、0.1mm程度のギャップがあることが、好ましい。これにより、自由端側に出力される変位を確実に得ることができ、かつ、熱伝導に対する断熱に対してもさらなる効果を発揮することができる。
このように、最もジュール熱の発熱が大きいコイル中心に超磁歪素子を配することなく、発熱体である電磁石のコイルと超磁歪素子を両端板を介して実質的に完全に熱的に遮断し、かつ、電磁石二つを向かい合わせて超磁歪素子の両端から効率よく磁化させることにより、十分な伸縮量を得ている。これにより、熱による影響がなく、極めて精密に超磁歪素子の伸縮制御を行うことが可能となっている。
最も漏れ磁束が多くなるギャップ部に磁力発生手段である電磁石が配置されているので、漏れ磁束が多い中でも、より多くの磁束を超磁歪素子に伝えることができる。また、このときの漏れ磁束は、すぐにそれぞれの電磁石のリターン側へ吸収され、磁気回路としてはロスが少ない。
電磁石2つを対向させ、間に超磁歪素子を配する構成において、それぞれの電磁石の反超磁歪素子側の鉄心を磁気閉回路にするための電磁石端部保持板およびヨーク(板)を取り付けることが好ましい。これにより、超磁歪素子にかかる磁力の増大および電流値の低減をはかることができ、かつ、漏洩磁気を低減することが可能となる。このヨークは、超磁歪素子を備えた装置のフレームを兼ねることができる。
また、電磁石の鉄心、電磁石端部保持板、ヨーク(板)には電磁軟鉄(純鉄)を磁気焼鈍したものを用いることが好ましい。これにより、さらなる、超磁歪素子にかかる磁力の増大および電流値の低減をはかることができる。
磁力発生手段による磁力の方向については、向かい合う電磁石が異なる極性になるようにそれぞれの電磁石に電流を流す。このとき、自由端、固定端ともにS、Nどちらの極性でもよく、要するにそれぞれが異なる極性でありさえすればよい。このことにより、超磁歪素子にかかる磁力を効率的なものにしている。
電磁石のコイルの線径はジュール熱の発生を極力防ぐために、φ1mm程度であることが望ましい。また、このときのコイルの巻き数はそれぞれ600回以上でかつ両コイルの巻き数が同じであることが好ましく、これにより超磁歪素子に十分な磁力を与えることが可能となる。
電磁石のコイルに流す電流は超磁歪素子のそれぞれの端面をなるべく均等に磁化させる意味で、常に2つの電磁石には実質的に同じ値の電流を流すことが好ましい。
自由端側の出力される変位は自由端板に伝わり、さらに、自由端板に連結された連結機構(たとえば、連結板)を介して、自由端側電磁石の反超磁歪素子側の出力ロッドに伝達される。このとき、出力ロッドは超磁歪素子と同軸線上に配置されていることが好ましく、スライドガイド等の1方向のみの自由度を持つガイドにより、直線的に出力されることが好ましい。これらのことにより、超磁歪素子の変位量が、誤差を含むことなくダイレクトに出力され、高精度な出力を得ることが可能となる。
出力ロッドが固定されている板としては、熱伝導率の低い断熱板が好ましく、これにより、電磁石コイルの反超磁歪素子側の熱による影響を防ぐことが可能となる。
また、超磁歪素子の自由端側から超磁歪素子にプリストレスを与える手段が設けられていることが好ましい。たとえば、上記自由端板またはその取り付け部材を介してスプリング等の付勢手段によりプリストレスを与えることが可能である。このような付勢手段を設ければ、自由端側となる自由端板を超磁歪素子に押しつけておくことが可能になり、このことにより、超磁歪素子にはプリストレスが与えられてその伸縮の特性が改善され、かつ、装置全体の送り方向の剛性が向上し、より精密な制御が可能になる。
また、本発明においては、超磁歪素子の軸方向の中心部分に検出用コイルが設けられている。超磁歪素子は後述するある領域においては、磁束密度に比例し伸縮するので、超磁歪素子の内部の磁束密度を正確に計測することができれば伸縮量を正確に把握することが可能となる。本装置は磁力発生用電磁石が超磁歪素子の両端に配置されているため、超磁歪素子の軸方向の中心部に検出用コイルを設置することが可能となり、超磁歪素子を通る磁束を正確に計測することが可能となっている。また、十分に二つの電磁石から離れているので、電磁石からの漏れ磁束を検出することなく、超磁歪素子の内部の磁束密度を正確に計測することが可能となる。
また、電磁石の鉄心から超磁歪素子までのギャップ部により多くの漏れ磁束が発生するが、このときの漏れ磁束は、2つの電磁石のすぐ側で発生しているため、すぐにそれぞれの電磁石のリターン側に吸収される。また、漏れ磁束にならず超磁歪素子の内部に入った磁束は、超磁歪素子両端より2つの電磁石が異極を向き合わせて磁束を発生しているので、超磁歪素子内部の磁束のとおりが良くなり、ほとんど漏れ磁束にならない。よって、超磁歪素子の長さ方向中心付近は、十分に離れているので電磁石の磁束の影響を受けにくく、かつ、この装置においての最大の漏れ磁束発生部であるギャップ部の漏れ磁束の影響もなく、また、超磁歪素子内部の漏れ磁束も少ないので、超磁歪素子内部の磁束密度を検出するのに最適である。
また、超磁歪素子は伸縮ヒステリシスが大きいが、超磁歪素子内部の磁束密度を正確に計測しフィードバックしさえすれば、ヒステリシスの問題なく伸縮制御することが可能となる。
超磁歪素子の軸方向にバイアス磁力をかけるために、永久磁石を設置することもできる。バイアス磁力が無い場合、超磁歪素子に電磁石により磁力をかけていくと、初めは、検出コイルによる超磁歪素子内部の磁束密度とこの装置の出力は比例しない。ある程度、磁力をかけると超磁歪素子内部の磁束密度とこの装置の出力は比例するようになる。超磁歪素子内部の磁束密度と変位量が比例する領域まであらかじめ電磁石または永久磁石によりバイアス磁力をかけておくと、超磁歪素子内部の磁束密度とこの装置の出力が比例した状態で制御を行うことが可能となる。要するに、検出コイルは、必ず、超磁歪素子にバイアス磁界をかけた状態で使用しなければならない。
電磁石によるバイアス磁界は、超磁歪素子の伸縮用の二つの電磁石により、超磁歪素子が伸縮するのと同方向の極性に、あらかじめ電磁石に通電させておく。
バイアス磁石の設置は、超磁歪素子の外側に軸方向に磁化された中空円柱形の永久磁石を設置してもよいし、両端に二つの円柱形の永久磁石を異極を向かい合わせに設置してもよい。要するに、超磁歪素子の軸方向で、かつ、電磁石と極性が同方向のバイアス磁力がかかるように設置すればよい。
また、超磁歪素子を二分割し、その分割部分に磁力測定装置、例えば非磁性体からなるガイドに内包された、ホール素子を設置することもできる。これにより、超磁歪素子を通る磁束を正確に計測することが可能となり、正確に伸縮制御することが可能となる。
このような本発明に係る超磁歪素子の伸縮制御装置を備えた微小変位制御装置は、各種微小かつ精密な送りや出力が必要な機器に適用でき、たとえば、この微小変位制御装置を用いて、超微小硬さ測定装置を構成することができる。すなわち、本発明に係る硬さ等の測定装置は、上記のような微小変位制御装置における超磁歪素子の伸縮制御装置による前記超磁歪素子の自由端側に出力される変位を、被測定物への押し込み量とし、荷重計測装置を用いて、前記押し込み量に対応する荷重を計測し、被測定物の「押し込み量−荷重」特性と硬さ値等を得るようにしたことを特徴とするものからなる。
例えば後述の図に示すように、この超微小硬さ測定装置における測定では、この装置の出力軸と同軸線上に荷重計測装置、例えば、圧電型ロードセルが設置されている。さらに圧電型ロードセルの上部に、例えば、ベルコビッチダイアモンド圧子が上向きに取り付けられている。この時の圧子と測定試料との接触は、圧電型ロードセルにより検知し、この時の圧子の位置をゼロ点とする。また、測定試料を設置する試料設置板とベルコビッチダイアモンド圧子の位置関係については、例えば、φ2mm程度の穴が開いた試料設置板をベルコビッチダイアモンド圧子の上部に設置する。このとき、試料設置板に開いた穴とベルコビッチダイアモンド圧子を同軸線上に配置し、ベルコビッチダイアモンド圧子先端が試料設置板よりわずかに引っ込んでいるように設置する。測定前の状態はこの装置の伸縮ストロークの最短状態となっている。試料設置板に測定試料面を下向きに置き、例えば、永久磁石等で固定する。次に、この装置に電流を流し超磁歪素子を伸縮させると、試料設置板の穴よりベルコビッチダイアモンド圧子先端がでてきて、測定試料面に圧子を押し込む。この時の圧子の位置制御は、例えば、検出コイルによるフィードバック制御により一定速度になるように連続して行い、かつ、この時の荷重を前記荷重計により連続して読みとる。これを、圧子戻り方向にも同様に行い、荷重が0になるまで行う。これにより、「押し込み量−荷重」特性のグラフが作成でき、連続特性曲線を求めることができるとともに、それぞれの測定点の硬さ値を求めることができる。この特性曲線は材質により異なるので、物性評価の比較検討および、ヤング率等の物性データを得ることが可能となる。
この超微小硬さ測定装置においては、超磁歪素子、出力ロッド、圧電型ロードセル、圧子が同軸線上に並んでおり、非接触部分がない。これらのことは、アッベの原理から見ても精度的に有利であり、かつ、耐振動性能的にも好影響である。
このような形態の超微小硬さ測定装置の別の押し込み方法として、圧子の位置制御を、例えば、検出コイルによるフィードバック制御により一定速度になるように連続して行い、かつ、この時の荷重を前記荷重計により連続して読みとる。これを設定押し込み量まで行う。次に、例えば戻り方向の圧子押し込み量および荷重は計測せずに、圧子を素早く引き抜き、続いて同じ部位に二回目の押し込みを一回目の押し込み量と同量まで行い、その時の荷重を連続して読みとる(戻り方向の圧子押し込み量・荷重は計測せず)。これにより、一回目は弾性・塑性変形の両方を含んだ曲線となるが、二回目は弾性変形のみの曲線を得ることができる。これにより、一回の押し込みで行き・戻り方向の両方を計測する前記方法と同等の測定曲線を得ることが可能となる。また、二回目の押し込みのタイミングをはかることにより、測定試料の弾性回復の時間関数を見ることも可能となる。
このような測定方法に用いる圧子押し込み装置は、本微小変位制御装置でも当然可能であるが、ヒステリシスをもつ微小変位装置でも可能となる。例えば、ピエゾアクチュエータは伸び方向と戻り方向にヒステリシスを持つが、伸び方向のみであればオープンループによる制御でも直線的に伸長することが可能である。よって、精密に制御できる伸び方向の伸長を二回用いることにより、前記測定方法と同等な測定をおこなうことが可能となる。
また、例えば図2に示すような形態をとることも可能である。この超微小硬さ測定装置における測定では、門型フレーム25とベース盤27が連結され、そのベース盤27上に例えば電子天秤26が載せられている。さらに粗調的に移動可能な手段(粗調移動部24)がその電子天秤26に載せられている。この装置は門型フレーム25の上面板に微小変位制御装置28の出力部分が下向きに固定されている。この装置の出力部分に、例えばベルコビッチダイアモンド圧子20を取り付け、測定試料23をセットした試料設置板21を移動可能な粗調移動部24に取り付ける。この装置の伸縮ストロークの最短位置に超磁歪素子を伸縮させる。次に、固定可能な粗調移動部24にて測定資料23に圧子20が接触するまで移動させ固定する。このときの接触確認は電子天秤26等の値を見て行う。次に、本装置により正確に圧子20を連続的に押し込む。そのときの荷重を連続的に電子天秤26等で読みとる。これを、設定した最終押し込み量まで行う。さらにこれを、圧子20の戻り方向にも同様に行い、荷重が0になるまで行う。これにより、「押し込み量−荷重」特性のグラフが作成でき、連続特性曲線を求めることができるとともに、それぞれの測定点の硬さ値を求めることができる。この特性曲線は材質により異なるので、物性評価の比較検討が可能となる。
この微小変位制御装置においては、例えば、スプリング等の付勢手段によるプリストレスが約20kgfかけられているので、超磁歪素子および系全体の剛性は非常に高い。一方、微小押し込み時(数μm以下)の最高荷重は数十グラム以下とごくわずかなので、押し込み時の装置の弾性変形は無視できる。よって、「試料に接触してからのこの装置による変位量」=「圧子押し込み量」とみなすことができる。
また、このような測定装置においては、変位を伴うことなく荷重計測が可能な荷重計測装置と組み合わせることが望ましい。そのためには、圧電素子、電子天秤等の荷重計測装置が好適である。
この微小変位制御装置により、ナノオーダーの押し込みが可能となるので、圧電素子等の微小荷重計測装置と併せて用いることにより、厚み数ミクロンオーダーの薄膜等の硬さ測定が可能となる。しかも、「押し込み量−荷重」特性の連続曲線が求まることにより、単に硬さだけにとどまらず、薄膜等の弾性率、ヤング率といった機械的性質を分析することも可能となる。
この圧子押し込みユニットに用いている微小変位制御装置は、超磁歪素子の物質としての伸縮を利用しているので、振動の影響を全く受けない。これにより、この超微小硬さ測定装置の除振台は、簡易なものでも問題はない。よって、測定装置全体として、高精度なものを安価に提供することが可能となる。
さらに、上記のような本発明に係る超磁歪素子の伸縮制御装置を用いた微小変位制御装置は、各種微小かつ精密な送りや出力が必要な機器に適用でき、たとえば、この微小変位制御装置を用いて、変位センサ校正装置を構成することができる。すなわち、本発明に係る変位センサの校正装置は、上記のような微小変位制御装置における超磁歪素子の伸縮制御装置による前記超磁歪素子の自由端側に出力される変位を検出コイルにより読みとり、対象変位センサの出力とを対照することにより、該対象変位センサの出力の校正あるいは性能の試験を行うようにしたことを特徴とするものからなる。多くの場合、変位センサは測定変位の範囲内の任意の2〜3点の比例する点を入力し、校正する。
たとえば、ナノオーダーの分解能を持つような高精度変位センサの場合でも、測定出力のゼロ点・スパン調整(出力直線の傾き)はブロックゲージの厚みを変えて行っているのが現状である。しかし、このような高精度変位センサとなるとサブミクロンオーダーのばらつきがあるブロックゲージでは精度的に校正の信頼性に乏しい。そこで、例えばレーザー変位センサの場合、本発明に係る微小変位制御装置の出力部分に、レーザーを照射する。そして、この微小変位制御装置を用いて出力が直線になるように出力する。そして、レーザー変位センサの出力と対象し、直線の傾きが一致するようにレーザー変位センサのゼロ点・スパン調整(出力直線の傾き)を行う。
また、この微小変位制御装置の出力部分に(出力方向と同方向に)センサを設置することも可能である。この構成では、実際の被測定物を使い校正することが可能となる。あらかじめセンサおよびこの装置の出力部分の軸合わせを行っておけば、より迅速かつ高精度の校正が可能となる。ここでいうセンサは、変位センサ、絶対測長センサ、ひずみゲージ等であり、接触、非接触を問わない。
また、この微小変位制御装置の検出コイルによる信号をフィードバックし、微小変位制御装置への入力電流を制御することにより、ステップ状に駆動させることも可能である。このステップを細かくすることにより、対象センサの分解能を知ることができる。また、同様にフィードバック制御により、微小変位制御装置を一定速度になるように出力させることにより、対象センサの線形性を調べることができる。これらのように、対象センサの性能試験を行うことが可能となる。
さらに、上記のような本発明に係る超磁歪素子の伸縮制御装置を用いた微小変位制御装置は、各種微小かつ精密な送りや出力が必要な機器に適用でき、たとえば、この微小変位制御装置を用いて、位置決めステージを構成することができる。すなわち、本発明に係る位置決めステージは、上記のような微小変位制御装置における超磁歪素子の伸縮制御装置による前記超磁歪素子の自由端側に出力される変位により、ステージの位置決めを行うようにしたことを特徴とするものからなる。より具体的には、たとえば、この微小変位制御装置の出力部分と1方向のみ精密に摺動可能なスライドガイドを連結する。また、このとき、先の検出コイル等を設置した装置を用いれば、ヒステリシスの影響を受けることもなく精密に往復位置決め動作を行わせることが可能となる。さらに、この1方向ステージを90°ずらして重ね合わせることにより、X・Yステージの構成も可能となる。もちろん、垂直方向のステージをさらに組み合わせX・Y・Zステージとすることも可能であり、位置決め方向の組み合わせは任意に設定できる。
同様に、本発明に係る方法においても、本発明に係る超磁歪素子の伸縮制御装置を備えた微小変位制御装置を用いて各所測定や位置決めを行うことができる。
すなわち、本発明に係る硬さ等の測定方法は、上記のような微小変位制御装置を用い、前記超磁歪素子の伸縮制御装置による前記超磁歪素子の自由端側に出力される変位によって被測定物への押し込み量を制御し、荷重計測装置を用いて、前記押し込み量に対応する荷重を計測し、被測定物の「押し込み量−荷重」特性および硬さ値を得ることを特徴とする方法からなる。
また、本発明に係る変位センサの校正方法は、上記のような微小変位制御装置を用い、前記超磁歪素子の伸縮制御装置による前記超磁歪素子の自由端側に出力される変位と、対象変位センサの出力とを対照することにより、該対象変位センサの出力の校正あるいは性能の試験を行うことを特徴とする方法からなる。
さらに、本発明に係る位置決めステージの制御方法は、上記のような微小変位制御装置を用い、前記超磁歪素子の伸縮制御装置による前記超磁歪素子の自由端側に出力される変位により、ステージの位置決めを行うことを特徴とする方法からなる。
上記のような本発明に係る微小変位制御装置によれば、超磁歪素子の伸縮量を電磁石の発熱の影響を受けることなく、最大限引き出すことができ、かつ、検出コイルにより正確に超磁歪素子の伸縮を制御することが可能になるので、超磁歪素子のヒステリシスの影響を全く受けず、その電磁石の電流値を制御することにより伸縮量をナノオーダーまで極めて高精度に制御することが可能になる。また、簡単な装置構成で部品点数も少ないので、安価に製作することができる。
また、このような本発明に係る微小変位制御装置を利用した各種測定装置、校正装置、位置決め装置および方法によれば、所望の硬さ測定やセンサの校正、位置決め等を、極めて高精度でかつ容易に、しかも安価な装置にて行うことが可能となる。
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。
図3は、本発明の一実施態様に係る超磁歪素子の伸縮制御装置を備えた微小変位制御装置を示している。図3に示した本発明に係る微小変位制御装置1における超磁歪素子2の伸縮制御装置は、一端が固定され他端が自由端となっている超磁歪素子2と二つの電磁石5を備えており、二つの電磁石5の電流値制御による磁力変化により超磁歪素子2を伸縮させて、その変位を自由端に出力させるようにしたものである。図3において、非磁性体よりなる自由端板4および固定端板3の間に(内側に)、棒状の超磁歪素子2を配するとともに、両端板の外側において、超磁歪素子2の固定端側および自由端側に電磁石5を同軸線上に配し、この電磁石5の電流値を制御することにより、前記超磁歪素子2を連続的に伸縮させその変位を超磁歪素子2の自由端側に出力させるようになっている。
電磁石5は電磁石端部保持板13とともにフレームを兼ねているヨーク板12に取り付けられ、磁気閉回路を構成している。これにより、超磁歪素子2にかかる磁力の増大および電流値の低減をはかることができ、かつ、漏洩磁気を低減することが可能となる。また、連結板14は自由端板4と出力板8とを連結し、自由端板4の出力を出力ロッド11に伝えている。このとき、出力ロッド11は超磁歪素子2と同軸線上に配置され、軸方向のみの自由度を持つ、スライドハウジング9内に嵌挿されたスライドブッシュ10により、直線的に出力される。このような構成により、超磁歪素子2の変位量が、誤差を含むことなくダイレクトに出力され、高精度な出力を得ることが可能となっている。
連結板14には、引っ張りバネ7による付勢手段が4個取り付けられている。このような付勢手段を設ければ、自由端側となる自由端板4を超磁歪素子2に押しつけておくことが可能になり、このことにより、超磁歪素子2にはプリストレスが与えられてその伸縮の特性が改善され、かつ、送り方向の剛性が向上し、より精密な制御が可能になる。
出力ロッド11が固定されている出力板8には、熱伝導率の低い断熱板が用いられている。これにより、電磁石5の反超磁歪素子側の熱による影響を防いでいる。
超磁歪素子2としては、本実施態様では、円柱形のエトリーマ社製"ETREMATERFENOL-D"が用いられている。サイズは、φ6mm×25mmである。
このように、最もジュール熱の発熱が大きい電磁石5のコイル中心に超磁歪素子2を配することなく、発熱体である電磁石5のコイルと超磁歪素子2を熱的に遮断し、かつ、電磁石5二つの異極を向かい合わせて超磁歪素子2の両端から効率よく磁化させているので、十分な伸縮量を得ている。これにより、熱による影響がなく極めて精密に伸縮制御することが可能となっている。
ここで使用する自由端板4および固定端板3は非磁性体かつ熱伝導率の低い断熱板を用いている。このとき、超磁歪素子2にかかる磁力を多くするために、超磁歪素子2を電磁石5になるべく近づける必要がある。そこで、自由端板4および固定端板3に超磁歪素子2と同径(φ6mm)の止まり穴を、自由端板4および固定端板3の厚さ1mm残して超磁歪素子2側から開け、超磁歪素子2を配している。これにより、電磁石5からの磁力を所定の位置関係の望ましい状態で超磁歪素子2の両端に作用させることができ、かつ、非磁性体かつ熱伝導率の低い断熱板からなる板とすることにより、電磁石5からの磁力のロスを抑え、電磁石5からの発熱を遮断することができる。また、電磁石5の鉄心6と自由端板4および固定端板3は、0.1mm程度のギャップを設けている。これにより、自由端側の出力される変位を得ることができ、かつ、熱伝導対策にさらなる効果を発揮する。
また、電磁石の鉄心6(φ6mm)、電磁石端部保持板13、ヨーク板12には、電磁軟鉄(純鉄)を磁気焼鈍したものを用いている。これにより、さらなる、超磁歪素子2にかかる磁力の増大および電流値の低減をはかることができる。
電磁石5による磁力の方向については、向かい合う電磁石5が異なる極性になるようにそれぞれのコイルに電流を流す。このことにより、超磁歪素子2にかかる磁力を効率的なものにしている。
電磁石5のコイルの線径はジュール熱の発生を極力防ぐために、φ1mmのものを用いて、コイルの巻き数は約600回である。これにより超磁歪素子2に十分な磁力を与えることが可能となる。
電磁石5のコイルに流す電流は超磁歪素子2のそれぞれの端面をなるべく均等に磁化させる意味で、常に2つの電磁石5には同じ電流値を流すように制御を行う。
また、超磁歪素子2の軸方向の中心部分に検出用コイル15を設けている。超磁歪素子2の内部のみの磁束密度を精度よく検出するため、検出コイル15は両端の電磁石5からなるべく距離をとり、かつ、超磁歪素子2の外径(φ6mm)になるべく密着していなくてはならない。そこで、本装置は、線径φ0.03mm、内径φ6mm、外径φ6.45mm、巾2mm、巻き数300のコイルを用いている。
超磁歪素子2は、後述する領域においては、磁束密度に比例し伸縮するので、超磁歪素子2の内部の磁束密度を正確に計測することができれば伸縮量を正確に把握することが可能となる。本装置は磁力発生用電磁石5が超磁歪素子2の両端に配置されているため、超磁歪素子2の軸方向の中心部に検出用コイル15を設置することが可能となり、超磁歪素子2の内部の磁束密度を正確に計測することが可能となっている。
また、超磁歪素子2は例えば図4に示すように伸縮ヒステリシスが大きいが、超磁歪素子2の内部の磁束密度を正確に計測しフィードバックしさえすれば、ヒステリシスの問題なく伸縮制御することが可能となる。
超磁歪素子2の軸方向にバイアス磁力をかけるために、円筒形の永久磁石16を設置している。バイアス磁力が無い場合、超磁歪素子2に電磁石5により磁力をかけていくと初めは、検出コイル15による超磁歪素子2の内部の磁束密度とこの装置の出力は比例しない。ある程度磁力をかけると、超磁歪素子2の内部の磁束密度とこの装置の出力は比例するようになる(図5)。超磁歪素子2も強磁性体であるので、図6のような初磁化曲線のように磁化されると考えられる。初透磁率範囲では超磁歪素子2の内部の磁束密度とこの装置の出力は比例しないが、不可逆磁壁移動範囲においては比例するようになる。超磁歪素子2の内部の磁束密度と変位量が比例する領域まであらかじめ永久磁石16によりバイアス磁界をかけておくと、超磁歪素子2の内部の磁束密度とこの装置の出力が比例した制御を行うことが可能となる(図7)。要するに、検出コイルは必ず、超磁歪素子にバイアス磁界をかけて使用しなければならない。このときのバイアス磁力は約500Gである。
また、より高精度な伸縮制御を行う場合、図6における回転磁化範囲まで超磁歪素子を伸縮させずに、伸縮制御することが望ましい。図8は、静電容量型変位計に対する、検出コイルの静特性を表しているが、図8のように入力電流増加方向は初透磁率範囲を超えれば、静電容量型変位計との比較は線形となっている。しかし、図9のように、入力電流減少方向においては、やや曲線的な特性となっていて、入力電流増加方向と入力電流減少方向に若干のヒステリシスが見受けられる。このことから、厳密に高精度な伸縮制御を行うときは、回転磁化範囲まで超磁歪素子2を伸縮させず、不可逆磁壁移動範囲にて伸縮制御を行うことが望ましい。
バイアス磁界をかけ、回転磁化範囲まで超磁歪素子を伸縮させずに伸縮制御を行った場合、図10、図11に示すように、入力電流増加方向および入力電流減少方向ともに線形となり、フィードバックすることによりヒステリシスの無い高精度な伸縮制御が可能となる。なお、図8〜図11の静電容量型変位計の電圧値と変位量の換算は、1V=2.5μmである。
また、超磁歪素子2を二分割し、その分割部分に磁力測定装置、例えば非磁性体からなるガイドに内包された、ホール素子を設置することもできる。これにより、超磁歪素子を通る磁束を正確に計測することが可能となり、正確に伸縮制御することが可能となる。
図12に超微小硬さ測定装置を示すように、この超微小硬さ測定装置31における測定では、この装置の出力ロッド11と同軸線上に圧電型ロードセル22(たとえば、PCB社製:209C12型)が設置されている。さらに圧電型ロードセル22の上部に、ベルコビッチダイアモンド圧子20が上向きに取り付けられている。さらに、φ2mm程度の穴が開いた試料設置板21がベルコビッチダイアモンド圧子20の上部に設置されており、該試料設置板21は、表面平滑板30上に設置されたブロックゲージ29により図の上下方向に位置調整されている。このとき、試料設置板21に開いた穴とベルコビッチダイアモンド圧子20を同軸線上に配置し、ベルコビッチダイアモンド圧子20先端が試料設置板21よりわずかに引っ込んでいるように設置する。測定前の状態はこの装置の伸縮ストロークの最短状態となっている。試料設置板21に測定試料面を下向きに置き、永久磁石で固定する。次に、この装置に電流を流し超磁歪素子2を伸縮させると、試料設置板21の穴よりベルコビッチダイアモンド圧子20先端がでてきて、測定試料面にベルコビッチダイアモンド圧子20を押し込む。この時のベルコビッチダイアモンド圧子20の位置制御は、検出コイル15によるフィードバック制御により一定速度になるように連続して行い、かつ、この時の荷重を圧電型ロードセル22により連続して読みとる。これを、ベルコビッチダイアモンド圧子20の戻り方向にも同様に行い、荷重が0になるまで行う。
これにより、「押し込み量−荷重」特性のグラフが作成でき、連続特性曲線を求めることができるとともに、それぞれの測定点の硬さ値を求めることができる。この特性曲線は材質により異なるので、物性評価の比較検討および、ヤング率等の物性データを得ることが可能となる。
この超微小硬さ測定装置においては、超磁歪素子、出力ロッド、圧電型ロードセル、圧子が同軸線上に並んでおり、非接触部分がない。これらのことは、アッベの原理から見ても精度的に有利であり、かつ、耐振動性能的にも好影響である。
この装置は、例えば、引っ張りバネの付勢手段によるプリストレスが約20kgfかけられているので、超磁歪素子および系全体の剛性は非常に高い。一方、微小押し込み時(数μm以下)の最高荷重は数十グラム以下とごくわずかなので、押し込み時のこの装置の弾性変形は無視できる。よって、「試料に接触してからのこの装置による変位量」=「圧子押し込み量」とみなすことができる。
また、このような測定装置においては、変位を伴うことなく荷重計測が可能な荷重計測装置と組み合わせることが望ましい。そのためには、圧電型ロードセル、電子天秤等の荷重計測装置が好適である。
この超磁歪素子の伸縮制御装置によりナノオーダーの押し込みが可能となるので、圧電型ロードセル等の微小荷重計測装置と併せて用いることにより、厚み数ミクロンオーダーの薄膜等の硬さ測定が可能となる。しかも、「押し込み量−荷重」特性の連続曲線が求まることにより、単に硬さだけにとどまらず、薄膜等の弾性率、ヤング率といった機械的性質を分析することも可能となる。
また、本装置においては、図13に、圧子押し込み量および荷重のゼロ点を通る特性曲線は押し込み時の特性を示し、もう一方の特性曲線は押し込み量減少時(戻り方向)の特性を示すように、両者間にはヒステリシスがある。押し込み時の特性は「弾性成分+塑性成分」両方の硬さをもつが、押し込み量減少時(戻り方向)の特性は「弾性成分」のみの硬さを表す。このように、弾性成分、塑性成分を分けることができるので、単に硬さ値だけにとどまらず、ヤング率等の様々な物性データを得ることが可能となる。
この圧子押し込みユニットに用いている超磁歪素子の伸縮制御装置は、超磁歪素子の物質としての伸縮を利用しているので、振動の影響を全く受けない。これにより、この超微小硬さ測定機の除振台は、簡易なものでも問題は無い。よって、高精度なものを安価に提供することが可能となる。
なお、上記伸縮量の測定(図4、図5、図7〜図11)は、日本エー・ディー・イー株式会社、静電容量型変位計”マイクロセンス3401HR−01”を用いて行った。
本発明に係る微小変位制御装置は、光学機器、精密加工機械、レーザー機器、計測器、その他微小かつ精密な変位や送りが必要なあらゆる分野の機器に適用でき、とくに、通常の方法では精度良く測定することが困難な薄膜等の硬さ測定や、弾性率、クリープ特性、ヤング率等の固有の物性の測定、微小変位センサの校正、微小位置決めステージ等に好適に適用できる。
従来の超磁歪素子の伸縮制御装置の概略構成図である。 超微小硬さ測定機の構成例を示す概略構成図である。 本発明の一実施態様に係る微小変位制御装置の概略構成図である。 超磁歪素子の伸縮量のヒステリシスの一例を示す特性図である。 バイアス磁界がない場合の超磁歪素子の変位量に対する超磁歪素子内部の磁束密度(検出コイル出力電圧)の特性図である。 初磁化曲線である。 バイアス磁界がある場合の超磁歪素子の変位量に対する超磁歪素子内部の磁束密度(検出コイル出力電圧)の特性図である。 回転磁化範囲まで超磁歪素子を伸縮させたときの入力電流増加方向の特性図である。 回転磁化範囲まで超磁歪素子を伸縮させたときの入力電流減少方向の特性図である。 バイアス磁界ありで回転磁化範囲まで超磁歪素子を伸縮させないときの入力電流増加方向の特性図である。 バイアス磁界ありで回転磁化範囲まで超磁歪素子を伸縮させないときの入力電流減少方向の特性図である。 本発明の一実施態様に係る超微小硬さ測定装置の概略構成図である。 本装置による「押し込み量−荷重」特性曲線の一例を示す特性図である。
符号の説明
1 微小変位制御装置
2 超磁歪素子
3 固定端板
4 自由端板
5 電磁石
6 鉄心
7 引っ張りバネ
8 出力板
9 スライドハウジング
10 スライドブッシュ
11 出力ロッド
12 ヨーク板
13 電磁石端部保持板
14 連結板
15 検出コイル
16 永久磁石
20 ベルコビッチダイアモンド圧子
21 試料設置板
22 圧電型ロードセル
23 測定試料
24 粗調移動部
25 門型フレーム
26 電子天秤
27 ベース盤
28 微小変位制御装置
29 ブロックゲージ
30 表面平滑板
31 超微小硬さ測定装置

Claims (14)

  1. 一端が固定され、他端が自由端の超磁歪素子に磁力を作用させることにより前記超磁歪素子を伸縮させて、その自由端の変位を出力させるようにした超磁歪素子の伸縮制御装置であって、非磁性体からなる両端板の間に棒状の超磁歪素子を配するとともに、超磁歪素子の固定端側および自由端側でかつ前記両端板の外側に電磁石による磁力発生手段を同軸線上に配し、少なくとも前記超磁歪素子の自由端側において、電磁石の鉄心と端板の間に、前記超磁歪素子の自由端側に出力される変位よりも大きいギャップを設け、前記超磁歪素子の軸方向の中央部に、超磁歪素子の内部の磁束密度を計測可能な検出用コイルを設け、前記磁力発生手段の電流値を制御することにより、前記超磁歪素子を連続的に伸縮させその変位を超磁歪素子の自由端側に出力させるようにした超磁歪素子の伸縮制御装置を用い、前記超磁歪素子の自由端側に出力される変位により、目標とする微小変位を得るようにしたことを特徴とする微小変位制御装置。
  2. 前記超磁歪素子の両端が、前記両端板に設けられた超磁歪素子と実質的に同径の止まり穴に挿入されている、請求項の微小変位制御装置。
  3. 前記同軸線上に配される両電磁石に対し、該両電磁石の反超磁歪素子側の鉄心を磁気閉回路にするためのヨークが設けられている、請求項1または2の微小変位制御装置。
  4. 電磁石の鉄心およびヨークに電磁軟鉄を磁気焼鈍したものが用いられている、請求項の微小変位制御装置。
  5. 両電磁石のコイルに実質的に同じ値の電流が流される、請求項1〜のいずれかに記載の微小変位制御装置。
  6. 前記超磁歪素子の自由端側から超磁歪素子にプリストレスを与える手段が設けられている、請求項1〜のいずれかに記載の微小変位制御装置。
  7. 前記超磁歪素子に対し、超磁歪素子の軸方向にバイアス磁力をかけることが可能な永久磁石が設けられている、請求項1〜のいずれかに記載の微小変位制御装置。
  8. 前記超磁歪素子の伸縮方向と同方向の極性に前記電磁石によるバイアス磁界が発生するように、前記電磁石があらかじめ通電されている、請求項1〜のいずれかに記載の微小変位制御装置。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の微小変位制御装置における超磁歪素子の伸縮制御装置による前記超磁歪素子の自由端側に出力される変位を、被測定物への押し込み量とし、荷重計測装置を用いて、前記押し込み量に対応する荷重を計測し、被測定物の「押し込み量−荷重」特性および硬さ値を得るようにしたことを特徴とする硬さ等の測定装置。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の微小変位制御装置における超磁歪素子の伸縮制御装置による前記超磁歪素子の自由端側に出力される変位と、対象変位センサの出力とを対照することにより、該対象変位センサの出力の校正あるいは性能の試験を行うようにしたことを特徴とする変位センサの校正装置。
  11. 請求項1〜のいずれかに記載の微小変位制御装置における超磁歪素子の伸縮制御装置による前記超磁歪素子の自由端側に出力される変位により、ステージの位置決めを行うようにしたことを特徴とする位置決めステージ。
  12. 請求項1〜のいずれかに記載の微小変位制御装置を用い、前記超磁歪素子の伸縮制御装置による前記超磁歪素子の自由端側に出力される変位によって被測定物への押し込み量を制御し、荷重計測装置を用いて、前記押し込み量に対応する荷重を計測し、被測定物の「押し込み量−荷重」特性および硬さ値を得ることを特徴とする、硬さ等の測定方法。
  13. 請求項1〜のいずれかに記載の微小変位制御装置を用い、前記超磁歪素子の伸縮制御装置による前記超磁歪素子の自由端側に出力される変位と、対象変位センサの出力とを対照することにより、該対象変位センサの出力の校正あるいは性能の試験を行うことを特徴とする、変位センサの校正方法。
  14. 請求項1〜のいずれかに記載の微小変位制御装置を用い、前記超磁歪素子の伸縮制御装置による前記超磁歪素子の自由端側に出力される変位により、ステージの位置決めを行うことを特徴とする、位置決めステージの制御方法。
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