JP4102602B2 - 自動現像装置の補充液補充方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、赤外線レーザ用ポジ型感光層などの赤外線レーザ用感光層が形成された印刷版を現像処理するときの自動現像装置の補充液補充方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
輪転機等を用いた印刷処理には、平版印刷版(以下「印刷版」とする)が用いられており、画像露光を行った印刷版に対して、自動現像装置等を用いて現像処理を施すことにより、印刷用の刷版が得られる。
【0003】
一方、レーザ光を用いた露光(画像書き込み)に適する画像記録材料としては、特開平7−285275号公報に、クレゾール樹脂のような結着剤と、光を吸収して熱を発生する物質に、キノンジアジドのような熱分解性がありかつ分解しない状態で結着剤の溶解性を実質的に低下させる物質を含むポジ型感光材料が提案されている。
【0004】
このようなポジ型感光材料は、赤外線レーザの露光により、露光部分において、光を吸収して熱を発生する物質が発熱し、露光部分の溶解性を発現させるものであるが、発生された熱が支持体であるアルミニウムに吸熱されてしまうために熱効率が低く、現像工程におけるアルカリ現像処理液に対する溶解性は、満足しうるものではない。
【0005】
このために、現像液のアルカリ濃度を上げた現像能力の高い液を用いたオーバー条件で現像処理し、露光部分の溶解性を高める方法が考えられる。
【0006】
しかし、ポジ型感光材料のようなヒートモード刷版は、オーバー条件下では、画像部分のアルカリ現像液に対する耐溶解性が低く、感光層表面の僅かな傷も溶解されてしまうという問題がある。
【0007】
このような問題を解決する手段として、特開平11−327160号公報、特開平11−338126号公報、特開平11−327163号公報等では、アルカリ現像液に界面活性剤を感光層の溶解抑制剤として添加したものを用いる技術が提案されている。この提案では、高pHのアルカリ現像液を用いても画像部分の損傷が少なく、コントラストに優れた画像形成が可能となる。
【0008】
一方、通常の印刷版の現像処理は、自動現像装置によって連続的に行われ、初期には、設計値通りの画像形成が可能となる。しかし、経時により現像液の活性が低下したり、現像液中の界面活性剤の活性が低下してしまうことにより、所望のコントラストが得られなくなってしまう。
【0009】
一般的に、現像性の変動の調整は、現像槽中に補充液を添加することにより行われるが、補充液として現像液と同じ組成のものを添加しても、現像性の変動を防止することは困難である。すなわち、現像液中の界面活性剤は、現像される版面上の感光層と相互作用を形成するのみならず、現像液中に溶解した非画像部分の高分子材料とも反応して消耗される。一方、現像液は現像処理の他、空気中の炭酸ガスに接触することによりpHが低下するため、一定濃度の補充液を添加するのみでは、現像性と画像部分の保護性のバランスを取ることができなくなっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、デジタルデータに基づいて走査露光される印刷版を現像処理するときに、非画像部分のアルカリ現像液に対する溶解性を確保しつつ、画像部分のアルカリ現像液に対する耐溶解性を維持すると共に外傷に対する現像安定性に優れ、印刷版を連続的に一定品質となるように現像処理することができる自動現像装置の補充液補充方法を提案することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、支持体上に、水不溶性のアルカリ可溶性高分子化合物及び光を吸収して発熱する化合物を含有する赤外線レーザ用感光層が形成された印刷版を、現像槽に現像液として貯留しているアルカリ現像液によって現像処理しながら、所定のタイミングで現像槽へ補充液を補充する自動現像装置の補充液補充方法であって、電導度検出手段によって検出される前記現像槽内の前記アルカリ現像液の電導度が、現像槽内のアルカリ現像液中の現像補充液置換率、全補充液中の炭酸ガス疲労補充液比率又は処理疲労補充液比率の何れか少なくとも一つに基づいて算出して設定した現像槽内の現像液の電導度目標値を下回ったときに、アルカリ現像補充液を補充することにより現像槽内のアルカリ現像液の電導度を所定範囲に保つと共に、前記現像槽へ引き入れられる前記印刷版が通過する挿入口の近傍に設けた版検出手段によって検出する印刷版の通過時間から算出した印刷版の処理面積に基づいた量の溶解抑制剤を含む水溶液を前記現像槽へ補充することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、現像槽内のアルカリ現像液の電導度を測定し、この電導度が予め演算して設定している電導度目標値を下回ったときに、電導度が電導度目標値を上回るようにアルカリ現像補充液を補充することにより、空気中の炭酸ガスに接触することにより消費されるアルカリ現像液中のアルカリ成分及び印刷版の処理量に応じて消費されるアルカリ現像液中のアルカリ成分を補充して、現像槽内のアルカリ現像液の電導度を電導度目標値によって定まる所定範囲に維持する。
【0013】
一般に、アルカリ現像液の電導度は、アルカリ現像液のインピーダンス値によって定まり、インピーダンスが上昇すると電導度は低下する。このインピーダンスは、印刷版の処理による処理疲労、空気中の炭酸ガスと接触することによる経時的な炭酸ガス疲労(経時疲労)により上昇する。
【0014】
ここから、現像槽内のアルカリ現像液の電導度が予め適正に設定した電導度目標値を上回るようにアルカリ現像補充液を補充することにより、印刷版の処理による処理疲労及び空気中の炭酸ガスによる経時的な炭酸ガス疲労に対する適正なアルカリ成分の補充を行うことができる。
【0015】
また、現像槽内のアルカリ現像液のインピーダンスは、現像槽に最初に貯留するアルカリ現像液(仕込み液)より現像槽へ補充する補充液(アルカリ現像補充液)が低く、補充液を補充することにより、現像槽内のアルカリ現像液は、補充液のインピーダンス値に近づく。すなわち、現像槽内のアルカリ現像液が補充液に置き換わる比率に応じてインピーダンス値が変化する。
【0016】
したがって、本発明では、現像槽に入れられた仕込み液が補充したアルカリ現像補充液に置き換わった比率である液置換率に基づいて演算ないし補正することが好ましく、これにより、現像液のインピーダンス値がしきい値を越えたとき(電導度が電導度目標値に達したとき)に、アルカリ現像補充液を補充することにより、アルカリ現像液中のアルカリ濃度の低下を防止して、現像槽内のアルカリ現像液の液活性を新液(仕込み液)と同等の状態に保つことができる。
【0017】
このようなインピーダンス値は、実験などによって求めることができる。例えば、
Xn:現像補充液置換率(ただしX0=0)
Y :補正インピーダンス値
X :測定したインピーダンス値
a :現像補充液置換率とインピーダンス値の傾き
b :初期のインピーダンス値
c :最終のインピーダンス値(仕込み液が補充液に完全に置換されたときのインピーダンス値)
A :初期の現像液量
B :1回の補充液の補充量
n :補充回数
としたときに、液置換率である現像補充液液置換率Xnは、
Xn=(Xn−1・A+B)/(A+B)
となり、補正したインピーダンス値Yは、
Y=X−(−a・Xn+b−c)となる。
【0018】
ここから、液置換率に応じたしきい値を設定し、実際の現像液のインピーダンス値がしきい値となるようにアルカリ現像液とこのアルカリ現像液を所定比率で希釈する希釈水をアルカリ補充液として補充すれば良い。すなわち、液置換率に応じた電導度の電導度目標値を設定し、アルカリ現像液の電導度がこの電導度目標値を下回ったときに、アルカリ現像補充液を補充すれば良い。
【0019】
これにより、現像槽内のアルカリ現像液の液活性を新液と同等にできると共に高アルカリに維持することができる。なお、変数b、cは、現像液の種類、CO2濃度や水蒸発等の雰囲気の変化に応じて設定することが好ましい。
【0020】
なお、アルカリ現像補充液は、アルカリ現像補充原液とこのアルカリ現像補充原液を所定比率で希釈する希釈水を分けて補充し、現像槽内で混合するようにしたものであっても良く、また、予めアルカリ現像補充原液と希釈水によって調製したものであっても良い。
【0021】
一方、本発明では、印刷版の処理面積を算出して、この処理面積に応じて溶解抑制剤(溶解抑制剤水溶液)を補充する。すなわち、溶解抑制剤は、主に印刷版の処理によって消費される。ここから、本発明では、印刷版の処理面積を算出し、溶解抑制剤を含む水溶液を、この処理面積に応じて補充する。
【0022】
このとき、挿入口の近傍に設けた版検出手段によって、印刷版の通過時間を検出することにより処理面積を算出する簡単な構成で、的確な溶解抑制剤水溶液の補充が可能となるようにしている。
【0023】
このような本発明では、前記現像槽内のアルカリ現像液の電導度が電導度目標値を下回ったときに予め設定している一定量の前記アルカリ現像補充液を補充すると共に、前記アルカリ現像補充液を補充してからの経過時間を計測し、該計測時間と前記一定のアルカリ現像補充液量とから、前記現像槽内のアルカリ現像液の炭酸ガス疲労の補償に充当されるアルカリ現像補充液量である炭酸ガス疲労補充液量の前記アルカリ現像補充液量に対する比である炭酸ガス疲労補充液比率を算出し、さらに、この炭酸ガス疲労補充液比率と前記現像槽内に投入済みのアルカリ現像補充液量と新たに補充するアルカリ現像補充液量とから炭酸ガス疲労補充液の置換率である炭酸ガス疲労補充液置換率と、印刷版の処理量に対するアルカリ現像液の疲労である処理疲労の補償に充当されるアルカリ現像補充液量である処理疲労補充液量の置換率としての処理疲労補充液置換率とを算出し、電導度目標値を、炭酸ガス疲労補充液置換率と処理疲労補充液置換率で補正して設定することができる。
【0024】
また、本発明では、前記現像槽内の現像液の電導度が電導度目標値を下回ったときに予め設定している一定量の前記アルカリ現像補充液を補充すると共に、前記印刷版の単位時間当たりの処理量を測定し、単位時間当たりの処理量から算出される単位時間当たりの印刷版の処理によって必要となる予め設定された前記アルカリ現像補充液量と前記一定のアルカリ現像補充液量との差異から前記現像槽内のアルカリ現像液の炭酸ガス疲労の補償に充当されるアルカリ現像補充液量である炭酸ガス疲労補充液量の前記アルカリ現像補充液量に対する比である炭酸ガス疲労補充液比率を算出し、さらに、この炭酸ガス疲労補充液比率と前記現像槽内に投入済みのアルカリ現像液量と新たに補充するアルカリ現像補充液量とから炭酸ガス疲労補充液の置換率である炭酸ガス疲労補充液置換率と、印刷版の処理量に対するアルカリ現像液の疲労である処理疲労の補償に充当されるアルカリ現像補充液量である処理疲労補充液量の置換率としての処理疲労補充液置換率とを算出し、電導度目標値を、炭酸ガス疲労補充液置換率と処理疲労補充液置換率で補正して設定することができる。
【0025】
ここでは、アルカリ現像補充液を補充してから次にアルカリ現像補充液の補充が必要となるまでの時間又は単位時間当たりの印刷版の処理量から炭酸ガス疲労補充液置換率及び処理疲労補充液置換率を算出して、炭酸ガス疲労補充液置換率と処理疲労補充液置換率とに基づいて、電導度目標値を補正する。
【0026】
すなわち、処理疲労と炭酸ガス疲労との比を配慮して、アルカリ現像補充液を補充するタイミングを定める電導度目標値を、適正に自動設定できるようにする。これにより、アルカリ現像液の活性度を長期にわたって良好な状態に維持することができる。
【0027】
なお、単位時間当たりの印刷版の処理量は、アルカリ現像液による印刷版の処理量を適性に示すものであれば、処理面積を用いても良く、また、印刷版の処理枚数を用いても良い。
【0028】
さらに、このような本発明では、前記電導度目標値を、アルカリ現像補充液を補充してからの経過時間に基づいて補正しながら、補正した電導度目標値と前記電導度検出手段によって計測した電導度に基づいて前記アルカリ現像補充液を補充することがより好ましい。
【0029】
すなわち、印刷版の処理量の多い時には、アルカリ現像液のインピーダンス値も変化し、アルカリ現像補充液の補充量も多くなるので、アルカリ現像液が疲労するのを抑えることができるが、装置の稼動停止中や印刷版の処理量が少ない時には、アルカリ現像補充液の補充量が少なくなり、空気中の炭酸ガスによる現像液の疲労の割合が大きくなる。
【0030】
このようなときに、アルカリ現像補充液の補充がなされるように電導度目標値を設定することにより、現像液の疲労を回復させ、現像感度を安定化させることができる。なお、現像液中の水分の蒸発等が生じたときには、アルカリ現像液が濃縮されるので、電導度が上昇する。このときには、現像槽に水を補充して電導度を低下させることにより、電導度が上昇してしまうのを防止して、現像感度の安定化を図るようにしても良い。
【0031】
また、本発明では、溶解抑制剤を含む水溶液の補充に適用する印刷版の処理面積を、前記挿入口から挿入される前記印刷版の通過時間を計測して、該通過時間と前記印刷版の搬送速度から印刷版の搬送方向に沿った長さを算出し、この搬送方向に沿った長さと、搬送方向に沿った長さに基づいて設定されている搬送方向と直交する方向に沿った長さから得られる版面積から算出することが好ましく、これにより、簡単に適正な量の溶解抑制剤を含む水溶液の補充を行うことができる。
【0032】
したがって、本発明では、赤外線レーザ用感光層が形成された印刷版をアルカリ現像液によって連続的に現像処理したときは勿論、長期にわたって現像処理したときにも、コントラストが優れ、画像部分の損傷を生じさせることがない。
【0035】
さらに、本発明の自動現像装置においては、前記印刷版の搬送方向に沿った長さである縦寸法に対する搬送方向と直交する方向に沿った長さである横寸法を記憶する記憶手段を含み、前記処理面積演算手段が、前記印刷版の通過時間から得られる縦寸法に基づいて横寸法を設定して、処理面積を演算するものであっても良く、このときに、前記記憶手段が、前記印刷版の版面積に対する画像部分の面積の比率である画像面積率又は非画像部分の面積の比率である非画像面積率を記憶し、前記処理面積演算手段が前記版面積と前記画像面積率又は非画像面積率に基づいて処理面積を算出するものであっても良い。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1には、本実施の形態に適用した自動現像装置10の概略構成を示している。この自動現像装置10は、図示しない露光装置によって画像露光された印刷版(以下「PS版12」と言う)の現像処理に適用される。この自動現像装置10では、一例として、アルミニウム等によって形成した薄板の支持体を用い、この支持体の一方の面に感光層を形成した片面タイプのPS版12の処理を行う。
【0037】
自動現像装置10は、PS版12を現像液に浸漬して現像処理する現像部14と、現像処理の終了したPS版12の表面に洗浄水を供給して、PS版12の表面を洗浄する水洗部16と、PS版の表裏面にガム液等の不感脂化処理液を供給して不感脂化処理を行う不感脂化処理部18と、PS版12の表裏面に乾燥風を吹き付けて乾燥処理することにより不感脂化処理液による保護膜を形成する乾燥部20と、を備えている。
【0038】
自動現像装置10には、処理タンク22が設けられている。この処理タンク22には、現像部14、水洗部16及び不感脂化処理部18となる位置に、現像液を貯留する現像槽24、水洗水を貯留する水洗槽26及び不感脂化処理液としてガム液を貯留する不感脂化処理槽28が形成され、不感脂化処理槽28の下流側に乾燥部20の設置スペースが設けられると共に、現像槽24の上流側に挿入部34となるスペースが形成されている。
【0039】
この処理タンク22の周囲を覆う外板パネル30には、自動現像装置10へのPS版12の挿入側(図1の紙面左側)にスリット状の挿入口32が形成されている。また、自動現像装置10には、処理タンク22の上部及び乾燥部20の上部を覆うカバー36、38が設けられている。挿入口32側のカバー36は、処理タンク22の挿入部34から水洗部16の上部を覆い、カバー38は、水洗部16からから乾燥部20の上部を覆うように配置される。
【0040】
また、カバー36には、現像部14と水洗部16との間にPS版12を挿入するためのリエントリー用の挿入口(副挿入口)40が設けられている。その副挿入口40は、現像部14での処理を除く自動現像装置10での処理を行うときに、PS版12が挿入可能となるようにしている。
【0041】
自動現像装置10は、挿入口32と現像部14の間が挿入部34となっており、この挿入部34には、ゴム製の搬送ローラ対42が配設されている。画像露光されたPS版12は、挿入口32から矢印A方向に沿って挿入されることにより、搬送ローラ対42の間に送り込まれる。
【0042】
搬送ローラ対42は、回転駆動されることにより、このPS版12を挿入口32から引き入れながら、水平方向に対して約15°から31°の範囲の角度で現像部14の現像槽24へ送り込む。なお、PS版12は、自動現像装置10で処理されるときに、感光層が上方へ向けられた状態で挿入口32から挿入される。
【0043】
処理タンク22に形成されている現像槽24は、底部中央が下方へ向けて突出された略山形状となっており、現像槽24内には、PS版12の搬送路の上流部となる挿入部34側に搬送ローラ対48が配置され、PS版12の搬送路の中央部及び下流部に、搬送ローラ対50、52がそれぞれ配置されている。
【0044】
また、現像槽24内には、搬送ローラ対48、50の間にガイド板44が配置され、搬送ローラ対50、52の間に、ガイド板46とこのガイド板46に対向するブラシローラ58及び搬送ローラ60が配置され、搬送ローラ対48と搬送ローラ対52の間で、PS版12を現像液に浸漬しながら略U字状に案内搬送する搬送路が形成されている。
【0045】
搬送ローラ対42によって現像槽24へ送り込まれたPS版12は、搬送ローラ対48によって現像液中に引き入れられて、ガイド板44、46の上面に沿って搬送されて現像液に浸漬されて現像処理される。このとき、ブラシローラ58は、PS版12の表面に接触しながら所定方向へ回転駆動することにより、画像露光によって不要となった感光層を除去し、PS版12の現像処理を促進する。
【0046】
また、現像槽24内には、ガイド板44、46のそれぞれの下方にスプレーパイプ54、56が設けられており、このスプレーパイプ54、56に、現像槽24内の現像液が供給されるようになっている。これにより、現像液の処理性能が均一となるように、現像槽24内の現像液の循環及び攪拌が行われる。なお、スプレーパイプ54は、PS版12の搬送幅方向に沿って現像液を噴出し、スプレーパイプ56は、PS版12の搬送方向下流側へ向けて現像液を噴出するようにして、PS版12の表面近傍の液置換を効率的に行うようにしているが、スプレーパイプ54、56からの現像液の噴出方向はこれに限るものではない。
【0047】
搬送ローラ対52は、例えば外周部がゴム製のローラによって形成されており、PS版12を挟持して現像槽24から引き出しながら、水洗槽26へ送り込む。このとき、搬送ローラ対52は、PS版12の表裏面に付着している現像液を絞り落とすようになっている。
【0048】
水洗部16には、水洗槽26の上方に配設された搬送ローラ対62、64によってPS版12の搬送路が形成されており、PS版12は、搬送ローラ対62、64に挟持されて、水洗槽26に貯留されている水洗水の液面上方を略水平状態で搬送される。
【0049】
水洗部16には、搬送ローラ対62、64の間に、PS版12の搬送路を挟んで上下に対で、スプレーパイプ66、68が設けられている。スプレーパイプ66、68は軸線方向がPS版12の幅方向(搬送方向と直交する方向)に沿って配置され、PS版12の搬送路に対向する複数の吐出孔(図示省略)が、軸線方向に沿って形成されている。
【0050】
このスプレーパイプ66、68には、水洗槽26内に貯留している水洗水が供給されるようになっており、これにより、水洗部16内を搬送されるPS版12の表裏面に水洗水が噴出され、PS版12の表裏面から現像液が洗い落とされる。また、PS版12に供給された水洗水は、PS版12が搬送ローラ対64に挟持されて送り出されるときに、搬送ローラ対64によって絞り落とされ、水洗槽26内に回収される。なお、スプレーパイプ66、68からの水洗水の噴出方向は、スプレーパイプ66がPS版12の搬送方向上流側で、スプレーパイプ68がPS版12の搬送方向下流側としているが、これに限定されず他の方向であっても良い。
【0051】
不感脂化処理部18には、不感脂化処理槽28の上方に搬送ローラ対70が設けられ、PS版12は、搬送ローラ対64によって搬送ローラ対70へ向けて搬送されることにより、不感脂化処理槽28内に不感脂化処理液として貯留されているガム液の液面上方を搬送される。また、搬送ローラ対70は、このPS版12を挟持して、不感脂化処理部18から送り出す。
【0052】
不感脂化処理部18には、PS版12の搬送路の上方側にスプレーパイプ72が設けられ、搬送路の下方側にスプレーパイプ74が設けられている。スプレーパイプ72、74は、長手方向(軸線方向)がPS版12の幅方向に沿い、PS版12の幅方向に沿って複数の吐出孔が形成されている。
【0053】
このスプレーパイプ72、74には、不感脂化処理槽28内に貯留されているガム液が供給されるようになっており、スプレーパイプ72、74は、このガム液をPS版12の表裏面へ向けて吐出する。これにより、PS版12には、表裏面にガム液が塗布される。搬送ローラ対70は、PS版12の表裏面から余剰となったガム液を絞り落としながら送り出す。これにより、PS版12の表裏面にガム液の薄膜が形成される。
【0054】
なお、PS版12の表裏面から絞り落とされたガム液は、不感脂化処理槽28内に回収される。また、スプレーパイプ72からの処理液の吐出方向は、PS版12の搬送方向下流側に限らず、他の方向であっても良く、また、整流板を設け、この整流板へ向けて吐出した処理液を、整流板でPS版12の幅方向に沿って均一に拡散させながら、PS版12の表面に流し落として塗布するようにしてもよい。さらに、スプレーパイプ74に換えて、吐出した処理液にPS版12が接触しながら移動することによりPS版12の裏面に処理液を塗布する吐出ユニット等を用いても良い。
【0055】
不感脂化処理部18には、搬送ローラ対70の上方に洗浄スプレー76が設けられ、搬送ローラ対70の上方のローラに接触しながら回転する洗浄ローラ78が設けられており、予め設定している所定のタイミングで、この洗浄スプレー76から搬送ローラ対70の上方のローラと洗浄ローラ78の接触位置に、整流板80を介して洗浄水を滴下することにより、洗浄水を搬送ローラ対70の上方のローラの周面に均一に拡散させて、搬送ローラ対70の上下のローラの周面から処理液を洗い流し、ローラの周面に付着した処理液(ガム液)中の成分が固着して、PS版12を損傷させてしまうのを防止するようにしている。
【0056】
自動現像装置10には、不感脂化処理部18と乾燥部20の間に、仕切り板82が設けられている。この仕切り板82は、PS版12の搬送路の上方に、処理タンク22の上端と対向するように配置されており、これにより、不感脂化処理部18と乾燥部20の間にスリット状の挿通口84が形成されている。なお、仕切り板82は、挿通口84の乾燥部20側に溝状の通気路が形成された二重構造となっており、乾燥部20内の空気がこの通気路内に入り込むことにより、挿通口84から不感脂化処理部18内に入り込んでしまうのを防止している。
【0057】
乾燥部20内には、挿通口84の近傍に、PS版12を支持する支持ローラ86が配設され、また、PS版12の搬送方向の中央部及び、排出口88の近傍には、搬送ローラ対90及び搬送ローラ対92が配設されている。PS版12は、支持ローラ86及び搬送ローラ対90、92によって乾燥部20内を搬送された後に、排出口88から排出される。
【0058】
支持ローラ86と搬送ローラ対90との間及び、搬送ローラ対90と搬送ローラ対92との間には、PS版12の搬送路を挟んで対で噴出しダクト94、96が配設されている。噴出しダクト94、96は、長手方向がPS版12の幅方向に沿って配設されており、PS版12の搬送路に対向する面にスリット孔98が設けられている。
【0059】
噴出しダクト94、96は、図示しない乾燥風発生手段によって発生された乾燥風が、長手方向の一端側から供給されると、この乾燥風をスリット孔98からPS版12の搬送路へ向けて吐出してPS版12に吹き付け、PS版12の表裏面の乾燥処理を行う。
【0060】
一方、自動現像装置10には、下面が現像槽24に貯留される現像液の液面より下方となるように遮蔽蓋100が配置され、現像槽24内の現像液の液面が空気と接触する面積を狭めている。また、カバー36の副挿入口(リエントリー用の挿入口)40には、図示しない遮蔽部材によって閉塞されており、この遮蔽部材によって外気が現像部14内に入り込むのを防止している。
【0061】
自動現像装置10では、現像槽24内の現像液の液面を、遮蔽蓋100で覆うことにより、現像槽24内の現像液が、空気中の炭酸ガス等と接触してしまうことによる劣化や水分の蒸発を抑えるようにしている。なお、遮蔽蓋100及び処理タンク22と搬送ローラ対48や搬送ローラ対52等の間にシリコンゴム等によって形成したブレード状の遮蔽部材(図示省略)を設けて、現像槽24内の現像液が新鮮な外気と接触したり、現像液中の水分が蒸発してしまうのを防止してもよく、より好ましい。
【0062】
一方、図2には、自動現像装置10の配管系統の概略を示している。自動現像装置10には、循環ポンプ102、104、106が設けられている。循環ポンプ102の入側には、配管108の一端が接続しており、この配管108の他端が、現像槽24の底部に開口している。また、循環ポンプ102の出側には、配管110の一端が接続し、この配管110の他端がスプレーパイプ54、56のそれぞれに接続している。
【0063】
循環ポンプ104は、入側に接続している配管112が水洗槽26の底部に開口し、出側に接続している配管114がスプレーパイプ66、68に接続している。また、循環ポンプ106は、入側に接続している配管116が不感脂化処理槽28の底部に開口し、出側に接続している配管118がスプレーパイプ72、74に接続している。
【0064】
これにより、自動現像装置10では、循環ポンプ102、104、106が作動することにより、現像槽24内の現像液、水洗槽26内の水洗水及び、不感脂化処理槽28内のガム液の循環がなされると共に、PS版12の表裏面へ水洗水及びガム液の供給がなされる。
【0065】
この現像槽24内には、ヒータ120が設けられ、このヒータ120によって現像液を加熱しながら循環ポンプ102によって循環することにより、現像液が、PS版12を最適に処理するように設定されている所定の温度範囲に温調される。
【0066】
また、配管110には、電導度検出手段として現像液の電導度を測定する電導度センサ122が取り付けられており、自動現像装置10では、電導度センサ122によって現像液の電導度の計測が可能となっている。
【0067】
一方、自動現像装置10は、補充液タンク124A、124B、126及び給水タンク128を備えている。補充液タンク124A、124Bには、現像槽24に貯留する現像液に対する補充液(現像補充液)が収容され、補充液タンク126には、不感脂化処理槽28に貯留するガム液の補充液(ガム補充液)が収容される。また、給水タンク128には、水洗槽26に貯留される水洗水の補充、現像槽24へ供給する現像補充液及び不感脂化処理槽28へ補充するガム補充液の希釈用等に用いる水が収容される。
【0068】
また、自動現像装置10は、補充ポンプ130、132、192及び給水ポンプ134、136、138を備えており、補充ポンプ130は、入側に接続している配管140が補充液タンク124A内に開口し、出側に接続している配管142の他端が現像槽24の上部に現像槽24内へ向けて開口しており、補充ポンプ192は、入側に接続している配管194が補充液タンク124B内に開口し、出側に接続している配管196が現像槽24の上部で現像槽24内に向けて開口している。
【0069】
また、補充ポンプ132は、入側に接続している配管146が補充液タンク126内に開口し、出側に接続している配管148が不感脂化処理槽28の上部で不感脂化処理槽28内へ向けて開口している。
【0070】
これにより、補充ポンプ130が作動することにより、補充液タンク124A内の現像補充液が現像槽24に供給され、補充ポンプ192が作動することにより、補充液タンク124B内の補充液が現像槽24内に供給される。また、補充ポンプ132が作動することにより、補充液タンク126内のガム補充液が不感脂化処理槽28内に供給される。
【0071】
給水タンク128内には、配管152の一端が開口し、この配管152の他端側が分岐されて、給水ポンプ134、136、138のそれぞれの入側に接続している。また、給水ポンプ134は、出側に接続している配管154が現像槽24の上部で現像槽24内に向けて開口し、給水ポンプ136は、出側に接続している配管158が水洗槽26の上部で水洗槽26内へ向けて開口しており、給水ポンプ138は、出側に接続している配管162が不感脂化処理槽28の上部で不感脂化処理槽28内へ向けて開口している。
【0072】
これにより、現像槽24及び不感脂化処理槽28には、給水ポンプ134、138の作動によって、現像補充液、ガム補充液のそれぞれを所定比率で希釈する水が供給される。また、水洗槽26には、給水ポンプ136の作動によって水洗水が補充される。
【0073】
なお、現像槽24、水洗槽26及び不感脂化処理槽28のそれぞれには、オーバーフロー管等の図示しないオーバーフロー手段が設けられており、補充液が補充されることにより余剰となった処理液(現像液、水洗水及びガム液)がオーバーフローして排出されるようにしている。
【0074】
自動現像装置10には、洗浄ポンプ166が設けられ、配管152から分岐された配管が入側に接続している。また、洗浄ポンプ166は、出側に接続している配管168が洗浄スプレー76に接続しており、自動現像装置10では、洗浄ポンプ166を作動させて、洗浄スプレー76から搬送ローラ対70へ、洗浄液として水を供給する。このとき、搬送ローラ対70を回転駆動することにより、洗浄スプレー76から供給される水によって搬送ローラ対70の周面を洗浄する。なお、搬送ローラ対70を洗浄した水は、不感脂化処理槽28内に回収されるようになっており、この水を、ガム補充液の希釈水として用いるようにしても良い。
【0075】
給水タンク128には、フロートバルブ170が設けられ、給水タンク128内の水の液面変化に応じて水道水等が供給されるようにしている。なお、自動現像装置10としては、給水ポンプを設けて、フロートバルブ170の検出する液面変化に応じて、装置外に設けている水タンクから給水タンク128に水を供給するものであっても良い。
【0076】
また、自動現像装置10では、薬剤ポンプ172及び薬剤タンク174の装着が可能となっており、薬剤ポンプ172と薬剤タンク174を装着し、薬剤ポンプ172の入側に接続した配管176を薬剤タンク174内に開口すると共に、出側に接続する配管178を給水タンク128内に開口させることにより、給水タンク128へ薬剤タンク174内の水垢防止剤等の薬剤の供給が可能となる。
【0077】
なお、自動現像装置10には、給水ポンプ134に比較して吐出能力の高い仕込み用ポンプ190が設けられており、この仕込み用ポンプ190を用いることにより、現像槽24内が空の状態から現像液を調製する所謂仕込みを、短時間で行うことができるようになっている。
【0078】
また、自動現像装置10の処理タンク22には、乾燥部20内に乾燥ファン180が取り付けられるようになっており、この乾燥ファン180によって吸引した空気を、図示しないヒータ等によって加熱するなどして生成した乾燥風を、噴出しダクト94、96へ供給するようにしている。
【0079】
一方、図3に示すように、自動現像装置10に設けられている制御部200は、図示しないマイクロコンピュータを備え、自動現像装置10の作動を制御するコントローラ202が設けられている。
【0080】
このコントローラ202には、自動現像装置10のオン/オフ操作や各種設定等を行う操作パネル204と共に循環ポンプ102〜106、補充ポンプ130、132、192、給水ポンプ134〜138、洗浄ポンプ166、薬剤ポンプ172、仕込みポンプ190、ヒータ120、電導度センサ122が接続されている。
【0081】
また、コントローラ202には、PS版12の搬送用及びブラシローラ58の駆動用となる駆動モータ206が接続され、乾燥ファン180と共にヒータ、温度センサ等を含む乾燥風発生手段208が接続されている。
【0082】
一方、図1に示すように、自動現像装置10には、挿入口32の近傍に版検出手段として、版検出センサ210が設けられている。この版検出センサ210は、挿入口32に送り込まれるPS版12が対向しているか否かによってオン/オフが切り替わる。
【0083】
自動現像装置10には、PS版12が所謂センター通しで挿入されるようになっており、版検出センサ210は、PS版12の幅方向の寸法が異なっても、挿入口32から挿入されるPS版12を検出できるように、PS版12の幅方向の中間部に対向するように設けられている。
【0084】
図3に示すように、コントローラ202には、この版検出センサ210が接続しており、コントローラ202は、この版検出センサ210によってPS版12ン挿入を検出するようになっている。
【0085】
これにより、コントローラ202は、操作パネル204のスイッチ操作によって自動現像装置10がオンされると、PS版12の処理を可能とする立ち上げ処理を行い、立ち上げ処理が終了してPS版12の処理可能となっている状態で、版検出センサ210が挿入口32から挿入されるPS版12を検出すると、駆動モータ206を作動させて、搬送ローラ対42等の搬送ローラ及びブラシローラ58を駆動してPS版12の搬送を開始する。
【0086】
これと共に、コントローラ202は、版検出センサ210よるPS版12の先端検出のタイミングに基づいて、循環ポンプ104、106を作動させることにより、PS版12が水洗部16を通過するタイミングに合わせてスプレーパイプ66、68から洗浄水を噴出し、不感脂化処理部18を通過するタイミングに合わせてスプレーパイプ72、74からガム液を吐出する。
【0087】
また、コントローラ202は、乾燥風発生手段208に設けている図示しない温度センサによって乾燥風の温度を検出しながら乾燥ファン180及びヒータ(図示省略)等を作動させることにより、PS版12の表面に所定温度の乾燥風を吹き付けるようにしている。
【0088】
ところで、PS版12には、赤外線レーザ用ポジ型感光層が形成されており、自動現像装置10では、このPS版12をアルカリ現像液によって現像処理すると共に、アルカリ現像補充液の原液とこのアルカリ現像補充液の原液を所定比率で希釈する希釈水及び溶解抑制剤水溶液を補充液として添加(補充)するようにしている。
【0089】
このとき、自動現像装置10では、補充液タンク124Aにアルカリ現像補充液の原液(以下「アルカリ現像補充液」とする)を貯留し、補充液タンク124Bに溶解抑制剤を含む水溶液(溶解抑制剤水溶液)を貯留するようにしている。
【0090】
ここで、まず、自動現像装置10で処理するPS版12の感光層を説明する。なお、支持体上に感光層を形成するための組成物を感光性組成物とする。また、PS版12には、感光層の他、更に必要に応じて、保護層、中間層、バックコート層などのその他の層を設けたものであっても良い。
【0091】
〔感光層〕
赤外線レーザ用ポジ型感光層に含まれる感光性組成物は、水不溶性でかつアルカリ可溶性高分子化合物、及び、光を吸収して発熱する化合物を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有させてなる。
【0092】
〔水不溶性、且つ、アルカリ可溶性高分子化合物〕
本実施の形態のPS版12に用いられるアルカリ可溶性高分子化合物は、従来公知のものであれば特に制限はないが、フェノール性水酸基、スルホンアミド基、活性イミド基のいずれかの官能基を分子内に有する高分子化合物であることが好ましく、以下のものが例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0093】
フェノール性水酸基を有する高分子化合物としては、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール/キシレノール混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂やピロガロールアセトン樹脂が挙げられる。
【0094】
フェノール性水酸基を有する高分子化合物としてはこの他に、側鎖にフェノール性水酸基を有する高分子化合物を用いることが好ましい。側鎖にフェノール性水酸基を有する高分子化合物としては、フェノール性水酸基と重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げられる。
【0095】
フェノール性水酸基を有する重合性モノマーとしては、フェノール性水酸基を有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、又はヒドロキシスチレン等が挙げられる。
【0096】
具体的には、N−(2−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、m−ヒドロキシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシフェニルアクリレート、o−ヒドロキシフェニルメタクリレート、m−ヒドロキシフェニルメタクリレート、p−ヒドロキシフェニルメタクリレート、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート等を好適に使用することができる。
【0097】
かかるフェノール性水酸基を有する樹脂は、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0098】
更に、米国特許第4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体を併用してもよい。
【0099】
スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性高分子化合物としては、スルホンアミド基を有する重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げられる。
【0100】
スルホンアミド基を有する重合性モノマーとしては、1分子中に、窒素原子上に少なくとも1つの水素原子が結合したスルホンアミド基−NH−SO2−と、重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーが挙げられる。その中でも、アクリロイル基、アリル基、又はビニロキシ基と、置換或いはモノ置換アミノスルホニル基又は置換スルホニルイミノ基とを有する低分子化合物が好ましい。
【0101】
このような化合物としては、例えば、下記一般式(I)〜一般式(V)で示される化合物が挙げられる。
【0102】
【化1】
Figure 0004102602
【0103】
式中、X1及びX2は、それぞれ−O−又は−NR7−を示す。R1及びR4は、それぞれ水素原子又は−CH3を表す。R2、R5、R9、R12及びR16は、それぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。R3、R7及びR13は、水素原子、それぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。また、R6及びR17は、それぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。R8、R10及びR14は、水素原子又は−CH3を表す。R11及びR15は、それぞれ単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。Y1及びY2は、それぞれ単結合又は−CO−を表す。
【0104】
具体的には、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
【0105】
活性イミド基を有するアルカリ可溶性高分子化合物は、下記式で表される活性イミド基を分子内に有するものが好ましく、この高分子化合物としては、1分子中に、下記式で表わされる活性イミド基と、重合可能な不飽和結合をそれぞれ一つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げられる。
【0106】
【化2】
Figure 0004102602
【0107】
このような化合物としては、具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
【0108】
更に、本発明のアルカリ可溶性高分子化合物としては、前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、及び活性イミド基を有する重合性モノマーのうちの2種以上を重合させた高分子化合物、或いはこれら2種以上の重合性モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物を使用することが好ましい。
【0109】
フェノール性水酸基を有する重合性モノマーに、スルホンアミド基を有する重合性モノマー及び/又は活性イミド基を有する重合性モノマーを共重合させる場合には、これら成分の配合重量比は50:50から5:95の範囲にあることが好ましく、40:60から10:90の範囲にあることが特に好ましい。
【0110】
アルカリ可溶性高分子化合物が前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、又は活性イミド基を有する重合性モノマーと、他の重合性モノマーとの共重合体である場合には、アルカリ可溶性を付与するモノマーは10モル%以上含むことが好ましく、20モル%以上含むものがより好ましい。共重合成分が10モル%より少ないと、アルカリ可溶性が不十分となりやすく、現像ラチチュードの向上効果が十分達成されないことがある。
【0111】
前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、又は活性イミド基を有する重合性モノマーと共重合させるモノマー成分としては、例えば、下記(1)〜(12)に挙げるモノマーを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
(1)例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリレート等のアルキルアクリレート。
(3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
(4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(10)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(12)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
【0112】
アルカリ可溶性高分子化合物が、前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、又は活性イミド基を有する重合性モノマーの単独重合体或いは共重合体の場合、重量平均分子量が2,000以上、数平均分子量が500以上のものが好ましい。更に好ましくは、重量平均分子量が5,000〜300,000で、数平均分子量が800〜250,000であり、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜10のものである。
【0113】
また、アルカリ可溶性高分子化合物がフェノールホルムアルデヒド樹脂、クレゾールアルデヒド樹脂等の樹脂である場合には、重量平均分子量が500〜20,000であり、数平均分子量が200〜10,000のものが好ましい。
【0114】
これらアルカリ可溶性高分子化合物は、それぞれ1種類或いは2種類以上を組み合わせて使用してもよく、前記感光層全固形分中、30〜99重量%、好ましくは40〜95重量%、特に好ましくは50〜90重量%の添加量で用いられる。アルカリ可溶性高分子化合物の添加量が30重量%未満であると感光層の耐久性が悪化し、また、99重量%を超えると感度、耐久性の両面で好ましくない。
【0115】
〔光を吸収して発熱する化合物〕
光を吸収して発熱する化合物とは、700nm以上、好ましくは750nm〜1200nmの赤外域に光吸収域があり、この範囲の波長の光において、光/熱変換能を発現するものを指し、具体的には、この波長域の光を吸収し熱を発生する種々の顔料もしくは染料を用いることができる。
【0116】
前記顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
【0117】
前記顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。
【0118】
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理をほどこして用いてもよい。表面処理の方法には樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
【0119】
前記顔料の粒径は、0.01〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05〜1μmの範囲にあることが更に好ましく、0.1〜1μmの範囲にあることが特に好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満のときは分散物の感光層塗布液中での安定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると感光層の均一性の点で好ましくない。
【0120】
前記顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載がある。
【0121】
前記染料としては、市販の染料及び文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料等の染料が挙げられる。
【0122】
これらの顔料、若しくは染料のうち赤外光、若しくは近赤外光を吸収するものが、赤外光若しくは近赤外光を発光するレーザでの利用に適する点で特に好ましい。
【0123】
そのような赤外光、若しくは近赤外光を吸収する顔料としてはカーボンブラックが好適に用いられる。また、赤外光、若しくは近赤外光を吸収する染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等の公報に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等の公報に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等の公報に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等の公報に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号公報に記載のシアニン染料、米国特許5,380,635号公報に記載のジヒドロペリミジンスクアリリウム染料等を挙げることができる。
【0124】
また、前記染料として米国特許第5,156,938号公報に記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号公報に記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)公報に記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報に記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号公報に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物等が、市販品としては、エポリン社製のEpolight III−178、Epolight III−130、Epolight III−125、Epolight IV −62A等が、特に好ましく用いられる。
【0125】
また、前記染料として特に好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
【0126】
好ましいシアニン染料としては、例えば、下記一般式(Z)で表されるものが挙げられる。
【0127】
【化3】
Figure 0004102602
【0128】
前記一般式(Z)中、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基を表し、R1とR2、R3とR4はそれぞれ結合して環構造を形成していてもよい。
【0129】
1〜R4としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基、ドデシル基、ナフチル基、ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。ここで、置換基としては、例えば、ハロゲン原子、カルボニル基、ニトロ基、ニトリル基、スルホニル基、カルボキシル基、カルンボン酸エステル、スルホン酸エステル等が挙げられる。
【0130】
式中、R5〜R10は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し、前記R5〜R10としては、例えば、メチル基、エチル基、フェニル基、ドデシル基、ナフチル基、ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。ここで、置換基としては、例えば、ハロゲン原子、カルボニル基、ニトロ基、ニトリル基、スルホニル基、カルボキシル基、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル等が挙げられる。
【0131】
式中、R11〜R13は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基を表し、前記R12は、前記R11又はR13と結合して環構造を形成していてもよく、m>2の場合は、複数のR12同士が結合して環構造を形成していてもよい。
【0132】
前記R11〜R13としては、例えば、塩素原子、シクロヘキシル基、R32同士が結合してなるシクロペンチル環、シクロヘキシル環等が挙げられ、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。ここで、置換基としては、例えば、ハロゲン原子、カルボニル基、ニトロ基、ニトリル基、スルホニル基、カルボキシル基、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル等が挙げられる。
【0133】
また、mは、1〜8の整数を表し、中でも、1〜3が好ましい。
【0134】
式中、R14〜R15は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基を表し、前記R14は、R15と結合して環構造を形成していてもよく、m>2の場合は、複数のR34同士が結合して環構造を形成していてもよい。
【0135】
前記R14〜R15としては、例えば、塩素原子、シクロヘキシル基、R14同士が結合してなるシクロペンチル環、シクロヘキシル環等が挙げられ、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。ここで、置換基としては、例えば、ハロゲン原子、カルボニル基、ニトロ基、ニトリル基、スルホニル基、カルボキシル基、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル等が挙げられる。
【0136】
また、mは、1〜8の整数を表し、中でも、1〜3が好ましい。
【0137】
式中、X‐は、アニオンを表し、例えば、過塩素酸、四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5−ニトロ−O−トルエンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼンスルホン酸及びパラトルエンスルホン酸等が挙げられる。
【0138】
中でも、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸等のアルキル芳香族スルホン酸が好ましい。
【0139】
前記一般式(Z)で表されるシアニン染料としては、具体的には、以下に示す化合物が好適に用いられるが、これらに限られるものではない。
【0140】
【化4】
Figure 0004102602
【0141】
これらの顔料若しくは染料は、前記感光層全固形分に対し0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜10重量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜10重量%、顔料の場合特に好ましくは3.1〜10重量%の割合で前記感光性組成物中に添加することができる。顔料若しくは染料の添加量が0.01重量%未満であると感度が低くなり、また50重量%を越えると感光層の均一性が失われ、感光層の耐久性が悪くなる。
【0142】
これらの染料若しくは顔料は他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。別の層とする場合、熱分解性でありかつ分解しない状態ではアルカリ可溶性高分子化合物の溶解性を実質的に低下させる物質を含む層に隣接する層へ添加するのが望ましい。また、染料若しくは顔料とアルカリ可溶性高分子化合物は同一の層が好ましいが、別の層でも構わない。
【0143】
〔その他の成分〕
前記感光性組成物には、更に必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。例えば、感度を向上させる目的で、環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類、スルホニル化合物類、キノンジアジド化合物、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩等のオニウム塩、スルホン化合物類、アミド化合物類を併用することもできる。
【0144】
上記の環状酸無水物、フェノール類、有機酸類、及びスルホニル化合物類の前記感光性組成物固形分中に占める割合は、0.05〜20重量%が好ましく、0.1〜15重量%がより好ましく、0.1〜10重量%が特に好ましい。
【0145】
また、前記感光性組成物中には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。
【0146】
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の前記感光性組成物固形分中に占める割合は、0.05〜15重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。
【0147】
前記感光性組成物中には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
【0148】
焼き出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せが代表として挙げられる。
【0149】
画像着色剤としては、前述の塩形成性有機染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成性有機染料を含めて、好適な染料として油溶性染料と塩基性染料が挙げられる。
【0150】
これらの染料は、前記感光性組成物固形分に対し、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜3重量%の割合で前記感光性組成物中に添加することができる。
【0151】
また、前記感光性組成物中には必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
【0152】
更に、前記感光性組成物中には必要に応じ、キノンジアジド類、ジアゾ化合物等の光により分解する化合物を添加してもよい。これらの化合物の添加量は、前記感光性組成物固形分に対し、1〜5重量%が好ましい。
【0153】
〔感光層の製法〕
PS版12の感光層は、通常上記各成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布することにより形成することができる。
【0154】
ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独或いは混合して使用される。
【0155】
溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50重量%である。また塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、感光性印刷版についていえば一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。
【0156】
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、感光膜の皮膜特性は低下する。
【0157】
前記感光層中に、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば、特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、前記感光層全固形分に対して0.01〜1重量%、更に好ましくは0.05〜0.5重量%である。
【0158】
〔支持体〕
PS版12に用いる支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、若しくは蒸着された紙、若しくはプラスチックフィルム等が含まれる。
【0159】
前記支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は高々10重量%以下である。特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このようにPS版12に適用するアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来から公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。
【0160】
アルミニウム板の厚みは、およそ0.1〜0.6mm程度、好ましくは0.15〜0.4mm、特に好ましくは0.2〜0.3mmである。
【0161】
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ水溶液等による脱脂処理が行われる。
【0162】
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
【0163】
このように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸或いはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
【0164】
陽極酸化の処理条件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70°C、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。
【0165】
陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2より少ないと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
【0166】
陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。該親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号公報に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えば、ケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか、又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号公報に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法等が用いられる。
【0167】
〔その他の層〕
本実施の形態に適用するPS版12は、支持体上に赤外線レーザ用ポジ型感光性組成物を塗布してなる感光層を設けたものであるが、必要に応じてその間に下塗層を、前記その他の層として設けることができる。
【0168】
下塗層の成分としては、種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸等のアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸等の有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸等の有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸等の有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニン等のアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩等のヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。
【0169】
この有機下塗層は次のような方法で設けることができる。即ち、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトン等の有機溶剤若しくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウム板上に塗布、乾燥して設ける方法と、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトン等の有機溶剤若しくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、アルミニウム板を浸漬して上記化合物を吸着させ、その後水等によって洗浄、乾燥して有機下塗層を設ける方法である。
【0170】
前者の方法では、上記の有機化合物の0.005〜10重量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。また後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜5重量%であり、浸漬温度は20〜90°C、好ましくは25〜50°Cであり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。これに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウム等の塩基性物質や、塩酸、リン酸等の酸性物質によりpH1〜12の範囲に調整することもできる。また、画像記録材料の調子再現性改良のために黄色染料を添加することもできる。
【0171】
有機下塗層の被覆量は、2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。上記の被覆量が2mg/m2よりも少ないと十分な耐刷性能が得られない。また、200mg/m2より大きくても同様である。
【0172】
PS版12には、必要に応じて前記感光層の上にオーバーコート層を設けてもよい。該オーバーコート層成分としては、ポリビニルアルコール、メタクリレート、アクリレートや通常の感光性印刷版に用いられるマット材料等が挙げられる。
【0173】
ここで、PS版12は、一例として、厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレンで洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミスー水懸濁液を用い、この表面を砂目立てし、水でよく洗浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、更に20%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。次ぎにこの板を、7%硫酸を電解液として、電流密度15A/dm2で3g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗し、乾燥した。
【0174】
これを珪酸ナトリウム2.5重量%水溶液で30℃で10秒処理し、下記下塗り液を塗布し、塗膜を80℃で15秒間乾燥し基板を得た。乾燥後の塗膜の被覆量は15mg/m2であった。
【0175】
〔下塗り液の組成〕
・分子量2.8万の下記共重合体 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
【0176】
【化5】
Figure 0004102602
【0177】
得られた基板に以下の感光層塗布液を塗布量が1.8g/m2になるよう塗布し、乾燥して得た。
【0178】
〔感光層塗布液〕
Figure 0004102602
【0179】
【化6】
Figure 0004102602
【0180】
上記のようにして作製されたPS版12は、赤外線レーザによる露光、アルカリ現像処理液による現像処理が施される。
【0181】
前記感光層は、赤外線レーザによりポジ型の画像形成が可能であるという利点を有する。従って、露光工程(像様露光工程)において、像露光に用いられる活性光線の光源としては、近赤外から赤外領域において、700nm以上の発光波長を持つ光源が好ましい。また、光源は、好ましくは700〜1200nmの発光波長の赤外線の照射が可能な固体レーザ、半導体レーザが特に好ましい。
【0182】
一方、自動現像装置10では、アルカリ現像液を用いてPS版12の連続処理を行うときに、所定のタイミングで界面活性剤水溶液を補充する。用いる界面活性剤水溶液の濃度や添加する際の処理量は、使用される感光層の材料や現像液の物性により適宜決定されるが、補充タンクの容量や操作性から、界面活性剤水溶液は現像液、補充液に比較して界面活性剤が高濃度であるものが好ましく、一般的には、1〜100重量%のものが用いられ、好ましくは3〜80重量%程度、特に好ましくは5〜50重量%程度である。また、一回に補充する量としては、1〜100ml程度が好ましい。
【0183】
溶解抑制剤水溶液の補充は、挿入口に設けた版検出手段によって検出する印刷版の通過時間から演算した印刷版の処理面積に応じた量を現像槽へ補充すれば良く、1〜50m2処理する毎に添加する。より高い安定性を求める場合には、少量の版を処理する毎に精度よく補充することが好ましく、一方、比較的許容幅の広い範囲で管理しようとする場合には、ある程度まとまった量を処理した後に補充すればよい。
【0184】
補充液として用いる界面活性剤には特に制限はなく、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、フッ素系界面活性剤等のいずれであってもよい。
【0185】
以下、アルカリ現像液に対して補充液として使用しうる界面活性剤について順次説明する。
【0186】
〔アニオン界面活性剤〕
アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、αオレフィンスルホン酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が好適に挙げられる。
【0187】
〔カチオン界面活性剤〕
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩類、テトラブチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体等が挙げられる。
【0188】
〔両性界面活性剤〕
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン類、アルキルアミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミダゾリン類等が挙げられる。
【0189】
〔ノニオン性界面活性剤〕
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、しょ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド等が挙げられる。
【0190】
これらの具体例を示すと、例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレンエチレンアビエチルエーテル、ポリオキシエチレンノニンエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレングリセリルモノオレート、ポリオキシエチレングリセリルモノステアレート、ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノステアレート、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー、ジスチレン化フェノールポリエチレンオキシド付加物、トリベンジルフェノールポリエチレンオキシド付加物、オクチルフェノールポリオキシエチレンポリオキシプロピレン付加物、グリセロールモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等が挙げられる。
【0191】
これらのノニオン性界面活性剤の重量平均分子量は、300〜50,000が好ましく、500〜5,000が特に好ましい。
【0192】
また、前記ノニオン性界面活性剤は、下記一般式(VI)で表される化合物が好ましい。
【0193】
一般式(VI) R1−O(CH2CHR2O)l−(CH2CHR3O) m−(CH2CHR4O)n−R5
一般式(VI)中、R1〜R5は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、カルボニル基、カルボキシレート基、スルホニル基、スルホネート基を表す。
【0194】
前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、ヘキシル基等が挙げられ、前記アルケニル基の具体例としては、ビニル基、プロペニル基等が挙げられ、前記アルキニル基の具体例としては、アセチル基、プロピニル基等が挙げられ、前記アリール基の具体例としては、フェニル基、4−ヒドロキシフェニル基等が挙げられる。
【0195】
l,m,nは0以上の整数を表す。但し、l,m,nの総てが0であることはない。
【0196】
一般式(VI)で表される化合物の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のホモポリマー、エチレングリコール、プロピレングリコールの共重合体等が挙げられる。
【0197】
前記共重合体の比率は、10/90〜90/10が現像液への溶解性と塗布溶媒への溶解性の両立の点から好ましい。また、共重合体の中でもグラフトポリマー、ブロックポリマーが、非画像部のアルカリ現像液に対する溶解性と画像部のアルカリ現像液に対する耐溶解性との両立の点から好ましい。
【0198】
一般式(VI) で表される化合物のうち、画像部のアルカリ現像液に対する耐溶解性の点から、特に下記一般式(VII)で表されるポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体が好ましい。
【0199】
一般式(VII) HO−(C2H4O)a−(C3H6O)b−(C2H4O)c−H
一般式(VII)中、a,b,cは、それぞれ、1〜10,000の整数を表す。好適な重合体は、総分子に対するオキシエチレンの割合が40〜80重量%、好ましくは40〜60重量%であり、ポリオキシプロピレンの分子量としては1,000〜4,000、好ましくは2,000〜3,500の範囲が特に優れている。
【0200】
〔フッ素系界面活性剤〕
フッ素系界面活性剤は、分子内にパーフルオロアルキル基を含有する界面活性剤を指す。
【0201】
このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン型、パーフルオロアルキルベタイン等の両性型、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン型、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基及び親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基及び親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基含有ウレタン等の非イオン型が挙げられる。
【0202】
以上の界面活性剤のうち、「ポリオキシエチレン」とあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等のポリオキシアルキレンに読み替えることもでき、それらもまた前記界面活性剤に包含される。
【0203】
前記界面活性剤は、一種単独で使用してもよいし、併用により効果を損なわない限りにおいては、2種以上を併用してもよい。
【0204】
次に、自動現像装置10でのPS版12の連続処理に好適に用いられるアルカリ現像処理液について説明する。
【0205】
アルカリ現像処理液自体にも塩基に加えて、界面活性剤を含有することが好ましい。これは、界面活性剤が現像工程において画像部との相互作用を形成し、画像部の損傷を防止しうるためである。
【0206】
即ち、アルカリ現像処理液に性界面活性剤を含有させることにより、アルカリ濃度を上げた現像能力の高い液すなわちオーバー条件で現像処理しても、画像部のアルカリ現像処理液に対する耐溶解性が維持され、外傷に対する現像安定性が向上するという利点が得られる。これは、アルカリ可溶性高分子化合物と界面活性剤との相互作用に起因するものと推測される。この相互作用は、例えば、用いられるノニオン界面活性剤がエチレンオキシド鎖又はプロピレンオキシド鎖を含んでいる場合に強く働き、エチレンオキシド鎖を含んでいる場合に特に強く働く。これは、アルカリ可溶性基、特にフェノール性水酸基とエチレンオキシド鎖が強い相互作用を形成するためであると推測される。
【0207】
アルカリ現像液に添加しうる界面活性剤としては、特に制限はなく、前記補充液において例示した従来公知のものであれば、いずれも用いることができる。
【0208】
これらの界面活性剤のアルカリ現像処理液に対する添加量は、好ましくは、0.001〜10重量%であり、より好ましくは、0.01〜5重量%であり、特に好ましくは、0.03〜3重量%である。
【0209】
添加量が、0.001重量%より少ない場合には、界面活性剤の添加効果が得難く、10重量%よりも多い場合には、現像性が低下する傾向がある。
【0210】
〔塩基〕
アルカリ現像処理液には、その主成分として塩基が含有される。
【0211】
塩基としては、従来から公知のアルカリ剤、例えば、無機アルカリ剤、有機アルカリ剤等が挙げられる。
【0212】
無機アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三アンモニウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、硼酸ナトリウム、硼酸カリウム、硼酸アンモニウム等が挙げられる。
【0213】
有機アルカリ剤としては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等が挙げられる。
【0214】
塩基は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。これらの塩基の中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。その理由は、これらの量を調整することにより広いpH領域でのpH調整が可能となるためである。また、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等もそれ自身に緩衝作用があるので好ましい。
【0215】
現像性向上のため、前記アルカリ現像処理液のアルカリ濃度を上げ、所謂オーバー条件で処理することが好ましいが、このためには、塩基の添加量を調整すればよい。即ち、塩基を、アルカリ現像処理液が強アルカリ性、例えば、pHが12.5〜14.0になるように、好ましくはpHが12.8〜13.8になるように、アルカリ現像処理液に添加すればよい。
【0216】
アルカリ現像処理液は、塩基としてケイ酸アルカリを含有した、又は、塩基にケイ素化合物を混ぜ系中でケイ酸アルカリとしたものを含有した、所謂「シリケート現像液」としてもよい。また、ケイ酸アルカリを含有せず、非還元糖と塩基とを含有した所謂「ノンシリケート現像液」としてもよい。
【0217】
〔ケイ酸アルカリ〕
前記ケイ酸アルカリとしては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸アンモニウム等が挙げられ、単独又は組合せて用いることができる。ケイ酸アルカリのSiO2/M2Oモル比(Mはアルカリ金属を表す)は、0.3〜3.0が好ましく、0.5〜2.0が特に好ましい。上記のモル比が3.0を越えるにつれて現像性が低下する傾向がある。また上記モル比が0.3より小さくなるにつれてアルカリ強度が高くなっていくので、感光性印刷版の支持体として汎用されているアルミニウム板等の金属をエッチングする弊害が出てくるようになる。
【0218】
シリケート現像液中のケイ酸アルカリの濃度は、1〜10重量%が好ましく、1.5〜7重量%が特に好ましい。10重量%より高くなると沈殿や結晶が生成しやすくなり、また廃液時の中和に際してゲル化しやすくなるので廃液処理が煩雑になる。また、1重量%より低くなると現像力、処理能力が低くなる。
【0219】
〔非還元糖〕
ケイ酸アルカリを含有せず、非還元糖と塩基とを含有した所謂「ノンシリケート現像液」を用いて、現像処理を行うと、赤外線感光性印刷版における感光層の表面を劣化させることがなく、感光層の着肉性を良好な状態に維持することができる。また、赤外線感光性印刷版は、現像ラチチュードが狭く、現像液pHによる画線幅等の変化が大きいが、ノンシリケート現像液にはpHの変動を抑える緩衝性を有する非還元糖が含まれているため、シリケートを含む現像処理液を用いた場合に比べて有利である。更に、非還元糖は、シリケートに比べて液活性度を制御するための電導度センサ−やpHセンサー等を汚染し難いため、この点でも、ノンシリケート現像液は有利である。
【0220】
非還元糖とは、遊離のアルデヒド基やケトン基を持たず、還元性を示さない糖類であり、還元基同士の結合したトレハロース型少糖類、糖類の還元基と非糖類が結合した配糖体、及び糖類に水素添加して還元した糖アルコールに分類され、何れも好適に用いることができる。なお、PS版12の現像処理には、特開平8−305039号公報に記載された非還元糖を好適に使用することができる。
【0221】
トレハロース型少糖類としては、例えば、サッカロース、トレハロース等が挙げられる。
【0222】
配糖体としては、例えば、アルキル配糖体、フェノール配糖体、カラシ油配糖体等が挙げられる。
【0223】
糖アルコールとしては、例えば、D,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニット、D,L−イジット、D,L−タリット、ズリシット、アロズルシット等が挙げられる。更に、二糖類のマルトースに水素添加したマルチトール、オリゴ糖の水素添加で得られる還元体(還元水あめ)等が好適に挙げられる。
【0224】
これらの非還元糖の中でも、トレハロース型少糖類、糖アルコールが好ましく、その中でも、D−ソルビット、サッカロース、還元水あめ、等が適度なpH領域に緩衝作用があり、低価格である点で好ましい。
【0225】
これらの非還元糖は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0226】
非還元糖のノンシリケート現像液中における含有量としては、0.1〜30重量%が好ましく、1〜20重量%がより好ましい。前記含有量が、0.1重量%未満であると十分な緩衝作用が得られず、30重量%を越えると高濃縮化し難く、また原価アップの問題が出てくる。
【0227】
また、非還元糖と組み合わせて用いられる塩基としては、上記に列挙した塩基が好適に使用される。ここで使用される塩基のノンシリケート現像液中における含有量としては、所望のpH、非還元糖の種類、添加量等に応じて適宜決定される。
【0228】
なお、還元糖は、塩基と併用すると、褐変し、pHも徐々に低下し、現像性が低下するため、好ましくない。
【0229】
また、ノンシリケート現像液として、非還元糖と塩基との併用に代えて、非還元糖のアルカリ金属塩を主成分として用いることもできる。
【0230】
非還元糖のアルカリ金属塩は、非還元糖と、アルカリ金属水酸化物とを混合し、非還元糖の融点以上に加熱し脱水すること、あるいは、非還元糖とアルカリ金属水酸化物との混合水溶液を乾燥することによって得られる。
【0231】
ノンシリケート現像液に、非還元糖以外の弱酸と強塩基とからなるアルカリ性緩衝液を併用することができる。
【0232】
前記弱酸としては、解離定数(pKa)が10.0〜13.2のものが好ましく、例えば、Pergamon Press社発行のIONISATION CONSTANTS OF ORGANIC ACIDS IN AQUEOUS SOLUTION等に記載されているものから選択できる。
【0233】
具体的には、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノ−ル−1(pKa:12.74)、トリフルオロエタノール(同12.37)、トリクロロエタノール(同12.24)等のアルコール類、ピリジン−2−アルデヒド(同12.68)、ピリジン−4−アルデヒド(同12.05)等のアルデヒド類、サリチル酸(同13.0)、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(同12.84)、カテコール(同12.6)、没食子酸(同12.4)、スルホサリチル酸(同11.7)、3,4−ジヒドロキシスルホン酸(同12.2)、3,4−ジヒドロキシ安息香酸(同11.94)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン(同11.82)、ハイドロキノン(同11.56)、ピロガロール(同11.34)、o−クレゾール(同10.33)、レゾルソノール(同11.27)、p−クレゾール(同10.27)、m−クレゾール(同10.09)等のフェノール性水酸基を有する化合物、2−ブタノンオキシム(同12.45)、アセトキシム(同12.42)、1,2−シクロヘプタンジオンジオキシム(同12.3)、2−ヒドロキシベンズアルデヒドオキシム(同12.10)、ジメチルグリオキシム(同11.9)、エタンジアミドジオキシム(同11.37)、アセトフェノンオキシム(同11.35)等のオキシム類、アデノシン(同12.56)、イノシン(同12.5)、グアニン(同12.3)、シトシン(同12.2)、ヒポキサンチン(同12.1)、キサンチン(同11.9)等の核酸関連物質、他に、ジエチルアミノメチルホスホン酸(同12.32)、1−アミノ−3,3,3−トリフルオロ安息香酸(同12.29)、イソプロピリデンジホスホン酸(同12.10)、1,1−エチリデンジホスホン酸(同11.54)、1,1−エチリデンジホスホン酸1−ヒドロキシ(同11.52)、ベンズイミダゾール(同12.86)、チオベンズアミド(同12.8)、ピコリンチオアミド(同12.55)、バルビツル酸(同12.5)等が好適に挙げられる。
【0234】
これらの弱酸の中でも、スルホサリチル酸、サリチル酸が好ましい。
【0235】
これらの弱酸に組み合わせる強塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が好適に挙げられる。
【0236】
これらの強塩基は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。前記強塩基は、適宜選択した濃度及び組み合わせによりpHを好ましい範囲内に調整して使用される。
【0237】
アルカリ現像液においては、現像性の促進や現像カスの分散、感光性平版印刷版用原版の画像部の親インキ性を高める等の目的で、必要に応じて、現像安定剤、有機溶剤、還元剤、有機カルボン酸、硬水軟化剤、界面活性剤等、更に、公知の防腐剤、着色剤、増粘剤、消泡剤等をその他の成分として添加してもよい。
【0238】
〔現像安定化剤〕
現像安定化剤としては、例えば、特開平6−282079号公報に記載の糖アルコールのポリエチレングリコール付加物、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウム塩、テトラブチルホスホニウムブロマイド等のホスホニウム塩、ジフェニルヨードニウムクロライド等のヨードニウム塩が好ましい例として挙げられる。
【0239】
また、特開昭50−51324号公報に記載のアニオン界面活性剤、両性界面活性剤、特開昭55−95946号公報に記載の水溶性カチオニックポリマー、特開昭56−142528号公報に記載の水溶性の両性高分子電解質等が挙げられる。
【0240】
更に、特開昭59−84241号公報に記載のアルキレングリコールが付加された有機ホウ素化合物、特開昭60−111246号公報に記載のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック重合型の水溶性界面活性剤、特開昭60−129750号公報に記載のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンを置換したアルキレンジアミン化合物、特開昭61−215554号公報に記載の重量平均分子量300以上のポリエチレングリコール、特開昭63−175858号公報に記載のカチオン性基を有する含フッ素界面活性剤、特開平2−39157号公報に記載の酸又はアルコールに4モル以上のエチレンオキシドを付加して得られる水溶性エチレンオキシド付加化合物と、水溶性ポリアルキレン化合物等が挙げられる。
【0241】
〔有機溶剤〕
有機溶剤としては、例えば、水に対する溶解度が約10重量%以下のものが好ましく、5重量%以下のものがより好ましい。前記有機溶剤の具体例としては、1−フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、3−フェニル−1−プロパノール、4−フェニル−1−ブタノール、4−フェニル−2−ブタノール、2−フェニル−1−ブタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、o−メトキシベンジルアルコール、m−メトキシベンジルアルコール、p−メトキシベンジルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン等が挙げられる。
【0242】
有機溶剤のアルカリ現像処理液中における含有量としては、アルカリ現像処理液の総重量に対して0.1〜5重量%程度である。
【0243】
含有量は、界面活性剤のアルカリ現像処理液中における含有量と密接な関係があり、有機溶剤の量が増すにつれ、界面活性剤の量は増加させることが好ましい。これは、界面活性剤の量を少なくし、有機溶剤の量を多くすると、有機溶剤が完全に溶解せず、良好な現像性の確保が期待できなくなるからである。
【0244】
〔還元剤〕
還元剤としては、有機還元剤、無機還元剤等が挙げられる。これらの還元剤は、感光性印刷版の汚れを防止するのに役立つ。
【0245】
有機還元剤の好ましい具体例としては、チオサリチル酸、ハイドロキノン、メトール、メトキシキノン、レゾルシン、2−メチルレゾルシン等のフェノール化合物、フェニレンジアミン、フェニルヒドラジン等のアミン化合物等が挙げられる。
【0246】
無機還元剤の好ましい具体例としては、亜硫酸、亜硫酸水素酸、亜リン酸、亜リン酸水素酸、亜リン酸二水素酸、チオ硫酸、亜ジチオン酸等の無機酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、汚れ防止効果が特に優れている点で、亜硫酸塩が好ましい。
【0247】
還元剤のアルカリ現像処理液中における含有量としては、アルカリ現像処理液の総重量に対して0.05〜5重量%程度である。
【0248】
〔有機カルボン酸〕
有機カルボン酸としては、炭素原子数6〜20の脂肪族カルボン酸及び芳香族カルボン酸等が挙げられる。
【0249】
炭素原子数6〜20の脂肪族カルボン酸の具体例としては、カプロン酸、エナンチル酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられる。これらの中でも、炭素数8〜12のアルカン酸が特に好ましい。また、これらは、炭素鎖中に二重結合を有する不飽和脂肪酸でもよいし、枝分かれした炭素鎖のものでもよい。
【0250】
炭素原子数6〜20の芳香族カルボン酸の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等にカルボキシル基が置換された化合物等が挙げられ、より具体的には、o−クロロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、o−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸等が挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシナフトエ酸が特に好ましい。
【0251】
脂肪族カルボン酸及び芳香族カルボン酸は、水溶性を高める点で、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等として用いるのが好ましい。
【0252】
有機カルボン酸のアルカリ現像処理液中における含有量としては、特に制限はないが、通常0.1〜10重量%程度であり、0.5〜4重量%が好ましい。含有量が、0.1重量%未満であると、その添加効果が十分でなく、10重量%を越えても、それに見合う効果が得られない上、併用する別の添加剤のアルカリ現像処理液中への溶解を妨げることがある。
【0253】
〔硬水軟化剤〕
硬水軟化剤としては、例えば、ポリリン酸並びにそのナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ニトリロトリ酢酸、1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸等のアミノポリカルボン酸並びにそれらのナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、トリエチレンテトラミンヘキサ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸並びにそれらのナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩等が挙げられる。
【0254】
硬水軟化剤は、そのキレート化力と使用される硬水の硬度及び量によってアルカリ現像処理液中における最適含有量が変化するが、一般的には、0.01〜5重量%程度であり、0.01〜0.5重量%が好ましい。含有量が、0.01重量%未満であるとその添加効果が十分でないことがあり、5重量%を越えると、色抜け等画像部への悪影響が生じることがある。
【0255】
アルカリ現像処理液は、以上説明した各成分の外、水を含有する。また、アルカリ現像処理液は、未使用時(保管時)には水の含有量を少なくした濃縮液としておき、使用時には水で希釈するようにしておくと、運搬上有利である。この場合、アルカリ現像処理液の濃縮度は、前記各配合成分が分離や析出を起こさない程度が適当である。
【0256】
コントローラ202は、PS版12の所定のタイミングで補充ポンプ130と給水ポンプ134を作動させて、アルカリ現像補充液とこのアルカリ現像補充液を所定比率で希釈する希釈水を、アルカリ補充液として現像槽24へ補充することにより、PS版12の処理によって消費されるアルカリ成分及び自動現像装置10の稼動中及び停止中に現像槽24内の現像液が空気と接触することにより経時的に低下するアルカリ成分の補充を行う。
【0257】
このために、コントローラ202には、記憶手段としてROM等を用いたメモリ212が設けられている。また、コントローラ202には、PS版12の処理量として処理面積を算出する処理面積算出手段214と共に、電導度演算手段218及び電導度比較手段220が形成されている。
【0258】
コントローラ202は、予め設定されている所定のタイミングで、電導度センサ122を用いて現像槽24内の現像液の電導度を測定すると、この電導度の測定値と予め設定している電導度のしきい値(電導度目標値)を比較し、この比較結果に基づいて補充ポンプ130及び給水ポンプ134を作動させて、アルカリ補充液として補充する。
【0259】
このとき、メモリ212には、予め試験結果等に基づいて設定している1回分のアルカリ補充液の量(アルカリ現像補充液とこのアルカリ現像補充液を所定比率で希釈する希釈水の量)が記憶されており、コントローラ202は、現像液の電導度の測定値がしきい値を下回ると、アルカリ補充液を一定量ずつ補充するようにしている。
【0260】
自動現像装置10では、現像槽24に最初に貯留する現像液(仕込み液)と、アルカリ補充液とは電導度が異なる一般的構成となっており、アルカリ補充液の補充を行うことにより、現像槽24内のアルカリ現像液の電導度は、アルカリ補充液の電導度に近づくなど、徐々に変化する。また、現像液中の電導度は、PS版12の処理及び空気中の炭酸ガスによる疲労によって変化する。
【0261】
ここから、コントローラ202に形成されている電導度演算手段218は、最初に現像槽24に貯留した現像液である仕込液がアルカリ補充液に置き換わった量である液置換率ないし、PS版12の処理に充当されるアルカリ補充液の量である処理疲労補充液量の置換率である処理疲労補充液置換率及び空気中の炭酸ガスに接触することによる疲労に充当されるアルカリ補充液の量である経時疲労補充液量の置換率である経時疲労補充液置換率に基づいて、電導度目標値であるしきい値を補正する。
【0262】
比較手段220は、補正したしきい値と電導度センサ122によって検出した現像槽24内の現像液の電導度値(測定値)を比較することにより、アルカリ補充液の補充の要否を判定する。
【0263】
このとき、コントローラ202は、現像槽24内の現像液の電導度の測定値がしきい値を下回ると、一定量のアルカリ補充液を補充する。これにより、コントローラ202は、現像槽24内の現像液の電導度がしきい値を越えるようにしている。
【0264】
なお、電導度は、交流電導度計、交流ブリッジ計、あるいはその他の電導度計などの公知の電導度計を用いて測定することができるが、電導度計の測定電流値や発振周波数等は、現像液の組成等により最適条件が異なる。したがって、電流値は装置的にもまた水溶性の現像液の電気分解を防ぐためにも或る程度低いことが好ましく、数μA〜数百mAが好ましい。また、発振周波数は、現像液中の静電容量成分の関係から数百Hz〜数百kHzであることが好ましい。
【0265】
電解質を含む現像液の電導度値は、水溶液の温度に依存し、液温が上がるとその値は上昇する。したがって、より好ましくは、温度センサ及び温度補償回路を付した測定器で、電導度値を測定することが好ましい。また、補充を制御するコントローラ202において、実際に測定した液抵抗値と、液温度から予め定めた温度における電導度値に換算して温度補償を行うようにしても良い。
【0266】
交流電導度計、交流ブリッジ計、あるいはその他の電導度計のセンサー設置位置は、測定時に現像液に浸漬され、現像液の電導度値が測定できる場所であれば良く、自動現像装置10では、現像液の循環用の配管108に設けているが、これに限らず現像槽24内に設けても良い。また、センサーの検出電極には、白金、ステンレス等を用いた公知の測定セルを使用することができる。
【0267】
一方、コントローラ202は、PS版12の処理面積を算出して、この処理面積に応じて、補充ポンプ192を作動させることにより、現像槽24へ溶解抑制剤水溶液を補充するようにしている。
【0268】
このとき、コントローラ202では、版検出センサ210によってPS版12の先端を検出すると、版検出センサ210がPS版12の先端から後端までを検出する時間を図示しないタイマーによって計測し、この計測結果からPS版12の搬送方向に沿った長さを算出する。すなわち、コントローラ202は、版検出センサ210を用い、一定速度で搬送されるPS版12が挿入口32を通過する時間を計測し、この通過時間とPS版12の搬送速度からPS版12の搬送方向に沿った長さ(縦寸法)を算出する。
【0269】
また、コントローラ202のメモリ212には、予め算出して設定されているPS版12の搬送方向に沿った長さである縦寸法毎の幅寸法の平均値が、例えば表1に示すサイズテーブルとして記憶されている。
【0270】
【表1】
Figure 0004102602
【0271】
コントローラ202は、版検出センサ210を用いてPS版12の縦寸法を算出すると、メモリ212に記憶しているテーブルから縦寸法に該当する横寸法を読出して、版面積を算出する。
【0272】
また、コントローラ202のメモリ212には、自動現像装置10で処理するPS版12の版面積に対する非画像部分の面積の比率である非画像面積率又は画像部分の面積の比率である画像面積率が予め設定されて記憶されており、コントローラ202は、版面積と非画像面積率又は画像面積率から現像処理される処理面積を算出するようになっている。なお、以下では、処理面積の算出に非画像面積率を用いる。また、非画像面積率又は画像面積率は、PS版12に形成する画像の傾向から設定した値を用いても良く、現像処理の終了したPS版12の版面(画像面)の画像部分又は非画像部分を、反射型の光センサを用いて走査的に検出して、このデータを用いて設定するしたものであっても良い。
【0273】
コントローラ202では、この処理面積を順次積算して、積算値が所定値に達する毎に、処理面積の積算値(所定値)に基づいて設定されている量の溶解抑制剤水溶液を現像槽24へ補充するようにしている。
【0274】
これにより、自動現像装置10では、PS版12の処理に応じて消費されたり、PS版12の表面に付着して現像槽24から持ち出されて減少する現像液中の溶解抑制剤を補充するようにしている。
【0275】
なお、コントローラ202は、例えば、操作パネル204のキー操作によって入力されるPS版12のサイズや処理するPS版12の平均的な非画像面積率αを、メモリ212に記憶するようにしている。
【0276】
ここで、本実施の形態の作用を説明する。
【0277】
赤外線レザー用ポジ型感光層が形成されたPS版12は、図示しないセッター等によって赤外線レーザを用いた走査露光が行われる。自動現像装置10は、このPS版12に対する現像処理を行う。
【0278】
自動現像装置10は、挿入口32から挿入されたPS版12の先端を、版検出センサ210によって検出すると、駆動モータ206を作動させる。これにより、PS版12は、駆動モータ206によって回転駆動される搬送ローラ対42によって挟持されて、自動現像装置10内に引き入れられる。
【0279】
搬送ローラ対42は、挿入口32から引き入れたPS版12を、水平方向に対して15°〜31°の範囲の挿入角度で、現像槽24へ送り込む。これにより、PS版12は、ガイド板44、46によって案内されながら搬送ローラ対48、50、52によって現像槽24内を搬送されて、現像槽24内に貯留されている現像液(アルカリ現像液)に浸漬され、17°〜31°の範囲の排出角度で、現像液中から送り出される。
【0280】
PS版12は、現像槽24内で現像液に浸漬されることにより、露光画像に応じて不要な感光層が膨潤し、膨潤した感光層が支持体から除去される。このとき、自動現像装置10では、現像槽24内に配置しているブラシローラ58によってPS版12の表面(感光層側の面)をブラッシングすることにより、PS版12の表面からの不要な感光層の除去を促進するようにしている。
【0281】
現像処理が行われて、現像槽24から送り出されるPS版12は、搬送ローラ対52によって水洗部16へ送られる。このとき、搬送ローラ対52は、PS版12の表裏面に付着している現像液を絞り落とす。
【0282】
水洗部16では、このPS版12を搬送ローラ対62、64によって挟持して略水平状態で搬送しながら、スプレーパイプ66、68から水洗水を噴出する。また、PS版12の搬送方向の下流側に配置している搬送ローラ対64は、PS版12の表裏面に供給した水洗水を、搬送ローラ対52によって絞り切れずに残った現像液とともに絞り落としながら、このPS版12を不感脂化処理部18へ送り出す。
【0283】
これにより、PS版12は、水洗部16を通過するときに、表裏面に残っている現像液が洗い落とされる。
【0284】
不感脂化処理部18へ送られたPS版12は、スプレーパイプ72、74の間を通過し、搬送ローラ対70に挟持される。
【0285】
このとき、不感脂化処理部18では、スプレーパイプ72、74からガム液を吐出して、PS版12の表裏面にガム液を拡散させながら均一に塗布する。搬送ローラ対70は、PS版12を挟持搬送して、余剰となったガム液をPS版12の表裏面から絞り落とすことにより、PS版12の表裏面にガム液の均一な薄膜を形成する。
【0286】
ガム液が塗布されたPS版12は、搬送ローラ対70によって挿通口84からから乾燥部20へ送り込まれる。
【0287】
乾燥部20では、支持ローラ86及び搬送ローラ対90、92によってPS版12を搬送しながら、噴出しダクト94、96からこのPS版12の表裏面に乾燥風を吹き付ける。これにより、PS版12は、表面に塗布されているガム液による保護膜が形成されて排出口88から排出される。
【0288】
ところで、自動現像装置10では、予め設定されている所定のタイミングで、補充ポンプ130及び給水ポンプ134を作動させることにより、アルカリ補充液を補充して、現像液中のアルカリ濃度を適正範囲に保つと共に、補充ポンプ192を作動させて溶解抑制剤水溶液を補充することにより、現像液中の溶解抑制剤の量を適正に保つようにしている。
【0289】
ここで、図4乃至図7を参照しながら、本実施の形態に適用した自動現像装置10での現像補充液の補充処理を説明する。
【0290】
図4には、アルカリ補充液の補充処理の概略を示している。このフローチャートでは、最初のステップ300で操作パネル204のスイッチ操作によって自動現像装置10がオンされたか否かを確認し、電源スイッチがオンされると、ステップ300で肯定判定して実行される。
【0291】
アルカリ補充液の補充処理は、電源スイッチがオンされて、自動現像装置10が稼動を開始すると、まず、ステップ302でメモリ212に記憶している電導度目標値である電導度のしきい値dmを読込むなどの初期設定を行う。この後に、ステップ304では、予め設定されている一定時間間隔などのタイミングで、現像液の電導度を測定する(電導度センサ122による測定値dの読込み)。
【0292】
次のステップ306では、電導度の測定値dとしきい値dmを比較する。なお、自動現像装置10では、現像槽24に仕込み液を入れた後に最初に稼動されたときに、仕込み液となっている現像液などや処理するPS版12の種類等を操作パネル204から入力指示されることにより、メモリ212に記憶されている初期値から最適な値が自動選択される。
【0293】
ここで、電導度の測定値dがしきい値dmを越えているとき(ステップ306で否定判定)には、現像槽24内の現像液が、十分な液活性を持っていると判断されて、アルカリ補充液の補充を行わずに、所定の時間間隔で電導度の測定を繰り返す。なお、電導度の測定は、循環ポンプ102が作動して現像槽24内の現像液が均一に攪拌されている状態で行われる。
【0294】
一方、PS版12の処理による疲労や経時的な疲労が進行して、電導度の測定値dがしきい値dmを下回ると、ステップ306で肯定判されてステップ308へ移行する。すなわち、現像槽24内のアルカリ現像液の劣化が進行して液活性が低下していると判断されると、ステップ308へ移行して、前回のアルカリ補充液の補充後の経過時間Tを読込む。なお、この時間Tは、後述するように、アルカリ補充液の補充が行われるごとにリセット/スタートされて、自動現像装置10の停止中も計測が継続されている。
【0295】
この後、ステップ310では、補充するアルカリ補充液の量に対する現像液の炭酸ガス疲労に充当されるアルカリ補充液の量の比率である経時疲労補充液比率fcを演算する。この経時疲労補充液比率fcは、
fc=(経時疲労補充液量)/(処理疲労補充液量+経時疲労補充液量)
である。
【0296】
自動現像装置10では、1回のアルカリ補充液の補充量が予め設定されており、この補充量に合わせたアルカリ補充液の定量補充を行うようになっている。
【0297】
ここから、経時疲労補充液比率fcは、1回のアルカリ補充液の補充量Vh及び前回の補充からの経過時間(時間T)から、
fc=(Vcon・T)/Vh
として算出することができる。このとき、Vconは、自動現像装置10の稼動中の単位時間当たりの経時疲労補充液量で、自動現像装置10の設置環境等に合わせて自動現像装置10ごとに設定されて記憶されている。すなわち、自動現像装置10の構造や設置環境に応じて予め設定されて記憶されている。
【0298】
この後、ステップ312では、この経時疲労補充液比率fcと、現像槽24に投入済みのアルカリ補充液の補充液量Vと、新たに補充するアルカリ補充液の補充液量Vhに基づいて、経時疲労補充液の置換率である経時疲労補充液置換率XCnとPS版12の処理量に対する現像液の疲労である処理疲労の補償に充当されるアルカリ補充液量である処理疲労補充液の置換率である処理疲労補充液置換率XBnを算出し、この算出結果に基づいて電導度目標値であるしきい値dmを補正する。
【0299】
この補正は、例えば以下に示す数式から演算して行うことができる。
【0300】
Cn=(XCn-1・V+Vh・fc)/(V+Vh)
Bn={XBn-1・V+Vh(1−fc)}/(V+Vh)
dm=XCn(dC−dM)+XBn(dB−dM)+dM
なお、上記数式中の添え字nは、補充処理の繰り返し回数(正の整数)であり、dCは炭酸ガス疲労(経時疲労)のみの時の電導度目標値、dMは仕込み液の電導度(電導度目標値)、dBは処理疲労のみのときの電導度目標値である。
【0301】
このようにしてしきい値dmの設定を行うと、ステップ314ではメモリ212の記憶を更新し、ステップ316では、補充ポンプ130及び給水ポンプ134を作動させて、一定量(補充量Vh)のアルカリ補充液(アルカリ現像補充液の原液とこのアルカリ現像補充液の原液を所定比率で希釈する希釈水)を現像槽24へ補充する。
【0302】
この後に、ステップ318では、図示しないタイマをリセット/スタートさせることにより、次にアルカリ補充液の補充を行うまでの時間Tの計測を開始する。また、ステップ320では、図示しない電源スイッチがオフされたか否かを確認し、電源スイッチがオフされるまで(ステップ320で肯定判定されている間)は、ステップ304で現像槽24内の現像液の電導度の測定を繰り返す。
【0303】
このようにして、電導度に基づいて一定量ずつのアルカリ補充液を補充するときに、経時疲労補充液置換率XCnと処理疲労補充液置換率XBnに基づいてしきい値dmを設定して、現像液の電導度の測定値がこのしきい値dmを越えるように維持することにより、現像槽24内のアルカリ現像液を新液と同等の液活性に維持することができる。すなわち、現像槽24内のアルカリ現像液中のアルカリ成分を、PS版12の処理に最適な量に維持することができる。
【0304】
一方、自動現像装置10では、アルカリ補充液の補充と並行して、溶解抑制剤水溶液の補充を行う。
【0305】
図5には、溶解抑制剤水溶液の補充処理の概略を示している。このフローチャートは、図示しない電源スイッチがオンされて、最初のステップ330で肯定判定されると開始され、ステップ332では、これまでに積算しているPS版12の積算値Sを読込む(初期設定)。
【0306】
この後、ステップ334では、版検出センサ210がPS版12の挿入を検出したか否かを確認する。すなわち、このフローチャートは、自動現像装置10の稼動中で、PS版12の処理を行うごとに実行される。
【0307】
ここで、現像処理を行うために自動現像装置10にPS版12が挿入されて、版検出センサ210がオンすると、ステップ334で肯定判定されて、ステップ336へ移行し、PS版12の処理面積の算出及び積算を開始する。
【0308】
このPS版12の処理面積の算出は、版検出センサ210が挿入口32から挿入されたPS版12の先端を検出すると、ステップ336で図示しないタイマーをリセット/スタートさせ、次のステップ338では、版検出センサ210がPS版12の後端の通過を検出したか否かを確認する。
【0309】
これにより、一定速度で挿入口32から挿入されて現像槽24に引き入れるPS版12の後端が、版検出センサ210に対向する位置を通過して、版検出センサ210がPS版12の検出状態から非検出状態に切り替わると、ステップ338で肯定判定して、ステップ340へ移行する。このステップ340では、図示しないタイマーの計測時間からPS版12の通過時間tを読込む。
【0310】
この後、ステップ342では、PS版12の通過時間tと、自動現像装置10でのPS版12の搬送速度vから、PS版12の搬送方向に沿った長さである縦寸法Lを算出する。この縦寸法Lの算出は、L=t×vとして簡単に算出することができる。
【0311】
次のステップ344では、算出した縦寸法Lに対応する横寸法Wを、メモリ212に記憶しているサイズテーブルから読出し、さらに、予め設定されてメモリ212に記憶している非画像面積率αを読み出す。この後、ステップ346では、PS版12の縦寸法L、幅寸法W及び非画像面積率αから、現像液が処理するPS版12の処理面積sを算出する。
【0312】
このようにして、PS版12の処理面積sを算出すると、ステップ348では、処理面積sの積算値Sを算出する(S=S+s)。
【0313】
この後、ステップ350では、処理面積の積算値Sが、予め設定している所定値Scに達したか否かを確認する。
【0314】
ここで、積算値Sが所定値Scに達すると(S≧Sc)、ステップ350で肯定判定してステップ352へ移行する。なお、積算値Sが所定値Scに満たないとき(S<Sc)には、ステップ350で否定判定して、ステップ334へ移行し、次に挿入されるPS版12の処理面積の算出を行う。
【0315】
このステップ352では、補充ポンプ192を作動させて、所定値Scに応じて設定されている量の溶解抑制剤水溶液を現像槽24へ補充する。この後、ステップ354では、積算値Sをリセット(S=0)して、新たな処理面積の算出及び積算を開始する(ステップ334へ移行)。なお、自動現像装置10の電源スイッチがオフされて、ステップ356で否定判定されたときには、処理面積の積算値Sをメモリ212に記憶して、このフローチャートを終了する。
【0316】
自動現像装置10では、このようにして、アルカリ補充液の補充と並行して溶解抑制剤水溶液の補充を行うことにより、PS版12の処理及び空気中の炭酸ガスと接触することによるアルカリ濃度の低下に合わせて適切にアルカリ成分を補充すると共に、PS版12の処理によって消費される溶解抑制剤を補充する。これにより、アルカリ現像液を所定のpHの高アルカリに保ちながら、一定量の溶解抑制剤が含まれるようにしている。
【0317】
したがって、自動現像装置10では、赤外線レーザー用ポジ型感光層が形成されているPS版12の現像処理するときに、高pH(高アルカリ)の現像液を用いているので、コントラストに優れた画像が形成されるように現像処理を行うことができる。
【0318】
すなわち、多数枚のPS版12を処理したときや長期にわたって処理したときにも、現像性と画像部分の保護性のバランスを保って、コントラストの低下や画像部分の損傷等が生じることのない高品質の刷版が得られるようにしている。
【0319】
このとき、常に一定の溶解抑制が得られるように、アルカリ現像液(アルカリ補充液)とは、別に、PS版12の処理面積に基づいて、ポリエチレングリコールなどの溶解抑制剤を添加しているので、高pHのアルカリ現像液を用いても、PS版12の画像部分に損傷を生じさせてしまうことがることなく現像処理を行うことができる。
【0320】
赤外線レーザ用ポジ型感光層が形成されているPS版12の現像処理では、露光部分の溶解をアルカリが担い、非露光部分の溶解抑制をポリエチレングリコールなどの溶解抑制剤が担っている。したがって、PS版12の適性な現像処理を行うためには、現像液中のアルカリ濃度と、溶解抑制剤濃度の影響を一定に保つ必要がある。
【0321】
一般に、現像液中には、OH‐イオン(水酸イオン)と、K+イオン(カリウムイオン)が存在し、現像液の電導度は両イオンの濃度によって変化する。ここから、
1/P:電導度、
OH:OH‐イオンによる抵抗値
OH:OH‐イオンの濃度
K:K+イオンによる抵抗値
K:K+イオンの濃度
としたとき、
1/P=1/(POH×COH)+1/(PK×CK
となる。
【0322】
OH及びPKは、それぞれ固有の値であり、電導度はCOHとCK、すなわち、OH‐イオンとK+イオンの両イオンの濃度によって決まる。また、水酸イオン(OH‐イオン)の濃度を一定に保つためには、カリウムイオン(K+イオン)の量も抑える必要がある。
【0323】
一方、現像液中では、PS版12の現像が進行すると、露光部の感光層が現像液中のアルカリと反応して、現像液中に溶解するが、このときに、溶出した感光物及びバインダーは、現像液の電導度に影響することがない。
【0324】
これに対して、現像進行中に空気中の炭酸ガス(CO2)が、現像液に溶け込むことがある。このときに生成されるK2CO3塩は、現像液の電導度に影響を及ぼし、K2CO3塩の濃度があがると、現像液の電導度も上がる。
【0325】
ここから、現像液に補充液を補充しながらPS版12の処理を続けるときには、K+イオン濃度、K2CO3塩の濃度を抑えた上で、OH‐の濃度を一定に保つことにより、液感度を適性にコントロールすることができる。
【0326】
現像液は、PS版12の現像処理を行うことにより消費されるOH‐イオンが、アルカリ補充液によって補充されるが、OH‐イオン濃度が一定(液感度が一定にコントロールされている状態)でも、K+イオン及びK2CO3塩によって電導度が変化する。
【0327】
この要因としては、現像液の新液(仕込み液)と補充液のアルカリ濃度が異なることや、現像液中への炭酸ガス(CO2)の溶け込みが上げられる。
【0328】
仕込み液と補充液のアルカリ濃度差は、例えば仕込み液の電導度が47ms、補充液の電導度が92msであったとき、現像液感度を新液の液感度状態に維持するようにしたときに、OH‐イオンの濃度が常に一定であっても、高濃度の補充液が補充されるために、K+イオンの濃度が高くなる。
【0329】
このために、図6(A)に示すように、現像液の電導度(測定値d)は、補充液の補充量に応じて上昇し、新液の殆どが補充液に置換された状態では、電導度が60msとなる。なお、図6(A)では、現像液中の炭酸ガスの溶け込みが生じていないものとしている。
【0330】
一方、現像液中への炭酸ガスの溶け込みは、炭酸ガスが現像液中のアルカリと反応して生成するK2CO3塩が電導度を上昇させる。
【0331】
したがって、図6(B)に示すように、液置換率に応じた電導度の変化は、炭酸ガスの溶け込みが生じていないとき(図6(B)に破線で示す)に比べて、炭酸ガスの溶け込みが生じているとき(図6(B)に実線で示す)に高くなり、電導度が47msの仕込み液と電導度が92msの補充液を用いたときには、最終的(液置換率が100%に達した状態で炭酸ガスの溶け込み量が最大のとき)に、電導度が70msまで上昇する。なお、これは、現像槽24からの水分蒸発が生じていないとものとしている。
【0332】
実際の現像液の電導度は、図6(B)の破線と実線の間で変化することになる。また、実際の電導度の変化は、PS版12の処理量は勿論、空気中の炭酸ガス濃度や温度等の自動現像装置10の設置環境等によって異なるため、処理環境及び処理条件に基づいて電導度の目標値を設定することが好ましい。
【0333】
このようにして、自動現像装置10では、赤外線レーザー用ポジ型感光層が形成されているPS版12の現像処理するときに、高pHのアルカリ現像液を用い、このアルカリ現像液を高pHに維持しているので、コントラストに優れた画像が形成されるように現像処理を行うことができる。
【0334】
このとき、アルカリ現像液に、ポリエチレングリコールなどの界面活性剤などの溶解抑制剤を適正な量となるように添加しているので、高pHのアルカリ現像液を用いても、PS版12の画像部分に損傷を生じさせてしまうことがなく現像処理を行うことができると共に、PS版12を連続して処理したときは勿論、長期にわたってPS版12の処理を行ったときにも、現像性の低下を生じさせてしまうことがなく、現像性と画像部分の保護性のバランスを保ってコントラストの低下や画像部分の損傷等を生じさせることなく、高品質の刷版が得られるようにしている。
【0335】
赤外線レーザ用ポジ型感光層が形成されているPS版12に対する自動現像装置10での現像処理では、露光部の溶解をアルカリが担い、非露光部の溶解抑制をポリエチレングリコールなどの界面活性剤が担っている。したがって、PS版12の適性な現像処理を行うためには、現像液中のアルカリ濃度と、溶解抑制剤濃度の影響を一定に保つ必要がある。
【0336】
一般に、図7(A)に示すように、現像液中へのバインダーの添加量が多くなると感度が上昇する。これに対して、図7(B)に示すように、界面活性剤などの溶解抑制剤の添加量が多くなると、感度が低下する。なお、図7(B)では、200gのバインダーを添加した状態(図7(A)参照)で、界面活性剤(溶解抑制剤)としてポリエチレングリコール(PEG)を添加した時の感度変化の測定結果を示している。
【0337】
ここから、200gのバインダーに対して、9〜12gのPEGを添加することにより、新液(仕込み液)と同等の感度に回復させることができる。
【0338】
したがって、PS版12の処理面積に応じて、適性な量の溶解抑制剤(溶解抑制剤水溶液)を補充することにより、PS版12を連続的に現像処理しても、現像液を新液(仕込み液)と同等の感度に保つことができる。
【0339】
一方、現像液は、空気中の炭酸ガスが接触することによりアルカリが消費される。これにより、現像液のpHが低下するが、アルカリ濃度を戻すために、アルカリ成分と界面活性剤などの溶解抑制剤とを含む補充液を補充すると、溶解抑制剤が過剰となり感度低下が生じる。
【0340】
また、現像液は、PS版12の処理を行うことにより、アルカリが消費されると共に、現像液中に溶出したバインダーが、溶解抑制剤を吸着する。このために、アルカリ濃度を合わせるように前記した補充液を補充すると、感度上昇が生じてしまう。
【0341】
ここから、自動現像装置10では、現像液の電導度の測定値dに基づいてアルカリ補充液を補充すると共に、PS版12の処理量に基づいて溶解抑制剤を補充することにより、現像液中で溶解抑制剤の過不足を生じさせるのを防止して、感度を略一定に保つようにしている。
【0342】
これにより、自動現像装置10では、長期にわたってPS版12の現像処理を行っても、現像液の感度が略一定に維持され、PS版12にコントラストの低下や画像部分の損傷を生じさせてしまうことなく、PS版12の現像処理を行うことができる。
【0343】
特に、自動現像装置10では、単にPS版12の処理枚数に応じて現像補充液を補充するのではなく、PS版12の版面積に基づいて処理面積を算出して、溶解抑制剤を補充するようにしているため、サイズの異なるPS版12を処理したときにも、適性な量の溶解抑制剤を補充することができる。
【0344】
なお、以上の説明では、アルカリ補充液の電導度補充を行うときに、前回のアルカリ補充液の補充からの経過時間を計測し、この計測結果から経時疲労補充液比率fcを算出し、この経時疲労補充液比率とアルカリ補充液の補充液量Vから、経時疲労補充液置換率XCn及び処理疲労補充液置換率XBnを演算して、電導度目標値であるしきい値dmを補正するようにしたが、しきい値dmの補正はこれに限るものではない。
【0345】
例えば、しきい値dmの補正は、PS版12の処理面積を積算し、この積算値から単位時間当たりのPS版12の処理量を用いて、処理疲労に充当されるアルカリ補充液の液量の比率である処理疲労補充液比率fbを算出しても良い。
【0346】
このとき、処理疲労補充液比率fbは、
fb=Vs・S/Vh
として得られる。なお、Vsは、予め実験によって求めた単位時間当たりの処理量に応じて必要となる単位処理量当たりのアルカリ補充液の補充液量である。
【0347】
このときの経時疲労補充液比率fcと処理疲労補充液比率fbとは、
fc+fb=1
となるから、経時疲労補充液比率fcは、
fc=1−(Vs・S/Vh)
となり、この処理疲労補充比率fcを用いて、経時疲労補充液置換率XCnと処理疲労補充液置換率XBnを演算して、しきい値dmの補正を行うようにしても良い。
【0348】
また、現像槽24内の現像液がアルカリ補充液に置き換わった比率であるアルカリ補充液の液置換率を算出して、この液置換率に基づいてしきい値dmの設定ないし電導度の測定値dの補正を行うようにしても良い。
【0349】
このときには、アルカリ補充液を補充するごとに、液置換率を演算して更新すると共に、予め設定されているタイミングで電導度センサ122を用いた現像液の電導度の計測を行う。このとき、電導度の測定値dを、液置換率Rに基づいて補正する。
【0350】
前記したように、自動現像装置10では、現像槽24に空の状態から最初に貯留する現像液(仕込み液)と、アルカリ補充液(アルカリ現像補充液とこのアルカリ現像補充液を所定比率で希釈する希釈水)とは、電導度が異なる一般的構成となっており、アルカリ補充液の補充を行うことにより、現像槽24内の現像液の電導度が、アルカリ補充液の電導度に近づく。
【0351】
ここから、
ds:液置換率0%のときのしきい値
de:液置換率100%又は後述する処理頻度ΔSと補充液(アルカリ補充液)の補充量に基づいて設定した液置換率Rから設定されるしきい値
da:補正前の測定値
としたとき、
d=da+(100−R)・(de−ds)/100
とすることができる。なお、測定値dを補正せずに、しきい値dmを液置換率Rに基づいて補正するようにしてもよい。
【0352】
ここで、現像液の電導度の測定値dがしきい値dmを下回っているとき(測定値dがしきい値dm以下となっているとき)には、例えば測定値dとしきい値dmの差に基づいてアルカリ補充液の量を設定し、この設定結果に基づいて補充ポンプ130及び給水ポンプ134を作動させることにより、現像槽24へアルカリ補充液の補充を行う。また、予め設定されている量のアルカリ補充液の補充を行うようにしても良い。
【0353】
【実施例】
以下、実施例として、具体例を説明する。なお、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0354】
〔基板の製作〕
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレンで洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミスー水懸濁液を用い、この表面を砂目立てし、水でよく洗浄した。この板を45°Cの25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、更に20%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。次ぎにこの板を、7%硫酸を電解液として、電流密度15A/dm2で3g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗し、乾燥した。
【0355】
これを珪酸ナトリウム2.5重量%水溶液で30°Cで10秒処理し、下記下塗り液を塗布し、塗膜を80°Cで15秒間乾燥し基板を得た。乾燥後の塗膜の被覆量は15mg/m2であった。
【0356】
〔下塗り液の組成〕
・分子量2.8万の下記共重合体 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
【0357】
【化7】
Figure 0004102602
【0358】
得られた基板に以下の感光層塗布液を塗布量が1.8g/m2になるよう塗布し、乾燥して、実施例1の平版印刷版原版を得た。
【0359】
〔感光層塗布液〕
Figure 0004102602
【0360】
【化8】
Figure 0004102602
【0361】
(実施例1)
本実施例では、現像液(アルカリ現像液)及び現像補充液(アルカリ補充液)の具体例として、自動現像装置10の現像槽24に下記組成のアルカリ現像液A1(pH約13)を20リットル仕込み、30℃に保温し、所定のタイミングで下記組成の現像補充液(アルカリ補充液)B1を補充するようにしている。
【0362】
〔アルカリ現像液A1の組成〕
・SiO2・K2O 4.0重量%
(K2O/SiO2=1.1(モル比))
・クエン酸 0.5重量%
・ポリエチレングリコール(重量平均分子量=1000) 0.5重量%
・水 95.0重量%
〔現像補充液B1の組成〕
・SiO2・K2O 5.0重量%
(K2O/SiO2=1.1(モル比))
・クエン酸 0.6重量%
・ポリエチレングリコール(重量平均分子量=1000) 0.6重量%
・水 93.8重量%
なお、水洗槽26には、水を8リットル、不感脂化処理槽28には、FP−2W(富士写真フィルム(株)製):水=1:1稀釈した8リットルのフィニッシングガム液を仕込むようにしている。
【0363】
ここで、PS版12を処理するときには、現像槽24内の電導度を測定し、電導度の測定値がしきい値を下回ったときに、しきい値を越えるようにアルカリ補充液として現像補充液B1を補充する。また、しきい値は、現像補充液B1の補充量に基づいて算出した液置換率Rに基づいて更新する。
【0364】
なお、PS版12は、クレオ社製プレートセッターTrendsetter 3244Fを用いて、(出力:9.0W、回転数:150rpm、解像度2400dpi、画像面積約20%)て露光処理を行った。
【0365】
その際、10m2現像処理する毎に、溶解抑制剤水溶液として下記組成の現像補充液(非イオン界面活性剤水溶液)C1を5ccずつ補充されるように、現像補充液C1の単位面積当たりの補充量を設定した。
【0366】
〔現像補充液C1の組成〕
・ポリエチレングリコール(重量平均分子量=1000) 10.0重量%
・水 90.0重量%
前記現像処理を完了し、製版されたPS版12の非画像部のアルカリ現像処理液に対する溶解性、及び画像部のアルカリ現像液に対する耐溶解性を評価した。評価は以下の基準により目視にて行った。評価結果を表2に示す。
【0367】
〔非画像部の溶解性〕
○:露光部分に残膜が全く残っていない
×:露光部分に部分的に残膜が残っている
〔画像部の耐溶解性〕
○:未露光部分がアルカリ現像処理液に全く溶解していない
△:未露光部分がアルカリ現像処理液にわずかであるが溶解し、画像濃度がやや低下している
×:未露光部分がアルカリ現像処理液に部分的に溶解し、画像濃度が低下している
【0368】
【表2】
Figure 0004102602
【0369】
表2で明らかなように、本実施例では、連続処理1000版に至るまで、画像部と非画像部とのオン/オフが良好な優れた画像形成ができ、また、1日に100版程度までの処理をしたときにも1ヶ月から2ヶ月にわたって安定に現像処理されていることがわかった。
(実施例2)
実施例2では、実施例1におけるアルカリ現像液A1、現像補充液(アルカリ補充液)B1、現像補充液(界面活性剤水溶液)C1をそれぞれ、下記アルカリ現像液A2、現像補充液(アルカリ補充液)B2、現像補充液(溶解抑制剤水溶液)C2に代えて現像処理を行った。
【0370】
このとき、実施例2では、現像液の電導度を測定して、測定値がしきい値を下回ったときに、現像補充液B1の補充を行った。また、このときのしきい値は、1日当たりのPS版12の処理頻度を演算し、この処理頻度に基づいて設定したしきい値を、現像補充液B2の液置換率に基づいて補正して用いる。
【0371】
さらに、現像補充液C2を実施例1と同様にして補充した。
【0372】
〔アルカリ現像液A2〕
・Dソルビット 5.0重量%
・水酸化ナトリウム 2.0重量%
・サーフロンS−121(旭硝子社製、第4級アンモニウム塩) 0.5重量%
・水 92.5重量%
〔現像補充液B2〕
・Dソルビット 6.3重量%
・水酸化ナトリウム 2.5重量%
・サーフロンS−121(旭硝子社製、第4級アンモニウム塩) 0.6重量%
・水 90.6重量%
〔現像補充液C2〕
・サーフロンS−121(旭硝子社製、第4級アンモニウム塩)10.0重量%
・水 90.0重量%
前記現像処理を完了し、製版されたPS版12の非画像部のアルカリ現像液に対する溶解性、及び画像部のアルカリ現像液に対する耐溶解性を実施例1と同様の基準により評価した。評価結果を下記表3に示す。
【0373】
【表3】
Figure 0004102602
【0374】
表3で明らかなように、溶解抑制剤としてカチオン界面活性剤を用いた場合でも、本実施例では、連続処理1000版に至るまで、画像部と非画像部とのオン/オフが良好な優れた画像形成ができ、また、1日に100版程度までの処理をしたときにも1ヶ月から2ヶ月にわたって安定に現像処理されていることがわかった。
(実施例3)
実施例3では、実施例1における現像処理工程において、アルカリ現像液A1、現像補充液(アルカリ補充液)B1、現像補充液(溶解抑制剤水溶液)C1をそれぞれ、下記アルカリ現像液A3、現像補充液(アルカリ補充液)B3、現像補充液(溶解抑制剤水溶液)C3に代えて現像処理を行った。
【0375】
このとき、実施例3では、現像液の電導度がしきい値を下回ると現像補充液B3を一定量ずつ補充する。また、経時疲労補充液比率を算出し、この経時疲労補充液比率に基づいて演算した処理疲労補充液置換率及び経時疲労補充液置換率に基づいてしきい値を設定する。
【0376】
また、現像補充液C3は、実施例1と同様にして補充するようにした。
【0377】
〔アルカリ現像液A3の組成〕
・SiO2・K2O 6.0重量%
(K2O/SiO2=1(モル比))
・リン酸三ナトリウム 2.0重量%
・アモーゲンK(第一工業製薬社製、ベタイン型化合物) 0.8重量%
・水 91.2重量%
〔現像補充液B3〕
・SiO2・K2O 8.0重量%
(K2O/SiO2=1(モル比))
・リン酸三ナトリウム 3.0重量%
・アモーゲンK(第一工業製薬社製、ベタイン型化合物) 1.0重量%
・水 88.0重量%
〔現像補充液C3〕
・アモーゲンK(第一工業製薬社製、ベタイン型化合物) 15.0重量%
・水 85.0重量%
前記現像処理を完了し、製版されたPS版12の非画像部のアルカリ現像処理液に対する溶解性、及び画像部のアルカリ現像処理液に対する耐溶解性を実施例1と同様の基準により評価した。評価結果を下記表4に示す。
【0378】
【表4】
Figure 0004102602
【0379】
表4で明らかなように、溶解抑制剤として両性界面活性剤を用いた場合でも、本実施例でば、連続処理1000版に至るまで、画像部と非画像部とのオン/オフが良好な優れた画像形成ができ、また、1日に100版程度までの処理をしたときにも1ヶ月から2ヶ月にわたって安定に現像処理されていることがわかった。
【0380】
溶解抑制剤水溶液の補充を行わない従来の補充方法では、PS版12の非画像部の溶解性と画像部の保護性のバランスが崩れ、画像部の溶解性が問題となっていたが、上記各実施例にも明らかなように、自動現像装置10では、現像液の電導度に基づいたアルカリ補充液(アルカリ現像補充液)の補充を行いながら、PS版12の処理面積に応じて溶解抑制剤を含む水溶液を補充することにより、長期間安定した現像性が確保でき、連続的な現像処理を行っても、現像性即ち、非画像部の溶解性を保持することができる。
【0381】
なお、以上説明した本実施の形態は、本発明の構成を限定するものではない。例えば、本実施の形態では、アルカリ現像補充液として用いたアルカリ補充液として、アルカリ現像補充液の原液とこのアルカリ現像補充液の原液を所定比率で希釈する希釈水を用いて、現像槽24内で混合するようにしたが、これに限らず、予めアルカリ現像補充液の原液を希釈水によって所定比率で希釈して調製したアルカリ現像補充液を用いるようにしても良い。
【0382】
また、本実施の形態に適用した自動現像装置10は、本発明が適用される自動現像装置の構成を限定するものではなく、本発明は、赤外線レーザ用の感光層が形成された任意の組成の印刷版を現像処理するものであれば、任意の構成の自動現像装置に適用することができる。
【0383】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、赤外線レーザ用感光層が形成された印刷版をアルカリ現像液によって現像処理するときに、アルカリ現像補充液を現像槽内のアルカリ現像液の電導度に基づいて補充すると共に、一つの版検出センサなどの版検出手段を用いた簡単な構成で、適正な処理面積を算出して溶解抑制剤を補充するようにしているため、印刷版を連続的に処理したときにも、長期にわたってコントラストに優れ、画像部分が損傷することない一定品質の画像形成が可能となるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に適用した自動現像装置の概略構成図である。
【図2】自動現像装置の配管系統を示す概略構成図である。
【図3】自動現像装置の制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図4】現像液の電導度に基づいたアルカリ補充液の補充処理の概略を示す流れ図である。
【図5】印刷版の処理量に基づいた溶解抑制剤水溶液の補充の概略を示す流れ図である。
【図6】(A)は現像補充液の補充量に対する電導度の変化の概略を示す線図、(B)は炭酸ガスの溶け込み量に応じた液置換率に対する電導度の変化の概略を示す線図である。
【図7】(A)は現像液中へのバインダー添加量に対する感度変化の概略を示す線図、(B)は現像液中への界面活性剤(PEG)の添加量に対する感度変化の概略を示す線図である。
【符号の説明】
10 自動現像装置
12 PS版(赤外線レーザ用型感光層が形成された印刷版)
14 現像部
24 現像槽
32 挿入口
122 電導度センサ(電導度検出手段)
124A 補充タンク(第1の補充手段)
124B 補充タンク(第2の補充手段)
128 給水タンク(第1の補充手段)
130 補充ポンプ(第1の補充手段)
134 給水ポンプ(第1の補充手段)
192 補充ポンプ(第2の補充手段)
200 制御部
202 コントローラ(電導度補充手段、しきい値設定手段)
210 版検出センサ(版検出手段)
212 メモリ(記憶手段)
214 処理面積算出手段
218 電導度演算手段
220 電導度比較手段

Claims (1)

  1. 支持体上に、水不溶性のアルカリ可溶性高分子化合物及び光を吸収して発熱する化合物を含有する赤外線レーザ用感光層が形成された印刷版を、現像槽に現像液として貯留しているアルカリ現像液によって現像処理しながら、所定のタイミングで現像槽へ補充液を補充する自動現像装置の補充液補充方法であって、
    電導度検出手段によって検出される前記現像槽内の前記アルカリ現像液の電導度が、現像槽内のアルカリ現像液中の現像補充液置換率、全補充液中の炭酸ガス疲労補充液比率又は処理疲労補充液比率の何れか少なくとも一つに基づいて算出して設定した現像槽内の現像液の電導度目標値を下回ったときに、アルカリ現像補充液を補充することにより現像槽内のアルカリ現像液の電導度を所定範囲に保つと共に、
    前記現像槽へ引き入れられる前記印刷版が通過する挿入口の近傍に設けた版検出手段によって検出する印刷版の通過時間から算出した印刷版の処理面積に基づいた量の溶解抑制剤を含む水溶液を前記現像槽へ補充することを特徴とする自動現像装置の補充液補充方法。
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