JP2006268023A - 感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法及びその自動現像装置 - Google Patents

感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法及びその自動現像装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2006268023A
JP2006268023A JP2006039806A JP2006039806A JP2006268023A JP 2006268023 A JP2006268023 A JP 2006268023A JP 2006039806 A JP2006039806 A JP 2006039806A JP 2006039806 A JP2006039806 A JP 2006039806A JP 2006268023 A JP2006268023 A JP 2006268023A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
developer
value
conductivity
replenishment amount
time
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006039806A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Sasayama
笹山  洋行
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2006039806A priority Critical patent/JP2006268023A/ja
Publication of JP2006268023A publication Critical patent/JP2006268023A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)

Abstract

【課題】自動現像装置の現像部を簡易で安価な構成としながら、現像処理条件の変化に対する現像液感度の変動を最小限に抑えることができる、感光性平版印刷版用自動現像装置の現像制御方法を提供する。
【解決手段】予め定めた一定の周期毎に現像液電導度を測定し、一定時間毎に予め定めた経時補充量設定値に基づいた量の現像補充液を経時補充液として補充し、一定面積の版処理毎に予め定めた処理補充量設定値に基づいた量の現像補充液を処理補充液として補充し、該経時補充液の量と該処理補充液の量から電導度演算値を算出し、この算出された電導度演算値と前記現像液電導度の測定値とを比較した結果に基づいて、前記経時補充量設定値と前記処理補充量設定値を増減し、更に、電導度演算値と現像液電導度の差分値を現像液活性度として表示する。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば感光性平版印刷版の自動現像装置の現像制御中方法及びその自動現像装置に関し、特に現像処理条件の変化に対する現像液感度の変動を最小限に抑える技術に関する。
一般に、感光性平版印刷版の自動現像装置では、現像液の感度を管理する手法として、現像液が貯留された現像槽内に現像補充液を経時的に補充するとともに、処理される平版印刷版の版面積を計測し、該計測値に応じた量の現像補充液を補充する現像補充液の経時及び処理補充方式(以下「面積経時基準補充方式」という)が採用されている。
しかしながら、このような面積経時基準補充方式では、自動現像装置の現像処理部に、高精度な平版印刷版の版面積測定装置が必要となり、構造の複雑化及びコスト高を招くという問題があった。また、平版印刷版の感光面が片面のみなのか両面なのか(以下「片面/両面」という)の判別、及び版種(感光層の塗布量が異なる版等)の判別が困難である。このため、平版印刷版の版面積・片面/両面・版種の変化に起因して必要な現像補充液の補充量が変化すると、現像補充量の補充を適正に行うことが困難になる問題があった。
そこで従来、例えば特許文献1に記載されるように、感光性平版印刷版用の自動現像装置の現像補充液補充方法として、現像液の電導度を測定するとともに、測定値を、予め実験で求めた最適感度を示す電導度値(以下、「適正電導度値」という。)と比較し、測定値が適正電導度値を下回った場合に、現像補充液を補充する補充方式(以下、「電導度基準補充方式」という。)があった。このような電導度基準補充方式では、例え処理される平版印刷版の版面積・片面/両面・版種が変化しても、適正な量の現像補充液の補充を行うことができ、現像液の感度を適正に保つことができる。
ところが、一般には、経時による炭酸ガスだけで疲労した現像液と、版処理だけで疲労した現像液とでは適正電導度値が異なるという経験的事実がある(シリケート系処理剤/経時疲労(炭酸ガス疲労)−補充回復時:65mS/cm、処理疲労−補充回復時:55mS/cm、非シリケート系処理剤/経時疲労−補充回復時:56mS/cm、処理疲労−補充回復時:39mS/cm)。そのため、上述した電導度基準補充方式では、処理頻度、例えば1日あたりの処理量が予想量と異なる場合、実際の経時補充量と処理補充量との比率も予想値と食い違うため、それぞれの適正電導度から算出される現像槽中の現像液全体の適正電導度値が変化し、事前に設定した適正電導度値との間に食い違いが生じて、現像液感度を適正に保つことができなくなってしまう問題が生じる。
これに対し、特許文献2、特許文献2を改良した特許文献3では、補充時間間隔を測定し、その時間間隔内に必要とされる経時補充量を求め、1回当たりの補充量からこの経時補充量を減算した値を処理補充量とみなすことで処理補充量と経時補充量をそれぞれ求め、得られた処理補充量と経時補充量の割合から算出される電導度値で現像液電導度を管理する自動現像装置を提案している。この手法によれば、処理される平版印刷版の版面積・片面/両面・版種が変化しても、処理補充量と経時補充量の割合を見積もることにより、適正な現像液電導度値を割り出すことができる。ただし、これらの方法では、自動現像装置の稼働時と停止時との炭酸ガスによる現像液疲労度の差(現像液温度差、液循環の有無、等)から生じる経時補充量の必要量の差異を検出できず、自動現像装置の停止時に跨る補充時間間隔からは正確な処理補充量と経時補充量の割合を求めることができないため誤った電導度値を基準値にしてしまう懸念がある。
そこで、特許文献4では、自動現像装置停止時に必要となる補充液を補充する自動現像装置起動時と、自動現像装置稼働時と、で異なる演算式を用いて電導度基準値を算出する手法を提案している。
特許第2516022号(特開昭64−21451号公報) 特開平9−96910号公報 特開2004−219452号公報 特開2004−212681号公報
しかしながら、上記の、補充時間間隔から算出した処理補充量と経時補充量の割合から求めた電導度値で現像液電導度を管理する方法では、経時疲労条件が異なる場合、正確な処理補充量と経時補充量の割合が求められない問題がある。経時疲労条件が異なる場合とは、例えば、周辺大気の炭酸ガス濃度が変化した場合や、あるいは、周辺大気の風速が変化した場合、等であり、前者に関しては、自動現像装置を設置した室内の作業者人数に依存して変化し、後者に関しては、空調装置の吹き出し口の位置や風量に依存して変化する、ことが知られている。つまり、上記の補充方法では、室内の作業者の人数の増減等によって、または、空調装置の状態によって、予め実験で定めた単位時間毎の経時補充量と実際の単位時間毎の経時補充量が食い違ってしまい、補充時間間隔から正確な経時補充量が求められず、誤った目標電導度値が算出される懸念がある。
また、以上のような従来の補充方式では、処理条件に応じて基準とする電導度基準値を自動的に変化させるので、現像液活性度が適正となる適正電導度値が一定の値とはならない。そのため、測定した現像液の電導度の値からは、現像液活性度が適切な状態かどうか判断することが難しく、機械の故障等による現像液活性度の異常を検出することが遅れてしまい、処理した版材を無駄にしてしまう可能性があった。
本発明はかかる事情に鑑み、自動現像装置の現像部を簡易で安価な構成としながら、現像処理条件の変化に対する現像液感度の変動を最小限に抑えることができる、感光性平版印刷版用自動現像装置の現像制御方法を提供することを目的としている。
本発明の上記目的は、下記(1)〜(9)の構成により達成された。
(1) 露光処理された多枚数の感光性平版印刷版を、電解質を含有する現像液で現像すると共に、現像補充液を補充して現像液活性を一定に保持する感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法であって、
予め定めた一定の周期毎に現像液電導度を測定し、一定時間毎に予め定めた経時補充量設定値に基づいた量の現像補充液を経時補充液として補充し、一定面積の版処理毎に予め定めた処理補充量設定値に基づいた量の現像補充液を処理補充液として補充し、該経時補充液の量と該処理補充液の量から電導度演算値を算出し、この算出された電導度演算値と前記現像液電導度の測定値とを比較した結果に基づいて、前記経時補充量設定値と前記処理補充量設定値を増減し、さらに、電導度演算値と現像液電導度の差分値を現像液活性度として表示することを特徴とする感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法。
(2) 露光処理された多枚数の感光性平版印刷版を、電解質を含有する現像液で現像すると共に、現像補充液を補充して現像液活性を一定に保持する感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法であって、
予め定めた一定の周期毎に現像液電導度を測定し、一定時間毎に予め定めた経時補充量設定値を経時補充量積算値に積算し、一定面積の版処理毎に予め定めた処理補充量設定値を処理補充量積算値に積算した後、
前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値の合計量が予め定めた補充量最低値を超えた場合、
(イ)前回補充した時点から現時点までの経過時間を計測し、該経過時間から電導度演算値を算出するステップと、
(ロ)前記電導度演算値と前記測定された現像液電導度値との差分値を現像液活性度として表示するステップと、
(ハ)該電導度演算値と、測定された前記現像液電導度値と、を比較した結果により前記経時補充量設定値と前記処理補充量設定値を変更するステップと、
(ニ)前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値の合計量の補充液を現像槽内の現像液に補充するステップと、
(ホ)前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値を初期化するステップと、
を実行することを特徴とする感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法。(3) 露光処理された多枚数の感光性平版印刷版を、電解質を含有する現像液で現像すると共に、現像補充液を補充して現像液活性を一定に保持する感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法であって、
予め定めた一定の周期毎に現像液電導度値を測定し、一定時間毎に予め定めた経時補充量設定値を経時補充量積算値に積算し、一定面積の版処理毎に予め定めた処理補充量設定値を処理補充量積算値に積算し、現像槽内の現像液における経時補充液の割合である経時補充比率を演算した後、
前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値の合計量が予め定めた補充量最低値を超えた場合、
(イ)前回補充した時点から現時点までの経過時間を計測し、該経過時間から第1電導度演算値を算出するステップと、、
(ロ)前記第1電導度演算値と前記測定された現像液電導度値との差分値を現像液活性度として表示するステップと、
(ハ)前記第1電導度演算値と、測定された前記現像液電導度値と、を比較した結果により前記経時補充量設定値と前記処理補充量設定値を変更するステップと、
(ニ)前記経時補充比率を用いて第2電導度演算値を算出するステップと、
(ホ)該第2電導度演算値と、測定された前記現像液電導度値と、を比較した結果により前記経時補充量設定値と前記処理補充量設定値を変更するステップと、
(ヘ)前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値の合計量の補充液を現像槽内の現像液に補充するステップと、
(ト)前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値を初期化するステップと、
を実行することを特徴とする感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法。
(4) 露光処理された多枚数の感光性平版印刷版を、電解質を含有する現像液で現像すると共に、現像補充液を補充して現像液活性を一定に保持する感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法であって、
予め定めた一定の周期毎に該現像液電導度値を測定し、一定時間毎に予め定めた経時補充量設定値を経時補充量積算値に積算し、一定面積の版処理毎に予め定めた処理補充量設定値を処理補充量積算値に積算し、現像槽内現像液における補充量の割合である補充液置換率を演算し、現像槽内現像液における経時補充液の割合である経時補充比率を演算した後、
前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値の合計量が予め定めた補充量最低値を超えた場合、
(イ)前回補充した時点から現時点までの経過時間を計測し、該経過時間と前記補充液置換率と、から第1電導度演算値を算出するステップと、
(ロ)前記第1電導度演算値と前記測定された現像液電導度値との差分値を現像液活性度として表示するステップと、
(ハ)前記第1電導度演算値と、測定された前記現像液電導度値と、を比較した結果により前記経時補充量設定値と前記処理補充量設定値を変更するステップと、
(ニ)前記補充液置換率と前記経時補充比率とを用いて第2電導度演算値を演算するステップと、
(ホ)前記第2電導度演算値と、測定された前記現像液電導度値と、を比較した結果により前記経時補充量設定値と前記処理補充量設定値を変更するステップと、
(ヘ)前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値の合計量の補充液を現像槽内の現像液に補充するステップと、
(ト)前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値を初期化するステップと、
を実行することを特徴とする感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法。
(5) 露光処理された多枚数の感光性平版印刷版を、電解質を含有する現像液で現像すると共に、現像補充液を補充して現像液活性を一定に保持する感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法であって、
予め定めた一定の周期毎に該現像液電導度値を測定し、一定時間毎に予め定めた経時補充量設定値を経時補充量積算値に積算し、一定面積の版処理毎に予め定めた処理補充量設定値を処理補充量積算値に積算し、現像槽内現像液における補充量の割合である補充液置換率を演算し、現像槽内現像液における経時補充液の割合である経時補充比率を演算した後、
前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値の合計量が予め定めた補充量最低値を超えた場合、
(イ)前回補充した時点から現時点までの経過時間を計測し、該経過時間と前記補充液置換率と、から第1電導度演算値を算出するステップと、
(ロ)前記第1電導度演算値と前記測定された現像液電導度値との差分値を現像液活性度として表示するステップと、
(ハ)前記第1電導度演算値と、測定された前記現像液電導度値と、を比較した結果により前記経時補充量設定値と前記処理補充量設定値を変更するステップと、
(ニ)前記補充液置換率と前記経時補充比率とを用いて第2電導度演算値を演算し、
(ホ)前記第2電導度演算値と、測定された前記現像液電導度値と、を比較した結果により前記経時補充量設定値と前記処理補充量設定値を変更するステップと、
(ヘ)前記現像液電導度値が前記第1電導度演算値より小さい場合は、前記補充量最低値の量の補充液を補充し、前記現像液電導度値が前記第1電導度演算値より大きい場合は、前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値の合計量の補充液を現像槽内の現像液に補充するステップと、
(ト)前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値を初期化するステップと、を実行することを特徴とする感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法。
(6) 予め現像液の活性度が適正範囲にある電導度値を目標電導度値として算出するとともに、自動現像装置の運転開始直後で且つ現像液の測定電導度値が目標電導度値を上回るまでの間は、予め定めた一定の周期毎に該現像液の電導度を測定し、この測定電導度値が前記目標電導度値より低い場合に、現像補充液を前記現像液に補充することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項記載の感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法。
(7) 前記現像液活性度が予め定めた現像液活性度下限値より下回っていた場合に警告1を発し、前記現像液活性度が予め定めた現像液活性度上限値より上回っていた場合に前記警告1とは異なる警告2を発する、ことを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項記載の感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法。
(8) 露光処理された多枚数の感光性平版印刷版を、電解質を含有する現像液で現像すると共に、現像補充液を補充して現像液活性を一定に保持する感光性平版印刷版自動現像装置であって、
前記感光性平版印刷版を現像液で現像する現像処理部と、
前記現像液の電導度を測定する電導度測定手段と、
現像補充液を前記現像液に補充する現像液補充手段と、
前記現像液電導度の測定値と現像液活性度が適正範囲となる電導度基準値との差分値である現像液活性度を表示する表示手段と、
を有し、(1)〜(6)のいずれか1項記載の現像制御方法に基づいて、前記現像補充液を前記現像液に補充することを特徴とする感光性平版印刷版自動現像装置。
(9) 露光処理された多枚数の感光性平版印刷版を、電解質を含有する現像液で現像すると共に、現像補充液を補充して現像液活性を一定に保持する感光性平版印刷版自動現像装置であって、
前記感光性平版印刷版を現像液で現像する現像処理部と、
前記現像液の電導度を測定する電導度測定手段と、
現像補充液を前記現像液に補充する現像液補充手段と、
前記現像液電導度の測定値と現像液活性度が適正範囲となる電導度基準値との差分値である現像液活性度を表示する表示手段と、
前記現像液活性度の異常を通知する警告発生手段と、
を有し、(7)の現像制御方法に基づいて、前記現像補充液を前記現像液に補充することを特徴とする感光性平版印刷版自動現像装置。
露光処理された多数枚の感光性平版印刷版を、電解質を含有する水溶液からなる現像液で現像する際に、測定した現像液電導度を用いてその時々の環境条件・処理条件に見合った経時補充量・処理補充量を求め、これに基づいた補充を行って現像液感度を安定に保つことで、簡易で安価な装置構成であるにも関わらず、処理頻度(処理補充量と経時補充量の割合)の変動による基準電導度の変化を補正し、且つ、環境炭酸ガス濃度が変化した場合や、異なる種類の感光材料を処理した場合でも、自動的にそれに見合った値に近づけていくことができるため、感度安定性が高い自動現像処理を実現できる。また、現像液活性度が明示されるので、たとえ現像液活性度に異常が生じても版材を無駄にすることがない。
本発明において、「現像補充液」とは、現像性能を一定に保つために補充する処理液のことである。一般に、この補充液として、補充液原液を希釈液(例、水)で希釈して調製されたものや、希釈することなく補充液原液そのままを用いるものがあるが、本発明では、「現像補充液」とは補充液原液を希釈液で希釈し調製したものを意味する。また、補充方法としては、予め希釈して調製した補充液を現像液に補充することもあれば、補充液原液と希釈液とを別々に直接現像液に補充する方法もある。
また、本発明において、現像液の電導度値を測定する電導度センサとしては交流電導度計、交流ブリッジ計あるいは、その他の電導度計などの公知の手段を用いることができる。又、該測定装置の測定電流値や発振周波数等は、現像液の組成等により最適条件は異なるが、電流値は装置的にも又水溶性の現像液の電気分解を防ぐ為にもある程度低いことが好ましく、数百mAから数μAが好ましい。又、周波数は、現像液中の静電容量成分との関係から、数百Hz〜数百kHzのものが好ましい。
電解質を含む現像液の電導度値は、水溶液の温度に依存し、液温が上がるとその値は低下する。従って、より好ましくは、温度センサーおよび温度補償回路を付した測定器で電導度値を測定するのが好ましい。また、補充を制御する制御装置において、実際に測定した液抵抗値と液温度から、予め定めた温度における電導度値に換算し温度補償することも可能である。交流電導度計、交流ブリッジ計あるいは、その他の電導度計のセンサー設置位置は、測定時に現像液に浸漬され、現像液の交流電導度値が測定できる場所であれば良く、例えば自動現像装置液の現像液循環系、特に現像タンク中もしくは、循環パイプ中が好ましい位置である。又検出部としては電極に白金、ステンレス等を用いた公知の測定セルを使用することができる。
以下、本発明に係る感光性平版印刷版の自動現像方法及びその自動現像装置の好適な実施の形態を説明する。
先ず、本発明のアルカリ性現像液について説明する。本発明のアルカリ性現像液は、現像スタート時に仕込む現像液(現像開始液と称する。)、あるいは現像補充液として使用できる。以下、特に記載しない限り、現像開始液と現像補充液を一括して現像液と称する。
本発明の現像液はアルカリ性の水溶液を基本組成とし、従来公知のアルカリ水溶液の中から適宜選択することができる。
アルカリ水溶液としては、ケイ酸アルカリ若しくは非還元糖と、塩基とからなる現像液が挙げられ、特にpH12.5〜14.0のものが好ましい。
前記ケイ酸アルカリとしては、水に溶解したときにアルカリ性を示すものであり、例えばケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどのアルカリ金属ケイ酸塩、ケイ酸アンモニウムなどが挙げられる。
ケイ酸アルカリは1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アルカリ水溶液は、ケイ酸塩の成分である酸化ケイ素SiOとアルカリ酸化物MO(Mはアルカリ金属又はアンモニウム基を表す。)との混合比率、及び濃度の調整により、現像性を容易に調節することができる。
前記アルカリ水溶液の中でも、前記酸化ケイ素SiOとアルカリ酸化物M2Oとの混合比率(SiO/MO:モル比)が0.5〜3.0のものが好ましく、この範囲にあると、平版印刷版の支持体として汎用のアルミニウム板をエッチングすることが少なく、現像性が良好である。SiO/MO(モル比)はさらに好ましくは1.0〜2.0である。
また、現像液中のケイ酸アルカリの濃度としては、良好な現像性及び処理能力並びに廃液処理の利便性から、アルカリ水溶液の質量に対して1〜10質量%が好ましく、3〜8質量%がより好ましく、4〜7質量%が最も好ましい。
非還元糖と塩基とからなる現像液において、非還元糖とは遊離性のアルデヒド基やケトン基を持たないために還元性を有しない糖類を意味し、還元基同士の結合したトレハロース型少糖類、糖類の還元基と非糖類が結合した配糖体、糖類に水素添加して還元した糖アルコールに分類される。本発明ではこれらのいずれも好適に用いることができる。
トレハロース型少糖類としては、例えばサッカロースやトレハロースが挙げられ、前記配糖体としては、例えばアルキル配糖体、フェノール配糖体、カラシ油配糖体などが挙げられる。
糖アルコールとしては、例えばD,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニット、D,L−イジット、D,L−タリット、ズルシット、アロズルシット、メソイノシットなどが挙げられる。さらには、二糖類の水素添加で得られるマルチトール、オリゴ糖の水素添加で得られる還元体(還元水あめ)なども好適に挙げることができる。
上記のうち、非還元糖としては、糖アルコール、サッカロースが好ましく、中でも特に、D−ソルビット、メソイノシット、サッカロース、還元水あめが適度なpH領域に緩衝作用がある点でより好ましい。
これらの非還元糖は単独でも、二種以上を組み合わせてもよく、現像液中に占める割合としては、0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
前記ケイ酸アルカリ若しくは非還元糖には、塩基としてアルカリ剤を従来公知の物の中から適宜選択して組み合わせることができる。
該アルカリ剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三アンモニウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウムなどの無機アルカリ剤、クエン酸カリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
さらにモノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も好適に挙げることができる。
これらのアルカリ剤は単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。その理由は、非還元糖に対する添加量を調整することにより、広いpH領域においてpH調整が可能となるためである。また、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどもそれ自身に緩衝作用があるので好ましい。
本発明の現像液は、カルボキシアルキルチオ無水コハク酸、カルボキシアルキルチオコハク酸及びそれらの塩類からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする。
上記カルボキシアルキルチオ無水コハク酸、カルボキシアルキルチオコハク酸及びそれらの塩類からなる群から選ばれる少なくとも1種として、下記一般式(I)又は(II)で表される化合物が挙げられる。本発明の現像液にはこのような化合物を1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
Figure 2006268023
(式(I)中、Rは炭素原子数1〜30のアルキレン基を表し、Mは水素原子、金属原子又はアンモニウムを表す。)
Figure 2006268023
(式(II)中、Rは炭素原子数1〜30のアルキレン基を表し、M、M及びMは各々独立に水素原子、金属原子又はアンモニウムを表す。)
上記式(I)で表されるカルボキシアルキルチオ無水コハク酸又はその塩類、上記式(II)で表されるカルボキシアルキルチオコハク酸又はその塩類において、R及びRはそれぞれ炭素原子数1〜30のアルキレン基であり、直鎖状でも分岐していてもよい。該アルキレン基の具体例としてエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基、ノナデシレン基、アイコシレン基、ヘンイコシレン基、ドコシレン基、トリコシレン基、テトラコシレン基、ペンタコシレン基、ヘキサコシレン基、オクタコシレン基、ノナコシレン基、トリアコンチレン基などが挙げられる。これらの中でも炭素数原子数1〜18のアルキレン基が好ましい。
上記式(I)及び上記式(II)において、M、M、M及びMが表す金属原子は一価に相当する金属原子であって、具体的にリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属である一価の金属原子、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、錫などが挙げられる。中でも、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムが好ましい。ここで金属原子として二価以上の金属原子については、該金属原子をその価数で除した仮想的な金属原子を一価に相当する金属原子とし、例えばカルシウム、マグネシウムなどの二価の金属であるときは、Ca1/2、Mg1/2などと表され、アルミニウムのような三価の金属のときはAl1/3と表される。実際は、一般式(I)で表される化合物においては、二価の金属原子の場合は、その1個が2分子を架橋する構造となり、三価の金属の場合は、その1個が3分子を架橋する構造となる。一方、一般式(II)で表される化合物においては、二価の金属原子1個がM、MおよびMのうち2に相当する。また、二価の金属原子は一般式(II)で表される化合物の1分子内のM、MおよびMのうちの2に相当してもよく、一般式(II)で表される化合物の2分子のM、MおよびMのうちの2に相当し、2分子を架橋する構造となってもよい。さらに、三価の金属原子は、一般式(II)で表される化合物の1分子ないし3分子のM、MおよびMのうちの3に相当する。
上記式(I)及び上記式(II)において、M、M、M及びMが表すアンモニウムは、NH4+、第一級アンモニウム、第二級アンモニウム及び第三級アンモニウムを包含し、第一級アンモニウム、第二級アンモニウム及び第三級アンモニウムにおいて置換基は炭素原子数1〜24の脂肪族基及び芳香族基であり得、該脂肪族基及び芳香族基は置換基を有していてもよく、例えば水酸基などで置換されていてもよい。第二級アンモニウム及び第三級アンモニウムにおいて、各々の二置換基及び三置換基は同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
上述のアンモニウム塩を誘導する有機アミンの例として、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミンなどの脂肪族アミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン、アニリンなどの芳香族アミン、モルホリン、ピリジン、ピロリジン、ピペリジンなどの複素環式アミンなどが挙げられる。これらの中で、特にモルホリンおよびアルカノールアミンが好適である。
本発明に用いる上記一般式(I)又は(II)で表される化合物は、常法により製造することができ、例えば特開平8−337891号公報に開示される方法で製造することができる。例えば無水マレイン酸にメルカプトカルボン酸又はその塩を付加することにより、一般式(I)で表されるカルボキシアルキルチオ無水コハク酸又はカルボキシアルキルチオ無水コハク酸塩が得られる。また、このようにして得られた一般式(I)で表される化合物を加水分解し、そのまま、あるいは適当な塩基性化合物で中和して塩とすることにより、一般式(II)で表される化合物を得ることができる。
本発明の現像液中、カルボキシアルキルチオ無水コハク酸、カルボキシアルキルチオコハク酸及びそれらの塩類からなる群から選ばれる少なくとも1種の含有量は0.001〜10.0質量%が適当であり、好ましくは0.01〜1.0質量%、より好ましくは0.05〜0.5質量%である。
アルカリ性現像液は、上記の通り、ケイ酸アルカリ若しくは非還元糖と、塩基を含む現像液を用いるが、そのカチオン成分として従来よりLi、Na、K、NH4+が用いられ、中でもイオン半径の小さいカチオンを多く含有する系では、画像記録層への浸透性が高く現像性に優れる一方、画像部まで溶解して画像欠陥を生ずる。従って、アルカリ濃度を上げるには、ある程度の限度があり、画像部に欠陥を生ずることなく、且つ非画像部に画像記録層(残膜)が残存しないように完全に処理するためには、微妙な液性条件の設定が要求された。
しかし、前記カチオン成分として、そのイオン半径の大きいカチオンを用いることにより、画像記録層中への現像液の浸透性を抑制することができ、アルカリ濃度、即ち、現像性を低下させることなく、画像部の溶解抑止効果をも向上させることができる。
前記カチオン成分としては、上記アルカリ金属カチオン及びアンモニウムイオンのほか、他のカチオンも用いることができる。
本発明の自動現像装置で用いられる現像液の使用態様は特に限定されるものではない。
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化及び標準化のため、印刷版用の自動現像装置が広く用いられている。本現像液は自動現像装置による現像処理に用いることができる。
このような自動現像装置は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷版を搬送する装置と各処理槽及びスプレー装置からなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロールなどによって印刷版を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間などに応じて補充液を補充しながら処理することができる。
この場合、現像開始液よりもアルカリ強度の高い水溶液を現像補充液として現像液中に加えることによって、長時間現像タンク中に現像液を交換することなく多量の画像形成材料を処理できる。本発明の製版方法においても、この補充方式を採用することが好ましい態様である。
現像液には、現像性の促進や抑制、現像カスの分散及び印刷版画像部の親インキ性を高める目的で、必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤などを添加することもできる。
界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系又は両性界面活性剤から選択できる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー等のポリエチレングリコール類、ポリエチレングリコールセチルエーテル、ポリエチレングリコールステアリルエーテル、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリエチレングリコールベヘニルエーテル等のポリエチレングリコールアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールセチルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールデシルテトラデシルエーテル等のポリエチレングリコールポリプロピレングリコールアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル等のポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル類、モノステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ステアリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリル酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、モノミリスチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル等のグリセリル脂肪酸エステル類、及びそのポリエチレンオキサイド付加物類、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、及びそのポリエチレンオキサイド付加物類、モノラウリン酸ソルビット、テトラステアリン酸ソルビット、ヘキサステアリン酸ソルビット、テトラオレイン酸ソルビット等のソルビット脂肪酸エステル類、及びそのポリエチレンオキサイド付加物類、ヒマシ油のポリエチレンオキサイド付加物類等を挙げることができる。
アニオン界面活性剤としては、例えば脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、αオレフィンスルホン酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類などが好適に挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えばアルキルアミン塩類、テトラブチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体などが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばカルボキシベタイン類、アルキルアミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミダゾリン類などが挙げられる。
現像液中における界面活性剤濃度としては、0.001〜10質量%が適当であって、0.005〜1質量%がより好ましく、0.01〜0.5質量%が最も好ましい。
現像液には、さらに現像性能を高める目的で、以下のような添加剤を加えることができる。
例えば特開昭58−75152号公報に記載のNaCl、KCl、KBrなどの中性塩、特開昭58−190952号公報に記載のEDTA、NTAなどのキレート剤、特開昭59−121336号公報に記載の[Co(NH]Cl、CoCl・6HOなどの錯体、特開昭50−51324号公報に記載のアルキルナフタレンスルホン酸ソーダ、n−テトラデシル−N,N−ジヒドロキシエチルベタインなどのアニオン又は両性界面活性剤、米国特許第4,374,920号明細書に記載のテトラメチルデシンジオールなどの非イオン性界面活性剤、特開昭55−95946号公報に記載のp−ジメチルアミノメチルポリスチレンのメチルクロライド4級化合物などのカチオニックポリマー、特開昭56−142528号公報に記載のビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドとアクリル酸ソーダとの共重合体などの両性高分子電解質、特開昭57−192951号公報に記載の亜硫酸ソーダなどの還元性無機塩、特開昭58−59444号公報に記載の塩化リチウムなどの無機リチウム化合物、特開昭59−75255号公報に記載の有機Si、Tiなどを含む有機金属界面活性剤、特開昭59−84241号公報に記載の有機ホウ素化合物、EP101010号明細書に記載のテトラアルキルアンモニウムオキサイドなどの4級アンモニウム塩等が挙げられる。
また、現像液に含める有機溶剤としてはベンジルアルコールなどが好ましい。また、ポリエチレングリコールもしくはその誘導体、又はポリプロピレングリコールもしくはその誘導体などの添加も好ましい。
さらに必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸又は亜硫酸水素酸のナトリウム塩若しくはカリウム塩などの無機塩系還元剤、有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加えることもできる。
本発明のアルカリ性現像液は、種々の感光性平版印刷版の現像処理に用いることができる。
従って本発明は、感光性平版印刷版を露光後、上記のアルカリ性現像液で現像することを含む、平版印刷版の製版方法に向けられている。
本発明のアルカリ性現像液を適用することができる感光性平版印刷版は、支持体上に感光層、感熱層などの画像記録層を設けた種々の感光性平版印刷版を挙げることができる。例えば、そのような感光性平版印刷版としてコンベンショナルポジタイプ、コンベンショナルネガタイプ、フォトポリマータイプ、サーマルポジタイプ、サーマルネガタイプなどが好適に挙げられる。ここでいうコンベンショナルとは、透明陽画又は透明陰画を通して、画像様露光をする従来型の平版印刷版原版をさす。
以下、これらの種々の画像記録層について説明する。
<コンベンショナルポジタイプ>
コンベンショナルポジタイプの感光性樹脂組成物の好ましいものとして、o−キノンジアジド化合物とアルカリ可溶性高分子化合物とを含有する組成物が挙げられる。o−キノンジアジド化合物としては、例えば、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとフェノール・ホルムアルデヒド樹脂またはクレゾール・ホルムアルデヒド樹脂とのエステルや、米国特許第3,635,709号明細書に記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとピロガロール・アセトン樹脂とのエステルがある。アルカリ可溶性高分子化合物は例えば、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂、フェノール・クレゾール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂、ポリヒドロキシスチレン、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドの共重合体、特開平7−36184号公報に記載されているカルボキシ基含有ポリマー等が挙げられる。また、特開昭51−34711号公報に記載されているようなフェノール性ヒドロキシ基を含有するアクリル系樹脂、特開平2−866号に記載されているスルホンアミド基を有するアクリル系樹脂や、ウレタン系の樹脂等、種々のアルカリ可溶性の高分子化合物も用いることができる。さらに感光性樹脂組成物には、特開平7−92660号公報[0024]〜[0027]で示されている感度調節剤、焼出剤、染料等の化合物や同公報[0031]で示されているような塗布性を良化するための界面活性剤を加えることが好ましい。
<コンベンショナルネガタイプ>
コンベンショナルネガタイプの感光性樹脂組成物としては、ジアゾ樹脂とアルカリ可溶性または膨潤性の高分子化合物(結合剤)とを含有するものが挙げられる。ジアゾ樹脂としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩とホルムアルデヒド等の活性カルボニル基含有化合物との縮合物が挙げられ、さらに例えば、p−ジアゾフェニルアミン類とホルムアルデヒドとの縮合物とヘキサフルオロリン酸塩またはテトラフルオロホウ酸塩との反応生成物である有機溶媒可溶性ジアゾ樹脂無機塩が挙げられる。特に、特開昭59−78340号公報に記載されている6量体以上を20モル%以上含んでいる高分子量ジアゾ化合物が好ましい。好適な結合剤としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸またはマレイン酸を必須成分として含む共重合体、例えば、特開昭50−118802号公報に記載されているような2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸等のモノマーの多元共重合体や、特開昭56−4144号公報に記載されているようなアルキルアクリレート、(メタ)アクリロニトリル、および、不飽和カルボン酸からなる多元共重合体を挙げることができる。さらに感光性樹脂組成物には、特開平7−281425号公報[0014]〜[0015]で示されている焼出剤、染料、塗膜の柔軟性や耐摩耗性を付与するための可塑剤、現像促進剤等の化合物、塗布性を良化するための界面活性剤を加えることが好ましい。上述したコンベンショナルタイプのポジ型もしくはネガ型感光層の下層としては、特開2000−105462号公報に記載されている、酸基を有する構成成分とオニウム基を有する構成成分とを有する高分子化合物を含有する中間層を設けることが好ましい。
<フォトポリマータイプ>
(感光層)
フォトポリマータイプの光重合型感光性組成物(以下「光重合性組成物」という)は、付加重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物(以下、単に「エチレン性不飽和結合含有化合物」という)と、光重合開始剤と、高分子結合剤とを必須成分として含有し、必要に応じて、着色剤、可塑剤、熱重合禁止剤等の種々の化合物を含有する。
光重合性組成物に含有されるエチレン性不飽和結合含有化合物は、光重合性組成物が活性光線の照射を受けた場合に、光重合開始剤の作用により付加重合し、架橋し硬化するようなエチレン性不飽和結合を有する化合物である。エチレン性不飽和結合含有化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物の中から任意に選択することができ、例えば、モノマー、プレポリマー(即ち、2量体、3量体およびオリゴマー)、これらの混合物、これらの共重合体等の化学的形態を有する。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドが挙げられる。またウレタン系付加重合性化合物も好適である。
光重合性組成物に含有される開始剤としては、使用する光源の波長により、種々の光重合開始剤または2種以上の光重合開始剤の併用系(光開始系)を適宜選択して用いることができ、例えば、特開2001−22079号公報[0021]〜[0023]で示されている開始系が好ましい。光重合性組成物に含有される高分子結合剤は、光重合性組成物の皮膜形成剤として機能するだけでなく、感光層をアルカリ現像液に溶解させる必要があるため、アルカリ水に可溶性または膨潤性である有機高分子重合体が使用される。上記高分子としては同公報[0036]〜[0063]で示されている物が有用である。その他光重合性組成物には、同公報[0079]〜[0088]で示されている添加剤(例えば塗布性を良化するための界面活性剤)を加えることも好ましい。
また、上記感光層の上に、酸素の重合禁止作用を防止するために酸素遮断性保護層を設けることが好ましい。酸素遮断性保護層に含有される重合体としては、ポリビニルアルコールその共重合体が挙げられる。さらにフォトポリマータイプの感光層の下層として特開2001−228608号公報[0124]〜[0165]で示されているような中間層もしくは接着層を設けるのも好ましい。
<サーマルポジタイプ>
(感熱層)
サーマルポジタイプの感熱層は、アルカリ可溶性高分子化合物と光熱変換物質とを含有する。このアルカリ可溶性高分子化合物は、高分子中に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体、およびこれらの混合物を包含し、特に下記(1)や(2)のような酸性基を有するものが、アルカリ現像液に対する溶解性の点で好ましい:(1)フェノール性ヒドロキシ基(−Ar−OH)、(2)スルホンアミド基(−SONH−R)。とりわけ、赤外線レーザ等による露光での画像形成性に優れる点で、フェノール性ヒドロキシ基を有することが好ましく、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−およびm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂;ピロガロールアセトン樹脂が好ましく挙げられる。さらに詳しくは特開2001−305722号公報の[0023]〜[0042]で示されている高分子が好ましく用いられる。光熱変換物質は、露光エネルギーを熱に変換して感熱層の露光部領域の相互作用解除を効率よく行うことを可能とする。記録感度の観点から、波長700〜1200nmの赤外域に光吸収域がある顔料または染料が好ましい。染料としては。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体(例えば、ニッケルチオレート錯体)等の染料を用いることができる。中でも、シアニン染料が好ましく、特開2001−305722号公報の一般式(I)で示されたシアニン染料を挙げることができる。サーマルポジタイプの組成物中には、前記コンベンショナルポジタイプで記述した物と同様の感度調節剤、焼出剤、染料等の化合物や塗布性を良化するための界面活性剤を加えることが好ましく、詳しくは特開2001−305722号公報の[0053]〜[0059]で示されている化合物が好ましい。
サーマルポジタイプの感熱層は単層でもよいし、特開平11−218914号公報に記載されているような2層構造として設けてもよい。
サーマルポジタイプの感熱層と支持体との間には、下塗層を設けることが好ましい。下塗層に含有される成分としては特開2001−305722号公報の[0068]で示された種々の有機化合物が挙げられる。
<サーマルネガタイプ>
(感熱層)
サーマルネガタイプの感熱層は、赤外線レーザ照射部が硬化して画像部を形成するネガ型の感熱層である。
このようなサーマルネガタイプの感熱層の一つとして、重合型の層が好適に挙げられる。重合層は、(A)赤外線吸収剤と、(B)ラジカル発生剤(ラジカル重合開始剤)と、発生したラジカルにより重合反応を起こして硬化する(C)ラジカル重合性化合物と、(D)バインダーポリマーとを含有する。
重合層においては、赤外線吸収剤が吸収した赤外線を熱に変換し、この際発生した熱により、オニウム塩等のラジカル重合開始剤が分解し、ラジカルが発生する。ラジカル重合性化合物は、末端エチレン性不飽和結合を有する化合物から選ばれ、発生したラジカルにより連鎖的に重合反応が生起し、硬化する。(A)赤外線吸収剤としては、例えば、前述したサーマルポジタイプの感熱層に含有される前記光熱変換物質が挙げられるが、特にシアニン色素の具体例としては特開2001−133969号公報の段落番号[0017]〜[0019]に記載されたものを挙げることができる。(B)ラジカル発生剤としては、オニウム塩が挙げられ、好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落番号[0030]〜[0033]に記載されたものを挙げることができる。(C)ラジカル重合性化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。(D)バインダーポリマーとしては線状有機ポリマーを用いることが好ましく、水または弱アルカリ水に可溶性または膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。特にこれらの中で、ベンジル基またはアリル基と、カルボキシ基とを側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂が、膜強度、感度および現像性のバランスに優れており、好適である。(C)ラジカル重合性化合物および(D)バインダーポリマーに関しては同公報[0036]〜[0060]に詳しく記載された物が使用できる。その他の添加物としては、同公報[0061]〜[0068]で示されている添加剤(例えば塗布性を良化するための界面活性剤)を加えることも好ましい。
また、重合型のほかに、サーマルネガタイプの感熱層の一つとして、酸架橋型の層が好適に挙げられる。酸架橋層は、(E)光または熱により酸を発生する化合物(以下「酸発生剤」という。)と、(F)発生した酸により架橋する化合物(以下「架橋剤」という。)とを含有し、更に、酸の存在下で架橋剤と反応しうる(G)アルカリ可溶性高分子化合物を含有する。赤外線レーザのエネルギーを効率よく使用するため、酸架橋層には(A)赤外線吸収剤が配合される。(E)酸発生剤としては、光重合の光開始剤、色素類の光変色剤、マイクロレジスト等に使用されている酸発生剤等の、熱分解して酸を発生しうる化合物が挙げられる。(F)架橋剤には、(i)ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換された芳香族化合物、(ii)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基またはN−アシルオキシメチル基を有する化合物、または(iii)エポキシ化合物が挙げられる。(G)アルカリ可溶性高分子化合物としては、ノボラック樹脂、側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマー等が挙げられる。
<バックコート層>
各種の画像記録層を設けて得られた感光性平版印刷版の裏面には、必要に応じて、重ねた場合における画像記録層の傷付きを防止するために、有機高分子化合物からなる被覆層(「バックコート層」という。)を設けることができる。
<露光>
感光性平版印刷版には、その画像記録層に応じた種々の処理方法により、像露光が施される。像露光に用いられる活性光線の光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプが挙げられる。レーザビームとしては、例えば、ヘリウム・ネオンレーザ(He−Neレーザ)、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、ヘリウム・カドミウムレーザ、KrFエキシマーレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、YAG−SHGレーザが挙げられる。
本発明のアルカリ性現像液は、特に、赤外線感光性平版印刷版からの製版に好適に用いられる。従ってここではまた、支持体上に感光層を有し、該感光層(以下、感熱層とも呼ぶ。)が赤外線吸収染料及びアルカリ可溶性樹脂を含んでいる赤外線感光性平版印刷版を露光後、上記に詳述したアルカリ性現像液にて現像処理することを含む平版印刷版の製版方法に触れる。
以下に赤外線感光性平版印刷版について詳しく説明する。先ず、その画像記録層となる感熱層の成分について説明する。
〔赤外線吸収染料〕
感熱層に用いられる赤外線吸収染料は、赤外線を吸収し熱を発生する染料であれば特に制限はなく、赤外線吸収染料として知られる種々の染料を用いることができる。
赤外線吸収染料としては、市販の染料及び文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料などの染料が挙げられる。本発明において、これらの染料のうち赤外光、もしくは近赤外光を吸収するものが、赤外光もしくは近赤外光を発光するレーザーでの利用に適する点で特に好ましい。
そのような赤外光、もしくは近赤外光を吸収する染料としては例えば特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−59240号、特開昭60−63744号公報等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号公報等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、染料として米国特許5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報記載のシアニン染料、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号広報に開示されているピリリウム化合物等が、市販品としては、エポリン社製のEpolight III−178、Epolight III−130、Epolight III−125等が特に好ましく用いられる。
感熱層に用いられる赤外線吸収染料で特に好ましいものとして米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている赤外線吸収染料を挙げることができる。該色素はアルカリ化溶性樹脂と非常に強い相互作用を示し、感熱層の未露光部耐アルカル現像性において優れる。
感熱層の赤外線吸収染料の添加量は感熱層質量に対し、感度と層の耐久性の観点から3〜50質量%が適当であり、好ましくは5〜40質量%、更に好ましくは8〜35質量%である。
以下に赤外線吸収染料の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006268023
〔アルカリ可溶性樹脂〕
感熱層に使用されるアルカリ可溶性樹脂は、水不溶性且つアルカリ水可溶性の樹脂(以下、適宜、アルカリ可溶性高分子と称する)とは、高分子中の主鎖および/または側鎖に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体またはこれらの混合物を包含する。したがって、感光性平版印刷版の感熱層は、アルカリ性現像液に接触すると溶解する特性を有するものである。
感熱層に使用されるアルカリ可溶性高分子は、従来公知のものであれば特に制限はないが、(1)フェノール性水酸基、(2)スルホンアミド基、(3)活性イミド基のいずれかの官能基を分子中に有する高分子化合物であることが好ましい。例えば以下のものが例示されるが、これらに限定されるものではない。
(1)フェノール性水酸基を有する高分子化合物としては、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂やピロガロールアセトン樹脂が挙げられる。フェノール性水酸基を有する高分子化合物としてはこの他に、側鎖にフェノール性水酸基を有する高分子化合物を用いることが好ましい。側鎖にフェノール性水酸基を有する高分子化合物としては、フェノール性水酸基と重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げられる。
フェノール性水酸基を有する重合性モノマーとしては、フェノール性水酸基有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、又はヒドキシスチレン等が挙げられる。具体的にはN−(2−ヒドキシフェニル)アクリルアミド、N−(3−ヒドキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドキシフェニル)アクリルアミド、N−(2−ヒドキシフェニル)メタクリルアミド、N−(3−ヒドキシフェニル)メタクリルアミド、N−(4−ヒドキシフェニル)メタクリルアミド、o−ヒドキシフェニルアクリレート、m−ヒドキシフェニルアクリレート、p−ヒドキシフェニルアクリレート、o−ヒドキシフェニルメタクリレート、m−ヒドキシフェニルメタクリレート、p−ヒドキシフェニルメタクリレート、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート等を好適に使用することができる。かかるフェノール性水酸基を有する樹脂は、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。更に、米国特許4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの共重合体を併用してもよい。
(2)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性高分子化合物としては、スルホンアミド基を有する重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げられる。スルホンアミド基を有する重合性モノマーとしては、1分子中に、窒素原子上に少なくとも1つの水素原子が結合したスルホンアミド基−NH−SO−と、重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーが挙げられる。その中でも、アクリロイル基、アリル基、又はビニロキシ基と、置換或いはモノ置換アミノスルホニル基又は置換スルホニルイミノ基とを有する低分子化合物が好ましい。
(3)活性イミド基を有するアルカリ可溶性高分子化合物は、活性イミド基を分子内に有するものが好ましく、この高分子化合物としては、1分子中に活性イミド基と重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げられる。
このような化合物としては、具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
更に、アルカリ可溶性高分子化合物としては、前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、及び活性イミド基を有する重合性モノマーのうち2種類以上を重合させた高分子化合物、或いはこれら2種類以上の重合性モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物を使用することが好ましい。フェノール性水酸機を有する重合性モノマーに、スルホンアミド基を有する重合性モノマー及び/又は活性イミド基を有する重合性モノマーを共重合させる場合には、これら成分の配合重合比(質量比)は50:50から5:95の範囲にあることが好ましく、40:60から10:90の範囲にあることが特に好ましい。
アルカリ可溶性高分子が前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、又は活性イミド基を有する重合性モノマーと、他の重合性モノマーとの共重合体である場合には、アルカリ可溶性を付与するモノマーは10モル%以上含むことが好ましく、20モル%以上含むものがより好ましい。共重合成分が10モル%より少ないと、アルカリ可溶性が不十分となりやすく、現像ラチチュードの向上効果が十分達成されないことがある。
前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、又は活性イミド基を有する重合性モノマーと共重合させるモノマー成分としては、下記(m1)〜(m12)に挙げる化合物を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
(m1)2−ヒドキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸機を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸―2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。
(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチルーN―フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(m5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α―メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリルニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(m12)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
アルカリ可溶性高分子化合物としては、赤外線レーザー等による露光での画像形成性に優れる点で、フェノール性水酸基を有することが好ましく、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合いずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂やピロガロールアセトン樹脂が好ましく挙げられる。
また、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性高分子化合物としては、更に、米国特許第4,123,279号明細書にきさいされているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体が挙げられる。
アルカリ可溶性高分子化合物の共重合の方法としては、従来知られている、グラフト共重合、ブロック共重合、ランダム共重合法等を用いることができる。
本発明においてアルカリ可溶性高分子が、前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、又は活性イミド基を有する重合性モノマーの単独重合体或いは共重合体の場合、重量平均分子量が2,000以上、数平均分子量が500以上のものが好ましい。更に好ましくは、重量平均分量が5,000〜300,000で、数平均分子量が800〜250,000であり、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜10のものである。
また、本発明においてアルカリ可溶性高分子がフェノールホルムアルデヒド樹脂、クレゾールアルデヒド樹脂等の樹脂である場合には、重量平均分子量が500〜20.000であり、数平均分子量が200〜10,000のものが好ましい。
これらアルカリ可溶性高分子化合物は、それぞれ1種類或いは2種類以上を組み合わせて使用してよく、感熱層の感度と耐久性の両面から、前記感熱層全固形分中、30〜99質量%、好ましくは40〜95質量%、特に好ましくは50〜90質量%の添加量で用いられる。
感熱層にはまた、カルボキシル基を有するアルカリ可溶性高分子化合物(以下(B1)成分ということもある。)を含ませてもよい。
(B1)成分の高分子化合物としては、カルボキシル基を有するアルカリ可溶性高分子化合物であれば何れでもよいが、下記で定義される高分子化合物(b1−1)、(b1−2)が好ましい。
(b1−1)下記一般式(i)で表される重合性モノマー単位を有するアルカリ可溶性高分子化合物(以下、高分子化合物(b1−1)ともいう)
Figure 2006268023
(式中、Xmは単結合又は2価の連結基を、Yは水素又はカルボキシル基を、Zは水素、アルキル基又はカルボキシル基を表す。)
一般式(i)で表される重合性モノマー単位を構成するモノマーとして、カルボキシル基と、重合可能な不飽和基を分子内にそれぞれ1以上有する重合性モノマーがある。
そのような重合性モノマーの具体例として、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等のα、β−不飽和カルボン酸類を挙げることができる。
上記カルボキシル基を有する重合性モノマーと共重合させるモノマーとしては、例えば下記(1)〜(11)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(1)2−ヒドロキエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類。
(2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリレート等のアルキルアクリレート。
(3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
(4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド又はメタクリルアミド。
(5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(10)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
また、下記一般式(ii)のモノマーも好ましく用いられる。
Figure 2006268023
式中、XはO、S、又はN−R12を表す。R10〜R12は、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。m、n、oは、各々独立に、2から5の整数を表し、C2m、C2n、CoH2oは、各々、直鎖でも分岐構造でもよい。p、q、rは各々独立に、0から3,000の整数を表し、p+q+r≧2である。
10〜R12におけるアルキル基としては、炭素原子数1〜12のものが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。p、q、rは好ましくは0から500の整数を表し、更に好ましくは0から100の整数を表す。
上記一般式(ii)で表される繰り返し単位に相当するモノマーの例を以下に挙げるが、この限りではない。
Figure 2006268023
Figure 2006268023
上記一般式(ii)で表される繰り返し単位は、市販のヒドロキシポリ(オキシアルキレン)材料、例えば商品名プルロニック(Pluronic(旭電化工業(株)製)、アデカポリエーテル(旭電化工業(株)製)、カルボワックス(Carbowax(グリコ・プロダクス))、トリトン(Toriton(ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas製)、およびP.E.G(第一工業製薬(株)製)として販売されているものを公知の方法でアクリル酸、メタクリル酸、アクリルクロリド、メタクリルクロリド又は無水アクリル酸等と反応させることによって製造できる。
別に、公知の方法で製造したポリ(オキシアルキレン)ジアクリレート等を用いることもできる。
市販品のモノマーとしては、日本油脂株式会社製の水酸基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしてブレンマーPE−90、ブレンマーPE−200、ブレンマーPE−350、ブレンマーAE−90、ブレンマーAE−200、ブレンマーAE−400、ブレンマーPP−1000、ブレンマーPP−500、ブレンマーPP−800、ブレンマーAP−150、ブレンマーAP−400、ブレンマーAP−550、ブレンマーAP−800、ブレンマー50PEP−300、ブレンマー70PEP−350B、ブレンマーAEPシリーズ、ブレンマー55PET−400、ブレンマー30PET−800、ブレンマー55PET−800、ブレンマーAETシリーズ、ブレンマー30PPT−800、ブレンマー50PPT−800、ブレンマー70PPT−800、ブレンマーAPTシリーズ、ブレンマー10PPB−500B、ブレンマー10APB−500Bなどが挙げられる。同様に日本油脂株式会社製のアルキル末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしてブレンマーPME−100、ブレンマーPME−200、ブレンマーPME−400、ブレンマーPME−1000、ブレンマーPME−4000、ブレンマーAME−400、ブレンマー50POEP−800B、ブレンマー50AOEP−800B、ブレンマーPLE−200、ブレンマーALE−200、ブレンマーALE−800、ブレンマーPSE−400、ブレンマーPSE−1300、ブレンマーASEPシリーズ、ブレンマーPKEPシリーズ、ブレンマーAKEPシリーズ、ブレンマーANE−300、ブレンマーANE−1300、ブレンマーPNEPシリーズ、ブレンマーPNPEシリーズ、ブレンマー43ANEP−500、ブレンマー70ANEP−550など、また共栄社化学株式会社製ライトエステルMC、ライトエステル130MA、ライトエステル041MA、ライトアクリレートBO−A、ライトアクリレートEC−A、ライトアクリレートMTG−A、ライトアクリレート130A、ライトアクリレートDPM−A、ライトアクリレートP−200A、ライトアクリレートNP−4EA、ライトアクリレートNP−8EAなどが挙げられる。
高分子化合物(b1−1)におけるカルボキシル基と、重合可能な不飽和基とを分子内にそれぞれ1以上有する重合性モノマー成分を有する最小構成単位は、特に1種類のみである必要はなく、同一の酸性基を有する最小構成単位を2種以上、または異なる酸性基を有する最小構成単位を2種以上共重合させたものを用いることもできる。
共重合の方法としては、従来知られているグラフト共重合、ブロック共重合、ランダム共重合法などを用いることができる。
(b1−2)カルボキシル基を有する下記一般式(iii)、(iv)または(v)で表されるジオール化合物と下記一般式(viii)で表されるジイソシアネート化合物との反応生成物を基本骨格とするカルボキシル基を有するアルカリ可溶性高分子化合物(以下、高分子化合物(b1−2)ともいう。)
Figure 2006268023
13は水素原子、置換基(例えばアルキル、アリール、アルコキシ、エステル、ウレタン、アミド、ウレイド、ハロゲノの各基が好ましい。)を有していてもよいアルキル、アルケニル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ基を示し、好ましくは水素原子、炭素原子数1〜8個のアルキル基もしくは炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数6〜15個のアリール基を示す。
14、R15、R16はそれぞれ同一でも相異していてもよい、単結合、置換基(例えばアルキル、アルケニル、アラルキル、アリール、アルコキシ及びハロゲノの各基が好ましい。)を有していてもよい二価の脂肪族又は芳香族炭化水素を示す。好ましくは炭素原子数1〜20のアルキレン基、炭素原子数6〜15のアリーレン基、更に好ましくは炭素原子数1〜8個のアルキレン基を示す。
また、必要に応じ、R14、R15、R16中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエステル基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基、炭素−炭素不飽和結合を有していてもよい。なお、R13、R14、R15、R16のうちの2又は3個で環を構成してもよい。
Arは置換基を有していてもよい三価の芳香族炭化水素を示し、好ましくは炭素原子数6〜15個の芳香族基を示す。
OCN−R18−NCO (viii)
式中、R18は置換基(例えばアルキル、アルケニル、アラルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲノの各基が好ましい。)を有していてもよい二価の脂肪族又は芳香族炭化水素を示す。必要に応じ、R18中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエステル、ウレタン、アミド、ウレイド基、炭素−炭素不飽和結合を有していてもよい。
一般式(iii)、(iv)又は(v)で示されるカルボキシル基を有するジオール化合物としては具体的には以下に示すものが含まれる。
即ち、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシ−プロピオンアミドなどが挙げられる。
該(b1−2)のカルボキシル基を有するアルカリ可溶性高分子化合物は、下記一般式(vi)又は(vii)で表されるジオールを組み合わせた反応生成物であると好ましい。
Figure 2006268023
式中、R17はそれぞれ水素原子又は炭素原子数1〜8のアルキル基を示し、nは2以上の整数を示す。R17における炭素原子数1〜8のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基などが挙げられる。
以下に、上記一般式(vi)又は(vii)で表されるジオールの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(vi)の具体例
HO−(−CHCHO−)−H
HO−(−CHCHO−)−H
HO−(−CHCHO−)−H
HO−(−CHCHO−)−H
HO−(−CHCHO−)−H
HO−(−CHCHO−)−H
HO−(−CHCHO−)10−H
HO−(−CHCHO−)12−H
ポリエチレングリコール(平均分子量1000)
ポリエチレングリコール(平均分子量2000)
ポリエチレングリコール(平均分子量4000)
HO−(−CHCH(CH)O−)−H
HO−(−CHCH(CH)O−)−H
HO−(−CHCH(CH)O−)−H
ポリプロピレングリコール(平均分子量1000)
ポリプロピレングリコール(平均分子量2000)
ポリプロピレングリコール(平均分子量4000)
(vii)の具体例
HO−(−CHCHCHO−)−H
HO−(−CHCHCHO−)−H
HO−(−CHCHCHO−)−H
HO−(−CHCHCH(CH)O−)12−H
一般式(viii)で示されるジイソシアネート化合物として、具体的には以下に示すものが含まれる。
すなわち、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、2,6−トリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネートなどの如き芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートなどの如き脂肪族ジイソシアネート化合物、イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)−ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどの如き脂肪族ジイソシアネート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体などの如きジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物などが挙げられる。
高分子化合物(b1−2)の合成に使用するジイソシアネート及びジオール化合物のモル比は好ましくは0.8:1〜1.2〜1であり、ポリマー末端にイソシアネート基が残存した場合、アルコール類又はアミン類等で処理することにより、最終的にイソシアネート基が残存しない形で合成される。
(B1)成分として、上記の高分子化合物(b1−1)及び(b1−2)から1種単独を使用してもよいし、また2種以上を併用してもよい。
(B1)成分中に含有されるカルボキシル基を有する繰り返し単位の含有量は、該(B1)成分の各単量体の総量に基づいて2モル%以上であり、好ましくは2〜70モル%であり、より好ましくは5〜60モル%の範囲である。
(B1)成分の好ましい重量平均分子量は、3000〜300,000が好ましく、6,000〜100,000がより好ましい。
さらに、(B1)成分の好ましい添加量は、感熱層の全固形分質量に対して0.005〜80質量%の範囲であり、好ましくは0.01〜50質量%の範囲であり、更に好ましくは1〜20質量%の範囲である。
〔添加剤〕
前記の感熱層を形成するにあたっては、上記の成分の他、本発明の効果を損なわない限りにおいて、更に必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。
−溶解性阻害化合物−
感光性平版印刷版には、そのインヒビション(溶解性阻害)を高める目的で、該感熱層に、種々のインヒビターを含有させることができる。
該インヒビターとしては特に限定されないが、4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール系化合物等が挙げられる。
4級アンモニウム塩としては、特に限定されないが、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアリールアンモニウム塩、ジアルキルジアリールアンモニウム塩、アルキルトリアリールアンモニウム塩、テトラアリールアンモニウム塩、環状アンモニウム塩、二環状アンモニウム塩が挙げられる。
具体的には、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラペンチルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムブロミド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、テトララウリルアンモニウムブロミド、テトラフェニルアンモニウムブロミド、テトラナフチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラステアリルアンモニウムブロミド、ラウリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ベヘニルトリメチルアンモニウムブロミド、ラウリルトリエチルアンモニウムブロミド、フェニルトリメチルアンモニウムブロミド、3−トリフルオロメチルフェニルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ジベンジルジメチルアンモニウムブロミド、ジステアリルジメチルアンモニウムブロミド、トリステアリルメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、ヒドロキシフェニルトリメチルアンモニウムブロミド、N−メチルピリジニウムブロミド等が挙げられる。特に特願2001−226297号、特願2001−370059号、特願2001−398047号明細書記載の4級アンモニウム塩が好ましい。
4級アンモニウム塩の添加量は、十分な溶解性阻害効果とバインダーの製膜性に悪影響を与えない点で、画像記録層の全固形分量に対して固形分で0.1〜50質量%であることが好ましく、さらには、1〜30質量%であることがより好ましい。
ポリエチレングリコール系化合物としては、特に限定されないが、下記構造のものが挙げられる。
−{−O−(R−O−)m−R}n
(Rは多価アルコール残基又は多価フェノール残基、Rは水素原子、炭素原子数1〜25の置換基を有しても良いアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキロイル基、アリール基又はアリーロイル基、Rは置換基を有しても良いアルキレン残基を示す。mは平均で10以上、nは1以上4以下の整数である。)
上記構造のポリエチレングリコール系化合物の例としては、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリエチレングリコールアルキルエーテル類、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールアリールエーテル類、ポリプロピレングリコールアリールエーテル類、ポリエチレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリプロピレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリエチレングリコールグリセリンエステル、ポリプロピレングリコールグリセリンエステル類、ポリエチレンソルビトールエステル類、ポリプロピレングリコールソルビトールエステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコール化エチレンジアミン類、ポリプロピレングリコール化エチレンジアミン類、ポリエチレングリコール化ジエチレントリアミン類、ポリプロピレングリコール化ジエチレントリアミン類が挙げられる。
これらの具体例を示すと、ポリエチレングリコール1000、ポリエチレングリコール2000、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール10000、ポリエチレングリコール20000、ポリエチレングリコール50000、ポリエチレングリコール100000、ポリエチレングリコール200000、ポリエチレングリコール500000、ポリプロピレングリコール1500、ポリプロピレングリコール3000、ポリプロピレングリコール4000、ポリエチレングリコールメチルエーテル、ポリエチレングリコールエチルエーテル、ポリエチレングリコールフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールジフェニルエーテル、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールジラウリルエーテル、ポリエチレングリコールノニルエーテル、ポリエチレングリコールセチルエーテル、ポリエチレングリコールステアリルエーテル、ポリエチレングリコールジステアリルエーテル、ポリエチレングリコールベヘニルエーテル、ポリエチレングリコールジベヘニルエーテル、ポリプロピレングリコールメチルエーテル、ポリプロピレングリコールエチルエーテル、ポリプロピレングリコールフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコールジエチルエーテル、ポリプロピレングリコールジフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールラウリルエーテル、ポリプロピレングリコールジラウリルエーテル、ポリプロピレングリコールノニルエーテル、ポリエチレングリコールアセチルエステル、ポリエチレングリコールジアセチルエステル、ポリエチレングリコール安息香酸エステル、ポリエチレングリコールラウリルエステル、ポリエチレングリコールジラウリルエステル、ポリエチレングリコールノニル酸エステル、ポリエチレングリコールセチル酸エステル、ポリエチレングリコールステアロイルエステル、ポリエチレングリコールジステアロイルエステル、ポリエチレングリコールベヘン酸エステル、ポリエチレングリコールジベヘン酸エステル、ポリプロピレングリコールアセチルエステル、ポリプロピレングリコールジアセチルエステル、ポリプロピレングリコール安息香酸エステル、ポリプロピレングリコールジ安息香酸エステル、ポリプロピレングリコールラウリル酸エステル、ポリプロピレングリコールジラウリル酸エステル、ポリプロピレングリコールノニル酸エステル、ポリエチレングリコールグリセリンエーテル、ポリプロピレングリコールグリセリンエーテル、ポリエチレングリコールソルビトールエーテル、ポリプロピレングリコールソルビトールエーテル、ポリエチレングリコール化エチレンジアミン、ポリプロピレングリコール化エチレンジアミン、ポリエチレングリコール化ジエチレントリアミン、ポリプロピレングリコール化ジエチレントリアミン、ポリエチレングリコール化ペンタメチレンヘキサミンが挙げられる。
ポリエチレングリコール系化合物の添加量は、十分な溶解性阻害効果と画像形成性の観点から、画像記録層の全固形分量に対して固形分で0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましい。
また、上記インヒビション(溶解性阻害)改善の施策を行った場合、感度の低下が生じるが、この場合、ラクトン化合物を添加物することが有効である。このラクトン化合物は、露光部に現像液が浸透した際、現像液とラクトン化合物が反応し、新たにカルボン酸化合物が発生し、露光部の溶解に寄与して感度が向上するものと考えられる。
ラクトン化合物としては、特に限定されないが、下記一般式(L−I)及び一般式(L−II)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2006268023
Figure 2006268023
一般式(L−I)及び一般式(L−II)において、X、X、X及びXは、環の構成原子又は原子団であって、同じでも異なってもよく、それぞれ独立に置換基を有してもよく、かつ一般式(L−I)におけるX、X及びXの少なくとも一つ及び一般式(L−II)におけるX、X、X及びXの少なくとも一つは、電子吸引性置換基又は電子吸引性基で置換された置換基を有する。
、X、X及びXで表される環の構成原子又は原子団は、環を形成するための二つの単結合を有する非金属原子又は該非金属原子を含む原子団である。
好ましい非金属原子又は非金属原子団は、メチレン基、スルフィニル基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基、硫黄原子、酸素原子及びセレニウム原子から選ばれる原子又は原子団であって、より好ましくは、メチレン基、カルボニル基及びスルホニル基から選ばれる原子団である。
一般式(L−I)におけるX、X及びXの少なくとも一つ又は一般式(L−II)におけるX、X、X及びXの少なくとも一つは、電子吸引性基を有する。本明細書において電子吸引性置換基は、ハメットの置換基定数σpが正の価を取る基を指す。ハメットの置換基定数に関しては、Journal of Medicinal Chemistry,1973,Vol.16,No.11,1207−1216等を参考にすることができる。ハメットの置換基定数σpが正の価を取る電子吸引性基としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子(σp値:0.06)、塩素原子(σp値:0.23)、臭素原子(σp値:0.23)、ヨウ素原子(σp値:0.18))、トリハロアルキル基(トリブロモメチル(σp値:0.29)、トリクロロメチル(σp値:0.33)、トリフルオロメチル(σp値:0.54))、シアノ基(σp値:0.66)、ニトロ基(σp値:0.78)、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基(例えば、メタンスルホニル(σp値:0.72))、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基(例えば、アセチル(σp値:0.50)、ベンゾイル(σp値:0.43))、アルキニル基(例えば、C≡CH(σp値:0.23))、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル(σp値:0.45)、フェノキシカルボニル(σp値:0.44))、カルバモイル基(σp値:0.36)、スルファモイル基(σp値:0.57)、スルホキシド基、ヘテロ環基、オキソ基、ホスホリル基等が挙げられる。
好ましい電子吸引性基は、アミド基、アゾ基、ニトロ基、炭素数1〜5のフルオロアルキル基、ニトリル基、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜5のアシル基、炭素数1〜9のアルキルスルホニル基、炭素数6〜9のアリールスルホニル基、炭素数1〜9のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜9のアリールスルフィニル基、炭素数6〜9のアリールカルボニル基、チオカルボニル基、炭素数1〜9の含フッ素アルキル基、炭素数6〜9の含フッ素アリール基、炭素数3〜9の含フッ素アリル基、オキソ基及びハロゲン元素から選ばれる基である。
より好ましくは、ニトロ基、炭素数1〜5のフルオロアルキル基、ニトリル基、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜5のアシル基、炭素数6〜9のアリールスルホニル基、炭素数6〜9のアリールカルボニル基、オキソ基及びハロゲン元素から選ばれる基である。
以下に、一般式(L−I)及びは一般式(L−II)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 2006268023
Figure 2006268023
一般式(L−I)及び一般式(L−II)で表される化合物の添加量は、十分な効果と良好な画像形成性を発揮するために、画像記録層の全固形分量に対して固形分で0.1〜50質量%が好ましく、さらには、1〜30質量%がより好ましい。なお、この化合物は現像液と反応するため、選択的に現像液を接触することが望まれる。
このラクトン化合物は、いずれか一種を用いても、併用してもよい。また2種類以上の一般式(L−I)の化合物、又は2種類以上の一般式(L−II)の化合物を合計添加量が上記範囲内で任意の比率で併用してもよい。
また、オニウム塩、o−キノンジアジド化合物、芳香族スルホン化合物、芳香族スルホン酸エステル化合物等の熱分解性であり、分解しない状態ではアルカリ水可溶性高分子化合物の溶解性を実質的に低下させる物質を併用することは、画像部の現像液への溶解阻止性の向上を図る点では、好ましい。オニウム塩としてはジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等を挙げることができる。
本発明において用いられるオニウム塩として、好適なものとしては、例えば S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)、特開平5−158230号公報に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055 号、同4,069,056 号、特開平3−140140号の明細書に記載のアンモニウム塩、D.C.Neckeret al,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA, p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055 号、同4,069,056 号に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307 (1977)、Chem.& Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143 号、米国特許第339,049 号、同第410,201 号、特開平2−150848号、特開平2−296514号に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello et al,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello et al,J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello et al,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello et al,Macromolecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693 号、同233,567 号、同297,443号、同297,442 号、米国特許第4,933,377 号、同3,902,114 号、同410,201 号、同339,049 号、同4,760,013 号、同4,734,444 号、同2,833,827 号、独国特許第2,904,626 号、同3,604,580 号、同3,604,581 号に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478,Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等があげられる。
オニウム塩のなかでも、ジアゾニウム塩が特に好ましい。また、特に好適なジアゾニウム塩としては特開平5−158230号公報記載のものが挙げられる。
オニウム塩の対イオンとしては、四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼンスルホン酸、及びパラトルエンスルホン酸等を挙げることができる。これらの中でも特に六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸や2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸のごときアルキル芳香族スルホン酸が好適である。
好適なキノンジアジド類としてはo−キノンジアジド化合物を挙げることができる。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物は、少なくとも1個のo−キノンジアジド基を有する化合物で、熱分解によりアルカリ可溶性を増すものであり、種々の構造の化合物を用いることができる。つまり、o−キノンジアジドは熱分解により結着剤の溶解抑制を失うことと、o−キノンジアジド自身がアルカリ可溶性の物質に変化することの両方の効果により感材系の溶解性を助ける。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物としては、例えば、J.コーサー著「ライト−センシティブ・システムズ」(John Wiley & Sons. Inc.)第339〜352頁に記載の化合物が使用できるが、特に種々の芳香族ポリヒドロキシ化合物あるいは芳香族アミノ化合物と反応させたo−キノンジアジドのスルホン酸エステル又はスルホン酸アミドが好適である。また、特公昭43−28403号公報に記載されているようなベンゾキノン(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1、2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル、米国特許第3,046,120 号及び同第3,188,210 号に記載されているベンゾキノン−(1,2−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5スルホン酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルも好適に使用される。
さらにナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとフェノールホルムアルデヒド樹脂あるいはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルも同様に好適に使用される。その他の有用なo−キノンジアジド化合物としては、数多くの特許に報告され知られている。例えば特開昭47−5303号、特開昭48−63802 号、特開昭48−63803 号、特開昭48−96575 号、特開昭49−38701 号、特開昭48−13354 号、特公昭41−11222号、特公昭45−9610号、特公昭49−17481 号、米国特許第2,797,213 号、同第3,454,400 号、同第3,544,323 号、同第3,573,917 号、同第3,674,495 号、同第3,785,825 号、英国特許第1,227,602 号、同第1,251,345 号、同第1,267,005 号、同第1,329,888 号、同第1,330,932 号、ドイツ特許第854,890 号などの各明細書中に記載されているものをあげることができる。
o−キノンジアジド化合物の添加量は好ましくは画像記録層の全固形分に対し、1〜50質量%、更に好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは10〜30質量%の範囲である。これらの化合物は単一で使用できるが、数種の混合物として使用してもよい。また特開平11−288089号公報記載の少なくとも一部がエステル化されたアルカリ可溶性樹脂を含んでも良い。
また、画像記録層表面の溶解阻止性の強化とともに表面のキズに対する抵抗力を強化する目的で、特開2000−187318号公報に記載されているような、分子中に炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基を2又は3個有する(メタ)アクリレート単量体を重合成分とする重合体を併用すること好ましい。添加量としては、層材料中に占める割合が0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
−現像促進剤−
また、感度を更に向上させる目的で、酸無水物類、フェノール類、有機酸類を併用することもできる。
酸無水物類としては環状酸無水物が好ましく、具体的に環状酸無水物としては米国特許第4,115,128 号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。非環状の酸無水物としては無水酢酸などが挙げられる。
フェノール類としては、ビスフェノールA、2,2’−ビスヒドロキシスルホン、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4′−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4′,4″−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4′,3″,4″−テトラヒドロキシ−3,5,3′,5′−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。
更に、有機酸類としては、特開昭60−88942号、特開平2−96755号公報などに記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類及びカルボン酸類などがあり、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。
上記の酸無水物、フェノール類及び有機酸類の画像記録層中に占める割合は、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
−界面活性剤−
感熱層中には、塗布性を良化するため、また、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、EP950517公報に記載されているようなシロキサン系化合物、特開昭62−170950号公報、特開平11−288093号公報、特願2001−247351号に記載されているようなフッ素含有のモノマー共重合体を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。両性活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業(株)製)等が挙げられる。
シロキサン系化合物としては、ジメチルシロキサンとポリアルキレンオキシドのブロック共重合体が好ましく、具体例として、(株)チッソ社製、DBE−224,DBE−621,DBE−712,DBP−732,DBP−534、独Tego社製、Tego Glide100等のポリアルキレンオキシド変性シリコーンを挙げることが出来る。 上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の画像記録層中に占める割合は、0.01〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%である。
−焼出し剤/着色剤−
印刷版材料中には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
画像の着色剤としては、前述の塩形成性有機染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成性有機染料を含めて、好適な染料として油溶性染料と塩基性染料をあげることができる。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレットラクトン、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)などを挙げることができる。また、特開昭62−293247号公報に記載されている染料は特に好ましい。
これらの染料は、画像記録層の全固形分に対し、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜3質量%の割合で印刷版材料中に添加することができる。
−可塑剤−
更に印刷版材料中には必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
−ワックス剤−
感光性平版印刷版の画像記録層中には、キズに対する抵抗性を付与する目的で、表面の静摩擦係数を低下させる化合物を添加することもできる。具体的には、US6117913号公報、特願2001−261627号明細書、特願2002−032904号明細書、特願2002−165584号明細書に用いられているような、長鎖アルキルカルボン酸のエステルを有する化合物などを挙げることができる。添加量として好ましいのは、層を形成する材料中に占める割合が0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。
感光性平版印刷版は、通常上記各成分を含有する版材の感光層(感熱層)組成物を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布することにより製造することができる。
〔塗布溶剤〕
ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン、水等をあげることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独あるいは混合して使用される。
塗布溶剤の選択にあたっては、上部記録層、下部記録層の2層構造を有するものについては、隣接して設けられる場合に互いの層の界面における相溶を防止するため、上部記録層の塗布溶媒は、下部記録層を実質的に溶解しないものを選択することが好ましい。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
酸無水物を使用する際には塗布液中の水を0.5%以下にすることが好ましい。
〔塗布量〕
また、前記感熱性組成物の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、皮膜特性及び耐刷性の観点から0.3〜3.0g/mの塗布量で設けることが適当である。好ましくは0.5〜2.5g/mであり、さらに好ましくは0.8〜1.6g/mである。
〔重層構造〕
本発明を適用する感光性平版印刷版は、上記した成分を含有する画像記録層を支持体上に設けられたものであるが、これら画像記録層は、少なくとも2層以上の重層構成であってもよい(以下便宜上、上側層と下側層とからなる2層の場合を説明する)。
その場合上側層と下側層を構成する、アルカリ可溶性樹脂は、上記に説明したアルカリ可溶性樹脂を適用することができるが、上側層は、下側層よりもアルカリに対する溶解性が低いものであるのが好ましい。
また、赤外線吸収染料は、各層において異なる赤外線吸収染料であってもよく、また各層に複数の化合物からなる赤外線吸収染料を用いてもよい。含有させる量としては、いずれの層に用いる場合にも、上記した通り、添加する層の全固形分に対して0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜50質量%、特に好ましくは0.1〜30質量%の割合で添加することができる。複数の層に添加する場合は、添加量の合計が上記範囲になるように添加することが好ましい。
上記した熱分解性でありかつ熱分解しない状態ではアルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質は、経時により一部分解することもあり得るので、画像記録層が重層構成の場合には、下側層に含有させるのが効果的であるが、いずれの層であっても、また両層であってもよい。含有させる量としては、上記した通りである。複数の層に添加する場合は、添加量の合計が上記範囲になるように添加することが好ましい。
また、ラクトン化合物は、重層構成の場合には、上側層に含有させるのが効果的であるが、いずれの層であっても、また両層であってもよい。
〔支持体〕
感光性平版印刷版に使用される親水性支持体としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物が挙げられ、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィルム等が含まれる。
支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。
特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このようにアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
このように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量は耐刷性の点で1.0g/m以上であることが好ましい。陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
感光性平版印刷版は、支持体上に少なくとも前記した画像記録層を設けたものであるが、必要に応じて支持体と画像記録層との間に下塗層を設けることができる。
下塗層成分としては種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。
さらに下記式で示される構造単位を有する有機高分子化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む下塗層も好ましい。
Figure 2006268023
11は水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表し、R12及びR13はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、−OR14、−COOR15、−CONHR16、−COR17若しくは−CNを表すか、又はR12及びR13が結合して環を形成してもよく、R14〜R17はそれぞれ独立してアルキル基又はアリール基を表し、Xは水素原子、金属原子、NR18192021を表し、R18〜R21はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基若しくは置換アリール基を表すか、又はR18及びR19が結合して環を形成してもよく、mは1〜3の整数を表す。
この下塗層は次のような方法で設けることができる。即ち、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウム板上に塗布、乾燥して設ける方法と、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、アルミニウム板を浸漬して上記化合物を吸着させ、その後水などによって洗浄、乾燥して下塗層を設ける方法である。前者の方法では、上記の有機化合物の0.005〜10質量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。また後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜5質量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。これに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpH1〜12の範囲に調整することもできる。
下塗層の被覆量は、十分な耐刷性能を得るため、2〜200mg/mが適当であり、好ましくは5〜100mg/mである。
上記のようにして作成された感光性平版印刷版は、画像様に露光され、その後、上記に詳述したアルカリ性現像液にて現像処理を施される。
像露光に用いられる活性光線の光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。またg線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。レーザービームとしてはヘリウム・ネオンレーザー、アルゴンレーザー、クリプトンレーザー、ヘリウム・カドミウムレーザー、KrFエキシマレーザー等が挙げられる。本発明においては、近赤外線から赤外領域において発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザー、半導体レーザーが特に好ましい。
こうして画像露光し、現像し、水洗及び/又はリンス及び/又はガム引きして得られた平版印刷版に、不必要な画像部がある場合には、その不必要な画像部の消去が行われる。このような消去は、例えば特公平2−13293号公報に記載されているような消去液を不必要画像部に塗布し、そのまま所定の時間放置したのちに水洗することにより行う方法が好ましいが、特開平59−174842号公報に記載されているようなオプティカルファイバーで導かれた活性光線を不必要画像部に照射したのち現像する方法も利用できる。
以上のようにして得られた平版印刷版は、所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版としたい場合にはバーニング処理が施される。平版印刷版をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭1−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
その方法としては、該整面液を染み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスキージあるいは、スキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
整面液の塗布量は一般には0.03〜0.8g/m(乾燥重量)が適当である。整面液が塗布された平版印刷版は必要あれば乾燥された後、バーニングプロセッサー(たとえば富士写真フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:「BP−1300」)などで高温に加熱される。この場合の加熱温度及び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好ましい。
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宣、水洗、ガム引きなどの従来から行われている処理を施すことができるが水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合にはガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
次に、本発明に係る自動現像装置について説明する。
図1は本発明に係る現像制御方法を実施する自動現像装置の第1実施形態の構成図である。図1に示すように、この自動現像装置2は、感光性平版印刷版(以下「PS版」という。)4を現像処理するための現像部6と、現像後のPS版4に付着した現像液を洗い流すとともにガム液を塗布する後処理部8と、ガム液塗布後のPS版を乾燥する乾燥部10とを備えている。
また、現像処理前に加熱が必要なPS版を処理する場合には、図1に図示しない前加熱部も備えることができる。前加熱部は、現像部6の搬送方向上流側に設置され、PS版を搬送しながら指定したPS版面温度を指定した時間だけ維持する機能を持つ。前加熱部に挿入されたPS版は、加熱されながら自動的に次工程へ搬送される。またさらに、図1に図示しない前水洗部を備えることも可能である。前水洗部は、現像部6の搬送方向上流側、且つ前加熱部の搬送方向下流側に設置され、PS版を搬送しながらPS版表面を水洗水によって洗浄し冷却する機能を持つ。前水洗部に挿入されたPS版は、自動的に次工程である現像部6に搬送される。
自動現像装置2の側板12には挿入口14が形成され、挿入口14から挿入されたPS版4は、搬送ローラ16により現像部6へ搬送される。挿入口14には、ゴムブレード18が備えられ、PS版4が挿入されていないとき、挿入口14はゴムブレード18により閉じられている。
現像部6の現像槽20内には、搬送方向上流側から順に、搬送ローラ22、ブラシローラ24、スクイズローラ26が備えられ、これらの間の適所にバックアップローラ28が備えられている。PS版4は搬送ローラ22により搬送されながら現像液中を浸漬されて現像処理される。
現像部6に連続した後処理部8は、水洗部8aとフィニッシャー部8bとからなる。水洗部8a、にはそれぞれ、PS版4を搬送するローラ30a’、30aと、水洗槽32a、32a内の水洗液をPS版4に吹き付ける噴射部材34aが設けられている。そして、水洗槽32aに水洗水を供給する水洗水供給ポンプ78aが設けられる。フィニッシャー部8b、にはそれぞれ、PS版4を搬送するローラ30bと、フィニッシャー槽32b、32b内のフィニッシャー液をPS版4に吹き付ける噴射部材34bが設けられ、フィニッシャー槽32bにガム液を供給するガム液供給ポンプ77とガム液希釈液を供給するガム液希釈液供給ポンプ78bが設けられる。そして、現像処理後のPS版4は、搬送ローラ30aにより搬送されながら、噴射部材34aにより水洗液を吹き付けられて水洗される。さらに、PS版4は、搬送ローラ30bにより搬送されながら、噴射部材34bによりフィニッシャー液を吹き付けられて塗布される。
このとき、水洗槽32aには補充希釈液貯留タンク53内の希釈液57が水洗水供給ポンプ78aにより補充され、フィニッシャー槽32bにはガム液タンク56内のガム液がポンプ77により補充されるとともに補充希釈液貯留タンク53内の希釈液57がガム液希釈液供給ポンプ78bにより補充される。ここで、ガム液と希釈液との補充割合は例えば1:1である。これらの補充に伴い、水洗槽32aからオーバーフローした水洗液と、フィニッシャー槽32bからオーバーフローしたガム廃液は、現像廃液と同様に廃液タンク54に回収される。
また、水洗部8aには、図1に図示しない水洗ブラシローラを備えることも有効である。この水洗ブラシローラは、噴射部材34aとPS版4の間の、PS版4の上面ないし上下面に設置され、搬送されているPS版4の表面を回転しながら擦り水洗するものである。
一方、水洗部8aを第1フィニッシャー部8aとしフィニッシャー部8bを第2フィニッシャー部8bとする構造も有効である。第1フィニッシャー部8a,第2フィニッシャー部8bにはPS版4を搬送する搬送ローラ30a,30bと、フィニッシャー槽32a,32b内のガム液をPS版4に吹き付ける噴射部材34a,34bが設けられ、現像処理後のPS版4は、搬送ローラ30a,30bにより搬送されながら、噴射部材34a,34bによりガム液を吹き付けられて塗布される。なおこのとき、下流側にある第2フィニッシャー部8bのフィニッシャー槽32b内のガム液は、上流側にある第1フィニッシャー部8aのフィニッシャー槽32a内にオーバーフローして供給されるが、このような構成に代えて、ポンプ等で同様に供給してもよい。この場合、水洗水供給ポンプ78aは使用しない。
このとき、第2フィニッシャー槽32bにはガム液タンク56内のガム液がポンプ77により補充されるとともに補充希釈液貯留タンク53内の希釈液57がガム液希釈液供給ポンプ78bにより補充される。ここで、ガム液と希釈液との補充割合は例えば1:1である。この補充に伴い、第1フィニッシャー槽32aからオーバーフローしたガム廃液は、現像廃液と同様に廃液タンク54に回収される。
フィニッシャー部8に連続した乾燥部10は、搬送方向上流側から順に、ガイドローラ36、一対の串ローラ38が設けられている。また、乾燥部10には図示しない温風供給手段、発熱手段等の乾燥手段が設けられている。乾燥部10には排出口40が設けられ、乾燥手段により乾燥されたPS版4は排出口40から排出される。また、乾燥部10とフィニッシャー部8との間の通路にはシャッター44が設けられ、PS版4が通路46を通過していないとき、通路46はシャッター44により閉じられている。
現像槽20には槽壁と一体に箱状の遮蔽蓋60が設けられている。遮蔽蓋60の底壁は、搬送ローラ22、ブラシローラ24、バックアップローラ28の上部外周面と接触しないように、円弧状に連続して湾曲し、ローラ等と干渉しないようになっている。遮蔽蓋60が箱状であることにより、現像槽20の上部に気密空間が画成されており、現像部6内の空気量ができる限り少なくされている。また、遮蔽蓋60が設けられていることにより、現像液と空気との接触面積ができる限り少なくされている。
上記構成の自動現像装置2は、適所にゴムブレード62が設けられ、現像部6からフィニッシャー部8bまでが、外部雰囲気に対して実質的に気密に構成されており、外気が流入しないようになっている。また、現像部6と水洗部8aとの間もゴムブレード62により実質的に気密に構成されており、水洗部8a内の空気が現像部6に流入しないようになっている。したがって、現像部6はPS版4の通過時には空気が若干流入するものの、実質的に気密であり、空気がほとんど流入しない密閉型構成である。
次に、現像部6について詳述する。現像槽20には、現像液の循環用配管80が接続される。循環用配管80中には、現像液循環用ポンプ71、電導度センサ73及びフィルタ(図示せず)がそれぞれ設けられる。現像液循環用ポンプ71は、現像槽20内の現像液を、現像槽20底部の吸入孔から循環用配管80中に吸入させるとともに、循環用配管80中を流通させ、再び現像槽20中に吐出させる。前記フィルタは、循環用配管80中を流れる現像液を濾過する。電導度測定手段としての前記電導度センサ73は、循環用配管80中を流れる現像液の電導度を測定する。
また、現像部6には、それぞれ補充装置を構成する、補充用配管90,91と、補充用配管90に接続される補充原液貯留タンク55と、前記補充用配管90に介在される補充原液供給ポンプ74と、補充用配管91に接続される補充希釈液貯留タンク53と、補充用配管91に介在される補充希釈液供給ポンプ76とが設けられ、これらが現像液補充手段として機能する。また、現像槽20からオーバーフローした現像廃液は、廃液タンク54に回収される。
具体的に説明すると、前記現像槽20近傍には、現像補充原液58を補充希釈液57で希釈して得られる現像補充液の補充用配管90,91が、一対設けられる。現像補充原液58の補充用配管90は、他端(図1中下端)を補充原液貯留タンク55に接続されており、配管中には、補充原液供給ポンプ74が設けられる。補充原液供給ポンプ74は、現像補充原液58を補充原液貯留タンク55から現像槽20に供給する。補充希釈液57の補充用配管91は、他端(図1中下端)を補充希釈液貯留タンク53に接続されており、配管中には、補充希釈液供給ポンプ76が設けられる。補充希釈液供給ポンプ76は、補充希釈液(水)57を補充希釈液貯留タンク53から現像槽20 に供給する。すなわち、補充用配管91、補充希釈液供給ポンプ76及び補充希釈液貯留タンク53によって希釈水補充装置が構成されている。
上記補充原液供給ポンプ74や補充希釈液供給ポンプ76は、電導度センサ73及び時間計測部52からの信号に基づいて、条件記憶手段である制御ROM51aもしくは制御RAM51b及び時間計測部52を備えた制御装置(制御手段)50によって制御される。また、制御装置50は、版検出センサ27からの信号に基づいて、搬送ローラ22,ブラシローラ24,スクイズローラ26、等を適切なタイミングで駆動させ、PS版を搬送処理する。
さらに、制御装置50は、時間計測部52によって、前回経時補充積算時点からの経過時間、前回電導度測定時点からの経過時間、前回補充してからの経過時間、を計測し、版検出センサ27からの信号に基づいて版の面積を算出し、電導度センサ73によって現像液電導度を測定する。そして制御装置50は、それらの値を利用し必要とあらば、予め決められた補充量・補充液希釈率で、現像補充液(現像補充原液58+補充希釈液57)を、補充原液貯留タンク55及び補充希釈液貯留タンク53から現像槽20に供給する。
また、制御装置50は、詳細は後述するが、予め実験的に求めた現像液感度が適正となる電導度値:Dから現像液電導度の測定値:dを減じた値(d−d)を計算し、その値を、現像液の正常状態からのずれを示す現像液活性度として設定し、この現像液活性度を表示手段としてのモニタ300に常に表示させる。また、現像液活性度が異常である場合には、現像液活性度の異常を通知する警告発生手段としての警報装置301を用いて報知する。このように、自動現像装置の運転中にモニタ300へ現像液活性度がリアルタイムで表示することで、自動現像装置のユーザは、現像液の状態を簡単に把握することができ、メンテナンスが必要か否かを定量的に判断することができる。そして、警報装置301は、現像液活性度が予め定めた現像液活性度下限値より下回っていた場合に警告1(視覚的或いは聴覚的な報知)を発し、現像液活性度が予め定めた現像液活性度上限値より上回っていた場合に警告1とは異なる警告2を発する。例えば、モニタ300の表示画面を異ならせたり、警報の音を異ならせて、警告1,2を識別可能にする。これにより、ユーザに対して現像液の状態を明確に報知することができる。また、メンテナンスを行う場合に、現像液活性度の値(正負を含めて)に応じて、必要な処理を適切かつ迅速に実施することができ、現像液を適切な状態にいち早く復帰させることが可能となる。
次に、制御装置50による制御を説明する。図2〜図13は制御装置50による制御方式を示すフローチャートの例である。図2に示す本発明の基本的な制御方式では、概略的には、予めある仮の値に定めた経時補充量設定値・処理補充量設定値に基づいて、現像液活性を一定に保つのに必要な経時補充量・処理補充量を演算し、その値から求められる電導度演算値と予め定めた時間間隔で測定した現像液電導度値とを比較することで前記経時補充量設定値・処理補充量設定値を増減し修正した上で、必要な経時・処理補充液量を補充する。こうすることで、版種、版サイズや処理頻度等の処理条件・環境炭酸ガス濃度や湿度等の環境条件が変化しても、適切な経時補充量、処理補充量、に基づいた補充を行うことが可能となる。
先ず、図2に示す第1の制御処理を説明する。
ステップ1(以降はS1と略記する)では、予め定めた一定時間毎が経過していれば、経時補充量設定値と経過時間とから算出される経時補充液量を補充する。次にS2では、予め定めた一定面積毎の版が処理されていれば処理補充量設定値と処理面積とから算出される処理補充液量を補充する。S3では、起動時もしくは前回現像液電導度を測定した時点からの経過時間が予め定めた一定時間に達しているか判断し、達していればS4に、達していなければS10に進む。
S4では現像液の電導度を測定する。次にS5では、補充した経時補充液量・処理補充液量から、電導度演算値を算出する。さらにS6(図3で詳細なフローチャートを示す)では現像液活性度判定処理を行う。即ち、電導度測定値−電導度演算値を計算し、その値を現像液活性度として表示する。また、この値が予め定めた現像液活性度下限値より小さいか、予め定めた現像液活性度上限値より大きい場合は、現像液活性度が異常であることを警告する表示を行う。
S7で、電導度演算値と上記電導度測定値とを比較し、電導度測定値が大きければS8へ、電導度測定値が小さければS9に進む。
S8では、処理補充設定値・経時補充設定値を共に予め定めた量だけ減少させる。一方反対にS9では、処理補充設定値・経時補充設定値を共に予め定めた量だけ増加させる。
S10では、自動現像装置の運転スイッチの状態を調査し、運転スイッチが入っている場合にはS1に戻り、運転スイッチが切れている場合には、装置の停止によって処理が終了する。
図3にはS6の詳細なフローチャートを示す。S11では現像液活性度(=電導度測定値−電導度演算値)を算出し、S12で現像液活性度を表示する。
S13では、現像液活性度が下限値〜上限値の範囲であればS7に進み、下限値〜上限値の範囲外であれば、S14で警告する表示を行う。なお、場合によっては自動現像装置を停止させ、メンテナンスを促す。これにより適正な現像液状態への復帰を確実に行うことができ、また、復帰するまでの時間を短縮できる。
次に、第2の制御処理について、図4及び図5を用いて説明する。
S21では、制御中に使用する変数である経時補充積算値:IVC、処理補充積算値:IVBを初期化、すなわち0を代入する。また最初の起動であれば、dには、予め実験的に求めた現像液感度が適正となる電導度値:Dを代入する。
S22では、起動時もしくは前回経時補充量を積算した時点からの経過時間が、予め定めた時間:Tに達したか判断し、経過していればS23に、経過していなければS24に進む。S23では、経過時間:Tで必要となる経時補充量を経時補充量設定値:Vから演算し、IVCに積算する。例えば、以下のように演算する。
VC + V× T → IVC (1)
S24では、起動時もしくは前回処理補充量を積算してからの処理面積が、予め定めた処理面積:Sに達したか判断し、処理していればS25に、処理していなければS26に進む。S25では、処理面積:Sで必要となる処理補充量を処理補充量設定値:Vから演算し、IVBに積算する。例えば、以下のように演算する。
VB + V× S → IVB (2)
次にS26では、起動時もしくは前回現像液電導度を測定した時点からの経過時間が、予め定めた時間:Tに達したか判断し、経過していればS27に、経過していなければS37に進む。
S27では現像液電導度を測定し、その値を変数:dに代入する。次のS28では、前回補充を行った時点からの経過時間:Tを測定する。さらに次のS29では、経過時間:Tと、IVC、IVB、と所定の演算式とを用いて電導度演算値:dを更新する。このときに用いる演算式として、例えば、以下の(3)式を用いることができる。
=[V× dTo+V× T× D+(IVC+IVB−V× T)× D]÷(V+IVC+IVB) (3)
(dToは更新前のd、Vは現像槽内の現像液量、D、D、は予め実験的に求めた定数)
続いてS30では現像液活性度の判定処理を行う。d−dを計算し、その値を現像液活性度として表示する。また、この値が予め定めた現像液活性度下限値より小さいか、予め定めた現像液活性度上限値より大きい場合は、現像液活性度が異常であることを警告する表示を行う。詳細は図3を参照されたい。
次のS31では、補充量積算量:(IVC+IVB)と予め定めた1回あたりの補充量:Vとを比較し、(IVC+IVB)が大きい場合はS32へ、大きくない場合はS37へ進む。S32では、dとdを比較し、dが小さければS33に進み、そうでなければS34に進む。
S33では経時補充量設定値:Vに予め定めた定数:Cを加え、処理補充量設定値:Vに、予め定めた定数:Cを加える。S34では、VからCを減じ、VからCを減じる。
次のS35では、(IVC+IVB)の量の補充液を現像液に補充し、次のS36では、IVC、IVBを初期化する、すなわち、それぞれに0を代入する。
S37では、自動現像液の運転スイッチの状態を調査し、運転スイッチが入っている場合にはS22に戻り、運転スイッチが切れている場合には、装置の停止によって処理が終了する。
以上のように、本実施形態の制御処理を纏めると、次のように表せる。
本制御処理は、予め定めた一定の周期毎に現像液電導度を測定し、一定時間毎に予め定めた経時補充量設定値を経時補充量積算値に積算し、一定面積の版処理毎に予め定めた処理補充量設定値を処理補充量積算値に積算した後、前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値の合計量が予め定めた補充量最低値を超えた場合に、次のステップを実行するものである。なお、各ステップの実行順序は適宜前後されることであってもよい。
(イ)前回補充した時点から現時点までの経過時間を計測し、該経過時間から電導度演算値を算出するステップ、
(ロ)前記電導度演算値と前記測定された現像液電導度値との差分値を現像液活性度として表示するステップ、
(ハ)該電導度演算値と、測定された前記現像液電導度値と、を比較した結果により前記経時補充量設定値と前記処理補充量設定値を変更するステップ、
(ニ)前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値の合計量の補充液を現像槽内の現像液に補充するステップ、
(ホ)前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値を初期化するステップ。
次に、第3の制御処理を図6及び図7を用いて説明する。
S41では、制御中に使用する変数である経時補充積算値:IVC、処理補充積算値:IVBを初期化、すなわち0を代入する。また最初の起動であれば、dT1には、予め実験的に求めた現像液感度が適正となる電導度値:Dを代入する。
S42では、起動時もしくは前回経時補充量を積算した時点からの経過時間が、予め定めた時間:Tに達したか判断し、経過していればS43に、経過していなければS44に進む。S43では、経過時間:Tで必要となる経時補充量を経時補充量設定値:Vから演算し、IVCに積算する。例えば、以下のように演算する。
VC + V× T → IVC (4)
S44では、起動時もしくは前回処理補充量を積算してからの処理面積が、予め定めた処理面積:Sに達したか判断し、処理していればS45に、処理していなければS46に進む。S45では、処理面積:Sで必要となる処理補充量を処理補充量設定値:Vから演算し、IVBに積算する。例えば、以下のように演算する。
VB + V× S → IVB (5)
次にS46では、起動時もしくは前回現像液電導度を測定した時点からの経過時間が、予め定めた時間:Tに達したか判断し、経過していればS47に、経過していなければS62に進む。
S47では現像液電導度を測定し、その値を変数:dに代入する。次のS48では、前回補充を行った時点からの経過時間:Tを測定する。
次のS49では、dT1、F、IVC、IVB、と所定の演算式から電導度演算値2:dT2を算出する。このときの演算式としては、例えば以下のような式が適当である。
T2=[V× dT1+(IVC+IVB)× F× D+(IVC+IVB)× (1−F)× D]÷(V+IVC+IVB) (6)
さらに、次のS50では、V、T、IVC、IVB、と所定の演算式から電導度演算値1:dT1を更新する。このときの演算式としては、例えば以下のような式が適当である。
T1=[V× dT1o+V× T× D+(IVC+IVB−V× T)× D]÷(V+IVC+IVB) (7)
(dT1oは更新前のdT1、Vは現像槽内の現像液量、D、D、は予め実験的に求めた定数)
続いてS51では現像液活性度判定処理を行う。d−dT1を計算し、その値を現像液活性度として表示する。また、この値が予め定めた現像液活性度下限値より小さいか、予め定めた現像液活性度上限値より大きい場合は現像液活性度が異常であることを警告する表示を行う。詳細は図3を参照されたい。
次のS52では、補充量積算量:(IVC+IVB)と予め定めた1回あたりの補充量:Vとを比較し、(IVC+IVB)が大きい場合はS53へ、大きくない場合はS62へ進む。
S53では、現像液電導度:dと電導度演算値1:dT1を比較し、dが小さい場合はS54へ、そうでない場合はS55へ進む。
S54では経時補充量設定値:Vに予め定めた定数:Cを加え、S55ではVからCを減じる。また一方、S54では処理補充量設定値:Vに予め定めた定数:Cを加え、S55ではVからCを減じる。
次のS56では、現像液電導度:dと電導度演算値2:dT2を比較し、dが小さい場合はS57へ、そうでない場合はS58に進む。
S57ではVに予め定めた定数:Cを加え、S58ではVからCを減じる。また一方、S57ではVから予め定めた定数:Cを減じ、S58ではVにCを加える。
次のS59では、(IVC+IVB)の量の補充液を現像液に補充する。さらに次のS60において、(IVC+IVB)値によってFの値を更新する。F値の更新は、例えば、以下のように行うのが適当である。
(V× F+IVC)÷(V+IVC+IVB) → F (8)
また次のS61では、IVC、IVBを初期化する。すなわち、それぞれに0を代入する。
S62では、自動現像液の運転スイッチの状態を調査し、運転スイッチが入っている場合にはS41に戻り、運転スイッチが切れている場合には、装置の停止によって処理が終了する。
以上のように、本実施形態の制御処理を纏めると、次のように表せる。
本制御処理は、予め定めた一定の周期毎に現像液電導度値を測定し、一定時間毎に予め定めた経時補充量設定値を経時補充量積算値に積算し、一定面積の版処理毎に予め定めた処理補充量設定値を処理補充量積算値に積算し、現像槽内の現像液における経時補充液の割合である経時補充比率を演算した後、前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値の合計量が予め定めた補充量最低値を超えた場合に、次のステップを実行するものである。なお、各ステップの実行順序は適宜前後されることであってもよい。
(イ)前回補充した時点から現時点までの経過時間を計測し、該経過時間から第1電導度演算値(dT1)を算出するステップ、
(ロ)前記第1電導度演算値(dT1)と前記測定された現像液電導度値との差分値を現像液活性度として表示するステップ、
(ハ)前記第1電導度演算値(dT1)と、測定された前記現像液電導度値と、を比較した結果により前記経時補充量設定値と前記処理補充量設定値を変更するステップ、
(ニ)前記経時補充比率を用いて第2電導度演算値(dT2)を算出するステップ、
(ホ)該第2電導度演算値(dT2)と、測定された前記現像液電導度値と、を比較した結果により前記経時補充量設定値と前記処理補充量設定値を変更するステップ、
(ヘ)前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値の合計量の補充液を現像槽内の現像液に補充するステップ、
(ト)前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値を初期化するステップ。
次に、第4の制御処理を図8及び図9を用いて説明する。
S71では、制御中に使用する変数である経時補充積算値:IVC、処理補充積算値:IVBを初期化、すなわち0を代入する。またさらに、この自動現像装置が初めての起動か否かを判定し、初めての起動で有れば、制御中使用される変数である補充液置換率:X、経時補充比率:Fを初期化、すなわちXには0を、FにはCを代入する。
S72では、起動時もしくは前回経時補充量を積算した時点からの経過時間が、予め定めた時間:Tに達したか判断し、経過していればS73に、経過していなければS74に進む。S73では、経過時間:TKで必要となる経時補充量を経時補充量設定値:Vから演算し、IVCに積算する。例えば、以下のように演算する。
VC + V× T → IVC (9)
S74では、起動時もしくは前回処理補充量を積算してからの処理面積が、予め定めた処理面積:Sに達したか判断し、処理していればS75に、処理していなければS76に進む。S75では、処理面積:Sで必要となる処理補充量を処理補充量設定値:Vから演算し、IVBに積算する。例えば、以下のように演算する。
VB + V× S → IVB (10)
次にS76では、起動時もしくは前回現像液電導度を測定した時点からの経過時間が、予め定めた時間:Tに達したか判断し、経過していればS77に、経過していなければS93に進む。
S77では現像液電導度を測定し、その値を変数:dに代入する。次のS78では、前回補充を行った時点からの経過時間:Tを測定する。さらに次のS79では、補充液置換率:X、経時補充比率:F、と所定の演算式から電導度演算値1:dT1を算出する。このときの演算式としては、例えば以下のような式が適当である。
T1=(1−X)× D+X× [(1−F)× D+F× D] (11)
続いてS80では現像液活性度の判定処理を行う。d−dを計算し、その値を現像液活性度として表示する。また、この値が予め定めた現像液活性度下限値より小さいか、予め定めた現像液活性度上限値より大きい場合は、現像液活性度が異常であることを警告する表示を行う。詳細は図3を参照されたい。
次のS81では、dT1、T、(IVC+IVB)と所定の演算式から電導度演算値2:dT2を算出する。このときの演算式としては、例えば以下のような式が適当である。
T2=[V× dT1+V× T× D+(IVC+IVB−V× T)× D]÷(V+IVC+IVB) (12)
(V:自動現像装置の現像槽の容量)
さらに次のS82では、dT1、(IVC+IVB)、Fと所定の演算式から電導度演算値3:dT3を算出する。このときの演算式としては、例えば以下のような式が適当である。
T3=[V× dT1+(IVC+IVB)× F× D+(IVC+IVB)× (1−F)× D]÷(V+IVC+IVB) (13)
次のS83では、補充量積算量:(IVC+IVB)と予め定めた1回あたりの補充量:Vとを比較し、(IVC+IVB)が大きい場合はS84へ、大きくない場合はS93へ進む。
S84では、現像液電導度:dと電導度演算値2:dT2を比較し、dが小さい場合はS85へ、そうでない場合はS86へ進む。
S85では経時補充量設定値:Vに予め定めた定数:Cを加え、S86ではVからCを減じる。また一方、S85では処理補充量設定値:Vに予め定めた定数:Cを加え、S86ではVからCを減じる。
次のS87では、現像液電導度:dと電導度演算値3:dT3を比較し、dが小さい場合はS88へ、そうでない場合はS89に進む。
S88ではVに予め定めた定数:Cを加え、S89ではVからCを減じる。また一方、S88ではVから予め定めた定数:Cを減じ、S89ではVにCを加える。
次のS90では、(IVC+IVB)の量の補充液を現像液に補充する。さらに次のS91において、(IVC+IVB)値によってX、Fの値を更新する。値の更新は、例えば、以下のように行うのが適当である。
(V× X+IVC+IVB)÷(V+IVC+IVB) → X (14)
(V× X× F+IVC)÷(V× X+IVC+IVB) → F (15)
また次のS92では、IVC、IVBを初期化する、すなわち、それぞれに0を代入する。
S93では、自動現像液の運転スイッチの状態を調査し、運転スイッチが入っている場合にはS72に戻り、運転スイッチが切れている場合には、装置の停止によって処理が終了する。
以上のように、本実施形態の制御処理を纏めると、次のように表せる。
本制御処理は、予め定めた一定の周期毎に該現像液電導度値を測定し、一定時間毎に予め定めた経時補充量設定値を経時補充量積算値に積算し、一定面積の版処理毎に予め定めた処理補充量設定値を処理補充量積算値に積算し、現像槽内現像液における補充量の割合である補充液置換率を演算し、現像槽内現像液における経時補充液の割合である経時補充比率を演算した後、前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値の合計量が予め定めた補充量最低値を超えた場合に、次のステップを実行するものである。なお、各ステップの実行順序は適宜前後されることであってもよい。
(イ)前回補充した時点から現時点までの経過時間を計測し、該経過時間と前記補充液置換率と、から第1電導度演算値(dT2)を算出するステップ、
(ロ)前記第1電導度演算値(dT2)と前記測定された現像液電導度値との差分値を現像液活性度として表示するステップ、
(ハ)前記第1電導度演算値(dT2)と、測定された前記現像液電導度値と、を比較した結果により前記経時補充量設定値と前記処理補充量設定値を変更するステップ、
(ニ)前記補充液置換率と前記経時補充比率とを用いて第2電導度演算値(dT3)を演算するステップ、
(ホ)前記第2電導度演算値(dT3)と、測定された前記現像液電導度値と、を比較した結果により前記経時補充量設定値と前記処理補充量設定値を変更するステップ、
(ヘ)前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値の合計量の補充液を現像槽内の現像液に補充するステップ、
(ト)前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値を初期化するステップ。
次に、第5の制御処理について図10、図11、図12を用いて説明する。この第5の制御処理は、図8及び図9に示す第4の制御処理に対して、自動現像装置の起動時専用制御処理を加えたものである。
S101では、制御中に使用する変数である経時補充積算値:IVC、処理補充積算値:IVBを初期化、すなわち0を代入する。またさらに、この自動現像装置が初めての起動か否かを判定し、初めての起動で有れば、制御中使用される変数である補充液置換率:X、経時補充比率:Fを初期化、すなわちXには0を、FにはCを代入する。
次にS102では、起動時もしくは前回現像液電導度を測定した時点からの経過時間が、予め定めた時間:Tに達したか判断し、経過していればS103に、経過していなければS108に進む。
S103では現像液電導度を測定し、その値を変数:dに代入する。さらに次のS104では、補充液置換率:X、経時補充比率:F、と所定の演算式から電導度演算値1:dT1を算出する。このときの演算式としては、例えば以下のような式が適当である。
T1=(1−X)× D+X×[(1−F)× D+F× D] (14)
(D、D、Dは予め実験的に求めた定数)
次のS105では、dとdT1を比較し、dが小さければS106に進み、そうでなければS109に進む。
S106では、Vの量の補充液を現像液に補充する。さらに次のS107において、Vの値によってX、Fの値を更新する。値の更新は、例えば、以下のように行うのが適当である。
(V× X+V)÷(V+V) → X (15)
(V× X× F+V)÷(V× X+V) → F (16)
S108では、自動現像液の運転スイッチの状態を調査し、運転スイッチが入っている場合にはS102に戻り、運転スイッチが切れている場合には、装置の停止によって処理が終了する。
制御がS109まで進んだとき初めて感光材料の現像処理が可能となる。従って例えば、この時に処理が可能である旨を表示する。
S109〜S129のステップは、図8及び図9に示す制御処理におけるS72〜S92と同様であるため、ここではその説明を省略する。
S130では、自動現像液の運転スイッチの状態を調査し、運転スイッチが入っている場合にはS109に戻り、運転スイッチが切れている場合には、装置の停止によって処理が終了する。
以上のように、本実施形態の制御処理を纏めると、次のように表せる。
本制御処理は、予め現像液の活性度が適正範囲にある電導度値を目標電導度値として算出するとともに、自動現像装置の運転開始直後で且つ現像液の測定電導度値が目標電導度値を上回るまでの間は、予め定めた一定の周期毎に該現像液の電導度を測定し、この測定電導度値が前記目標電導度値より低い場合に、現像補充液を前記現像液に補充するものである。
さらに、制御装置50による第6の制御処理について、図10、図11、図13を用いて説明する。この制御処理は、前述の図10〜図12に示す第5の制御処理のうち、図12に示す処理内容を、図13に示す処理内容に置き換えたものであって、図10〜図12に示す第5の制御処理にさらに電導度演算値に基づく補充動作を加えたものである。
以下、本制御処理を説明するが、図10及び図11に示すS101〜S119については前述同様であるので、その説明は省略する。
ここでは、図13の制御処理を順に説明する。
S120では、補充量積算量:(IVC+IVB)と予め定めた1回あたりの補充量:Vとを比較し、(IVC+IVB)が小さい場合はS131へ、大きい場合はS121へ進む。
S131では、dとdT2を比較し、dが小さければS132に進み、そうでなければS130に進む。
S132では、Vの量の補充液を現像液に補充する。さらに次のS133において、Vの値によってXの値を更新する。値の更新は、例えば、以下のように行うのが適当である。
(V× X+V)÷(V+V) → X (17)
一方S121では、現像液電導度:dと電導度演算値2:dT2を比較し、dが小さい場合はS122へ、そうでない場合はS123へ進む。
以降のS122〜S129の制御内容も前述同様であるので、その説明は省略する。
S130では、自動現像液の運転スイッチの状態を調査し、運転スイッチが入っている場合にはS109に戻り、運転スイッチが切れている場合には、装置の停止によって処理が終了する。
以上のように、本実施形態の制御処理を纏めると、次のように表せる。
本制御処理は、予め定めた一定の周期毎に該現像液電導度値を測定し、一定時間毎に予め定めた経時補充量設定値を経時補充量積算値に積算し、一定面積の版処理毎に予め定めた処理補充量設定値を処理補充量積算値に積算し、現像槽内現像液における補充量の割合である補充液置換率を演算し、現像槽内現像液における経時補充液の割合である経時補充比率を演算した後、前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値の合計量が予め定めた補充量最低値を超えた場合に、次のステップを実行するものである。なお、各ステップの実行順序は適宜前後されることであってもよい。
(イ)前回補充した時点から現時点までの経過時間を計測し、該経過時間と前記補充液置換率と、から第1電導度演算値(dT2)を算出するステップ、
(ロ)前記第1電導度演算値(dT2)と前記測定された現像液電導度値との差分値を現像液活性度として表示するステップ、
(ハ)前記第1電導度演算値(dT2)と、測定された前記現像液電導度値と、を比較した結果により前記経時補充量設定値と前記処理補充量設定値を変更するステップ、
(ニ)前記補充液置換率と前記経時補充比率とを用いて第2電導度演算値(dT3)を演算するステップ、
(ホ)前記第2電導度演算値(dT3)と、測定された前記現像液電導度値と、を比較した結果により前記経時補充量設定値と前記処理補充量設定値を変更するステップ、
(ヘ)前記現像液電導度値が前記第1電導度演算値(dT2)より小さい場合は、前記補充量最低値の量の補充液を補充し、前記現像液電導度値が前記第1電導度演算値(dT2)より大きい場合は、前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値の合計量の補充液を現像槽内の現像液に補充するステップ、
(ト)前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値を初期化するステップ。
上記の自動現像装置の制御によれば、現像液電導度の値を利用することによって、経時補充量・処理補充量が自動的に修正されるので、処理条件の変化や環境条件の変化に対して、すなわち、感光材料の種類・サイズ・処理頻度の変化や、周辺炭酸ガス濃度・周辺大気の風速の変化に対しても、常に適切な経時・処理補充量を設定でき、安定した一定感度で現像処理を行うことが可能である。従って、自動現像装置の現像部を簡易で安価な構成としながら、現像処理条件の変化に対する現像液感度の変動を最小限に抑えることができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図14は本発明の第2実施形態に係る自動現像装置の構成図である。図14に示すように、本実施形態の自動現像装置100は、内部の処理部が外板パネル114で覆われている。外板パネル114の内部には、PS版112を現像処理するための現像槽118及び現像槽118からオーバーフローした現像液を回収するオーバーフロー管120を備えた現像部122と、PS版112に付着した現像液を水洗処理する水洗部124と、水洗後のPS版112にガム液を塗布して不感脂化処理するフィニッシャー部126と、が配設されている。なお、水洗部124には、水洗槽128が配設され、フィニッシャー部126には、ガム液槽130が配設されている。
外板パネル114には、スリット状の挿入口202及び排出口204がそれぞれ設けられている。外板パネル114の上面には、現像部122と水洗部124との間にPS版112を挿入するリエントリー用挿入口(副挿入口)250が設けられている。この副挿入口250からは、現像処理を除く処理を行うためのPS版112の挿入口とされている。
この副挿入口250には、ブレード252が配設されている。ブレード252は、先端部が副挿入口250の案内支持面とされる外板パネル114に接触され、基部がブラケット254を介して外板パネル114の裏面側に固定されている。このため、副挿入口250は、ブレード252によって閉塞された状態となる。
乾燥部(図示せず)は、図示しない多数のローラによって、フィニッシャー部126から送り出されたPS版112を搬送しながら、このPS版112の両面に温風を吹きつけて乾燥するようになっている。
現像部122の現像槽118へのPS版112の挿入側には、一対の搬送ローラ132が配設されており、この一対の搬送ローラ132の間にPS版112が挿入口202から挿入されるようになっている。
搬送ローラ132の下流側近傍には、ゴム製ブレード206が取付けられている。ブレード206は、その先端部が現像部122の現像槽118の側壁に接触されており、基部がブラケット256を介して外板パネル114に取付けられている。ブラケット256は、固定部256Aと固定部に蝶ねじ258で取付けられたスライド部256Bとによって構成され、ブレード206はスライド部256Bに固着されている。このため、ブレード206は、蝶ねじ258を緩めスライド部256Bを固定部256Aに対してスライドさせることにより、先端部を現像槽118の側壁から離反させることができる構成となっている。
また、この挿入口202の近傍には、PS版12の有無及びその搬送された版の版面積等を測定可能な版検出センサ208が取付けられている。
現像槽118は上方が開口され底部中央部が下方に向けて突出された略逆山形状とされている。この現像槽118内には、ポンプ260が設けられ、このポンプ260によって現像槽118内の現像液が吸い出され、後述のスプレーパイプ144,272から噴出されるようになっている。これにより、現像槽118内に貯留された現像液は循環されるようになっている。この循環中に現像液の電導度を測定する電導度センサ262を通過するようになっている。また、現像槽118には、補充原液供給ポンプ264を介して現像補充原液タンク266から補充原液が供給されるようになっている。さらに後述するが、現像槽118には、ポンプ286を介して水洗槽128から希釈水が供給されるようになっている。
上記ポンプ264やポンプ286は、電導度センサ262及び時間計測部52からの信号に基づいて、条件記憶手段である制御ROM51aもしくは制御RAM51b及び時間計測部52を備えた制御装置50によって制御される。なお、その他、制御装置50の作用効果は第1実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
現像槽118内には、上流側にガイド板268、下流側に多数のガイドローラ134及び回転ブラシローラ270が配設されている。これらのガイドローラ134及び回転ブラシローラ270は、現像槽118の一対の側板の間に回転可能に掛け渡されている。
前記ガイド板268の上方には、比較的大径のガイドローラ136が、ガイドローラ134の上方には、回転ブラシローラ138及びガイドローラ140が、ガイドローラ140の下方には回転ブラシローラ270が各々配設される。また、現像槽118内の中央部には、PS版112の表面をスクイズする機能を備えた一対の絞りローラ142が配設されている。
現像槽118の最下流側には、前記オーバーフロー管120が配設され、現像液の液面が所定のレベルを超えると、現像液を廃液タンク284へ案内して廃棄するようになっている。
現像槽118内の現像液表面には、液面蓋150が配置されている。この液面蓋150は回転ブラシローラ138とこれに隣接したガイドローラ140に対応する部分が略円弧状に突出され、現像液表面と空気との接触をできるだけ少なくするため現像液面に密着され、現像液の増減に応じて上下するように、この液面蓋150のPS版112の搬送方向の両端が図示しない側板にスライド可能な構造によって取付けられている。
この液面蓋150の搬送方向下流側端には、ブレード274の先端が接触されている。このブレード274はブラケット276を介して外板パネル114に固定されている。このブレード274によって液面蓋150の搬送方向下流端から露出する現像液の液面と、液面蓋150の上方との間が仕切られ、前記挿入口202の近傍のブレード206(現像槽118の側壁と接触した状態)とによって、液面蓋150の上方は外気とは完全に隔離されることになり、現像液の蒸発を抑制することができる。
現像槽118の搬送方向の最下流側には、PS版112を挟持して搬送すると共に、PS版112の表面から現像液を絞り取るローラ対154が配置されている。
一方、自動現像装置100には、現像部122の下流側に水洗部124の水洗槽128が配設されている。水洗槽128の上方には、2対の搬送ローラ152,153が配設されている。
水洗槽128には、現像槽118から送り出されたPS版112から現像液を洗い落とした後の水洗水が貯留されている。搬送ローラ153の上流側、かつ搬送路よりも上側には、スプレーパイプ156が配設されており、このスプレーパイプ156の外周には内部と連通する複数の吐出口が設けられている。スプレーパイプ156からは、水洗水タンク278からポンプ280によって汲み上げられた水洗水が搬送ローラ153の上側のローラに滴下され、搬送ローラ153が回転することによって、PS版112の表面に水洗水が速やかに広がり、PS版112の表面が水洗水によって洗浄される。
また、搬送ローラ152,153の下側のローラの下部は、受け皿162に収容されている。受け皿162には、水洗水が貯留されるようになっており、下側のローラで汲み上げられて、PS版112の裏面を洗浄すると共に上側の搬送ローラ152,153が乾くのを抑えている。
また、PS版112の表面上を幅方向へ拡散した水洗水は、PS版112の幅方向両端部から下方の受け皿162へ落ち、この受け皿162から汲み上げられた水洗水によってPS版112の裏面が処理される構成となっている。受け皿162から溢れた水洗水は水洗槽128へ案内される。水洗槽128には、オーバーフロー管282が配設され、所定の液面を超えると、廃液タンク284へ廃棄される。
また、この水洗槽128と現像槽118とは、ポンプ286を介して連通されており、ポンプ286の駆動によって、水洗槽128内の水洗水が現像槽118へ案内され、現像槽118に補充原液を供給する際の希釈液として利用可能となっている。
フィニッシャー部126のガム液槽130の上方には、一対の搬送ローラ178が設けられている。搬送ローラ153によって送り出されたPS版112は、この搬送ローラ178へ案内されるようになっている。
また、搬送ローラ178の上流側には、搬送路の上下方向にスプレーパイプ182,288が配設されている。このスプレーパイプ182,288からは、ガム液タンク290からポンプ292によって汲み上げられたガム液が吐出され、PS版112の表面及び裏面に供給される。
搬送ローラ178は、PS版112を挟持して搬送すると共に、PS版112の表面を不感脂化処理するためにスプレーパイプ182によって供給されたガム液をスクイズするようになっている。PS版112の表面からスクイズされたガム液は、ガム液槽130に回収される。ガム液槽130内のガム液は、ポンプ294によって循環されるようになっている。また、このガム液槽130には、オーバーフロー管296が設けられ、ガム液が所定の液面を超えると廃液タンク284へ案内され廃棄される構成となっている。
また、下側の搬送ローラ178の下部はガム液槽130に貯留されたガム液に浸されており、PS版112の裏面側は、下側の搬送ローラ178が、ガム液槽130からガム液を汲み上げることにより、塗布処理を行っている。これによって、搬送ローラ178がガム液を持ち出してPS版112の裏面の不感脂化処理を行うと共に上側の搬送ローラ178の乾きが抑えられ、搬送ローラ178の表面に処理液の成分が析出しないようになっている。
このフィニッシャー部126での処理が終了したPS版112は、ケーシング200の排出口204を通過して、乾燥部(図示せず)へ送り出されるようになっている。
ここで、排出口204には、仕切板としての蓋体210が設けられている。この蓋体210は、軸212に固着されている。軸212は図示しない駆動手段で(例えばソレノイド)回動可能とされている。この軸212の回転は、挿入口202の近傍に設けられた前記版検出センサ208によるPS版112の検出に基づいてなされる。すなわち、版検出センサ208でPS版112を検出している間及び検出しなくなってから(後端を検出してから)所定時間経過するまでの間は蓋体210は略水平(排出口204の開放状態)で保持され、それ以外は垂直(排出口204の閉塞状態)とされるようになっている。
以下に本実施形態の作用を説明する。まず、現像槽118、水洗槽128、ガム液槽130等の処理槽は、上蓋となる外板パネル114、本体108等のケーシング200によって覆われている。また、自動現像装置100によって、PS版112の現像処理が行われていない状態では、挿入口202は、ブレード206が現像槽118の側壁に接触し合っているため、閉塞されている。一方、排出口204は、版検出センサ208でPS版112を検出していないので、蓋体210が垂直状態とされ、この排出口204も閉塞されている。さらに、副挿入口250もブレード252によって閉塞され、現像部122の液面蓋150の上方もブレード206、122によって閉塞されている。このため、現像槽118内の現像液、水洗部124内の水洗水及びフィニッシャー部126内のガム液は、外気に晒されることはなく、炭酸ガス疲労は殆ど無い。このため、経時的劣化による現像能力の低下を抑えることができるので、例えば、現像部122における補充原液の補充量を激減することができる。特に、現像槽118の現像液表面は液面蓋150で覆われているので現像液と外気との接触防止の効果は大きい。
なお、現像液と外気との接触をできるだけ少なくするため、蓋体210の開いている時間をできるだけ短くする方がよい。したがって、PS版112が通過している間のみ開いていて、それ以外の間は閉じている構造が好ましい。
制御装置50による制御は、前述の第1実施形態で説明した図2〜図12における現像補充液の補充方法のフローチャートの内容と同様であるので、ここではその説明は省略する。
次に、上記実施形態における現像補充液の補充方法、及び従来の現像補充液の補充方法をそれぞれ適用した場合について、現像液感度の変動量幅を実験により求めた。以下に実施例1〜10、比較例1〜20で使用した現像液A、B、C、D、補充液A、B、C、D、感光材料A、B、C、D、E、の作製方法を記す。
[現像液A]
富士写真フイルム社製現像液DP−7を1/9に希釈して使用した。
[現像液B]
富士写真フイルム社製現像液DT−2を1/9に希釈して使用した。
[現像液C]
下記成分を水に溶解し、KOHで下記のpHになるように現像液を調製した。
界面活性剤([化15]参照) 5 質量%
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール 0.1質量%
エチレンジアミンテトラ酢酸4Na塩 0.2 質量%
炭酸カリウム 0.2 質量%
pH[25℃] 12.0
Figure 2006268023
[現像液D]
下記成分を水に溶解し、KOHで下記のpHになるように現像液を調製した。
一般式(I)の化合物(Y) 5.0 g
エチレンジアミンテトラ酢酸4Na塩 0.1 g
添加剤1 (P) 1.0 g
添加剤2 (Q) 1.0 g
pH[25℃] 12.0
Y:
Figure 2006268023
P:
Figure 2006268023
Q:
Figure 2006268023
[補充液A]
富士写真フイルム社製現像補充液DP−7RWを使用した。
[補充液B]
富士写真フイルム社製現像補充液DT−2Rを使用した。
[補充液C]
下記成分を水に溶解し、KOHで下記のpHになるように現像液を調製した。
界面活性剤([化19]参照) 5 質量%
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール
0.1 質量%
エチレンジアミンテトラ酢酸4Na塩 0.2 質量%
炭酸カリウム 0.2 質量%
pH[25℃] 13.0
Figure 2006268023
[補充液D]
下記成分を水に溶解し、KOHで下記のpHになるように現像液を調製した。
一般式(I)の化合物(Y) 5.0 g
エチレンジアミンテトラ酢酸4Na塩 0.1 g
添加剤1 (P) 1.0 g
添加剤2 (Q) 1.0 g
pH[25℃] 13.0
Y:
Figure 2006268023
P:
Figure 2006268023
Q:
Figure 2006268023
[感光材料A]
特開2000−231188明細書記載の実施例1に基づいて作成した。得られた感光板に、米国ヌアーク社製プリンターFT26V2UPNS(光源:2kWメタルハライドランプ)で1分間画像露光した。
[感光材料B]
特開平7−295212記載の実施例1に基づいて作成した。得られた感光板に、米国ヌアーク社製プリンターFT26V2UPNS(光源:2kWメタルハライドランプ)で50カウント画像露光した。
[感光材料C]
0.3mm厚のアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレンで洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミス−水懸濁液を用い、この表面を砂目立てし、水でよく洗浄した。洗浄後、このアルミニウム板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗した後、さらに20%硝酸水溶液に20秒間浸漬し、再度水洗した。このときの砂目立て表面のエッチング量は、約3g/mであった。次に、このアルミニウム板を7%硫酸を電解液として、電流密度15A/dmの直流電流で3g/mの陽極酸化被膜を設けた後、水洗、乾燥した。これを、30℃の珪酸ナトリウム2.5%水溶液で10秒処理し、下記下塗り層用塗布液を塗布し、80℃下で15秒間乾燥して支持体を得た。乾燥後の下塗り層の乾燥塗布量は、15mg/m2であった。
<下塗り層用塗布液>
下記共重合体P(分子量28000) 0.3g
メタノール 100g
水 1g
共重合体P
Figure 2006268023
<特定の共重合体の合成>
合成例(特定の共重合体1)
攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた500ml三つ口フラスコにメタクリル酸31.0g(0.36モル)、クロロギ酸エチル39.1g(0.36モル)及びアセトニトリル200mlを入れ、氷水浴で冷却しながら混合物を攪拌した。この混合物にトリエチルアミン36.4g(0.36モル)を約1時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後、氷水浴を取り去り、室温下で30分間混合物を攪拌した。この反応混合物にp−アミノベンゼンスルホンアミド51.7g(0.30モル)を加え、油浴にて70℃に温めながら混合物を1時間攪拌した。反応終了後、この混合物を水1リットルにこの水を攪拌しながら投入し、30分間得られた混合物を攪拌した。この混合物をろ過して析出物を取り出し、これを水500mlでスラリーにした後、このスラリーをろ過し、得られた固体を乾燥することにより、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミドの白色固体が得られた(収量46.9g)。
次に、攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた20ml三つ口フラスコにN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド4.61g、(0.0192モル)、メタクリル酸エチル2.94g(0.0258モル)、アクリロニトリル0.80g(0.015モル)及びN,N−ジメチルアセトアミド20gを入れ、湯水浴により65℃に加熱しながら混合物を攪拌した。この混合物に「V−65」(和光純薬(株)製)0.15gを加え、65℃に保ちながら窒素気流下2時間混合物を攪拌した。この反応混合物にさらにN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド4.61g、メタクリル酸エチル2.94g、アクリロニトリル0.80g、N,N−ジメチルアセトアミド及び「V−65」0.15gの混合物を2時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後、さらに65℃で2時間得られた混合物を攪拌した。反応終了後、メタノール40gを混合物に加え、冷却し、得られた混合物を水2リットルにこの水を攪拌しながら投入し、30分間混合物を攪拌した後、析出物をろ過により取り出し、乾燥することにより15gの白色固体を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、この特定の共重合体の重量平均分子量(ポリスチレン標準)を測定したところ、53,000であった。
得られた支持体上に下記画像記録層塗布液を、乾燥塗布量が、1.8g/mとなるように塗布し、ポジ型の赤外線感光性平版印刷版を得た。
<画像記録層用塗布液>
上記特定の共重合体 0.4g
m,p−クレゾールノボラック 0.6g
(m/p比=6/4、重量平均分子量8000、未反応クレゾールを0.5%含有)
シアニン染料A 0.1g
無水フタル酸 0.05g
p−トルエンスルホン酸 0.002g
エチルバイオレット 0.02g
(対イオン:6−ヒドロキシ−β−ナフタレンスルホン酸)
ナフトキノン1,2−ジアジド−5−スルホニルクロイドと
ピロガロール−アセトン樹脂とのエステル化物 0.01g
フッ素系界面活性剤 0.05g
(商品名:メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株)製)
メチルエチルケトン 8g
1−メトキシ−2−プロパノール 4g
[感光材料D]
〔支持体の作製〕
<アルミニウム板>
Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.001質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理及びろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作製した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmに仕上げ、JIS 1050材のアルミニウム板を得た。このアルミニウム板を幅1030mmにした後、以下に示す表面処理に供した。
<表面処理>
表面処理は、以下の(a)〜(j)の各種処理を連続的に行うことにより行った。なお、各処理および水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
(a)機械的粗面化処理
比重1.12の研磨剤(パミス)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。研磨剤の平均粒径は30μm、最大粒径は100μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は45mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
(b)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を10g/m溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間Tが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dmであった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.50g/m溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(f)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
(g)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸5.0g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間Tが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dmであった。その後、スプレーによる水洗を行った。
(h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(i)デスマット処理
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
(j)陽極酸化処理
陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行い、平版印刷版用支持体を得た。第一および第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度170g/L(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度38℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/mであった。
以上の処理により得られた支持体のRaは0.45であった。
〔下塗り〕
次に、このアルミニウム支持体に下記下塗り液をワイヤーバーにて塗布し、温風式乾燥装置を用いて90℃で30秒間乾燥した。乾燥後の被覆量は10mg/mであった。
<下塗り液>
・エチルアクリレートと2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパン
スルホン酸ナトリウム塩のモル比75:15の共重合体 0.1g
・2−アミノエチルホスホン酸 0.1g
・メタノール 50g
・イオン交換水 50g
〔感光層〕
次に、下記感光層塗布液[P−1]を調整し、上記の下塗り済みのアルミニウム板にワイヤーバーを用いて塗布した。乾燥は、温風式乾燥装置にて122℃で43.5秒間行って感光層を形成した。乾燥後の被覆量は1.4g/mであった。
<感光層塗布液[P−1]>
・赤外線吸収剤(IR−1) 0.08g
・重合開始剤(OS−1) 0.25g
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 1.00g
・バインダーポリマー(BT−1) 1.00g
・エチルバイオレットのクロライド塩 0.04g
・フッ素系界面活性剤 0.03g
(メガファックF−780−F 大日本インキ化学工業(株))
・メチルエチルケトン 10.4g
・メタノール 4.83g
・1−メトキシ−2−プロパノール 10.4g
上記感光層塗布液に用いた赤外線吸収剤(IR−1)、重合開始剤(OS−1)、及びバインダーポリマー(BT−1)の構造を以下に示す。
Figure 2006268023
[保護層(オーバーコート層)]
上記の感光層表面に、ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度500)とポリビニルピロリドン(BASF社製、ルビスコールK−30)の混合水溶液をワイヤーバーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて125℃75秒間乾燥させた。PVAの含有量は85質量%であり、塗布量(乾燥後の被覆量)は2.45g/mであった。表面の動摩擦係数は0.45であった。
以上のようにして、感光性平版印刷版1を得た。
[感光材料E]
厚さ0.3mmの材質1Sのアルミニウム板を水でよく洗浄し、10%水酸化ナトリウムに70℃60秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗、その後20%硝酸で中和洗浄、水洗した。これをVA=12.7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて、1.5%硝酸水溶液中で270クーロン/dmの陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。その表面粗さを測定したところ、0.30μm(Ra表示)であった。引き続いて、30%の硫酸水溶液中に浸漬し、40℃で2分間デスマットした後、33℃、20%硫酸水溶液中で、砂目立てした面に陰極を配置して、電流密度5A/dmにおいて、50秒陽極酸化したところ厚さが2.7g/mであった。
このように処理されたアルミニウム版上に、下記組成の中間層用塗布液を塗布し、乾燥塗布質量が2mg/mに塗布し、100℃で3分乾燥した。
<中間層用塗布液>
下記組成を混合攪拌し、約5分後に発熱が見られ、60分間反応させた後、メタノール20,000gを加えた液。
メタノール 100g
DDP−8(燐酸化合物:日光ケミカル製) 15g
水 10g
燐酸 5g
テトラエトキシシラン 50g
3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン 50g
この下塗り層上に、下記組成の高感度光重合性組成物1を乾燥塗布質量が1.5g/mになるように塗布し、100℃で90秒間乾燥させ感光層を形成した。
<光重合性組成物1>
エチレン性不飽和結合含有化合物(A1) 1.8g
線状有機高分子バインダー(B1) 1.5g
増感剤(C1) 0.15g
光開始剤(D1) 0.2g
β−フタロシアニン(F1)分散物 0.2g
フッ素系ノニオン界面活性剤メガファックF177(DIC製) 0.03g
メチルエチルケトン 10g
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10g
Figure 2006268023
このように形成された光重合性感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度500)の3質量%の水溶液を乾燥塗布質量が2.5g/mになるように塗布し、100℃で90秒間乾燥させ、感光材料Eを得た。
[実施例1〜10の処理]
表1、表2,表3、表4、表5、表6に示した通り、本発明の補充方法を使用して継続処理を行い現像液感度安定性を評価した。現像感度安定性の評価として、感光材料にハーフトーン化して露光した階調濃度50%の画像の画像濃度が、現像処理した後にどの程度変化するかにより行った。結果を表8に示す。
Figure 2006268023
Figure 2006268023
Figure 2006268023
Figure 2006268023
Figure 2006268023
Figure 2006268023
Figure 2006268023
Figure 2006268023
[比較例1〜20の処理]
表1、表2,表3、表4、表5に示した通り、比較例1〜10に対しては、面積経時基準補充方法(電導度検出無し)を使用し、比較例11〜20に対しては、電導度基準補充方式を使用して継続処理を行い、現像液感度安定性を評価した。現像感度安定性の評価として、感光材料にハーフトーン化して露光した階調濃度50%の画像の画像濃度が、現像処理した後にどの程度変化するかにより行った。結果を表9に示す。
Figure 2006268023
なお、比較例11の電導度基準補充方式は特開昭64−21451号(US4,882,246)に記載の方法に従った。
以上の評価により、50%階調濃度の変化が、許容範囲である、−1.0%〜+1.0%、を越えている比較例1〜20に対し、本発明方式を使用した実施例1〜10では、50%階調濃度の変化が、許容範囲に収まっていることが確認できた。
本発明の現像制御方法を実施する自動現像装置の第1実施形態の構成図である。 本発明の現像制御方法における制御装置による第1の制御内容を示すフローチャート(その1)である。 本発明の現像制御方法における制御装置による制御内容を示すフローチャート(その2)である。 本発明の現像制御方法における制御装置による第2の制御処理を示すフローチャート(その1)である。 本発明の現像制御方法における制御装置による第2の制御処理を示すフローチャート(その2)である。 本発明の現像制御方法における制御装置による第3の制御処理を示すフローチャート(その1)である。 本発明の現像制御方法における制御装置による第3の制御処理を示すフローチャート(その2)である。 本発明の現像制御方法における制御装置による第4の制御処理を示すフローチャート(その1)である。 本発明の現像制御方法における制御装置による第4の制御処理を示すフローチャート(その2)である。 本発明の現像制御方法における制御装置による第5の制御処理を示すフローチャート(その1)である。 本発明の現像制御方法における制御装置による第5の制御処理を示すフローチャート(その2)である。 本発明の現像制御方法における制御装置による第5の制御処理を示すフローチャート(その3)である。 図10及び図11の処理工程と組み合わせた本発明の現像制御方法における制御装置による第6の制御処理を示すフローチャートである。 本発明の現像制御方法を実施する自動現像装置の第2実施形態の構成図である。
符号の説明
2,100 自動現像装置
4,112 PS版
6,122 現像部
20,118 現像槽
50 制御装置
51a 制御ROM
51b 制御RAM
52 時間計測部
53 補充希釈液貯留タンク
55,266 補充原液貯留タンク
73,262 電導度センサ
74,264 補充原液供給ポンプ
76 補充希釈液供給ポンプ
90,91 補充用配管

Claims (9)

  1. 露光処理された多枚数の感光性平版印刷版を、電解質を含有する現像液で現像すると共に、現像補充液を補充して現像液活性を一定に保持する感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法であって、
    予め定めた一定の周期毎に現像液電導度を測定し、一定時間毎に予め定めた経時補充量設定値に基づいた量の現像補充液を経時補充液として補充し、一定面積の版処理毎に予め定めた処理補充量設定値に基づいた量の現像補充液を処理補充液として補充し、該経時補充液の量と該処理補充液の量から電導度演算値を算出し、この算出された電導度演算値と前記現像液電導度の測定値とを比較した結果に基づいて、前記経時補充量設定値と前記処理補充量設定値を増減し、さらに、電導度演算値と現像液電導度の差分値を現像液活性度として表示することを特徴とする感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法。
  2. 露光処理された多枚数の感光性平版印刷版を、電解質を含有する現像液で現像すると共に、現像補充液を補充して現像液活性を一定に保持する感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法であって、
    予め定めた一定の周期毎に現像液電導度を測定し、一定時間毎に予め定めた経時補充量設定値を経時補充量積算値に積算し、一定面積の版処理毎に予め定めた処理補充量設定値を処理補充量積算値に積算した後、
    前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値の合計量が予め定めた補充量最低値を超えた場合、
    (イ)前回補充した時点から現時点までの経過時間を計測し、該経過時間から電導度演算値を算出するステップと、
    (ロ)前記電導度演算値と前記測定された現像液電導度値との差分値を現像液活性度として表示するステップと、
    (ハ)該電導度演算値と、測定された前記現像液電導度値と、を比較した結果により前記経時補充量設定値と前記処理補充量設定値を変更するステップと、
    (ニ)前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値の合計量の補充液を現像槽内の現像液に補充するステップと、
    (ホ)前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値を初期化するステップと、
    を実行することを特徴とする感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法。
  3. 露光処理された多枚数の感光性平版印刷版を、電解質を含有する現像液で現像すると共に、現像補充液を補充して現像液活性を一定に保持する感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法であって、
    予め定めた一定の周期毎に現像液電導度値を測定し、一定時間毎に予め定めた経時補充量設定値を経時補充量積算値に積算し、一定面積の版処理毎に予め定めた処理補充量設定値を処理補充量積算値に積算し、現像槽内の現像液における経時補充液の割合である経時補充比率を演算した後、
    前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値の合計量が予め定めた補充量最低値を超えた場合、
    (イ)前回補充した時点から現時点までの経過時間を計測し、該経過時間から第1電導度演算値を算出するステップと、
    (ロ)前記第1電導度演算値と前記測定された現像液電導度値との差分値を現像液活性度として表示するステップと、
    (ハ)前記第1電導度演算値と、測定された前記現像液電導度値と、を比較した結果により前記経時補充量設定値と前記処理補充量設定値を変更するステップと、
    (ニ)前記経時補充比率を用いて第2電導度演算値を算出するステップと、
    (ホ)該第2電導度演算値と、測定された前記現像液電導度値と、を比較した結果により前記経時補充量設定値と前記処理補充量設定値を変更するステップと、
    (ヘ)前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値の合計量の補充液を現像槽内の現像液に補充するステップと、
    (ト)前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値を初期化するステップと、
    を実行することを特徴とする感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法。
  4. 露光処理された多枚数の感光性平版印刷版を、電解質を含有する現像液で現像すると共に、現像補充液を補充して現像液活性を一定に保持する感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法であって、
    予め定めた一定の周期毎に該現像液電導度値を測定し、一定時間毎に予め定めた経時補充量設定値を経時補充量積算値に積算し、一定面積の版処理毎に予め定めた処理補充量設定値を処理補充量積算値に積算し、現像槽内現像液における補充量の割合である補充液置換率を演算し、現像槽内現像液における経時補充液の割合である経時補充比率を演算した後、
    前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値の合計量が予め定めた補充量最低値を超えた場合、
    (イ)前回補充した時点から現時点までの経過時間を計測し、該経過時間と前記補充液置換率と、から第1電導度演算値を算出するステップと、
    (ロ)前記第1電導度演算値と前記測定された現像液電導度値との差分値を現像液活性度として表示するステップと、
    (ハ)前記第1電導度演算値と、測定された前記現像液電導度値と、を比較した結果により前記経時補充量設定値と前記処理補充量設定値を変更するステップと、
    (ニ)前記補充液置換率と前記経時補充比率とを用いて第2電導度演算値を演算するステップと、
    (ホ)前記第2電導度演算値と、測定された前記現像液電導度値と、を比較した結果により前記経時補充量設定値と前記処理補充量設定値を変更するステップと、
    (ヘ)前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値の合計量の補充液を現像槽内の現像液に補充するステップと、
    (ト)前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値を初期化するステップと、
    を実行することを特徴とする感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法。
  5. 露光処理された多枚数の感光性平版印刷版を、電解質を含有する現像液で現像すると共に、現像補充液を補充して現像液活性を一定に保持する感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法であって、
    予め定めた一定の周期毎に該現像液電導度値を測定し、一定時間毎に予め定めた経時補充量設定値を経時補充量積算値に積算し、一定面積の版処理毎に予め定めた処理補充量設定値を処理補充量積算値に積算し、現像槽内現像液における補充量の割合である補充液置換率を演算し、現像槽内現像液における経時補充液の割合である経時補充比率を演算した後、
    前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値の合計量が予め定めた補充量最低値を超えた場合、
    (イ)前回補充した時点から現時点までの経過時間を計測し、該経過時間と前記補充液置換率と、から第1電導度演算値を算出するステップと、
    (ロ)前記第1電導度演算値と前記測定された現像液電導度値との差分値を現像液活性度として表示するステップと、
    (ハ)前記第1電導度演算値と、測定された前記現像液電導度値と、を比較した結果により前記経時補充量設定値と前記処理補充量設定値を変更するステップと、
    (ニ)前記補充液置換率と前記経時補充比率とを用いて第2電導度演算値を演算し、
    (ホ)前記第2電導度演算値と、測定された前記現像液電導度値と、を比較した結果により前記経時補充量設定値と前記処理補充量設定値を変更するステップと、
    (ヘ)前記現像液電導度値が前記第1電導度演算値より小さい場合は、前記補充量最低値の量の補充液を補充し、前記現像液電導度値が前記第1電導度演算値より大きい場合は、前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値の合計量の補充液を現像槽内の現像液に補充するステップと、
    (ト)前記経時補充量積算値と前記処理補充量積算値を初期化するステップと、
    を実行することを特徴とする感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法。
  6. 予め現像液の活性度が適正範囲にある電導度値を目標電導度値として算出するとともに、自動現像装置の運転開始直後で且つ現像液の測定電導度値が目標電導度値を上回るまでの間は、予め定めた一定の周期毎に該現像液の電導度を測定し、この測定電導度値が前記目標電導度値より低い場合に、現像補充液を前記現像液に補充することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法。
  7. 前記現像液活性度が予め定めた現像液活性度下限値より下回っていた場合に警告1を発し、前記現像液活性度が予め定めた現像液活性度上限値より上回っていた場合に前記警告1とは異なる警告2を発する、ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法。
  8. 露光処理された多枚数の感光性平版印刷版を、電解質を含有する現像液で現像すると共に、現像補充液を補充して現像液活性を一定に保持する感光性平版印刷版自動現像装置であって、
    前記感光性平版印刷版を現像液で現像する現像処理部と、
    前記現像液の電導度を測定する電導度測定手段と、
    現像補充液を前記現像液に補充する現像液補充手段と、
    前記現像液電導度の測定値と現像液活性度が適正範囲となる電導度基準値との差分値である現像液活性度を表示する表示手段と、
    を有し、請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の現像制御方法に基づいて、前記現像補充液を前記現像液に補充することを特徴とする感光性平版印刷版自動現像装置。
  9. 露光処理された多枚数の感光性平版印刷版を、電解質を含有する現像液で現像すると共に、現像補充液を補充して現像液活性を一定に保持する感光性平版印刷版自動現像装置であって、
    前記感光性平版印刷版を現像液で現像する現像処理部と、
    前記現像液の電導度を測定する電導度測定手段と、
    現像補充液を前記現像液に補充する現像液補充手段と、
    前記現像液電導度の測定値と現像液活性度が適正範囲となる電導度基準値との差分値である現像液活性度を表示する表示手段と、
    前記現像液活性度の異常を通知する警告発生手段と、
    を有し、請求項7の現像制御方法に基づいて、前記現像補充液を前記現像液に補充することを特徴とする感光性平版印刷版自動現像装置。
JP2006039806A 2005-02-23 2006-02-16 感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法及びその自動現像装置 Pending JP2006268023A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006039806A JP2006268023A (ja) 2005-02-23 2006-02-16 感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法及びその自動現像装置

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005047475 2005-02-23
JP2006039806A JP2006268023A (ja) 2005-02-23 2006-02-16 感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法及びその自動現像装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006268023A true JP2006268023A (ja) 2006-10-05

Family

ID=37203992

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006039806A Pending JP2006268023A (ja) 2005-02-23 2006-02-16 感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法及びその自動現像装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006268023A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018120893A (ja) * 2017-01-23 2018-08-02 株式会社平間理化研究所 現像液の成分濃度測定装置、及び現像液管理装置
JP2018120897A (ja) * 2017-01-23 2018-08-02 株式会社平間理化研究所 現像液の濃度監視装置、及び現像液管理装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018120893A (ja) * 2017-01-23 2018-08-02 株式会社平間理化研究所 現像液の成分濃度測定装置、及び現像液管理装置
JP2018120897A (ja) * 2017-01-23 2018-08-02 株式会社平間理化研究所 現像液の濃度監視装置、及び現像液管理装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7493857B2 (en) Method for controlling development in automatic developing machine for photosensitive lithographic printing plate precursor and automatic developing machine therefor
US7435021B2 (en) Automatic development method of photosensitive lithographic printing plate and automatic development device thereof
JP4166167B2 (ja) 感光性平版印刷版用現像液及び平版印刷版の製版方法
JP2004271985A (ja) 感光性平版印刷版用現像液及び平版印刷版の製版方法
EP1696275B1 (en) Method for replenishing development replenisher in automatic developing machine for photosensitive lithographic printing plate precursor and automatic photosensitive lithographic printing plate precursor developing machine
JP4512503B2 (ja) 感光性平版印刷版自動現像装置の現像液補充方法、及び感光性平版印刷版自動現像装置
JP2006268023A (ja) 感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法及びその自動現像装置
EP1566699A2 (en) Automatic development method of photosensitive lithographic printing plate and automatic development device thereof
JP2005025009A (ja) 平版印刷版原版の現像処理方法
JP2005091472A (ja) 感光性平版印刷版用現像液及び平版印刷版の製版方法
JP2006235070A (ja) 感光性平版印刷版自動現像装置の現像制御方法及びその自動現像装置
US7189015B2 (en) Method for replenishing development replenisher in automatic developing machine for photosensitive lithographic printing plate precursor
JP2006268024A (ja) 感光性平版印刷版自動現像装置の現像補充液補充方法、及び感光性平版印刷版自動現像装置
JP2006235078A (ja) 感光性平版印刷版の自動現像方法及びその自動現像装置
JP2005321763A (ja) 感光性平版印刷版自動現像機の現像補充液補充方法
JP2005275385A (ja) 感光性平版印刷版の自動現像方法及びその自動現像装置
JP2007219167A (ja) 感光性平版印刷版の自動現像方法及び自動現像装置
JP2005234444A (ja) 感光性平版印刷版の自動現像方法及びその自動現像装置
JP2005234443A (ja) 感光性平版印刷版の自動現像方法及びその自動現像装置
JP2005266052A (ja) 感光性平版印刷版自動現像機の現像補充液補充方法
JP2006091719A (ja) 感光性平版印刷版自動現像機の現像補充液補充方法。
JP2006126349A (ja) 自動現像装置の現像液補充方法
JP2005351976A (ja) 感光性平版印刷版自動現像機の現像補充液補充方法
JP2007225819A (ja) 自動現像方法及びその自動現像装置
JP2004294987A (ja) 感光性平版印刷版用現像液及び平版印刷版の製版方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20061127

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071109

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071116

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071126