JP4102212B2 - 使い捨ておむつカバー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、横向きに寝た状態での腰脇部分からの横漏れを広範囲で確実に防止できる使い捨ておむつカバーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、使い捨ておむつと併用する使い捨て補助吸収具として、使い捨ておむつの前腹部または後背部の左右のサイドフラップに別体の補助吸収具をそれぞれ面ファスナーで着脱自在に固定するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、使い捨ておむつと共に着用される使い捨て補助吸収具として、中央縦割りの半パンツ状物がある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、使い捨てアンダーガーメントとして、股用吸収体が配置された股部の左右に、前腹部と後背部の左半分と右半分がそれぞれ形成されて、左右の前腹部の前端同士と後背部の後端同士とが接合されるとともに、この各半分の前腹部と後背部とに跨ってスリット状の脚穴部がそれぞれ形成されたものがある(例えば、特許文献3照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−353180号公報
【特許文献2】
特開2001−340370号公報
【特許文献3】
特開2002−242001号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1では、展開可能な使い捨ておむつを対象としており、使い捨ておむつを展開状態として、前腹部または後背部の左右のサイドフラップに別体の補助吸収具をそれぞれ正規の位置に固定する必要があるから、着用者や介護者にとって固定作業に手間がかかるという問題がある。
【0007】
また、ファスニングテープ等で使い捨ておむつを組み立てて着用するから(開閉式テープ型)、着用時の快適性に欠けるという問題がある。
【0008】
さらに、前腹部または後背部の左右のサイドフラップに補助吸収具を固定するだけであるから、着用者の寝返り等の動作により外れて、漏れにつながりやすいという問題がある。
【0009】
特許文献2では、中央縦割りの半パンツ状物である使い捨て補助吸収具を着用した上に使い捨ておむつを重ねて着用する必要があるから、着用者や介護者にとって着用作業に手間がかかるという問題がある。
【0010】
また、補助吸収具と使い捨ておむつを2重に着用するから、着用時の快適性に欠けるという問題がある。
【0011】
さらに、補助吸収具は、着用者の左右のいずれか片方しかカバーできないので、例えば左側が下向きとなっている状態から、右側が下向きとなるように着用者が寝返ったような場合には、腰脇部分からの横漏れを広範囲で確実に防止できないという問題がある。
【0012】
特許文献3では、弾性伸縮性を有する生地で形成され、股部の左右に形成した前腹部と後背部の左半分と右半分とを、前端同士と後端同士とを接合してなる使い捨てアンダーガーメントが開示されているが、各半分の前腹部と後背部とに跨ってスリット状の脚穴部を形成する構成とすることで、半円状の脚穴部を形成することによる生地の無駄を省くようにしたものであり、横向きに寝た状態での腰脇部分からの横漏れを広範囲で確実に防止できるものではない。
【0013】
本発明は、上記問題を解消するためになされたもので、従来の補助吸収具のような固定作業が無くて着用作業にも手間がかからず、着用時の快適性が向上して、横向きに寝た状態での腰脇部分からの横漏れを広範囲で確実に防止できる使い捨ておむつカバーを提供することを課題とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、前腹部と後背部との間の股部に、別体の股用吸収体を交換可能に保持する保持部材が配置されて、この股部の両側に脚穴部が形成されるとともに、上記前腹部と後背部とに跨る左右の腰脇部分以外の部分で前腹部と後背部とが接合されてなり、上記腰脇部分に、腰脇用吸収体がそれぞれ固定配置されていることを特徴とする使い捨ておむつカバーを提供するものである。
【0015】
本発明の請求項1は、別体の股用吸収体を交換可能に保持する保持部材が配置された股部の左右に、前腹部と後背部のそれぞれが左半分と右半分とで形成されるとともに、この各半分の前腹部と後背部とに跨って脚穴部がそれぞれ形成されて、左右の前腹部の前端同士と左右の後背部の後端同士とが接合されてなり、上記前腹部と後背部とに跨る左右の腰脇部分に、腰脇用吸収体がそれぞれ固定配置されていることを特徴とする使い捨ておむつカバーを提供するものである。
【0016】
上記保持部材は、股部の左右位置に設けられた立ち上がりフラップである構成が好ましい(請求項2)。
【0017】
上記前腹部と後背部の上側にウエスト用弾性糸が添設され、その下側にボディフィット用弾性糸が添設され、上記脚穴部にレッグ用弾性糸が添設されている構成が好ましい(請求項3)。
【0018】
上記腰脇用吸収体が固定配置された部位のボディフィット用弾性糸の収縮力が小さく設定されている構成が好ましい(請求項4)。
【0019】
上記腰脇用吸収体の前後部は、左右の脚穴部に沿うよう略C字形状に形成されている構成が好ましい(請求項5)。
【0020】
上記立ち上がりフラップは、脚穴部に沿う円弧状に形成されている構成とすることができる(請求項6)。
【0021】
上記立ち上がりフラップは、左右の前腹部の前端と後背部の後端に亘っており、左右の前腹部の前端同士と左右の後背部の後端同士とが接合されて、左右の立ち上がりフラップの前端同士と後端同士が閉じるようになっている構成とすることができる(請求項7)。
【0022】
上記股部に前後方向の股用弾性糸が添設されている構成とすることができる(請求項8)。
【0023】
上記股用弾性糸の前後端は、前腹部の前端と後背部の後端に亘って添設されている構成とすることができる(請求項9)。
【0024】
上記脚穴部は、前後方向の略楕円形状抜き穴に形成され、この脚穴部の周囲にほぼ沿って上記レッグ用弾性糸が添設されている構成とすることができる(請求項10)。
【0025】
上記脚穴部は、前後方向のスリットに形成され、このスリットの左右にほぼ沿って、前腹部の前端と後背部の後端に亘って上記レッグ用弾性糸が添設されている構成とすることができる(請求項11)。
【0026】
上記股部と前腹部と後背部とは、外面側シートと肌面側シートとを接着して構成され、上記腰脇用吸収体は、外面側シートと肌面側シートとの間に挟着固定されている構成とすることができる(請求項12)。
【0027】
上記股部と前腹部と後背部とは、外面側シートと肌面側シートとを接着して構成され、上記腰脇用吸収体は、肌面側シートの上に接着固定されている構成とすることができる(請求項13)。
【0028】
【発明の作用および効果】
本発明は、前腹部と後背部とに跨る左右の腰脇部分以外の部分で前腹部と後背部とを接合するタイプのおむつカバーに適用するものである。例えば、前腹部を股部とほぼ同幅にするとともに、後背部の両側を広幅にして、この広幅の両側部を前腹部側に廻し込んで接合することにより、前腹部と後背部とに跨る左右の腰脇部分に接合部分を無くすることができる。
【0029】
そして、この接合部分の無い左右の腰脇部分に、腰脇用吸収体をそれぞれ固定配置することにより、着用者の腰脇部分全体を広範囲で腰脇用吸収体でカバーできるから、特許文献1と対比して、前腹部または後背部の左右のサイドフラップに補助吸収具を面ファスナーで着脱自在に固定するのでは無いので、寝返り等の動作により外れないため漏れを確実に防止できる。特許文献2と対比して、腰脇用吸収体は、着用者の左右の両方をカバーできるので、例えば左側が下向きとなっている状態から、右側が下向きとなるように着用者が寝返ったような場合でも、腰脇部分からの横漏れを広範囲で確実に防止できるようになる。
【0030】
また、おむつカバーとして、腰脇用吸収体を固定配置したから、特許文献1と対比して、展開状態の使い捨ておむつカバーの前腹部または後背部の左右のサイドフラップに別体の補助吸収具をそれぞれ正規の位置に固定する必要がない。特許文献2と対比して、中央縦割りの半パンツ状物である使い捨て補助吸収具を着用した上に使い捨ておむつカバーを重ねて着用する必要がないことから、着用者や介護者にとって固定作業や着用作業に手間がかからなくなる。
【0031】
さらに、パンツ型のおむつカバーとして、腰脇用吸収体を固定配置したから、特許文献1と対比して、ファスニングテープ等で使い捨ておむつを組み立てて着用する必要が無い。特許文献2と対比して、補助吸収具と使い捨ておむつカバーを2重に着用する必要が無いことから、着用時の快適性が向上するようになる。
【0032】
さらにまた、別体の股用吸収体を交換可能に保持する保持部材を股部に配置したから、腰脇用吸収体が清潔な状態であれば、保持部材で保持した股用吸収体を交換すれば、使い捨ておむつカバーを繰り返し使用できるので経済的になる。
【0033】
請求項1の発明は、前腹部と後背部の左半分と右半分とを、前端同士と後端同士とを接合するタイプのパンツ形状(例えば特許文献3)に適用するものである。かかるタイプのパンツ形状では、従来の補助吸収具のような固定作業が無くて着用作業にも手間がかからず、着用時の快適性が向上して、横向きに寝た状態での腰脇部分からの横漏れを広範囲で確実に防止できるという効果を奏することができる。
【0034】
請求項2のように、股部の左右位置に設けられた立ち上がりフラップで保持部材を構成すると、股用吸収体を保持するための立ち上がりフラップを、使い捨ておむつカバーやパンツ用として備えられている既存の装置を用いてコスト安に設けることができるとともに、別体の股用吸収体の交換が簡単かつ迅速に行えるようになる。
【0035】
請求項3のように、ウエスト用弾性糸とボディフィット用弾性糸とレッグ用弾性糸を添設すると、使い捨ておむつカバー全体が着用者の身体にフィットして、着用時の快適性がより向上するようになる。
【0036】
請求項4のように、腰脇用吸収体を配置した部位のボディフィット用弾性糸の収縮力を小さく設定すると、ボディフィット用弾性糸の収縮に伴う腰脇用吸収体の撚れを防止できるから、着用者の腰脇に対する腰脇用吸収体の密着性が向上して、腰脇部分からの横漏れをより確実に防止できるようになる。
【0037】
請求項5のように、腰脇用吸収体の前後部を左右の脚穴部に沿うよう略C字形状に形成すると、脚穴部周りからの横漏れをより確実に防止できるようになる。
【0038】
請求項6のように、立ち上がりフラップを脚穴部に沿う円弧状に形成すると、レッグ用弾性糸の収縮力によってフラップ全体が均等に立ち上がりやすくなるから、立ち上がりフラップが着用者の脚回りに密着しやすくなって、脚穴部周りからの横漏れをより確実に防止できるようになる。また、左右の立ち上がりフラップの間が広くなるから、別体の股用吸収体の交換がより簡単かつ迅速に行えるようになる。
【0039】
請求項7のように、立ち上がりフラップが左右の前腹部の前端と後背部の後端に亘っていると、立ち上がりフラップを断続的に設けるよりも製造が容易になる。また、前腹部と後背部の左半分と右半分とを、前端同士と後端同士とを接合するタイプのパンツ形状(請求項1)では、使い捨ておむつカバーを組み立てた際に、前端と後端の接合部分と一緒に立ち上がりフラップの前端同士と後端同士が閉じるようになるので、立ち上がりフラップの前後端からの漏れも確実に防止できるようになる。
【0040】
請求項8のように、股部に前後方向の股用弾性糸を添設すると、股用弾性糸が別体の股用吸収体を持ち上げて着用者の股部に密着させるようになるから、排泄物が吸収されやすくなって、股漏れを確実に防止できるようになる。
【0041】
請求項9のように、股用弾性糸の前後端を前腹部の前端と後背部の後端に亘って添設すると、股用弾性糸の前後端が別体の股用吸収体の前後部を着用者の前腹部と後背部に押し付けて密着させるようになるから、股用吸収体の前後部からの漏れを確実に防止できるようになる。
【0042】
請求項10のように、脚穴部を前後方向の楕円形状抜き穴に形成して、この脚穴部の周囲にほぼ沿ってレッグ用弾性糸を添設すると、脚穴が大きいので着用者の脚の出し入れがスムーズになるとともに、レッグ用弾性糸の収縮力によって、脚穴部周りからの横漏れをより確実に防止できるようになる。
【0043】
請求項11のように、脚穴部を前後方向のスリットに形成し、このスリットの左右にほぼ沿って、前腹部の前端と後背部の後端に亘ってレッグ用弾性糸を添設すると、脚穴部のくり抜きが不要でコスト安になるとともに、レッグ用弾性糸の収縮力によって、脚穴部周りからの横漏れをより確実に防止できるようになる。また、レッグ用弾性糸は、前腹部と後背部のボディフィット用弾性糸の下側と、保持部材(立ち上がりフラップ)で保持された股用吸収体の前後端部との間の部分にも位置するようになるので、この部分のレッグ用弾性糸の収縮力によって、股用吸収体の前後端部からの漏れをより確実に防止できるようになる。さらに、レッグ用弾性糸は、前腹部の前端と後背部の後端に亘って連続的に添設されているので、レッグ用弾性糸の添設が容易になる。
【0044】
請求項12のように、外面側シートと肌面側シートとを接着して股部と前腹部と後背部とを構成して、腰脇用吸収体を外面側シートと肌面側シートとの間に挟着固定すると、腰脇用吸収体を製造段階で正規の位置に固定することができる。
【0045】
請求項13のように、外面側シートと肌面側シートとを接着して股部と前腹部と後背部とを構成して、腰脇用吸収体を肌面側シートの上に接着固定すると、腰脇用吸収体を製造段階で正規の位置に固定できるとともに、必要に応じて後付けも可能になる。なお、交換可能に固定することも可能である。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0047】
図1および図2は、第1実施形態の使い捨ておむつカバー1Aであり、図1は展開状態の平面図、図2は組み立て状態の斜視図である。
【0048】
図19の分解斜視図、図21(a)のX−X線断面図、図22(a)のY−Y線断面図を参照すると、使い捨ておむつカバー1Aは、外面側シート2と肌面側シート3とを備え、両シート2,3は、2枚重ねでホットメルト接着剤、熱接着、超音波接着等により接着固定されて、おむつカバー本体4を構成するようになる。
【0049】
上記外面側シート2は、後述する腰脇用吸収体11で吸収した排泄物が外側にしみ出すのを防ぐために、撥水性若しくは不透液性のシート材料が好ましい。より好ましくは、通常使い捨ておむつカバーに用いられる撥水性不織布材料(スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、SMS不織布等)、通気性若しくは非通気性のプラスチックフィルム、これらの複合材料等が好適に用いられる。
【0050】
上記肌面側シート3は、着用者からの排泄物を素早く捕捉し、後述する脇用吸収体11に移行させる必要があるため、透液性のシート材料が好ましい。より好ましくは、通常使い捨ておむつカバーに用いられる親水性繊維(セルロース、レーヨン、コットン等)を用いた不織布材料、あるいは疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ナイロン等)の表面を界面活性剤により処理して透液性とした不織布材料、または開孔を有するプラスチックフィルム等が好適に用いられる。
【0051】
このおむつカバー本体4は、図1および図19の展開状態において、長さ方向Bの中央部分に股部Rが形成されるとともに、この股部Rの左右に、前腹部Pと後背部Qのそれぞれが左半分と右半分とで一体形成されている。また、この各半分の前腹部Pと後背部Qとに跨って、幅方向A(着用時には前後方向)の略楕円形状抜き穴である脚穴部Sがそれぞれ形成されている。
【0052】
そして、左右の前腹部Pの前端4a同士と左右の後背部Qの後端4b同士とを、それぞれ外方に折り曲げて〔図20(a)参照〕ヒートシール等で接合することにより、図2のパンツ型の組み立て状態に組み立てられて、前腹部Pと後背部Qの上端部分に胴回り開口部Tが形成されるようになる。
【0053】
このように、左右の前腹部Pの前端4a同士と左右の後背部Qの後端4b同士とを接合することにより、前腹部Pと後背部Qとに跨る左右の腰脇部分Uに接合部分を無くすることができる。
【0054】
上記外面側シート2と肌面側シート3との間には、前腹部Pと後背部Qの上側に幅方向Aに伸張状態で複数本のウエスト用弾性糸6が添設されるとともに、その下側に幅方向Aに伸張状態で複数本のボディフィット用弾性糸7が添設されている。また、略楕円形状抜き穴に形成された脚穴部Sの周囲にほぼ沿って、円周方向に伸張状態で複数本のレッグ用弾性糸8が添設されている。このように、ウエスト用弾性糸6とボディフィット用弾性糸7とレッグ用弾性糸8を添設すると、使い捨ておむつカバー1A全体が着用者の身体にフィットして、着用時の快適性がより向上するようになる。上記各弾性糸6〜8と後述するフラップ用弾性糸9は、ポリウレタン、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等を用いるのが好ましい。
【0055】
上記外面側シート2と肌面側シート3との間の前腹部Pと後背部Qとに跨る左右の腰脇部分には、腰脇用吸収体11がそれぞれ固定配置されている。この腰脇用吸収体11は、幅方向Aに長い長方形状に形成されて、ボディフィット用弾性糸7に重なるようになる。上記腰脇用吸収体11は、着用者の左右の腰脇部分に位置して、着用者が左右いずれの向きで横向きに寝たような場合でも、一方の腰脇用吸収体11が着用者の下に位置するようになる。
【0056】
上記腰脇用吸収体11および後述する股用吸収体10は、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維集合層に粒状の高分子吸収体を混合した吸収コアをティッシュペーパー等の紙シートあるいは透液性不織布シートで包んで所定形状に成形したものである。また、着用者が歩いたり、寝返りを打ったりしても形状を保持できるように、親水性繊維集合体やシートに形状保持手段(ホットメルト接着剤の塗布や合成繊維の混合)を施しても良い。さらに、上記繊維や高分子吸収体をシート状に成形したシート状吸収体(エアレイド不織布、ポリマーシート等)を所定形状に成形しても良い。
【0057】
上記外面側シート2と肌面側シート3との間の股部Rの左右位置には、図21(a)に示したように、立ち上がりフラップ(保持部材)12がそれぞれ設けられている。この立ち上がりフラップ12は、基端部12aが肌面側シート3にホットメルト接着剤等で接着されるとともに、上端部は内側に曲げられ、その下端は立ち上がりフラップ12に接合されて立ち上がり封止部12bが形成され〔図20(b)参照〕、この立ち上がり封止部12b内には、幅方向Aに伸張状態で複数本のフラップ用弾性糸9が添設されている。この立ち上がりフラップ12は、上記外面側シート2と同様のシート材料であるのが好ましい。なお、上記立ち上がりフラップ12は、前後端部を内倒しで肌面側シート3に接着しているが、外倒しで肌面側シート3に接着しても良い。
【0058】
図21(b)に示すように、透液性の表面シート10cと不透液性の裏面シート10dとの間に吸収コア10eを挟着固定してなる別体の股用吸収体10を設けて、この股用吸収体10は、左右の立ち上がりフラップ12の間に交換可能に保持されるように構成しても良い。
【0059】
このような立ち上がりフラップ12を設けると、股用吸収体10からの横漏れをより確実に防止できるようになる。
【0060】
上記股用吸収体10は、例えば図23および図24に示すようなひょうたん型に形成することができる。
【0061】
また、図25(a)に示すように、股用吸収体10の前部10aと後部10bと中間部10fの裏面シート10dに、接着剤15を適当な範囲で塗布して、剥離紙16でカバーしておき、股用吸収体10の使用時に剥離紙16を剥がして、股用吸収体10を接着剤15により左右の立ち上がりフラップ12の間の肌面側シート3に剥離可能に接着するようにしても良い。
【0062】
上記剥離紙16の代わりに、メカニカルファスナーのフック状雄係止部を接着して、股用吸収体10をフック状雄係止部により左右の立ち上がりフラップ12の間の肌面側シート3に剥離可能に係止するようにしても良い。この場合、肌面側シート3は、ループ状の雌係止部となる表面形状を有するような編布や合成繊維製不織布で構成すれば好適である。なお、後述する図26(b)の構成を採用する場合には、肌面側シート3に代えて、押えシート14を、ループ状の雌係止部となる表面形状を有するような編布や合成繊維製不織布で構成することもできる。
【0063】
ここで、メカニカルファスナーとは、フック状の雄係止部とループ状の雌係止部とが対をなして、両者を強く圧迫すると雄係止部と雌係止部とが相互に外れにくいように係止されるとともに、雄係止部と雌係止部とを手で強く引き剥がすと雄係止部と雌係止部との係止が外れるものをいい、面ファスナーとも呼ばれている。
【0064】
上記股用吸収体10の両側部には、上記立ち上がりフラップ12と同様な立ち上がりフラップ17を設けることが好ましい。
【0065】
この立ち上がりフラップ17は、基端部17aが表面シート10cにホットメルト接着剤等で接着されるとともに、上端部は内側に曲げられ、その下端は立ち上がりフラップ17に接合されて立ち上がり封止部17bが形成され〔図25(a)参照〕、この立ち上がり封止部17b内には、幅方向Aに伸張状態で複数本のフラップ用弾性糸9が添設されている。この立ち上がりフラップ17は、上記外面側シート2と同様のシート材料であるのが好ましい。
【0066】
上記立ち上がりフラップ17の前部17dと後部17eは、立ち上がらないように表面シート10cに接着剤18で接着する。
【0067】
図22(a)は、腰脇用吸収体11を外面側シート2と肌面側シート3との間に挟着固定したものであって、このようにすれば、股用吸収体10を製造段階で正規の位置に固定することができる。
【0068】
また、図22(b)に示すように、腰脇用吸収体11を別体として、肌面側シート3に接着固定することも可能である。この場合には、透液性の表面シート11cと不透液性の裏面シート11dとの間に吸収コア11eを挟着固定する。このようにすれば、腰脇用吸収体11は必要に応じて後付けも可能になるし、交換可能に固定することも可能である。
【0069】
上記第1実施形態の使い捨ておむつカバー1Aは、前腹部Pと後背部Qの左半分と右半分とを、前端4a同士と後端4b同士とを接合するタイプのパンツ形状である。
【0070】
そして、この接合部分の無い左右の腰脇部分Uに、腰脇用吸収体11をそれぞれ固定配置したから、着用者の腰脇部分全体を腰脇用吸収体11で広範囲にカバーできるとともに、腰脇用吸収体11が寝返り動作により外れないので、腰脇部分Uからの横漏れを広範囲で確実に防止できる。また、腰脇用吸収体11は、着用者の左右の両方をカバーできるので、例えば左側が下向きとなっている状態から、右側が下向きとなるように着用者が寝返ったような場合でも、腰脇部分Uからの横漏れを広範囲で確実に防止できるようになる。
【0071】
また、パンツ型のおむつカバーとして、腰脇用吸収体11を固定配置したから、着用者や介護者にとって固定作業や着用作業に手間がかからなくなるとともに、着用時の快適性が向上するようになる。
【0072】
さらに、立ち上がりフラップ12の間で別体の股用吸収体10を交換可能に保持するようにしたから、腰脇用吸収体11が清潔な状態であれば、立ち上がりフラップ12で保持した股用吸収体10を交換すれば、使い捨ておむつカバー1Aを繰り返し使用できるので経済的になる。
【0073】
また、立ち上がりフラップ12は、使い捨ておむつカバーやパンツ用として備えられている既存の装置を用いてコスト安に設けることができるとともに、別体の股用吸収体10の交換が簡単かつ迅速に行えるようになる。
【0074】
さらにまた、脚穴部Sを略楕円形状抜き穴に形成して、この脚穴部Sの周囲にほぼ沿ってレッグ用弾性糸8を接着したから、脚穴が大きいので着用者の脚の出し入れがスムーズになるとともに、レッグ用弾性糸8の収縮力によって、脚穴部周りからの横漏れをより確実に防止できるようになる。
【0075】
図3および図4は、第2実施形態の使い捨ておむつカバー1Bであり、図3は展開状態の平面図、図4は組み立て状態の斜視図である。
【0076】
第1実施形態の使い捨ておむつカバー1Aと相違する構成は、腰脇用吸収体11を固定配置する腰脇部分Uのボディフィット用弾性糸7の収縮力を小さく設定したことである。この収縮力を小さく設定する方法としては、例えばヒートエンボスを用いてボディフィット用弾性糸7を溶融する方法やギャザーカッターを用いてボディフィット用弾性糸7をカットする方法がある。
【0077】
このように構成すると、ボディフィット用弾性糸7の収縮に伴う腰脇用吸収体11の撚れを防止できるから、着用者の腰脇に対する腰脇用吸収体11の密着性が向上して、腰脇部分Uからの横漏れをより確実に防止できるようになる。
【0078】
図5および図6は、第3実施形態の使い捨ておむつカバー1Cであり、図5は展開状態の平面図、図6は組み立て状態の斜視図である。
【0079】
第1実施形態の使い捨ておむつカバー1Aと相違する構成は、腰脇用吸収体11の前部11aと後部11bを左右の脚穴部Sに沿うよう略C字形状に形成したことである。
【0080】
このように構成すると、脚穴部S周りからの横漏れをより確実に防止できるようになる。
【0081】
図7および図8は、第4実施形態の使い捨ておむつカバー1Dであり、図7は展開状態の平面図、図8は組み立て状態の斜視図である。
【0082】
第1実施形態の使い捨ておむつカバー1Aと相違する構成は、立ち上がりフラップ12を脚穴部Sに沿う円弧状に形成したことである。
【0083】
このように構成すると、レッグ用弾性糸8の収縮力によってフラップ全体が均等に立ち上がりやすくなるから、立ち上がりフラップ12が着用者の脚回りに密着しやすくなって、脚穴部S周りからの横漏れをより確実に防止できるようになる。また、左右の立ち上がりフラップ12の間が広くなるから、別体の股用吸収体10の交換がより簡単かつ迅速に行えるようになる。
【0084】
図9および図10は、第5実施形態の使い捨ておむつカバー1Eであり、図9は展開状態の平面図、図10は組み立て状態の斜視図である。
【0085】
第1実施形態の使い捨ておむつカバー1Aと相違する構成は、立ち上がりフラップ12を左右の前腹部Pの前端4aと後背部Qの後端4bに亘って設けたことである。
【0086】
このように構成すると、立ち上がりフラップ12を断続的に設けるよりも製造が容易になる。また、前腹部Pと後背部Qの左半分と右半分とを、前端4a同士と後端4b同士とを接合するタイプのパンツ形状では、使い捨ておむつカバー1Eを組み立てた際に、前端4aと後端4bの接合部分と一緒に立ち上がりフラップ12の前端12d同士と後端12e同士が閉じるようになるので、立ち上がりフラップ12の前後端12d,12eからの漏れも確実に防止できるようになる。
【0087】
図11および図12は、第6実施形態の使い捨ておむつカバー1Fであり、図11は展開状態の平面図、図12は組み立て状態の斜視図である。
【0088】
第1実施形態の使い捨ておむつカバー1Aと相違する構成は、股部Rに前後方向A(着用時には前後方向)に伸張状態で股用弾性糸5を添設したことである。
【0089】
この股用弾性糸5は、図26(a)に示すように、外面側シート2と肌面側シート3との間に添設することができるが、図26(b)に示すように、肌面側シート3と押えシート14との間に添設したり、図26(c)に示すように、外面側シート2と押えシート14との間に添設することができる。
【0090】
このように構成すると、股用弾性糸5がその収縮力で別体の股用吸収体10を持ち上げて着用者の股部に密着させるようになるから、排泄物が吸収されやすくなって、股漏れを確実に防止できるようになる。
【0091】
図13および図14は、第7実施形態の使い捨ておむつカバー1Gであり、図13は展開状態の平面図、図14は組み立て状態の斜視図である。
【0092】
第1実施形態の使い捨ておむつカバー1Aと相違する構成は、股部Rに幅方向A(着用時には前後方向)に伸張状態で、股用弾性糸5の前後端5a,5bを前腹部Pの前端4aと後背部Qの後端4bとに亘って添設したことである。
【0093】
このように構成すると、股用弾性糸5の前後端5a,5bが別体の股用吸収体10の前後部10a,10bを着用者の前腹部Pと後背部Qに押し付けて密着させるようになるから、股用吸収体10の前後部10a,10bからの漏れを確実に防止できるようになる。
【0094】
図15および図16は、第8実施形態の使い捨ておむつカバー1Hであり、図15は展開状態の平面図、図16は組み立て状態の斜視図である。
【0095】
第1実施形態の使い捨ておむつカバー1Aと相違する構成は、脚穴部Sを前後方向のスリットに形成し、このスリット状脚穴部S´の左右にほぼ沿って、前腹部Pの前端4aと後背部Qの後端4bに亘ってレッグ用弾性糸8を添設したことである。
【0096】
このように構成すると、脚穴部S´のくり抜きが不要でコスト安になるとともに、レッグ用弾性糸8の収縮力によって、脚穴部S´周りからの横漏れをより確実に防止できるようになる。また、レッグ用弾性糸8は、前腹部Pと後背部Qのボディフィット用弾性糸7の下側と股用吸収体10の前後部10a,10bとの間の部分にも位置するようになるので、この部分のレッグ用弾性糸8の収縮力によって、股用吸収体10の前後部10a,10bからの漏れをより確実に防止できるようになる。さらに、レッグ用弾性糸8は、前腹部Pの前端4aと後背部Qの後端4bに亘って連続的に添設されているので、レッグ用弾性糸8の添設が容易になる。
【0097】
上記第1〜8実施形態の使い捨ておむつカバー1A〜1Hは、前腹部Pと後背部Qの左半分と右半分とを、前端4a同士と後端4b同士とを接合するタイプのパンツ形状であったが、前腹部Pと後背部Qとに跨る左右の腰脇部分U以外の部分で前腹部Pと後背部Qとを接合するタイプのパンツ形状にも適用することができる。
【0098】
図17および図18は、第9実施形態の使い捨ておむつカバー1Iであり、図17は展開状態の平面図、図18は組み立て状態の斜視図である。
【0099】
第9実施形態の使い捨ておむつカバー1Iは、前腹部Pを股部Rとほぼ同幅にするとともに、後背部Qの両側を広幅にして、この広幅の両側部4dを前腹部P側に廻し込んで、両側部4dの側縁4eと前腹部Pの側縁4fとを接合することにより、前腹部Pと後背部Qとに跨る左右の腰脇部分Uに接合部分を無くすることができる。
【0100】
上記各実施形態の使い捨ておむつカバー1A〜1Iの個々の特徴的な構成は、各実施形態毎に特有の構成では無く、個々の特徴的な構成を適宜に組み合わせて使用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態の使い捨ておむつカバーの展開状態の平面図である。
【図2】 図1の組み立て状態の斜視図である。
【図3】 第2実施形態の使い捨ておむつカバーの展開状態の平面図である。
【図4】 図3の組み立て状態の斜視図である。
【図5】 第3実施形態の使い捨ておむつカバーの展開状態の平面図である。
【図6】 図5の組み立て状態の斜視図である。
【図7】 第4実施形態の使い捨ておむつカバーの展開状態の平面図である。
【図8】 図7の組み立て状態の斜視図である。
【図9】 第5実施形態の使い捨ておむつカバーの展開状態の平面図である。
【図10】 図9の組み立て状態の斜視図である。
【図11】 第6実施形態の使い捨ておむつカバーの展開状態の平面図である。
【図12】 図11の組み立て状態の斜視図である。
【図13】 第7実施形態の使い捨ておむつカバーの展開状態の平面図である。
【図14】 図13の組み立て状態の斜視図である。
【図15】 第8実施形態の使い捨ておむつカバーの展開状態の平面図である。
【図16】 図15の組み立て状態の斜視図である。
【図17】 第9実施形態の使い捨ておむつカバーの展開状態の平面図である。
【図18】 図17の組み立て状態の斜視図である。
【図19】 第1実施形態の使い捨ておむつカバーの分解斜視図である。
【図20】 (a)は前腹部と後背部の前後端の要部平面図、(b)は立ち上がりフラップの要部側面図である。
【図21】 (a)は、図1のX−X線断面図、(b)は、股用吸収体を保持した図1のX−X線断面図である。
【図22】 (a)は、図1のY−Y線断面図、(b)は、変形例の図1のY−Y線断面図である。
【図23】 使い捨ておむつカバーと股用吸収体の斜視図である。
【図24】 股用吸収体の平面図である。
【図25】 (a)は図24のC−C線断面図、(b)が図24のD−D線断面図である。
【図26】 (a)〜(c)は、股用弾性糸の添設例を示す断面図である。
【符号の説明】
1A〜1I 使い捨ておむつカバー
2 外面側シート
3 肌面側シート
4 おむつカバー本体
4a 前端
4b 後端
4c 側端
5 股用弾性糸
6 ウエスト用弾性糸
7 ボディフィット用弾性糸
8 レッグ用弾性糸
9 フラップ用弾性糸
10 股用吸収体
11 腰脇用吸収体
12 おむつカバー本体の立ち上がりフラップ(保持部材)
17 股用吸収体の立ち上がりフラップ
P 前腹部
Q 後背部
R 股部
S,S´ 脚穴部
U 腰脇部分
Claims (13)
- 別体の股用吸収体を交換可能に保持する保持部材が配置された股部の左右に、前腹部と後背部のそれぞれが左半分と右半分とで形成されるとともに、この各半分の前腹部と後背部とに跨って脚穴部がそれぞれ形成されて、左右の前腹部の前端同士と左右の後背部の後端同士とが接合されてなり、上記前腹部と後背部とに跨る左右の腰脇部分に、腰脇用吸収体がそれぞれ固定配置されていることを特徴とする使い捨ておむつカバー。
- 上記保持部材は、股部の左右位置に設けられた立ち上がりフラップである請求項1に記載の使い捨ておむつカバー。
- 上記前腹部と後背部の上側にウエスト用弾性糸が添設され、その下側にボディフィット用弾性糸が添設され、上記脚穴部にレッグ用弾性糸が添設されている請求項1または2に記載の使い捨ておむつカバー。
- 上記腰脇用吸収体が固定配置された部位のボディフィット用弾性糸の収縮力が小さく設定されている請求項3に記載の使い捨ておむつカバー。
- 上記腰脇用吸収体の前後部は、左右の脚穴部に沿うよう略C字形状に形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の使い捨ておむつカバー。
- 上記立ち上がりフラップは、脚穴部に沿う円弧状に形成されている請求項2〜5のいずれか1項に記載の使い捨ておむつカバー。
- 上記立ち上がりフラップは、左右の前腹部の前端と後背部の後端に亘っており、左右の前腹部の前端同士と左右の後背部の後端同士とが接合されて、左右の立ち上がりフラップの前端同士と後端同士が閉じるようになっている請求項2〜5のいずれか1項に記載の使い捨ておむつカバー。
- 上記股部に前後方向の股用弾性糸が添設されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の使い捨ておむつカバー。
- 上記股用弾性糸の前後端は、前腹部の前端と後背部の後端に亘って添設されている請求項8に記載の使い捨ておむつカバー。
- 上記脚穴部は、前後方向の略楕円形状抜き穴に形成され、この脚穴部の周囲にほぼ沿って上記レッグ用弾性糸が添設されている請求項1〜9のいずれか1項に記載の使い捨ておむつカバー。
- 上記脚穴部は、前後方向のスリットに形成され、このスリットの左右にほぼ沿って、前腹部の前端と後背部の後端に亘って上記レッグ用弾性糸が添設されている請求項1〜9のいずれか1項に記載の使い捨ておむつカバー。
- 上記股部と前腹部と後背部とは、外面側シートと肌面側シートとを接着して構成され、上記腰脇用吸収体は、外面側シートと肌面側シートとの間に挟着固定されている請求項1〜11のいずれか1項に記載の使い捨ておむつカバー。
- 上記股部と前腹部と後背部とは、外面側シートと肌面側シートとを接着して構成され、上記腰脇用吸収体は、肌面側シートの上に接着固定されている請求項1〜11のいずれか1項に記載の使い捨ておむつカバー。
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