JP4101990B2 - ガリウムの精製法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,金属Gaの精製法および装置に係り,さらには,化合物半導体例えばGaAs単結晶を得るのに適した高純度Gaに関する。
【0002】
【従来の技術】
化合物半導体のうち,III−V族化合物とりわけGaAs単結晶は,シリコン等の単体元素のそれに比べて約5倍の電子移動度をもつほか,高周波特性,磁気変換機能,受発光機能等にも優れるので,高速IC,光電子集積回路等の電子デバイス用または光デバイス用の基板として広く用いられている。
【0003】
GaAs単結晶ウエハは各種の工程を経て製造されるが,Ga−As融液からGaAs結晶を成長させてGaAsインゴットを製作する工程と,そのインゴットをスライスするという基本工程を経る。このようにしてウエハ(半絶縁GaAs基板)が製作されると,これに,選択イオン注入や各種エピタキシャル成長を行なわせて意図する半導体デバイス素子が製造される。
【0004】
GaAs単結晶(GaAsインゴット)が半絶縁基板に供し得るための不可欠な条件の一つとして,1×107Ω・cm以上の比抵抗(以下,抵抗率という)を安定して有することが必要である。不純物や格子欠陥を全く含まない真正GaAs単結晶が得られるに越したことはないが,実際には,結晶欠陥や残留不純物のためにそのような真正GaAs単結晶の製作は困難である。その原因の一つとして,Ga−As融液からGaAs結晶を成長させる工程で使用されるGa(ガリウム)原料に同伴する不純物が挙げられる。
【0005】
Ga−As融液からGaAs結晶のインゴットを成長させる方法として, ルツボ内に入れたGa−As融液の表面をB2O3で覆い,該融液を回転させ,不活性ガス加圧下で,GaAsの種結晶を該B2O3層を経ながら引き上げるLEC(Liquid Encapusulated Czocralski) 法が一般化している。そして,この方法で使用するルツボをPBN( Pyrolytic Boron nitride)で構成したり雰囲気ガスを調整したりして,GaAs単結晶中への不純物の混入を可能な限り低減するような種々の工夫もなされている。
【0006】
しかし,どのように装置構成と処理条件が改善されても,GaAs結晶を成長させる当初の原料融液中の不純物濃度が高いと,その不純物がGaAs単結晶側に移行する確率が高くなる。すなわち,使用するGa原料とAs原料の純度が低いと,それだけ高品質のGaAs単結晶が得難くなる。Ga原料とAs原料に同伴する不純物のうち,偏析係数が低いような不純物元素では,成長する結晶側には移行し難く,融液中に残留しやすいものもあるが,融液中にそのような不純物元素が濃縮されることは,GaAs単結晶作成の歩留り向上の点から好ましいことではない。このため,使用するGa原料とAs原料中の不純物濃度は低ければ低いほどよく,しかも,それらの各々の不純物の種類と含有している程度が知られていることが望ましい。
【0007】
GaAs単結晶を作成するのに用いられるGa原料とAs原料のうち,As原料については,7N(セブンナイン,即ち99.99999%を意味する。以下,純度をこの表示法に従うことがある)の高純度Asを市場で入手することは比較的容易である。しかし,Ga原料は,As原料のようなわけにはゆかない。Ga原料には,Ga起源に応じて多種多様な不純物が多かれ少なかれ混在しており,各不純物量も変動しているのが普通であり,GaAs単結晶の製作にとって不都合な不純物が混在しないGa原料を安定して得るのは困難である。しかも,金属Ga中の個々の不純物元素についての含有量は,現在の分析技術(グロー放電質量分析装置)では各成分について0.01ppm以下では信頼性のある値が得られないのが実状である。このため,GaAs単結晶の製作に供するGa原料中に微量に含まれる個々の不純物元素の真の含有量を特定することすら,困難な状況にある。
【0008】
また,Gaを用いる化合物半導体には上記のGaAs単結晶の他にもGaPやGaN等があり,GaP単結晶は受発光機能に優れるので発光素子などの光デバイス用の基板に使用されている。このGaP単結晶ウエハは,先ずGaP(多結晶)を合成し,これを前記同様のLEC法等を用いてGaP単結晶として引き上げ,このGaP単結晶イッゴットをスライスすることによって製作されており,このウエハに液層エピタキシャル成長を行わせ発光素子となる。この場合,高輝度の発光素子を得るには,GaP単結晶基板中の不純物を極限まで抑える必要がある。とくにGaP多結晶合成時のキャリア濃度を高くし且つ抵抗率を低くする不純物が有害である。そして,このような有害な不純物の同伴は,GaAsの場合と同じく,Ga原料に由来するものが多いとされている。
【0009】
一方,従来より,不純物を除去するための金属ガリウムの精製法として,酸処理法,電解精製法,ゾーンメルティング法,結晶引き上げ法,融体固化による再結晶化法などが知られている。このうち,融体固化による再結晶化法は比較的簡単な設備と操作で精製できるので他の方法にはない利点がある。その原理は,不純物を含む原料ガリウムの液体を凝固させる過程において,結晶側の不純物濃度が残液中の不純物濃度よりも低くなるという現象を利用するものである。
【0010】
この現象を利用してガリウムを精製するさいに,その処理条件や操作を改善する提案が,例えば特開昭62−270494号公報,特開昭63−242996号公報,特開平2−50926号公報,特開平2−50927号公報,特公平2−53500号公報,特開平6−136467号公報等になされている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
GaAsやGaP等の化合物半導体を作成するために使用される金属ガリウムとして,6Nもしくは7N以上で且つ個々の不純物含有量が信頼できる値に表示されたものを入手することは実質的にできないのが実状であり,このことが品質のよいGaAsやGaP等の化合物半導体単結晶を作成するうえで障害となっていた。本発明は,この障害を除去することを第一の目的とする。
【0012】
高純度のガリウムを得るための従来の技術のうち,融体固化によるガリウムの再結晶化法は,不純物濃度の低い結晶ガリウム(固相)を不純物濃度の高い残液(液相)から分離するものであり,純度の異なる固相と液相を混ぜ合わさないという考え方に立っている。このため,純度の高い固相を液相から分離するには,比較的残液量が多い段階で固相を分離することが余儀なくされ,高純度ガリウムの収率が低くならざるを得ない。
【0013】
例えば特開平6−136467号公報では,容器内の液体ガリウム原料の中心部に冷却された管を挿入して管の表面にガリウムを析出させ,このガリウムが析出した管を液から引き上げる方法が記載されているが,凝固率(析出量の割合)が30〜40%の段階でその析出操作を終了させることが好ましいと教示し,最も制御された条件でも凝固率60〜70%であると記載されている。したがって液相には多量のガリウムが残存することになり,精製歩留りに限界がある。
【0014】
また,6ナインや7ナインの高純度ガリウムを工業的規模で製造するには,融体固化による再結晶法では制御性や生産性が悪く,大量生産技術としては採用し得ない場合が多い。したがって,本発明は高純度ガリウムを収率よく且つ制御性よく製造する技術を確立することを第二の目的とする。
【0015】
さらに,本発明は,GaAsやGaP等の化合物半導体単結晶を作成するのに使用される高純度の金属ガリウムに対し,グロー放電質量分析装置での分析を行なっても信頼性のある値に定量化できないような微量に存在する各不純物の濃度を知る手段を提供すると共に,そのような不純物の含有量が痕跡程度でありながらもその濃度を概算できる高純度ガリウムを提供することを第三の目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば,不純物を含むガリウム原料から不純物を分離する方法において,容器に収容した液体状態のガリウム原料を攪拌しながら該容器の内壁面から容器中央の方向に筒状の凝固界面が漸次縮径するように凝固を進行させ,容器内原料の全部が凝固する前に容器中央部に存在する液相を別の容器に液状態で吸引移動して別のガリウム精製工程に給送する一方,容器内の凝固相を当該容器内で融解し,その融解相を攪拌しながら該容器の内壁面から容器中央の方向に筒状の凝固界面が漸次縮径するように凝固を進行させ,容器内原料の全部が凝固する前に容器中央部に存在する液相を別の容器に液状態で吸引移動することを繰り返すガリウムの精製方法を提供する。
【0017】
ここで,攪拌は磁界によって付与することができ,特に液相に円周方向の旋回流が生じるように磁界によって攪拌を付与するのがよい。また,凝固相の融解時に種結晶としての固相を容器の内壁面に残して置くのがよい。別の容器に液状態で吸引移動した分離相は別のガリウム精製工程に給送するが,このガリウム精製工程は,分離相の不純物の程度に応じて電解精製工程,場合によっては,本発明の精製方法であってもよく,該分離相を,容器内の凝固相とは別途に電解精製或いは本発明の精製方法に供する。
【0018】
そして,前記の精製方法を実施する装置として,円筒状の内壁をもつ容器と,この容器の外周面に取付けられた冷却ゾーンと,該内壁より内側の容器内に設けられた加熱ゾーンと,容器の中央部に配置されたサクションパイプと,容器の下方に設置された磁石回転子とからなり,容器内に装填されるガリウムと接する部材の表面が樹脂コートされているかまたは該部材自身が樹脂からなるガリウムの精製装置を提供する。さらに前記の精製方法を実施する装置として,円筒状の内壁をもつ容器と,この容器の外周面に取付けられた冷却・加熱ゾーンと,容器の中央部に配置されたサクションパイプと,容器の下方に設置された磁石回転子とからなるガリウム精製装置を提供する。これらの装置において,容器の底部およびサクションパイプの外周にも加熱ゾーンを設けておくことができる。
【0019】
このようなガリウムの精製方法および装置に加えて,本発明によれば,化合物半導体を作成するための高純度Ga原料であって,本明細書で定義する「Ga中の不純物濃縮試験法」に従う試験に供したときに,採取した不純物濃縮Ga中に含まれるAグループ成分の総量ΣAnと,Bグループ成分の総量ΣBnの差ΔC=|ΣAn−ΣBn|が5at.ppm以下である化合物半導体作成用のGa原料を提供する。ただし,Aグループの成分は,B,Na,Mg,K,Ca,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Cd,Au,Hg,PbおよびBiであり,Bグリープの成分は,F,Si,S,Cl,Ge,Se,SnおよびTeである。また「Ga中の不純物濃縮試験法」は,次のように定義される。
【0020】
内壁側となる面に0.3mmのフッ素樹脂コーテングを施した厚み3mmのSUS304(AISI304)鋼板で作られた内半径60mmで高さ40mmの円筒状の内壁をもつ容器と,この容器の外周面に取付けられた冷却ゾーンと,容器の中央部に配置されるサクションパイプと,容器の下方に設置された磁石回転子とからなるガリウム精製装置を使用し,
該装置の容器内にGa原料を液体状態での液面高さが30mmとなる量で装填すると共に容器内空間を不活性ガスで置換し,該回転子により容器内の液体Ga原料に100±10rpmの旋回流を付与しながら且つ液体Gaの温度を29.6±0.5℃に維持しつつ冷却ゾーンに5℃の冷却水を通水し,容器内壁から容器中央部に向けて60±5分で全量が凝固するような凝固速度で凝固を進行させ,容器中央部に残存する液相の半径が20mmとなった時点で前記サクションパイプから該液相を採取し,これを不純物濃縮Gaとする。
【0021】
【発明の実施の形態】
各種のGa回収工程や含Gaスクラップ処理品等から得られる金属ガリウムは微量のSn,In,Cu,Pb,Zn,Au,その他,各種の不純物元素を含有しており,このような不純物元素を低減して純度が4ナイン程度までの金属ガリウムが得られても,GaAs単結晶を作成するための原料Gaとしては不純物量が多いので,これを一層高い純度例えば6Nまたは7Nもしくはそれ以上の純度にまで高めることが望まれる。ここで,Gaの純度を6Nとか7Nとか規定する方法は次のように定義される。
【0022】
下記(1) 項に規定の測定元素について,下記(2) 項に規定の質量分析を行ない,下記(3) 項に規定の定量下限値を上回って定量された不純物元素含有量の合計を100wt.%から差し引いて得られる数値(9の数をもって)をもって,高純度ガリウムの純度(N)と定義する。
【0023】
(1) 測定元素:Al,Si,P,Cl,K,Ca,Cr,Fe,Ni,Cu,Zn,Ge,As,In,Sn,Au,Hg,Pbの18元素
(2) 分析方法:精製の完了したガリウムを加温溶解してよく攪拌し均質にしたのち,1精製単位あたり約50gを採取し,分析用試料を作成する。その試料を用い,GDMS(グロー放電質量分析装置)で前記(1) 項規定の各元素について定量分析を行う。
(3) 定量下限値:前記(2) 項の質量分析における各元素の定量下限値は以下のとおりとする。
0.01ppm(wt)・・Al,Si,P,Cl,K,Ca,Cr,Fe,Ni,Cu,Zn,As,In,Sn,Hg,Pb
0.1ppm(wt)・・・Ge
0.2ppm(wt)・・・Au
【0024】
このように,高純度Gaの純度を規定するのは,現在の不純物測定技術(GDMS)では,Ga中の元素は0.01ppm以上でしか(Geは0.1ppm,Auは0.2ppm以上でしか),信頼の持てる定量ができないからである。
本発明は各種の不純物元素を含む金属ガリウムをさらに高純度のガリウムにまで工業的有利に精製する方法および装置に係るものであり,精製処理の対象とする当初のガリウム原料は,ガリウムが主のものであれば特に限定されないが,1〜4N程度の純度を有するものが好都合である。
【0025】
本発明者らは,このようなガリウム原料を円筒状の内壁をもつ容器内において,内壁の側から中心に向けて攪拌下に凝固を進行させると,非常に効率よく結晶精製が行える事実を見い出した。すなわち,理想的には円柱内壁面から中心方向に一様に凝固を進行させる場合には,筒状の凝固界面が漸次縮径するように凝固が進行してゆくので凝固界面が絞り込まれてゆくことになる(凝固界面の面積が漸次小さくなる)。この凝固界面の面積変化の挙動は,前掲の特開平6−136467号公報の場合とは全く逆である。この公報の場合には,ガリウムの液相に浸漬した管の表面から筒状の凝固界面が拡径してゆくので,凝固界面が広がってゆくことになる。
【0026】
また本発明法の場合,液相は円柱形状となり,凝固の進行につれてその円柱状の液相の径は細くなるが,その中心は変化しない。したがって,不純物が濃縮された液相が中心部に集約されるので,その液相の分離を容易に行うことができる。例えば,中心部の残液を吸い出すことによって固液分離を簡単に行える。そして,このことが,精製操作を何回でも繰り返すことを可能とし,この繰り返し回数を重ねるたびに純度の高い凝固相が得られることになる。加えて,液相は中心をもつ円柱状となるので,凝固の間,液相の攪拌を一様に継続させることができる。すなわち,凝固面の円周方向と上下方向に差異が生じないような一様な液の攪拌を凝固進行の間維持させることができる。この液相の攪拌が良好に行われることは,特に,凝固界面において攪拌が良好に行われることは,本発明法に従う結晶精製の成果に大きく寄与する。この液相の攪拌は磁界によって付与することができる。
【0027】
このようなことから,液体ガリウム原料を円筒状内壁の側から中心に向けて攪拌下に凝固を進行させると,非常に効率よく結晶精製を行なうことができ,中心部に集約されてくる液相が10容積%以下,場合によっては5%程度となるところまで凝固を進行させても,高い純度の凝固相を得ることができる。
【0028】
他方,中心部に集約されてくる液相には不純物が濃縮してくるが,これを別の容器に吸引移動させ,この液相については,その不純物の程度に応じて,ガリウムの電解精製或いは本発明のガリウム精製方法に給送し,該凝固相とは別途にガリウムの精製操作を行えば,該液相からもガリウムを回収することができる。
【0029】
以下に本発明の実施の態様を図面に従って具体的に説明する。
【0030】
図1は本発明法を実施する装置の代表例を示す機器配置図である。図示のガリウム精製装置は,円筒状の内壁1をもつ容器2と,この容器2の外周面に取付けられた冷水が通水する冷却ゾーン3と,該内壁1より内側の容器内に設けられた温水が通水するコイルからなる加熱ゾーン4と,容器の中央部に配置されたサクションパイプ5と,容器の下方に設置された永久磁石からなる回転子6とからなる。また,サクションパイプ5の外周にも温水が通水する加熱ゾーン7が設けられ,容器の底部にも温水が通水する加熱ゾーン8が設けられている。
【0031】
容器2は,図示のものではステンレス鋼板を用いて丸底で円筒壁をもつ形に構成されており,好ましくは蓋9をもつ。ステンレス鋼板(例えばSUS304鋼板)が液体ガリウムと接する面には樹脂コーテングを施しておくのがよい。これによってステンレス鋼中の成分がガリウムに移動するのを防止することができる。樹脂コーテングとしてフッ素樹脂が好適である。フッ素樹脂としては,PFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)を使用することができる。同様に,サクションパイプ5も,液体ガリウムと接する表面には樹脂コーテングを施しておくのがよい。このようにして,容器内の液体ガリウムと接する部材は樹脂コートしておくのが望ましく,場合によっては,当該部材を樹脂で構成することもできる。最外表層の樹脂としてはフッ素樹脂のほか,ポリプロピレンやポリエチレン系の樹脂であってもよい。
【0032】
円筒状の内壁1は理想的には真円であるのがよいが,場合によっては部分的に角をもつ多角形であったり楕円であることもできる。したがって,本明細書でいう「円筒状の内壁」とは真円のみならず,多角形や楕円等の筒状の内壁をも含むものである。
【0033】
また,図示の例では上下方向が等径の円筒内壁1を有しているが,凝固界面が円筒となるような熱伝導を行わせるために,上下方向で半径が異なる円周面をもつもの,例えば中腹部が上下より小さな半径をもつ中細りの円筒状や,その逆の中太り,或いは上細りや下細りの円筒状であることもできる。
【0034】
容器2の外周面には冷却ゾーンが設けられるが,図示の例ではこの冷却ゾーン3は冷水が通水する水冷ジャケット3によって構成され,この水冷ジャケット3が容器2を取り巻くように取付けられている。水冷ジャケットに代えて水冷コイルを用いることもでき,また冷水に代えて各種の冷媒を使用することもできる。いずれにしても,この冷却ゾーンは,容器2内のガリウム原料10を容器内壁1の側から円周方向および上下方向とも均等に冷却できるように(ガリウム原料から上下均等に放射状に抜熱できるように)するのが理想的である。
【0035】
内壁1より内側の容器内には温水が通水するコイルからなる加熱ゾーン4(以下,温水コイル4という)が設けられている。この温水コイル4は容器の内壁1より僅かに離してあり,コイルの各ピッチも凝固相がその間を進行できるに十分な隙間を設けておく。この温水コイル4に温水を通水することによって,容器内で凝固したガリウム原料を融解することができるが,温水コイル4と内壁1との間に間隔を開けておくことにより,内壁面と接する部分は融解させず(そのさい冷却ゾーン3には冷水を通水する),その未溶解の部分を次回凝固のための種結晶として残存させておくことができる。
【0036】
サクションパイプ5が容器の中心部に配置されている。これは,容器中心部の残液を容器から排出するためのものである。このサクションパイプ5の外周面に温水が通水する加熱ゾーン7(温水管7と言う)が設けられている。これにより,残液に熱を付与して液相を維持すると共に液の吸引を滑らかにすることができる。また,このサクションパイプ5を利用して,処理に供するガリウム原料の液状の原液を容器2内に装填することもできる。この場合には,図には示されていないガリウム原料の原液容器から図の吸引管路11に弁介装の供給管を接続すればよい。サクションパイプ5は容器の中心軸に沿って上下にスライドできるように設置することもでき,場合によっては,容器の外側に移動させることもできる。
【0037】
容器の底には,容器内で凝固した金属ガリウムの融解を促進したり,或いは容器内の金属ガリウムの温度を所要の温度に維持するために,温水が通水する加熱ゾーン8(温水螺管と言う)を設けておくのがよい。これは,容器の底に螺管を施設し,この螺管に温水を通水するようにすればよい。これに代えて,温水ジャケットを用いることもできる。
【0038】
容器の下方には永久磁石からなる回転子6が設けられている。回転子6は着磁した希土類磁石が用いられており,その回転軸12を容器中心に整合させ,容器底と平行な面内で容器中心回りにモータ13で回転させることにより,容器内のガリウム液相に磁力による攪拌を付与する。回転子6の回転によって付与される液相の攪拌は旋回流となる。
【0039】
他方,サクションパイプ5は,弁14を介装した吸引管路11を経て,真空容器15に連結されている。真空容器15内には取鍋16がセットされ,真空容器15内は真空ポンプ17を稼働することにより減圧下に維持される。取鍋16内に取り込まれた液相は,別途に,ガリウム精製工程に給送される。このようなガリウムの液状態での移動や給送を良好に行わせるために,装置全体をガリウムの融点以上の温度(例えば30℃以上)に維持されたクリーンルーム内に設置するのが好ましい。これによって,給送や貯蔵の途中に部分的に液相が凝固するのを防止することができる。なお,図1において,18は,冷却ゾーン3と冷水源とを循環する管路に介装された冷水ポンプを示し,19は加熱ゾーン8と温水源とを循環する回路に介装された温水ポンプを示している。
【0040】
図3は,精製容器の概略を示す図2の矢視断面を示したものであるが,図3に見られるように,冷却ゾーンとしての水冷ジャケット3が容器2の外周に接して取付けられ,また温水コイル4は容器2の内面から若干離して同心的に取付けられている。また,サクションパイプ5は容器の中心位置に取付けられている。温水コイル4やサクションパイプ5は,容器内のガリウム液相と接することになるが,これら部材の液相と接する面は樹脂コートを施すか,或いはこれら部材を樹脂を用いて構成するのがよく,これによって,装置部材からの不測の不純物混入を防止することができる。
【0041】
このように構成されたガリウム精製装置を用いてガリウムの精製を行う場合の操作を次に説明する。以下の精製操作は,前記したように,クリーンルーム内においてガリウムの融点以上に維持した室温(例えば30℃以上の室温)で実施されるのが好ましい。また,精製容器2には蓋9を気密に被せたうえ,容器内は不活性ガス例えば窒素ガスやアルゴンガスで置換し,容器内を大気圧より僅かに正圧とした状態で精製作業を行うのが好ましい。
【0042】
図4は,図1の装置による精製操作の手順を図解的に示したものであり,図4(A)は,容器2内に液体ガリウム原料10を入れた状態を示している。この状態では温水コイル4および温水管7に温水を通水すると共に底部の加熱ゾーン(温水螺管)8にも温水を通水し,液体ガリウム原料10を融点以上の温度に維持させる。そのさい,水冷ジャケット3にも冷水を通水しておくと,容器内壁に前回の凝固層の種結晶を残存させて置くことができる。
【0043】
図4(B)は,前記(A)の状態から凝固を開始した凝固途中の状態を示している。この状態では,
磁性回転子6のモータ13:駆動
水冷ジャケット3:冷水を通水
温水コイル4:温水停止
温水螺管8:温水停止
温水管7:温水を通水
の操作により,容器内壁面から容器中央の方向に向けて筒状の凝固界面が漸次縮径しながら凝固が進行し,これに伴って液相は攪拌されながら漸次径が小さな円筒形状に中央部に残存するようになる。すなわち,図中のハッチ部分を凝固相S,非ハッチ部分を液相Lで示すが,その凝固界面Bは筒形状を有しながら容器中心にむけて漸次縮径してゆく。
【0044】
そのさいサクションパイプの温水管7には温水が通水されるので,中心部の液相Lは中心方向からの凝固が防止され,磁力による攪拌が良好に維持される。とくに凝固界面Sが容器中心に中心をもつ筒状であると,液相Lはその中心軸回りに回転する回転子6によって旋回流を付与されるので,凝固界面Bの近傍では良好な液相の流れが一様に発生する。このため,凝固が進行している液側の界面全体で良好な攪拌が行われ,この部分に不純物元素が偏るのを抑制することができる。また,凝固相Sの側から見ると,凝固界面Bは漸次縮径するので凝固面積も漸次小さくなってゆき,結晶が成長できる面積が先細りとなる。このような凝固界面での良好な攪拌と凝固界面の縮径により,凝固相に不純物元素が巻き込まれるのが防止される結果,高い精製率でガリウムを精製できるものと考えられる。なお,凝固界面Bは,理想的には上下方向で半径の差が少なく且つ真円に近い円筒状を有するのがよいが,半径に若干の差が存在していても,また真円でなくても,実操業的にはそれ程影響は受けない。
【0045】
図4(C)は,前記(B)の状態からさらに凝固を進行させ,容器内原料の全部が凝固する少し前に容器中央部に存在した残液RLを凝固相Sから分離している状態を示しており,装置の操作は,真空容器15に通ずる管路11の弁14を開にして,容器中央部の残液RLをサクションパイプ5から抜き出す操作を行うようにした以外は,前記(B)の操作と同様の操作を続行する。この残液RL中にはガリウム原液10中の不純物が濃縮されているので,この残液RLを抜き出すことによりガリウム原液10から不純物の除去が行える。残液量を少なくするほど残液中の不純物濃度は高くなる。本発明法の場合,凝固率(凝固相の容積/原液の容積)を90%以上,場合によっては95%以上にまで高めても凝固相への不純物の混入を抑制できるので,残液量が少ない状態まで凝固を進行させることができる。このことは,また,次の再溶解・凝固の繰り返し量が多くなり,高い収率で高純度ガリウムの採取が行えることを意味する。
【0046】
図4(D)は,前記(C)で残液RLを抜き出したあと,容器内に残存した凝固相を再溶解した状態を示している。この再溶解は前記(A)と同じ操作で行う。そのさい,水冷ジャケット3に冷水を通水しながら温水コイル4に温水を流すことにより,容器内壁の近傍に存在する凝固相を融点以下の温度に維持しながら再溶解が行えるので,容器内壁の近傍に前回の凝固相の一部を種結晶S1として残存させることができる。この種結晶S1は容器内壁に直接付着した状態として残すようにしてもよいが,そのさい,結晶核が確実に存在できるように,斑点状に多数残存させるのがよい。このため,容器内壁に凹凸を設けておいたり,場合によっては,容器内壁に種結晶が多数発生しやすいように,メッシュや多孔板等の部材を配することも有効である。
【0047】
前記のA〜Dの一連の工程を繰り返すことにり,その繰り返し回数ごとに高い純度のガリウムが容器2内に得られ,真空容器15の取鍋16には純度の低いガリウムが集められる。この繰り返しを行う本発明法は,見方によれば容器内から濃縮された不純物部分を少量づつ取り出して,容器内の原料を高純度化してゆくものであるから,精製操作としては非常に効率がよい。そして,各工程での制御操作も単純であるから,操作性がよく,自動制御化も容易である。また,取鍋16内に取り込まれる液相についても,繰り返し回数ごとに不純物濃度は低くなるので,各回数毎に分離採取すれば,その不純物の濃度に応じたガリウム精製工程を選択することができ,この工程の選択によって,効率よく該液相からも高純度ガリウムを回収することができる。
【0048】
図5は,本発明法を実施する装置の他の例を示す機器配置図である。このガリウム精製装置は,円筒状の内壁1をもつ容器2と,この容器2の外周面に取付けられた冷却・加熱ゾーン20と,容器の中央部に配置されたサクションパイプ5と,容器の下方に設置された永久磁石からなる回転子6とからなる。また,サクションパイプ5の外周にも温水が通水する加熱ゾーン7が設けられ,容器の底部にも温水が通水する加熱ゾーン8が設けられている。冷却・加熱ゾーン20には冷水源21と温水源22から冷水と温水が切換えて供給される。
【0049】
図5の装置は,図1の装置から温水コイル4を除き,図1の装置の水冷ジャケット3を,冷水と温水が切換え可能に通水される冷却・加熱ゾーン20に構成した以外は,実質的に図1の装置と同様の構造を有している。この冷却・加熱ゾーン20は,図1と同様のジャケットを容器2の外周面を取り巻くように取付けて構成され,このジャケット内に冷水または温水が通水される。具体的には,三方弁23と24の切換え操作により,冷水源21または温水源22とジャケットとを連通させ,ポンプ25の駆動により,ジャケット内に冷水または温水を通水させる。この温水と冷水の切換え操作は,図1の装置について図4で説明したのと同様の処理ができるように行う。その操作手順の例を図6に示した。
【0050】
図6(A)は,容器2内に液体ガリウム原料10を入れた状態を示している。この状態ではジャケット20と容器底部の加熱ゾーン(ジャケット)8に温水を通水し,液体ガリウム原料10を融点以上の温度に維持させる。サクションパイプの加熱ゾーン7は以降の処理の間温水を通水し続ける。
【0051】
図6(B)は,前記(A)の状態から凝固を開始した凝固途中の状態を示している。この状態では,磁石回転子6の回転を続行させながら,ジャケット20に冷水を通水し,加熱ゾーン8への温水は停止する。これにより,図4(B)の操作の場合に説明したと同様に凝固界面Bは筒形状を有しながら容器中心にむけて漸次縮径してゆく。
【0052】
図6(C)は,図4(C)と同じく,容器中央部の残液RLをサクションパイプ5から抜き出す操作を示しており,温水と冷水の通水状態は図6(B)と実質的に変わらないが,残液RLが容器底部で凝固しないように,容器底部の加熱ゾーン8に温水を通水してもよい。
【0053】
図6(D)は,残液RLを抜き出したあと,容器内に残存した凝固相を再溶解した状態を示しており,この再溶解は,前記(A)と同じ操作で行ない,以後は同様の工程を繰り返すことができる。
【0054】
図6の(A)または(D)の段階から(B)に移るときに,容器内壁にガリウムの種結晶が存在していることが望ましい。種結晶が全く存在しないと,ジャケット20に冷水を通水して凝固を開始したときに液相が過冷却され,この過冷却状態からの凝固を行わせると精製効率が低下するようになるからである。
【0055】
図7は,この種結晶を残存させるための一手段を示したもので,容器2の内壁1の一部に凹部26を設け,この凹部26を取り囲むように,冷水ボックス27を,ジャケット20とは独立した関係で設けておき,ジャッケット20に温水が通水されている間も,冷水ボックス27には冷水を通水するようにしたものである。これにより,ジャッケット20に温水が通水されている間も,凹部26の窪み内にガリウム凝固相が残存し続けることになり,これが凝固開始時の種結晶として作用し,液相の過冷却を防止することができる。
【0056】
図7のような手段に代えて,容器2の上部から冷水が通水するパイプを容器内壁1の近傍に挿入することにより,このパイプの表面に凝固相を形成し,これを種結晶とすることもできる。また,固体ガリウムの粒を容器内壁近傍に投入して接種する方法でも過冷却を防止することができる。
【0057】
以上のような装置を用いるガリウムの精製法によれば,その精製法を繰り返すごとに純度の高い金属ガリウムを得ることができ,6Nの金属ガリウムはもとより7N,場合によってはそれ以上の純度の金属ガリウムを,従来の方法ではなし得ないような高い収率で得ることができる。そして,このような高純度の金属ガリウムが工業的有利に製造できることは,GaAs単結晶の作成に寄与するところが大きく,とりわけ,本発明に従うガリウムの精製法を, 観点を代えて, ガリウム中の不純物の濃縮法として捉えると, 金属ガリウム中の不純物濃度の特定ができるので,GaAs単結晶の作成にとって極めて有利な金属ガリウム原料を提供できる。
【0058】
すなわち, グロー質量分析装置(GDMS)では定量できなかったような微量の不純物量も,以下に説明するように,それらを認知できるようになる。不純物の各元素の含有量が認知できることは,GaAs単結晶に混入した場合にアクセプターとして機能する元素と,ドナーとして機能する元素の含有量が推定できることになり,高品質のGaAs単結晶を得る上で非常に有利である。
【0059】
例えば, 本発明に従う精製装置を用いて7Nの金属ガリウムを工業的に得たとしよう。そのこと自体,従来の技術水準からみれば驚くべきことであるが,この金属ガリウムをGDMSで分析しても,前記したように,例えばGeは0.1ppm以上,Auは0.2ppm以上,その他の殆んどの元素は0.01ppm以上でしか信頼できる定量が行えず,それ以下の含有量の場合には数値として表すには誤差が大きい(但し,前記の定義に従えば7Nであるとは言い得る)。したがって,GDMSの分析ではアクセプター型の元素がどれだけ含有するか,またドナー型の元素がどれだけ含有するかを判断することはできなかった。ところが,本発明によると,これが可能である。
【0060】
すなわち,この7Nの金属ガリウムを本発明に従うガリウム精製装置および精製法に供したとき,容器中央部に僅かに残存してくる残液(すなわち不純物が濃縮したGa:不純物濃縮Gaとよぶ)をサンプルとしてこれをGDMSで分析すれば,この残液は各不純物の濃度が高くなっているので,GDMSで定量性のあるカウントができる。そして,GDMSでカウントされた元素群をアクセプター型に属するAグループと,ドナー型に属するBグループに分類し,Aグループの成分の合計量とBグループの成分の合計量の差をとれば,その差が所定の値以下である場合には,当該7Nの金属ガリウムは,高い抵抗率をもつGaAs単結晶を作成するための原料Gaとして,非常に好ましいものであることが明らかとなった。同じくGaP単結晶を作成するための原料Gaとしても非常に好ましいものであることが明らかとなった。
【0061】
より具体的には,本明細書で定義する「Ga中の不純物濃縮試験法」に従う試験に供したときに,採取した不純物濃縮GaをGDMSで分析し,その分析値から不純物濃縮Ga中に含まれるAグループ成分(B,Na,Mg,K,Ca,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Cd,Au,Hg,PbおよびBi)の総量ΣAnと,Bグループ成分(F,Si,S,Cl,Ge,Se,SnおよびTe)の総量ΣBnの差ΔC=|ΣAn−ΣBn|を求め,得られたΔCの値が5at.ppm以下であれば,後記の実施例に示すように,その金属Gaは,従来のものにはない高い抵抗率をもつGaAs単結晶を安定して得ることができるものであることが明らかとなった。
【0062】
本明細書で定義する「Ga中の不純物濃縮試験法」は,本発明に従うGaの精製装置と方法を試験用に条件を規制したものである。まず,試験装置とはしては,内壁側となる面に0.3mmのフッ素樹脂コーテングを施した厚み3mmのSUS304鋼板で作られた内半径60mmで高さ40mmの円筒状の内壁をもつ容器と,この容器の外周面に取付けられた冷却ゾーンと,容器の中央部に配置されるサクションパイプと,容器の下方に設置された磁石回転子とからなるガリウム精製装置を使用する。容器には蓋が気密に被着され,容器内は不活性ガスで置換できるようにする。容器の内壁側となるSUS304鋼板面にフッ素樹脂コーテングを施すのは,SUS304からの汚染を防止するためである。このフッソ樹脂としてはPFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)が好ましいが,SUS304からの汚染を防止できるものであれば,特にこれに限定されない。なお,SUS304は,重量%で,C:0.08%以下,Si:1.00%以下,Mn:2.00%以下,P:0.045%以下,S:0.030%以下,Ni:8.00〜10.50%,Cr:18.00〜20.00%,残部がFeおよび不可避的不純物からなるステンレス鋼である。
【0063】
冷却ゾーンは図1の説明したような冷水を連続的に流すことができる環状のジャケット3であり,高さは容器高さと同じ40mmとする。この2重筒からなる環状ジャケットの内筒は容器壁そのもの,外筒は容器と同じく,厚み3mmのステンレス鋼板(SUS304鋼板)で製造された内半径5mmを有する筒である。このジャケットの上部と底部も厚み3mmのSUS304鋼板で製造されている。サクションパイプは容器の蓋を通じて上下動できるように設置し,このサクションパイプの外周面には図1で説明したように温水が通水する加熱ゾーン7に相当するものを設けておく。容器の底にも図1の加熱ゾーン8に相当するものを設けておくのが望ましいが,電熱式のヒータでもよい。
【0064】
試験は,このような試験装置を使用し,この装置の容器内にGa原料を液体状態での液面高さが30mmとなる量で装填すると共に,容器内空間を不活性ガスで置換し,容器内を大気圧よりも僅かに正圧に維持する。そして,磁石回転子により容器内の液体Ga原料に100±10rpmの旋回流を付与しながら且つ液体Gaの温度を29.6±0.5℃に維持しつつ冷却ゾーンに5℃の冷却水を通水し,容器内壁から容器中央部に向けて60±5分で全量が凝固するような凝固速度で凝固を進行させる。このような凝固速度の設定は,冷却水の通水量と融解熱供給量を変えた数回の凝固と融解を繰り返すトライアルの試験によって簡単に行い得る。そして,不純物濃縮Gaの採取の本番試験では,前記の条件で凝固を進行させ,容器中央部に残存する液相の半径が20mmとなった時点で前記サクションパイプから該液相を採取し,これを不純物濃縮Gaとする。
【0065】
採取された不純物濃縮GaをGDMSで分析し,各不純物元素の含有量をカウントする。そして,ΔC=|ΣAn−ΣBn|を求め,この値が5at.ppm以下であれば,この試験に供された金属ガリウムは,化合物半導体作成用の原料Gaとして,例えばGaAs単結晶作成用の原料Gaとして非常に望ましい合格品となる。
【0066】
このようにして,本発明によれば,単に6Nとか7Nとかの純度の高い金属ガリウムを提供するのみならず,GaAs単結晶の作成にとってアクセプターとして機能する不純物元素と,ドナーとして機能する不純物元素の分布が予知された高純度のGaAs単結晶作成用の金属ガリウムを提供することができる。
【0067】
このことは,以下に説明するように,半絶縁性GaAs単結晶を得るうえで非常に有益な効果をもたらす。
【0068】
GaAs単結晶の抵抗率は1×107Ω・cm以上を必要とするが,不純物の数によってその抵抗率は変化する。そのさい,その不純物がアクセプターとして機能するか,ドナーとして機能するかによって挙動は相違するが,両者の差が抵抗率と関連を有している。
【0069】
例えば図8は,GaAs単結晶中に含まれるAグループの不純物元素(アクセプター)の総数NAとBグループの不純物元素(ドナー)の総数NBとの差,すなわちNA−NBを横軸とし,GaAs単結晶の抵抗率を縦軸としたものであるが,NA−NBの個数がおよそ3×1014/cm3であれば抵抗率は1×107Ω・cmとなり,その個数が増えるに従って抵抗率は増大するが,NA−NBの個数がおよそ1×1016/cm3を越えると抵抗率が急激に低下し導電性を示すようになる。このような現象を利用して,従来においては,例えばNAの不純物が多く含まれる場合にはNBの元素をわざわざ添加し,逆にNBの不純物が多く含まれる場合にはNAをわざわざ添加してNA−NBの個数調整を行なっている。この操作を不純物のドープコントロールと呼んでいる。
【0070】
本発明によれば,この不純物のドープコントロールを行なわずとも,抵抗率1×107Ω・cm以上の半絶縁性GaAs単結晶を得ることができる(すなわち,不純物アンドープままで,半絶縁性GaAs単結晶を得ることができる)という有益な効果をもたらす。本発明に従い,不純物濃縮GaをGDMSで分析したときのΔC=|ΣAn−ΣBn|の値が5at.ppm以下であれば,この金属ガリウムを用いて作成されたGaAs単結晶のNA−NBの個数も3×1014〜1×1016/cm3の範囲に収まるようになるからである。
【0071】
そのさい,不純物濃縮GaをGDMSで分析したときのΣAnが例えば1at.ppm以下であること,さらにΣBnが例えば1at.ppm以下であることが特に望ましく,本発明によれば,以下の実施例3〜4に示すように,この要件を満たすようなGaAs単結晶作成用の高純度金属Gaを提供できる。もちろん,GaAs単結晶作成用のみならず,本発明によればGaPやGaNそのほかを含むGa系化合物半導体を作成するのに好適な高純度金属Gaを提供できる。
【0072】
【実施例】
〔実施例1〕
図1に示した装置を用いて,表1に示す濃度の不純物を含有したガリウム原料を精製した。精製操作は 水冷ジャケット3に通水する冷水は5℃のものを使用し,温水コイル4,温水螺管8および温水管7に通水する温水は70℃のものを使用した。凝固を進行させている間の液相Lの温度は29.6±0.5℃となるように制御した。回転子6の磁石には希土類磁石を用い,磁石の回転数を500rpmの一定とすることにより,凝固スタート時の液相の旋回速度を100rpmとした。蓋をした容器2内には窒素ガスを通気し,装置全体はクラス100のクリーンルーム(室温35℃)内で稼働した。
【0073】
最初に150Kgのガリウム原料を,内半径200mm,高さ300mmのSUS304からなるステンレス鋼板製の容器2に入れ,図4に示すA〜Dの工程を7回繰り返した。総精製時間は33時間であった。その結果,表1に示す精製ガリウム110Kgと分離ガリウム40Kgが得られた。分離ガリウムは真空容器15内の取鍋16に採取されたものである。不純物の分析はGDMSで行なった。
【0074】
【表1】
【0075】
表1の結果に見られるように,4ナインのガリウム原料から7ナインの高純度ガリウムが収率73%で製造できた。
【0076】
〔実施例2〕
発生源の異なるガリウム原料を用いた以外は実施例1と同様にして精製操作した。7回繰り返しによる総精製時間は24時間であった。その結果を表2に示した。不純物の分析はGDMSで行なった。
【0077】
【表2】
【0078】
表2に見られるように,この場合も,4ナインのガリウム原料から7ナインの高純度ガリウムが得られ,その収率は81%であった。
【0079】
〔実施例3〕
表3のガリウム原料の欄に示したGDMS分析値をもつガリウム原料(4N)を用いた以外は実施例1と同様にして7回の精製操作を繰り返した。得られた精製ガリウム(7N)のGDMS分析値を表3の精製ガリウムの欄に示した。
【0080】
この精製ガリウム(7N)を,本明細書で定義した「Ga中の不純物濃縮試験法」に供した。すなわち,内壁側となる面に0.3mmのフッ素樹脂(PFA:四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエラレン共重合体)のコーテングを施した厚み3mmのSUS304鋼板で作られた内半径60mmで高さ40mmの円筒状の内壁をもつ容器と,この容器の外周面に取付けられた冷却ゾーンと,容器の中央部に配置されるサクションパイプと,容器の下方に設置された磁石回転子とからなるガリウム精製装置を使用し,この装置の容器内に,当該精製ガリウム(7N)を,液体状態での液面高さが30mmとなる量で装填すると共に容器内空間を窒素ガスで置換し,磁石回転子により容器内の液体Gaに100±10rpmの旋回流を付与しながら且つ液体Gaの温度を29.6±0.5℃に維持しつつ冷却ゾーンに5℃の冷却水を通水し,容器内壁から容器中央部に向けて60±5分で全量が凝固するような凝固速度で凝固を進行させ,容器中央部に残存する液相の半径が20mmとなった時点でサクションパイプから該液相(不純物濃縮Ga)を採取した。
【0081】
得られた不純物濃縮GaをGDMSで分析し,各不純物元素の含有量を調べたところ,表3の不純物濃縮Ga(GDMS値)の欄に示す値が得られた。この不純物濃縮Ga中の各不純物のDMS値(wt.ppm)を, 次の換算式に従って, atomic ppm (at.ppmと記す) に換算し,その換算値を表3の不純物濃縮Ga(換算値)の欄に示した。
元素nの〔at.ppm〕=元素nの〔wt.ppm〕×Gaの原子量(69.72) /元素nの原子量
その結果,ΣAn=0.628 at.ppm, ΣBn=0.694 at.ppm となり,ΔC=|ΣAn−ΣBn|=0.065 at.ppmであった。
【0082】
【表3】
【0083】
〔実施例4〕
実施例3と同一のガリウム原料を使用し,5回の精製操作を繰り返した以外は,実施例3と同様の処理を行なって,表4の精製ガリウムの欄に示すGDMS値の精製ガリウムを得た。この精製ガリウムは,実施例3のものと同じくGDMS値では7Nの純度を有している。この精製ガリウム(7N)を,実施例3と同様の「Ga中の不純物濃縮試験法」に供した。そして得られた不純物濃縮GaをGDMSで分析し,各不純物元素の含有量を調べたところ,表4の不純物濃縮Ga(GDMS値)の欄に示す値が得られた。各不純物のDMS値(wt.ppm)を, 実施例3と同様に〔at.ppm〕に換算し,表4の不純物濃縮Ga(換算値)の欄に示す値を得た。
【0084】
その結果,ΣAn=1.172 at.ppm, ΣBn=0.672 at.ppm となり,ΔC=|ΣAn−ΣBn|=0.500 at.ppmであった。
【0085】
この結果を実施例3のものと比較すると,同じGDMS分析値では同じ7Nの精製ガリウムであっても,精製操作が5回の実施例4のものは7回の実施例3のものに比べて,ΣAn,ΣBnの値が両者ともに高くなり,且つΔCの値も高いことがわかる。
【0086】
【表4】
【0087】
〔比較例1〕
市販の6Nと称されている金属ガリウムをGDMSで分析したところ,表5の市販ガリウムの欄に示すものであった。この市販ガリウム(6N)を,実施例3と同様の「Ga中の不純物濃縮試験法」に供した。そして得られた不純物濃縮GaをGDMSで分析し,各不純物元素の含有量を調べたところ,表5の不純物濃縮Ga(GDMS値)の欄に示す値が得られた。各不純物のDMS値(wt.ppm)を, 実施例3と同様にat.ppmに換算し,表5の不純物濃縮Ga(換算値)の欄に示す値を得た。
【0088】
その結果,ΣAn=0.600 at.ppm, ΣBn=5.798 at.ppm となり,ΔC=|ΣAn−ΣBn|=5.198 at.ppmであった。
【0089】
〔比較例2〕
6Nと称されている別の市販金属ガリウムを用いた以外は, 比較例1と同様の試験に供した。その結果を,比較例1と同様にして,表6に示したが,ΣAn=5.997 at.ppm, ΣBn=0.630 at.ppmとなり,ΔC=|ΣAn−ΣBn|=5.367 at.ppmであった。
【0090】
【表5】
【0091】
【表6】
【0092】
〔実施例5〕
前記の実施例3および4で得られた精製ガリウム,並びに比較例1および比較例2に示した市販の金属ガリウムを,それぞれGaAs単結晶作成用のGa原料とし,As原料としては7Nの市販の高純度砒素を使用して,同一出願人(譲渡人)に係る特願平11−098528号の実施例1に記載したLEC(Liquid Encapusulated Czocralski) 法に従って,GaAs単結晶を作成した。なお,市販の高純度砒素(7N)をサンプリングしてGDMSで分析したところ,AグループおよびBグループの各元素の含有量はすべてGDMSの定量下限と定めた0.01ppm 以下であった。
【0093】
特願平11−098528号に従うLEC法のGaAs単結晶作成手順は概略次のとおりである。まず,PBN(焼成窒化ボロン:パイリテック ボロン ナイトライド)製のルツボ内にGa原料5000g,As原料を5500gを入れ,さらに,含有水分量が200重量ppmの液体封止材(B2O3)を十分量入れて,圧力容器内にセットする。次いで, 37 kgf/cm2 (≒3.6 MPa)に加圧した純Arガスを圧力容器内に導入し,圧力容器内のヒータでPBNルツボを加熱することによって,ルツボ内のGa原料とAs原料を反応させて多結晶GaAsを合成する。
【0094】
次いで, ルツボ内の多結晶GaAsをさらに加熱してGaAs融液とする。このときの圧力容器内の圧力は 65 kgf/cm2(≒ 6.4 MPa) である。この状態から圧力を4kgf/cm2(≒ 0.4 MPa) まで減圧して1時間放置しB2O3中の気泡を脱泡する。ついで純窒素ガスを導入しAr/N2のガス混合比が1/6となるようにN2ガスで 24 kgf/cm2( ≒2.4 MPa)まで加圧し30分放置し,その後,この混合ガスを4kgf/cm2 ( ≒ 0.4MPa ) まで減圧して30分放置する。そしてAr/N2のガス混合比が1/36となるように純N2ガスを導入し 24 kgf/cm2 ( ≒2.4 MPa)まで加圧したあと,30分放置する。このようなガス圧とガス混合比の操作により,GaAs融液中に混入したホウ素がB2O3を経由して純N2ガスと反応して窒化ホウ素となって系外に排出される現象が起きると考えられる。
【0095】
この状態から,ルツボ内に種結晶を約5rpmで回転しながら降下させ,GaAs融液表面に接触させる。そのさいルツボも約25rpmで回転させておき,種結晶による種付けが完了したら,種結晶を引き上げてコーン部を形成させ,次いで5rpmの一定回転速度のもとで8mm/hrの速度で結晶径が均一な直胴部を形成した後,テイル部を形成してGaAs単結晶を育成し,引き上げ後は冷却して直径4インチのGaAs単結晶のインゴットを得ることができる。
【0096】
この方法により,原料Gaだけを変え,その他の条件は一定として作成したGaAs単結晶の抵抗率を測定したところ,各原料Gaのものの抵抗率は次のとおりであった。
【0097】
【0098】
これらの結果から,同じ7Nの精製ガリウムであっても,本明細書で定義した「Ga中の不純物濃縮試験法」によるΔC=|ΣAn−ΣBn|の値が0.065 at.ppmの実施例3のものは,その値が0.500 at.ppmである実施例4のものより,高い抵抗率を有するGaAs単結晶が作成できることがわかる。また,いずれも6Nの純度を有するとしても,同値が5at.ppmを越えている市販の金属ガリウム(比較例1と2のもの)では1×107Ω・cm以上の抵抗率をもつGaAs単結晶を得ることができなかった。
【0099】
〔実施例6〕
前記の実施例3および4で得られた精製ガリウム,並びに比較例1および比較例2に示した市販の金属ガリウムをそれぞれGaP結晶作成用のGa原料とし,P原料としてはいずれも7Nの市販の高純度りんを使用して,周知のSSD(synthesis solute diffusion ) 法に従って,GaP結晶を作成した。なお,市販の高純度りん(7N)をサンプリングしてGDMSで分析したところ,AグループおよびBグループの各元素の含有量はすべてGDMSの定量下限と定めた 0.01ppm以下であった。
【0100】
SSD法の実施にあたっては,石英製の支持棒付きの30mm径るつぼ内にGa原料140gを入れ,このGa原料を入れたるつぼを石英アンプル内に真空封入すると共に該アンプル内の底にリン原料70gを真空封入した。そして,アンプル底のリン原料を430℃に加熱するとともに,るつぼ内を900℃に加熱し,アンプル内圧を1気圧に維持するという条件で,るつぼ内の原料Ga(融液)の底部にGaP結晶を析出させた。この方法により,GaPの成長が10mmの時点でのサンプルと,成長が50mmに達した時点(30日間の合成後)でのサンプルを採取し,それらのキャリア濃度と抵抗率を測定した。その結果,次のとおりであった。
【0101】
【0102】
【0103】
これらの結果から,同じ7Nの精製ガリウムであっても,実施例3のものは実施例4のものよりキャリア濃度が低く且つ抵抗率が高いGaP結晶が作成できることがわかる。また,いずれも6Nの純度を有するガリウムであっても,本明細書で定義した「Ga中の不純物濃縮試験法」によるΔC=|ΣAn−ΣBn|の値が5at.ppmを越えている市販の金属ガリウム (比較例1および2)では,キャリア濃度が1×1016/cm3以下で且つ且つ抵抗率が5Ω・cm以上のGaP結晶を得ることができなかった。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によると操作性よく高い収率で高純度のガリウムを得ることができ,また,本発明の高純度ガリウムは不純物成分の存在・不存在の程度が把握されているので,高品質のGaAs単結晶やGaP単結晶等の化合物半導体の製造に貢献するところが大きく,場合によっては不純物のドープコントロールを行わなくても,意図する半導体を製造することもできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法を実施する装置の例を示す機器配置系統図である。
【図2】図1の精製容器部分を示す略断面図である。
【図3】図2の矢視断面図である。
【図4】本発明法を図1の装置で実施する場合の操作順序を説明するための図である。
【図5】本発明法を実施する装置の他の例を示す機器配置系統図である。
【図6】本発明法を図5の装置で実施する場合の操作順序を説明するための図である。
【図7】凝固開始時に種結晶を存在させておく手段を示す容器の壁部の構造を示す略断面図である。
【図8】GaAs単結晶中に含まれるAグループ(アクセプター)の不純物元素の総量数NAとBグループ(ドナー)の不純物元素の総量数NBとの差NA−NBと,GaAs単結晶の抵抗率との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 容器内壁
2 円筒状容器
3 容器外周面に取付けられた冷却ゾーン(冷水ジャケット)
4 容器内壁より内側の容器内に設けられた加熱ゾーン(温水コイル)
5 サクションパイプ
6 磁石回転子
7 サクションパイプ外周の加熱ゾーン(温水管)
8 容器底部の加熱ゾーン
20 容器外周面に取付けられた冷却・加熱ゾーン(ジャケット)
26 種結晶残存用の凹部
Claims (9)
- 不純物を含むガリウム原料から不純物を分離する方法において、容器に収容した液体状態のガリウム原料を撹拌しながら該容器の内壁面から容器中央の方向に筒状の凝固界面が漸次縮径するように凝固を進行させ、容器内原料の全部が凝固する前に容器中央部に存在する液相を別の容器に液状態で吸引移動して別のガリウム精製工程に給送する一方、容器内の凝固相を当該容器内で融解し、その融解相を撹拌しながら該容器の内壁面から容器中央の方向に筒状の凝固界面が漸次縮径するように凝固を進行させ、容器内原料の全部が凝固する前に容器中央部に存在する液相を別の容器に液状態で吸引移動することを繰り返すガリウムの精製方法。
- 撹拌は磁界によって付与する請求項1に記載のガリウムの精製方法。
- 撹拌は磁界によって付与される円周方向の旋回流である請求項1または2に記載のガリウムの精製方法。
- 凝固相の融解時に種結晶としての固相を容器の内壁面に残して置く請求項3に記載のガリウムの精製方法。
- 円筒状の内壁をもつ容器と、この容器の外周面に取付けられた冷却ゾーンと、該内壁より内側の容器内に設けられた加熱ゾーンと、容器の中央部に配置されたサクションパイプと、容器の下方に設置された磁石回転子とからなり、容器内に装填されるガリウムと接する部材の表面が樹脂コートされているかまたは該部材自身が樹脂からなるガリウムの精製装置。
- 円筒状の内壁をもつ容器と、この容器の外周面に取付けられた冷却・加熱ゾーンと、容器の中央部に配置されたサクションパイプと、容器の下方に設置された磁石回転子とからなり、容器内に装填されるガリウムと接する部材の表面が樹脂コートされているかまたは該部材自身が樹脂からなるガリウム精製装置。
- 冷却・加熱ゾーンは冷水と温水が切換えながら通水される請求項6に記載のガリウム精製装置。
- 容器の底部およびサクションパイプの外周に加熱ゾーンが設けられている請求項5、6または7に記載のガリウムの精製装置。
- 容器内壁または該内壁近傍に種結晶を残すための手段が設けられている請求項5、6、7または8に記載のガリウム精製装置。
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