JP4100611B2 - プリフォーム成形品用チャック - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、例えば飲料水等を封入する薄肉プラスチック製ボトルをブロー成形する前工程において射出成形された薄肉プラスチック製ボトルのプリフォーム成形品を金型内から取出す成形品取出機に設けられるプリフォーム成形品用チャックに関する。
【0002】
【従来技術】
上記したプリフォーム成形品用チャックとして、例えば特許文献1に示すものが知られている。このチャック(取出ヘッド)は、吸気手段に接続されてプリフォーム成形品の底部を着脱自在に吸着可能な複数のチャックを、基板の前側に突出して取付け、これらチャックの下側近傍に、発泡樹脂のような熱伝導率の小さい保温材によって形成されてプリフォーム成形品の胴部を支持する樋状の支持部を備えた支持部材を取付けた構造からなる。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−187860号公報(図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記したチャック(取出ヘッド)にあっては、支持部材を熱伝導率の小さい保温材として発泡樹脂により形成しているため、経時使用に耐えるにはある程度の肉厚で形成しなければならなかった。
【0005】
プリフォーム成形品を成形する際には、成形効率の点から一回の成形作業で多数のプリフォーム成形品を成形して取出す必要があり、基板上に多数の支持部材を配列する必要があった。しかし、支持部材を肉厚とした場合には、基板上に取付けられる支持部材の個数が制限されるため、一度に多数のプリフォーム成形品を取出せず、取出し作業を含めた成形作業効率が悪かった。
【0006】
そして肉厚の支持部材が多数設けられたチャックにあっては、チャック自体が大型化するため、狭少空間である金型間に進入させるのが困難になり、成形品取出し効率を悪くする原因にもなっていた。
【0007】
また、上記チャック(取出ヘッド)は、支持部材の中空部内にプリフォーム成形品の一部を挿入して吸着保持する構造であるが、支持部材自体、上記した発泡樹脂により形成されているため、支持部材の中空部に対するプリフォーム成形品の胴部の摺動抵抗が大きく、プリフォーム成形品の挿入及び排出をスムーズに行えなかった。
【0008】
特に、上記した支持部材自体、熱伝導率が小さいため、取出し時に挿入保持されたプリフォーム成形品の熱収縮度も小さく、支持部材の中空部からプリフォーム成形品を自重で排出させることが困難であった。
【0009】
本発明は、上記した従来の欠点を解決するために発明されたもので、その課題とする処は、保持部材を肉薄化して基板上に多数配列することができ、プリフォーム成形品を効率的に取出すことができるプリフォーム成形品用チャックを提供することにある。
【0010】
本発明の他の課題は、保持部材内にプリフォーム成形品の胴部を挿入して保持させる際や保持されたプリフォーム成形品を排出させる際の摺動抵抗を少なくして保持不良や排出不良を少なくして取出し作業を確実に行うことができるプリフォーム成形品用チャックを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、負圧発生源12に接続された複数の保持部材9は、プリフォーム成形品Wの一部が挿入されて支持可能な中空部9aを有し、ポリアミド樹脂からなる保持円筒部9bと、保持円筒部9bの基端側端部に設けられ、チャック板7に対して着脱可能にねじ止めされると共に保持円筒部9bの中空部9aと連通する吸引孔9dを有して負圧発生源12に接続される取付け部9cと、保持円筒部9bの基端部側内に取付けられ、取付け部9cの吸引孔9dに連通する孔13aを有し、保持円筒部9bの中空部9a内に挿入されたプリフォーム成形品Wの一方端部を弾性支持する弾性部材13とからなることを特徴とする。
また、請求項2は、負圧発生源12に接続された複数の保持部材31がチャック板7に取付けられたプリフォーム成形品用チャック1において、各保持部材31は、プリフォーム成形品Wの一部が挿入されて支持可能な中空部31aを有し、アルミニウム材からなる保持円筒部31bと、保持円筒部31bの基端側端部に設けられ、チャック板7に対して着脱可能にねじ止めされると共に保持円筒部31bの中空部31aと連通する吸引孔31dを有して負圧発生源12に接続される取付け部31cと、保持円筒部31bの内周面に設けられ、アルミニウム材より断熱性が高く、かつ摺接抵抗が小さいポリアミド樹脂及びフッ化樹脂のいずれかからなる合成樹脂被覆材33と、保持円筒部31bの基端部側内に取付けられ、取付け部31cの吸引孔31dに連通する孔35aを有し、保持円筒部31bの中空部31a内に挿入されたプリフォーム成形品Wの一方端部を弾性支持する弾性部材35とからなることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施形態】
以下に実施形態を示す図に従って本発明を説明する。
実施形態1
【0013】
図1〜図3において、請求項1に係るプリフォーム成形品用チャック1は樹脂成形機の固定側プラテンの上面に固定される成形品取出機(何れも図示せず)の昇降フレーム3の下部に、必要に応じて反転姿勢制御部材5または水平姿勢制御部材(図示せず)を介して取付けられる。該昇降フレーム3は、例えば成形品取出機の本体フレームに支持された左右走行体及び該左右走行体に設けられた前後フレーム上を移動する前後走行体(何れも図示せず)に昇降するように支持され、プリフォーム成形品用チャック1を三次元方向へ移動させることにより樹脂成形機の金型内からプリフォーム成形品Wを、樹脂成形機の操作側または反操作側に設定される解放位置に取出す。
【0014】
尚、上記説明において左右方向とは、樹脂成形機の長手方向と直交する方向、前後方向とは同じく長手方向を示す。
【0015】
プリフォーム成形品用チャック1のチャック板7には多数の保持部材9がねじ11により着脱可能に取付けられる。各保持部材9としてはポリアミド樹脂により形成され、プリフォーム成形品Wの胴部Waが挿入される中空部9aを有した円筒形状の保持円筒部9bと、該保持円筒部9bの基端部側にてチャック板7に形成された孔7aを挿通して負圧発生源12に接続される取付け部9cとから構成される。そして保持円筒部9bの基端部内には取付け部9cの吸引孔9dとほぼ一致する大きさの孔13aを有したスポンジ等の弾性部材13が設けられる。
【0016】
プリフォーム成形品Wとしては、肉薄透明なプラスチック製ボトルをブロー成形する前工程として射出成形されたものを図示するが、本発明で取出されるプリフォーム成形品Wとしては、これに限定されるものではなく、例えばプラスチック製試験管、プラスチック製浮玉等のように内部に中空部を有してブロー成形される全てのものを対象とする。
【0017】
次に、上記したチャック1によるプリフォーム成形品Wの取出し作用を説明する。
成形品取出機に対して樹脂成形機から型開完了信号が入力されると、成形品取出機はプリフォーム成形品用チャック1を金型間に進入してプリフォーム成形品用チャック1の各保持部材9を可動金型内に保持された各プリフォーム成形品Wに相対させる。このとき、保持部材9の中空部9a内は負圧に形成されて吸引可能な状態になっている。
【0018】
そして上記状態にて可動金型内の突出し機構を作動して保持した各プリフォーム成形品Wを対応するそれぞれの保持部材9に向って突き出すと、図4に示すように各プリフォーム成形品Wの胴部Waは対応する保持部材9の中空部9a内に挿入される。このとき、保持部材9自体が金属材に対して滑動性の高いポリアミド樹脂で形成されているため、保持円筒部9b内に対する胴部Waの摺動抵抗が少なく、円滑に挿入させることができる。
【0019】
そして中空部9a内に挿入されたプリフォーム成形品Wの胴部Waは中空部9a内が負圧になっているため、胴部Waの先端部が中空部9a内の底面に押し当るまで挿入されて吸引保持される。このとき、胴部Waの端部は中空部9aの底部に対して弾性部材13を介して押し当るため、該弾性部材13の弾性変形により胴部Waの傷付きを防止することができる。
【0020】
また、保持部材9自体、上記したポリアミド樹脂の特性から金属材に対して熱伝導率が低い、従って断熱性が高いため、プリフォーム成形品W、特に挿入される胴部Waが急速に冷却硬化するのを回避し、内部に熱応力が発生するのを抑えることができる。
【0021】
上記作用により各保持部材9にプリフォーム成形品Wを保持したプリフォーム成形品用チャック1を移動制御して金型間から離脱させた後、樹脂成形機の操作側または反操作側に設定された成形品解放位置へ移動した後、例えば反転姿勢制御部材5を駆動してプリフォーム成形品用チャック1の成形品保持面を下方に向けた状態で負圧形成を中断したり、負圧形成状態を保ちながら中空部9a内に圧力調整された圧縮空気を供給して真空状態を破壊することにより各保持部材9の中空部9aに保持されたプリフォーム成形品Wの胴部Waを排出させる。
【0022】
このとき、上記と同様に保持部材9自体が、金属材に対して滑動性が高いポリアミド樹脂により形成されているため、保持円筒部9b内面に対する胴部Waの摺動抵抗が少なく、排出作業を円滑に行うことができる。
【0023】
尚、成形品解放位置には搬出コンベヤーや搬出シュータ等の搬出装置が設けられ、該搬出装置の搬送面に対して常温または冷風で、帯電したイオン風を吹き付けるイオン風発生装置により搬出されるプリフォーム成形品Wを冷却硬化させる。
【0024】
本実施形態は、金属材に対して熱伝導率が低いポリアミド樹脂により形成された保持部材9によりプリフォーム成形品Wを保持して取出すため、保持部材9の保持円筒部9b自体を肉薄化してプリフォーム成形品用チャック1自体の軽量化及び小型化を図りながらチャック板7に多数の保持部材9を設けることができ、プリフォーム成形品Wを効率的に取出すことができる。
【0025】
また、各保持部材9自体が金属材に対して滑動性の高いポリアミド樹脂により形成されるため、保持円筒部9b内面に対する胴部Waの摺動抵抗を小さくして中空部9a内に対する胴部Waの挿入や中空部9a内からの排出を円滑に行うことができる。
【0026】
更に、保持部材9自体、金属材に対して熱伝導率が低いため、保持したプリフォーム成形品Wを金型から成形品解放位置へ移動する際にプリフォーム成形品Wの温度が急激に低下して硬化するのを防止することによりプリフォーム成形品W内に熱応力が発生するのを抑えることができる。
【0027】
実施形態2
本実施形態は、請求項2に係り、プリフォーム成形品用チャック1のチャック板7に取付けられる保持部材31を、以下のように構成したものである。
【0028】
即ち、図5に示すように各保持部材31はアルミニウム材(アルミニウム合金を含む)により形成され、中部に中空部31aを有した保持円筒部31bと、チャック板7に固定され、負圧発生源12に接続される取付け部31cとから構成され、該取付け部31cは吸引孔31dにより中空部31aと連通している。
【0029】
そして保持円筒部31bの内面には活動性及び断熱性を有したフッ化樹脂等からなる合成樹脂被覆材としての樹脂層33が所定の厚さで被覆形成されている。樹脂層33としては、断熱性を確保できる厚さに設定すればよい。
【0030】
また、保持部31bの取付け部31c側には実施形態1と同様に、スポンジやゴム等の弾性部材35が取付けられている。該弾性部材35には孔31dと連通する孔35aが形成されている。
【0031】
本実施形態の保持部材31によるプリフォーム成形品Wの保持作用は、実施形態1と同様であるが、保持部31bの内面に樹脂層33が被覆形成されているため、保持部31b内面に対する胴部Waの摺動抵抗を低減し、挿入及び排出を円滑に行わせることができる。
【0032】
また、保持部材31自体、アルミニウム材から形成されるため、肉厚を薄手状にしても、充分な強度が得られ、プリフォーム成形品用チャック1の軽量化及び小型化を図りながら、チャック板7に多数の保持部材31を配置してプリフォーム成形品Wの取出し作業を効率化することができる。
【0033】
更に、保持部31bの内面に被覆される樹脂層33自体、熱伝導率が低いため、保持したプリフォーム成形品Wが急激に温度低下するのを回避して熱応力が発生するのを抑制することができる。
【0034】
上記説明は、プリフォーム成形品用チャック1を左右方向、前後方向及び上下方向の三次元方向へ移動制御してプリフォーム成形品を取出す構造としたが、プリフォーム成形品用チャック1を旋回移動させたり、左右方向及び前後方向へ移動して横取出しする構造であってもよいことは勿論である。
【0035】
実施形態2の説明においては、アルミニウム製の保持部材31の内面に樹脂層33を所定の厚さで被覆形成したが、予めポリアミド樹脂やフッ化樹脂により成形された樹脂円筒部材を保持部内に挿嵌して一体化した構造であってもよい。
【0036】
【発明の効果】
本発明は、保持部材を肉薄化して基板上に多数配列することができ、プリフォーム成形品を効率的に取出すことができる。また、保持部材内にプリフォーム成形品の胴部を挿入して保持させる際や保持されたプリフォーム成形品を排出させる際の摺動抵抗を少なくして保持不良や排出不良を少なくして取出し作業を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プリフォーム成形品用チャックの全体斜視図である。
【図2】チャック板に対する保持部材の取り付け状態を示す説明図である。
【図3】チャック板に取り付けられた保持部材の中央縦断面図である。
【図4】プリフォーム成形品の保持作用を示す説明図である。
【図5】実施形態に係るプリフォーム成形品用チャックの保持部材を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1−プリフォーム成形品用チャック、7−チャック板、9−保持部材、9a−中空部、9b−保持円筒部、9c−取付け部、12−吸引手段としての負圧発生源、W−プリフォーム成形品
Claims (2)
- 負圧発生源12に接続された複数の保持部材9がチャック板7に取付けられたプリフォーム成形品用チャック1において、
各保持部材9は、
プリフォーム成形品Wの一部が挿入されて支持可能な中空部9aを有し、ポリアミド樹脂からなる保持円筒部9bと、
保持円筒部9bの基端側端部に設けられ、チャック板7に対して着脱可能にねじ止めされると共に保持円筒部9bの中空部9aと連通する吸引孔9dを有して負圧発生源12に接続される取付け部9cと、
保持円筒部9bの基端部側内に取付けられ、取付け部9cの吸引孔9dに連通する孔13aを有し、保持円筒部9bの中空部9a内に挿入されたプリフォーム成形品Wの一方端部を弾性支持する弾性部材13と、
からなるプリフォーム成形品用チャック。 - 負圧発生源12に接続された複数の保持部材31がチャック板7に取付けられたプリフォーム成形品用チャック1において、
各保持部材31は、
プリフォーム成形品Wの一部が挿入されて支持可能な中空部31aを有し、アルミニウム材からなる保持円筒部31bと、
保持円筒部31bの基端側端部に設けられ、チャック板7に対して着脱可能にねじ止めされると共に保持円筒部31bの中空部31aと連通する吸引孔31dを有して負圧発生源12に接続される取付け部31cと、
保持円筒部31bの内周面に設けられ、アルミニウム材より断熱性が高く、かつ摺接抵抗が小さいポリアミド樹脂及びフッ化樹脂のいずれかからなる合成樹脂被覆材33と、
保持円筒部31bの基端部側内に取付けられ、取付け部31cの吸引孔31dに連通する孔35aを有し、保持円筒部31bの中空部31a内に挿入されたプリフォーム成形品Wの一方端部を弾性支持する弾性部材35と、
からなるプリフォーム成形品用チャック。
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