JP4100405B2 - 画像処理装置、画像処理方法、画像表示装置 - Google Patents

画像処理装置、画像処理方法、画像表示装置 Download PDF

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Description

液晶パネルは、薄型・軽量であるため、テレビジョン受信機、コンピュータのディスプレイ装置、携帯情報端末の表示部等の表示装置として広く用いられている。しかし、液晶は駆動電圧を印加してから所定の透過率に到達するまでに一定の時間を要するため、変化の早い動画に対応できないという欠点がある。こうした問題を解決するため、フレーム間で階調値が変化する場合、1フレーム以内に液晶が所定の透過率に到達するよう、液晶に過電圧を印加する駆動方法が採用されている(特許文献1)。具体的には、1フレーム前の画像データと現フレームの画像データとを画素毎に比較し、階調値が変化している場合はその変化量に対応する補正量を現フレームの画像データに加算する。これにより、1フレーム前とで階調値が増加した場合は液晶パネルにおいて通常よりも高い駆動電圧が印加され、減少した場合は通常よりも低い電圧が印加される。
上記の方法を実施するためには、1フレーム前の画像データを出力するためのフレームメモリが必要となる。近年、液晶パネルの大型化による表示画素数の増加に伴い、フレームメモリの容量も大きくする必要が生じている。また、表示画素数が増えると、所定期間内(例えば1フレーム期間内)にフレームメモリへの書き込みおよび読み出しを行うデータ量が増えるので、書き込みおよび読み出しを制御するクロック周波数を高くし、データの転送速度を増加させる必要が生じる。こうしたフレームメモリ、および転送速度の増加は、液晶表示装置のコストの上昇につながる。
こうした問題を解消するため、特許文献2に記載された液晶駆動用画像処理回路においては、画像データを符号化してからフレームメモリに記憶することによりメモリ容量の削減を図っている。また、符号化した画像データを復号化して得られる現フレームの復号化画像データと、符号化した画像データを1フレーム期間遅延してから復号化して得られる1フレーム前の復号化画像データとの比較に基づいて画像データの補正を行うことにより、静止画が入力された場合に、符号化・復号化の誤差に伴う不要な過電圧が液晶に印加されるのを防ぐことができる。
特許第2616652号公報 特開2003-202845号公報
映像信号においては、画像データの最下位ビットに1階調を加算したフレームの割合を制御することで擬似的に中間調を発生させる処理(ディザ処理)が行われている。特許文献2に記載の液晶駆動用画像処理回路においては、現フレームの復号化画像データと、1フレーム前の復号化画像データとの比較に基づいて画像データの補正を行うので、上記のような処理が行われた画像データが入力された場合、フレーム間における1階調分の変化が符号化・復号化誤差により増幅されると、復号化された画像を用いて検出される画像データの時間的な変化量が大きくなるため、本来は必要のない補正処理が画像データに対して行われることにより、液晶に不要な過電圧が印加されるという問題が生じる。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、フレームメモリ容量削減のために画像データの符号化・復号化を行う画像処理装置において、擬似階調を発生させる信号が加算された画像データが入力された場合であっても符号化・復号化の誤差の影響を生じることなく、画像データの補正を正確に行い、適切な補正電圧を液晶に印加することが可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
本発明に係る画像処理装置は、画像の各画素の階調値を表す画像データを、前記各画素における階調値の変化に基づいて補正して出力する画像処理装置であって、
現フレームの画像を表す画像データを符号化することにより、前記現フレームの画像に対応する符号化画像データを出力する符号化手段と、
前記符号化画像データを復号化することにより前記現フレームの画像データに対応する第1の復号化画像データを出力する復号化手段と、
前記符号化画像データを1フレームに相当する期間遅延する遅延手段と、
前記遅延手段により出力される前記符号化画像データを復号化することにより、前記現フレームの1フレーム前の画像データに対応する第2の復号化画像データを出力する復号化手段と、
前記第1の復号化画像データと前記第2の復号化画像データとの変化量、および前記現フレームの画像データと前記第1の復号化画像データとの誤差量を画素毎に求め、前記変化量、および前記誤差量に基づいて、前記現フレームの画像データと前記第2の復号化画像データのいずれかを画素毎に選択して1フレーム前画像データを生成する手段と、
前記1フレーム前画像データおよび前記現フレームの画像データに基づいて、当該現フレームの画像の階調値を補正する画像データ補正手段とを備えたものである。
本発明に係る画像処理方法は、画像の各画素の階調値を表す画像データを、前記各画素における階調値の変化に基づいて補正して出力する画像処理方法であって、
現フレームの画像を表す画像データを符号化することにより、前記現フレームの画像に対応する符号化画像データを出力し、
前記符号化画像データを復号化することにより前記現フレームの画像データに対応する第1の復号化画像データを出力し、
前記符号化画像データを1フレームに相当する期間遅延してから復号化することにより、前記現フレームの1フレーム前の画像データに対応する第2の復号化画像データを出力し、
前記第1の復号化画像データと前記第2の復号化画像データとの変化量、および前記現フレームの画像データと前記第1の復号化画像データとの誤差量を画素毎に求め、前記変化量、および前記誤差量に基づいて、前記現フレームの画像データと前記第2の復号化画像データのいずれかを画素毎に選択して1フレーム前画像データを生成し、
前記1フレーム前画像データおよび前記現フレームの画像データに基づいて、当該現フレームの画像の階調値を補正するものである。
本発明に係る画像処理装置、および画像処理方法によれば、第1の復号化画像データと第2の復号化画像データとの間の変化量、および現フレームの画像データと第1の復号化画像データとの間の誤差量を画素毎に求め、変化量、および誤差量に基づいて、現フレームの画像データと第2の復号化画像データのいずれかを画素毎に選択することにより1フレーム前画像データを生成するので、擬似階調信号が加算された画像データが入力された場合においても符号化・復号化の誤差の影響を受けることなく、適切な補正電圧を液晶に印加することが可能となる。
実施の形態1.
図1は、本発明に係る画像処理装置を備えた液晶表示装置の構成を示すブロック図である。受信部2は、入力端子1を介して入力される映像信号に対し、選局、復調等の処理を行うことにより、1フレーム分の画像(現フレームの画像)を表す画像データDi1を画像データ処理部3に順次出力する。画像データ処理部3は、符号化部4、遅延部5、復号化部6,7、変化量算出部8、誤差量算出部9、1フレーム前画像演算部10、および画像データ補正部11により構成される。画像データ処理部3は、画像データDi1を階調値の変化に基づいて補正し、補正画像データDj1を表示部12に出力する。表示部12は、補正画像データDj1により指定される所定の駆動電圧を液晶に印加することにより画像を表示する。
以下、画像データ処理部3の動作について説明する。
符号化部4は、画像データDi1を符号化することによりデータ容量を圧縮し、符号化画像データDa1を出力する。符号化方式としては、FBTCやGBTCなどのブロック符号化(BTC)を用いることができる。これらのブロック符号化は、各ブロックの画素データの平均値La、ダイナミックレンジLb等の特徴量に基づいて設定される閾値を用いて、当該ブロック内における画素データを量子化することにより行われる。したがって、符号化画像データDa1は、各ブロックにおける画素データの平均値La、ダイナミックレンジLb、および画素データの量子化値Qを含んで構成される。
遅延部5は、符号化画像データDa1を1フレームに相当する期間遅延する。すなわち符号化画像データDi1が入力されるとき、1フレーム前の画像データDi0に対応する符号化画像データDa0が出力される。ここで、符号化部4における画像データDi1の符号化率(データ圧縮率)を高くするほど、符号化画像データDa1を遅延するために必要な遅延部5のメモリの容量を少なくすることができる。
復号化部6は、符号化画像データDa1を復号化することにより、画像データDi1に対応する復号化画像データDb1を出力する。また、復号化部7は、遅延部5により1フレームに相当する期間遅延された符号化画像データDa0を復号化することにより、1フレーム前の画像を表す復号化画像データDb0を出力する。
変化量算出部8は、現フレームの画像データに対応する復号化画像データDb1と1フレーム前の画像データに対応する復号化画像データDb0との差分を画素毎に求め、当該差分の絶対値を変化量Dv1として出力する。この変化量Dv1は、画像データDi1、および復号化画像データDb0とともに1フレーム前画像演算部10に入力される。
誤差量算出部9は、現フレームの画像データに対応する復号化画像データDb1と画像データDi1との差分を画素毎に求め、当該差分の絶対値を誤差量De1として出力する。この誤差量De1は、1フレーム前画像演算部10に入力される。
1フレーム前画像演算部10は、変化量Dv1が所定の閾値SH0より小さい画素、および変化量Dv1が閾値SH0より大きく、かつ変化量Dv1が誤差量De1の2倍となる画素については画像データDi1を1フレーム前の画像データとして選択し、変化量Dv1が閾値SH0より大きく、かつ変化量Dv1が誤差量De1の2倍以外の値となる画素については復号化画像データDb0を1フレーム前の画像データとして選択することにより、1フレーム前画像データDq0を生成する。1フレーム前画像データDq0は、画像データ補正部11に入力される。
画像データ補正部11は、画像データDi1と、1フレーム前画像データDq0との比較により得られる1フレーム間における階調値の変化に基づいて、液晶が1フレーム期間内に画像データDi1により指定される所定の透過率となるよう画像データDi1を補正し、補正画像データDj1を出力する。図2は、補正画像データDj1に基づく駆動電圧を液晶に印加した場合の応答特性を示す図である。図2において、(a)は画像データDi1、(b)は補正画像データDj1、(c)は当該画像データDj1に基づく駆動電圧を印加して得られる液晶の応答特性を示す図である。図2(c)において、破線により示す特性は画像データDi1に基づく駆動電圧を印加したときの液晶の応答特性である。図2(b)に示すように階調値が増加・減少する場合、補正量V1,V2を画像データDi1に加算・減算することにより、補正画像データDj1が生成される。この補正画像データDj1に基づく駆動電圧を液晶に印加することにより、図2(c)に示すように略1フレーム期間内に液晶を画像データDi1により指定される所定の透過率に到達させることができる。
図3は、ディザ処理により擬似階調信号が加算された静止画像が入力された場合における1フレーム前画像データDq0の生成工程について説明するための図である。以下の説明においては、1フレーム前画像データDq0を生成する際に用いる所定の閾値SH0の値を8とする。
図3(a)および図3(d)は、1フレーム前の画像データDi0、および現フレームの画像データDi1の値をそれぞれ示している。図3(d)に示すように、ディザ処理により現フレームの画像データDi1における(b,B)の画素データに擬似階調信号が加算されたことにより、当該画素データが59から60に変化している。
図3(b),(e)は、図3(a),(d)に示す1フレーム前の画像データDi0、および現フレームの画像データDi1をFBTCにより符号化した符号化データを示している。ここでは、各ブロックにおける平均値La、およびダイナミックレンジLbを8ビットとし、各画素に2ビットを割り当てて量子化を行っている。
図3(c),(f)は、図3(b),(e)に示す符号化データを復号化して得られる1フレーム前の復号化画像データDb0、および現フレームの復号化画像データDb1を示している。図3(f)に示すように、図3(c)に示す画像データDi1のB列における階調値59の画素データに対応する復号化画像データDb1における値は40となっているのに対し、ディザ処理により擬似階調信号が加算された(b,B)における階調値60の画素データに対応する復号化画像における値は80となっている。
図3(g)は、図3(a),(d)に示す画像データDi0,Di1との差である画像の実際の変化量を示し、図3(h)は、図3(c),(f)に示す復号化画像データDb0,Db1との差分の絶対値である変化量Dv1を示している。図3(g)に示すように、画像データDi0,Di1の(b,B)における画素データの変化量は1であるのに対し、符号化・復号化誤差により復号化画像データDb0,Db1の同画素データの変化量Dv1は40となる。
図3(i)は、図3(d)に示す現フレームの画像データDi1と、図3(f)に示す現フレームの復号化画像データDb1との差分の絶対値である誤差量De1を示している。
図3(j)は、図3(h)に示す変化量Dv1、および図3(i)に示す誤差量De1に基づいて図3(a),(f)にそれぞれ示す画像データDi0、および復号化画像データDb0のいずれかを画素毎に選択して生成される1フレーム前画像データDq0を示している。図3(h)に示すように、変化量Dv1は(b,B)以外の画素において全て0となっているので、1フレーム前画像演算部10は、(b,B)以外の画素における1フレーム前の画像データとして画像データDi1を選択する。一方、(b,B)の画素においては変化量Dv1の値は閾値SH0より大きくなっており、また変化量Dv1(=40)が誤差量De1(=20)の2倍となっているので、1フレーム前画像演算部10は、(b,B)の画素における1フレーム前の画像データとして画像データDi1を選択する。
図3(k)は、1フレーム前画像データDq0と、1フレーム前の画像データDi0との誤差を示している。図3(k)に示すように、ディザ処理により擬似階調信号が加算された(b,B)の画素における誤差は1となっており、符号化・復号化誤差の影響が抑制されることが分かる。
図4は、図3に示す符号化・復号化誤差について説明するための図である。
図4(a)は、8ビットの画像データDi0,Di1の階調値を示し、図4(b)は、画像データDi0,Di1の量子化閾値を示している。図4(c)は、図4(a)に示す画像データDi0,Di1の各階調値を図4(b)に示す量子化閾値を用いて2ビットのデータに量子化した量子化値を示している。図4(d)は、図4(c)に示す量子化値を8ビットのデータに復元した復号化画像データDb0,Db1の階調値を示している。
図4(b)に示すように、画像データDi0,Di1は、20,60,100の閾値を用いて量子化されるため、0,59,60,120の階調値に対応する量子化値は図4(c)に示すように、それぞれ0,1,2,3となる。図4(c)に示す量子化値を復号化すると、画像データDi0,Di1における0,59,60,120の各階調値は図4(d)に示すように、それぞれ0,40,80,120となる。このため、画像データDi0,Di1における59,60のような、一方が量子化閾値以上、他方が量子化閾値未満となる2つの階調値を復号化すると、それぞれ40,80となり、実際の変化量は1であるのに対し、復号化画像データDb0,Db1から得られる変化量Dv1は40となり誤差が大きくなる。
先に説明した通り1フレーム前画像演算部10は、変化量Dv1が所定の閾値SH0より大きく、かつ変化量Dv1が誤差量De1の2倍となる画素については画像データDi1を1フレーム前の画像データとして選択し、変化量Dv1が閾値SH0より大きく、かつ変化量Dv1が誤差量De1の2倍以外の値となる画素については復号化画像データDb0を1フレーム前の画像データとして選択して1フレーム前画像データDq0を生成するので、図4(d)に示す画像データDi1における(b,B)の画素は静止画を示すものと判別されるため、1フレーム前の画像データとして画像データDi1が選択される。この結果、符号化・復号化誤差による変化量Dv1の誤差の影響を受けることなく1フレーム前画像データDi0を正確に生成することができる。すなわち、擬似階調信号が加算された画像データDi1が入力された場合においても符号化・復号化の誤差の影響を受けることなく1フレーム前画像データDq1を生成することができる。
図5は、動画像が入力された場合における1フレーム前画像データDq0の生成工程について説明するための図である。以下の説明においては、1フレーム前画像データDq0を生成する際に用いる所定の閾値SH0の値を8とする。
図5(a)および図5(d)は、1フレーム前の画像データDi0、および現フレームの画像データDi1の値をそれぞれ示している。図5(a)および図5(d)に示す画像データDi0,Di1を比較すると、B列の画素データは0から59に変化し、C列の画素データは59から60に変化し、D列の画素データは60から0に変化している。
図5(b),(e)は、図5(a),(d)に示す1フレーム前の画像データDi0、および現フレームの画像データDi1をFBTCにより符号化した符号化データを示している。
図5(c),(f)は、図5(b),(e)に示す符号化データを復号化して得られる1フレーム前の復号化画像データDb0、および現フレームの復号化画像データDb1を示している。
図5(g)は、図5(a),(d)に示す画像データDi0,Di1との差である画像の実際の変化量を示し、図5(h)は、図5(c),(f)に示す復号化画像データDb0,Db1との差分の絶対値である変化量Dv1を示している。
図5(i)は、図5(d)に示す現フレームの画像データDi1と、図5(f)に示す現フレームの復号化画像データDb1との差分の絶対値である誤差量De1を示している。
図5(j)は、図5(h)に示す変化量Dv1、および図5(i)に示す誤差量De1に基づいて図5(a),(f)にそれぞれ示す画像データDi0、および復号化画像データDb0のいずれかを画素毎に選択して生成される1フレーム前画像データDq0を示している。図5(h)に示すように変化量Dv1は、B,D列において60となり、閾値(SH0=8)を越えており、この変化量Dv1は誤差量De1(=1,0)の2倍以外の値となっている。また、変化量Dv1は、A,C列において0となり閾値以下となっている。したがって、1フレーム前画像演算部10は、A,C列の画素について現フレームの画像データDi1を選択し、B,D列の画素について復号化画像データDb0を選択して1フレーム前画像データDq0を生成する。
図5(k)は、1フレーム前画像データDq0と、1フレーム前の画像データDi0との誤差を示している。
図6は、図5に示す符号化・復号化誤差について説明するための図である。
図6(a)は、8ビットの画像データDi0,Di1の階調値を示し、図6(b)は、画像データDi0,Di1の量子化閾値を示している。図6(c)は、図6(a)に示す画像データDi0,Di1の各階調値を図6(b)に示す量子化閾値を用いて2ビットのデータに量子化した量子化値を示している。図6(d)は、図6(c)に示す量子化値を8ビットのデータに復元した復号化画像データDb0,Db1の階調値を示している。
図6(b)に示すように、画像データDi0,Di1は、10,30,50の閾値を用いて量子化されるため、0,59,60の階調値に対応する量子化値は図6(c)に示すように、それぞれ0,60,60となる。図6(c)に示す量子化値を復号化すると、画像データDi0,Di1における0,59,60の各階調値は図6(d)に示すように、それぞれ0,60,60となる。このため、画像データDi0,Di1における59,60の階調値を復号化すると、いずれも60となり、1階調分の誤差が生じる。
前に説明した通り1フレーム前画像演算部10は、変化量Dv1が所定の閾値SH0より小さい画素については画像データDi1を1フレーム前の画像データとして選択し、変化量Dv1が閾値SH0より大きく、かつ変化量Dv1が誤差量De1の2倍以外の値となる画素については復号化画像データDb0を1フレーム前の画像データとして選択して1フレーム前画像データDq0を生成する。この結果、動画像が入力された場合においても符号化・復号化誤差の影響を受けることなく1フレーム前画像データDi0を正確に生成することができる。
図7は、以上に説明した本発明に係る画像処理装置における画像処理部3の処理工程を示すフローチャートである。
まず、画像データDi1が画像データ処理部3に入力される(St1)。符号化部4は、入力された画像データDi1を符号化し、符号化画像データDa1を出力する(St2)。遅延部5は、符号化画像データDa1を1フレーム期間遅延し、1フレーム前の符号化画像データDa0を出力する(St3)。復号化部7は、符号化画像データDa0を復号化し、1フレーム前の画像データDi0に対応する復号化画像データDb0を出力する(St4)。これらの処理に並行して、復号化部6は、符号化画像データDa1を復号化し、現フレームの画像データDi1に対応する復号化画像データDb1を出力する(St5)。
変化量算出部8は、現フレームの復号化画像データDb1と1フレーム前の復号化画像データDb0との差分を画素毎に求め、この差分を変化量Dv1として出力する(St6)。この処理に並行して、誤差量算出部9は、現フレームの復号化画像データDb1と現フレームの画像データDi1との差分を求め、この差分を誤差量De1として出力する(St7)。
1フレーム前画像演算部10は、変化量Dv1が所定の閾値SH0より小さい画素、および変化量Dv1が所定の閾値SH0より大きく、かつ変化量Dv1が誤差量De1の2倍となる画素については現フレームの画像データDi1を1フレーム前の画像データとして選択し、変化量Dv1の絶対値が所定の閾値SH0より大きく、かつ変化量Dv1が誤差量De1の2倍以外の値となる画素については1フレーム前の復号化画像データDb0を1フレーム前の画像データとして選択することにより、1フレーム前画像データDq0を生成する(St8)。
画像データ補正部11は、1フレーム前画像データDq0と、画像データDi0との比較によって得られる階調値の変化に基づいて、液晶が1フレーム期間内に画像データDi1により指定される所定の透過率となるよう駆動するのに必要な補正量を求め、この補正量を用いて画像データDi1を補正し、補正画像データDj1を出力する(St9)。
上記St1〜St9の処理が、画像データDi1の各画素に対して実施される。
以上において説明したように、本発明に係る画像処理装置は、復号化画像データDb0,Db1の変化量Dv1が所定の閾値SH0より小さい画素については静止画と判別して現フレームの画像データDi1を1フレーム前の画像データとして選択する。そして、変化量Dv1が閾値SH0より大きい画素については、変化量Dv1が誤差量De1の2倍となる場合は静止画と判別して画像データDi1を選択し、変化量Dv1が誤差量De1の2倍以外の値となる場合は動画像と判別して復号化画像データDb0を選択して1フレーム前画像データDq0を生成する。これにより、図3に示すように、一方が量子化閾値以上、他方が量子化閾値未満となるような階調値を含む画像データDi1,Di0が入力された場合においても符号化・復号化の誤差の影響を受けることなく1フレーム前画像データDq1が生成されるので、擬似階調信号が加算された画像データが入力された場合であっても適切な補正電圧を液晶に印加することが可能となる。
なお、1フレーム前画像データDq0は、以下の式(1)により算出してもよい。
Dq0=k1×k2×Db0+(1−k1×k2)×Di1 …式(1)
上記式(1)において、k1は変化量Dv1に応じて変化する係数であり、k2は変化量Dv1、および誤差量De1に応じて変化する係数である。
図8(a)は、係数k1と変化量Dv1との関係を示す図であり、図8(b)は、係数k2と変化量Dv1、および誤差量De1との関係を示す図である。図8(a)に示すように、変化量Dv1の絶対値に対し、2つの閾値SH0,SH1(SH0<SH1)が予め設定されており、|Dv1|<SH0の場合はk1=0、SH0≦|Dv1|≦SH1の場合は0≦k1≦1、|Dv1|>SH1の場合はk1=1となる。また、図8(b)に示すように、変化量Dv1と誤差量De1を2倍した値との差分の絶対値(|Dv1−2×De|)に対し、2つの閾値SH2,SH3(SH2<SH3)が予め設定されており、|Dv1−2×De1|<SH2の場合はk2=0、SH2≦|Dv1−2×De1|≦SH3の場合は0≦k2≦1、SH3<|Dv1−2×De1|の場合はk2=1となる。
式(1)に示したとおり、係数k1,k2のいずれか一方が0の場合は画像データDi1が1フレーム前画像データDq0として選択され、k1,k2の両方が1の場合は復号化画像データDb0が1フレーム前画像データDq0として出力される。また、上記以外の場合はk1とk2の積に基づいて、画像データDi1と復号化画像データDb0との重み付き平均が1フレーム前画像データDq0として算出される。
式(1)を用いることにより、変化量Dv1の変化に応じて1フレーム前画像データDq1において、画像データDi1と復号化画像データDb0との間の値を連続的に変化させることが可能となるので動画領域における画像の急激な変化を抑制することができる。
実施の形態2.
実施の形態1において、画像データ補正部11は、1フレーム前画像データDq0と画像データDi0との比較により得られる階調値の変化に基づいて補正量を算出し、補正画像データDj1を生成するものとしたが、ルックアップテーブル等のメモリ手段を設け、予め格納した補正量を読み出して画像データDi1を補正し、補正画像データDj1を出力する構成としてもよい。
図9は、画像データ補正部11の内部構成を示すブロック図である。ルックアップテーブル11aは、1フレーム前画像データDq0、および画像データDi1を入力とし、両者の値に基づいて補正量Dc1を出力する。
図10は、ルックアップテーブル11aの構成の一例を示す模式図である。ルックアップテーブル11aには、画像データDi1、および1フレーム前画像データDq0が読み出しアドレスとして入力される。画像データDi1、および1フレーム前画像データDq0がそれぞれ8ビットの画像データの場合、ルックアップテーブル11aには256×256のデータが補正量Dc1として格納される。ルックアップテーブル11aは、画像データDi1、および1フレーム前画像データDq0の各値に対応する補正量Dc1=dt(Di1,Dq0)を読み出して出力する。補正部11bは、ルックアップテーブル11aにより出力された補正量Dc1を画像データDi1に加算し、補正画像データDj1を出力する。
図11は、液晶の応答時間の一例を示す図であり、x軸は画像データDi1の値(現画像における階調値)、y軸は1フレーム前の画像データDi0の値(1フレーム前の画像における階調値)であり、z軸は液晶が1フレーム前の階調値に対応する透過率から画像データDi1の階調値に対応する透過率となるまでに要する応答時間を示している。ここで、現画像の階調値が8ビットの場合、画像データおよび1フレーム前の画像データの階調値の組合せは256×256通り存在するので、応答時間も256×256通り存在する。図11においては階調値の組合せに対応する応答時間を8×8通りに簡略化して示している。
図12は、液晶が1フレーム期間経過時に画像データDi1により指定される透過率となるよう画像データDi1に加算される補正量Dc1の値を示す図である。画像データの階調値が8ビットの場合、補正量Dc1は、画像データおよび1フレーム前の画像データの階調値の組合せに対応して256×256通り存在する。図12においては階調値の組合せに対応する補正量を8×8通りに簡略化して示している。
図11に示すように、液晶の応答時間は、画像データおよび1フレーム前の画像データの階調値に応じて異なるため、ルックアップテーブル11aには、画像データおよび1フレーム前の画像データの両階調値に対応する256×256通りの補正量Dc1が格納される。液晶は特に、中間階調(グレー)から高階調(白)に変化する際の応答速度が遅い(液晶パネルの種類、あるいは動作モードによっては、逆あるいは、別の変化が遅い場合もある。)。従って、中間階調を表す1フレーム前画像データDq0と、高階調を表す画像データDi1に対応する補正量dt(Di1,Dq0)の値を大きく設定することにより、応答速度を効果的に向上させることができる。また、液晶の応答特性は液晶の材料、電極形状、温度などによって変化するので、こうした使用条件に対応する補正量Dc1を備えたルックアップテーブル11aを用いることにより、液晶の特性に応じて応答時間を制御することができる。
以上のように、予め求められた補正量Dc1を格納したルックアップテーブル11aを用いることにより、補正画像データDj1を出力する際の演算量を削減することができる。
図13は、画像データ補正部11の他の内部構成を示すブロック図である。図13に示すルックアップテーブル11cは、1フレーム前画像データDq0、および画像データDi1を入力とし、両者の値に基づいて補正画像データDj1=(Di1,Dq0)を出力する。ルックアップテーブル11cには、図12に示す256×256通りの補正量Dc1=(Di1,Dq0)を、画像データDi1に加算することにより得られる補正画像データDj1=(Di1,Dq0)が格納される。なお、補正画像データDj1は、表示部12の表示可能な階調の範囲を超えないよう設定される。
図14は、ルックアップテーブル11cに格納される補正画像データDj1の一例を示す図である。画像データの階調値が8ビットの場合、補正量Dc1は、画像データおよび1フレーム前の画像データの階調値の組合せに対応して256×256通り存在する。図14においては階調値の組合せに対応する補正量を8×8通りに簡略化して示している。
このように、予め求められた補正画像データDj1をルックアップテーブル11cに格納し、画像データDi1、および1フレーム前画像データDq0に基づいて対応する補正画像データDj1を出力することにより、補正画像データDj1を出力する際の演算量をさらに削減することができる。
本発明に係る画像処理部の一実施形態を示すブロック図である。 液晶の応答特性を示す図である。 1フレーム前画像データDq0の生成工程について説明するための図である。 符号化・復号化誤差について説明するための図である。 1フレーム前画像データDq0の生成工程について説明するための図である。 符号化・復号化誤差について説明するための図である。 画像処理部の動作を示すフローチャートである。 係数k1,k2の特性を示す図である。 画像データ補正部の内部構成の一例を示すブロック図である。 ルックアップテーブルの構成を示す模式図である。 液晶の応答速度の一例を示す図である。 ルックアップテーブルに格納される補正量の一例を示す図である。 画像データ補正部の内部構成の一例を示すブロック図である。 ルックアップテーブルに格納される補正画像データの一例を示す図である。
符号の説明
1 入力端子、 2 受信部、 3 画像データ処理部、 4 符号化部、 5 遅延部、 6,7 復号化部、 8 変化量算出部、 9 誤差量算出部、 10 1フレーム前画像データ演算部、 11 画像データ補正部、 12 表示部、11a ルックアップテーブル、11b 補正部。

Claims (8)

  1. 画像の各画素の階調値を表す画像データを、前記各画素における階調値の変化に基づいて補正して出力する画像処理装置であって、
    現フレームの画像を表す画像データを符号化することにより、前記現フレームの画像に対応する符号化画像データを出力する符号化手段と、
    前記符号化画像データを復号化することにより前記現フレームの画像データに対応する第1の復号化画像データを出力する復号化手段と、
    前記符号化画像データを1フレームに相当する期間遅延する遅延手段と、
    前記遅延手段により出力される前記符号化画像データを復号化することにより、前記現フレームの1フレーム前の画像データに対応する第2の復号化画像データを出力する復号化手段と、
    前記第1の復号化画像データと前記第2の復号化画像データとの変化量、および前記現フレームの画像データと前記第1の復号化画像データとの誤差量を画素毎に求め、前記変化量、および前記誤差量に基づいて、前記現フレームの画像データと前記第2の復号化画像データのいずれかを画素毎に選択して1フレーム前画像データを生成する手段と、
    前記1フレーム前画像データおよび前記現フレームの画像データに基づいて、当該現フレームの画像の階調値を補正する画像データ補正手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記1フレーム前画像データを生成する手段は、前記変化量が所定の閾値より小さい画素、および前記変化量が前記閾値より大きく、かつ前記変化量が前記誤差量の2倍となる画素については前記現フレームの画像データを選択し、前記変化量が前記閾値より大きく、かつ前記変化量が前記誤差量の2倍以外の値となる画素については前記第2の復号化画像データを選択することにより、前記1フレーム前画像データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記1フレーム前画像データを生成する手段は、前記変化量を第1および第2の閾値と比較し、前記変化量と前記誤差量を2倍した値との差分の絶対値を第3および第4の閾値と比較し、
    前記変化量が前記第1の閾値より小さい画素、および前記変化量が前記第2の閾値より大きく、かつ前記差分の絶対値が前記第3の閾値より小さい画素については前記現フレームの画像データを選択し、
    前記変化量が前記第2の閾値より大きく、かつ前記差分の絶対値が前記第4の閾値より大きい画素については前記第2の復号化画像を選択し、
    他の画素については前記現フレームの画像データと前記第2の復号化画像データとの重み付き平均値を選択することにより前記1フレーム前画像データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  4. 画像データ補正手段は、1フレーム前画像データおよび現フレームの画像データに基づいて、当該現フレームの画像の階調値を補正するための補正量、または当該補正量を用いて前記現フレームの画像データを補正した補正画像データを出力するルックアップテーブルを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置を備えたことを特徴とする画像表示装置。
  6. 画像の各画素の階調値を表す画像データを、前記各画素における階調値の変化に基づいて補正して出力する画像処理方法であって、
    現フレームの画像を表す画像データを符号化することにより、前記現フレームの画像に対応する符号化画像データを出力し、
    前記符号化画像データを復号化することにより前記現フレームの画像データに対応する第1の復号化画像データを出力し、
    前記符号化画像データを1フレームに相当する期間遅延してから復号化することにより、前記現フレームの1フレーム前の画像データに対応する第2の復号化画像データを出力し、
    前記第1の復号化画像データと前記第2の復号化画像データとの変化量、および前記現フレームの画像データと前記第1の復号化画像データとの誤差量を画素毎に求め、前記変化量、および前記誤差量に基づいて、前記現フレームの画像データと前記第2の復号化画像データのいずれかを画素毎に選択して1フレーム前画像データを生成し、
    前記1フレーム前画像データおよび前記現フレームの画像データに基づいて、当該現フレームの画像の階調値を補正することを特徴とする画像処理方法。
  7. 前記変化量が所定の閾値より小さい画素、および前記変化量が前記閾値より大きく、かつ前記変化量が前記誤差量の2倍となる画素については前記現フレームの画像データを選択し、前記変化量が前記閾値より大きく、かつ前記変化量が前記誤差量の2倍以外の値となる画素については前記第2の復号化画像データを選択することにより、前記1フレーム前画像データを生成することを特徴とする請求項6に記載の画像処理方法。
  8. 前記変化量を第1および第2の閾値と比較し、前記変化量と前記誤差量を2倍した値との差分の絶対値を第3および第4の閾値と比較し、
    前記変化量が前記第1の閾値より小さい画素、および前記変化量が前記第2の閾値より大きく、かつ前記差分の絶対値が前記第3の閾値より小さい画素については前記現フレームの画像データを選択し、
    前記変化量が前記第2の閾値より大きく、かつ前記差分の絶対値が前記第4の閾値より大きい画素については前記第2の復号化画像を選択し、
    他の画素については前記現フレームの画像データと前記第2の復号化画像データとの重み付き平均値を選択することにより前記1フレーム前画像データを生成することを特徴とする請求項6に記載の画像処理方法。


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