JP4099013B2 - バーチャルスタジオ映像生成装置およびその方法ならびにそのプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、映像制作において、実写を基に作成した全天周画像と、実写であるスタジオ画像とを違和感なく合成することができるバーチャルスタジオ映像生成装置およびその方法ならびにそのプログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、映像合成装置では、ブルーバックで撮影された人物映像から人物領域のみを抽出したキー信号として生成し、別に作成した電子映像とキー信号を基に合成する、クロマキー合成が一般に行われている。また、他の構成における映像合成装置では、カメラの動作に連動したコンピュータによる電子映像(=CG)を生成してカメラ映像と合成したものを仮想スタジオもしくはバーチャルスタジオとして利用されていることが知られている。
【0003】
このバーチャルスタジオと呼ばれるシステムでは、コンピュータ等でカメラに連動して生成した電子映像と、ブルーバックを使用して、切り出した人物の映像とを合成する手法が取られている。その際、シンセビジョン(ハイビジョンセット映像と人物映像を合成するもの)と呼ばれる手法を使用する場合があり、2次元平面の実写画像を電子映像として用いるものであった。
【0004】
さらに、ブルーバックを用いない方法では、スタジオセットの実写画像に、コンピュータにより作成した、例えば3次元CGのキャラクタや、3次元CG物体を合成することも一般的に行なわれている。
【0005】
一方、テレビ放送におけるスタジオ番組は、一般にスタジオにセットを設営し、その中で出演者が演技し、カメラで撮影して番組制作を行うことが多い。さらに、近年ではコンピュータ技術が進み、様々な手法で特殊効果を加えることや、効率的な番組制作を行うことが可能になってきている。例えば、実際の映像とそのカメラワークに連動して生成したコンピュータグラフィックス(CG)を合成する仮想スタジオは、天気予報や子供番組などで頻繁に利用されている。
【0006】
また、一般のスタジオセットを用いた番組制作の場合、映像合成する際であっても、ドラマのシーンを例にとると、椅子や机などが配置された部屋等を模したスタジオセットを組むことにより、出演者にとって演技を行いやすいものとなっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の映像合成を行なう装置、手法では、以下に示すような更なる改良が望まれていた。
スタジオセットを設営する際には、出演者やセットに照明を当てる目的でセットの上部から照明器具を下げるため、天井をつけられない場合や部分的にしかセットを組まない場合が多い。その結果、スタジオセットの見切れ部分にカメラを向けることが出来ず、撮影範囲が限定されるという問題があった。
【0008】
そして、スタジオセットなどを使用して撮影する場合では、照明や大道具の配置あるいは出演者の立ち位置などを考慮しなければならず、また、スタジオを有効活用するために、撮影の度にスタジオセットを設営し、撤去することが多い。そのため、多いときは1シーンごとに照明や大道具の位置を移動する必要が生じて撮影に時間がかかることがあった。このスタジオセットの設営・撤去を繰り返すことは、時間やコストの面で効率的でない。
【0009】
一方、バーチャルスタジオはブルーバックで演技する人物を撮影し、映像の青い領域にCGなどの映像を合成するクロマキー手法が用いられることが多い。このバーチャルスタジオでは、コンピュータで電子的なスタジオセットを作成するので、通常のスタジオセット設営を行う必要がなくブルーバックだけで良いので、効率的で自由度の高い番組制作が可能になるが、出演者にとってブルーの特殊な背景には映像あるいはセットの目印となるものがなく、演技しにくいという問題があった。
【0010】
また、実スタジオセットにCGの小物やCGアクターなどを登場させる仮想スタジオ手法では、盛んに番組制作に使用されており、このCGアクターなどを用いる場合は、一般のカメラでは、実写の後ろにCGが回りこめないが、映像と画素毎の奥行き情報をリアルタイムに取得可能なアクシビジョンカメラが開発され、実写の後ろにCGが回りこむことができるようになった。しかし、その仮想スタジオ手法において、CGと実写の合成だと気づかれないような自然な映像をリアルタイムに実現しようとすると、実写の品質のCGをリアルタイムに生成することは難しい。
【0011】
そのため、ドラマやスペシャル番組などで自然な合成を行う場合、スタジオではワイヤフレームモデルのCGとの合成などで確認しながら撮影を行い、後に時間をかけてCGレンダリングを行い、実写と多重合成して違和感のないように合成を行う場合が多く、実写品質のCGをリアルタイムに実現するのは難しい。
【0012】
また、スタジオ撮影のブルーの部分にCGをはめ込むクロマキー手法等により合成して映像を作成する場合や、あるいは、クロマキー手法ではなく、スタジオセットの実写画像に実写に模したスタジオCGを合成して映像を作成する場合では、実写画像とCG映像との質感が異なることから合成した映像が、いかにも作り物として認識されてしまうため、更なる改良が望まれていた。
【0013】
そして、実写を用いて合成画像を作成する場合は、パン、チルトなどの視野方向とズームあるいはフォーカスなどの光軸方向に対する画角などのカメラレンズの主点位置に対する差により合成画像を作成することが困難であった。
【0014】
さらに、二つの実写画像を合成する場合では、一方の画像と他方の画像とを撮影したカメラレンズの歪に対する差から、合成位置にズレが生じてしまい映像に違和感を与えてしまうため、スムーズに実写画像を合成することについて更なる改良が望まれていた。
【0015】
本発明は、前記の問題点に鑑み創案されたものであり、2つの実写画像を違和感なく合成するために、全天周画像を用いることで、3次元CGで作成するよりも簡便でかつ違和感のない合成映像を得ることが可能で、リアルタイムに自然なバーチャルスタジオ映像を実現でき、スタジオにおいて照明等を最小限の移動で撮影が可能となるバーチャルスタジオ映像生成装置およびその方法ならびにそのプログラムを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るバーチャルスタジオ映像生成装置は、前記目的を達成するため、以下のような構成とした。すなわち、撮影カメラにより撮影した撮影セットに対する前記撮影カメラの少なくともパン、チルト、ズーム、フォーカスに伴うレンズの主点位置に関するカメラデータと、前記撮影セットおよびこの撮影セットの一部を取り去った撮影現場セットとの差を表わす差分情報と、前記撮影セットの区切れとなる位置に設けられた識別マーカーによる識別情報とに基づいて、前記撮影セットに対して作成された全天周画像を用いてバーチャルスタジオ映像を生成するバーチャルスタジオ映像生成装置である。
【0017】
そして、このバーチャルスタジオ映像生成装置は、前記撮影現場セットを背景としてスタジオ撮影カメラにおいてスタジオ画像を撮影する際に、その撮影現場セットに対する少なくともパン、チルト、ズーム、フォーカスに伴う前記スタジオ撮影カメラのレンズの主点位置に関するスタジオカメラデータを収集するカメラデータ収集部と、前記カメラデータ収集部で収集したスタジオカメラデータと前記カメラデータとに基づいて、前記スタジオ撮影カメラのレンズ歪を計算するレンズ歪計算部と、前記レンズ歪計算部が計算したレンズ歪に基づいて、前記全天周画像を投影変換して前記レンズ歪に対応した表示用の電子画像を作成するレンズ歪補正対応画像作成部と、前記撮影現場セットの区切れとなる位置に設けた実マーカーの位置をスタジオ撮影カメラが撮影したスタジオ画像から認識する画像認識部と、前記識別マーカーによる識別情報に基づいて、投影変換された前記電子画像上に配置される変換マーカーの位置を認識する変換マーカー認識部と、前記変換マーカー認識部により認識された変換マーカーの位置、および、前記画像認識部により認識された実マーカーの位置を比較して、両マーカーにおける位置の差を示すマーカー位置情報を生成するマーカー位置比較部と、このマーカー位置比較部で生成したマーカー位置情報および前記差分情報に基づいて、前記レンズ歪補正対応画像作成部で作成した前記電子画像と、前記スタジオ撮影カメラで撮影したスタジオ画像とを、バーチャルスタジオ映像として合成する映像合成手段と、を備える構成とした。
【0018】
このように構成されることにより、バーチャルスタジオ映像生成装置は、カメラデータ、差分情報、および、識別情報に基づいて、予め全天周画像を撮影している。なお、全天周画像が識別情報を含む場合は、撮影現場セットの区切れとなる位置にある画像で、所定の幅を備える画像区画を指定して合成時ののりしろとなり得るのりしろ画像の情報が、その全天周画像に含まれている。そして、バーチャルスタジオ映像生成装置は、撮影セットの一部を取り去った撮影現場セットの区切れとなる位置に実マーカーを設けてスタジオ撮影カメラで撮影して、画像認識部が実マーカーの位置を認識し、レンズ歪計算部が、スタジオカメラデータとカメラデータとに基づいてレンズ歪を計算して、レンズ歪補正対応画像作成部が、計算されたレンズ歪に基づいて全天周画像から電子画像を投影変換して作成する。このとき、バーチャルスタジオ映像生成装置では、変換マーカー認識部により全天周画像から投影変換した電子画像において識別マーカーから変換した変換マーカーの位置を認識して、マーカー位置比較部が、背景画像の実マーカーと、電子画像の変換マーカーとを比較して、両マーカーにおける位置の差を示すマーカー位置情報が生成される。そのため、バーチャルスタジオ映像生成装置では、マーカー位置情報および差分情報に基づいて、映像合成部が、電子画像の一部となるのりしろ画像を用いて、背景画像と電子画像とを合成することができる。
【0019】
なお、全天周画像とスタジオ画像とをカメラデータが同一となる撮影カメラで撮影するか、また、カメラデータが何らかの処理をすることなく共通で使用できる主点一致型カメラ(雲台)である場合は都合がよい。そして、全天周画像は、画像フォーマットとして色(RGB)に関する色情報チャネルと、この色情報チャネル以外の画像に対する制御に関する制御情報チャネルとにより構成されている。
【0023】
さらに、前記バーチャルスタジオ映像生成装置は、前記マーカー位置比較部により比較されて生成された前記マーカー位置情報に基づいて、前記スタジオ画像と前記電子画像とのズレを補正するズレ補正手段とを備える構成とした。
【0024】
このように構成されることにより、バーチャルスタジオ映像生成装置は、画像認識部が認識した実マーカーの位置と、この実マーカーの位置に対応する全天周画像の識別マーカーを投影変換した変換マーカーの位置とを、電子画像生成部のマーカー比較部が比較することで、生成される両マーカーのズレを示すマーカー位置情報を生成することができるため、ズレ補正手段によりマーカー位置情報に基づいて電子画像のズレを補正してつなぎ目をスムーズにすることが可能となる。なお、ズレ補正手段では、例えば、アフィン変換を用いることで全天周画像を実マーカー位置に対応するマーカ位置と合せるようにすることができる。
【0025】
そして、バーチャルスタジオ映像生成方法として以下のようにした。すなわち、バーチャルスタジオ映像生成方法は、撮影カメラにより撮影した撮影セットに対する前記撮影カメラの少なくともパン、チルト、ズーム、フォーカスに伴うレンズの主点位置に関するカメラデータと、前記撮影セットおよびこの撮影セットの一部を取り去った撮影現場セットとの差を表わす差分情報と、前記撮影セットの区切れとなる位置に設けられた識別マーカーによる識別情報とに基づいて、前記撮影セットに対して作成された全天周画像を用いてバーチャルスタジオ映像を生成するバーチャルスタジオ映像生成方法であって、前記撮影現場セットを背景としてスタジオ撮影カメラにおいてスタジオ画像を撮影する際に、その撮影現場セットに対する少なくともパン、チルト、ズーム、フォーカスに伴う前記スタジオ撮影カメラのレンズの主点位置に関するスタジオカメラデータをカメラデータ収集部により収集するステップと、前記カメラデータ収集部により収集した前記スタジオカメラデータと前記カメラデータとに基づいて、前記スタジオ撮影カメラのレンズ歪をレンズ歪計算部により計算するステップと、前記レンズ歪計算部により計算したレンズ歪に基づいて、前記全天周画像を投影変換して前記レンズ歪に対応した表示用の電子画像をレンズ歪補正対応画像作成部により作成するステップと、前記撮影現場セットの区切れとなる位置に設けた実マーカーの位置をスタジオ撮影カメラが撮影したスタジオ画像から画像認識部を介して認識するステップと、前記識別マーカーによる識別情報に基づいて、投影変換された前記電子画像上に配置される変換マーカーの位置を変換マーカー認識部により認識するステップと、前記変換マーカー認識部により認識された変換マーカーの位置、および、前記画像認識部により認識された実マーカーの位置を比較して、両マーカーにおける位置の差を示すマーカー位置情報をマーカー位置比較部により生成するステップと、前記マーカー位置比較部により生成した前記マーカー位置情報および前記差分情報に基づいて、前記レンズ歪補正対応画像作成部で作成した前記電子画像と、前記スタジオ撮影カメラで撮影したスタジオ画像とを、バーチャルスタジオ映像として映像合成部により合成するステップとを、含むこととした。
【0026】
このように構成されることにより、バーチャルスタジオ映像生成方法では、撮影セットを使用して予め全天周画像を撮影する。そして、カメラデータ、差分情報、および、識別情報に基づいて、予め全天周画像を撮影している。なお、全天周画像が識別情報を含む場合は、撮影現場セットの区切れとなる位置にある画像で、所定の幅を備える画像区画を指定して合成時ののりしろとなり得るのりしろ画像の情報が、その全天周画像に含まれている。そして、バーチャルスタジオ映像生成方法は、撮影セットの一部を取り去った撮影現場セットの区切れとなる位置に実マーカーを設けてスタジオ撮影カメラで撮影して、画像認識部が実マーカーの位置を認識し、レンズ歪計算部が、スタジオカメラデータとカメラデータとに基づいてレンズ歪を計算して、レンズ歪補正対応画像作成部が、計算されたレンズ歪に基づいて全天周画像から電子画像を投影変換して作成する。このとき、バーチャルスタジオ映像生成方法では、変換マーカー認識部により全天周画像から投影変換した電子画像において識別マーカーから変換した変換マーカーの位置を認識して、マーカー位置比較部が、背景画像の実マーカーと、電子画像の変換マーカーとを比較して、両マーカーにおける位置の差を示すマーカー位置情報が生成される。そのため、バーチャルスタジオ映像生成方法では、マーカー位置情報および差分情報に基づいて、映像合成部が、電子画像の一部となるのりしろ画像を用いて、背景画像と電子画像とを合成することができる。
【0027】
さらに、バーチャルスタジオ映像合成プログラムとして、撮影カメラにより撮影した撮影セットに対する前記撮影カメラの少なくともパン、チルト、ズーム、フォーカスに伴うレンズの主点位置に関するカメラデータと、前記撮影セットおよびこの撮影セットの一部を取り去った撮影現場セットとの差を表わす差分情報と、前記撮影セットの区切れとなる位置に設けられた識別マーカーによる識別情報とに基づいて、前記撮影セットに対して作成された全天周画像を用いてバーチャルスタジオ映像を生成するためにコンピュータを、以下の各手段により、機能させる構成とした。
【0028】
すなわち、前記各手段は、前記撮影現場セットを背景としてスタジオ撮影カメラにおいてスタジオ画像を撮影する際に、その撮影現場セットに対する少なくともパン、チルト、ズーム、フォーカスに伴う前記スタジオ撮影カメラのレンズの主点位置に関するスタジオカメラデータを収集するカメラデータ収集手段、前記カメラデータ収集手段で収集したスタジオカメラデータと前記カメラデータとに基づいて、前記スタジオ撮影カメラのレンズ歪を計算するレンズ歪計算手段、前記レンズ歪計算手段が計算したレンズ歪に基づいて、前記全天周画像を投影変換して前記レンズ歪に対応した表示用の電子画像を作成するレンズ歪補正対応画像作成手段、前記撮影現場セットの区切れとなる位置に設けた実マーカーの位置をスタジオ撮影カメラが撮影したスタジオ画像から認識する画像認識手段、前記識別マーカーによる識別情報に基づいて、投影変換された前記電子画像上に配置される変換マーカーの位置を認識する変換マーカー認識手段、前記変換マーカー認識手段により認識された変換マーカーの位置、および、前記画像認識手段により認識された実マーカーの位置を比較して、両マーカーにおける位置の差を示すマーカー位置情報を生成するマーカー位置比較手段、このマーカー位置比較手段で生成したマーカー位置情報および前記差分情報に基づいて、前記レンズ歪補正対応画像作成手段で作成した前記電子画像と、前記スタジオ撮影カメラで撮影したスタジオ画像とを、バーチャルスタジオ映像として合成する映像合成手段、とした。
【0029】
このように構成されることで、バーチャルスタジオ映像生成プログラムは、全天周画像が識別情報を含む場合は、撮影現場セットの区切れとなる位置にある画像で、所定の幅を備える画像区画を指定して合成時ののりしろとなり得るのりしろ画像の情報が、その全天周画像に含まれている。そして、バーチャルスタジオ映像生成プログラムは、撮影セットの一部を取り去った撮影現場セットの区切れとなる位置に実マーカーを設けてスタジオ撮影カメラで撮影して、画像認識手段が実マーカーの位置を認識し、レンズ歪計算手段が、スタジオカメラデータとカメラデータとに基づいてレンズ歪を計算して、レンズ歪補正対応画像作成手段が、計算されたレンズ歪に基づいて全天周画像から電子画像を投影変換して作成する。このとき、バーチャルスタジオ映像生成プログラムでは、変換マーカー認識手段により全天周画像から投影変換した電子画像において識別マーカーから変換した変換マーカーの位置を認識して、マーカー位置比較手段が、背景画像の実マーカーと、電子画像の変換マーカーとを比較して、両マーカーにおける位置の差を示すマーカー位置情報が生成される。そのため、バーチャルスタジオ映像生成プログラムでは、マーカー位置情報および差分情報に基づいて、映像合成手段が、電子画像の一部となるのりしろ画像を用いて、背景画像と電子画像とを合成することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1はバーチャルスタジオ映像生成装置の構成を示すブロック図、図2はバーチャルスタジオ映像生成装置の電子画像生成部について詳細な構成を示すブロック図である。
【0031】
図1および図2に示すように、バーチャルスタジオ映像生成装置Aは、予め作成された全天周画像Zgを電子画像Egとする電子画像生成部9と、スタジオ撮影カメラ6によるスタジオカメラデータを検出するカメラデータ検出器7からカメラデータを収集するカメラデータ収集部8と、スタジオ撮影カメラ6が撮影した撮影現場セットGs(図5参照)に実マーカーが存在しないときは、そのスタジオ画像Sgを映像合成部11に出力し、また、実マーカーが存在するときは認識した後に、そのスタジオ画像Sgを映像合成部11に出力する画像認識部10と、この画像認識部10からのスタジオ画像Sgおよび電子画像生成部9からの電子画像Egを入力してバーチャルスタジオ映像Vpとして合成する映像合成部11と、を備えている。
【0032】
図1および図4に示すように、全天周画像Zgは、撮影カメラ1により、撮影セットSsを使用して、少なくともパン、チルト、ズーム、フォーカスに伴うレンズの主点位置に関するカメラデータと併せて、360度方向の画像を撮影して作成される。ここでは、全天周画像Zgは、球面の上下半分あるいは左右半分の一方と他方を合成することで球状に作成されている。この全天周画像Zgを作成するにあたって、例えば、図4(a)に示すように、はじめに、撮影セットの下側について撮影位置を特定位置に設定した撮影カメラ1により撮影する。このとき、照明、反射板などの撮影に必要な機材は、撮影されない上側あるいは撮影カメラ1の視野外に配置して360度方向について撮影を行う。つぎに、図4(b)に示すように、前記と同様に今度は、撮影セットの上側について撮影カメラ1により360度方向の撮影を行う。なお、撮影カメラ1は、全天周画像Zgを撮影する際に、あらかじめ決められた特定位置に設定された状態で撮影が行われていれば、時間的な連続性は必要としない。
【0033】
なお、全天周画像Zgは、カメラデータを利用して撮影カメラ1で撮影した各カメラ画像から球面画像につなぎ合わせるためには、以下のような簡単な式から行うことが可能となる。すなわち、球の式であるつぎの(1)式
【0034】
X2+Y2+Z2=r2(rは球の半径) (1)式
と、平面の式であるつぎの(2)式
cosT・cosP・X+sinT・Y+cosT・sinP・Z=L (2)式
(Lは平面までの距離、Pはパン角度、Tはチルト角度)
【0035】
を用いて、平面上の座標X,Yと球面との交点を求めることで、撮影カメラ1により撮影した各カメラ画像から全天周画像Zgを作成している。
その際、幾何学的なズレや色・明るさの変化などに対しては既に開発済みの手法(映像メディア学会誌Vol.55,No1、PP159〜166(2001))で軽減し、繋ぎ目の目立たない超高精細全天周画像として作成することができる。
【0036】
そして、全天周画像Zgを作成する場合において、照明の当て方が若干異なり、接続部分で色・明るさが微妙に異なっている場合、接続点でのレベル差が生じないように色調整を行うことで違和感なく作成することができる。もちろん同じ場所で撮影することにより色調整の処理を省くことができる。なお、全天周画像Zgは、撮影時の撮影カメラ1の画角に収まる部分内において動画が存在する構成であれば対応することが可能となる。つまり全天周画像Zgを作成するにあたり、貼り合わせて作成する部分に跨ることなく動画が存在していれば動画と静止画の組み合わせた状態を可能とすることができる。
【0037】
全天周画像Zgは、例えば、画像フォーマットとして、色情報に関する色情報チャネルであるR、G、Bチャネル、および、画像に対する制御情報に関する制御情報チャネルとしてのαチャネルにより構成されている。そして、ここでは、αチャネルを、複数の領域に分割して、RGBの三原色に伴う色情報以外の画像に対する制御情報を記憶させるものとする。なお、ここでは、αチャネルに「0」「1」の信号により、撮影セットSsと撮影現場セットGsの差を示す前記キー信号(差分情報)と、撮影セットSsの区切れとなる位置に設けた識別マーカーによる識別情報と、この識別情報に付帯するのりしろ画像の有無を少なくとも記憶させている。
【0038】
次に、全天周画像Zgが作成されると、撮影セットSsのなかで、不必要な部分を取り除き、演技に必要な最小限の撮影現場セットGsとして残し、それ以外を撤去する。そして、全天周画像Zg上には、残された撮影現場セットGsについての領域を示すキー信号を差分情報として前記したαチャネルに記憶させておく。
【0039】
撮影カメラ1は、図3(a)に示すように、少なくとも、パン、チルト、ズーム、フォーカスに伴うレンズの主点位置が自動的に一致する主点一致型カメラ雲台2を備える構成であることが望ましい。そして、実際に出演者が出演して撮影するスタジオ撮影に使用されるスタジオ撮影カメラ6も同様に主点一致型カメラ雲台2を用いる構成とすると都合が良い。
【0040】
撮影カメラ1により撮影された画像は、画像収録部4に収録され、その収録された画像に伴うパン、チルト、ズーム、フォーカスに伴う主点位置に関するカメラデータは、カメラデータ収集器3に収集されている。そして、全天周画像作成部5により、収集したカメラデータおよび収録された画像に基づいて全天周画像Zgが前記したように作成される。
【0041】
使用される撮影カメラ1およびスタジオ撮影カメラ6は、同画質の画像合成が行えるように同じハイビジョンカメラを使用すると都合が良い。そして、スタジオ撮影カメラ6は、前記したハイビジョンカメラに撮影する画像の距離(奥行き情報)を取得できるカメラがついたアクシビジョンカメラ(例えば、特開2001−250111公報)であると都合が良い。
【0042】
なお、撮影カメラ1あるいはスタジオ撮影カメラ6のどちらか一方あるいは両方は、図3(b)に示すように、主点一致型カメラ雲台2を使用しないものであっても構わない。その場合は、撮影カメラ1のパン、チルト、ズーム、フォーカスなどに伴うレンズの主点位置に関するカメラデータと、スタジオ撮影カメラ6のパン、チルト、ズーム、フォーカスなどに伴うレンズの主点位置に関するスタジオカメラデータとの整合性がより求められる。
【0043】
なお、ここでは、撮影現場セットGsを撮影するスタジオ撮影カメラ6は、全天周画像撮影時と同じ位置にカメラを設置することとなる。また、スタジオ撮影カメラ6には、撮影されたスタジオ画像Sg(図6参照)に伴うスタジオカメラデータ(パン、チルト、ズーム、フォーカスに伴うレンズの主点位置に関するデータ)を収集可能なカメラ雲台に設置できるアクシビジョンカメラを用いることにした。
【0044】
そのため、全天周画像作成時は球の中心に視点があると想定しているが、撮影現場セットGsの撮影時は図3(b)に示すように、全天周画像撮影時と異なり、視点の位置が高さ方向と光軸方向にずれており、カメラの回転中心に一致していない。そのため、主点の位置が、回転中心位置に対して高さ方向にdy、光軸方向にdzずれていることと、ズーム・フォーカスによりdzは変動することを考慮して、全天周画像Zgから投影変換した電子画像Egとスタジオ画像Sgとを両カメラデータに基づいて合せるようにしている。
【0045】
図1および図2に示すように、カメラデータ検出器7は、スタジオ撮影カメラの少なくともパン、チルト、ズーム、フォーカスに伴うレンズの主点位置に関するスタジオカメラデータを検出するものである。このカメラデータ検出器7は、パン、チルト、ズームおよびフォーカスに伴うレンズの主点位置に関するスタジオカメラデータについて、図3(a)に示すように、主点一致型カメラ雲台2が有するセンサ(図示せず)により検出して、スタジオカメラデータ収集器8に出力している。
【0046】
スタジオカメラデータ収集器(カメラデータ収集部)8は、カメラデータ検出器7から送られてきたスタジオカメラデータを図示しないメモリなどの記憶手段に記憶して、撮影されたスタジオ画像Sgと関連づけて記憶している。このスタジオカメラデータ収集器8は、電子画像生成部9にそのスタジオカメラデータを出力している。
【0047】
電子画像生成部9は、図1および図2に示すように、レンズ歪計算部9aと、レンズ歪補正対応画像作成部9bと、変換マーカー認識部としてのマーカー認識部9cと、マーカー位置比較部9dと、ズレ補正手段としてのアフィン変換部9eとを備えている。なお、レンズ歪計算部9aと、レンズ歪補正対応画像作成部9bとを、ここでは、投影変換歪補正部9Aとし一まとめにして説明することもある。
【0048】
図1および図2に示すように、レンズ歪計算部9aは、全天周画像Zgのカメラデータと、スタジオ画像Sgのスタジオカメラデータとに基づいて、スタジオ撮影カメラ6のレンズ歪を計算するものである。このレンズ歪計算部9aは、あらかじめ、レンズ歪についての歪係数を求めておき、テーブル化してスタジオ撮影カメラ6のレンズ歪を求めるように構成されている。なお、レンズ歪を求める式を、簡単に示すと以下のようになる。
【0049】
すなわち、r2=x2+y2 (3)式
なお、式中x,yは画像の中心からx座標、y座標、rは中心からx,yへの距離である。
また、R・R=k1・r2+k2・r4+… (4)式
なお、式中rはレンズ歪のないときの距離、Rはレンズ歪のあるときの距離、k1、k2…はレンズ歪係数である。
【0050】
これらの(3)式、(4)式からズーム、フォーカスに伴って変化するk1、k2…をあらかじめテーブル化して求めておき、全天周画像Zgの画素ごとに計算することで、レンズ歪を算出している。なお、レンズ歪を計算する場合に、必要となる主点位置と画角比などの関係は、三次スプライン関数g(z、s)、h(z、s)を用いてつぎの(5)式のように表すことができる。
tan(W/2)=H/z (H:撮影板幅/2) (なお、Wは画角)
t1(主点位置)=g(z、s)
tan(w)/tan(W)=h(z、s) (5)式
(式中zはズーム量、sはフォーカス量である)
【0051】
また、主点位置t1が予め分からず求める場合は、任意の数のズーム、フォーカス量を取り出し、(用意した奥行き方向に付された目盛りの位置から焦点位置を決める)それらのそれぞれについて、スタジオ撮影カメラ6をパンしたときの奥行き方向に重なった物体が見え隠れしない光軸方向上での主点位置t1を探すことにより求めることができる。さらに、チルトである画角(水平画角)Wについては、それぞれのズーム、フォーカス量に対して、カメラを画面の左端から右端までパンし、重なった画像のマッチングを画角調整しながらとり、どれだけカメラの角度が動いたかを測定することによって求めることができる(特開2000−147643公報参照)。
【0052】
レンズ歪補正対応画像作成部9bは、レンズ歪計算部9aにより計算したレンズ歪に基づいて全天周画像Zgを投影変換してそのレンズ歪に対応した表示用の電子画像Egを作成するものである。このレンズ歪補正対応画像作成部9bは、全天周画像Zgが含んでいるαチャネルのキー信号の有無にかかわらず、投影変換することで、球面状の画像を平面状の画像に変換している。
【0053】
なお、レンズ歪補正対応画像作成部9bは、投影変換することで、電子画像Egを作成しているが、投影変換に特定されるものではなく、透視変換など、球面状の画像を表示用の平面状の画像に適切に変換できるものであれば、特に限定されるものではなく他の変換手段を用いて行っても構わない。
【0054】
図1および図2に示すように、マーカー認識部9cは、レンズ歪補正対応画像作成部9bにより作成された電子画像Egにおいて、識別マーカーが投影変換されて変換マーカーとなる位置を認識するためのものである。このマーカー認識部9cは、全天周画像Zgに含まれているαチャネルのうちで識別マーカーに対する識別情報により投影変換された変換マーカーの位置を認識してその情報をマーカー位置比較部9dに出力している。
【0055】
図1および図2に示すように、マーカー位置比較部9dは、マーカー認識部9cおよび画像認識部10からそれぞれ送られてくる変換マーカーの位置情報と、実マーカーの位置情報とを比較してマーカー位置情報を生成するものである。このマーカー位置比較部9dにより作成されたマーカー位置情報は、アフィン変換部9eに出力される。なお、マーカー位置情報は、座標上に示される座標点のずれ量として示されるものである。
【0056】
図1および図2に示すように、ズレ補正手段としてのアフィン変換部9eは、マーカー位置比較部9dにより生成されたマーカー位置情報および全天周画像Zgに含まれる変換マーカーによる識別情報に基づいて、電子画像に生じるズレをスタジオ画像Sgに合せて補正するためのものである。このアフィン変換部9eは、撮影カメラ1とスタジオ撮影カメラ6とが主点一致型カメラ雲台2を共通して使用しない場合に有効に用いられることになる。
【0057】
例えば、主点一致型カメラ雲台2をスタジオ撮影カメラ6(図1参照)で使用しない場合、主点位置はズーム、フォーカスによって移動するため、撮影現場セットGsの撮影時に、全天周撮影時と異なり、視点の位置が高さ方向と光軸方向にずれており、カメラの回転中心に一致していない。そのため、スタジオ撮影カメラ6のレンズの主点位置は、回転中心位置に対して高さ方向にdy、光軸方向にdzずれていることと、ズーム・フォーカスによりdzは変動することを考慮して、すでに説明したレンズ歪計算部9aが計算する必要がある。
【0058】
このとき、主点一致型カメラ雲台2の主点位置を(0,0,0)とすると、スタジオ撮影カメラ6の主点位置(x,y,z)は、以下、高さ方向dy、光軸方向dzについて差分を生じることになる。このdy、dzを球面の中心からずらして、透視変換を行うようにしても、つまり、主点位置を合せても画像合成時に合わない部分がある。この合わない理由は、全ての奥行きをある数値Mで置き換えて球面にマッピングしているからである。主点位置が中心からずれている場合の画像上のズレは、被写体までの距離に応じているので、そのズレは以下の式で表される。
【0059】
dv={(dz/M)+(dy/Mtan(a/2))}・V/2 (6)式
dh=(dz/M)・(H/2) (7)式
ここで、上式中において、Mは被写体までの距離、αは垂直画角、Vは垂直方向有効画素数、dvは垂直方向誤差、Hは水平方向画素数、dhは水平方向誤差である。
【0060】
例えば、図5および図6に示すように、スタジオ撮影カメラ6を(図6の背景画に比較して図5の背景画がズームアウトしている状態)ズームアウトして使用した場合のデータを入力すると、スタジオ撮影カメラ6から障子の柱までの距離約360cm、垂直画角約60度、全天周画像からカメラデータと高さ方向変位dy=18cm、光軸方向変位dz=−15cmで、dv=22.4画素、dh=41.6画素程度のずれを生じる。
【0061】
スタジオ撮影カメラ6から障子の柱までの距離と天井奥の境までの距離が異なり、上記(6)式、(7)式から奥行き方向の距離に応じてずれる量が変化する。天井奥の境までの距離は420cmであり、dv′=20.78画素、dh′=34.2画素となる。柱に合わせて球中心から視点をdy,dz移動させて画像を再生する。そこで、天井奥の境ではv方向にdv−dv′=3.7画素、h方向にdh−dh′=7.4画素分についてずれることになる。つまり、柱の位置で繋ぎ目を合わせても、奥の方に向かうに従い0〜7画素程度徐々にずれていくことを表している。
【0062】
そこで、図9に示すように、電子画像Egと実際の映像の間にのりしろを設けると共に、(図5の柱部分や鴨居部分がのりしろに当たる)図9(a)、(b)に示すように、撮影現場セットGsに実マーカーを付けておき、スタジオ撮影カメラ6で撮影するときに実マーカーおよび変換マーカーによるマーカー位置情報により、全天周画像Zgから投影変換した電子画像Egのどの部分に対応するか比較する。
【0063】
そして、図9(d)、(e)に示すように、両マーカーの部分をあわせるために電子画像Egについて画像変形を行う。このとき、変換マーカーで示される部分について三角形に分けて両マーカー部分が合うように画像を変形する。これは、アフィン変換で記述することができる。マーカーにより移動する三角形の頂点の座標(xp,yp)→(XP,YP)、(xq,yq)→(XQ,YQ)、(xr,yr)→(XR,YR)とすると、アフィン変換式は、以下の式となる。
【0064】
xp=AXP+BYP+C
xq=AXQ+BYQ+C
xr=AXR+BYR+C
yp=DXP+EYP+F
yq=DXQ+EYQ+F
yr=DXR+EYR+F
そして、未知数A、B、C、D、E、Fが上記方程式より求められる。これにより三角形内部の画素を補間してマッピングすることが可能になる。以上の変形を行うことにより、画像上境目が目立たなくなる。
【0065】
ここで使用されるのりしろ画像としては、電子画像Eg(図1参照)の変換マーカーの位置と、スタジオ画像Sgの実マーカーの位置とのズレ幅をカバーすることができる幅寸法の画像の一部としており、ここでは、一例として、図5に示すように、柱の部分としている。この柱の部分をのりしろ画像とする場合、スタジオ画像Sgの柱よりやや幅を狭くした部分をのりしろとしている。そのため、電子画像Egとスタジオ画像Sgとを合成する場合に、本来ならずれが生じてつなぎ目が目立つ部分を、その柱がのりしろとなって同系色で重なっていることでほとんど目立つことなく合成することができる。のりしろ画像は、画像上の区切れとなる部分として線で囲まれた部分の一部および全部(柱、ふすまの枠体の縦枠など)を含む画像であることが望ましい。
【0066】
図1および図2に示すように、画像認識部10は、撮影現場セットGsを撮影したスタジオ画像Sgが入力され、撮影現場セットGsの区切れとなる位置に設けられた実マーカーの位置をスタジオ画像Sgにおいて認識するものである。この画像認識部10による実マーカーの認識は、ここでは貼り付けた位置が分かる色付の実マーカーにより行っており、その実マーカーの色認識について市販の画像処理ボード等で行うことが可能である。画像認識部10では、実マーカーを認識しない場合は、入力されたスタジオ画像Sgを映像合成部11に出力し、実マーカーを認識した場合は、その実マーカーの位置情報をマーカー位置比較部9dに出力すると共に、スタジオ画像Sgを映像合成部11に出力している。
【0067】
図1および図2に示すように、映像合成部11は、画像認識部10からのスタジオ画像Sgと、電子画像生成部9からの電子画像Egとを入力してバーチャルスタジオ映像Vp(図6参照)を合成するためのものである。この映像合成部11は、電子画像Egが含んでいるαチャネルののりしろ画像の有無を示す領域内の「0」「1」の信号に基づいて、のりしろ画像を含む場合と、のりしろ画像を含みかつアフィン変換された状態の画像である場合について対応してスタジオ画像Sgと合成して違和感のないバーチャルスタジオ映像Vpを作成している。なお、映像合成部11は、のりしろ画像が電子画像Egにαチャネルにより含まれていることが分かると、そののりしろ画像とスタジオ画像Sgの対応する部分とを違和感なくつなぎ合わせて合成することができる。
【0068】
また、映像合成部11により合成されて出力されるバーチャルスタジオ映像Vpでは、出演者が実際に設営されている撮影現場セットGsから見切れる位置で演技しても、図4(e)および図6に示すように、出力される映像上では撮影現場セットGsの前で演技している映像が映し出されることになる。
【0069】
つぎに、バーチャルスタジオ映像生成装置Aの動作状態について説明する。
はじめに、図1に示すように、スタジオに設営した撮影セットSsから360度方向の画像を撮影して全天周画像Zgを作成する。この全天周画像Zgは、ここでは、一例として、図4(a)、(b)に示すように、天井なしのセット部分を撮影した全天周画像(半球状)と、天井ありのセット部分を撮影した全天周画像(半球状)を、重ね合わせて球状の全天周画像Zgとして合成した。なお、この全天周画像Zgは、画像フォーマットとして、R、G、Bチャネルおよびαチャネルにより構成され、αチャネルに差分情報、識別情報、のりしろ画像の有無が記憶されている。全天周画像Zgが作成されると電子画像生成部9にその全天周画像Zgが図示しない記憶手段に記憶されて蓄積される。
【0070】
つぎに、撮影セットSsの中で、スタジオ撮影する場合に不必要となるセット部分を取り除き、スタジオで演技に必要な最小限の撮影現場セットGsとして残した状態とする。そして、撮影セットSsを撮影した同じ位置にスタジオ撮影カメラ6を設置してスタジオ画像Sgを撮影する。
【0071】
図1、図2および図7に示すように、電子画像生成部9では、スタジオ撮影カメラ6からのパン、チルト、ズーム、フォーカスに伴うレンズの主点位置に関するスタジオカメラデータを収集(S1)すると共に、収集したスタジオカメラデータおよび全天周画像Zgのカメラデータに基づいて、レンズ歪計算部9aがスタジオ撮影カメラ6のレンズ歪を計算(S2)して、レンズ歪補正対応画像作成部9bがそのレンズ歪に対応した表示用の電子画像Egを、全天周画像Zgから投影変換して作成(S3)する。このとき、スタジオ撮影カメラ6と撮影カメラ1とが共に、主点一致型カメラ雲台2を使用しているとスタジオカメラデータおよびカメラデータに伴う画像の合成がし易く都合がよい。
【0072】
スタジオ撮影カメラ6は、奥行き情報を取ることの出来るものを用いることにより、全天周画像Zgを合成する部分にそのスタジオ撮影カメラ6からの距離に応じて被写体だけを抜き出すといったことも可能になる。この奥行き情報を取得できる方法として、本発明の出願人がすでに出願した立体情報検出方法及び装置(特願平10−293817)を用いるか、5眼ステレオ視による奥行き情報抽出カメラ(Park他:Arbitrary View Generation from Multiple Cameras IEEE ICIP’97)を用いることで可能となる。これらの特殊なカメラをスタジオ撮影カメラ6として用いることにより奥行き情報に従ったキー信号を抽出できる。なお、各画像共、奥行き情報は、輝度値(0−255)が奥行き(Zfar〜Znear)に対応しているものとする。
【0073】
図1、図2および図7に示すように、バーチャルスタジオ映像生成装置Aでは、電子画像生成部9により生成された電子画像Egを映像合成部11に送り、かつ、画像認識部10からスタジオ画像Sgを映像合成部11に送る。そして、映像合成部11では、電子画像Egに含まれている差分情報に基づいて、その電子画像Egとスタジオ画像Sgとを合成(S4)してバーチャルスタジオ映像Vp(図6参照)を作成して出力している。なお、電子画像Egにのりしろ画像がαチャネル上で指定されている場合については、その指定された画像範囲をのりしろ画像としてスタジオ画像Sgの対応位置に合成した状態でバーチャルスタジオ映像Vpを作成することになる。
【0074】
つぎに、図1、図2および図8に示すように、スタジオ撮影カメラ6と撮影カメラ1とのいずれかが主点一致型カメラ雲台2を使用しないとき、バーチャルスタジオ映像生成装置Aにおいて、あらかじめ作成された全天周画像Zgが、変換マーカーの識別情報を含んでいる場合は、撮影セットSsの必要以外の部分を除去した撮影現場セットGsについて、区切れ部分に実マーカー(図9参照)を設けて、スタジオ撮影カメラ6で撮影する。
そして、バーチャルスタジオ映像生成装置Aは、スタジオ撮影カメラ6により撮影したスタジオ画像Sgに伴うスタジオカメラデータをスタジオカメラデータ収集器8により収集(S11)すると共に、撮影したスタジオ画像は、画像認識部10に受け取る。
【0075】
さらに、バーチャルスタジオ映像生成装置Aは、投影変換歪補正部9Aによりスタジオ撮影カメラ6のレンズ歪を計算(S12)して、そのレンズ歪に対応した表示用の電子画像Egを作成(S13)する。そして、バーチャルスタジオ映像生成装置Aは、電子画像Egに変換マーカーに対する位置情報がαチャネルに含まれている場合、マーカー認識部9cによりその変換マーカーの位置を認識する(S15)と共に、その位置情報をマーカー位置比較部9dに送る。
【0076】
マーカー認識部9cで変換マーカーが存在すると認識した場合(S15で有)は、画像認識部10で実マーカーの位置を認識(S16)して、その実マーカーの位置情報をマーカー位置比較部9dに送る。そして、マーカー位置比較部9dでは、両マーカー位置を比較(S17)してマーカー位置情報を作成する。
【0077】
さらに、マーカー位置情報が規定の数値を超える場合には、アフィン変換部9eを介してアフィン変換(S18)を行いスタジオ画像Sg側に合わせるように電子画像Egを変形する(図9参照)。一方、マーカー認識部9cで変換マーカーが存在しないと認識した場合(S15で無)は、(S19)へ進む。そして、映像合成部11では、電子画像Egに含まれているαチャネルの信号により、のりしろ画像を付加した状態で電子画像Egとスタジオ画像Sgとからバーチャルスタジオ映像Vpを合成(S19)して作成する。
【0078】
このように、全天周画像Zgと撮影現場セットGsの境目は、図5および図6に示すように、手前の障子左の柱と天井の部分で、障子と天井にかけて全天周画像Zgから投影変換された電子画像Egで構成されている。撮影現場セットGsのスタジオ画像Sgと全天周画像Zgの電子画像Egとの合成が違和感なく自然に接続されていることが確認できた。また、スタジオ撮影カメラ6をパン、チルトしても、撮影現場セットGsと電子画像Egの端面にのりしろ部分(ここでは柱)があり、多少のずれを生じても目立たなかった。
【0079】
図6に示すように、スタジオ撮影カメラ6(アクシビジョンカメラ)で撮影を行った場合、実際のセットには障子や天井が存在しないが、全天周画像の障子や天井が合成されていることがわかる。また、アクシビジョンカメラを用いることにより、実際のセットがない部分でも奥行き情報で人物を切り出すことができ、電子画像Egの障子の背景映像に人物を合成させることができる。この結果、出演者が撮影現場セットGsの見切れを気にせずに動くことができるようになり、また、スタジオ撮影カメラ6の操作についても見切れ部分に自由にカメラを向けることができる。
【0080】
なお、バーチャルスタジオ映像生成装置Aでは、全天周画像Zgを用いて、ずれが大きい分部にはのりしろあるいはアフィン変換した画像を使用することで、合成時の違和感を緩和させることができ、このときののりしろは一箇所でも複数箇所でも、連続する位置、間欠的な位置であっても構わない。また、出演者が演技を行うときに、出演者の立位置、背景画像に対する演技位置について、最低限の目安となる撮影現場セットがあれば、大きな設営をする必要がない。
【0081】
また、ここでは、バーチャルスタジオ映像生成装置として説明したが、各構成部分について、コンピュータにおいて各手段として機能する機能プログラムで実現することも可能であり、各機能プログラムを結合してバーチャルスタジオ映像生成プログラムとして構成、動作させることも可能である。
さらに、全天周画像Zgは、ここでは360度の球状全部について撮影して作成したが、例えば、270度(任意)の球状部分について撮影して残りの部分を空白とした状態の画像であっても良い。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るバーチャルスタジオ映像生成装置、バーチャルスタジオ映像生成方法、バーチャルスタジオ映像生成プログラムでは、以下に示すような優れた効果を奏する。
バーチャルスタジオ映像生成装置は、スタジオに設営されている本物の撮影現場セットと実写をベースに作成した全天周画像を自由に合成でき、実空間ベースのバーチャルスタジオ映像あるいはバーチャルスタジオとして提案することができる。
【0083】
バーチャルスタジオ映像生成装置は、撮影カメラおよびスタジオ撮影カメラの主点位置が少しずれていても、主点位置を全天周画像の中心からずらすことにより、全天周画像とスタジオ画像とを自然に合成できる。また、全天周画像の端面にのりしろを持たせることにより、距離によって変化する合成時のずれ量を目立たなくすることが可能になった。さらに、ズーム率によってレンズ歪が影響して接続面の誤差が大きくなる部分があっても、ズレ補正手段により誤差を吸収することができる。
【0084】
バーチャルスタジオ映像生成装置は、主点一致型カメラ雲台を使用して撮影することにより、ズーム・フォーカスなどを変更しても主点が常に回転中心に一致するため、バーチャルスタジオで撮影するスタジオカメラデータに従って全天周画像を投影変換し、画角によって変化するレンズ歪を計算し、レンズ歪を入れた電子画像とスタジオ画像を合成してバーチャルスタジオ映像を違和感なく接続して作成できる。
【0085】
バーチャルスタジオ映像生成装置は、全天周画像を用いることにより、3次元CGを作成するよりも簡易にかつ自然な映像を作成できるようになり、スタジオ撮影カメラに映る見切れ部分に全天周画像を合成することにより、違和感のない出力画像を得られる。このバーチャルスタジオ映像生成装置は、これまで映すことのできなかったスタジオにおいて撮影現場セットの見切れる部分の方向にカメラを向けることができるようになる。
【0086】
バーチャルスタジオ映像生成装置では、演技に必要な最低限のセットは実際に設営し、セット以外の部分は実写を基に作成した撮影現場セットで補完することのできるので、見切れを気にしないでカメラを操作することができ、出演者は実セットで演技しやすく、また、繰り返し撮影現場セットを移動することがないため、スペース・コスト面で効率的な番組制作が可能になると考えられる。
【0087】
バーチャルスタジオ映像生成方法では、はじめに全天周画像を作成して、その全天周画像を投影変換して電子画像を作成し、その電子画像に含まれる差分情報に基づいてスタジオ画像と合成するため、出力画像となるバーチャルスタジオ映像が違和感なく作成することができると共に、出演者は目印となる撮影現場セットのある状態で演技ができるため演技しやすく、また、出演者およびスタジオ撮影カメラは、撮影現場セットの見切れを気にしないで撮影することが可能となる。
【0088】
バーチャルスタジオ映像生成プログラムでは、実空間ベースのバーチャルスタジオ映像として提案することができる。また、スタジオ撮影カメラのレンズ歪に対応する電子画像をスタジオ画像に合成することが可能であることから、任意のスタジオ撮影カメラであっても違和感なく合成したバーチャルスタジオ映像を作成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るバーチャルスタジオ映像生成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るバーチャルスタジオ映像生成装置の電子画像生成部について詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】(a)、(b)は本発明に係るバーチャルスタジオ映像生成装置に使用される撮影カメラおよびスタジオ撮影カメラの模式図である。
【図4】(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、本発明に係るバーチャルスタジオ映像生成装置においてバーチャルスタジオ映像を作成する状態を模式的に示す模式図である。
【図5】本発明に係るバーチャルスタジオ映像生成装置により作成したバーチャルスタジオ映像の状態を示す模式図である。
【図6】本発明に係るバーチャルスタジオ映像生成装置により作成したバーチャルスタジオ映像と撮影現場セットを示す模式図である。
【図7】本発明に係るバーチャルスタジオ映像生成方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係るバーチャルスタジオ映像生成方法における他の形態を示すフローチャートである。
【図9】(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、本発明に係るバーチャルスタジオ映像生成装置においてアフィン変化を行いバーチャルスタジオ映像を作成する例を示す模式図である。
【符号の説明】
A バーチャルスタジオ映像生成装置
Eg 電子画像
Gs 撮影現場セット
Sg スタジオ画像
Ss 撮影セット
Vp バーチャルスタジオ映像
Zg 全天周画像
1 撮影カメラ
2 主点一致型カメラ雲台
3 カメラデータ収集器
4 画像収録部
5 全天周画像作成部
6 スタジオ撮影カメラ
7 カメラデータ検出器
8 スタジオカメラデータ収集器(カメラデータ収集部)
9 電子画像生成部
9A 投影変換歪補正部
9a レンズ歪計算部
9b レンズ歪補正対応画像作成部
9c マーカー認識部(変換マーカー認識部)
9d マーカー位置比較部
9e アフィン変換部(ズレ補正手段)
10 画像認識部
11 映像合成部
Claims (4)
- 撮影カメラにより撮影した撮影セットに対する前記撮影カメラの少なくともパン、チルト、ズーム、フォーカスに伴うレンズの主点位置に関するカメラデータと、前記撮影セットおよびこの撮影セットの一部を取り去った撮影現場セットとの差を表わす差分情報と、前記撮影セットの区切れとなる位置に設けられた識別マーカーによる識別情報とに基づいて、前記撮影セットに対して作成された全天周画像を用いてバーチャルスタジオ映像を生成するバーチャルスタジオ映像生成装置であって、
前記撮影現場セットを背景としてスタジオ撮影カメラにおいてスタジオ画像を撮影する際に、その撮影現場セットに対する少なくともパン、チルト、ズーム、フォーカスに伴う前記スタジオ撮影カメラのレンズの主点位置に関するスタジオカメラデータを収集するカメラデータ収集部と、
このカメラデータ収集部で収集したスタジオカメラデータと前記カメラデータとに基づいて、前記スタジオ撮影カメラのレンズ歪を計算するレンズ歪計算部と、
このレンズ歪計算部が計算したレンズ歪に基づいて、前記全天周画像を投影変換して前記レンズ歪に対応した表示用の電子画像を作成するレンズ歪補正対応画像作成部と、
前記撮影現場セットの区切れとなる位置に設けた実マーカーの位置をスタジオ撮影カメラが撮影したスタジオ画像から認識する画像認識部と、
前記識別マーカーによる識別情報に基づいて、投影変換された前記電子画像上に配置される変換マーカーの位置を認識する変換マーカー認識部と、
この変換マーカー認識部により認識された変換マーカーの位置、および、前記画像認識部により認識された実マーカーの位置を比較して、両マーカーにおける位置の差を示すマーカー位置情報を生成するマーカー位置比較部と、
このマーカー位置比較部で生成したマーカー位置情報および前記差分情報に基づいて、前記レンズ歪補正対応画像作成部で作成した前記電子画像と、前記スタジオ撮影カメラで撮影したスタジオ画像とを、バーチャルスタジオ映像として合成する映像合成部とを備えることを特徴とするバーチャルスタジオ映像生成装置。 - 前記マーカー位置比較部により比較されて生成された前記マーカー位置情報に基づいて、前記スタジオ画像と前記電子画像とのズレを補正するズレ補正手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載のバーチャルスタジオ映像生成装置。
- 撮影カメラにより撮影した撮影セットに対する前記撮影カメラの少なくともパン、チルト、ズーム、フォーカスに伴うレンズの主点位置に関するカメラデータと、前記撮影セットおよびこの撮影セットの一部を取り去った撮影現場セットとの差を表わす差分情報と、前記撮影セットの区切れとなる位置に設けられた識別マーカーによる識別情報とに基づいて、前記撮影セットに対して作成された全天周画像を用いてバーチャルスタジオ映像を生成するバーチャルスタジオ映像生成方法であって、
前記撮影現場セットを背景としてスタジオ撮影カメラにおいてスタジオ画像を撮影する際に、その撮影現場セットに対する少なくともパン、チルト、ズーム、フォーカスに伴う前記スタジオ撮影カメラのレンズの主点位置に関するスタジオカメラデータをカメラデータ収集部により収集するステップと、
前記カメラデータ収集部により収集した前記スタジオカメラデータと前記カメラデータとに基づいて、前記スタジオ撮影カメラのレンズ歪をレンズ歪計算部により計算するステップと、
前記レンズ歪計算部により計算したレンズ歪に基づいて、前記全天周画像を投影変換して前記レンズ歪に対応した表示用の電子画像をレンズ歪補正対応画像作成部により作成するステップと、
前記撮影現場セットの区切れとなる位置に設けた実マーカーの位置をスタジオ撮影カメラが撮影したスタジオ画像から画像認識部を介して認識するステップと、
前記識別マーカーによる識別情報に基づいて、投影変換された前記電子画像上に配置される変換マーカーの位置を変換マーカー認識部により認識するステップと、
前記変換マーカー認識部により認識された変換マーカーの位置、および、前記画像認識部により認識された実マーカーの位置を比較して、両マーカーにおける位置の差を示すマーカー位置情報をマーカー位置比較部により生成するステップと、
前記マーカー位置比較部により生成した前記マーカー位置情報および前記差分情報に基づいて、前記レンズ歪補正対応画像作成部で作成した前記電子画像と、前記スタジオ撮影カメラで撮影したスタジオ画像とを、バーチャルスタジオ映像として映像合成部により合成するステップと、を含むことを特徴とするバーチャルスタジオ映像生成方法。 - 撮影カメラにより撮影した撮影セットに対する前記撮影カメラの少なくともパン、チルト、ズーム、フォーカスに伴うレンズの主点位置に関するカメラデータと、前記撮影セットおよびこの撮影セットの一部を取り去った撮影現場セットとの差を表わす差分情報と、前記撮影セットの区切れとなる位置に設けられた識別マーカーによる識別情報とに基づいて、前記撮影セットに対して作成された全天周画像を用いてバーチャルスタジオ映像を生成するためにコンピュータを、
前記撮影現場セットを背景としてスタジオ撮影カメラにおいてスタジオ画像を撮影する際に、その撮影現場セットに対する少なくともパン、チルト、ズーム、フォーカスに伴う前記スタジオ撮影カメラのレンズの主点位置に関するスタジオカメラデータを収集するカメラデータ収集手段、
前記カメラデータ収集手段で収集したスタジオカメラデータと前記カメラデータとに基づいて、前記スタジオ撮影カメラのレンズ歪を計算するレンズ歪計算手段、
前記レンズ歪計算手段が計算したレンズ歪に基づいて、前記全天周画像を投影変換して前記レンズ歪に対応した表示用の電子画像を作成するレンズ歪補正対応画像作成手段、
前記撮影現場セットの区切れとなる位置に設けた実マーカーの位置をスタジオ撮影カメラが撮影したスタジオ画像から認識する画像認識手段、
前記識別マーカーによる識別情報に基づいて、投影変換された前記電子画像上に配置される変換マーカーの位置を認識する変換マーカー認識手段、
前記変換マーカー認識手段により認識された変換マーカーの位置、および、前記画像認識手段により認識された実マーカーの位置を比較して、両マーカーにおける位置の差を示すマーカー位置情報を生成するマーカー位置比較手段、
このマーカー位置比較手段で生成したマーカー位置情報および前記差分情報に基づいて、前記レンズ歪補正対応画像作成手段で作成した前記電子画像と、前記スタジオ撮影カメラで撮影したスタジオ画像とを、バーチャルスタジオ映像として合成する映像合成手段、
として機能させることを特徴とするバーチャルスタジオ映像生成プログラム。
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