JP4098597B2 - 半導体ウエハ加工用粘着シートおよびそれを用いた半導体ウエハの加工方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハの搬送、加工、汚染防止、保護のために使用される半導体ウエハ加工用粘着シート(以下、粘着シートと称する)およびそれを用いた半導体ウエハの加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路は、シリコン単結晶をスライスしてウエハとした後、該ウエハを研磨して薄板とし、このウエハに回路を形成して半導体ウエハを作製し、ダイシング、エキスパンディング等の工程を経てICチップを形成し、次いで、ICチップをピックアップすると同時にマウンティングすることにより製造されている。そして、上記半導体集積回路を製造する各過程において、半導体ウエハ加工用粘着シートが使用されている。
従来の上記粘着シートとしては、樹脂フィルム等の基材フィルムの表面に、ゴムやアクリル樹脂等の粘着剤を設けた粘着シートが使用されていた。しかし、このような粘着剤を用いた粘着シートでは、経時変化により粘着剤が劣化し、ウエハ加工後に半導体ウエハから剥離しにくく、剥離後半導体ウエハに粘着剤が残ってしまうという問題を有していた。そこで、近年粘着シートとして、紫外線を照射することにより接着力が低下する紫外線硬化型粘着剤を使用した粘着シート(例えば、特許文献1〜3参照)が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−188757号公報
【特許文献2】
特開平9−111200号公報
【特許文献3】
特開2002−88319号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の紫外線硬化型粘着剤を使用した粘着シートにおいては、半導体ウエハを固定するための被着体として、半導体ウエハから剥離する場合に粘着剤層に紫外線を照射しなければならないため、必ずガラス等の透明な材質のものが必要であった。すなわち、従来、シリコン単結晶等をスライスしてウエハとした後に行うウエハの研磨工程においては、粘着シートをウエハに貼着した後、ガラス板からなる透明な被着体に粘着シートを介してウエハを固定した後ウエハの研磨を行う。この場合、ガラス板では強度が弱いために、ウエハの研磨中にガラス板が破損し、その結果ウエハ自体も損傷するという問題を有していたため、ガラス板の代わりに強度が優れている金属板やセラミック板を採用することが要望されていた。しかし、前記のように従来の紫外線硬化型粘着剤を使用した粘着シートでは、剥離の際に紫外線の照射が必須のために、金属等のような非透明な被着体に使用することができないという問題を有していた。
【0005】
また、従来の紫外線硬化型粘着剤は、有機溶剤系粘着剤であるため粘着シートの製造工程において、ドライヤー等で有機溶剤を揮発させる工程が必要であった。そのため、有機溶剤を揮発させるために大量のエネルギーを必要とし、該溶剤を外部に開放すれば周囲の大気または排水を汚染し環境に悪く、溶剤を回収するには専用の回収機が必要であり設備投資に多大な費用を要するという問題を有していた。
本発明は、上記の問題を解決すべく鋭意努力した結果見いだしたものであり、金属等の非透明な被着体にウエハを貼着することができる粘着シートおよびその加工方法を提供することを目的とし、環境に問題を生じにくい粘着シートを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基材フィルム上に、紫外線を照射することによって粘着性が付与され、且つ、加熱により粘着性が低下する粘着剤層を有し、前記粘着剤層が、少なくとも下記一般式(1)で示されるモノマーとウレタンアクリレートオリゴマーと光重合開始剤とを含有することを特徴とする半導体ウエハ加工用粘着シートである。
【化3】
(式中、R1は炭素数1〜15の炭化水素残基であり、nは1〜5である。)
また、本発明は、基材フィルム上に、紫外線を照射することによって粘着性が付与され、且つ、加熱により粘着性が低下する粘着剤層を有する半導体ウエハ加工用粘着シートを半導体ウエハに貼着した後、前記半導体ウエハを加工し、しかる後前記半導体ウエハ加工用粘着シートの粘着剤層を加熱して半導体ウエハから半導体ウエハ加工用粘着シートを剥離する半導体ウエハの加工方法であって、前記粘着剤層が、少なくとも上記一般式(1)で示されるモノマーとウレタンアクリレートオリゴマーと光重合開始剤とを含有することを特徴とする半導体ウエハの加工方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明を構成する粘着剤層の第1の特徴は、紫外線を照射することによって粘着性(ねばりつき)を有することである。すなわち、本発明の粘着剤層は、必要に応じて剥離処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムという)等の基材フィルム上に粘着剤層用塗液を塗布方法等により層状に形成し、これに紫外線を照射して粘着性を付与したものである。また、本発明を構成する粘着剤層の第2の特徴は、加熱により粘着性(粘着力)が低下する点にある。
基材フィルムとしては、前記PET以外に、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の樹脂フィルム、シリコーンゴムや天然ゴム等のゴムフィルム等が挙げられる。
【0008】
上記粘着剤層には、末端に2〜6個のビニル基を有する繰り返し単位が2〜20程度のアクリルオリゴマーを含有する。具体的には、エポキシアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー等を挙げることができる。これらは単独または2種類以上組み合わせて用いることができる。特にウレタンアクリレートオリゴマーが好ましい。エポキシ系は耐光性がやや劣り耐水性が悪く、ポリエステル系は硬化性がやや劣り耐薬品性が悪いので好ましくない。ウレタンアクリレートオリゴマーは、ポリエステル型またはポリエーテル型などのポリオール化合物と、多価イソシアネート化合物、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4−ジイソシアネート等を反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマーに、ヒドロキシル基を有するアクリレートあるいはメタクリレート、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート等を反応させて得られるものが挙げられる。このようなウレタンアクリレートオリゴマーの分子量は、500以上であり、好ましくは1000〜12000であり、特に好ましくは3000〜10000である。
【0009】
上記粘着剤層には、下記に示すモノマーを粘度コントロール等のために含有させてもよい。例えば炭素数1〜12のアルキル基を有するものが挙げられ、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等があり、これらは単独または2種類以上組み合わせて用いることができる。また、下記一般式(1)で示されるモノマーを含有させることが、紫外線を照射することによって粘着性を有する粘着剤層を得るために必要である。
【化4】
(式中、R1は炭素数1〜15の炭化水素残基であり、nは1〜5である。)
【0010】
上記粘着剤層には光重合開始剤を含有させるものであり、光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ジフェニルスルファイド、アントラセン、ベンゾフェノン、ジフェニルジスルファイド、ジアセチル、ヘキサクロルブタジエン、アセトフェノン、チオキサントン等が挙げられ、これらは単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
【0011】
粘着剤層には、上記モノマー100重量部に対して前記ウレタンアクリレートオリゴマーを10〜100重量部含有させることが好ましく、更にウレタンアクリレートオリゴマーを30〜80重量部含有させることが紫外線を照射することによって粘着性を有する粘着剤層を得るため好ましい。
【0012】
前記の中でも特に粘着剤層には、少なくとも前記一般式(1)で示されるモノマーとウレタンアクリレートオリゴマーと光重合開始剤とを含有することが紫外線を照射することによって粘着性を有する粘着剤層を得るために好ましく、このようなものとしては、帝国インキ製造社製の商品名:UV TAC−4100等が上市されている。
【0013】
本発明における粘着剤層の厚さは、特に限定されるものではないが10μm〜5mmであることが好ましく、粘着剤層に粘着性を得るための紫外線の照射量は、200mJ/cm2以下であることが、半導体ウエハに対する粘着力を十分に得るため好ましく、更に50mJ/cm2〜200mJ/cm2であることが好ましい。粘着剤層に粘着性を得るための紫外線は、前記基材フィルムに粘着剤層となる組成物を形成後、超高圧水銀灯、キセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハイドランプ等により照射すればよい。
このような本発明における粘着剤層は、紫外線によって粘着性を得ることができるため、その製造時に有機溶剤を使用しない。よって、有機溶剤使用による大量のエネルギーの消費や、溶剤を外部に開放したことによる大気または排水の汚染の問題、溶剤を回収するための専用の回収機を使用するために必要な設備投資等の問題を解決することができる。
【0014】
次に本発明の半導体ウエハの加工方法について説明する。
本発明の半導体ウエハの加工方法は、基材フィルム上に、紫外線を照射することによって粘着性が付与され、且つ、加熱により粘着性が低下する粘着剤層を有する粘着シートを半導体ウエハに貼着した後、前記半導体ウエハを加工し、しかる後前記粘着シートの粘着剤層を加熱して半導体ウエハから粘着シートを剥離するものである。
上記粘着シートを半導体ウエハに貼着する方法は、ロールラミネーターやプレス機、真空ラミネーター等を使用すればよく、より粘着力が必要な場合は、加圧や紫外線照射などの処理を行ってもよい。それにより粘着シートが半導体ウエハに強固に固定される。
【0015】
また、粘着シートを貼着した半導体ウエハは、研磨機の基板、ガラス板、プラスチック板、金属板等の被着体に粘着した後、加工される。したがって、この場合では、粘着シートは、粘着剤層の少なくとも片面に剥離性を有する基材フィルムが設けられた積層構成を有する。そして、半導体ウエハの加工に使用される際には、当該基材フィルムが剥離され、両面に粘着性を有する粘着剤層のみが半導体ウエハと被着体との間に介在することになる。
また、粘着シートを半導体ウエハに貼着した後、粘着シート面を被着体に真空吸着して半導体ウエハにたいして研磨やダイシング等の加工を行う場合には、基材フィルムを剥離性にしないで粘着剤層が基材フィルムに接着する構成とする。
【0016】
半導体ウエハの加工とは、シリコン単結晶をスライスしてウエハとした後から、回路形成後のICチップをピックアップする工程にまでに行われる半導体ウエハに対する加工をいい、具体的には、例えばシリコン単結晶をスライスしてウエハとした後に行うウエハの研磨加工、ウエハに回路を形成して半導体ウエハを作製した後に行う薄板化を行うための研磨加工、その後に行うダイシングやエキスパンディング等の加工を挙げられる。
粘着シートを加熱して半導体ウエハから剥離するためには、粘着剤層を60℃〜150℃に加熱すれば粘着力が低下し、半導体ウエハ表面に粘着剤が残存しないで汚染することなく容易に剥離すことができる。粘着シートの粘着剤層を加熱する方法としては、半導体ウエハが貼着された粘着シートをホットプレートにのせて加熱する方法、ドライヤー等で温風をあてて加熱する方法、赤外線ランプ等により加熱する方法、高周波等をあてて加熱する方法等を挙げることができる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
実施例1
ウレタンアクリレートオリゴマー、前記一般式(1)で示されるモノマー及びアセトフェノン系光重合開始剤とを含む粘着剤層用塗液(帝国インキ製造社製 商品名:UV TAC−4100)を厚さが200μmになるように表面に剥離処理を施した厚さ38μmのPETフィルムに塗工した。この塗布層は液状であり、粘着性は有していなかった。その後、該塗布層に対して窒素雰囲気中で紫外線を100mJ/cm2照射することによって、粘着性が付与された粘着剤層を形成した。次にその粘着剤層の表面に上記の剥離処理を施したPETフィルムを貼り合せて本発明の粘着シートを作製した。
次に該粘着シートの片方のPETフィルムを剥離し、粘着剤層面を厚さ700μmのシリコンウエハに貼り合わせた。次に他方のPETフィルムを剥離した後、被着体として厚さ2mmのソーダガラス板に、真空ラミネーターにより貼り合わせた。次にこの積層体を固定台に固定した後、シリコンウエハをグラインダーによって研磨して、シリコンウエハを薄板に加工した。この加工時シリコンウエハは、ソーダガラス板に強固に固定されており、良好に加工することができた。次に常温環境下にて、加工後のシリコンウエハに吸盤を着けて、バネ計りでその吸盤に49Nの剥離力を加えたが、該シリコンウエハを粘着剤層から剥がすことはできなかった。次にこの積層体をホットプレートにのせた後、粘着剤層を100℃に加熱しながら上記と同様にして8Nの剥離力を加えたところ、シリコンウエハを剥がすことができた。その後、シリコンウエハの表面を観察した結果、粘着剤はシリコンウエハ上に全く付着していないことが確認された。
【0018】
実施例2
実施例1のシリコンウエハが貼着された粘着シートの粘着剤層の面に、ソーダガラス板の代わりに厚さ2mmのステンレス板を貼り合わせた以外は実施例1と同様にしてシリコンウエハの加工を行った。この加工時シリコンウエハは、ステンレス板に強固に固定されており、良好に加工することができた。次に常温環境下にて、加工後のシリコンウエハに吸盤を着けて、バネ計りでその吸盤に49Nの剥離力を加えたが、該シリコンウエハを粘着剤層から剥がすことはできなかった。次にこの積層体をホットプレートにのせた後、粘着剤層を100℃に加熱しながら上記と同様にして6.5Nの剥離力を加えたところ、シリコンウエハを剥がすことができた。その後、シリコンウエハの表面を観察した結果、粘着剤はシリコンウエハ上に全く付着していないことが確認された。
【0019】
比較例1
温度計、攪拌機、還流冷却管、窒素導入管を備えたフラスコ中にn−ブチルアクリレート94重量部、アクリル酸6重量部、過酸化ベンゾイル0.3重量部、酢酸エチル40重量部、トルエン60重量部を投入し、窒素導入管より窒素を導入しフラスコ内を窒素雰囲気とした後、65℃に加温して10時間重合反応を行いアクリルポリマー溶液を得た。このアクリルポリマー溶液に固形分が20%となるように酢酸エチルを加え、さらに固形分100重量部に対してポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製、商品名:コロネートL)1重量部を加え、粘着剤層用塗液とした。該粘着剤層用塗液を実施例1と同様の剥離処理を施したPETフィルムに乾燥後の塗布厚が25μmとなるよう塗工、乾燥し、比較用の粘着シートを作製した。次にこの粘着シートを使用して実施例1と同様にしてシリコンウエハの加工を行った後、粘着シートからシリコンウエハを剥離するため、常温環境下にて、加工後のシリコンウエハに吸盤を着けて、バネ計りでその吸盤に49Nの剥離力を加えたが、該シリコンウエハを粘着剤層から剥がすことはできなかった。次にこの積層体をホットプレートにのせた後、粘着剤層を100℃に加熱しながら上記と同様にして49Nの剥離力を加えたが、シリコンウエハを剥がすことができなかった。更に強い剥離力を加えたところ、ソーダガラス板が破損した。
【0020】
比較例2
温度計、攪拌機、還流冷却管、窒素導入管を備えたフラスコ中に2−エチルヘキシルアクリレート50重量部、メチルアクリレート47重量部、アクリル酸3重量部、過酸化ベンゾイル0.3重量部、酢酸エチル40重量部、トルエン60重量部を投入し、窒素導入管より窒素を導入しフラスコ内を窒素雰囲気とした後、65℃に加温して10時間重合反応を行いアクリルポリマー溶液を得た。この溶液に該アクリルポリマー100重量部に対してトリメチロールプロパントリアクリレート15重量部、及びベンゾフェノン0.4重量部を加えて紫外線硬化型粘着剤を得た。この粘着剤の固形分100重量部に対してポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製、商品名:コロネートL)1重量部を加え粘着剤層用塗液を得た。該粘着剤層用塗液を実施例1と同様の剥離処理を施したPETフィルムに乾燥後の塗布厚が25μmとなるよう塗工、乾燥し、比較用の粘着シートを作製した。次に該粘着シートの片方のPETフィルムを剥離し、粘着剤層面を厚さ700μmのシリコンウエハに貼り合わせた。次に他方のPETフィルムを剥離した後、被着体として厚さ2mmのソーダガラス板に、真空ラミネーターにより貼り合わせた。次にソーダガラス板側から紫外線を500mJ/cm2照射して紫外線硬化型粘着剤層を硬化させた。次にこの積層体を固定台に固定した後、シリコンウエハをグラインダーによって研磨して、シリコンウエハを薄板に加工した。次に常温環境下にて、加工後のシリコンウエハに吸盤を着けて、バネ計りでその吸盤に49Nの剥離力を加えたが、該シリコンウエハを粘着剤層から剥がすことはできなかった。次にこの積層体をホットプレートにのせた後、粘着剤層を100℃に加熱しながら上記と同様にして49Nの剥離力を加えたが、シリコンウエハを剥がすことができなかった。更に強い剥離力を加えたところ、ソーダガラス板が破損した。破損部分の粘着剤層を触ったところ完全にタック(べとつき)は無かった。
【0021】
比較例3
比較例2のシリコンウエハが貼着された粘着シートを厚さ2mmのステンレス板に、真空ラミネーターにより貼り合わせた。次に紫外線を500mJ/cm2照射して紫外線硬化型粘着剤層の硬化を試みたが、ステンレス板が遮蔽しているため粘着剤層全体を硬化することはできなかった。次にこの積層体を固定台に固定した後、シリコンウエハをグラインダーによって研磨して、シリコンウエハを薄板に加工した。この加工時シリコンウエハがステンレス板から移動してしまい均一な厚さに加工することができなかった。次に常温環境下にて、加工後のシリコンウエハに吸盤を着けて、バネ計りでその吸盤に49Nの剥離力を加えたが、該シリコンウエハを粘着剤層から剥がすことはできなかった。次にこの積層体をホットプレートにのせた後、粘着剤層を100℃に加熱しながら上記と同様にして49Nの剥離力を加えたが、シリコンウエハを剥がすことができなかった。更に強い剥離力を加えたところ、ウエハが破損した。
【0022】
【発明の効果】
本発明の粘着シートは有機溶剤を使用しないで製造できるため環境に影響させる問題が生じることなく、製造に多大な設備を必要としない。また、加熱により粘着剤層の粘着力が低下するため、容易に半導体ウエハから粘着シートを剥離することができる。また、この粘着シートを用いた本発明の加工方法によれば、半導体ウエハから粘着シートを剥離する際に紫外線の照射を要しないので金属等の非透明な被着体にウエハを貼着することができるため半導体ウエハの加工手段に有益である。
Claims (6)
- 粘着剤層の厚さが10μm〜5mmであることを特徴とする請求項1に記載の半導体ウエハ加工用粘着シート。
- 紫外線の照射量が200mJ/cm2以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体ウエハ加工用粘着シート。
- 粘着剤層の製造時に有機溶剤を使用しないことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の半導体ウエハ加工用粘着シート。
- 半導体ウエハ加工用粘着シートの加熱温度が60℃〜150℃であることを特徴とする請求項5に記載の半導体ウエハの加工方法。
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