JP4097902B2 - 永久磁石形電動機の回転子及び圧縮機及び冷凍サイクル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、回転子コアに永久磁石を備えた永久磁石形電動機の回転子構造とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電動機の高性能化のために回転数の制御が容易でかつ損失を低減した高効率な永久磁石形電動機が広く用いられている。図9は従来の一般的な永久磁石形電動機の回転子の断面図である。図において、1は回転軸、2は回転軸1に嵌合固定される回転子コア3に埋め込まれる永久磁石、5は回転子コア3の端部において永久磁石2を固定する端板である。
【0003】
図10は図9の回転子を用いた従来の永久磁石形電動機の平面断面図であり、3相4極の例である。図において、8は回転軸1に永久磁石2が埋め込まれた回転子コア3が嵌合固定された回転子である。9は内部に回転子8がエアギャップ11を介して挿入された固定子で、ティース13間に形成されたスロット12にコイル10が巻回されている。
永久磁石2は、回転軸1を有する円筒状の回転子コア3の内部に、N極S極が交互になるように配置して、固着することが一般的である。
【0004】
以上の構成で、図示しない駆動回路によって固定子9に巻かれているコイル10に通電すると、コイル10は供給された電流に応じた磁束を発生する。この磁束はエアギャップ11を介して回転子8に作用し、回転子8が有している永久磁石2はこの磁束による磁界の極性に応じて反発あるいは吸引を繰り返して回転するものである。
【0005】
図11は特開平9−327140号公報に開示されている永久磁石回転型回転電機の断面図である。積層された回転子コア3の外周近傍には、軸方向に延びる永久磁石埋込孔4が円周方向に沿って複数個設けられており、永久磁石埋込孔4は軸方向に複数分割され、かつそれぞれ周方向に所定の角度だけシフトして設けられている。永久磁石2は、永久磁石埋込孔4内に配置され、永久磁石埋込孔4との隙間に充填された隙間充填剤により積層された回転子コア3に固定されている。
【0006】
図12は実開昭59−53679号公報に開示されている永久磁石形回転電機の回転子構造を示す図で、(a)は回転子鉄心の正面図、(b)および(c)は、(a)の左側面図および右側面図である。回転子コア3に永久磁石埋込孔4を軸心に対しスキュー角θだけスキューさせて設け、その永久磁石埋込孔4の中に永久磁石2を挿入する。永久磁石埋込孔4内に永久磁石2を挿入して周囲の空間20に磁性材料である鉄粉等を主成分とした樹脂剤の液状の磁性充填剤21例えばエポキシ系充填剤を注入し、空隙を充填後硬化させている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の永久磁石形電動機は以上のように構成されているので、図9、10に示すような回転子コア内部に埋め込む永久磁石がスキューされていない永久磁石形電動機では、コギングトルクが大きく運転状況により騒音、振動が比較的大きいという問題点があった。
【0008】
また、図11、12に示すような回転子コア内部に埋め込む永久磁石をスキューさせたものでは、生産工程が複雑となり高価なものとなったり、磁束量低下による性能が低下するという問題点があった。
【0009】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、運転時の駆動特性の改善、高効率を維持しつつ低騒音、低振動化を比較的安価に実現できる永久磁石形電動機の回転子とその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
また、高効率、低騒音な圧縮機および冷凍サイクルを得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る永久磁石形電動機の回転子は、回転子コアの内部に永久磁石を埋め込んだ構造の永久磁石形電動機の回転子において、回転子コアは1種類の回転子コア抜き板を積層して構成され、回転子コア抜き板はその外周近傍に永久磁石を埋め込む永久磁石埋込孔を周方向に沿って複数個有し、永久磁石埋込孔はその中心が極中心からずれて位置し、回転子コア抜き板を所定枚数積層した後、残りは裏表逆にしてそれぞれの永久磁石埋込孔が重なるように積層することにより、軸方向に延び途中で周方向にずれて形成された永久磁石埋込孔に一枚の永久磁石を周方向に傾斜させて埋め込むものである。
【0012】
また、周方向に傾斜させて埋め込まれた永久磁石を回転子コアの両端部において端板により固定したものである。
【0013】
また、軸方向に延び途中で周方向にずれて形成された永久磁石埋込孔に一枚の永久磁石を周方向に傾斜させて埋め込むと共に、永久磁石埋込孔の外周側にスリットを形成したものである。
【0014】
また、請求項1又は請求項3記載の永久磁石形電動機の回転子を幾つか組み合わせて、スキュー付回転子を構成するものである。
【0015】
また、回転子コアに永久磁石を備えた永久磁石形電動機の回転子において、永久磁石を分割面が周方向に傾斜するように分割して配置し、分割された永久磁石の極性が異なるようにしたものである。
【0016】
また、回転子コアは永久磁石埋込孔を備え、永久磁石埋込孔に分割面が周方向に傾斜するように分割された永久磁石を埋め込むものである。
【0017】
また、永久磁石は回転子コアの表面に配置され、永久磁石を分割面が周方向に傾斜するように分割したものである。
【0018】
また、回転子コアの永久磁石埋込孔に永久磁石を埋め込み、軸方向に前記永久磁石をスキューさせた構造の永久磁石形電動機において、永久磁石を複数に分割し、永久磁石埋込孔に挿入固定するものである。
【0019】
また、複数に分割された永久磁石を磁性充填剤で固着したものである。
【0020】
また、回転子に永久磁石を備えた永久磁石形電動機の回転子において、スキュー着磁した永久磁石を配置するものである。
【0021】
また、回転子コアの表面にスキュー着磁した永久磁石を配置するものである。
【0022】
また、回転子コアの表面にスキュー着磁したリング磁石を配置するものである。
【0023】
この発明に係る永久磁石形電動機は、固定子と、永久磁石を備えた回転子とを有する永久磁石形電動機において、固定子によりスキューを構成するものである。
【0024】
また、固定子と回転子の両方に逆向きのスキューを付けたものである。
【0025】
この発明に係る永久磁石形電動機の回転子の製造方法は、回転子に永久磁石を備えた永久磁石形電動機の回転子において、永久磁石の未着磁の原材を配置固定した回転子をスキューした着磁ヨークによりスキュー着磁するものである。
【0026】
この発明に係る圧縮機は、請求項1乃至14のいずれかに記載の永久磁石形電動機の回転子、または請求項15記載の永久磁石形電動機の回転子の製造方法により製作した永久磁石形電動機の回転子を用いたものである。
【0027】
この発明に係る冷凍サイクルは、請求項16記載の圧縮機を用いたものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図面を参照して説明する。
図1は実施の形態1を示す図で、永久磁石形電動機の回転子の平面断面図及び側面断面図である。図において、1は回転軸、2は回転子コア3内の外周近傍に周方向に沿って設けられた複数個の永久磁石埋込孔4に埋め込む永久磁石、5は永久磁石2を回転子コア3の端部において固定するための端板、8はこれらで構成された回転子ある。
【0029】
各永久磁石埋込孔4は、その中心が極中心からずれて位置し、図に示すように、極中心から一方の端部までの距離Laと極中心から他方の端部までの距離Lbとが異なるように形成されている。
【0030】
本発明は、1種類の回転子コア抜き板を用い、回転子コアを周方向にシフトすることなく、一枚の永久磁石を周方向に傾斜させて埋め込むことに特徴がある。
【0031】
図1(a)に示すような形状の回転子コア抜き板を、例えばコア幅の半分まで周方向にシフトせずに積層し、残りの半分は裏表逆にしてそれぞれの永久磁石埋込孔4が重なるように積層することにより、図1(b)に示すような軸方向に延び途中で周方向にずれて形成された略クランク形状の永久磁石埋込孔4が形成される。そして平行四辺形の永久磁石2を略クランク形状の永久磁石埋込孔4に挿入することにより永久磁石2をスキューさせることができる。平行四辺形の永久磁石2を略クランク形状の永久磁石埋込孔4に挿入した後、端板5により永久磁石2を固定する。
【0032】
ここでは、コア幅の半分まで積層した後、裏表を逆にして積層するものを示したが、スキュー角度により任意のコア幅で裏表を逆にしてよい。
【0033】
回転子コア3には、鉄損が比較的小さい高透磁率の無方向性珪素鋼板を使用し、無方向性珪素鋼板の板厚は0.3mm〜0.5mmを用いるのが一般的である。尚、方向性または2方向性の珪素鋼板でも良い。
【0034】
永久磁石2は希土類磁石を使用しているが、フェライト磁石でも、それ以外の磁石でも良い。永久磁石2は、外部で着磁し、その後回転子コア3に挿入しても良いし、回転子コア3に未着磁の永久磁石を挿入後、回転子ごと着磁を行っても良い。
【0035】
上述の実施の形態1では、4極の回転子8を例に挙げて説明したが、4極に限定されるものではない。
【0036】
また、上記の回転子コア3と永久磁石2の構成で、コア幅を小さくしたものをいくつか組み合わせることにより、所定のコア幅の回転子8を構成しても良い。従って、スキューは斜め形状やV字形状としても良い。
【0037】
上述の実施の形態1によれば、高効率を維持しつつ、騒音、振動の低減が可能となる。さらに、組立性が良く金型等も増やすことなく実現でき、安価なスキュー付永久磁石形電動機を提供できる。
【0038】
実施の形態2.
以下、この発明の実施の形態2を図面を参照して説明する。
図2は実施の形態2を示す図で、永久磁石形電動機の回転子の平面断面図及び側面断面図である。図において、6は永久磁石埋込孔4の外側に設けられたスリットである。本実施の形態2は実施の形態1に加えて、スリット6を付けたものである。スリット6は専用金型を用いて、金型を所定のピッチでずらしながら打ち抜いている。
【0039】
また、上記の回転子コア3と永久磁石2の構成で、コア幅を小さくしたものをいくつか組み合わせることにより、所定のコア幅の回転子8を構成しても良い。従って、スキューは図2のような斜め形状の他にV字形状としても良い。
【0040】
上述の実施の形態2によれば、磁束の流れが滑らかになり誘起電圧の高調波成分を低減でき、実施の形態1よりさらにトルクリップルの小さい低騒音な永久磁石形電動機を実現できる。
【0041】
実施の形態3.
以下、この発明の実施の形態3を図面を参照して説明する。
図3は実施の形態3を示す図で、永久磁石形電動機の回転子の平面断面図及び側面断面図である。本実施の形態3は、永久磁石埋込孔4に軸方向に台形に分割した永久磁石2を磁極が異なるように組み合わせ挿入することにより、永久磁石2でスキューを付けるものである。隣の永久磁石埋込孔4にはブリッジ部を挟んで磁極が同極となるように永久磁石2を配置する。本実施の形態3は、2極の電動機の例であるが、もちろん2極に限定されるものではない。
【0042】
上述の実施の形態3によれば、高効率を維持しつつ、騒音、振動の低減が可能となる。さらに、組立性が良く金型等も増やすことなく実現でき、低コストなスキュー付永久磁石形電動機を提供できる。
【0043】
実施の形態4.
以下、この発明の実施の形態4を図面を参照して説明する。
図4は実施の形態4を示す図で、永久磁石形電動機の回転子の平面断面図及び側面断面図である。本実施の形態4は、円弧形状の永久磁石2を軸方向に2分割して、回転子8外周部近傍に異なる磁極と組み合わせて永久磁石埋込孔4に配置し、隣の永久磁石埋込孔4にはブリッジ部を挟んで磁極が同極となるように永久磁石2を配置し、スキューを構成している。
【0044】
永久磁石2は外部で着磁し、その後回転子コア3に挿入しても良いし、スキューを付けた固定子(ヨーク)により回転子8に埋め込まれている永久磁石2を着磁しても良い。また、図1では4極の回転子8の場合であるが、4極に限定されるものではない。
【0045】
また、永久磁石2を回転子コア3の表面に配置した表面磁石構造回転子に関して、同様の方法によりスキューを構成しても良い。
【0046】
上述の実施の形態4によれば、実施の形態3と同様の効果を得ることができ、さらに高効率で低騒音な永久磁石形電動機を実現できる。
【0047】
実施の形態5.
以下、この発明の実施の形態5を図面を参照して説明する。
図5は実施の形態5を示す図で、永久磁石形電動機の回転子の平面断面図及び側面断面図である。図において、14は永久磁石2を固着するための充填剤である。本実施の形態5は、永久磁石2を回転軸方向、径方向または周方向に複数に分割し、永久磁石埋込孔4に挿入してスキューを構成する。永久磁石2は接着剤等の磁性を有する充填剤14により固着されている。また、永久磁石2は回転子コア3の端部において端板5により固定される構成となっている。
【0048】
充填剤14は、ボンド磁石等の粘性のある磁石を流し込み硬化させる永久磁石であっても良いし、珪素鋼板等の磁性体を含んだ接着材でも良い。
【0049】
また、永久磁石2に関して、未着磁の永久磁石材を永久磁石埋込孔4に挿入し、スキューを付けた着磁用固定子により回転子8に埋め込まれている永久磁石2をスキュー着磁しても良い。
【0050】
また、永久磁石2は角柱形状となるが、円柱、球状等であっても良い。
【0051】
上述の実施の形態5によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができ、さらに永久磁石2表面に生じる渦電流を低減でき、高効率化が可能となり、また、磁石高調波加熱による減磁を抑制できる。
【0052】
実施の形態6.
以下、この発明の実施の形態6を図面を参照して説明する。
図6は実施の形態6を示す図で、永久磁石形電動機の回転子の平面断面図及び側面断面図である。本実施の形態6は、回転子外周に配置したリング磁石をスキュー着磁することによりスキュー付の回転子8を実現したものである。
【0053】
また、スキュー着磁した永久磁石2を回転子コア3または、永久磁石埋込孔4に配置しても良い。
【0054】
上述の実施の形態6によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができ、さらに、構造が簡単で組立性が良い永久磁石形電動機を実現できる。また、解体がしやすく、リサイクル性が良い。
【0055】
実施の形態7.
以下、この発明の実施の形態7を図面を参照して説明する。
図7は実施の形態7を示す図で、永久磁石形電動機の平面断面図及び側面断面図である。図において、9は固定子で、ティース13間に形成されたスロット12にコイル10が巻回されている。本実施の形態7は、固定子9でスキューを構成したものである。固定子9には、鉄損が比較的小さい0.3mm〜0.5mmの高透磁率の無方向性珪素鋼板を使用している。スロット12を打ち抜くのは、専用金型を用いて、金型を所定のピッチでずらしながら打ち抜いている。
【0056】
また、固定子コアは、方向性または2方向性の珪素鋼板でも良い。
【0057】
また、回転子8と固定子9の両方に逆向きのスキューを付けて、電動機を構成しても良い。
【0058】
上述の実施の形態7によれば、高効率を維持しつつ、騒音、振動の低減が可能となる。さらに、構造が簡単で組立性が良いスキュー付永久磁石形電動機を実現できる。
【0059】
実施の形態8.
図8は上記実施の形態1〜6の何れかの回転子8または実施の形態7の固定子9を使用した永久磁石形電動機を搭載した圧縮機を示す概念図である。15は実施の形態1〜7の何れかを用いた永久磁石形電動機、18は永久磁石形電動機15により駆動される圧縮機である。
【0060】
尚、この圧縮機は一般に用いられる冷凍サイクル(圧縮機18→四方弁→凝縮器又は蒸発器→絞り装置→凝縮器又は蒸発器→四方弁→圧縮機18の順に冷媒配管で順次接続された冷凍サイクル装置)中に組み込まれ、冷媒としてはR134a、R410a、R407c等に代表されるHFC系冷媒が、冷凍機油としてはアルキルベンゼン系油に代表される非相溶性の油又はエステル油に代表される相溶性の油が使用される。圧縮機18は制御回路によりインバータ駆動される。
【0061】
上記のように構成された圧縮機では、駆動用の永久磁石形電動機15が動力性能、制御性を向上させ、低騒音化、低振動化を実現している。インバータ駆動による圧縮機では各周波数毎に入力と効率の最適値が変動するが、本実施の形態の圧縮機では、インバータ駆動による広い圧縮機周波数範囲にわたって低騒音・低振動化が図られるため、防音材、防振材の低減等によるコスト削減ができ、圧縮機の利用価値を高められる。さらに、冷媒管等の振動を低減でき、冷凍サイクルの信頼性を向上させることができる。
【0062】
【発明の効果】
この発明に係る永久磁石形電動機は、回転子コアは1種類の回転子コア抜き板を積層して構成され、軸方向に延び途中で周方向にずれて形成された永久磁石埋込孔に一枚の永久磁石を周方向に傾斜させて埋め込み回転子をスキューすることにより、高効率を維持しつつ、騒音、振動の低減が可能となる。さらに、組立性が良く、低コストなスキュー付永久磁石形電動機が実現できる。
【0063】
また、周方向に傾斜させて埋め込まれた永久磁石を回転子コアの両端部において端板により固定したことにより、確実に永久磁石を固定できる。
【0064】
また、軸方向に延び途中で周方向にずれて形成された永久磁石埋込孔に一枚の永久磁石を周方向に傾斜させて埋め込むと共に、永久磁石埋込孔の外周側にスリットを形成したことにより、磁束の流れが滑らかになり誘起電圧の高調波成分を低減でき、さらにトルクリップルの小さい低騒音、低振動な永久磁石形電動機を実現できる。
【0065】
また、請求項1又は請求項3記載の永久磁石形電動機の回転子を幾つか組み合わせて、スキュー付回転子を構成することにより、スキューは斜め形状やV字形状を任意に実現できる。
【0066】
また、回転子コアに永久磁石を備えた永久磁石形電動機の回転子において、永久磁石を分割面が周方向に傾斜するように分割して配置し、分割された永久磁石の極性が異なるようにしたことにより、高効率を維持しつつ、騒音、振動の低減が可能となる。さらに、組立性が良く金型等も増やすことなく実現でき、低コストなスキュー付永久磁石形電動機を実現できる。
【0067】
また、回転子コアの永久磁石埋込孔に永久磁石を埋め込み、軸方向に前記永久磁石をスキューさせた構造の永久磁石形電動機において、永久磁石を複数に分割し、永久磁石埋込孔に挿入固定することにより、低騒音、低振動な永久磁石形電動機を実現できる。さらに永久磁石に生じる渦電流を低減でき、高効率化が可能となり、また、磁石高調波加熱による減磁が抑制できる。また、解体がしやすく、リサイクル性が良い。
【0068】
また、複数に分割された永久磁石を磁性充填剤で固着したことにより、永久磁石を磁気抵抗を大きくすることなく強固に固着することができる。
【0069】
また、回転子に永久磁石を備えた永久磁石形電動機の回転子において、スキュー着磁した永久磁石を配置することにより、ラジアル配向スキュー着磁等複雑なスキュー着磁が可能となる。
【0070】
この発明に係る永久磁石形電動機は、固定子と、永久磁石を備えた回転子とを有する永久磁石形電動機において、固定子によりスキューを構成することにより、騒音、振動の低減が可能となる。さらに、構造が簡単で組立性が良いスキュー付永久磁石形電動機を実現できる。
【0071】
この発明に係る永久磁石形電動機の回転子の製造方法は、永久磁石の未着磁の原材を配置固定した回転子をスキューした着磁ヨークによりスキュー着磁することにより、永久磁石を挿入する手間が省け、組立性がよい。また、簡単にスキュー着磁でき、永久磁石挿入ミスがなくなる。
【0072】
この発明に係る圧縮機は、請求項1乃至14のいずれかに記載の永久磁石形電動機の回転子、または請求項15記載の永久磁石形電動機の回転子の製造方法により製作した永久磁石形電動機の回転子を用いたことにより、高効率、低騒音、低振動な圧縮機を実現できる。また、組立性が良くコスト削減ができる。
【0073】
この発明に係る冷凍サイクルは、請求項16記載の圧縮機を用いたことにより、高効率、低騒音な冷凍サイクルを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1を示す図で、永久磁石形電動機の回転子の平面断面図及び側面断面図である。
【図2】 実施の形態2を示す図で、永久磁石形電動機の回転子の平面断面図及び側面断面図である。
【図3】 実施の形態3を示す図で、永久磁石形電動機の回転子の平面断面図及び側面断面図である。
【図4】 実施の形態4を示す図で、永久磁石形電動機の回転子の平面断面図及び側面断面図である。
【図5】 実施の形態5を示す図で、永久磁石形電動機の回転子の平面断面図及び側面断面図である。
【図6】 実施の形態6を示す図で、永久磁石形電動機の回転子の平面断面図及び側面断面図である。
【図7】 実施の形態7を示す図で、永久磁石形電動機の平面断面図及び固定子の縦断面図である。
【図8】 実施の形態8を示す図で、圧縮機とその冷凍サイクルおよび制御回路の概念図である。
【図9】 従来の永久磁石形電動機の回転子の平面断面図及び側面断面図である。
【図10】 従来の永久磁石形電動機の平面断面図である。
【図11】 他の従来の永久磁石形電動機の平面断面図である。
【図12】 さらに他の従来の永久磁石形電動機の回転子を示す図である。
【符号の説明】
1 回転軸、2 永久磁石、3 回転子コア、4 永久磁石埋込孔、5 端板、6 スリット、8 回転子、9 固定子、10 コイル、11 エアギャップ、12 スロット、13 ティース、14 充填剤、15 永久磁石形電動機、17 インバータ主回路、18 圧縮機。
Claims (6)
- 回転子コアの内部に永久磁石を埋め込んだ構造の永久磁石形電動機の回転子において、前記回転子コアは1種類の回転子コア抜き板を積層して構成され、前記回転子コア抜き板はその外周近傍に前記永久磁石を埋め込む永久磁石埋込孔を周方向に沿って複数個有し、前記永久磁石埋込孔はその中心が極中心からずれて位置し、前記回転子コア抜き板を所定枚数積層した後、残りは裏表逆にしてそれぞれの永久磁石埋込孔が重なるように積層することにより、軸方向に延び途中で周方向にずれて形成された永久磁石埋込孔に一枚の永久磁石を周方向に傾斜させて埋め込むことを特徴とする永久磁石形電動機の回転子。
- 前記永久磁石を前記回転子コアの両端部において端板により固定したことを特徴とする請求項1記載の永久磁石形電動機の回転子。
- 前記永久磁石埋込孔の外周側にスリットを形成したことを特徴とする請求項1記載の永久磁石形電動機の回転子。
- 請求項1又は請求項3記載の永久磁石形電動機の回転子を幾つか組み合わせて、スキュー付回転子を構成することを特徴とする永久磁石形電動機の回転子。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の永久磁石形電動機の回転子を用いたことを特徴とする圧縮機。
- 請求項5記載の圧縮機を用いたことを特徴とする冷凍サイクル。
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