JP4095791B2 - パターンの転写方法とそのフォトマスク - Google Patents

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  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細パターン形成方法、特に近接場光を用いた光リソグラフィにより基板上に微細なパターンを形成する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光リソグラフィ技術の発展は、特に縮小投影露光技術とフォトレジスト技術の進歩により支えられてきた。縮小投影露光技術の性能は、主に解像度RPと焦点深度DOPの2つの基本量で決定される。投影光学系の露光波長をλ、投影レンズの開口数をNAとすると、前記2つの基本量は、RP=k1λ/NA、DOP=k2λ/NA2で表される。リソグラフィの解像度を上げるためには、波長λを小さくすることと、投影レンズの開口数NAを大きくすることが重要である。しかしNAを大きくすると解像度は上がるが、焦点深度がNAの2乗に反比例して小さくなるため、微細化の流れとしては、波長λを小さくすることが求められるようになった。そこで、露光波長λは、g線(436nm)からi線(365nm)へと短波長化され、現在では、エキシマレーザ(248nm、193nm)がその主流となっている。
【0003】
しかし、光を用いるリソグラフィーでは光の回折限界が解像度の限界となるため、波長が248nmのF2エキシマレーザを用いても線幅100nmの微細化がレンズ列光学系を用いたリソグラフィの限界と言われている。さらにその先のナノメータオーダーの解像度を求めようとすると、電子線やX線(特にSOR光:シンクロトロン放射光)リソグラフィー技術を用いる必要がある。
【0004】
電子線リソグラフィは、ナノメータオーダーのパターンの形成を高精度で制御することができ、光学系に比べてかなり深い焦点深度をもっている。また、ウェハ上にマスクなしで直接描画が可能であるという利点があるが、スループットが低く、コストもかかることから、量産レベルにはほど遠いという欠点がある。
【0005】
また、X線リソグラフィは、1対1マスクの等倍露光にしても、反射型結像X線光学系を用いた場合にも、エキシマレーザ露光に比べて、1桁程度の解像度および精度の向上が可能である。しかし、X線リソグラフィは、マスクの作成が難しく実現が困難であり、また装置上コストが高いという問題もある。
【0006】
また、電子線やX線を用いたリソグラフィでは、その露光方法に合わせてフォトレジストを開発する必要があり、感度、解像度、エッチング耐性等の面においてもまだ問題が多い。
【0007】
そこで、このような問題を解決する方法として、最近、照射する光の波長よりも十分小さな径の開口からしみ出す近接場光を光源とし、フォトレジストを感光させ、現像することにより、微細なパターンを形成する方法が提案されている。この方法によれば、光源の波長に関わらず、ナノメータオーダーの空間分解能を得ることができる。
図5は近接場露光による微細パターンの転写方法を示す図である。
図5(a)に示すように、基板1上に感光性材料からなるフォトレジスト層3をスピンコート法あるいはスプレイ法により順次塗布してフォトレジスト層3を形成する。
一方、ガラス等の誘電体からなるマスク基板5上に金属の微少な開口パターン6を形成したマスク4を用意する。
次に、図5(b)に示すように、マスク基板5上のパターン6を基板1側に対向させてマスク4をフォトレジスト層3に密着させる。
図5(c)では、このように基板1にマスク4を重ねた状態で、マスク基板5の裏面からのi線(365nm)等の光9により照射を行う。
そうすると図5(d)に示すように、i線等の光照射によりマスク4のパターン6の金属が形成されていない開口部から近接場光7が浸みだし、これにより露光が行なわれ、露光されたフォトレジスト部分hが感光する。
感光後、図5(e)に示すように、マスク4を基板1から外し、フォトレジスト層3を現像液で現像することにより、露光された部分hが現像溶媒に可溶となり、ポジ型パターンを形成する。
【0008】
ここで、図6に示す真空引きによる密着露光装置の断面図を参照して、密着露光の方法を説明する。まず、基板1上にフォトレジスト層3が塗布されたウェハを露光装置の台に装着し、その上に近接させてマスク4を装着する。
露光前は、図6(a)に示すように、装置内のマスク4とフォトレジスト層3の間にN2等の不活性ガスを常時流している。露光時は、図6(b)に示すように、マスク4とフォトレジスト層3の空間を真空引きすることにより、マスク4をフォトレジスト層3に密着させる。その後、マスク裏面から光9を照射する。
そして、図6(c)に示すように、装置内にもう一度N2を流し込むことにより、マスク4とフォトレジスト層3を離す。
【0009】
なお、フォトレジスト層3の感光性フォトレジストは、上記説明では露部分が現像溶媒に可溶となるポジ型パターンを形成するものを用いていたが、光照射によって照射部分のみが現像溶媒に不溶なネガ型フォトレジストであってもよい。
また、フォトレジスト層の厚さは近接場光のしみだし深さと同程度かそれ以下が望ましい。
【0010】
さらに、本実施の形態は真空引きによる密着露光装置を用いたが、図7に露光装置の断面図を示すように、フォトレジスト層3が形成されている基板1の裏面から空気Lを吹き付けると共に前述の真空引きにより、フォトレジスト層3とマスク4を密着させ、マスク4の裏面から光9を照射し露光を行う空気吹き付け法によるものであってもよい。
【0011】
また、図8に示すように、マスク4とフォトレジスト層3を近接場光が届く範囲で近接させて露光するプロキシミティ露光で行ってもよい。プロキシミティ露光を行うことにより、密着露光で問題となるマスクの破損、ウェハの破損またはウェハへのごみ付着等の問題が解決され、アウトプットを向上することができるため、量産性が上がる。
【0012】
フォトレジスト層3に用いられるフォトレジスト材料としては、水性アルカリ現像液で現像可能な材料が、有機廃液がなく膨潤が少なく高現像力で良好なパターンを形成できることから、好ましい。より詳しくは、水不溶性かつアルカリ可溶性のシリコーン含有ポリマーと感光性化合物とを含有するパターン形成材料である。
【0013】
以上のように、密着露光をより完全に行うために、フォトマスク基板の変形を利用した密着を行っていた。そのため、マスク基板の厚みはできるだけ薄いもの、特に1mm以下のものを利用していた。しかし、マスク基板が薄くなると正確にパターンを転写できないという問題が発生した。
この正確にパターンを転写できなくなる原因を究明した結果、マスク基板が薄くなると干渉の影響が顕著になり、マスク開口に入射する光に強度分布が生じるためであることが判明した。
図9はこの現象を説明する図である。図9(a)に示すように、基板1上に感光性材料からなるフォトレジスト層3を形成するとともに、一方、マスク基板5上に金属の微少な開口パターン6を形成したマスク4をフォトレジスト層3の上へパターン6をフォトレジスト層3に対向させるようにして図9(b)に示すように重ね、密着させる。
その後、マスク基板5の裏面からの光9により照射を行う。その場合、図9(b)に示すように、平行光線9のうちの光線91と92がマスク基板5入射すると、一方の光線92がマスク基板5とパターン6の境界面で一部反射して入射側に戻り、更に、入射側のマスク基板5と空気層との境界面で再反射することにより光線91と重なって干渉を生じることとなった。
このような干渉が生じると、光強度の強弱ができてしまい、特に、近接場光を用いる場合、露光部分が開口程度と小さいために、わずかな強度分布が生じても、欠陥につながってしまうことが判明した。実際に、このようにして得られたパターンを肉眼により観察したところ、汚いパターンとなっていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決するもので、マスク基板が薄くなっても正確にパターンを転写できるようにし、これにより欠陥製品が出ないようにするパターンの転写方法とそのフォトマスクを得ることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
記課題を達成するために、請求項1記載の発明は、パターンの転写方法に係り、基板上にドライエッチングにより除去可能な第1フォトレジスト層と、光照射による照射部分のみまたは非照射部分のみが現像溶媒に可溶となる感光性の耐ドライエッチング性を有する第2フォトレジスト層をこの順に積層してなる記録材料に、所定パターンの遮蔽膜を有するマスク基板を該遮蔽膜側を対向させるように重ね、この状態で該マスク基板に近接場光を照射してマスク基板の遮蔽膜間に位置する第2フォトレジスト層を感光させ、その後、該第2フォトレジスト層を現像することにより、前記第2フォトレジスト層のパターンを形成し、該パターンをマスクにして前記第1フォトレジスト層をドライエッチングすることにより、前記記録材料の基板上にパターンを形成するパターンの転写方法において、前記マスク基板の前記露光光入射側および前記遮蔽膜側の両マスク面に 、フッ化マグネシウム(MgF 2 )単層膜の反射防止膜を設けて露光することを特徴としている。
【0020】
このような構成のパターンの転写方法およびマスクを使用することによって、マスク面での反射が無くなるので、入射露光光とその反射光との干渉も無くなり、従って、マスク開口に入射する光に強度分布が生じないため欠陥商品が発生しなくなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1の実施の形態を表すもので、図1(a)は記録材料基板1とマスク基板5とが離れた状態、図1(b)は記録材料基板1とマスク基板5とを重ねて露光している状態を示している。図1(a)および(b)において、1は記録材料基板であり、3はこの記録材料基板1の上に設けられた光照射による照射部分のみまたは非照射部分のみが現像溶媒に可溶となる感光性のフォトレジスト層(東京応化V90)である。一方、5はマスク基板で、ここでは3インチ、厚み0.3tmmのSiO2ガラスマスク基板を用いている。6はこのマスク基板5の上に設けられた所定パターンの遮蔽膜6である。ここでは100nmの線幅、長さ1mmのスリットパターンを形成したクロムマスクとした。そして8は本発明により設けられたフッ化マグネシウム(MgF2 )単層膜の反射防止膜である。ここではマスク基板5の露光光入射側に反射防止膜8を蒸着した。水銀灯光源のスペクトルからフィルタによりg線(436nm)を取り出した。そのとき、MgF2 の膜厚は78.7nmが最適である。
【0022】
フッ化マグネシウム単層膜の最適膜厚78.7nmは次のようにして求めることができる。
反射防止の条件は単色光垂直入射として、
ft=m×λ/4 (m=1,3,5,・・・)
f =ng 1/2
である。
ここで、nfは反射防止膜の屈折率、
gはSiO2の屈折率、
tは反射防止膜の厚みである。
SiO2のg線に対する屈折率は、Sellmeierの分散式により、次のようにして求まる。
Figure 0004095791
最適な材料はnf =1.475であるが、現在入手可能な低屈折率材料であるMgF2 を用いる。
Figure 0004095791
となり、最適な膜厚は、
Figure 0004095791
と求まる。
同様にして、i線(365nm)、h線(405nm)を用いたときも、膜厚を計算できる。
【0023】
この記録材料基板1とマスク基板5とを図1(b)のように、マスク基板5上のパターン6を基板1側に対向させてマスク4をフォトレジスト層3に重ね密着させて、近接場光g線9をマスク基板5に照射する。そうすると、図1(b)に示すように、平行光線9のうちの光線92がマスク基板5とパターン6の境界面で一部反射して入射側に戻っても、入射側の反射防止膜8によって光線92は再反射することがなくなるので、光線91と干渉を生じなくなる。したがって、マスク基板5の遮蔽膜6間に位置するフォトレジスト層3を反射のない入射光91だけで感光させることとなり、その後、フォトレジスト層を現像すると、精度の良いきれいなフォトレジスト層のパターンを形成することができる。
形成されたフォトレジスト層のパターンについて肉眼によりパターンの精度を観察したところ、反射防止膜8をつけた場合は図9の場合と比べてきれいにパターンが転写できていた。
【0024】
図2は本発明の第2の実施の形態を表すもので、図2(a)は記録材料基板1とマスク基板5とが離れた状態、図2(b)は記録材料基板1とマスク基板5とを重ねて露光している状態を示している。図2(a)および(b)において、第1の実施の形態と同じく、1は記録材料基板であり、3は感光性のフォトレジスト層である。一方、5はマスク基板、6はこのマスク基板5の上に設けられた所定パターンの遮蔽膜6である。そして8’は本発明により設けられたフッ化マグネシウム単層膜の反射防止膜で、ここではマスク基板5の遮蔽膜側に設けた点が第1の実施の形態と異なる点である。水銀灯光源のスペクトルからフィルタによりg線を取り出した。MgF2の膜厚は78.7nmで、その計算式は上述したとおりである。
【0025】
この記録材料基板1とマスク基板5とを図2(b)のように、マスク基板5上のパターン6を基板1側に対向させてマスク4をフォトレジスト層3に重ね密着させて、近接場光g線9をマスク基板5に照射する。そうすると、図2(b)に示すように、平行光線9のうちの光線92がマスク基板5内をパターン6側に向かって進んだとき反射防止膜8’によって光線92は反射することがなくなるので、もはや光線91と干渉を生じなくなる。したがって、フォトレジスト層3を入射光91だけで感光させることとなり、精度の良いきれいなフォトレジスト層のパターンを形成することができる。
形成されたフォトレジスト層のパターンについて肉眼によりパターンの精度を観察したところ、反射防止膜8’をつけた場合はきれいにパターンが転写できていた。
【0026】
本発明の第3の実施の形態は、図1の反射防止膜と図2の反射防止膜とを両方備えたマスク基板についてのものである。第3の実施の形態については特に図示はしないが、フッ化マグネシウム単層膜の反射防止膜をマスク基板の露光光入射側と遮蔽膜側の両側に蒸着し、後は第1の実施の形態と同じ条件でフォトレジスト層のパターンを形成し、肉眼によりパターンの精度を観察した。
その結果、反射防止膜を両側につけたものは第1および第2の実施の形態と比べてさらにきれいにパターンが転写できていた。
【0027】
一方、図9のような反射防止膜をつけなかったマスク基板についても、それを使用して同じ条件でフォトレジスト層のパターンを形成し、肉眼によりパターンの精度を観察したところ、上述のように、汚いパターンとなった。すなわち、反射防止膜をつけないと強度分布ができるために深さ方向にムラができ、それに伴って幅方向にも均一性がなくムラが多くできていたものと推測される。
【0028】
なお、上記各実施の形態では、反射防止膜として単層の反射防止膜を用いた例を示したが、単層の反射防止膜に代えて2層反射防止膜を用いることも可能である。単層反射防止膜の場合は層の屈折率が一義的に決まり、屈折率は自在に変えられるパラメータではないので、薄膜として使用できる物質に限りがあり、設計者は利用できるものの中から選ぶしか方法がなく、また、単層反射防止膜はわずか1つの波長でしかゼロ反射を与えず、狭い波長領域でしか低反射率が得られないという制約があったが、これに対して、2層反射防止膜を用いると設計上扱えるパラメータの数が増えるので、薄膜として使用できる複数の物質の中から選択できる物質選択可能性が増え、また、広い波長領域で高性能を得ることができる。
【0029】
2層反射防止膜の選定手法には、日刊工業社発行「光学薄膜」H.A.Macleod著、pp85〜151.第3章「反射防止膜」によてば種々のものが紹介されている。ここでは、そのうちSchusterの手法について説明する。図3は垂直入射を仮定した場合のSchuster図上に描いた空気中に置かれたゲルマニウム基板に対して許される屈折率n1とn2の値を示す。空気層(屈折率n0=1.0) 、ゲルマニウム基板(屈折率nm=4.0)の間に空気層側からそれぞれ屈折率n1とn2の物質のλ/4コーテイング層を設けた構成の場合、
直線(1)は n1=n2
直線(2)は n1=(n0/nm1/2×n2
曲線(3)は n1×n2=n0×nm
を表している。
意味のある解を得るためには、
1<n2、と n1>(n0/nm1/2×n2 を同時に満足する領域A(斜線部分)で、かつ、曲線(3)を満足させる領域でなければならないから、太線Bの上にある屈折率n1の物質と屈折率n2の物質をそれぞれ使用する波長のλ/4でコーティングすれば、所望の2層反射防止膜が得られることとなる。
【0030】
さらに、多層反射防止コーティング、等価膜などを用いても有効である。
多層反射防止コーティングについて説明する。
3層反射防止膜を設けた例で考えると次のようになる。空気(屈折率n0=1.0)中に置かれたゲルマニウム基板(nm=4.0)に対して各層が波長λ0でλ/4の光学膜厚を持つ屈折率n1、n2、n3の値を示す物質を設けた構成の場合、
0<n1<n2<n3<nm
であれば、波長(2/3)λ0、λ0、2λ0で互いに正対し、
さらに、これらのベクトルがすべて等しい長さであれば、上記した波長で完全にうち消し合うので、0反射が得られる。
2相反射防止膜系の2つの零点が(3/4)λ0と(3/2)λ0にあるとき、この層系の零点は(2/3)λ0と2λ0まで拡がり、非常に広い低反射率領域が得られる。これらのベクトルが互いに等しい長さをもつための条件は、
1/n0=n2/n1=n3/n1=nm/n3
であり、少し変形すると、
1 4=n0 3×nm 、n2 4=n0 2×nm 2 、n3 4=n0×nm 3
となる。そこで、空気中でゲルマニウム基板に垂直入射する場合には、
0=1.00、nm=4.00
であるから、3層として必要な屈折率は
1=1.41、n2=2.00、n3=2.83となる。
ちなみに、これらの理論値に近い膜系として、ゲルマニウム基板に接する層を、屈折率3.3のシリコン、続いて順に屈折率2.2の酸化セリウム、屈折率1.35のフッ化マグネシウムの構成が考えられる。
【0031】
次に、等価膜について簡単に説明する。
上記反射防止膜の例では、各層の膜厚がλ/4またはその整数倍としていたが、これによって得られる屈折率の物質がかならずしも存在しているとは限らない。
ところがこの等価膜手法を用いると、所望の中間屈折率の層を高屈折率層と低屈折率層からなる等価な組み合わせと置き換えることができるので、便利である。
これの手法にはVermeulen法やHerpin法がよく知られているところである。詳しくは、前述の日刊工業社発行「光学薄膜」H.A.Macleod著、pp85〜151.第3章「反射防止膜」に説明されているとおりである。
【0032】
また、膜作製方法としては、蒸着のほかに、半導体用反射防止コーティング剤のスピンコート(米国ブリューワー・サイエンス社・日産化学工業株式会社、製造販売)も有効である。
【0033】
以上の近接場光は、フォトレジスト層のみから成る単層リソグラフィに適用した例であるが、単層リソグラフィでは分解能が高いパターンができても近接場光しみ出しの深さが浅いため、所望の深さのパターンを得ることが困難な場合がある。これを解決するために、上層は感光性フォトレジスト、下層はドライエッチングでエッチングできるレジストをから成る二層レジスト手法が開発されている。 図4は本発明を二層レジスト手法に適用した第4の実施の形態を示す図である。
図4(a)に示すように、基板1上に有機高分子からなる第1フォトレジスト膜2と感光性材料からなる第2フォトレジスト層3をスピンコート法あるいはスプレイ法により順次塗布し、2層フォトレジスト層3'を形成する。
一方、4はマスクで、マスク基板5とこのマスク基板5の上に設けられた所定パターンの遮蔽膜6と、そしては本発明により設けられたフッ化マグネシウム単層膜の反射防止膜8’とから構成されている。ここでは反射防止膜8’は第2の実施の形態のようにマスク基板5の遮蔽膜側に設けている。
次に、図4(b)に示すように、マスク4を遮蔽膜6側を2層フォトレジスト3’に対向させて2層フォトレジスト3’に密着させる。そして、マスク基板5の裏面からのi線等の光9の照射によりマスク4の金属が形成されていない開口部からしみ出す近接場光7により露光を行うと、第2の実施の形態で述べたように反射防止膜8によってマスク面での反射が無くなるので、入射露光光とその反射光との干渉が無くなり、図4(c)に示すようにフォトレジストが露光された部分hのみきれいに感光する。
次に、図4(d)に示すように、第2フォトレジスト層3を現像液で現像することにより、露光された部分hが現像溶媒に可溶となりポジ型パターンを形成する。
その後、図4(e)に示すように、第2フォトレジスト層3のパターンをマスクにして、第1フォトレジスト層2をO2プラズマによりドライエッチングして、図4(f)に示すようなアスペクト比の高い微細なパターンを形成する。
ドライエッチングはイオンドライエッチングまたはガスエッチングでもよい。
その後、2層フォトレジストのパターンにより、基板をエッチング、または蒸着等により加工した後、2層フォトレジストを剥離する。この剥離は、第1フォトレジストは露光等により、何ら変質していないため、第1フォトレジストの溶解により簡単に実施することができる。また、プラズマアッシングにより剥離することも可能である。
【0034】
第1フォトレジスト層2の有機高分子材料は、酸素プラズマによりエッチングされるものであれば何でもよく、公知のフォトレジストでもよいが、パターン形成後、これをマスクとして、基板をドライエッチングする際の耐プラズマ性を考慮すると、芳香族含有ポリマーが望ましい。
【0035】
【発明の効果】
以上、説明したように、近接場光リソグラフィーに用いるマスクとして、露光光入射側および/又は遮蔽膜側に反射防止膜を作製したものを用いることによって、マスク基板が薄くなっても正確にパターンを転写できるようにし、これにより欠陥製品が出ないようにすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態について説明する図を示している。
【図2】本発明の第2の実施の形態について説明する図を示している。
【図3】Schusterによる2層反射防止膜の選定手法について説明する図を示している。
【図4】本発明を二層レジスト手法に適用した第4の実施の形態を示す図である。
【図5】近接場露光による微細パターンの転写方法を示す図である。
【図6】真空引きによる密着露光装置の断面図を示している。
【図7】空気吹き付け法による露光装置の断面図を示している。
【図8】プロキシミティ露光による露光装置の断面図を示している。
【図9】従来方法の光干渉の影響について説明する図を示している。
【符号の説明】
1 記録材料基板
2 第1フォトレジスト膜
3 感光性のフォトレジスト層
3’ 2層フォトレジスト層
4 マスク
5 マスク基板
6 所定パターンの遮蔽膜
7 近接場光
8、8’ 反射防止膜
9 平行光線
91、92 光線

Claims (1)

  1. 基板上にドライエッチングにより除去可能な第1フォトレジスト層と、光照射による照射部分のみまたは非照射部分のみが現像溶媒に可溶となる感光性の耐ドライエッチング性を有する第2フォトレジスト層をこの順に積層してなる記録材料に、所定パターンの遮蔽膜を有するマスク基板を該遮蔽膜側を対向させるように重ね、この状態で該マスク基板に近接場光を照射してマスク基板の遮蔽膜間に位置する第2フォトレジスト層を感光させ、その後、該第2フォトレジスト層を現像することにより、前記第2フォトレジスト層のパターンを形成し、該パターンをマスクにして前記第1フォトレジスト層をドライエッチングすることにより、前記記録材料の基板上にパターンを形成するパターンの転写方法において、前記マスク基板の前記露光光入射側および前記遮蔽膜側の両マスク面に 、フッ化マグネシウム(MgF2)単層膜の反射防止膜を設けて露光することを特徴とするパターンの転写方法。
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