JP4095206B2 - 波形発生方法および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部の発振器などから与えられた位相情報または波形に同期した波形をディジタル処理により発生する波形発生方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、アナログシンセサイザーにおいて、鋸歯状波やパルス波(方形波)などを基本波とする波形発生部をマスターとスレーブの2系統備え、マスター側の基本波の周期毎にスレーブ側の基本波の位相をリセットする発振器同期(オシレータシンク)機能を有するものが存在する。ここで、前記スレーブ側の発振器のリセットは、通常、マスター側の基本波の位相が0となった時点でマスター側の発振器から出力されるパルスの入力を契機に行われている。
このような発振器同期機能を有するアナログシンセサイザーによれば、マスター側の波形発生部からはマスター側の基本周波数の楽音信号が出力され、スレーブ側の波形発生部からはマスター側の基本周波数に対応したピッチを有し、スレーブ側の基本周波数を中心周波数とするスペクトル包絡形状の楽音信号が出力される。
【0003】
一般に、アナログシンセサイザーは、アナログ動作であるためにその動作が不安定となりやすく、現在では、ほとんどのシンセサイザーがディジタル処理によるものに置き換わっている。
しかしながら、アナログシンセサイザーは特有の音質を有しており、前述の発振器同期機能のようなアナログシンセサイザーが備えている機能をディジタル処理により正確にシミュレートすることが望まれている。
【0004】
上述した発振器同期機能を単純にディジタル化した場合には、各信号(データ)が所定のサンプリング周期ごとに出力されることとなるために理想的なリセットタイミングと実際にリセットされるタイミングとの間に時間的なずれが発生する。
図11に示す波形の一例を参照して説明する。図11の(a)は、マスター側の基本波の位相情報Pmの波形を示す図であり、このマスター側の基本波位相情報Pmは、図示するように、マスター側の基本周波数情報fmにより決定される傾きを有し、「−1」〜「+1」の値の範囲で鋸歯状に変化する波形となっている。すなわち、振幅の−1〜+1が位相の−π〜+πに対応付けられている。ここで、ディジタル的に処理するために、この位相情報Pmは、実際には図中○で示したサンプリング周期Δt毎の値が出力される。
図11の(b)は、スレーブ側の基本波の位相情報Psの波形を示す図であり、スレーブ側の基本波周波数情報fsにより決定される傾きを有し、「−1」〜「+1」の値の範囲で鋸歯状に変化する波形となっており、この位相情報Psも同様にサンプリング周期Δt毎に出力される。そして、図示するように、前記マスター側の基本波位相情報Pmが「+1」から「−1」となるタイミング(t0)に同期して「−1」レベルにリセットされることにより前述した発振器同期が行われる。
【0005】
しかしながら、前記マスター側の基本波位相情報Pmは、前述のようにサンプリング周期Δt毎に出力されるものであり、この位相情報Pmが「+1」から「−1」に立ち下がったことを認識できるのは、図中t1で示すタイミングとなり、このタイミングで、前記スレーブ側の基本波位相情報Psをリセットすると図11の(c)で示すようなスレーブ側の基本波位相情報Psの出力となってしまう。すなわち、図(c)中にΔz1(=t1−t0)で示す時間ずれ(ジッタ)が発生することとなってしまう。同様に、t2で示すタイミングでも同様のことが発生し、Δz2で示す時間ずれが発生する。
【0006】
そこで、本発明者らは、このような時間ずれを生じることなく発振器同期機能を実現することができる楽音発生方法及び装置を提案している(特開平10−198378号公報)。
まず、この提案されている方法の原理について説明する。
前記図11の(b)に示したように、理想的なスレーブ側の基本波位相情報Psは、t1において、既に0とは異なる値「ps」を有している。そこで、実際にリセット処理が行われるt1のタイミングにおいて、該理想的な位相情報「ps」をスレーブ側にリセット位相としてセットすることにより、ジッタによる音質への悪影響を低減することができる。このリセット位相「ps」は、以下に説明するように、マスター側の基本波周波数情報「fm」とリセットタイミングt1におけるマスター側の基本波位相情報「pm」とからサンプリング周波数が無限大の場合におけるリセット時点t0を推定し、このリセット時点t0とスレーブ側の基本波周波数情報「fs」とから求めることができる。
【0007】
前記リセット位相「ps」を求める過程について具体的に説明する。ただし、以下の説明において、0<fm<1、0<fs<1であるものとする。
前述のように、マスター側の基本波位相情報Pmとスレーブ側の基本波位相情報Psにおける周波数の比と傾きの比は等しい。また、図11(b)において、真のリセット時点t0から実際のリセットタイミングt1までにPsが増加した値psとPmが増加した値pm’との比ps/pm’は、Pmの波形の傾きに対するPsの波形の傾きの比に等しい。これにより、次の(1)式が成立する。
ps/pm’=fs/fm …(1)
この(1)式より、(2)式が導出され、さらにpm’=pm+1であることから、(3)式が得られる。
ps=pm’/fm・fs …(2)
ps=(pm+1)/fm・fs …(3)
すなわち、実際のリセットタイミングt1における理想的なpsの値は、fm、fs、および実際のリセットタイミングt1におけるpmとから算出することができる。
【0008】
図12は、この提案されている楽音発生装置の構成例を示すブロック図である。この図において、101はマスター側の波形発生器、102はスレーブ側の波形発生器であり、これらの波形発生器101および102は、例えば、フィードバックFM方式の波形発生器とされている。
103は演算結果が「−1」〜「+1」の範囲を超えると超えた分を切り捨てて「+1」から「−1」へと折り返される加算結果を出力するモジュロ型加算器、14は前記モジュロ型加算器13の加算結果を1サンプリング周期(Δt)だけ遅延する遅延回路であり、このモジュロ型加算器13および遅延回路104によりマスター側の基本波の周波数を表すマスター側の基本波周波数情報fmを計数し、鋸歯状のマスター側基本波位相情報Pmを出力するマスター側発振器が構成されている。このマスター側発振器の出力Pmは、前記図11(a)に示したように、「−1」〜「+1」の間の鋸歯状波となり、この位相情報Pmは前記波形発生器101に入力され、前記波形発生器101からマスター波形が出力される。
【0009】
また、105は前述したリセットタイミングを検出するリセットタイミング検出器であり、例えば、前記モジュロ型加算器103のオーバフローを検出するころにより前記リセットタイミングを検出する。さらに、前記マスター側位相情報Pmはモジュロ型加算器106において定数「+1」とモジュロ加算され、該加算結果Pm’=(1+Pm)が出力される。107は除算器であり、前記モジュロ加算器106からの位相情報Pm’を前記マスター側基本波周波数情報fmで除算し、出力p(=pm’/fm)を出力する。
スレーブ側においてモジュロ型加算器109と遅延回路110によりスレーブ側の基本波位相情報を出力するスレーブ側発振器が構成されている。また、111は前記モジュロ型加算器109の出力と後述する乗算器108の出力を選択して前記スレーブ側の波形発生器102に供給する切替スイッチである。乗算器108は前記除算器107の演算結果p(=pm’/fm)とスレーブ側基本周波数情報fsとを乗算して、前記式(3)に示されるps(=fs・pm’/fm)を出力する。前記切替スイッチ111は、前記リセットタイミング検出器105からの出力があったタイミングだけ「1」側に切り換えられ、前記乗算器108の出力psを前記スレーブ側の波形発生器102にリセット位相として供給する。
これにより、前記図11の(b)に示すような、理想的な発振器同期をディジタル処理において実現することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述した提案されている楽音発生方法によれば、ディジタル構成の波形発生器(DCO:Digital Controlled Oscillator)において、発振器同期を確実に行うことができる。
しかしながら、この提案されている方法においては、マスターとなるDCOの位相と周波数の両方の信号が利用可能であることが要求されている。
しかし、このような発振器同期を、マスターとなる側が前述したようなアナログVCOをシミュレートしたものに限らず、例えば、FM音源、PCM音源、物理モデル音源などの各種別の音源出力、電気・電子楽器の出力、あるいはマイク入力音などをマスターとするより多くの場合においても実現したいという要求がある。
そのような場合に、マスター側で位相情報と周波数情報とを供給することができれば問題はないが、外部の音源等からの信号をマスターの位相情報と見なして用いる場合は周波数情報を持たないため、別途、位相から周波数を計算する手段を用意しなければならない。しかしながら、スレーブ側のDCOで用いるマスターの周波数情報を、マスター側でいちいち計算するのは無駄であるし、マスターとスレーブとの間を位相と周波数という2つの信号で受け渡しを行うことは、レジスタの消費も増え、わずかなリソースしか持たないDSPにおいては負担となる場合もある。
【0011】
また、一方、ただの波形信号にさえDCOをシンクさせたいという要求もある。例えば、A/D変換された信号にDCOの音を付加するような場合に、基本ピッチが合っていたほうが便利な場合が多いなどのことから、このような要求が発生している。
そこで本発明は、外部から与えられた位相情報または波形信号にDCOを同期させることのできる波形発生方法および装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の波形発生方法は、外部位相入力信号に同期した波形を発生する波形発生方法であって、前記外部位相入力信号のゼロクロス、ピーク又は所定のしきい値の通過を検出することにより、発生する波形の位相情報をリセットすべきリセットタイミングを検出するステップ、前記外部位相入力信号を微分することにより該外部位相入力信号に対応する周波数情報を算出するステップ、前記外部位相入力信号に対応する周波数情報、前記外部位相入力信号および発生する波形の基本波周波数情報に基づいて、前記リセットタイミングにおけるリセット位相を算出するステップ、前記リセットタイミングにおいて前記発生する波形の位相情報を前記リセット位相に設定するステップ、前記波形の位相情報に基づいて波形を生成するステップ、前記外部位相入力信号および前記外部位相入力信号に対応する周波数情報に基づいて、前記リセットタイミングに対応して窓関数を読み出す読出し信号を作成するステップ、及び、前記読出し信号により窓関数を読み出して、前記生成された波形に乗算するステップを有するものである。
【0013】
また、本発明の他の波形発生方法は、外部位相入力信号に同期した波形を発生する波形発生方法であって、前記外部位相入力信号のゼロクロス、ピーク又は所定のしきい値の通過を検出することにより、発生する波形の位相情報をリセットすべきリセットタイミングを検出するステップ、前記外部位相入力信号を微分することにより該外部位相入力信号に対応する周波数情報を算出するステップ、前記外部位相入力信号に対応する周波数情報、前記外部位相入力信号および発生する波形の基本波周波数情報に基づいて、前記リセットタイミングにおけるリセット位相を算出するステップ、前記リセットタイミングにおいて前記発生する波形の位相情報を前記リセット位相に設定するステップ、前記波形の位相情報に基づいて波形を生成するステップ、前記外部位相入力信号および前記外部位相入力信号に対応する周波数情報に基づいて、前記リセットタイミングに対応して窓関数を読み出す第1の読出し信号を作成するステップ、前記発生される波形の不連続部分に対応して窓関数を読み出す第2の読出し信号を作成するステップ、及び、前記両読出し信号を総合した読出し信号に基づいて窓関数を読み出し、前記生成された波形に乗算するステップを有するものである。
さらに、前記外部位相入力信号に対応する周波数情報を算出するステップは、前記外部位相入力信号のサンプリング周期ごとの増分を算出するステップとされているものである。
【0014】
さらにまた、本発明の波形発生装置は、外部位相入力信号に同期した波形を発生する波形発生装置であって、前記外部位相入力信号のゼロクロス、ピーク又は所定のしきい値の通過を検出することにより、発生する波形の位相情報をリセットすべきリセットタイミングを検出するリセットタイミング検出手段と、前記外部位相入力信号を微分することにより該外部位相入力信号に対応する周波数情報を算出する周波数情報算出手段と、前記外部位相入力信号に対応する周波数情報、前記外部位相入力信号および発生する波形の基本周波数情報に基づいて、前記リセットタイミングにおけるリセット位相を算出するリセット位相計算手段と、前記発生する波形の基本周波数情報に基づいて位相情報を発生するとともに、前記リセットタイミングにおいて該位相情報を前記リセット位相に設定するようになされた位相情報発生手段と、前記位相情報発生手段により発生される位相情報に基づいて波形を生成する波形発生手段と、前記外部位相入力信号および前記外部位相入力信号に対応する周波数情報に基づいて、前記リセットタイミングに対応して窓関数を読み出す窓関数読出し手段と、該窓関数読出し手段により読出された窓関数を前記波形発生手段により生成された波形に乗算する乗算手段とを有するものである。
【0015】
さらにまた、本発明の他の波形発生装置は、外部位相入力信号に同期した波形を発生する波形発生装置であって、前記外部位相入力信号のゼロクロス、ピーク又は所定のしきい値の通過を検出することにより、発生する波形の位相情報をリセットすべきリセットタイミングを検出するリセットタイミング検出手段と、前記外部位相入力信号を微分することにより該外部位相入力信号に対応する周波数情報を算出する周波数情報算出手段と、前記外部位相入力信号に対応する周波数情報、前記外部位相入力信号および発生する波形の基本周波数情報に基づいて、前記リセットタイミングにおけるリセット位相を算出するリセット位相計算手段と、前記発生する波形の基本周波数情報に基づいて位相情報を発生するとともに、前記リセットタイミングにおいて該位相情報を前記リセット位相に設定するようになされた位相情報発生手段と、前記位相情報発生手段により発生される位相情報に基づいて波形を生成する波形発生手段と、前記外部位相入力信号および前記外部位相入力信号に対応する周波数情報に基づいて、前記リセットタイミングに対応して窓関数を読み出す第1の読出し信号を生成する手段と、前記発生される波形の不連続部分に対応して窓関数を読み出す第2の読出し信号を生成する手段と、前記第1および第2の読出し信号を総合した読出し信号に基づいて窓関数を読み出す窓関数読出し手段と、前記窓関数読出し手段により読み出された窓関数を前記波形発生手段により生成された波形に乗算する乗算手段とを有するものである。
さらにまた、前記周波数情報算出手段は、前記外部位相入力信号のサンプリング周期毎の増分を算出する手段とされているものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の波形発生方法が適用された波形発生装置の参考例の構成を示すブロック図である。なお、本発明の波形発生装置はハードウエアにより実現することができるだけではなく、DSP(Digital Signal Processor)等を用いてソフトウエアあるいはファームウエアにより実現することができるものである。
の波形発生装置は、大きく分けて、外部から入力される位相情報(外部位相入力)Pxから周波数情報fxを得る周波数計算手段、前記周波数計算手段のオーバーフローを検出してリセットタイミングを検出するリセットタイミング検出手段、リセット時の位相情報と周波数情報の逆数およびスレーブ側のDCOの周波数情報とからスレーブ側のDCOの正確なリセット位相を計算するリセット位相計算手段、リセット機構を備えた位相情報発生手段、および、位相情報から波形を発生する波形発生手段とから構成されている。
なお、本発明においては2種類の演算器が使用されている。第1の種類の演算器は、演算結果が「−1」〜「+1」の範囲を超えると超えた分を切り捨てて「+1」から「−1」へと折り返される演算結果を出力するモジュロ演算器(モジュロ加算器あるいはモジュロ乗算器、図中moと記載)であり、第2は、演算結果が「−1」〜「+1」の範囲を超えてもその範囲に演算結果が制限されるオーバーフロープロテクトタイプの演算器(加算器あるいは乗算器、図中ovと記載)である。なお、moおよびovのいずれもが記されていない演算器は、途中結果を保存するための演算器である。
【0017】
図1において、Pxは外部位相入力であり、他の音源や他のDCOなどからの出力波形、ライン入力またはマイク入力などの外部波形入力を位相情報と見なしてこの外部位相入力Pxとすることができる。1は前記外部位相入力Pxを微分して周波数情報fxを得る周波数計算手段であり、この周波数計算手段1は、入力される位相情報Pxを1サンプリング期間だけ遅延する遅延回路11および前記位相情報Pxから前記遅延回路11の出力を減算するモジュロ加算器12により構成されている。このモジュロ加算器12により、位相情報Pxの微分出力、すなわち周波数情報fxが出力される。ここで、モジュロ加算器12は、前述のように、演算結果が「−1」〜「+1」の範囲を超えると超えた分を切り捨てて「+1」から「−1」へ折り返される演算結果を出力するものであり、リセットタイミング検出手段2により、このモジュロ加算器12のオーバーフローを検出する。このリセットタイミング検出手段2の出力は後述するリセット機構を備えた位相情報発生手段4に供給される。
【0018】
3はリセット位相計算手段であり、ここで行われるリセット位相の計算は、基本的に、外部位相入力Pxと該外部位相入力Pxを微分することにより得た周波数情報fxと基本波周波数情報fnとを使用して、前記式(3)に基づき、リセット位相を計算するものである。
リセット位相計算手段3において、前記モジュロ加算器12において算出された周波数情報fxは絶対値回路13に入力され、その絶対値|fx|が出力される。ここで、絶対値をとっているのは、外部位相入力Pxを微分した周波数信号が正または負のいずれであっても対応することができるようにするためである。前記周波数の絶対値|fx|は逆数テーブル14に入力され、該逆数テーブル14から、1/(|fx|・S)が出力される。ここで、演算の有効桁数を確保するために逆数1/|fx|に1/Sを乗算した(Sに対応するビット数だけ右シフトした)値を出力している。このシフト量Sにより、最大発振周波数の何分の1まで正確なリセット位相を算出することができるかが決定されており、このシフト量Sの値は、例えば、8ビット(=256)とされている。
【0019】
一方、前記外部位相入力Pxはモジュロ加算器15に入力され、ここで定数「−1」とモジュロ加算されて、出力Px’が出力される。この出力Px’は、絶対値回路16に入力され、|Px’|が出力される。ここで、Px’の絶対値をとるのは、前記逆数テーブル14からの出力と乗算したときに正の値を得るためである。
絶対値回路16の出力|Px’|は乗算器17に入力され、前記逆数テーブル14から出力1/(|fx|・S)と乗算される。そして、該乗算結果はオーバーフロープロテクト型の乗算器18において、シフト量Sと乗算され、該乗算器18から、出力|Px’|/|fx|が出力される。この出力は、リセットタイミングの小数部(前記図11におけるΔz/Δt)に相当する。
【0020】
前記乗算器18の出力は乗算器19に入力され、発生すべき波形信号の基本波周波数情報(周波数ナンバ)fnと乗算される。これにより、前述した式(3)の演算が実行されたこととなる。該乗算結果は、モジュロ加算器20において初期位相Piとモジュロ加算され、該モジュロ加算器20から、(fn・|Px’|/|fx|+Pi)のモジュロの値、すなわち、前記外部位相入力Pxのリセットタイミングにおけるスレーブ側の位相情報の値が算出されることとなる。この位相情報は、前述したリセット機構を備えた位相情報発生手段4における切替スイッチ22の「1」側の接点に供給される。
なお、上記においては、前記モジュロ加算器20において初期位相Piを加算するようにしていたが、必ずしもここで、初期位相を加える必要はない。また、この初期位相Piを時間的に変化させることにより、うねりのある楽音を発生させることもできる。
【0021】
一方、前記周波数ナンバfnは前記位相情報発生手段4におけるモジュロ加算器21にも入力されている。このモジュロ加算器21の出力は切替スイッチ22の「0」側の接点に供給されており、該切替スイッチ22の固定接点は波形発生手段5に接続されているとともに、1サンプリング期間の遅延を行う遅延回路23に接続されている。この遅延回路22の出力は前記モジュロ加算器21の他方の入力に接続されている。
【0022】
前記切替スイッチ22が「0」側の接点に接続されているときには、この位相情報発生手段5からは周波数ナンバfnに対応した傾きの鋸歯状波形状の位相情報が出力される。そして、前記モジュロ加算器12のオーバーフローなどによりリセットタイミング検出手段2からリセットタイミング信号が出力されたときには、そのサンプリング期間だけ、前記切替スイッチ22が「1」側の接点に切り換えられ、前記モジュロ加算器20からのリセット位相情報(fn・|Px’|/|fx|+Pi)が選択されて、前記波形発生器5および前記遅延回路23に供給される。そして、その次のサンプリングタイミングでは、前記切替スイッチ22は再び「0」側の接点に接続される。これにより、前記外部位相入力Pxに完全に同期した位相情報を前記波形発生器5に供給することができ、該波形発生器5から前記外部位相入力Pxに同期した楽音が発生されることとなる。
なお、上述においては、前記周波数計算手段1におけるモジュロ加算器12のオーバーフローを検出することにより前記外部位相入力Pxの零クロス点を検出して、それをリセットタイミングとしていたが、これに限られることはなく、外部位相入力Pxの波形の周期を検出したり、その振幅のピーク値や所定のしきい値を通過する点などの特異点を検出することによりリセットタイミングを検出するようにしてもよい。
このように、この波形発生装置によれば、任意の外部入力信号を位相情報と見なして、該外部入力信号に同期した波形データを発生させることができる。
【0023】
ところで、上述した参考例によれば、正確なリセット位相を実現することができるために、発生される楽音のエリアジング(折返し歪み)をある程度少なくすることができるが、これだけでは十分ではない場合がある。そこで、エリアジングの発生をより抑えるため、前記リセット部分に窓関数を掛けるようにした、本発明の波形発生方法が適用された波形発生装置の第1の実施の形態について説明する。図2は、この実施の形態の構成例を示すブロック図である。この実施の形態では、窓関数を位相と周波数の逆関数とから求めた波形をアドレスとしてアクセスする窓関数テーブルより求めるようにしている。
【0024】
図2において、前記図1と同一の構成要素には同一の番号を付し、説明を省略する。この実施の形態においては、前記リセット部分に窓関数を乗算する窓関数乗算手段6が設けられている点で前記図1に示した波形発生装置と相違している。
すなわち、この実施の形態においては、前記リセット位相計算手段3中の乗算器17の出力が分岐されて、窓関数乗算手段6におけるオーバーフロープロテクト型乗算器24に入力され、ここで、窓関数の巾を決定する係数Swと乗算される。この出力は、窓関数テーブル25にアドレスとして入力され、該窓関数テーブル25からの窓関数出力が前記波形発生器5からの波形出力にオーバーフロープロテクト型乗算器26で乗算される。
【0025】
図3は、前記図2における要部の波形の一例を示す図である。図3の(a)は前記外部位相入力Pxの一例を示しており、前記モジュロ加算器15により図3の(b)に示すような、位相が180°ずれた出力Px’となる。これにより、前記波形Pxにおける零クロス点が波形Px’における不連続点に変換される。この出力Px’は絶対値回路16を介して図3の(c)に示す出力※1となる。図から明らかなように、この出力※1は、前記図(a)に示した外部位相入力Pxのリセットタイミングで「0」となる波形である。
この絶対値回路16の出力|Px’|は、前述のように前記逆数テーブル14からの出力(1/(|fx|・S))と乗算器17において乗算され、該出力は分岐されて、窓関数乗算手段6に供給される。窓関数乗算手段6において、前記乗算器17の出力は、窓関数の巾を決定するための係数Swと乗算される。図3の(d)は、該乗算器24の出力※3の例を示している。ここで、出力※3の傾斜部の傾きは前記係数Swにより決定されており、前記係数Swの値を変更することにより、窓関数の巾を変更することができる。この出力※3をアドレスとして、図中に示したような入出力特性を有する窓関数テーブル25を読み出すことにより、図3の(e)に示すような、窓関数出力が得られる。この窓関数出力をオーバーフロープロテクト型の乗算器26において前記波形発生器5の波形出力と乗算することにより、前記リセット部分に窓関数が乗算された波形出力を得ることができる。
【0026】
なお、上述においては、前記周波数fxの逆数を乗算する乗算器17の出力※2を前記窓関数乗算部6の乗算器24に供給していた。したがって、窓関数の巾は、周波数fxの大きさによらず一定幅となっていたが、前記絶対値回路16の出力※1を前記乗算器24に入力する場合には、図3の(f)に示すように、周波数fxの逆数に比例した幅の窓関数を得ることができる。
このようにして、前記リセット時に生じる不連続波形の帯域制限を行うことができ、リセットにより発生するエリアジングを防止することが可能となる。
また、この窓関数を積極的に利用することで、発生される楽音のスペクトル包絡あるいはフォルマントの形状を任意の形状に制御することもできる。
【0027】
ところで、前記波形発生器5における波形発生方式としては、フィードバックFM方式、PCMで帯域制限した波形を切り換えて出力する方式、帯域制限した波形を直接発生させる方式などがあるが、帯域制限した波形を直接発生させる第3の方法の場合には、エリアジングを防ぐために波形に掛ける窓関数と、前記リセット部分にかける窓関数とを共通にすることができる。
そこで、このエリアジングを防ぐために波形に掛ける窓関数とリセット部分に掛ける窓関数とを共通にした実施の形態について、図4に示すこの実施の形態の構成例を示すブロック図および図5に示す波形図を参照して説明する。この実施の形態においては、波形に対する窓関数をアクセスする波形と、リセット部分の窓関数をアクセスする波形とを組み合わせて(例えば、最小値をとるなどの方法による)、窓関数テーブルをアクセスするようにしている。これにより波形発生部分の規模を小さくすることができる。
【0028】
図4に示すブロック図において、前記図1あるいは図2に示した構成要素と同一の構成要素には同一の番号を付して説明を省略する。この図から明らかなように、この実施の形態においても、前述したリセットタイミング検出手段2、リセット位相計算手段3および位相情報発生手段4は前述した実施の形態と同様に構成されている。また、この図に示した実施の形態は、前述のように、帯域制限した波形を直接発生させるものであるため、前述した波形発生器5は設けられていない。
なお、図4には、周波数情報fxを作成する前記周波数計算手段1および外部位相入力Pxに「−1」をモジュロ加算してPx’を出力するモジュロ加算器15については記載されていないが、これらは、前述した図1あるいは図2に示したものと同様の構成としてもよいし、あるいは、マスター側として周波数情報および位相情報を含むVCOあるいはDCOが用いられている場合には、その周波数情報および位相情報を直接用いるようにしてもよい。
【0029】
図4において、周波数ナンバfnは絶対値回路31にも入力され、その絶対値|fx|が逆数テーブル32にアドレスとして供給され、該逆数テーブル32から1/(|fn|・S)が出力される。ここで、Sは前述したものと同様のシフト量である。また、前記位相情報発生手段4の出力はモジュロ加算器33とオーバーフロープロテクト型の乗算器39に供給されている。
モジュロ加算器33に入力された位相情報発生手段4の出力(※1、図5の(b))は、モジュロ加算器33において定数「−1」とモジュロ加算され、その位相が180°シフトされる。該位相が180°シフトされた位相情報発生手段4の出力は、絶対値回路34に供給され、該絶対値回路34の出力は、オーバーフロープロテクト型乗算器35において、前記逆数テーブル32の出力と乗算される。図5の(d)はこの乗算器35の出力※3を示している。なお、この出力※3の傾きは、周波数情報fnの逆数を乗算しているため、前記オーバフロープロテクト型乗算器17からの出力※2と同一の傾きとなっている。
【0030】
36は最小値選択回路であり、A端子に入力される前記リセット位相計算手段3におけるオーバーフロープロテクト型乗算器17の出力※2(図5の(c))と、B端子に入力される前記乗算器35の出力※3(図5の(d))とを比較し、より小さいほうの値を出力する。これにより、前記乗算器17からの出力※2に表れるマスターのリセットタイミングと前記乗算器35からのスレーブのリセットタイミングの両者が得られることとなる。そして、該最小値選択回路36の出力は、オーバーフロープロテクト型の乗算器37において窓の幅を決定する所定の係数Swと乗算される。図5の(e)は、この乗算器37の出力※4を示している。この図から明らかなように、マスターのリセットタイミングとスレーブのリセットタイミングの両者において所定の傾きをもって0レベルとなる出力が得られる。この出力※4は、窓関数テーブル38にアドレスとして入力される。前記窓関数テーブル38は、図中に示したような特性の窓関数に対応する出力※5を出力し、オーバーフロープロテクト型の乗算器39で、前記位相情報発生手段4からの鋸歯状波出力※1と乗算され、図5の(g)に示すような帯域制限された鋸歯状波出力SAWが出力されることとなる。
【0031】
このようにして、前記位相情報発生手段4から直接に鋸歯状波波形出力を生成させる場合に、該スレーブ波形自体の不連続部および前述したリセット部分の両者に単一の窓関数テーブル38からの窓関数出力を用い、乗算することが可能となる。したがって、構成を簡易なものとすることができる。
【0032】
上述した実施の形態は鋸歯状波を直接生成する場合であったが、この手法は、その他の波形を直接生成する場合であっても、同様に適用することができる。
パルス波形(方形波波形)を生成する場合には、所定の時間幅だけずれた2つの鋸歯状波波形の差をとることにより前記所定の時間幅に対応するパルス幅を有するパルス波形を得ることができる。図6は、パルス波形を直接生成するようにしたときに前記図4に付加すべき構成要素を示すブロック図である。
前記図4に示した実施の形態において、絶対値回路31および34、逆数テーブル32、モジュロ加算器33、オーバーフロープロテクト型乗算器35、37および39、最小値選択回路36、窓関数テーブル38により、所定の帯域制限を掛けられたSAW波形出力※6が得られている。そして、この図6におけるモジュロ加算器41において、前記位相情報発生回路4からの出力※1にパルス幅となる所定の係数Pwをモジュロ加算し、Pwに相当する分だけ位相がシフトした鋸歯状波を発生する。そして、このPwに相当する分だけ位相がシフトした鋸歯状波に対し、前記図4における処理と同等の処理を行い、帯域制限された鋸歯状波を生成する。すなわち、図6におけるモジュロ加算器42および絶対値回路43はそれぞれ前記図4におけるモジュロ加算器33および絶対値回路34に相当する。同様に、図6におけるオーバーフロープロテクト型乗算器44、最小値選択回路45、オーバーフロープロテクト型乗算器46、窓関数テーブル47およびオーバーフロープロテクト型乗算器48は、それぞれ前記図4におけるオーバーフロープロテクト型乗算器35、最小値選択回路36、オーバーフロープロテクト型乗算器37、窓関数テーブル38、オーバーフロープロテクト型乗算器39に相当する。
【0033】
これにより、前述と同様の動作が行われ、前記オーバーフロープロテクト型乗算器48からは前記図4のSAW波形出力※6と位相がPwに相当する分だけシフトした第2のSAW波形出力が得られる。この第2のSAW波形出力は乗算器49において、パルス波形のデューティ比を決定する係数−aと乗算され、乗算器50において同様に係数aと乗算された第1のSAW波形出力※6とオーバーフロープロテクト型加算器51において加算される。これにより、この加算器51から前記係数Pwに対応する時間幅を有するパルス波形が出力される。
このようにして、マスター波形に同期するとともに帯域制限されたパルス波形を直接出力することができる。
【0034】
さて、上述した発振器同期の方法は、より一般的な波形をマスターとして扱う場合にも適用することができる。この場合、入力波形は予めHPF(高域通過フィルタ)を通すことにより直流分をカットしたり、あるいは、LPF(低域通過フィルタ)などで倍音成分を除去しておくなどの処理を施しておいたほうがよい場合もある。
この一般的な波形が入力され、該波形入力に同期した波形を出力する実施の形態について、図7に示すブロック図および図8の要部波形図を参照して説明する。
この実施の形態は、大略、入力波形の零クロス点や振幅のピーク点などの特異点を検出してリセットタイミングを得るリセットタイミング検出手段、入力波形を位相とみなして該波形を微分することにより増分(すなわち、前述の実施の形態でいうところの周波数情報)を得る周波数算出手段、リセット時の位相と増分(周波数)の逆数およびスレーブ側のDCOの周波数情報とから、スレーブ側のDCOの正確なリセット位相を計算するリセット位相計算手段、発生する波形の位相情報を発生する位相情報発生手段およびスレーブ側の位相情報から波形を形成する波形発生手段とから構成されている。
【0035】
図7において、前述した図1と同一の構成要素には同一の番号を付し、説明の重複を避けることとする。図7に示したように、この実施の形態においても、前述した図1の波形発生装置と同様に、周波数計算手段1、リセットタイミング検出手段2、リセット位相計算手段3、位相情報発生手段4および波形発生手段5を有している。そして、前記周波数計算手段1の前段に、外部波形入力の倍音成分などを除去するためのLPF(低域通過フィルタ)61および直流分などをカットするHPF(高域通過フィルタ)62が必要に応じて設けられており、さらに、外部波形入力に定数「0.5」を乗算するオーバーフロープロテクト型の乗算器63、および、該乗算結果Wxの位相を180°シフトするために定数「−1」を加算するモジュロ加算器64が設けられている。また、絶対値回路16には前記オーバーフロープロテクト型乗算器63の出力Wxが入力されている。なお、ここでは、外部波形入力の振幅は、「−1」〜「+1」に正規化されているものとして説明する。
【0036】
図8の(a)は必要に応じて前記HPF62を介して入力される外部波形入力※1の波形の一例を示しており、この波形は、オーバーフロープロテクト型の乗算器63において、定数「0.5」と乗算され、図8の(b)に示す出力Wxとなる。次に、この出力Wxはモジュロ加算器64において定数「−1」とモジュロ加算され、図8の(c)に示す位相が180°ずれた波形に相当する出力Wx’となる。
次に、前記周波数計算手段1において、該波形Wx’の微分処理、すなわち、1サンプリング周期前からの波形の増分の算出を行い、微分結果dxを求める。そして、前記リセットタイミング検出手段2において、モジュロ加算器12における加算結果が−1より小さくなるオーバーフローを検出することにより、前記外部波形入力※1の零クロス点の検出を行う。これは、外部入力波形※1の負→正への零クロスを検出することに対応している。なお、微分値が+1より大きくなったことを検出するようにした場合には、波形の正→負の零クロスを検出することができる。また、前記乗算器63において定数「0.5」を乗算したのは、零クロス検出をオーバーフロー検出で行うときに、波形の変化分を所定の範囲内とするためである。
【0037】
前記周波数計算手段1の出力dxは波形の増分を表わしており、外部入力波形が位相情報であるとした場合の周波数情報(周波数ナンバ)に相当する。したがって、このdxを前述した実施の形態における周波数情報fxと同等に取り扱うことにより、前述の各実施の形態の場合と同様にリセット位相計算部3においてリセット位相を計算することができる。なお、前記モジュロ加算器64の出力Wx’は前述した実施の形態における外部位相入力に相当し、Wx’と位相が180°異なる外部波形入力Wxをリセット位相計算部3の絶対値回路16に直接に入力するようにしている。
このようにして、外部波形入力に同期した波形を発生することができる。
【0038】
なお、負→正への零クロスが起きたときには、dx>0、Wx≧0であるから、dxの絶対値をとる絶対値回路13およびWxの絶対値をとる絶対値回路16は必ずしも設けなくともよい。
また、零クロスの検出は、上述した方法以外の方法を用いてもよい。例えば、Wxの符号ビット(通常は、MSB)が1(負)から0(正)に変化したことを検出するようにしてもよい。この方法はDSPで実行せずに、ハードウエアにより実現する場合には簡単に実現することができる。
【0039】
さて、上述のような波形入力に同期した波形を発生させる場合において、上述のように零クロスを検出することによりリセットを行うときには、通常は、上向きまたは下向きの零クロスのいずれか一方を用いている。これは、波形の1周期に一度リセットをするのが普通だからである。このような場合、リセット部分に乗算する窓関数を作るのに、波形をそのまま用いるのは困難である。なぜならば、波形を整形し窓関数テーブルを読んだ場合、上向きと下向きの零クロス付近のいずれにも窓関数が掛かってしまうからである。ちなみに、実際には波形が複雑に変化すると零クロスが1周期に何度も発生する場合があるが、このような場合であっても、DCOの倍音構造が変化するだけで、基本周期は入力信号に同期するため、さほどの問題は生じないことが多い。
【0040】
そこで、上向きと下向きの零クロス付近のいずれにも窓関数が掛かってしまうという不都合を解消することのできる本発明のさらに他の実施の形態について、図9のブロック図および図10の波形図を参照して説明する。図9において、前記図1および図7と同一の構成要素には同一の番号を付し、説明を省略する。
この実施の形態においては、アドレス発生器7が別途設けられており、このアドレス発生器7を用いて、窓関数テーブル77を読み出すようにしている。また、所定数nの波形サンプルにのみ窓関数を乗算するようにしており、窓の幅は一定のサンプル数分とされている。
【0041】
前記アドレス発生器7には、前記リセット位相計算手段3のオーバーフロープロテクト型乗算器18からの出力(|Wx|/|dx|)が供給され、乗算器71において、定数「2/n」と乗算される。ここで、nは、窓の幅に対応するサンプル数であり、通常は2のべき乗(図示した例では、n=4)とされている。前記乗算器71の出力は、オーバーフロープロテクト型の加算器72において定数「−1」と加算され、前記リセットタイミング検出手段2からのリセットタイミング信号により切替制御される切替スイッチ74の「1」側の接点に供給される。該切替スイッチ74の固定接点には、遅延回路75が接続されており、この遅延回路75の出力は、オーバーフロープロテクト型の加算器73に入力され、前記定数「2/n」と加算され、該加算結果は前記切替スイッチ74の「0」側の接点に接続されている。
【0042】
すなわち、前記リセットタイミング検出回路2からのリセットタイミング検出出力が入力されていないときは、前記切替スイッチ74は「0」側に接続されており、前記切替スイッチ74の固定接点からは、各サンプリングタイミングごとに2/n(図示した例においては、1/2)ずつ増加する出力が得られる。そして、前記リセットタイミング検出手段2からリセットタイミング検出信号が入力されたタイミングで前記切替スイッチ74は「1」側の接点に切り換えられ、前記乗算器18からのリセットタイミングの小数部に対応する出力(|Wx|/|dx|)に2/n(1サンプリング周期の増分)を乗算し、さらに初期値として「−1」を加算した出力がリセット時における窓関数のアドレスの初期値として前記切替スイッチ75の固定接点に得られる。図10の(c)は前記切替スイッチ75の出力※2の一例を示している。このように、※2の信号は、リセットタイミングをトリガとし、2/nの傾きで、−1〜+1の間をn点でつなぐ信号となる。
【0043】
前記切替スイッチ74からの出力※2は絶対値回路76に入力され、該絶対値回路76の出力は窓関数テーブル77にアドレスとして印加される。これにより、窓関数テーブル77に対し、+1〜0〜+1といった動きの往復読み出しが行われ、アドレスの折返しは、n/2点以後に起こることとなる。したがって、図10の(d)に示す、図中に例示した窓関数特性に応じた窓関数出力※3が前記窓関数テーブル77から読み出される。
図10の(b)は、前記波形発生器5から出力される波形の例を示しており、この例では、パルス波形が出力されている場合を示している。前述のように、このパルス波形は外部入力波形Wxの零クロス点でリセットされる波形となっている。この波形は、n/2段(この例においては、2段)の遅延回路78に入力され、2サンプリング期間だけ遅延された波形出力がオーバーフロープロテクト型の乗算器79に入力される。この乗算器79には、前記窓関数テーブル77の出力(※3)が供給され、乗算器79からは、図10の(e)に示すように、リセット後のnサンプル(この場合は、4サンプル)の期間について窓関数が乗算された波形出力※4が出力される。
このように、この実施の形態によれば、前記リセットタイミング検出手段2からのリセットタイミング出力により、リセット位相が制御されるアドレス発生手段7を設けているために、確実に窓関数を掛けることができるようになる。
【0044】
なお、以上の実施の形態において、リセット位相を計算する場合に、逆数テーブルを用いて演算しているが、|Px’|/|fx|あるいは|Wx|/|dx|を算出すればよいのであるから、割り算回路を用いるようにしてもよいことは当然である。
また、以上の実施の形態においては、入力波形の零クロス点に基づいてリセットタイミングを検出するようにしていたが、入力波形振幅のピーク点や所定のしきい値を越したタイミングなどに基づいてリセットタイミングを検出するようにしてもよい。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の波形生成方法および装置によれば、外部から与えられた位相情報あるいは任意の波形信号に対して完全に同期した波形を発生させることができる。
また、その場合に、窓関数が乗算された理想的な特性の波形を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の波形発生方法が適用された波形発生装置の参考例の構成を示すブロック図である。
【図2】 リセット部分に窓関数を乗算するようにした、本発明の波形発生方法が適用された波形発生装置の第1の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図3】 図2に示した実施の形態の動作を説明するための波形図である。
【図4】 波形とリセット部分の両者に窓関数を乗算するようにした実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図5】 図4に示した実施の形態の動作を説明するための波形図である。
【図6】 図4に示した実施の形態においてパルス波形を発生するようにした変形例を示す図である。
【図7】 外部入力波形に同期するようにした実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図8】 図7に示した実施の形態の動作を説明するための波形図である。
【図9】 図7に示した実施の形態の波形とリセット部の両者に窓関数を乗算するようにした実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図10】 図9に示した実施の形態の動作を説明するための波形図である。
【図11】 発振器同期をディジタル処理で行う場合の問題点を説明するための図である。
【図12】 従来の波形発生装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 周波数計算手段、2 リセットタイミング検出手段、3 リセット位相計算手段、4 位相情報発生手段、5 波形発生器、6 窓関数乗算手段、7 アドレス発生器、11、23、75、78 遅延回路、12、15、20、21、33、41、42、51、64、72、73 加算器、13、16、31、34、43、76 絶対値回路、14、32 逆数テーブル、17、18、19、24、26、35、37、39、44、46、48、49、50、63、71、79 乗算器、22、74 切替スイッチ、25、38、47、77 窓関数テーブル、36、45 最小値選択回路、61 LPF、62 HPF

Claims (6)

  1. 外部位相入力信号に同期した波形を発生する波形発生方法であって、
    前記外部位相入力信号のゼロクロス、ピーク又は所定のしきい値の通過を検出することにより、発生する波形の位相情報をリセットすべきリセットタイミングを検出するステップ、
    前記外部位相入力信号を微分することにより該外部位相入力信号に対応する周波数情報を算出するステップ、
    前記外部位相入力信号に対応する周波数情報、前記外部位相入力信号および発生する波形の基本波周波数情報に基づいて、前記リセットタイミングにおけるリセット位相を算出するステップ、
    前記リセットタイミングにおいて前記発生する波形の位相情報を前記リセット位相に設定するステップ、
    前記波形の位相情報に基づいて波形を生成するステップ
    前記外部位相入力信号および前記外部位相入力信号に対応する周波数情報に基づいて、前記リセットタイミングに対応して窓関数を読み出す読出し信号を作成するステップ、及び、
    前記読出し信号により窓関数を読み出して、前記生成された波形に乗算するステップ
    を有することを特徴とする波形発生方法。
  2. 外部位相入力信号に同期した波形を発生する波形発生方法であって、
    前記外部位相入力信号のゼロクロス、ピーク又は所定のしきい値の通過を検出することにより、発生する波形の位相情報をリセットすべきリセットタイミングを検出するステップ、
    前記外部位相入力信号を微分することにより該外部位相入力信号に対応する周波数情報を算出するステップ、
    前記外部位相入力信号に対応する周波数情報、前記外部位相入力信号および発生する波形の基本波周波数情報に基づいて、前記リセットタイミングにおけるリセット位相を算出するステップ、
    前記リセットタイミングにおいて前記発生する波形の位相情報を前記リセット位相に設定するステップ、
    前記波形の位相情報に基づいて波形を生成するステップ、
    前記外部位相入力信号および前記外部位相入力信号に対応する周波数情報に基づいて、前記リセットタイミングに対応して窓関数を読み出す第1の読出し信号を作成するステップ、
    前記発生される波形の不連続部分に対応して窓関数を読み出す第2の読出し信号を作成するステップ、及び
    前記両読出し信号を総合した読出し信号に基づいて窓関数を読み出し、前記生成された波形に乗算するステッ
    有することを特徴とする波形発生方法。
  3. 前記外部位相入力信号に対応する周波数情報を算出するステップは、前記外部位相入力信号のサンプリング周期ごとの増分を算出するステップであることを特徴とする前記請求項1又は2に記載の波形発生方法。
  4. 外部位相入力信号に同期した波形を発生する波形発生装置であって、
    前記外部位相入力信号のゼロクロス、ピーク又は所定のしきい値の通過を検出することにより、発生する波形の位相情報をリセットすべきリセットタイミングを検出するリセットタイミング検出手段と、
    前記外部位相入力信号を微分することにより該外部位相入力信号に対応する周波数情報を算出する周波数情報算出手段と、
    前記外部位相入力信号に対応する周波数情報、前記外部位相入力信号および発生する波形の基本周波数情報に基づいて、前記リセットタイミングにおけるリセット位相を算出するリセット位相計算手段と、
    前記発生する波形の基本周波数情報に基づいて位相情報を発生するとともに、前記リセットタイミングにおいて該位相情報を前記リセット位相に設定するようになされた位相情報発生手段と、
    前記位相情報発生手段により発生される位相情報に基づいて波形を生成する波形発生手段と
    前記外部位相入力信号および前記外部位相入力信号に対応する周波数情報に基づいて、前記リセットタイミングに対応して窓関数を読み出す窓関数読出し手段と、
    該窓関数読出し手段により読出された窓関数を前記波形発生手段により生成された波形に乗算する乗算手段と
    を有することを特徴とする波形発生装置。
  5. 外部位相入力信号に同期した波形を発生する波形発生装置であって、
    前記外部位相入力信号のゼロクロス、ピーク又は所定のしきい値の通過を検出することにより、発生する波形の位相情報をリセットすべきリセットタイミングを検出するリセットタイミング検出手段と、
    前記外部位相入力信号を微分することにより該外部位相入力信号に対応する周波数情報を算出する周波数情報算出手段と、
    前記外部位相入力信号に対応する周波数情報、前記外部位相入力信号および発生する波形の基本周波数情報に基づいて、前記リセットタイミングにおけるリセット位相を算出するリセット位相計算手段と、
    前記発生する波形の基本周波数情報に基づいて位相情報を発生するとともに、前記リセットタイミングにおいて該位相情報を前記リセット位相に設定するようになされた位相情報発生手段と、
    前記位相情報発生手段により発生される位相情報に基づいて波形を生成する波形発生手段と、
    前記外部位相入力信号および前記外部位相入力信号に対応する周波数情報に基づいて、前記リセットタイミングに対応して窓関数を読み出す第1の読出し信号を生成する手段と、
    前記発生される波形の不連続部分に対応して窓関数を読み出す第2の読出し信号を生成する手段と、
    前記第1および第2の読出し信号を総合した読出し信号に基づいて窓関数を読み出す窓関数読出し手段と、
    前記窓関数読出し手段により読み出された窓関数を前記波形発生手段により生成された波形に乗算する乗算手段と
    を有することを特徴とする波形発生装置。
  6. 前記周波数情報算出手段は、前記外部位相入力信号のサンプリング周期毎の増分を算出する手段であることを特徴とする前記請求項4又は5に記載の波形発生装置。
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