JP4094448B2 - コークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法 - Google Patents

コークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コークス乾式消火設備(以下、単にCDQともいう。)において、バイオマスを投入することで、ガス中の硫黄化合物を低減させる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コークス炉は外熱式加熱炉であり、熱効率を向上させるために必然的に大型化していることや過去の省エネルギー技術開発により、エネルギー回収技術としては非常に進んだ設備となっている。エネルギー回収技術の主な方式がコークス乾式消火設備を用いる方式であり、コークスを大容量の循環ガス(ほとんど窒素)で冷却し、循環ガスの得た熱で蒸気を発生して蒸気タービンを動作させて電力として回収している。
【0003】
かかるコークス乾式消火設備では、コークス炉から排出される赤熱コークスをプレチャンバに投入し、下部のクーリングチャンバ内を通過する間に、循環ガスを冷却ガスとして該クーリングチャンバに供給することにより、赤熱コークスを消火、冷却すると共に、上記したようにクーリングチャンバから排出される高温の循環ガスの得た顕熱をボイラなどの熱交換器により熱交換し、蒸気を発生して蒸気タービンを動作させて電力として効率よく回収するという2つの目的を達成するものである。そして、前記クーリングチャンバから排出される冷却コークスは、高炉に装入される。即ち、高炉に装入され、焼結鉱の昇温及び還元用の燃料として使用される。
【0004】
このようなコークス乾式消火設備において、ガス成分の安定化を図る目的ないしコークスの燃焼による顕熱回収の増量を目的として、プレチャンバに空気を導入する技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0005】
また、従来の石灰(主に炭酸カルシウム、消石灰)の熱分解反応を起こし、生石灰を製造する方法では、重油バーナー等の燃料使用により、石灰が分解して二酸化炭素が発生するのに加えて燃料由来の二酸化炭素も発生する、非効率的、大量二酸化炭素発生プロセスであった(例えば、非特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−336588号公報
【特許文献2】
特開平7−145377号公報
【特許文献3】
特開平7−242879号公報
【非特許文献1】
工業炉ハンドブック(日本工業炉協会編)、p352、第2版、昭和57年4月20日発行
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1〜3に提案されているものは、空気導入によりガス成分の安定化を図る技術や空気導入によりコークスを燃焼させることで循環ガスによる顕熱回収量を増やす技術に関するものであり、プレチャンバに存在する空気によりコークスが燃焼して生成する微量の硫黄化合物に関しては、何ら関心が払われていないのが実情である。
【0008】
しかしながら、コークスの燃焼に伴い発生した硫黄化合物は、循環ガス成分としてコークス乾式消火設備の循環装置に運ばれ、ボイラ(熱交換器)の低温部(出口)で冷やされることで、一部が硫酸(H2SO4)または亜硫酸(H2SO3)の形で結露する。そのため、装置内の金属表面で結露した酸による金属腐食が進行する。そのため、定期的に装置を停止して行うメンテナンスの際に、当該部分で発見される金属腐食部分の修復作業(主に、腐食された金属表面の研磨などによる修復作業、腐食により金属の傷みが酷くなれば当該装置部品の交換作業)が必要である。そこで、当該腐食に伴うメンテナンスの回数を減少させることができれば、当該メンテナンスにかかる貴重な時間と労力と経費の削減に大いに寄与し得るものとして期待できる。にもかかわらず、こうしたコークス乾式消火設備の循環装置、特にボイラ(熱交換器)の低温部(出口)での金属腐食の有効な防止対策(腐食防止技術)は、何ら提案されていないのが現状である。
【0009】
そこで、本発明の目的は、プレチャンバに存在する空気によりコークスが燃焼して生成する、コークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物を低減する方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、プレチャンバに存在する空気によりコークスが燃焼して生成する硫黄化合物を、バイオマスによる代替燃焼を行うことで、すなわちバイオマスをCDQのプレチャンバに投入して熱分解生成するガスとプレチャンバ内空気を反応させる(プレチャンバ内空気を、赤熱コークスよりもバイオマスとの間で優先的に燃焼させて消費してしまう)ことで、ガス成分の安定化や顕熱回収の増量効果を損なうことなく、コークス自身の燃焼を抑えることができ、コークス燃焼による硫黄化合物の発生そのものを低減し得ることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0011】
さらに、本発明者らは、さらに石灰を併用しても、従来の重油バーナー等の燃料使用に比べ、CDQは、分解に充分な温度・滞留時間をとれること、またコークス顕熱のみ使用するため、熱源は二酸化炭素増大に関与しないこと、回収効率が高いことなどの利点が得られることを見出し、赤熱コークスの持つ顕熱を利用して、石灰の分解と脱流反応を起こすことで、燃焼により発生してしまった硫黄化合物(SOX)をガス中から除去、回収し得ることにより(さらに回収された硫黄分は石コウの形で固定化され、粉コークスと混合したまま、焼結工程に供給され、有効利用が図られる。)、より一層硫黄化合物を低減することができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0012】
すなわち、本発明は、下記(1)〜(12)のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法により達成できる。
【0013】
(1) 木材のバイオマスをコークス乾式消火設備における赤熱コークスの投入空間であるプレチャンバに投入すると共に石灰を前記コークス乾式消火設備に投入して、ガス中の硫黄化合物を低減させることを特徴とするコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
【0014】
(2) 前記石灰を、前記プレチャンバに投入することを特徴とする(1)に記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
【0015】
(3) 前記石灰を、前記コークス乾式消火設備における赤熱コークスの移動および投入設備であるバケットおよび/またはバケット車に投入することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
【0016】
(4) 前記バイオマスの大きさが、100mmより大きい粒子の割合を10質量%以下とすることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
【0017】
(5) 前記バイオマスを、コークス1トン当り1〜150kgの範囲で投入することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
【0018】
(6) 前記バイオマスを、間欠的になされる前記コークス乾式消火装置への赤熱コークスの投入と投入の間に、前記プレチャンバ内に投入することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
【0019】
(7) 前記バイオマスを、前記コークス乾式消火設備上部のコークス投入口および/または前記プレチャンバに設置された1若しくは2以上の投入口から投入することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
【0020】
(8) 前記バイオマスを、窒素および/または循環ガスを搬送ガスとして用いて気流搬送によって投入することを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
【0022】
(9) 前記プレチャンバ内部の空間の一部または全部が、1000〜1100℃の雰囲気温度であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
【0023】
10) 前記石灰が、10mm以下の粒径の石灰を10質量%以上含むことを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
【0024】
11) 前記石灰を、コークス1トン当り30〜650gの範囲で投入することを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれか1つに記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法は、バイオマスを、コークス乾式消火設備に投入して、ガス中の硫黄化合物を低減させることを特徴とするものであり、好ましくは、さらに石灰をコークス乾式消火設備に投入して、ガス中の硫黄化合物を低減させることを特徴とするものである。
【0026】
ここで、バイオマスとは、一般的には、生物量の総称であり、FAO(国連食糧農業機関)によれば、農業系(麦わら、サトウキビ、米糠、草木等)、林業系(製紙廃棄物、製材廃材、除間伐材、薪炭林等)、畜産系(家畜廃棄物)、水産系(水産加工残滓)、廃棄物系(生ゴミ、RDF(ゴミ固形化燃料;Refused Derived Fuel)、庭木、建設廃材、下水汚泥)等に分類される。本発明が対象とするバイオマスは、硫黄化合物低減を主旨とするものであり、赤熱コークス中のS(硫黄)含有量よりも少ないものとする。具体的には、S(硫黄)含有量が0.4質量%(dry)未満のものが目安となる。そのため、原則として、上記バイオマスから、畜産系、水産系および下水汚泥を除いたものを指すものとする。また、本発明では、上記に規定するS(硫黄)含有量が0.4質量%(dry)未満のバイオマスだけの場合には、何ら問題なく使用することができるほか、例えば、S(硫黄)含有量が0.4質量%(dry)よりも硫黄含有量の多いバイオマスと、反対にS(硫黄)含有量が0.4質量%(dry)よりも低いバイオマスを混合して(ブレンドして)、バイオマス全体としてS(硫黄)含有量が0.4質量%(dry)未満になるものであれば十分に使用可能である。これは本発明の目的を達成できることからして当然と言える
【0027】
また、バイオマスを利用することで、硫黄化合物低減効果に加え、バイオマスはカーボンニュートラルであることから、地球温暖化問題やエネルギーリサイクル社会形成へ重要なエネルギー源ともなりえる点で有利である。なお、上記カーボンニュートラルとは、CO2に関しては地球規模で成長や固定の循環が成り立っていることから、バイオマス使用に際してCO2を排出カウントしなくてもよいという考え方をいう。
【0028】
バイオマス中のS(硫黄)含有量が0.4質量%(dry)以上の場合には、赤熱コークス中のS(硫黄)含有量と同等以上となるため、コークスの代替燃料として用いても硫黄化合物の低減効果が得られないものである。ただし、上記0.4質量%(dry)は、一般的な赤熱コークス中のS(硫黄)含有量であり、赤熱コークス中のS(硫黄)含有量がこれよりも高いものを用いる場合には、バイオマスのS(硫黄)含有量が0.4質量%(dry)以上であっても硫黄化合物の低減効果が得られることから、少なくとも赤熱コークス中のS(硫黄)含有量よりもバイオマスのS(硫黄)含有量が低ければ、上記範囲を超えるものであっても本発明の対象となり得るものとする。
【0029】
本発明に用いられるバイオマスは、プレチャンバ投入で、コークス(1000℃程度)の顕熱により熱分解し、8割ある揮発分が気相中に拡散する。プレチャンバに入る空気は、プレチャンバ空間でバイオマス揮発分と反応し、従来のコークス表面での固気反応に優先して消費される。すなわち、コークスの代替燃料となり得るものである。そのため、コークス中の硫黄分よりも含有量に低いバイオマスを投入することで、発生する硫黄化合物(SOX)そのものの量を低減することができるものである。
【0030】
次に、本発明に用いられるバイオマスの大きさ(粒径)は、100mmより大きい粒子の割合を20質量%以下、好ましくは10質量%以下とすることが望ましい。これは、100mmより大きい粒子の割合が20質量%以下、好ましくは10質量%以下において、ガス中の硫黄化合物(SOX)濃度の減少が大きくなるものであり、硫黄化合物発生量を格段に低く抑えることができるものである。
【0031】
ここで、バイオマスの大きさ(粒径)の定義は、以下の通りである。
【0032】
・粉砕機、破砕機等で小粒径化されたバイオマスを、スクリーン等の篩い分け設備で篩上、篩下に分別した際の、篩いの目開きサイズ(スクリーン等の篩いの「目開き」の形態については、図3(B)〜(E)参照のこと。ただし、これらの形態に制限されるものではなく、他の形態でも図3と同様にスクリーン等の篩いの目の長手方向をサイズを目開きサイズとすればよい。)を本発明でのバイオマスの大きさ(粒径)と定義する。粉砕機、破砕機は、通常、衝撃、摩擦、切削等により、サイズを細かくする。衝撃系の代表はハンマーミルやボールミル、摩擦系の代表はグラインドミル、切削系の代表はカッタータイプである。石炭や食品系の粉砕の場合、球や立方体に近い形状のものが多く、粒径=粒子のサイズという概念が比較的明確だが、バイオマスでは、生物として成長方向があり、破砕機にかけた場合に長軸方向(L)と短軸方向(通常短径;D)に差が生じる。繊維方向に分離し易いためだが、たとえばハンマーミルでの数mmスクリーン通過物中には、L/Dが3〜5のものが多く、L/Dが10のものも存在してしまう。従って代表径、平均径等の概念が用いにくいため、本発明では、ほとんどの実用破砕工程で使用される篩い分け設備、特にスクリーン等の目開き通過で評価、定義した。本発明で評価、定義のために使用するスクリーンとは、図3で示した破砕機に付属しているスクリーンではなく、たとえば破砕機のスクリーンを通過した破砕物を、別途篩い分けしたときのスクリーンであり、スクリーンと垂直方向への振動を極力抑えることで(傾斜0の時は水平方向に振動)、長軸方向サイズを通過径としようとするものである(ここで、上記破砕物を別途篩い分けしたときのスクリーンの「目開き」の形態については、図3(B)〜(E)で示した破砕機等に付属しているスクリーン等の「目開き」の形態と同様であるため、これを参照のこと。)。
【0033】
なお、粉砕機、破砕機で等で小粒径化されたバイオマスを得るには、例えば、図3(A)に示すように、バイオマス原料301をハンマー型破砕機302の投入口より図中の太線矢印で示すように投入する。粉砕機内の回転体303で細線矢印の回転方向305にバイオマスが回転される際に、粉砕機内に設置されたハンマー(一部)304との衝突する際や該ハンマーと回転体303との隙間を通過する際にバイオマスが破砕されて、小粒径化されていく。小粒径化されたバイオマスは回転時の遠心力により外に飛び出すようになる。そこで、粉砕機の回転経路の外側面側に適当な目開き308(図3(B)ないし図3(E)参照のこと。)のサイズ(図3(B)〜図3(E)の拡大図中の矢印の範囲(長さ)が目開きのサイズに相当する。)及び形状を有するスクリーン307を設置しておくことで、目開きを通過する大きさ(粒度)にまで小粒径化されたバイオマス(バイオマス破砕物306)のみが当該スクリーン307を通過して外部に取り出されるものである。
【0034】
以下に、篩い分けの具体例を挙げる。
【0035】
ハンマータイプ破砕機:10t/h破砕量、1000rpm、ハンマー幅35mm、ハンマー数30、出側スクリーンサイズ□150mm(目開き、正方形)によるバイオマス破砕物を、振動篩い:□100mmスクリーン(目開き、正方形)、傾斜5°、水平かつ傾斜方向に直角な振動振幅10mm、振動回数30回/分で篩った結果、篩い上が60、58、60質量%(試行3回)となれば、これを100mmより大きい粒子の割合が60質量%以下とする。同様に、破砕機出側スクリーンサイズを□50mm、振動篩いスクリーンを□100mmの場合の篩い上が10、10、10質量%となれば、これを100mmより大きい粒子の割合が10質量%以下とし、破砕機側スクリーンサイズを□100mm、振動篩いスクリーンを□100mmの場合の篩い上が29、28、30質量%となれば、これを100mmより大きい粒子の割合が30質量%以下とする。
【0036】
なお、上記数値は、破砕機Aのもので、本法式では別途破砕機B(4t/h破砕、1000rpm、ハンマー幅32mm、ハンマー数24で、破砕機Aよりやや小型)データも併用することで、データの信頼性を高めてもよい。
【0037】
上記の通り、本発明における「100mmより大きい粒子の割合」とは、篩いのスクリーンサイズを基準とした篩い上質量%であり、この篩い上質量%を変化させるために、破砕機スクリーンの目のサイズを変更している。粒度変更の方法としては、上記に示す具体例の破砕機スクリーンの目のサイズのほかに、ハンマーの形状、幅、回転数、スクリーン位置等や、グラインドミル、カッターミル等の破砕方法の変更によるものが考えられるが、どの方法を用いた場合も、スクリーンによる篩い分けで数値を規定できる。また、篩の方も、振動形式や振動方法(カムによる衝撃、篩い方向の円・楕円化、振動回数等)、スクリーン目の形状(矩形、円、楕円等)等で変更可能であるが、上記に示す具体例での振動方式で篩い分けることで共通数値として規定が可能となるものである。
【0038】
投入するバイオマスに大きいサイズの粒子が増えるとプレチャンバで十分に熱分解されず、揮発分が揮発しきれないため、置換効果が低い。通常、プレチャンバに投入されたバイオマスが、プレチャンバ下部のクーリングチャンバのコークス層内に入ってしまうまでの時間に揮発分がでてしまうことができる大きさの上限が、100mmである。すなわち、バイオマスが、コークス層内に入ってしまうと、そこで熱分解した揮発分が、プレチャンバ空間で空気と反応し、コークス表面での固気反応に優先して消費するのは困難となり、硫黄化合物低減効果が得られにくいものである。
【0039】
また、未投入時と比べ硫黄化合物(SOX)量が約60%以下になる条件が、バイオマスの大きさが100mmより大きい粒子の割合が20質量%以下であり、約40%以下になる条件がバイオマスの大きさが100mmより大きい粒子の割合が10質量%以下の場合である。詳しくは、図2に示すように、バイオマス未投入時の放散ガス中の硫黄化合物(SOX)量約53ppmに対して、約40%以下の約21ppm以下になるのが、バイオマスの大きさが100mmより大きい粒子の割合が10質量%以下である。ただし、本発明は、かかる範囲に制限されるべきものではなく、図2からわかるように、100mmより大きい粒子の割合が90質量%においても、未投入時と比べ硫黄化合物低減効果が得られ、かかる硫黄化合物低減効果に応じて、装置のメンテナンス回数低減効果が得られるものである。
【0040】
なお、バイオマスの炭化に関しては、コークス層内に入れば反応に十分な時間(1時間以上)があるため、問題はない。
【0041】
上記バイオマスは、コークス1トン当り1kg以上、好ましくは1〜150kg、より好ましくは5〜50kgの範囲で投入することが望ましい。これは、プレチャンバ内部に存在する空気量が、CDQの稼動条件によって変動するため、上記の如く広い範囲で利用可能なものである。すなわち、コークス投入時にCDQの上蓋を開く際に自然流入する空気量だけの場合もあれば、他の目的、例えば、ガス成分の安定化やバイオマスの燃焼によるエネルギー回収の増量などの目的で積極的に導入される空気量もある。なお、従来法では、エネルギー回収の増量の目的に空気を導入してコークスを燃焼させていたが、これではコークス燃焼による硫黄化合物の低減目的が達成できないため、本発明では、エネルギー回収の増量の目的に空気を導入する場合にも、当該空気量全量を投入するバイオマスで代替燃焼させることにしたものである。上記バイオマスの投入量が、コークス1トン当り1kg未満の場合には、プレチャンバ内部に存在する空気量をバイオマスの代替燃焼だけで消費するのに十分でない場合があり、代替燃焼で消費されなかった空気がコークスと反応して燃焼することになるため、硫黄化合物の低減効果が減少することになる。一方、上限に関しては、特に制限されるべきものではない。すなわち、プレチャンバ内部に存在する空気量をバイオマスの代替燃焼により消費するのに十分な量以上があればよい。なお、プレチャンバ内部に存在する空気が消費された後に残るバイオマスは、赤熱コークスの顕熱で乾留される。これは、赤熱化したコークスの温度でプレチャンバ内の炭素源であるバイオマスが空気と優先的に反応して消費されるため、すぐに還元雰囲気となり、残るバイオマスは、乾留すなわち熱分解が進行する。熱分解された後のバイオマス残渣は炭素分が多い固形分になる。そのため、余分のバイオマスは、バイオマスの熱量をガスと固形分に転換した分、コークス生産量が削減可能となるため有利であるほか、現在有効利用が限られており、処分に困っているバイオマスを大量に有効利用することができ、かつカーボンニュートラルであることから、地球温暖化問題やエネルギーリサイクル社会形成へ重要なエネルギー源ともなりえる点で特に有利である。すなわち、バイオマスの投入量の上限は、未反応バイオマスが、最終的に200℃程度まで冷却され排出されるコークスに混在したままCDQから排出されない条件、すなわちCDQでバイオマスの乾燥・炭化が十分進む未反応バイオマス層厚み及び伝熱条件から、未反応バイオマス量がコークス量の4割程度まで投入可能であり、またプレチャンバ内の空気量から計算される、該空気と反応して燃焼される反応バイオマス量を算出し、先の未反応バイオマス量に換算して適宜バイオマスの投入量を設定すればよい。
【0042】
また、上記バイオマスは、間欠的になされるコークス乾式消火装置への赤熱コークスの投入と投入の間に、および/または赤熱コークスの投入と同時にプレチャンバ内に投入することを特徴とするものである。赤熱コークスの投入と投入の間に投入した場合には、投入されたコークス層と、投入されたバイオマス層とは、交互にサンドイッチ状のままCDQ内を下降し、下部取出口から順次排出される。また、赤熱コークスの投入と同時に投入した場合には、各ロットごとに投入されたコークスと投入されたバイオマスとの混合層が、ロッドごとに積層された混合層がCDQ内を下降し、下部取出口から順次排出される。
【0043】
本発明の上記要件を明らかにするために、図面を用いて説明する。図1は、本発明に用いることのできる代表的なCDQを模式的に表わした概略図である。
【0044】
まず、図1をもとにCDQの通常操業例を示す。コークス炉201で製造された約1000℃の赤熱コークス151は、押し出し機(図示せず)でバケット車102に押し出され、CDQ101まで搬送された後、CDQ101上部の上蓋103を開けて、プレチャンバ(の空間部分)105に投入される。上蓋103で塞がれていた部分が上部コークス投入口104である。プレチャンバ105内に入った高温の赤熱コークス151は、下部のクーリングチャンバ106内を通過する間に(図中、CDQに投入する赤熱コークスは、符号151を付した太線矢印で表わしている。CDQ内のコークスは、符号153を付すと共に、その移動方向を太線矢印(符号無し)で表わしている。また、クーリングチャンバ106から取り出されたコークス(さらに本発明では、後述するようCDQ内で産生するバイオマス炭化物、さらには石灰や石灰が分解され硫黄分との反応で固定化された石コウなども含まれる)は、符号155を付した太線矢印で表わしている。)、循環ガス107により徐々に冷却されながら200℃程度まで冷却され、クーリングチャンバ106下部の取出口108から取り出される。一方、熱は、例えば、窒素を主成分とする循環ガス107により熱交換器109(ボイラ)で熱回収され、その熱で作られた蒸気111で蒸気タービン113を動かして発電する。このとき残存揮発分等や粉コークス(さらに本発明では、後述するようCDQ内で産生する炭化したバイオマス粉末や石灰粉末や石灰が分解され硫黄分との反応で固定化された石コウ粉末など)が熱交換器109に到達してコーキングや伝熱阻害のトラブルを生じさせないために、プレチャンバ105から出た後のガスの排出口であるリングダクト115近傍で空気117(外気)を追加して完全燃焼させている。さらに、リングダクト115から熱交換器に向う循環経路121上には、ダストキャッチャー123を設けて、上記粉コークス(さらに本発明では、後述するようCDQ内で産生する炭化したバイオマス粉末、さらには石灰粉末や石灰が分解され硫黄分との反応で固定化された石コウ粉末など)を除去・回収し、次の焼結工程に有効利用している。また、熱交換器109(ボイラ)で熱回収された循環ガス107は、循環経路121上に設けた循環ガスブロア125により適当な圧力に調整した後に、循環ガス投入口127より、クーリングチャンバ106に導入すればよい。また、CDQ101内への循環ガス供給流量を一定に保つことができるように、例えば、循環ガスブロア125と循環ガス投入口127の間の循環経路121から循環ガス107の一部を放散できるように、放散ガス抜取経路129を設け、該経路129を通じて放散しても良い。したがって、該経路129上には、必要に応じて、流量調整弁、流量計、排ガス浄化装置(いずれも図示せず、省略した。)などが設けられていてもよいことは言うまでもない。図中には、コークスの移動を太線で、ガスの移動を細線で示した。
【0045】
次に、本発明の上記要件を適用してバイオマスを投入する実施形態を図1を用いて説明する。
【0046】
(1)赤熱コークス151の投入は、数分〜数10分間隔で行われるバッチ投入であるため、本発明のバイオマスの投入形態としては、投入タイミングのとりやすい赤熱コークス151の投入と投入の間にバイオマス161を投入装置163を介してプレチャンバ105内に投入するのが望ましく、より好ましくは、赤熱コークス151の投入直後にプレチャンバ105内に投入するものである。これは、先述したように、投入したバイオマス161をプレチャンバ105空間部分の空気と優先的に反応させるには、投入した赤熱コークス表面をバイオマスで素早く覆い、プレチャンバ空間部分の空気とバイオマスが接触する環境を作り出すのが、優先的な反応が生じやすいためである。なお、赤熱コークス151の投入と投入の間でも、次の赤熱コークスの投入直前にバイオマスを投入する場合には、該バイオマスの大きさ等を変更することで、短時間で空気と反応し終わるようにするのが望ましい。そうしないと、次の赤熱コークスが投入されてしまい、未反応バイオマスがコークスに挟まれてしまうことで、プレチャンバ空間部分の空気と優先的に反応させるのが困難となるためである。
【0047】
ここで、赤熱コークス151の投入と投入の間とは、あるロットの赤熱コークスの投入時にバケット車内にコークスが無くなった時点から、次のロットの赤熱コークスの投入時にバケット車下部の開放が始まる直前までをいう。
【0048】
また、本発明のバイオマスの投入形態では、(2)赤熱コークス151の投入と同時に、バイオマス161を投入装置163を介してプレチャンバ105内に投入してもよい。本発明の主目的は、バイオマスによるコークスの代替燃焼による硫黄化合物の低減にあるが、さらにバイオマスを利用して、エネルギー回収の増量やコークス生産量(使用量)の削減などの目的で利用することもできる。そのため、こうした目的で投入されるバイオマスは、投入時から赤熱コークス層内に分散される形態であってもよいため、赤熱コークス151の投入と同時に投入する形態を含めたものである。この場合も、プレチャンバ105内に存在する空気と優先的に反応できるように、コークスが投入し終わる際にバイオマスも投入し終わるようにして、投入コークス表層部にバイオマスが存在するようにするのが望ましい。
【0049】
なお、「同時に投入する」とは、あるロットの赤熱コークスがバケットから落下開始した時点から落下終了した時点までの間にバイオマス投入を開始しかつ終了させるという意味であり、同じ時間帯に投入することにより、コークス落下時の拡散を利用してコークスと平均的に混合させることでバイオマスの炭化むらを少なくして、炭化物としての回収量を増やすことができる。
【0050】
さらに、(3)本発明のバイオマスの投入形態としては、上記(1)および(2)のバイオマスの投入形態を組み合わせても良い。すなわち、赤熱コークスの投入と投入の間に、および赤熱コークスの投入と同時にプレチャンバ内にバイオマスを投入するようにしてもよい。これにより、バイオマスの利用目的に応じて必要な量のバイオマスをコークス層内ないしコークス表層部に投入することができる点で有用である。
【0051】
なお、本発明では、赤熱コークス151の投入と投入の間におよび/または赤熱コークス151の投入と同時に、投入ロットの赤熱コークス151量に対応するバイオマスを一時に全量投入してもよいし、一定期間内にわたって連続的に投入してもよいし、あるいは断続的に投入してもよいなど、特に制限されるものではない。連続的または断続的に一定期間内に投入する場合には、投入量を一定にして行ってもよいし、投入量を経時的に変動するように投入してもよい。例えば、プレチャンバ内の残存空気量(自然流入量および他の目的による積極投入量とバイオマスの代替燃焼による消費量との差異)の変動をセンサなどでモニタしながら、該残存空気量の変動に併せて投入するバイオマス量を変動させるなどしてもよい。
【0052】
また、上記バイオマスは、CDQ上部のコークス投入口および/またはプレチャンバに設置された1若しくは2以上の投入口から投入することを特徴とするものである。
【0053】
すなわち、上記バイオマス161のプレチャンバ105内への投入位置は、コークス投入口104からの場合と、新規にプレチャンバ105に設置された1若しくは2以上のバイオマス投入口165からの場合があり、これらを併用しても良い。
【0054】
ここで、プレチャンバ105に設置するバイオマス投入口165の数は、特に制限されるものではないが、プレチャンバ内に均等に拡散させ、なるべく均一・層状にプレチャンバ105内に堆積させ、プレチャンバ105内の空気との反応効率を高めることが望ましいことから、プレチャンバ105の内周囲に等間隔で2箇所以上、好ましくは3箇所以上、より好ましくは4〜16箇所程度設けるのが望ましい。ただし、17個以上でも問題ないが、装置構成及び制御が複雑化してくるため、簡素化の観点からは16個以下で十分である。また複数のバイオマス投入口を設ける場合、内周面の同一円周上(すなわち、同じ高さ)に設置するのが、各投入口からのバイオマスの投入量ないし流量、搬送ガス量ないし流量、投入流速、投入角度などを制御ないし決定するのが容易である。
【0055】
複数の投入口165を設ける場合には、各投入口からの投入量や投入時期や投入流速等を同期させて(同じになるようにして)バイオマスを投入するようにしてもよいし、投入口ごとにバイオマスの投入量や投入時期や投入流速などを変えるようにしてもよい。いずれにしても、本発明の目的であるバイオマスの代替燃焼による硫黄化合物の発生自体を抑制し低減する目的を効率よく達成できるものであれば、特に制限されるものではない。例えば、プレチャンバの中央部付近と側面部付近とでバイオマスの分布にバラツキが生じないように、投入口ごとに投入量や投入時期や投入流速を変動させるなどして、局所的にバイオマスが不足してコークスの燃焼が生じることがないように、全体に均一にバイオマスが投入されるように調整するのが望ましい。さらに、必要があれば、投入時期によって、バイオマスの種類やブレンドのしかたを変えるなどしてもよいことはいうまでもない。
【0056】
また、バイオマス投入口の設置高さは、CDQ内コークス153の堆積上面より上であればよいが、設置の容易さなどを考慮すると、より好ましくは図1に示すように、リングダクト115よりも上部のプレチャンバ105に設けるのが望ましいが、プレチャンバの上蓋103に設けてもよい。
【0057】
また、各投入口からのバイオマスの投入量や投入流速(流量)や投入角度などに関しては、バイオマスの全体投入量、投入時期、投入位置(上部ないし内周囲)、投入数などに応じて適宜決定されるべきものであり、バイオマスの投入目的を達成することができるように適宜最適な条件を事前に予備実験等やコンピュータ等でシミュレーションを行うなどして決定すればよい。特に、これら各投入口からのバイオマスの投入量や投入流速(流量)や投入角度に関しては、後述する搬送ガス量を変動させるなどして、バイオマスがプレチャンバ内に均一に分散されるように制御するのが望ましい。
【0058】
また、コークス投入口からバイオマスを投入する場合には、投入時期にもよるがコークスの投入と投入の間に行う場合には、コークス投入口は、全開しなくてもよく、バイオマスが投入できる程度にわずかに開口させてもよい。また、上蓋103の一部にバイオマス投入用に別途投入口を設けておいて、該投入口を通じて投入することで、流入する空気量を制御するようにしてもよい。したがって、コークス投入口からバイオマスを投入する場合にも、バイオマス投入口を複数設けることは可能である。ただし、装置構成が複雑化するおそれがあるため、バイオマス投入時にも上蓋103を開口させるのが簡便ではある。
【0059】
また、上部コークス投入口あるいはプレチャンバ(内周面)に設けたバイオマス投入口から投入する場合には、プレチャンバ内に均等に拡散させることができるように、投入口を拡径させたり、投入口先端に可動式の機構やノズルを設けるなどして、拡散し易くしてもよいが、後述する搬送ガスを利用して拡散させるのがより望ましい。これは、投入口での雰囲気温度が高温となるため、既存の駆動装置や機構等が利用できても、使用部材には高耐熱性部材が要求されるため、コスト面で実用化しにくいためである。
【0060】
なお、赤熱コークスの投入と同時の場合には、プレチャンバ105内周面に設けたバイオマス投入口165からから中央部に向けて投入しても、落下する赤熱コークス151に邪魔されて、バイオマス161を均一に分布させるのが困難であるため、この場合にはコークス投入口104から赤熱コークス151と一緒にバイオマス161を落下させる方が適している。
【0061】
上記バイオマスの投入(搬送)方法としては、各投入位置で、適当な投入装置163、例えば、スクリューフィーダー、テーブルフィーダー等の切り出し装置で自重によって落下させる方法と、窒素および/または循環ガス(の一部)を搬送ガスとして用いて気流搬送によって投入する(吹き込む)方法がある。
【0062】
後者の、窒素および/または循環ガス(の一部)を搬送ガスとして用いて気流搬送によって投入する(吹き込む)方法のうち、循環ガスを用いる場合には、図1に示すように、ガス温度が下がった時点、たとえば循環用の循環ガスブロワ125後のガスを一部分岐して、投入装置163、例えば、テーブルフィーダー等の切り出し設備まで配管166で引き、該切り出し設備からバイオマス投入口165までのバイオマス搬送用配管167内に当該循環ガスを搬送ガスとして供給できるように、切り出し設備と組み合わせて使用する。窒素ガスの場合も、外部より窒素を配管168で投入装置163、例えば、テーブルフィーダー等の切り出し設備まで引き、同様に切り出し設備からバイオマス投入口165までのバイオマス搬送用配管167内に当該窒素ガスを搬送ガスとして供給できるように切り出し設備と組み合わせて使用する。さらに、窒素ガスと循環ガスの双方を搬送ガスとして用いる場合には、上記した双方の配管経路を設けておけばよい。こうすることで、必要に応じて、窒素ガスと循環ガスを同時に併用することもできれば、交互に使用することができるように、それぞれの配管経路の開閉を切り替えることもでき、効率よく搬送ガスの供給が可能となる。
【0063】
なお、本発明では、搬送ガスとして用いることのできるものとしては、上記した窒素ガス、循環ガスに何ら制限されるべきものではなく、不活性ガス(アルゴンガスなど)、空気(特に自然流入以外の他の目的で積極投入される空気の一部を用いてもよい)、製鉄設備で産生される各種ガス、例えば、コークス炉ガス、高炉ガス、転炉ガスなどが好適に使用できる。
【0064】
気流搬送の優位性は、より少ない投入口数で分散範囲を拡大できることから自重落下の場合より層厚みの均一性が増す(コークス投入と同時の場合は、分散性の向上)ことにある。また、搬送ガスに循環ガス107を使用することで、窒素ガス使用のコストデメリットを最小限にすることも可能である。
【0065】
また、自重によって落下させる方法は、特に搬送ガスを必要とせず、ランニングコストを抑えることができる点にある。特に、コークス投入口104からバイオマスを投入する場合には、自重落下でもプレチャンバ内のガスが熱対流しているため適度に分散されるため、好適である。
【0066】
次に、本発明のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法では、バイオマスのほかに、さらに石灰を、コークス乾式消火設備に投入することが望ましい。これは、バイオマスを利用してコークスの代替燃焼を図り、コークスの燃焼を抑えて、コークスからの硫黄化合物の発生そのものを抑える方法(発明)とは異なり、コークスよりも硫黄含有量が低いバイオマスでも、燃焼により硫黄化合物を発生させること、また極少量ではあるがコークスも燃焼され同様に硫黄化合物を発生させることから(後述する実施例結果から、バイオマス未投入時にSOX量53ppmが21ppmに低下するが、0にはならない。硫黄化合物低減率40%であった。)、本発明者らは、発生した硫黄化合物を除去・回収する方法(後述する実施例結果から、石灰未投入時にSOX量13ppmが1ppmにまで大幅に低減する。脱硫率は、後述する実施例結果から実に92%であった。)を見出し、上記バイオマスの代替燃焼技術と組み合わせることで、より一層の硫黄化合物低減効果が得られ、系内の酸腐食の問題をほぼ完全に解消することができる(よりメンテナンスフリーな環境に近づく)ことを見出したものである。
【0067】
以下、石灰による硫黄化合物の除去・回収技術に関し、詳しく説明する。
【0068】
まず本発明に用いられる石灰としては、炭酸カルシウム(CaCO3)、消石灰(水酸化カルシウム;Ca(OH)2)、またはこれら一つ以上と生石灰(酸化カルシウム;CaO)の混合物を指す。炭酸カルシウムを主体とする天然の石灰石も本発明でいう石灰の範疇に入る。
【0069】
本発明に用いられる石灰の投入個所は、バイオマスのように必ずしもプレチャンバ内に投入する必要はない。これはバイオマスのようにプレチャンバ内に存在する空気を消費させるのが目的ではなく、ガス状の硫黄化合物との反応により硫黄分を固定化させることを主旨としており、そのためには赤熱コークスの顕熱を利用して石灰の熱分解反応を進行させるものであればよく、プレチャンバへの投入前に事前に石灰の予熱によるコークス顕熱の有効利用と同時に石灰の熱分解反応を進めておいてもよいといえる。
【0070】
したがって本発明では、図1に示すように、(A)石灰181aを、コークス乾式消火設備(CDQ)101における赤熱コークス151の投入空間であるプレチャンバ105に(直接)投入するようにしてもよいし、(B)石灰181bを、コークス乾式消火設備(CDQ)101における赤熱コークス151の移動および投入設備であるバケットおよび/またはバケット車103に投入するようにしてもよいし、上記(A)と(B)の双方で投入してもよい。
【0071】
以下、上記(A)の方法と、(B)の方法に分けて説明する。
【0072】
<上記(A)の方法について>
上記(A)の方法の場合には、基本的には石灰の投入時期、投入方法などに関しては、上記バイオマスの投入について説明したと同様にすることができるものである。すなわち、石灰を、間欠的になされるコークス乾式消火装置への赤熱コークスの投入と投入の間に、および/または赤熱コークスの投入と同時にプレチャンバ内に投入するようにすればよく、その詳細に関しては、先にバイオマスの投入の説明で図1を用いて説明したのと基本的には同様であるが、本発明の権利範囲(権利解釈上)の疑義が生じないように以下に説明する。
【0073】
まず、赤熱コークスの投入と投入の間に投入した場合には、投入されたコークス層と、投入された石灰層(さらにバイオマス層が途中に介在することもあり得る。)とは、交互にサンドイッチ状のままCDQ内を下降し、下部取出口108から排出されるまでに、石灰層は熱分解反応、さらには脱硫反応を受けて石コウに固定化されてコークス表面に付着する形で排出される。また、赤熱コークスの投入と同時に投入した場合には、同時に投入された赤熱コークスと石灰との混合層が、ロットごとに積層されCDQ内を下降し、下部取出口108から排出されるまでには、同様に石灰は熱分解反応、さらには脱硫反応を受けて石コウに固定化されて整粒コークス表面に付着する形で排出される。
【0074】
次に、本発明の上記(A)の方法を適用して石灰を投入する実施形態を図1を用いて説明する。
【0075】
(A−1)赤熱コークス151の投入は、数分〜数10分間隔で行われるバッチ投入であるため、本発明の石灰の投入形態としては、投入タイミングのとりやすさの観点からは、赤熱コークス151の投入と投入の間に石灰181aを適当な投入装置183(バイオマスの投入装置と併用する場合には図中の投入装置163)を介してプレチャンバ105内に投入すればよいといえる。これは、先述したように、投入した石灰181aを赤熱コークスの顕熱(さらにはバイオマスの燃焼熱)を利用して熱分解反応および脱硫反応を進行させることができればよく、通常、CDQ101内部は、赤熱コークスの顕熱(さらにはバイオマスの燃焼熱)により空間部分も1000〜1100℃の温度雰囲気にあるため、コークスと均一に混合された状態でなくともよいためである。さらに、CDQ101内部を通過される間に800〜1000℃の温度領域での滞留時間は、約1時間あるため、この領域を通過する間に十分な反応が進行するため、投入形態については、特に制限されるものではないといえる。
【0076】
また、本発明のバイオマスの投入形態では、(A−2)赤熱コークス151の投入と同時に、石灰181aを投入装置183(または投入装置163)を介してプレチャンバ105内に投入してもよい。石灰の場合、CDQ101内で分解されて循環ガス中の硫黄化合物と脱硫反応することで硫黄化合物を固定化することが可能なため、プレチャンバ内部に投入されすれば、石灰投入目的を達成することができる。
【0077】
(A−3) 本発明の石灰の他の投入形態としては、上記(A−1)および(A−2)の石灰の投入形態を組み合わせても良い。すなわち、赤熱コークスの投入と投入の間に、および赤熱コークスの投入と同時にプレチャンバ内に石灰を投入するようにしてもよい。これにより、利用目的に応じて必要な量の石灰をコークス層内ないしコークス表層部に投入することができる点で有用である。
【0078】
上記(A)の方法では、赤熱コークス151の投入と投入の間におよび/または赤熱コークス151の投入と同時に、投入ロットの赤熱コークス151量に対応する石灰181aを一時に全量投入してもよいし、一定期間内にわたって連続的に投入してもよいし、あるいは断続的に投入してもよいなど、特に制限されるものではない。連続的または断続的に一定期間内に投入する場合には、投入量を一定にして行ってもよいし、投入量を経時的に変動するように投入してもよい。
【0079】
また、上記(A)の方法において、上記石灰181aは、CDQ101上部のコークス投入口104および/またはプレチャンバ105に設置された1若しくは2以上の石灰投入口185(バイオマスの投入口を併用する場合には投入口165)から投入すればよく、特に制限されるものではない。
【0080】
すなわち、上記石灰181aのプレチャンバ105内への投入位置は、コークス投入口104からの場合と、新規にプレチャンバ105に設置された1若しくは2以上の石灰投入口185やバイオマス投入口165からの場合があり、これらを適用に併用しても良い。
【0081】
ここで、プレチャンバ105に設置する石灰投入口185(ないしバイオマス投入口165)の数は、特に制限されるものではないが、プレチャンバ内に均等に拡散させ、なるべく均一・層状にプレチャンバ105内に堆積させ、プレチャンバ105内の循環ガス中の硫黄化合物との接触効率(ひいては反応効率)を高めることが望ましいことから、プレチャンバ105の内周囲に等間隔で2箇所以上、好ましくは3箇所以上、より好ましくは4〜16箇所程度設けるのが望ましい。ただし、17個以上でも問題ないが、新たに石灰投入口185を設ける場合には、バイオマス投入口165との関係で装置構成及び制御が複雑化してくるため、簡素化の観点からは17個以下で十分である。また複数の石灰投入口185を設ける場合、内周面の同一円周上(すなわち、同じ高さ)に設置するのが、各投入口からの石灰181aの投入量ないし流量、搬送ガス量ないし流量、投入流速、投入角度などを制御ないし決定するのが容易である。
【0082】
また、複数の投入口185を設ける場合には、各投入口からの投入量や投入時期や投入流速等を同期させて(同じになるようにして)石灰181aを投入するようにしてもよいし、各投入口ごとに石灰の投入量や投入時期や投入流速などを変えるようにしてもよい。いずれにしても、コークスの顕熱ないしバイオマスの燃焼熱を有効に利用して、石灰の熱分解反応および脱硫反応により硫黄化合物を固定化し、硫黄化合物をより一層低減する目的を効率よく達成できるものであれば、特に制限されるものではない。例えば、プレチャンバの中央部付近と側面部付近とで石灰の分布にバラツキが生じないように、各投入口ごとに投入量や投入時期や投入流速を変動させるなどして、局所的に石灰が不足して、循環ガス中の硫黄化合物との反応効率が低下することがないように、全体に均一に石灰が投入されるように調整するのが望ましい。さらに、必要があれば、投入時期によって、石灰の種類やブレンドのしかたを変えるなどしてもよいことはいうまでもない。
【0083】
また、上記(A)の方法での石灰投入口の設置高さは、CDQ内コークス153の堆積上面より上であればよいが設置の容易さ等を考慮すると、より好ましくは、図1に示すように、リングダクト115よりも上部のプレチャンバ105に設けるのが望ましいが、プレチャンバ投入蓋103に設けてもよい。
【0084】
また、上記(A)の方法での、各投入口からの石灰の投入量や投入流速(流量)や投入角度などに関しては、石灰の全体投入量、投入時期、投入位置(上部ないし内周囲)、投入数などに応じて適宜決定されるべきものであり、石灰投入目的を達成することができるように適宜最適な条件を事前に予備実験等やコンピュータ等でシミュレーションを行うなどして決定すればよい。特に、これら各投入口からの石灰の投入量や投入流速(流量)や投入角度に関しては、後述する搬送ガス量を変動させるなどして、石灰がプレチャンバ内に均一に分布するように調整するのが望ましい。
【0085】
また、上記(A)の方法において、コークス投入口104またはコークス上蓋103から石灰181aを投入する場合には、投入時期にもよるが赤熱コークス151の投入と投入の間に行う場合には、コークス投入口104は、全開しなくてもよく、石灰が投入できる程度にわずかに開口させてもよい。また、上蓋103の一部に石灰投入用に別途投入口(図示せず)を設けておいて、該投入口を通じて投入する(落下させる)してもよい。したがって、コークス投入口から石灰を投入する場合にも、石灰投入口を複数設けることは可能である。ただし、装置構成が複雑化するおそれがあるため、石灰投入時にも上蓋103を開口させるのが簡便ではある。
【0086】
また、上記(A)の方法において、石灰を上部コークス投入口104あるいはプレチャンバ105内周面に設けた石灰投入口185ないしバイオマス投入口165から投入する場合には、プレチャンバ105内に均等に拡散(分布)させることができるように、これらの投入口を拡径させたり、投入口先端に可動式の機構やノズルを設けるなどして、拡散し易くしてもよいが、後述する搬送ガスを利用して拡散させるのがより望ましい。これは、投入口での雰囲気温度が高温となるため、既存の駆動装置や機構等が利用できても、使用部材には高耐熱性部材が要求されるため、コスト面で実用化しにくいためである。
【0087】
なお、上記(A−2)の赤熱コークス151の投入と同時に石灰181aを投入する場合には、プレチャンバ105内周面に設けた石灰投入口185ないしバイオマス投入口165から中央部に向けて投入しても、落下する赤熱コークス151に邪魔されて、石灰を均一に分布させるのが困難であるため、この場合にはコークス投入口104から赤熱コークス151と一緒に石灰181aを落下させる方が適している。
【0088】
上記(A)の方法での石灰の投入(搬送)方法としては、各投入位置で、適当な投入装置163、例えば、スクリューフィーダー、テーブルフィーダー等の切り出し装置で自重によって落下させる方法と、窒素および/または循環ガス(の一部)を搬送ガスとして用いて気流搬送によって投入する(吹き込む)方法がある。
【0089】
後者の、窒素および/または循環ガス(の一部)を搬送ガスとして用いて気流搬送によって投入する(吹き込む)方法のうち、循環ガスを用いる場合には、図1に示すように、ガス温度が下がった時点、例えば、循環用の循環ガスブロワ125後のガスを一部分岐して、投入装置183ないし163、例えば、テーブルフィーダー等の切り出し設備まで配管186ないし166で引き、該切り出し設備から石灰投入口185ないしバイオマス投入口165までの石灰搬送用配管187ないしバイオマス(石灰併用)搬送用配管167内に当該循環ガスを搬送ガスとして供給できるように、切り出し設備と組み合わせて使用する。窒素ガスの場合も、外部より窒素を配管188ないし168で投入装置186ないし163、例えば、テーブルフィーダー等の切り出し設備まで引き、同様に切り出し設備から石灰投入口185ないしバイオマス投入口165までの石灰搬送用配管187ないしバイオマス(石灰併用)搬送用配管167内に当該窒素ガスを搬送ガスとして供給できるように切り出し設備と組み合わせて使用する。さらに、窒素ガスと循環ガスの双方を搬送ガスとして用いる場合には、上記した双方の配管経路を設けておけばよい。こうすることで、必要に応じて、窒素ガスと循環ガスを同時に併用することもできれば、交互に使用することができるように、それぞれの配管経路の開閉を切り替えることもでき、効率よく搬送ガスの供給が可能となる。同様の観点から、配管166の一部を分岐して投入装置183にまで循環ガスを供給するようにしてもよいし、その逆であってもよい。同様に、配管168の一部を分岐して投入装置183にまで窒素ガスを供給するようにしてもよいし、その逆であってもよい。
【0090】
気流搬送の優位性は、より少ない投入口数で分散範囲を拡大できることから自重落下の場合より層厚みの均一性が増す(コークス投入と同時の場合は、分散性の向上)ことにある。また、搬送ガスに循環ガス107を使用することで、窒素ガス使用のコストデメリットを最小限にすることも可能である。
【0091】
また、自重によって落下させる方法は、特に搬送ガスを必要とせず、ランニングコストを抑えることができる点にある。特に、コークス投入口104から石灰を投入する場合には、自重落下でもプレチャンバ105内のガスが熱対流しているため適度に分散されるため、好適である。
【0092】
<上記(B)の方法について>
まず、上記バケットとバケット車は、以下のように区別するものとする。バケットとは赤熱コークス移送容器をいい、バケット車とは、図1に示すように、搬送し易いように適当な(車輪等のついた)台車を有するものとする。なお、本発明では、これらに制限されるべきものではなく、他の移動および投入設備を用いることができることはいうまでもない。
【0093】
また、上記(B)の方法に関し誤解がないように説明すれば、石灰の移動および投入設備であるバケットおよび/またはバケット車103には、上記したように赤熱コークスの顕熱を利用できるように、赤熱コークス151が石灰181bの投入前、投入と同時および/または投入後のいずれかに積載される必要がある。よって該バケットおよび/またはバケット車103には、赤熱コークス151及び石灰181bが積載された状態でCDQ101のプレチャンバ105(詳しくはコークス投入口104の上方)まで搬送され、投入されるものである。したがって、石灰181bのみを専用のバケットおよび/またはバケット車103に投入してプレチャンバ105まで搬送し、投入してもよいが、その場合には、実質上、上記(A)の方法の範疇に含まれるものといえる。なお、「石灰を、コークス乾式消火設備に投入する」方法には、上記(A)および/または(B)の方法を包含する。これは、バケットおよび/またはバケット車はCDQ101に含まれないが、外部設備である「バケットおよび/またはバケット車に石灰を投入する」という(B)の方法は、その後、バケットおよび/またはバケット車内のコークス及び石灰をCDQに投入することが必須の行為になるため、結果的に「石灰を(バケットおよび/またはバケット車を使用して)、CDQに投入する」ことになるため、(B)の方法も包含されるものとした。
【0094】
また、上記したようにバケットおよび/またはバケット車(以下、単にバケット車等ともいう。)への石灰の投入時期は、特に制限されるものではなく、赤熱コークスの積載前、積載と同時および/または積載後のいずれかに行えばよい。いずれでもコークスの顕熱を有効利用して石灰の余熱を行うことができるためである。なお、石灰投入装置の配置や投入のしやすさの関係からは、▲1▼赤熱コークスを積載する前に予め石灰をバケット車等に投入する。例えば、赤熱コークスをCDQに投入後の空のバケット車等がコークス炉に戻る途中に、石灰投入装置を設けておき、そこで空のバケット車等に石灰を積載し、その後赤熱コークスを押し出して積載するようにしてもよい。▲2▼コークスを積載したバケット車等に石灰を投入する。例えば、押出機でコークスを押し出してバケット車等に積載した後に、該バケット車等を石灰投入口直下まで移動させて石灰を自然落下させるようにしてもよい。いずれも操作が簡便で、投入装置が他のコークス押出機やCDQの設備と干渉することがない点でも有利である。▲1▼では、コークス積載後に余分な時間をかけることなくCDQまで搬送できる。▲2▼では、コークス表面を石灰で覆うことで、空気との接触を断つこができ、搬送中にコークスが燃焼するのを効果的に防止できる。
【0095】
次に、バイオマスとの関係についてみれば、それぞれ別々の投入方法や投入装置や投入口や搬送手段を設けて行うようにしてもよいし、投入前にバイオマスと石灰を所定の比率で混合するなどして、両者をまとめて取り扱うようにしてもよいなど特に制限されるべきものではない。両者をまとめており扱うのが付随する設備を少なくできて便利である。一方、両者を別々に分けて投入する場合には、両者の特性が最大限生かせるタイミングで最適の投入個所から投入できる点で優れており、それぞれに一長一短があり、使用目的やコストを勘案して両者の取り扱いを決定するのがよいといえる。また、その制御管理も双方を相互に独立にして行うようにしてもよいし、双方を一体で制御管理するようにしてもよいなど、特に制限されるものではない。
【0096】
また、前記石灰を上記(A)および/または(B)の方法により、最終的にプレチャンバに投入する場合に、前記プレチャンバ内部の空間の一部または全部が、1000〜1100℃の雰囲気温度であることが望ましい。これは、コークス顕熱を反応に利用するものであるが、該反応温度(=プレチャンバ内部空間の雰囲気温度)を高くとることで、石灰の熱分解反応(CaCO3→CaO+CO2)、さらには熱分解成分(CaO)とガス中の硫黄化合物(SO2やH2S)との脱流反応(▲1▼CaO+SO2+1/2O2→CaSO4または▲2▼CaO+H2S→CaS+H2O、CaS+2O2→CaSO4の各反応)により硫黄分(SOX、H2S)が石コウ(CaSO4)の形で固定化されてガス中から除去、回収(コークス表面に付着する)されるが、その反応速度が速くなり脱硫効果が高くなる点で有利である。特に本発明では、バイオマスを代替燃焼、さらにはエネルギー回収目的でも燃焼させ得るころから、プレチャンバ空間部分を上記雰囲気温度に高めることが容易である。なお、固定化されてコークス表面に付着したCaSO4粉末は、未反応CaCO3、CaO等と共に、CDQ下部の取出口108からコークスと共に取り出された後、分級されて、粉コークスと共に次工程である焼結工程に送られる。ここで、通常、鉄鉱石に粉コークスと共に石灰を加えて焼結を行うものであるが、本発明では、粉コークスに含まれるCaCO3、CaO粉末を石灰代替材料としてそのまま有効活用することができ、焼結工程での石灰の低減効果がある点で、極めて効率的な利用が図られるものである。CDQ、焼結工程のどちらでCaSO4になるにしても、製鉄プロセスにおける脱硫剤として有効に利用される。
【0097】
なお、プレチャンバ内部の空間の雰囲気温度が、1000℃未満の場合には、反応効率を高めることができないため、硫黄化合物の除去率(脱硫率)を高くできないおそれがある。一方、1100℃を超える場合には、こうした高温の雰囲気温度を維持するためにより多くのバイオマスを燃焼させることができ、エネルギー回収の増量化の点では有利であるが、それに伴う硫黄化合物の新たな発生を招くため、石灰投入量を増量しなければならず、その分の費用が増える。
【0098】
なお、ここで、プレチャンバ内部の空間の一部または全部としたのは、プレチャンバ内部全体が均一な温度分布ではなく、局所的に上記温度範囲を外れていても特に問題がないためである。
【0099】
また、前記石灰は、10mm以下の粒径の石灰を10質量%以上含むことが望ましい。より詳しくは10mm以下の粒径の石灰を10〜100質量%、好ましくは50〜100質量%の範囲であり、10mmを超えて200mm以下の粒径の石灰を0〜90質量%、好ましくは0〜50質量%の範囲で含むものが望ましい。なお、200mmを超える粒径の石灰を含んでいてもよい。こうした大きな石灰は、CDQ内を通過する際に割れて200mm以下になり易く、通常はこうした大きな粒子でもCDQを通過するまでに十分に熱分解され、本発明の目的を達成し得るためである。また、完全に熱分解されていない場合でも、その後の分級で粉コークスと共に焼結工程に送られる程度にまで微粒化していれば、焼結工程での石灰原料として有効利用できるため問題はない。なお、10mm以下の粒径の石灰を10質量%以上、好ましくは50〜100質量%(全量)含むとしたのは、通常、焼結利用の石灰を10mm以下としているため、これらと同等の大きさか、それ以下とするのが取り扱い上便利であるためである。以上のことから、本発明では、例えば、焼結での石灰等の粒径が10mm以下ではなく、例えば、20mm以下のものを用いている場合もあり得ることから、本発明の上記規定はより広義には、使用する焼結での石灰の粒径以下(例えば、使用する焼結での石灰等が10mm以下であれば、10mm以下となるし、使用する焼結での石灰等が20mm以下であれば、20mm以下となる。)の粒径の石灰を10〜100質量%、好ましくは50〜100質量%の範囲であり、使用する焼結での石灰の粒径を超えて200mm以下の粒径の石灰を0〜90質量%、好ましくは0〜50質量%の範囲で含むものが望ましいということになる。
【0100】
なお、石灰の粒径も、バイオマスと同様に定義することができる。
【0101】
・粉砕機、破砕機等で小粒径化された石灰を、スクリーン等の篩い分け設備で篩上、篩下に分別した際の、篩いの目開きサイズ(スクリーン等の篩いの「目開き」の形態については、図3(B)〜(E)参照のこと。ただし、これらの形態に制限されるものではなく、他の形態でも図3と同様にスクリーン等の篩いの目の長手方向を目開きサイズとすればよい。)を本発明での石灰の大きさ(粒径)と定義する。粉砕機、破砕機は、通常、衝撃、摩擦、切削等により、サイズを細かくする。衝撃系の代表はハンマーミルやボールミル、摩擦系の代表はグラインドミル、切削系の代表はカッタータイプである。石灰の場合には、石炭や食品系の粉砕の場合と同様に、球や立方体に近い形状のものが多く、粒径=粒子のサイズという概念が比較的明確である。従って代表径、平均径等の概念を用い易いが、本発明では、ほとんどの実用破砕工程で使用される篩い分け設備、特にスクリーン等の目開き通過で評価、定義した。本発明で評価、定義のために使用するスクリーンとは、図3で示した破砕機に付属しているスクリーンではなく、たとえば破砕機のスクリーンを通過した破砕物を、別途篩い分けしたときのスクリーンであり、スクリーンと垂直方向への振動を極力抑えることで(傾斜0の時は水平方向に振動)、長軸方向サイズを通過径としようとするものである(ここで、上記破砕物を別途篩い分けしたときのスクリーンの「目開き」の形態については、図3(B)〜(E)で示した破砕機等に付属しているスクリーン等の「目開き」の形態と同様であるため、これを参照のこと。)。
【0102】
前記石灰の投入量としては、上述したように、バイオマスの投入量およびバイオマス中の硫黄含有量などによっても発生する硫黄化合物の量(濃度)が異なることから、一義的に規定することはできず、バイオマスの投入量、硫黄含有量、空気投入量などを十分に勘案して硫黄化合物の発生量を予測して決定すればよい。おおよその目安としては、石灰をコークス1トン当り30〜650gの範囲で投入すればよいといえる。該石灰の投入量がコークス1トン当り30g未満の場合には、硫黄化合物の除去が不十分となるおそれがある。一方、該石灰の投入量がコークス1トン当り650gを超える場合には、十分に硫黄化合物の除去・回収がなされており、さらなる除去回収効果が期待できない。ただし、未反応で残った石灰(分解成分を含む)の量が、上記したように焼結工程での石灰として利用可能な量の範囲内であれば特に問題はない。
【0103】
【実施例】
以下、本発明につき、実施例を挙げて説明するが、本発明がこれらに制限されるべきものでないことは言うまでもない。
【0104】
比較例1(バイオマス未投入、石灰未投入の例)
1トンの赤熱コークスあたりおよそ20Nm3の空気がプレチャンバに入ると仮定して図1に示すCDQを用いて通常の操業を行った。上記空気のうち自然流入を5Nm3と仮定し(この点は、実機のCDQの運用実績からほぼ正確な自然流入量を推測して仮定した。)、残る15Nm3を他の目的で導入した(具体的には、ガス成分の安定化およびバイオマスの燃焼によるエネルギー回収の増量化目的でコークス投入直後に空気を導入した。)。この他の目的で導入した空気量は測定値(実測値)とした。また、本比較例で使用したコークス中の硫黄含有量は0.4質量%(dry)であり、揮発性物質(VM)は3%であった。
【0105】
導入した空気20Nm3中の酸素ガス(O2)量は、4.2Nm3であり、コークス(4.52kg)と燃焼し、18.1gの硫黄(S)がガスに移行する。これにより、12.7NlのSOXが発生する。これを、図1の放散ガス抜取経路129を通じて放散される放散ガス中のSOX濃度として測定した。その結果、バイオマス未投入、石灰未投入の場合の放散ガス中のSOX量は53ppmであった。
【0106】
実施例1(バイオマス投入、石灰未投入の例)
比較例1と同様に、1トンの赤熱コークスあたりおよそ20Nm3の空気がプレチャンバに入ると仮定した。さらに図1中のプレチャンバ105の同一周囲に等間隔で設置された4個所のバイオマス投入口165から均等に、各投入位置で、適当な投入装置163、本実施例ではテーブルフィーダーの切り出し設備を用い、空気を搬送ガスとして用いて気流搬送によって吹き込む方式を用いて(詳しくは、切り出し設備からバイオマス及び搬送ガス流量を調節(変動)することで、各投入口165から同時期に同量のバイオマスを吹き込み、コークス表面上に均一なバイオマス層が形成されるように調整しながら行った。)、間欠的になされるコークス乾式消火装置への赤熱コークスの投入と投入の間に、赤熱コークス1トンあたり10kgのバイオマス(木材;杉材)を投入した以外は、比較例1と同様に図1に示すCDQを用いて通常の操業を行った。なお、本実施例で使用したコークス中の硫黄含有量は、0.4質量%(dry)であり、揮発性物質(VM)は3%であった。また、本実施例で使用したバイオマス(木材)中の硫黄含有量は、0.04質量%(dry)であり、揮発性物質(VM)は79%であった。また、本実施例で使用したバイオマス(杉材)の大きさは、100mmより大きい粒子の割合が10質量%のものを用いた。詳しくは、図3に示すように、ハンマータイプ破砕機:10t/h破砕量、1000rpm、ハンマー幅35mm、ハンマー数30、出側スクリーンサイズ□50mm(目開き、正方形)による破砕物を、振動篩い:□100mmスクリーン(目開き、正方形;図3(B)のスクリーンを用いた。)、傾斜5°、水平かつ傾斜方向に直角な振動振幅10mm、振動回数30回/分で篩った結果、篩い上が10、10、10質量%(試行3回)となったことから、これらを100mmより大きい粒子の割合が10質量%のものとして、本実施例に使用した。
【0107】
本実施例では、プレチャンバ105の空間部分で酸素は、投入されたバイオマスの代替燃焼により全て消費される。これは、O2対C(バイオマス)は、1:1.1(CO換算)で、ほぼ当量のためである。その結果、コークスの燃焼分が0.8kgに減少する。これは、赤熱コークスとプレチャンバの空間部分に存在する空気中の酸素分との燃焼反応は阻止できるものの、バイオマスの代替燃焼で生成したCO2及びH2Oがコークスと反応(▲1▼ソルロス反応:CO2+C(コークス)→2CO、▲2▼水生ガス化反応:H2O+C(コークス)→CO+H2)することで、コークスの一部が消費されるものである。
【0108】
その結果、バイオマスを投入してCDQを操業した場合には、バイオマス由来のSOX2.7Nl(放散ガス中のSOX量11.7ppmに相当する。)とソルロス反応などによるコークス燃焼によるSOX2.1Nl(放散ガス中のSOX量9.4ppmに相当する。)と合わせ、放散ガス中のSOX量は21ppmに低減することが確認された。
【0109】
実施例2(バイオマス投入例)
バイオマスとして杉材(硫黄含有量0.04ppm)に代えて、ボード用チップ(硫黄含有量0.08ppm)、柳材(硫黄含有量0.05ppm)を用いて行った結果、放散ガス中のSOX量は、ボード用チップでは40ppmに、柳材では23ppmにそれぞれ低減することが確認できた。
【0110】
比較例2(石灰未投入例)および実施例3(石灰投入例)
本比較例及び本実施例では、石灰投入による効果のみを検証するため、バイオマスを投入することなく、石灰を投入することにより、コークスが燃焼した際に発生しガス中に移行した硫黄化合物を、石灰の熱分解反応、脱硫反応により固定化することで除去回収し、当該硫黄化合物濃度が低減する効果のみを測定した。
【0111】
まず、1トンの赤熱コークスあたりおよそ5Nm3の空気がプレチャンバに入ると仮定して図1に示すCDQを用いて通常の操業を行った。上記空気は赤熱コークス投入時に上蓋103を開口した際に自然流入する空気量が5Nm3と仮定したものである(この点は、実機のCDQの運用実績からほぼ正確な自然流入量を推測して仮定した。)。また、本実施例で使用したコークス中の硫黄含有量は0.4質量%(dry)であり、揮発性物質(VM)は3%であった。また、プレチャンバ内部の空間部分は、操業中1000〜1100℃の雰囲気温度であった。この雰囲気温度は、プレチャンバ105内部の図1に示す位置に温度センサ191を設置して測定した。
【0112】
導入した空気5Nm3中の酸素ガス(O2)量は、1.05Nm3であり、コークス(1.13kg)と燃焼し、4.5gの硫黄(S)がガスに移行する。これにより、3.2NlのSOXが発生する。これを、図1の放散ガス抜取経路129を通じて放散される放散ガス中のSOX濃度として測定した。その結果、バイオマス未投入、石灰未投入の場合の放散ガス中のSOX量は13ppmであった。
【0113】
一方、比較例2と同様に、1トンの赤熱コークスあたりおよそ5Nm3の空気がプレチャンバに入ると仮定した。さらに図1中のプレチャンバ105の同一周囲に等間隔で設置された4個所の石灰投入口185から均等に、各投入位置で、適当な投入装置183、本実施例ではテーブルフィーダーの切り出し設備を用い、空気を搬送ガスとして用いて気流搬送によって吹き込む方式を用いて(詳しくは、切り出し設備から石灰及び搬送ガス流量を調節(変動)することで、各投入口185から同時期に同量の石灰を吹き込み、コークス表面上に均一な石灰層が形成されるように調整しながら行った。)、間欠的になされるコークス乾式消火装置への赤熱コークスの投入と投入の間に、赤熱コークス1トンあたり300gの石灰を投入した以外は、比較例2と同様に図1に示すCDQを用いて通常の操業を行った。なお、本実施例で使用したコークス中の硫黄含有量は、0.4質量%(dry)であり、揮発性物質(VM)は3%であった。また、本実施例で使用した石灰は、全量炭酸カルシウム(CaCO3)を用いた。さらに、本実施例で使用した石灰の大きさ(粒径)は、10mm以下の粒径の石灰を10質量%含有するものを用いた。詳しくは、図3に示すような、ハンマータイプ破砕機:100kg/h破砕量、200rpm、ハンマー幅10mm、ハンマー数12、出側スクリーンサイズ□50mm(目開き、正方形)による破砕物を、振動篩い:□10mmスクリーン(目開き、正方形;図3(B)のスクリーンを用いた。)、傾斜5°、水平かつ傾斜方向に直角な振動振幅10mm、振動回数30回/分で篩った結果、篩い下が10、9、10質量%(試行3回)となったことから、これらを10mm以下の粒径の石灰が10質量%のものとして、本実施例に使用した。
【0114】
本実施例では、赤熱コークス1トンあたり300gの石灰(CaCO3)の投入してCDQを操業した場合には、放散ガス中のSOX量が1ppmに低減することが確認された。このことから、SOXの固定化による脱硫率は92%に及ぶことが確かめられた。
【0115】
これにより、ボイラ109内部の熱交換用パイプ(水・蒸気循環パイプ)の外表面やボイラの出口部に硫黄化合物がH2SO4ないしH2SO3の形で結露することによる金属の酸腐食による問題が大幅に低減でき、かかる結露の具合から、比較例1に対する実施例1、2の方が良好であった。また、比較例2よりも実施例3の方が良好であった。
【0116】
以上の結果から、バイオマス161及び石灰181a投入により、空気を自然流入以外の他の目的で投入しても、これを消費するだけのバイオマスを投入することで、コークスの代替燃焼のほか、バイオマスによるエネンルギー回収の増量化が図れる。さらに石灰投入により、バイオマス燃焼により発生する硫黄化合物と、バイオマスの燃焼により生成したCO2やH2Oとコークスとの燃焼により発生した硫黄化合物を、熱分解反応、脱硫反応により固定化してしまい極めて高効率に除去回収ができることが確認できたと言える。
【0117】
実施例4
赤熱コークス151を積載したバケット車103に、赤熱コークス1トンあたり300gの石灰181b(CaCO3)を投入した。この場合、バケット車103滞在中に(平均5分)熱分解反応(CaCO3→CaO+CO2)がおこり、分解熱に相当すると考えられる分の蒸気が増加(0.5t/h)する。熱量から7.5%がCDQ101前で分解{蒸気増加量=(0.64−0.635)/(0.702−0.635)×100}しており、従来大気中に放散していた赤熱コークスの顕熱を石灰の分解熱として回収することができた。
【0118】
【発明の効果】
本発明によれば、CDQ内のガス中の硫黄化合物を低減することができる。具体的には、コークス1トン当り20Nm3の空気がプレチャンバに入ったケース(例えば、コークス投入時などに自然流入した空気が5Nm3、ガス成分の安定化やバイオマスの燃焼による硫黄低減効果に加え、CO2削減並びに顕熱回収の増量等の他の目的で導入した空気が15Nm3)では、硫黄化合物であるSOX量が53ppmから21ppmに約40%低減する。そのため、従来、酸腐食に伴うメンテナンス回数が1回/3年であったところが、少なくとも1回/5年程度にまで低減できるため、腐食部分の補修ないし改修に要する貴重な時間、労力、経費を大幅に低減できる。また、改修による研磨により、想定したよりも早く金属腐食部分が設計許容厚さを下回ることになるため、その部分を含む部品の交換が必要であったが、本発明を採用することで、装置寿命も大幅に伸ばすこともできる。また、バイオマスを投入することで、CDQの操業に影響を与えることなく投入コークス、ひいては原料石炭量の代替材料ともなり得るため、これら投入コークス、ひいては原料石炭量を節約することもできる。また、CDQ内で生成したバイオマス由来の揮発分も、その顕熱と燃焼熱がCDQのボイラ(熱交換器)で回収されており、エネルギー回収の増量化が図れるなど、バイオマスのCDQでの有効利用が図られる。
【0119】
さらに、石灰を併用することで、上記効果がより大きく、さらなるメンテナンス回数の低減、装置寿命の長期化が図れるものである。
【0120】
また、CDQで冷却されたコークスは篩いにかけられ、篩上の整粒コークスは高炉に送られる一方、篩下の粉コークスは焼結工程に送られ、焼結鉱を形成するのに用いられる。すなわち焼結工程では、鉄鉱石に粉コークスと石灰を加えて焼結し、10〜20mmに整粒された焼結鉱を形成するものである。本発明では、CDQに加えた石灰が、硫黄をセッコウ(CaSO4)として固定化されてCDQから取り出され、篩い分けで、粉コークスと共に篩下に回収される。そのため、該セッコウ(CaSO4)を焼結工程に用いることで、焼結工程での石灰使用量を大幅に低減もしくは石灰を使用しなくてもよいという効果が得られるものである。なお、硫黄分は、本来、コークス中に含まれているものであり、これが焼結鉱側に一部移行したに過ぎず、高炉に持ち込まれる硫黄量に大差はないため、CDQのガス中から除去、回収した硫黄分は、特に後工程で別途除去するなどの余分の処理や操作を行う必要がない点でも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に用いることのできる代表的なCDQを模式的に表わした概略図である。
【図2】 バイオマス全量に占める、バイオマスの大きさが100mmより大きい粒子の割合と、この割合に対する放散ガス中の硫黄化合物量との関係を示すグラフである。
【図3】 図3(A)は、バイオマスの粉砕に用いられる粉砕機の概略図であり、図3(B)〜(E)は、該粉砕機で小粒径化されたバイオマスのみを通過させるために用いられる該粉砕機出口部に備えられた篩いの目開きの形態および目開きサイズを模式的に表わす図面であると共に、さらに粉砕機の篩いを通過した小粒径化されたバイオマスを、本発明で規定する100mmより大きい粒子の割合を規定し得るように、別途も設けられた篩い分け設備で、100mmより大きい粒子を篩上、100mm以下の粒子を篩下に分別する際の、篩いの目開きの形態および目開きのサイズを模式的に表わす図面でも有り得る。
【符号の説明】
101…CDQ、 102…バケット車、
103…CDQ上部の上蓋、 104…上部コークス投入口、
105…プレチャンバ(の空間部分)、 106…クーリングチャンバ、
107…循環ガス、 108…CDQ下部の取出口、
109…熱交換器109(ボイラ)、 111…蒸気、
113…蒸気タービン、 115…リングダクト、
117…空気(外気)、 121…循環経路、
123…ダストキャッチャー、 125…循環ガスブロア、
127…循環ガス投入口、 129…放散ガス抜取経路、
151…赤熱コークス、 153…CDQ内のコークス、
155…CDQから取り出されたコークス、
161…バイオマス、 163…バイオマス投入装置、
165…バイオマス投入口、 181…石灰、
183…石灰投入装置、 185…石灰投入口、
191…温度センサ、 201…コークス炉、
301…バイオマス原料、 302…破砕機(例;ハンマー型)、
303…回転体、 304…ハンマー(一部)、
305…ハンマー回転方向、 306…バイオマス破砕物、
307…スクリーン、 308…目開き。

Claims (11)

  1. 木材のバイオマスをコークス乾式消火設備における赤熱コークスの投入空間であるプレチャンバに投入すると共に石灰を前記コークス乾式消火設備に投入して、ガス中の硫黄化合物を低減させることを特徴とするコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
  2. 前記石灰を、前記プレチャンバに投入することを特徴とする請求項1に記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
  3. 前記石灰を、前記コークス乾式消火設備における赤熱コークスの移動および投入設備であるバケットおよび/またはバケット車に投入することを特徴とする請求項1又は2に記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
  4. 記バイオマスの大きさが、100mmより大きい粒子の割合を10質量%以下とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
  5. 前記バイオマスを、コークス1トン当り1〜150kgの範囲で投入することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
  6. 前記バイオマスを、間欠的になされる前記コークス乾式消火装置への赤熱コークスの投入と投入の間に、前記プレチャンバ内に投入することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
  7. 前記バイオマスを、前記コークス乾式消火設備上部のコークス投入口および/または前記プレチャンバに設置された1若しくは2以上の投入口から投入することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
  8. 前記バイオマスを、窒素および/または循環ガスを搬送ガスとして用いて気流搬送によって投入することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
  9. 前記プレチャンバ内部の空間の一部または全部が、1000〜1100℃の雰囲気温度であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
  10. 前記石灰が、10mm以下の粒径の石灰を10質量%以上含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
  11. 前記石灰を、コークス1トン当り30〜650gの範囲で投入することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のコークス乾式消火設備内のガス中の硫黄化合物低減方法。
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