JP4093647B2 - クロマン化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はクロマン化合物の製造方法、クロマン化合物の合成に有用な中間体の製造方法、およびクロマン化合物の合成に有用な新規な中間体に関する。
本発明により製造されるクロマン化合物、例えば、2,5,7,8−テトラメチル−6−アセトキシ−2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチルクロマンは、トコフェロール類などの生理活性物質や糖尿病治療薬などの医薬品の中間体として、或いはエンジニアリング樹脂などの高分子材料の中間体として、更には油脂類や合成樹脂などの有機物質の安定剤などとして有用である。
【0002】
【従来の技術】
クロマン化合物の製造方法としては、従来、以下の(a)〜(d)に示す方法が知られている。
(a)アリルフェノールの閉環反応:
フェノール類にハロゲン化アリル、アリルアルコールまたはジオレフィンを反応させて得られるアリルフェノールを閉環させてクロマン化合物を製造する方法(「大有機化学」第14巻、第215〜217頁参照)。
この従来法(a)において、フェノール類としてナトリウムフェノラートを用い、ハロゲン化アリルとして1,1−ジメチル−3−ハロゲン化−1−プロペンを用いる場合について例示すると、下記の反応式で示すとおりである。
【0003】
【化13】
(式中、Xはハロゲン原子を示す。)
【0004】
(b)o−オキシベンジルアルコールと不飽和化合物との反応:
o−オキシベンジルアルコールと不飽和化合物を無溶媒で180〜220℃に加熱して反応させてクロマン化合物を製造する方法(「大有機化学」第14巻、第220頁参照)。
この従来法(b)において、不飽和化合物として1−プロペンを用いる場合について例示すると、下記の反応式で示すとおりである。
【0005】
【化14】
【0006】
(c)o−[1−(アルキルチオ)アルキル]フェノールの酸化生成物と不飽和化合物との反応:
o−[1−(アルキルチオ)アルキル]フェノールを酸化銀により緩やかな条件で酸化し、それにより生成する酸化生成物をビニルエーテルと反応させてクロマン化合物を製造する方法[Bull.Chem.Soc.Japan,63巻、第1062頁(1990)参照]。
この従来法(c)において、ビニルエーテルとしてビニルメチルエーテルを用いる場合について例示すると、下記の反応式で示すとおりである。
【0007】
【化15】
【0008】
(d)フェノール類、ホルムアルデヒド類および不飽和化合物の反応:
フェノール類、ホルムアルデヒド類および不飽和化合物を、炭化水素またはハロゲン化芳香族化合物からなる溶媒中で160〜250℃に加熱して反応させてクロマン化合物を製造する方法(特開昭60−92283号公報参照)。
この従来法(d)において、不飽和化合物としてピロリン系化合物を用いる場合について例示すると、下記の反応式で示すとおりである。
【0009】
【化16】
【0010】
しかしながら、上記した従来法(a)〜(d)には次のような問題点があり、クロマン化合物の製法として十分に有効な方法であるとは言えない。
まず、従来法(a)の場合は、フェノール類と反応させるアリル化合物またはジオレフィンが有する置換基の種類によっては、目的とするクロマン化合物が生成しないことがあり、しかも一般に収率が低い。
また、従来法(b)の場合は、原料であるo−オキシベンジルアルコールを収率よく合成することが難しく、目的物であるクロマン化合物を生産性良く製造することが困難である。
従来法(c)の場合は、原料として、o−[1−(アルキルチオ)アルキル]フェノールという特殊な化合物を使用する必要があり、しかもそのフェノール化合物を酸化するために高価な酸化銀を等量以上の多量で使用する必要があり、そのため、目的とするクロマン化合物の製造コストが高くなるという欠点がある。
また、従来法(d)の場合は、クロマン化合物の収率が一般に10〜50%であり、収率が低い。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、クロマン化合物を、入手が容易な原料や安価な原料を用いて、高い収率で、簡単に且つ円滑に、工業的に生産性良く製造できる方法を提供することである。
そして、本発明の目的は、クロマン化合物の製造に有効に用い得る化合物を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく研究を行ってきた。そして、入手の容易なフェノール化合物、ホルムアルデヒド類および炭素−炭素間二重結合を有する不飽和化合物を原料として用いて、それらを第2級アミンおよび酸の存在下に反応させると、簡単に且つ収率良くクロマン化合物を製造できることを見出して先に出願した(特開平7−97380号)。
本発明者らのこの方法による場合は、目的とするクロマン化合物は、以下の反応式にしたがって生成する。なお、以下の反応式では、フェノール化合物として4−アセトキシ−2,3,5−トリメチルフェノールを用い、炭素−炭素間二重結合を有する不飽和化合物として2−メチル−2−プロペン−1−オールを用い、第2級アミンとしてジブチルアミンを用い、酸として酢酸を用いる場合を例に挙げて記載している。
【0013】
【化17】
【0014】
本発明者らによる上記した特開平7−97380号の発明は、目的とするクロマン化合物を、入手の容易な原料を用いて、高収率で、簡単に且つ低コストで、工業的に製造することができる点で、上述した従来法(a)〜(d)に比べて優れており、特に、炭素−炭素間二重結合を有する不飽和化合物として、分子内に水酸基を有する不飽和化合物、またはその炭素−炭素間二重結合を構成する炭素原子にエステル基やアシル基などの電子吸引性基が直接結合した化合物を用いる場合は、目的とするクロマン化合物を極めて高い収率で得ることができる。
【0015】
そして、本発明者らは、上記した発明を踏まえて、炭素−炭素間二重結合を有する不飽和化合物として、分子内に水酸基およびその炭素−炭素間二重結合を構成する炭素原子に直接結合した電子吸引性基のいずれをも持たない不飽和化合物を用いた場合にも、目的とするクロマン化合物を高収率で製造できる合成法を開発すべく更に検討を重ねてきた。その結果、第1の工程[工程(i)]において特定のフェノール化合物、ホルムアルデヒドおよびアルコールを第2級アミンおよび酸の存在下に反応させてアルコキシメチル化フェノール化合物を製造して、該第2級アミンを反応系外に除去し、次いで第2の工程[工程( ii )]において前記の工程(i)で得られたアルコキシメチル化フェノール化合物を、炭素−炭素間二重結合を有し且つ分子内に水酸基およびその炭素−炭素間二重結合を構成する炭素原子に直接結合した電子吸引性基のいずれをも持たない不飽和化合物と反応させるという2段階の反応工程を採用すると、目的とするクロマン化合物が高い収率で円滑に得られることを見出した。
さらに、本発明者らは、上記した2段階の反応工程によるクロマン化合物の製造方法において、その工程(i)で生成する上記したアルコキシメチル化フェノール化合物のうちの特定のものが、従来知られていない新規化合物であり、クロマン化合物を製造する際の中間体などとして有効に用い得ることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0016】
すなわち、本発明は、次の工程(i)および工程( ii );
○工程(i):下記の一般式(1);
【0017】
【化18】
(式中、R 9 、R 10 、R 11 およびR 12 は、それぞれ独立して水素原子、置換または非置換のアルキル基、アリール基、アラルキル基、脂肪族アシロキシ基、芳香族アシロキシ基、アルコキシル基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基であるか或いはR 9 、R 10 、R 11 およびR 12 のうちの2つまたは3つ以上が一緒になってそれらが結合しているベンゼン核の炭素原子と共に閉鎖環を形成していてもよい基である。)
で表されるフェノール化合物、ホルムアルデヒドおよび下記の一般式(2);
【0018】
【化19】
R13−OH (2)
(式中、R 13 は鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状アルキル基、ベンジル基またはフェネチル基を示す。)
で表されるアルコールを、第2級アミンおよび酸の存在下、50〜130℃の範囲の温度で反応させて、フェノール性水酸基に対するオルト位置がアルコキシメチル基で置換された下記の一般式(3);
【0019】
【化20】
(式中、R 9 、R 10 、R 11 、R 12 およびR 13 は前記と同じ基を示す。)
で表されるアルコキシメチル化フェノール化合物を生成させ、次いで第2級アミンを反応系外に除去する工程;
○工程( ii ):工程(i)で得られた上記の一般式(3)で表されるアルコキシメチル化フェノール化合物を、下記の一般式(4);
【0020】
【化21】
(式中、R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、或いはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、ニトロフェニルオキシ基、シアノ基、保護された水酸基または保護されたアミノ基からなる置換基で置換されているアルキル基またはアリール基を示す。)
で表される不飽和化合物と、150℃以上の温度で反応させて、下記の一般式(5);
【0021】
【化22】
(式中、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 9 、R 10 、R 11 およびR 12 は前記と同じ基を示す。)
で表されるクロマン化合物を製造する工程;
からなることを特徴とするクロマン化合物の製造方法である。
そして、本発明は、下記の一般式(3);
【0022】
【化23】
(式中、R 9 、R 10 、R 11 およびR 12 は、それぞれ独立して水素原子、置換または非置換のアルキル基、アリール基、アラルキル基、脂肪族アシロキシ基、芳香族アシロキシ基、アルコキシル基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基であるか或いはR 9 、R 10 、R 11 およびR 12 のうちの2つまたは3つ以上が一緒になってそれらが結合しているベンゼン核の炭素原子と共に閉鎖環を形成していてもよい基であり、R 13 は鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状アルキル基、ベンジル基またはフェネチル基を示す。)
で表されるアルコキシメチル化フェノール化合物を、下記の一般式(4);
【0023】
【化24】
(式中、R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、或いはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、ニトロフェニルオキシ基、シアノ基、保護された水酸基または保護されたアミノ基で置換されているアルキル基またはアリール基を示す。)
で表される不飽和化合物と、150℃以上の温度で反応させて、下記の一般式(5);
【0024】
【化25】
(式中、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 9 、R 10 、R 11 およびR 12 は前記と同じ基を示す。)
で表されるクロマン化合物を製造することを特徴とするクロマン化合物の製造方法である。
さらに、本発明は、下記の一般式(1);
【0025】
【化26】
(式中、R 9 、R 10 、R 11 およびR 12 は、それぞれ独立して水素原子、置換または非置換のアルキル基、アリール基、アラルキル基、脂肪族アシロキシ基、芳香族アシロキシ基、アルコキシル基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基であるか或いはR 9 、R 10 、R 11 およびR 12 のうちの2つまたは3つ以上が一緒になってそれらが結合しているベンゼン核の炭素原子と共に閉鎖環を形成していてもよい基である。)
で表されるフェノール化合物、ホルムアルデヒドおよび下記の一般式(2);
【0026】
【化27】
R13−OH (2)
(式中、R 13 は鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状アルキル基、ベンジル基またはフェネチル基を示す。)
で表されるアルコールを、第2級アミンおよび酸の存在下、50〜130℃の範囲の温度で反応させて、フェノール性水酸基に対するオルト位置がアルコキシメチル基で置換された下記の一般式(3);
【0027】
【化28】
(式中、R 9 、R 10 、R 11 、R 12 およびR 13 は前記と同じ基を示す。)
で表されるフェノール性水酸基に対するオルト位置がアルコキシメチル基で置換されたアルコキシメチル化フェノール化合物を製造する方法である。
そして、本発明は、下記の一般式(6);
【0028】
【化29】
(式中、R5はアルコキシル基を示し、R6は脂肪族アシル基、芳香族アシル基またはベンジル基を示し、R7およびR8はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を示す。)
で表されるアルコキシメチル化フェノール化合物である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明における上記の工程(i)では、フェノール性水酸基に対するオルト位置の少なくとも1カ所が置換されていない上記の一般式(1)で表されるフェノール化合物を使用することが必要である。
工程(i)では、一般に、以下に示す反応式にしたがって反応が行われて、下記の一般式(3)で表されるアルコキシメチル化フェノール化合物が中間体として生成する。
【0030】
【化30】
(式中、R9、R10、R11およびR12は、それぞれ独立して水素原子、置換または非置換のアルキル基、アリール基、アラルキル基、脂肪族アシロキシ基、芳香族アシロキシ基、アルコキシル基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基であるか或いはR9、R10、R11およびR12のうちの2つまたは3つ以上が一緒になってそれらが結合しているベンゼン核の炭素原子と共に閉鎖環を形成していてもよく、またR13はアルコール残基であって、鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状アルキル基、ベンジル基またはフェネチル基を示し、R14およびR15はそれぞれ独立してアルキル基、アリール基、アラルキル基を示すか、またはR14とR15が一緒になって第2級アミンの窒素原子と共に環を形成していてもよい炭化水素基を示す。)
【0031】
本発明における工程(i)で原料として用い得るフェノール化合物として、例えば、フェノール、クレゾール、ヒドロキノン、ナフトール、フェナントロール、アルコキシフェノール(例えばメトキシフェノール、エトキシフェノールなど)、アシロキシフェノール(例えば4−アセトキシフェノールなど)、2−アルキル−4−アシロキシフェノール(例えば2−メチル−4−アセトキシフェノールなど)、2,3−ジアルキル−4−アシロキシフェノール(例えば2,3−ジメチル−4−アセトキシフェノールなど)、4−アシロキシ−3,5−ジアルキルフェノール(例えば4−アセトキシ−3,5−ジメチルフェノールなど)、4−アシロキシ−2,3,5−トリアルキルフェノール(例えば4−アセトキシ−2,3,5−トリメチルフェノールなど)、2−アルキル−4−ベンジルオキシフェノール(例えば2−メチル−4−ベンジルオキシフェノールなど)、2,3−ジアルキル−4−ベンジルオキシフェノール(例えば2,3−ジメチル−4−ベンジルオキシフェノールなど)、4−ベンジルオキシ−3,5−ジアルキルフェノール(例えば4−ベンジルオキシ−3,5−ジメチルフェノールなど)、4−ベンジルオキシ−2,3,5−トリアルキルフェノール(例えば4−ベンジルオキシ−2,3,5−トリメチルフェノールなど)などを挙げることができる。
【0032】
そして本発明において、フェノール化合物として、特に下記の一般式(7);
【0033】
【化31】
(式中、R6は脂肪族アシル基、芳香族アシル基またはベンジル基を示し、R7およびR8はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を示す。)
で表されるフェノール化合物を用いると、下記の一般式(6);
【0034】
【化32】
(式中、R5はアルコキシル基を示し、そしてR6、R7およびR8は上記と同じ基を示す。)
で表されるアルコキシメチル化フェノール化合物が生成し、このアルコキシメチル化フェノール化合物は従来知られていない新規な化合物である。
【0035】
上記の一般式(7)で表されるフェノール化合物、および一般式(6)で表されるアルコキシメチル化フェノール化合物において、R6が脂肪族アシル基である場合の具体例としては、直鎖状または分岐状低級脂肪族カルボン酸から誘導されるホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基などを挙げることができ、またR6が芳香族アシル基である場合の具体例としては、芳香族カルボン酸から誘導されるベンゾイル基、トルオイル基、キシロイル基などを挙げることができる。
【0036】
また、上記の一般式(6)で表されるアルコキシメチル化フェノール化合物におけるアルコキシル基R5は、上記の一般式(3)で表されるアルコキシメチル化フェノール化合物における基;−O−R13に相当し、一般式(3)または一般式(6)で表されるアルコキシメチル化フェノール化合物の製造に用いるアルコール(R13−OH)に由来するアルコキシル基である。その際の、アルコール(R13−OH)の具体例は後述するとおりであり、R5および−O−R13は第1級アルコキシル基または第2級アルコキシル基であることが好ましい。
【0037】
上記の一般式(6)で表される新規なアルコキシメチル化フェノール化合物は、上記の一般式(3)で表されるアルコキシメチル化フェノール化合物の範疇に含まれる他のアルコキシメチル化フェノール化合物と同様に、クロマン化合物の製造に有効に用いることができ、したがって本発明は、一般式(3)で表されるアルコキシメチル化フェノール化合物を製造するための製造方法[上記の工程(i)に相当する製造方法]、およびそれにより得られる一般式(6)で表される新規なアルコキシメチル化フェノール化合物を本発明の範囲に包含する。
【0038】
本発明では、アルコキシメチル化フェノール化合物を製造するための上記の工程(i)において、ホルムアルデヒドの供給形態として、例えば、ホルマリン、パラホルムアルデヒドのようなホルマリンの直鎖状重合体、トリオキサン、テトラオキサンのような環状アセタールオリゴマーなどの1種または2種以上を用いることができる。
【0039】
また、本発明における工程(i)では、アルコールとして、第1級アルコールおよび/または第2級アルコールが、反応性、選択性などの点から好ましく用いられる。具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ヘキサノール、1−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノールなどの飽和脂肪族第1級アルコール類;2−プロパノール、2−ブタノール、シクロヘキサノールなどの飽和脂肪族第2級アルコール類;ベンジルアルコール、フェネチルアルコールを挙げることができる。本発明では前記したアルコールの1種または2種以上を用いることができる。
なお、上記した一般式(3)で表されるアルコキシメチル化フェノール化合物におけるアルコキシル基;−O−R13および一般式(6)で表されるアルコキシメチル化フェノール化合物におけるアルコキシル基R5は、上記したアルコールに由来する。
【0040】
本発明では、工程(i)、すなわちフェノール化合物、ホルムアルデヒドおよびアルコールの反応を、第2級アミンおよび酸の存在下に行う。第2級アミンおよび酸は、アルコキシメチル化フェノール化合物を生成させるための触媒および/または反応促進剤として働く。
【0041】
第2級アミンとしては、脂肪族第2級アミンおよび/または芳香族第2級アミンのいずれもが使用でき特に制限されず、具体例としては、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミンなどの鎖状脂肪族第2級アミン、ピペリジン、ピロリジン、モルホリンなどの環状第2級アミンなどを挙げることができ、本発明では前記した第2級アミンの1種または2種以上を用いることができる。
【0042】
また、酸としては、有機酸および/または無機酸のいずれもが使用可能であるが、選択性の点から有機酸が好ましく用いられ、好ましくは、炭素数2〜8の飽和脂肪族カルボン酸および/または芳香族カルボン酸などが用いられる。具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、2−メチルプロパン酸、吉草酸、3−メチルブタン酸、2−メチルブタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、安息香酸などを挙げることができる。本発明では、これらの酸の1種または2種以上を用いることができる。
【0043】
本発明における工程(i)では、アルコキシメチル化フェノール化合物の生成が円滑に行われ得る点から、フェノール化合物1当量に対して、ホルムアルデヒドの使用量が0.8〜10当量であることが好ましく、1〜2当量であることがより好ましく、またアルコールの使用量が0.8〜20当量であることが好ましく、1〜10当量であることがより好ましい。
また、本発明における工程(i)では、アルコキシメチル化フェノール化合物の生成が円滑に行われ得る点から、フェノール化合物1当量に対して、第2級アミンの使用量が0.001〜1当量であることが好ましく、0.01〜0.5当量であることがより好ましく、そして酸の使用量が0.01〜5当量であることが好ましく、0.1〜1.0当量であることがより好ましい。
【0044】
本発明における工程(i)は、溶媒を用いずに行っても、または溶媒の存在下に行ってもよい。溶媒を使用する場合は、例えば、トルエン、キシレン、N−メチルピロリドンなどの不活性溶媒を使用することができる。また溶媒を使用する場合は、フェノール化合物100重量部に対して溶媒の使用量が50〜1000重量部の割合であることが好ましい。
【0045】
本発明における工程(i)は、フェノール化合物、ホルムアルデヒド、アルコール、第2級アミンおよび酸を所定量で混合し、必要に応じて溶媒の存在下に、50〜150℃、好ましくは80〜120℃の範囲の温度に加熱して行う。使用するアルコールの沸点が前記した反応温度よりも低い場合には、反応を加圧条件下に行うことが好ましい。その際の反応時間は、使用するフェノール化合物、ホルムアルデヒドおよびアルコールの種類、それらの使用割合、反応温度などに応じて異なり得るが、一般に30分〜24時間の反応時間が好ましく採用される。
【0046】
工程(i)で使用した第2級アミンは、続く工程( ii )において目的とするクロマン化合物を高収率で円滑に得るために、反応系外へ除去する必要がある。その際に、工程(i)の反応系からの第2級アミンの除去は、反応系にトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類などの溶媒を加えて抽出処理する方法、減圧蒸留する方法などにより行うことができる。なお、工程(i)で生成したアルコキシメチル化フェノール化合物は、更に洗浄処理などを行った後に単離して、次の工程( ii )に付すことができる。
【0047】
次いで、工程( ii )において、上記の工程(i)で生成したアルコキシメチル化フェノール化合物を、下記の一般式(4);
【0048】
【化33】
(式中、R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、或いはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、ニトロ基 、ニトロフェニルオキシ基、シアノ基、保護された水酸基または保護されたアミノ基からなる置換基で置換されているアルキル基またはアリール基を示す。)
で表される不飽和化合物[以下これを「不飽和化合物(4)」という]と反応させて、目的物であるクロマン化合物を製造する。すなわち、本発明における工程(ii)で用いる不飽和化合物(4)は、分子内に水酸基を持たず、またその炭素−炭素間二重結合を構成する炭素原子に直接結合した電子吸引性基をも持たない、炭素−炭素間二重結合含有不飽和化合物である。
炭素−炭素間二重結合を有する化合物ではあっても、分子内に水酸基およびその炭素−炭素間二重結合を構成する炭素原子に直接結合する電子吸引性基の少なくとも一方を有する化合物、具体的には、炭素−炭素間二重結合と共に水酸基を有する化合物、炭素−炭素間二重結合と共に該炭素−炭素間二重結合を構成する炭素原子に直接結合する電子吸引性基を有する化合物、並びに炭素−炭素間二重結合と共に水酸基および該炭素−炭素間二重結合を構成する炭素原子に直接結合する電子吸引性基の両方を有する化合物は、いずれも、本発明で用いる不飽和化合物(4)の範疇には包含されない。
【0049】
本発明における工程( ii )では、不飽和化合物(4)と工程(i)で得られた上記の一般式(3)で表されるアルコキシメチル化フェノール化合物との反応が、下記の反応式にしたがって行われて、一般式(5)で表されるクロマン化合物が生成する。
【0050】
【化34】
(式中、R1、R2、R3、R4、R9、R10、R11、R12およびR13は上記したのと同じ基を示す。)
【0051】
工程( ii )で用いられる上記の不飽和化合物(4)において、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、例えば、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、ブチル基、2−メチルブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルペンチル基、ネオペンチル基、4−メチルペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、4,8,12−トリメチルデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基などのアルキル基;フェニル基、ナフチル基、フリル基、チエニル基などのアリール基;置換基、すなわちアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、ニトロフェニルオキシ基、シアノ基、保護された水酸基または保護されたアミノ基からなる置換基で置換されている前記したアルキル基またはアリール基であることができる。
その場合に、前記した保護された水酸基における保護基としては、例えば、“Protective Groups in Organic Synthesis”,2nd edition,John Wiley & Sons(1991),p10〜142およびp309〜405に記載されている保護基を用いることができる。
【0052】
何ら限定されるものではないが、上記不飽和化合物(4)の具体例としては、1−オクテン、2,6−ジメチル−1−ヘプテン、2,6,10,14−テトラメチル−1−ペンタデセン、2,6−ジメチル−1,5−ヘプタジエンなどの脂肪族不飽和炭化水素;スチレンなどのような芳香族基を有する不飽和炭化水素;2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチル−1−プロペンなどのニトロ基やニトロフェニルオキシ基で置換されたアルキル基やアリール基を有する炭素−炭素間二重結合を有する炭化水素などを挙げることができる。
【0053】
本発明における工程( ii )では、目的とするクロマン化合物を円滑に且つ高収率で得られるようにするために、アルコキシメチル化フェノール化合物1当量に対して、不飽和化合物(4)を0.8〜20当量の範囲で用いることが好ましく、1〜10当量の範囲で用いることがより好ましい。
【0054】
また、工程( ii )は、溶媒を用いずに行っても、または溶媒の存在下に行ってもよい。溶媒を使用する場合は、例えば、デカリン、メシチレン、N−メチルピロリドンなどの不活性溶媒が好ましく用いられる。また、溶媒を使用する場合は、その使用量が、アルコキシメチル化フェノール化合物100重量部に対して50〜500重量部の範囲であることが好ましい。
【0055】
クロマン化合物を製造するための工程( ii )は、アルコキシメチル化フェノール化合物、不飽和化合物(4)および必要に応じて上記した溶媒を所定の割合で混合し、150℃以上の温度に加熱して行う。使用する不飽和化合物(4)の沸点が前記した反応温度よりも低い場合には、反応を加圧条件下に行うことが好ましい。その際の反応時間は、使用するアルコキシメチル化フェノール化合物および不飽和化合物(4)の種類、それらの使用割合、反応温度などに応じて異なり得るが、一般に30分〜48時間の反応時間が好ましく採用される。
【0056】
本発明においては、フェノール化合物、ホルムアルデヒドおよびアルコールを反応させてアルコキシメチル化フェノール化合物を製造する上記した工程(i)、並びに該工程(i)で得られるアルコキシメチル化フェノール化合物を不飽和化合物(4)と反応させる工程( ii )を順次行うことによって、目的とするクロマン化合物が製造される。
【0057】
しかしながら、本発明は、上記した2段階の反応工程によるクロマン化合物の製造方法のみに限定されず、フェノール性水酸基に対するオルト位置がアルコキシメチル基で置換されたアルコキシメチル化フェノール化合物を出発原料として用いて、それに不飽和化合物(4)を150℃以上の温度で反応させることからなる1段の工程によってクロマン化合物を製造してもよく、したがって本発明はかかる1段の工程によるクロマン化合物の製造方法を包含する。
【0058】
その際に、出発原料として用いるアルコキシメチル化フェノール化合物の入手方法は特に制限されず、例えば、予め別途製造しておいたものを用いても、市販のものを用いてもよい。また、アルコキシメチル化フェノール化合物と不飽和化合物(4)との反応は、上記した工程( ii )と同様の条件下で行えばよい。
そして、かかる1段の工程によるクロマン化合物の製造方法においては、出発原料であるアルコキシメチル化フェノール化合物として、上記の一般式(3)で表されるアルコキシメチル化フェノール化合物が好ましく用いられ、そのうちでも上記の一般式(6)で表される本発明の新規なアルコキシメチル化フェノール化合物がより好ましく用いられる。
【0059】
本発明の方法により得られるクロマン化合物は、トコフェロール類などの生理活性物質や糖尿病治療薬などの医薬品の中間体として、エンジニアリング樹脂などの高分子材料の中間体として、油脂類や合成樹脂などの有機物質の安定剤などとして、またはその他の用途に有効に使用することができる。
【0060】
【実施例】
以下に本発明について具体的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。
【0061】
《実施例1》
[2,5,7,8−テトラメチル−6−アセトキシ−2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチルクロマンの合成]
(1) 4−アセトキシ−2,3,5−トリメチルフェノール970mg(5.0mmol)、80%パラホルムアルデヒド210mg(5.5mmol)、1−ブタノール2.43g(32.8mmol)、ジブチルアミン65mg(0.5mmol)および酢酸150mg(2.5mmol)を混合し、撹拌下に100℃の温度で7時間加熱して反応させた。反応終了後、トルエン10mlを加えて、生成物をトルエン中に抽出した後、トルエン相を分取し、分取したトルエン相を水、1%希硫酸水溶液、5%炭酸水素ナトリウム水溶液および水で順次洗浄した。洗浄後にトルエン相を減圧蒸留して低沸点化合物を留去し、油状物1.27g(収率95%)を得た。この油状物の1H−NMRデータは以下のとおりであり、該データから、4−アセトキシ−2,3,5−トリメチル−6−ブトキシメチル−1−ヒドロキシベンゼンであることが確認された。
【0062】
δppm(CDCl3,300MHz);8.30(1H,s),4.73(2H,s),3.55(2H,t,J=6.5Hz),2.32(3H,s),2.15(3H,s),2.04(3H,s),2.00(3H,s),1.62(2H,m),1.39(2H,m),0.93(3H,t,J=7.4Hz)。
【0063】
(2) 上記(1)で得られた4−アセトキシ−2,3,5−トリメチル−6−ブトキシメチル−1−ヒドロキシベンゼン1.27g(4.75mmol)に、2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチル−1−プロペン2.9g(15mmol)を加えて、撹拌下に160℃の温度で5時間加熱して反応させた。反応終了後、反応液を液体クロマトグラフィーを用いて内部標準法にて定量分析したところ、2,5,7,8−テトラメチル−6−アセトキシ−2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチルクロマンが60%の収率(4−アセトキシ−2,3,5−トリメチルフェノール基準)で生成していた。
なお、これにより得られた2,5,7,8−テトラメチル−6−アセトキシ−2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチルクロマンの1H−NMRデータは以下のとおりであった。
【0064】
δppm(CDCl3,300MHz);8.20(2H,d,J=9Hz),6.97(2H,d,J=9Hz),4.10(1H,d,J=9Hz)、3.98(1H,d,J=9Hz),2.6(2H,broad t,J=6Hz),2.31(3H,s),2.05(3H,s),2.02(3H,s),1.98(3H,s),約2(2H,m),1.41(3H,s)。
【0065】
《実施例2》
[2,5,7,8−テトラメチル−6−アセトキシ−2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチルクロマンの合成]
1−ブタノール2.43g(32.8mmol)の代わりに、1−オクタノール2.48g(19.1mmol)を用いた以外は実施例1の(1)および(2)と同様に反応を行うことによって、2,5,7,8−テトラメチル−6−アセトキシ−2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチルクロマンを58%の収率(4−アセトキシ−2,3,5−トリメチルフェノール基準)で得た。
【0066】
《実施例3》
[2,5,7,8−テトラメチル−6−アセトキシ−2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチルクロマンの合成]
1−ブタノール2.43g(32.8mmol)の代わりに、2−プロパノール2.36g(39.3mmol)を用いた以外は実施例1の(1)および(2)と同様に反応を行うことによって、2,5,7,8−テトラメチル−6−アセトキシ−2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチルクロマンを55%の収率(4−アセトキシ−2,3,5−トリメチルフェノール基準)で得た。
【0067】
《実施例4》
[2,6,8−トリメチル−2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチルクロマンの合成]
(1) 2,4−ジメチルフェノール3.66g(30.0mmol)、87.3%パラホルムアルデヒド1.24g(36.0mmol)、1−ブタノール14.46g(195.0mmol)、ジブチルアミン0.39g(3.0mmol)および酢酸0.90g(15.0mmol)を混合し、還流下で11時間加熱撹拌して反応させた。反応終了後、トルエンを加えて、生成物をトルエン中に抽出した後、トルエン相を分取し、分取したトルエン相を水、1%希硫酸水溶液、5%炭酸水素ナトリウム水溶液および水で順次洗浄した。洗浄後にトルエン相を減圧蒸留して低沸点化合物を留去し、2,4−ジメチル−6−ブトキシメチル−1−ヒドロキシベンゼンを得た。
【0068】
(2) 上記(1)で得られた2,4−ジメチル−6−ブトキシメチル−1−ヒドロキシベンゼンに、2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチル−1−プロペン11.59g(60.0mmol)を加えて、撹拌下に160℃の温度で25時間加熱して反応させた。反応終了後、反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=15:1)にて精製し、2,6,8−トリメチル−2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチルクロマン6.81gを得た(2,4−ジメチルフェノール基準での収率:69.4%)。
なお、これにより得られた2,6,8−トリメチル−2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチルクロマンの1H−NMRデータは以下のとおりであった。
【0069】
δppm(CDCl3,300MHz);8.18(2H,m),7.00(2H,m),6.79(1H,s)、6.72(1H,s),4.03(2H,m),2.76(2H,m),2.16(8H,m),1.44(3H,s)。
【0070】
《実施例5》
[ビタミンEアセテートの合成]
(1) 4−アセトキシ−2,3,5−トリメチルフェノール1.8g(9.3mmol)、87.3%パラホルムアルデヒド0.38g(11.2mmol)、1−ブタノール4.48g(60.5mmol)、ジブチルアミン0.12g(0.93mmol)および酢酸0.28g(4.7mmol)を混合し、還流下で7時間加熱撹拌して反応させた。反応終了後、トルエンを加えて、生成物をトルエン中に抽出した後、トルエン相を分取し、分取したトルエン相を水、1%希硫酸水溶液、5%炭酸水素ナトリウム水溶液および水で順次洗浄した。洗浄後にトルエン相を減圧蒸留して低沸点化合物を留去し、4−アセトキシ−2,3,5−トリメチル−6−ブトキシメチル−1−ヒドロキシベンゼンを得た。
【0071】
(2) 2,6,10,14−テトラメチル−1−ペンタデセン13.7g(純度91%、47.0mmol)に、上記(1)で得られた4−アセトキシ−2,3,5−トリメチル−6−ブトキシメチル−1−ヒドロキシベンゼンをブタノールに溶解した溶液(11.7g)を減圧下(260mmHg)に160℃で滴下し、その後160℃の温度で18時間加熱撹拌して反応させた。反応終了後、反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=25:1)にて精製し、ビタミンEアセテート3.96gを得た(4−アセトキシ−2,3,5−トリメチルフェノール基準での収率:90%)。
なお、これにより得られたビタミンEアセテートの1H−NMRデータは以下のとおりであった。
【0072】
δppm(CDCl3,300MHz);2.58−2.64(2H,m),2.34(3H,s),2.11(3H,s)、2.04(3H,s),2.00(3H,s),1.71−1.88(2H,m),1.49−1.64(3H,m),1.22−1.48(12H,m),1.25(3H,s),1.04−1.20(6H,m),0.85−0.90(12H,m)。
【0073】
《実施例6》
[2,5,7,8−テトラメチル−6−アセトキシ−2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチルクロマンの合成]
(1) 4−アセトキシ−2,3,5−トリメチルフェノール18.42g(100.0mmol)、87.3%パラホルムアルデヒド4.13g(120.0mmol)、1−ブタノール48.18g(650.0mmol)、ジエチルアミン0.73g(10.0mmol)および酢酸3.03g(50mmol)を混合し、還流下で9.5時間加熱撹拌して反応させた。反応終了後、トルエンを加えて、生成物をトルエン中に抽出した後、トルエン相を分取し、分取したトルエン相を水、1%希硫酸水溶液、5%炭酸水素ナトリウム水溶液および水で順次洗浄した。洗浄後にトルエン相を減圧蒸留して低沸点化合物を留去し、4−アセトキシ−2,3,5−トリメチル−6−ブトキシメチル−1−ヒドロキシベンゼンを得た。
【0074】
(2) 上記(1)で得られた4−アセトキシ−2,3,5−トリメチル−6−ブトキシメチル−1−ヒドロキシベンゼンに、2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチル−1−プロペン38.64g(200.0mmol)を加えて、160℃で19時間加熱撹拌して反応させた。反応終了後、反応液を液体クロマトグラフィーを用いて内部標準法にて定量分析したところ、2,5,7,8−テトラメチル−6−アセトキシ−2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチルクロマンが58%の収率(4−アセトキシ−2,3,5−トリメチルフェノール基準)で生成していた。
【0075】
《実施例7》
[2,5,7,8−テトラメチル−6−アセトキシ−2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチルクロマンの合成]
ジエチルアミン0.73g(10.0mmol)の代わりに、ジオクチルアミン2.41g(10.0mmol)を用いた以外は実施例6の(1)および(2)と同様の反応を行うことによって、2,5,7,8−テトラメチル−6−アセトキシ−2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチルクロマンを52%の収率(4−アセトキシ−2,3,5−トリメチルフェノール基準)で得た。
【0076】
《実施例8》
[2,5,7,8−テトラメチル−6−アセトキシ−2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチルクロマンの合成]
(1) 4−アセトキシ−2,3,5−トリメチルフェノール5.83g(30.0mmol)、87.3%パラホルムアルデヒド1.24g(36.0mmol)、1−ブタノール14.46g(195.0mmol)、ジブチルアミン0.39g(3.0mmol)および安息香酸1.83g(15.0mmol)を混合し、還流下で6時間加熱撹拌して反応させた。反応終了後、トルエンを加えて、生成物をトルエン中に抽出した後、トルエン相を分取し、分取したトルエン相を水、1%希硫酸水溶液、5%炭酸水素ナトリウム水溶液および水で順次洗浄した。洗浄後にトルエン相を減圧蒸留して低沸点化合物を留去し、4−アセトキシ−2,3,5−トリメチル−6−ブトキシメチル−1−ヒドロキシベンゼンを得た。
【0077】
(2) 上記(1)で得られた4−アセトキシ−2,3,5−トリメチル−6−ブトキシメチル−1−ヒドロキシベンゼンに、2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチル−1−プロペン11.59g(60.0mmol)を加えて、160℃で8時間加熱撹拌して反応させた。反応終了後、反応液を液体クロマトグラフィーを用いて内部標準法にて定量分析したところ、2,5,7,8−テトラメチル−6−アセトキシ−2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチルクロマンが54%の収率(4−アセトキシ−2,3,5−トリメチルフェノール基準)で生成していた。
【0078】
《実施例9》
[2,5,7,8−テトラメチル−6−アセトキシ−2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチルクロマンの合成]
安息香酸1.83g(15.0mmol)の代わりに、n−オクタン酸2.16g(15.0mmol)を用いた以外は実施例8の(1)および(2)と同様の反応を行うことによって、2,5,7,8−テトラメチル−6−アセトキシ−2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチルクロマンを50%の収率(4−アセトキシ−2,3,5−トリメチルフェノール基準)で得た。
【0079】
《参考例1》
[2,5,7,8−テトラメチル−6−アセトキシ−2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチルクロマンの合成]
本発明者らの先願発明である上記した特開平7−97380号の方法にしたがって、2,5,7,8−テトラメチル−6−アセトキシ−2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチルクロマンを合成した。具体的には、4−アセトキシ−2,3,5−トリメチルフェノール970mg(5.0mmol)、80%パラホルムアルデヒド210mg(5.5mmol)、2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチル−1−プロペン2.9g(15mmol)、ジブチルアミン65mg(0.5mmol)および酢酸150mg(2.5mmol)を混合し、撹拌下に150℃の温度で3時間加熱して反応させ、反応終了後、反応液を液体クロマトグラフィーを用いて内部標準法にて定量分析したところ、2,5,7,8−テトラメチル−6−アセトキシ−2−(4−ニトロフェニルオキシ)メチルクロマンが27%の収率(4−アセトキシ−2,3,5−トリメチルフェノール基準)で生成していた。
【0080】
【発明の効果】
本発明の方法による場合は、上記の一般式(3)で表されるアルコキシメチル化フェノール化合物と反応させる炭素−炭素間二重結合を有する不飽和化合物として、炭素−炭素間二重結合を有し且つ分子内に水酸基およびその炭素−炭素間二重結合を構成する炭素原子に直接結合した電子吸引性基のいずれをも持たない上記の一般式(4)で表される不飽和化合物(4)を用いて、目的とするクロマン化合物を高い収率で円滑に生産性良く製造することができる。
本発明で用いる前記した原料化合物は、いずれも入手が容易で且つ安価であるため、目的とするクロマン化合物を経済的に得ることができる。
さらに、上記の一般式(6)で表される本発明の新規なアルコキシメチル化フェノール化合物は、クロマン化合物を製造するための中間体などとして有効に使用することができる。
Claims (4)
- 次の工程(i)および工程( ii );
○工程(i):下記の一般式(1);
で表されるフェノール化合物、ホルムアルデヒドおよび下記の一般式(2);
で表されるアルコールを、第2級アミンおよび酸の存在下、50〜130℃の範囲の温度で反応させて、フェノール性水酸基に対するオルト位置がアルコキシメチル基で置換された下記の一般式(3);
で表されるアルコキシメチル化フェノール化合物を生成させ、次いで第2級アミンを反応系外に除去する工程;
○工程( ii ):工程(i)で得られた上記の一般式(3)で表されるアルコキシメチル化フェノール化合物を、下記の一般式(4);
で表される不飽和化合物と、150℃以上の温度で反応させて、下記の一般式(5);
で表されるクロマン化合物を製造する工程;
からなることを特徴とするクロマン化合物の製造方法。 - 下記の一般式(3);
で表されるアルコキシメチル化フェノール化合物を、下記の一般式(4);
で表される不飽和化合物と、150℃以上の温度で反応させて、下記の一般式(5);
で表されるクロマン化合物を製造することを特徴とするクロマン化合物の製造方法。 - 下記の一般式(1);
で表されるフェノール化合物、ホルムアルデヒドおよび下記の一般式(2);
で表されるアルコールを、第2級アミンおよび酸の存在下、50〜130℃の範囲の温度で反応させて、フェノール性水酸基に対するオルト位置がアルコキシメチル基で置換された下記の一般式(3);
で表されるフェノール性水酸基に対するオルト位置がアルコキシメチル基で置換されたアルコキシメチル化フェノール化合物を製造する方法。
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