JP4092249B2 - 複合体の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複合体の製造法に関する。更に詳しくは、衛生材料、農林業・土木用材料等に好適に使用しうる複合体の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
繊維質基材と粒子状ポリマーとの複合化は、例えば、吸水性複合体の製造の際に行われている。
【0003】
一般に、吸水性ポリマーは、粒子状で用いられるため、衛生材料等のようにポリマー粒子を繊維質基材に分散させて用いる場合には、その繊維質基材中でポリマー粒子が移動して局在化したり、繊維質基材からポリマー粒子が脱落することにより、吸水性の低下や使用時の不快感を招きやすいという欠点がある。
【0004】
前記欠点を解消する手段として、繊維質基材上で吸水性ポリマーを調製することにより、吸水性複合体を製造する方法が考えられている。かかる方法の中では、生産効率を高める方法として、短時間で水溶性アクリル系モノマー等を連続的に重合させる方法、例えば、▲1▼放射線でモノマーを重合させる方法(特許文献1参照)、▲2▼電子線でモノマーを重合させる方法(例えば、特許文献2参照)、▲3▼一方のレドックス開始剤を含むモノマー溶液を繊維質基材に付着させた後、他方のレドックス開始剤の水溶液をその繊維質基材に噴霧する方法(例えば、特許文献3及び特許文献4参照)、▲4▼水溶性ラジカル重合開始剤を含むモノマー溶液を繊維質基材に付着させた後、その繊維質基材にレドックス開始剤の混合溶液を噴霧する方法(例えば、特許文献5参照)、▲5▼混合によりレドックス重合を生じる2種類の溶液をそれぞれ2本のノズルから噴出させ、液柱状態でそれらの溶液を混合し、得られた混合液の液滴を重合が進行している状態で繊維質基材に担持する方法(例えば、特許文献6参照)等が知られている。
【0005】
しかしながら、前記▲1▼及び▲2▼の方法には、重合時間が数秒間以内と極めて短いが、照射する放射線や電子線のエネルギー量が重合に必要なエネルギー量と比べて過剰であるため、自己架橋が過度に進行し、吸水性が低下するという欠点がある。
【0006】
前記▲3▼の方法には、レドックス開始剤を構成する酸化剤と還元剤の混合が不均一となるため、重合むらを生じやすく、また乾燥後には、残存している還元剤に由来する着色が生じやすいという欠点がある。
【0007】
また、前記▲4▼の方法には、レドックス開始剤を構成する酸化剤と還元剤の混合が均一であり、着色の面では改善されているが、モノマー溶液と、レドックス開始剤の混合溶液とを均一に混合することができず、十分にモノマー溶液とレドックス開始剤の混合溶液とを混合させるために、レドックス開始剤の混合溶液を多量に繊維質基材に噴霧した場合には、繊維質基材単位面積あたりの付着液量が過剰となるため、繊維質基材上に水たまり状に液が広がり、従ってポリマーが粒子状に得られず固い面状となり、製品の風合いが損なわれるという欠点がある。
【0008】
また、前記▲5▼の方法では、液柱状態で2液を混合するため、レドックス開始剤を構成する酸化剤と還元剤の混合、及びモノマー溶液とレドックス開始剤との混合が十分に行われ、ポリマー粒子が繊維上に不連続に付着するので、風合いのよいものが得られるが、この製造方法では、処理能力が低く、スケールアップが容易ではないことから、工業生産性に劣るという欠点がある。
【0009】
【特許文献1】
特公平3-67712 号公報
【特許文献2】
特開昭63-105044 号公報
【特許文献3】
特開昭62-97978号公報
【特許文献4】
特開昭62-97979号公報
【特許文献5】
特許2954360 号号公報
【特許文献6】
特開平09-67403号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、重合むらが生じがたく、製品の着色がなく、かつ工業的生産性に優れた、粒子状ポリマーと繊維質基材との複合体の製造法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、レドックス系重合開始剤を構成する酸化剤を含有する親水性モノマー水溶液Aの液滴と、レドックス系重合開始剤を構成する還元剤を含有する親水性モノマー水溶液Bの液滴とを、同時に又は相前後して繊維質基材上に付着させ、互いに接触させた後、繊維質基材上で親水性モノマーをレドックス重合させる、ポリマー粒子と繊維質基材とからなる複合体の製造法に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
(ポリマー粒子)
本発明で製造される複合体を構成するポリマー粒子は、維質基材上でレドックス系重合開始剤を構成する酸化剤(以下、単に酸化剤という)を含有する親水性モノマー水溶液A(以下、単にモノマー水溶液Aという)の液滴と、レドックス系重合開始剤を構成する還元剤(以下、単に還元剤という)を含有する親水性モノマー水溶液B(以下、単にモノマー水溶液Bという)の液滴とが接触し、一体化して、レドックス重合することにより得られる。
【0013】
ポリマー粒子は、吸水性ポリマー粒子であることが好ましい。ここでいう吸水性ポリマーとは、後述する測定方法において、好ましくは、自重の20倍以上の重量の生理食塩水を吸収する吸水性を有する。
【0014】
ポリマー粒子の平均粒径は、吸水性を向上させる観点から、好ましくは50〜1000μm、より好ましくは100〜600μmである。平均粒径は、後述するように光学顕微鏡により、測定される。
【0015】
(モノマー水溶液A及びB)
本発明では、モノマー水溶液A及びBに用いられる親水性モノマーとして、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、2−(メタ) アクリロイルエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のアニオン性モノマー又はその塩;(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ) アクリレート、(ポリ) エチレングリコール(メタ) アクリレート等のノニオン性親水性基含有モノマー;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有不飽和モノマー又はその酸中和物もしくはその四級化物等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。なお、モノマー水溶液A及びBに用いられるモノマーは、それぞれ異なっていてもよく、同一であってもよい。
【0016】
本明細書にいう「(メタ)アクリ」は、「アクリ」及び/又は「メタクリ」を意味する。また、本明細書にいう「(ポリ)」は、「ポリマー」及び/又は「モノマー」を意味する。
【0017】
親水性モノマーは、吸水性を向上させる観点から、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等のα,β−不飽和カルボン酸モノマー又はその塩が好ましく、アクリル酸又はそのアルカリ金属塩が更に好ましい。
【0018】
「塩」としては、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等)、アンモニウム塩(第四級アンモニウム塩、第四級アルキルアンモニウム塩等)等が挙げられる。中でもナトリウム塩が安価であり好ましい。
【0019】
親水性モノマーの中では、コスト及び吸水性の点から、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム等のアクリル酸アルカリ金属塩が好ましい。
【0020】
モノマー水溶液A及びBには、吸水性に影響を与えない範囲で、前記親水性モノマーと共重合可能な各種モノマーを添加することができる。
【0021】
α,β−不飽和カルボン酸モノマーとその塩とを併用する場合、両者のモル比(α,β−不飽和カルボン酸モノマー/α,β−不飽和カルボン酸モノマーの塩)は、吸水性を向上させる観点から、好ましくは10/90〜70/30、より好ましくは10/90〜50/50である。
【0022】
また、モノマー水溶液A及びBには、吸水性を向上させる観点から、架橋剤を含有することが好ましい。
【0023】
架橋剤としては、例えば、親水性モノマーと共重合可能な、メチレンビスアクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ) アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ) アクリレート、トリアリルシアヌレート等の多官能性モノマーが挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。また、親水性モノマーがカルボキシル基を有する場合には、架橋剤として、例えば、(ポリ) エチレングリコールジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル;グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリオール;エチレンジアミン等のポリアミン;アルミニウム、マグネシウム等の多価金属イオンを生じる塩類等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。架橋剤は、モノマー水溶液A及びモノマー水溶液Bのいずれか一方又は双方に用いることができる。
【0024】
架橋剤の量は、吸水性の観点から、親水性モノマー100重量部あたり、好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.02〜1重量部である。
【0025】
モノマー水溶液A及びBの各水溶液における親水性モノマー濃度は、特に吸水性ポリマー粒子の製造を目的とする場合には、生産性を向上させ、吸水性を高める観点から、20重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましく、重合熱の除去効率を高める観点から、70重量%以下が好ましく、65重量%以下がより好ましい。これらの観点から、各モノマー水溶液における親水性モノマーの濃度は、20〜70重量%が好ましく、30〜65重量%がより好ましい。
【0026】
モノマー水溶液Aに用いられる酸化剤の例としては、過酸化水素、tert- ブチルハイドロパーオキサイド、コハク酸過酸化物等の過酸化物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、硝酸第二セリウムアンモン等の第二セリウム塩、過マンガン酸カリウム等の過マンガン酸塩、亜塩素酸ナトリウム等の亜塩素酸塩、次亜塩素酸ナトリウム等の次亜塩素酸塩等が挙げられる。
【0027】
酸化性ラジカル重合開始剤の量は、重合反応終了後に残存しないようにする観点から、親水性モノマー100重量部あたり、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜3重量部である。
【0028】
モノマー水溶液Bに用いられる還元剤の例としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、酢酸コバルト、硫酸銅、硫酸第一鉄、L-アスコルビン酸又はそれらのアルカリ金属塩が挙げられる。これらの中では、重合速度が大きく、着色等の問題が生じがたい観点から、過酸化水素と、L-アスコルビン酸又はそのアルカリ金属塩との組み合わせが好ましい。
【0029】
還元剤の量は、重合速度を高め、重合反応終了後に残存しないようにする観点から、親水性モノマー100重量部あたり、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜3重量部である。
【0030】
また、モノマー水溶液A及びBには、種々の添加剤が添加されていてもよい。添加剤としては、例えば、界面活性剤、増粘剤、発泡剤等が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0031】
また、モノマー水溶液A及びBの粘度(ブルックフィールド粘度計で25℃において測定)は、所望の液滴の大きさに微粒化させる観点及び繊維質基材上でモノマー水溶液Aとモノマー水溶液Bの液滴とを一体化させやすくする観点から、好ましくは0.2〜200mPa・s、より好ましくは0.3〜100mPa・sである。
【0032】
本発明では、モノマー水溶液Aとモノマー水溶液Bの2液が用いられている点に、1つの大きな特徴がある。このように、本発明では、この2液が用いられているので、2液の粘度、密度、表面張力等の液物性が類似しており、2液が接触した際に、レドックス系開始剤を構成する酸化剤と還元剤、水溶性アクリル系モノマー等の各成分が速やかに混合され、一体化されやすい。したがって重合むらや着色が生じにくいという利点がある。
【0033】
(複合体の製造)
モノマー水溶液A及びBは、それぞれ、別個独立に微粒化させることによって、それぞれ液滴とすることができ、それぞれ同時に又は相前後して繊維質基材上に付着させることができる。
【0034】
モノマー水溶液A及びBを微粒化する微粒化装置としては、一般的な液体微粒化装置を用いることができる。しかし、液滴の平均粒径の制御が容易であり、しかも短時間で高密度に繊維質基材に付着させることができる観点から、微粒化装置は、スプレーノズル、超音波霧化装置等であることがが好ましい。微粒化装置の設置数は、モノマー水溶液A及びBのそれぞれについて、1個以上用いることができる。
【0035】
本発明は、このように、モノマー水溶液A及びBを別個独立に微粒化させることによって液滴とする点にも、1つの大きな特徴がある。
【0036】
繊維質基材上に数珠玉状に付着した液滴は、隣接するモノマー水溶液A及びBの液滴同士が互いに接触すると表面張力により、互いの液滴は速やかに合体する。また、付着した液滴は、重力や装置の振動により繊維上を移動するので、その一体化が繰り返して行われる。このことにより、モノマー水溶液Aの液滴と、モノマー水溶液Bの液滴とが合体し、速やかにレドックス重合反応が開始する。
【0037】
モノマー水溶液Aの液滴及びモノマー水溶液Bの液滴の平均粒径は、繊維質基材上でこれらの液滴同士を容易に一体化させる観点及び繊維質基材の風合いを維持する観点から、それぞれ、好ましくは5〜1000μm、より好ましくは10〜500μmである。
【0038】
また、モノマー水溶液Aの液滴とモノマー水溶液Bの液滴とが、同等の大きさの平均径であることが、これらの液滴同士を容易に一体化させる観点で好ましい。同等の大きさであるとは、平均粒径の比が、1/3〜3/1の範囲にあることをいい、より好ましくは1/2〜2/1である。液滴の平均径を以上のような値に制御することは、モノマー水溶液の液物性を考慮に入れた上で、適切な微粒化装置を選択することで容易に可能である。
【0039】
繊維質基材上に存在するモノマー水溶液Aの液滴とモノマー水溶液Bの液滴の合計量は、繊維質基材上でモノマー水溶液Aの液滴とモノマー水溶液Bの液滴の液滴とが容易に合体するようにする観点及び繊維質基材が有する風合いを維持する観点から、繊維質基材上への付着終了時に、好ましくは50〜600g/m2 、より好ましくは100〜500g/m2 である。
【0040】
繊維質基材上に存在しているモノマー水溶液Aの液滴とモノマー水溶液Bの液滴との重量比(モノマー水溶液Aの液滴の重量/モノマー水溶液Bの液滴の重量)は、これらの液滴同士を過不足なく容易に一体化させる観点から、好ましくは1/5〜5/1、より好ましくは1/2〜2/1である。
【0041】
モノマー水溶液Aの液滴とモノマー水溶液Bの液滴の液滴とが接触し、一体化するようにするためには、モノマー水溶液Aの液滴とモノマー水溶液Bの液滴とを同時に又は相前後して連続的に付着させる。相前後して連続的に付着させるとは、モノマー水溶液Aの液滴を付着させた後、モノマー水溶液Bの液滴を付着させてもよく、その逆であってもよい。一方の液滴が繊維質基材に初めて付着されたときから他方の液滴の付着が完了するまでの時間は、好ましくは20秒以内、より好ましくは10秒以内である。このようにして、両液滴が、接触し、むらなく一体化される。
【0042】
例えば、これらの液滴群のうち、一方の液滴を付着させた後に、長い時間をおいて他方の液滴を付着させた場合には、初めに付着させた液滴同士の一体化が先に進行してしまい、一体化にむらが生じ、重合むらや着色が生じるばかりでなく、生成するポリマーは、大径粒子のものとなったり、板状となり、得られる複合体の風合いが損なわれるようになる。
【0043】
したがって、前記事情を考慮した場合、モノマー水溶液Aの液滴とモノマー水溶液Bの液滴の液滴とを生成させる微粒化装置をそれぞれ隣接して設置することが好ましい。例えば、長尺の繊維質基材を連続的に供給する場合には、各微粒化装置をこの繊維質基材の進行方向に並べることが好ましい。この場合、モノマー水溶液Aの液滴を生成する微粒化装置とモノマー水溶液Bの液滴の液滴を生成する微粒化装置とは、いずれを先に設置してもよい。
【0044】
以上のようにしてモノマー水溶液Aの液滴とモノマー水溶液Bの液滴とを一体化させることにより、モノマーのレドックス重合が開始し、経時とともに液滴の粘度が上昇し、液滴同士の一体化が停止し、ポリマー粒子が繊維質基材に付着した複合体が得られる。
なお、重合時の温度は、特に制限がなく、室温であってもよく、あるいは加温されていてもよい。
【0045】
得られた複合体を構成している繊維質基材の持つ風合いがほとんど損なわれていないので、この複合体は、例えば、衛生材料等に好適に使用しうるものである。
【0046】
また、本発明の製造法は、一般的な微粒化装置を用いてモノマー水溶液Aとモノマー水溶液Bとを別々に微粒化するため、そのスケールアップが容易であり、しかも長時間稼働させた場合であっても、ノズルの閉塞等のおそれがないので、工業的生産性に優れた方法である。
【0047】
なお、複合体中の未反応物の低減や複合体の乾燥が必要である場合には、公知の後処理工程を行えばよい。かかる後処理工程としては、例えば、特許第2036403 号明細書に記載されている紫外線による未反応物の低減処理、特許第1979788 号明細書に記載されている高温高湿下での未反応物の低減と乾燥の同時処理等が挙げられる。工業化規模では、設備投資やランニングコストの低減の観点から、紫外線処理と高温高湿処理の併用が好ましい。
【0048】
なお、繊維質基材の種類は、吸収性複合体の用途等に応じて適宜選択することができる。繊維質基材の例としては、織布、不織布、カードウェブ、エアレイドウェブ等の繊維や繊維製品、スポンジ等の多孔質シート状物等が挙げられる。繊維質基材は、高い生産効率で目的の複合体を連続的に得る観点から、連続供給が容易な形態を有することが好ましい。
【0049】
繊維質基材を構成している繊維としては、天然繊維、合成繊維等が挙げられる。なお、繊維の中では、天然繊維等の毛管力の大きな繊維が高含量で繊維に含まれている場合には、繊維に付着したモノマー液滴が球形を保つことができずに繊維間の間隙に入り込んで埋まりやすくなるので、モノマー水溶液Aとモノマー水溶液Bとが均一に混合しがたくなるのみならず、得られる複合体は柔軟性を失うため、風合いが悪くなる。従って、重合むらや着色等を防止する観点及び基材が有する風合いを維持する観点から、繊維質基材には、合成繊維が含有されていることが好ましい。かかる観点から、繊維質基材における合成繊維の含有量は、30重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましい。
【0050】
合成繊維の種類としては、ポリエステル系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、アクリル繊維、アミド繊維等に代表される一般的な合成繊維が挙げられる。
【0051】
繊維質基材の坪量は、複合体の用途等によって異なるので一概には決定することができないが、通常、好ましくは10〜400g/m2 程度、より好ましくは15〜100g/m2 程度である。
【0052】
【実施例】
実施例1(参考例)
〔モノマー水溶液A〕
80%アクリル酸水溶液125重量部を30%水酸化ナトリウム水溶液133重量部で中和した後、N,N‘−メチレンビスアクリルアミド0.2重量部、30%過酸化水素水2.4重量部及び水4.6重量部を混合して溶解し、モノマー水溶液Aを得た。
【0053】
〔モノマー水溶液B〕
80%アクリル酸水溶液125重量部を30%水酸化ナトリウム水溶液133重量部で中和した後、N,N‘−メチレンビスアクリルアミド0.2重量部、L−アスコルビン酸1.2重量部及び水5.8重量部を混合して溶解し、モノマー溶液Bを得た。
【0054】
モノマー水溶液A及びBは、それぞれモノマー濃度45重量%、中和度72%であった。また、モノマー水溶液A及びBの粘度(ブルックフィールド粘度計で25℃で測定)は、それぞれ10mPa・sであった。
【0055】
次に、図1に示される装置を用いて、モノマー水溶液Aを微粒化装置3の液体供給口3a及びモノマー水溶液Bを微粒化装置4の液体供給口4aに、それぞれ、50mL/minの流量で供給した。微粒化装置3及び4には、それぞれ二流体噴霧ノズル〔スプレーイングシステムスジャパン(株)製、品番:SUF3B〕を設置し、気体供給口3b、4bには空気圧0.03MPaで空気を供給し、各モノマー水溶液を、微粒化装置3、4の下方の搬送コンベア5上で2m/minの速度で搬送されている幅300mmの長尺状の不織布1に噴霧した。不織布1として、繊度2デニール、目付50g/m2 のポリプロピレン製不織布を用いた。噴霧は、液滴の飛散を防ぐ意味で、吸気口6から吸引しながら行った。搬送されている不織布1上に、液滴が初めて付着してから完了するまでの時間は3秒であった。
【0056】
液滴を噴霧したところ、不織布1上で直ちに液滴のモノマーの重合が開始した。搬送された不織布を観察したところ、粒子状のポリマーが幅200mmの範囲で不織布に固定化されていた。その中心部分を100mm四方に切断し、その重量を測定したところ、ポリマー粒子となった液滴の付着量は、180g/m2 であり、顕微鏡写真に撮って、200個のポリマー粒子の平均粒径(メジアン径)を測定したところ、そのポリマー粒子の平均粒径は188μmであった。
【0057】
得られた複合体2を、温度140℃、露点80℃の雰囲気中で5分間乾燥させ、ポリマー粒子中の残存モノマー量、ポリマー粒子の着色の有無、風合い、及び吸水量を以下の方法に従って調べた。その結果を表1に示す。
【0058】
[残存モノマー量]
200mL容のフラスコ内に、2%塩化カルシウム水溶液50gを入れ、この溶液に10cm角の吸水性複合体を浸漬し、時々攪拌しながら30分間放置した後、この内容物に、32%塩化カルシウム水溶液10gを加え、攪拌する。
【0059】
10分間放置後、上澄み液をイオン交換水で5倍に希釈し、この希釈液を平均孔径が0.45μmのメンブランフィルターで濾過し、得られた濾液を高速液体クロマトグラフィーで分析する。
【0060】
これとは別に予め既知濃度のモノマー標準液を調製しておき、この標準液に基づいて作成された検量線により、残存モノマー量を定量する。
【0061】
[ポリマー粒子の着色の有無]
市販の紙おむつ(花王(株)製、商品名メリーズ)から取り出した吸水性ポリマー粒子と比較し、目視により判定した。
【0062】
[複合体の風合い]
手に取ったときの感触により判定した。
【0063】
実施例1で得られた乾燥後の複合体(乾燥ポリマー付着量:107g/m2 )の吸水量を、以下の方法にしたがって測定したところ、37g/gであった。
【0064】
[吸水量]
複合体(100mm×200mm)を生理食塩水中に60分間浸漬し、飽和吸水させた後、斜度10度のアクリル版上に載せ30分間経過した後の複合体を吸水後の複合体とする。吸水量を式:
〔吸水量(g/g)〕
=〔吸水後の複合体の重量(g)−吸水前の複合体の重量(g)〕
÷〔複合体サンプル中の乾燥ポリマーの重量(g)〕
に基づいて求める。
【0065】
なお、複合体サンプル中の乾燥ポリマーの重量は、式:
〔複合体サンプル中の乾燥ポリマーの重量(g)〕
=〔乾燥ポリマー付着量(g/m2 )〕×0.02(m2 )
に基づいて求める。
【0066】
実施例2
図2に示す装置を用いた。実施例1において、微粒化装置として、圧力噴霧ノズル〔(株)いけうち製、品番:充円錐ノズルJ006〕を装着し、モノマー水溶液Aを微粒化装置3の液体供給口3aに、モノマー水溶液Bを微粒化装置4の液体供給口4aにそれぞれ圧力0.8MPa、流量90mL/minで供給して噴霧し、不織布1を4m/minの速度で搬送させた以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0067】
モノマー水溶液Aの液滴が付着した後、モノマー水溶液Bの液滴の付着が完了する迄の時間は、9秒であった。
【0068】
重合後、ポリマー粒子となった液滴の付着量は270g/m2 で、その平均粒径は503μmであった。
【0069】
得られた複合体2の乾燥後ポリマー中の残存モノマー量、ポリマー粒子の着色の有無及び風合いを前記と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0070】
実施例3(参考例)
実施例1において、レーヨン繊維30重量%及び繊度2デニールのポリエステル繊維70重量%からなり、目付60g/m2 の不織布を用いた以外は、実施例1と同様にして行った。
【0071】
重合後、ポリマー粒子となった液滴の付着量は200g/m2 で、その平均粒径は333μmであった。
【0072】
得られた複合体2の乾燥後ポリマー中の残存モノマー量、ポリマー粒子の着色の有無及び風合いを前記と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0073】
実施例4(参考例)
実施例1で得られた重合後の複合体2を、温度140℃、露点80℃の雰囲気中で5分間乾燥する代わりに、紫外線を照射し、次いで140℃、露点80℃の調湿熱風を1分間通気させて乾燥を行った。
【0074】
ポリマー中の残存モノマー量、ポリマー粒子の着色の有無及び風合いを前記と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0075】
なお、紫外線の照射は、60W/cmの高圧水銀ランプを用い、ランプと複合体との間の距離を100mmとし、積算光量750mJ/cm2 となるようにして行った。
【0076】
比較例1
実施例1で用いたのと同様の装置を用い、実施例1と同様の方法で、はじめに微粒化装置3のみを用いてモノマー水溶液Aを不織布1に噴霧し、そのまま30秒間放置して、付着した液滴の一体化を進行させた。
【0077】
次に、この不織布を再度コンベアの先頭から搬送させ、微粒化装置4のみを用いてモノマー水溶液Bを噴霧した。2回の噴霧終了後、不織布2上で重合が開始した。重合後は、ポリマー粒子の粒径にむらが生じており、ポリマー粒子となった液滴の付着量は180g/m2 で、その平均粒径は166μmであった。
【0078】
ポリマー中の残存モノマー量、ポリマー粒子の着色の有無及び風合いを前記と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0079】
比較例2
〔モノマー水溶液C〕
80%アクリル酸水溶液125重量部を30%水酸化ナトリウム水溶液133重量部で中和した後、N,N‘−メチレンビスアクリルアミド0.2重量部、水溶性ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.3重量部及び水6.7重量部を混合して溶解し、モノマー水溶液Cを得た。
【0080】
〔レドックス開始剤混合溶液D〕
30%過酸化水素水24重量部、L−アスコルビン酸12重量部及び水104重量部を混合して溶解し、レドックス開始剤混合溶液Dを得た。
【0081】
実施例1で用いたのと同様の装置を用い、モノマー水溶液Cを微粒化装置3の液体供給口3aに50mL/minで供給し、微粒化装置4は使用せず、不織布1を1m/minで搬送させた以外は、実施例1と同様にして噴霧操作を行った。微粒化装置3の下流50cmの位置において、不織布上にレドックス開始剤混合溶液Dをハンドスプレーにて噴霧したところ、直ちにモノマーの重合が開始されたが、搬送されてきた不織布を観察すると、液滴の大部分は未だ液状であり、粒子状のポリマーは見られなかった。
【0082】
【表1】
【0083】
表1に示された結果から、各実施例によれば、残存モノマー量が少なく、ポリマー粒子の着色もなく、風合いのよい複合体が得られることがわかる。
【0084】
【発明の効果】
本発明によれば、重合むらが生じがたく、製品の着色がなく、かつ工業的生産性に優れた、粒子状ポリマーと繊維質基材との複合体の製造法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1で用いられた装置の概略説明図である。
【図2】本発明の実施例2で用いられた装置の概略説明図である。
【符号の説明】
1 不織布
2 複合体
3 微粒化装置
3a 液体供給口
3b 気体供給口
4 微粒化装置
4a 液体供給口
4b 気体供給口
5 搬送コンベア
6 吸気口
Claims (4)
- レドックス系重合開始剤を構成する酸化剤を含有する親水性モノマー水溶液Aの液滴と、レドックス系重合開始剤を構成する還元剤を含有する親水性モノマー水溶液Bの液滴とを、それぞれ別個独立に微粒化させ、相前後して繊維質基材上に付着させ、互いに接触させた後、繊維質基材上で親水性モノマーをレドックス重合させる、ポリマー粒子と繊維質基材とからなる複合体の製造法。
- 繊維質基材上に存在しているモノマー水溶液Aの液滴とモノマー水溶液Bの液滴の合計量が50〜600g/m2 である請求項1記載の製造法。
- 繊維質基材が合成繊維を30重量%以上含有するものである請求項1又は2記載の製造法。
- ポリマー粒子が吸水性ポリマー粒子である請求項1〜3いずれか記載の製造法。
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