JP4091152B2 - 金コロイドを含む核酸調製物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は金コロイド及び遺伝子発現カセットを主成分とする核酸調製物に関する。更に詳細には、金コロイド及びプロモーターの下流に蛋白質をコードする遺伝子を接続した遺伝子発現カセットの混合物を主成分とする核酸調製物並びにこれを生体内に投与することからなる免疫方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、家禽のワクチネーションには、弱毒化した生の病原体を用いる生ワクチン又は不活化した病原体を用いる不活化ワクチンが使用されてきた。不活化ワクチンと生ワクチンを比較すると、一般的に不活化ワクチンは、安全性は高いが効果の持続期間が短い。逆に、生ワクチンは、副作用が危惧されるものの効力及び持続力が優れている。このように特徴の異なる2種類のワクチンが存在するが、病原体の弱毒化に成功した場合には、安全性よりも有効性が重視され生ワクチンを使用することが多かった。しかしながら、近年は、麻疹生ワクチン接種が原因で無菌性髄膜炎を発症したことが報告されるなど、生ワクチンの安全性が問われている。
【0003】
また、生ワクチンには、安全性の問題の他に、1)宿主が既にワクチン株やワクチン株と同じ型の病原体に対する免疫を獲得している場合、接種したワクチン株は宿主から容易に排除され、十分なワクチン効果が得られない。2)同様な理由で移行抗体が存在する場合にも生ワクチンの十分な効果が発揮されない。3)生ワクチン間で干渉が起こるために、それらを混合することによる多価生ワクチンの作製が困難であるなど、ワクチンの作用効果に係わる欠点も存在する。
【0004】
一方、効率的なワクチネーションを行うために、生ワクチンの特性を生かした有効性の高い多価生ワクチンの作製が試みられている(Taylor J. et al., AVIAN DISEASE 40, 173-180, 1996, Sonderweijer P.J.A. et al., Vaccine 11, 349-358,1993)。この多価生ワクチンは、生ワクチンのウイルスゲノムをベクターとして利用するもので、該ウイルスゲノムに他の病原体の感染防御抗原遺伝子を組み込んだウイルスベクターを主成分とする。しかしながら、該ウイルスベクターワクチンも、その基本形が生ワクチンであるため、従来の弱毒生ワクチンと同様に接種個体からワクチンウイルスが排泄され、新たな感染源になる可能性があることは否定できない。
【0005】
このような状況下、遺伝子発現カセット(プラスミド)を生体内に投与することにより、該遺伝子発現カセットに組み込まれた感染防御抗原をコードする遺伝子を直接生体中に発現させるという全く新しい免疫手法が試みられ、この方法により、ニワトリインフルエンザと狂犬病ウイルスに対し、十分な防御効果が得られたことが報告された(Momtgomery, DNA Cell. Biol., 12, 777-783(1993):インフルエンザ/マウス、Robinson, Vaccine, 11, 957-961:インフルエンザ/マウス、ニワトリ)。
【0006】
また、遺伝子発現カセットを用いたワクチン(以下、DNAワクチンとも称す)は従来の弱毒生ワクチンやウイルスベクターワクチンとは異なり、複数を混合して接種してもお互いの干渉によるワクチン効果の低下が理論的には起こらないため、多価DNAワクチンを容易に作製することが期待できる。
【0007】
しかしながら、これまでに報告されたDNAワクチン接種の効果は、例えばニワトリインフルエンザの場合、100μg/doseのプラスミドを三つのルート(静脈内、皮下、腹腔内)から同時に、しかも2回投与することではじめて50%の防御成績を得ている程度にすぎなかった(Robinson, Vaccine, 11,957-961(1993))。また、マウスの実験では、200μgのプラスミドを3回投与することによって初めてインフルエンザを防御するに至っている(Momtgomery, DNA Cell. Biol., 12, 777-783(1993))。このようにプラスミドを単独で投与した場合、その取り込みはエンドサイトーシスによるもので、ほとんどが細胞間に留まるため、実際に細胞内に取り込まれるのはごくわずかな量である。
【0008】
前述の非効率なワクチン接種の問題を解決するために、DNAワクチンに高価な金パウダー(0.5〜3μm)を付着させた免疫用核酸調製物で免疫反応を誘導する試みがなされている(E. F. Fynan, ProNAS, 90, 11478-11482(1993))。しかしながら、この方法は、投与時に高圧ガスや火薬等を使用したジーンガンと呼ばれる特殊で高価な接種装置を使用する必要があり、技術及びコスト面を鑑みて多数の動物に免疫する方法として現実的ではない。更に、金粒子にプラスミドを付着させる方法も非常に煩雑であり、多数の動物を対象とするには実用的な方法とは言えない。
【0009】
また、効率よくDNAワクチンを細胞に取り込ませるため、リポソームなどのDDSが検討された例があるが(M. Yokoyama., FEMS Immunology and Medical Microbiology, 14, 221-230(1996)、Sakaguchi et al., Vaccine, 14, 747(1996))、コスト面からこの方法も現実的ではないといえる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、プラスミドを直接体内に投与する免疫方法は既に幾つか試みられているものの、有効性や剤形上の点から実用に耐えうる動物免疫方法の報告はこれまでになく、従来の手法に変わる、実用的な効果的免疫方法の開発が望まれている。
【0011】
本発明は、感染症に対する感染防御抗原やその他の機能蛋白質をコードする遺伝子が生体内で発現するように構築された遺伝子発現カセットと金コロイドの微粒子とを混合した核酸調製物及び該核酸調製物を利用した対象動物の免疫方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ニワトリのニューカッスル病ウイルス(NDV)F遺伝子をニワトリβ-アクチン遺伝子プロモーターの下流に組み込んだプラスミドと金コロイド微粒子とを混合した混合物を投与された幼雛等が、金コロイドを混合しない場合に比べてより高いNDV防御能を獲得することを見いだした。また、鶏の伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスVP2遺伝子を上記と同様に組み込んだプラスミドと金コロイド微粒子との混合物を投与された幼雛等がより高い中和価を獲得することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
したがって、本発明は、ニワトリβ-アクチン遺伝子プロモーターの下流にNDV F遺伝子を組み込んだ遺伝子発現カセット及び金コロイドを主成分とするNDV感染症に対するワクチン、並びにニワトリβ-アクチン遺伝子プロモーターの下流にIBDV VP2遺伝子を組み込んだ遺伝子発現カセット及び金コロイドを主成分とするIBDV感染症に対するワクチンを包含する。以下に、本発明について更に詳述する。
【0014】
本発明は、感染症に対する感染防御抗原が生体内で発現するように構築された遺伝子発現カセットと金コロイドの混合物によって特徴づけられる。この混合物を対象動物に投与することにより、感染防御抗原に対し高い免疫を賦与することができる。
【0015】
感染症に対する感染防御抗原が生体内で機能するように組み込まれた遺伝子発現カセットは、Sambrookらが述べている一般的な遺伝子組換え技術に従い構築することができる(Molecular Cloning, A Laboratory Manual Second Edition. Cold Spring Harbor Laboratory Press, N. Y., 1989)。すなわち、対象感染症に対する感染防御抗原をコードする遺伝子をクローニングし、これを動物体内で機能するプロモーターの下流に結合させたDNA断片を構築し、該DNA断片をプラスミドに挿入することによって作製される。
【0016】
プロモーターとしては、動物体内で機能するものであればどのようなものでも使用できるが、好ましくは、ニワトリβ-アクチン遺伝子のプロモーターが挙げられる。更に好ましくは、発現効率を高めるために種々の改良が施された改良型のニワトリβ-アクチン遺伝子プロモータ(特開平2-156891号及び特開平3-168097)が使用される。
【0017】
遺伝子発現カッセトに組み込まれる外来遺伝子としては、(1)ウイルス性疾病、細菌性疾病、寄生虫病など種々の感染症に対する感染防御抗原をコードする遺伝子、例えば、インフルエンザウイルスのNPまたはHA(Ulmer JB et al., Science、259,1745-1749(1993))、狂犬病ウイルスの糖蛋白(Xiang ZQ et al., Virolgy、199,132-144(1994))、ヒト免疫不全ウイルスのエンベロープ蛋白やRev(Wang B. et al., DNA cell Biol.,12, 799-805(1993)、Okuda K. et al., Aids Res. Human Retrovir. 11, 132-140(1995))、単純ヘルペスウイルスの糖蛋白BまたはD(Manickan E. et al., J. Immnol., 155, 259-265(1995)、Ghisi H., Antiviral Res., 28, 147-157(1995)、McClements WL., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93, 11414-11420(1996)、Bourne N., J. Inf. Dis., 173, 800-807(1996))、ウシヘルペスウイルスの糖蛋白(Cox G., J. Virol., 67, 799-805(1993))、B型肝炎ウイルスの表面抗原(Davis HL et al., Human Mol. Genet., 2, 1847-51(1993))やコア蛋白(Kuhober A et al., J. Immunol., 156, 3687-3695(1996))、C型肝炎ウイルスのヌクレオカプシド(Major ME et al., J.Virol., 69, 5798-5805(1995), Lagging LM et al., J. Virol., 69, 5859-5863(1995))、パピローマウイルスのL1(Donnelly JJ et al.,J. Infect. Dis., 173, 314-320(1996))、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV−1)のウイルスエンベローブ(Agadjanyan MG. et al., In Vaccine 94, 47-538(1994))、サイトメガロウイルスのウイルステグメントpp65(Pande H. et al., Scand. J. Infect. Dis.,S99, 117-120(1995) 、マラリア原虫のスポロゾイト蛋白(Sedegah M et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 9866-9870(1994))、日本住血吸虫のパラミオシン蛋白(Yang W. et al., Biochem. Biophys. Res Commun., 212, 1029-1039(1995))等をコードする遺伝子、(2)ガン特異的抗原等をコードする遺伝子、例えば、B細胞リンパ腫のイディオタイプ抗体(Hawkins RE. et al., Blood, 83, 3279-3288(1994))、癌胎児性抗原(Conry RM. et al., Cancer Res., 54, 1164-1168(1994))、ヒト免疫グロブリンV領域(Watanabe A. et al., J. Immunol., 151, 2871-2876(1993))、MHCクラスI分子(Geissler EK. et al.,J. Immunol., 152, 413-421(1994))等をコードする遺伝子、(3)リウマチ性関節炎などの自己免疫疾患に対して治療効果を示すT細胞レセプターベーター鎖をコードする遺伝子(Williams WV., et al., Immunol. Res., 13, 145-153(1994))、(4)(1)〜(3)のDNAワクチンと共に投与され、その有効性を高める蛋白、例えばサイトカインであるインターロイキン2、インターロイキン4や顆粒球マクロファージコロニー刺激因子をコードする遺伝子等が挙げられる(Geissler M. et al., J. Immunol., 158, 1231-1237, (1997)) 好ましくは、(1)に対応するニワトリの感染症に対する感染防御抗原をコードする遺伝子が使用され、更に好ましくは、NDVに対する感染防御抗原であるF遺伝子又はIBDVに対する感染防御抗原であるVP2遺伝子が使用される。
【0018】
多価DNAワクチンは、プロモーターと感染防御抗原遺伝子からなるDNA断片を挿入した種々のプラスミドを混合するか、あるいは種々の上記DNA断片が複数連結されたDNAを挿入したプラスミドを構築することにより作製できる。
【0019】
このような大きなDNAを挿入する際のプラスミドとして、例えば、約20kbまでのDNAをクローニングすることができ、かつこれを安定して発現させうるファージミドベクター(pUC119)が挙げられる。より具体的には、pUC119にニワトリβ-アクチン遺伝子プロモーター(約1.4kb)を挿入し、更にその下流にニワトリ伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスのカプシド蛋白をコードする遺伝子(3.2 kb)、NDVの融合蛋白Fをコードする遺伝子(1.7 kb)、ニワトリ伝染性気管支炎ウイルスのスパイク蛋白質をコードする遺伝子(4.2 kb)及びポリA付加シグナルを安定に組み込むことが可能である。
【0020】
本発明において使用される金コロイドは、塩化金酸とクエン酸3ナトリウムを一定の比率、例えば、0.1 mg/mlの塩化金酸水溶液100mlに対して1%クエン酸ナトリウムを1.1mlを混合することにより、極めて容易かつ安価に調製される(Geoghegan et al, J. Histochem. Cytochem., 25, 1187-1200(1977), Goodmann et al, J. maicroscopy, 123, 201-213(1981), De Waele et al, J. Histochem. Cytochem., 31, 376-381(1983), Roth et al., J. Histochem. Cytochem., 30, 691-696(1982))。この方法によれば、前述の金パウダーの約1/5以下の微粒子からなる金コロイドが得られる。本発明においては、その粒径が1nm〜100nmの範囲にあるものが使用される。好ましくは、45nm〜100nmの範囲の金コロイドが使用される。
【0021】
本発明の核酸調製物は、前記金コロイドと上述した遺伝子発現カセットとを混合することにより作製される。該核酸調製物における遺伝子発現カセットと金コロイドの混合比は、各対象動物に適した量比を逐次選択することにより決定される。かくして得られる核酸調製物は、対象動物に高い免疫を賦与するものであり、単独であるいは薬剤として投与可能な適当な安定剤と共に、動物体内に投与することによりDNAワクチンとして使用される。
【0022】
接種する対象動物としては通常ワクチン接種が実施されている動物であれば特に限定されるものではなく、ブタ、ウシまたはニワトリ等の家禽類をはじめとした鳥類や哺乳動物さらにはヒトへの応用も可能である。特に本発明の実施例ではニワトリを用いてその効果を確認しているが、特にニワトリに限定されるものではなく、種々の動物で本発明の効果が得られることが考えられる。
【0023】
【発明の効果】
本発明によると、遺伝子発現カセットと金コロイドを混合した核酸調製物が提供される。
【0024】
本発明の核酸調製物を主成分とするDNAワクチンは、本発明中の金コロイドが強力なドラッグデリバリーシステムとしての効果を有するため、従来のDNAワクチンに比べ、少量で高い免疫を誘導することができる。また、核酸調製物が微粒子であるため、通常のワクチン接種と同様に注射により投与することができる。以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【0025】
【実施例】
実施例1:F蛋白発現プラスミドの構築
ニワトリβ-アクチン遺伝子プロモーターを有するプラスミドpCAGn−mcs−poly(A)(特願平8-271369)を制限酵素HindIIIで消化後、フェノール・クロロフォルム処理及びエタノール沈殿し、開列したプラスミドを得た。このプラスミドの開列末端をTaKaRa DNA Blunting Kit(宝酒造株式会社)を用い、添付のプロトコールに従って平滑化した後、バクテリオアルカリフォスファターゼ(宝酒造株式会社)で脱リン酸化処理した。NDV−F遺伝子についてはSatoらが構築し、報告しているXLIII10Hから制限酵素BsmIおよびBbeIによる部分消化とアガロース電気泳動、フェノールクロロホルム処理及びエタノール沈澱により回収したものを用いた。該NDV−F遺伝子をTaKaRa DNA Blunting Kitを用い、ニワトリβ-アクチン遺伝子プロモーターの下流にを挿入し、NDVーF遺伝子が結合した発現プラスミドpCAG(F)を構築した。この発現プラスミドの概要を図1に示した。
【0026】
実施例2:VP2蛋白発現プラスミドの構築
生ワクチン用ウイルス(化学及血清療法研究所製)を牛胎児血清を3%に含むイーグルMEM(日水株式会社)にニワトリ胎児胚線維芽細胞とともに接種して培養した。培養上清を40%シュクロース液をクッションとする22Krpm、2時間の超遠心(株式会社日立製作所、RPS40T)を行い、ウイルス粒子を沈査として得た。濃縮して得たウイルス粒子からフェノールクロロホルム処理及びエタノール沈澱によりウイルスゲノムRNAを回収した。次いでRT−PCRによりVP2をコードするcDNAをクローニングした。RT−PCRについては、TaKaRa RNA LA PCR Kit(AMV)(宝酒造株式会社、RR012A)及び配列表の配列番号:1および:2に記載の塩基配列を有する合成DNA(宝酒造株式会社 )を用い、添付のプロトコールに従い実施した。合成DNAの配列は既報の塩基配列(Hudson P.J., Nuc. Acid. Res., 14, 5001-5012(1986))から求めた。増幅されたcDNAをXhoIで消化後、終止コドンを付加し、このcDNAを予め平滑化及び脱リン酸化処理したpCAGn−mcs−poly(A)に挿入し、IBDV−VP2遺伝子を発現するプラスミド、pCAG(VP2)を構築した。
【0027】
実施例 3 :金コロイドの調製
本発明で用いる金コロイドは、Frens等の方法に従って調製した(Frens, Nature Phys Sci, 241, 20-22(1973))。すなわち、蒸留水100mlを沸騰させ、スターラーで高速回転させながら、塩化金酸(シグマG4022)10mgを溶解した。該溶解液にスターラーで攪拌しながら1%クエン酸3ナトリウムを素早く滴下し、さらに約10分間攪拌した後、反応液を冷却するために室温に放置した。金コロイドの粒径は添加するクエン酸3ナトリウムの液量に依存するが、本実施例では、1%クエン酸3ナトリウム1.1ml及び0.5mlを添加し、約45nm及び約100nmの粒径を持つ金コロイドを調製した。
【0028】
実施例 4 :抗F抗体価測定のための競合法ELISA
競合法ELISAに用いるプレートの調製法について以下に記す。ニューカッスル病ウイルス石井株をホルマリンで不活化し、粗遠心により回収したものをカルシウム、マグネシウムを含まないリン酸緩衝液(PBS(−))に懸濁した。これを96ウェルプレート(ダイナテック イムロン2)に1ウェル当たり100μlずつ分注した。4℃で一晩放置後、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(ツィーン20、ナカライテスク356ー24)を0.05%に含むPBS(−)で3回洗浄した。次いでウシ血清アルブミン(BSA,シグマA−7030)を2%に含むPBS(−)を1ウェル当たり200μlずつ分注し、室温で2時間放置した。以上の手順により調製したプレートを競合法ELISAに用いた。
【0029】
採取したニワトリ血清をスキムミルク(雪印乳業)を5%、及びツィーン20を0.05%に含むPBS(−)(以下抗体希釈液ともいう)で10倍に希釈し、1ウェルにつき100μlを入れた。室温で1時間放置後、ツィーン20を0.05%に含むPBS(−)で洗浄した。ついでYoshitakeらの方法(J.BIochem., 92, 1413-1424 (1982))に従いペルオキシダーゼ標識した抗F蛋白抗体#83(Sato et al, J. Gen.Virol., 71, 1199-1203(1990))を抗体希釈液で任意の倍数に希釈し、1ウェルにつき100μlを入れた。室温で1時間放置後、ツィーン20を0.05%に含むPBS(−)で洗浄した。ついで、クエン酸、リン酸水素2ナトリウム、OPDおよび過酸化水素ナトリウムからなる基質を1ウェルにつき100μlを入れ、遮光し、室温で1時間放置後、3M硫酸を50マイクロリットルずつ加えてよく混合し、反応を停止した。その後すぐに490/650nmの吸光度を測定した。得られた値を陰性血清の吸光度値で除して100倍した数値を抗体価とし、80以下をF抗体陽性とした。
【0030】
実施例5:IBDV中和試験
pCAG(VP2)投与による免疫状態を知るため、ウイルス中和試験を行い、鶏血清中の中和抗体価を測定した。採取した鶏血清を96ウェルプレート上でイーグルMEM培地で10倍から1280倍まで階段希釈した。そこにIBDVK株を1ウェルにつき100TCID50添加し、ボルテックスにより混和した後、37℃で90分放置した。ここにニワトリ線維芽細胞(CEF)を1ウェルにつき5万個を入れ、さらに37℃で培養した。3日後、細胞変性効果の観察されなかった最大希釈濃度の数値をその血清の中和価とした。
【0031】
実施例 6 :F発現プラスミドpCAG(F)による免疫実験1
pCAG(F)20pmol(約100μg)を0.1mlのPBS(−)に溶解し、0.1mlの金コロイド(粒径45nm)と混和した。これを1群5羽のSPFニワトリの下腿部筋肉内に2週齢時と4週齢時の2回注射した。接種後2週間おきに10週齢まで採血し、抗F抗体価の推移を競合法ELISAにより測定した。競合法ELISAによる抗F抗体価の測定結果を表1に示す。金コロイド未使用群では2/5羽にしか抗体が惹起されず、その程度は競合法ELISA値で70程度であった。金コロイド使用群では2回目免疫2週間後(6週齢時)で4/5羽にニューカッスル病を十分に防御しうるレベル(競合法ELISA値で37.7〜65.8)の抗F抗体価が観察された。その効果は少なくとも10週齢時まで持続した。
【0032】
【表1】
【0033】
実施例 7 :F発現プラスミドpCAG(F)による免疫実験2
pCAG(F)20pmol(約100μg)を0.1mlのPBS(−)に溶解し、0.1mlの金コロイド(粒径100nm)と混和した。これをSPFニワトリの静脈内に2週齢時と4週齢時の2回、注射により投与した。順次採血し、抗F抗体価を競合法ELISAにより測定した。競合法ELISAによる抗F抗体価の測定結果を表2に示す。金コロイド未使用群では3/5羽にのみ抗体が惹起されたのに対し、金コロイド使用群では5/5羽にニューカッスル病を十分に防御しうるレベルの抗F抗体価が観察された。静脈内投与においては金コロイド無しでも、筋肉内投与の場合より良好な結果が得られたが、金コロイド添加により供試ニワトリ全てに確実かつ良好な免疫を付与することが出来た。
【0034】
【表2】
【0035】
実施例8:pCAG(VP2)による免疫実験
pCAG(VP2)20pmol(約100μg)を0.1mlのPBS(−)に溶解し、金コロイド(粒径100nm)0.1mlと混和した。これをSPFニワトリの下腿部筋肉内に2週齢時と4週齢時の2回注射により投与した。IBDV中和試験による鶏血清中の中和抗体価の測定結果を表3に示す。金コロイド未使用群では2/5羽に抗体が惹起されたのに対し、金コロイド使用群では全羽に抗体が惹起された。IBDVにおいても金コロイド添加により供試ニワトリ全てに良好な免疫を付与することが出来た。
【0036】
【表3】
【0037】
【配列表】
【0038】
【図面の簡単な説明】
【図1】NDV F蛋白発現プラスミドの概要を示す図。
【図2】IBDV VP2蛋白発現プラスミドの概要を示す図。
Claims (11)
- ヒトを除いた対象動物に対して、金コロイドをDNAワクチンの免疫増強剤として使用する方法。
- 金コロイドの粒径が1〜100nmであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
- 金コロイド及び遺伝子発現カセットを主成分とするDNAワクチン。
- 金コロイドの粒径が1〜100nmであることを特徴とする、請求項3記載のDNAワクチン。
- 遺伝子発現カセットが、感染症に対する感染防御抗原を発現させるための発現カセットであることを特徴とする請求項3又は4記載のDNAワクチン。
- 遺伝子発現カセットが、自己免疫疾患抗原を発現させるための発現カセットであることを特徴とする請求項3又は4記載のDNAワクチン。
- 遺伝子発現カセットが、ガン特異抗原を発現させるための発現カセットであることを特徴とする請求項3又は4記載のDNAワクチン。
- 遺伝子発現カセットが、サイトカインを発現させるための発現カセットであることを特徴とする請求項3又は4記載のDNAワクチン。
- 請求項3ないし8の何れか一項記載のDNAワクチンを用いることを特徴とする、ヒトを除いた対象動物の免疫方法。
- 対象動物が家禽類であることを特徴とする請求項9記載の免疫方法。
- 家禽類がニワトリであることを特徴とする請求項10記載の免疫方法。
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