JP2004533431A - アジュバントとしてi型ifnを含むワクチン及びそれと関連する方法 - Google Patents
アジュバントとしてi型ifnを含むワクチン及びそれと関連する方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004533431A JP2004533431A JP2002580971A JP2002580971A JP2004533431A JP 2004533431 A JP2004533431 A JP 2004533431A JP 2002580971 A JP2002580971 A JP 2002580971A JP 2002580971 A JP2002580971 A JP 2002580971A JP 2004533431 A JP2004533431 A JP 2004533431A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ifn
- type
- vaccine
- mice
- adjuvant
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K39/00—Medicinal preparations containing antigens or antibodies
- A61K39/39—Medicinal preparations containing antigens or antibodies characterised by the immunostimulating additives, e.g. chemical adjuvants
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K38/00—Medicinal preparations containing peptides
- A61K38/16—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
- A61K38/17—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
- A61K38/19—Cytokines; Lymphokines; Interferons
- A61K38/21—Interferons [IFN]
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K47/00—Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
- A61K47/50—Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates
- A61K47/51—Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates the non-active ingredient being a modifying agent
- A61K47/62—Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates the non-active ingredient being a modifying agent the modifying agent being a protein, peptide or polyamino acid
- A61K47/64—Drug-peptide, drug-protein or drug-polyamino acid conjugates, i.e. the modifying agent being a peptide, protein or polyamino acid which is covalently bonded or complexed to a therapeutically active agent
- A61K47/646—Drug-peptide, drug-protein or drug-polyamino acid conjugates, i.e. the modifying agent being a peptide, protein or polyamino acid which is covalently bonded or complexed to a therapeutically active agent the entire peptide or protein drug conjugate elicits an immune response, e.g. conjugate vaccines
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P31/00—Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P35/00—Antineoplastic agents
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K39/00—Medicinal preparations containing antigens or antibodies
- A61K2039/545—Medicinal preparations containing antigens or antibodies characterised by the dose, timing or administration schedule
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K39/00—Medicinal preparations containing antigens or antibodies
- A61K2039/555—Medicinal preparations containing antigens or antibodies characterised by a specific combination antigen/adjuvant
- A61K2039/55511—Organic adjuvants
- A61K2039/55522—Cytokines; Lymphokines; Interferons
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Pharmacology & Pharmacy (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Public Health (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Epidemiology (AREA)
- Immunology (AREA)
- Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Mycology (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Zoology (AREA)
- Gastroenterology & Hepatology (AREA)
- Virology (AREA)
- Oncology (AREA)
- Communicable Diseases (AREA)
- Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
- Medicinal Preparation (AREA)
Abstract
Description
【0001】
本発明は、ワクチン、特にサブユニットワクチンに関する。
【背景技術】
【0002】
当業界では、ワクチンが知られている。一般的に、ワクチンには、死菌ワクチン、弱毒化病原体及びサブユニットワクチンがあり、感染症を予防、改善又は治療する目的で投与される。
【0003】
特に、サブユニットワクチンは、宿主免疫系を介した防御の重要な標的になるとされる病原体の成分から得られる抗原に基づくワクチンである。サブユニットワクチンは、高い安全性はわかっているものの、ベースとなる抗原の免疫原性が不十分であるか、又は免疫原性がないために適切な免疫応答が誘導されないことが多い。
【0004】
そのため、サブユニットワクチンは、しばしば、免疫原性を高めるため、アジュバント、すなわち定義によれば、抗原と一緒に投与すると抗原のみの場合と比較してより効果的な免疫応答を生じさせる物質、と供に、含有する又は投与することが必要である。
【0005】
多くの種類のアジュバントが動物モデルで使用されており、標準的な例としては、油性エマルジョン、アルミニウム若しくはカルシウムの塩、サポニン及びLPS由来産物があるが、今日ではアルミニウムをベースとした無機塩がヒトワクチンの処方に一般的に含有される唯一のアジュバントである。安全なものの、このような塩は抗体の誘発が弱いアジュバントであり、古典的な細胞性免疫応答を刺激することができない。
【0006】
抗体と細胞性応答の両方を誘導することは、侵入した病原体の拡散を制限、又はそれらを排除する目的で、高度に効果的な防御をもたらすために必要とされる。強い防御免疫応答を惹起するためには、ワクチンが、2種類のシグナルを供与又は誘導することが必要である。第1に、ワクチンは、T及びBリンパ球上に抗原特異的受容体を誘発する抗原を送達することが必要である。第2に、効果的なワクチンは、抗原提示細胞による同時刺激分子の発現を誘導し、次いで抗原によって誘発されるリンパ球によって強力な応答を促進することが必要である。この第2のシグナルは、生きた病原体を含むワクチンを使用したとき、感染に関連した因子によってもたらされることが多いが、一般的にサブユニットワクチンでは、この第2のシグナルを欠いており、その免疫原性は不十分となる。この第2のシグナルに寄与し得るアジュバントを添加すると、ワクチンの効果が高まり、さらには惹起される免疫応答の種類を指定することが可能である。
【0007】
これらのシグナルの宿主免疫系に対する指令的役割は、所与の感染因子に対する全体的な免疫応答の種類及び能力を特徴づけるエフェクター機構の2次的な発現を可能とする。
【0008】
サイトカインは、抗原及び感染因子に対する免疫応答過程において、T細胞、B細胞、マクロファージ、樹状細胞およびその他の免疫細胞の間の情報交換に関与する主要な因子である。マウス及びヒトのTヘルパー(Th)クローンに関するいくつかの研究によって、Th細胞(Th1及びTh2と呼ばれる)によって示された異なる活性の存在について、サイトカイン分泌プロファイルから推論された詳細な証拠がもたらされた。この結果、IFN−γ又はIL−4の産生は、それぞれTh1又はTh2応答の典型的な特徴と考えられている。Th1型の免疫応答は、一般的にマウスのIgG2a産生及び細胞性免疫の発現に関連しており、一方、Th2型の免疫応答は、IgEの産生、好酸球及び肥満細胞の産生に関連している。一般的に、Th1型の免疫応答の誘導は、ウイルス及びある種の細菌感染に対する防御免疫応答の発生に寄与する。この点に関して、アルミニウムベースの鉱物塩などの臨床的に有用なアジュバントは、Th2型の免疫応答を誘導し、その一方で、Th1を促進するアジュバントの中には一般的に毒性又は安全性の問題によって使用が制限されるものがあることは、特筆すべき点である。
【0009】
上記意味において、効果の高いアジュバントがないことは、ワクチン、特に細胞性免疫が必要な細胞内病原体に向けられたワクチン、の開発を成功させるには重大な障害となる。
【0010】
したがって、潜在的には有効な組換え抗原の利用が可能であるにもかかわらず、ワクチン接種に対する応答性の弱さ若しくは欠如、並びに患者の承諾が、依然として予防用又は治療用サブユニットワクチンにとっての重要な問題となっている。サブユニットワクチンの免疫原性が弱いと、十分な応答を惹起するためにこれらのワクチンを複数回投与することが必要となり、患者の承諾がないと重大な問題となる。
【0011】
したがって、抗原の免疫原性を高め、確実に強い免疫応答を促すことで、一回投与でさえも血清変換/血清防御率を誘導するように必要なワクチン投与回数を減らすアジュバントの必要性が、実際上、長年亘り痛切に叫ばれている。
【0012】
この点について、前記で証明された特性のために、当業界においては、サイトカインに、アジュバントとしての可能性が考えられている。特に、中でもインターフェロン(IFN)は注目を浴びてきた。
【0013】
今日、現在の見解によれば、IFNは、ウイルス感染又はその他の刺激に対する応答において様々な細胞によって分泌される複雑な抗ウイルス蛋白質ファミリーであり、そのことが多数の生物学的活性を示すと言われている。IFNは、その生体活性を誘導する受容体系に応じて2つの主要な型に分類される。
i)I型IFN:IFN−α、IFN−β及びIFN−ωの少なくとも13個の機能的サブタイプからなるIFN−αファミリーが含まれる。
ii)II型IFN:IFN−γとも称される。
【0014】
I型IFNは、当初、単純な抗ウイルス物質と理解されていたが、その後実験モデル並びに患者で抗腫瘍活性を含めた様々な生物学的作用を示すことが示された。初期の研究では、in vitro並びにin vivoでの免疫応答に対するI型IFNのいくつかの作用が報告された。しかし、これらの研究の中には、多くのケースでIFN調製物がまだ不純物を含んでいたために、懐疑的に思われるものもあった。長い間、免疫系に対するI型IFNの作用は、重要性の点で、防御細胞が媒介する免疫応答の主要な媒介物とされるII型IFNの作用と比較することなどできず、このことは、元々の「免疫IFN」という定義と首尾一貫するものと、一般的に思われてきた。
【0015】
I型IFNはまた、in vitroでの抗体産生及びT細胞増殖に対し、強力な阻害作用を発揮することが示され、これらのサイトカインがin vivoで刺激的に作用するのか、阻害的に作用するのかという問題が生じた。特筆すべきは、最近、数名の著者等が、I型IFNが免疫抑制作用を有する可能性を強調していることである。この考えは、疾患の進行に関与する推定の免疫抑制因子とされる内因性INFの活性を中和するという原理に基づき、HIV−1感染患者における臨床応用にさえ至った。他方、最近、異なるモデル系で得られたデータ全体から、Th1型の免疫応答の誘導、並びにある種のT細胞サブセットの増殖、機能的活性及び生存において、I型IFNの重要性が指摘された(Belardelli F.及びGresser I.「T細胞応答における無視されたI型インターフェロンの役割。臨床的使用との関係(The neglected role of type I interferon in the T−cell response:implication for its clinical use.)」Immunol Today 17:369〜372、1996、及びTough DF、Borrow P、及びSprent J.「in vivoにおけるウイルス及びI型インターフェロンによるバイスタンダーT細胞増殖の誘導(Induction of bystander T cell proliferation by viruses and type I interferon in vivo)Science 272:1947〜1950、1996)。
【0016】
I型インターフェロンは、現在臨床で最も使用されているサイトカインである。特に、IFN−αは、世界的に40を上回る国々で、いくつかのウイルス性疾患(特にC型肝炎)、並びに血液の悪性腫瘍(ヘアリーセル白血病、慢性骨髄性白血病、いくつかのB細胞及びT細胞性の白血病)及びある種の固形癌、たとえばメラノーマ、腎癌及びカポシ肉腫を含む様々な種類のヒト癌の治療のために使用されている。対照的に、INF−γは、専ら毒性のために臨床適用例が乏しい。ここ数年にわたり、いくつかの研究によって、I型及びII型のIFNによって発揮される生物学的作用が、異なる実験モデルにおいて、活性の種類の点で実質的に異なり得ることが証明された。メラノーマ及び多発性硬化症などのいくつかのケースにおいて、IFN−γの臨床的な使用が、I型IFNで達成される効果とは反対の効果をもたらした。
【0017】
臨床用途が広いにもかかわらず、I型IFNは、まだワクチンアジュバントとしては使用されていない。これは、兎にも角にも免疫応答の調節におけるI型IFNの役割及び重要性に関して、現在の技術水準が、混乱し、問題の多いままであるためである。
【0018】
in vivoにおけるワクチンのアジュバントとしての、IFNの関連する使用は、II型IFN(すなわち、IFN−γ)についてのみ示されている。特に欧州特許第0241725号では、Plasmodium yoeliiの毒性YM系で感染させたマウスの血液細胞から得られた粗蛋白質抽出物を含有し、アジュバントとしてIFN−γを含むワクチンが記載されている。ワクチンに含まれるIFN−γの量は、用量当たり1.000から10.000Uの範囲が示され、その中で、アジュバント効果を生じるIFN−γの量として、100から50.000Uの範囲が示されている。たとえ200単位より少ない用量でも有効であると示されていても、使用される用量は5.000Uである。
【0019】
アジュバントとしてのI型IFNの使用はいくつかの従来技術の文献で予見されているが、ワクチンアジュバントとして使用したときin vivoにおいてTh−1型防御応答を促進するI型IFNの有効性は、証明も、示唆もされていない。
【0020】
実際、WO/8704076は、ウシの感染性鼻腔気管炎(IBR)ウイルスに感染した子牛の研究によって、免疫応答の間接的な増進に向けたIFN−αの使用の可能性が増大されたことを開示する。
【0021】
特に、WO/8704076によれば、IFNαは、好ましくは経口経路で、1日当たり約5IU/lb(112IU/kg)体重以下の非常に低い用量で、好ましくは1IU/lb(24.2IU/kg)体重の用量で投与する。これらの量はあまりに低すぎるため、本発明で得られる効果を達成できないばかりでなく、この適用の例で報告された結果では、好ましい5IU/lb(112IU/kg)の濃度を超えてIFNの量を増加させると、免疫応答を減少させる反対の効果をもたらすことを示す。
【0022】
Sturchler他(Vaccine、Vol.7、1989、PP457〜461)は、ボランティアを抗Plasmodium falciparmワクチンで免疫した後のIgG及びIgM抗体産生に関し、IFN−αが発揮する一般的なアジュバント効果について報告している。しかし、in vitroで観察されたIgG及びIgM力価の穏やかな増加は、in vivoでの防御効果の証明にはならない。したがって、in vivoの防御効果は、この文献から推論できない。
【0023】
さらに、Sturchler他は、選択的な非毒性の方法で、in vivoでTh−1型の防御免疫応答を誘導するIFN−αの能力については、開示も示唆もしていない。
【0024】
Anton P.他(Cancer biotherapy and radiopharmaceuticals、Liebert、US、Val.11、no.5、1996、pp315〜318)は、不活化自己腫瘍細胞及び組換えIFN−α2aを含有する抗腫瘍ワクチンの実験について記載している。この文献は、免疫治療における特定の有効性について記載しているが、自己細胞による関与とIFNによる関与との間の区別がなされていない。したがって、単にIFNのアジュバント効果を主張しているにすぎず、まして得られる免疫応答の種類については言うまでもない。したがって、本発明で意図されるI型IFNのアジュバント効果については、この文献からも、推測することができない。
【0025】
Grob P.J.他(Eur.J.Clin.Microbiol.、1994、Vol.3、no.3、pp195〜198)は、組換えIFN−α及び市販の抗B型肝炎ワクチンを、従来の免疫に応答しない患者に投与することを記載している。その結果は、IFNで治療した患者での、低い血清変換率、及び抗体力価の同程度の小さな増加を証明し、in vivoで防御効果を期待できるものではなかった。このケースにおいて、IFNαがワクチンと間隔をおいて投与されたことを強調しなければならない。概念的に、この方法は、アジュバント(典型的には、当該アジュバントは抗原と会合(association)する)として任意の物質を使用する方法とは異なる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
前述の従来技術に対する本発明の範囲は、具体的には死菌を含むワクチンで、より具体的にはサブユニットワクチンで、in vivoでの防御免疫治療において、ワクチンに対するTh−1型体液性免疫応答を増強するための安全で効果の高い手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
(発明の概要)
本発明の目的は、in vivoにおける防御的免疫治療において、ワクチンに対するTh−1型体液性免疫応答を増強する非毒性アジュバント組成物を調製するためのI型IFNの使用であって、IFNをワクチン1用量当たり100.000IU以上の用量で使用することである。
【0028】
このような増強された体液性免疫応答は、IgG1及び/又はIgG2a及び/又はIgG2b及び/又はIgG3及び/又はIgA及び/又はIgM産生の選択的誘導を伴う。
【0029】
非毒性アジュバント組成物は、特に皮下、筋肉内又は皮内の注射、或いは経口又は粘膜又は経鼻の投与で実施されるin vivoでの防御免疫に有用である。
【0030】
特に、本発明の目的は、前述の目的で、非毒性アジュバント組成物を調製するためにI型IFNを使用することであり、当該組成物は、投与部位に、ワクチンと一緒に同時に送達されるように調合される。好適なアジュバント組成物及びワクチンは、一緒に調合される。
【0031】
本発明の他の目的は、任意の必要な薬剤として許容される担体媒体又は補助剤と一緒に、抗原とアジュバント双方の放出を制御し且つ持続的とするために、アジュバントとしてワクチン1用量当たり100000IU以上の用量でI型INFを含むワクチンである。
【0032】
さらに他の目的は、別々に投与するための、前記INFを含むアジュバント組成物と、ワクチン組成物とを含有する、複数の構成成分からなるキット(a kit of parts)である。
【0033】
本発明の第1の利点は、本発明によって調製されたアジュバント化ワクチンが、総抗体産生量の程度によって測定されるような、長期間の抗体産生及び免疫学的記憶が特徴であるTh−1型の免疫応答の誘導を増強できることである。
【0034】
本発明の第2の利点は、上記投与量におけるI型INF組成物でアジュバント化したワクチンは、ワクチンを1回投与しただけでも、in vivoにおいて特異的にTh−1型の体液性防御免疫応答および細胞媒介性免疫応答を誘導できることである。
【0035】
第3の利点はまた、いかなる毒性、特に動物においてTh−1型の応答を促進することが知られているCFA又はIFAなどの現在利用されているアジュバントに一般的な毒性/安全性の問題を伴うことなく、Th−1型の免疫防御を迅速に誘導する点で高い効能を有することである。
【0036】
I型INFによって誘導される免疫応答は、特異的なIgプロフィール、すなわち、マウスにおいては、細菌又はウイルスなどの病原体の攻撃に対する防御を付与する、IgG2a及び/又はIgAの特異的誘導によって特徴づけられる、Th−1型の応答である。
【0037】
本発明の非毒性アジュバント組成物では、I型IFNは、前記の投与量で含まれるのであれば、このファミリーに属するいかなるインターフェロンであってもよい。ちなみに、ヒトにおいて最も有効な用量は1×106〜6×106IUの範囲である。
【0038】
好ましい実施形態では、ワクチン1用量当たり指示した前述の用量で使用する限り、健康な提供者の刺激を受けた白血球から得た天然のIFN−α(異なるIFN−αサブタイプの混合物若しくは個々のIFN−αサブタイプ)又はNamalwa細胞から得られたリンパ芽球細胞IFN−α、合成I型IFN、たとえばコンセンサスIFN(CIFN)及びIFN−β、又は組換えIFN−αサブタイプ、たとえばIFN−αa及びIFN−αb、若しくはIFN−ω、或いはDNAシャッフリング法によって創出した新規のIFN分子を使用する。
【0039】
注射後in vivoでのIFNの半減期が長く、原則的に、より顕著で迅速な免疫応答の達成に有効なPEG化I型IFNサブタイプを使用してもよい。
【0040】
樹状細胞を標的とすることができるモノクローナル抗体と融合させた組換えI型IFNに代表される、融合ハイブリッド蛋白質は、特にワクチン製剤に含められるアジュバントとして有効であろう。
【0041】
本発明のアジュバント組成物は、アジュバント化ワクチン形態において、感染因子又はその他の起源からなる1種又は複数の抗原とも一緒にする(combine)ことができる。
【0042】
抗原としては、精製した、若しくは部分精製した蛋白質調製物、ペプチド、炭水化物又は脂質抗原、並びに/或いは全細胞に関連する抗原、特に抗原と混合されている樹状細胞がある。概して、アジュバントとしてのI型IFNに関連した病原体が、免疫原候補と考えることができ、当業者は容易に確認することができる。
【0043】
各アジュバント化ワクチン用量中の抗原の量は、ワクチン接種対象において防御免疫応答を誘導することができる量として選択される。この量は、特異抗原及びその他の一般的なアジュバントの存在(可能な場合)に左右され、当業者は確認することができる。一般的に、それぞれの用量は、抗原を1〜1000μg、好ましくは10〜200μg含有する。
【0044】
他の成分もまた、本発明のアジュバント組成物又はアジュバント化ワクチンにおいて、有利に存在することができる。特に、好ましい実施形態では、他のアジュバント、特にアルミニウム塩を組成物に含む。
【0045】
形態に関し、本発明のアジュバント組成物は、前記アジュバントとワクチンとを投与部位に同時に送達するように処方するとよい。好ましくは、アジュバント組成物及びワクチンは、アジュバント化ワクチンの形態で1つの組成物中に一緒に処方される。アジュバント組成物又はアジュバント化ワクチンの処方は、抗原と関連的にアジュバントを投与するのに適する、当業界で公知のいかなる形態であってもよい。
【0046】
場合によっては、アジュバント組成物及びワクチン、又はアジュバント化ワクチンを、期待する効果や、使用の容易さを考慮して、皮下又は筋肉内に注射することがある。ワクチンによっては皮内注射で効果的に実施でき、注射部位に相当数の樹状細胞を動員するために適したその他の送達系を考えることもできる。
【0047】
鼻腔内及び経口の投与はまた、特に、例えばインフルエンザウイルスの感染などのウイルス性呼吸器系感染のように、鼻腔内及び経口の感染経路を通じて輸送されるそれらの感染因子用とされる。
【0048】
さらに、アジュバント組成物及びワクチン或いは直接アジュバント化されたワクチンの、鼻腔内、経口又は任意のその他の粘膜投与は、非常に実用的なワクチン送達様式を使用することによって、予想外の有利な、局所及び/又は全身の潜在的な防御免疫の誘導をもたらす、有益な選択肢を提示する。
【0049】
この点に関し、当業者は、ワクチン摂取によって中和される抗原の機能に最も適合した処方を決定することができる。
【0050】
本発明のアジュバント組成物又はアジュバント化ワクチンは、生理食塩水などの滅菌した生理学的に適合した担体、賦形剤、その他のアジュバント(もし必要であれば)、保存剤、安定化剤を含む薬剤組成物として、従来の方法で処方することができる。
【0051】
アジュバント組成物又はアジュバント化ワクチンは、使用前に滅菌担体で溶解するために、液状形態又は凍結乾燥形態にすることができる。また、IFNと抗原の両方について徐放性を獲得する上で有用なため、製剤中にアラム又はリポソーム様粒子を存在させることも可能である。IFN−アジュバント化ワクチンの徐放性を可能とするその他の戦略は、当業者に容易に確認することができ、それらは、本発明の範囲に包含されるものである。
【0052】
したがって、薬剤として許容される担体媒体又は補助剤は、それぞれの製剤において当業者が容易に確認することができる。
【0053】
これに関し、本発明は、
抗原とI型IFNを一緒に調合し、該I型のIFNを、ワクチン1用量当たり100.000IU以上の用量とするステップを含む、本発明のアジュバント化ワクチンの調製方法をも目的とする。
【0054】
前記のアジュバント化ワクチンは、感染症及び癌の予防的及び治療的な処置の両方で使用することができる。具体的には、本発明のアジュバント組成物又はアジュバント化ワクチンは、ウイルス性及び細菌性疾患の予防(すなわち、予防ワクチン)、並びに重度の慢性感染症の治療(すなわち、治療ワクチン)の処置において使用することができる。さらに、該アジュバント組成物又は該アジュバント化ワクチンは、適切な抗原を使用すれば、癌の予防及び治療に使用することもできる。
【0055】
これは、ヒト悪性腫瘍(EBV、HPV及びH.pilori)に関連した感染因子に対する抗原、或いはヒトメラノーマ並びにその他のヒト腫瘍において特徴的な抗原など充分に確定された腫瘍関連抗原(MAGE抗原、チロシナーゼgp100、MART)を使用することによって、実現することができる。
【0056】
とりわけ、本発明のアジュバント組成物又はアジュバント化ワクチンは、いわゆる低応答又は非応答の患者、たとえば持続的血液透析患者及び移植患者のような免疫障害患者のワクチン接種に特に適している。一般的に、本発明のアジュバント組成物又はアジュバント化ワクチンは、早期に血清変換/血清防御が望ましい状況で感染の危険性が高い個体へのワクチン接種に好適である。
【0057】
これらの特徴は、特にHBVに対するワクチン接種に関連する。
【0058】
他の例として、説明したアジュバント組成物又はアジュバント化ワクチンは、特に標準的なワクチンに対して応答の乏しい高齢者において、インフルエンザウイルスに対する防御を誘導するために有効である。
【0059】
HBVワクチン並びにその他のウイルスワクチンでは、皮下(s.c.)又は筋肉内の経路で注射することが好ましく、一方その他の場合、特に呼吸系から宿主に感染することができる因子については、期間又は有効性及び/又は患者の承諾の点で鼻腔内投与が有利である。
【0060】
第2の態様において、本発明によるI型IFNのアジュバント効果は、I型IFN及びサブユニットワクチンを別々に投与することによっても得ることはできる。
【0061】
効果的なものとするには、投与を、同じ部位に活性物質を同時に存在させる方法によって実施すべきである。実際に、最適な効果は、I型IFNを、ワクチンと一緒に、100.000〜200.000IUの範囲又はそれ以上の用量(1×106〜2×106IU)で動物に注射すると達成される。さらに強力な免疫応答の増強は、ワクチン及びアジュバントをまず同時投与して、次いで最初のワクチン投与から1日後又は1日後及び2日後にアジュバント組成物のみを追加投与することで得られる。IFNを、単独でワクチン投与の−1日目又は+1日目に与えると、非常に低い効果であることが認められる(図11C)。
【0062】
したがって、本発明はまた、
I型IFN及び薬剤として許容される担体を含む組成物と、
一の抗原、又は2種以上の抗原(明確にされている蛋白質又はペプチドの)の組合せ、又は死滅した若しくは不活化した病原体を含むワクチン組成物とを、
当該抗原の存在に関連した疾患の治療において、別々に、同時に又は順次使用するために含有する、複数の構成成分からなるキット(a kit of parts)をも包含する。
【0063】
本発明のキットの組成物の処方、形態及び投与経路は、前述と同様である。
【0064】
本発明は、添付した図面によってより十分に説明されるだろう。
【0065】
(発明の詳細な説明)
本発明に適するI型IFNは、単一の組換え分子として、或いは天然若しくは組換え分子のプール、又はコンセンサスIFN(CIFN)として、このファミリーに属する任意のIFNである。
【0066】
ヒトで使用するには、ヒトI型IFNが好ましいアジュバントである。当該アジュバントは、組換えIFN−α、IFN−β若しくはIFN−ω、健康な提供者の刺激リンパ球から得られた天然IFN−α(異なるINF−αサブタイプの混合物若しくは個々のIFN−αサブタイプ)若しくはNamalwa細胞から得られたリンパ芽球細胞IFN−α、CIFN、又はDNAシャッフリング法によってin vitroで産生され生物学的活性を与えられた新規IFNとすることができる。
【0067】
家畜に使用する場合は、I型IFNは天然に発見されたもの、又はワクチンを調製する種に密接に関連するものから成る。繰り返す述べると、これらのI型IFNは、適切な動物細胞から天然に産生されるか、組み換えることができる。これらの種類のインターフェロンは、ほぼ同じアジュバント活性を有する。
【0068】
最適なアジュバント活性を実現するために必要なインターフェロンの量は、抗原の種類(すなわち、免疫原性)に左右されるが、一般的にワクチン1用量当たり100.000IUを上回るべきである。マウスでは、高用量のI型IFN(2×105〜2×106IU)を注射することによって最適な効果が得られる。ヒトにおける最適な投与量は、ワクチン1用量当たり106〜6×106の範囲であると予想される。PEG化I型IFNサブタイプは、in vivoにおいて注射後のIFNの半減期を高めることが可能でるという利点を有し、より顕著で迅速な抗体応答を実現するために有益である。
【0069】
樹状細胞を標的とすることができるモノクローナル抗体(たとえば、抗DEC−205又は抗CD11c抗体)と融合した組換えI型IFNによって代表される融合ハイブリッド蛋白質は、アジュバント組成物又はアジュバント化ワクチンに含められるアジュバントとして特に有効であろう。
【0070】
また、IFN蛋白質の投与に加えて、又はその代わりに、正確に発現するための適切な制御領域を備え、1種又は複数種のI型IFNをコードする核酸配列(すなわち、真核細胞系で発現するために、適切なプロモータ及び転写終結シグナル配列の制御下でI型IFNをコードする遺伝子を含有するプラスミド)をアジュバントとすることもできる。
【0071】
アジュバント活性は、抗原特異的免疫応答を増強することができるインターフェロンの任意の部分に関連する。
【0072】
本発明の組成物は、同じ容器に入れた生理学的に適合した担体(たとえば、生理学的pHの緩衝滅菌生理食塩水溶液)中で混合されて、抗原とアジュバントの両方を含有するものが好ましい。
【0073】
この点に関し、本発明のアジュバント化ワクチンは、有効量の生物学的活性のあるI型IFNと会合させた、感染因子又はその他の起源からの1個若しくはさらに複数の抗原、並びに殺菌若しくは弱毒化した病原体を含むことができる。また、アジュバント化ワクチンは、全細胞、特に自己樹状細胞を含むことができる。
【0074】
このように調合するための抗原は、任意の種類の天然又は組換え精製抗原とすることができ、当該抗原は、ウイルス、細菌、原生動物及び菌類、並びに腫瘍関連細胞性抗原を含む、細胞内又は細胞外の病原体から得られた蛋白質、ペプチド、脂質又は炭化水素の抗原とすることができる。
【0075】
各アジュバント化ワクチン用量中の抗原量は、ワクチン接種対象において免疫防御応答を誘導できる量を選択する。この量は、特定の抗原及び存在し得る他の一般的なアジュバントに左右される。一般的に、各用量中、1〜1000μg、好ましくは10〜200μgの抗原が含まれる。
【0076】
抗原は、ウイルス(ピコナウイルス、カリチウイルス、コロナウイルス、アレナウイルス、パルボウイルス、トガウイルス、フラビウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、フィロウイルス、オルトミキソウイルス、パラミキソウイルス、ブニアウイルス、レトロウイルス、パポバウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、ヘパドナウイルス)、細菌(ストレプトコッカス、スタフィロコッカス、ナイセリア、スピロヘータ、クロストリジウム、コリネバクテリウム、リステリア、エリジペロスリックス、炭疽菌、ミコバクテリア、エンテロバクター、ビブリオ、カンピロバクター、ヘリコバクター、ヘモフィルス、ボルデテラ、ブルセラ、フランシセラ、パスツレラ、エルシニア、クラミジア、リケッチア及びその他の非発酵性グラム陰性桿菌)、マイコプラズマ及びレジオネラ、原生動物(肉質虫類、有毛類、鞭毛虫類、胞子虫類、クリプトスポリジウム、ニューモシスティス)、菌類(コクシジオイデス、ヒストプラズマ、ブラストミセス、クリプトコッカス、カンジダ、アスペルギルス、ムコラーレス、接合菌)を含む、細胞内又は細胞外病原体から得られた任意の種類の天然若しくは組換え抗原、又はその一部、並びに病原体自体であることができる。
【0077】
腫瘍関連抗原には、メラノーマ抗原(MART−1、gp100、MAGE抗原)並びにその他の当業界で公知の腫瘍抗原が含まれる。
【0078】
本発明のアジュバント組成物又はアジュバント化ワクチンは、滅菌した生理学的に適合した担体、たとえば生理食塩水溶液、賦形剤、その他のアジュバント(適用可能であれば)、保存剤、安定化剤を使用して、従来の方法で調合することができる。使用前に滅菌担体で溶解するために、液状形態又は凍結乾燥形態とすることが可能である。
【0079】
他の態様において、本発明は、抗原とアジュバントの両方を同時に投与部位に送達させるために、アジュバントとして作用する有効量の生体活性のあるI型IFNと会合して、病原体からの抗原若しくはその一部を含むアジュバント化ワクチンを調合する方法を提供する。IFNの量は、そのアジュバント効果が発揮するために、局所的に十分長い時間作用するのに十分な量としなければならない。
【0080】
一緒に混合した抗原及びアジュバントを、注射後同じ相対濃度で維持すること、並びに機能活性を発揮する注射部位に集中する抗原提示細胞4に、抗原及びアジュバントを、同時に曝露することは、アジュバント化ワクチンの重要な点である。
【0081】
I型IFNは、体液性免疫のみならず、細胞媒介免疫応答に関しても強力なアジュバントとして作用する能力を有するため、本発明は、予防ワクチンの分野に関する適用に加えて、慢性疾患、たとえば慢性ウイルス感染及び癌などを治療するための治療用ワクチンの開発へも適用することができる。
【0082】
この場合、このような新規のアジュバント化ワクチン製剤は、患者に投与して癌又は慢性ウイルス性疾患を治療するために、有効量のI型IFNと一緒に、腫瘍関連抗原又はウイルス関連抗原(又はこれらの抗原をコードするDNA配列)を含有しなければならない。
【0083】
アジュバント組成物及びワクチン、或いはアジュバント化ワクチンの皮下注射は、使用が簡単なので好ましい。しかし、筋肉内、皮内、及び粘膜(たとえば、鼻腔内及び経口)経路を含めたその他の投与経路を使用することも可能である。いくつかのウイルス感染は、鼻腔内投与が有益な選択を提示することができ、非常に実用的なワクチン送達様式を使用することによって、局所的及び/又は全身的な防御免疫能の誘導がもたらされる。
【0084】
本発明はまた、強力な粘膜アジュバントとしてのI型IFNに関する。
【0085】
粘膜防御免疫は、病原体侵入部位で局所的免疫防御を実現するために非常に重要で、粘膜アジュバントの同定はワクチン研究の重要な課題である。
【0086】
I型IFNを、粘膜ワクチン接種用アジュバントとして使用する場合には、その組成物を、適切な抗原と混合することができ、たとえば口又は鼻の粘膜に滴下することによって投与することができる。粘膜投与は一般的に、第1免疫後に抗体、特にIgG2a又は/及びIgAの産生を増加させる(図14a及びb)。ワクチンと共に本発明のアジュバント組成物を粘膜投与すると、in vivoにおいて病原体攻撃に対する完全な局所的(粘膜免疫)及び/又は全身的な防御が誘導される。特に、1995年に流行したH1N1インフルエンザウイルス(Z/北京/262/95(A/H1N1))を精製することによって得られた市販のワクチンは、マウスに注射しても免疫原性が乏しいことがわかった。実際に、一定数のマウスでは、ワクチンを3回注射した後でも有意な抗体応答が発揮されなかった。ワクチンをI型IFNと一緒に鼻腔内(i.m.)投与すると、100%のマウスが1回免疫後に血清変換しており、2回注射した後では抗体力価が著しく増加した。
【0087】
用量応答曲線によって、IFN用量と抗体力価との間には直線関係があることが示された(図11)。インフルエンザに特異的な抗体イソタイプを分析すると、マウスにおけるTh−1防御免疫応答の一般的マーカーであるIgG2a抗体サブクラスが増加していることが示された(図示せず)。興味深いことに、ワクチン及びI型IFNを含有する製剤50μlを鼻腔内投与したマウスでは、全身性及び粘膜性の抗体応答を生じたが、ワクチンのみではまったく効果がなかった(図12a)。特に、アジュバント化ワクチンで免疫されたマウスの抗体応答は、致死的なウイルス攻撃に対するin vivoでの防御が示された(図12b)。さらに重要なことに、免疫方法にかかわらず、たった1回の免疫処置後に、致死量のウイルスに対するin vivoでの防御が認められた。さらに、攻撃を受けた動物の生存率は、IgG力価の増加とまったく無関係であることがわかった。実際に、図15で示したように、ワクチン単独で免疫すると、IgG力価の有意な増加が引き起こされるが、生存率の有意な増加はもたらされなかった。
【0088】
これらの鼻腔内投与に必要なインターフェロンの量は、皮下経路に必要な量と同じである。たとえば、マウスにおけるインフルエンザワクチンの結果から推論されるように、適切な1回のI型IFN用量は、かなりの程度の特異的免疫応答を惹起するために十分である。しかし、第1のIFN−アジュバント化ワクチン投与の1日後又は2日後にさらにアジュバントを投与すると、免疫応答の全体的な規模が増大される。
【0089】
特に、注射する前にI型IFNを関連抗原及びアラムと混合することが有利と思われる(図6)。
【0090】
実際に、アラムに予備吸着させると、マウスにIFNを1回注射しただけで、可溶性IFNを3回注射したときと同程度又はそれ以上に、抗原特異的免疫応答が増強された(図6)。アラム予備吸着の増強効果は、IgG2a産生に関して最も顕著で、Th−1型に優位な応答であることを示す。
【0091】
したがって、I型IFNを長期間存在させると確かにそのアジュバント活性が増大する。この点に関して、PEG化I型IFNは、注射後の半減期が長いので利点を有する。さらに、抗原及びアジュバント双方の放出を、制御し且つ持続的に行なうことを特徴とするヒトに適したワクチン組成物も考えられる。このような組成物は、持続的な放出を行なう製剤によって、治療蛋白質の機能活性を改善するために一般的に使用される方法に適用される。これらの方法は、蛋白質を、生体分解可能なポリマー又はリポソームで形成した小球体にカプセル化し、それらをゆっくり放出させる製剤を使用する。
【0092】
必要であれば、第1のワクチン用量の投与後、使用した抗原の免疫原性及び特定のワクチン接種プログラムによって確立される免疫変数適用範囲に応じて、対象者に追加用量を投与してもよい。
【0093】
また、IFNのアジュバント効果は、当該効果があまり顕著でない場合であっても、キットの一部として、抗原とは別に、I型IFNを投与することによっても得ることができる。但し、I型IFNの投与は、抗原注射部位の非常に近くに、同時に行なう必要がある。ワクチンの皮下注射は、その使用が簡易なので、キットの一部の組成物において行なうことも好ましい。但し、筋肉内、皮内、鼻腔内及び経口の経路を含めたその他の投与経路を使用することもできる。これらの投与方法に必要なインターフェロンの量は、皮下経路に必要な量と同じである。
【0094】
本発明は、以下の予期しなかった主要な発見に基づいている:
i)充分に確立された抗原を、適切な量のI型IFNと一緒に混合して同時にマウスに注射すると、毒性を誘導することなく、一般的に有用なアジュバント(図7)を使用して認められるものより優れた、一般的Th−1型免疫応答に関連した強力な一次抗体応答の誘導が引き起こされること(図5、6、9);
ii)内因性I型IFNは、関連抗原と同時に注射された場合、たとえばIFA、CFA、CpGなどのアジュバント(これらのアジュバントはいずれもヒトで使用すると安全面での問題を提起する)によって誘導されるTh−1促進免疫応答の主要な媒介物となること(図1〜4、8);
iii)市販のインフルエンザワクチンは、マウスにおいて適切な量のI型IFNと一緒に筋肉内又は鼻腔内投与するとき、ウイルス攻撃に対して高い免疫原性及び防御をもたらすこと(図11、12)。
【0095】
これらの発見の重要性及び詳細は、以下に報告した実施例によって明らかになる。
【実施例】
【0096】
(材料及び方法)
マウス
マウスは、Charles River−UK(Margate、Kent、UK)、Charles River−Italy(Calco、Itary)又はInstitute for Animal HealthのSPF部(Compton、UK)から購入した。C3H/HeJマウスは、Harlan UK Ltd(Blackthorn、UK)から購入した。129SvEv(129)マウスは、Institute for Animal HealthのSPF部(Compton、UK)から購入した。I型IFN受容体機能(I型IFNR KO)が欠如した129系統マウスは、最初にB & K Universal(North Humberside、UK)から購入し、Institute for Animal HealthのSPF部で飼育繁殖された。
【0097】
インターフェロン
高力価IFN−α/β×107U/mg蛋白質を、Tovey他の変法によってC243−3細胞系で調製した(Tovey MG、Begon−Lours J及びGresser I.「インターフェロンとしての潜在能力がある調製物の大量産生方法(A method for the large scale production of potent inteferon preparations.)」Proc Soc Exp Biol Med 146:809〜815、1974)。簡単に説明すると、融合性細胞を、10%FCS及び酪酸ナトリウム1mMで強化したMEMに溶かしたIFN 10U/mlを添加することによって満たした。37℃で16時間培養後、C243−3細胞に、MEM+0.5%FCS+セオフィリン5mMに溶かしたニューキャッスル病ウイルスを感染させた(感染多重度1)。感染して18時間後に、培養上清を収集し、1500rpmで10分間遠心した。上清のpHを2.0に調節し、IFN力価測定前に0℃で6日間維持した。Falconマイクロプレート中で単層培養したL細胞に対する水疱性口内炎ウイルスの細胞変性効果の阻害によってIFNをアッセイした。これらのIFN調製物は、pH2.0で処理している最中に沈殿した汚染蛋白質を遠心によって除去し、PBSで透析した後、比活性は2×106U/mg蛋白質であった。この文書では、単位はマウス国際基準単位で表す。IFNを濃縮して、硫酸アンモニア沈殿によって部分精製し、PBSに対して透析した。IFN調製物すべてを、IFNに耐性のL1210細胞系における残留毒性の可能性を試験する前に、さらにペルクロル酸0.01Mに対して4℃で24時間、次にPBSに対して透析した。これらの部分精製IFN調製物の力価は、リムルスアメーバ細胞アッセイによって評価したところ、少なくとも2×10m7U/mg蛋白質で、内毒素が含まれていなかった。Belardelli他、「マウスインターフェロンに対するモノクローナル抗体によるマウス腹腔マクロファージの自然発生インターフェロン及び誘導されたインターフェロンの発現に関する研究(Studies on the expression of spontaneous and induced interferons in mouse peritoneal macrophages by means of monoclonal antibodies to mouse interferons)」、J Gen Virol 68:2203〜2212、1987で詳細に説明されているように、IFNに対するmAbを使用した中和アッセイによって評価すると、これらはIFN−β75%、IFN−α25%から構成されていることがわかった。力価の高い精製IFN−β(2×109U/mg蛋白質)は、IFN−βに対するラットモノクローナル抗体を結合したセファロースカラムでのアフィニティクロマトグラフィによって調製された(Kawade Y 及びWatanabe Y.「マウスインターフェロンα及びβに対するラットモノクローナル抗体の特徴。インターフェロン系の生物学に関する第3国際TNO会議議事。(Characterization of rat monoclonal antibodies to mouse interferon α and β.Proceedings of the third international TNO meeting on the biology of the Interferon system.)」In the Biology of the Interferon System、Dordrecht、197〜202、1987)。
【0098】
抗原及びアジュバント
ニワトリガンマグロブリン(CGG)は、Stratech Scientific Ltd、Luton、UKから、卵アルブミン(OVA)は、Sigma Chemical Co.から入手した。インフルエンザワクチンは、A/北京/262/95(H1/N1)インフルエンザワクチンから調製したサブユニットX−127単価ワクチンで、Chiron Corporaion(Emeryville、CA)から恵与された。
【0099】
抗原は、PBSに溶解し、フィルターで濾過した。不完全(IFA)及び完全(CFA)フロインドアジュバント(Sigma Chemical Co)を抗原溶液と1:1 v/vの比で混合し、安定したエマルジョンが形成されるまで、2本のガラスシリンジ及びルアーロック連結装置を使用して乳化した。アラム(水酸化アルミニウムゲル、Sigma Chemical Co)を1:20 w/vの比で抗原溶液に溶解し、pHを6.5に調節した。室温で1時間インキュベートした後、溶液を遠心して、ペレットを前記量の生理食塩水に再懸濁した。CpG ODN(CpG)は、Roche Dianostic、Milan、イタリアによって合成された。OVA200μgを含有する溶液の最終量1mlにCpG200μgを溶解した。この研究で使用したCpGはホスホロチオ酸主鎖で形成され、TsGsAsCsTsGsTsGsAsAsCsGsTsTsCsGsAsGsAsTsGsAの配列を有していた。ポリイノシン酸−ポリシチジル酸(ポリ(I:C)(Sigma Chemical Co)を10mg/mlの濃度で生理食塩水に溶解した。一部の凍結物を実験それぞれの直前に解凍し、ポリ(I:C)0.15mgを0.15ml量の生理食塩水に溶かしてi.p.注射した。MF59を抗原溶液と1:1(v/v)の比で混合し、ピペッティングによって乳化した。
【0100】
CGGによる免疫方法
免疫はすべて、CGG100μgを皮下(sc)注射することによって実施した。CGGは、単独で投与するか、又はポリIC(Sigma Chemical Co.Ltd、Dorset、UK)100μg、IFN−αβ105U、又は示したように精製したIFN−β105Uと混合して(PBSに溶かした)溶解型で投与した。Titermax(CytRx Corportaion、Norcross、GA)、IFA(Sigma)又はCFA(Sigma)と共に注射したとき、PBSに溶かした当量のCGGを注射前にアジュバントと共に乳化した。実験によっては、I型IFN、Titermax又はIFAを数回投与した。すべての場合において、マウスの1次注射部位に皮下(sc)注射した。記憶応答を調べるときは、予備誘発抗体濃度を確立するためにCGGで誘発する直前にマウスから採血した。同マウスから、CGG誘発6日後に採血した。
【0101】
OVAによる免疫方法
ポリ(I:C)以外のアジュバントはすべて、常に、OVAと一緒に、又は一緒にしないで50μl/マウスの量で皮内(i.d.)注射した。OVA濃度は常に10μg/マウスであった。2種類の異なる免疫方法を使用した。良好な抗体及び増殖応答を実現するために、0日目にマウスにOVA+アジュバントを注射し、10日後及び17日後にOVAのみを追加免疫した。対照的に、遅延型アレルギー(DTH)アッセイのために選択したマウスには、0日目と10及び17日目とでOVA+アジュバントを注射した。免疫実験すべてにおいて、対照としてOVA単独及び生理食塩水で処理された腕を含めた。その後の抗原注射直前に眼窩後静脈叢から血液試料を採取した。血清を収集し、さらにアッセイするまで−20℃で保存した。
【0102】
インフルエンザ(FLU)ワクチンによる免疫方法
筋肉内(i.m.)免疫のためには、マウスにワクチン(15μg)及び生理食塩水、又はワクチン(15μg)及びIFN(2×105U)、又は生理食塩水のみを含有する溶液を最終量200μlで注射した。鼻腔内(i.n.)免疫のためには、軽く麻酔したマウスに同量のワクチン及び生理食塩水、又はワクチン及びIFN、又は生理食塩水のみを含有する溶液の液滴(50μl)を注入した。同量のワクチン及びIFNを含有する追加免疫用量を第1免疫後14日目に添加した。
【0103】
ELISAによる血清抗体のアッセイ
CGG(炭酸緩衝液−pH9.6に溶かして5μg/mlとする)を、RTで96ウェル フレキシブルプレート(Falcon、Becton Dickinson、Oxford、UK)にコーティングした。このプレートを4%粉末ミルクを含有するPBSで37℃で1時間ブロックした後、3回PBS−Tween(0.05%)で洗浄した。血清をPBS−1%ミルクで12倍に連続希釈し、RTで1時間ウェルに添加した。3回洗浄後、ビオチン化ラット抗マウス抗体(抗マウスIgM(R6−60.2)、IgG1(A85−1)、IgG2a(R19−15)、IgG2b(12−3)、IgG3(R40−82)又はIgE(R35−72)(Becton Dickinson)をウェルにRTで1時間添加した。3回洗浄後、ストレプトアビジン−HRP(Becton Dickinson)をRTで1時間添加した。OPD錠剤(Sigma)をペルオキシダーゼの基質として使用した。最高に希釈した最高力価の血清がバックグラウンドを上回る前に3M HCl 50μlを添加することによって反応を停止した。光学密度を、SPECTRAmax(Molecular Devices、Sunnyvale、CA)で492nmで読み取った。結果は、エンドポイント力価の逆数(reciprocal endpoint titers)として表し、Excelで設計した自動操作を使用して測定した。簡単に説明すると、OD値陽性の閾値は、3種類の対照マウス血清の全希釈の平均+3SDとして各抗体イソタイプについて算出した(未操作マウス又はIFN−α/β又はポリICのみで処理したマウスの血清)。バックグラウンド濃度はすべての希釈において非常に低く(一般的に約0.08)、実験間の変化は有意ではなかった。所与の血清試料では、エンドポイント力価を陽性閾値を下回る第1希釈と決定した。エンドポイント力価は任意の単位なので、結果は同一アッセイ内で考察しなければならず、直接実験間で比較することはできない。このため、各実験内の試料すべて、同時にアッセイした。
【0104】
マウス血清に存在するCGG特異的抗体のおよその濃度を測定するため、ELISAをマウスIg標準と比較することによって半定量的方法で実施した。CGG特異的抗体は、アルカリホスファターゼ(AP)と結合したイソタイプ特異的ヤギ抗マウスポリクローナル抗体を使用して抗体を示す以外は、前述の様に検出した(すべて、Southern Biotechnology Associates Inc、Birmingham、AL、USAから入手した)。標準を作製するために、プレートを非標識イソタイプ特異的ヤギ抗マウスポリクローナル抗体(5μg/ml)(Southern Biotechnology)で標識した。このプレートを前述のようにブロックして、次に公知濃度の精製マウス抗体を添加した(Southern Biotechnology製のマウスIg標準パネル)。洗浄後、APと結合したイソタイプ特異的ヤギ抗マウス抗体を使用して標準を表した。AP基質としてp−NPP錠剤(Sigma)を使用した。酵素反応はNaOH 3Mを添加することによって停止した。ODは405nmで読み取った。SoftmaxPro(Molecular Devices、Sunnyvale、CA)を使用して、各イソタイプについて標準曲線を作製し、CGG特異的抗体の量を算出した。
【0105】
OVA特異的抗体濃度を測定するため、標準的直接ELISAアッセイを実施した。簡単に説明すると、96ウェル平底マイクロタイタープレート(DYNEX Immulon 4MBX)をNaHCO3緩衝液、pH9.6(コーティング緩衝液)で希釈した卵アルブミン(Sigma Chemical Co、St.Louis、MO)の溶液1μg/ml(総IgG検出用)又は4μg/ml(IgG2a及びIgG1検出用)100μlでコーティングした。一晩4℃でインキュベートした後、プレートをPBS+0.01%Tween 20(洗浄溶液)で3回洗浄し、5%ウシ血清アルブミン(BSA)(Sigma Chemical Co、St.Louis、MO)を含有するPBSで室温で2時間ブロックした。次に、既に(比1:2に)希釈した血清試料100μlを各ウェルに添加して、1時間及び30分間37℃でインキュベートした。洗浄後、プレートをペルオキシダーゼ結合第2抗体100μlで37℃で1時間インキュベートした。以下の第2抗体、5%BSAを含有するPBSで1:1000に希釈した抗総マウスIgG(Sigma Chemical Co、St.Louis、MO)、1:200に希釈した抗マウスIGG2a(Cappel Research Products、Durham、NC)、1:400に希釈した抗マウスIgG1(Cappel Research Products、Durham、NC)を使用した。インキュベーション終了時に、プレートを3回洗浄し、酵素基質溶液(0.001%H2O2を含有するリン酸−クエン酸0.1M20mlに溶かしたオルト−フェニレンジアミン4mg)100μlを各ウェルに添加して、暗所で約20分間放置した。酵素反応は4N H2SO4 50μlで停止し、プレートをマイクロプレート自動読み取り機で450nmで読み取った。結果は、実験条件当たり3種類の血清の最終希釈点の平均として表し、最終点は各アッセイに含めた3種類の陰性対照試料の平均+2s.d.より高い吸収値を生じる最終血清希釈と決定する。
【0106】
DC調製及び注射
DCは、前述の方法を使用して脾臓から単離した(Vremec D他、「マウス胸腺及び脾臓から精製した樹状細胞の表面表現型:樹状細胞の亜集団によるCD8発現の研究(The surface phenotype of dendritic cells purified from mouse thymus and spleen:investigation of the CD8 expression by a subpopulaton of dendritic cells)」J Exp Med 176:47−58、1992)。簡単に説明すると、129又はI型IFNR KOマウスの脾臓を小片に切断し、攪拌しながら、5%FCS、コラゲナーゼIII(1mg/ml、Lorne Laboratories、Reading、UK)及びDNA分解酵素I(0.6mg/mlSigma、St Louis、MO)を含有するRPMI中で37℃で5分間、RTで15分間消化した。DCに富んだ細胞集団をNycodenz(Life Technology Paisley、UK)勾配を使用して得た。次に低密度細胞画分をPBS−EDTA−FCSに溶かした抗CD11c−FITC(Becton Dickinson、Oxford、UK)で氷上で20分間標識した。洗浄後、細胞を濾過して(70μm細胞濾過器、Falcon)、CD11c+細胞をMoFlowフローサイトメトリ(Cytomation、Fort Collins、CO)で選別したところ、得られた集団はCD11c+が>98%であった。PBSで2回洗浄した後、精製したDCをPBSのみ、又はCGG100μgを含有するPBSで37℃で30分間インキュベートした。CGGを含む、、又は含まない5×105の精製DCをI型IFNR KOマウス±105UIFN−α/βにsc注射した。CGG+DC+IFN−α/βを与えられたマウスにさらに105U IFN−α/βを1日及び2日後にsc注射した。
【0107】
T細胞増殖及びサイトカインアッセイ
CGG特異的増殖アッセイ
DrLNを小片に切断して、頻繁に混合しながら、5%FCSを含有するRPMI中で、コラゲナーゼIII(1mg/ml)及びDNA分解酵素I(0.6mg/ml)でRTで20分間消化した。次いで細胞懸濁液を濾過して(70μm)、洗浄して、1500rpmで10分間遠心した。増殖アッセイのために、分離されなかった細胞(ウェル当たり5×105)を完全培地(10%熱不活性化FCS(PAA Laboratories)、2−ME(Sigma)50μM、HEPES 10mM、5%NCTC培地、ペニシリン100U/ml、ストレプトマイシン 100μg/ml及びジェンタマイシン 250μg/ml(すべてLife Technologiesから入手)を補給したRPMI 1640)で96ウェルプレート±CGG(20μg/ウェル)のウェル3連で培養した。培養4日目に、ウェルを1μCi[3H]−チミジンで8時間パルス標識した。次に、プレートを収集して、MicroBeta TRILUSカウンター(Wallac、Turku、フィンランド)を使用して取り込まれた[3H]−チミジンを測定した。サイトカインアッセイ用に、DrLN細胞を抗ClassII(TIB120)、抗CD8(3155)及び抗CD11b(M1/70)と共に氷上で15分間インキュベートした。洗浄後、CD4+細胞をヒツジ抗ラットIgG及び抗マウスIgG磁気ダイナビーズ(Dynal、Oslo、ノルウェー)を使用してネガティブ選択によって精製した。2×104精製CD4+T細胞を96ウェルプレートの3連のウェルに入れた完全培地で未処理同系マウスから得られた5×105のTリンパ球除去脾細胞と共に培養した。Tリンパ球除去脾細胞は、脾細胞をラット抗マウスThy−1抗体(T24)及びモルモット補体(VH BIO Ltd、Gosford、UK)と共に37℃で45分間インキュベートすることによって調製した。培養前に、Tリンパ球除去脾細胞を±CGG(20μg/ウェル)で37℃で1時間予備インキュベートし、3000radで照射した。培養3日後、上清を収集して、製造元の指示のようにR & DのマウスIFN−γ及びIL−4用のQuantikine Mキット(Abingdon、Oxon、UK)を使用してサイトカインを測定した。
【0108】
OVA特異的増殖アッセイ
抗原誘導性増殖応答を調べるために、第1免疫して32〜35日後にマウスを殺処分した。各マウスの脾臓の単一脾細胞懸濁液の細胞は、異なる濃度(0、50、100及び200μg/ml)のOVAを含有する10%FCS RPMI培地0.2ml/ウェルの入った平底96ウェルトレイで5×105の濃度で培養した。5%CO2加湿インキュベータ内で37℃で4日間インキュベートした後、3Hチミジン(Dupont−NEN、Boston、MA)0.5μCiを添加した。さらに18時間インキュベートした後、細胞をfiltermate A(Wallac、Turku、フィンランド)で収集し、放射活性をシンチレータ(Betaplate、Wallac、Turku、フィンランド)で読み取った。結果を3連で試験した3匹のマウスの平均cpm±SD.で表す。
【0109】
CGG特異的エリスポットアッセイ
マルチスクリーン−IP滅菌エリスポットプレート(Millipore、Walford、UK)を、炭酸緩衝液pH9.6に溶かしたCGG20μgl/mlで一晩コーティングした。PBSで5回洗浄した後、プレートをPBSに溶かした4%ミルクで37℃で2時間ブロックし、PBSで5回洗浄した。細胞懸濁液は前述のようにDrLNから調製し、洗浄し、1500rpmで10分間遠心して、15%FCSを補給した完全培地に再懸濁した。試料すべてを3連で異なるいくつかの細胞濃度(2×104〜5×105細胞/ウェル)でプレートに入れた。5%CO2中で37℃で一晩培養した後、次にプレートをPBS−Tween(0.05%)で十分に洗浄した。ウェルをAPと結合したイソタイプ特異的ヤギ抗マウスポリクローナル抗体(Southern Biotechnology)でRTで2時間インキュベートするとCGG特異的抗体が明らかになった。洗浄後、(Tris/HCl 0.1M、pH9.5、10%ジエタノールアミン、NaCl 0.1M、MgCl2 5mM)で1mg/mlに希釈したBCIP(Sigma)をAPの基質として使用した。水道水でプレートを洗浄することによって反応を停止した。スポットを顕微鏡で計数した。
【0110】
(実施例1)
CGG+ポリICで免疫したマウスの抗体応答:I型IFNの重要性
まず、in vivoでI型IFNの産生を誘導するため、ポリイノシン酸:ポリシチジン酸(ポリIC)の合成2本鎖RNAを使用して、アジュバントとしての作用するI型IFNの能力を調べた。C57BL/6(B6)マウスは、PBSに溶かしたニワトリガンマグロブリン(CGG)を皮下(sc)注射することによって免疫し、同時に注射したポリICの効果を試験した。(C57BL/6(B6)マウスはPBS中のニワトリガンマグロブリン(CGG)100μg、又はPBS中のポリIC100μgと混合した同量のCGGを皮下(s.c.)注射することによって免疫した)。免疫して10日後、様々なイソタイプのCGG特異的抗体について、血清をELISAでアッセイした。
【0111】
関連する結果を図1Aに示す。CGG単独では免疫原性は不十分で、応答は主としてIgG1サブクラスの抗体に限定された。また、IgM、IgG2b、IgG2a及びIgG3抗体は非常に低濃度で検出された。ポリICの同時の注射は、CGG特異的抗体力価の明瞭な増加を刺激し、このことはIgGのサブクラスすべてに当てはまった(図1A)。力価の増加はそれぞれ、IgG1で3倍、IgG2bで4.2倍、IgG2aで9倍、IgG3で8.4倍であった。
【0112】
ポリICはI型IFNを誘導することができる物質として知られているが、他のサイトカインも誘導する。したがって、ポリICのアジュバント活性が実際にI型IFNに依存するかどうかを決定することが重要である。そのために、I型IFNに対して機能的な受容体を欠くマウス(I型IFNR KOマウス、129系であった)と対照(129)マウスにおける抗体応答を増強するポリICの能力を比較した(免疫処置は前述のように実施した)。
【0113】
B6マウスのように、ポリICは対照129マウスでCGGに対する抗体応答を著しく増強した(図1B)。対照的に、I型IFNR KOマウスにおけるポリICの抗体応答を増強する能力は非常に低減した。I型IFNR KOマウスにおいて、IgM、IgG1及びIgG2bの力価の増加が少し認められ、ポリICがI型IFNに依存せずにこれらイソタイプの産生を増強できることを示唆した。しかし、これらの抗体の力価は対照マウスよりもI型IFNR KOマウスではずっと低いままで、ポリICの効果のほとんどはI型IFNに依存した。
【0114】
さらに、IgG2a及びIgG3抗CGG抗体の産生はI型IFNR KOマウスではポリICによってまったく刺激されなかった。総括すると、これらのデータによって、宿主においてI型IFNの発現が誘導されると、IgGサブクラスすべての抗体を含む可溶性蛋白質抗原に対する著しく増大された抗体応答を刺激することが示される。
【0115】
(実施例2)
OVA+アジュバントで免疫したマウスにおける抗体応答:I型IFNの重要性
最初に、マウスを、OVA、OVA+IFA、OVA+CFA、OVA+CpG又はOVA+アラムをi.d.注射することによって処理した。抗原は、50μl中に10μgの用量として使用し、IFA及びCFAを抗原と1:1v/vの比で混合して、安定したエマルジョンが得られるまで乳化した。CpGは、10μgの量で使用し、抗原と混合した。アラムは、OVAを吸着するために十分な量で使用した。最初の免疫の後、OVAのみで第2(10日目)及び第3(17日目)の処理を実施した。対照マウスは、生理食塩水で処理した。得られた結果は、OVAのみでは免疫原性は不十分で、惹起された抗体応答は非常に低く、その一方アジュバントを同時に注射すると、OVA特異的抗体応答の増大が誘導されることを示した(図2)。この増強は、特にIFA、CFA又はCpGの場合に著しく、アラムではあまり目立たなかった。IgGサブクラスの特徴付けによって、IFA及びCFAはIgG1及びIgG2a両方のサブクラスの効果的なアジュバントとして作用し(それぞれ、一般的にTh−2、Th−1型抗体応答に関連する)(図2A)、その一方、CpGは、IgG2a(Th−1型)により特異的で、アラムはIgG1(Th−2型)により特異的であること(図2B)が示された。アジュバント活性がI型IFNによって媒介されるかどうかを決定するために、I型IFNに対して機能的な受容体を欠如したマウス(I型IFNR KOマウス C3H/HeJ)において、抗体応答を増強するこれらすべてのアジュバントの能力を比較した。得られた結果は、OVA特異的IgG2a及びIgG1サブクラスが対照マウスに対してI型IFNR KOマウスでわずかに増強することを示した(図2A及び2B)。これによって、一般的なTh−1促進アジュバントによって惹起される抗体応答の増強においてI型IFNの果たす機能的役割が確かめられた。
【0116】
(実施例3)
CGG+ポリICで免疫したマウスから得たT細胞のin vitroでの増殖及びIFNガンマ産生:I型IFNの重要性
T細胞初回抗原刺激に対するI型IFNの効果も又評価した。この評価は、最初に、in vitroでのCGGによる再刺激に対するLN T細胞の増殖能力を測定することによって実施した。排除領域LN(Draining LNs:DrLN)を(実施例1で示したように)免疫後10日目に除去して、得られた細胞懸濁液をCGGの存在下又は非存在下で培養した。対照(129)マウスを、ポリICをCGGと同時に注射すると、CGGのみで免疫したよりも高いCGG特異的増殖応答がin vitroで引き起こされ(図3A)、BrdUでパルス標識するとin vitroで増殖した細胞のほとんどはCD4+であることが示された(データは示さず)。I型IFNR KOマウスのポリIC処理でも、in vitro増殖応答が、いくらか増加したことから(図3A)、T細胞初発抗原刺激の増強は、部分的にI型IFNに左右された。しかし、CGG+ポリICを注射したI型IFNR KOマウスの細胞増殖は、CGG+ポリICを注射した対照マウスよりもかなり低く、実際、I型IFNがin vivoでT細胞応答を強く増強することが示唆された。このことは、in vitro再刺激CD4+T細胞によるサイトカイン産生を検討した際にも(図3B)証明された。
【0117】
したがって、CGG単独で免疫したマウスのCD4+細胞は、in vitroでCGGによって刺激したとき、IFN−γがあったとしてもほとんど分泌されないが、一方ポリIC+CGGを注射したマウスのCD+4細胞からは著しく高い量のIFN−γが産生された。重要なことは、ポリICによって、I型IFNR KOマウスよりも対照マウスにおいてIFNγを分泌するCD4+T細胞の初発抗原刺激が相当強く増強された点である。対照的に、すべての群においてCD4+細胞から分泌されるIL−4の量は少なく、互いに有意な差は無かった。結果として、in vivoでのI型IFNの誘導は、T細胞初回抗原刺激を増強し、IFNγを分泌するCD4+T細胞の生成を促進する。
【0118】
(実施例4)
OVA+アジュバントで免疫したマウスのT細胞のin vitroでの増殖及びDTH応答における内因性I型IFNの役割
実施例2で説明した免疫の終了時に、OVAに対する増殖アッセイのためにマウスを殺処分して脾臓を摘出した。図4では、OVA100μgを含有する培地で培養した脾細胞の3Hチミジン取り込み結果を示す。この実験において、OVA、OVA+CFA(図4A)又はOVA、OVA+CpG、又はOVA+アラム(図4B)で免疫したI型IFN R+/+マウスから得られた脾細胞はすべて、生理食塩水処理対照に対して有意な増殖を示し(OVA+アラムは除く)、一方I型IFNR KOマウス処理群のいずれにおいても増殖は検出されなかった。
並行して行なった実験において、DTH応答を測定するためにアジュバントを2回目及び3回目の免疫処置でも投与し、その後足蹠にOVAで誘発する若干異なった方法で数匹の正常マウス及びI型IFNR KOマウスを免疫した(図4C及び4D)。対照と比較してI型IFNR KOマウスで不完全なDTH応答が認められたことは、 のアジュバント誘導DTH応答は内因性I型IFNによって媒介されることを示す。この点に関し、DHTを誘導することができる総てのアジュバントが、マウスに注射した後I型IFN産生をも刺激することは特筆すべきことである(図示せず)。
【0119】
(実施例5)
I型IFN処理による一次抗体応答刺激
外因性I型IFNの抗体応答に対する効果を、最初に、IFN−α及びIFN−βを含有する部分精製高力価マウスI型IFN調製物を使用して研究した。B6マウスにCGGのみを100μg又は同用量のCGG+IFN−α/β 105U(IFN1X)を、皮下(sc)注射した。さらに、CGG+IFN−α/βを注射した異なる群のマウスに、1日後に、IFN−α/βのみ(105U)の2回目の皮下注射(IFN2X)をするか、又は1日後と日後に、IFN−α/β(105U)を皮下(sc)注射した(IFN3X)。図5Aに示したように、マウスをIFN−α/βで処理するとCGG特異的抗体応答が著しく増強された。この効果は、I型IFNを3回注射したマウスで最も顕著であり、明らかにIgGのすべてのサブクラスで認められた。CGG特異的IgEは、どのマウス群でも検出されなかった(データは示さず)。同様に、IFN−α/βの処理は、LPS−非反応性CH3/HeJマウスでの抗体応答を増強し、内毒素の混入の可能性は考えられなかった(データは示さず)。
【0120】
アフィニティ精製IFN−βを使用して同様の実験を実施した(図5B)。この実験において、部分精製IFN−α/βに限っては、3回IFN−βを注射した後に最も高い抗体力価が達成されるものの、IFN−βの1回の注射は、1次抗体応答を十分に増強した。IFN−βを1、2又は3回注射すると、抗体力価はそれぞれIgMで5倍、6倍及び8倍に、IgG1で6.4、8.5及び12.8倍に、IgG2bで13.3、16及び26.6倍に、IgG2aで25.6、32及び153.6倍に、IgG3で16.6、64及び117.3倍に増加した。部分精製したIFN−α/βを使用した実験と考え合わせると、これらの結果は、免疫応答初期にI型IFNを投与すると可溶性蛋白質抗原に対する1次抗体応答が著しく増加することを明確に示す。
【0121】
(実施例6)
アラムに予備吸着したCGG+I型IFNで免疫したマウスにおける抗体応答
I型IFNの半減期の延長がアジュバントとして作用する能力を強化するかどうかを決定するために、I型IFN−α/βU)をsc注射前にCGG(100μg)及び飽和量のアラムと混合した。このような方策が、IL−12のアジュバント活性を非常に増強することを示した(24)。特に目を引くのは、アラムに予備吸着すると、I型IFNを1回注射しただけで可溶性I型IFNを3回注射したときと同程度、又はそれ以上にCGG特異的抗体応答が増強したことである(図6)。
【0122】
アラム予備吸着の増強効果は、IgG2a産生に関して最も顕著であった。このような結果は、I型IFNが長期間存在すると実際にそのアジュバント活性が増加し、アジュバントとしてのI型IFNの使用が、実用面で重大な意味を持つことを示唆する。
【0123】
(実施例7)
I型IFNとその他のアジュバントとの比較
アジュバントとしてのI型IFNの効果をさらに評価するために、市販のアジュバントと1次抗体応答を増強する能力について比較した。最初に、油をベースとした2種類のアジュバント、不完全フロインドアジュバント(IFA)及びTitermaxと比較した。
【0124】
CGG100μgを含有する抗原溶液とアジュバントとを1:1v/v比で混合し、安定なエマルジョンが形成されるまで乳化した。次に、マウスを免疫して、抗CGG抗体について血清を分析した。IFA及びTitermaxは高レベルでIgG1抗体を刺激したが、I型INFはIgM及びIgG2b抗体を誘導する能力はこれらのアジュバントと同等で、IgG2a及びIgG3抗体産生の増加については遙かに優れていた(図7)。
【0125】
アジュバント活性のより厳密な試験として、I型IFNを完全フロインドアジュバント(CFA)と比較した。CFAは長い間マウスにおいてアジュバント活性用の「最も基準になる試験」と考えられており、全イソタイプの抗体産生を増強することが知られている。そこで、免疫10日後に対照(WT129)とIFN−IR KOマウスにCGGのみ、CGG+CFA又はCGG+IFN−α/βを注射して、CGG特異的抗体力価を比較した(図8)。
【0126】
対照マウスでは、抗体力価はCGGのみで免疫したマウスよりもCGG+IFN−α/β又はCGG+CFAを注射したマウスの方が高かった。驚くべきことに、IFN−α/βのアジュバント活性は、CFAに比べてまさるとも劣らなかった。実際、CFAは(129系のみで)高力価のIgM抗体を誘導したが、IFN−α/βは同力価のIgG1及びIgG2b抗体の産生を刺激した。さらに、IFN−α/βは、CFAよりも高レベルでIgG2aを誘導するとともに、少なくとも129sv系では、IgG3抗体を誘導した。したがって、これらの結果によって、IFN−α/β投与は実際に強力なアジュバント活性を有することが示された。
【0127】
比較する応答が、迅速に取り除かれる傾向がある、可溶性蛋白質+可溶性IFN−α/βに対する応答と、注射部位に長期間保持され得るCFAの油性エマルジョンとの比較であることを考慮すると、この効果は特に著しい。
【0128】
(実施例8)
CFAのアジュバント活性及び蛋白質のみに対する応答の刺激における内因性I型IFNの役割
CFAとIFA又はTitermaxの間のアジュバント活性の著しい違いは、前者のみが著しい力価のIgG2a又はIgG3抗体を誘導できることである。これはI型IFNが有する特性なので、CFAのこのような能力がこのアジュバントによる内因性I型IFNの誘導に関連するかどうかという疑問が生じた。CFAの重要な構成要素が熱殺菌マイコバクテリアであるならば、CpG DNAなどの細菌成分がI型IFNの産生を刺激することは知られているので、I型IFNがCFAによって誘導されるように思われる。
【0129】
この仮説を調べるために、I型IFNR KOマウスと対照マウスでIFN−α/β及びCFAについて、CGGに対する抗体応答を増強する能力を比較した(図8)。予想通り、IFN−α/βはI型IFNR KOマウスにおいてCGGに対する応答をまったく増強できなかった。また、CFAが抗体応答を増強する能力が、I型IFNR KOマウスでは非常に欠如していたことは重要である。CFAは依然として、I型IFNR KOマウスにおいて高力価のIgG1抗体力価を誘導するが、CGGのみによる免疫と比較すると、もはやIgM、IgG2b、IgG2a又はIgG3抗体を増強しなかった。これらの結果は、CFAのアジュバント活性におけるI型IFNの重要な役割を示す。
【0130】
(実施例9)
I型IFNによる長期抗体産生及び記憶の誘導
I型IFNが1次抗体応答を増強することが示されたので、この応答が長く維持されるかどうかを決定することに興味を持った。最初に、CGGを1回注射するか、又は実施例5で説明したようにCGG+IFN−α/βを3回注射して、6カ月後、マウスの血清をアッセイすることによって長期抗体産生を調べた(図9A)。CGGのみで初回抗原刺激を受けたマウスは、6カ月後のCGG特異的抗体の濃度が極めて低かった。
【0131】
対照的に、CGG+IFN−α/βで初回抗原刺激を受けたマウスは、血清中のCGG特異的抗体の力価が依然として顕著であった。力価が非常に低く、CGGのみで初回抗原刺激を受けたマウスと有意な差がなかったIgG3以外は、試験したすべてのイソタイプの抗体が存在していた。かくして、初回抗原刺激中にI型IFNを注射すると、長期間の抗体産生が可能となった。
【0132】
長期間の抗体産生が、長命血漿細胞によって、又は記憶B細胞の抗体産生細胞の補給によって維持されるかどうかは相変わらず議論の的となっている。したがって、記憶も、I型IFNの存在下における免疫によって誘導されるかどうかを調べることに興味を抱いた。それを実施するために、CGGに対する第2応答を開始する6カ月前に初回抗原刺激したマウスの能力について調べた。即ち、CGGのみ、又はCGG+I型IFN−α/β3回注射を6カ月以前に注射したマウスに再度CGG(100μg)のみを注射した。CGGに対する1次応答の関与を最小限に抑えるために、第2応答を抗原投与6日後に調べて、天然の初回抗原刺激をしていないマウスを対照として使用した。CGG特異的抗体力価をCGG再注射の前後に同じマウスで比較した(図9B)。
【0133】
CGGのみで6カ月前に初回抗原刺激したマウスでは、CGG抗原投与に対する応答は投薬を受けていないマウスと区別がつかなかったので、CGGのみで初回抗原刺激して6カ月後ではCGGに対する記憶がないことが示された。しかし、極めて対照的に、CGG+I型IFN−α/βで6カ月前に初回抗原刺激したマウスでは、CGGに対する迅速な第2応答を示した。しかし、これらのマウスではIgG1抗体の高い力価が維持されている事実にもかかわらず、第2応答はIgG2b及びIgG2a抗体イソタイプに限定されたようであった。これらの結果は明らかに、I型IFNは可溶性蛋白質抗原を1回投与した後長命記憶の発生を促進することを示す。
【0134】
(実施例10)
I型IFNによる樹状細胞の刺激によって生じる、抗体応答の増強及びイソタイプスイッチング
I型IFNは明らかに抗体応答の規模及び様々なIgGサブタイプへの交換の両方を著しく増強することができるが、そのin vivoでの作用機構はわかっていなかった。DCがI型IFN−α/βに応じることができる有一の細胞である養子免疫細胞移入モデルを設計した。これらの実験では、野生型129マウス又はI型IFNR KOマウスの高度に精製した脾臓DC5〜7×105を、CGG100μgと短時間インキュベートし、I型IFN−α/β(105U)と一緒に、又は一緒にしないでI型IFNR KO受容体に皮下(sc)注射した。CGG+DC+I型IFN−α/βを投与されたマウスに、さらに2回前述のようにI型IFN−α/βを注射した。次に、CGG特異的抗体力価を、免疫後10日目に測定した(図10)。
【0135】
予測通りに、CGG+I型IFNR KO DCを投与されたマウスをI型IFN−α/β処理すると、これらのマウスの細胞はI型IFNに対して応答することができないので、抗体応答は増強されなかった。反対に、CGG+野生型DCを投与されたマウスにI型IFN−α/βを注射すると、CGG+野生型DCのみの注射に比べて4種類のIgGサブクラスすべての抗体力価の増強が誘導された。したがって、I型IFNによるDCの刺激は一緒に注射した蛋白質に対する抗体応答を増強するだけでなく、イソタイプスイッチングを誘導するために十分である。
【0136】
(実施例11)
IFN型アジュバント化インフルエンザワクチンで免疫したマウスの抗体応答
C57BL/6(B6)マウスに、精製したサブユニットインフルエンザワクチンのみ、又はI型IFN2×105Uと共に筋肉内(i.m.)又はi.n.注射した。免疫して7日後又は14日後に、血清を、インフルエンザ特異的抗体についてELISAによってアッセイした。I型IFNを一緒に注射することによって、インフルエンザ特異的抗体応答に対する用量依存性の強いアジュバント効果が引き起こされた(図11A)。図11Bは抗原注射して2日間持続してI型IFNを投与すると、インフルエンザ特異的抗体応答がさらに増強されることを示す。
【0137】
特に、ワクチンのみでは、繰り返し免疫した後でも限られた数のマウス(約30%)しか抗体応答を誘導しないが、IFNアジュバント化ワクチンでは、処理マウスすべてにおいて同質の応答を誘導した。図11Cは、アジュバントとしてI型IFNを、ワクチンの前後又は同時といった、異なる時点で投与して使用したときの効果の違いを示す。IFNをワクチンと一緒に注射したとき、最適なアジュバント効果が認められた。図12aは、I型IFNアジュバント化ワクチンによる鼻腔内免疫によって、インフルエンザワクチンに高い免疫原性がもたらされることを示している。興味深いのは、インフルエンザに特異的な抗体イソタイプの分析によって、一般的にはTh−1型免疫応答に関連したIgG2a抗体サブクラスを誘導することが示された。特に、IFNアジュバント化ワクチンによって、ワクチンのみよりもウイルス攻撃に対してより強い防御効果がもたらされた(図12B)。
【0138】
(実施例12)
I型IFNはインフルエンザワクチンの格別に強力な粘膜アジュバントである
最初の一連の実験において、C57BL/6マウスを、インフルエンザワクチンのみ、又はI型IFNと混合したワクチンを14日の間隔をおいて2回鼻腔内投与することにより免疫した。抗体濃度を各免疫の2週間後に測定した(図14a)。抗体産生(特にIgG2a)の一般的な増加は、最初の免疫の後IFN処理した動物で検出可能であった。2度目の免疫の2週間後、ワクチンのみを注射した動物と比較してIFN処理マウスにおいて抗体力価がさらに増加していた。特に、この時点では、ワクチンのみを注射したマウスと比較して、IFNと混合したワクチンで免疫した動物でIgG2a及びIgA力価の驚異的な増加が認められた(それぞれ、1000倍及び100倍)。また、アジュバントとしてIFNで免疫したマウスでは、対照動物よりも高レベルの分泌性肺IgAを示した。興味深いのは、生存値及び感染後のマウスの体重減少がないことの両方から明らかなように、IFNアジュバント化ワクチンを鼻腔内に投与されたマウスすべてがインフルエンザウイルスの感染から防御されていた。その一方、ワクチンのみで免疫された動物では部分的な防御効果のみが見られた(図14b)。IFN−IR KO及び対照C3H/H3Nマウスにおける同様の免疫実験では、I型IFNは、対照動物におけるIgG2a及びIgAの誘導について両時点でMF59より優れていることがわかり、一方、MF59は2回免疫を行った後でより効果的にIgG1抗体を誘導した(図14c、下)。予測通りに、アジュバントとしてIFNで鼻腔内免疫したIFN−IR KO動物では、Igサブクラスのすべてについて有意な抗体応答は認められなかった。対照的に、MF59はまだIFN−IR KOマウスにおいてIgG1を誘導することができたが、IgG2a及びIgAの誘導は、対照動物で検出される応答と比較して大部分が排除された(図14c)。
【0139】
(実施例13)
ウイルス感染後のマウス生存率及びIgG力価の増加は厳密には関係がない
C57BL/6マウスに前述のようにFLUワクチンを1回筋肉内(i.m.)(全身)又は鼻腔内(i.n.)(粘膜)免疫でワクチン接種し、IgG力価を14日後に測定した。
【0140】
図15で明らかなように、アジュバント化ワクチンを1回投与することで攻撃を受けた動物の完全な防御を引き起こすのに十分であることがわかった。
【0141】
さらに、ウイルス攻撃後のマウスの生存率はIgG2の増加と厳密には関係ない。実際に、アジュバント無しのワクチンで得られる著しいIgG力価の増加は、生存率の有意な増加をもたらさず、ウイルス攻撃後約10%のマウスが生存した。
【0142】
他方、ワクチンと組み合わせたI型IFNアジュバントは、ワクチン単独と比較すると、引き起こされたIgG力価の増加は中等度であるにも拘らず、1回免疫処理した後であってもウイルス感染後のマウスの生存率が、著しく増加(約100%)するという効果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】in vivoでトリのガンマグロブリン(CGG)に対する第1抗体応答に対するポリ(IC)の効果を示した図である。 図Aは、図面のx軸で示したように、CGG単独又はCGG+ポリICを注射したB6マウスの血清において検出されるCGG特異的抗体の終点力価を示した図である。それぞれの単一の図面には、終点力価を測定した抗体のサブクラス(IgM、IgG1、IgG2、IgG2a及びIgG3)を示してある。 抗体応答は、終点力価の平均±SDとして表す。 図Bは、図面のx軸で示したように、CGG単独又はCGG+ポリICを注射した129sv種(白棒)の野生型マウス又はI型IFN受容体KO(I型IFNR KO)129svマウス(黒棒)で得られた抗体応答を示した図である。それぞれの単一の図面には、終点力価を測定した抗体のサブクラス(IgM、IgG1、IgG2、IgG2a及びIgG3)を示してある。 抗体応答は、終点力価の平均±SDとして表す。
【図2】図2A及びBは、卵アルブミン(OVA)+アジュバントで免疫したマウスの抗体応答を示した図である。 図Aは、図面のx軸で示したように、生理食塩水、OVA、OVA+IFA及びOVA+CFAで処理した野生型(白棒)又はI型IFNR KO C3H/HeJ(灰色棒)マウスで検出される特異的抗体濃度を示した図である。 免疫後24日目のマウスの血清に存在する終点抗体力価をOVA特異的総Ig又はIgサブクラスIgG2a、及びIgG1について標準的ELISAで測定し、図面I、図面II及び図面IIIそれぞれに報告する。値は、2連で試験した3種類の個々の血清の終点希釈力価の平均として表す。 図Bは、図面のx軸で示したように、生理食塩水、卵アルブミン(OVA)、OVA+CpG及びOVA+アラムで処理した野生型(白棒)又はI型IFNR KO C3H/HeJ(灰色棒)マウスにおける特異的抗体濃度を示した図である。 免疫して25日目のマウス血清で示される終点抗体力価を標準的ELISAアッセイで測定して、OVA特異的総Igは図面Iに、IgサブクラスIgG2aは図面IIに、及びIgG1は図面IIIに示した。値は、2連で試験した3種類の個々の血清の終点希釈力価の平均で表す。
【図3】in vivoでのCGGに対するT細胞応答のポリIC増強におけるI型IFNの役割を示した図である。 図Aは、図面のx軸に沿って示したように、ポリIC、CGG又はCGG+ポリICの注射によって初回抗原刺激を受けた129又はI型IFNR KOマウスのT細胞のCGGに対するin vitroでの増殖性応答を示した図である。 白棒及び幅の狭い縞模様の棒は、CGGの存在下で(白)又は非存在下で(幅の狭い縞模様)培養した129マウスの流入領域リンパ節(DrLN)の細胞懸濁物による増殖を示す。 黒及び幅の広い縞模様の棒は、CGGの存在下で(黒)又は非存在下で(幅の広い縞模様)培養したI型IFNR KOマウスのDrLNの細胞懸濁物による増殖を示す。 図Bは、図面のx軸に沿って示したように、ポリIC、CGG又はCGG+ポリICの注射によって初回抗原刺激を受けた129又はI型IFNR KOマウスのCD4+T細胞によるIFN−γ分泌を示した図である。 白棒及び幅の狭い縞模様の棒は、CGGの存在下で(白)又は非存在下で(幅の狭い縞模様)培養した非免疫同質遺伝子的マウスのTリンパ球除去脾臓細胞と一緒に培養した免疫129マウスのDrLNから精製したCD4+T細胞によって分泌されたIFN−γを示す。 白い棒及び幅の広い縞模様は、CGGの存在下で(黒)又は非存在下で(幅の広い縞模様)培養した非免疫同質遺伝子的マウスのTリンパ球除去脾臓細胞と一緒に培養した免疫I型IFNR KOマウスのDrLNから精製したCD4+T細胞によって分泌されたIFN−γを示す。
【図4】OVA+アジュバントで免疫したマウスにおけるin vitroでの増殖及びDTH応答について、初回抗原刺激を受けたT細胞における内在性I型IFNの役割を示した図である。 図Aは、図面のx軸に沿って示したように、生理食塩水、卵アルブミン及びCFAで処理した正常マウス(白棒)又はI型IFNR KO C3H/HeJマウス(灰色棒)のT細胞による特異的3Hチミジン摂取を示した図である。 図Bは、図面のx軸に沿って示したように、生理食塩水、卵アルブミン及び卵アルブミンとCpG又はアラムで処理した正常マウス(白棒)又はI型IFNR KO C3H/HeJマウス(灰色棒)のT細胞による特異的3Hチミジン摂取を示した図である。 図Cは、図面のx軸に沿って示したように、生理食塩水、卵アルブミン及び卵アルブミンとIFA又はCFAで処理した野生型マウス(白棒)I型IFNR KO C3H/HeJマウス(灰色棒)における特異的DTH応答を示した図である。 図Dは、図面のx軸に沿って示したように、生理食塩水、卵アルブミン及び卵アルブミンとCpG又はアラムで処理した野生型マウス(白棒)I型IFNR KO C3H/HeJマウス(灰色棒)における特異的DTH応答を示した図である。
【図5】IFN−I注射によるCGGに対する一次抗体応答の増強を示した図である。 マウスすべてに1回CGGを注射して投与した。可溶性IFN−α/β又はIFN−βも又投与したマウスに、免疫時のみ(1X)、又はさらに1日後(2X)又は1日後及び2日後(3X)にそれぞれIFNを注射した。 図Aは、図面のx軸に沿って示したように、CGG単独で免疫するか、又はCGGで免疫してIFN−α/βで処理したB6マウスにおける抗体応答を示した図である。 それぞれの単一の図面には、終点力価を測定した抗体のサブクラス(IgM、IgG1、IgG2、IgG2a及びIgG3)を示してある。抗体応答は、終点力価の平均±SDとして表す。 図Bは、CGG単独で免疫するか、又はCGGで免疫してIFN−βで処理したB6マウスにおける抗体応答を示した図である。それぞれの単一の図面には、終点力価を測定した抗体のサブクラス(IgM、IgG1、IgG2、IgG2a及びIgG3)を示してある。抗体応答は、終点力価の平均±SDとして表す。
【図6】IFN−α/β+アラムによる一次抗体応答の増強を示した図である。 データ(黒棒)は、図面のx軸に沿って示したように、CGG単独又は可溶性IFN−α/β、アラム、又はIFN−α/β+アラムの組合せを1回皮下注射することによってB6マウスを免疫した後10日目にELISAによって検出されたCGG特異的抗体を示す。3xの印は、免疫後1日目及び2日目に可溶性IFN−α/βをさらに注射したことを示す。 それぞれの単一の図面には、終点力価を測定した抗体のサブクラス(IgM、IgG1、IgG2、IgG2a及びIgG3)を示してある。 データは、終点力価の平均±SD(群当たりマウス3匹)として表す。
【図7】I型IFN及び油をベースとしたアジュバントによって増強された抗体応答を比較した図である。 データ(黒棒)は、図面のx軸に沿って示したように、CGG、CGC+IFN−α/β(0日目にCGGと一緒にIFN−α/βを投与し、その後1日目及び2日目は単独で投与する)、IFA中で乳化したCGG(0日目にCGGと一緒にIFAを投与し、その後1日目及び2日目は単独で投与する)、又はTiterMaxで乳化したCGG(0日目にCGGと一緒にTiterMaxを投与し、その後1日目及び2日目は単独で投与する)を皮下注射することによってB6マウスを免疫した後10日目にELISAによって検出されたCGG特異的抗体を示す。 結果は、終点力価の平均±SD(群当たりマウス3匹)として表す。それぞれの単一の図面には、終点力価を測定した抗体のサブクラス(IgM、IgG1、IgG2、IgG2a及びIgG3)を示してある。
【図8】可溶性IFN−α/βはCFAと同程度まで抗体応答を増強し、そのアジュバント活性は内在性I型IFNに左右されることを示した図である。 図面のx軸に沿って示したように、CGG単独、CGC+IFN−α/β(免疫後1日目及び2日目に2回IFN−α/βを注射する)又はCGG+CFAを皮下注射することによって免疫した後のWT129(白棒)又はIFN−IR KO(黒棒)の抗体応答を比較した。CGG特異的抗体は、免疫後10日目にELISAによって検出された。結果は、終点力価の平均±SD(群当たりマウス3匹)として表す。それぞれの単一の図面には、終点力価を測定した抗体のサブクラス(IgM、IgG1、IgG2、IgG2a及びIgG3)を示してある。
【図9】I型IFNによる長期間の抗体産生及び免疫学的記憶の刺激を示した図である。 図Aは、CGG単独又はCGG+IFN−α/βを注射することによって6カ月早く免疫したB6マウスの終点抗体力価を示した図である。 データ(黒棒)は、CGG単独又はCGG+IFN−α/βを皮下注射することによってB6マウスを免疫して6カ月後、ELISAによって検出されたCGG特異的抗体を示した図である(免疫後1日目及び2日目に2回IFN−α/βを2回注射した)。 結果は、終点力価の平均±SD(群当たりマウス3匹)として表す。それぞれの単一の図面には、終点力価を測定した抗体のサブクラス(IgM、IgG1、IgG2、IgG2a及びIgG3)を示してある。 図Bは、投薬を受けていないマウス(No)及び図Aと同様に6カ月前にCGG単独、又はCGG+IFN−α/βで免疫したマウスをCGG単独で誘発して6日後の特異的抗体応答を示した図である。 結果は誘発前(白棒)及び誘発6日後(黒棒)の抗体終点力価を終点力価の平均±SD(群当たりマウス3匹)として示す。それぞれの単一の図面には、終点力価を測定した抗体のサブクラス(IgM、IgG1、IgG2、IgG2a及びIgG3)を示してある。
【図10】I型IFNに対するCDの応答性は、抗体産生増強及びI型IFNによるアイソタイプ交換のために十分であることを示した図である。 データは、免疫後10日目に標準的ELISAによって検出したCGG特異的抗体を示す。脾臓DCは、(図面のx軸に沿って示したように)129マウス(wt)又はI型IFNR KOマウスから精製し、CGGと短時間インキュベートし、IFN−α/βと一緒に(黒棒)又は一緒にしないで(白棒)I型IFNR KOマウスに注射した(後者の場合、IFN−α/βをさらに2回免疫後1日目及び2日目に注射投与した)。 結果は、終点力価の平均±SD(群当たりマウス3匹)として表す。それぞれの単一の図面には、終点力価を測定した抗体のサブクラス(IgM、IgG1、IgG2、IgG2a及びIgG3)を示してある。
【図11】インフルエンザワクチンで免疫したマウスの抗体応答に対するI型IFNのアジュバント活性を示した図である。 標準的な免疫計画は以下の通りであった。7〜8週齢のC57BL/6マウスに精製したfluワクチン15μg及びマウスI型IFN2×105U、対照としてワクチン単独又は生理食塩水を含有する調製物0.2ml、筋肉内(i.m.)注射した。14日後、マウスから採血し、血清のflu特異的抗体濃度を標準的ELISAによって試験した。値は、5種類のそれぞれの血清の平均±SDで表す。 図Aは、マウスをlog10希釈したI型IFN(2×105、2×104又は2×103単位)と混合したワクチン又はワクチン単独又は陰性対照として生理食塩水を含有する異なる調製物で筋肉内(i.m.)処理した用量/応答実験を示した図である。抗体力価は、免疫して7日後に測定した。 図Bはワクチン及び1回又は繰り返し投与したI型IFNで処理したマウスにおける抗体応答に対するアジュバントの影響を示した図である。マウスに、IFNと混合したfluワクチン、又はIFNと混合したfluワクチンで筋肉内(i.m.)処理し、その後最初の接種後2日目に同部位にさらにIFNを注射した。Fluワクチン単独又は生理食塩水を対照として使用した。 図Cは、fluワクチン投与と同時に、又は投与前後の異なる時点で投与したI型IFNのアジュバント効果を示した図である。マウスに、IFNをワクチン投与2日前、1日前、1日後、又は2日後に、又はワクチンと同時に同部位に筋肉内(i.m.)注射した。Fluワクチン単独又は生理食塩水を対照として使用した。
【図12】図AはI型IFN及びインフルエンザワクチンを鼻腔内投与したマウスの抗体応答を示した図である。 7〜8週齢のC57BL/6マウスを麻酔し、I型IFN5×104単位を含有するfluワクチン(15μg)調製物の液滴(50μl)を鼻腔内注入した。14日後、処理を繰り返し、さらに7日後、血液試料を採取し、異なるflu特異的抗体サブクラスの存在について標準的ELISAによって試験した。Fluワクチン単独又は生理食塩水を対照として使用した。結果は、群当たり5匹のマウスの終点力価の平均±SDで表す。 図Bは、生きたインフルエンザウイルスを接種したマウスにおけるIFNアジュバント化ワクチンの防御効果を示した図である。 7〜8週齢のC57BL/6マウスをfluワクチン(15μg)のみ、又はI型IFN(2×105U)と一緒にした溶液0.2mlで、又は対照として生理食塩水で筋肉内(i.m.)にワクチン接種した。ワクチンは0日目及び14日目に投与した。ワクチン接種を開始して50日目に、マウスの鼻腔内に10 LD50の生きたfluウイルス(A/北京/262/95(A/H1N1)の液滴(50μl)を注入した。その後、マウスすべての体重を毎日測定した。結果は、群当たり5匹のマウスの平均体重として表した。各群のマウス全体のうち生存したマウスの数を示す。
【図13】FLU(インフルエンザ)ワクチン単独又はアジュバントとしてのI型IFNと混合したFLUで筋肉内(i.m.)免疫した対照及びIFN−IR KOマウスにおけるFLU特異的抗体アイソタイプの分析を示した図である。 対照(野生型)及びIFN−IR KO C3H/HeNマウスに、0日目及び14日目にFLUワクチン単独、FLUワクチン+I型IFN又はFLIワクチン+MF59アジュバントを筋肉内(i.m.)注射した。第1免疫後13日目及び第2免疫後19日目(それぞれ、13日目及び33日目)に、血清を収集して、FLU特異的抗体応答を分析した。データは、2連で試験した各実験群の5種類の血清の特異的抗体力価の平均±s.e.で示す。 *p<0.002、**p<0.05対IFN−IR KOマウス、NS、有意ではない。 白棒:対照の野生型マウス 黒棒:INF−IR KOマウス
【図14】FLUワクチンを鼻腔内(i.n.)に投与したときのI型IFNの強力なアジュバント効果を示した図である。 図a:FLUワクチン単独又はI型IFNと混合したワクチンでi.n.で免疫したC57/BL6マウスのFLU特異的HAI力価、血清抗体イソタイプ及び気管支肺胞洗浄(BAL)IgAの分析。マウスに0日目及び14日目にFLUワクチン50μlを単独又はI型IFN(105U)と混合してi.n.で注入した。第1免疫後14日目に血清を収集した(左図)。第2免疫後14日目に(右図)、マウスを殺処分し、Ig分析のために血液試料及び気管支肺胞洗浄液(BAL)を収集した。データは、2連で試験した各実験群の5種類の試料の特異的抗体力価で示す。**p<0.002対FLUワクチン単独、NS、有意ではない。 白棒:ワクチン単独 黒棒:ワクチン+IFN 図b:単独又はI型IFN(105U)と混合したFLUワクチン又は対照として生理食塩水を2回i.n.投与して免疫し、その後38日して10 LD50のFLUウイルスで誘発したC57/BL6マウスの生存時間。データは、感染マウスの平均体重推移(±s.e.)及び総動物数に対する生存したマウスのパーセントで表す。群当たりマウスは5匹である。 黒丸:生理食塩水処理マウス 白丸:FLUワクチンをi.n.注入したマウス 白四角:FLUワクチン+IFNをi.n.注入したマウス 図c:対照及びIFN−IR KO C3H/HeNマウスに0日目及び14日目にFLUワクチン単独、FLUワクチン+I型IFN又はFLUワクチン+MF59アジュバントをi.n.注入した。第1免疫後13日目(上図)、第2免疫後19日目に(下図)に血清を収集し、FLU特異的抗体応答を分析した。データは、2連で試験したそれぞれの実験群の5種類の試料の特異的抗体力価の平均±s.e.を示す。*p<0.004対IFN−IR KOマウス、NS、有意ではない。 白棒:対照野生型マウス 黒棒:IFN−IR KOマウス
【図15】1回免疫した後、FLUワクチンを筋肉内(i.m.)(全身)又はi.n.(粘膜)でワクチン接種したC57/BL6マウスにおけるI型IFNのアジュバント効果を示した図である。 図aは、1回筋肉内(i.m.)免疫した後14日目の抗体力価及び生存したマウスを示した図である。筋肉内免疫は、既に説明したように実施した。ウイルス誘発は、免疫後38日目に実施した。 図Bは、1回i.n.で免疫した後14日目の抗体力価及び生存したマウスを示した図である。粘膜免疫は、既に説明したように実施した。ウイルス誘発は、免疫後38日目に実施した。 黒丸:生理食塩水処理マウス。 白三角:FLUワクチンを筋肉内(i.m.)注射又は鼻腔内(i.n.)注入したマウス。 白丸:FLUワクチン+IFNを筋肉内(i.m.)注射するか、又はFLUワクチン+IFNを鼻腔内(i.n.)注入したマウス。
Claims (30)
- in vivoにおける防御免疫治療において、ワクチンに対するTh−1型体液性免疫応答を増強する非毒性アジュバント組成物を調製するためのI型IFNの使用であって、該IFNを、ワクチン用量当たり100.000IU以上の用量で用いる、上記使用。
- 前記増強された体液性免疫応答が、IgG1及び/又はIgG2a及び/又はIgG2b及び/又はIgG3及び/又はIgA及び/又はIgM産生の選択的誘導を伴う、請求項1に記載の使用。
- 前記防御免疫治療が、皮下、筋肉内若しくは皮内の注射、又は経口若しくは粘膜の投与によって実施される請求項1又は請求項2に記載の使用。
- 粘膜投与は、鼻腔内又は経口の投与であり、局所及び/又は全身の防御免疫をもたらす、請求項3に記載の使用。
- 前記組成物及びワクチンは、前記アジュバント及び前記ワクチンを、投与部位に同時送達するように処方されている、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の使用。
- 前記in vivo防御が、たった一度の免疫処置後に実現される、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の使用。
- 前記in vivo防御が、最初にワクチン及びアジュバント組成物を同時投与し、次いで、さらにアジュバント組成物のみをワクチン注射後1日目、或いは1日目及び2日目に投与して実現される、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の使用。
- 前記I型IFNが、天然IFNα、合成組換えI型IFN、組換えIFN−αサブタイプ、IFN−β、IFN−ω、又はI型IFNの1個又は複数の一員をコードする核酸配列である請求項1から請求項7までのいずれかに記載の使用。
- 前記I型IFNが、PEG化I型IFNサブタイプである、請求項8に記載の使用。
- 前記I型IFNの投与量が、1×106〜6×106Uの範囲である、請求項1から請求項9までのいずれかに記載の使用。
- 前記I型IFNが、樹状細胞を標的とすることができるモノクローナル抗体と融合した組換えI型IFNである、請求項1から請求項10までのいずれかに記載の使用。
- 前記ワクチンが、感染因子(an infectious agent)又はその他の起源からなる1種又は複数の抗原を含む、請求項1から請求項11までのいずれかに記載の使用。
- 前記ワクチンが、腫瘍由来の1種又は複数の抗原を含む、請求項12に記載の使用。
- 前記抗原の量が、1〜1000μgである、請求項11又は請求項13に記載の使用。
- 前記抗原の量が、10〜200μgである、請求項14に記載の使用。
- 抗原及びアジュバント双方の放出を、制御及び持続化するために、アジュバントとしてワクチン用量当たり100.000IU以上の用量でI型IFNを含むワクチン。
- 皮下、筋肉内若しくは皮内の注射、又は経口若しくは粘膜の投与に適用する、請求項16に記載のワクチン。
- 粘膜投与が、鼻腔内又は経口の投与である請求項17に記載のワクチン。
- 前記I型IFNが、天然IFNα、合成組換えI型IFN、組換えIFN−αサブタイプ、IFN−β、IFN−ω、又はI型IFNの1種又は複数の一員をコードする核酸配列である、請求項16から請求項18までのいずれかに記載のワクチン。
- 前記I型IFNが、PEG化I型IFNサブタイプである、請求項16から請求項19までのいずれかに記載のワクチン。
- 前記I型IFN投与量が、1×106〜6×106IUの範囲である、請求項16から請求項20までのいずれかに記載のワクチン。
- 前記I型IFNが、樹状細胞を標的とすることができるモノクローナル抗体と融合した組換えI型IFNである、請求項16から請求項21までのいずれかに記載のワクチン。
- 前記ワクチンが、感染因子又はその他の起源からなる1種又は複数の抗原を含む、請求項16から請求項22までのいずれかに記載のワクチン。
- 前記ワクチンが、腫瘍由来の1種又は複数の抗原を含む、請求項16から請求項23までのいずれかに記載のワクチン。
- 前記抗原の量が、1〜1000μgである、請求項16から請求項24までのいずれかに記載のワクチン。
- 前記抗原の量が、10〜200μgである、請求項25に記載のワクチン。
- 前記I型IFN投与量が、1×106〜6×106IUの範囲である、請求項16から請求項26までのいずれかに記載のワクチン。
- さらにアルミニウム塩を含む、請求項16から請求項27までのいずれかに記載のワクチン。
- 前記抗原の存在に関連した疾患の予防又は治療において、別々に、同時に又は連続して使用するための、
100.000IU以上の用量でI型IFNを含む非毒性アジュバント組成物と、
少なくとも1種の抗原、及び薬剤として許容される担体、媒体又は補助剤を含むワクチンと
からなる、複数の構成成分からなるキット(a kit of parts)。 - 抗原を、ワクチン1用量当たり100.000IU以上の用量のI型IFNと一緒にして、制御されかつ持続的な放出を行なう組成物を処方するステップを含む、請求項16から請求項28までのいずれかに記載のワクチンの調製方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
EP01830261A EP1250933A1 (en) | 2001-04-17 | 2001-04-17 | Vaccines including as an adjuvant high dose type I IFN |
PCT/IT2002/000236 WO2002083170A1 (en) | 2001-04-17 | 2002-04-16 | Vaccines including as an adjuvant type 1 ifn and processes related thereto |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004533431A true JP2004533431A (ja) | 2004-11-04 |
Family
ID=8184491
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002580971A Pending JP2004533431A (ja) | 2001-04-17 | 2002-04-16 | アジュバントとしてi型ifnを含むワクチン及びそれと関連する方法 |
Country Status (13)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20040146485A1 (ja) |
EP (2) | EP1250933A1 (ja) |
JP (1) | JP2004533431A (ja) |
KR (1) | KR20040022423A (ja) |
CN (1) | CN100509056C (ja) |
AU (1) | AU2002309245B2 (ja) |
BR (1) | BR0208980A (ja) |
CA (1) | CA2443912A1 (ja) |
EA (1) | EA006211B1 (ja) |
IL (1) | IL158440A0 (ja) |
MX (1) | MXPA03009515A (ja) |
NZ (1) | NZ529562A (ja) |
WO (1) | WO2002083170A1 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018519262A (ja) * | 2015-05-07 | 2018-07-19 | ベイラー カレッジ オブ メディスンBaylor College Of Medicine | 樹状細胞免疫療法 |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
AU2003278036B2 (en) * | 2002-10-22 | 2009-12-10 | Aventis Pasteur Limited | Anti-cancer vaccines and high-dose cytokines as adjuvants |
GB0423681D0 (en) * | 2004-10-26 | 2004-11-24 | Sec Dep For Environment Food & | Vaccine and nucleic acids |
US20090074712A1 (en) * | 2005-05-19 | 2009-03-19 | Compton | Methods for Treatment and Prevention of Infection |
US9402917B2 (en) | 2009-04-03 | 2016-08-02 | Duke University | Methods for the induction of broadly anti-HIV-1 neutralizing antibody responses employing liposome-MPER peptide compositions |
US10076567B2 (en) | 2013-09-27 | 2018-09-18 | Duke University | MPER-liposome conjugates and uses thereof |
CN107233568A (zh) * | 2017-06-20 | 2017-10-10 | 上海赛伦生物技术股份有限公司 | 一种免疫马用的免疫佐剂 |
WO2022251406A1 (en) * | 2021-05-28 | 2022-12-01 | The Regents Of The University Of Michigan | Combined agonist adjuvant for coronavirus vaccine |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4820514A (en) * | 1985-12-30 | 1989-04-11 | Texas A&M University System | Low dosage of interferon to enhance vaccine efficiency |
US6660258B1 (en) * | 1997-05-09 | 2003-12-09 | Pharma Pacific Pty Ltd | Oromucosal cytokine compositions and uses thereof |
FR2769505B1 (fr) * | 1997-10-10 | 2000-06-30 | Michael Gerard Tovey | Compositions de cytokines a administrer a la muqueuse buccale, et leurs utilisations |
TW586944B (en) * | 1998-05-29 | 2004-05-11 | Sumitomo Pharma | Controlled release agent having a multi-layer structure |
CA2313392A1 (en) * | 1999-07-22 | 2001-01-22 | Sumitomo Pharmaceuticals Company, Limited | Agent for induction of antigen-specific t cell |
-
2001
- 2001-04-17 EP EP01830261A patent/EP1250933A1/en not_active Withdrawn
-
2002
- 2002-04-16 EA EA200301125A patent/EA006211B1/ru not_active IP Right Cessation
- 2002-04-16 BR BR0208980-7A patent/BR0208980A/pt not_active IP Right Cessation
- 2002-04-16 CA CA002443912A patent/CA2443912A1/en not_active Abandoned
- 2002-04-16 EP EP02735963A patent/EP1381391A1/en not_active Withdrawn
- 2002-04-16 WO PCT/IT2002/000236 patent/WO2002083170A1/en active IP Right Grant
- 2002-04-16 MX MXPA03009515A patent/MXPA03009515A/es not_active Application Discontinuation
- 2002-04-16 JP JP2002580971A patent/JP2004533431A/ja active Pending
- 2002-04-16 IL IL15844002A patent/IL158440A0/xx unknown
- 2002-04-16 KR KR10-2003-7013660A patent/KR20040022423A/ko not_active Application Discontinuation
- 2002-04-16 US US10/475,237 patent/US20040146485A1/en not_active Abandoned
- 2002-04-16 CN CNB02810045XA patent/CN100509056C/zh not_active Expired - Fee Related
- 2002-04-16 AU AU2002309245A patent/AU2002309245B2/en not_active Expired - Fee Related
- 2002-04-16 NZ NZ529562A patent/NZ529562A/en unknown
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018519262A (ja) * | 2015-05-07 | 2018-07-19 | ベイラー カレッジ オブ メディスンBaylor College Of Medicine | 樹状細胞免疫療法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
BR0208980A (pt) | 2004-12-28 |
CA2443912A1 (en) | 2002-10-24 |
AU2002309245B2 (en) | 2008-03-13 |
NZ529562A (en) | 2005-09-30 |
CN1522154A (zh) | 2004-08-18 |
IL158440A0 (en) | 2004-05-12 |
US20040146485A1 (en) | 2004-07-29 |
KR20040022423A (ko) | 2004-03-12 |
CN100509056C (zh) | 2009-07-08 |
EA200301125A1 (ru) | 2004-04-29 |
MXPA03009515A (es) | 2004-12-06 |
EP1381391A1 (en) | 2004-01-21 |
WO2002083170A1 (en) | 2002-10-24 |
EA006211B1 (ru) | 2005-10-27 |
EP1250933A1 (en) | 2002-10-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Klinman | Therapeutic applications of CpG-containing oligodeoxynucleotides | |
EP0651656A1 (en) | Use of gm-csf as a vaccine adjuvant | |
JP5766894B2 (ja) | ワクチン増強剤としてのαチモシンペプチド | |
Yoon et al. | Cytokine GM‐CSF genetic adjuvant facilitates prophylactic DNA vaccine against pseudorabies virus through enhanced immune responses | |
JP2002505301A (ja) | 新生児免疫のil−12刺激 | |
AU2002309245B2 (en) | Vaccines including as an adjuvant type 1 IFN and processes related thereto | |
AU2002309245A1 (en) | Vaccines including as an adjuvant type 1 IFN and processes related thereto | |
WO2023280303A1 (zh) | Avc-29作为疫苗佐剂的用途以及含有该佐剂的疫苗组合物 | |
JP5901084B2 (ja) | ペプチドアジュバント | |
US20080193412A1 (en) | Method of Enhancing the Immune Response to a Vaccine | |
US20090087456A1 (en) | Adjuvanted vaccine | |
US20230321230A1 (en) | Compositions and Methods for Adjuvanted Vaccines | |
Deigin et al. | Peptide ILE-GLU-TRP (Stemokin) Potential Adjuvant Stimulating a Balanced Immune Response | |
US20220257752A1 (en) | New use of cyclic dinucleotides | |
AU2004308553A1 (en) | Proteoliposomes and derivatives thereof as cytotoxic response-inducing adjuvants and resulting formulations | |
WO2023211281A1 (en) | Antiviral vaccine composition | |
Kang et al. | Genetic immunisation and treatment of disease | |
Himes et al. | 10 Clinical Development of Oligodeoxynucleotide TLR9 Agonists | |
Tough et al. | Type I IFN as a Natural Adjuvant for |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050310 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080603 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20080903 |
|
A602 | Written permission of extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602 Effective date: 20080910 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20081002 |
|
A602 | Written permission of extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602 Effective date: 20081009 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20081031 |
|
A602 | Written permission of extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602 Effective date: 20081110 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090217 |