JP4090002B2 - カードコネクタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報が記録されたカードを挿抜自在に接続して情報の伝達を行うカードコネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のカードコネクタには、コネクタに装着したカードが情報の伝達中にコネクタから脱落したり、無理に抜去されて通信エラー等を生じさせることがないように、カードをコネクタの奥まで挿入させるとともに、カードを一定の保持力でコネクタ内に係止保持する形態のものがある。このような形態のカードコネクタでは、情報伝達の終了後にカードを取り出しやすくするため、カードを取り出し方向に移動排出させる排出機構を備えるのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなカードコネクタでは通常、挿入取り付けされたカードがコネクタ側のコンタクトとの接触圧を利用して弾性保持されるため、排出機構はこのようなコンタクトによる保持力に抗してカードを押し出す比較的大きな力を発生させる必要がある。このため、排出機構には、ばねの復元力を利用してカードを押し出す(或いは引き出す)タイプのもの、電動モータ等を用いてカードを搬送させるタイプのもの等があるが、いずれも装置が大型化したり複雑化してしまうという問題があった。
【0004】
例えば、バネの復元力を利用した排出機構では、カードが挿入取り付けされた状態でカードにバネの復元力が作用しないように、カード押し出し部材をバネ力に抗して保持する必要がある。しかし、ソレノイドは消費電力が大きい割に発生力が小さく、ソレノイドのみで押し出し部材を保持することが困難なため、別途カード押し出し部材を係止保持するロック手段と、係止を解除するロック解除手段とを設ける必要があった。また、電動モータを用いた排出機構では、機構自身が大型で複雑なうえ消費電力が大きいという問題があった。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、確実な情報伝達性を確保しつつ、低消費電力かつ簡明な構成で装置を軽量コンパクトにすることができるカードコネクタを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のカードコネクタは、情報が記録されたカードを挿抜自在に保持してこのカードと情報伝達を行うコネクタ本体と、このコネクタ本体をカードの挿抜方向にスライド移動自在に支持するケースと、コネクタ本体を常時カードの抜去方向に付勢する付勢手段(例えば実施形態における捻りバネ15)と、カードの挿入方向にスライド移動したコネクタ本体を付勢手段の付勢力に抗して所定位置に保持する保持手段とを備えて構成される。そして上記付勢手段は、一方がケースに固定され他方がコネクタ本体を付勢する1つの付勢部材で構成され、また上記保持手段は、コネクタ本体側に設けられた磁石に吸着可能な被吸着部材とケース側に設けられた電磁石とからなり、電磁石に所定の電力が供給されると被吸着部材を吸着してコネクタ本体をケースの所定位置に保持するように構成される。
【0007】
このように構成されたカードコネクタにおいては、コネクタ本体はケースに固定されるのではなくカードの挿抜方向にスライド移動自在に支持されており、かつ付勢手段により常時カードの抜去方向に付勢されているので、カードの挿入時にはそのカードの挿入力に押されてコネクタ本体自体がカードの挿入方向に移動し、ケース内の所定位置において保持手段により保持される。これによりカードはケースの奥の方に収納されるようになり、情報伝達中にカードが脱落したり引き抜かれたりする事態が防止されて確実な情報伝達性が確保される。
【0008】
また、保持手段はコネクタ本体側に設けられた被吸着部材とケース側に設けられた電磁石とから構成されており、電磁石の電磁力で被吸着部材を吸着してコネクタ本体をケース内の所定位置に保持する。具体的には、情報伝達を実行するときには、カードをコネクタ本体に挿入することによりコネクタ本体がケース内でカードの挿入方向にスライド移動し、被吸着部材が電磁石に当接してスライド移動が規制されるとともにコネクタ本体に取り付けられたスイッチ手段がケースに当接してスイッチ作動することによりコネクタ挿入検出信号を付与し、その信号に基づいて電磁石に所定電力が供給されてコネクタ本体をケース内の所定位置に保持し、その後、コネクタ本体とコネクタ本体に挿入されたカードとがコネクタ接続されると、スイッチ機能を有するコネクタ本体がコネクタ接続を検出してカード接続検出信号を付与し、その信号に基づいて情報信号伝達回路がオープンにされて情報信号の入出力が行われ、情報伝達が終了したときには、情報伝達信号回路がクローズされるとともに電力供給停止信号が付与され、その信号に基づいて電磁石への所定電力供給を停止してコネクタ本体の保持を解除し、付勢手段の付勢力によってコネクタ本体をケース内でカードの抜出方向にスライド移動させる。ここで、被吸着部材とは電磁石に吸着可能な材質で形成された部材をいい、例えば、鉄系金属材料を用いて所定形状に形成した部材がこれに該当する。そして、このような被吸着部材を電磁石に吸着させたときには、低い電力で強い吸着力(保持力)を発生させることができる。本願発明によれば、情報伝達中にカード(およびカードコネクタ本体)が引き抜かれる等の事態を防止するため、他にロック機構等を設けることなく保持手段および電気信号による電磁石の制御を実行する上記構成のみで成すことができ、かつロック解除手段も不要になる。従って、極めて簡明な構成で軽量コンパクトにカードコネクタを構成することができる。
【0009】
なお、電磁石はU字状のコアを有して隣接した二つの吸着面を備え、被吸着部材が二つの吸着面に吸着保持されるようにカードコネクタを構成することが好ましい。このような構成によれば、被吸着部材を吸着させたときに電磁石の磁力線が被吸着部材の内部を通って閉じたループを形成するため、強力な吸着力を発生させることができ、ソレノイドやI字状のコアを有する棒状の電磁石等に比べて遙かに低電力でより強力な保持力を発生させることができる。
【0010】
また、被吸着部材は二つの吸着面が並ぶ方向に揺動可能に支持されるとともに、弾性部材(例えば実施形態における板バネ34)により揺動振動が規制されるようにカードコネクタを構成することが好ましい。このような構成によれば、二つの吸着面と被吸着面との関係が相対的に傾斜していても、被吸着部材が倣うように揺動して二つの吸着面に密着して吸着されるため、相互の取付誤差やスライド機構の傾き等によって吸着保持力がばらつくようなことがなく、生産性および信頼性が高いカードコネクタを提供できる。また、弾性部材を設けて揺動振動を規制することにより、ビビリ振動等の不要な振動発生を防止して静粛性が高いカードコネクタとすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。図1から図3には本発明に係るカードコネクタをISO規格のカードコネクタに適用した場合の実施例を示しており、このうち図1はカード挿入初期状態におけるカードコネクタ1の平面図、図2は図1中に矢印IIを付して示す方向から見たカードコネクタ1の正面図、図3は図1中に矢印IIIを付して示す方向から見たカードコネクタ1の側面図である。なお、以下説明するにあたっては、図2に示すカード挿入口側をカードコネクタ1の前方、反対側を後方、カード2の幅方向を左右方向、図1に示す紙面手前方向をカードコネクタ1の上方、紙面裏側方向を下方、これ等に直交するカードの厚さ方向を左右方向と便宜的に規定し、説明する。
【0012】
各図に示すように、カードコネクタ1は全体として薄型方形の外観形状をなし、一部上面が開放されたケース10内にコネクタ本体20が取り付けられている。カードコネクタ1の前面にはカード挿入口12aが設けられており、このカード挿入口12aから情報が記録されたカード2を受容してコネクタ本体20と接続し、コネクタ後方に導出されたFPC(フレキシブル・プリント・ケーブル)26を介して外部装置と情報伝達可能に構成されている。カードコネクタ1はケースに設けられた取付座11a,11bでコネクタ使用機器に取り付けられる。
【0013】
ケース10は、上面および前面が開放された断面視略凹状のベース部材11と、このベース部材の前方上部に着脱自在に接続されてベース部材11の前方上面を覆いその前面にカード挿入口12aを有するカバー部材12とから構成される。このようにして形成されるケース10の内部にはコネクタ本体20、コネクタ本体20に取り付けられた被吸着ブロック30、被吸着ブロック30を係脱自在に吸着保持する電磁石40、コネクタ本体20を常時前方(カード挿入口12aの方向)に付勢する捻りバネ15などが配設されている。
【0014】
コネクタ本体20は、このカードコネクタ1からコネクタ本体20のみを取り出して、下側斜め前方(図1における裏面側)から見た外観図を図4に示すように、上下のハウジング部材21a,21bからなりカード2を受容するカード受容空間22を形成するハウジング21と、上部ハウジング部材21aに圧入固定されてカード受容空間22内に突出する複数のコンタクト24a,24bとから構成されている。
【0015】
各コンタクトは前後方向にフィンガー状に延びるとともに、上部ハウジング部材21aからカード受容空間22に向けてバネ性をもって突出配設されており、カード2がカード受容空間22の奥部まで押圧挿入されたときに、カード2の裏面に設けられた平板状コンタクト(不図示)と一定の接触圧でコネクタ接続し情報伝達できるになっている。また、上部ハウジング部材21aの後端側に固定されるコンタクト24bの一部は、カード2がカード受容空間22の奥部まで押圧挿入されてカード2とコネクタ本体20とがコネクタ接続されたときにスイッチ接点を開または閉とするスイッチ機能を有しており、カード2がコネクタ本体20にコネクタ接続されたか否かを検出できるようになっている。
【0016】
上記各コンタクト24a,24bは上部ハウジング部材21aの前後で上方(図4における下方)に屈曲されて表面実装用のリード部が形成されており、このリード部の端子配列に合わせてFPC26と一体にプリント配線され、上部ハウジング部材21aの上面に固定される端子基板25(図1および後述する図6参照)の接続端子に半田接合される。
【0017】
なお、ハウジング21の前方には、このコネクタ本体20に挿入されるカード2の先端部をガイドしてカード受容空間22に導く導入ガイド23,23が設けられ、ハウジング21の後端部には被吸着ブロック30を接続固定する蟻溝部28,28が形成されている。
【0018】
上記のように構成されるコネクタ本体20は、その後端部に被吸着ブロック30が接続固定された後、捻りバネ15および電磁石40が組み付けられたベース部材11に納められ、カバー部材12が取り付けられてカードコネクタ1が構成される。ベース部材11にはコネクタ本体20をスライド移動自在に支持するガイド溝11c,11cが形成され、また必要以上にコネクタ本体20が前方に移動しないように移動を規制するストッパ部(不図示)が形成されている。このため、コネクタ本体20は、ケース10内をガイド溝11cに沿って所定範囲で前後にスライド移動することができるようになっている。
【0019】
図5はこのようにして組み立てられたカードコネクタ1に、カード2が挿入されて押圧力によりコネクタ本体20がケース10内をスライド移動し、コネクタ本体20がカード保持位置に保持された状態の上面図を示し、図6はこのカード保持状態における図3中に矢印VI-VIを付して示す方向の主要断面図を示し、さらに図7には図6におけるカードコネクタ1の後部を拡大して示している。以下、これ等の各図を参照してこのカードコネクタ1のカード保持手段について詳細に説明する。
【0020】
コネクタ本体20の後端部に接続される被吸着ブロック30は、例えばガラス繊維のチョップドストランドを所定量添加して繊維強化した樹脂材料を用い、射出成形等の成形手段で横長アーム状に形成したブロックアーム35、このブロックアーム35に形成した有底角筒状のホルダー部35aにピン32で揺動自在に枢結された被吸着部材31、被吸着部材31が外来振動等でビビリ振動等を発生しないように被吸着部材31を弾性支持する板バネ34などから構成される。
【0021】
このうち、被吸着部材31は電磁石40に電力を供給して磁化したときに、この電磁石に吸着可能な材質で形成されており、例えば、純鉄等の鉄系金属材料を機械加工して所定形状に成形したのち、無電界ニッケルメッキ等の防錆用の表面処理を施して仕上げる。板バネ34は、例えばバネ用ステンレス鋼やリン青銅等の薄板を打ち抜きおよび曲げ加工して図示するクリップ状に成形する。そしてこのようにして製作した板バネ34をホルダー部35aの開口から挿入してその底部に配置し、そのうえから被吸着部材31を挿入してピン32でホルダー部35aに枢結する。このようにして被吸着部材31は、電磁石40に向かう一端面(後端面)がホルダー部から露出し、枢結ピン34でこの軸廻りに左右に揺動自在に取り付けられる。
【0022】
ブロックアーム35の前方部にはコネクタ本体20の蟻溝部28,28と係合する突起部38,38が形成されており、この左右の突起部38,38を蟻溝部28,28と整合させて圧入することにより、コネクタ本体20に被吸着ブロック30が接続固定される。なお、ブロックアーム35の後端部には捻りバネ15と係合するガイド溝36が形成されている。
【0023】
被吸着ブロック30における被吸着部材31と対峙して、電磁石40がベース部材11に固定されている。電磁石40は、上面視U字状のコア41と、このコア41の一辺を軸心として取り付けられたコイル42などからなり、U字形状によって構成される二つの隣接した吸着面41a,41bが上述の被吸着部材31と直接向き合うような取付姿勢でベース部材11に固定されている。
【0024】
コア41は透磁率が高い材料を用いて形成され、例えば、上記被吸着部材と同様に純鉄等の鉄系金属材料を機械加工して所定形状に成形したのち、無電界ニッケルメッキ等の防錆用の表面処理を施して仕上げることにより得ることができる。また、コイル42は、コア41の一辺と嵌合するフッ素樹脂等のボビンに銅線を所定ターン数巻き付けて端部およびコイル表面を処理して構成する。コイルから導出されるケーブル43はケース後端部から引き出され、FPC26が接続される外部装置に接続される。
【0025】
なお、端子基板25には、コネクタ本体20がスライド移動してカード保持位置まで到達したときにこれを検出するリミットスイッチ27が実装され、ベース部材にはこのリミットスイッチ27の検出端と当接する受け座16が立設されている。また、ベース部材11には受け座16に隣接して捻りバネ15のコイル部を支持する円筒状の支柱14が立設され、捻りバネ15はこの支柱14に支持されるとともに、コイル部から延びる一端が受け座16の後方に形成されたスリット部に挟持されて位置決め固定される。コイル部から延びる捻りバネ15の他端は、前方に延びてブロックアーム35に形成されたガイド溝36と係合し、コネクタ本体20を常時前方(カード挿入口12a方向)に向けて付勢する。
【0026】
さて、以上のように構成されるカードコネクタ1において、図1に示すカード2の挿入初期状態から、図5ないし図7に示すカード保持状態に至るまでの各部の作用について以下に説明する。
【0027】
まず、カード挿入口12aからカード2が挿入されてコネクタ本体20に到達すると、カード2は左右の導入ガイド23,23にガイドされてカード受容空間22内に導かれ、受容空間内に一定量進入したところでカード先端部がこの空間内に突出する複数のコンタクト24a,24bと当接する。ここで、捻りバネ15の付勢力は複数コンタクトをコネクタ接続させる挿入力よりも小さく設定されており、コネクタ本体20はカード2の押圧力によってケース10内を後方にスライド移動する。
【0028】
コネクタ本体20がケース10内を後方にスライド移動して、被吸着ブロック30の被吸着部材31と電磁石40の吸着面41a,41bとが当接すると、コネクタ本体20のスライド移動が規制される。このとき、リミットスイッチ27の検出端が受け座16に当接し、コネクタ本体20が係止保持位置に到達したことをFPC26を介して外部装置に出力する。
【0029】
外部装置はこのコネクタ挿入検出信号に基づいて電磁石40に所定電力を供給し、コア41を磁化させて被吸着部材31を吸着させる。このようにして被吸着部材が吸着されると、U字状のコア41と被吸着部材31とにより閉ループの磁界が形成されるため、低消費電力でありながら被吸着ブロック30が強力な磁力で電磁石40に吸着保持される。これにより、コネクタ本体20が捻りバネ15の付勢力に抗してケース10内に保持される。
【0030】
一方、押圧挿入されているカード2は、上記被吸着ブロック30と電磁石40とが当接してコネクタ本体20の移動が規制されているため、こんどはカード2がコンタクトの挿入反発力に抗してコネクタ本体のカード受容空間22内に挿入され、複数コンタクト24a,24bを弾性変形させて各コンタクトとカード2裏面の平板状コンタクトとがコネクタ接続される。
【0031】
前述したように、コンタクト24bの一部は、カード2がカード受容空間22の奥部まで押圧挿入されてカード2とコネクタ本体20とがコネクタ接続されたことを検出するスイッチ機能を有しており、このようにして検出されたカード接続検出信号がFPC26を介して外部装置に出力される。外部装置はこのカード接続検出信号に基づいて情報信号回路をオープンにして情報信号の入出力を行いカード2と情報伝達を行う。
【0032】
情報伝達が終了すると、外部装置は情報信号回路をクローズにするとともに、その後または他の外部信号に基づいて、電磁石40への電力供給を停止する。その結果、電磁石40による被吸着ブロック30の吸着保持が解除され、コネクタ本体20はカード2をカード受容空間22内に接続保持した状態で、捻りバネ15の付勢力によって前方(カード挿入口方向)にスライド移動される。これにより、カード2はカードコネクタ1から脱落することなく、カード使用者が取り出しやすいように端部がカード挿入口12aから突出する排出位置に移動され、使用者は容易に抜去することができる。
【0033】
なお、以上説明した実施例ではカード2として、カード裏面に平板状コンタクトを有し、コネクタ本体20もこれと対応するコンタクトを有する場合について説明したが、本発明は係る形態のカードコネクタに限定されるものではなく、例えば、カードの側端面にコネクタ部を有する形態のカードコネクタについても同様に構成し同様の効果を得ることができる。また、コネクタ本体20の付勢手段として捻りバネ15を用いた例を開示したが、付勢手段は引っ張りまたは圧縮バネあるいはゼンマイ状のバネを用いるものであっても良く、被吸着部材31の振動を防止する板バネ34はシリコンスポンジ等の弾性部材であっても良い。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のカードコネクタは、情報が記録されたカードを挿抜自在に保持して情報伝達を行うコネクタ本体と、このコネクタ本体をカードの挿抜方向にスライド移動自在に支持するとともに常時カードの抜去方向に付勢するケース並びに付勢手段と、スライド移動したコネクタ本体を所定位置に保持する保持手段とを備えて構成される。そして保持手段は、コネクタ本体側に設けられた被吸着部材とケース側に設けられた電磁石とからなり、電磁石の電磁力で被吸着部材を吸着してコネクタ本体をケースの所定位置に保持するように構成される。具体的には、情報伝達を実行するときには、カードをコネクタ本体に挿入することによりコネクタ本体をケース内で移動させスライド移動が規制されると電気的信号に基づいて電磁石に所定電力が供給してコネクタ本体をケース内の所定位置に保持し、情報伝達が終了したときには、情報伝達信号回路がクローズされるとともに電気的信号により電磁石への所定電力供給を停止してコネクタ本体の保持を解除し、付勢手段の付勢力によってコネクタ本体をケース内でスライド移動させる。
【0035】
従って、本発明ではカードからの情報伝達中においてカードがケースの奥にスライド移動された位置状態で収納保持されるように制御するため、ロック機構を別途要さなくとも情報伝達中でのカードが脱落したり引き抜かれたりする事態が防止されて確実な情報伝達性が確保される。また、保持手段として電磁石の電磁力を利用してケース内にコネクタ本体を保持するため、低い電力で強い保持力を発生させることができ、かつ極めて簡明な構成で軽量コンパクトにカードコネクタを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るカードコネクタの好ましい実施形態を示す平面図(上面図)であり、カードがコネクタ接続される以前の初期状態または排出後の状態を示す説明図である。
【図2】本発明に係るカードコネクタの好ましい実施形態を示す正面図である。
【図3】本発明に係るカードコネクタの好ましい実施形態を示す側面図である。
【図4】上記カードコネクタからコネクタ本体を取り出して示す斜視図である。
【図5】本発明に係るカードコネクタの好ましい実施形態を示す平面図(上面図)であり、カードがコネクタ接続された状態を示す説明図である。
【図6】図3中にVI-VI矢印を付して示す方向に見た断面図であり、カードがコネクタ接続された状態を示す説明図である。
【図7】図6に示した接続状態におけるカードコネクタ後方の部分拡大図である。
【符号の説明】
1 カードコネクタ
2 カード
10 ケース
15 捻りバネ(付勢手段)
20 コネクタ本体
30 被吸着ブロック
31 被吸着部材
34 板バネ(弾性部材)
40 電磁石
41 コア
41a,41b 吸着面

Claims (3)

  1. 情報が記録されたカードを挿抜自在に保持してこのカードと情報伝達を行うコネクタ本体と、
    前記コネクタ本体を前記カードの挿抜方向にスライド移動自在に支持するケースと、
    前記コネクタ本体を常時前記カードの抜去方向に付勢する付勢手段と、
    前記カードの挿入方向にスライド移動した前記コネクタ本体を前記付勢手段の付勢力に抗して所定位置に保持する保持手段とを備え、
    前記付勢手段は、一方が前記ケースに固定され他方が前記コネクタ本体を付勢する1つの付勢部材で構成され、
    前記保持手段は、前記コネクタ本体側に設けられた磁石に吸着可能な被吸着部材と前記ケース側に設けられた電磁石とからなり、前記電磁石に所定の電力が供給されると前記被吸着部材を吸着して前記コネクタ本体を前記ケースの所定位置に保持するように構成され、
    前記情報伝達を実行するときには、前記カードを前記コネクタ本体に挿入することにより前記コネクタ本体が前記ケース内で該カードの挿入方向にスライド移動し、前記被吸着部材が前記電磁石に当接して前記スライド移動が規制されるとともに前記コネクタ本体に取り付けられたスイッチ手段が前記ケースに当接してスイッチ作動することによりコネクタ挿入検出信号を付与し、前記コネクタ挿入検出信号に基づいて前記電磁石に所定電力が供給されて前記コネクタ本体を前記ケース内の所定位置に保持し、その後、前記コネクタ本体と前記コネクタ本体に挿入された前記カードとがコネクタ接続されると、スイッチ機能を有する前記コネクタ本体が前記コネクタ接続を検出してカード接続検出信号を付与し、前記カード接続検出信号に基づいて情報信号伝達回路がオープンにされて情報信号の入出力が行われ、
    前記情報伝達が終了したときには、前記情報伝達信号回路がクローズされるとともに電力供給停止信号が付与され、前記電力供給停止信号に基づいて前記電磁石への所定電力供給を停止して前記コネクタ本体の保持を解除し、前記付勢手段の付勢力によって前記コネクタ本体を前記ケース内で前記カードの抜出方向にスライド移動させる、ことを特徴とするカードコネクタ。
  2. 前記電磁石はU字状のコアを有して隣接した二つの吸着面を備え、前記被吸着部材は前記二つの吸着面に吸着保持されることを特徴とする請求項1に記載のカードコネクタ。
  3. 前記被吸着部材は前記二つの吸着面が並ぶ方向に揺動可能に支持されるとともに、弾性部材により揺動振動が規制されていることを特徴とする請求項2に記載のカードコネクタ。
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