JP4089205B2 - マスタリング装置及び方法並びにデータ記録装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、識別データ等が記録されるデータ記録媒体を製造するのに用いられるマスタリング装置及び方法並びにデータ記録媒体に対して識別データを記録するデータ記録装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、データ記録媒体として用いられているコンパクトディスク(以下、CDという。)では、8−14変調(EFM変調:Eight to Fourteen Modulation)されたデータが、〔0〕又は〔1〕でパルスの正負を反転させるNRZI(Non Return to Zero Inverted)で記録されている。ここで、CDのフレームフォーマットについて説明すると、フレームは、24ビットの同期信号の後、14ビットのサブコードが格納され、次いで、1シンボルが14ビットの記録データが格納されている。また、各シンボルの間には、3ビットの接続ビットが挿入されている。この接続ビットは、シンボルを結合したときに、EFMの変換規則に違反しないようにするもので、また、DSV(Digital Sum Vale)の絶対値をより小さくするものが選択されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光ディスクには、著作権管理等のために、コンテンツデータ等の記録データを記録した後に、識別データを追記することが必要となることがある。具体的に、この記録は、基板に設けられたランド部に光ビームを照射し、光ビームを反射する反射膜を溶かし、光ビームを反射しないようにすることで、擬似的にピットを形成するようにしている。しかしながら、所定の記録位置でこの記録を行おうとするとき、記録位置は、データを記録するシンボルの前後のデータによって、記録位置がランドであったり、ピットであったりして、不確定である。ピットは、凹部で構成されていることから、本来反射光量が小さく、従って、ピットの形成された領域に光ビームを照射し反射膜を溶かしたとしても、記録再生装置は、記録されたデータを検出することができない。
【0004】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、識別データを記録する部分を必ずランドになるようにして、識別データを確実に記録できるようにするデータ記録媒体を製造するのに用いられるマスタリング装置及び方法並びにデータ記録媒体に対して識別データを記録するデータ記録装置及び方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るデータ記録媒体の基板に記録データに応じたピットパターンを転写するスタンパを形成するためのマスタリング装置は、スタンパにパターンを形成するための原盤を回転駆動する駆動手段と、原盤に記録する記録データを生成するデータ生成手段と、上記データ生成手段により生成された記録データを、上記駆動手段により駆動されている原盤に記録する記録手段とを備え、上記データ生成手段は、データをブロック単位で変調し、サブコードブロックの一部のビットを変化させて上記データ記録媒体を識別する識別データが記録される領域がランドとなるように、上記サブコードブロックとこのサブコードブロックの前のブロックとを接続する接続ビットを選択する。
【0006】
また、本発明に係るデータ記録媒体の基板に記録データに応じたピットパターンを転写するスタンパを形成するためのマスタリング方法は、データをブロック単位で変調し、サブコードブロックの一部のビットを変化させて上記データ記録媒体を識別する識別データが記録される領域がランドとなるように、上記サブコードブロックとこのサブコードブロックの前のブロックとを接続する接続ビットを選択し、記録データを生成し、回転駆動しているスタンパにパターンを形成するための原盤に対して、上記記録データを記録する。
【0007】
更に、本発明に係るデータ記録装置は、データをブロック単位で変調し、サブコードブロックの一部のビットを変化させてデータ記録媒体を識別する識別データが記録される領域がランドとなるように、上記サブコードブロックとこのサブコードブロックの前のブロックとを接続する接続ビットを選択して記録データが記録されたデータ記録媒体を駆動する駆動手段と、上記駆動手段により駆動されているデータ記録媒体のサブコードブロックの一部のビットを検出する検出手段と、上記検出手段により検出されたサブコードブロックの一部のビットを変化させるように上記識別データを記録する記録手段とを備え、上記記録手段は、上記ランドをピット化して上記識別データを記録する。
【0008】
更にまた、本発明に係るデータ記録方法は、データをブロック単位で変調し、サブコードブロックの一部のビットを変化させてデータ記録媒体を識別する識別データが記録される領域がランドとなるように、上記サブコードブロックとこのサブコードブロックの前のブロックとを接続する接続ビットを選択して記録データが記録されたデータ記録媒体を駆動し、駆動されているデータ記録媒体のサブコードブロックの一部のビットを検出し、上記ランドをピット化して、このサブコードブロックの一部のビットを変化させるように上記識別データを記録する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用された光ディスク、この光ディスクに対してデータを記録するデータ記録装置及び方法並びにこの光ディスクに記録されたデータを再生するデータ再生装置及び方法について、図面を参照して説明する。
【0013】
この光ディスクは、内周側にTOC(table of contents)データ等が記録されるリードイン領域が設けられ、その外周側に、コンテンツデータ等の記録データが記録されるデータ記録領域が設けられ、その外周側に、リードアウト領域が設けられている。この光ディスクには、CDと同じ記録フォーマットで、すなわち8−14変調(EFM変調:Eight to Fourteen Modulation)されたデータが図1に示す記録フォーマットで記録されている。すなわち、図1に示すように、各フレームは、例えば32個のシンボルを一まとめで取り扱うことができるように、フレームの先頭に24ビットの同期信号(11T,11T’(’は反転を示す。),2Tのパターン又はこの逆パターン)が設けられ、次いで、1シンボル(14ビット)のサブコーディングが設けられ、次いで、32シンボルからなるデータとパリティが設けられ、全体が588チャンネルビットで構成されている。また、各シンボルの間には、フレーム同期信号とサブコーディングとの間を除き〔000〕、〔100〕、〔010〕、〔001〕の何れか3ビットが接続ビットとして挿入されている。なお、フレーム同期信号とサブコーディングとの間の接続ビットについては詳細は後述する。
【0014】
サブコーディングは、8ビットで構成される1つのシンボルが各フレームに1つ記録されている。このサブコーディングには、アドレス情報等の他に、個々の光ディスクを識別するための識別データ等が記録されている。サブコーディングを構成する8ビットのデータは、P、Q、R、S、T、U、V、Wのチャンネルに割り振られている。サブコーディングは、図2に示すように、98フレームで1つのブロックを構成し、このブロックの先頭には、当該ブロックの先頭を識別するための同期信号S0,S1が格納されている。この同期信号S0,S1には、EFM変換テーブルに用いられないパターンが用いられている。すなわち、図3に示すように、サブコーディングは、2バイトの同期信号を除いた96バイトで1ブロックを構成する。そして、サブコードのP〜Wの各チャンネルのブロックは、P1〜W1からP96〜W96、すなわち96ビット(同期信号を含めて98ビット)で構成される。
【0015】
サブコードのPチャンネルは、例えば楽曲と楽曲の間を示すスタートフラグとして用いられ、Qチャンネルは、アドレス情報、識別データ等が記録される。また、R〜Wチャンネルは、ユーザーズビットとして、6つをひとまとまりとして、グラフィック、エラーチェック等に使用される。
【0016】
ここで、識別データが記録されるQチャンネルのフレーム構造について図4を参照して説明すると、このQチャンネルのフレームは、全体が98ビットであり、先頭から順に、2ビットの同期信号となるS0,S1と、4ビットのCTLと、識別データの記録再生モードを識別するための4ビットのADRと、8ビットの識別データのインデックスとなるUDI indexと、56ビットの識別データが格納されるペイロードとなるUDI payloadと、8ビットのアドレス情報となるAFRAMEと、16ビットの誤り訂正符号となるCRC(Cyclic Redundancy Code)とを備えている。また、UDI indexの下位4ビットからCRCまでの84ビットは、記録領域となっている。
【0017】
8ビットのUDI indexには、光ディスクの識別データの記録可能時間や記録済み時間が記録される。また、UDI payloadには、光ディスク1の識別データとして、光ディスク1の販売元であるレコード会社のレコード会社ID、光ディスク1を識別するためのレコード番号、光ディスク1の販売国を識別するための国番号、光ディスク1の製造工場を識別するための製造所ID、光ディスク1を製造した製造装置を識別するための製造装置ID、光ディスク1のシリアル番号、データが改ざんされたかどうかを検出するためのMDC(modification detection code)等の検出コード、コンテンツデータ等の記録データの暗号鍵等が記録されている。
【0018】
UDI indexの下位4ビットからCRCまでのブロックは、光ディスクの識別データの記録前において、例えば全てに初期値として〔1〕が記録されている。そして、詳細は後述するが、この領域では、記録位置の反射膜にデータを熱記録をすることによって、光ビームを反射しない凹部のピットが擬似的に形成され、これによって〔0〕に反転され、擬似的に形成されたピットとランドのパターンによって光ディスクの識別データが記録される。記録領域以外の領域は、ROM型の光ディスクと同様に、ピットとランドのパターンによってコンテンツデータ等の所定のデータが記録されている。なお、記録領域は、少なくともペイロードと誤り訂正符号の領域であればよく、このフレームは、例えば全体を記録可能領域とし、初期値として全てに〔1〕を記録しておくようにしてもよい。
【0019】
また、R〜Wチャンネルは、識別データが記録される領域では、固定値となっており、識別データの記録の前後に亘って同じ値となるようになっている。すなわち、識別データが記録される領域では、サブコードとして、識別データの記録前の変調前8ビット系列のデータビットと識別データの記録後の復調した8ビット系列のチャンネルビットとを比較したとき、少なくとも3ビット目以降のR〜Wチャンネルの値が同じとなるものが記録されている。
【0020】
ところで、このような光ディスクは、基本的に再生専用の記録媒体であり、コンテンツデータ等の記録データが凹凸のピットパターンにより記録されている。そして、光ディスクは、上述した所定のサブコードの記録領域に、追記情報として、1枚1枚の光ディスクを識別するための識別データが追記される。
【0021】
ここで、この光ディスクの製造方法について説明すると、図5に示すように、レジスト塗布工程11では、ガラス原盤にフォトレジストを塗布し、次いで、カッティング工程12では、記録すべきデータに応じた凹凸のピットパターンをレーザカッティングし原盤を作製する。次いで、ピットパターンがレーザカッティングされた原盤は、現像・定着工程13において、現像処理され定着処理がされる。この後、金属原盤作製工程14では、表面に電解めっきが施されてマザー盤である金属原盤が作製される。次に、スタンパ作製工程15では、金属原盤を元にしてスタンパが製造される。そして、基板形成工程16では、スタンパを成形金型内に配設し、射出成型機によりポリカーボネートやアクリル等の透明樹脂により形成されたディスク基板が形成される。この工程で作製されたディスク基板には、カッティング工程12で原盤に形成されたピットパターンが転写される。次いで、反射膜形成工程17では、ディスク基板のピットパターンが形成された面にスパッタ等により反射膜が形成される。本発明を適用した光ディスクは、この反射膜を利用して識別データが追記される。
【0022】
ここで、光ディスクに用いる反射膜は、識別データを記録するため、データの記録を可能とする材料により形成される必要がある。そこで、反射膜は、CDやDVDに用いられる反射膜と同程度の反射率若しくは従来より用いられている光学ヘッドで読出可能な反射率を有しながら、光ビームを用いた熱記録によって読み出し用の光ビームの反射率が変化するような材料により形成される。すなわち、反射膜は、熱記録によって読出用の光ビームに対する反射率が約0.5%以上10%以下の範囲で変化する特性を有する金属膜によって形成される。具体的には、アルミニウムにゲルマニウムを微量混入させたアルミニウム合金により形成される。そして、保護膜塗布工程18では、反射膜上に紫外線硬化型樹脂をスピンコートによって塗布し、紫外線を照射することによって保護膜が形成される。このように形成された光ディスクは、ディスク基板側から光ビームが照射されることによりデータの記録再生が行われる。この後、識別データ記録工程19では、識別データが反射膜を溶かすことによって擬似的にピットが形成されることにより記録される。
【0023】
ここで、カッティング工程12で、記録すべきデータに応じた凹凸のピットパターンをレーザカッティングし原盤を作製するマスタリング装置21について説明すると、このマスタリング装置21は、図6に示すように、例えば記録すべき標本化されたデータが入力されるA/Dコンバータ22と、このA/Dコンバータ22から出力されたディジタル信号にエラー訂正符号化処理を施すエラー訂正符号化回路23と、符号化出力を変調する変調回路24と、サブコードを発生するサブコード発生器25と、変調回路24からの出力とサブコード発生器25からのデータを加算し、記録データを発生するデータ発生器26と、データ発生器26がデータを生成する際の接続ビットを判別する判別部34とを備える。
【0024】
また、マスタリング装置21は、アルゴンレーザ、He−Cdレーザ等のガスレーザ等のレーザ源27と、ポッケルス効果を用いるEOM(Electorical Optical Modulator)や超音波を用いるAOM(Acoustic-Optical Modulator)等によりレーザ光をデータ発生器26からのデータに基づいて変調する光変調器28と、変調されたレーザ光を反射するミラー29と、ミラー29を可動する可動機構30と、レーザ光を集光し、ガラス原盤35に照射する対物レンズ31と、ガラス原盤35を回転するモータ32と、対物レンズ31を対物レンズ31の光軸方向であるフォーカシング方向に駆動変位する対物レンズ駆動機構33とを備える。
【0025】
エラー訂正符号化回路23は、例えばアナログのディジタルコンテンツをクロスインターリーブ・リード・ソロモン符号化(Cross Interleave Reed-solomon Code;CIRC)のアルゴリズムを用いてサンプルにクロスインターリーブと4次のリード・ソロモン符号の組み合わせによる符号化を施し、変調回路24に出力する。
【0026】
変調回路24は、例えばエラー訂正符号化回路23からの符号化出力にEFMのアルゴリズムに従って変調処理を施し、データ発生器26に出力する。具体的に、変調回路24は、図7及び図8に示すEFM変換テーブルに従って、最小ラン・レングス(最小反転間隔Tmin)を2とし、最大ラン・レングス(最大反転間隔Tmax)を10として8ビットの系列を14ビットの記録符号系列に変換する。
【0027】
サブコード発生器25は、記録するデータに応じてアドレス情報等のサブコードを発生し、これをEFM変調により8ビット系列のデータビットを14ビットの記録符号系列に変換する。また、サブコード発生器25は、識別データを記録する領域のサブコードとして、所定の図7及び図8に示すEFM変換デーブルの中の8ビット系列のデータビットを発生し、14ビットの記録符号系列に変換する。具体的に、サブコード発生器25は、識別データを記録する領域のサブコードとして、変調後の14ビットの記録符号系列に識別データを記録してから復調したときに、8ビット系列のデータビットの上位から2ビット目、すなわちサブコードのQチャンネルが〔1〕から〔0〕に反転すると共に、上位3ビット目から最終ビットまで、すなわちサブコードのR〜Wチャンネルまでが同じとなるデータビットを発生する。また、このデータは、EFM変調後の14ビットのパターンにおいて、ピット間のランドに光ビームを照射することにより反射膜を溶かし擬似的にピットを形成したとき、新たに形成されたピット長がEFM変調の変調規則、すなわち最大反転間隔Tmaxが10で最小反転間隔Tminが2の条件を満たすものが選ばれる。
【0028】
サブコード発生器25は、例えば図9(A)に示すように、EFM変換テーブルの十進法で64番目の0X40h〔01000000〕を、識別データを記録する領域のサブコードとして選択する。0X40hは、EFM変調すると、14ビットの〔01001000100100〕となり、NRZIで変調されたパターンの3つ目のランドLに光ビームを照射し反射膜を溶かし擬似的にピットを形成すると、14ビットの〔01001000100000〕となり、復調すると上位2ビット目のQチャンネルを除き同じパターンの0番目の0X00h〔00000000〕となるからである。
【0029】
また、サブコード発生器25は、例えば図9(B)に示すように、EFM変換テーブルの十進法で68番目の0X44h〔01000100〕を、識別データを記録する領域のサブコードとして選択する。0X44hは、EFM変調すると、14ビットの〔01000100100100〕となり、NRZIで変調されたパターンの2つ目のランドLに光ビームを照射し反射膜を溶かし擬似的にピットを形成すると、14ビットの〔01000100000000〕となり、復調すると上位2ビット目のQチャンネルを除き同じパターンの4番目の0X04h〔00000100〕となるからである。
【0030】
更に、サブコード発生器25は、例えば図9(C)に示すように、EFM変換テーブルの十進法で71番目の0X47h〔01000111〕を、識別データを記録する領域のサブコードとして選択する。0X47hは、EFM変調すると、14ビットの〔00100100100100〕となり、NRZIで変調されたパターンの2つ目のランドLに光ビームを照射し反射膜を溶かし擬似的にピットを形成すると、14ビットの〔00100100000000〕となり、復調すると上位2ビット目のQチャンネルを除き同じパターンの7番目の0X07h〔00000111〕となるからである。
【0031】
サブコード発生器25は、識別データを記録すべき領域のサブコードとして、以上のようなサブコードを生成することによって、所定のランドをピットに反転し、8ビット系列においてQチャンネルを記録すべきデータに応じて〔1〕を〔0〕に反転させ、識別データを記録できるようにし、また、チャンネルR〜Wを識別データの記録の前後に亘って固定値とすることで、識別データの記録する領域又は記録された領域を記録及び/又は再生装置が検出することができるようにしている。
【0032】
データ発生器26には、図6に示すように、変調回路24からEFM変調された記録データが入力されると共に、サブコード発生器25よりサブコードが入力される。データ発生器26は、記録符号系列の14ビットのブロック間に3ビットの接続ビットを挿入する。具体的に、データ発生器26は、EFMの変換規則である最大反転間隔Tmax=10、最小反転間隔Tmin=2を満たし、更に、DSV(Digital Sum Vale)の絶対値をより小さくし低周波数成分がより少なくなるような接続ビットを、〔000〕、〔100〕、〔010〕、〔001〕の中から選択して、記録符号系列の14ビットのブロック間に3ビットの接続ビットを挿入する。そして、データ発生器26は、記録符号系列を17ビットとし、上記図1に示すようなデータを生成する。そして、データ発生器26は、生成したデータを光変調器28に出力する。
【0033】
また、データ発生器26は、識別データの記録領域であるとき、0X40h、0X44h、0X47h等所定のサブコードの前に用いる接続ビットを発生する。このデータ発生器26は、識別データを記録する領域の接続ビットを判別する判別部34が接続されている。判別部34は、データ発生器26が同期信号とサブコードとの間に挿入される接続ビットのパターンを選択するとき、上記4つの接続ビットの組合せから、EFMの変換規則、すなわち最大反転間隔Tmaxが10で最小反転間隔Tminが2の条件を満たしつつ所定のビットが常にランドとなるものを選択するかどうかを判別する。
【0034】
ここで、EFM変換テーブルの十進法で64番目の0X40hを識別データの記録領域のサブコードに用いるときを図10を用いて説明する。図10(A)に示す例では、同期信号が11Tのランドに次いで11Tのピットが設けられている。また、0X40hのサブコードは、14ビットの記録符号系列で下位3ビットの〔100〕が識別データの記録のため擬似的にピットとなるようにするため、常にランドである必要がある。このためには、0X40hのサブコードは、ランドから始まるパターンである必要がある。一方、この同期信号の最後は、下位2ビット目の〔1〕でランドに反転している。そこで、データ発生器26は、同期信号とサブコードの間の接続ビットに、EFMの変換規則を満たしつつ、0X40hのサブコードがランドから始まるようにする接続ビットとして〔000〕を選択する。
【0035】
また、図10(B)に示す例では、同期信号が11Tのピットに次いで11Tのランドが設けられている。また、0X40hのサブコードは、下位3ビットの〔100〕が常にランドである必要があり、このためには、ランドから始まるパターンである必要がある。一方、この同期信号の最後は、下位2ビット目の〔1〕でピットに反転している。そこで、データ発生器26は、同期信号とサブコードの間の接続ビットに、EFMの変換規則を満たしつつ、0X40hのサブコードがランドから始まるようにする接続ビットとして〔010〕を選択する。
【0036】
また、EFM変換テーブルの十進法で68番目の0X44hを識別データの記録領域のサブコードに用いるときを図11を用いて説明する。図11(A)に示す例では、同期信号が11Tのランドに次いで11Tのピットが設けられている。また、0X44hのサブコードは、14ビットの記録符号系列で上位9ビット目から11ビット目の〔100〕が識別データの記録のため擬似的にピットとなるようにするため、常にランドである必要がある。このためには、0X44hのサブコードは、ピットから始まるパターンである必要がある。一方、この同期信号の最後は、下位2ビット目の〔1〕でランドに反転している。そこで、データ発生器26は、同期信号とサブコードの間の接続ビットに、EFMの変換規則を満たしつつ、0X44hのサブコードがピットから始まるようにする接続ビットとして〔010〕を選択する。
【0037】
また、図11(B)に示す例では、同期信号が11Tのピットに次いで11Tのランドが設けられている。また、0X44hのサブコードは、上記9ビット目から11ビット目の〔100〕が常にランドである必要があり、このためには、ピットから始まるパターンである必要がある。一方、この同期信号の最後は、下位2ビット目の〔1〕でピットに反転している。そこで、データ発生器26は、同期信号とサブコードの間の接続ビットに、EFMの変換規則を満たしつつ、0X44hのサブコードがピットから始まるようにする接続ビットとして〔000〕を選択する。
【0038】
また、EFM変換テーブルの十進法で71番目の0X47hを識別データの記録領域のサブコードに用いるときを図12を用いて説明する。図12(A)及び(B)に示す例では、同期信号が11Tのランドに次いで11Tのピットが設けられている。また、0X47hのサブコードは、14ビットの記録符号系列で上位9ビット目から11ビット目の〔100〕が識別データの記録のため擬似的にピットとなるようにするため、常にランドである必要がある。このためには、0X47hのサブコードは、ピットから始まるパターンである必要がある。一方、この同期信号の最後は、下位2ビット目の〔1〕でランドに反転している。そこで、データ発生器26は、同期信号とサブコードの間の接続ビットに、EFMの変換規則を満たしつつ、0X47hのサブコードがピットから始まるようにする接続ビットとして〔010〕又は「001」を選択する。
【0039】
また、図12(C)に示す例では、同期信号が11Tのピットに次いで11Tのランドが設けられている。また、0X47hのサブコードは、上記9ビット目から11ビット目の〔100〕が常にランドである必要があり、このためには、ピットから始まるパターンである必要がある。一方、この同期信号の最後は、下位2ビット目の〔1〕でピットに反転している。そこで、データ発生器26は、同期信号とサブコードの間の接続ビットに、EFMの変換規則を満たしつつ、0X47hのサブコードがピットから始まるようにする接続ビットとして〔000〕を選択する。
【0040】
以上のようなマスタリング装置21では、上記図6に示すように、記録すべき標本化されたデータがA/Dコンバータ22に入力されると、A/Dコンバータ22は、データをアナログ信号からディジタル信号に変換し、エラー訂正符号化回路23に出力し、エラー訂正符号化回路23は、サンプルにクロスインターリーブと4次のリード・ソロモン符号の組み合わせによる符号化を施し、変調回路24に出力する。変調回路24は、データをEFM変調する。すなわち、変調回路24は、図7及び図8に示すEFM変換テーブルに基づいて、記録すべきデータをEFM変換テーブルで8ビットから14ビットに変換し、データ発生器26に出力する。また、サブコード発生器25は、記録するデータに応じたアドレス情報等の8ビットのサブコードを生成し、これを14ビットに変換して、データ発生器26に出力する。そしてデータ発生器26は、変調回路24からデータが入力されると共に、サブコード発生器25よりサブコード等のデータが入力され、これらのデータを加算し、また、14ビットのブロック間に3ビットの接続ビットを挿入し、記録データを生成し、この記録データをNRZIで変調し光変調器28に出力する。
【0041】
一方、レーザ源27は、レーザ光を出射し、レーザ光は、光変調器28に入力される。光変調器24は、データ発生器26からの入力に基づいて、レーザ光を変調する。すなわち、光変調器24は、データ発生器26から〔1〕が入力されたとき、レーザ光を変調する。光変調器26で変調されたレーザ光は、ミラー29に入射される。ミラー29は、レーザ光をガラス原盤35の内外周に亘って走査することができるように、可動機構30により移動される。そして、レーザ光は、対物レンズ31により集光され、回転駆動部であるスピンドルモータ32によりCLV(constant linear velocity)等で回転されているガラス原盤35に照射される。このとき、対物レンズ31は、対物レンズ駆動機構33によりレーザ光の光軸方向に駆動変位され、フォーカス制御がなされる。
【0042】
次に、識別データ記録工程19で用いる光ディスクに識別データを記録するデータ記録装置について図13を参照して説明すると、このデータ記録装置40は、本発明を適用した光ディスク1を回転するモータ41と、光ディスク1に対して光ビームを出射し反射した戻りの光ビームを検出する光ピックアップ42と、光ピックアップ42の対物レンズのフォーカシングサーボ制御及びトラッキングサーボ制御を行うと共にモータ41の回転サーボ制御を行うサーボ制御部43と、光ピックアップ42からの出力よりRF信号等を生成するRFアンプ44と、RF信号より同期信号を検出しクロックを生成する同期信号検出部45と、RF信号よりサブコードを抽出するサブコード抽出部46と、識別データの記録位置を検出する検出部47と、EFM変調されている14ビットのサブコードを8ビットに復調し、P〜Wチャンネルのサブコードを生成するサブコード復調部48とを備える。また、データ記録装置40は、光ディスク1の識別データを記録する記録系として、識別データを変調する変調部50と、光ディスク1に記録する識別データの入力を切り換える切換部49と、識別データを光ディスク1に記録する際の記録処理を行う記録処理部51と、光ピックアップ42の出射する光ビームの出力を制御する出力制御部52とを備える。
【0043】
モータ41は、駆動軸にディスクテーブルが一体的に設けられている。ディスクテーブルは、光ディスク1のセンタ孔に係合することによって、光ディスク1のセンタリングを図った状態でクランプする。そして、モータ41は、ディスクテーブルと一体的に光ディスク1を回転する。
【0044】
光ピックアップ42は、光ビームを出射する半導体レーザ、半導体レーザより出射された光ビームを集束する対物レンズ、光ディスク1の反射膜で反射された戻りの光ビームを検出する光検出器等を備える。半導体レーザより出射された光ビームは、対物レンズにより集束され、光ディスク1の信号記録面に照射される。ここで、半導体レーザは、出力制御部52によってレーザ出力が制御されている。半導体レーザは、出力制御部52の制御に基づいて、光ディスク1に識別データの記録のための読み出しを行っているとき、標準的出力で光ビームを出射し、識別データを記録するとき、反射膜を溶かし熱記録を行うことができるように、再生時より高い高出力レベルで光ビームを出射する。
【0045】
また、光ディスク1の信号記録面で反射された戻りの光ビームは、光検出器により電気信号に変換され、光検出器は、この電気信号をRFアンプ44に出力する。また、対物レンズは、2軸アクチュエータ等の対物レンズ駆動機構に保持され、対物レンズの光軸と平行なフォーカシング方向及び対物レンズの光軸に直交するトラッキング方向に駆動変位される。
【0046】
RFアンプ44は、光ピックアップ42を構成する光検出器からの出力信号に基づいて、RF信号、フォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号を生成する。例えばフォーカシングエラー信号は、非点収差法等により生成され、トラッキングエラー信号は、3ビーム法、プッシュプル法等により生成される。そして、RFアンプ44は、フォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号をサーボ制御部43に出力する。
【0047】
同期信号検出部45は、RF信号より、図1に示すフレーム同期信号を検出すると共に、図2及び図3に示すサブコードをデコードする際の同期信号を検出する。そして、同期信号検出部45は、同期信号よりクロックを生成する。
【0048】
サーボ制御部43は、RFアンプ44から入力されたフォーカシングエラー信号やトラッキングエラー信号に基づいてフォーカシングサーボ信号やトラッキングサーボ信号を生成し、これらの信号を光ピックアップ42の対物レンズ駆動機構の駆動回路に出力する。これにより、対物レンズ駆動機構に保持された対物レンズは、フォーカシングサーボ信号やトラッキングサーボ信号に基づいて、対物レンズの光軸と平行なフォーカシング方向及び対物レンズの光軸に直交するトラッキング方向に駆動変位される。また、サーボ制御部43は、同期信号より生成したクロックが水晶発振器からの基準クロックと周波数、位相と同期するように回転サーボ信号を生成し、これに基づき、モータ41は、光ディスク1を例えばCLVで回転する。
【0049】
サブコード抽出部46は、RFアンプ44より入力されたデータよりフレーム同期信号に次いで設けられた14ビットのサブコーディングを抽出し、検出部47に出力すると共に、識別データの記録領域を特定するためサブコード復調部48に出力する。
【0050】
検出部47は、識別データを記録する位置がランドであるかどうかを検出する。すなわち、検出部47は、上記図10乃至図12に矢印で示す位置がランドであるかどうかを判断する。そして、検出部47は、その検出結果を出力端子54よりモニタ等に出力し、モニタにエラーメッセージ等を表示することができるようにする。なお、この検出部47は、識別データの記録位置の直前がピットのとき、記録位置がランドであると判断するようにしてもよい。
【0051】
また、サブコード復調部48は、識別データが記録された領域のサブコードを、EFM変換テーブルに基づいて、14ビットのデータから8ビットのデータに変換する。そして、サブコード復調部48は、98フレームで1ブロックを構成し、P、Q、R、S、T、U、V、Wのチャンネルのサブコードを生成する。すなわち、サブコード復調部48は、P1〜W1からP96〜W96、すなわち96ビットのサブコードを生成する。そして、サブコード復調部48は、サブコードより抽出したアドレス情報等をサーボ制御部43に出力する。これによって、サーボ制御部43は、光ピックアップ42を識別データの記録領域にアクセスすることができるようになる。
【0052】
変調部50は、入力端子53より入力された識別データを所定の変調方式で変調し、切換部49を介して記録処理部51に出力する。切換部49は、検出部47からの出力に応じて切り換えられる。すなわち、検出部47は、識別データの記録位置がランドであるとき、切換部49をオンにし、変調部50で変調された識別データを記録処理部51に出力することができるようにする。また、検出部47は、識別データの記録位置がオフであるとき、切換部49をオフとし、変調部50で変調された識別データが記録処理部51に出力されないようにする。
【0053】
記録処理部51は、光ディスク1に記録するために必要な記録処理を行い、記録処理を行ったデータを光ピックアップ42に出力する。
【0054】
次に、以上のように構成されたデータ記録装置40の識別データの記録動作について説明すると、先ず、利用者によって識別データの記録釦が押されると、データ記録装置40は、モータ41を駆動し、ディスク装着部を構成するディスクテーブルに装着された光ディスク1を線速度一定で回転する。これと共に、光ピックアップ42は、光ビームを光ディスク1に照射する。このとき、出力制御部52は、光ピックアップの半導体レーザを、標準的な出力で光ビームを出射するように制御する。そして、光ピックアップ42は、サーボ制御部43によってフォーカシング及びトラッキングサーボ制御がされた状態でデータの読み出しを開始する。
【0055】
そして、データ記録装置40は、図14に示すように、ステップS1において、識別データを所定の領域に記録するため、サーボ制御部43がサブコード復調部48が復調したサブコードのTOC等に基づいて光ピックアップ42を、識別データの記録領域にトラックジャンプさせる。次いで、データ記録装置40は、識別データの記録領域のサブコードをサブコード抽出部46で抽出し、14ビットのデータを検出部47に出力する。ステップS2において、検出部47は、上記図10乃至図12に矢印で示す位置がランドであるかどうかを判断する。そして、検出部47は、記録位置がランドであるとき、ステップS3において、切換部49をオンにし、ピットであるとき、ステップS4において、切換部49をオフとし、次をサーチするようにする。これと共に、入力端子53より識別データが入力されると、変調部50は、識別データを所定の方式で変調する。そして、検出部47が切換部49をオンとしているとき、変調部50は、切換部49を介して記録処理部51に変調した識別データを出力する。そして、記録処理部51は、光ピックアップ42に出力する。
【0056】
なお、識別データの記録領域は、QチャンネルのサブコードのADRにある識別データを用いて特定するようにしてもよく、また、R〜Wチャンネルのサブコードが固定値であるかを検出することによって、識別データを記録する領域を特定し、装置を識別データに記録モードに設定するようにしてもよい。
【0057】
ここで、出力制御部52は、識別データを反射膜を溶かすことによって熱記録するために、半導体レーザの出力を標準レベルから高レベルに切り換える。そして、データ記録装置40は、上記図4に示すQチャンネルのサブコードの記録領域、すなわちUDI indexの下位4ビットからCRCまでの84ビットにデータを記録する。具体的に、データ記録装置40は、UDI indexの下位4ビットに記録可能時間や記録済み時間等を記録し、次いで、56ビットのUDI payloadに識別データを記録し、次いで、8ビットのAFRAMEにフレーム番号等のアドレス情報を記録し、次いで、16ビットのCRCにエラー訂正符号を記録する。
【0058】
ここで、これらのデータの記録方法を図15を参照して説明する。なお、本図に示す例は、上記図9(C)や図12に示す0X47hを0X07hにするものである。識別データの記録前において、識別データの記録前のパターンAは、図15(A)に示すように、24ビットのフレーム同期信号に次いで〔000〕の接続ビットが挿入され、次いで、〔00100100100100〕(0X47h)のサブコードが記録され、次いで、〔100〕の接続ビットが記録されている。光ディスク1には、11Tの長さのピットP1に次いで、11TのランドL1が設けられ、次いで、7TのピットP2が設けられ、次いで、3TのランドL2が設けられ、次いで、3TのピットP3が設けられ、次いで、3TのランドL3が設けられ、次いで、3TのピットP4が設けられている。そして、データ記録装置40は、ピットP3からピットP4に亘って高出力の光ビームを照射し反射膜を溶かし熱記録を行うことによって、ランドL3の位置に擬似的にピットP3とピットP4に連続するピットを形成し、図15(B)に示す記録後のパターンAのようにする。すなわち、記録後のパターンAには、サブコードの領域に、〔00100100000000〕(0X07h)のパターンが記録されることになる。したがって、光ディスク1には、11Tの長さのピットP11に次いで、11TのランドL11が設けられ、次いで、7TのピットP12が設けられ、次いで、3TのランドL12が設けられ、次いで、9TのピットP13が設けられることになる。
【0059】
また、フレーム同期信号のパターンが上記例と逆の場合を説明すると、図15(C)に示すように、識別データの記録前のパターンBは、24ビットのフレーム同期信号に次いで〔001〕の接続ビットが挿入され、次いで、〔00100100100100〕(0X47h)のサブコードが記録され、次いで、〔100〕の接続ビットが記録されている。そして、光ディスク1には、11Tの長さのランドL21に次いで、11TのピットP21が設けられ、次いで、4TのランドL22が設けられ、次いで、3TのピットP22が設けられ、次いで、3TのランドL23が設けられ、次いで、3TのピットP23が設けられ、次いで、3TのランドL24が設けら、次いで、3TのピットP24が設けられている。そして、データ記録装置40は、ピットP23からピットP24に亘って高出力の光ビームを照射し反射膜を溶かし熱記録を行うことによって、ランドL24の位置に擬似的にピットP23とピットP24に連続するピットを形成し、図15(D)に示す記録後のパターンBのようにする。すなわち、記録後のパターンBには、サブコードの領域に、〔00100100000000〕(0X07h)のパターンが記録されることになる。したがって、光ディスク1には、11Tの長さのランド31に次いで、11TのピットP31が設けられ、次いで、4TのランドL32が設けられ、次いで、3TのピットP32が設けられ、次いで、3TのランドL33が設けられ、次いで、9TのピットP33が設けられることになる。
【0060】
かくして、データ記録装置40は、高出力の光ビームのオンオフによって識別データに応じたピットとランドからなるパターンを形成し、Qチャンネルのサブコードに識別データを記録する。
【0061】
以上のような方法によれば、サブコード中のアドレス情報等で識別データの記録領域と特定し、この特定した領域に識別データを記録することができる。
【0062】
次に、以上のようデータ記録装置40によって識別データが記録された光ディスク1の再生を行うデータ再生装置60について、図16を参照して説明する。このデータ再生装置60は、識別データが記録された光ディスク1を回転するモータ61と、光ディスク1に対して光ビームを出射し反射した戻りの光ビームを検出する光ピックアップ62と、光ピックアップ62の対物レンズのフォーカシングサーボ制御及びトラッキングサーボ制御を行うと共にモータ61の回転サーボ制御を行うサーボ制御部63と、光ピックアップ62からの出力よりRF信号等を生成するRFアンプ64と、RF信号より同期信号を検出しクロックを生成する同期信号検出部65と、コンテンツデータ等のEFM変調されている記録データを復調する復調部66と、復調されたデータのエラー訂正処理を行うエラー訂正処理部67とを備える。
【0063】
また、データ再生装置60は、RF信号よりサブコードを抽出するサブコード抽出部68と、EFM変調されている14ビットのサブコードを8ビットに復調し、P〜Wチャンネルのサブコードを生成するサブコード復調部69と、サブコード中の識別データの再生モード示す識別データを検出する検出部70と、光ディスク1に記録する識別データの出力を切り換える切換部71と、識別データを復調する復調部72とを備える。
【0064】
モータ61は、駆動軸にディスクテーブルが一体的に設けられている。ディスクテーブルは、光ディスク1のセンタ孔に係合することによって、光ディスク1のセンタリングを図った状態でクランプする。そして、モータ61は、ディスクテーブルと一体的に光ディスク1を回転する。
【0065】
光ピックアップ62は、光ビームを出射する半導体レーザ、半導体レーザより出射された光ビームを集束する対物レンズ、光ディスク1の反射膜で反射された戻りの光ビームを検出する光検出器等を備える。半導体レーザより出射された光ビームは、対物レンズにより集束され、光ディスク1の信号記録面に照射される。ここで、半導体レーザは、データの再生を行うとき、標準的な出力で光ビームを出射する。また、光ディスク1の信号記録面で反射された戻りの光ビームは、光検出器により電気信号に変換され、光検出器は、この電気信号をRFアンプ64に出力する。また、対物レンズは、2軸アクチュエータ等の対物レンズ駆動機構に保持され、対物レンズの光軸と平行なフォーカシング方向及び対物レンズの光軸に直交するトラッキング方向に駆動変位される。
【0066】
RFアンプ64は、光ピックアップ62を構成する光検出器からの出力信号に基づいて、RF信号、フォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号を生成する。例えばフォーカシングエラー信号は、非点収差法等により生成され、トラッキングエラー信号は、3ビーム法、プッシュプル法等により生成される。そして、RFアンプ64は、RF信号をEFM変調されたデータを復調するため復調部66に出力すると共に、フォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号をサーボ制御部63に出力する。
【0067】
同期信号検出部65は、RF信号より、図1に示すフレーム同期信号を検出すると共に、図2及び図3に示すサブコードをデコードする際の同期信号を検出する。そして、同期信号検出部65は、同期信号よりクロックを生成する。
【0068】
サーボ制御部63は、RFアンプ64から入力されたフォーカシングエラー信号やトラッキングエラー信号に基づいてフォーカシングサーボ信号やトラッキングサーボ信号を生成し、これらの信号を光ピックアップ62の対物レンズ駆動機構の駆動回路に出力する。これにより、対物レンズ駆動機構に保持された対物レンズは、フォーカシングサーボ信号やトラッキングサーボ信号に基づいて、対物レンズの光軸と平行なフォーカシング方向及び対物レンズの光軸に直交するトラッキング方向に駆動変位される。また、サーボ制御部63は、同期信号より生成したクロックが水晶発振器からの基準クロックと周波数、位相と同期するように回転サーボ信号を生成し、これに基づき、モータ61は、光ディスク1を例えばCLVで回転する。
【0069】
復調部66は、EFMのアルゴリズムに従ってコンテンツデータ等の記録データを復調する。具体的に、復調部66は、図7及び図8に示すEFM変換テーブルに従って、14ビットの記録符号系列を8ビットの系列のデータビットに変換する。エラー訂正処理部67は、復調された記録データをCIRC等のアルゴリズムに従って復調し、出力端子73に出力する。例えば、記録データがオーディオデータであるとき、出力端子73から出力されたオーディオデータは、D/Aコンバータによりディジタル信号からアナログ信号に変換されスピーカ、イヤホン、ヘッドフォン等から出力される。
【0070】
サブコード抽出部68は、RFアンプ64より入力されたデータよりフレーム同期信号に次いで設けられた14ビットのサブコーディングを抽出し、サブコード復調部69に出力する。サブコード復調部69は、EFM変換テーブルに基づいて、14ビットのデータを8ビットのデータに変換する。そして、サブコード復調部69は、98フレームで1ブロックを構成し、P、Q、R、S、T、U、V、Wのチャンネルのサブコードを生成する。すなわち、サブコード復調部69は、P1〜W1からP96〜W96、すなわち96ビットのサブコードを生成する。
【0071】
検出部70は、識別データを記録するモードを検出する。すなわち、検出部70は、QチャンネルのADRで識別データを再生するモードであるかを検出すことによって、識別データの記録された領域を特定する。そして、検出部70は、識別データを再生するモードを示す識別データを検出したとき、切換部71をオンとし、サブコード抽出部68より入力された識別データを復調部72に出力することができるようにする。また、検出部70は、識別データを再生するモードを示す識別データを検出することができなかったとき、識別データの記録領域でないものとして、サブコード抽出部68より入力された識別データを復調部72に入力されないように、切換部71をオフにする。
【0072】
なお、検出部70は、サブコードのR〜Wチャンネルを検出し、これがメモリに保存された固定値であるかを検出することによって識別データの記録された領域を特定するようにしてもよい。すなわち、検出部70は、上記図9(A)のときR〜Wチャンネルが〔000000〕であるか、上記図9(B)のときR〜Wチャンネルが〔000100〕であるか、上記図9(C)のときR〜Wチャンネルが〔000111〕であるかを検出する。そして、検出部70は、サブコード復調部69より入力されたR〜Wチャンネルのデータが固定値であるとき、切換部71をオンとし、サブコード抽出部68より入力された識別データを復調部72に出力することができるようにする。また、検出部70は、サブコード復調部69より入力されたR〜Wチャンネルのデータが固定値でないとき、識別データの記録領域でないものとして、サブコード抽出部68より入力された識別データを復調部72に入力されないように、切換部71をオフにする。
【0073】
識別データ復調部72は、サブコード復調部69より切換部71を介してQチャンネルのサブコードが入力される。識別データ復調部72は、上記図4に示すUDI indexに記録された記録済み時間等を参照して、UDI payloadに記録された識別データを復調し、更に、CRCを用いてエラー訂正処理を行い、出力端子74に出力する。
【0074】
次に、以上のようなデータ再生装置60のデータの読み出し動作について説明する。利用者によって再生釦が押されると、データ再生装置60は、モータ61を駆動し、ディスク装着部を構成するディスクテーブルに装着された光ディスク1を線速度一定で回転する。これと共に、光ピックアップ62は、光ビームを光ディスク1に照射する。このとき、半導体レーザは、標準的な出力で光ビームを出射するする。そして、光ピックアップ62は、サーボ制御部63によってフォーカシング及びトラッキングサーボ制御がされた状態でデータの読み出しを開始する。
【0075】
そして、このデータ再生装置60は、図17に示すように、ステップS11において、データ再生装置60は、識別データの記録領域にアクセスし、サブコードをサブコード抽出部68で抽出し、サブコード復調部69で復調する。ステップS12において、検出部70は、サブコードのQチャンネルを読み出し、少なくとも上記図4に示す記録可能領域が全て〔1〕であるかを判断する。これは、識別データが記録されていない光ディスク1は、識別データの記録のため反射膜を溶かして擬似的にピットが形成されていないことから、少なくともQチャンネルの記録可能領域が全て〔1〕となっているためである。勿論、Qチャンネルのフレーム全てが記録可能領域であるときには、Qチャンネルのサブコードが全て〔1〕であるかを判断すればよい。そして、データ再生装置60は、Qチャンネルの記録可能領域が全て〔1〕であるとき、ステップS13に進み、そうでないとき、ステップS14に進む。
【0076】
データ再生装置60は、Qチャンネルの記録可能領域が全て〔1〕であるとき、ステップS13において、切換部71をオフとし、識別データの読み出しを禁止し、光ディスク1に記録されたコンテンツデータ等の再生を禁止する。Qチャンネルの記録可能領域が全て〔1〕である光ディスク1は、識別データが記録されていない光ディスクであり、識別データの記録前に不正に頒布されたものであるからである。
【0077】
また、データ再生装置60は、Qチャンネルの記録可能領域が全て〔1〕でないとき、ステップS14において、検出部70でQチャンネルのADRで識別データの記録領域であることを検出すると、識別データを読み出す再生モードとする。次いで、ステップS15において、データ再生装置60は、識別データを読み出し、復調し、次いで、例えば光ディスク1に記録されたコンテンツデータの再生処理を許可する。
【0078】
以上のような方法によれば、Qチャンネルの記録可能領域が全て〔1〕であるかを判断するようにすることで、例えば識別データの記録前に不正に頒布された光ディスクの再生を制限することができる。また、この方法によれば、光ディスク1の保護膜や反射膜を剥がしディスク基板の凹凸のピットパターンを転写して製造したスタンパを用いて製造された不正な光ディスクの再生を制限することができる。識別データは、反射膜を溶かして擬似的にピットを形成することで記録され、凹凸のパターンではないことから、スタンパに転写されることはないからである。
【0079】
また、このデータ再生装置60は、次のようにデータの再生を制御することもできる。図18に示すように、ステップS21において、データ再生装置60は、検出部70でQチャンネルのADRで識別データの記録領域であることを検出すると、識別データを読み出す再生モードとする。ステップS22において、データ再生装置60は、検出部70でサブコードのR〜Wチャンネルを抽出し、光ディスク1より読み出したR〜Wチャンネルのサブコードが所定の固定値であるかどうかを判断する。例えば、上記図9(D)に示す0X47hと0X07hの組み合わせを用いているとき、検出部70は、R〜Wチャンネルのサブコードが〔000111〕であるかどうかを判断する。そして、データ再生装置60は、検出部70が固定値である、すなわちR〜Wチャンネルのサブコードが〔000111〕であると判断したとき、ステップS23に進み、固定値でない、すなわちR〜Wチャンネルのサブコードが〔000111〕でないと判断したとき、ステップS24に進む。
【0080】
データ再生装置60は、検出部70がR〜Wチャンネルのサブコードは固定値であると判断すると、ステップS23において、例えば現在装着されている光ディスク1は正当なディスクであるとして、切換部71をオンとし、識別データを読み出すことができるようにする。そして、サブコード復調部69より切換部71を介してQチャンネルのサブコードが入力されると、識別データ復調部72は、上記図4に示すUDI indexに記録された記録済み時間等を参照して、UDI payloadに記録された識別データを復調し、更に、CRCを用いてエラー訂正処理を行い、出力端子74に出力する。そして、データ再生装置60は、例えば光ディスク1に記録されたコンテンツデータの再生処理を開始する。
【0081】
また、データ再生装置60は、検出部70がR〜Wチャンネルのサブコードが固定値と一致しないと判断すると、ステップS24において、例えば現在装着されている光ディスク1は正当なディスクでない又は種類の異なる光ディスクとして、切換部71をオフとし、識別データの読み出しを禁止し、例えば光ディスク1に記録されたコンテンツデータの再生処理等以降の処理を禁止する。この方法によれば、不正に頒布された光ディスクや種類の異なる光ディスクの再生を制限することができる。
【0082】
以上詳述したように、本発明を適用した光ディスク1は、図1に示すサブコーディングに識別データを記録するにあたって、図10乃至図12に示すように、EFMの変換規則、すなわち最大反転間隔Tmaxが10で最小反転間隔Tminが2の条件を満たしつつ所定のビットが常にランドとなるものを選択するようにしている。したがって、光ディスク1では、常に所定のランドをピットに反転させるようにして識別データを記録することができる。また、識別データを記録する際には、識別データの記録位置が決められていることから、周期的に出力を切り換えるようにすればよく制御が簡単になる。また、この識別データは、凹凸パターンからなるピットやランドによって記録されているのではなく、反射膜を溶かし光ビームを反射しないようにしている。したがって、光ディスク1の保護膜や反射膜を剥がしディスク基板の凹凸のピットパターンを転写して製造したスタンパを用いて製造された不正な光ディスクには識別データは転写されず、これによって、不心得者により製造されたこのような光ディスクの再生を制限することができる。
【0083】
以上、本発明を適用した光ディスク1、この光ディスク1に識別データを記録するデータ記録装置40及びこの光ディスクに記録されたデータを再生する再生装置60を例に取り説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、以上の例では、データをEFM変調してデータを記録するものであったが、変調方式としては、この他に、8−16変調、8−10変調等MビットのブロックをN(M<N)ビットに変換する変調方式であれば特に限定されるものではない。また、識別データを記録するチャンネルは、Qチャンネル以外であってもよく、また、固定値も、R〜Wチャンネルのサブコードに限定されるものはない。更に、以上の例では、8ビット系列において、Qチャンネルの〔1〕を〔0〕に変換する場合を説明したが、本発明は、〔0〕を〔1〕に変換するものであってもよい。
【0084】
また、以上の例では、ピットパターンをディスク基板に形成してコンテンツデータ等を記録した再生専用の光ディスクに識別データを追記する例を説明したが、本発明を適用した光ディスクとしては、コンテンツデータ等を追記型や書換型の光ディスクに記録しておき、ここに更に識別データを反射膜を溶かして識別データを記録するようにしてもよい。
【0085】
【発明の効果】
本発明によれば、サブコードブロックの一部のビットを変化させてデータが記録される領域がランドとなるように、サブコードブロック前のブロックとを接続する接続ビットが選択されているので、常に所定のランドをピットに反転させるようにして識別データを記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した光ディスクの信号フォーマットを説明する図である。
【図2】サブコーディングフレームフォーマットを説明する図である。
【図3】サブコーディングフレームフォーマットの詳細を説明する図である。
【図4】サブコードQチャンネルのフォーマットを説明する図である。
【図5】光ディスクの製造工程を説明する図である。
【図6】スタンパを製造するマスタリング装置を説明する図である。
【図7】EFM変換テーブルを説明する図である。
【図8】図6に示したEMF変換テーブルの続きを説明する図である。
【図9】図9(A)〜図9(C)は識別データを記録する領域のサブコードを説明する図である。
【図10】EFM変換テーブルの十進法で64番目の0X40hを識別データの記録領域のサブコードに用いるときの接続ビットの選択方法を説明する図である。
【図11】EFM変換テーブルの十進法で68番目の0X44hを識別データの記録領域のサブコードに用いるときの接続ビットの選択方法を説明する図である。
【図12】EFM変換テーブルの十進法で71番目の0X47hを識別データの記録領域のサブコードに用いるときの接続ビットの選択方法を説明する図である。
【図13】識別データの記録装置を説明するブロック図である。
【図14】データ記録装置の識別データの記録動作を説明するフローチャートである。
【図15】図15(A)〜図15(D)は0X47hを0X07hにする識別データの記録例を説明する図である。
【図16】データ再生装置を説明するブロック図である。
【図17】Qチャンネルのサブコードを用いて再生制御方法を説明するフローチャートである。
【図18】R〜Wチャンネルのサブコードを用いる再生制御方法を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 光ディスク、21 マスタリング装置、40 データ記録装置、60 データ再生装置
Claims (12)
- データ記録媒体の基板に記録データに応じたピットパターンを転写するスタンパを形成するためのマスタリング装置において、
スタンパにパターンを形成するための原盤を回転駆動する駆動手段と、
原盤に記録する記録データを生成するデータ生成手段と、
上記データ生成手段により生成された記録データを、上記駆動手段により駆動されている原盤に記録する記録手段とを備え、
上記データ生成手段は、データをブロック単位で変調し、サブコードブロックの一部のビットを変化させて上記データ記録媒体を識別する識別データが記録される領域がランドとなるように、上記サブコードブロックとこのサブコードブロックの前のブロックとを接続する接続ビットを選択するマスタリング装置。 - 上記変調は、上記ブロック間に接続ビットを挿入して行うものである請求項1記載のマスタリング装置。
- 上記変調は、8−14変調である請求項2記載のマスタリング装置。
- データ記録媒体の基板に記録データに応じたピットパターンを転写するスタンパを形成するためのマスタリング方法において、
データをブロック単位で変調し、サブコードブロックの一部のビットを変化させて上記データ記録媒体を識別する識別データが記録される領域がランドとなるように、上記サブコードブロックとこのサブコードブロックの前のブロックとを接続する接続ビットを選択し、記録データを生成し、
回転駆動しているスタンパにパターンを形成するための原盤に対して、上記記録データを記録するマスタリング方法。 - 上記変調は、上記ブロック間に接続ビットを挿入して行うものである請求項4記載のマスタリング方法。
- 上記変調は、8−14変調である請求項5記載のマスタリング方法。
- データをブロック単位で変調し、サブコードブロックの一部のビットを変化させてデータ記録媒体を識別する識別データが記録される領域がランドとなるように、上記サブコードブロックとこのサブコードブロックの前のブロックとを接続する接続ビットを選択して記録データが記録されたデータ記録媒体を駆動する駆動手段と、
上記駆動手段により駆動されているデータ記録媒体のサブコードブロックの一部のビットを検出する検出手段と、
上記検出手段により検出されたサブコードブロックの一部のビットを変化させるように上記識別データを記録する記録手段とを備え、
上記記録手段は、上記ランドをピット化して上記識別データを記録するデータ記録装置。 - 上記記録手段は、上記ピット間のランドをピット化することによって上記識別データを記録する請求項7記載のデータ記録装置。
- 上記サブコードブロックの一部のビットは、〔0〕から〔1〕又は〔1〕から〔0〕に変化するものである請求項7記載のデータ記録装置。
- データをブロック単位で変調し、サブコードブロックの一部のビットを変化させてデータ記録媒体を識別する識別データが記録される領域がランドとなるように、上記サブコードブロックとこのサブコードブロックの前のブロックとを接続する接続ビットを選択して記録データが記録されたデータ記録媒体を駆動し、
駆動されているデータ記録媒体のサブコードブロックの一部のビットを検出し、上記ランドをピット化して、このサブコードブロックの一部のビットを変化させるように上記識別データを記録するデータ記録方法。 - 上記記録手段は、上記ピット間のランドをピット化することによって上記識別データを記録する請求項10記載のデータ記録方法。
- 上記サブコードブロックの一部のビットは、〔0〕から〔1〕又は〔1〕から〔0〕に変化するものである請求項10記載のデータ記録方法。
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