JP4088007B2

JP4088007B2 - 真空脱ガス装置用浸漬管

Info

Publication number: JP4088007B2
Application number: JP34261599A
Authority: JP
Inventors: 利之保木井; 浩一西; 豊康尾花
Original assignee: Krosaki Harima Corp
Current assignee: Krosaki Harima Corp
Priority date: 1999-12-01
Filing date: 1999-12-01
Publication date: 2008-05-21
Anticipated expiration: 2019-12-01
Also published as: JP2001158909A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空脱ガス装置用浸漬管の構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
ＲＨ式、ＤＨ式、ＫＴＢ式等と称される真空脱ガス装置には、真空槽と取鍋との溶鋼経路となる浸漬管が備えられている。この浸漬管の基本的構造は、例えば特開平7-34119号公報、特開平10-1713号公報のとおり、円筒芯金の両側および下端に耐火物を設けて構成される。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
浸漬管は取鍋内の溶鋼に浸漬して使用されるため、下方の耐火物が先行損耗する。また、浸漬管の耐火物は吊り下げられた状態での使用のため、構造的強度が低下すると剥落が生じる。
【０００４】
耐火物は不定形耐火物と定形耐火物とに大別される。定形耐火物は不定形耐火物に比べ高強度の組織が得られ、耐食性に優れているが、支持の困難性から、浸漬管の下方は一般に不定形耐火物が使用される。
本発明は、浸漬管の寿命を決定付ける浸漬管下方の耐用性を向上させることを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明の真空脱ガス装置用浸漬管は、上端外縁にフランジを周設し且つ少なくとも外側および下方にスタッドを突設した円筒芯金に対してその両側および下端に耐火物を設けてなる真空脱ガス装置用浸漬管において、少なくとも下方の耐火物を不定形耐火物にすると共に、この下方の不定形耐火物に粒径１０〜５０ｍｍの耐火粗大粒子を耐火骨材１００質量部に対し１０〜５０質量部添加したことを特徴とする。
【０００６】
浸漬管の下方に位置する不定形耐火物は、その支持にスタッドが不可欠である。しかし、従来構造の浸漬管は、使用時の高温を受けると耐火物組織にスタッドを起点とした亀裂が生じ、耐火物の剥落の原因となる。
【０００７】
本発明は、この下方の不定形耐火物を、耐火粗大粒子の添加で脱落を防止する。その理由は以下のとおりと考えられる。
【０００８】
不定形耐火物組織は熱膨張収縮の繰り返しでスタッドから徐々に解離するが、本発明では耐火粗大粒子が粒径の大きな粒子であることでスタッドに係止され、不定形耐火物のスタッドによる牽引支持が強固に保たれる。
【０００９】
また耐火粗大粒子は、不定形耐火物組織全体に比べて弾性率が大きく、炉操業に伴う熱衝撃を受けることで粒子内部に微細亀裂が生じる。そして、この微細亀裂による熱衝撃の吸収緩和の作用により、不定形耐火物組織の亀裂発生を抑制し、さらに不定形耐火物組織のマトリックス部に発生した亀裂の伝播進展を防止する。
【００１０】
本発明による浸漬管は、耐火粗大粒子がもつ以上の作用が相乗的に働き、浸漬管下方に位置する不定形耐火物の剥落損傷を大幅に抑制することができる。
【００１１】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。図1〜3は、浸漬管の正面断面図であり、中心線（Ａ）より左の片側のみを示した。同断面図に示す構造は、浸漬管の周方向に同一であることはいうまでもない。
【００１２】
また、浸漬管は溶鋼を環流させるために不活性ガスを噴出させるガス供給管が内蔵させることがあるが、図では省略した。
【００１３】
図1において、円筒芯金（１）は上端外縁にフランジ（２）を周設する。図には示していないが、浸漬管はこのフランジ（２）をもって、その上方に位置する環流管に取り付けて使用される。
【００１４】
同図は、円筒芯金（１）に対して両側、下端共に不定形耐火物を設けた例である。円筒芯金（１）の外側および下端にはスタッド（３）を突設し、不定形耐火物（４）を牽引支持する。
【００１５】
なお、ここでのスタッド（３）にはアンカーと称されるものも含まれる。その具体的な形状は図に示したＶ字型に限らず、Ｙ字形、Ｔ字型、ループ型等、不定形耐火物の牽引支持の効果を発揮するものであればよい。
【００１６】
内側の耐火物は、円筒芯金（1）で拘束され、しかも周方向に迫り合う。このため、円筒芯金（1）の内側には必ずしもスタッド（３）を必要としない。
【００１７】
不定形耐火物（４）の具体的な材質は、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、ムライト、マグネシア、スピネル等を主材とした流し込み施工用不定形耐火物である。結合剤にはアルミナセメント、塩基性乳酸アルミニウム、リン酸塩、ケイ酸塩等を使用する。
【００１８】
不定形耐火物（４）には、必要によってはさらに硬化促進剤、硬化遅延剤、消泡剤、有機質短繊維、金属短繊維（例えばステンレス鋼繊維）、ガラス粉、ピッチ粉、セラミック繊維、炭素繊維、発泡剤、金属アルミニウム、アルミニウム合金等を添加する。
【００１９】
耐火骨材の粒径は、通常は8ｍｍ以下である。最大でも一般には10ｍｍ未満である。この範囲内で粗粒、中粒、微粒に適宜調整する。
【００２０】
本発明では、さらに耐火粗大粒子（５）を添加する。その材質は、アルミナ、アルミナ−シリカ、ムライト、マグネシア、Al₂O₃・MgO系スピネル等である。
【００２１】
耐火粗大粒子の粒径は耐火骨材の粒径より一段と大きいことが必要である。具体的な粒径は、１０〜５０ｍｍとする。また、その添加量は耐火骨材１００質量部に対し、１０〜５０質量部とする。
【００２２】
円筒芯金は上端外縁にフランジを備えることから、このフランジが邪魔となり、浸漬管外側の不定形耐火物の施工が困難である。そこで浸漬管の施工は、図4のとおり、浸漬管を反転した状態にて円筒芯金（1）と外枠（8）との間に、矢印のとおり、その上方から不定形耐火物を投入して流し込む。
【００２３】
円筒芯金（1）には、不定形耐火物（4）を牽引支持するためにスタッド（3）が突設されている。耐火粗大粒子（5）を添加した不定形耐火物を流し込むと、耐火粗大粒子（5）がスタッド（3）に引掛かり、不定形耐火物（4）の充填度が劣り、浸漬管の側部に位置するスラグライン部の耐食性が低下する。
【００２４】
これに対し、浸漬管下方（図4では上下を逆にしているため、上方に相当する。）への不定形耐火物の流し込み施工は、開口部が広くしかもスタッド（3）が弊害になることもないので、耐火粗大粒子添加の不定形耐火物であっても高い充填率が得られる。
【００２５】
耐火粗大粒子添加の不定形耐火物をもって施工する個所は、浸漬管の高さ方向に対し、浸漬管の下端面から1／3〜1／5が好ましい。
【００２６】
円筒芯金（1）の内側は前記したように不定形耐火物を用いた場合でも、スタッドは必ずしもを必要としない。そこで、図には示していないが、円筒芯金の内側の不定形耐火物には耐火粗大粒子を添加してもよい。
【００２７】
外側上方の不定形耐火物に対しても耐火粗大粒子を添加しないことが最も好ましいが、僅かに耐火粗大粒子を添加することは差し支えない。例えば５質量部以下であれば、耐火粗大粒子がスタッドに引掛かりによる不定形耐火物の充填度の低下も殆どない。
【００２８】
図2は、円筒芯金（１）の外側のスラグライン部に定形耐火物（6a）を設けた例に適応させたものである。下方は、本発明の特徴でもある耐火粗大粒子添加の不定形耐火物をもって施工する。
【００２９】
図3は、外側上方の不定形耐火物（４）を、ステンレス鋼ファイバー等の金属ファイバー（７）添加の不定形耐火物とした例である。金属ファイバーは不定形耐火物の機械的強度を付与し、スラグラインに付着したスラグを除去する際に、不定形耐火物のハクリ損傷を防止する効果がある。
【００３０】
金属ファイバーの添加は、下方の不定形耐火物にも行なってもよい。金属ファイバーは耐食性低下の原因となるため、その添加量は耐火骨材100質量部に対し、1質量部以下の範囲が好ましい。
【００３１】
内側上方の耐火物は不定形耐火物に限らず、定形耐火物でもよい。図2および図3は、内側上方に定形耐火物（6ｂ）を使用した例である。
【００３２】
【実施例】
本発明実施例として、高さ７５０ｍｍ、内径６００ｍｍ、外径１２００ｍｍの２３０ｔＲＨ式真空脱ガス装置用浸漬管を施工した。
【００３３】
外側上方の耐火物は、主骨材（最大粒子径が8ｍｍ）アルミナとAl₂O₃・MgO系スピネル、結合剤がアルミナセメントの不定形耐火物を使用した。内側上方はアルミナークロム質焼成れんがとした。
【００３４】
前記と同じ材質の不定形耐火物に、アルミナよりなる粒径20ｍｍの耐火粗大粒子を、耐火骨材100質量部に対し30質量添加し、浸漬管の下方を流し込み施工した。耐火粗大粒子を添加したこの不定形耐火物の充填は、浸漬管の下端約200ｍｍまでとした。
【００３５】
本発明実施例の浸漬管は、下方の不定形耐火物の剥落防止に優れた効果が得られた。その結果、耐火粗大粒子を添加しない不定形耐火物を下方に設けた比較例に比べ、浸漬管全体として寿命が1.3〜1.5倍向上した。
【００３６】
【発明の効果】
本発明の浸漬管は以上のように耐用性に優れている。浸漬管の交換時には真空脱ガス装置を休止しなければならないことから、その耐用性は浸漬管の使用個数の低減のみならず、真空脱ガス装置の稼働率向上にも大きく貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明浸漬管の実施の形態を示す正面断面図であり、中心線（Ａ）より左の片側のみを示す。
【図２】本発明浸漬管の実施の形態を示す正面断面図であり、中心線（Ａ）より左の片側のみを示す。
【図３】本発明浸漬管の実施の形態を示す正面断面図であり、中心線（Ａ）より左の片側のみを示す。
【図４】本発明浸漬管の施工形態を示す模式図。
【符号の説明】
1 円筒芯金
2 フランジ
3 スタッド
4 不定形耐火物
5 耐火粗大粒子
6a、6b 定形耐火物
7 金属ファイバー
8 外枠
Ａ中心線

Claims

上端外縁にフランジを周設し且つ少なくとも外側および下方にスタッドを突設した円筒芯金に対してその両側および下端に耐火物を設けてなる真空脱ガス装置用浸漬管において、少なくとも下方の耐火物を不定形耐火物にすると共に、この下方の不定形耐火物に粒径１０〜５０ｍｍの耐火粗大粒子を耐火骨材１００質量部に対し１０〜５０質量部添加したことを特徴とする真空脱ガス装置用浸漬管。
不定形耐火物が浸漬管を反転した状態で流し込み施工された請求項１記載の真空脱ガス装置用浸漬管。