JP4087725B2 - ゴムシートの制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム押出機とカレンダロール機と搬送コンベヤとからなるゴムシート形成装置において、ゴムシートの巾及び厚さを一定に保ちながらゴムシート形成速度を変化しうるゴムシートの制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤ業界においては、リボン状の未加硫のゴムシートをタイヤ成形ドラム上で螺旋状に巻回することにより、例えばトレッドゴム、サイドウォールゴム、インナーライナゴム等のタイヤ構成部材を直接にドラム上で形成することが提案されており、そのためのゴムシート形成装置が特許文献1等に開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−246812号公報
【0004】
この装着は、図1に概念的に示すように、スクリュー式のゴム押出機2と、該ゴム押出機2から予備成形されて吐出される押出しゴムG1を、所定の巾及び厚さのゴムシートG2にカレンダするカレンダロール機3と、該カレンダロール機3からの前記ゴムシートG2を引取って下流側に搬送する搬送コンベヤ4とを具えて構成される。そして形成されたゴムシートG2は、ロール状に巻き取られることなく、アキュムレータa、貼付けコンベアb等をへてタイヤ成形ドラムcに供給される。
【0005】
しかし、このようにゴムシート形成装置をタイヤ生産ラインに直結した場合には、タイヤの生産タクト等の変更に伴い、ゴムシートG2の形成スピードを形成途中において変更させることが必要となる。
【0006】
ここで、前記形成スピードの変更は、予定した変更時間Tの間に、カレンダロール機3の送り出し速度VcをVc1からVc2に変更させるとともに、ゴム押出機2の運転速度VeをVe1からVe2に変更させることによって行われる。なお搬送コンベヤ4は、その搬送速度Vfが前記送り出し速度Vcと同一速度(Vf=Vc)であり、カレンダロール機3と同期して運転制御される。これにより、ゴムシート形成装置1を変更後の速度Ve2、Vc2で定常運転したとき、変更前の速度Ve1、Vc1で定常運転したときと同じ巾w及び厚さhを有して前記ゴムシートG2(図6(A))を安定して形成することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、変速の過渡状態においては、ゴムシートG2は、図6(B)、(C)に示すように、その巾w及び厚さhが増加(増速側に速度変更するときに生じる)したり、或いは減少(減速側に速度変更するときに生じる)するなど、寸法が著しくバラ付くという問題が発生する。
【0008】
このバラ付き原因として、従来、前記送り出し速度Vc及び運転速度Veを、夫々直線的に変化させていたことが挙げられる。即ち図7(A)に示すように、各速度Vc、Veは、増速時においてはp1→p2に又減速時においてはp3→p4に直線的に変化する。しかしながら、ゴム押出機2においては、その運転速度Veの変化と吐出されるゴム量(吐出量)の変化とが一致せず、図7(B)に示すように、運転速度Veの変化に対し、増速時にはm1のゴム量が不足し、減速時にはm2のゴム量が過剰となる。そしてこのゴム量の過不足が原因して、前記ゴムシートの寸法バラ付きを誘発している。
【0009】
そこで本発明は、カレンダロール機の送出し速度Vcを、ゴム押出機からのゴム量の変化曲線に合わせて変化させることを基本として、ゴムシートの寸法を一定に保ちながらゴムシートの形成速度を変化させうるゴムシートの制御方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、ゴム押出機と、該ゴム押出機から吐出された押出しゴムをカレンダする上下一対のカレンダロールからなるカレンダロール機と、該カレンダロール機からのゴムシートを引取って下流側に搬送する搬送コンベヤとからなるゴムシート形成装置によるゴムシートの制御方法である。
【0011】
又前記請求項1の発明は、前記カレンダロール機のゴムシートの送出し速度Vcを、第1の送出し速度Vc1から第2の送出し速度Vc2に変更時間Tの間で変更させるに際して、
前記ゴム押出機の運転速度Veを、前記第1の送出し速度Vc1に合う第1の運転速度Ve1から前記第2の送出し速度Vc1に合う第2の運転速度Ve2まで前記変更時間Tで変化させる間に、このゴム押出機から吐出される押出しゴムのゴム量が変化する変化曲線に合わせて、前記カレンダロール機の送出し速度Vcを変化させることを特徴としている。
【0012】
又請求項2の発明では、前記ゴム押出機の運転速度Veは、第1の運転速度Ve1から前記第2の運転速度Ve2まで直線的に変化させることを特徴としている。
【0013】
又請求項3の発明では、前記ゴムシートは、前記搬送コンベヤをへて巻き取られることなくタイヤ成形ドラムに搬送されることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。
図1は、本発明のゴムシートの制御方法が実施されるゴムシート形成装置を概念的に示す略図である。
【0015】
図1において、ゴムシート形成装置1(装置1という場合がある)は、前述の如く、ゴム押出機2と、該ゴム押出機2から吐出された押出しゴムG1をカレンダするカレンダロール機3と、該カレンダロール機3からのゴムシートG2を引取って下流側に搬送する搬送コンベヤ4とを具えて構成される。そして形成されたゴムシートG2は、ロール状に巻き取られることなく、アキュムレータa、貼付けコンベアb等をへてタイヤ成形ドラムcに供給される。
【0016】
前記ゴム押出機2は、ゴム材投入口を設けたシリンダ6内に、スクリュー軸7を収納した周知構造をなす。そして電動機M1により前記スクリュー軸7を駆動させることにより、投入されるゴム材を混練しながら押進し、前端の口金から予備成形されたシート状の押出しゴムG1を連続して吐出する。
【0017】
又前記カレンダロール機3は、電動機M2によって互いに同速度で駆動される上下一対のカレンダロール8、8を有し、前記押出しゴムG1を所定の巾w及び厚さhを有するゴムシートG2(図2に示す)に圧延する。なおゴムシートG2が、本例の如くトレッドゴム、サイドウォールゴム、インナーライナゴム等のタイヤ構成部材の形成のために使用される場合には、前記ゴムシートG2は、前記巾wが8〜50mmの範囲、厚さhが0.5〜2.0mmの範囲の薄い巾狭テープ状体に形成される。
【0018】
又前記搬送コンベヤ4としては、電動機M3によって駆動されるベルトコンベヤ、ローラコンベヤなどの種々のものが採用しうるが、前記特許文献1に開示される如く、前記ゴムシートG2をその一面で粘着して保持しうる非伸張性の無端テープを、周回運動可能に巻装したものが好適に採用しうる。
【0019】
そして本発明では、前記ゴムシートG2の巾w及び厚さhを一定に保ちながら、ゴムシート形成速度Vを、第1の形成速度V1から第2の形成速度V2に変更するために、以下に記載の如く制御する。
【0020】
詳しくは、図3に示すように、予定した変更時間Tの間で、
・ゴム押出機2の運転速度Veを、第1の運転速度Ve1から第2の送出し速度Ve1に;
・カレンダロール機3の送り出し速度Vcを、第1の送出し速度Vc1から第2の送出し速度Vc2に;
・搬送コンベヤ4の搬送速度Vfを、第1の搬送速度Vf1から第2の搬送速度Vf2に;
それぞれ変更させる。
【0021】
ここで、前記運転速度Veとは、前記ゴム押出機2のスクリュー軸7がなす回転速度を意味する。又送り出し速度Vcとは、カレンダロール8によるゴムシートG2の送り出し速度、即ちカレンダロール8の表面速度を意味し、又搬送速度Vfとは、コンベヤにおける搬送面の送り速度を意味する。
【0022】
なお、前記送り出し速度Vcおよび搬送速度Vfは、前記ゴムシート形成速度Vと一致し、従って、第1,第2の送り出し速度Vc1,Vc2、第1,第2の搬送速度Vf1,Vf2は、予定する第1,第2の形成速度V1,V2に基づいて、V1=Vc1=Vf1、V2=Vc2=Vf2 として設定される。
【0023】
又前記運転速度Ve1,Ve2は、前記送り出し速度Vc1,Vc2に合う速度であって、具体的には、送り出し速度をVc1,Vc2として装置1を定常運転した際、形成されるゴムシートG2の巾w及び厚さhが所定の値と一致しうる運転速度Veを意味する。この運転速度Ve1,Ve2は、例えばスクリュー径、スクリューピッチ、圧縮比、口金サイズなどのゴム押出機2の仕様が異なるごとに、前記送り出し速度Vc1,Vc2に基づいて予め設定される。
【0024】
次に、前記変速の過渡状態においては、前記ゴム押出機2の運転速度Veが、第1の運転速度Ve1から第2の運転速度Ve2まで前記変更時間Tで変化する間に、このゴム押出機2から吐出される押出しゴムG1のゴム量が変化する変化曲線K(図4に示す)に合わせて、前記カレンダロール機3の送出し速度Vcを図3に示す如く変化させる。
【0025】
なお図4は、運転速度Veを直線的に変化させた場合における、ゴム量の変化曲線Kを示し、運転速度Veの変化に対してゴム量は、増速時には不足し、又減速時には過剰となるなど、その変化曲線Kは非線形なものとなる。
【0026】
従って、前記カレンダロール機3の送出し速度Vcを、前記変化曲線Kに合わせて変化させることにより、ゴム量の過不足が吸収され、変速の過渡状態においても、ゴムシートG2の巾w及び厚さhを一定に保つことが可能となる。
【0027】
ここで、前記制御方法を実施する際、変速の過渡状態においてゴム押出機2からのゴム量を随時計測し、その結果をフィードバックさせてカレンダロール機3及び搬送コンベヤ4をモータ制御することは、ゴム量を計測しながらカレンダを行う点で技術的に難しい。従って、ゴム押出機2の運転速度Veを直線的に変化させたときのゴム量の変化を、組成が異なる種々のゴム材に対して、及び種々の運転速度Ve1、Ve2に対して、重量計などを用いて予め測定し、その測定結果を基に、制御手段20を用いてモータ制御することが好ましい。具体的には、前記制御手段20として、図5に示すように、
・前記測定結果を記憶させるデータ記憶部21と、
・ゴムシート形成速度Vを変化させる際の変更時間T、および変更後の形成速度V2を含む変更条件を入力する入力部22と、
・データ記憶部21内の記憶データを解析し、前記変更条件に適するゴム量の変化曲線Kを導き出す演算部23と、
・導き出された変化曲線K、及び前記変更条件に応じて、各電動機M1〜M3の回転速度を制御するモータ制御部24と
を具えて構成するのが、制御を簡便に行う上で好ましい。
【0028】
なお図8に、ゴムシートG2を用いて形成された空気入りタイヤ30の一例を示す。本例では、タイヤ構成部材のうちインナーライナゴムGa、サイドウォールゴムGb、クリンチゴムGc、クッションゴムGd、トレッドゴムGeを、ゴム組成及び/又はサイズが異なる種々のゴムシートG2を用いて形成したものを例示しているが、何れか一つのタイヤ構成部材を前記ゴムシートG2で形成することもできる。
【0029】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0030】
【発明の効果】
叙上の如く本発明は、カレンダロール機の送出し速度を、ゴム押出機から吐出されるゴム量の変化曲線に合わせて変化させているため、ゴムシートの巾及び厚さを一定に保ちながらゴムシートの形成速度を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のゴムシートの制御方法が実施されるゴムシート形成装置を概念的に示す略図である。
【図2】ゴムシートの断面形状を示す断面図である。
【図3】運転速度、送出し速度、および搬送速度の変化を示す線図である。
【図4】ゴム押出機から吐出されるゴム量の変化曲線を示す線図である。
【図5】制御手段を略示する線図である。
【図6】(A)〜(C)は、形成されるゴムシートの寸法バラ付きを説明する斜視図である。
【図7】(A)、(B)は、ゴムシートの寸法バラ付き原因を説明する線図である。
【図8】ゴムシートを用いて形成された空気入りタイヤを示す断面図である。
【符号の説明】
1 ゴムシート形成装置
2 ゴム押出機
3 カレンダロール機
4 搬送コンベヤ
8 カレンダロール
G1 押出しゴム
G2 ゴムシート

Claims (3)

  1. ゴム押出機と、
    該ゴム押出機から吐出された押出しゴムをカレンダする上下一対のカレンダロールからなるカレンダロール機と、
    該カレンダロール機からのゴムシートを引取って下流側に搬送する搬送コンベヤとからなるゴムシート形成装置によるゴムシートの制御方法であって、
    前記カレンダロール機のゴムシートの送出し速度Vcを、第1の送出し速度Vc1から第2の送出し速度Vc2に変更時間Tの間で変更させるに際して、
    前記ゴム押出機の運転速度Veを、前記第1の送出し速度Vc1に合う第1の運転速度Ve1から前記第2の送出し速度Vc1に合う第2の運転速度Ve2まで前記変更時間Tで変化させる間に、このゴム押出機から吐出される押出しゴムのゴム量が変化する変化曲線に合わせて、前記カレンダロール機の送出し速度Vcを変化させることを特徴とするゴムシートの形成制御方法。
  2. 前記ゴム押出機の運転速度Veは、第1の運転速度Ve1から前記第2の運転速度Ve2まで直線的に変化させることを特徴とする請求項1記載のゴムシートの形成制御方法。
  3. 前記ゴムシートは、前記搬送コンベヤをへて巻き取られることなくタイヤ成形ドラムに搬送されることを特徴とする請求項1又は2記載のゴムシートの制御方法。
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