JP4087225B2 - 火薬、爆薬類の処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、火薬、爆薬類の処理方法に係り、特に、公害を発生させず、安全に実施することができる火薬、爆薬類の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、火薬、もしくは爆薬類の一種である推進薬や発射薬等を廃棄処分する際は、前記推進薬及び前記発射薬(以下、廃推進薬と表記する。)を海中に投棄処分する処理方法が実施されてきたが、近年の海上汚染の問題が深刻化するに伴い、陸上における爆発・焼却処分等の処理方法が実施されており、特に、廃推進薬を含む無煙火薬全般は、焼却処分等の処理方法が実施されている。ところが、廃推進薬は分解されていない状態で処理されるために、燃焼時に騒音や臭気、又は振動が発生したり、廃推進薬を焼却処分する際には、煤塵、窒素酸化物、又はダイオキシン類が発生して大気汚染を引き起こしたりする場合があった。
上記の問題を解決する方法として、火薬、爆薬類を、反応促進剤として珪酸アルカリ塩を添加したアルカリ溶液中で、該溶液の臨界温度以下の温度に加熱して加水分解する方法等が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−59383号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の処理方法においては、溶液中に含まれる火薬、爆薬類は、如何なる前処理も行っておらず、廃棄処分となる火薬、爆薬類をそのまま溶液に混合させ、該溶液に加水分解を発生させるものであって、火薬、爆薬類を混合前に細粒化させる必要があり、また、加水分解処理を必ず実施しなければならなかった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、公害を発生させることなく、安全に、かつ、効率良く実施することができる火薬、爆薬類の処理方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、火薬、爆薬類に湿式酸化処理を施し、前記火薬、爆薬類を分解する火薬、爆薬類の処理方法において、前記火薬、爆薬類に有機溶媒を含浸させてペースト状物質を生成し、前記ペースト状物質に液体を混合してスラリー或いは溶液を形成し、前記スラリー或いは溶液に含有する火薬、爆薬類を湿式酸化処理することを特徴としている。
この火薬、爆薬類の処理方法によれば、まず、火薬、爆薬類に有機溶媒が含浸されてペースト状物質が生成された後、ペースト状物質に液体を混合してスラリー或いは溶液が形成され、その後、該スラリー或いは溶液に含有する火薬、爆薬類に湿式酸化処理が施される。
なお、上記に示した、ペースト状物質の生成時と、スラリー或いは溶液の形成時とのいずれか一方、若しくは両方において、火薬、爆薬類の燃焼温度以下の温度で加熱することにより、それぞれの生成速度を速めることができる。
【0007】
請求項2に記載した発明は、前記スラリー或いは溶液を湿式酸化処理する前に、前記スラリー或いは溶液に水熱反応を発生させ、前記火薬、爆薬類を加水分解させることを特徴としている。
この火薬、爆薬類の処理方法によれば、スラリー或いは溶液を湿式酸化処理する前に、スラリー或いは溶液には水熱反応が発生され、火薬、爆薬類が加水分解される。この場合、前記水熱反応は、亜臨界温度、若しくは亜臨界以下の温度で実施される水熱反応を示している。
【0008】
請求項3に記載した発明は、火薬、爆薬類を含有する溶液に水熱反応を発生させ、前記火薬、爆薬類を加水分解する火薬、爆薬類の処理方法において、前記火薬、爆薬類に有機溶媒を含浸させてペースト状物質を生成し、前記ペースト状物質に液体を混合してスラリー或いは溶液を形成し、前記スラリー或いは溶液に水熱反応を発生させ、前記火薬、爆薬類を加水分解させることを特徴としている。この火薬、爆薬類の処理方法によれば、まず火薬、爆薬類に有機溶媒が含浸されてペースト状物質が生成された後、ペースト状物質に液体を混合してスラリー或いは溶液が形成され、その後、スラリー或いは溶液に含有する火薬、爆薬類に水熱反応が施される。この場合、前記水熱反応は、亜臨界温度、若しくは亜臨界以下の温度で実施される水熱反応を示している。
なお、上記に示した、ペースト状物質の生成時と、スラリー或いは溶液の形成時とのいずれか一方、若しくは両方において、火薬、爆薬類の燃焼温度以下の温度で加熱することにより、それぞれの生成速度を速めることができる。
【0009】
請求項4に記載した発明は、前記液体は、アルカリ性の水溶液であり、前記スラリー或いは前記溶液は、アルカリ溶液であることを特徴としている。
この火薬、爆薬類の処理方法によれば、液体は、アルカリ性の水溶液であって、かつ、スラリー或いは溶液がアルカリ溶液とされる。
【0010】
請求項5に記載した発明は、前記アルカリ溶液の酸化還元電位は、低電位に調整されていることを特徴としている。
この火薬、爆薬類の処理方法によれば、アルカリ溶液の酸化還元電位は、低電位に調整される。
【0011】
請求項6に記載した発明は、前記ペースト状物質を生成する前に、前記火薬、爆薬類を粗破砕することを特徴としている。
この火薬、爆薬類の処理方法によれば、ペースト状物質を生成する前に、火薬、爆薬類は、所望の形状に粗破砕される。
【0012】
請求項7に記載した発明は、前記火薬、爆薬類は、無煙火薬であることを特徴としている。
この火薬、爆薬類の処理方法によれば、前記火薬、爆薬類として、無煙火薬が採用される。
上記の無煙火薬とは、シングルベース、ダブルベース、又はトリプルベース等の推進薬や発射薬類を意味する。本発明は、無煙火薬の構成成分の種類や構成数を限定するものではない。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の火薬、爆薬類の処理方法について詳しく説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
本発明において対象とする火薬、爆薬類には、無煙火薬、黒色火薬、又は過塩素酸塩等を主成分とする火薬類、及びニトロ化合物、ニトロアミン化合物、硝酸エステル化合物、硝酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩等を主成分とする爆薬類、あるいは前記化合物の混合物等が挙げられるが、特に、以下の実施形態においては、廃推進薬として、ニトロベンゼンとニトロセルロースとから構成されるダブルベース推進薬を用いて説明する。
【0015】
まず、火薬、爆薬類である廃推進薬に有機溶媒を含浸させてペースト状物質を生成する。通常、火薬、爆薬類は、該火薬、爆薬等の原料成分に加えて、ゴムや樹脂等の成形材を含む固形物として構成されているので、必要に応じて、固形物の細分化を行う。固形物の細分化は、低温破砕、或いは、ミルやウォータージェット等による破砕等の破砕方法により実施される。破砕によって約2mm程度の粒径にまで細分化された粗破砕物は、有機溶媒に含浸され、更に混練することによりペースト状物質が生成される。有機溶媒としては、アセトンやアルコール類が好適に用いられる。また、粗破砕物を有機溶媒に含浸させる時間は、廃推進薬の種類や量に依存し、数十分〜数時間である。なお、本実施形態では、約10分程度とした。また、有機溶媒に含浸する時間を短縮するために、火薬、爆薬類の発火発火温度以下で加熱することも可能である。
【0016】
次に、ペースト状物質に液体を混合してスラリー又は溶液(以下、スラリーとして説明する。)を形成する。混合する液体としては、アルカリ溶液が採用され、本実施形態では、水酸化ナトリウム溶液を用いて説明する。アルカリ溶液としては、特に水に溶解し易いものが選択され、水酸化ナトリウム以外に、例えば、水酸化カリウムやリン酸ナトリウム等の水溶性アルカリ塩なども選択可能である。また、アルカリ溶液の濃度を0.1%以上で適宜調整して、酸化還元電位は、予め低電位に調整される。また、スラリーの形成を速めるために、火薬、爆薬類の発火温度以下で加熱することも可能である。
【0017】
このように、ペースト状物質にアルカリ溶液を混合してスラリーを形成することにより、該スラリーに含有する火薬、爆薬類は、粒子が細かいので、短時間で成分を非火薬化することが可能となる。更に、酸化還元電位が予め低電位に調整されるので、更に効率良く非火薬化を行うことが可能となる。これにより、後述するが、スラリーに湿式酸化処理を施す際に、安全に湿式酸化処理を実施することができる。また、ペースト状物質は、廃推進薬を有機溶媒に含浸させて得られるので、有機溶媒の量は、含浸させるに必要な量で十分であり、廃推進薬を有機溶媒によって完全に溶解させる場合と比較して少量でよく、有機溶媒の使用量を削減することができる。更に、以下に示す湿式触媒酸化処理を行う前に、有機溶媒を回収し、再使用することも可能である。
【0018】
次に、スラリーに対して湿式触媒酸化処理(湿式酸化処理)を実施した。湿式触媒酸化の条件としては、上記の生成されたスラリーに対して、180〜200℃の温度条件で、10〜60分間加熱を行った。触媒は、チタンや、粒状もしくはペレット状のチタニア、及びアルミナに、ルテニウム、パラジウム等の貴金属を担持したもの、さらに、白金、ゼオライト、火山灰等を用いることができるが、本実施形態では、チタニア系の触媒を採用した。
【0019】
ここで、スラリーに対する湿式触媒酸化の処理前と処理後において、有機物含有量の指標であるCOD(化学的酸素要求量)値を比較した。湿式触媒酸化処理前のクロムのCOD値は、約6000ppmであるのに対して、処理後のCOD値は、約100ppmであった。また、湿式触媒酸化処理前のマンガンのCOD値は、約2400ppmであるのに対して、処理後のCOD値は、約30ppmであった。
【0020】
従って、湿式触媒酸化処理を実施することによって、有機物が減少しているので、廃推進薬の性質を低減させることがわかる。即ち、廃推進薬に有機溶媒を含浸させてペースト状物質を形成し、該ペースト状物質にアルカリ溶液を混合させてスラリーを形成させることによる廃推進薬の非火薬化と、湿式酸化処理による廃推進薬の非火薬化とを組み合わせることによって、水熱反応による加水分解処理を施すことなく、廃推進薬を効率よく安全に分解することが可能となる。
【0021】
なお、上記の湿式触媒酸化処理の負荷を軽減させるために、湿式触媒酸化処理の前処理として、更に、水熱反応による加水分解処理を施すこともあり得る。即ち、廃推進薬の種類や処理量によっては、廃推進薬のスラリー化と湿式触媒酸化処理とだけでは、非火薬化が可能であるものの、効率が悪く、分解処理時間が長時間となる場合があるので、適宜、補助的に水熱反応による加水分解処理を行うこともできる。この場合、前記加水分解処理前に、廃推進薬に、該廃推進薬の熱分解温度より低い温度で熱分解処理する第1の処理工程を施し、第1の処理工程後に、さらに、水熱反応を発生させて加水分解する第2の処理工程を実施してもよい。
【0022】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態においては、第1の実施形態では、スラリー形成後に、該スラリーに湿式酸化処理を施したのに対して、スラリーの形成と同一の方法にて、廃推進薬を含有したアルカリ性の溶液を形成し、該溶液に対して水熱反応による加水分解処理(水熱処理)を施すことを特徴としている。
【0023】
まず、第1の実施形態と同様に、廃推進薬を破砕して粗破砕物を形成したのち、該粗破砕物に有機溶媒を含浸させてペースト状物質を形成し、該ペースト状物質にアルカリ溶液を混合させて廃推進薬の溶液を形成した。その後、該廃推進薬溶液に対して水熱処理を実施した。
【0024】
図1に、廃推進薬の水熱処理時におけるSS(浮遊物質)分の生成特性を示す。水熱処理の条件としては、吸収液として、規定度が1/10の水酸化ナトリウム水溶液20mlを使用し、ダブルベース推進薬0.4gにアセトンを含浸させて形成されたペースト状物質に前記吸収液を混合させた溶液を生成した。また、気相部は、アルゴンガスとした。本条件の上で、150℃、200℃、250℃、及び300℃の4段階の温度条件で、30分間加熱を行った。
【0025】
図1より、加熱温度が高くなるにしたがって、有機性であるSS分の生成率が低くなることがわかる。特に、加熱温度が250℃では、SS分の生成率は、1%よりも低い値となる。即ち、加熱温度を250℃とすることによって、水熱処理の所要時間が30分で99%以上の分解率が得られる。若干残留するSS分は、炭化物であり、すでに推進薬としての性質が消滅しているので、爆発の危険性がなくなっている。
【0026】
図2に、廃推進薬の水熱処理時におけるSS分の生成特性を示す。水熱処理の条件としては、ほぼ図1に示すSS分の生成特性と同様であるが、図2においては、150℃、200℃、250℃、及び300℃の4段階の温度条件で、60分間加熱を行った。
【0027】
図2より、図1と同様に、加熱温度が高くなるにしたがって、有機性であるSS分の生成率が低くなることがわかる。特に、加熱温度が200℃では、SS分の生成率は、1%よりも低い値となる。即ち、加熱温度を200℃とすることによって、水熱処理の所要時間が60分で99%以上の分解率が得られる。若干残留するSS分は、炭化物であり、すでに推進薬としての性質が消滅しているので、爆発の危険性がなくなっている。
【0028】
図1及び図2より、廃推進薬の溶液形成時に、廃推進薬の非火薬化がなされ、更に、処理温度が150〜300℃の範囲で、かつ、処理時間が30〜60分の条件によって水熱処理を行うことで、廃推進薬の性質を消滅させることが可能となる。
【0029】
図3に、廃推進薬の水熱処理時における酸化還元電位を示す。水熱処理の条件としては、図1と同様であり、本条件の上で、150℃、200℃、250℃、及び300℃の4段階の温度条件で、30分間加熱を行った。図中A点は、水熱処理前の酸化還元電位を示す。
【0030】
図3より、図中A点においては、水熱処理前であるため酸化還元電位が低い状態であり、還元性を示しているが、水熱処理を実施すると、酸化還元電位が上昇することがわかる。しかしながら、加熱温度を高く設定すると、酸化還元電位は低くなり、アルカリ溶液は、還元性を示す。即ち、廃推進薬は、より効率良く分解され、アルカリ溶液中に溶失されていることを示している。
【0031】
図4に、廃推進薬の水熱処理時における酸化還元電位を示す。水熱処理の条件としては、図2と同様であり、本条件の上で、150℃、200℃、250℃、及び300℃の4段階の温度条件で、60分間加熱を行った。図中B点は、水熱処理前の酸化還元電位を示す。
【0032】
図4より、図中B点においては、水熱処理前であるため酸化還元電位が低い状態であり、還元性を示しているが、水熱処理を実施すると、酸化還元電位が上昇することがわかる。また、図3と同様に、加熱温度を高く設定すると、酸化還元電位は低くなり、アルカリ溶液は、還元性を示す。即ち、廃推進薬は、より効率良く分解され、アルカリ溶液中に溶失されていることを示している。
【0033】
図3及び図4より、処理温度が150〜300℃の範囲で、かつ、処理時間が30〜60分の条件での廃推進薬の水熱処理において、加熱温度を高めに設定することで、加水分解を効率良く行うことが可能となる。また、水熱処理前の酸化還元電位を考慮すると、アルカリ溶液の濃度を0.1%以上で適宜調整して、酸化還元電位を予め低電位に調整することで、さらに効率良く加水分解を行うことが可能となる。
【0034】
なお、上記実施形態においては、廃推進薬に加水分解処理のみを実施したのに対して、加水分解処理前に、廃推進薬に、該廃推進薬の熱分解温度より低い温度で熱分解処理する第1の処理工程を施し、第1の処理工程後に、さらに、亜臨界の水熱反応を発生させて加水分解処理する第2の処理工程を実施してもよい。
【0035】
例えば、図5に、廃推進薬の分解処理時間に対する、処理温度と圧力の推移を示す。分解処理の条件としては、吸収液として、規定度が1/10の水酸化ナトリウム水溶液20mlを使用し、ダブルベース推進薬2.0gにアセトンを含浸させて形成されたペースト状物質に前記吸収液を混合させた溶液を生成した。本条件の上で、まず、廃推進薬の熱分解を実施した。昇温速度を5分とし、150、160、170、180、及び190℃の5段階の温度条件で、30分間加熱を行った。熱分解後、連続して亜臨界温度230℃まで昇温させて加水分解を実施した。
【0036】
図5より、圧力値は、温度が熱分解処理の設定温度まで昇温させるに伴い、緩やかに上昇する。処理時間が25分間を超えると、温度と共に圧力値も安定し、更に、熱分解処理後、加水分解処理の設定温度まで昇温させるに伴い、圧力値は、緩やかに上昇し、安定化に入る。このように、圧力値の変動傾向は、熱分解処理時の温度設定範囲が150℃から190℃の間で一定である。したがって、通常、廃推進薬の処理の際に懸念される、急激な圧力上昇が抑えられており、廃推進薬の溶液形成時に、廃推進薬の非火薬化がなされるのに加えて、安全に廃推進薬の処理を実施することが可能となる。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更も加え得ることは勿論である。
【0038】
例えば、上記実施形態においては、廃推進薬として、ニトロベンゼンとニトロセルロースとから構成されるダブルベース推進薬を採用したが、有機溶剤に含浸することが可能なコンポジット推進薬等を採用しても、上記の実施形態と同様の作用・効果を奏する。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載した発明によれば、火薬、爆薬類に有機溶媒が含浸されてペースト状物質が生成された後、ペースト状物質に液体を混合してスラリー或いは溶液が形成され、その後、スラリー或いは溶液に含有する火薬、爆薬類に湿式酸化処理が施されるので、公害を発生させることなく、安全に火薬、爆薬類の処理を実施することが可能となる。
【0040】
請求項2に記載した発明によれば、スラリー或いは溶液を湿式酸化処理する前に、スラリー或いは溶液には水熱反応が発生され、火薬、爆薬類が加水分解されるので、公害を発生させることなく、安全に、かつ、確実に火薬、爆薬類の処理を実施することが可能となる。
【0041】
請求項3に記載した発明によれば、火薬、爆薬類に有機溶媒が含浸されてペースト状物質が生成された後、ペースト状物質に液体を混合してスラリー或いは溶液が形成され、その後、スラリー或いは溶液に含有する火薬、爆薬類に水熱処理が施されるので、公害を発生させることなく、安全に火薬、爆薬類の処理を実施することが可能となる。
【0042】
請求項4に記載した発明によれば、液体は、アルカリ性の水溶液であって、かつ、スラリー或いは溶液は、アルカリ溶液であるので、公害を発生させることなく、安全に火薬、爆薬類の処理を実施することが可能となる。
【0043】
請求項5に記載した発明によれば、アルカリ溶液の酸化還元電位は、低電位に調整されるので、効率良く非火薬化を行うことが可能となる。
【0044】
請求項6に記載した発明によれば、ペースト状物質を生成する前に、火薬、爆薬類は、粗破砕されるので、効率良く非火薬化を行うことが可能となる。
【0045】
請求項7に記載した発明によれば、前記火薬、爆薬類として、無煙火薬が採用されるので、廃棄処分を行う火薬、爆薬類として、特に、ダブルベース推進薬を、公害を発生させることなく、安全に処理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の火薬、爆薬類の処理方法の第2の実施形態における、廃推進薬の水熱処理時における加熱温度とSS分の生成特性(加熱時間30分)との関係図である。
【図2】 本発明の火薬、爆薬類の処理方法の第2の実施形態における、廃推進薬の水熱処理時における加熱温度とSS分の生成特性(加熱時間60分)との関係図である。
【図3】 本発明の火薬、爆薬類の処理方法の第2の実施形態における、廃推進薬の水熱処理時における加熱温度と酸化還元電位(加熱時間30分)との関係図である。
【図4】 本発明の火薬、爆薬類の処理方法の第2の実施形態における、廃推進薬の水熱処理時における加熱温度と酸化還元電位(加熱時間60分)との関係図である。
【図5】 本発明の火薬、爆薬類の処理方法の第2の他の実施形態における、廃推進薬の熱分解及び加水分解処理時における処理時間と、加熱温度及び圧力との関係図である。
Claims (7)
- 火薬、爆薬類に湿式酸化処理を施し、前記火薬、爆薬類を分解する火薬、爆薬類の処理方法において、
前記火薬、爆薬類に有機溶媒を含浸させてペースト状物質を生成し、
前記ペースト状物質に液体を混合してスラリー或いは溶液を形成し、
前記スラリー或いは溶液に含有する火薬、爆薬類を湿式酸化処理することを特徴とする火薬、爆薬類の処理方法。 - 前記スラリー或いは溶液を湿式酸化処理する前に、前記スラリー或いは溶液に水熱反応を発生させ、前記火薬、爆薬類を加水分解させることを特徴とする請求項1記載の火薬、爆薬類の処理方法。
- 火薬、爆薬類を含有する溶液に水熱反応を発生させ、前記火薬、爆薬類を加水分解する火薬、爆薬類の処理方法において、
前記火薬、爆薬類に有機溶媒を含浸させてペースト状物質を生成し、
前記ペースト状物質に液体を混合してスラリー或いは溶液を形成し、
前記スラリー或いは溶液に水熱反応を発生させ、前記火薬、爆薬類を加水分解させることを特徴とする火薬、爆薬類の処理方法。 - 前記液体は、アルカリ性の水溶液であり、
前記スラリー或いは溶液は、アルカリ溶液であることを特徴とする請求項1又は3に記載の火薬、爆薬類の処理方法。 - 前記アルカリ溶液の酸化還元電位は、低電位に調整されていることを特徴とする請求項4記載の火薬、爆薬類の処理方法。
- 前記ペースト状物質を生成する前に、前記火薬、爆薬類を粗破砕することを特徴とする請求項1又は3に記載の火薬、爆薬類の処理方法。
- 前記火薬、爆薬類は、無煙火薬であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の火薬、爆薬類の処理方法。
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