JP4086506B2 - プリフォームの加圧鋳造方法、プリフォームの加圧鋳造装置 - Google Patents

プリフォームの加圧鋳造方法、プリフォームの加圧鋳造装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアルミニウムやマグネシウム等の溶湯を加圧して多孔質の板状のプリフォームに含浸させることにより複合材料を形成するプリフォームの加圧鋳造方法、プリフォームの加圧鋳造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミックス粒子等を結合させて形成された多孔質予備成形体であるプリフォームを用い、アルミニウムやマグネシウム等の溶湯を加圧してプリフォームに含浸させることにより複合材料を形成するプリフォームの加圧鋳造技術が知られている。この技術によれば、プリフォームが配置された成形キャビティをもつ成形型と、成形型の成形キャビティにこれの下方から連通する供給管体とを用意する。この状態で、溶湯供給手段から供給管体を経て成形型の成形キャビティ内にプリフォームの下面側から溶湯を注湯する注湯工程を行う。その後、成形型の成形キャビティ内に注湯された溶湯を加圧手段で加圧することにより、成形キャビティ内の溶湯をプリフォームの内部に含浸させる含浸工程を行う。これによれば、溶湯が凝固すれば、複合材料を形成することができる。
【0003】
また関連技術として、特公昭60−6745号公報には、成形キャビティをもつ成形型の下方に溶湯保持容器を設ける共に、成形型の成形キャビティと溶湯保持容器の溶湯保持室とをストークで連通した装置を用いる低圧鋳造法が開示されている。この技術によれば、溶湯保持室内を減圧することにより、ストークの通路を介して成形型の成形キャビティ内を減圧する。その後、溶湯保持容器の溶湯保持室に貯留されている溶湯をストークを介して成形型の成形キャビティに充填する。
【0004】
更に関連技術として、特開平2−175058号公報には、成形型の下方に溶湯保持容器を設けて、成形型の成形キャビティと溶湯保持容器の溶湯保持室とを給湯管で連通すると共に、給湯管に収容した溶湯を加圧して成形キャビティに押し込むピストンを設けた加圧鋳造装置が開示されている。この技術によれば、溶湯保持容器に保持されている溶湯を給湯管に収容した状態で、ピストンを作動させてピストンで給湯管内の溶湯を加圧して成形型の成形キャビティに押し込むことにしている。但し上記した関連技術に係る公報技術(特公昭60−6745号公報、特開平2−175058号公報)は、成形型の成形キャビティ内に溶湯を注湯して凝固させて鋳造品を形成するものであり、プリフォームに溶湯を含浸させて複合材料を形成するものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、溶湯を加圧してプリフォームに含浸させる方式を採用している上記技術によれば、注湯の際に、成形型の成形キャビティ内に注湯された溶湯に基づく浮力により、プリフォームが成形キャビティ内で浮き上がることがある。プリフォームの浮き上がりが過剰であれば、プリフォームの位置が正規の位置から過剰にずれ、良好なる複合材料を得ることができないおそれがある。
【0006】
また注湯の際に成形キャビティの底側から高温の溶湯が供給されるため、プリフォームの下面側が上面側よりも昇温する度合が大きい。このため注湯の際に、熱変形によりプリフォームに割れが発生するおそれがある。
【0007】
このようにプリフォームに溶湯を含浸させる加圧鋳造技術によれば、注湯工程におけるプリフォームの浮き上がり、熱変形によるプリフォームの割れの不具合がある。上記した公報技術を適用したとしても、プリフォームの浮き上がり、プリフォームの割れといった不具合を抑えるには、充分ではない。
【0008】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、注湯工程におけるプリフォームの過剰浮き上がり、熱変形によるプリフォームの割れを抑制することができるプリフォームの加圧鋳造方法、プリフォームの加圧鋳造装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明に係るプリフォームの加圧鋳造方法は、多数の空孔を備えたリング形状をなす多孔質の板状のプリフォームを配置した成形キャビティをもつ成形型と前記成形型のうち前記成形キャビティにこれの下方から連通する供給管体とを用い、溶湯供給手段から前記供給管体を経て前記成形型の前記成形キャビティに前記プリフォームの下面側から溶湯を注湯する注湯工程と、前記成形型の前記成形キャビティ内に注湯された溶湯を加圧手段で加圧することにより、前記成形キャビティ内の溶湯を前記プリフォームの内部に含浸させる含浸工程とを実施するプリフォームの加圧鋳造方法であって、
前記注湯工程において、高さ方向に沿って延設された仕切壁と前記供給管体に連通すると共に前記仕切壁の厚み方向に沿って溶湯を流出可能な給湯通路とをもつ縦筒形状の流量制御部材を前記成形型の前記成形キャビティに配置し、これにより前記流量制御部材を前記プリフォームの中央孔に配置して前記流量制御部材の外側に前記プリフォームを配置し、前記流量制御部材の前記給湯通路内の溶湯の湯面高さを前記成形キャビティ内の溶湯の湯面高さよりも高く維持しつつ、前記流量制御部材の前記給湯通路内の溶湯を前記仕切壁の厚み方向に沿って流出させて前記プリフォームの上面側に溶湯を供給することにより、前記プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を注湯し、注湯後の前記含浸工程において、前記流量制御部材を前記プリフォームから移動させるように前記成形型の前記成形キャビティから退避させることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係るプリフォームの加圧鋳造方法によれば、溶湯供給手段から供給管体を経て成形型の成形キャビティにプリフォームの下面側から溶湯を注湯する注湯工程と、成形型の成形キャビティ内に注湯された溶湯を加圧手段で加圧することにより、成形キャビティ内の溶湯をプリフォームの内部に含浸させる含浸工程とを実施する。従ってプリフォームに含浸した溶湯が凝固すれば、複合材料が形成される。
【0011】
本発明に係るプリフォームの加圧鋳造方法によれば、注湯工程において、高さ方向に沿って延設された仕切壁と供給管体に連通する給湯通路とをもつ縦筒形状の流量制御部材を、成形型の成形キャビティに配置する。そして、流量制御部材の給湯通路内の溶湯の湯面高さを成形キャビティ内の溶湯の湯面高さよりも高く維持しつつ、給湯通路内の溶湯を流量制御部材の仕切壁の厚み方向に沿って流出させてプリフォームの上面側に溶湯を注湯することにより、プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を注湯する。
【0012】
このようにプリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯が注湯されるため、注湯工程におけるプリフォームの過剰浮き上がりが抑制される。プリフォームの上面側に供給された溶湯がプリフォームを押さえる方向に作用するためである。更にプリフォームの下面側及び上面側が共に同程度に昇温するため、プリフォームの下面側及び上面側の温度ムラを低減でき、プリフォームの均熱化を図り得、プリフォームの割れが抑制される。
【0013】
(2)本発明に係るプリフォームの加圧鋳造装置は、上記した多孔質のプリフォームの加圧鋳造方法の実施に使用されるものであり、多数の空孔を備えたリング形状をなす多孔質の板状のプリフォームを配置可能な成形キャビティをもつ成形型を保持する成形型保持部と、前記成形型保持部に保持された前記成形型の前記成形キャビティにこれの下方から連通する供給管体と、前記成形型の下方に設けられ前記成形型の前記成形キャビティに前記プリフォームの下側から前記供給管体を経て溶湯を供給するための溶湯供給手段と、前記成形キャビティ内に供給された溶湯を加圧することにより溶湯を前記プリフォームの内部に含浸させる加圧手段とを具備するプリフォームの加圧鋳造装置であって、
高さ方向に沿って延設された仕切壁と前記供給管体に連通すると共に前記仕切壁の厚み方向に沿って溶湯を流出可能な給湯通路とをもち、外側に前記プリフォームが配置されるように前記プリフォームの中央孔に配置され、前記給湯通路内の溶湯の湯面高さを前記成形キャビティ内の溶湯の湯面高さよりも高く維持すると共に前記プリフォームの中央孔から退避可能な縦筒形状の流量制御部材を具備し、
前記流量制御部材の前記給湯通路内の溶湯を前記仕切壁の厚み方向に沿って流出させて前記プリフォームの上面側に溶湯を供給することにより、前記プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を注湯するようにし、注湯後、前記流量制御部材を前記プリフォームから移動させるように前記成形型の前記成形キャビティから退避させることを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係るプリフォームの加圧鋳造装置によれば、高さ方向に沿って延設された仕切壁と供給管体に連通すると共に前記仕切壁の厚み方向に沿って溶湯を流出可能な給湯通路とをもつ縦筒形状の流量制御部材が用いられる。この流量制御部材は成形型の成形キャビティに配置されている。そして注湯工程において、流量制御部材の給湯通路内の溶湯の湯面高さを成形キャビティ内の溶湯の湯面高さよりも高く維持しつつ、給湯通路内の溶湯を仕切壁の厚み方向に沿って流出させて板状のプリフォームの上面側に溶湯を注湯することができる。これによりプリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を注湯することができる。
【0015】
このように本発明に係るプリフォームの加圧鋳造装置によれば、板状のプリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯が注湯されるため、注湯工程におけるプリフォームの過剰浮き上がりが抑制される。プリフォームの上面側に供給された溶湯がプリフォームを押さえる方向に作用するためである。更にプリフォームの下面側及び上面側が共に同程度に昇温するため、プリフォームの下面側及び上面側の昇温ムラを低減でき、プリフォームの均熱化を図り得、プリフォームの割れが抑制される。
【0016】
【実施の形態】
本発明に係るプリフォームの加圧鋳造方法、加圧鋳造装置によれば、次の形態を採用することができる。
【0017】
板状のプリフォームは溶湯が含浸する多数の空孔を備えた多孔質の予備成形体であり、粒子及び繊維の少なくとも1種の集合体で形成できる。粒子や繊維を結合させるバインダを必要に応じて用いることができる。バインダとしては、シリカ系等の無機系及び/または樹脂等の有機系を例示できるが、バインダを含まない状態として、粒子や繊維等の機械的係合力で結合することにしても良い。プリフォームの材質としてはセラミックス及び/または金属を採用できる。セラミックスとしては炭化珪素、アルミナ、ジルコニア、シリカ、窒化珪素などの公知のセラミックスのうちの少なくとも1種を採用できる。プリフォームを構成する金属としては、一般的には、含浸させる溶湯よりも融点が高いものを採用できる。溶湯がアルミニウムまたはアルミニウム合金である場合には、例えば鉄系のプリフォームを採用できる。プリフォームに含浸される溶湯としては、特に限定されず、軽金属系でもそれ以外でも良く、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、亜鉛、亜鉛合金、銅、銅合金等を例示できる。溶湯としては、溶融状態のものが一般的であるが、場合によっては固相を含むものでも良い。
【0018】
・注湯工程において、高さ方向に沿って延設された仕切壁と供給管体に連通する給湯通路とをもつ縦筒形状の流量制御部材を用いる。流量制御部材としては筒形状(円筒、角筒を含む)とする。流量制御部材が成形型の成形キャビティに配置された状態で注湯工程を行う。注湯工程では、流量制御部材の給湯通路内の溶湯の湯面高さを成形キャビティ内の溶湯の湯面高さよりも高く維持する。これにより流量制御部材の給湯通路内の溶湯を仕切壁の厚み方向に沿って流出させ、プリフォームの上面側に溶湯を注湯する。これによりプリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を注湯する。
【0019】
流量制御部材の仕切壁の厚み方向に沿って溶湯を流出させる構造としては、仕切壁にこれの厚み方向に沿って貫通する絞り孔を形成しても良いし、多数の連通細孔を有する多孔質材料で仕切壁自体を形成しても良い。場合によっては、流量制御部材の給湯通路内の溶湯を流量制御部材の上端部から流量制御部材外部に溢れさせても良い。
【0020】
・溶湯供給手段は、成形型の成形キャビティにプリフォームの下側から供給管体を経て溶湯を供給するものであり、構造は特に限定されない。加圧手段は、成形キャビティ内に供給された溶湯を加圧することにより溶湯をプリフォームの内部に含浸させるものであり、構造は特に限定されない。例えば、加圧手段としては、成形型の成形キャビティの上方に配置され成形キャビティ内の溶湯を加圧する加圧体と、加圧体を加圧方向に移動させる駆動源とを有する構成を採用できる。
【0021】
・流量制御部材は、仕切壁の厚み方向に沿って貫通すると共にプリフォームの上面に対面する絞り孔を有することが好ましい。この場合、注湯工程において、流量制御部材の給湯通路内の溶湯の湯面高さを成形キャビティ内の溶湯の湯面高さよりも高く維持しつつ、流量制御部材の給湯通路内の溶湯を絞り孔からプリフォームの上面側に効率良く流出させることができる。故に、プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を注湯することができる。流量制御部材の絞り孔としては、プリフォームの上面の高さよりも高く設定されていることが好ましい。これにより絞り孔から流出した溶湯をプリフォームの上面側に効果的に供給できる。
【0022】
・プリフォームとしては、下側に配置され多数の空孔を有するリング形状をなす多孔質の板状の第1プリフォームと第1プリフォームよりも上側に配置され多数の空孔を有するリング形状をなす多孔質の板状の第2プリフォームとを備えている形態を採用できる。流量制御部材の仕切壁は、仕切壁の厚み方向に沿って貫通すると共に第1プリフォームの上面に対面する第1絞り孔と、仕切壁の厚み方向に沿って貫通すると共に第2プリフォームの上面に対面して第1絞り孔よりも上側に形成された第2絞り孔とを有している形態を採用できる。この場合、注湯工程において、流量制御部材の給湯通路内の溶湯の湯面高さを成形キャビティ内の溶湯の湯面高さよりも高く維持しつつ、流量制御部材の給湯通路内の溶湯を第1絞り孔から第1プリフォームの上面側に流出させることができる。これにより第1プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を注湯する操作を行なうことができる。
【0023】
更に、流量制御部材の給湯通路内の溶湯の湯面高さを成形キャビティ内の溶湯の湯面高さよりも高く維持しつつ、流量制御部材の給湯通路内の溶湯を第2絞り孔から第2プリフォームの上面側に流出させることができる。この場合、第2プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を注湯する操作を行なうことができる。
【0024】
・成形キャビティ内における溶湯の湯面の上昇を検知する湯面高さ検知手段が設けられていることが好ましい。湯面高さ検知手段としては熱電対等の温度センサ方式、溶湯を利用して導電経路を形成する方式を例示できる。また流量制御部材の絞り孔の開口量が可変である形態を採用できる。この場合、湯面高さ検知手段により成形キャビティ内における溶湯の湯面の上昇が検知されたとき、流量制御部材の絞り孔の開口量を増加させる。これにより流量制御部材の給湯通路内の溶湯を絞り孔からプリフォームの上面側に流出させることができ、プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を注湯することができる。
【0025】
・湯面高さ検知手段により成形キャビティ内における溶湯の湯面の上昇が検知されたとき、流量制御部材の仕切壁の第1絞り孔の開口量を増加させることにより、流量制御部材の給湯通路内の溶湯を第1絞り孔から第1プリフォームの上面側に流出させることにより、第1プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を注湯すると共に、
湯面高さ検知手段により成形キャビティ内における溶湯の湯面の更なる上昇が検知されたとき、流量制御部材の第2絞り孔の開口量を増加させることにより、流量制御部材の給湯通路内の溶湯を第2絞り孔から第2プリフォームの上面側に流出させることにより、第2プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を注湯する形態を採用することができる。
【0026】
・制御装置が設けられていることが好ましい。この制御装置は、湯面高さ検知手段により成形キャビティ内における溶湯の湯面の上昇が検知されたとき、流量制御部材の仕切壁の第1絞り孔の開口量を増加させる方式を採用できる。この場合、流量制御部材の給湯通路内の溶湯を第1絞り孔から第1プリフォームの上面側に流出させて、第1プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を注湯することができる。また制御装置は、湯面高さ検知手段により成形キャビティ内における溶湯の湯面の更なる上昇が検知されたとき、流量制御部材の第2絞り孔の開口量を増加させる方式を採用できる。この場合、流量制御部材の給湯通路内の溶湯を第2絞り孔から第2プリフォームの上面側に流出させることにより、第2プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を注湯することができる。
【0027】
・流量制御部材の絞り孔は、プリフォームの上面の高さよりも高く設定されていることが好ましい。この場合、プリフォームの上面側に溶湯を注湯することができる。
【0028】
・流量制御部材の第1絞り孔としては第1プリフォームの上面の高さよりも高く設定されていることが好ましい。この場合、第1絞り孔により第1プリフォームの上面側に溶湯を供給することができる。また流量制御部材の第2絞り孔としては第2プリフォームの上面の高さよりも高く設定されていることが好ましい。この場合、第2絞り孔により第2プリフォームの上面側に溶湯を注湯することができる。
【0029】
・加圧手段は流量制御部材を退避させる退避室を有していることが好ましい。この場合、含浸工程において、流量制御部材の少なくとも一部を加圧手段の退避室内に退避させる形態を採用することができる。従って含浸工程において流量制御部材が邪魔になることを防止できる。退避室は加圧手段の内部に形成することができる。
【0030】
・成形型の成形キャビティは、多数の空孔を有するリング形状をなす多孔質の板状の第1プリフォームを収容すると共に、第1プリフォームよりも高い位置に、多数の空孔を有するリング形状をなす多孔質の板状の第2プリフォームを収容する形態を採用することができる。流量制御部材は、仕切壁の厚み方向に沿って貫通すると共に第1プリフォームの上面に対面する第1絞り孔と、仕切壁の厚み方向に沿って貫通すると共に第2プリフォームの上面に対面する第2絞り孔とを有している形態を採用することができる。この場合、流量制御部材の第1絞り孔の高さは、第1プリフォームの上面の高さよりも高く設定されていることが好ましい。また流量制御部材の第2絞り孔の高さは、第2プリフォームの上面の高さよりも高く設定されていることが好ましい。
【0031】
【実施例】
(第1実施例)
以下、本発明を具体化した第1実施例について図1〜図6を参照して説明する。本実施例に係るプリフォームの加圧鋳造装置は、金型である成形型1を保持する成形型保持部2と、成形型保持部2に保持された成形型1の成形キャビティ10にこれの下方から連通する供給管体3と、成形型1の成形キャビティ10に供給管体3を経て溶湯を供給するための溶湯供給手段4と、成形キャビティ10内に供給された溶湯を加圧する加圧手段5とを具備している。
【0032】
成形型1は成形キャビティ10を有する。成形キャビティ10は、プリフォーム6を収容する主キャビティ11と、主キャビティ11の中央域の底から下方に延設された副キャビティ15とを有する。主キャビティ11は、プリフォーム6を載置する横方向に沿って延設されたプリフォームセット面12と、縦方向に沿って延設されたリング形状をなす型面である大径型面13とを有する。副キャビティ15は、縦方向に沿って延設されたリング形状をなす型面である小径型面16と、成形キャビティ10の底となる底面17とをもつ。大径型面13及び小径型面16は同軸的に配置されている。
【0033】
プリフォーム6は成形キャビティ10のうち主キャビティ11に配置されており、下側に配置されたリング形状をなす板状の第1プリフォーム61と、第1プリフォーム61の上側に配置されたリング形状をなす板状の第2プリフォーム62とで形成されている。図2に示すように成形型1に形成された第1保持部1aにより第1プリフォーム61は保持されていると共に、第2保持部1cにより第2プリフォーム62は第1プリフォーム61の上側に保持されている。第1プリフォーム61、第2プリフォーム62の厚みや直径としては、目標成形品である複合材料の種類によっても相違するものの、例えば、厚みは1〜50mm、直径は100〜1000mmにできるが、これらに限定されるものではない。なお図2において、第1プリフォーム61の上面61uと第2プリフォーム62の下面62dとの間隔は、Kで示されている。第1プリフォーム61及び第2プリフォーム62は成形キャビティ10の主キャビティ11において横方向に沿って配置されている。
【0034】
第1プリフォーム61及び第2プリフォーム62は、多数の空孔を有する多孔質の予備成形体であり、炭珪素(SiC)等のセラミックス系の多数の粒状体の集合体を無機系のバインダで結合することにより形成されている。第1プリフォーム61及び第2プリフォーム62ではバインダの増量には限界があるため、第1プリフォーム61及び第2プリフォーム62に熱ムラが生じると、熱変形等で第1プリフォーム61及び第2プリフォーム62に亀裂が生成することがある。
【0035】
流量制御部材7は縦型の円筒形状をなしており、成形型1に対して着脱可能とされており、鉄系等の耐熱性及び強度を有する金属またはセラミックスで形成されている。流量制御部材7は、高さ方向に沿って延設された仕切壁70と、供給管体3の管路3cに連通する高さ方向にのびる給湯通路72とをもつ。流量制御部材7の上端部7uは加圧手段5に保持されており、注湯時にこれの径方向にずれることが抑制されている。流量制御部材7の下端部7dは成形キャビティ10の底面17に当接しており、流量制御部材7による絞り機能を良好に確保させ得る。流量制御部材7の外側に第1プリフォーム61及び第2プリフォーム62が配置されている。
【0036】
図2に示すように、流量制御部材7の仕切壁70には、これの厚み方向に沿って貫通する複数個の下絞り孔73、複数個の第1絞り孔74、複数個の第2絞り孔75が形成されている。
【0037】
下絞り孔73の上方に第1絞り孔74が形成されており、第1絞り孔74の上方に第2絞り孔75が形成されている。下絞り孔73は、第1プリフォーム61の下面61dに対面するように、第1プリフォーム61の下面61dよりも下方に形成されている。第1絞り孔74は、第1プリフォーム61の上面61uに対面するように、第1プリフォーム61の上面61uよりも上方に形成されていると共に、第2プリフォーム62の下面62dに対面するように第2プリフォーム62の下面62dよりも下方に形成されている。第2絞り孔75は、第2プリフォーム62の上面62uに対面するように、第2プリフォーム62の上面62uよりも上方に形成されている。
【0038】
図2に示すように、成形型1の高さ基準面である底面17に対して下絞り孔73の流出通路の高さをh1とし、第1絞り孔74の流出通路の高さをh2とし、第2絞り孔75の流出通路の高さをh3とすると、h1<h2<h3とされている。成形型1の高さ基準面である底面17に対して、第1プリフォーム61の下面61dの高さをhaとし、第2プリフォーム62の下面62dの高さをhbとすると、ha<hbとされている。ここでh1<ha<h2<hb<h3とされている。
【0039】
図1に示すように加圧手段5は、成形キャビティ10内に供給された溶湯を加圧することにより、溶湯を多孔質の第1プリフォーム61及び第2プリフォーム62の内部に含浸させるものである。加圧手段5は、成形型1の成形キャビティ10の上方に配置され成形キャビティ10内の溶湯を加圧する上型として機能する鉄系金属製の加圧体50と、加圧体50を保持するホルダ52と、加圧体50と共にホルダ52を溶湯加圧方向(矢印Y1方向)に移動させる駆動源53とを有する。駆動源53は、油圧シリンダまたは空気圧シリンダ等の流体圧装置、あるいは、モータ駆動機構で形成することができる。加圧体50は、プリフォーム6に対面する加圧面50aを有する型部50cと、型部50cの中央域において下方に突出する突出型部50dとを有する。加圧体50は、流量制御部材7を退避させるための筒状空間で形成された退避室55と、流量制御部材7を退避方向及び露出方向に移動させるための駆動部57とを有する。駆動部57は、流量制御部材7を退避室55に退避させる退避方向(矢印Y2方向)に移動させ得ると共に、流量制御部材7を退避室55から露出させる方向(矢印Y1方向)に移動させ得る。駆動部57は、油圧シリンダまたは空気圧シリンダ等の流体圧装置、あるいは、モータ駆動機構で形成することができる。上型として機能する加圧体50の下面側には、成形キャビティ10への注湯完了を検知する湯量検知手段18が取り付けられている。湯量検知手段18は例えば熱電対等の温度センサで形成できる。
【0040】
溶湯供給手段4は成形型1の下方に設けられており、成形型1の成形キャビティ10に供給管体3の管路3cを経て溶湯を供給するためのものである。溶湯供給手段4は、溶湯を保持する溶湯保持室41を有する溶湯保持容器40と、溶湯保持室41を閉鎖する閉鎖蓋42とをもつ。溶湯保持室41に圧縮気体(アルゴンガスまたは空気)を導入管43を経て送給する圧力発生装置44が設けられている。圧力発生装置44としては、溶湯保持室41の気体圧力を増加させたり減少させたりするものであればよく、ガスボンベを用いても良いし、流体圧シリンダ装置を用いても良い。制御装置9は制御信号を信号線44bを経て圧力発生装置44に出力することにより、圧力発生装置44を制御する。なお、湯量検知手段18の位置まで溶湯が成形キャビティ10内に注湯されると、湯量検知手段18からの検知信号が信号線18aを経て制御装置9に入力される。
【0041】
供給管体3はストークとも呼ばれるものであり、高さ方向に沿って延設された縦筒構造を有する。供給管体3の上端部3uは成形型1の成形キャビティ10の底面17に連通していると共に、供給管体3の下端部3dは溶湯保持室41内の溶湯に浸漬されている。供給管体3は鉄系金属またはセラミックスで形成されている。本実施例ではゲート遮断手段30が設けられている。ゲート遮断手段30は、管路3cを開閉する閉鎖部31と、制御装置9から信号線32cを経て入力される制御信号により閉鎖部31を開閉方向に作動させる作動部32とをもつ。作動部32は、油圧シリンダまたは空気圧シリンダ等の流体圧装置、あるいは、モータ駆動機構で形成することができる。なお図2〜図6では、ゲート遮断手段30の図示は、省略されている。
【0042】
本実施例によれば、注湯工程において、流量制御部材7の下絞り孔73、第1絞り孔74、第2絞り孔75はそれぞれ溶湯の流量を絞る機能をもつ。このため、溶湯供給手段4により供給管体3の管路3cを経て流量制御部材7の給湯通路72に供給される溶湯の単位時間あたりの流量をV1とし、流量制御部材7の給湯通路72内の溶湯が下絞り孔73から成形キャビティ10内に単位時間あたり流出される流量をV2とすると、V1よりもV2は小さく設定されている(V2<V1)。このため注湯の際には流量制御部材7の給湯通路72内の溶湯の湯面高さを成形キャビティ10内の溶湯の湯面高さよりも高く維持することができる。
【0043】
同様に、流量制御部材7の給湯通路72内の溶湯が下絞り孔73及び第1絞り孔74から成形キャビティ10内に単位時間あたり流出される流量をV3とすると、V1よりも、V2+V3は小さく設定されている(V2+V3<V1)。
【0044】
このため本実施例に係る注湯工程では、溶湯供給手段4により供給管体3の管路3cを経て流量制御部材7の給湯通路72内に溶湯を供給すれば、流量制御部材7の給湯通路72内の溶湯の湯面高さを、成形キャビティ10内の溶湯の湯面高さよりも高く維持することができる。
【0045】
本実施例によれば、図2に示すように、下絞り孔73の下面73m、第1絞り孔74の下面74m、第2絞り孔75の下面75mは、当該箇所における溶湯溜まりを抑えるべく、溶湯を流下させ得るように下方に向けて傾斜している。このように下絞り孔73、第1絞り孔74、第2絞り孔75における溶湯溜まりが抑えられるため、流量制御部材7を加圧体50の退避室55に退避させて収容するとき、流量制御部材7を退避方向に移動させる操作を良好に行うことができる。なお図1では下絞り孔73、第1絞り孔74、第2絞り孔75の図示は、省略されている。
【0046】
さて加圧鋳造方法を実施する場合について説明を加える。配置工程を終えた状態では、図1に示すように、成形キャビティ10をもつ成形型1が大気圧雰囲気において成形型保持部2に配置されている。この状態では、成形型1の成形キャビティ10にこれの下方から連通する供給管体3が配置されている。更に成形型1の成形キャビティ10には、第1プリフォーム61及び第2プリフォーム62が加圧体50の下方に位置するように配置されている。
【0047】
このように配置工程を終えた後に注湯工程を行う。注湯工程では、ゲート遮断手段30の閉鎖部31を開放させた状態で、制御装置9は制御信号を圧力発生装置44に出力してこれを作動させ、圧力発生装置44から圧力気体を導入管43を経て溶湯保持室41に送給する。この結果、溶湯保持室41に保持されている溶湯(アルミニウム系溶湯,例えば760〜850℃程度)の湯面41xの上方空間が増圧される。このため、溶湯保持室41に保持されている溶湯の湯面41xの上方空間の圧力と大気圧との差圧に基づいて、溶湯保持室41の溶湯は、供給管体3の管路3c内を次第に上昇し、開放状態のゲート遮断手段30を経て、流量制御部材7の給湯通路72の下端側に至る。
【0048】
流量制御部材7の下絞り孔73は、溶湯の流量を絞って成形キャビティ10に流出させる絞り孔として機能するため、図3に示すように、流量制御部材7の給湯通路72内の溶湯の湯面X1の高さは、成形キャビティ10内の溶湯の湯面W1の高さよりも高く維持される。流量制御部材7の給湯通路72内の溶湯は、下絞り孔73から成形型1の成形キャビティ10内に流入するため、溶湯の湯面W1が次第に上昇する。
【0049】
更に溶湯供給手段4から流量制御部材7の給湯通路72内に溶湯が供給されると、成形型1の成形キャビティ10内の溶湯の湯面W1が上昇するため、図4に示すように、成形キャビティ10内の溶湯の湯面W2が第1プリフォーム61の下面61dに到達する。このとき図4に示すように、流量制御部材7の給湯通路72内の溶湯の湯面X2の高さは、成形キャビティ10内の溶湯の湯面W2の高さよりも高く維持されており、したがって流量制御部材7の給湯通路72内の溶湯は、第1絞り孔74から第1プリフォーム61の上面61u側に流出する。換言すれば、流量制御部材7による溶湯流量の制御機能により、第1プリフォーム61の下面61d側及び上面61u側の双方に溶湯を注湯することができる。
【0050】
上記のように注湯の際には第1プリフォーム61の下面61d側の他に、上面61u側にも溶湯が注湯されるため、注湯工程における浮力による第1プリフォーム61の過剰浮き上がりが抑制される。第1プリフォーム61の上面61u側に供給された溶湯が第1プリフォーム61を抑えつけるためである。第1プリフォーム61の下面61d側及び上面61u側の双方から溶湯が注湯されるため、第1プリフォーム61の下面61d側及び上面61u側が共に同程度に加熱され、第1プリフォーム61の昇温ムラが低減される。故に、第1プリフォーム61の昇温ムラに起因する第1プリフォーム61の割れが抑制される。
【0051】
溶湯供給手段4により溶湯保持室41の溶湯が流量制御部材7の給湯通路72に更に供給されると、図5に示すように、成形型1の成形キャビティ10における溶湯の湯面W3が更に上昇すると共に、流量制御部材7の給湯通路72内の溶湯の湯面X3も上昇する。そして成形キャビティ10内の溶湯の湯面W3が第2プリフォーム62の下面62dに到達する。このとき図5に示すように、流量制御部材7の給湯通路72内の溶湯の湯面X3の高さは、成形キャビティ10内の溶湯の湯面W3の高さよりも高く維持されている。このため流量制御部材7の給湯通路72内の溶湯は、第2絞り孔75から第2プリフォーム62の上面62u側に流出する。換言すれば、流量制御部材7による溶湯流量の制御機能により、第2プリフォーム62の下面62d側及び上面62u側の双方に溶湯を注湯することができる。
【0052】
上記のように第2プリフォーム62の下面62d側及び上面62u側の双方に溶湯が注湯されるため、注湯工程における浮力による第2プリフォーム62の過剰浮き上がりが抑制される。更に第2プリフォーム62の下面62d側及び上面62u側が共に同程度に加熱されるため、第2プリフォーム62の昇温ムラが低減され、昇温ムラに起因する第2プリフォーム62の割れが抑制される。
【0053】
なお上記した注湯工程では、供給管体3を介して成形型1の成形キャビティ10にこれの底側から溶湯がスムーズに供給されるため、溶湯の乱流化が抑えられ、ひいては空気の巻き込みが抑えられる。注湯工程では、溶湯の注湯の完了は湯量検知手段18により検知される。
【0054】
上記したように注湯工程を終えたら、圧力発生装置44を制御して溶湯保持室41の圧力を低下させると共に、ゲート遮断手段30を作動させて供給管体3の管路3cを閉鎖させる。この結果、成形型1の成形キャビティ10内に注湯された溶湯は成形キャビティ10内に保持されるものの、供給管体3の管路3cに残留している溶湯は重力により溶湯保持容器40に戻る。
【0055】
その後、含浸工程を行う。含浸工程では、駆動部57を駆動させることにより、図6に示すように、流量制御部材7の全体を退避方向(上方向,矢印Y2方向)に移動させ、流量制御部材7の全体を加圧体50の退避室55内に退避させる。この状態では流量制御部材7は加圧体50の内部に収容され、流量制御部材7の下端部7dは加圧体50の型面と同一高さとなる。この状態では、駆動源53を駆動させて加圧体50を加圧方向(下方向,矢印Y1方向)に移動させ、加圧手段5の加圧体50で成形キャビティ10内の溶湯を上側から加圧し、溶湯を第1プリフォーム61の空孔及び第2プリフォーム62の空孔に含浸させる。加圧の程度としては適宜選択できるものの、一般的には1〜1000MPa程度、2〜500MPa程度、殊に5〜100MPa程度にすることができる。但しこれらに限定されるものではない。
【0056】
含浸工程ではゲート遮断手段30により供給管体3の管路3cが閉鎖しているため、成形キャビティ10内の溶湯は効果的に加圧され、溶湯は第1プリフォーム61の空孔及び第2プリフォーム62の空孔に良好に含浸される。成形キャビティ10内に残留していた空気は、成形型1と加圧体50との微小隙間等から排出される。成形キャビティ10内の溶湯が凝固すれば、複合材料が形成される。このように複合材料が形成されたら、駆動源53を逆方向に駆動させて加圧体50を加圧解除方向(上方向,矢印Y2方向)に移動させる。その後、成形型1の成形キャビティ10から複合材料を離脱させる。含浸工程では、流量制御部材7の全体を加圧体50の退避室55内に退避させて加圧体50の内部に収容するため、流量制御部材7が邪魔にならない。
【0057】
次の複合材料を成形する場合には、図1に示すように、ゲート遮断手段30を作動させて供給管体3の管路3cを開放させると共に、駆動部57を駆動させて加圧体50の退避室55から流量制御部材7を露出させ、且つ、流量制御部材7を成形型1の成形キャビティ10内に配置させる。この状態で前述同様に注湯工程、含浸工程を順に行う。
【0058】
以上説明したように本実施例によれば、流量制御部材7の給湯通路72内の溶湯の湯面高さを成形キャビティ10内の溶湯の湯面高さよりも高く維持させることができる。そして多孔質の第1プリフォーム61の下面61d側及び上面61u側の双方に溶湯を注湯することができる。このように本実施例によれば、第1プリフォーム61の下面61d側及び上面61u側の双方に溶湯が注湯されるため、注湯工程における第1プリフォーム61の過剰浮き上がりが抑制される。更に第1プリフォーム61の下面61d側及び上面61u側が共に同程度に昇温するため、第1プリフォーム61の下面61d側及び上面61u側の温度ムラが低減され、第1プリフォーム61の割れが抑制される。
【0059】
第2プリフォーム62についても同様であり、第2プリフォーム62の下面62d側及び上面62u側の双方に溶湯が注湯されるため、注湯工程における第2プリフォーム62の過剰浮き上がりが抑制される。更に第2プリフォーム62の下面62d側及び上面62u側が共に同程度に昇温するため、第2プリフォーム62の下面62d側及び上面62u側の温度ムラが低減され、第2プリフォーム62の割れが抑制される。
【0060】
(第2実施例)
本発明を具体化した第2実施例について図7を参照して説明する。本実施例は第1実施例と同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。共通する部位には共通の符号を付する。以下、第1実施例と相違する部分を中心として説明する。本実施例に係る注湯工程では、加圧体50に保持されている流量制御部材7Bの下端部7dは、成形キャビティ10の底面17に接触していない。注湯の際には、流量制御部材7Bの下端部7dと成形キャビティ10の底面17との間から、流量制御部材7B内の溶湯は成形キャビティ10内に注湯される。流量制御部材7Bの仕切壁70には、第1プリフォーム61の上面61uに溶湯を流出させる第1絞り孔74と、第2プリフォーム62の上面62uに溶湯を流出させる第2絞り孔75とが形成されている。
【0061】
本実施例においても第1実施例と同様に、第1プリフォーム61の下面61d側及び上面61u側の双方に溶湯が注湯されるため、注湯工程における第1プリフォーム61の過剰浮き上がりが抑制される。更に第1プリフォーム61の下面61d側及び上面61u側が共に同程度に昇温するため、第1プリフォーム61の下面61d側及び上面61u側の温度ムラが低減され、第1プリフォーム61の割れが抑制される。第2プリフォーム62についても同様である。
【0062】
(第3実施例)
本発明を具体化した第3実施例について図8〜図10を参照して説明する。本実施例は第1実施例と同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。共通する部位には共通の符号を付する。以下、第1実施例と異なる部分を中心として説明する。成形キャビティ10内における溶湯の湯面の上昇を検知する第1湯面高さ検知手段81、第2湯面高さ検知手段82が成形型1に設けられている。第1湯面高さ検知手段81は熱電対等の温度センサであり、成形型1の成形キャビティ10内に注湯された溶湯の湯面が第1プリフォーム61の下面61dに接近したことを検知する。第2湯面高さ検知手段82は熱電対等の温度センサであり、成形型1の成形キャビティ10内に注湯された溶湯の湯面が第2プリフォーム62の下面62dに接近したことを検知する。
【0063】
第1湯面高さ検知手段81の検出信号は信号線81eを介して制御装置9に入力される。第2湯面高さ検知手段82の検出信号は信号線82fを介して制御装置9に入力される。
【0064】
流量制御部材7は、第1絞り孔74及び第2絞り孔75の開口量を可変とする開口量可変部材として機能する可動筒79を有する。可動筒79は流量制御部材7に同軸的に設けられており、流量制御部材7に対してこれの軸長方向に沿って相対的に移動可能とされている。可動筒79を流量制御部材7に対して流量制御部材7の軸長方向に沿って矢印Y2方向(絞り口の開口方向)に相対的に移動させれば、第1絞り孔74の開口量を増加させ得る。可動筒79が流量制御部材7に対して更に矢印Y2方向に移動すれば、第2絞り孔75の開口量を増加させて第2絞り孔75をも開放させ得る。
【0065】
図9に示すように、成形キャビティ10の副キャビティ15内に供給された溶湯の湯面W2が第1プリフォーム61の下面61dに至る頃、第1湯面高さ検知手段81により溶湯の湯面W2の上昇が検知される。すると、制御装置9は可動筒79を流量制御部材7に対して矢印Y2方向に沿って相対移動させ、第2絞り孔75を可動筒79で閉鎖させつつ、第1絞り孔74の開口量を開放させる。この結果図9に示すように、流量制御部材7の給湯通路72内の溶湯を前記第1絞り孔74から第1プリフォーム61の上面61u側にも流出させることができ、第1プリフォーム61の下面61d側及び上面61u側の双方に溶湯を注湯することができる。
【0066】
図10に示すように、成形キャビティ10内に供給された溶湯の湯面W3が第2プリフォーム62の下面62dに至る頃、第2湯面高さ検知手段82により溶湯の湯面W3の上昇が検知される。すると、制御装置9は可動筒79を流量制御部材7に対して矢印Y2方向に沿って更に相対移動させ、第2絞り孔75も開放させる。この結果、図10に示すように、流量制御部材7の給湯通路72内の溶湯を第2絞り孔75から第2プリフォーム62の上面62u側にも流出させることにより、第2プリフォーム62の下面62d側及び上面62u側の双方に溶湯を注湯することができる。
【0067】
以上説明したように本実施例によれば、第1実施例と同様に、流量制御部材7は溶湯の流量を絞って成形キャビティ10内に注湯する機能を有するため、流量制御部材7の給湯通路72内の溶湯の湯面高さを成形キャビティ10内の溶湯の湯面高さよりも高く維持させることができる。そして第1プリフォーム61の下面61d側及び上面61u側の双方に溶湯を注湯することができる。このように本実施例によれば、第1プリフォーム61の下面61d側及び上面61u側の双方に溶湯が注湯されるため、注湯工程における浮力による第1プリフォーム61の過剰浮き上がりが抑制される。更に第1プリフォーム61の下面61d側及び上面61u側が共に同程度に昇温するため、第1プリフォーム61の下面61d側及び上面61u側の温度ムラが低減され、第1プリフォーム61の割れが抑制される。
【0068】
第2プリフォーム62についても同様であり、第2プリフォーム62の下面62d側及び上面62u側の双方に溶湯が注湯されるため、注湯工程における浮力による第2プリフォーム62の過剰浮き上がりが抑制される。更に第2プリフォーム62の下面62d側及び上面62u側が共に同程度に昇温するため、第2プリフォーム62の下面62d側及び上面62u側の温度ムラが低減され、第2プリフォーム62の割れが抑制される。
【0069】
(その他)
第1実施例では、加圧手段5の加圧体50の退避室55に流量制御部材7を退避させることにしているが、これに限らず、加圧手段5の加圧体50と流量制御部材7とを別体としても良い。この場合、注湯工程が完了したときには、成形型1に配置されている流量制御部材7を、成形型1から離れた位置に移動させ、その後に加圧体50を移動させて加圧体50で成形キャビティ10内の溶湯を加圧して含浸工程を行ってもよい。第1実施例では、第1プリフォーム61及び第2プリフォーム62が設けられているが、これに限らず、第1プリフォーム61及び第2プリフォーム62のうちのいずれか一方のみとしても良い。
【0070】
更に第1プリフォーム61及び第2プリフォーム62の上方に、第3プリフォームを設けても良く、更には第3プリフォームの上方に第4プリフォームを設けても良い。第3プリフォームや第4プリフォームを設ける場合には、第3プリフォームの上面側に溶湯を流出させる絞り孔、第4プリフォームの上面側に溶湯を流出させる絞り孔を流量制御部材に形成することが好ましい。
【0071】
上記した第1実施例では、流量制御部材7は直筒形状をなしているが、上方に向かうにつれて径が小さくなる円錐筒形状としても良い。プリフォーム6は炭化珪素の粒状体の集合体で形成されているが、これに限定されるものではなく、アルミナの粒状体の集合体であっても良く、更には炭化珪素やアルミナ等の繊維の集合体であっても良い。
【0072】
上記した第1実施例では、複数個の下絞り孔73、複数個の第1絞り孔74、複数個の第2絞り孔75が設けられているが、下絞り孔73、第1絞り孔74、第2絞り孔75はそれぞれ1個でも良い。上記した図8〜図10に示す第3実施例では、開口量可変部材として機能する可動筒79は、流量制御部材7に対して流量制御部材7の軸長方向に沿って相対的に移動可能とされているが、筒形状の流量制御部材7の周方向に沿って可動筒を相対的に移動可能とし、可動筒の周方向への移動に伴い、第1絞り孔74及び第2絞り孔75の開口量を可変としても良い。
【0073】
上記した第1実施例では、多孔質の第1プリフォーム61を第1保持部1aにより保持することとしたが、第1保持部1aを省略する構成としても良い。すなわち、多孔質の第1プリフォーム61を直接、プリフォームセット面12に載置させることにしてもよい。また、第1保持部1a及び第2保持部1cに代えて、成形型1内に進退移動可能に設けられた保持手段を用いるようにしても良い。この保持手段は、前進(露出)時には多孔質のプリフォーム6を保持し、後退(退避)時にはプリフォーム6を保持せずに成形型1内に収容されるようになっている。更に第1保持部1a及び第2保持部1cに代えて中子で多孔質のプリフォームを保持するようにしても良い。
【0074】
上記した第3実施例では、成形型1の成形キャビティ10内に注湯された溶湯の湯面が第1プリフォーム61の下面61dに接近したことを検知する第1湯面高さ検知手段81、成形型1の成形キャビティ10内に注湯された溶湯の湯面が第2プリフォーム62の下面62dに接近したことを検知する第2湯面高さ検知手段82が設けられているが、これに限らず、タイマー制御を採用し、注湯開始時刻からの時間経過に基づいて、成形型1の成形キャビティ10内に注湯された溶湯の湯面が第1プリフォーム61の下面61dに接近したことを推測しても良い。同様に、注湯開始時刻からの時間経過に基づいて、成形型1の成形キャビティ10内に注湯された溶湯の湯面が第2プリフォーム62の下面62dに接近したことを推測することにしても良い。
【0075】
図11は第4実施例を示す。第4実施例も第1実施例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。以下、第1実施例と相違する部分を中心として説明する。図11に示すように、流量制御部材7Dの上端部7uはプリフォーム6の上面6uよりも上方に設けられている。流量制御部材7Dの仕切壁70には、下絞り孔73及び第1絞り孔74が、プリフォーム6の下面6dよりも下方に位置するように設けられている。下絞り孔73及び第1絞り孔74は溶湯の流量を絞る機能を有するため、図11に示す実施例においても、流量制御部材7Dの給湯通路72内の溶湯の湯面高さを、成形型1の成形キャビティ10内の溶湯の湯面高さよりも高く維持することができる。
【0076】
従って注湯工程において、流量制御部材7Dの給湯通路72内の溶湯を下絞り孔73及び第1絞り孔74から成形キャビティ10に供給させつつ、流量制御部材7Dの上端部7uから外部へ溢れさせることができる。即ち、流量制御部材7D内に供給された溶湯を下絞り孔73,第1絞り孔74から成形キャビティ10内に供給することにより成形キャビティ10内の溶湯の湯面をプリフォーム6の下面6dに接近させつつ、流量制御部材7Dの給湯通路72内の溶湯を流量制御部材7Dの上端部7uから流量制御部材7Dの仕切壁70の厚み方向に沿って流出させ、プリフォーム6の上面6u側にも溶湯を供給することができる。この結果、本実施例においても、注湯の際には、プリフォーム6の下面6d側及び上面6u側の双方に溶湯を注湯することができる。
【0077】
その他、本発明方法及び本発明装置は上記した各実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。上記した記載から次の技術的思想も把握できる。
・請求項11において、前記流量制御部材の前記絞り孔の高さは、前記プリフォームの上面の高さよりも高く設定されていることを特徴とするプリフォームの加圧鋳造装置。
・請求項10または請求項11において、前記成形型の前記成形キャビティは、第1プリフォームを収容すると共に、前記第1プリフォームよりも高い位置に第2プリフォームを収容するものであり、
前記流量制御部材は、前記仕切壁の厚み方向に沿って貫通すると共に前記第1プリフォームの上面に対面する第1絞り孔と、前記仕切壁の厚み方向に沿って貫通すると共に前記第2プリフォームの上面に対面する第2絞り孔とを有していることを特徴とするプリフォームの加圧鋳造装置。
・請求項10または請求項11において、前記成形キャビティ内における溶湯の湯面の上昇を検知する湯面高さ検知手段が設けられており、前記流量制御部材の前記第1絞り孔及び前記第2絞り孔は開口量が可変であり、
前記湯面高さ検知手段により前記成形キャビティ内における溶湯の湯面の上昇が検知されたとき、前記流量制御部材の前記第1絞り孔の開口量を増加させることにより、前記流量制御部材の前記給湯通路内の溶湯を前記第1絞り孔から流出させて前記第1プリフォームの上面側に溶湯を供給することにより、前記第1プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を注湯すると共に、
前記湯面高さ検知手段により前記成形キャビティ内における溶湯の湯面の更なる上昇が検知されたとき、前記流量制御部材の前記第2絞り孔の開口量を増加させることにより、前記流量制御部材の前記給湯通路内の溶湯を前記第2絞り孔から流出させて前記第2プリフォームの上面側に溶湯を供給することにより、前記第2プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を注湯する制御装置が設けられており、前記流量制御部材の前記第1絞り孔の高さは、前記第1プリフォームの上面の高さよりも高く設定されており、前記流量制御部材の前記第2絞り孔の高さは、前記第2プリフォームの上面の高さよりも高く設定されていることを特徴とするプリフォームの加圧鋳造装置。
・請求項10または請求項11において、前記加圧手段は、前記流量制御部材の少なくとも一部を退避させる退避室を有していることを特徴とするプリフォームの加圧鋳造装置。
・各請求項において、含浸工程において、流量制御部材は成形型の成形キャビティから退避されることを特徴とするプリフォームの加圧鋳造方法、プリフォームの加圧鋳造装置。
・各請求項において、プリフォームは互いに間隔を隔てて上下多段に設けられており、絞り孔も上下多段に設けられており、各絞り孔は各プリフォームの上面にそれぞれ対面していることを特徴とするプリフォームの加圧鋳造方法、プリフォームの加圧鋳造装置。
・各請求項において、流量制御部材は絞り孔を有し、絞り孔の下面は、溶湯を流下させ得るように傾斜していることを特徴とするプリフォームの加圧鋳造方法、プリフォームの加圧鋳造装置。
【0078】
【発明の効果】
本発明に係るプリフォームの加圧鋳造方法、本発明に係るプリフォームの加圧鋳造装置によれば、流量制御部材の給湯通路内の溶湯の湯面高さを成形キャビティ内の溶湯の湯面高さよりも高く維持しつつ、給湯通路内の溶湯を仕切壁の厚み方向に沿って流出させることにより、リング形状をなす多孔質の板状のプリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を注湯する。このようにプリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯が注湯されるため、注湯工程における浮力によるプリフォームの過剰浮き上がりが抑制される。更にプリフォームの下面側及び上面側が共に同程度に昇温するため、プリフォームの下面側及び上面側の昇温ムラを低減でき、プリフォームの均熱化を図り得、昇温ムラに起因するプリフォームの割れが抑制される。従って複合材料においてプリフォームによる補強効果を高めることができ、複合材料の性能向上に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】加圧鋳造装置を模式的に示す構成図である。
【図2】加圧鋳造装置の流量制御部材付近を模式的に示す断面図である。
【図3】成形型の成形キャビティの副キャビティに溶湯を流出させている状態を示す断面図である。
【図4】成形型の成形キャビティに配置されている第1プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を流出させている状態を示す断面図である。
【図5】成形型の成形キャビティに配置されている第2プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を流出させている状態を示す断面図である。
【図6】成形型の成形キャビティ内の溶湯を加圧体で加圧することにより、第1プリフォーム及び第2プリフォームに溶湯を含浸させている状態を示す断面図である。
【図7】第2実施例に係り、成形型の成形キャビティに配置されている第1プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を流出させている状態を示す断面図である。
【図8】第3実施例に係り、成形型の成形キャビティの副キャビティに溶湯を流出させている状態を示す断面図である。
【図9】第3実施例に係り、成形型の成形キャビティに配置されている第1プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を流出させている状態を示す断面図である。
【図10】第3実施例に係り、成形型の成形キャビティに配置されている第2プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を流出させている状態を示す断面図である。
【図11】第4実施例に係り、成形型の成形キャビティにプリフォーム及び流量制御部材を配置している状態を示す断面図である。
【符号の説明】
図中、1は成形型、10は成形キャビティ、15は副キャビティ、17は底面、3は供給管体、4は溶湯供給手段、40は溶湯保持容器、41は溶湯保持室、44は圧力発生装置、5は加圧手段、50は加圧体、6はプリフォーム、61は第1プリフォーム、62は第2プリフォーム、7,7B,7Dは流量制御部材、70は仕切壁、72は給湯通路、73は下絞り孔、74は第1絞り孔、75は第2絞り孔、9は制御装置を示す。

Claims (11)

  1. 多数の空孔を備えたリング形状をなす多孔質の板状のプリフォームを配置した成形キャビティをもつ成形型と前記成形型のうち前記成形キャビティにこれの下方から連通する供給管体とを用い、
    溶湯供給手段から前記供給管体を経て前記成形型の前記成形キャビティに前記プリフォームの下面側から溶湯を注湯する注湯工程と、
    前記成形型の前記成形キャビティ内に注湯された溶湯を加圧手段で加圧することにより、前記成形キャビティ内の溶湯を前記プリフォームの内部に含浸させる含浸工程とを実施するプリフォームの加圧鋳造方法であって、
    前記注湯工程において、
    高さ方向に沿って延設された仕切壁と前記供給管体に連通すると共に前記仕切壁の厚み方向に沿って溶湯を流出可能な給湯通路とをもつ縦筒形状の流量制御部材を前記成形型の前記成形キャビティに配置し、これにより前記流量制御部材を前記プリフォームの中央孔に配置して前記流量制御部材の外側に前記プリフォームを配置し、
    前記流量制御部材の前記給湯通路内の溶湯の湯面高さを前記成形キャビティ内の溶湯の湯面高さよりも高く維持しつつ、前記流量制御部材の前記給湯通路内の溶湯を前記仕切壁の厚み方向に沿って流出させて前記プリフォームの上面側に溶湯を供給することにより、前記プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を注湯し、注湯後の前記含浸工程において、前記流量制御部材を前記プリフォームから移動させるように前記成形型の前記成形キャビティから退避させることを特徴とするプリフォームの加圧鋳造方法。
  2. 請求項1において、前記流量制御部材は、前記仕切壁の厚み方向に沿って貫通すると共に前記プリフォームの上面に対面する絞り孔を有し、
    前記注湯工程において、前記流量制御部材の前記給湯通路内の溶湯の湯面高さを前記成形キャビティ内の溶湯の湯面高さよりも高く維持しつつ、前記流量制御部材の前記給湯通路内の溶湯を前記絞り孔から流出させて前記プリフォームの上面側に溶湯を供給することにより、前記プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を注湯するようにしたことを特徴とするプリフォームの加圧鋳造方法。
  3. 請求項2において、前記成形キャビティ内における溶湯の湯面の上昇を検知する湯面高さ検知手段が設けられており、前記流量制御部材の前記絞り孔は開口量が可変であり、
    前記湯面高さ検知手段により前記成形キャビティ内における溶湯の湯面の上昇が検知されたとき、前記流量制御部材の前記絞り孔の開口量を増加させることにより、前記流量制御部材の前記給湯通路内の溶湯を前記絞り孔から流出させて前記プリフォームの上面側に溶湯を供給することにより、前記プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を注湯するようにしたことを特徴とするプリフォームの加圧鋳造方法。
  4. 請求項2または請求項3において、前記流量制御部材の前記絞り孔の高さは、前記プリフォームの上面の高さよりも高く設定されていることを特徴とするプリフォームの加圧鋳造方法。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一項において、前記プリフォームは、下側に配置され多数の空孔を備えたリング形状をなす多孔質の板状の第1プリフォームと、前記第1プリフォームよりも上側に配置され多数の空孔を備えたリング形状をなす多孔質の板状の第2プリフォームとを備えており、
    前記流量制御部材は、前記仕切壁の厚み方向に沿って貫通すると共に前記第1プリフォームの上面に対面する第1絞り孔と、前記仕切壁の厚み方向に沿って貫通すると共に前記第2プリフォームの上面に対面して前記第1絞り孔よりも上側に形成された第2絞り孔とを有しており、
    前記注湯工程において、
    前記流量制御部材の前記給湯通路内の溶湯の湯面高さを前記成形キャビティ内の溶湯の湯面高さよりも高く維持しつつ、前記流量制御部材の前記給湯通路内の溶湯を前記第1絞り孔から流出させて前記第1プリフォームの上面側に溶湯を供給することにより、前記第1プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を注湯する操作を行い、更に、
    前記流量制御部材の前記給湯通路内の溶湯の湯面高さを前記成形キャビティ内の溶湯の湯面高さよりも高く維持しつつ、前記流量制御部材の前記給湯通路内の溶湯を前記第2絞り孔から流出させて前記第2プリフォームの上面側に溶湯を供給することにより、前記第2プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を注湯する操作を行なうようにしたことを特徴とするプリフォームの加圧鋳造方法。
  6. 請求項5において、前記成形キャビティ内における溶湯の湯面の上昇を検知する湯面高さ検知手段が設けられており、前記流量制御部材の前記第1絞り孔及び前記第2絞り孔は開口量が可変であり、
    前記湯面高さ検知手段により前記成形キャビティ内における溶湯の湯面の上昇が検知されたとき、前記流量制御部材の前記第1絞り孔の開口量を増加させることにより、前記流量制御部材の前記給湯通路内の溶湯を前記第1絞り孔から流出させて前記第1プリフォームの上面側に溶湯を供給することにより、前記第1プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を注湯すると共に、
    前記湯面高さ検知手段により前記成形キャビティ内における溶湯の湯面の更なる上昇が検知されたとき、前記流量制御部材の前記第2絞り孔の開口量を増加させることにより、前記流量制御部材の前記給湯通路内の溶湯を前記第2絞り孔から流出させて前記第2プリフォームの上面側に溶湯を供給することにより、前記第2プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を注湯するようにしたことを特徴とするプリフォームの加圧鋳造方法。
  7. 請求項5または請求項6において、前記流量制御部材の前記第1絞り孔の高さは、前記第1プリフォームの上面の高さよりも高く設定されており、前記流量制御部材の前記第2絞り孔の高さは、前記第2プリフォームの上面の高さよりも高く設定されていることを特徴とするプリフォームの加圧鋳造方法。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか一項において、前記加圧手段は、前記成形型の前記成形キャビティの上方に配置され前記成形キャビティ内の溶湯を加圧する加圧体と、前記加圧体を加圧方向に移動させる駆動源とを有することを特徴とするプリフォームの加圧鋳造方法。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか一項において、前記加圧手段は、前記流量制御部材を退避させる退避室を有しており、前記含浸工程において、前記流量制御部材の少なくとも一部を前記加圧手段の前記退避室内に退避させることを特徴とするプリフォームの加圧鋳造方法。
  10. 多数の空孔を備えたリング形状をなす多孔質の板状のプリフォームを配置可能な成形キャビティをもつ成形型を保持する成形型保持部と、
    前記成形型保持部に保持された前記成形型の前記成形キャビティにこれの下方から連通する供給管体と、
    前記成形型の下方に設けられ前記成形型の前記成形キャビティに前記プリフォームの下側から前記供給管体を経て溶湯を供給するための溶湯供給手段と、
    前記成形キャビティ内に供給された溶湯を加圧することにより溶湯を前記プリフォームの内部に含浸させる加圧手段とを具備するプリフォームの加圧鋳造装置であって、
    高さ方向に沿って延設された仕切壁と前記供給管体に連通すると共に前記仕切壁の厚み方向に沿って溶湯を流出可能な給湯通路とをもち、外側に前記プリフォームが配置されるように前記プリフォームの中央孔に配置され、前記給湯通路内の溶湯の湯面高さを前記成形キャビティ内の溶湯の湯面高さよりも高く維持すると共に前記プリフォームの中央孔から退避可能な縦筒形状の流量制御部材を具備し、
    前記流量制御部材の前記給湯通路内の溶湯を前記仕切壁の厚み方向に沿って流出させて前記プリフォームの上面側に溶湯を供給することにより、前記プリフォームの下面側及び上面側の双方に溶湯を注湯するようにし、注湯後、前記流量制御部材を前記プリフォームから移動させるように前記成形型の前記成形キャビティから退避させることを特徴とするプリフォームの加圧鋳造装置。
  11. 請求項10において、前記流量制御部材は、前記給湯通路内の溶湯を流出させるように前記仕切壁の厚み方向に沿って貫通すると共に前記プリフォームの上面に対面する絞り孔を有することを特徴とするプリフォームの加圧鋳造装置。
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