JP4085956B2 - 撮像装置 - Google Patents
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Description
このような黒シェーディング補正の従来技術として、例えば、特許文献1が知られている。特許文献1では、黒シェーディング補正後に行われる画像処理の種別に応じて、異なる手段で求めた複数の黒レベル値から最適なものを選択している。そして、選択した黒レベル値に基づいて黒シェーディング補正を行い、画像の高画質化を図っている。
請求項3の撮像装置は、請求項1記載の発明において、『黒レベル設定部は、暗時ノイズを測定する暗時ノイズ測定部を備え、暗時ノイズ測定部の測定結果に基づいて分散を求め、求めた分散に応じて黒レベルを設定する』ことを特徴とする。
請求項5の撮像装置は、請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の発明において、以下の点を特徴とする。第1に、複数の入力画素値に対して、それぞれ出力画素値を与える対応関係情報を用いて、画像データに階調変換を施す画像処理部を備えている。第2に、黒レベル設定部は、対応関係情報における、黒レベルを示す入力画素値に対応する出力画素値Aと、分散に応じた量だけ基準より明るい色を示す入力画素値に対応する出力画素値Bとの間の出力画素値を、分散に応じて以下の(1)、(2)のように補正する
(1)出力画素値Aを、黒レベルを示す画素値にする
(2)出力画素値A及び出力画素値B間を、単調増加で連続するように補間する。
<本実施形態の構成>
図1は、本実施形態のフィルムスキャナ8(請求項記載の撮像装置に対応)のブロック図である。本実施形態は、請求項1、及び請求項3〜請求項5に対応する。
図に示すように、フィルムスキャナ8は、照明光学系12と、原稿保持機構16と、ミラー20と、レンズ24と、ラインセンサ28と、走査駆動機構32と、タイミングジェネレータ36と、A/D変換部40と、画像処理部44と、インターフェース回路48と、システムバス52と、MPU56と、メモリ60とを有している。なお、原稿保持機構16には、原稿68(この例ではマウントフィルム)が保持されている。また、以下の説明を短くするため、照明光学系12、ミラー20、レンズ24、及びラインセンサ28を合わせてCCDブロック(図中の点線で囲った部分)と略記する。
MPU56は、メモリ60を用いると共にシステムバス52を介して、フィルムスキャナ8のシステム制御を行う。
画像処理部44は、テーブルデータを用いてガンマ補正などの階調変換を行う。ここで、ガンマ補正は、入出力特性が非線形である表示装置において、フィルムスキャナ8からの入力画像を線形に表示させるための非線形変換である。なお、一例として、本実施形態でのガンマ補正は、γ=2.2の表示装置に対するものとする。また、以下の説明では簡単化のため、ガンマ補正以外の階調変換を無視し、テーブルデータは、入力Xに対して
Y=X0.45となる出力Yを与えるものとする(後述するステップS4、S9、S12参照)。なお、ガンマ補正などの階調変換は、テーブルデータの代わりに、例えば換算式等を用いて行ってもよい。
<本実施形態の動作説明>
図2及び図3は、フィルムスキャナ8の動作を示す流れ図である。図4は、フィルムスキャナ8により測定される暗時の画素値の分布を示す説明図である。図5は、暗時の画素値の分散に応じて補正されるテーブルデータの説明図である。以下、図4及び図5を用いながら、図2及び図3に示すステップ番号に従って、フィルムスキャナ8の動作を説明する。
MPU56は、CCDブロックを素通し位置に移動させるように、走査駆動機構32に指令する。ここでの『素通し位置』とは、ラインセンサ28の受光面を起点とした、レンズ24を透過してミラー20で反射する光路上に、原稿68が存在しない位置である。即ち、CCDブロックが素通し位置にあるとき、全面が黒色を示す原稿を読み取ることと等価である。
MPU56は、照明光学系12の赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の光源による『R、G、Bの露光量比』を、初期値に設定する。また、MPU56は、前記した画像処理部44が用いるテーブルデータに、リニアをセットする。ここでの『リニアをセットする』とは、入出力特性が線形になるデータ(ガンマ補正がされないもの)を、テーブルデータにセットすることである。
MPU56は、照明光学系12を消灯させて、ラインセンサ28の各画素に暗時の信号電圧を出力させる。この後、ラインセンサ28から出力され得る信号電圧の最低レベル(例えば直流基準の0V)を零、最高レベルを例えば65535として、信号電圧はA/D変換される。これにより、各画素がR、G、Bの3つの(デジタルの)画素値を有する暗時の画像データが生成される。図4(a)は、暗時の画像データの画素値のヒストグラムであり、図4(b)は、図4(a)のゼロ近辺を拡大したものである。MPU56は、図4(b)に示すように、このヒストグラムの平均値を『暗時画素値の平均値Ave』として算出する。なお、各画素はR、G、Bの3つの画素値を有するので、Aveの算出は、R、G、Bのそれぞれに対して行われる。
MPU56は、図5(a)に示すように、入力Xに対してY=X0.45となる出力Yを与えるテーブルデータを、X軸方向にAveだけシフトさせる。この処理は、画素値に含まれる暗信号成分を消去するために行われる。なお、テーブルデータは、R、G、Bのそれぞれに対してあり、このシフト処理もR、G、Bのそれぞれに対して行われる。
MPU56は、原稿68の読み取りを開始する位置にCCDブロックを移動させるように、走査駆動機構32に指令する。次に、MPU56は、CCDブロックを走査して原稿68の全面を低解像度で読み取らせるように、走査駆動機構32に指令する(プリスキャン)。
MPU56は、インターフェース回路48を介して外部から本スキャンが命令されたか否かを判定する。本スキャンが命令された場合、ステップS7に進み、そうでない場合、MPU56は待機する。
[ステップS7]
画像処理部44は、ステップS2と同様に、テーブルデータにリニアをセットする。
MPU56は、照明光学系12を消灯させて、プリスキャンにより決定したR、G、Bの露光時間(電荷蓄積時間)で、ラインセンサ28に暗時の信号電圧を出力させる。そして、ステップS3と同様に、暗時の画像データが生成される。
この後、信号電圧は、最低レベルをゼロとして、A/D変換される。
MPU56は、ステップS3と同様に、ステップS8で生成した画像データの画素値のヒストグラムの平均値を、『暗時画素値の平均値Ave』として改めて算出する(ステップS3で求めた『暗時画素値の平均値Ave』は更新される)。また、MPU56は、図4(b)に示すように、このヒストグラムの平均値Aveを基準とした『標準偏差σ』を算出する。さらに、MPU56は、ステップS4と同様に、入力Xに対してY=X0.45となる出力Yを与えるテーブルデータを、X軸方向にAveだけシフトさせる(図5(a))。なお、『暗時画素値の平均値Ave』及び『標準偏差σ』の算出は、R、G、Bのそれぞれに対して行われ、シフト処理もR、G、Bのそれぞれのテーブルデータに対して行われる。
MPU56は、マルチスキャンモードに設定されているか否かを判定する。設定されている場合、ステップS11に進み、標準偏差σを補正した後、ステップS12に進む。設定されていない場合、標準偏差σの補正を行わずに(ステップS11を飛ばして)ステップS12に進む。
MPU56は、マルチスキャンの回数(本スキャンでは原稿68を何回読み取って平均するか)に合わせて、先に算出した標準偏差σを補正する。通常、マルチスキャンにより原稿68をn回読み取って平均すれば、ノイズの大きさ(σの大きさ)は、約1/√n倍になる。従って、例えばマルチスキャン16回に設定されている場合、図4(c)に示すように、標準偏差σを1/4倍に補正する。ここで、スキャン回数に応じて補正するのは、標準偏差σのみで充分と考えられる。なぜなら、スキャン回数を増やしても『暗時画素値の平均値Ave』は大きく変わらないと考えられるからである。
MPU56は、図5(b)に示すように、ステップS9でシフトしたテーブルデータにおける、Ave−2σ≦X≦Ave+2σの範囲を、単調増加で連続するY=f(X) で置き換える。なお、0≦X≦Ave−2σの範囲では、Y=0をそのまま適用し、Ave+2σ≦Xの範囲では、Y=(X−Ave)0.45 をそのまま適用する。
MPU56は、原稿68の読み取りを開始する位置にCCDブロックを移動させるように、走査駆動機構32に指令する。
[ステップS14]
MPU56は、CCDブロックを走査して原稿68の全面を読み取らせるように、走査駆動機構32に指令する(本スキャン)。このとき、マルチスキャンモードに設定されていれば、その回数だけ原稿68の読み取りが行われる。
図6(a)に示すように、従来は、ヒストグラムにしたときにおよそ正規分布する暗時画素値の平均値を黒レベルに設定していた。具体的には、本スキャンでの各画素値から暗時画素値の平均値が差し引かれるようにした後、図5(a)に示したY=X0.45のテーブルデータを用いて画像処理を行っていた。しかし、このような黒レベルの設定方法を暗時の画像データに適用した場合、図6(b)に示すように、画素値が平均値未満である約半分の画素は、画素値ゼロにされる(クリップされる)。従って、このような黒レベルの設定方法を本スキャンの画像データに適用すると、画素値ゼロ(黒色に相当)の画素が多くなるので、ノイズが階調飛びしているように見える。この結果、唐突にノイズで生じているように見えるので、ノイズ感が悪く、ぼつぼつ感が生じることを本発明者は解明した。
第1に、暗時画素値の平均値Aveを求めた後、各画素値から平均値Aveを差し引かず、Y=X0.45のテーブルデータを平均値Aveだけシフトさせることにより、画素値に含まれる暗信号成分の消去を図る。そして、Ave+2σ≦Xの範囲では、シフトさせたテーブルデータに基づいて画像処理を行う。従って、原稿68が示す色は、Ave+2σ≦Xの範囲、即ち、殆どの階調で正確に再現される。
[1] 本実施形態では、暗時画素値を測定して、テーブルデータを補正する例を述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、暗時画素値の平均値Ave、及び標準偏差σを予め設定しておき、ステップS9ではこれら予め設定した値を用いて、ステップS1〜S4、S8の処理を省略してもよい。この場合は請求項1、請求項2及び請求項5に対応し、光源の消灯による暗時ノイズの測定を省略できるので、制御系統が簡単になる。
ラインセンサ28から出力された時点での暗時信号電圧の平均値をAve’とすれば、例えば図7(a)に示すように、A/D変換時に、『Ave’−2σ』分クリップしてもよい。この場合は、ステップS9において、図7(b)に示すように、Y=X0.45のテーブルデータを、X軸方向に2σだけシフトさせる。そして、ステップS12において、シフトしたテーブルデータにおける0≦X≦4σの範囲を、Y=f(X)で置き換える。
[4] R、G、Bの画像信号を扱う例を述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、輝度信号Y、色差信号Cr、Cbからなる画像信号に対しても、本発明は適用可能である。
[6] 本スキャンで生成される画像データに対して、暗部のノイズ感を改善する例を述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えばプリスキャンでの画像がパソコン画面に表示される場合に備えて、プリスキャンでの画像データに対しても暗部のノイズ感を改善してもよい。この場合、ステップS4の処理内容を、以下のように変更すればよい。
請求項記載の『光電変換部』は、『照明光学系12、ミラー20、レンズ24、ラインセンサ28、走査駆動機構32、タイミングジェネレータ36、A/D変換部40、及びこれらに画像データを生成させるMPU56の機能』に対応する。なお、原稿を読み取って画像データを生成する動作の詳細は公知なので、説明を省略した。
請求項記載の『暗時ノイズの分散に応じた量』は、『2σ』に対応する。
請求項記載の『黒レベル設定部』は、『暗時画素値の平均値Ave及び標準偏差σを求めて、テーブルデータを平均値Aveだけシフトさせて、シフトさせたテーブルデータにおけるAve−2σ≦X≦Ave+2σの範囲をY=f(X)で置き換えるMPU56の機能』に対応する。
請求項記載の『暗時ノイズが変化する条件』は、『マルチスキャンの回数、ラインセンサ28の出力ゲイン、ラインセンサ28の電荷蓄積時間、撮像時の温度、解像度圧縮、原稿の種類等』に対応する(ステップS11参照)。
請求項記載の『対応関係情報』は、『ガンマ補正などの階調変換を行うテーブルデータ(換算式でもよい)』に対応する。
12 照明光学系
16 原稿保持機構
20 ミラー
24 レンズ
28 ラインセンサ
32 走査駆動機構
36 タイミングジェネレータ
40 A/D変換部
44 画像処理部
48 インターフェース回路
52 システムバス
56 MPU
60 メモリ
68 原稿
Claims (5)
- 光電変換により、複数の画素信号からなる画像データを生成する光電変換部と、
暗時ノイズの平均値を示す前記画素信号を基準として、前記画像データの黒レベルを、前記基準から、前記暗時ノイズの分散に応じた量だけ暗い色を示す側にずらして設定して、前記分散に応じた量だけ前記基準より暗い色を示す前記画素信号と、前記基準との間の前記画素信号の階調を残す黒レベル設定部と
を備えていることを特徴とする撮像装置。 - 請求項1記載の撮像装置において、
前記黒レベル設定部は、前記暗時ノイズの平均値及び前記分散としてそれぞれ予め定めた値を用いることにより、前記黒レベルを、前記光電変換部が前記画像データを生成する条件に拘わずに同じに設定する
ことを特徴とする撮像装置。 - 請求項1記載の撮像装置において、
前記黒レベル設定部は、前記暗時ノイズを測定する暗時ノイズ測定部を備え、前記暗時ノイズ測定部の測定結果に基づいて前記分散を求め、求めた前記分散に応じて前記黒レベルを設定する
ことを特徴とする撮像装置。 - 請求項1または請求項3記載の撮像装置において、
前記黒レベル設定部は、前記光電変換部が前記画像データを生成する時の前記暗時ノイズが変化する条件に応じて、前記暗時ノイズの分散を補正した後、前記黒レベルを、補正した前記分散に応じた量だけ前記基準からずらして設定する
ことを特徴とする撮像装置。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の撮像装置において、
複数の入力画素値に対して、それぞれ出力画素値を与える対応関係情報を用いて、前記画像データに階調変換を施す画像処理部を備え、
前記黒レベル設定部は、前記対応関係情報における、前記黒レベルを示す入力画素値に対応する出力画素値Aと、前記分散に応じた量だけ前記基準より明るい色を示す入力画素値に対応する出力画素値Bとの間の出力画素値を、前記分散に応じて以下の(1)、(2)のように補正する
(1)前記出力画素値Aを、前記黒レベルを示す画素値にする
(2)前記出力画素値A及び前記出力画素値B間を、単調増加で連続するように補間する
ことを特徴とする撮像装置。
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