JP4085146B2 - オゾン発生装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気体プラズマ放電によるオゾン発生装置に関し、特に、民生用の脱臭、殺菌、防かび、アルカリイオン水の製造等に用いるオゾン発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
オゾン発生装置は、従来より種々のタイプがあるが、その中で、図1に示すように、両端を封じてガスを封入したガラス管1,2の一端部のみに電極3,4の設けられた2本の単電極ガス封入ガラス放電管5,6を、上記電極位置が互いに逆向きにして略平行に配設し、その2本の電極3,4に高周波電圧を印加することでオゾンを発生する装置がある(例えば、特許文献1参照。)。尚、図1において、1´、2´は2本の放電管5,6を並設するための結束バンドである。
【0003】
かかる従来例において、両電極間に10KV/45KHzの高周波電圧を印加して15ppmのオゾンを発生させた場合に、累積高周波電圧印加時間とオゾン発生環境によって放電管周辺に白色の結晶物が堆積されることが判明した。この堆積物は図2の7に示されるように対接する放電管5,6の接合部から電極の引き出し部8,9まで堆積され、オゾン発生量に影響することが判明した。尚、図2において、10は発振回路、11は昇圧トランス、12は同トランス11の2次巻線を示す。
【0004】
図3は、累積高周波印加時間に対しオゾン発生量の変化を示している。周辺環境(温度と湿度)が25℃/60%のとき(以下、A環境と略記する。)のオゾン発生量A´に対し、周辺環境が25℃/90%となったとき(以下、B環境と略記する。)のオゾン発生量B´が、1500時間をこえた範囲で大幅に減少していることが判る。
【0005】
この原因は、図2の堆積物7がA環境時よりもB環境時における堆積物の密度が多くなるために相対する放電管の電界印加に影響を与えるためである。またこの現象を電気回路的に見ると、堆積物7は放電管5,6の電極引き出し部8,9の近傍まで堆積されることから、昇圧トランス11の負荷側より見たインピーダンスも堆積物7の発生量に比例して低下することが判明した。すなわち、発振回路10の負荷インピーダンスが低下すると、昇圧トランス11を介して印加される二次巻線12よりの印加電圧も低くなり、オゾン発生量を減少させる結果となる。
【0006】
しかも、堆積物7の堆積状況は放電管の形状、対向する放電管のギャップ、印加される高周波電圧、発振回路の出力インピーダンス等々によって変化するが、図3の従来例で急峻にオゾン量が減少する分岐点Pが電気回路的に重大な問題を引き起こす要因となる。
【0007】
すなわち、B環境において累積印加時間が1500時間までは堆積物7の堆積量に比例して電極引き出し部8,9両端から見たインピーダンスは低下して、オゾン発生量が低下する。累積印加時間が1500時間に達すると堆積物7の絶縁破壊が発生して、堆積物7がコロナ放電の断続的な印加によってカーボン化して、急激なインピーダンス低下が起こり二次巻線12の電圧が低下すると同時に発振回路10は過負荷状態となってしまう。その結果、後述する発振回路10内のトランジスター等の電子部品の発熱を加速して、熱暴走状態としてしまう危険性があった。
【0008】
次に堆積物7の発生は前述したような累積印加時間以外に印加高周波電圧にも大きく依存する。図4に印加高周波電圧を10.0KVと8.0KVとしたときのオゾン発生量の累積高周波印加時間に対する変化を示す。従って、必要オゾン量に対して最低の高周波印加電圧で動作させることが望ましい。
【0009】
しかし、一般的に印加高周波電圧を発生する回路は、図5で示されるような自励式のインバーター回路が用いられ、昇圧トランスTの巻き数比で一義的に決定されることから、負荷に対応して最適点に調整することが困難であった。図5の詳細説明はここでは省略する。
【0010】
【特許文献】
特許第2644973号公報(第1〜3頁、図4)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記に鑑みなされたもので、堆積物が堆積されても電気回路的に放電管のインピーダンスの低下を招かない、放電管の実装構造を提供するもので極めて組み立てやすい量産効率にも配慮したオゾン発生装置を提供するものである。また、インバーター回路内のキックバック電圧を可変することで、必要オゾン量に対して最適の高周波印加電圧を与えるためのインバーター回路をも提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明請求項1の発明は、ガスを封入したガラス管の一端部のみに電極が設けられた2本の単極型ガス封入放電管の上記電極の引き出し部を樹脂絶縁体で包囲するとともに、上記2本の放電管を上記電極位置が互いに逆向きで、かつほぼ平行に近接して並設し、上記2本の放電管に高周波電圧を印加するようにしたことを特徴とするオゾン発生装置であり、従来のような堆積物の堆積があったとしても、電気回路的に放電管のインピーダンスの低下を招かず、オゾン発生の安定的な供給が可能となる。
【0013】
又、請求項2の発明は、絶縁板体の左右端部に絶縁体よりなる中空箱部を立設し、ガスを封入したガラス管の一端部のみに電極が設けられた2本の単極型ガス封入放電管を上記電極位置が互いに逆向きで、かつほぼ平行に近接して並設し、上記電極が設けられたそれぞれの端部を上記中空箱部の壁部に設けられた溝又は孔を経て上記中空箱部内に収納し、他方の無電極側端部は上記中空箱部外に位置するようになし、上記2本の放電管に高周波電圧を印加するようにしたことを特徴とするオゾン発生装置であり、絶縁体よりなる中空箱部の内外に放電管の端部を位置させることによって2本の放電管間の絶縁が良好となり、従来のような堆積物の生成があったとしても、電気回路的に放電管のインピーダンスの低下を招かず、オゾン発生の安定的な供給が可能となる。
【0014】
又、請求項3の発明は、絶縁板体の左右端部に絶縁体よりなる中空箱部を立設し、ガスを封入したガラス管の一端部のみに電極が設けられた2本の単極型ガス封入放電管を上記電極位置が互いに逆向きで、かつほぼ平行に近接して並設し、上記電極が設けられたそれぞれの端部を上記中空箱部の壁部に設けられた溝又は孔を経て上記中空箱部内に収納し、他方の無電極側端部は上記中空箱部外に位置するようになすとともに、上記中空箱部内に絶縁材を充填し、上記2本の放電管に高周波電圧を印加するようにしたことを特徴とするオゾン発生装置であり、放電管の電極引き出し部を絶縁体で包囲するための簡便で、確実な手段を提供する。
【0015】
又、請求項4の発明は、ガスを封入したガラス管の一端部のみに電極が設けられた2本の単極型ガス封入放電管の上記電極の引き出し部側のそれぞれを、一方に上記放電管外径と略同一径の貫通孔と他方に上記電極の引き出し部と略同一径の貫通孔を有するブッシングによって被覆するとともに、上記2本の放電管を上記電極位置が互いに逆向きで、かつほぼ平行に近接して並設し、上記2本の放電管に高周波電圧を印加するようにしたことを特徴とするオゾン発生装置であり、従来のような堆積物が生成されても電気回路的に放電管のインピーダンスの低下を招かず、オゾン発生の安定的な供給が可能な簡便な構造を提供するものである。
【0016】
更に又、請求項5の発明は、請求項1〜4の何れかに記載のオゾン発生装置であって、高周波電圧を発生するインバーター回路のキックバック電圧を可変にすることを特徴とするオゾン発生装置であり、必要なオゾン量に対して最適の高周波印加電圧を供給することを可能にし、堆積物の発生を極力おさえる等、高効率のオゾン発生装置を提供する。
【0017】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。図6は本発明の一実施例の斜視図である。図6において、21はオゾンに侵されない塩化ビニール、フッ素系樹脂、ACS(商品名)等の材質からなる絶縁板体で、左右端部に中空箱部22,23を立設している。24,25はガスを封入したガラス管の一端部のみに電極26,27が設けられた2本の単極型ガス封入放電管であり、上記電極26,27が設けられたそれぞれの端部、即ち電極引き出し部26´,27´を上記中空箱部の壁部28,29に設けられた溝又は孔30,31を経て上記中空箱部22,23内に他方の無電極側端部32,33は上記中空箱部22,23の外に位置するように配置している。
【0018】
その後、中空箱部22,23内にはシリコン樹脂等の絶縁材を気泡を除去しながら充填し、電極引き出し部26´、27´を完全な絶縁構造としたものである。
【0019】
本発明の第一の実施例はこのような構成からなるオゾン発生装置を提供するもので、上記した堆積物が放電管24,25に堆積しても、電極引き出し部26´、27´が中空箱部22,23内のシリコン樹脂等と箱体壁部28,29によって完全に電気的に絶縁されているため、堆積物の電気的な要因によるオゾン減衰を完全になくすることができた。また、前記した堆積物のカーボン化によるインピーダンスの低下も前記構成からその影響がなくなり、本発明はトランジスターの熱暴走のような致命的な欠陥が防止できる有効な手段である。
【0020】
さらに、中空箱部22,特にその壁部28を詳細に示したものが図7で、例えば図6に示す放電管25の無電極側端部32は図示形状の放電管受け部38によって支持する構造となっている。また、2本の放電管24,25の間隔は溝30と放電管受け部38の内側との間隔lによって決定できる。
【0021】
尚、上記の実施例は中空箱部22,23内にシリコン樹脂等の絶縁材を充填した事例であるが、絶縁材の中空箱部内への充填は必ずしも必要でない。すなわち充填しない状態でも、電極引き出し部が中空箱部内に収納されているため絶縁体よりなる中空箱部によって従前のような事例よりも格段に電極引き出し部間の絶縁が高まり堆積物の生成があったとしても、電気回路的に放電管のインピーダンスの低下を招かない。
【0022】
図8は本発明の第二の実施例で、放電管24,25の電極引き出し部26´、27´をオゾンに侵されにくいシリコン等の材料で成型した、一方に放電管外径と略同一径の貫通孔を他方に電極引き出し部と略同一径の貫通孔を有するブッシング39,40内に挿入し、シリコン電線等34,35によってブッシング39,40のもう一方の側より引き出した構成とし、さらに放電管24,25をブッシングの側壁41,42に密着させて結束バンド43,44で結束させたものである。勿論、結束バンドもオゾンに侵されないシリコン等の材料で出来ている。
【0023】
第二の実施例の場合には、放電管24,25のギャップはブッシングの側壁41,42の肉厚で決定される。前述した堆積物7は放電管24,25の近傍部分に最も多く発生するものであるから、放電管24,25が密着していた場合には累積高周波印加時間の比較的早い段階で堆積物による電気的短絡が発生する。放電管24,25にギャップを設けることで、密着していた場合に比較して堆積物7による電気的短絡を起こりにくくすることが出来る。したがって、放電管24,25のギャップは大きくするにこしたことはないが、表1に一事例を示すようにギャップを大きくとりすぎるとオゾン発生量を減少させてしまう傾向がある。
【0024】
そこで、最終的な堆積物7の堆積時間即ち、累積高周波印加時間を延ばすためのギャップ巾の拡大はオゾン量の発生量とのバランスで決定される。
【0025】
【表1】
Figure 0004085146
【0026】
次に前述したオゾン発生量を必要最低限に調整するための、印加高周波電圧を可変できる回路について説明を行う。
【0027】
図9は本発明に於ける回路実施例を示し、電源としてAC100V入力の自励インバーター回路である。端子45,46よりAC100Vが入力され、ノイズフイルター回路47を経て全波整流ブリッジ49で整流されて直流電圧が平滑コンデンサー50に充電される。係る直流電圧はインバーター回路を介して負荷の放電管ブロックC(例えば第一の実施例のオゾン発生部)へ印加高周波電圧を供給する構成からなっている。
【0028】
本回路実施例における基本回路部は一般的に知られた回路構成によるため、詳細な動作説明は省略するが、印加高周波電圧を可変するための回路として、トランジスター55のベース側に発生する昇圧トランス48の一次巻線56のキックバック電圧と比例したベース巻線57の電圧をバイパスする回路58を設けたものである。バイパス回路58は高周波ダイオード52、抵抗53、可変抵抗54で構成され、ベース巻線57に発生する発振休止期間のキックバック電圧を可変抵抗54により適時に放出するものである。
【0029】
この状況を放電管ブロックCへの印加高周波電圧と一次巻線56のキックバック電圧の関連で示したものが図10である。印加高周波電圧は図示の59で、トランジスター55のコレクター・エミッター間電圧をVc−e60,61,62で示している。
【0030】
今、可変抵抗54の抵抗値の低かった場合にはキックバック電圧を多くバイパスするのでVc−e60の肩部電圧60´が低くなり、印加高周波電圧が12.0KVとなる。一方、可変抵抗54の抵抗値が高かった場合にはキックバック電圧のバイパス量が少なくなりVc−e62の肩部電圧62´が高くなり、印加高周波電圧が7.8KVとなるものである。尚、61,61´はそれらの中間のVc−e及び肩部電圧を示すもので、印加高周波電圧は10.2KVとなっている。
【0031】
本発明の回路実施例はこの様にインバーター回路のベース側に挿入した可変抵抗54の抵抗値で印加高周波電圧を可変できるので、負荷である放電管ブロックCに必要最小限の電圧に出力を調整できる特徴がある。また、可変抵抗54の抵抗値と印加高周波電圧の関連を示したグラフが図11の様になり、ほぼ直線的な比例関係となっている。さらに、本発明の回路実施例にはインダクター63を設けている。この目的は前述した如く堆積物がカーボン化して、インバーター回路51が過負荷になっても発振停止を起こさせないための回路である。また、発光ダイオードを含む表示回路64は放電管ブロック52の動作を表示するための回路である。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、2本の単極型ガス封入放電管を近接並設し、上記電極間に高周波電圧を印加する型のオゾン発生装置において、従来問題となった放電管周辺に堆積される堆積物の量を減らすことに成功し及び堆積物による弊害をなくし、高温高湿度等の悪条件下でもオゾンの発生量減少を極力抑えることが出来、装置の長寿命化を図ることができた。
【0033】
又、高周波電圧印加回路のキックバック電圧の可変回路を採用すれば、出力の高周波電圧を可変にできるので最適の電圧に簡単に調整することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のオゾン発生装置の要部を説明するための図。
【図2】従来のオゾン発生装置の問題点を説明するための図。
【図3】従来のオゾン発生装置の特性の一例を示す図。
【図4】従来のオゾン発生装置の特性の一例を示す図。
【図5】従来のオゾン発生装置に使われる高周波電圧発生回路図。
【図6】本発明の一実施例におけるオゾン発生装置の要部を示す斜視図。
【図7】本発明の一実施例におけるオゾン発生装置の要部の一部切欠斜視図。
【図8】本発明の他の実施例におけるオゾン発生装置の要部の斜視図。
【図9】本発明の一実施例に使われる高周波電圧発生回路図。
【図10】オゾン発生装置の高周波電圧発生回路の特性を示す図。
【図11】オゾン発生装置の高周波電圧発生回路の特性を示す図。
【符号の説明】
21 絶縁板体
22,23 中空箱部
24,25 単極型ガス封入放電管
26,27 電極
26´、27´ 電極引き出し部

Claims (5)

  1. ガスを封入したガラス管の一端部のみに電極が設けられた2本の単極型ガス封入放電管の上記電極の引き出し部を樹脂絶縁体で包囲するとともに、上記2本の放電管を上記電極位置が互いに逆向きで、かつほぼ平行に近接して並設し、上記2本の放電管に高周波電圧を印加するようにしたことを特徴とするオゾン発生装置。
  2. 絶縁板体の左右端部に絶縁体よりなる中空箱部を立設し、ガスを封入したガラス管の一端部のみに電極が設けられた2本の単極型ガス封入放電管を上記電極位置が互いに逆向きで、かつほぼ平行に近接して並設し、上記電極が設けられたそれぞれの端部を上記中空箱部の壁部に設けられた溝又は孔を経て上記中空箱部内に収納し、他方の無電極側端部は上記中空箱部外に位置するようになし、上記2本の放電管に高周波電圧を印加するようにしたことを特徴とするオゾン発生装置。
  3. 絶縁板体の左右端部に絶縁体よりなる中空箱部を立設し、ガスを封入したガラス管の一端部のみに電極が設けられた2本の単極型ガス封入放電管を上記電極位置が互いに逆向きで、かつほぼ平行に近接して並設し、上記電極が設けられたそれぞれの端部を上記中空箱部の壁部に設けられた溝又は孔を経て上記中空箱部内に収納し、他方の無電極側端部は上記中空箱部外に位置するようになすとともに、上記中空箱部内に絶縁材を充填し、上記2本の放電管に高周波電圧を印加するようにしたことを特徴とするオゾン発生装置。
  4. ガスを封入したガラス管の一端部のみに電極が設けられた2本の単極型ガス封入放電管の上記電極の引き出し部側のそれぞれを、一方に上記放電管外径と略同一径の貫通孔と他方に上記電極の引き出し部と略同一径の貫通孔を有するブッシングによって被覆するとともに、上記2本の放電管を上記電極位置が互いに逆向きで、かつほぼ平行に近接して並設し、上記2本の放電管に高周波電圧を印加するようにしたことを特徴とするオゾン発生装置。
  5. 請求項1〜4に記載のいずれかのオゾン発生装置であって、高周波電圧を発生するインバーター回路のキックバック電圧を可変にすることを特徴とするオゾン発生装置。
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