JP4084501B2 - α−メルカプトカルボン酸およびその製造方法 - Google Patents
α−メルカプトカルボン酸およびその製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医農薬の重要な中間体となるα-メルカプトカルボン酸の製造方法、ならびに新規なα-メルカプトカルボン酸とその誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平09−235282号公報には、2−アルキル−3−アミノチオフェン誘導体が農園芸用の優れた殺菌剤であることが記載されている。2−アルキル−3−アミノチオフェン誘導体の製造方法において、式(5)(化13)
【0003】
【化13】
〔式中、R1およびR2は、C1−C6アルキルもしくは、共に置換されていてもよいC5−C8シクロアルカンの構成要素となっている〕で表されるα-メルカプトカルボン酸は重要な中間体になる。本発明者らは、α-メルカプトカルボン酸の製造方法を検討する中で、チアゾリジン−2,4−ジオンとカルボニル化合物の縮合反応に注目した。
【0004】
これまで、チアゾリジン−2,4−ジオンとカルボニル化合物との反応については、縮合反応とそれに続く接触水素添加反応によって、チアゾリジン−2,4−ジオンの5位にアルキル鎖を導入する方法が、いくつか開示されている。しかし、そのような例は、出発原料であるカルボニル化合物が、すべて芳香族アルデヒドであり、結果としてチアゾリジン−2,4−ジオンの5位に一級アリールメチレン基を置換した化合物が得られている。すなわち、これらの文献には、出発原料に脂肪族アルキルケトンを用い、結果としてチアゾリジン−2,4−ジオンの5位に二級アルキルを置換した化合物を得るような記述は一切見られない。
【0005】
脂肪族アルキルケトンとチアゾリジン−2,4−ジオンの反応例としては、Journal of Organic Chemistry 1956年 21巻 1269−1271頁に記載されている。この文献においては、下記一般式(8)(化14)
【0006】
【化14】
〔式中、R3は、C1−C6アルキル〕で示される脂肪族ケトンとチアゾリジン−2,4−ジオンとを縮合反応させることによって一般式(9)(化15)
【0007】
【化15】
〔式中、R3は、C1−C6アルキル〕で示される化合物を得ている。このときの反応条件としては、触媒量の酢酸とピペリジンの存在下、ベンゼン中で行うか、アンモニア水と塩化アンモニウム水溶液の存在下、エタノール中で行うものである。前者の条件では、R3がメチルの場合に限り収率87%という好成績を与えるものの、メチル基以外のアルキル基ではいずれも収率が50%以下であった。後者の条件では、R3の如何に関わらず、いずれも50%以下の低収率であった。また、この文献中には、得られた5−アルキリデンチアゾリジン−2,4−ジオンを還元して、相当する5−アルキルチアゾリジン−2,4−ジオンを合成するような記載は全く見られない。
【0008】
【発明が解決するための課題】
Journal of Organic Chemistry 1956年 21巻 1269−1271頁の反応例に従って、本発明者らが実際に追試を行ってみたところ、目的の5−アルキリデンチアゾリジン−2,4−ジオンは得られたものの、文献記載の通り低収率であった。さらに、この合成法で得られた5−アルキリデンチアゾリジン−2,4−ジオンを次工程の接触水素添加反応に用いたところ、反応が全く進行しないという問題があることがわかった。
【0009】
よって本発明は、脂肪族アルキルケトンとチアゾリジン−2,4−ジオンとの縮合反応とそれに続く接触水素添加反応を、高収率かつ工業的な手法で進行させ、これを加水分解することにより、α-メルカプトカルボン酸を得る製造法を確立することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の接触水素添加反応が進行しない理由について検討を重ねた。その結果、接触水素添加反応が進行しない理由は得られた5−アルキリデンチアゾリジン−2,4−ジオン中に存在する微量の副生物にあることが判明した。そして、この副生物はチアゾリジン−2,4−ジオンと脂肪族アルキルケトンとの縮合反応において、水もしくはアルコールが反応系内に大量に存在すると生成することを見いだした。
【0011】
また、脂肪族アルキルケトンとチアゾリジン−2,4−ジオンとの縮合反応は、原料ケトンがアミン類によってイミノ体となって活性化され、これが反応するものと思われる。しかし、本発明者らの検討によれば二級や三級アミンはこの活性化能が弱いため、反応収率が低くなり、加えて次工程の反応を阻害するような副生物も多かった。そこで、脂肪族アルキルケトンとチアゾリジン−2,4−ジオンとの縮合反応を、アンモニアガス、もしくは一級アルキルアミン、もしくはそれらのアミン類(ここにおいてアミン類とはアンモニアガス、一級アルキルアミンを指す)の炭酸塩、重炭酸塩あるいは酢酸塩の存在下、脱水条件で行うと、高収率で進行し、さらに次工程の接触水素添加反応を妨げる副生物が全く生成しないことを見いだした。これによって、工業的プロセスにも対応できるα-メルカプトカルボン酸の製造法を確立した。
【0012】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 式(1)(化16)
【0013】
【化16】
で表されるチアゾリジン−2,4−ジオンと式(2)(化17)
【0014】
【化17】
〔式中、R1およびR2は、C1−C6アルキル基もしくは、共に置換されていてもよいC5−C8シクロアルカンの構成要素となっている〕で表されるカルボニル化合物とを、アンモニアの炭酸塩、重炭酸塩あるいは酢酸塩の存在下、縮合反応させることを特徴とする式(3)(化18)
【0015】
【化18】
〔式中、R1およびR2は、前記と同じ意味を示す〕で表される化合物の製造方法。
[2] 式(4)(化19)
【0018】
【化19】
〔式中、R1およびR2は、C1−C6アルキル基もしくは、共に置換されていてもよいC5−C8シクロアルカンの構成要素となっている〕で表される化合物を加水分解反応させて、式(5)(化20)
【0019】
【化20】
〔式中、R1およびR2は、前記と同じ意味を示す〕で表されるα-メルカプトカルボン酸を得る製造方法。
[3]式(1)(化21)
【0020】
【化21】
で表されるチアゾリジン−2,4−ジオンと式(2)(化22)
【0021】
【化22】
〔式中、R1およびR2は、C1−C6アルキル基もしくは、共に置換されていてもよいC5−C8シクロアルカンの構成要素となっている〕で表されるカルボニル化合物をアンモニアガス、一級アルキルアミン、もしくはそれらのアミン類の炭酸塩、重炭酸塩あるいは酢酸塩の存在下、縮合させることによって式(3)(化23)
【0022】
【化23】
〔式中、R1およびR2は、前記と同じ意味を示す〕で表される化合物を得、これを接触水素添加反応させることによって式(4)(化24)
【0023】
【化24】
〔式中、R1およびR2は、前記と同じ意味を示す〕で表される化合物を得、さらにこれを加水分解反応させることによって得られることを特徴とする式(5)(化25)
【0024】
【化25】
〔式中、R1およびR2は、前記と同じ意味を示す〕で表されるα-メルカプトカルボン酸の製造方法。
[4]式(6)(化26)
【0025】
【化26】
で表される5−アルキルチアゾリジン−2,4−ジオン。
[5]式(7)(化27)
【0026】
【化27】
で表されるα-メルカプトカルボン酸。
【0027】
【発明実施の形態】
式(1)で表されるチアゾリジン−2,4−ジオンと式(2)で表される脂肪族アルキルケトンから、式(3)で表される5−アルキリデンチアゾリジン−2,4−ジオンを得るには、無溶媒下あるいは溶媒の存在下、縮合剤を添加して反応させればよい。無溶媒でも反応は進行するが、反応で生ずる水によって平衡が成立し、基質のチアゾリジン−2,4−ジオンが少量残る場合がある。また、生じた少量の水によって微量の副生物が生じ、これが次工程の接触水素添加反応の成績を低下させる原因になる。したがって、反応は溶媒中で無水硫酸マグネシウムのような乾燥剤を添加するか、共沸脱水によって反応で生ずる水を除去しながら進行させる等、脱水条件下で反応を完結させることが好ましい。
【0028】
反応に使用される溶媒の種類としては、本反応に直接関与するアルコール類か水以外のものであれば特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテルのようなエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンのような塩素化された炭化水素類が用いられる。
このとき、溶媒の使用量は、基質のチアゾリジン−2,4−ジオンの1〜50倍の重量である。通常、式(1)で表されるチアゾリジン−2,4−ジオンに対し、式(2)で表される脂肪族アルキルケトンは、1.0〜10.0当量用いる。
【0029】
縮合剤は、アンモニアガスもしくは一級アルキルアミン、もしくはそれらのアミン類(ここにおいてアミン類とはアンモニアガス、一級アルキルアミンを指す)の炭酸塩あるいは重炭酸塩あるいは酢酸塩が用いられる。なかでも、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウムのようなアンモニウム塩が好ましい。通常、縮合剤の添加量は、基質のチアゾリジン−2,4−ジオンに対して、0.1〜4.0倍モル用いられるが、好ましくは、0.2〜1.0倍モルである。反応温度は、20〜140℃であり、好ましくは50〜100℃である。
【0030】
式(3)で表される化合物から、式(4)で示される化合物を得るには、溶媒中、金属触媒存在下、水素ガスを作用させることによって達成できる。溶媒は、エタノール、メタノールのようなアルコール溶媒、トルエンのような芳香族炭化水素、酢酸のような酸性溶媒中で行うことが出来、その使用量は、基質の1〜100倍の重量であり、好ましくは、2〜20倍である。
金属触媒としては、パラジウムカーボンもしくはラネーニッケルを用いることができる。触媒の使用量は、基質の1.0〜100wt%であり、好ましくは、10〜30wt%である。パラジウムカーボン使用時は、溶媒として、アルコールか酢酸が好ましく、ラネーニッケル使用時は、溶媒としてアルコールかトルエンが好ましい。水素圧は、1〜100気圧の範囲で行うことができるが、好ましくは20〜50気圧である。反応温度は、20−100℃で行うことができるが、50〜90℃が好ましい。
【0031】
式(4)で表される化合物から、式(5)で表される化合物を得るには、通常の加水分解反応のように、アルコールと水の混合溶媒中、塩基として水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムを用いることによって、達成できる。塩基は原料に対し2〜4倍モル使用し、反応温度は還流温度で行うが、好ましくは、70〜100℃である。
【0032】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
〈実施例1〜4と比較例1〜2における高速液体クロマトグラフィーの分析条件〉
(使用機器)
検出器:JASCO UV−970
送液ポンプ:JASCO PU−980
カラムオーブン:JASCO 860−CO
カラム:JASCO L−Column ODS(4.6×250mm)
(測定条件)
溶離液:アセトニトリルとリン酸緩衝液を1対1の体積で混合した液(リン酸緩衝液は、50mMのリン酸二水素カリウム水溶液にリン酸を加え、pH3に調整したものを用いた。)
検出波長:254nm
溶離液流速:1.0ml/min
カラム温度:40℃
内部標準物質:ナフタレン
【0033】
[実施例1] 5−(1,3−ジメチルブチリデン)チアゾリジン−2,4−ジオンの合成
メチルイソブチルケトン8.55g(85.4mmol)とチアゾリジン−2,4−ジオン5.0g(42.7mmol)をベンゼン10mlに懸濁させ、これに炭酸アンモニウム0.82g(8.54mmol)と無水硫酸マグネシウム7.20g(59.8mmol)を加えて撹拌し、90℃まで昇温した。そのまま、90℃で反応させ、その際、3,5,7,9時間後に炭酸アンモニウムを0.82gずつ反応液に追加した。また、7時間後には、同時にメチルイソブチルケトン4.28g(42.8mmol)と無水硫酸マグネシウム1.64g(13.6mmol)も追加した。11時間反応させた後、反応液を水にあけ、酢酸エチルで目的物を抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮することによって9.41gの黄色半固体を得た。高速液体クロマトグラフィーを用いた内部標準法による分析において、この半固体に含有する5−(1,3−ジメチルブチリデン)チアゾリジン−2,4−ジオンの重量は、8.07gであった(純度85.8%、反応収率94.8%)。上記で得られた黄色半固体に、n−ヘキサン10.0gを加え、昇温溶解させ、再結晶することにより、目的物である5−(1,3−ジメチルブチリデン)チアゾリジン−2,4−ジオンを6.89gの無色結晶として得た。高速液体クロマトグラフィーを用いた分析により、結晶の純度は、98.5%であった(y=79.8%)。
結晶は、E,Z体の混合物である。それぞれの物性値を示す。
E体:1H−NMR(270MHz,CDCl3)(δppm)
δ0.96(6H,d,J=6.6Hz),δ1.97(1H,m),δ1.97(3H,s),δ2.83(2H,m),δ8.75(1H,brs)
Z体:1H−NMR(270MHz,CDCl3)(δppm)
δ0.96(6H,d,J=6.6Hz),δ2.01(1H,m),δ2.09(2H,m),δ2.38(3H,s),δ8.77(1H,brs)
【0034】
[実施例2] 5−(1,3−ジメチルブチリデン)チアゾリジン−2,4−ジオンの合成
メチルイソブチルケトン8.55g(85.4mmol)とチアゾリジン−2,4−ジオン5.0g(42.7mmol)と炭酸アンモニウム0.82g(8.54mmol)をベンゼン20mlに懸濁させ、89℃まで昇温し、11.5時間反応させた。その際、反応開始から1,3,6,7時間後、反応液に炭酸アンモニウムを0.82gずつ、6時間後にメチルイソブチルケトンを4.28g追加した。反応器にはディーン・スターク管を装着し、ベンゼンと水の共沸物を取り除いた。除去した分のベンゼンは、適宜、反応液に戻した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にあけ、酢酸エチルで目的物を抽出した。有機層は飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮することによって、9.3gの黄色固体を得た。高速液体クロマトグラフィーを用いた内部標準法による分析において、この黄色固体に含有する5−(1,3−ジメチルブチリデン)チアゾリジン−2,4−ジオンの重量は、8.38gであった(純度90.1%、反応収率98.4%)。これをn−ヘキサン12gで再結晶することによって、目的物である5−(1,3−ジメチルブチリデン)チアゾリジン−2,4−ジオンを7.62gの淡黄色結晶として得た。高速液体クロマトグラフィーを用いた分析により、結晶の純度は、99.1%であった(y=88.7%)。
【0035】
[実施例3] 5−(1,3−ジメチルブチリデン)チアゾリジン−2,4−ジオンの合成
メチルイソブチルケトン17.1g(170.8mmol)とチアゾリジン−2,4−ジオン10.0g(85.4mmol)に炭酸アンモニウム1.64g(17.1mmol)を加え、100℃で4時間反応させた。反応液を炭酸水素ナトリウム水溶液にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機層は飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮することによって、16.49gの淡黄色固体を得た。高速液体クロマトグラフィーを用いた内部標準法による分析において、この淡黄色固体に含有する5−(1,3−ジメチルブチリデン)チアゾリジン−2,4−ジオンの重量は、14.4gであった(純度87.3%、反応収率84.9%)。これをn−ヘキサン20gで再結晶することによって、目的物である5−(1,3−ジメチルブチリデン)チアゾリジン−2,4−ジオンを12.2gの淡黄色結晶として得た。高速液体クロマトグラフィーを用いた分析により、結晶の純度は、98.8%であった(y=70.8%)。
【0036】
[実施例4] 5−(1,3−ジメチルブチリデン)チアゾリジン−2,4−ジオンの合成
メチルイソブチルケトン13.68g(136.6mmol)とチアゾリジン−2,4−ジオン8.0g(68.3mmol)に酢酸アンモニウム1.05g(13.7mmol)を加え、100℃で4時間反応させた。反応液を炭酸水素ナトリウム水溶液にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機層は飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮することによって、12.84gの黄色固体を得た。高速液体クロマトグラフィーを用いた内部標準法による分析において、この黄色固体に含有する5−(1,3−ジメチルブチリデン)チアゾリジン−2,4−ジオンの重量は、11.69gであった(純度91.0%、反応収率85.9%)。これをn−ヘキサン16gで再結晶することによって、目的物である5−(1,3−ジメチルブチリデン)チアゾリジン−2,4−ジオンを10.42gの淡黄色結晶として得た。高速液体クロマトグラフィーを用いた分析により、結晶の純度は、99.1%であった(y=75.9%)。
【0037】
[比較例1] 5−(1,3−ジメチルブチリデン)チアゾリジン−2,4−ジオンの合成
J.Org.Chem.,21,1269−1271(1956)記載の方法に従って、追試した。メチルイソブチルケトン17.10g(170.8mmol)とチアゾリジン−2,4−ジオン10.0g(85.4mmol)をトルエン100ml中に懸濁させ、ここに酢酸3.0mlとピペリジン1.0mlを加え、105℃で反応させた。反応器にはディーン・スターク管を装着し、トルエンと水の共沸物を取り除き、除去した分のトルエンは、適宜、反応液に戻した。3時間後、メチルイソブチルケトン8.50g、酢酸2.0ml、ピペリジン0.6mlを追加した。14時間後、原料が消失したので反応を終了し、反応液を水にあけ、トルエンで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮することによって、11.94gの黒褐色オイルを得た。高速液体クロマトグラフィーを用いた内部標準法によって分析すると、この黒褐色オイルに含有する5−(1,3−ジメチルブチリデン)チアゾリジン−2,4−ジオンの収量は、7.76gであり(純度65.0%、反応収率45.6%)、目的物以外に構造の同定できない不純ピークが数本検出された。これをn−ヘキサン30gで再結晶することによって、目的物である5−(1,3−ジメチルブチリデン)チアゾリジン−2,4−ジオンを8.46gの黄色固体として得たが、その結晶性は非常に悪かった。高速液体クロマトグラフィーを用いた分析により、固体の純度は、79.2%であり、再結晶前の不純ピークも検出された(y=39.4%)。
【0038】
[比較例2] 5−(1,3−ジメチルブチリデン)チアゾリジン−2,4−ジオンの合成
J.Org.Chem.,21,1269−1271(1956)記載の方法に従って、追試した。メチルイソブチルケトン8.55g(85.4mmol)とチアゾリジン−2,4−ジオン5.0g(42.7mmol)と28%アンモニア水2.85g(アンモニア47.0mmol)をエタノール23mlに溶解し、塩化アンモニウム水溶液(塩化アンモニウム:2.86g、53.4mmol、水:6ml)を加えた。加熱還流下(80℃)で6時間反応させると原料が消失したので、反応を終了した。反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮することによって、8.05gの黒褐色オイルを得た。高速液体クロマトグラフィーを用いた内部標準法によって分析すると、この黒褐色オイルに含有する5−(1,3−ジメチルブチリデン)チアゾリジン−2,4−ジオンの収量は、5.22gであり(純度64.8%、反応収率61.3%)、目的物以外に構造の同定できない不純ピークが数本検出された。これをn−ヘキサン18gで再結晶することによって、目的物である5−(1,3−ジメチルブチリデン)チアゾリジン−2,4−ジオンを5.59gの黄色結晶として得たが、その結晶性は悪かった。高速液体クロマトグラフィーを用いた分析により、固体の純度は、84.2%であり、再結晶前の不純ピークも検出された(y=55.3%)。
【0039】
[実施例5] 5−(1,3−ジメチルブチル)チアゾリジノン−2,4−ジオンの合成
実施例2で得られた5−(1,3−ジメチルブチリデン)チアゾリジノン−2,4−ジオン5.0g(25mmol)と酢酸50mlを加圧反応容器に加え、次に市販品の5%パラジウムカーボンを1.0g加えた後、反応容器内を水素に置換し、水素圧40kg/cm2、80℃で6時間撹拌した。反応後、触媒をろ過で取り除き、ろ液を減圧濃縮して5−(1,3−ジメチルブチル)チアゾリジノン−2,4−ジオンを5.0g得た。(収率99%)
1H−NMR(270MHz,CDCl3)(δppm)
δ0.92(6H,d,J=6.6Hz),δ0.98(3H,d,J=6.6Hz),δ1.18(2H,m),δ1.59(1H,m),δ2.58(1H,m),δ4.40(1H,d,J=3.6Hz),δ8.00(1H,brs)
【0040】
[実施例6] 5−(1,3−ジメチルブチル)チアゾリジノン−2,4−ジオンの合成
実施例2で得られた5−(1,3−ジメチルブチリデン)チアゾリジノン−2,4−ジオン5.0g(25mmol)と エタノール50mlを加圧反応容器に加え、次に市販品の5%パラジウムカーボンを1.0g加えた後、反応容器内を水素に置換し、水素圧40kg/cm2、80℃で15時間撹拌した。反応後、触媒をろ過で取り除き、ろ液を減圧濃縮して5−(1,3−ジメチルブチル)チアゾリジノン−2,4−ジオンを5.0g得た。(収率99%)
【0041】
[実施例7] 5−(1,3−ジメチルブチル)チアゾリジノン−2,4−ジオンの合成
実施例2で得られた5−(1,3−ジメチルブチリデン)チアゾリジノン−2,4−ジオン5.0g(25mmol)と エタノール50mlを加圧反応容器に加え、次に市販品のラネーニッケルを1.0g加えた後、反応容器内を水素に置換し、水素圧40kg/cm2、50℃で9時間撹拌した。反応後、触媒をろ過で取り除き、ろ液を減圧濃縮して5−(1,3−ジメチルブチル)チアゾリジノン−2,4−ジオンを4.3g得た。(収率85%)
【0042】
[実施例8] 5−(1,3−ジメチルブチル)チアゾリジノン−2,4−ジオンの合成
原料を実施例3で得られたものに代えた以外は、実施例5と同様の方法で反応を行った結果、5−(1,3−ジメチルブチル)チアゾリジノン−2,4−ジオンを4.15g得た。(収率83%)
【0043】
[比較例3] 5−(1,3−ジメチルブチル)チアゾリジノン−2,4−ジオンの合成
原料を比較例1で得られたものに代えた以外は、実施例5と同様の方法で反応を行った結果、水素化反応は全く進行しなかった。
【0044】
[比較例4] 5−(1,3−ジメチルブチル)チアゾリジノン−2,4−ジオンの合成
原料を比較例2で得られたものに代えた以外は、実施例5と同様の方法で反応を行った結果、水素化反応は全く進行しなかった。
【0045】
[実施例9] 3,5−ジメチル−2−メルカプト−1−ヘキサン酸の合成
5−(1,3−ジメチルブチル)−チアゾリジン−2,4−ジオン15.0g(74.5mmol)を水93mlに混ぜて撹拌した。その際、溶液中に青色シリカゲルを通した窒素ガスを吹き込んだ。1時間後、水酸化ナトリウム14.9g(372.6mmol)を一気に溶液に加え、80℃まで昇温した。8時間後、室温に戻した。エーテルを加えて分液し、水層を濃塩酸でpH.1にした。水層をエーテルで2回抽出して得た有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、減圧濃縮して得られた残渣を減圧蒸留することにより、b.p125−130℃/4mmHgで標記化合物10.7gを無色透明油状物として得た。収率81%。
1H−NMR(270MHz,CDCl3)(δppm)
δ0.90(6H,m),δ1.01(3H,d,J=6.9Hz),δ1.19(2H,m),δ1.64(1H,m),δ1.87〜2.13(2H,m),δ3.21(0.3H,d,J=7.3Hz),δ3.32(0.7H,d,J=6.6Hz),δ7.71(1H,brs)
【0046】
【発明の効果】
本発明により、医農薬中間体、特に農園芸用の優れた殺菌剤であるアミノチオフェン誘導体の中間体となるα-メルカプトカルボン酸が効率よく得られる。
Claims (8)
- 反応に溶媒として芳香族炭化水素類、エーテル類、エステル類、または塩素化された炭化水素類を用い、脱水条件下で縮合反応させることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- R1がメチル基、R2がイソブチル基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
- R1がメチル基、R2がイソブチル基であることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
- 式(1)(化6)
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