JP4084096B2 - ペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法 - Google Patents

ペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の構造を有するペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法に関する。更に詳しくは、難燃剤、結晶核剤、可塑剤、酸化防止剤等の添加剤として使用でき、殊に樹脂用難燃剤として優れた効果を有する新規なペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂は、その優れた諸物性を活かし、機械部品、電気部品、自動車部品等の幅広い分野に利用されている。一方、これらの樹脂は本質的に可燃性である為、上記用途として使用するには一般の化学的、物理的諸特性のバランス以外に、火炎に対する安全性、すなわち、高度な難燃性が要求される場合が多い。
【0003】
樹脂に難燃性を付与する方法としては、難燃剤としてハロゲン系化合物、さらに難燃助剤としてアンチモン化合物を樹脂に添加する方法が一般的である。しかしながら、この方法は成形加工時あるいは燃焼時に、多量の腐食性ガスを発生させる等の問題がある。また、特に近年、製品廃棄時における環境影響等が懸念されている。そこで、ハロゲンを全く含まない難燃剤や難燃処方が強く望まれている。
【0004】
ハロゲン系難燃剤を使用しないで熱可塑性樹脂を難燃化する方法としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水和物を添加することが広く知られている。しかし、充分な難燃性を得る為には、上記金属水和物を多量に添加する必要があり、樹脂本来の特性が失われるという欠点を有していた。
【0005】
また、トリアリールリン酸エステルモノマーや縮合リン酸エステルオリゴマーの芳香族リン酸エステルも、熱可塑性樹脂に難燃性を付与するための難燃剤として頻繁に用いられてきた。しかし、トリフェニルホスフェートに代表されるトリアリールリン酸エステルモノマーは、樹脂組成物の耐熱性を著しく低下させ、かつ、揮発性が高い為に、押出し時や成形加工時にガスの発生量が多く、ハンドリング性に問題があった。さらに、この化合物は樹脂を高温に加熱するとその少なくとも一部が揮発、あるいはブリード等によって樹脂中から失われるという問題点を有していた。また、縮合リン酸エステルオリゴマーは、揮発性が改善されているものの、その多くが液体であることから、樹脂との混練には液注装置が必要となり、押出し混練時のハンドリング性に問題があった。
【0006】
一方、二置換ペンタエリスリトールジホスホネートは、樹脂用難燃剤を中心に種々の検討がなされている。この化合物を熱可塑性樹脂に配合することにより、熱可塑性樹脂の難燃化を達成することができる。このホスホネート化合物が配合された熱可塑性樹脂組成物は、難燃剤の配合による耐熱性、および耐衝撃性等の特性が低下することなく、しかも混練の際に化合物が揮発、あるいはブリード等により樹脂中から失われることのない特徴を有する。
【0007】
また、上記二置換ペンタエリスリトールジホスホネートの製造法についてはいくつか開示されている。例えば、特開平5−163288号公報においては、ペンタエリスリトールとフェニルホスホン酸ジクロライドとの反応により、ジフェニルペンタエリスリトールジホスホネートを得る製造例の記載がある。米国特許4174343号明細書においては、ジエチルペンタエリスリトールジホスファイトとハロゲン化誘導体(例えばベンジルクロライド)との反応により、対応する二置換ペンタエリスリトールジホスホネートを得る製造例の記載がある。
【0008】
しかしながら、本発明の特定の構造を有するペンタエリスリトールジホスホネート化合物に関して、必ずしも従来通りの製造方法ではかかる目的物を高収率で回収できないという問題があった。また、上記特許でも製造法の詳細が記述されておらず、実施例での反応収率、および、純度についての記載もなく工業的な見地から、種々問題を内在していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、工業的に有利な生産性に優れた方法で、高品質のペンタエリスリトールジホスホネートを製造する方法を提供することにある。
【0010】
本発明者は、前記目的を達成すべく鋭意検討した結果、かかる反応に際して、高純度の原料を用い、好適には反応系中の水分量が2000ppm以下、P−OH官能基含有量が5%以下、不活性ガス雰囲気下で反応させることにより、生産性よく、高純度のペンタエリスリトールジホスホネート化合物が得られることを見出し、本発明に至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、下記式(1)で表されるペンタエリスリトールジホスホネートを製造するに際して、下記式(2)で表されるペンタエリスリトールジホスファイトを、一般式RXで示され、Rはアラルキル基であり、XがBrであるハロゲン化化合物の存在下に、80〜200℃の温度条件下で加熱処理するペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法に関する。
【0012】
【化3】
Figure 0004084096
【0013】
(式中、Ar1およびAr2は、同一または異なっていてもよく、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基である。また、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ同一または異なっていてもよく、水素原子もしくは炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。)
【0014】
【化4】
Figure 0004084096
【0015】
(式中、Ar1、Ar2、R1、R2、R3およびR4は前記一般式(1)における定義と同じものを意味する。)
上記ペンタエリスリトールジホスホネートとして、一般式(1)においてAr1、Ar2が、フェニル基、各種キシリル基、各種トルイル基、ジ−t−ブチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等であり、R1、R2、R3およびR4が、水素原子、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、プロペニル基、フェニル基、各種トルイル基、各種キシリル基、各種クメニル基、ジ−t−ブチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等である化合物を挙げる事ができる。好ましくは、Ar1、Ar2が、フェニル基、R1、R2、R3およびR4が、水素原子、メチル基、フェニル基である。
【0016】
具体的には、3,9−ビス(フェニルメチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2−メチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((3−メチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((4−メチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2,4−ジメチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2,6−ジメチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((3,5−ジメチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2,4,6−トリメチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0017】
3,9−ビス((2−sec−ブチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((4−sec−ブチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2,4−ジ−sec−ブチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2,6−ジ−sec−ブチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2,4,6−トリ−sec−ブチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0018】
3,9−ビス((2−tert−ブチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((4−tert−ブチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0019】
3,9−ビス((4−ビフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((1−ナフチル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2−ナフチル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((1−アントリル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2−アントリル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((9−アントリル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0020】
3,9−ビス(1−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−メチル−2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(トリフェニルメチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0021】
3−フェニルメチル−9−((2,6−ジメチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−フェニルメチル−9−((2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−フェニルメチル−9−(1−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−フェニルメチル−9−ジフェニルメチル−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−((2,6−ジメチルフェニル)メチル)−9−(1−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−((2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)メチル)−9−(1−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−ジフェニルメチル−9−(1−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−ジフェニルメチル−9−((2,6−ジメチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−ジフェニルメチル−9−((2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンが挙げられる。
【0022】
特に、3,9−ビス(フェニルメチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンがとても好ましい。
【0023】
本発明で用いるペンタエリスリトールジホスファイトの製造法に関しては、様々な方法が知られている。合成方法の一例としては、ペンタエリスリトールと三塩化リンとの反応生成物に、塩基の存在下、各種アルコールを反応させることで製造することが可能である。
【0024】
上記ペンタエリスリトールジホスファイトとしては、一般式(2)においてAr1、Ar2が、フェニル基、各種キシリル基、各種トルイル基、ジ−t−ブチルフェニル基、各種クメニル基、ビフェニル基、ナフチル基等であり、R1、R2、R3およびR4が、水素原子、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、プロペニル基、フェニル基、各種トルイル基、各種キシリル基、各種クメニル基、ジ−t−ブチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等である化合物を挙げる事ができる。好ましくは、Ar1、Ar2が、フェニル基、R1、R2、R3およびR4が、水素原子、メチル基、フェニル基である。
【0025】
具体的には、3,9−ビス((フェニルメチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((2−メチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((3−メチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((4−メチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((2,4−ジメチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((2,6−ジメチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((3,5−ジメチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((2,4,6−トリメチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0026】
3,9−ビス(((2−sec−ブチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((4−sec−ブチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((2,4−ジ−sec−ブチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((2,6−ジ−sec−ブチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((2,4,6−トリ−sec−ブチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0027】
3,9−ビス(((2−tert−ブチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((4−tert−ブチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0028】
3,9−ビス(((4−ビフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((1−ナフチル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((2−ナフチル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((1−アントリル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((2−アントリル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((9−アントリル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0029】
3,9−ビス((1−フェニルエチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((1−メチル−1−フェニルエチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((ジフェニルメチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((トリフェニルメチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0030】
3−(フェニルメチル)オキシ−9−((2,6−ジメチルフェニル)メチル)オキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−(フェニルメチル)オキシ−9−((2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)メチル)オキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−(フェニルメチル)オキシ−9−(1−フェニルエチル)オキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−(フェニルメチル)オキシ−9−(ジフェニルメチル)オキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−((2,6−ジメチルフェニル)メチル)オキシ−9−(1−フェニルエチル)オキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−((2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)メチル)オキシ−9−(1−フェニルエチル)オキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−(ジフェニルメチル)オキシ−9−(1−フェニルエチル)オキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−(ジフェニルメチル)オキシ−9−((2,6−ジメチルフェニル)メチル)オキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−(ジフェニルメチル)オキシ−9−((2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)メチル)オキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンが挙げられる。
【0031】
特に、3,9−ビス((フェニルメチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((1−フェニルエチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((ジフェニルメチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンがとても好ましい。
【0032】
本発明の前記式(1)で表されるペンタエリスリトールジホスホネートは、ペンタエリスリトールジホスファイトを、ハロゲン化化合物の共存下に、温度80℃から200℃の条件下で加熱処理する事で得られる。好ましい加熱処理の温度は100℃〜195℃であり、更に好ましい加熱処理の温度は120℃〜180℃以下である。加熱処理の温度が80℃以下では反応速度が著しく低下し、生産効率の点で好ましくない。加熱処理の温度が200℃をこえる場合は、副反応を促進し、本発明のペンタエリスリトールジホスホネートの回収率の低下を引き起こし好ましくない。
【0033】
本発明における加熱処理の時間には制限はないが、1分から500分が好ましい。1分未満では未反応物が残り、目的とするペンタエリスリトールジホスホネートの回収率の低下を引き起こし好ましくない。一方500分をこえる時間では生産効率の悪化を引き起こし好ましくない。
【0034】
本発明において使用される前記式(2)で表されるペンタエリスリトールジホスファイトの純度は、95%以上である。更に好ましくは98%以上である。該純度が95%より低い場合には、ペンタエリスリトールジホスファイトと該化合物中に含まれる不純物との反応に由来すると考えられる副生成物の割合以上に目的物の回収率低下の割合が大きくなる。
【0035】
本発明において共存されるハロゲン化化合物は一般式RXで表され、RXのRとしては、有機化合物若しくはアルカリ金属である。好ましくは該RXのRが炭素数1〜20のアルキル基、アラルキル基、アリ−ル基、炭素数4〜30の4級アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンである。また該RXのRがアルカリ金属であれば、Na、K、Liが好ましく用いられる。また該RXのXとしてはBr、Iが好ましい。
【0036】
かかる材料の好ましい具体例としては、メチルブロマイド、エチルブロマイド、n−プロピルブロマイド、iso−プロピルブロマイド、n−ブチルブロマイド、iso−ブチルブロマイド、tert−ブチルブロマイド、n−ペンチルブロマイド、ベンジルブロマイド、(1−ブロモエチル)ベンゼン、(2−ブロモエチル)ベンゼン、ジフェニルメチルブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラエチルホスホニウムブロマイド、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、メチルアイオダイド、エチルアイオダイド、n−プロピルアイオダイド、iso−プロピルアイオダイド、n−ブチルアイオダイド、iso−ブチルアイオダイド、tert−ブチルアイオダイド、n−ペンチルアイオダイド、ベンジルアイオダイド、(1−ヨードエチル)ベンゼン、(2−ヨードエチル)ベンゼン、ジフェニルメチルアイオダイド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド、テトラメチルアンモニウムアイオダイド、テトラブチルホスホニウムアイオダイド、テトラエチルホスホニウムアイオダイド、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム等を挙げることが出来る。中でも、ベンジルブロマイド、(1−ブロモエチル)ベンゼン、(2−ブロモエチル)ベンゼン、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、メチルアイオダイド、n−ブチルアイオダイド、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムが特に好ましく使用される。該RXが溶媒として機能する場合には、ハロゲン化有機化合物である事が望ましい。
【0037】
本発明で使用されるRXの使用量は特に限定はしないが、反応溶媒として用いない場合には、本発明で用いるペンタエリスリトールジホスファイトに対して1モル%から1000モル%であればよく、好ましくは5モル%から300モル%である。しかし該RXを溶媒として用いる場合には、該RXの溶解性の観点から、この上限で有る必要はない。
【0038】
本発明の製造方法において必ずしも必須ではないが、本発明の加熱処理の段階で溶媒を使用してもよい。溶媒を使用する事で、本発明で用いるペンタエリスリトールジホスファイトが該溶媒中に溶解若しくは分散し、攪拌の負荷が大幅に軽減できる。また本発明の加熱処理の際に反応系に熱が均一に伝わり易くなるという利点がある。
【0039】
該溶媒としては特に限定しないが、例を挙げれば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、酢酸エチル、ベンゼン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。好ましくは、ヘキサン、デカン、ドデカン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が挙げられる。更に好ましくは、ヘキサン、ドデカン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジメチルホルムアミドが挙げる事ができ、目的とする反応温度に対応して選択すればよい。
【0040】
また本発明の製造方法において溶媒を使用する場合、本発明で用いるペンタエリスリトールジホスファイト濃度は0.1mol/L以上、好ましくは0.3mol/L以上であることが望ましい。0.1mol/L未満ではペンタエリスリトールジホスホネートの生成速度が極端に低下し、生産効率の低下を招き好ましくない。
【0041】
本発明において、ペンタエリスリトールジホスホネートが生成する反応系中の水分量は、2000ppm以下が好ましい。更に好ましくは1000ppm以下である。該水分量が2000ppmより多い場合には、理由は不明であるが本発明で用いるペンタエリスリトールジホスファイトと水との反応に由来すると考えられる副生成物の割合以上に目的物の回収率低下の割合が大きくなる。
【0042】
また本発明でペンタエリスリトールジホスホネートが生成する反応系中のアルコール量は本発明では特に規定してないが、30000ppm以下が好ましい。更に好ましくは、10000ppm以下である。該アルコールはペンタエリスリトールジホスファイトの製造工程で混入することがあり、該アルコールが混入しているペンタエリスリトールジホスファイトを本発明で用いると目的とするペンタエリスリトールジホスホネートの回収率が大幅に低下する。
【0043】
また本発明において、加熱処理は不活性雰囲気下で行うのが好ましい。不活性雰囲気とは本発明で用いるペンタエリスリトールジホスファイト等を変性しうる酸素ガス、湿気等が無い状態の事である。具体的な例を挙げると、反応系内を窒素、アルゴン等の不活性ガスで置換後、該不活性ガス気流下に加熱処理を行う方法である。酸素が共存する場合には、本発明で用いるペンタエリスリトールジホスファイトと酸素との反応に由来すると考えられる副生成物の割合以上に目的物の回収率低下の割合が大きくなる。また、水分の影響から、かかる不活性ガスは、乾燥を必要とする事はいうまでもない。
【0044】
本発明において、ペンタエリスリトールジホスホネートが生成する反応系中のP−OH官能基の存在量は、5%以下が好ましい。更に好ましくは2%以下である。この官能基の定義は、5価のリン原子に結合したP(O)−OH官能基と、3価のリン原子に結合したP−OH官能基(5価のP(O)−H官能基と平衡状態にあり、通常5価のリン構造をとる)とを合わせたものである。かかる官能基の存在は、ペンタエリスリトールジホスファイトの31P NMR測定(重溶媒:無水CDCl3)をすることで確認することができる。このP−OH官能基に相当する化学シフトは0〜10ppmの範囲にわたり観測され、ペンタエリスリトールジホスファイトのPの化学シフト(120〜130ppm)と大幅に異なるので容易に識別することができる。この官能基の含有量が5%より多い場合、理由は不明であるが本発明で用いるペンタエリスリトールジホスファイトとP−OH官能基との反応に由来すると考えられる副生成物の割合以上に目的物の回収率低下の割合が大きくなる。
【0045】
本反応のペンタエリスリトールジホスホネートは、上記反応終了後の反応混合物から、一般的な分離手段により得ることができる。例えば、反応混合物から大部分の溶媒、触媒、塩等を除去した後、洗浄あるいは再結晶を行うことにより得ることができる。洗浄した後のペンタエリスリトールジホスホネートは、HPLCによる純度分析や酸価の分析等により、その品質を確認することができる。HPLC純度は95%以上であることが好ましい。更に好ましくは、98%以上である。また、酸価は0.8mgKOH/g以下であることが好ましい。更に好ましくは、0.5mgKOH/g以下である。このようにして得られたペンタエリスリトールジホスホネートは、樹脂に混練した場合に、樹脂の着色や樹脂そのものの変性を抑制でき、実用的見地から非常に有用となる。
【0046】
これらの条件を満たした場合、目的とするペンタエリスリトールジホスホネートは、生産性良く、かつ高品質のものとして得ることが可能である。
【0047】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明する。これらの実施例は、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例で用いたペンタエリスリトールジホスファイトは、以下の調製例に記載した方法で合成した。
【0048】
[調製例1]
滴下漏斗、撹拌翼、還流冷却管、窒素注入口を取り付けた1Lの三口フラスコに、窒素雰囲気下、ペンタエリスリトール110g、ピリジン3.1g、トルエン320mLを加えた。室温で滴下漏斗より三塩化リン230gを滴下し、そのまま1時間攪拌した。その後60℃に加熱し30分攪拌した後、室温まで放冷した。発生する塩化水素は、還流冷却管を通して反応系外の水酸化ナトリウム水溶液に吸収させた。反応混合物を室温で減圧留去し、さらに40℃で4時間真空乾燥させ、白色粉末のペンタエリスリトールジクロロホスファイトを得た。
【0049】
[調製例2]
滴下漏斗、撹拌翼、窒素注入口を取り付けた500ml三口フラスコに、調製例1で得たペンタエリスリトールジクロロホスファイト53.0g、トルエン120ml、ピリジン31.6gを加えた。滴下漏斗からベンジルアルコールを20℃で滴下した。ベンジルアルコールの滴下により反応系は白濁し、白色沈殿が生成した。そのまま30分撹拌を続けた後、反応混合物をグラスフィルターを用いてろ過し、グラスフィルター上の白色固体をトルエンで洗浄することで、ペンタエリスリトールジベンジルホスファイトを含む濾液を得た。
【0050】
[調製例3]
調製例2で得たペンタエリスリトールジベンジルホスファイトを含む濾液を、0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液60mlで1回、同量の純水で2回洗浄した後、硫酸マグネシウムを用いて溶液を乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別した後、濾液をエバポレーターで濃縮し、シリカゲルを用いたショートカラムにより精製し乾燥することで、白色固体を得た。この白色固体を、31P NMR測定により分析したところ、純度98%のペンタエリスリトールジベンジルホスファイトであり、P−OH官能基含有量は0%であった。
【0051】
[調製例4]
調製例2で得たペンタエリスリトールジベンジルホスファイトを含む濾液を、純水で3回洗浄した後、硫酸マグネシウムを用いて溶液を乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別した後、濾液をエバポレーターで濃縮し乾燥することで、白色固体を得た。この白色固体を、31P NMR測定により分析したところ、純度88%のペンタエリスリトールジベンジルホスファイトであり、P−OH官能基含有量は10%であった。
【0052】
[調製例5]
滴下漏斗、撹拌翼、窒素注入口を取り付けた500ml三口フラスコに、調製例1で得たペンタエリスリトールジクロロホスファイト53.0g、トルエン120ml、ピリジン31.6gを加えた。滴下漏斗から1−フェニルエチルアルコールを20℃で滴下した。1−フェニルエチルアルコールの滴下により反応系は白濁し、白色沈殿が生成した。そのまま30分撹拌を続けた後、反応混合物をグラスフィルターを用いてろ過し、グラスフィルター上の白色固体をトルエンで洗浄することで、ペンタエリスリトールジ(1−フェニルエチルホスファイト)を含む濾液を得た。この濾液を、0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液100mlで2回、同量の純水で2回洗浄した後、硫酸マグネシウムを用いて溶液を乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別した後、濾液をエバポレーターで濃縮し、シリカゲルを用いたショートカラムにより精製し乾燥することで、白色固体を得た。31PNMR測定により分析したところ、純度97%のペンタエリスリトールジ(1−フェニルエチルホスホネート)であり、P−OH官能基含有量は0%であった。
【0053】
[調製例6]
滴下漏斗、撹拌翼、窒素注入口を取り付けた500ml三口フラスコに、調製例1で得たペンタエリスリトールジクロロホスファイト53.0g、塩化メチレン360ml、ピリジン31.6gを加えた。滴下漏斗からベンズヒドロールの塩化メチレン溶液を10℃で滴下した。ベンズヒドロールの滴下により反応系は白濁し、白色沈殿が生成した。そのまま30分撹拌を続けた後、反応混合物をグラスフィルターを用いてろ過し、グラスフィルター上の白色固体を塩化メチレンで洗浄することで、ペンタエリスリトールジベンズヒドリルホスファイトを含む濾液を得た。この濾液を、0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液100mlで2回、同量の純水で2回洗浄した後、硫酸マグネシウムを用いて溶液を乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別した後、濾液をエバポレーターで濃縮し、シリカゲルを用いたショートカラムにより精製し乾燥することで、白色固体を得た。31P NMR測定により分析したところ、純度97%のペンタエリスリトールジベンズヒドリルホスホネートであり、P−OH官能基含有量は0%であった。
【0054】
[実施例1〜
以下の表1に掲載の製造条件に従って、ペンタエリスリトールジホスファイトとハロゲン化化合物とを反応させた。これらの条件に対応する結果は、表2に掲載した。なお、表中の化合物は以下に記述するものである。
【0055】
[比較例1〜、参考例1〜2]
以下の表1に掲載の製造条件に従って、ペンタエリスリトールジホスファイトとハロゲン化化合物とを反応させた。これらの条件に対応する結果は、表2に掲載した。なお、表中の化合物は以下に記述するものである。
(イ)ペンタエリスリトールジホスファイト
a)調製例3で合成した化合物 化合物(A1)
b)調製例4で合成した化合物 化合物(A2)
c)調製例5で合成した化合物 化合物(A3)
d)調製例6で合成した化合物 化合物(A4)と称する。
(ロ)ハロゲン化化合物
a)ベンジルブロマイド 化合物(B)
b)ベンズヒドリルブロマイド 化合物(C)
c)ヨウ化ナトリウム 化合物(D)
d)テトラブチルアンモニウムブロマイド 化合物(E)と称する。
(ハ)ペンタエリスリトールジホスホネート
a)ペンタエリスリトールジベンジルホスホネート 化合物(F)
b)ペンタエリスリトールジベンズヒドリルホスホネート 化合物(G)
c)ペンタエリスリトールジ(1−フェニルエチルホスホネート) 化合物(H)と称する。
評価方法については、下記の方法で行った。
【0056】
(1)水分量
それぞれの反応基質の水分量を以下に述べる方法で分析し、全てを加算した。
a)ペンタエリスリトールジホスファイトの水分率の分析
試料10mgをドライボックス内で秤量し、無水CDCl3に0.8mLに溶解させ、1H NMR測定し、水に対応する積分面積比から算出した。
b)ハロゲン化化合物、キシレンの水分率の分析
試料0.5gをドライボックス内で秤量し、カールフィッシャー(三菱化成(株)製電量滴定式水分測定装置 CA−06型)により測定し、分析した。
【0057】
(2)ペンタエリスリトールジホスファイトの純度とP−OH官能基含有量
試料を無水CDCl3に溶解させ、31P NMR測定することで分析し、それぞれに対応するスペクトルの積分面積比を記載した。
【0058】
(3)反応選択率
反応終了後の試料をサンプリングし、DMSO−d6に完全に溶解させ、31PNMR測定することで分析し、それぞれに対応するスペクトルの積分面積比を記載した。
【0059】
(4)ペンタエリスリトールジホスホネートの純度
反応終了後、反応後混合物をメタノールで3回固体洗浄し、乾燥させた試料をHPLCで分析した。HPLC測定条件に関しては次の通りである。溶離液:アセトニトリル:水=6:4、注入量:5μl、カラム:野村化学(株)製Develosil ODS−7 300mm×4mmφ、カラム温度:40℃、検出器:UV−260nm。
【0060】
(5)ペンタエリスリトールジホスホネートの酸価
JIS−K−3504に準拠して測定した。
【0061】
【表1】
Figure 0004084096
【0062】
【表2】
Figure 0004084096
【0063】
キシレンを使用しない条件では、対応するペンタエリスリトールジホスホネートの反応選択率は95%であった。反応基質にハロゲン化化合物を用いないで80℃で加熱した場合は、反応しなかった。また、反応系内に存在する水分量が多い反応条件では、加水分解物の生成割合が大きくなり、目的物の反応選択率は低下した。反応基質中のP−OH基含量が多いと、加水分解物の生成割合が大きくなり、目的物の選択率は低下した。更に、酸素が共存する場合、選択率は低下した。また、メタノールで洗浄を3回繰り返した場合、反応選択率が低いと、該化合物の純度は低く、高酸価であった。
【0064】
【発明の効果】
本発明は、生産性良く、高品質のペンタエリスリトールジホスホネートを製造することが出来る。得られたペンタエリスリトールジホスホネートは、難燃剤、可塑剤、酸化防止剤、結晶核剤等の添加剤として使用でき、殊に樹脂用難燃剤として好ましく使用することができる。このペンタエリスリトールジホスホネートを配合した樹脂成形品は、高い難燃性を有しており、樹脂本来の耐熱性の低下が少なく、OA機器、家電製品等の用途に極めて有用である。

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表されるペンタエリスリトールジホスホネートを製造するに際して、下記式(2)で表されるペンタエリスリトールジホスファイトの純度が95%以上のものを原料として使用し、一般式RXで示され、Rはアラルキル基であり、XがBrであるハロゲン化化合物の存在下に、80〜200℃の温度条件下で加熱処理するペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法。
    Figure 0004084096
    (式中、ArおよびArは、同一または異なっていてもよく、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基である。また、R、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なっていてもよく、水素原子もしくは炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。)
    Figure 0004084096
    (式中、Ar、Ar、R、R、RおよびRは前記一般式(1)における定義と同じものを意味する。)
  2. 請求項1において、ハロゲン化化合物がベンジルブロマイドまたはベンズヒドリルブロマイドである請求項1記載のペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法。
  3. 請求項1の式(1)において、Ar およびAr はフェニル基であり、R 、R 、R およびR は水素原子、メチル基またはフェニル基である請求項1記載のペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法。
  4. 請求項1において、反応系に存在する水分量が1000ppm以下であり、かつ不活性ガス雰囲気下で加熱処理する請求項1記載のペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法。
  5. 請求項1において、反応系に存在するP−OH官能基の存在量が2%以下である請求項1記載のペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法。
  6. ペンタエリスリトールジホスホネート1g当りのKOH対応の酸価が、0.5mgKOH/g以下である請求項1記載のペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法。
  7. ペンタエリスリトールジホスホネートのHPLC純度が、98%以上である請求項1記載のペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法。
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