JP2004099526A - ペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法 - Google Patents

ペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法 Download PDF

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JP2004099526A JP2002263849A JP2002263849A JP2004099526A JP 2004099526 A JP2004099526 A JP 2004099526A JP 2002263849 A JP2002263849 A JP 2002263849A JP 2002263849 A JP2002263849 A JP 2002263849A JP 2004099526 A JP2004099526 A JP 2004099526A
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Takatsune Yanagida
柳田 高恒
Shinichi Ando
安藤 真一
Koichi Imamura
今村 公一
Seiichi Tanabe
田辺 誠一
Kazuyuki Tando
丹藤 和志
Yutaka Takeya
竹谷 豊
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Teijin Ltd
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Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

【課題】工業的に有利な生産性に優れたペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法を提供する。
【解決手段】ペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物を、25℃での比誘電率が10以上40以下である有機溶媒を50重量%以上含有する洗浄液により洗浄し、精製されたペンタエリスリトールジホスホネートを得、さらに洗浄後の洗浄液をペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物の洗浄液として再使用し、精製されたペンタエリスリトールジホスホネートを得る方法であって、かかる再使用される洗浄液は25℃での比誘電率が10以上40以下である有機溶媒を50重量%以上含有する洗浄液であることを特徴とするペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の構造を有するペンタエリスリトールジホスホネート化合物の製造方法に関する。更に詳しくは、難燃剤、結晶核剤、可塑剤等の添加剤として使用でき、殊に樹脂用難燃剤として優れた効果を有するペンタエリスリトールジホスホネート化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカ−ボネ−ト樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂は、その優れた諸物性を活かし、機械部品、電気部品、自動車部品等の幅広い分野に利用されている。一方、これらの樹脂は本質的に可燃性である為、上記用途として使用するには一般の化学的、物理的諸特性のバランス以外に、火炎に対する安全性、すなわち、高度な難燃性が要求される場合が多い。
【0003】
樹脂に難燃性を付与する方法としては、難燃剤としてハロゲン系化合物、さらに難燃助剤としてアンチモン化合物を樹脂に添加する方法が一般的である。しかしながら、この方法は成形加工時あるいは燃焼時に、多量の腐食性ガスを発生させる等の問題がある。また、特に近年、製品廃棄時における環境影響等が懸念されている。そこで、ハロゲンを全く含まない難燃剤や難燃処方が強く望まれている。
【0004】
ハロゲン系難燃剤を使用しないで熱可塑性樹脂を難燃化する方法としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水和物を添加することが広く知られている。しかし、充分な難燃性を得る為には、上記金属水和物を多量に添加する必要があり、樹脂本来の特性が失われるという欠点を有していた。
【0005】
また、トリアリールリン酸エステルモノマーや縮合リン酸エステルオリゴマーの芳香族リン酸エステルも、熱可塑性樹脂に難燃性を付与するための難燃剤として頻繁に用いられてきた。しかし、トリフェニルホスフェ−トに代表されるトリアリールリン酸エステルモノマーは、樹脂組成物の耐熱性を著しく低下させ、かつ、揮発性が高い為に、押出し時や成形加工時にガスの発生量が多く、ハンドリング性に問題があった。さらに、この化合物は樹脂を高温に加熱するとその少なくとも一部が揮発、あるいはブリ−ド等によって樹脂中から失われるという問題点を有していた。また、縮合リン酸エステルオリゴマーは、揮発性が改善されているものの、その多くが液体であることから、樹脂との混練には液注装置が必要となり、押出し混練時のハンドリング性に問題があった。
【0006】
一方、二置換ペンタエリスリトールジホスホネートは、樹脂用難燃剤を中心に種々の検討がなされている。この化合物を熱可塑性樹脂に配合することにより、熱可塑性樹脂の難燃化を達成することができる。このホスホネート化合物が配合された熱可塑性樹脂組成物は、難燃剤の配合による耐熱性、および耐衝撃性等の特性が低下することなく、しかも混練の際に化合物が揮発、あるいはブリ−ド等により樹脂中から失われることのない特徴を有する。
【0007】
上記二置換ペンタエリスリトールジホスホネートの製造法についてはいくつか開示されている。ペンタエリスリトールとフェニルホスホン酸ジクロライドとの反応により、ジフェニルペンタエリスリトールジホスホネートを得る製造方法がある(特許文献1参照)。また、ジエチルペンタエリスリトールジホスファイトとハロゲン化誘導体(例えばベンジルクロライド)との反応により、対応する二置換ペンタエリスリトールジホスホネートを得る製造方法がある(特許文献2参照)。
【0008】
しかしながら、本発明の特定の構造を有するペンタエリスリトールジホスホネートに関して、必ずしも従来通りの製造方法ではかかる目的物を効率良く精製、回収できないという問題があった。また、粗生成物から目的化合物を精製する方法については全く開示されておらず、工業的な製造法の見地から種々の問題が内在していた。
【0009】
【特許文献1】
特開平5−163288号公報
【特許文献2】
米国特許第4174343号明細書
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、工業的に有利な生産性に優れたペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明者は、前記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定構造のペンタエリスリトールジホスホネートの生産性に優れた製造方法を見出し、本発明に至った。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、下記式(1)で示されるペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物を、25℃での比誘電率が10以上40以下である有機溶媒を50重量%以上含有する洗浄液により洗浄し、精製されたペンタエリスリトールジホスホネートを得、さらに洗浄後の洗浄液をペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物の洗浄液として再使用し、精製されたペンタエリスリトールジホスホネートを得る方法であって、かかる再使用される洗浄液は25℃での比誘電率が10以上40以下である有機溶媒を50重量%以上含有する洗浄液であることを特徴とするペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法が提供される。
【0013】
【化7】
Figure 2004099526
【0014】
[式中、ArおよびArは、同一または異なっていても良く、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基である。ZおよびZは、同一または異なっていても良く、式(2)または式(3)で示される基である。]
【0015】
【化8】
Figure 2004099526
【0016】
[式中、RおよびRは同一または異なっていてもよく、水素原子、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。]
【0017】
【化9】
Figure 2004099526
【0018】
[式中、R、R、RおよびRは、同一または異なっていてもよく、水素原子、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、炭素数7〜30の置換もしくは非置換のアラルキル基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。]
上記ペンタエリスリトールジホスホネート化合物として、前記式(1)においてArおよびArが、フェニル基、各種トルイル基、各種キシリル基、ジ−t−ブチルフェニル基、各種クメニル基、ビフェニル基、ナフチル基等であり、ZおよびZが前記式(2)または前記式(3)で示される。
【0019】
前記式(2)においてRおよびRが、水素原子、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、プロペニル基、フェニル基、各種トルイル基、各種キシリル基、ジ−t−ブチルフェニル基、各種クメニル基、ビフェニル基、ナフチル基等であり、前記式(3)においてR、R、RおよびRが、水素原子、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、プロペニル基、フェニル基、各種トルイル基、各種キシリル基、ジ−t−ブチルフェニル基、各種クメニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、ジフェニルメチル基等である化合物を挙げることができる。
【0020】
中でも、ArおよびArがフェニル基、R、R、R、R、RおよびRがそれぞれ水素原子、メチル基またはフェニル基である化合物が好ましい。
【0021】
具体的には3,9−ビス(フェニルメチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2−メチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((3−メチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((4−メチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2,4−ジメチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2,6−ジメチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((3,5−ジメチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2,4,6−トリメチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0022】
3,9−ビス((2−sec−ブチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((4−sec−ブチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2,4−ジ−sec−ブチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2,6−ジ−sec−ブチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2,4,6−トリ−sec−ブチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0023】
3,9−ビス((2−tert−ブチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((4−tert−ブチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0024】
3,9−ビス((4−ビフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((1−ナフチル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2−ナフチル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((1−アントリル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2−アントリル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((9−アントリル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0025】
3,9−ビス(1−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1−フェニルプロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(トリフェニルメチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0026】
3−フェニルメチル−9−((2,6−ジメチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−フェニルメチル−9−((2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−フェニルメチル−9−(1−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−フェニルメチル−9−ジフェニルメチル−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0027】
3−((2,6−ジメチルフェニル)メチル)−9−(1−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−((2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)メチル)−9−(1−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−ジフェニルメチル−9−(1−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−ジフェニルメチル−9−((2,6−ジメチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−ジフェニルメチル−9−((2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)メチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0028】
3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2−メチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(3−メチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(4−メチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,6−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(3,5−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4,6−トリメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0029】
3,9−ビス(2−(2−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(4−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0030】
3,9−ビス(2−(4−ビフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(1−ナフチル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2−ナフチル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(1−アントリル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2−アントリル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(9−アントリル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0031】
3,9−ビス(2−フェニルプロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−メチル−2−フェニルプロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2,2−ジフェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2,2,2−トリフェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1−フェニル−2−プロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1,2−ジフェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1,3−ジフェニル−2−プロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(3−フェニル−2−ブチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−(2−フェニルエチル)−9−(2−(2,6−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−(2−フェニルエチル)−9−(2−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンが挙げられる。
【0032】
特に、3,9−ビス(フェニルメチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。
【0033】
本発明のペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物は様々な方法により合成することができる。例えばペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させ、続いて酸化させた反応物を、ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属化合物により処理し、次いでハロゲン化化合物を反応させることにより得ることができる。また、ペンタエリスリトールにホスホン酸ジクロリドを反応させる方法も可能である。ペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させることによって得られた化合物にアルコールを反応させ、ペンタエリスリトールジホスファイトを合成し、次いで高温でハロゲン化化合物存在下に反応を行う方法、またはペンタエリスリトールとホスファイトとのエステル交換によりによりペンタエリスリトールジホスファイトを合成し、次いで高温でハロゲン化化合物存在下に反応を行う方法も可能である。
【0034】
これらの中でも、本発明のペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物を得る方法として、下記式(4)で示されるペンタエリスリトールジホスファイトを一般式R13X(式中、R13は炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、炭素数7〜30の置換もしくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、炭素数4〜30の4級アンモニウムイオン、または炭素数4〜30のホスホニウムイオンである。XはBrまたはIである。)で示されるハロゲン化化合物の存在下に、温度80℃から300℃の条件下で加熱処理して製造する方法が好ましい。
【0035】
【化10】
Figure 2004099526
【0036】
[式中、ArおよびArは、同一または異なっていても良く、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基である。ZおよびZは、同一または異なっていても良く、式(5)または式(6)で示される基である。]
【0037】
【化11】
Figure 2004099526
【0038】
[式中、RおよびRは同一または異なっていてもよく、水素原子、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。]
【0039】
【化12】
Figure 2004099526
【0040】
[式中、R、R10、R11およびR12は、同一または異なっていてもよく、水素原子、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、炭素数7〜30の置換もしくは非置換のアラルキル基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。]
該ペンタエリスリトールジホスファイトとしては、前記式(4)においてArおよびArが、フェニル基、各種トルイル基、各種キシリル基、ジ−t−ブチルフェニル基、各種クメニル基、ビフェニル基、ナフチル基等であり、ZおよびZが前記式(5)または前記式(6)で示される。
【0041】
前記式(5)においてRおよびRが、水素原子、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、プロペニル基、フェニル基、各種トルイル基、各種キシリル基、ジ−t−ブチルフェニル基、各種クメニル基、ビフェニル基、ナフチル基等であり、前記式(6)においてR、R10、R11およびR12が、水素原子、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、プロペニル基、フェニル基、各種トルイル基、各種キシリル基、ジ−t−ブチルフェニル基、各種クメニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、ジフェニルメチル基等である化合物を挙げることができる。
【0042】
中でも、ArおよびArがフェニル基、R、R、R、R10、R11およびR12がそれぞれ水素原子、メチル基またはフェニル基である化合物が好ましい。
【0043】
具体的には、3,9−ビス((フェニルメチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((2−メチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((3−メチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((4−メチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((2,4−ジメチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((2,6−ジメチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((3,5−ジメチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((2,4,6−トリメチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0044】
3,9−ビス(((2−sec−ブチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((4−sec−ブチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((2,4−ジ−sec−ブチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((2,6−ジ−sec−ブチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((2,4,6−トリ−sec−ブチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0045】
3,9−ビス(((2−tert−ブチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((4−tert−ブチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0046】
3,9−ビス(((4−ビフェニル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((1−ナフチル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((2−ナフチル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((1−アントリル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((2−アントリル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(((9−アントリル)メチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0047】
3,9−ビス((1−フェニルエチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((1−フェニルプロピル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((ジフェニルメチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((トリフェニルメチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0048】
3−(フェニルメチル)オキシ−9−((2,6−ジメチルフェニル)メチル)オキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−(フェニルメチル)オキシ−9−((2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)メチル)オキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−(フェニルメチル)オキシ−9−(1−フェニルエチル)オキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−(フェニルメチル)オキシ−9−(ジフェニルメチル)オキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0049】
3−((2,6−ジメチルフェニル)メチル)オキシ−9−(1−フェニルエチル)オキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−((2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)メチル)オキシ−9−(1−フェニルエチル)オキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−(ジフェニルメチル)オキシ−9−(1−フェニルエチル)オキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−(ジフェニルメチル)オキシ−9−((2,6−ジメチルフェニル)メチル)オキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−(ジフェニルメチル)オキシ−9−((2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)メチル)オキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0050】
3,9−ビス((2−フェニルエチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2−(2−メチルフェニル)エチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2−(3−メチルフェニル)エチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2−(4−メチルフェニル)エチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2−(2,4−ジメチルフェニル)エチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2−(2,6−ジメチルフェニル)エチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2−(3,5−ジメチルフェニル)エチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2−(2,4,6−トリメチルフェニル)エチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0051】
3,9−ビス((2−(2−tert−ブチルフェニル)エチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2−(4−tert−ブチルフェニル)エチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2−(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2−(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)エチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0052】
3,9−ビス((2−(4−ビフェニル)エチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2−(1−ナフチル)エチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2−(2−ナフチル)エチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2−(1−アントリル)エチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2−(2−アントリル)エチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2−(9−アントリル)エチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0053】
3,9−ビス((2−フェニルプロピル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2−メチル−2−フェニルプロピル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2,2−ジフェニルエチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2,2,2−トリフェニルエチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((1−フェニル−2−プロピル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((1,2−ジフェニルエチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((1,3−ジフェニル−2−プロピル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((3−フェニル−2−ブチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−(2−フェニルエチル)オキシ−9−(2−(2,6−ジメチルフェニル)エチル)オキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−(2−フェニルエチル)オキシ−9−(2−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル)オキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンが挙げられる。
【0054】
特に、3,9−ビス((フェニルメチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((1−フェニルエチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((ジフェニルメチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス((2−フェニルエチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。
【0055】
該ペンタエリスリトールジホスファイトは様々な合成方法によって得ることができる。例えばペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させることによって得られた化合物にアルコールを反応させる方法がある。また、ペンタエリスリトールとホスファイトとのエステル交換によりにより得ることもできる。
【0056】
上記ペンタエリスリトールジホスホネートを合成する際に用いられる一般式R13Xで示されるハロゲン化化合物のR13は、アルカリ金属、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、炭素数7〜30の置換もしくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、炭素数4〜30の4級アンモニウムイオン、または炭素数4〜30のホスホニウムイオンである。XはBrまたはIである。また該R13XのR13がアルカリ金属であれば、Na、K、Liが好ましい。
【0057】
具体例としては、メチルブロマイド、エチルブロマイド、n−プロピルブロマイド、iso−プロピルブロマイド、n−ブチルブロマイド、iso−ブチルブロマイド、tert−ブチルブロマイド、n−ペンチルブロマイド、ベンジルブロマイド、(1−ブロモエチル)ベンゼン、(2−ブロモエチル)ベンゼン、ジフェニルメチルブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラエチルホスホニウムブロマイド、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、メチルアイオダイド、エチルアイオダイド、n−プロピルアイオダイド、iso−プロピルアイオダイド、n−ブチルアイオダイド、iso−ブチルアイオダイド、tert−ブチルアイオダイド、n−ペンチルアイオダイド、ベンジルアイオダイド、(1−ヨードエチル)ベンゼン、(2−ヨードエチル)ベンゼン、ジフェニルメチルアイオダイド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド、テトラメチルアンモニウムアイオダイド、テトラブチルホスホニウムアイオダイド、テトラエチルホスホニウムアイオダイド、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム等を挙げることが出来る。
【0058】
中でも、ベンジルブロマイド、(1−ブロモエチル)ベンゼン、(2−ブロモエチル)ベンゼン、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、メチルアイオダイド、n−ブチルアイオダイド、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムが特に好ましく使用される。
【0059】
上記ペンタエリスリトールジホスファイトを、該ハロゲン化化合物の共存下に加熱処理する際の温度は、80℃以上300℃以下が好ましい。さらに好ましくは100℃以上250℃以下である。加熱処理の温度が80℃未満では反応速度が著しく低下し、生産効率の点で劣る。加熱処理の温度が300℃をこえる場合は、副反応を促進し、本発明のペンタエリスリトールジホスホネートの回収率の低下を引き起こす。
【0060】
上記加熱処理の時間は1分から1200分が好ましい。1分未満では未反応物が残り、目的とするペンタエリスリトールジホスホネートの回収率の低下を引き起こす。一方1200分をこえる時間では生産効率の悪化を引き起こす。
【0061】
該ハロゲン化化合物の使用量は特に限定はしないが、ペンタエリスリトールジホスファイトに対して1モル%から1000モル%であればよく、より好ましくは5モル%から300モル%である。
【0062】
本発明において、前記式(1)で示されるペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物は25℃での比誘電率が10以上40以下である有機溶媒を50重量%以上含有する洗浄液により洗浄される。
【0063】
比誘電率が10以上40以下である有機溶媒として具体的には、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロプロパン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン、1,2−ジクロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリジノン等が挙げられる。中でも、アセトニトリル、メタノール、エタノール、アセトンが好ましい。また、これらの有機溶媒は単独で用いるだけでなく、2種類以上からなる混合溶媒でもよい。該有機溶媒の比誘電率が10未満であるとペンタエリスリトールジホスホネートの粗生成物に対する洗浄効果がないので好ましくなく、比誘電率が40を越えると目的物であるペンタエリスリトールジホスホネートを溶解しやすくなり結果的にペンタエリスリトールジホスホネートの回収率が減少するので好ましくない。
【0064】
前記式(1)で示されるペンタエリスリトールジホスホネートは、常温では固体であり、その粗生成物は反応溶媒を含む懸濁液もしくはスラリー状態で得られる。洗浄液による洗浄には様々な洗浄方法を用いることが可能である。例えば、ペンタエリスリトールジホスホネートの懸濁液もしくはスラリーに25℃での比誘電率が10以上40以下である有機溶媒を50重量%以上含有する洗浄液を加えて撹拌した後、濾過もしくは遠心分離などの方法により該ペンタエリスリトールジホスホネートを分離、回収する洗浄方法が挙げられる。また、懸濁液もしくはスラリーを濾過もしくは遠心分離などにより固液分離することにより該ペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物の固体を得、これに25℃での比誘電率が10以上40以下である有機溶媒を50重量%以上含有する洗浄液を加えて撹拌した後、再び固液分離し、該ペンタエリスリトールジホスホネートを回収する洗浄方法が挙げられる。
【0065】
中でも懸濁液もしくはスラリーを濾過もしくは遠心分離などにより固液分離することにより該ペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物の固体を得て、この固体を洗浄する方法が、洗浄後の洗浄液中の25℃での比誘電率が10以上40以下である有機溶媒の濃度が50重量%以上であることを維持しやすく好ましい。
【0066】
ペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物を25℃での比誘電率が10以上40以下である有機溶媒を50重量%以上含有する洗浄液により洗浄する際、洗浄効率の面から、かかる洗浄液の使用量はペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物の固体に対して、重量で0.5倍量〜10倍量が好ましく、1倍量〜3倍量が特に好ましい。
【0067】
本発明のペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物の洗浄温度は20℃以上120℃以下であることが好ましい。洗浄温度が20℃未満であると洗浄効果が低くなる。洗浄温度が120℃を越えるとペンタエリスリトールジホスホネートの粗生成物が分解し、精製されたペンタエリスリトールジホスホネートの回収率が減少する恐れが有る。
【0068】
本発明のペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物の洗浄に使用された後の洗浄液は、25℃での比誘電率が10以上40以下である有機溶媒を50重量%以上含有していれば、別の洗浄されていないペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物の洗浄液として再使用することができる。つまり、ペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物を25℃での比誘電率が10以上40以下である有機溶媒で洗浄して得られた洗浄後の洗浄液が、該有機溶媒を50重量%以上含有していれば、別のペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物の洗浄液として再使用することが可能であり、この操作を繰り返すことで、新たな25℃での比誘電率が10以上40以下である有機溶媒を用いることなく大量のペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物を精製できるという利点がある。したがって、該ペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物の洗浄液として純粋な25℃での比誘電率が10以上40以下である有機溶媒のみを用いなくてもよいため、環境面およびコスト面等工業的に有利な該ペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法が提供される。
【0069】
洗浄液中の25℃での比誘電率が10以上40以下である有機溶媒の含有率は50重量%以上であり、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。洗浄液中の該有機溶媒の含有率が50重量%未満であると、ペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物を洗浄しても該ペンタエリスリトールジホスホネートを精製することができないので好ましくない。
【0070】
また、本発明のペンタエリスリトールジホスホネートの粗生成物の洗浄に使用された後の洗浄液を精製し、25℃での比誘電率が10以上40以下である有機溶媒を50重量%以上含有する液とすることにより、ペンタエリスリトールジホスホネートの粗生成物の洗浄に再使用することができる。
【0071】
洗浄液の精製は、25℃での比誘電率が10以上40以下である有機溶媒の濃度が50重量%未満になった洗浄液に対して行っても良いし、濃度が50重量%以上でそのまま再洗浄に使用することが可能な洗浄液に対して行っても良い。
【0072】
該洗浄液の精製方法としては例えば、洗浄液を加熱し揮発分を蒸留、回収し、さらに分留することにより精製する方法、洗浄液を濃縮し揮発分を除去した後、沈殿物を濾別することにより精製する方法などが挙げられる。また、該ペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物の洗浄液を水などの別の溶媒によって洗浄した後、蒸留回収し、分留することによって該ペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物の洗浄液を精製することもできる。
【0073】
本発明の製造方法により得られる前記式(1)で示されるペンタエリスリトールジホスホネートの酸価は0.9mgKOH/g以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.5mgKOH/g以下である。ここで酸価とは、ペンタエリスリトールジホスホネート1g中の酸成分を中和するのに必要なKOHの量(mg)を意味する。酸価が0.9mgKOH/g以下であると、難燃剤、結晶核剤、可塑剤等の添加剤として好適に使用できるので好ましい。酸価が0.9mgKOH/gを越えると樹脂組成物の安定性、機械物性等を低下させる恐れが有る。
【0074】
さらに、前記式(1)で示されるペンタエリスリトールジホスホネートは、残留揮発物の含有量が5000ppm以下が好ましく、2000ppm以下がより好ましく、1000ppm以下がさらに好ましく、500ppm以下が特に好ましい。残留揮発物の含有量が少なければ、樹脂混合に際して大きな問題となるガス発生を抑制し、同時に、ヤケ現象らの耐熱安定性低下による、色相、あるいは、樹脂そのものの変性を生起することなく、高度の難燃性を付与することができる。かつ、かかる物性値は、該化合物を用いて、樹脂製品を形成する時点での操作性、環境対策上の利点が発現すると共に、物性、外観色度に悪影響を与えないという事が重要である。さらなる効果として、かかるヤケ等の着色の低減は、成形時点での金型洗浄、あるいは、多量の洗浄樹脂を必要とするなど、作業性を低下することから、樹脂組成物製造の生産性の向上に大きく寄与する事ができる。
【0075】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。なお、評価は下記の方法で行った。
(1)HPLC純度
HPLC装置としてWaters社製Separations Module2690、検出器としてWaters社製Dual λ AbsorbanceDetector 2487(UV−260nm)、カラムとして野村化学製ODS−7(300mm×4mmφ)、溶離液としてアセトニトリルと水の6:4混合溶液、測定温度40℃の条件でHPLC測定を行い、目的生成物ピークの面積強度比から純度を求めた。
【0076】
(2)NMR測定
Varian社製300MHzNMR測定装置を用い、重クロロホルムもしくは重ジメチルスルホキシドを溶媒とし、室温にてH NMRもしくは31P NMR測定を行った。
【0077】
(3)洗浄液中のメタノール含有率
洗浄液の一部をサンプリングし、その重量を測定した。これを減圧留去することで揮発成分を分離した。揮発成分のH NMR測定結果から算出されるメタノール含有率と揮発成分の重量から、揮発成分に含まれるメタノール重量を算出し、下記式により洗浄液中のメタノール含有率を見積もった。
メタノール含有率(重量%)=メタノール重量(g)/洗浄液重量(g)×100
【0078】
(4)酸価測定
JIS−K−3504に準拠して測定した。
【0079】
(5)残留揮発分測定
ペンタエリスリトールジホスホネートを200℃の熱風乾燥機にて1時間処理を行った。処理後の重量を測定し、次式により残留揮発分(△Y)を求めた。
ΔY=(Y−Y)/Y×10(ppm)
;処理前の重量(g)
;処理後の重量(g)
合成例および実施例で使用した各試薬は以下に示した通りである。
【0080】
(1)ペンタエリスリトール
広栄化学工業株式会社のペンタリット−S(純度99.4%)を、予め乾燥させたものを使用した。含水率は38ppmであった。
【0081】
(2)三塩化リン
キシダ化学株式会社から購入した純度99%以上の三塩化リンを、予め窒素気流下で蒸留したものを用いた。
【0082】
(3)ベンジルアルコール
和光純薬工業株式会社から購入した特級グレードを、モレキュラーシーブスにより乾燥させてから用いた。含水率をカールフィッシャー法により求めた結果、15ppmであった。
【0083】
(4)ピリジン
和光純薬工業株式会社から購入した特級グレードを、モレキュラーシーブスにより乾燥させてから用いた。含水率をカールフィッシャー法により求めた結果、20ppmであった。
【0084】
(5)トルエン(合成用)
和光純薬工業株式会社から購入した特級グレードを、モレキュラーシーブスにより乾燥させてから用いた。含水率をカールフィッシャー法により求めた結果、11ppmであった。
【0085】
(6)硫酸マグネシウム
和光純薬工業株式会社から購入した特級グレードをそのまま用いた。
【0086】
(7)メタノール(洗浄用)
和光純薬工業株式会社から購入した特級グレードをそのまま用いた。25℃での比誘電率は32.66である。
【0087】
(8)トルエン(洗浄用)
和光純薬工業株式会社から購入した特級グレードをそのまま用いた。25℃での比誘電率は2.38である。
【0088】
(9)ジメチルスルホキシド(洗浄用)
和光純薬工業株式会社から購入した特級グレードをそのまま用いた。25℃での比誘電率は46.45である。
【0089】
[合成例]
2Lのガラス製の四口フラスコに、テフロン製攪拌翼を取り付けたテフロンコーティングされている攪拌棒、テフロン製シール、及び撹拌器からなる攪拌装置一式と、管頂に塩化カルシウム管を付けたガラス製の還流冷却管、均圧管付きの500mL滴下漏斗、及びアルコール温度計を取り付けた。該滴下漏斗の上部から塩化カルシウム管を通した乾燥窒素を流しながら、ヒートガンで加熱し器壁の水分を除去した。室温まで放冷後、ペンタエリスリトール109.2g(0.802mol)、トルエン320mL、ピリジン3.18g(0.0402mol)を該反応装置に加えた。滴下漏斗に三塩化リン224.7g(1.636mol)を加えた。還流冷却器に冷媒を流し、攪拌を開始した。室温下(約25℃)、約40分かけて該三塩化リンを滴下した。系内温度は、滴下開始直後約3℃ほど上昇したが、その後室温付近でほぼ一定であった。滴下終了後、そのまま室温下で1時間攪拌をつづけた。その後60℃まで加熱し、60℃で30分間保持した後、室温まで放冷し、白色懸濁液を得た。該反応中に発生した塩化水素は、該還流冷却管を通して反応系外の水酸化ナトリウム水溶液に吸収させた。
【0090】
該反応装置から三塩化リンを滴下した滴下漏斗を取り外し、新たに予め乾燥させた500mLの均圧管付き滴下漏斗を取り付け、ベンジルアルコール174.0g(1.609mol)とトルエン170mLを該滴下漏斗に加えた。続いて、該白色懸濁液に、ピリジン129.7g(1.640mol)を加え、アイスバスにより、反応系内の温度を5℃まで冷却した。続いて、滴下漏斗からベンジルアルコールとトルエンの混合液を約2時間かけて滴下した。滴下中の系内温度は最高7℃まで上昇した。滴下終了後、約30分かけて室温まで戻し、そのまま60分間保持して白色懸濁液を得た。白色懸濁液の一部をサンプリングし、31PNMR測定を行ったところ、生成物は3,9−ビス((フェニルメチル)オキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンであることが確認された。
【0091】
乾燥窒素の雰囲気下、上記の白色懸濁液をグラスフィルターで濾別し、得られた固体をトルエン800mLを用い洗浄した。得られたろ液を、乾燥窒素の雰囲気下、5Lの分液ロートに移し、1Nの水酸化ナトリウム水溶液1.2Lを加えて激しく振り、静置後、水層を取り除いた。続けてイオン交換水2Lで2回同様の操作をした。2回目の水層のpHは8であった。
【0092】
該有機層は、硫酸マグネシウムにより乾燥し、トルエン800mLを減圧留去することで濃縮した後、テフロン製攪拌翼を取り付けたテフロンコーティングされている攪拌棒、テフロン製シール、及び撹拌器からなる攪拌装置一式、管頂に塩化カルシウム管を付けたガラス製の還流冷却管及びアルコール温度計を備えた2Lのガラス製の四口フラスコに移し、ベンジルブロマイド275.4g(1.61mol)を加え攪拌を開始した。還流冷却管に冷媒を流し、該四口フラスコを120℃の油浴で加熱を開始した。系内は直ぐに還流状態になり、系内に白色沈殿が生成し始めた。この時の系内の温度は約115℃であった。そのまま12時間還流状態を維持したのち、室温まで放冷した。放冷後、反応溶液は白色スラリーとなっていた。この白色スラリーをグラスフィルターを用いて濾過することにより反応溶媒等により湿った白色固体を得た。一部をサンプリングして31P NMR測定を行ったところ、3,9−ビス(フェニルメチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン(以下、ペンタエリスリトールジベンジルホスホネートと呼ぶ)の粗生成物であることが確認できた。一部を温度100℃で3時間真空乾燥した後、HPLC純度測定を行ったところ、純度は92.0%であった。
【0093】
[実施例1]
合成例で得られたペンタエリスリトールジベンジルホスホネート粗生成物40gをメタノール50mLと共に200mLのナス型フラスコに移した。該ナス型フラスコに、テフロン製のスターラーチップを入れマグネティックスターラーで1時間撹拌した。続けて白色固体部分をグラスフィルターで濾取した。濾過により得られた洗浄液のメタノール含有率は88重量%であると見積もられた。グラスフィルター上の白色固体を100℃で3時間乾燥し白色粉末を得た。結果、収量30.6gでHPLC純度98.3%のペンタエリスリトールジベンジルホスホネートが得られた。酸価は0.1mgKOH/g、残留揮発分は300ppmであった。
【0094】
合成例で得られたペンタエリスリトールジベンジルホスホネート粗生成物を新たに40g取り、上記の洗浄液(メタノール含有率88重量%)と共に200mLのナス型フラスコに移した。該ナス型フラスコに、テフロン製のスターラーチップを入れマグネティックスターラーで1時間撹拌した。続けて白色固体部分をグラスフィルターで濾取した。濾過により得られた洗浄液のメタノール含有率は75重量%であると見積もられた。グラスフィルター上の白色固体を、上記と同様に乾燥し白色粉末を得た。結果、収量30.8gでHPLC純度98.0%のペンタエリスリトールジベンジルホスホネートが得られた。酸価は0.1mgKOH/g、残留揮発分は300ppmであった。
【0095】
[実施例2]
実施例1と同様に、合成例で得られたペンタエリスリトールジベンジルホスホネート粗生成物40gをメタノール50mLと共に200mLのナス型フラスコに移した。該ナス型フラスコに、還流冷却管を取り付け、冷媒を流した。テフロン製のスターラーチップを入れマグネティックスターラーで撹拌を開始してから80℃のオイルバスにより還流を1時間行った。室温まで冷却した後、白色固体部分をグラスフィルターで濾取した。濾過により得られた洗浄液のメタノール含有率は87重量%であると見積もられた。グラスフィルター上の白色固体を実施例1と同様に乾燥し、白色粉末を得た。結果、収量30.4gでHPLC純度98.5%のペンタエリスリトールジベンジルホスホネートが得られた。酸価は0.1mgKOH/g、残留揮発分は200ppmであった。
【0096】
合成例で得られたペンタエリスリトールジベンジルホスホネート粗生成物を新たに40g取り、上記の洗浄液(メタノール含有率87重量%)と共に200mLのナス型フラスコに移した。上記と同様に加熱環流を1時間行い、室温まで冷却した後、白色固体部分をグラスフィルターで濾取した。濾過により得られた洗浄液のメタノール含有率は73重量%であると見積もられた。グラスフィルター上の固体を上記同様乾燥し白色粉末を得た。結果、収量30.5gでHPLC純度98.3%のペンタエリスリトールジベンジルホスホネートが得られた。酸価は0.1mgKOH/g、残留揮発分は200ppmであった。
【0097】
さらに合成例で得られたペンタエリスリトールジベンジルホスホネート粗生成物を新たに40g取り、上記の操作で得られた洗浄液(メタノール含有率73重量%)で同様の洗浄、回収操作を行ったところ、収量30.7gでHPLC純度98.0%のペンタエリスリトールジベンジルホスホネートが得られた。酸価は0.2mgKOH/g、残留揮発分は300ppmであった。
【0098】
[実施例3]
実施例2で最終的に得られた洗浄液(メタノール含有率は59重量%であると見積もられた)を蒸留することでメタノール含有率95重量%の精製された洗浄液を得た。この洗浄液と合成例で得られたペンタエリスリトールジベンジルホスホネート粗生成物40gを実施例2と同様に洗浄、固体の回収操作を行ったところ、収量30.4gでHPLC純度98.4%のペンタエリスリトールジベンジルホスホネートが得られた。酸価は0.1mgKOH/g、残留揮発分は200ppmであった。
【0099】
[比較例1]
洗浄液にトルエンおよびトルエンで一度洗浄した洗浄液を用いた以外は実施例1と同様にして合成例で得られたペンタエリスリトールジベンジルホスホネート粗生成物を洗浄、回収したところ、1バッチ目の洗浄では、収量32.5gでHPLC純度92.1%のペンタエリスリトールジベンジルホスホネートが、2バッチ目の洗浄では収量32.6gでHPLC純度92.0%のペンタエリスリトールジベンジルホスホネートが得られた。酸価は2.0mgKOH/g、残留揮発分は10000ppmであった。
【0100】
[比較例2]
洗浄液にジメチルスルホキシドおよびジメチルスルホキシドで一度洗浄した洗浄液を用いた以外は実施例1と同様にして合成例で得られたペンタエリスリトールジベンジルホスホネート粗生成物を洗浄、回収したところ、1バッチ目の洗浄では、収量28.5gでHPLC純度95.1%のペンタエリスリトールジベンジルホスホネート(酸価は0.4mgKOH/g、残留揮発分は500ppm)が、2バッチ目の洗浄では収量31.5gでHPLC純度93.0%のペンタエリスリトールジベンジルホスホネート(酸価は1.5mgKOH/g、残留揮発分7000ppm)が得られた。
【0101】
実施例1では、本発明の25℃での比誘電率が10以上40以下である有機溶媒を用いてペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物の洗浄を行い、これによって得られた、該有機溶媒を50重量%以上含有する洗浄液を洗浄に再使用した。これによって、目的物のペンタエリスリトールジホスホネートを高収率かつ高純度で得ることに成功した。
【0102】
実施例2では、洗浄温度を80℃で行い、さらに洗浄液の再使用の回数を増やしてペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物の洗浄を行った。これによっても、目的物のペンタエリスリトールジホスホネートを高収率かつ高純度で得ることに成功した。
【0103】
実施例3では、実施例2で得られた洗浄液を蒸留することにより精製し、この精製した洗浄液をペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物の洗浄に再使用した。本方法によっても目的物のペンタエリスリトールジホスホネートを高収率かつ高純度で得ることに成功した。
【0104】
一方、比較例1では本発明の範囲外の比誘電率が低い有機溶媒であるトルエンおよびその洗浄で得られた洗浄液によりペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物の洗浄を行っているが、洗浄効果は見られなかった。また、比較例2から明らかなように本発明の範囲外の比誘電率が高い有機溶媒であるジメチルスルホキシドおよびその洗浄液を用いた場合は高純度、高収率で目的のペンタエリスリトールジホスホネートを得ることはできなかった。
【0105】
すなわち実施例1〜3で示されるように本発明の製造方法は、前記式(1)で示されるペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物の洗浄に、25℃での比誘電率が10以上40以下である有機溶媒を50重量%以上含有する洗浄液を用いることが可能であり、環境面、コスト面からも工業的に有利なペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法であることは明白である。
【0106】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、難燃剤等に利用できる特定のペンタエリスリトールジホスホネートを、高純度、高収率でかつ工業的に有利な生産性に優れた方法を提供できる。

Claims (5)

  1. 下記式(1)で示されるペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物を、25℃での比誘電率が10以上40以下である有機溶媒を50重量%以上含有する洗浄液により洗浄し、精製されたペンタエリスリトールジホスホネートを得、さらに洗浄後の洗浄液をペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物の洗浄液として再使用し、精製されたペンタエリスリトールジホスホネートを得る方法であって、かかる再使用される洗浄液は25℃での比誘電率が10以上40以下である有機溶媒を50重量%以上含有する洗浄液であることを特徴とするペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法。
    Figure 2004099526
    [式中、ArおよびArは、同一または異なっていても良く、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基である。ZおよびZは、同一または異なっていても良く、式(2)または式(3)で示される基である。]
    Figure 2004099526
    [式中、RおよびRは同一または異なっていてもよく、水素原子、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。]
    Figure 2004099526
    [式中、R、R、RおよびRは、同一または異なっていてもよく、水素原子、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、炭素数7〜30の置換もしくは非置換のアラルキル基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。]
  2. 請求項1において、ペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物を洗浄した後の洗浄液を精製して、25℃での比誘電率が10以上40以下である有機溶媒を50重量%以上含有する精製された液を得て、かかる精製された液をペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物の洗浄液として再使用する請求項1記載のペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法。
  3. 請求項1において、ペンタエリスリトールジホスホネート粗生成物が、下記式(4)で示されるペンタエリスリトールジホスファイトを、一般式R13X(式中、R13はアルカリ金属、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、炭素数7〜30の置換もしくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、炭素数4〜30の4級アンモニウムイオン、または炭素数4〜30のホスホニウムイオンである。XはBrまたはIである。)で示されるハロゲン化化合物の存在下に、温度80℃から300℃の条件下で加熱処理して製造されたものである請求項1記載のペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法。
    Figure 2004099526
    [式中、ArおよびArは、同一または異なっていても良く、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基である。ZおよびZは、同一または異なっていても良く、式(5)または式(6)で示される基である。]
    Figure 2004099526
    [式中、RおよびRは同一または異なっていてもよく、水素原子、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。]
    Figure 2004099526
    [式中、R、R10、R11およびR12は、同一または異なっていてもよく、水素原子、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、炭素数7〜30の置換もしくは非置換のアラルキル基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。]
  4. 請求項1において、ペンタエリスリトールジホスホネートの粗生成物を洗浄液により洗浄する際の洗浄温度が、20℃以上120℃以下である請求項1記載のペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法。
  5. 請求項4において、洗浄後のペンタエリスリトールジホスホネートの酸価が0.9mgKOH/g以下であり、かつ残留揮発物の含有量が5000ppm以下である請求項4記載のペンタエリスリトールジホスホネートの製造方法。
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