JP4083838B2 - 研磨剤、研磨方法、および半導体装置の製造方法 - Google Patents

研磨剤、研磨方法、および半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は一般に半導体装置の製造に関し、特に半導体装置の製造工程中の化学機械研磨工程で使われる研磨剤、およびかかる研磨剤を使った半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路では、一般に隣接する半導体装置相互を電気的に分離するために、素子分離構造が形成される。
従来のSi半導体装置では、かかる素子分離構造は、一般に、いわゆるLOCOS 法により、活性領域に隣接する素子分離領域に、厚いフィールド酸化膜を形成することにより行われていた。しかし、LOCOS 法では、特に素子領域の大きさが0.2μm以下に減少した場合、素子表面が、フィールド酸化膜領域から延在するいわゆるバーズビークと呼ばれる薄い酸化膜で覆われてしまう問題が生じる。また、かかるLOCOS 法による素子分離構造では、微細化に伴って素子領域間の距離が減少した場合、フィールド酸化膜の厚さが必然的に薄くなってしまい、所望の素子分離効果が得られない問題点が生じる。
【0003】
このような、LOCOS 法による素子分離構造の問題点を回避するため、従来より、隣接する素子間に溝(シャロートレンチ)を形成した、いわゆるシャロートレンチ構造が、微細化した半導体装置の素子分離手段として提案されている。かかるシャロートレンチ法では、素子間に形成した溝を絶縁層で埋め込むことにより、所期の素子分離効果を得る。
【0004】
一方、このような従来のシャロートレンチ法では、基板表面に溝を形成するため、必然的に凹凸が生じ、このためかかる分離構造を形成された基板表面上に半導体素子装置あるいは多層配線構造を形成するためには、基板表面を平坦化する必要がある。
図17(A)〜(C)および図18(D)〜(F)は、かかる従来のシャロートレンチ分離構造の形成方法を示す。
【0005】
まず、図17(A)の工程で、Si基板1の表面に、約800°Cでの熱酸化工程により、熱酸化膜2を約5nmの厚さに形成する。
さらに、図17(B)の工程で、前記熱酸化膜2上にSiN膜3を、典型的にはCVD法により、約200nmの厚さに堆積し、図17(C)の工程で、前記SiN膜3上に、素子分離領域に対応してSiN膜3を露出するレジストマスク(図示せず)を形成し、かかるレジストマスクを使って異方性エッチングを行なうことにより、Si基板1に達する溝(シャロートレンチ)1Aを、典型的には、Si基板1中での深さが400nm程度になるように形成する。
【0006】
さらに、レジストマスクを除去した後、図18(D)の工程で、SiO2 膜4をCVD法により、約700nmの厚さに堆積する。Si基板1には前記溝1Aが形成されているため、SiO2 膜4にも対応する凹部4Aが形成される。
次に、図18(E)の工程でSiO2 膜4を研磨し、平坦化する。典型的な場合、SiO2 膜4の研磨はコロイダルシリカを砥粒とする研磨剤を使ったCMP法(化学機械研磨)によりなされるが、コロイダルシリカ研磨剤を使った場合、SiN膜の研磨速度がSiO2 膜の研磨速度よりも小さくなるため(選択比は5倍程度)、研磨はSiN膜3が露出した時点で停止する。すなわち、前記SiN膜3は研磨ストッパとして作用する。かかる研磨の結果、図18(E)に示したように、溝1AがSiO2 膜4で埋められた構造が形成される。
【0007】
最後にSiN膜3を除去し、図18(F)に示すシャロートレンチ素子分離構造が得られる。
一方、今日の微細化された半導体集積回路装置は、基板上に形成された半導体素子を層間絶縁膜で覆い、その上に配線パターンを形成し、かかる配線パターンをさらに別の層間絶縁膜で覆い、その上にさらに別の配線パターンを形成するいわゆる多層配線構造を採用している。
【0008】
図19(A)は、かかる多層配線構造の一部を示す。
図19(A)を参照するに、基板5上には配線パターン6が形成されるが、配線パターン6には一般に疎密があり、このため図19(B)に示すようにかかる構造を層間絶縁膜7で覆った場合、層間絶縁膜の厚さが配線パターン6が密に形成されている領域で大きくなる、換言すると、層間絶縁膜表面に凹凸が生じる。このため、かかる層間絶縁膜上にさらに配線パターンを形成しようとする場合、層間絶縁膜表面を平坦化する必要がある。
【0009】
従来は、かかる層間絶縁膜表面の平坦化のために流動性の高いPSGやBPSG、あるいはSOG等を層間絶縁膜として使っていたが、最近の非常に微細化された、いわゆるサブミクロンデバイスでは、CMP法による平坦化が不可欠になっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図17(A)〜図18(F)に示す従来の素子分離構造の形成方法では、最後に研磨ストッパとして使ったSiN膜3を除去するため、図18(F)にも示されているように、溝1Aを埋めるSiO2 膜4が、Si基板1の表面から上方に、必然的に突出してしまう。すなわち、Si基板表面には、SiO2 膜4により凹凸が形成されるが、かかるSi基板表面の凹凸は、基板上に多層配線構造を含む微細な集積回路構造を形成する際に障害となる。
【0011】
また、かかる従来の素子分離構造の形成工程では、図18(E)の研磨工程におけるSiO2 膜4とSiN膜3との間での研磨速度の選択比が十分でないため、SiN膜3が部分的に失われてしまう場合があり得る。このような場合、SiN膜3の下の薄い熱酸化膜2は直ちに研磨されてしまうため、Si基板1が露出し、露出した部分においてSi基板1が大量に研磨されてしまうことになる。コロイダルシリカ研磨剤を使った場合、研磨速度は、SiN、SiO2 、Siの順で大きくなる。
【0012】
さらに、図18(F)のSiN膜3を除去する工程は、半導体装置の製造工程数を増大させるものであり、省略できるのが望ましい。
シャロートレンチ構造の形成に関連して、本発明の発明者等は、先にMnO2 を砥粒とした研磨剤がSiO2 等の絶縁層を研磨できることを発見し、かかる研磨剤、およびそれを使った半導体装置の製造方法を提案した(特願平8−220号)。MnO2 を砥粒とする研磨剤自体は、本発明者等により、既に提案されている(特願平7−169057号)。MnO2 を砥粒とする研磨剤は、W等の導体層に対して特に有効であり、このためかかる研磨剤は、半導体装置の製造工程全般にわたって、導体層の研磨にも絶縁層の研磨にも適用することができる。すなわち、MnO2 を砥粒とした研磨剤を使った場合、導体層の研磨の場合と絶縁層の研磨の場合とで研磨剤を変える必要がなく、工程が簡素化されると同時に、廃液処理も簡単になる。しかし、MnO2 を使った場合、絶縁層のみならず、導体層も研磨されるため、シャロートレンチ構造を形成するのに使っても、Si基板1上に、SiN層3に対応する研磨ストッパ層を、TiN等の窒化物により形成することが必要になり、上記の課題の解決にはならない。
【0013】
一方、図19(A),(B)に一例を示す多層配線構造の形成では、層間絶縁膜7をCMP法により研磨し、平坦化することが行われるが、このCMP工程においては、従来よりコロイダルシリカ(SiO2 )を砥粒とした研磨剤が使われることが多い。しかし、コロイダルシリカ研磨剤の研磨速度は高々65nm/min程度と限られおり、このため、例えば基板5上に研磨ストッパパターンを形成し、層間絶縁膜7をかかる研磨ストッパパターンが露出するまで研磨して層間絶縁膜の膜厚を正確に制御するようなことは、従来のコロイダルシリカ研磨剤を使ったCMP工程では、研磨効率が低いため困難であった。また、このように、従来のコロイダルシリカ研磨剤を使った層間絶縁膜の平坦化では、このように研磨ストッパパターンを使った研磨の制御が困難であったため、研磨された層間絶縁膜の平坦性が、単に研磨時間からのみ推測されるものであり、保証はされない。
【0014】
そこで、本発明は上記の課題を解決した研磨剤およびかかる研磨剤を使った半導体装置の製造方法を提供することを概括的目的とする。
本発明のより具体的な課題は、SiO2 等の絶縁層に対して選択的に作用し、導体層あるいはSi等の半導体層あるいは基板に対して実質的に作用しない研磨剤、およびかかる研磨剤を使った半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を
求項に記載したように、
MnO2よりなる砥粒と、
前記MnO2砥粒の表面にMn23あるいはMn34を形成する酸化還元電位が0.8Vより低く、かつpHが7より大きい溶剤と、を含むことを特徴とする研磨剤により、または
請求項に記載したように、
MnO2よりなる砥粒と、前記MnO2砥粒の表面にMn23あるいはMn34を形成する酸化還元電位が0.8Vより低くかつpHが7より大きい溶剤と、を含む研磨剤により、絶縁層を研磨することを特徴とする研磨方法により、または
請求項に記載したように、
基板上に第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜に溝を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜上に、前記溝を充填するように、導電層を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜上の前記導電層を、MnO2を砥粒とする研磨剤により研磨して、前記溝中に埋め込まれた導電性プラグを形成する工程と、
前記第1の絶縁膜上に、前記導電性プラグを覆うように第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第2の絶縁膜を、Mn23,Mn34,およびその混合物より選ばれる砥粒を含む研磨剤により研磨する工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法により、解決する。
【0016】
本発明の発明者は、Mn2 3 、およびその他の様々な組成の砥粒を使った様々な研磨剤により、様々な材料を研磨する実験を行なったところ、Mn2 3 砥粒を使った研磨剤により、SiO2 膜が、従来のコロイダルシリカ研磨剤を用いた場合に比較して3〜4倍の研磨速度で研磨できること、一方、Mn2 3 を砥粒とする研磨剤では、SiやW等の金属は実質的に研磨できないことを発見した。さらに、同様な効果が、研磨の際にMnO2 砥粒を使い、その表面をMn2 3 が形成されるような条件で処理した場合にも得られることを確認した。
【0017】
【表1】
Figure 0004083838
【0018】
【表2】
Figure 0004083838
【0019】
表1は、前記実験の実験結果をまとめて示す。ただし、実験は、表2にまとめて示すように、平均粒径が0.2μmのMn2 3 砥粒を使い、研磨剤中における砥粒の濃度を10wt%に設定した条件下で行なった。また、溶剤には、H2 Oを使っている。研磨は、表2に示すように、IC1000/SUBA400研磨布を被せた径が12インチの定盤を60rpmの速度で回転させ、さらに研磨ヘッドを60rpmで回転させながら実行した。研磨圧は210g/cm2 に設定し、研磨剤の流量は100cc/分とした。
【0020】
表1よりわかるように、Mn2 3 を砥粒とした研磨剤を使った場合、SiO2 膜に対して200〜250nm/分の研磨速度が得られることが見出された。これは、従来のコロイダルシリカ研磨剤の65nm/分という研磨速度の3〜4倍である。一方、前記Mn2 3 を砥粒とした研磨剤でSiとWをそれぞれ研磨した場合、得られた研磨速度は非常に小さく、それぞれ45nm/分および48nm/分程度であることが見出された。換言すると、Mn2 3 を砥粒とした研磨剤を使った場合、SiO2 膜を速く研磨できるだけでなく、このような金属層を効果的な研磨ストッパとして使うことができる。同様な効果は、Mn3 4 を砥粒とする研磨剤についても得られる。
【0021】
これに対し、従来のコロイダルシリカ研磨剤を使った場合、Si層の研磨速度は先にも述べたようにSiO2 膜の研磨速度よりもさらに大きく120nm/分にも達し、Si層を研磨ストッパとして使うことはできない。
さらに、本発明者は、MnO2 砥粒を、その表面にMn2 3 が形成されるような条件下で使うことによっても、Mn2 3 砥粒を使った場合と同様に良好な研磨選択性が得られることを見出した。
【0022】
Mnのように複数の電荷をとりうる金属元素では、酸化還元反応により電荷が変化し、これに伴って形成されるMn酸化物の種類も変化する。
図1は、水溶液中におけるMnの酸化還元反応を示す相平衡図である。
図1を参照するに、横軸はpH、縦軸は酸化還元電位Eをあらわすが、E−pH領域は、Mnの酸化還元反応に対応する相境界により、複数の領域に区切られているのがわかる。例えば、Eが0.8〜1V,pHが6〜7の領域では、Mn酸化物としてMnO2 が出現するのに対し、pHがより高く、Eがより低い領域ではMn2 O3 ,あるいはMn3 4 が出現するのがわかる。また、図1中、「0」,「−2」,「−4」,「−6]で示した相境界は、それぞれMn2+の濃度が1M/l,0.01M/l,0.0001M/l,0.000001M/lであることをあらわす。
【0023】
そこで、本発明の発明者等は、砥粒とともに研磨剤の一部を構成する溶剤のpH値および酸化還元電位Eを調整することにより、先の出願(特願平7−169057号)で提案したMnO2 砥粒をMn2 3 あるいはMn3 4 が出現するような条件下で使い、研磨の際にMnO2 砥粒の表面にMn2 3 あるいはMn3 4 が形成されるようにした。このように、表面にMn2 3 あるいはMn3 4 あるいはその混合物を形成した砥粒を使った場合でも、SiO2 膜の研磨速度は、従来のコロイダルシリカ研磨剤の場合を上回る。一方、Si,W等の金属層に対しては、先のMn2 3 砥粒を使った場合と同様な、顕著な研磨速度の低下、すなわち研磨の選択性を示す。
【0024】
このような酸化還元反応では、pHはHCl等の酸あるいはKOH等のアルカリを使うことにより簡単に調整できる。また酸化還元電位はオゾン水の添加あるいはH2 ガスのバブリングにより調整できる。オゾン水を添加すると酸化還元電位は上昇し、H2 ガスをバブリングすると減少する。
【0025】
【発明の実施の形態】
[第1実施例]
図2(A)〜(C)は本発明の第1実施例による半導体装置の製造工程、特にシャロートレンチを使った素子分離構造の形成工程を示す図である。図2中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0026】
図2(A)を参照するに、Si基板1上に素子分離溝1Aが約400nmの深さに形成された後、工程(B)において工程(A)の構造上にSiO2 膜4が、前記溝1Aを埋めるようにCVD法により堆積され、工程(C)において、前記SiO2 膜4が、表1に記載した前記Mn2 3 を砥粒とする研磨剤を使って研磨される。
【0027】
SiO2 膜4の研磨は、前記表2に記載したような条件で、H2 Oを溶剤に使って実行される。その際、研磨は、Si基板1の表面が露出した時点で、Siに対するSiO2 の研磨速度の選択性により、自動的に停止する。表1よりわかるように、このようなMn2 3 を砥粒とする研磨剤を使うことにより、Siに対するSiO2 の研磨速度の選択比を、少なくとも4倍の比率で確保することができる。
【0028】
図2(A)〜(C)の工程では、Si基板1の表面それ自体が研磨ストッパとして作用し、その結果図17(A)〜(C),図18(D)〜(F)のような研磨ストッパ層を設け、さらにそれを除去するという余計な工程が省略できる。
また、研磨の際に、MnO2 を砥粒として使い、溶剤の酸化還元電位およびpHを調整することにより、MnO2 砥粒の表面にMn2 3 を形成しても、Mn2 3 砥粒を使ったのと同様なSiO2 膜4の効率的な研磨、およびSiに対するSiO2 の選択性による研磨の自動停止効果が得られる。この方法だと、別の研磨工程でW等の導体層の研磨に使われるMnO2 研磨剤と同じ研磨剤を使い、溶剤の組成だけを変化させることにより、研磨剤の交換が不要になり、研磨工程が非常に簡単になる。例えば、酸化還元電位Eを0V,pHを12以上に設定することにより、Mn2 3 をMnO2 砥粒表面に形成することが可能になる。
【0029】
図2(C)の研磨工程の後、図2(C)の構造は、HCl,H2 2 およびH2 Oを1:1:48の体積比で混合した洗浄液中に1分間浸漬され、続いて0.5%のHF溶液中に1分間浸漬されることにより、洗浄される。洗浄後の基板表面に残留する不純物元素の濃度を調べたところ、多くの元素(Na,K,Fe,Mn)について、5×1010atoms/cm2 以下の清浄度が実現されているのが確認された。また、Si基板1の表面、およびSiO2 膜4の表面に傷等の欠陥は確認されなかった。
【0030】
図3は、図2(C)の研磨工程において、表1の方法および従来方法による研磨を行なった場合の、Si基板1の表面上においてSiO2 膜4が形成する段差を求めた結果を示す。ただし、図3中、縦軸はかかる段差の出現頻度を示す。
いずれの方法とも、段差は0μmであるのが好ましいが、従来の方法では0.2μmに達する段差が生じているのがわかる。これに対して、本発明の方法Aおよび方法B共、段差は0.05μm以内であり、ほとんどゼロであることがわかる。ただじ、方法Aでは、Mn2 3 を砥粒としたスラリを使い、方法BではMnO2 砥粒の表面にMn2 3 を形成したスラリを使っている。
【0031】
このように、図2(C)の研磨工程において本発明の方法を適用することにより、シャロートレンチ分離構造を形成された基板1の表面を実質的に完全に平坦化することが可能である。
以上に記載した研磨工程において、Mn2 3 のかわりにMn3 4 、あるいはMn2 3 とMn3 4 の混合物を研磨剤として使うことも可能である。
[第2実施例]
図4(A)〜7(L)は、本発明の第2実施例による多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する図である。
【0032】
図4(A)を参照するに、Si基板11上にはフィールド酸化膜11aにより活性領域11Aが画成されており、前記活性領域中では基板11上にゲート絶縁膜を介してゲート電極12が形成されている。さらに、前記基板11中には前記ゲート電極12の両側に拡散領域11bおよび11cが形成され、さらにゲート電極12直下にはチャネル領域11dが形成される。ゲート電極12は側壁酸化膜12aおよび12bを側壁面上に担持し、さらに基板11上には前記ゲート電極12を覆うように、例えばSiO2 よりなる層間絶縁膜13がCVD法により形成されている。
【0033】
図4(A)よりわかるように、層間絶縁膜13の表面には前記ゲート電極12に対応した凹凸が生じ、このため、本実施例では、図4(B)の工程において、前記層間絶縁膜13が、Mn2 3 あるいはMn3 4 をH2 O等よりなる溶剤中に砥粒として分散させた研磨剤を使ったCMP法により平坦化される。先に表1に示したように、Mn2 3 研磨剤を使ってSiO2 膜を研磨した場合、コロイダルシリカ研磨剤の3倍以上の研磨速度が得られる。また、Mn2 3 研磨剤のかわりにMn3 4 研磨剤を使った場合にも、コロイダルシリカ研磨剤の2倍以上の研磨速度が得られる。
【0034】
さらに、図4(C)の工程で、このように平坦化された層間絶縁膜13に、前記拡散領域11bを露出するコンタクトホール13aを形成し、図4(D)の工程で図4(C)の構造上にTiN層14cおよびW層14を、スパッタリング法またはCVD法により形成する。このようにして形成されたW層14は、図5(E)の工程においてそれぞれ溶剤中にMnO2 を砥粒として含む研磨剤を使ったCMP法により除去され、図5(E)に示す前記コンタクトホール13aをWプラグ14bが埋めた構造が得られる。ただし、TiN膜14cはCMPによっては除去されずに残る。Wプラグ14bの中央部には、図4(D)の工程でW層14を堆積する際に形成されるシーム14eが含まれるが、溶剤中にMnO2 を砥粒として含む研磨剤として使った場合、MnO2 が固体酸化剤として作用するためH2 2 のような液体酸化剤を使う必要がなく、シームが液体酸化剤により侵食される問題は生じない。
【0035】
次に、図5(F)の工程において、図5(E)の構造上にスパッタリング法またはCVD法により形成した薄いTi膜(図示せず)を介してAlあるいはAl合金よりなる導体層15を形成する。さらに、前記導体層上に、再び薄いTi膜(図示せず)を介してTiN膜15bをスパッタリング法またはCVD法により形成する。
【0036】
さらに図5(G)の工程で、前記導体層15およびその上下のTiN膜14c,15bをパターニングし、図5(H)の工程で、図5(G)の構造上に例えばSiO2 よりなる層間絶縁膜16を堆積する。このようにして形成された層間絶縁膜16では、前記導体層パターン15に対応して表面に凹凸が生じる。
そこで、図6(I)の工程において、図5(H)の層間絶縁膜16がMn2 3 あるいはMn3 4 を砥粒として含む研磨剤を使ったCMP処理により平坦化される。ついで図6(J)の工程において前記平坦化された層間絶縁膜16をパターニングし、前記導体層15を露出するコンタクトホール16Aを形成する。さらに、図7(K)の工程で前記層間絶縁膜16上に前記コンタクトホール16Aを埋めるようにTiN層17aおよびW層17を順次堆積し、図7(L)の工程で堆積したW層17をMnO2 を砥粒として含む研磨剤を使ったCMPにより除去し、前記コンタクトホール16Aを埋める導体プラグ17Aを形成する。導体プラグ17Aの中央部には、シーム14eと同様なシーム17bが形成される。
【0037】
さらに図7(L)の構造上に配線パターンおよび層間絶縁膜を形成し、半導体装置を完成させる。
かかる半導体装置の製造方法では、図4(B)の工程および図6(I)の工程で、SiO2 よりなる絶縁膜13あるいは層間絶縁膜16の平坦化が、先にも説明したように、Mn2 3 あるいはMn3 4 あるいはその混合物を砥粒として含む研磨剤を使ったCMPを使って実行される。また、Mn2 3 あるいはMn3 4 による研磨は、MnO2 よりなる砥粒を図1の相平衡図に示す酸化還元電位およびpHを実現する溶剤と組み合わせて使うことによっても可能である。また、図5(E)および図7(L)の工程で、Wよりなる導体層14あるいは17の除去が、MnO2 を砥粒として含む研磨剤を使ったCMP法を使って実行される。
【0038】
MnO2 あるいはMn2 3 ,Mn3 4 は、いずれも先に説明したように酸に可溶であり、このため被加工物である基板あるいは研磨装置に残留している研磨剤は、酸洗浄により、容易に除去することができる。洗浄液としては、例えば先に説明した、HCl,H2 2 およびH2 Oを1:1:48の体積比で混合したものを使うことができる。
[第3実施例]
図8(A)〜図11(M)は、本発明の第3実施例による半導体装置の製造工程を説明する図である。
【0039】
図8(A)を参照するに、Si基板11に対応するSi基板21上にはフィールド酸化膜21aにより活性領域21Aが画成されており、前記活性領域21A中では基板21上にゲート絶縁膜を介してゲート電極22が形成されている。さらに、前記基板21中には前記ゲート電極22の両側に拡散領域21bおよび21cが形成され、さらにゲート電極22直下にはチャネル領域21dが形成される。ゲート電極22は側壁酸化膜22aおよび22bを側壁面上に担持し、さらに基板21上には前記ゲート電極22を覆うように、例えばSiO2 よりなる層間絶縁膜23がCVD法により形成されている。
【0040】
図8(A)よりわかるように、層間絶縁膜23の表面には前記ゲート電極22に対応した凹凸が生じ、このため、本実施例では、図8(B)の工程において、前記層間絶縁膜23を、H2 Oよりなる溶剤中にMn2 3 あるいはMn3 4 を砥粒として分散させた研磨剤により研磨し、平坦化する。さらに、図8(C)の工程で、このように平坦化された層間絶縁膜23に、前記拡散領域21bを露出するコンタクトホール23aを形成し、図8(D)の工程で図8(C)の構造上にTiN層24cおよびW層24を、スパッタリング法またはCVD法により形成する。このようにして形成されたW層24は、図9(E)の工程においてMnO2 を砥粒とする研磨剤を使ったCMPにより除去され、図9(E)に示す前記コンタクトホール23aをWプラグ24bが埋めた構造が得られる。ただし、前の実施例と同様、TiN層24cはCMPでは除去されずに残る。Wプラグ24bの中央部には、図8(D)の工程でW層24を堆積する際に形成されるシーム24eが含まれるが、MnO2 研磨剤中にH2 2 のような液体酸化剤が含まれないため、研磨をしてもシーム24eの侵食は生じない。
【0041】
次に、図9(F)の工程において、図9(E)の構造上に薄いTi膜(図示せず)を介してAlあるいはAl合金よりなる導体層25を形成する。さらに、前記導体層上に、再び薄いTi膜(図示せず)を介してTiN膜25bをスパッタリング法またはCVD法により形成する。
さらに図9(G)の工程で、前記導体層25およびその上下のTiN膜25a,25bをパターニングし、図9(H)の工程で、図9(G)の構造上に例えばSiO2 よりなる層間絶縁膜26を堆積する。このようにして形成された層間絶縁膜26では、前記導体層パターン25に対応して表面に凹凸が生じる。
【0042】
そこで、本実施例では、図10(I)の工程において図9(H)の層間絶縁膜16をMn2 3 あるいはMn3 4 を砥粒とする研磨剤により、前記導電層25を覆うTiN膜25bが露出するまで研磨し、層間絶縁膜膜26を平坦化する。
【0043】
【表3】
Figure 0004083838
【0044】
表3は、本発明の各実施例で使われるMn2 3 あるいはMn3 4 を砥粒とする研磨剤について、SiO2 膜に対する研磨速度を示す。ただし、研磨速度は先に説明した表2の研磨条件下におけるものである。表3には、比較のため、従来のコロイダルシリカ研磨剤(SC112)のSiO2 膜に対する研磨速度をも示すが、Mn2 3 研磨剤は従来のコロイダルシリカに対して3〜4倍の研磨速度を示し、Mn3 4 も同様に2〜3倍の研磨速度を示す。表3中、Mn2 3 研磨剤およびコロイダルシリカ研磨剤の研磨速度は、表1に示すものに対応する。
【0045】
このように、Mn2 3 あるいはMn3 4 を砥粒とする研磨剤のSiO2 膜に対する研磨速度は非常に大きいため、図10(I)の研磨工程は、前記導体膜25上のTiN膜25bが露出するまで急速に進行し、その結果層間絶縁膜23上に残っている層間絶縁膜26の厚さは、前記導体膜25の厚さにより実質的に規制される。導体膜25の厚さは、図9(F)の工程において膜25をCVD法により形成する際に精度よく制御されるため、本発明により層間絶縁膜26の厚さを所望の値に正確に制御することが可能になる。また、かかるMn2 3 あるいはMn3 4 研磨剤を使った研磨は、TiN膜25b等の窒化膜に対しては実質的に作用せず、このためTiN膜25bは効果的な研磨ストッパとして作用する。さらに、かかるMn2 3 あるいはMn3 4 研磨剤による研磨は、前記導体膜25上にTiN膜25bを形成していなくても、W等よりなる導体膜25に対するこれらの研磨剤の研磨速度が非常に小さいため、導体膜25の露出と同時に実質的に停止する(表1を参照)。同様な大きな研磨速度は、層間絶縁膜26がPSGやBPSGのようなシリケートガラスの場合にも得られる。
【0046】
図10(I)の工程の後、図10(J)の工程において前記平坦化された層間絶縁膜26上に別の層間絶縁膜27を形成する。層間絶縁膜26の表面は先の研磨工程により実質的に完全に平坦化されているため、層間絶縁膜27は、CVD法等により、所望の厚さに正確に形成することができる。
次に、図10(K)の工程において、前記層間絶縁膜27中に、前記導体層25を露出するコンタクトホール27Aを形成し、さらに、図11(L)の工程で前記層間絶縁膜27上に前記コンタクトホール27Aを埋めるようにTiN層28aおよびW層28を順次堆積する。さらに、図11(M)の工程で、堆積したW層28をMnO2 を砥粒とする研磨剤により、図9(E)の工程と同様に除去し、前記コンタクトホール27Aを埋める導体プラグ28Aを形成する。導体プラグ28Aの中央部には、シーム24eと同様なシーム28bが形成されるが、研磨の際にシーム28bの侵食が生じることはない。
【0047】
さらに図11(M)の構造上に配線パターンおよび層間絶縁膜を形成し、半導体装置を完成させる。
本発明によるMn2 3 あるいはMn3 4 を砥粒とする研磨剤で、酸化膜の研磨速度が増大する理由は、以下の通りと考えられている。
MnO2 を含めたMn酸化物は、層間絶縁膜材料であるSiO2 を研磨できるが、その研磨速度が大きいことは、Mnが何らかの化学反応を伴ってSiとOの結合を切断することを示唆している。
【0048】
また、後で説明するように、本発明では、Mn2 3 砥粒あるいはMn3 4 砥粒はMnO2 を熱処理することにより作製される。かかる熱処理の結果、MnO2 からはO2 が離脱し、MnO2 はMn2 3 あるいはMn3 4 に変化するが、形成されたMn2 3 あるいはMn3 4 の塊には前記O2 の離脱に伴い多数の気孔が形成される。かかる気孔を含むMn2 3 あるいはMn3 4 の塊は、粉砕ミル中でジルコニア等のボールの割合を減らしても容易に粉砕され、またこのようにして得られたMn2 3 あるいはMn3 4 砥粒自体も多量の気孔を含んでいる。このため、かかる多孔質の砥粒を使って研磨を行った場合、砥粒は研磨時に容易に崩壊し、ウェハとMn2 3 あるいはMn3 4 の粒子との接触面積が増大するものと考えられる。
[第4実施例]
図12は、本発明によるMn2 3 あるいはMn3 4 を砥粒とする研磨剤の製造工程を説明するフローチャートである。
【0049】
図12を参照するに、まず工程S1においてMnSO4 あるいはMnCO3 等のマンガン塩をH2 SO4 中に溶解し、工程S2において濾過し、固形分は残さとして廃棄される。一方、得られた濾液には、工程S3においてH2 Sが加えられ、Cu,W,Mo等の不純物が硫化物として分離・析出する。ただし、この工程は、高純度のマンガン塩を使った場合には、省略できる。
【0050】
さらに、工程S5において、前記工程S4で得られた濾液を使って電気分解が実行される。電気分解の際、陽極としては典型的にはTiまたはPb、あるいは黒鉛が使われ、一方陰極としては黒鉛が使われる。電気分解は、液温を90°C以上に設定して実行され、その結果、陽極にγ相を主体とする電析MnO2 が析出する。
【0051】
工程S5の電気分解の後、残った終了液(H2 SO4 )は工程S1にリサイクルされ、一方陽極に析出した電析MnO2 は、工程S6でNH4 OHにより中和・洗浄される。このようにして得られた電析MnO2 は、さらに工程S7で予備粉砕の後、熱処理工程S8により熱処理される。熱処理工程S8は空気中で5〜10分間、典型的には約7分間実行され、かかる熱処理工程の結果、MnO2 の大部分はMn2 3 あるいはMn3 4 に変化する。Mn2 3 を形成する場合には、熱処理工程S8の温度を500〜900°Cの範囲に設定し、Mn3 4 を形成する場合には、前記熱処理工程S8の温度を900〜1200°Cの範囲に設定するのがよい。
【0052】
得られたMn2 3 あるいはMn3 4 は、さらに工程S9で水を使ったミリングにより、粒径が1〜0.1μm以下に粉砕される。かかる工程の結果、Mn2 3 あるいはMn3 4 を砥粒とする研磨剤が得られる。
図13(A)〜(C)は、このような熱処理工程におけるMn酸化物の変化を示す粉末X線回折パターンである。
【0053】
図13(A)〜(C)を参照するに、図13(A)に示す、先の電析工程で得られたγ相MnO2 の回折パターンは、空気中、500〜900°Cで加熱後には、図13(B)に示すようにMn2 3 の回折パターンに変化するのが確認された。さらに、加熱を900〜1200°Cの範囲で行った場合には、図13(C)に示すようにMn3 4 の回折パターンに変化する。
【0054】
本実施例によれば、先にも説明したように、Mn2 3 あるいはMn3 4 研磨剤により層間絶縁膜を研磨することにより研磨効率が大幅に向上し、層間絶縁膜を単に平坦化するのみならず、研磨により平坦化された層間絶縁膜の厚さを、層間絶縁膜に下に形成した所定の厚さの研磨ストッパパターンの厚さに一致させることができる。さらに、Mn2 3 およびMn3 4 はいずれもMnO2 と同様に酸に可溶であり、従って研磨後に、単に第1実施例と同様な酸浴により、残留している研磨剤を完全に除去することが可能になる。
[第5実施例]
ところで、前記本発明の第1〜第3実施例で使ったMn2 3 あるいはMn3 4 研磨剤は、回収した後、再生することが可能である。
【0055】
図14は、本発明の第5実施例による、使用済みのMn2 3 あるいはMn3 4 研磨剤を回収・再生する工程を含む研磨剤の製造工程を示すフローチャートである。
図14を参照するに、研磨工程で発生したMn2 3 あるいはMn3 4 の廃研磨剤および研磨されたウェハ等の洗浄に使われた洗浄液は、廃液として回収される。廃液中には、使用済みのMn2 3 あるいはMn3 4 砥粒および研磨された導体層あるいは絶縁層を構成する元素が不純物として含まれている。
【0056】
回収された廃液は、工程S21でH2 SO4 およびH2 2 の混合液中に溶解される。この廃液には、研磨中に発生した研磨布のカス等が含まれている。Mn酸化物は、全てMn2+となっているので、研磨布のカス等は、工程S211で濾過により除去される。さらに必要に応じて工程S22で、混合液を、高温蒸気を通したコイル配管と接触させることにより加熱し、Mn2+の濃度で10%程度まで濃縮する。一般に、廃液は多量の洗浄液により、典型的には固形分が1〜2%程度まで希釈されているため、濃縮工程S22は、工程S23の電気分解工程を効率的に実行するために必要であることが多い。
【0057】
次に、得られた濃縮液は、前記工程S5に対応する工程S23で電気分解され、得られた電析物が前記工程S6に対応する工程S24でNH4 OHにより中和・洗浄され、さらに前記工程S7に対応する工程S25で予備粉砕の後、前記工程S8に対応する工程S27で空気中加熱処理され、さらに前記工程S9に対応する工程S26で、水を媒体にして0.1〜1μmの粒径にミリングされる。
【0058】
一方、工程S23で生じたH2 SO4 を主成分とする電解終了液は、工程S21に送られリサイクルされる。
図15は、図14のプロセスを実行するための構成を示す。
図15を参照するに、ウェハ30の研磨工程あるいは洗浄工程で発生した廃液は、H2 SO4 とH2 2 の混合液を保持する溶解タンク31に回収され、溶解された後、ポンプ31aによりフィルタ31Fを介して濃縮タンク32に送られる。フィルタ31Fでは、先に工程S211で説明したように、研磨工程で発生した研磨布のカス等が除去される。濃縮タンク32では、廃液は高温蒸気を供給される熱交換器32aにより加熱され、水分を蒸発させることにより濃縮がなされる。また、濃縮タンク32のかわりに、ロータリーフィルタープレス等の濾過器を使ってもよい。
【0059】
得られた濃縮液は、ポンプ32bによりタンク33に供給され、一旦保持された後、ポンプ33aにより電解槽34に送られ電気分解される。電解槽にはTiやPb、あるいは黒鉛よりなる陽極34Aと黒鉛よりなる陰極34Bとが交互に配設され、前記陽極に正電圧を、また陰極に負電圧を供給することにより、前記濃縮液の電気分解を行なう。電気分解の結果、陽極34AにはγMnO2 よりなる析出物34aが析出する。
【0060】
電気分解後、電解槽34中のH2 SO4 を主成分とする液はタンク33に戻され、タンク33に新たに供給される液と共に、電解層34に再び供給される。また、タンク33中のH2 SO4 を主成分とする液は、タンク31に戻され再利用される。
図15のような設備において、図14の工程を実行することにより、Na,Kを実質的に含まない、高純度のγMnO2 を形成することができる。また、電解槽14中に残留する電解終了液は高濃度のH2 SO4 を含むが、これは、電解終了液をタンク31に戻す(図14の工程S21)クローズドシステムを構成する場合に非常に好都合である。
【0061】
表4は、化学合成法により合成された化学合成MnO2 と本発明による電解法により形成された電析MnO2 とで、再生前および再生後の不純物濃度を比較した結果を示す。
【0062】
【表4】
Figure 0004083838
【0063】
表4を参照するに、どちらのMnO2 砥粒も再生後の方が不純物濃度は減少しているが、電析MnO2 の不純物濃度は、化学合成MnO2 の不純物濃度よりもはるかに少ないことがわかる。
図15において、研磨および洗浄工程と、タンク31,33,34を使った研磨剤再生工程とは、別個のプラントで実行することが可能である。ただし、その場合には、研磨および洗浄工程を含む半導体装置の製造工程を実行する設備から、回収された廃液を、研磨剤再生工程を実行する設備に輸送する必要がある。
【0064】
本発明では、このような場合、輸送費用を削減するために、図16に示すトラップを使ってもよい。
図16を参照するに、トラップは大きな沈殿槽40中に形成され、隔壁42により複数の沈殿室43A〜43Dに区分されている。回収された廃液は、入口41から沈殿室43Aに入り、隔壁42を超えて沈殿室43B,43C,43Dと進み、出口44から排出される。その際、各々の沈殿室43A〜43D中に、回収された廃砥粒が、スラッジ43a〜43cとして堆積する。このため、このスラッジを回収して図7の溶解タンク41に輸送することにより、輸送費用が、廃液のまま輸送するよりも安くなる。
【0065】
さらに、本発明によるMn2 3 あるいはMn3 4 を砥粒とする研磨剤は、半導体装置の製造のみならず、レンズ等の研磨や液晶パネルの製造、さらにプラズマ表示パネルの製造、さらには露光マスクの製造等にも有用である。
以上、本発明を好ましい実施例について説明したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨内において、様々な変形・変更が可能である。
【0066】
【発明の効果】
発明の特徴によれば、Mn酸化物、特にMn23,Mn34およびその混合物より選ばれるMn酸化物を砥粒中に含む研磨剤を化学機械研磨工程に使うことにより、絶縁層に効果的に作用し、高い研磨速度が得られ、金属層あるいは半導体層で確実に停止する、非常に選択性の高い研磨を行なうことが可能になり、シャロートレンチを使った素子分離構造や多層配線構造等を形成する際に、半導体構造表面を平坦化するのに有用である。
【0067】
また本発明の特徴によれば、Mn酸化物よりなる砥粒と、溶剤とよりなる研磨剤において、前記砥粒としてMnO2を使い、溶剤の酸化還元電位およびpHを、前記MnO2砥粒の表面にMn23あるいはMn34が形成されるように調整することにより、導体層を研磨するのと同じMnO2研磨剤を使い、絶縁層の研磨の際にだけ溶剤の酸化還元電位およびpHを調整することにより、絶縁層に効果的に作用し金属層あるいは半導体層で確実に停止する非常に選択性の高い研磨を、簡単に行なうことが可能になる。またMnO2 は乾電池の材料として量産されており、安価に入手することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Mnの酸化還元反応を示す相平衡図である。
【図2】(A)〜(C)は本発明の第1実施例による素子分離構造の形成を示す図である。
【図3】図2の工程で形成された素子分離構造を有するSi基板表面の段差を、従来の工程で素子分離構造を形成した場合と比較して示す図である。
【図4】(A)〜(D)は、本発明の第2実施例による多層配線構造の形成方法を説明する図(その一)である。
【図5】(E)〜(H)は、本発明の第2実施例による多層配線構造の形成方法を説明する図(その二)である。
【図6】(I),(J)は、本発明の第2実施例による多層配線構造の形成方法を説明する図(その三)である。
【図7】(K),(L)は、本発明の第2実施例による多層配線構造の形成方法を説明する図(その四)である。
【図8】(A)〜(D)は、本発明の第3実施例による多層配線構造の形成を示す図(その一)である。
【図9】(E)〜(H)は、本発明の第3実施例による多層配線構造の形成を示す図(その二)である。
【図10】(I)〜(K)は、本発明の第3実施例による多層配線構造の形成を示す図(その三)である。
【図11】(L),(M)は、本発明の第3実施例による多層配線構造の形成を示す図(その四)である。
【図12】本発明の第4実施例による、本発明第3実施例で使うMn2 3 あるいはMn3 4 研磨剤の製造工程を説明する図である。
【図13】(A)〜(C)は、加熱処理によるMn酸化物の粉末X線回折パターンを示す図である。
【図14】 本発明の第4実施例によるMn2 3 あるいはMn3 4 研磨剤の再生工程を示すフローチャートである。
【図15】 図14の工程を実行する装置の構成を示す図である。
【図16】 図14の工程において、廃液から使用済研磨剤を回収するトラップを示す図である。
【図17】(A)〜(C)は、従来の素子分離構造を形成する工程を示す図(その1)である。
【図18】(D)〜(F)は、従来の素子分離構造を形成する工程を示す図(その2)である。
【図19】(A),(B)は、従来の多層配線構造において発生する問題点を説明する図である。
【符号の説明】
1,11,21 Si基板
1A 溝
2 熱酸化膜
3 研磨ストッパ層(SiN)
4 SiO2
4A 凹部
11A,21A 活性領域
11a,21a フィールド酸化膜
11b,11c,21b,21c 拡散領域
11d,21d チャネル領域
12,22 ゲート電極
12a,12b,22a,22b 側壁酸化膜
13,16,23,26,27 層間絶縁膜
13a,16A,23a コンタクトホール
14,15,17,24,25,28 W層
14b,17A,24b,28A Wプラグ
14c,15b,17a,24c,25a,25b,28a TiN層
14e,24e,28b シーム
31 溶解タンク
31a,32b,33a ポンプ
32 濃縮タンク
32a 熱交換器
33 タンク
34 電解槽
34A 陽極
34B 陰極
40 沈殿槽
41 廃液入口
42 隔壁
43A〜43D 沈殿室
43a〜43d スラッジ
44 廃液出口

Claims (3)

  1. MnO2よりなる砥粒と、
    前記MnO2砥粒の表面にMn23あるいはMn34を形成する酸化還元電位が0.8Vより低く、かつpHが7より大きい溶剤と、を含むことを特徴とする研磨剤。
  2. MnO2よりなる砥粒と、前記MnO2砥粒の表面にMn23あるいはMn34を形成する酸化還元電位が0.8Vより低くかつpHが7より大きい溶剤と、を含む研磨剤により、絶縁層を研磨することを特徴とする研磨方法。
  3. 基板上に第1の絶縁膜を形成する工程と、
    前記第1の絶縁膜に溝を形成する工程と、
    前記第1の絶縁膜上に、前記溝を充填するように、導電層を形成する工程と、
    前記第1の絶縁膜上の前記導電層を、MnO2を砥粒とする研磨剤により研磨して、前記溝中に埋め込まれた導電性プラグを形成する工程と、
    前記第1の絶縁膜上に、前記導電性プラグを覆うように第2の絶縁膜を形成する工程と、
    前記第2の絶縁膜を、Mn23,Mn34,およびその混合物より選ばれる砥粒を含む研磨剤により研磨する工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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