JP4082448B2 - 真偽判別可能な印刷物及びその作成方法 - Google Patents

真偽判別可能な印刷物及びその作成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真偽判別可能な銀行券、株券、債券等の有価証券、各種証明書及び重要書類等の印刷物に関する。
【0002】
【従来の技術】
銀行券、株券、債券等の有価証券、各種証明書及び重要書類等の印刷物において偽造、変造防止策は重要な要素である。これら印刷物の偽造、変造防止策は主に幾何学模様を多用化した図柄をデザインに用いる方法と、印刷物に対し何等かの手段と作用を加えると目視では認識できなかった潜像を現出するような方法がある。
【0003】
前者の代表的な例は、証券印刷物等のデザインに広く用いられている地紋、彩紋模様、レリーフ模様等の幾何学模様を用いたものであるが、前記幾何学模様を用いた偽造、変造防止策としては、基本的に一定の画線幅による曲画線の集合によって模様を構成しているものである。
【0004】
これらの模様は印刷物のデザイン等の意匠性を加味し、且つ写真製版装置による抽出または複写機では再現されにくい色彩を用いたり、複雑な曲画線にして複写機及びスキャナの走査入出力に対し、モアレを発生させたりすることで偽造防止策としての役割を高めているが、最近では高機能化した写真製版装置または複写機の出現によって充分な偽造、変造防止効果をもたらしていないという欠点がある。
【0005】
また前記の印刷物に対し何等かの手段と作用を加える後者の代表的な例のうち、最も多く用いられている偽造、変造防止策は、一般的にコピー防止画線と称する一連の技術で、印刷物中に施された潜像が目視では認識できなく、複写機によって複写することにより潜像が現出するもので、このような複写機による偽造防止に適する印刷物においては、すでに開示されている次の▲1▼〜▲3▼の技術手段がある。
【0006】
▲1▼基紙表面に、例えば85線30%の網点である微細構成素子よりなる文字を表示した複写による偽造防止に適する潜像を付与した印刷物(特開昭57−20395号公報)がある。
【0007】
▲2▼用紙の表面に網点で潜像を印刷し、万線で潜像と同濃度の背景を同時印刷し、背景を含む潜像の上面に装飾模様をコピーで再現されない程度の薄色の透明性インキで重ね刷りすることにより、印刷物表面を体裁よく仕上げた複写防止に適する印刷物(特開昭60−79991号公報)がある。
【0008】
▲3▼背景の万線と干渉した時にモアレ模様を形成する平行線よりなる波形パターンを備えたオーバープリント版を用いて、用紙表面に複写機で再生されない淡色の重ね刷りを施すことにより、印刷物の表面は肉眼を幻惑するモアレ模様が形成されるので潜像の存在は識別困難となり、複写機にかけると潜像と波形パターンは再生されずに背景のみが再生される複写防止用潜像カムフラージ法(特開昭60−87380号公報)がある。
【0009】
しかし、前述▲1▼▲2▼▲3▼の方法はいずれも網点もしくは万線等の点及び線の粗密からなるスクリーンパターンでなければならないため、地紋、彩紋模様を多用している銀行券、株券、債券などの有価証券等の既存製品に用いるには適さないという欠点があった。
【0010】
本願発明者らは前述▲1▼▲2▼▲3▼の方法が有する欠点を充分補える方法として、次の▲4▼、▲5▼の技術手段をすでに紹介している。
【0011】
▲4▼曲画線の集合模様を、潜像を施さない部分を一本線、潜像を施した部分を二本線以上の画線で表現し、潜像を施した部分の二本線以上の画線は、二本線以上の画線の合計の画線幅が、潜像を施さない部分の一本線の画線の画線幅と等しく、且つ、潜像を施さない部分の一本線から分岐し、更に、潜像を施さない部分と潜像を施した部分の画線上の境界線が、曲画線の集合模様を構成する基本曲線と潜像の輪郭線の交点において基本曲線に接する直線に対し、略直角に交わる直線となることを特徴とする複写防止模様の作成方法及びその印刷物(特願平6−206140号)を出願した。
【0012】
▲5▼曲画線の集合模様に、潜像を施さない部分を実線、潜像を施した部分を定周期断絶線で表現し、潜像を施した部分の定周期断絶線の合計上の実印刷される画線部と、画線部が断絶して欠落する非画線部の一周期において、画線部の面積に非画線部の面積を加算し、潜像を施した部分と潜像を施さない部分の曲線状方向の同一長さで同一画線面積率とする印刷物(特願平7−138879)を発明し出願した。
【0013】
これら▲4▼▲5▼の模様を有する印刷物によって、複写防止を必要とする銀行券、株券、債券等の有価証券、各種証明書及び重要書類等の、地紋、彩紋模様、レリーフ模様等の曲画線の集合模様に複写機による偽造、変造防止効果を付与した複写防止模様の作成方法及び印刷物を提供することができた。
【0014】
しかし、今日ではカラー複写機の高機能化及びDTP(デスクトップパブリッシング)技術の高度化によって、前述▲4▼▲5▼の方法のコピー防止策は十分な偽造防止策に成り得なくなって来ているのが現状である。
【0015】
そこで、このような問題の解決法として、真偽判別において大量且つ高速処理できる機械読み取り検査方法が広く採用されている。今日の印刷物の機械読み取り検査方法は、磁性インキ、赤外線反射吸収インキ、蛍光インキ等の機能性インキや、印刷媒体を形成する繊維、材質、薬品類等による素材を検知するといったこれらの技術は、人間に感知できない特定の電磁波等に起因するものであり、印刷物を作製する上で材料適性に依存するものが多く、生産コスト面において経済性の見合う製品にしか付与することができない。
【0016】
また、印刷物の生産コストを特に考慮しない方法としては、可視できる一般印刷用のインキのような印刷材料が適用可能な印刷物上の模様に対する光学読み取り方法がある。比較的容易な光学読み取り方法としては、OCR、OMR、バーコード、二次元コード等が公知であるが、これらの光学読み取り方法を既存製品に用いる場合は、デザイン、仕様の変更が要求される。
【0017】
また、これらの光学読み取り方法は広く市中に出回っている方法でもあり、符号が印刷画線として可視できるため、解読、改竄の危険性も予想され、偽造、変造防止方法としては不十分である。
【0018】
更に、同じく光学読み取り方法でデザイン等の意匠性を変えずに読み取り用情報を付与する方法として、一般に電子すかしと呼ばれる一連の技術がある。電子すかしは、コンシールドイメージ、デジタルすかしとも呼ばれ、主な用途として、高機能化したコピー技術やDTP技術におけるドキュメントファイルもしくはその印刷物に著作権情報を埋め込む技術である。印刷物における公知の代表的な技術としては、周波数利用型と呼ばれる方法である。
【0019】
電子すかしは複製物においてもその周波数特性の劣化が少ないと言われ、最近では著作権保護の目的でインターネット上に配信されるデジタルイメージに施されることが多い。また、印刷物においてもその効果を奏することから、ポスターなどに利用されることも多くなって来た。
【0020】
電子すかしが最も効果を発揮できるのは連続階調(写真階調)模様である。連続階調(写真階調)模様は多値画像データであるから、十分な冗長度が存在するので周波数利用型に限らず画素置換型、画素空間利用型、量子化誤差拡散型等の多くの方法が提案され、文献、特許出願も数多く、今日注目を集めている技術の一つである。
【0021】
しかしながら、有価証券に用いられる地紋、彩紋模様、レリーフ模様等の曲画線の集合模様は基本的に2値画像であるから冗長度が少ないので、電子すかしの埋め込みは困難とされ、結果として読み取り用信号が弱いために読み取り精度が低いのが課題となっている。
【0022】
従って、印刷物の材料適性に依存しない偽造、変造防止方法で、例えば銀行券、株券、債券等の有価証券、各種証明書及び重要書類等に適する偽造防止適性を有する模様を機械読み取りによって真偽判別できる有効な技術の開発が望まれている。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、証券用線画から構成されている証券類等の芸術性を有する印刷物において、人間が視覚で認識できないレベルで証券用線画に変調を与えることにより、その美術的な効果を損なうことなく情報を埋め込むことを目的としている。
【0024】
ところで、本発明者等はすでに、証券用線画の細画線を長手方向に所定の間隔で並列された複数の分断線から成る分断画線部で構成する真偽判別可能な印刷物及び判別方法、情報埋め込み方法に関する発明を特願2002ー1519号としてすでに提案している。この先行する出願に係る発明は、人間の目には分断画線部と通常の細画線が同等に見えるように、その分断線の幅と長さを決め、これをフーリエ変換し、そのフーリエ変換パターンにおいて固有の周波数を認識し、真偽判別等に応用する技術である。
【0025】
しかしながら、この先行する発明では、証券用線画の細画線を構成する分断画線部の複数の分断線は、単に一定間隔で長手方向に並列しているもので、付与できる情報は、固有の不可視な周波数の種類に限定され、多くのバリエーションを与えることができない。そこで本発明では、この分断線の配置の間隔を工夫して細画線を形成し、その美術的な効果を損なうことなく、よりきめ細かく又多様な情報を埋め込んで偽造防止効果を高めることを可能とすることを課題とするものである
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、複数の細画線から成る証券用線画を有する真偽判別可能な印刷物であって、上記細画線は、複数のユニットが連続的に配置された可視的なユニット画線から構成され、上記複数のユニットは、夫々上記細画線の長手方向に対して直交する方向に延び且つ細画線の長手方向に沿って並列された複数の不可視な分断線から成り、上記ユニット内において上記複数の分断線のうち互いに隣接する分断線がなす複数の間隔は、夫々埋め込まれる情報に対応して設定されており、上記埋め込まれた情報は、上記印刷物のデジタル画像データがフーリエ変換されて得られるフーリエ変換パターンによって識別可能であることを特徴とする真偽判別可能な印刷物を提供する。
【0027】
上記ユニット内において上記複数の分断線のうち互いに隣接する分断線がなす複数の間隔に係る構成は、上記複数のユニットの全てについて同じである。
【0028】
本発明は上記課題を解決するために、複数の細画線から成る証券用線画を有する印刷物を出力可能なデジタル画像データを作成し、上記デジタル画像データにおける上記複数の細画線を、複数のユニットが連続的に配置された可視的なユニット画線で構成されるように変換し所定の情報を埋め込む真偽判別可能な印刷物の情報埋め込み方法であって、上記複数のユニットは、夫々上記細画線の長手方向に対して直交する方向に延び且つ細画線の長手方向に沿って並列された複数の不可視な分断線から形成し、この際、上記ユニット内において上記複数の分断線のうち互いに隣接する分断線がなす複数の間隔は、夫々埋め込まれる情報に対応して設定し、上記埋め込まれた情報を、上記印刷物のデジタル画像データがフーリエ変換されて得られるフーリエ変換パターンによって識別可能とすることを特徴とする真偽判別可能な印刷物の情報埋め込み方法を提供する。
【0029】
上記ユニット内において上記複数の分断線のうち互いに隣接する分断線がなす複数の間隔に係る構成を、上記複数のユニットの全てについて同じに形成することを特徴とする。
【0030】
本発明は上記課題を解決するために、複数の細画線から成る証券用線画を有する真偽判別可能な印刷物であって、上記細画線は、複数のユニットが連続的に配置された可視的なユニット画線から構成され、上記複数のユニットは、夫々上記細画線の長手方向に対して直交する方向に延び且つ細画線の長手方向に沿って並列された複数の不可視な分断線から成り、上記ユニット内において上記複数の分断線のうち互いに隣接する分断線がなす複数の間隔は、夫々埋め込まれる情報に対応して設定されて成る真偽判別可能な印刷物の真偽判別方法であって、上記印刷物のデジタル画像データをフーリエ変換してフーリエ変換パターンを作成し、該フーリエ変換パターンで上記埋め込まれた情報を識別することを特徴とする真偽判別可能な印刷物の真偽判別方法を提供する。
【0031】
上記ユニット内において上記複数の分断線のうち互いに隣接する分断線がなす複数の間隔に係る構成は、上記複数のユニットの全てについて同じであることを特徴とする。
【0032】
本発明は上記課題を解決するために、複数本の細画線から成る証券用線画を有する真偽判別可能な印刷物であって、上記細画線は、夫々上記細画線の長手方向に対して直交する方向に延び、且つ上記細画線の長手方向に沿って並列された複数の不可視な分断線から成る可視的な分断画線から構成されており、上記複数の分断線のうち細画線の方向で互いに隣接する分断線がなす複数の間隔は、上記証券用線画に所定の情報が埋め込まれるように、夫々設定されており、上記埋め込まれた情報は、上記印刷物のデジタル画像データがフーリエ変換されて得られるフーリエ変換パターンによって識別可能であることを特徴とする真偽判別可能な印刷物を提供する。
【0033】
本発明は上記課題を解決するために、複数本の細画線から証券用線画を有する真偽判別可能な印刷物を出力可能なデジタル画像データを作成し、上記細画線を、夫々上記細画線の長手方向に対して直交する方向に延び、且つ上記細画線の長手方向に沿って並列された複数の不可視な分断線から成る可視的な分断画線から構成されるように変換し、所定の情報を埋め込む真偽判別可能な印刷物の情報埋め込み方法であって、上記複数の分断線のうち細画線の方向で互いに隣接する分断線がなす複数の間隔を、上記証券用線画に所定の情報が埋め込まれるように、夫々設定し、上記埋め込まれた情報を、上記印刷物のデジタル画像データがフーリエ変換されて得られるフーリエ変換パターンによって識別可能とすることを特徴とする真偽判別可能な印刷物の情報埋め込み方法を提供する。
【0034】
本発明は上記課題を解決するために、複数本の細画線から成る証券用線画を有する真偽判別可能な印刷物であって、上記細画線は、夫々上記細画線の長手方向に対して直交する方向に延び、且つ上記細画線の長手方向に沿って並列された複数の不可視な分断線から成る可視的な分断画線から構成されており、上記複数の分断線のうち細画線の方向で互いに隣接する分断線がなす複数の間隔は、上記証券用線画に所定の情報が埋め込まれるように、夫々設定されて成る真偽判別可能な印刷物の真偽判別方法であって、上記印刷物のデジタル画像データをフーリエ変換してフーリエ変換パターンを作成し、該フーリエ変換パターンで上記埋め込まれた情報を識別することを特徴とする真偽判別可能な印刷物の真偽判別方法を提供する。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明に係る印刷物及び判別方法、並びに該印刷物への情報の埋め込み方法の実施の形態を実施例に基づいて図面を参照して以下詳細に説明する。証券類、紙幣等に使用されている証券用線画は、万線状の直線(直万線)や曲線を含む画線が複数集合して幾何学的なデザインで構成されている。このような証券用線画を構成する要素となる画線を本発明では「細画線」という。証券用線画では、複数の細画線の間隔等において非常に高い規則性が存在する。
【0036】
本発明は、この規則性に着目し、証券用線画の複数の細画線の間隔及び位置の相関を評価して真偽判別の手段として活用するものである。
【0037】
さらに、本発明では、この規則性を有する証券用線画を構成する複数本の細画線を、スキャナ、複写機等のデジタル機器では識別可能であるが、人間にとって視覚で認識困難な微細な部分(後述する「分断線」)を並べて構成するように変調を与えて情報を埋め込み、このようにして得られた印刷物をデジタル画像に変換して、デジタル機器(具体的には、コンピュータ)上で、証券用線画の間隔及び位置、上記微細な部分の配置等による相関を分析し、印刷物に埋め込まれた情報を識別することにより、真偽判別を可能とするものである。
【0038】
人間の視覚で認識できないレベルで証券用線画に変調を与える構成として、本発明は、証券用線画を構成する細画線の一部又は全部を、複数のユニットから成るユニット画線で形成する構成にしている。このようなユニット画線が複数集まりユニット画線群となり、証券用線画を形成する。
【0039】
複数のユニットの長さ(以下、「ユニット長さ」という。)は予め決めた所定の長さとし、各ユニットを、複数の不可視的な分断線から構成する。この複数の分断線は、夫々細画線の中心線と直交する方向に延び、且つ細画線方向に並列して配置される構成とし、このユニット内の複数の分断線を、細画線方向への互いの間隔を適宜設定して配置すること(複数の分断線の細画線方向への配置の間隔を決めること。)で情報を埋め込む構成としている。即ち、ユニット内において複数の分断線のうち互いに隣接する分断線がなす複数の間隔は、夫々埋め込まれる情報に対応して設定される。
【0040】
要するに、本発明は、原図である証券用線画を構成する細画線をユニット画線で形成し、このユニット画線は、人間の視覚では原図の細画線と濃度が同等で、原図と同じように証券用線画が見えるような構成とし、ユニットを構成する分断線は不可視となるように分断線の長さ(細画線の中心線に直交する方向への分断線の長さ。)及び幅(細画線の延びる方向への分断線の幅。)、さらに相互の間隔が決められる。そして、証券用線画の規則性(証券用線画の複数本の細画線の間隔及び方向。)に基づき、又、ユニット内の分断線の互いの間隔を適宜設定して配置することにより、所定の情報が埋め込まれるような構成としている。
【0041】
このようにして埋め込まれた情報を識別し、印刷物の真偽判別をするには、複数のユニット画線から成るユニット画線群で構成される証券用線画についてフーリエ変換を行い、このフーリエ変換パターンから、証券用線画上のユニット長さ及びユニット内における分断線の配置に関する情報を抽出して、埋め込んだ情報を抽出し識別に供するものである。
【0042】
さらに、本発明は、印刷物の証券用線画を構成する細画線は、上記のようにユニットを単位とするものではなく、複数の分断線が配置されて成る分断画線から構成し、複数の分断画線が集まって分断画線群を構成し、この分断画線群により、印刷物の証券用線画を表示する印刷物及び判別方法、並びに該印刷物への情報の埋め込み方法も含むものである。
【0043】
(実施例1)
本発明に係る印刷物及び判別方法、並びに該印刷物への情報の埋め込み方法の実施例1を説明する。図1は、本発明に係る印刷物の原図となる証券用線画の一例である。この証券用線画1は、印刷された細画線2から成る彩紋エレメント3を有しているが、この細画線2乃至彩紋エレメント3は人間の視覚で認識できるものである。
【0044】
この証券用線画1の彩紋エレメント3に基づいて、図2(a)に示す本発明の実施例1の印刷物4を作成する。印刷物4は、彩紋エレメント3を構成する複数の細画線2を、夫々複数の同じ構成のユニット5から成るユニット画線6で形成し、ユニット画線6で彩紋エレメント3が描画されて成る画像である。要するに、複数のユニット画線6が集合したユニット画線群7で彩紋エレメント3を表示するものである。このユニット画線6は、画線どうしの間隔及び方向は原図の細画線2と全く同じである。
【0045】
図2(a)の円内に、ユニット画線6の一部拡大図が示されている。この拡大図中の1本のユニット画線6を、さらに拡大して図2(b)で示す。ユニット画線6を構成する各ユニット5A、5B、5Cは、互いに同じ構成であり、予め決められた所定の長さ(「ユニット長さ」という。)を有し、複数の分断線から構成される。具体的には、ユニット5A、5B、5Cは、夫々情報を埋め込む複数の情報用分断線8と、情報用分断線8の両側の始端分断線9及び終端分断線10とから成る。
【0046】
ところで、ユニット画線6は、本実施例1では複数の同じ構成のユニット5が連続的に繰り返し配置されて構成されるが、互いに隣接するユニット5A、5Bは、始端分断線9、終端分断線10を共有している。これを図2(b)を例として説明すると、ユニット5Aの終端分断線10は、ユニット5Bの始端分断線9として両ユニット5A、5Bに共有され、分断線5Bの終端分断線10は、ユニット5Cの始端分断線9として両ユニット5B、5Cに共有されている。
【0047】
ユニット5は、所定の情報を埋め込む構成とされているが、図3は、所定の情報を埋め込んだユニット5の具体的な構成を示す図である。このユニット5は、始端分断線9と終端分断線10の間に4本の情報用分断線81〜84が配置されて構成されている。所定の情報は4本の情報用分断線81〜84の互いの間隔を適宜決めることで埋め込まれる。
【0048】
予め埋め込む情報を構成する情報要素(例.数字等の記号)に対応して間隔を予め決めておく。本実施例1では、情報要素を十進数字とし、対応する間隔の一例を次の表1において示す。この表1中、*、♯は、夫々識別子を表し、その必要性については後述するが、識別子*は、始端分断線9と情報用分断線81との間隔に対応するものであり、識別子♯は、終端分断線10と情報用分断線84との間隔に対応するものである。
【0049】
【表1】
Figure 0004082448
【0050】
この表1に基づいて、ユニット5について、「264」という十進数字の組み合わせから成る情報を埋め込むためには、識別子*と情報用分断線81との間隔を150μm、情報用分断線81と情報用分断線82の間隔を70μm、情報用分断線82と情報用分断線83の間隔を110μm、情報用分断線83と情報用分断線84の間隔を90μmに、情報用分断線84と識別子♯の間隔を160μmに、夫々配置すればよい。
【0051】
ユニット長さは、これらの間隔を合計した値である580μmとなる。ユニット画線6は、このような構成の複数のユニット5が原図の細画線2(図1参照)に沿って連続的に繰り返されて配置されて構成される。
【0052】
ここで、ユニット5内に、識別子*及び識別子♯を配置する必要性について説明する。本発明に係る印刷物は、後述するがフーリエ変換画像としてパターンマッチング等の手段でその識別を行うものであるが、情報「264」をフーリエ変換画像で確認すると対称的に画像が現れるために、情報「462」をフーリエ変換画像したものと、同じ位置と強度を示すこととなり、判別が不可能となる。
【0053】
そこで、この判別を可能とするために、識別子*を間隔150μmに対応させ、識別子#を間隔160μmに対応させ、情報要素とともに表1に登録し、*は情報の開始を表す識別子、#は情報の終了を表す識別子として夫々使用するのである。ここで、情報の開始を表す識別子*のみを使用し、情報の終了を表す識別子#を使用しない場合、すなわち、「*264」と「*462」を比較すると「*264」は「264*」と同等に置き換えることが可能であり、さらに前述のように反対方向から読むと「*462」となってしまい、「*264」と「*462」は同じフーリエ変換パターンとなってしまうことが分かる。そこで、情報の終了を表す識別子#を用いれば、「*264#」と「*462#」は同じパターンとならないことから、両者の識別が可能となる。
【0054】
図1に示す原図の証券用線画1では、細画線2の幅(線の太さ)は55μmとなっている。図2(a)に示すように細画線2をユニット画線6で形成した印刷物として作成された場合、ユニット5の分断線8〜10は、夫々人間の目には不可視であるが、ユニット画線6は、原図である証券用線画1の細画線2と同様に人間の目で見えるようにするには、分断線8〜10の間隔及び分断線の寸法(幅Wと長さL)を調節する必要がある。具体的には、分断線8〜10の間隔に応じて、その寸法(幅Wと長さL)を調節する。
【0055】
本実施例1では、情報「*264#」に対応する分断線間の間隔を平均化すると、(150μm+70μm+110μm+90μm+160μm)÷5=116μmとなる。この分断線間の平均の間隔が116μmという数値に対応して、情報用分断線、始端分断線及び終端分断線の全ての分断線の夫々の幅Wを30μmとし、長さLを293μmと設定することができる。ユニット5の分断線をこのような寸法とすることにより、人間に対してユニット画線6は可視でも、分断線8〜10は不可視状態となる。
【0056】
ところで、本出願人は、細画線2を本発明のようなユニット画線6で形成する技術ではないが、機械読取りで真偽判別を行う有価証券等において、細画線の一部を分断線で構成し、この分断線をより完全に不可視化する技術について、すでに特許出願を行っている(特開2000−118121号公報参照。)。この不可視化する技術を本発明に適用すると、本発明における分断線のより完全なる不可視化が可能となる。
【0057】
この分断線を不可視化する技術の概要は次の通りである。分断線の長さ決める際には、その分断線の前後の隣接する分断線との間隔の平均値を算出して、この平均値に対応する幅及び長さを決定する。この技術を本発明に適用した構成について、図3に示すユニット5で具体的に説明する。
【0058】
例えば、情報用分断線81の幅及び長さを決める場合は、次のようにする。始端分断線9と情報用分断線81との間の間隔(識別子*に対応する間隔)は150μmであり、情報用分断線81と情報用分断線82の間隔(情報要素“2”に対応する間隔)は70μmである。この情報用分断線81の両側の間隔150μmと70μmとの平均値110μmを算出し、情報用分断線81の幅は分断線間隔110μmで一定となる場合の幅と長さを与えることとする。
【0059】
以上のように、図1に示す原図の証券用線画1の細画線2をユニット画線6で形成し、ユニット画線6の集合であるユニット画線群7で図2(a)に示す証券用線画を表示するには、まず証券用線画1をスキャナ等のデジタル機器で読み取ってビットマップデータ等のデジタル画像データとし、これを作画ソフト(例えば、アドビ社から市販されているイラストレータとして一般的なバルコシステム等)で細画線2を加工してユニット画線6に置き換える。
【0060】
或いは、コンピュータで、作画ソフトを利用して直接、ユニット画線群7で表示する図2(a)に示す証券用線画のデジタル画像を作成してもよい。いずれにしろ、このデジタル画像は、印刷出力すれば図2(a)に示す印刷物が作成されるものであればよい。本発明ではこのような、印刷物の作画の仕方自体を発明の要旨とするものではないから、この点の説明は省略する。
【0061】
以上のような複数のユニット5から成るユニット画線6は、複数本集まってユニット画線群7となり証券用線画を表示する。これらのユニット画線群7は、複数のユニット画線7の相互の間隔に基づく異なる空間周波数を有し、しかもユニット5に情報「*264#」が埋め込まれており、これを印刷出力すれば、見た目では図1に示す証券用線画1とは変わらない本発明に係る真偽判別可能な印刷物4が作成される。
【0062】
同様に、例えば、図1に示す同じ証券用線画1に、別の情報「*831#」を埋め込んだユニット12を有する印刷物11を作成するには、表1に基づいて、図4に示すように、情報「*831#」に対応するように、始端分断線9、情報分断8線及び終端分断線10の夫々の間隔を決めて、ユニット12を作成する。このユニット12のユニット長さは、印刷物11と同様に580μmである。
【0063】
そしてこのユニット12を複数、細画線の方向に連続して繰り返して構成されるユニット画線13で、原図1の細画線2を形成し、図5に示すような、ユニット画線13が集まったユニット画線群14で証券用線画を表示する印刷物11を作成することができる。
【0064】
次に以上のような情報の埋め込み方法で、情報が埋め込まれた印刷物の当該情報を識別する手段、方法について説明する。上記印刷物4、11をスキャナ等の読取装置で読み込み、読取結果をビットマップデータ(本発明の「デジタル画像データ」の一例である。)として保有する。そして、このビットマップデータをフーリエ変換する。
【0065】
本実施例の印刷物4のフーリエ変換画像15を図6に示し、印刷物11のフーリエ変換画像16を図7に夫々示す。これらのフーリエ変換画像15、16を例に、埋め込まれた情報「*264#」、情報「*831#」の夫々について、増補に基づく相関が、フーリエ変換パターンにどのように現れるか説明する。
【0066】
印刷物4、11のフーリエ変換画像15、16において、フーリエ変換パターンにおけるピーク位置は同じ周波数に観測されている。すなわち、印刷物4と印刷物11におけるユニット長さはどちらも580μmであり、このユニット長さに対応した周波数の位置、及びこの周波数の整数倍の位置にピークが観測されている。この点では、埋め込まれた情報の識別はつかない。
【0067】
ところが、印刷物4と印刷物11のフーリエ変換パターンにおけるピークの強度は両者で異なり、特に4次のピーク(中心から4つ目の輪)において両者の違いは顕著に現れている。印刷物1のユニット5と印刷物4のユニット12とは、夫々異なる情報(「*264#」、「*831#」)を埋め込むために情報用分断線の配置の間隔が異なるが、これに起因して4次のピークの強度が異なる。
【0068】
すなわち、同じユニット長さであれば、フーリエ変換パターンは同じ周波数位置にピークが観測されるが、ユニット内の情報用分断線の配置の間隔が異なれば、ピーク強度が異なる。したがって、このフーリエ変換パターンを基に、印刷物へ埋め込んだ情報に係る情報用分断線のユニット内での配置の間隔を認識することができる。この情報用分断線の配置の間隔が埋め込んだ情報に相当するようにしておけば、印刷画線への所定の情報の埋め込み及びその読取が実現する。
【0069】
ところで、フーリエ変換パターンから本発明に係る印刷物の埋め込み情報を識別する具体的な手段は、いくつかあるが、ここで三つの手段を挙げる。
(1)コンピュータ等の読取画像処理装置において、予め所定の埋め込み情報に対応するフーリエ変換パターンを記憶させておき、印刷物から読み取ったビットマップデータのフーリエ変換パターンを、この予め記憶してあるフーリエ変換パターンと比較して識別を行う(パターンマッチング)。
【0070】
(2)予め所定の埋め込み情報に対応するフーリエ変換データのk次のピークの濃度分布曲線(フーリエ変換パターンにおけるピークのうち、内側からk番目のピークとなる濃度分布曲線を言う。)を予め用意し、これと、印刷物から読み取ったビットマップデータのフーリエ変換データのk次のピークの濃度分布とを比較する。
【0071】
(3)印刷物から読み取ったビットマップデータのフーリエ変換パターンのk次のピーク位置における強度I(k)を次の数1で計算する。
【0072】
【数1】
Figure 0004082448
【0073】
ここで、Nは画線全体にあるユニット5の数、nはユニット5の中の分断線の本数、xijは次の数2で与えられるユニット5中のi番目の分断線とj番目の分断線の間隔をユニット長さで規格化した数値を表す。
【0074】
【数2】
Figure 0004082448
【0075】
これらの式(1)、(2)によって、フーリエ変換パターンのk次のピーク位置における強度I(k)の値を認識すれば、連立方程式を解くことにより容易にユニット中の分断線の配置を求めることが可能となり、これにより埋め込み情報を識別することができる。
【0076】
一例として、情報「*264#」を埋め込んだユニット5を有する印刷物1の識別を説明する。この印刷物1のデジタル画像を読取り、フーリエ変換を行い、フーリエ変換パターンを得たとする。読取装置ではそのFFTの1次のピーク位置から、ユニット長さは580μmであることが直ちに分かる。
【0077】
そして、1次、2次、3次、…、n次のピークにおけるフーリエ変換パターンの相対強度をそれぞれ読み取り、これを上記数1数2にあてはめ、連立方程式を最小二乗法により解くことにより、ユニット5中の除法分断線の配置、すなわち、分断線の間隔の並びを解くことが可能である。
【0078】
この連立方程式から、始端分断線9、情報用分断線81 4及び終端分断線10が互いに隣接する間隔が、150μm、70μm、110μm、90μm、160μmと求まり、表1に基づき十進数字を識別することにより、埋め込んだ情報は「*264#」であることが識別できる。なお、情報「*831」を埋め込んだ印刷物2についても同様に識別可能である。
【0079】
以上のように、ユニットの中で同じ数字等の記号が繰り返されるような例でも明確なフーリエ変換パターンのピーク強度が得られることから分断線にバリエーションを持たせ、規則的に配置することにより情報の埋め込み、読み取りが可能である。この実施例1では3桁の十進数字から成る情報を埋め込んだが、本発明によれば、何桁の数字でも分断線を用いて数字等の記号を表現可能であり、その結果を数字等の情報に対応した特徴的なピーク位置の周波数と強度を有するフーリエ変換パターンから認識することができる。
【0080】
(実施例1の変形例)
ここで、本発明の実施例1の変形例に係る印刷物について以下説明する。この変形例は、図1に示す原図の証券用線画1を構成する細画線2を複数のユニットから成るユニット画線で形成し、ユニット画線の集まりであるユニット画線群で彩紋エレメント3の証券用線画を表示するものである。この印刷物のユニット画線は、画線どうしの間隔等は原図の証券用線画1の細画線の場合と全く同じである。
【0081】
ユニット画線は、複数のユニットが繰り返し連続的に配置されて構成され、複数のユニットは、互いに同じユニット長さを有する。ユニットは、原図の細画線2の中心線と直交する方向に延びる複数本の分断線を細画線方向に並列して構成され、これにより情報を埋め込む構成としている。
【0082】
ユニットには複数の分断線が配置されているが、この分断線の長さ及び幅、さらに相互の間隔は、分断線自体では不可視であるが、複数のユニットから成るユニット画線は、視覚的には原図の細画線2と濃度が同等で、原図の証券用線画1と同じように彩紋エレメント3が見えるように決められる。
【0083】
ところで、ユニットの複数の分断線の配置の間隔(ユニット内において複数の分断線のうち互いに隣接する分断線がなす複数の間隔)を決めて所定の情報を埋め込むのであるが、実施例1では、ユニット画線を構成する複数のユニットにおける夫々のユニット内での複数の分断線の配置は、各ユニット同じであり、要するに分断線の配置が同じユニットが複数繰り返し連続的に配置されてユニット画線を構成している。
【0084】
しかしながら、この変形例では、ユニット画線を構成する複数のユニットにおける夫々のユニット内での複数の分断線の配置の間隔は、各ユニットについて必ずしも同じでなくてもよい。要するに、この変形例では、分断線の配置が必ずしも同じではないユニットが複数繰り返し連続的に配置されてユニット画線を構成している。
【0085】
この変形例に係る印刷物をスキャナで読取り、デジタル画像としてこれをフーリエ変換した画像が所定のフーリエ変換パターンとなるように、複数のユニット内で夫々独自に分断線の配置が決められるものである。要するに、フーリエ変換パターンが所定のパターンとなるように、複数のユニット内で夫々独自の分断線の配置をすることで情報を埋め込む構成としている。
【0086】
このように変形例の印刷物では、ユニット画線を構成する複数のユニット夫々について、複数の分断線の配置は独自に決められ、夫々独自の分断線の配置のなされたユニットが複数連続的に配置されユニット画線が構成され、ユニット画線の集まりであるユニット画線群で証券用線画が表示されるもので、印刷物のフーリエ変換画像が所定のフーリエ変換パターンにマッチしているか否かでその真偽判別がなされる。
【0087】
ところで、この変形例についてもフーリエ変換パターンから情報を識別する手段は、実施例1と同じで次の通りである。▲1▼予め記憶した所定のフーリエ変換パターンと印刷物のフーリエ変換画像について、マッチングを行う。▲2▼予め用意した所定フーリエ変換データのk次のピークの濃度分布曲線と印刷物のフーリエ変換データのk次のピークの濃度分布曲線を比較する。▲3▼印刷物のフーリエ変換データのk次のピーク位置における強度からユニットの配置を算出して識別する。
【0088】
(実施例2)
上記実施例1では、細画線を、分断線を有するユニットを単位として、複数のユニットを長手方向に連続して配置して成るユニット画線から構成するようにしたものである。しかしながら、細画線をユニットを単位としない構成としてもよい。この観点から、本発明者等は、本発明の実施例2を想到した。
【0089】
即ち、実施例2に係る印刷物の証券用線画を構成する細画線は、実施例1のようにユニットを単位とするものではなく、細画線の長手方向に複数の分断線が配置されて成る分断画線から構成される。そして、分断画線が集まって分断画線群を構成し、この分断画線群により、印刷物の証券用線画が表示される。
【0090】
このように、証券用線画の構成要素の最小単位となる複数の分断線は、夫々細画線の長手方向に対して直交する方向に延び、且つ細画線の長手方向に沿って並列されている。そして、分断線の夫々の長さ及び幅、さらに相互の間隔は、分断線自体では不可視であるが、分断画線は、視覚的には原図の細画線と濃度が同等で、原図の証券用線画1と同じで彩紋エレメント3が見えるように、決められる。
【0091】
この複数の分断線のうち細画線の方向で互いに隣接する分断線がなす複数の間隔(相互の間隔)は、証券用線画に所定の情報が埋め込まれるように、夫々設定された構成を特徴とする。この埋め込まれた情報は、この実施例2に係る印刷物をスキャナで読取って得られたデジタル画像データをフーリエ変換して得られるフーリエ変換パターンによって識別可能である。要するに、分断線がなす複数の間隔は、埋め込まれる情報が印刷物のデジタル画像データのフーリエ変換パターンによって識別可能なように設定される。
【0092】
ここで重要なことは、この実施例2は、情報を埋め込むための複数の分断線のうち細画線の方向で互いに隣接する分断線がなす複数の間隔は、全て同一のものは含まれない。即ち、複数の分断線のなす間隔(分断線が繰り返されるピッチ)は均一である構成は含まず、埋め込まれる情報が印刷物のデジタル画像データのフーリエ変換パターンによって識別可能なように設定されていることである。ここで、複数の分断線のなす間隔を、例えば50μmから150μmの間から乱数を用いて無作為に選び、分断線を配列した場合、分断線の数が十分大きければ、何度、分断線を発生させても、同じフーリエ変換パターンが得られる。これに対して、分断線の配置に人為的な作為を与えれば、そのフーリエ変換パターンは前記パターンと異なるものとなる。もっと具体的な例を挙げると、50μmから150μmまで10μm間隔で分断線の種類を設定しておき、この中から乱数を用いて分断線を配置する上で、人為的に80μmのみ他の間隔の分断線の選択確率の2倍となるように設定しておく。このように操作して配列した分断線に対するフーリエ変換パターンは完全に無作為に間隔を選択、配列した分断線にした場合と異なるフーリエ変換パターンを生じることとなる。この特異的なフーリエ変換パターンから埋め込んだ情報を抽出することができる。
【0093】
要するに、実施例2に係る印刷物は、フーリエ変換パターンが所定のパターンとなるように、複数のユニット内で分断線を夫々全く独自に配置をすることで情報を埋め込む構成としている。
【0094】
この実施例2に係る印刷物を識別する手段は、具体的には、実施例2に係る印刷物をスキャナで読取って得られたデジタル画像データをフーリエ変換して得られるフーリエ変換パターンと、予め記憶した所定のフーリエ変換パターンとが、比較器でマッチングし、マッチングしているか否かで真偽判別が行われる構成である。
【0095】
なお、この実施例2においても、夫々の分断線の幅、長さ、互いの間隔を設計する際に、上記先願(特開2000−118121号公報参照。)の分断線をより完全に不可視化を行う技術を適用することにより、分断線のより完全なる不可視化が可能となる。
【0096】
以上、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
【0097】
【発明の効果】
以上の構成から成る本発明に係る真偽判別印刷物では、その証券用線画は人間の視覚で認識できるが、証券用線画を複数の分断線を有するユニットから成るユニット画線で構成することで、人間には不可視の情報を埋め込むことができ、しかもこの埋め込み情報は、証券用線画をデジタル画像として読み取りフーリエ変換を行い、マッチング等の処理をすることで識別可能であるから、印刷画線の持つ美術的な効果減じることなく、偽造防止効果を高めることができる。
【0098】
特に、本発明では、印刷物の原図の細画線を、複数の分断線を有するユニットから成るユニット画線で形成し、ユニット内において複数の分断線のうち互いに隣接する分断線がなす複数の間隔は、夫々埋め込まれる情報に対応して設定されるようにすることにより、情報を埋め込むことができ、しかもこの印刷物のデジタル画像のフーリエ変換パターンで簡単に情報を識別可能であるから、偽造防止効果を高めることができるとともに、低コストで、取り扱いが便利であり、銀行券、証券類、各種証明書及び重要書類等の多方面の分野で不可視な情報を埋め込む手段としてきわめて有用である。
【0099】
そして、本発明に用いられる画線では、単色印刷においてもその情報を人間の視覚で認識することは不可能であることから、印刷画線の持つ美術的な効果減じることもない。
【0100】
さらに、本発明では、細画線をユニット単位ではなく複数の不可視な分断線から成る可視な分断画線で形成可能とし、複数の分断線のなす間隔(分断線が繰り返されるピッチ)は、均一である構成は含まず、埋め込まれる情報が印刷物のデジタル画像データのフーリエ変換パターンによって識別可能なように設定することにより、より自由度をもって偽造防止効果の高い真偽判別可能な印刷物を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の印刷物の原図となる証券用線画1である彩紋エレメント3を示す図である。
【図2】実施例1の印刷物の画像部の図形を説明する図である。
【図3】実施例1の印刷物の要部を説明する図である。
【図4】実施例1の別の印刷物の要部を説明する図である。
【図5】実施例1の別の印刷物の画像部の図形を説明する図である。
【図6】実施例1の印刷物のフーリエ変換パターンを示す図である。
【図7】実施例1の別の印刷物のフーリエ変換パターンを示す図である。
【符号の説明】
1 証券用線画
2 細画線
3 彩紋エレメント
4 実施例1の印刷物
5、5A、5B、5C ユニット
6、13 ユニット画線
7、14 ユニット画線群
8 情報用分断線
9 始端分断線
10 終端分断線
11 実施例1の別の印刷物
12 実施例1の別のユニット
15、16 フーリエ変換画像

Claims (4)

  1. 複数の細画線から成る証券用線画を有する印刷物であって、前記細画線は、夫々前記細画線の長手方向に対して直交する方向に延び、且つ、細画線の長手方向に沿って並列された同じ形状をした複数の分断線から成り、前記複数の分断線は、互いに隣接する前記分断線が成す複数の間隔が夫々埋め込まれる情報に対応して設定されたユニットを備え、前記ユニットが同じ構成によって複数連続的に配置されてユニット画線が構成されており、
    前記証券用線画をデジタル画像にフーリエ変換して、前記フーリエ変換のパターンから前記ユニットにおける前記分断線の間隔、位置及び配置による相関を分析し、前記埋め込まれた情報により識別可能な前記分断線から成るユニット画線を有することを特徴とする真偽判別可能な印刷物。
  2. 前記ユニットを構成するユニット画線は、情報を埋め込むための複数の情報用分断線と、前記情報用分断線の一方の端部に始端分断線と、他方の端部に終端分断線から成り、前記複数の情報用分断線が成す間隔が、前記埋め込むための情報に対応して設定されており、前記始端分断線は、前記ユニットが隣接する他のユニットにおける終端分断線と共有され、前記終端分断線は、前記ユニットが隣接し、さらに他のユニットにおける始端分断線と共有されていることを特徴とする請求項1記載の真偽判別可能な印刷物。
  3. 請求項1記載の真偽判別可能な印刷物の作成方法であって、複数の細画線から成る証券用線画を有する印刷物の原図から、出力可能なデジタル画像データを作成し、前記デジタル画像データにおいて、前記複数の細画線、前記細画線の長手方向に対して直交する方向、かつ、前記細画線の長手方向に沿って並列された同じ形状をした複数の分断線に変換し、前記複数の分断線において、互いに隣接する前記分断線が成す複数の間隔を、夫々埋め込まれる情報に対応した間隔で配置してユニットを形成し、前記ユニットを同じ構成で複数連続的に配置してユニット画線を形成することを特徴とする真偽判別可能な印刷物の作成方法。
  4. 前記ユニットを構成するユニット画線を、情報を埋め込むための複数の情報用分断線と、前記情報用分断線の一方の端部に始端分断線と、他方の端部に終端分断線とし、前記複数の情報用分断線が成す間隔が、前記埋め込むための情報に対応して設定し、前記始端分断線は、前記ユニットが隣接する他のユニットにおける終端分断線と共有とし、前記終端分断線は、前記ユニットが隣接するさらに他のユニットにおける始端分断線と共有とすることを特徴とする請求項3記載の真偽判別可能な印刷物の作成方法。
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